RNAワクチン
本発明は、アレルゲンまたはその誘導体をコードするRNA分子を含むRNAワクチン、およびその使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、RNAワクチンに関する。
【0002】
この数十年間に、欧米先進国では、I型アレルギー性疾患が大きな健康問題として浮上してきており、現在では、人口の約25%が発症している。
【0003】
遺伝的要因の他、幼児期の感染を含む成長期の環境、食習慣、および、受動喫煙や大気汚染への暴露などの環境要因が、アトピー性疾患の発生に大きく関係する。
【0004】
現在、何年かに渡ってアレルゲンを徐々に増やして投与するという特定の免疫療法が、唯一有効な治療的介入の例である。しかし、投与量が多いため、アナフィラキシー性副作用の危険性は明白であり、未精製の、殆ど特定されていないアレルゲンの抽出物を使用した場合、未確認の成分に対する患者の感作を生じさせる可能性がある。
【0005】
さらに、I型アレルギーに対する予防接種は実現しておらず、アレルギー性疾患を発症する遺伝的リスクが高い幼児においてアレルギー性疾患の発症を予防するのが、最も実現可能な手法であろう。幼い免疫システムを訓練するほうが、既に発症したアレルギー性免疫表現型の均衡を保つよりも簡単である。
【0006】
Ying et al.(Nature Med (1999) 5:823-827)には、免疫学的過程を研究するためのモデル分子として使用されることが多いβ−ガラクトシダーゼをコードするRNAを含む自己修復RNAワクチンが開示されている。Ying et al.では、抗腫瘍反応が研究されており、CD8陽性細胞の誘導が観察されている。しかし、Ying et al.において調査されていないCD4陽性細胞は、CD8陽性細胞とは対照的に、アレルギーに対する免疫学的防御を媒介し、B細胞におけるIgEへのクラススイッチを妨げる。
【0007】
近年、核酸ベースのワクチンは、アレルギー性疾患の根底にある免疫機構にバイアスをかける有効な手法となってきている。数多くの動物実験において、DNAワクチンがI型アレルギー反応の誘導を抑制し、さらには既存のアレルギー性TH2免疫状態を回復させることが立証されている(Weiss, R. et al. (2006) Int Arch Allergy Immunol 139:332-345)。
【0008】
それでもなお、DNAベースのワクチンの安全性に関して懸念の声が挙がっている。注入されたDNA分子は、宿主ゲノムに統合される可能性があり、また、様々な組織への分散性により、アレルゲンが持続的に放出され、その結果、既存のアレルゲン特異的IgE分子を有する患者において制御不可能なアナフィラキシー反応を誘発する慮がある。さらに、健康な子供に対してワクチンを投与する場合、抗アレルギーワクチンにおける最も高水準の安全基準を適用する必要がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、DNAワクチンの欠点を克服し、さらにアレルギー治療に有効である、または、アレルゲンに対する感作をうまく抑制できるアレルゲンワクチンを提供することにある。
【0010】
本発明は、少なくとも1つのアレルゲンまたはそのアレルゲンの誘導体をコードする少なくとも1つのRNA分子を含むRNAワクチンに関する。当該RNAワクチンにおいて、当該アレルゲンは、アルヌス・グルチノーサ(Alnus glutinosa)、アルタナリア・アルタナータ(Alternaria alternata)、アンブローシア・アルテミシーフォリア(Ambrosia artemisiifolia)、アピウム・グラベオレンス(Apium graveolens)、アラキス・ハイポガエア(Arachis hypogaea)、ベツラ・ベルコーサ(Betula verrucosa)、カルピヌス・ベツルス(Carpinus betulus)、カスタネア・サチバ(Castanea sativa)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporiumherbarum)、コリルス・アベラナ(Corylus avellana)、クリプトメリア・ジャポニカ(Cryptomeria japonica)、カプリナス・カルピオ(Cyprinus carpio)、ダウクス・カロタ(Daucus carota)、デルマトファゴイデス・プテロニシヌス(Dermatophagoides pteronyssinus)、ファグス・シルバチカ(Fagus sylvatica)、フェリス・ドメスチカス(Felis domesticus)、ヘベア・ブラシリエンシス(Heveabrasiliensis)、ジュニペルス・アシュエイ(Juniperus ashei)、マルス・ドメスチカ(Malus domestica)、ケルクス・アルバ(Quercus alba)、およびフレウム・プラテンス(Phleum pratense)のアレルゲンである。
【0011】
アレルゲンまたはそのアレルゲンの誘導体をコードするRNA分子は、RNAワクチンとしても有効に使用できる可能性があることがわかった。RNAワクチンは、アレルギー性疾患の治療のためのDNAワクチンによる特徴を示す。すなわち、RNAワクチンにおいて、アレルゲンは最も純粋な形態、すなわち遺伝情報にて提供され、DNAワクチンと同様に、RNAワクチンはTH1−バイアスの免疫反応を誘発する。さらに、低アレルギー性の遺伝子産物を生成するためにDNAワクチン用に作られた方法と同様の方法を、RNAワクチンにおいても利用することができる。
【0012】
さらに、RNAワクチンには、DNAワクチンより大きな利点がある。
(i)RNAワクチンは、アレルゲンの純粋な遺伝情報を含んでいるが、DNAワクチンに使用されるプラスミドの骨格に通常存在するウイルスプロモータ、抗生物質耐性遺伝子、またはウイルス/細菌の調節配列などの外来配列を含まない。
(ii)RNAは、宿主ゲノムに統合されないため、悪性腫瘍の危険性を解消できる。
(iii)RNAは、細胞の細胞質にて翻訳されるので、細胞核の転写機構が必要ではなく、RNAワクチンは、核内移行または核外移行とは独立しており、核の各ステージからも独立している。
(iv)RNAは迅速に分解されるので、外来遺伝子の発現は短期間に行われ、制御不可能な長期に渡る抗原の発現を避けることができる。
【0013】
本発明に係るRNAワクチンは、アレルゲンをコードする1つ以上のRNA分子を含んでいてもよく、好適には2、3、5、10種等のRNA分子を含んでいてもよい。しかし、1種のRNA分子が1つ以上のアレルゲンをコードしてもよい。つまり、1種のRNA分子が少なくとも1、2、3、5、10個の異なる、または同じアレルゲンをコードする塩基配列を含む構成としてもよい。1種ないし複数種のRNA分子によってコードされるアレルゲンは、後述の列挙のあらゆる組み合せの中から選択されてもよい。
【0014】
本明細書において使用するとき、「RNAワクチン」という用語は、本明細書において規定されたRNA分子を含むワクチンを指す。しかし当然のことながら、当該ワクチンは、個体に投与する際に必要とされる、または、好適である他の物質および分子(たとえば医薬品賦形剤)を含んでいてもよい。
【0015】
「〜のアレルゲン」という用語は、「〜由来のアレルゲン」および「〜から得られるアレルゲン」という用語に置き換えることができる。これは、アレルゲンが当該生物において自然発現されるものであり、本発明に係るRNA分子を生成するために当該アレルゲンをコードするDNA/RNAが単離されることを指す。
【0016】
哺乳類またはヒトに投与したとき、アレルゲンをコードするRNA分子の全てがアレルゲン特異的抗体の形成を誘発するわけではないことがわかった。例えばアルテミシア・ブルガリス(Artemisiavulgaris)のアレルゲンArt V 1、およびオレア・エウロピア(Olea europea)のアレルゲンOle e 1をコードするRNA分子は、Th1メモリを誘発することができず、アレルゲン特異的IgE反応を抑制することができない。しかし、上述したソースに由来するアレルゲンをコードするRNA分子は上記を行うことができる。
【0017】
本発明の好適な実施形態によると、アルヌス・グルチノーサのアレルゲンは、Aln g 1であり、アルタナリア・アルタナータのアレルゲンは、Alt a 1、Alt a 3、Alt a 4、Alt a 5、Alt a 6、Alt a 7、Alt a 8、Alt a 10、Alt a 12およびAlt a 13からなる群より選択され、アンブローシア・アルテミシーフォリアのアレルゲンは、Amb a 1、Amb a 2、Amb a 3、Amb a 5、Amb a 6、Amb a 7、Amb a 8、Amb a 9およびAmb a 10からなる群より選択され、アピウム・グラベオレンスのアレルゲンは、Api g 1、Api g 4およびApi g 5からなる群より選択され、アラキス・ハイポガエアのアレルゲンは、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h 6、Ara h 7およびAra h 8からなる群より選択され、ベツラ・ベルコーサのアレルゲンは、Bet v 1、Bet v 2、Bet v 3、Bet v 4、Bet v 6およびBet v 7からなる群より選択され、カルピヌス・ベツルスのアレルゲンは、Car b 1であり、カスタネア・サチバのアレルゲンは、Cas s 1、Cas s 5およびCas s 8からなる群より選択され、クラドスポリウム・ヘルバルムのアレルゲンは、Cla h 2、Cla h 5、Cla h 6、Cla h 7、Cla h 8、Cla h 9、Cla h 10およびCla h 12からなる群より選択され、コリルス・アベラナのアレルゲンは、Cor a 1、Cor a 2、Cor a 8、Cor a 9、Cor a 10およびCor a 11からなる群より選択され、クリプトメリア・ジャポニカのアレルゲンは、Cry j 1およびCry j 2からなる群より選択され、カプリナス・カルピオのアレルゲンは、Cyp c 1であり、ダウクス・カロタのアレルゲンは、Dau c 1およびDau c 4からなる群から選択され、デルマトファゴイデス・プテロニシヌスのアレルゲンは、Der p 1、Der p 2、Der p 3、Der p 4、Der p 5、Der p 6、Der p 7、Der p 8、Der p 9、Der p 10、Der p 11、Der p 14、Der p 20、Der p 21およびClone 30アレルゲンからなる群より選択され、ファグス・シルバチカのアレルゲンは、Fag s 1であり、フェリス・ドメスチカスのアレルゲンは、Fel d 1、Fel d 2、Fel d 3、Fel d 4、Fel d 5w、Fel d 6wおよびFel d 7wからなる群より選択され、ヘベア・ブラシリエンシスのアレルゲンは、Hev b 1、Hev b 2、Hev b 3、Hev b 4、Hev b 5、Hev b 6.01、Hev b 6.02、Hev b 6.03、Hev b 7.01、Hev b 7.02、Hev b 8、Hev b 9、Hev b 10、Hev b 11、Hev b 12およびHev b 13からなる群より選択され、ジュニペルス・アシュエイのアレルゲンは、Jun a 1、Jun a 2およびJun a 3からなる群より選択され、マルス・ドメスチカのアレルゲンは、Mal d 1、Mal d 2、Mal d 3およびMal d 4からなる群より選択され、ケルクス・アルバのアレルゲンは、Que a 1であり、ならびに、フレウム・プラテンスのアレルゲンは、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 4、Phl p 5、Phl p 6、Phl p 7、Phl p 11、Phl p 12およびPhl p 13からなる群より選択される。
【0018】
本発明の好適な実施形態によると、アレルゲンは、下記からなる群から選択される:
イネ科の花粉:Phl p 1, Phl p 2, Phl p 5, Phl p 6, Phl p 7, Phl p 12
イエダニ:Der p 1, Der p 2, Der p 7, Der p 21, Clone 30 allergen (PCT国際出願番号AT2007/000201, オーストリア特許出願番号AT 503530:
MKFNIIIVFI SLAILVHSSY AANDNDDDPT TTVHPTTTEQ PDDKFECPSR FGYFADPKDP HKFYICSNWE AVHKDCPGNT RWNEDEETCT、配列番号1)
カバノキ花粉:Bet v 1 およびその同種の木(Aln g 1, Cor a 1, Fag s 1)または食物アレルゲン(Mal d 1, Api g 1, Pru p 1)
猫:Fel d 1, Fel d 2
草(ブタクサ、ヨモギ):Amb a 1
イトスギ/ビャクシン/ヒマラヤスギ:Cry j 1, Cry j 2, Jun a 1, Jun a 3,
Cha o 1, Cha o 2, Cup a 1, Cup a 3, Jun a 1, Jun a 3, Pla a 3
ピーナッツ:Ara h 1, Ara h 2, Ara h 4
へーゼルナッツ:Cor a 8, Cor a 9
魚/エビ:Gad c 1, Cyp c 1, Pen a 1。
【0019】
本発明に係るRNAワクチンに使用される特に好適なアレルゲンは、Aln g 1、Alt a 1、Amb a 1、Api g 1、Ara h 2、Bet v 1、ベータ−カゼイン、Car b 1、Cas s 1、Cla h 8、Cor a 1、Cry j 1、Cyp c 1、Dau c 1、Der p 2、Fag s 1、Fel d 1、Hev b 6、Jun a 1、Mal d 1、オボアルブミン(OVA)、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 5、Phl p 6およびPhl p 7からなる群より選択される。
【0020】
上述したアレルゲンは、RNAワクチンにおける使用に特に適することがわかった。当然のことながら、Amb a 1, Amb a 2, Amb a 3, Amb a 5, Amb a 6, Amb a 7, Amb a 8, Amb a 9, Amb a 10, Amb t 5, Hel a 1, Hel a 2, Hel a 3, Mer a 1, Che a 1, Che a 2, Che a 3, Sal k 1, Cat r 1, Pla l 1, Hum j 1, Par j 1, Par j 2, Par j 3, Par o 1, Cyn d 1, Cyn d 7, Cyn d 12, Cyn d 15, Cyn d 22w, Cyn d 23, Cyn d 24, Dac g 1, Dac g 2, Dac g 3, Dac g 5, Fes p 4w, Hol l 1, Lol p 1, Lol p 2, Lol p 3, Lol p 5, Lol p 11, Pha a 1, Phl p 1, Phl p 2, Phl p 4, Phl p 5, Phl p 6, Phl p 11, Phl p 12, Phl p 13, Poa p 1, Poa p 5, Sor h 1, Pho d 2, Aln g 1, Bet v 1, Bet v 2, Bet v 3, Bet v 4, Bet v 6, Bet v 7, Car b 1, Cas s 1, Cas s 5, Cas s 8, Cor a 1, Cor a 2, Cor a 8, Cor a 9, Cor a 10, Cor a 11, Que a 1, Fra e 1, Lig v 1, Syr v 1, Cry j 1, Cry j 2, Cup a 1, Cup s 1, Cup s 3w, Jun a 1, Jun a 2, Jun a 3, Jun o 4, Jun s 1, Jun v 1, Pla a 1, Pla a 2, Pla a 3, Aca s 13, Blo t 1, Blo t 3, Blo t 4, Blo t 5, Blo t 6, Blo t 10, Blo t 11, Blo t 12, Blo t 13, Blo t 19, Der f 1, Der f 2, Der f 3, Der f 7, Der f 10, Der f 11, Der f 14, Der f 15, Der f 16, Der f 17, Der f 18w, Der m 1, Der p 1, Der p 2, Der p 3, Der p 4, Der p 5, Der p 6, Der p 7, Der p 8, Der p 9, Der p 10, Der p 11, Der p 14, Der p 20, Der p 21, Eur m 2, Eur m 14, Gly d 2,Lep d 1, Lep d 2, Lep d 5, Lep d 7, Lep d 10, Lep d 13, Tyr p 2, Tyr p 13, Bos d 2, Bos d 3, Bos d 4, Bos d 5, Bos d 6, Bos d 7, Bos d 8, Can f 1, Can f 2, Can f 3, Can f 4, Equ c 1, Equ c 2, Equ c 3, Equ c 4, Equ c 5, Fel d 1, Fel d 2, Fel d 3, Fel d 4, Fel d 5w, Fel d 6w, Fel d 7w, Cav p 1, Cav p 2, Mus m 1, Rat n 1, Alt a 1, Alt a 3, Alt a 4, Alt a 5, Alt a 6, Alt a 7, Alt a 8, Alt a 10, Alt a 12, Alt a 13, Cla h 2, Cla h 5, Cla h 6, Cla h 7, Cla h 8, Cla h 9, Cla h 10, Cla h 12, Asp fl 13, Asp f 1, Asp f 2, Asp f 3, Asp f 4, Asp f 5, Asp f 6, Asp f 7, Asp f 8, Asp f 9, Asp f 10, Asp f 11, Asp f 12, Asp f 13, Asp f 15, Asp f 16, Asp f 17, Asp f 18, Asp f 22w, Asp f 23, Asp f 27, Asp f 28, Asp f 29, Asp n 14, Asp n 18, Asp n 25, Asp o 13, Asp o 21, Pen b 13, Pen b 26, Pen ch 13, Pen ch 18, Pen ch 20, Pen c 3, Pen c 13, Pen c 19, Pen c 22w, Pen c 24, Pen o 18, Fus c 1, Fus c 2, Tri r 2, Tri r 4, Tri t 1, Tri t 4, Cand a 1, Cand a 3, Cand b 2, Psi c 1, Psi c 2, Cop c 1, Cop c 2, Cop c 3, Cop c 5, Cop c 7, Rho m 1, Rho m 2, Mala f 2, Mala f 3, Mala f 4, Mala s 1, Mala s 5, Mala s 6, Mala s 7, Mala s 8, Mala s 9, Mala s 10, Mala s 11, Mala s 12, Mala s 13, Epi p 1, Aed a 1, Aed a 2, Api m 1, Api m 2, Api m 4, Api m 6, Api m 7, Bom p 1,Bom p 4, Bla g 1, Bla g 2, Bla g 4, Bla g 5, Bla g 6, Bla g 7, Bla g 8, Per a 1, Per a 3, Per a 6, Per a 7, Chi k 10, Chi t 1-9, Chi t 1.01, Chi t 1.02, Chi t 2.0101, Chi t 2.0102, Chi t 3, Chi t 4, Chi t 5, Chi t 6.01, Chi t 6.02, Chi t 7, Chi t 8, Chi t 9, Cte f 1, Cte f 2, Cte f 3, Tha p 1, Lep s 1, Dol m 1, Dol m 2, Dol m 5, Dol a 5, Pol a 1, Pol a 2, Pol a 5, Pol d 1, Pol d 4, Pol d 5, Pol e 1, Pol e 5, Pol f 5, Pol g 5, Pol m 5, Vesp c 1, Vesp c 5, Vesp m 1, Vesp m 5, Ves f 5, Ves g 5, Ves m 1, Ves m 2, Ves m 5, Ves p 5, Ves s 5, Ves vi 5, Ves v 1, Ves v 2, Ves v 5, Myr p 1, Myr p 2, Sol g 2, Sol g 4, Sol i 2, Sol i 3, Sol i 4, Sol s 2, Tria p 1, Gad c 1, Sal s 1, Bos d 4, Bos d 5, Bos d 6, Bos d 7, Bos d 8, Gal d 1, Gal d 2, Gal d 3, Gal d 4, Gal d 5, Met e 1, Pen a 1, Pen i 1, Pen m 1, Pen m 2, Tod p 1, Hel as 1, Hal m 1, Ran e 1, Ran e 2, Bra j 1, Bra n 1, Bra o 3, Bra r 1, Bra r 2, Hor v 15, Hor v 16, Hor v 17, Hor v 21, Sec c 20, Tri a 18, Tri a 19, Tri a 25, Tri a 26, Zea m 14, Zea m 25, Ory s 1, Api g 1, Api g 4, Api g 5, Dau c 1, Dau c 4, Cor a 1.04, Cor a 2, Cor a 8, Fra a 3, Fra a 4, Mal d 1, Mal d 2, Mal d 3, Mal d 4, Pyr c 1, Pyr c 4, Pyr c 5, Pers a 1, Pru ar 1, Pru ar 3, Pru av 1, Pru av 2, Pru av 3, Pru av 4, Pru d 3, Pru du 4, Pru p 3, Pru p 4, Aspa o 1, Cro s 1, Cro s 2, Lac s 1, Vit v 1, Mus xp 1, Ana c 1, Ana c 2, Cit l 3, Cit s 1, Cit s 2, Cit s 3, Lit c 1, Sin a 1, Gly m 1, Gly m 2, Gly m 3, Gly m 4, Vig r 1, Ara h 1, Ara h 2, Ara h 3, Ara h 4, Ara h 5, Ara h 6, Ara h 7, Ara h 8, Len c 1, Len c 2, Pis s 1, Pis s 2, Act c 1, Act c 2, Cap a 1w, Cap a 2, Lyc e 1, Lyc e 2, Lyc e 3, Sola t 1, Sola t 2, Sola t 3, Sola t 4, Ber e 1, Ber e 2, Jug n 1, Jug n 2, Jug r 1, Jug r 2, Jug r 3, Ana o 1, Ana o 2, Ana o 3, Ric c 1, Ses i 1, Ses i 2, Ses i 3, Ses i 4, Ses i 5, Ses i 6, Cuc m 1, Cuc m 2, Cuc m 3, Ziz m 1, Ani s 1, Ani s 2, Ani s 3, Ani s 4, Arg r, Asc s 1, Car p 1, Den n 1, Hev b 1, Hev b 2, Hev b 3, Hev b 4, Hev b 5, Hev b 6.01, Hev b 6.02, Hev b 6.03, Hev b 7.01, Hev b 7.02, Hev b 8, Hev b 9, Hev b 10, Hev b 11, Hev b 12, Hev b 13, Hom s 1, Hom s 2, Hom s 3, Hom s 4, Hom s 5、およびTrip s 1などの他のアレルゲンを本発明に使用することもできる。
【0021】
本発明に係る好適な実施形態によると、アレルゲン誘導体は低アレルギー性である。
【0022】
哺乳類、特にヒトの体内において、アレルギー反応を誘発させずに、または、最小限に抑えながら、特定の免疫反応を誘発するためには、本発明のアレルゲンまたはその誘導体が低アレルギー性を示すこと、すなわち、その低アレルギー性の分子が、全くまたは殆どIgE反応を示さないことが好ましい。
【0023】
本明細書において使用するとき、「低アレルギー性」という用語は、アレルギー特性をもつアレルゲンに由来するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が、個体に投与されたときに、該アレルゲンに対して特異的なT細胞の誘導を誘発し、かつアレルギー反応が少ない、または全く発生させない能力があることを指す。当該アレルゲンに存在するT細胞エピトープは保存しつつ、当該アレルゲンからIgE結合エピトープを除去または破壊することによって、ヒトのアレルギー反応を誘発する能力をアレルゲンの低アレルギー性誘導体において消失または低減させることができる。例えば、IgE結合能力が低減された、またはIgE結合能力が全くないフラグメントに分割することによって達成される。分割した当該フラグメントのうちのいくつか、または全てを、野生型のアレルゲンにおけるフラグメントの順番とは異なる順番に結合させてもよい。(例えば欧州特許出願公開第1440979号明細書参照)。アレルゲンから低アレルギー性分子を生成する他の方法は、野生型アレルゲンのC末端欠失、および/または、N末端欠失を伴う方法である(例えば欧州特許出願公開第1224215号明細書参照)。当然のことながら、野生型アレルゲンの1つ以上のアミノ酸残基に対して特異的変異を導入することによって、低アレルギー性分子を生成することもできる。この改変の結果、3次元構造が欠失する。
【0024】
RNAワクチンの低アレルギー化は、RNAワクチンから生ずるタンパク質を細胞のユビキチン化経路の標的とし、ユビキチン化経路において、各タンパク質を低アレルギー性のペプチドに分解することによって為される。上記は、ユビキチンをコードする配列を、アレルゲンをコードするRNAの5’末端に結合させることによって、達成される。76番目のアミノ酸残基をグリシンからアラニンに変異させる(G76→A76)ことによって、ユビキチン化効率を上げることができる。また、アレルゲンの第1アミノ酸(メチオニン)を不安定化アミノ酸(アルギニン)に変異させる(M77→R77)ことによって、ユビキチン化効率をさらに上げることができる。また、PEST配列として知られるカルボキシ末端不安定化配列を加えることによって、RNAワクチンから生ずる遺伝子産物のユビキチン化を行うこともできる。
【0025】
本発明の好適な実施形態によると、ワクチンにおけるRNAによってコードされた低アレルギー性のアレルゲン誘導体のIgE反応性は、野生型アレルゲンのIgE反応性よりも、10%以上、好適には20%以上、より好適には30%以上、特に50%以上低い。
【0026】
ウサギの網状赤血球溶解液システムにおいてインビトロにてRNAを翻訳することによって、RNAワクチンの低アレルギー性を定期的に検査することができる。適切な患者の血清のプールを用いたIgEウェスタンブロット法によって、RNAワクチンから生じた遺伝子産物を分析することができる。当該網状赤血球溶解液システムにおいて翻訳された野生型分子のIgE結合能力と比較して、各低アレルギー性アレルゲンのIgE結合能力を評価することができる。
【0027】
本発明に係る特に好適な実施形態によると、本発明のRNA分子は、1個を越える、好適には2個を越える、より好適には3個を越える、さらに好適には4個を越えるアレルゲンまたはそのアレルゲンの誘導体をコードするものであってもよい。特に、RNA分子は、Phl p 1, Phl p 2, Phl p 5およびPhl p6、またはAln g 1, Cor a 1, Que a 1, Car b 1およびBet v 1をコードする。
【0028】
アレルゲンまたはその誘導体をコードするRNA分子は、少なくとも1つのさらなるペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に結合される。
【0029】
アレルゲンをコードするRNA配列は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードするRNA配列に結合され得る。これらのペプチドは、小胞体にアレルゲンを方向付けることによって細胞からのタンパク質分泌を高める、例えばヒト組織プラスミノーゲン活性化シグナルペプチド(hTPA)などのシグナルペプチドであってもよい。当該ペプチドまたはタンパク質は、リソソームに結合した膜タンパク質(LAMP)、またはリソソームの膜内在性タンパク−II(LIMP−II)におけるC末の20−アミノ酸であってもよい。LAMP/LIMP−II配列は、抗原タンパク質を、形質転換された抗原提示細胞(APC)の主要組織適合クラスII(MHC II)小胞区画に方向付けるのに使用され、それによって、ワクチンの有効性を向上させるTヘルパー細胞の活性を高める。当該タンパク質またはポリペプチドは、例えば熱ショックタンパク質70(HSP70)、コレラ毒素などの細菌毒素、または大腸菌(Escherichia coli)の易熱性エンテロトキシン(LT)といった、ワクチンのTHバイアスを高めるタンパク質であってもよい。
【0030】
本発明に係る好適な実施形態では、RNA分子は、レプリカーゼ、β−グロビンリーダー配列、cap0、cap1およびポリAテールからなる群より選択される少なくとも1つのさらなる要素を含むものである。
【0031】
本発明のRNAワクチンは、それぞれのアレルゲンをコードするRNA配列により構成される。当該RNA配列は、アレルゲンの野生型配列であってもよいし、そのコドン使用頻度に対して適合されてもよい。コドン使用頻度の適合によって、RNAの翻訳効率および半減期を増大させることができる。少なくとも30個のアデノシン残基からなるポリAテールを、RNAの3´末端に結合させ、RNAの半減期を増大させる。RNAの5’末端は、m7G(5’)ppp(5’)N(cap 0構造)構造をもつ変異リボヌクレオチド、またはその誘導体によってキャップされる。当該変異リボヌクレオチドまたはその誘導体は、RNA合成の間に組み込まれてもよく、または、RNA転写の後に、Vaccinia Virus Capping Enzyme(VCE:mRNAトリフォスファターゼ、グアニリルトランスフェラーゼおよびグアニン−7−メチルトランスフェラーゼからなる酵素)を用いて酵素処理してもよい。この酵素が、N7-monomethylated cap 0構造の構成を触媒する。cap 0構造は、RNAワクチンの安定性および翻訳効率を維持するために重要な役割を果たす。RNAワクチンの5’キャップを2’−O−メチルトランスフェラーゼによってさらに修飾させてもよく、これによって、cap 1構造(m7Gppp[m2’−O]N)が生成され、さらに、翻訳効率が向上する。
【0032】
RNAワクチンは、自己複製ワクチンへの変換によって最適化され得る。当該ベクターは、対象の遺伝子とともに、アルファウイルス由来の複製要素と、構造的なウイルスタンパク質の代用物とを含む。レプリカーゼを基本要素とするRNAワクチンは、ウイルス由来の危険シグナルが媒介する免疫活性化が原因で、極めて低量であっても、抗体だけでなく細胞毒性応答をも誘発することが示されている(Ying, H. et al. (1999) Nat Med 5:823-827)。
【0033】
また、RNAワクチンは、自己複製RNAワクチンであってもよい。自己複製RNAワクチンは、セムリキ森林熱ウイルス(SFV)、シンドビスウイルス(SIN)、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス(VEE)、ロスリバーウイルス(RRV)、またはアルファウイルスファミリーに属する他のウイルスに由来するレプリカーゼRNA分子によって構成されている。レプリカーゼの下流にはサブゲノムプロモータが存在し、当該サブゲノムプロモータがアレルゲンRNA、およびこれに続く30個以上のアデノシン残基からなる人工ポリAテールの複製を制御する。
【0034】
本発明の他の好適な実施形態によると、ワクチンはさらにCpG−DNAおよびサイトカインを含み、サイトカインは好適にはインターロイキン(IL)−12およびIL−15である。
【0035】
さらに、ワクチンまたは本発明に係るワクチン製剤はアジュバントを含んでいてもよい。本発明における「アジュバント」は、抗原に対する免疫反応を高める化合物または混合物を指す。アジュバントは、抗原を徐放する組織徐放性製剤として供給されてもよい。アジュバントは、とりわけ、完全フロインドアジュバント、不完全フロインドアジュバンド、サポニン、水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルオロニック多価アルコール、多価陰イオン、ペプチド、レバミゾール、CpG−DNA、油または炭化水素乳剤、ならびに、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)などの潜在的に有益なアジュバントを含む。
【0036】
上記の代わりに、または上記に加えて、免疫刺激タンパク質をアジュバントとして、または、ワクチンに対する免疫の増大のために用いてもよい。免疫刺激サイトカイン、免疫増強サイトカインもしくは炎症性サイトカイン、リンフォカイン、またはケモカインなどの免疫刺激分子を、ワクチン、特にベクターワクチンとともに同時投与することによって、ワクチン接種の効果が高まる可能性がある(Salgaller and Lodge, J. Surg. Oncol. (1988) 68:122)。例えば、IL−2、IL−3、IL−12、IL−15、IL−18、IFN−gamma、IL−10、TGF−beta、顆粒球マクロファージ(GM)−コロニー刺激因子(CSF)および、他のコロニー刺激因子、マクロファージ炎症性因子、Flt3リガンド(Lyman, Curr. Opin. Hematol., 1998, 5:192)、CD40リガンド、などのサイトカインまたはサイトカイン遺伝子、ならびに、いくつかの主要な副刺激分子またはそれらの遺伝子(例えばB7.1、B7.2)を使用することができる。これら免疫刺激性分子は、タンパク質として全身的もしくは局所的に分配されてもよいし、RNA分子または本発明に係るRNAワクチンにおけるRNA分子にコードされていてもよい。また、免疫刺激性分子として、ポリアルギニンなどのポリカチオン性ペプチドを使用してもよい。
【0037】
本発明に係るさらなる好適な実施形態によると、ワクチンは、筋内投与、皮内投与、静脈内投与、経皮投与、局所性投与、または微粒子銃投与に適用される。
【0038】
様々な方法を用いて、本発明に係るRNAワクチンを投与してもよい。例えば1つの方法では、インビボにおいてRNAワクチンを直接体内に注入する(例:筋内、皮内、静脈内、鼻腔内など)。また、体外においてRNAを細胞(例えば上皮細胞)内に注入することができる。例えば、インビトロにおいてRNAワクチンを上皮細胞に形質移入し、身体に投与する(移殖する)。外因性RNAまたは異種RNAを細胞内に注入すれば、細胞は、当該RNAによって形質移入され得る。パルス法(pulsing)、すなわち、本発明に係るRNA分子とともに、細胞を培養することによって、細胞内にRNAを導入することができる。また、ネイキッドRNAとして、または他の形質移入促進剤(ペプチド、ポリマーなど)とともに、リポフェクションによってインビボでRNAを導入してもよい。合成陽イオン性脂質は、インビボでの形質移入においてリポソームを生成するために使用される。核酸の形質移入に有益な脂質化合物および組成物は、例えばDODC,DOPE,CHOL,DMEDA,DDAB,DODAC,DOTAPおよびDOTMAである。また、他の分子も生体内での核酸の形質移入を促進するのに役立つ。他の分子とは、カチオン性オリゴペプチド(例えば国際公開第95/21931号パンフレット)、DNA結合タンパク質由来のペプチド(例えば国際公開第96/25508号パンフレット)、またはカチオン性ポリマー(例えば国際公開第95/21931号パンフレット)である。また、ポリエチレンイミンおよびその誘導体、ポリラクチド−ポリグリコリドならびにキトサンを使用してもよい。また、電気穿孔法、顕微注入法、細胞融合、DEAEデキストラン法、リン酸カルシウム沈殿法、または遺伝子銃を使用する方法などの周知の方法を用いて、RNA分子を所望の宿主細胞の中に導入してもよい(微粒子銃形質移入、Tang et al., Nature (1992) 356: 152-154参照)。
【0039】
本発明の他の形態は、本明細書において規定された、アレルギーの治療用または予防用のワクチンを製造するための、少なくとも1つのRNA分子の使用に関する。
【0040】
本発明のさらなる形態は、本明細書において規定された、アレルゲンに対する個体の除感作のためのワクチンを製造するための少なくとも1つのRNA分子の使用に関する。
【0041】
本発明に係る他の好適な実施形態によると、ワクチンは、筋内投与、皮内投与、静脈内投与、経皮投与または微粒子銃投与に適用される。
【0042】
本発明に係る他の形態は、少なくとも1つのアレルゲンまたはその誘導体をコードする少なくとも1つのヌクレオチドを含む分離されたRNA分子に関する。当該RNA分子は、好適には、cap0、cap1、5’β−グロビンリーダー配列、自己複製RNA、再コード化されたアレルゲン配列、および人工のポリAテールからなる群より選択される少なくとも1つの塩基配列を含む。なかでも、RNA分子は、cap0‐アレルゲン配列‐ポリAテールが特に好ましい。cap0は、インビボでの抗体の生成のため、ならびにアレルゲン特異的なT細胞の誘導およびIFN−ガンマ分泌のための自己複製RNAワクチンに関して、有益である。
【0043】
さらに、下記の図面および例を用いて本発明を説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0044】
図1は、β−ガラクトシダーゼをコードするRNA(βGal−RNA)または自己複製RNA(βGal−repRNA)転写産物を用いた、インビトロにおけるBHK21細胞の形質移入を示す。m7G(5’)ppp(5’)Gキャップ構造を付加したRNA転写産物(キャップ)または当該構造を付加していないRNA転写産物(キャップなし)について試験した。形質移入していない細胞をバックグラウンド対照として使用した(形質移入されていない)。データは、3つの独立した形質移入実験の平均値±標準誤差(SEM)として示す。
【0045】
図2Aは、核酸ワクチン接種後のPhl p 5特異的IgG1およびIgG2aレベルを示し、図2Bは、ミョウバン中の組み換えアレルゲンを用いたその後の感作を示す。血清は、1:1000(図2A)、1:100000(図2B)に希釈した。棒グラフの頂点上の数値は、各群におけるIgG1:IgG2の平均比を示す。データは、平均±SEM(n=4)を示す。
【0046】
図3は、RBL放出アッセイによって測定されたPhl p 5特異的IgEを示す。IgEレベルは、各核酸ワクチンを用いたワクチン接種後(グレーの棒グラフ)、および、ミョウバン中の組み換えアレルゲンを用いたその後の感作(黒の棒グラフ)後に測定した。数値は、特定のヘキソサミニダーゼ放出の平均±SEM(n=4)を示す。***:P<0.001。
【0047】
図4は、ELISPOTを用いて測定された、組み換え型Phl P5によるインビトロでの再刺激後のIFN−ガンマ(図4A)、IL−4(図4B)、およびIL−5(図4C)の数を示す。データは、106個の脾細胞あたりのサイトカイン分泌細胞の数の平均値±SEM(n=4)を示す。
【0048】
図5は、アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおける全白血球数(図5A)、および好酸球数(図5B)を示す。数値は、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01。
【0049】
図6は、アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおけるIL−5(図6A)およびIFN−γ(図6B)のレベルを示す。データは、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01;***:P<0.001。
【0050】
図7は、RNA pTNT−Bet v1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0051】
図8は、RNA pTNT−Car b1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0052】
図9は、RNA pTNT−Cas s1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0053】
図10は、RNA pTNT−Phl p1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0054】
図11は、RNA pTNT−Phl p6によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0055】
図12は、RNA pTNT−Cor a1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0056】
図13は、RNA pTNT−Aln g1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0057】
図14は、RNA pTNT−Fag s1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0058】
図15は、RNA pTNT−Phl p2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0059】
図16は、RNA pTNT−Phl p7によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0060】
図17は、RNA pTNT−ハイブリッド(Phl p1−2−5−6)によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0061】
図18は、RNA pTNT−Cry j1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0062】
図19は、RNA pTNT−Jun a1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0063】
図20は、RNA pTNT−Amb a1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0064】
図21は、RNA pTNT−Api g1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0065】
図22は、RNA pTNT−Dau c1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0066】
図23は、RNA pTNT−Mal d1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0067】
図24は、RNA pTNT−OvaによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0068】
図25は、RNA pTNT−Beta−CaseinによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0069】
図26は、RNA pTNT−Cyp c1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0070】
図27は、RNA pTNT−Fel d1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0071】
図28は、RNA pTNT−Der p2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0072】
図29は、RNA pTNT−Alt a1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0073】
図30は、RNA pTNT−Cla h8によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0074】
図31は、RNA pTNT−Hev b6によるTh1メモリの誘導を示す。
【0075】
図32は、RNA pTNT−hybrid(アレルゲン)によるTh1メモリの誘導を示す。
【0076】
図33は、RNA pTNT−Ara h2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0077】
図34は、RNA pTNT−Que a1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0078】
図35は、RNA pTNT−Art v1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0079】
図36は、RNA pTNT−Ole e1によるTh1メモリの誘導がない、またはIgE反応の抑制がないことを示す。
【0080】
<実施例>
〔実施例1:〕
本実施例では、RNAおよび臨床的に関連するオオアワガエリの花粉アレルゲンPhl p5をコードするレプリカーゼベースのRNAワクチンが、アレルギー反応を効果的に抑制することを示す。
【0081】
(材料および方法)
[RNA転写に使用されるプラスミド]
pTNTベクターをPromega(マンハイム、ドイツ)から購入した。このベクターは、他のベクターより優れた利点をもつ特別な特徴を有する。一方はSP6ポリメラーゼ用、もう一方はT7ポリメラーゼ用の2つのプロモータが存在しており、SP6およびT7に基づくインビトロ転写を可能にする。それらプロモータは、タンデムにマルチクローニングサイト(MCS)の近傍に配置されている。A5’β−グロビンのリーダー配列は、より迅速に翻訳を開始させることによって複数の遺伝子の翻訳の増加を促進する。当該ベクターは、遺伝子の発現を向上させる他の特徴として、合成ポリ(A)30テールを有する。
【0082】
ベクターpSin−Rep5(Invitrogen,オーストリア)は、シンドビス・アルファウイルス(sindbis alphavirus)由来であり、これは包まれたポジティブストランドRNAウイルスである。アルファウイルスベースのレプリコンベクターは、ウイルス性構造タンパク質を欠失しているが、細胞質におけるRNAの自己増殖、およびアルファウイルス性プロモータを介する挿入遺伝子の発現に必要な複製エレメント(レプリカーゼ)を保持する。
【0083】
ベクターpCMV−Phlp5からNheI/XbaIを介してPhl p5遺伝子を抽出し(Gabler et al. (2006), J Allergy Clin Immunol 118:734-741)、pTNTおよびpSin−Rep5のXbaI制限酵素認識部位に連結し、それぞれpTNT−P5およびpSin−Rep5−P5を得た。
【0084】
[RNA転写]
対応する制限酵素を用いてプラスミドpTNT−P5およびpSin−Rep5−P5を直鎖状にした。フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール抽出、それに続く1回のクロロホルム−イソアミルアルコール抽出によって、テンプレートを精製した。1/10容積の3M酢酸ナトリウムpH5.2を加えた後、2容量の100%EtOHによってプラスミドを沈殿させ、70%EtOHを用いて3回洗浄した。
【0085】
全ての転写反応は、製造者のプロトコルに従って、T7またはSP6 RiboMAXTM Large Scale RNA Production Systems(Promega)を用いて実施した。簡単には、100μlの反応液として、20μlの転写バッファー、30μlのrNTP、5〜10μgのテンプレート、および10μlの酵素混合液を、ヌクレアーゼフリーのH2Oで満たして100μlとし、37℃にて2〜3時間インキュベートした。SP6 RiboMaxキットを使用する場合、30μlのrNTPの代わりに20μlのrNTPを使用した。
【0086】
mRNAのキャップ構造を擬態させるために、RNA合成中に5’7−メチルグアノシンヌクレオチド(m7G(5’)ppp(5’)G)またはキャップアナログ(EPICENTRE,USA)を組み込んだ。rNTP混合物は、rATP、rCTP、rUTP、rGTPおよびm7G(5’)ppp(5’)Gの25:25:25:22.5:2.5mM混合物となるように調製した。
【0087】
転写の後に、1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、氷上にて10〜15分間混合物をインキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温にて15分間遠心分離(13000rpm)した後、70%エタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0088】
(結果)
[RNAおよび自己複製RNAを用いたインビトロ形質移入]
β−ガラクトシダーゼをコードする2つの異なるRNA転写産物を用いて、BHK−21細胞をインビトロ形質移入した。当該RNA転写産物は、ベクターpTNT−βGalから転写された従来のRNAワクチン(βGal−RNA)、または、ベクターpRep5−βGalから転写された自己複製RNA(βGal−repRNA)である。
【0089】
m7G(5’)ppp(5’)Gキャップ構造が付加されたRNA転写産物、または付加されていないRNA転写産物について、試験した。図1は、従来のRNAと同量の自己複製RNAを形質移入した場合、従来のRNAと比べて7.5倍高い遺伝子発現を誘発することを示す。加えて、キャップ構造によるRNAの安定化は、RNAのインビトロ形質移入/翻訳に不可欠である。
【0090】
[アレルゲンPhlp5をコードするRNAベースのワクチンは、免疫原性であり、IgE誘導を抑制する]
RNAベースのワクチンがアレルギーの誘導を抑制する可能性を検証するために、Phl p 5をコードする従来のRNA、またはPhl P 5をコードする自己複製RNAを用いて、メスのBALB/cマウスに免疫性を付与した。RNAワクチンの有効性を算出するために、従来のDNAワクチン(pCMV−P5)およびPhl p5をコードする自己複製DNAワクチン(pSin−P5)を同量用いて、対応する群に免疫性を付与した。1週間ごとのインターバルをおいて3回マウスに免疫性を付与し、2週間後、ミョウバンとの複合体とした組み換え体Phl p 5を2回注入して、感作させた。これは、アレルギー表現型を誘導するプロトコルとして知られており、高レベルのIgE、およびTH2にバイアスされたサイトカインプロファイルを特徴とする。
【0091】
図2Aは、両方のRNAワクチンが、自己複製DNAワクチンpSin−P5と同様の液性免疫反応を誘導することを示す。対照的に、従来のDNAワクチンpCMV−P5によって誘導された液性免疫反応は、他のワクチンよりも約1桁高い大きさであった。全てのワクチンタイプが、低いIgG1/IgG2a比によって特徴付けられるTH1バイアスの血清学的プロファイルを示し、かつRBL放出アッセイによって測定される機能性あるIgEの誘導を示さなかった(図3、グレーの棒グラフ)。
【0092】
感作後、プレ免疫付与されていない対照群は、アレルギー感作を示す、高いIgG1レベルおよび高いIgG1/IgG2a比を有する完全にTH2にバイアスされた血清を示した。対照的に、ワクチン接種された全群がTH1調和型の免疫表現型を維持した(図2B)。両タイプのRNAワクチンを用いたプレワクチン接種によって、対応するDNAを用いた対照動物と同じ、またはよりよいIgE誘導の抑制が生じた(図3、黒棒グラフ)。全体的に見て、両タイプのRNAワクチンを用いたプレワクチン接種によって、アレルギー感作に対するIgE誘導が93%抑制された。
【0093】
[RNAベースのワクチンがTH1バイアスT細胞メモリを誘導]
最終感作の2週間後、組み換え型Phl p 5タンパク質を用いて脾細胞をインビトロにおいて再刺激し、それらのTH1/TH2プロファイルを評価した。したがって、ELISPOTを用いてIFN−γ、IL−4、およびIL−5分泌細胞の数を測定した。
【0094】
核酸ワクチンによってプレワクチン接種された全ての接種群は、対照群に比べてIFN−γ分泌細胞の誘導が著しいことが示された(図4A)。同時に、TH2型サイトカインIL−4(図4B)およびIL−5(図4C)を分泌する細胞数は抑制され、DNAワクチンと同様に、RNAワクチンがTH1バイアス抗原特異的メモリを確立することができ、このTH1バイアス抗原特異的メモリはその後のアレルゲン曝露によって再活性化され得ることが示された。
【0095】
[RNAベースのワクチンがアレルゲン誘導性の肺炎症を軽減する]
RNA接種が肺病理の誘導に及ぼす影響を検証するために、最終感作の2週間後に、1μgの組み換え型Phl p 5を1日2回鼻腔内投与して、肺炎症を誘導した。当該プロトコルによって、感作されたマウスにおいて気管支肺胞洗浄液(BALF)内への白血球の浸潤が強く誘導された(図5A、対照)。浸潤した白血球の約80%が好酸球であった(図5B)。対照的に、プレワクチン接種されたマウスにおいて浸潤した白血球の全数は大幅に低減しており、好酸球に関してはさらに低減していた。
【0096】
炎症性浸潤は、BALF中のIL−5の抑制の影響をも強く受けて、低減した(図6A)。IL−5の抑制は、逆にIFN−γの誘導と相関した(図6B)。
【0097】
(結論)
DNAワクチンは、アレルギー性疾患の予防および治療に有効である可能性が極めて高い。しかし、DNAワクチンにはリスクがあるのではという仮説があるので、この新型ワクチンを健康な成人または子供に対して臨床使用することは疑問視されている。
【0098】
本実施例では、臨床的に関連性あるアレルゲンをもつネイキッドRNAを接種することによって、このネイキッドRNAと同量のDNAワクチンが投与された場合と同程度にアレルギー誘導を抑制できることが初めて示された。
【0099】
より多量のRNAを製造するという問題に取り組むため、従来のRNAをシンドビス・ウイルスのレプリコン由来の自己複製RNAと比較した。両タイプのRNAを用いたインビトロ形質移入では、抗原の発現は、とりわけ、m7G(5’)ppp(5’)Gキャップのアナロゴン(analogon)の付加に依存することがわかった。真核mRNAの大半が5’末端において当該m7G(5’)ppp(5’)Gキャップ構造を有することは周知であり、これは、翻訳開始因子の結合にとって重要であり、mRNA安定性に寄与する。加えて、同様の量の自己複製RNAから、7倍高いレベルのタンパク質が翻訳された(図1)。この結果は、それぞれの抗原をコードするサブゲノムRNAの自己増殖に寄与する。この結果は、従来のDNAワクチンよりもタンパク質の発現が低い自己複製DNAワクチンとは対照的に、形質移入された細胞におけるアポトーシスの誘導に寄与したという効果である。しかし、RNAワクチンの発現は一過性のものに過ぎず、そのため、自己複製ワクチンによって形質移入された直後にアポトーシスを起こす細胞と同等である。実際、自己複製RNAワクチンは、自己複製DNAワクチンと同様の液性免疫反応を誘発する(図2A)が、従来のDNAワクチンは、抗原を継続的に発現させるため、最も高い液性免疫反応を示す。
【0100】
本実施例では従来のRNA/DNAワクチンの5分の1量の自己複製核酸ワクチンを使用したが、ミョウバン中における組み換え型アレルゲンを用いた次の感作後のIgG2aの増加(図2B)、および再刺激された脾細胞のTH1サイトカインプロファイル、ならびに高い抑制能力(図3)に示されたように、同様のTH1メモリ誘導が観察された。したがって、RNAワクチンおよび自己複製DNAワクチンの両方が従来のDNAワクチンよりも高い抑制能力を示す。ただし、後者は、より高いレベルの正常抗原、およびより高い液性免疫反応を誘導する。これは、長期間のアレルゲン分泌を誘発するワクチンが、RNAワクチンおよび自己複製ワクチンに見られる短期間のワクチン発現に比べて逆効果を招き得ることを示す。
【0101】
また、RNAワクチン接種は、鼻腔内の誘発後の肺浸潤をDNAワクチンと同程度低減させる(図5A)。これは、BALF中における好酸球の数の激減が主な原因である(図5B)。このことは、肺におけるIL−5の低減(図6A)、および中間レベルのIFN−γの誘導と相関しており(図2B)、ワクチンにより誘導されたTH1細胞の産生が、肺におけるTH1/TH2サイトカインバランスに影響を及ぼすことを示している。ウイルスモデルでは、肺におけるIFN−γは、喘息および肺病理に有害な影響を及ぼすが、これは、IFN−γが肺上皮細胞を活性化させ、より多くのTH2細胞を組織内に取り入れることによる間接的影響であると考えられる。実際、アレルギーモデルでは、TH2免疫を、より調和のとれたTH1環境に再度方向付けることは、主にIL−5およびIL−13を対抗制御することによって、肺浸潤および気道過敏症に好影響を及ぼす(Ford, J. G. et al. (2001) J Immunol 167:1769-1777)。
【0102】
上記をまとめると、RNAベースワクチンは、アレルギー性感作に対する防御を強く誘発させることができ、自己複製RNAワクチンを使用することによって、低用量にて当該効果を得ることができる。RNAワクチンにおけるこの優れた安全なプロファイルを鑑みると、治療環境だけでなく、アレルギー性疾患を発症する可能性が高い健康な個体にもRNAワクチンを使用できる可能性がある。
【0103】
〔実施例2〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Bet v 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。37℃にて15分間、キャップした転写産物をRNAseフリーのDNAse(Promega)と共にインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温で15分間遠心分離した後に、沈殿物を、70%のエタノールを用いて洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0104】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Bet v 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換え体Bet v 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0105】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Bet v 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養の上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0106】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Bet v 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図7A)およびIFN−γの分泌の増大(図7B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的IgE反応の誘導を抑制することができた(図7C)。
【0107】
〔実施例3〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Car b 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0108】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共に該キャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温で15分間遠心分離した後に、沈殿物を、70%のエタノールを用いて洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0109】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Car b 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCar b 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0110】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Car b 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養の上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0111】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Car b 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図8A)およびIFN−γの分泌の増大(図8B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図8C)。
【0112】
〔実施例4〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Cas s 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0113】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温で15分間遠心分離(13000rpm)した後に、沈殿物を、70%のエタノールを用いて洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0114】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Cas s 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCas s 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0115】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Cas s 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養の上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0116】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Cas s 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図9A)およびIFN−γの分泌の増大(図9B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図9C)。
【0117】
〔実施例5〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したように、Phl p 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を作製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0118】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温で15分間遠心分離(13000rpm)した後に、沈殿物を、70%のエタノールを用いて洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0119】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Phl p 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えPhl p 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0120】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Phl p 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養の上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0121】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図10A)およびIFN−γの分泌の増大(図10B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0122】
〔実施例6〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Phl p 6をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0123】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共に該キャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温で15分間遠心分離(13000rpm)した後に、沈殿物を、70%のエタノールを用いて洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0124】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Phl p 6を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えPhl p 6を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0125】
[Th1メモリ誘導および防御の測定>]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Phl p 6を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養の上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0126】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 6(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図11A)およびIFN−γの分泌の増大(図11B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図11C)。
【0127】
〔実施例7〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Cor a 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0128】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0129】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Cor a1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCor a 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0130】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、ELISAを用いてアレルゲン特異的な血清IgG2aを測定した。
【0131】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNApTNT−Cor a 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図12A)およびIFN−γの分泌の増大(図12B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図12C)。
【0132】
〔実施例8〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したように、Aln g 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0133】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共に該キャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0134】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Aln g 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えAln g 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0135】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Aln g 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清をアレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0136】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Aln g 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図13)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0137】
〔実施例9〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Fag s 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0138】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0139】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Fag s 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えFag s 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0140】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Fag s 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0141】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Fag s 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図14A)およびIFN−γの分泌の増大(図14B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図14C)。
【0142】
〔実施例10〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Phl p 2をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0143】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0144】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Phl p 2を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えPhl p 2を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0145】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、RBLを用いてアレルゲン特異的血清IgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Phl p 2を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0146】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 2(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図15A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図15B)。
【0147】
〔実施11〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したように、Phl p 7をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0148】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共に該キャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0149】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Phl p 7を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えPhl p 7を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0150】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgEを測定した。
【0151】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 7(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図16A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図16B)。
【0152】
〔実施例12〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 5、およびPhl p 6をコードするハイブリッドcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした(Linhart B. and Valenta R., Int Arch Allergy Immunol (2004) 134:324-331)。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0153】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0154】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−hybrid(Phl p 1−2−5−6)を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えPhl p 1、Phl p 2、Phl p 5、およびPhl p 6を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0155】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型アレルゲンを用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0156】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−hybrid(Phl p 1−2−5−6)(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図17A)およびIFN−γの分泌の増大(図17B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図17C)。
【0157】
〔実施例13〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Cry j 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0158】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0159】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Cry j 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCry j 1を2週間注入して、感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0160】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Cry j 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0161】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Cry j 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図18A)およびIFN−γの分泌の増大(図18B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0162】
〔実施例14〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Jun a 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0163】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0164】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Jun a 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えJun a 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0165】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Jun a 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0166】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Jun a 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図19)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0167】
〔実施例15〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Amb a 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニング。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0168】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間培養し、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0169】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Amb a1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えAmb a1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0170】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Amb a 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0171】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Amb a 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図20)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0172】
〔実施例16〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Api g 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間培養し、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0173】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Api g 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えApi g 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0174】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Api g 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0175】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 6(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図21A)およびIFN−γの分泌の増大(図21B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図21C)。
【0176】
〔実施例17〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Dau c 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0177】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0178】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Dau c 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えDau c1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0179】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Dau c 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0180】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 6(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図22A)およびIFN−γの分泌の増大(図22B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0181】
〔実施例18〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Mal d 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0182】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0183】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Mal d 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えMal d 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0184】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Mal d1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0185】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Mal d 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図23A)およびIFN−γの分泌の増大(図23B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図23C)。
【0186】
〔実施例19〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、OvaをコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を作製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0187】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0188】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Ovaを用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えOvaを2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0189】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Ovaを用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0190】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Ova(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図24A)およびIFN−γの分泌の増大(図24B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図24C)。
【0191】
〔実施例20〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、ベータ−カゼインをコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を生成し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0192】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0193】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−ベータ−カゼインを用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えベータ−カゼインを2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0194】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、RBLを用いてアレルゲン特異的血清IgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型ベータ−カゼインを用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0195】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−ベータ−カゼイン(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図25A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図25B)。
【0196】
〔実施例21〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Cyp c 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0197】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0198】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Cyp c 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCyp c 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0199】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。
【0200】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Cyp c 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図26)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0201】
〔実施例22〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Fel d 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0202】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0203】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Fel d 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えFel d 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0204】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Fel d 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0205】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Fel d 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図27A)およびIFN−γの分泌の増大(図27B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0206】
〔実施例23〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Der p 2をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0207】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーH2O中にて再縣濁させた。
【0208】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Der p 2を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えDer p 2を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0209】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。
【0210】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Der p 2(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図11A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図28B)。
【0211】
〔実施例24〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Alt a 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0212】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0213】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Alt a 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンを用いた1μgの組み換えAlt a 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0214】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Alt a 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0215】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Alt a 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図29A)およびIFN−γの分泌の増大(図29B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図29C)。
【0216】
〔実施例25〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Cla h 8をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0217】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0218】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Cla h 8を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCla h 8を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0219】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Cla h 8を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清をアレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0220】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Cla h 8(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図30A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図30B)。
【0221】
〔実施例26〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Hev b 6をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0222】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0223】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Hev b 6を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えHev b 6を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0224】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Hev b 6を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0225】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Hev b 6(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図31A)およびIFN−γの分泌の増大(図31B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図31C)。
【0226】
〔実施例27〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、5つの異なるアレルゲンをコードするハイブリッドcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0227】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0228】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−hybrid(Aln−Cor−Que−Car−Bet)を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換え型の全アレルゲンを2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0229】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。
【0230】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−hybrid(アレルゲン)(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図32)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0231】
〔実施例28〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Ara h 2をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0232】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Ara h 2を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えAra h 2を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0233】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、生体外にて72時間、組み換え型Ara h2を用いて脾細胞を再刺激し、IFN−γに関して細胞培養上澄み液をアレルゲン特異的Th1細胞活性の指標として分析した。
【0234】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Ara h 2(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図33A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図33B)。
【0235】
〔実施例29〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Que a 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0236】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0237】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Que a 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えQue a 1を2週間注入して1週間後に感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0238】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Phl p 6を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0239】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Que a 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図34A)およびIFN−γの分泌の増大(図34B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0240】
〔実施例30〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Art v 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0241】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0242】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Art v 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えArt v 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0243】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Art v 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0244】
(結果)
RNAのpTNT−Art v 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大がなく(図35A)、さらにIFN−γの分泌の増大がないこと(図35B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増がなかった。
【0245】
〔例31〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Ole e 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0246】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0247】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Ole e 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えOle e 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0248】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。
【0249】
(結果)
RNAのpTNT−Ole e 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大がなく(図36A)、さらにIFN−γの分泌の増大がないこと(図36B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増がなかった。さらに、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導の抑制を測定することができなかった(図36B)。
【図面の簡単な説明】
【0250】
【図1】β−ガラクトシダーゼをコードするRNA(βGal−RNA)または自己複製RNA(βGal−repRNA)転写産物を用いた、インビトロにおけるBHK21細胞の形質移入を示す。m7G(5’)ppp(5’)Gキャップ構造を付加したRNA転写産物(キャップ)または当該構造を付加していないRNA転写産物(キャップなし)について試験した。形質移入していない細胞をバックグラウンド対照として使用した(形質移入されていない)。データは、3つの独立した形質移入実験の平均値±標準誤差(SEM)として示す。
【図2A】核酸ワクチン接種後のPhl p 5特異的IgG1およびIgG2aレベルを示す。血清は、1:1000(図2A)に希釈した。棒グラフの頂点上の数値は、各群におけるIgG1:IgG2の平均比を示す。データは、平均±SEM(n=4)を示す。
【図2B】ミョウバン中の組み換えアレルゲンを用いたその後の感作を示す。血清は、1:100000(図2B)に希釈した。棒グラフの頂点上の数値は、各群におけるIgG1:IgG2の平均比を示す。データは、平均±SEM(n=4)を示す。
【図3】RBL放出アッセイによって測定されたPhl p 5特異的IgEを示す。IgEレベルは、各核酸ワクチンを用いたワクチン接種後(グレーの棒グラフ)、および、ミョウバン中の組み換えアレルゲンを用いたその後の感作(黒の棒グラフ)後に測定した。数値は、特定のヘキソサミニダーゼ放出の平均±SEM(n=4)を示す。***:P<0.001。
【図4A】ELISPOTを用いて測定された、組み換え型Phl p 5によるインビトロでの再刺激後のIFN−ガンマ(図4A)の数を示す。データは、106個の脾細胞あたりのサイトカイン分泌細胞の数の平均値±SEM(n=4)を示す。
【図4B】ELISPOTを用いて測定された、組み換え型Phl p 5によるインビトロでの再刺激後のIL−4(図4B)の数を示す。データは、106個の脾細胞あたりのサイトカイン分泌細胞の数の平均値±SEM(n=4)を示す。
【図4C】ELISPOTを用いて測定された、組み換え型Phl p 5によるインビトロでの再刺激後のIL−5(図4C)の数を示す。データは、106個の脾細胞あたりのサイトカイン分泌細胞の数の平均値±SEM(n=4)を示す。
【図5A】アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおける全白血球数(図5A)を示す。数値は、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01。
【図5B】アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおける好酸球数(図5B)を示す。数値は、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01。
【図6A】アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおけるIL−5(図6A)のレベルを示す。データは、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01;***:P<0.001。
【図6B】アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおけるIFN−γ(図6B)のレベルを示す。データは、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01;***:P<0.001。
【図7A】RNA pTNT−Bet v1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図7B】RNA pTNT−Bet v 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図7C】RNA pTNT−Bet v 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図8A】RNA pTNT−Car b 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図8B】RNA pTNT−Car b 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図8C】RNA pTNT−Car b 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図9A】RNA pTNT−Cas s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図9B】RNA pTNT−Cas s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図9C】RNA pTNT−Cas s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図10A】RNA pTNT−Phl p 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図10B】RNA pTNT−Phl p 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図11A】RNA pTNT−Phl p 6によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図11B】RNA pTNT−Phl p 6によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図11C】RNA pTNT−Phl p 6によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図12】RNA pTNT−Cor a 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図13】RNA pTNT−Aln g 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図14A】RNA pTNT−Fag s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図14B】RNA pTNT−Fag s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図14C】RNA pTNT−Fag s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図15A】RNA pTNT−Phl p 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図15B】RNA pTNT−Phl p 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図16A】RNA pTNT−Phl p 7によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図16B】RNA pTNT−Phl p 7によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図17A】RNA pTNT−ハイブリッド(Phl p1−2−5−6)によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図17B】RNA pTNT−ハイブリッド(Phl p1−2−5−6)によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図17C】RNA pTNT−ハイブリッド(Phl p1−2−5−6)によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図18A】RNA pTNT−Cry j 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図18B】RNA pTNT−Cry j 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図19】RNA pTNT−Jun a 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図20】RNA pTNT−Amb a 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図21A】RNA pTNT−Api g 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図21B】RNA pTNT−Api g 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図21C】RNA pTNT−Api g 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図22A】RNA pTNT−Dau c 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図22B】RNA pTNT−Dau c 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図23A】RNA pTNT−Mal d 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図23B】RNA pTNT−Mal d 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図23C】RNA pTNT−Mal d 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図24A】RNA pTNT−OvaによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図24B】RNA pTNT−OvaによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図24C】RNA pTNT−OvaによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図25A】RNA pTNT−Beta−CaseinによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図25B】RNA pTNT−Beta−CaseinによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図26】RNA pTNT−Cyp c 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図27A】RNA pTNT−Fel d 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図27B】RNA pTNT−Fel d 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図28A】RNA pTNT−Der p 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図28B】RNA pTNT−Der p 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図29A】RNA pTNT−Alt a 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図29B】RNA pTNT−Alt a 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図29C】RNA pTNT−Alt a 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図30A】RNA pTNT−Cla h 8によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図30B】RNA pTNT−Cla h 8によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図31A】RNA pTNT−Hev b 6によるTh1メモリの誘導を示す。
【図31B】RNA pTNT−Hev b 6によるTh1メモリの誘導を示す。
【図32】RNA pTNT−hybrid(アレルゲン)によるTh1メモリの誘導を示す。
【図33A】RNA pTNT−Ara h 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図33B】RNA pTNT−Ara h 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図34A】RNA pTNT−Que a 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図34B】RNA pTNT−Que a 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図35A】RNA pTNT−Art v 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図35B】RNA pTNT−Art v 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図36A】RNA pTNT−Ole e 1によるTh1メモリの誘導がない、またはIgE反応の抑制がないことを示す。
【図36B】RNA pTNT−Ole e 1によるTh1メモリの誘導がない、またはIgE反応の抑制がないことを示す。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、RNAワクチンに関する。
【0002】
この数十年間に、欧米先進国では、I型アレルギー性疾患が大きな健康問題として浮上してきており、現在では、人口の約25%が発症している。
【0003】
遺伝的要因の他、幼児期の感染を含む成長期の環境、食習慣、および、受動喫煙や大気汚染への暴露などの環境要因が、アトピー性疾患の発生に大きく関係する。
【0004】
現在、何年かに渡ってアレルゲンを徐々に増やして投与するという特定の免疫療法が、唯一有効な治療的介入の例である。しかし、投与量が多いため、アナフィラキシー性副作用の危険性は明白であり、未精製の、殆ど特定されていないアレルゲンの抽出物を使用した場合、未確認の成分に対する患者の感作を生じさせる可能性がある。
【0005】
さらに、I型アレルギーに対する予防接種は実現しておらず、アレルギー性疾患を発症する遺伝的リスクが高い幼児においてアレルギー性疾患の発症を予防するのが、最も実現可能な手法であろう。幼い免疫システムを訓練するほうが、既に発症したアレルギー性免疫表現型の均衡を保つよりも簡単である。
【0006】
Ying et al.(Nature Med (1999) 5:823-827)には、免疫学的過程を研究するためのモデル分子として使用されることが多いβ−ガラクトシダーゼをコードするRNAを含む自己修復RNAワクチンが開示されている。Ying et al.では、抗腫瘍反応が研究されており、CD8陽性細胞の誘導が観察されている。しかし、Ying et al.において調査されていないCD4陽性細胞は、CD8陽性細胞とは対照的に、アレルギーに対する免疫学的防御を媒介し、B細胞におけるIgEへのクラススイッチを妨げる。
【0007】
近年、核酸ベースのワクチンは、アレルギー性疾患の根底にある免疫機構にバイアスをかける有効な手法となってきている。数多くの動物実験において、DNAワクチンがI型アレルギー反応の誘導を抑制し、さらには既存のアレルギー性TH2免疫状態を回復させることが立証されている(Weiss, R. et al. (2006) Int Arch Allergy Immunol 139:332-345)。
【0008】
それでもなお、DNAベースのワクチンの安全性に関して懸念の声が挙がっている。注入されたDNA分子は、宿主ゲノムに統合される可能性があり、また、様々な組織への分散性により、アレルゲンが持続的に放出され、その結果、既存のアレルゲン特異的IgE分子を有する患者において制御不可能なアナフィラキシー反応を誘発する慮がある。さらに、健康な子供に対してワクチンを投与する場合、抗アレルギーワクチンにおける最も高水準の安全基準を適用する必要がある。
【0009】
したがって、本発明の目的は、DNAワクチンの欠点を克服し、さらにアレルギー治療に有効である、または、アレルゲンに対する感作をうまく抑制できるアレルゲンワクチンを提供することにある。
【0010】
本発明は、少なくとも1つのアレルゲンまたはそのアレルゲンの誘導体をコードする少なくとも1つのRNA分子を含むRNAワクチンに関する。当該RNAワクチンにおいて、当該アレルゲンは、アルヌス・グルチノーサ(Alnus glutinosa)、アルタナリア・アルタナータ(Alternaria alternata)、アンブローシア・アルテミシーフォリア(Ambrosia artemisiifolia)、アピウム・グラベオレンス(Apium graveolens)、アラキス・ハイポガエア(Arachis hypogaea)、ベツラ・ベルコーサ(Betula verrucosa)、カルピヌス・ベツルス(Carpinus betulus)、カスタネア・サチバ(Castanea sativa)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporiumherbarum)、コリルス・アベラナ(Corylus avellana)、クリプトメリア・ジャポニカ(Cryptomeria japonica)、カプリナス・カルピオ(Cyprinus carpio)、ダウクス・カロタ(Daucus carota)、デルマトファゴイデス・プテロニシヌス(Dermatophagoides pteronyssinus)、ファグス・シルバチカ(Fagus sylvatica)、フェリス・ドメスチカス(Felis domesticus)、ヘベア・ブラシリエンシス(Heveabrasiliensis)、ジュニペルス・アシュエイ(Juniperus ashei)、マルス・ドメスチカ(Malus domestica)、ケルクス・アルバ(Quercus alba)、およびフレウム・プラテンス(Phleum pratense)のアレルゲンである。
【0011】
アレルゲンまたはそのアレルゲンの誘導体をコードするRNA分子は、RNAワクチンとしても有効に使用できる可能性があることがわかった。RNAワクチンは、アレルギー性疾患の治療のためのDNAワクチンによる特徴を示す。すなわち、RNAワクチンにおいて、アレルゲンは最も純粋な形態、すなわち遺伝情報にて提供され、DNAワクチンと同様に、RNAワクチンはTH1−バイアスの免疫反応を誘発する。さらに、低アレルギー性の遺伝子産物を生成するためにDNAワクチン用に作られた方法と同様の方法を、RNAワクチンにおいても利用することができる。
【0012】
さらに、RNAワクチンには、DNAワクチンより大きな利点がある。
(i)RNAワクチンは、アレルゲンの純粋な遺伝情報を含んでいるが、DNAワクチンに使用されるプラスミドの骨格に通常存在するウイルスプロモータ、抗生物質耐性遺伝子、またはウイルス/細菌の調節配列などの外来配列を含まない。
(ii)RNAは、宿主ゲノムに統合されないため、悪性腫瘍の危険性を解消できる。
(iii)RNAは、細胞の細胞質にて翻訳されるので、細胞核の転写機構が必要ではなく、RNAワクチンは、核内移行または核外移行とは独立しており、核の各ステージからも独立している。
(iv)RNAは迅速に分解されるので、外来遺伝子の発現は短期間に行われ、制御不可能な長期に渡る抗原の発現を避けることができる。
【0013】
本発明に係るRNAワクチンは、アレルゲンをコードする1つ以上のRNA分子を含んでいてもよく、好適には2、3、5、10種等のRNA分子を含んでいてもよい。しかし、1種のRNA分子が1つ以上のアレルゲンをコードしてもよい。つまり、1種のRNA分子が少なくとも1、2、3、5、10個の異なる、または同じアレルゲンをコードする塩基配列を含む構成としてもよい。1種ないし複数種のRNA分子によってコードされるアレルゲンは、後述の列挙のあらゆる組み合せの中から選択されてもよい。
【0014】
本明細書において使用するとき、「RNAワクチン」という用語は、本明細書において規定されたRNA分子を含むワクチンを指す。しかし当然のことながら、当該ワクチンは、個体に投与する際に必要とされる、または、好適である他の物質および分子(たとえば医薬品賦形剤)を含んでいてもよい。
【0015】
「〜のアレルゲン」という用語は、「〜由来のアレルゲン」および「〜から得られるアレルゲン」という用語に置き換えることができる。これは、アレルゲンが当該生物において自然発現されるものであり、本発明に係るRNA分子を生成するために当該アレルゲンをコードするDNA/RNAが単離されることを指す。
【0016】
哺乳類またはヒトに投与したとき、アレルゲンをコードするRNA分子の全てがアレルゲン特異的抗体の形成を誘発するわけではないことがわかった。例えばアルテミシア・ブルガリス(Artemisiavulgaris)のアレルゲンArt V 1、およびオレア・エウロピア(Olea europea)のアレルゲンOle e 1をコードするRNA分子は、Th1メモリを誘発することができず、アレルゲン特異的IgE反応を抑制することができない。しかし、上述したソースに由来するアレルゲンをコードするRNA分子は上記を行うことができる。
【0017】
本発明の好適な実施形態によると、アルヌス・グルチノーサのアレルゲンは、Aln g 1であり、アルタナリア・アルタナータのアレルゲンは、Alt a 1、Alt a 3、Alt a 4、Alt a 5、Alt a 6、Alt a 7、Alt a 8、Alt a 10、Alt a 12およびAlt a 13からなる群より選択され、アンブローシア・アルテミシーフォリアのアレルゲンは、Amb a 1、Amb a 2、Amb a 3、Amb a 5、Amb a 6、Amb a 7、Amb a 8、Amb a 9およびAmb a 10からなる群より選択され、アピウム・グラベオレンスのアレルゲンは、Api g 1、Api g 4およびApi g 5からなる群より選択され、アラキス・ハイポガエアのアレルゲンは、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h 6、Ara h 7およびAra h 8からなる群より選択され、ベツラ・ベルコーサのアレルゲンは、Bet v 1、Bet v 2、Bet v 3、Bet v 4、Bet v 6およびBet v 7からなる群より選択され、カルピヌス・ベツルスのアレルゲンは、Car b 1であり、カスタネア・サチバのアレルゲンは、Cas s 1、Cas s 5およびCas s 8からなる群より選択され、クラドスポリウム・ヘルバルムのアレルゲンは、Cla h 2、Cla h 5、Cla h 6、Cla h 7、Cla h 8、Cla h 9、Cla h 10およびCla h 12からなる群より選択され、コリルス・アベラナのアレルゲンは、Cor a 1、Cor a 2、Cor a 8、Cor a 9、Cor a 10およびCor a 11からなる群より選択され、クリプトメリア・ジャポニカのアレルゲンは、Cry j 1およびCry j 2からなる群より選択され、カプリナス・カルピオのアレルゲンは、Cyp c 1であり、ダウクス・カロタのアレルゲンは、Dau c 1およびDau c 4からなる群から選択され、デルマトファゴイデス・プテロニシヌスのアレルゲンは、Der p 1、Der p 2、Der p 3、Der p 4、Der p 5、Der p 6、Der p 7、Der p 8、Der p 9、Der p 10、Der p 11、Der p 14、Der p 20、Der p 21およびClone 30アレルゲンからなる群より選択され、ファグス・シルバチカのアレルゲンは、Fag s 1であり、フェリス・ドメスチカスのアレルゲンは、Fel d 1、Fel d 2、Fel d 3、Fel d 4、Fel d 5w、Fel d 6wおよびFel d 7wからなる群より選択され、ヘベア・ブラシリエンシスのアレルゲンは、Hev b 1、Hev b 2、Hev b 3、Hev b 4、Hev b 5、Hev b 6.01、Hev b 6.02、Hev b 6.03、Hev b 7.01、Hev b 7.02、Hev b 8、Hev b 9、Hev b 10、Hev b 11、Hev b 12およびHev b 13からなる群より選択され、ジュニペルス・アシュエイのアレルゲンは、Jun a 1、Jun a 2およびJun a 3からなる群より選択され、マルス・ドメスチカのアレルゲンは、Mal d 1、Mal d 2、Mal d 3およびMal d 4からなる群より選択され、ケルクス・アルバのアレルゲンは、Que a 1であり、ならびに、フレウム・プラテンスのアレルゲンは、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 4、Phl p 5、Phl p 6、Phl p 7、Phl p 11、Phl p 12およびPhl p 13からなる群より選択される。
【0018】
本発明の好適な実施形態によると、アレルゲンは、下記からなる群から選択される:
イネ科の花粉:Phl p 1, Phl p 2, Phl p 5, Phl p 6, Phl p 7, Phl p 12
イエダニ:Der p 1, Der p 2, Der p 7, Der p 21, Clone 30 allergen (PCT国際出願番号AT2007/000201, オーストリア特許出願番号AT 503530:
MKFNIIIVFI SLAILVHSSY AANDNDDDPT TTVHPTTTEQ PDDKFECPSR FGYFADPKDP HKFYICSNWE AVHKDCPGNT RWNEDEETCT、配列番号1)
カバノキ花粉:Bet v 1 およびその同種の木(Aln g 1, Cor a 1, Fag s 1)または食物アレルゲン(Mal d 1, Api g 1, Pru p 1)
猫:Fel d 1, Fel d 2
草(ブタクサ、ヨモギ):Amb a 1
イトスギ/ビャクシン/ヒマラヤスギ:Cry j 1, Cry j 2, Jun a 1, Jun a 3,
Cha o 1, Cha o 2, Cup a 1, Cup a 3, Jun a 1, Jun a 3, Pla a 3
ピーナッツ:Ara h 1, Ara h 2, Ara h 4
へーゼルナッツ:Cor a 8, Cor a 9
魚/エビ:Gad c 1, Cyp c 1, Pen a 1。
【0019】
本発明に係るRNAワクチンに使用される特に好適なアレルゲンは、Aln g 1、Alt a 1、Amb a 1、Api g 1、Ara h 2、Bet v 1、ベータ−カゼイン、Car b 1、Cas s 1、Cla h 8、Cor a 1、Cry j 1、Cyp c 1、Dau c 1、Der p 2、Fag s 1、Fel d 1、Hev b 6、Jun a 1、Mal d 1、オボアルブミン(OVA)、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 5、Phl p 6およびPhl p 7からなる群より選択される。
【0020】
上述したアレルゲンは、RNAワクチンにおける使用に特に適することがわかった。当然のことながら、Amb a 1, Amb a 2, Amb a 3, Amb a 5, Amb a 6, Amb a 7, Amb a 8, Amb a 9, Amb a 10, Amb t 5, Hel a 1, Hel a 2, Hel a 3, Mer a 1, Che a 1, Che a 2, Che a 3, Sal k 1, Cat r 1, Pla l 1, Hum j 1, Par j 1, Par j 2, Par j 3, Par o 1, Cyn d 1, Cyn d 7, Cyn d 12, Cyn d 15, Cyn d 22w, Cyn d 23, Cyn d 24, Dac g 1, Dac g 2, Dac g 3, Dac g 5, Fes p 4w, Hol l 1, Lol p 1, Lol p 2, Lol p 3, Lol p 5, Lol p 11, Pha a 1, Phl p 1, Phl p 2, Phl p 4, Phl p 5, Phl p 6, Phl p 11, Phl p 12, Phl p 13, Poa p 1, Poa p 5, Sor h 1, Pho d 2, Aln g 1, Bet v 1, Bet v 2, Bet v 3, Bet v 4, Bet v 6, Bet v 7, Car b 1, Cas s 1, Cas s 5, Cas s 8, Cor a 1, Cor a 2, Cor a 8, Cor a 9, Cor a 10, Cor a 11, Que a 1, Fra e 1, Lig v 1, Syr v 1, Cry j 1, Cry j 2, Cup a 1, Cup s 1, Cup s 3w, Jun a 1, Jun a 2, Jun a 3, Jun o 4, Jun s 1, Jun v 1, Pla a 1, Pla a 2, Pla a 3, Aca s 13, Blo t 1, Blo t 3, Blo t 4, Blo t 5, Blo t 6, Blo t 10, Blo t 11, Blo t 12, Blo t 13, Blo t 19, Der f 1, Der f 2, Der f 3, Der f 7, Der f 10, Der f 11, Der f 14, Der f 15, Der f 16, Der f 17, Der f 18w, Der m 1, Der p 1, Der p 2, Der p 3, Der p 4, Der p 5, Der p 6, Der p 7, Der p 8, Der p 9, Der p 10, Der p 11, Der p 14, Der p 20, Der p 21, Eur m 2, Eur m 14, Gly d 2,Lep d 1, Lep d 2, Lep d 5, Lep d 7, Lep d 10, Lep d 13, Tyr p 2, Tyr p 13, Bos d 2, Bos d 3, Bos d 4, Bos d 5, Bos d 6, Bos d 7, Bos d 8, Can f 1, Can f 2, Can f 3, Can f 4, Equ c 1, Equ c 2, Equ c 3, Equ c 4, Equ c 5, Fel d 1, Fel d 2, Fel d 3, Fel d 4, Fel d 5w, Fel d 6w, Fel d 7w, Cav p 1, Cav p 2, Mus m 1, Rat n 1, Alt a 1, Alt a 3, Alt a 4, Alt a 5, Alt a 6, Alt a 7, Alt a 8, Alt a 10, Alt a 12, Alt a 13, Cla h 2, Cla h 5, Cla h 6, Cla h 7, Cla h 8, Cla h 9, Cla h 10, Cla h 12, Asp fl 13, Asp f 1, Asp f 2, Asp f 3, Asp f 4, Asp f 5, Asp f 6, Asp f 7, Asp f 8, Asp f 9, Asp f 10, Asp f 11, Asp f 12, Asp f 13, Asp f 15, Asp f 16, Asp f 17, Asp f 18, Asp f 22w, Asp f 23, Asp f 27, Asp f 28, Asp f 29, Asp n 14, Asp n 18, Asp n 25, Asp o 13, Asp o 21, Pen b 13, Pen b 26, Pen ch 13, Pen ch 18, Pen ch 20, Pen c 3, Pen c 13, Pen c 19, Pen c 22w, Pen c 24, Pen o 18, Fus c 1, Fus c 2, Tri r 2, Tri r 4, Tri t 1, Tri t 4, Cand a 1, Cand a 3, Cand b 2, Psi c 1, Psi c 2, Cop c 1, Cop c 2, Cop c 3, Cop c 5, Cop c 7, Rho m 1, Rho m 2, Mala f 2, Mala f 3, Mala f 4, Mala s 1, Mala s 5, Mala s 6, Mala s 7, Mala s 8, Mala s 9, Mala s 10, Mala s 11, Mala s 12, Mala s 13, Epi p 1, Aed a 1, Aed a 2, Api m 1, Api m 2, Api m 4, Api m 6, Api m 7, Bom p 1,Bom p 4, Bla g 1, Bla g 2, Bla g 4, Bla g 5, Bla g 6, Bla g 7, Bla g 8, Per a 1, Per a 3, Per a 6, Per a 7, Chi k 10, Chi t 1-9, Chi t 1.01, Chi t 1.02, Chi t 2.0101, Chi t 2.0102, Chi t 3, Chi t 4, Chi t 5, Chi t 6.01, Chi t 6.02, Chi t 7, Chi t 8, Chi t 9, Cte f 1, Cte f 2, Cte f 3, Tha p 1, Lep s 1, Dol m 1, Dol m 2, Dol m 5, Dol a 5, Pol a 1, Pol a 2, Pol a 5, Pol d 1, Pol d 4, Pol d 5, Pol e 1, Pol e 5, Pol f 5, Pol g 5, Pol m 5, Vesp c 1, Vesp c 5, Vesp m 1, Vesp m 5, Ves f 5, Ves g 5, Ves m 1, Ves m 2, Ves m 5, Ves p 5, Ves s 5, Ves vi 5, Ves v 1, Ves v 2, Ves v 5, Myr p 1, Myr p 2, Sol g 2, Sol g 4, Sol i 2, Sol i 3, Sol i 4, Sol s 2, Tria p 1, Gad c 1, Sal s 1, Bos d 4, Bos d 5, Bos d 6, Bos d 7, Bos d 8, Gal d 1, Gal d 2, Gal d 3, Gal d 4, Gal d 5, Met e 1, Pen a 1, Pen i 1, Pen m 1, Pen m 2, Tod p 1, Hel as 1, Hal m 1, Ran e 1, Ran e 2, Bra j 1, Bra n 1, Bra o 3, Bra r 1, Bra r 2, Hor v 15, Hor v 16, Hor v 17, Hor v 21, Sec c 20, Tri a 18, Tri a 19, Tri a 25, Tri a 26, Zea m 14, Zea m 25, Ory s 1, Api g 1, Api g 4, Api g 5, Dau c 1, Dau c 4, Cor a 1.04, Cor a 2, Cor a 8, Fra a 3, Fra a 4, Mal d 1, Mal d 2, Mal d 3, Mal d 4, Pyr c 1, Pyr c 4, Pyr c 5, Pers a 1, Pru ar 1, Pru ar 3, Pru av 1, Pru av 2, Pru av 3, Pru av 4, Pru d 3, Pru du 4, Pru p 3, Pru p 4, Aspa o 1, Cro s 1, Cro s 2, Lac s 1, Vit v 1, Mus xp 1, Ana c 1, Ana c 2, Cit l 3, Cit s 1, Cit s 2, Cit s 3, Lit c 1, Sin a 1, Gly m 1, Gly m 2, Gly m 3, Gly m 4, Vig r 1, Ara h 1, Ara h 2, Ara h 3, Ara h 4, Ara h 5, Ara h 6, Ara h 7, Ara h 8, Len c 1, Len c 2, Pis s 1, Pis s 2, Act c 1, Act c 2, Cap a 1w, Cap a 2, Lyc e 1, Lyc e 2, Lyc e 3, Sola t 1, Sola t 2, Sola t 3, Sola t 4, Ber e 1, Ber e 2, Jug n 1, Jug n 2, Jug r 1, Jug r 2, Jug r 3, Ana o 1, Ana o 2, Ana o 3, Ric c 1, Ses i 1, Ses i 2, Ses i 3, Ses i 4, Ses i 5, Ses i 6, Cuc m 1, Cuc m 2, Cuc m 3, Ziz m 1, Ani s 1, Ani s 2, Ani s 3, Ani s 4, Arg r, Asc s 1, Car p 1, Den n 1, Hev b 1, Hev b 2, Hev b 3, Hev b 4, Hev b 5, Hev b 6.01, Hev b 6.02, Hev b 6.03, Hev b 7.01, Hev b 7.02, Hev b 8, Hev b 9, Hev b 10, Hev b 11, Hev b 12, Hev b 13, Hom s 1, Hom s 2, Hom s 3, Hom s 4, Hom s 5、およびTrip s 1などの他のアレルゲンを本発明に使用することもできる。
【0021】
本発明に係る好適な実施形態によると、アレルゲン誘導体は低アレルギー性である。
【0022】
哺乳類、特にヒトの体内において、アレルギー反応を誘発させずに、または、最小限に抑えながら、特定の免疫反応を誘発するためには、本発明のアレルゲンまたはその誘導体が低アレルギー性を示すこと、すなわち、その低アレルギー性の分子が、全くまたは殆どIgE反応を示さないことが好ましい。
【0023】
本明細書において使用するとき、「低アレルギー性」という用語は、アレルギー特性をもつアレルゲンに由来するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が、個体に投与されたときに、該アレルゲンに対して特異的なT細胞の誘導を誘発し、かつアレルギー反応が少ない、または全く発生させない能力があることを指す。当該アレルゲンに存在するT細胞エピトープは保存しつつ、当該アレルゲンからIgE結合エピトープを除去または破壊することによって、ヒトのアレルギー反応を誘発する能力をアレルゲンの低アレルギー性誘導体において消失または低減させることができる。例えば、IgE結合能力が低減された、またはIgE結合能力が全くないフラグメントに分割することによって達成される。分割した当該フラグメントのうちのいくつか、または全てを、野生型のアレルゲンにおけるフラグメントの順番とは異なる順番に結合させてもよい。(例えば欧州特許出願公開第1440979号明細書参照)。アレルゲンから低アレルギー性分子を生成する他の方法は、野生型アレルゲンのC末端欠失、および/または、N末端欠失を伴う方法である(例えば欧州特許出願公開第1224215号明細書参照)。当然のことながら、野生型アレルゲンの1つ以上のアミノ酸残基に対して特異的変異を導入することによって、低アレルギー性分子を生成することもできる。この改変の結果、3次元構造が欠失する。
【0024】
RNAワクチンの低アレルギー化は、RNAワクチンから生ずるタンパク質を細胞のユビキチン化経路の標的とし、ユビキチン化経路において、各タンパク質を低アレルギー性のペプチドに分解することによって為される。上記は、ユビキチンをコードする配列を、アレルゲンをコードするRNAの5’末端に結合させることによって、達成される。76番目のアミノ酸残基をグリシンからアラニンに変異させる(G76→A76)ことによって、ユビキチン化効率を上げることができる。また、アレルゲンの第1アミノ酸(メチオニン)を不安定化アミノ酸(アルギニン)に変異させる(M77→R77)ことによって、ユビキチン化効率をさらに上げることができる。また、PEST配列として知られるカルボキシ末端不安定化配列を加えることによって、RNAワクチンから生ずる遺伝子産物のユビキチン化を行うこともできる。
【0025】
本発明の好適な実施形態によると、ワクチンにおけるRNAによってコードされた低アレルギー性のアレルゲン誘導体のIgE反応性は、野生型アレルゲンのIgE反応性よりも、10%以上、好適には20%以上、より好適には30%以上、特に50%以上低い。
【0026】
ウサギの網状赤血球溶解液システムにおいてインビトロにてRNAを翻訳することによって、RNAワクチンの低アレルギー性を定期的に検査することができる。適切な患者の血清のプールを用いたIgEウェスタンブロット法によって、RNAワクチンから生じた遺伝子産物を分析することができる。当該網状赤血球溶解液システムにおいて翻訳された野生型分子のIgE結合能力と比較して、各低アレルギー性アレルゲンのIgE結合能力を評価することができる。
【0027】
本発明に係る特に好適な実施形態によると、本発明のRNA分子は、1個を越える、好適には2個を越える、より好適には3個を越える、さらに好適には4個を越えるアレルゲンまたはそのアレルゲンの誘導体をコードするものであってもよい。特に、RNA分子は、Phl p 1, Phl p 2, Phl p 5およびPhl p6、またはAln g 1, Cor a 1, Que a 1, Car b 1およびBet v 1をコードする。
【0028】
アレルゲンまたはその誘導体をコードするRNA分子は、少なくとも1つのさらなるペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に結合される。
【0029】
アレルゲンをコードするRNA配列は、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードするRNA配列に結合され得る。これらのペプチドは、小胞体にアレルゲンを方向付けることによって細胞からのタンパク質分泌を高める、例えばヒト組織プラスミノーゲン活性化シグナルペプチド(hTPA)などのシグナルペプチドであってもよい。当該ペプチドまたはタンパク質は、リソソームに結合した膜タンパク質(LAMP)、またはリソソームの膜内在性タンパク−II(LIMP−II)におけるC末の20−アミノ酸であってもよい。LAMP/LIMP−II配列は、抗原タンパク質を、形質転換された抗原提示細胞(APC)の主要組織適合クラスII(MHC II)小胞区画に方向付けるのに使用され、それによって、ワクチンの有効性を向上させるTヘルパー細胞の活性を高める。当該タンパク質またはポリペプチドは、例えば熱ショックタンパク質70(HSP70)、コレラ毒素などの細菌毒素、または大腸菌(Escherichia coli)の易熱性エンテロトキシン(LT)といった、ワクチンのTHバイアスを高めるタンパク質であってもよい。
【0030】
本発明に係る好適な実施形態では、RNA分子は、レプリカーゼ、β−グロビンリーダー配列、cap0、cap1およびポリAテールからなる群より選択される少なくとも1つのさらなる要素を含むものである。
【0031】
本発明のRNAワクチンは、それぞれのアレルゲンをコードするRNA配列により構成される。当該RNA配列は、アレルゲンの野生型配列であってもよいし、そのコドン使用頻度に対して適合されてもよい。コドン使用頻度の適合によって、RNAの翻訳効率および半減期を増大させることができる。少なくとも30個のアデノシン残基からなるポリAテールを、RNAの3´末端に結合させ、RNAの半減期を増大させる。RNAの5’末端は、m7G(5’)ppp(5’)N(cap 0構造)構造をもつ変異リボヌクレオチド、またはその誘導体によってキャップされる。当該変異リボヌクレオチドまたはその誘導体は、RNA合成の間に組み込まれてもよく、または、RNA転写の後に、Vaccinia Virus Capping Enzyme(VCE:mRNAトリフォスファターゼ、グアニリルトランスフェラーゼおよびグアニン−7−メチルトランスフェラーゼからなる酵素)を用いて酵素処理してもよい。この酵素が、N7-monomethylated cap 0構造の構成を触媒する。cap 0構造は、RNAワクチンの安定性および翻訳効率を維持するために重要な役割を果たす。RNAワクチンの5’キャップを2’−O−メチルトランスフェラーゼによってさらに修飾させてもよく、これによって、cap 1構造(m7Gppp[m2’−O]N)が生成され、さらに、翻訳効率が向上する。
【0032】
RNAワクチンは、自己複製ワクチンへの変換によって最適化され得る。当該ベクターは、対象の遺伝子とともに、アルファウイルス由来の複製要素と、構造的なウイルスタンパク質の代用物とを含む。レプリカーゼを基本要素とするRNAワクチンは、ウイルス由来の危険シグナルが媒介する免疫活性化が原因で、極めて低量であっても、抗体だけでなく細胞毒性応答をも誘発することが示されている(Ying, H. et al. (1999) Nat Med 5:823-827)。
【0033】
また、RNAワクチンは、自己複製RNAワクチンであってもよい。自己複製RNAワクチンは、セムリキ森林熱ウイルス(SFV)、シンドビスウイルス(SIN)、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス(VEE)、ロスリバーウイルス(RRV)、またはアルファウイルスファミリーに属する他のウイルスに由来するレプリカーゼRNA分子によって構成されている。レプリカーゼの下流にはサブゲノムプロモータが存在し、当該サブゲノムプロモータがアレルゲンRNA、およびこれに続く30個以上のアデノシン残基からなる人工ポリAテールの複製を制御する。
【0034】
本発明の他の好適な実施形態によると、ワクチンはさらにCpG−DNAおよびサイトカインを含み、サイトカインは好適にはインターロイキン(IL)−12およびIL−15である。
【0035】
さらに、ワクチンまたは本発明に係るワクチン製剤はアジュバントを含んでいてもよい。本発明における「アジュバント」は、抗原に対する免疫反応を高める化合物または混合物を指す。アジュバントは、抗原を徐放する組織徐放性製剤として供給されてもよい。アジュバントは、とりわけ、完全フロインドアジュバント、不完全フロインドアジュバンド、サポニン、水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルオロニック多価アルコール、多価陰イオン、ペプチド、レバミゾール、CpG−DNA、油または炭化水素乳剤、ならびに、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)などの潜在的に有益なアジュバントを含む。
【0036】
上記の代わりに、または上記に加えて、免疫刺激タンパク質をアジュバントとして、または、ワクチンに対する免疫の増大のために用いてもよい。免疫刺激サイトカイン、免疫増強サイトカインもしくは炎症性サイトカイン、リンフォカイン、またはケモカインなどの免疫刺激分子を、ワクチン、特にベクターワクチンとともに同時投与することによって、ワクチン接種の効果が高まる可能性がある(Salgaller and Lodge, J. Surg. Oncol. (1988) 68:122)。例えば、IL−2、IL−3、IL−12、IL−15、IL−18、IFN−gamma、IL−10、TGF−beta、顆粒球マクロファージ(GM)−コロニー刺激因子(CSF)および、他のコロニー刺激因子、マクロファージ炎症性因子、Flt3リガンド(Lyman, Curr. Opin. Hematol., 1998, 5:192)、CD40リガンド、などのサイトカインまたはサイトカイン遺伝子、ならびに、いくつかの主要な副刺激分子またはそれらの遺伝子(例えばB7.1、B7.2)を使用することができる。これら免疫刺激性分子は、タンパク質として全身的もしくは局所的に分配されてもよいし、RNA分子または本発明に係るRNAワクチンにおけるRNA分子にコードされていてもよい。また、免疫刺激性分子として、ポリアルギニンなどのポリカチオン性ペプチドを使用してもよい。
【0037】
本発明に係るさらなる好適な実施形態によると、ワクチンは、筋内投与、皮内投与、静脈内投与、経皮投与、局所性投与、または微粒子銃投与に適用される。
【0038】
様々な方法を用いて、本発明に係るRNAワクチンを投与してもよい。例えば1つの方法では、インビボにおいてRNAワクチンを直接体内に注入する(例:筋内、皮内、静脈内、鼻腔内など)。また、体外においてRNAを細胞(例えば上皮細胞)内に注入することができる。例えば、インビトロにおいてRNAワクチンを上皮細胞に形質移入し、身体に投与する(移殖する)。外因性RNAまたは異種RNAを細胞内に注入すれば、細胞は、当該RNAによって形質移入され得る。パルス法(pulsing)、すなわち、本発明に係るRNA分子とともに、細胞を培養することによって、細胞内にRNAを導入することができる。また、ネイキッドRNAとして、または他の形質移入促進剤(ペプチド、ポリマーなど)とともに、リポフェクションによってインビボでRNAを導入してもよい。合成陽イオン性脂質は、インビボでの形質移入においてリポソームを生成するために使用される。核酸の形質移入に有益な脂質化合物および組成物は、例えばDODC,DOPE,CHOL,DMEDA,DDAB,DODAC,DOTAPおよびDOTMAである。また、他の分子も生体内での核酸の形質移入を促進するのに役立つ。他の分子とは、カチオン性オリゴペプチド(例えば国際公開第95/21931号パンフレット)、DNA結合タンパク質由来のペプチド(例えば国際公開第96/25508号パンフレット)、またはカチオン性ポリマー(例えば国際公開第95/21931号パンフレット)である。また、ポリエチレンイミンおよびその誘導体、ポリラクチド−ポリグリコリドならびにキトサンを使用してもよい。また、電気穿孔法、顕微注入法、細胞融合、DEAEデキストラン法、リン酸カルシウム沈殿法、または遺伝子銃を使用する方法などの周知の方法を用いて、RNA分子を所望の宿主細胞の中に導入してもよい(微粒子銃形質移入、Tang et al., Nature (1992) 356: 152-154参照)。
【0039】
本発明の他の形態は、本明細書において規定された、アレルギーの治療用または予防用のワクチンを製造するための、少なくとも1つのRNA分子の使用に関する。
【0040】
本発明のさらなる形態は、本明細書において規定された、アレルゲンに対する個体の除感作のためのワクチンを製造するための少なくとも1つのRNA分子の使用に関する。
【0041】
本発明に係る他の好適な実施形態によると、ワクチンは、筋内投与、皮内投与、静脈内投与、経皮投与または微粒子銃投与に適用される。
【0042】
本発明に係る他の形態は、少なくとも1つのアレルゲンまたはその誘導体をコードする少なくとも1つのヌクレオチドを含む分離されたRNA分子に関する。当該RNA分子は、好適には、cap0、cap1、5’β−グロビンリーダー配列、自己複製RNA、再コード化されたアレルゲン配列、および人工のポリAテールからなる群より選択される少なくとも1つの塩基配列を含む。なかでも、RNA分子は、cap0‐アレルゲン配列‐ポリAテールが特に好ましい。cap0は、インビボでの抗体の生成のため、ならびにアレルゲン特異的なT細胞の誘導およびIFN−ガンマ分泌のための自己複製RNAワクチンに関して、有益である。
【0043】
さらに、下記の図面および例を用いて本発明を説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0044】
図1は、β−ガラクトシダーゼをコードするRNA(βGal−RNA)または自己複製RNA(βGal−repRNA)転写産物を用いた、インビトロにおけるBHK21細胞の形質移入を示す。m7G(5’)ppp(5’)Gキャップ構造を付加したRNA転写産物(キャップ)または当該構造を付加していないRNA転写産物(キャップなし)について試験した。形質移入していない細胞をバックグラウンド対照として使用した(形質移入されていない)。データは、3つの独立した形質移入実験の平均値±標準誤差(SEM)として示す。
【0045】
図2Aは、核酸ワクチン接種後のPhl p 5特異的IgG1およびIgG2aレベルを示し、図2Bは、ミョウバン中の組み換えアレルゲンを用いたその後の感作を示す。血清は、1:1000(図2A)、1:100000(図2B)に希釈した。棒グラフの頂点上の数値は、各群におけるIgG1:IgG2の平均比を示す。データは、平均±SEM(n=4)を示す。
【0046】
図3は、RBL放出アッセイによって測定されたPhl p 5特異的IgEを示す。IgEレベルは、各核酸ワクチンを用いたワクチン接種後(グレーの棒グラフ)、および、ミョウバン中の組み換えアレルゲンを用いたその後の感作(黒の棒グラフ)後に測定した。数値は、特定のヘキソサミニダーゼ放出の平均±SEM(n=4)を示す。***:P<0.001。
【0047】
図4は、ELISPOTを用いて測定された、組み換え型Phl P5によるインビトロでの再刺激後のIFN−ガンマ(図4A)、IL−4(図4B)、およびIL−5(図4C)の数を示す。データは、106個の脾細胞あたりのサイトカイン分泌細胞の数の平均値±SEM(n=4)を示す。
【0048】
図5は、アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおける全白血球数(図5A)、および好酸球数(図5B)を示す。数値は、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01。
【0049】
図6は、アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおけるIL−5(図6A)およびIFN−γ(図6B)のレベルを示す。データは、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01;***:P<0.001。
【0050】
図7は、RNA pTNT−Bet v1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0051】
図8は、RNA pTNT−Car b1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0052】
図9は、RNA pTNT−Cas s1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0053】
図10は、RNA pTNT−Phl p1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0054】
図11は、RNA pTNT−Phl p6によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0055】
図12は、RNA pTNT−Cor a1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0056】
図13は、RNA pTNT−Aln g1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0057】
図14は、RNA pTNT−Fag s1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0058】
図15は、RNA pTNT−Phl p2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0059】
図16は、RNA pTNT−Phl p7によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0060】
図17は、RNA pTNT−ハイブリッド(Phl p1−2−5−6)によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0061】
図18は、RNA pTNT−Cry j1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0062】
図19は、RNA pTNT−Jun a1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0063】
図20は、RNA pTNT−Amb a1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0064】
図21は、RNA pTNT−Api g1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0065】
図22は、RNA pTNT−Dau c1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0066】
図23は、RNA pTNT−Mal d1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0067】
図24は、RNA pTNT−OvaによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0068】
図25は、RNA pTNT−Beta−CaseinによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0069】
図26は、RNA pTNT−Cyp c1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0070】
図27は、RNA pTNT−Fel d1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0071】
図28は、RNA pTNT−Der p2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0072】
図29は、RNA pTNT−Alt a1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0073】
図30は、RNA pTNT−Cla h8によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0074】
図31は、RNA pTNT−Hev b6によるTh1メモリの誘導を示す。
【0075】
図32は、RNA pTNT−hybrid(アレルゲン)によるTh1メモリの誘導を示す。
【0076】
図33は、RNA pTNT−Ara h2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【0077】
図34は、RNA pTNT−Que a1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0078】
図35は、RNA pTNT−Art v1によるTh1メモリの誘導を示す。
【0079】
図36は、RNA pTNT−Ole e1によるTh1メモリの誘導がない、またはIgE反応の抑制がないことを示す。
【0080】
<実施例>
〔実施例1:〕
本実施例では、RNAおよび臨床的に関連するオオアワガエリの花粉アレルゲンPhl p5をコードするレプリカーゼベースのRNAワクチンが、アレルギー反応を効果的に抑制することを示す。
【0081】
(材料および方法)
[RNA転写に使用されるプラスミド]
pTNTベクターをPromega(マンハイム、ドイツ)から購入した。このベクターは、他のベクターより優れた利点をもつ特別な特徴を有する。一方はSP6ポリメラーゼ用、もう一方はT7ポリメラーゼ用の2つのプロモータが存在しており、SP6およびT7に基づくインビトロ転写を可能にする。それらプロモータは、タンデムにマルチクローニングサイト(MCS)の近傍に配置されている。A5’β−グロビンのリーダー配列は、より迅速に翻訳を開始させることによって複数の遺伝子の翻訳の増加を促進する。当該ベクターは、遺伝子の発現を向上させる他の特徴として、合成ポリ(A)30テールを有する。
【0082】
ベクターpSin−Rep5(Invitrogen,オーストリア)は、シンドビス・アルファウイルス(sindbis alphavirus)由来であり、これは包まれたポジティブストランドRNAウイルスである。アルファウイルスベースのレプリコンベクターは、ウイルス性構造タンパク質を欠失しているが、細胞質におけるRNAの自己増殖、およびアルファウイルス性プロモータを介する挿入遺伝子の発現に必要な複製エレメント(レプリカーゼ)を保持する。
【0083】
ベクターpCMV−Phlp5からNheI/XbaIを介してPhl p5遺伝子を抽出し(Gabler et al. (2006), J Allergy Clin Immunol 118:734-741)、pTNTおよびpSin−Rep5のXbaI制限酵素認識部位に連結し、それぞれpTNT−P5およびpSin−Rep5−P5を得た。
【0084】
[RNA転写]
対応する制限酵素を用いてプラスミドpTNT−P5およびpSin−Rep5−P5を直鎖状にした。フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール抽出、それに続く1回のクロロホルム−イソアミルアルコール抽出によって、テンプレートを精製した。1/10容積の3M酢酸ナトリウムpH5.2を加えた後、2容量の100%EtOHによってプラスミドを沈殿させ、70%EtOHを用いて3回洗浄した。
【0085】
全ての転写反応は、製造者のプロトコルに従って、T7またはSP6 RiboMAXTM Large Scale RNA Production Systems(Promega)を用いて実施した。簡単には、100μlの反応液として、20μlの転写バッファー、30μlのrNTP、5〜10μgのテンプレート、および10μlの酵素混合液を、ヌクレアーゼフリーのH2Oで満たして100μlとし、37℃にて2〜3時間インキュベートした。SP6 RiboMaxキットを使用する場合、30μlのrNTPの代わりに20μlのrNTPを使用した。
【0086】
mRNAのキャップ構造を擬態させるために、RNA合成中に5’7−メチルグアノシンヌクレオチド(m7G(5’)ppp(5’)G)またはキャップアナログ(EPICENTRE,USA)を組み込んだ。rNTP混合物は、rATP、rCTP、rUTP、rGTPおよびm7G(5’)ppp(5’)Gの25:25:25:22.5:2.5mM混合物となるように調製した。
【0087】
転写の後に、1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、氷上にて10〜15分間混合物をインキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温にて15分間遠心分離(13000rpm)した後、70%エタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0088】
(結果)
[RNAおよび自己複製RNAを用いたインビトロ形質移入]
β−ガラクトシダーゼをコードする2つの異なるRNA転写産物を用いて、BHK−21細胞をインビトロ形質移入した。当該RNA転写産物は、ベクターpTNT−βGalから転写された従来のRNAワクチン(βGal−RNA)、または、ベクターpRep5−βGalから転写された自己複製RNA(βGal−repRNA)である。
【0089】
m7G(5’)ppp(5’)Gキャップ構造が付加されたRNA転写産物、または付加されていないRNA転写産物について、試験した。図1は、従来のRNAと同量の自己複製RNAを形質移入した場合、従来のRNAと比べて7.5倍高い遺伝子発現を誘発することを示す。加えて、キャップ構造によるRNAの安定化は、RNAのインビトロ形質移入/翻訳に不可欠である。
【0090】
[アレルゲンPhlp5をコードするRNAベースのワクチンは、免疫原性であり、IgE誘導を抑制する]
RNAベースのワクチンがアレルギーの誘導を抑制する可能性を検証するために、Phl p 5をコードする従来のRNA、またはPhl P 5をコードする自己複製RNAを用いて、メスのBALB/cマウスに免疫性を付与した。RNAワクチンの有効性を算出するために、従来のDNAワクチン(pCMV−P5)およびPhl p5をコードする自己複製DNAワクチン(pSin−P5)を同量用いて、対応する群に免疫性を付与した。1週間ごとのインターバルをおいて3回マウスに免疫性を付与し、2週間後、ミョウバンとの複合体とした組み換え体Phl p 5を2回注入して、感作させた。これは、アレルギー表現型を誘導するプロトコルとして知られており、高レベルのIgE、およびTH2にバイアスされたサイトカインプロファイルを特徴とする。
【0091】
図2Aは、両方のRNAワクチンが、自己複製DNAワクチンpSin−P5と同様の液性免疫反応を誘導することを示す。対照的に、従来のDNAワクチンpCMV−P5によって誘導された液性免疫反応は、他のワクチンよりも約1桁高い大きさであった。全てのワクチンタイプが、低いIgG1/IgG2a比によって特徴付けられるTH1バイアスの血清学的プロファイルを示し、かつRBL放出アッセイによって測定される機能性あるIgEの誘導を示さなかった(図3、グレーの棒グラフ)。
【0092】
感作後、プレ免疫付与されていない対照群は、アレルギー感作を示す、高いIgG1レベルおよび高いIgG1/IgG2a比を有する完全にTH2にバイアスされた血清を示した。対照的に、ワクチン接種された全群がTH1調和型の免疫表現型を維持した(図2B)。両タイプのRNAワクチンを用いたプレワクチン接種によって、対応するDNAを用いた対照動物と同じ、またはよりよいIgE誘導の抑制が生じた(図3、黒棒グラフ)。全体的に見て、両タイプのRNAワクチンを用いたプレワクチン接種によって、アレルギー感作に対するIgE誘導が93%抑制された。
【0093】
[RNAベースのワクチンがTH1バイアスT細胞メモリを誘導]
最終感作の2週間後、組み換え型Phl p 5タンパク質を用いて脾細胞をインビトロにおいて再刺激し、それらのTH1/TH2プロファイルを評価した。したがって、ELISPOTを用いてIFN−γ、IL−4、およびIL−5分泌細胞の数を測定した。
【0094】
核酸ワクチンによってプレワクチン接種された全ての接種群は、対照群に比べてIFN−γ分泌細胞の誘導が著しいことが示された(図4A)。同時に、TH2型サイトカインIL−4(図4B)およびIL−5(図4C)を分泌する細胞数は抑制され、DNAワクチンと同様に、RNAワクチンがTH1バイアス抗原特異的メモリを確立することができ、このTH1バイアス抗原特異的メモリはその後のアレルゲン曝露によって再活性化され得ることが示された。
【0095】
[RNAベースのワクチンがアレルゲン誘導性の肺炎症を軽減する]
RNA接種が肺病理の誘導に及ぼす影響を検証するために、最終感作の2週間後に、1μgの組み換え型Phl p 5を1日2回鼻腔内投与して、肺炎症を誘導した。当該プロトコルによって、感作されたマウスにおいて気管支肺胞洗浄液(BALF)内への白血球の浸潤が強く誘導された(図5A、対照)。浸潤した白血球の約80%が好酸球であった(図5B)。対照的に、プレワクチン接種されたマウスにおいて浸潤した白血球の全数は大幅に低減しており、好酸球に関してはさらに低減していた。
【0096】
炎症性浸潤は、BALF中のIL−5の抑制の影響をも強く受けて、低減した(図6A)。IL−5の抑制は、逆にIFN−γの誘導と相関した(図6B)。
【0097】
(結論)
DNAワクチンは、アレルギー性疾患の予防および治療に有効である可能性が極めて高い。しかし、DNAワクチンにはリスクがあるのではという仮説があるので、この新型ワクチンを健康な成人または子供に対して臨床使用することは疑問視されている。
【0098】
本実施例では、臨床的に関連性あるアレルゲンをもつネイキッドRNAを接種することによって、このネイキッドRNAと同量のDNAワクチンが投与された場合と同程度にアレルギー誘導を抑制できることが初めて示された。
【0099】
より多量のRNAを製造するという問題に取り組むため、従来のRNAをシンドビス・ウイルスのレプリコン由来の自己複製RNAと比較した。両タイプのRNAを用いたインビトロ形質移入では、抗原の発現は、とりわけ、m7G(5’)ppp(5’)Gキャップのアナロゴン(analogon)の付加に依存することがわかった。真核mRNAの大半が5’末端において当該m7G(5’)ppp(5’)Gキャップ構造を有することは周知であり、これは、翻訳開始因子の結合にとって重要であり、mRNA安定性に寄与する。加えて、同様の量の自己複製RNAから、7倍高いレベルのタンパク質が翻訳された(図1)。この結果は、それぞれの抗原をコードするサブゲノムRNAの自己増殖に寄与する。この結果は、従来のDNAワクチンよりもタンパク質の発現が低い自己複製DNAワクチンとは対照的に、形質移入された細胞におけるアポトーシスの誘導に寄与したという効果である。しかし、RNAワクチンの発現は一過性のものに過ぎず、そのため、自己複製ワクチンによって形質移入された直後にアポトーシスを起こす細胞と同等である。実際、自己複製RNAワクチンは、自己複製DNAワクチンと同様の液性免疫反応を誘発する(図2A)が、従来のDNAワクチンは、抗原を継続的に発現させるため、最も高い液性免疫反応を示す。
【0100】
本実施例では従来のRNA/DNAワクチンの5分の1量の自己複製核酸ワクチンを使用したが、ミョウバン中における組み換え型アレルゲンを用いた次の感作後のIgG2aの増加(図2B)、および再刺激された脾細胞のTH1サイトカインプロファイル、ならびに高い抑制能力(図3)に示されたように、同様のTH1メモリ誘導が観察された。したがって、RNAワクチンおよび自己複製DNAワクチンの両方が従来のDNAワクチンよりも高い抑制能力を示す。ただし、後者は、より高いレベルの正常抗原、およびより高い液性免疫反応を誘導する。これは、長期間のアレルゲン分泌を誘発するワクチンが、RNAワクチンおよび自己複製ワクチンに見られる短期間のワクチン発現に比べて逆効果を招き得ることを示す。
【0101】
また、RNAワクチン接種は、鼻腔内の誘発後の肺浸潤をDNAワクチンと同程度低減させる(図5A)。これは、BALF中における好酸球の数の激減が主な原因である(図5B)。このことは、肺におけるIL−5の低減(図6A)、および中間レベルのIFN−γの誘導と相関しており(図2B)、ワクチンにより誘導されたTH1細胞の産生が、肺におけるTH1/TH2サイトカインバランスに影響を及ぼすことを示している。ウイルスモデルでは、肺におけるIFN−γは、喘息および肺病理に有害な影響を及ぼすが、これは、IFN−γが肺上皮細胞を活性化させ、より多くのTH2細胞を組織内に取り入れることによる間接的影響であると考えられる。実際、アレルギーモデルでは、TH2免疫を、より調和のとれたTH1環境に再度方向付けることは、主にIL−5およびIL−13を対抗制御することによって、肺浸潤および気道過敏症に好影響を及ぼす(Ford, J. G. et al. (2001) J Immunol 167:1769-1777)。
【0102】
上記をまとめると、RNAベースワクチンは、アレルギー性感作に対する防御を強く誘発させることができ、自己複製RNAワクチンを使用することによって、低用量にて当該効果を得ることができる。RNAワクチンにおけるこの優れた安全なプロファイルを鑑みると、治療環境だけでなく、アレルギー性疾患を発症する可能性が高い健康な個体にもRNAワクチンを使用できる可能性がある。
【0103】
〔実施例2〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Bet v 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。37℃にて15分間、キャップした転写産物をRNAseフリーのDNAse(Promega)と共にインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温で15分間遠心分離した後に、沈殿物を、70%のエタノールを用いて洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0104】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Bet v 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換え体Bet v 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0105】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Bet v 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養の上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0106】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Bet v 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図7A)およびIFN−γの分泌の増大(図7B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的IgE反応の誘導を抑制することができた(図7C)。
【0107】
〔実施例3〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Car b 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0108】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共に該キャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温で15分間遠心分離した後に、沈殿物を、70%のエタノールを用いて洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0109】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Car b 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCar b 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0110】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Car b 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養の上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0111】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Car b 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図8A)およびIFN−γの分泌の増大(図8B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図8C)。
【0112】
〔実施例4〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Cas s 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0113】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温で15分間遠心分離(13000rpm)した後に、沈殿物を、70%のエタノールを用いて洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0114】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Cas s 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCas s 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0115】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Cas s 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養の上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0116】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Cas s 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図9A)およびIFN−γの分泌の増大(図9B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図9C)。
【0117】
〔実施例5〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したように、Phl p 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を作製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0118】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温で15分間遠心分離(13000rpm)した後に、沈殿物を、70%のエタノールを用いて洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0119】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Phl p 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えPhl p 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0120】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Phl p 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養の上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0121】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図10A)およびIFN−γの分泌の増大(図10B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0122】
〔実施例6〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Phl p 6をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0123】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共に該キャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温で15分間遠心分離(13000rpm)した後に、沈殿物を、70%のエタノールを用いて洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中に再縣濁した。
【0124】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Phl p 6を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えPhl p 6を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0125】
[Th1メモリ誘導および防御の測定>]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Phl p 6を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養の上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0126】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 6(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図11A)およびIFN−γの分泌の増大(図11B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図11C)。
【0127】
〔実施例7〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Cor a 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0128】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0129】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Cor a1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCor a 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0130】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、ELISAを用いてアレルゲン特異的な血清IgG2aを測定した。
【0131】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNApTNT−Cor a 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図12A)およびIFN−γの分泌の増大(図12B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図12C)。
【0132】
〔実施例8〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したように、Aln g 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0133】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共に該キャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0134】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Aln g 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えAln g 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0135】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Aln g 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清をアレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0136】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Aln g 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図13)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0137】
〔実施例9〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Fag s 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0138】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0139】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Fag s 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えFag s 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0140】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Fag s 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0141】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Fag s 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図14A)およびIFN−γの分泌の増大(図14B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図14C)。
【0142】
〔実施例10〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Phl p 2をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0143】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0144】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Phl p 2を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えPhl p 2を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0145】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、RBLを用いてアレルゲン特異的血清IgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Phl p 2を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0146】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 2(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図15A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図15B)。
【0147】
〔実施11〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したように、Phl p 7をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0148】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共に該キャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0149】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Phl p 7を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えPhl p 7を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0150】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgEを測定した。
【0151】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 7(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図16A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図16B)。
【0152】
〔実施例12〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 5、およびPhl p 6をコードするハイブリッドcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした(Linhart B. and Valenta R., Int Arch Allergy Immunol (2004) 134:324-331)。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0153】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0154】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−hybrid(Phl p 1−2−5−6)を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えPhl p 1、Phl p 2、Phl p 5、およびPhl p 6を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0155】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型アレルゲンを用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0156】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−hybrid(Phl p 1−2−5−6)(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図17A)およびIFN−γの分泌の増大(図17B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図17C)。
【0157】
〔実施例13〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Cry j 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0158】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0159】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Cry j 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCry j 1を2週間注入して、感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0160】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Cry j 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0161】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Cry j 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図18A)およびIFN−γの分泌の増大(図18B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0162】
〔実施例14〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Jun a 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0163】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0164】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Jun a 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えJun a 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0165】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Jun a 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0166】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Jun a 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図19)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0167】
〔実施例15〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Amb a 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニング。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0168】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間培養し、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0169】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Amb a1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えAmb a1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0170】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Amb a 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0171】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Amb a 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図20)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0172】
〔実施例16〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Api g 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間培養し、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0173】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Api g 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えApi g 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0174】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え体Api g 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0175】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 6(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図21A)およびIFN−γの分泌の増大(図21B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図21C)。
【0176】
〔実施例17〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Dau c 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0177】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0178】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Dau c 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えDau c1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0179】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Dau c 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0180】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Phl p 6(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図22A)およびIFN−γの分泌の増大(図22B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0181】
〔実施例18〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Mal d 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0182】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0183】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Mal d 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えMal d 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0184】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Mal d1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0185】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Mal d 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図23A)およびIFN−γの分泌の増大(図23B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図23C)。
【0186】
〔実施例19〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、OvaをコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を作製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0187】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0188】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Ovaを用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えOvaを2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0189】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Ovaを用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0190】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Ova(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図24A)およびIFN−γの分泌の増大(図24B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図24C)。
【0191】
〔実施例20〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、ベータ−カゼインをコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を生成し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0192】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0193】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−ベータ−カゼインを用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えベータ−カゼインを2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0194】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、RBLを用いてアレルゲン特異的血清IgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型ベータ−カゼインを用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0195】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−ベータ−カゼイン(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図25A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図25B)。
【0196】
〔実施例21〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Cyp c 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0197】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0198】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Cyp c 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCyp c 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0199】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。
【0200】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Cyp c 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図26)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0201】
〔実施例22〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Fel d 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0202】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0203】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Fel d 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えFel d 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0204】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Fel d 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0205】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Fel d 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図27A)およびIFN−γの分泌の増大(図27B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0206】
〔実施例23〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Der p 2をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0207】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーH2O中にて再縣濁させた。
【0208】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Der p 2を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えDer p 2を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0209】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。
【0210】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Der p 2(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図11A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図28B)。
【0211】
〔実施例24〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Alt a 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0212】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0213】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Alt a 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンを用いた1μgの組み換えAlt a 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0214】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Alt a 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0215】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Alt a 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図29A)およびIFN−γの分泌の増大(図29B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図29C)。
【0216】
〔実施例25〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Cla h 8をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0217】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0218】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Cla h 8を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えCla h 8を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0219】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgEを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Cla h 8を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清をアレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0220】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Cla h 8(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図30A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図30B)。
【0221】
〔実施例26〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Hev b 6をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0222】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0223】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Hev b 6を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えHev b 6を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0224】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Hev b 6を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0225】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Hev b 6(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図31A)およびIFN−γの分泌の増大(図31B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図31C)。
【0226】
〔実施例27〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、5つの異なるアレルゲンをコードするハイブリッドcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0227】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0228】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−hybrid(Aln−Cor−Que−Car−Bet)を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換え型の全アレルゲンを2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0229】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。
【0230】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−hybrid(アレルゲン)(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図32)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0231】
〔実施例28〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Ara h 2をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0232】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Ara h 2を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えAra h 2を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0233】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。最終感作の10日後、生体外にて72時間、組み換え型Ara h2を用いて脾細胞を再刺激し、IFN−γに関して細胞培養上澄み液をアレルゲン特異的Th1細胞活性の指標として分析した。
【0234】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Ara h 2(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IFN−γの分泌の増大(図33A)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。当該Th1の初回刺激によって、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導を抑制することができた(図33B)。
【0235】
〔実施例29〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Que a 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0236】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0237】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Que a 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えQue a 1を2週間注入して1週間後に感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0238】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したようにELISAを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Phl p 6を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0239】
(結果)
感作対照(黒の棒グラフ)または未処理のマウス(白の棒グラフ)とは対照的に、RNAのpTNT−Que a 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大(図34A)およびIFN−γの分泌の増大(図34B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増をもたらした。
【0240】
〔実施例30〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Art v 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0241】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0242】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Art v 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えArt v 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0243】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aを測定した。最終感作の10日後、インビトロにて72時間、組み換え型Art v 1を用いて脾細胞を再刺激し、細胞培養上清を、アレルゲン特異的なTh1細胞の活性化の指標であるIFN−γに関して分析した。
【0244】
(結果)
RNAのpTNT−Art v 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大がなく(図35A)、さらにIFN−γの分泌の増大がないこと(図35B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増がなかった。
【0245】
〔例31〕
(材料および方法)
[プラスミドおよびRNA転写]
実施例1にて説明したようにして、Ole e 1をコードするcDNAを、ベクターpTNTにクローニングした。上述したようにRNA転写産物を調製し、製造者のプロトコルに従ってScriptCap kit(Ambion)を用いてキャップ状構造を付加した。
【0246】
37℃にて15分間、RNAseフリーのDNAse(Promega)と共にキャップした転写産物をインキュベートし、テンプレートDNAを除去した。1容量の5M酢酸アンモニウムを反応試験管に加え、混合物を氷上にて10〜15分間インキュベートし、RNAを沈殿させた。4℃または室温での15分間の遠心分離(13000rpm)後に、70%のエタノールを用いて沈殿物を洗浄し、ヌクレアーゼフリーのH2O中にて再縣濁させた。
【0247】
[免疫付与および感作]
1週間ごとのインターバルをおいて3回、RNAのpTNT−Ole e 1を用いてマウスに免疫付与した。その1週間後、ミョウバンとの複合体とした1μgの組み換えOle e 1を2週間注入して感作させ、アレルギー表現型を誘導した。対照動物には感作のみを行い、RNAワクチンによるプレワクチン接種を行わなかった。
【0248】
[Th1メモリ誘導および防御の測定]
最終感作の1週間後、実験1にて説明したように、ELISAおよびRBLを用いてアレルゲン特異的血清IgG2aおよびIgEを測定した。
【0249】
(結果)
RNAのpTNT−Ole e 1(斜線の棒グラフ)を用いたプレワクチン接種は、IgG2aの誘導の増大がなく(図36A)、さらにIFN−γの分泌の増大がないこと(図36B)によって示されたように、アレルゲン特異的なTh1細胞の漸増がなかった。さらに、アレルゲン特異的なIgE反応の誘導の抑制を測定することができなかった(図36B)。
【図面の簡単な説明】
【0250】
【図1】β−ガラクトシダーゼをコードするRNA(βGal−RNA)または自己複製RNA(βGal−repRNA)転写産物を用いた、インビトロにおけるBHK21細胞の形質移入を示す。m7G(5’)ppp(5’)Gキャップ構造を付加したRNA転写産物(キャップ)または当該構造を付加していないRNA転写産物(キャップなし)について試験した。形質移入していない細胞をバックグラウンド対照として使用した(形質移入されていない)。データは、3つの独立した形質移入実験の平均値±標準誤差(SEM)として示す。
【図2A】核酸ワクチン接種後のPhl p 5特異的IgG1およびIgG2aレベルを示す。血清は、1:1000(図2A)に希釈した。棒グラフの頂点上の数値は、各群におけるIgG1:IgG2の平均比を示す。データは、平均±SEM(n=4)を示す。
【図2B】ミョウバン中の組み換えアレルゲンを用いたその後の感作を示す。血清は、1:100000(図2B)に希釈した。棒グラフの頂点上の数値は、各群におけるIgG1:IgG2の平均比を示す。データは、平均±SEM(n=4)を示す。
【図3】RBL放出アッセイによって測定されたPhl p 5特異的IgEを示す。IgEレベルは、各核酸ワクチンを用いたワクチン接種後(グレーの棒グラフ)、および、ミョウバン中の組み換えアレルゲンを用いたその後の感作(黒の棒グラフ)後に測定した。数値は、特定のヘキソサミニダーゼ放出の平均±SEM(n=4)を示す。***:P<0.001。
【図4A】ELISPOTを用いて測定された、組み換え型Phl p 5によるインビトロでの再刺激後のIFN−ガンマ(図4A)の数を示す。データは、106個の脾細胞あたりのサイトカイン分泌細胞の数の平均値±SEM(n=4)を示す。
【図4B】ELISPOTを用いて測定された、組み換え型Phl p 5によるインビトロでの再刺激後のIL−4(図4B)の数を示す。データは、106個の脾細胞あたりのサイトカイン分泌細胞の数の平均値±SEM(n=4)を示す。
【図4C】ELISPOTを用いて測定された、組み換え型Phl p 5によるインビトロでの再刺激後のIL−5(図4C)の数を示す。データは、106個の脾細胞あたりのサイトカイン分泌細胞の数の平均値±SEM(n=4)を示す。
【図5A】アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおける全白血球数(図5A)を示す。数値は、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01。
【図5B】アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおける好酸球数(図5B)を示す。数値は、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01。
【図6A】アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおけるIL−5(図6A)のレベルを示す。データは、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01;***:P<0.001。
【図6B】アレルゲンの鼻腔内投与後、感作されたマウスのBALFにおけるIFN−γ(図6B)のレベルを示す。データは、平均値±SEM(n=4)を示す。*:P<0.05;**:P<0.01;***:P<0.001。
【図7A】RNA pTNT−Bet v1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図7B】RNA pTNT−Bet v 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図7C】RNA pTNT−Bet v 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図8A】RNA pTNT−Car b 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図8B】RNA pTNT−Car b 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図8C】RNA pTNT−Car b 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図9A】RNA pTNT−Cas s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図9B】RNA pTNT−Cas s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図9C】RNA pTNT−Cas s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図10A】RNA pTNT−Phl p 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図10B】RNA pTNT−Phl p 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図11A】RNA pTNT−Phl p 6によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図11B】RNA pTNT−Phl p 6によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図11C】RNA pTNT−Phl p 6によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図12】RNA pTNT−Cor a 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図13】RNA pTNT−Aln g 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図14A】RNA pTNT−Fag s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図14B】RNA pTNT−Fag s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図14C】RNA pTNT−Fag s 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図15A】RNA pTNT−Phl p 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図15B】RNA pTNT−Phl p 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図16A】RNA pTNT−Phl p 7によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図16B】RNA pTNT−Phl p 7によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図17A】RNA pTNT−ハイブリッド(Phl p1−2−5−6)によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図17B】RNA pTNT−ハイブリッド(Phl p1−2−5−6)によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図17C】RNA pTNT−ハイブリッド(Phl p1−2−5−6)によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図18A】RNA pTNT−Cry j 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図18B】RNA pTNT−Cry j 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図19】RNA pTNT−Jun a 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図20】RNA pTNT−Amb a 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図21A】RNA pTNT−Api g 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図21B】RNA pTNT−Api g 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図21C】RNA pTNT−Api g 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図22A】RNA pTNT−Dau c 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図22B】RNA pTNT−Dau c 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図23A】RNA pTNT−Mal d 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図23B】RNA pTNT−Mal d 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図23C】RNA pTNT−Mal d 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図24A】RNA pTNT−OvaによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図24B】RNA pTNT−OvaによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図24C】RNA pTNT−OvaによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図25A】RNA pTNT−Beta−CaseinによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図25B】RNA pTNT−Beta−CaseinによるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図26】RNA pTNT−Cyp c 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図27A】RNA pTNT−Fel d 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図27B】RNA pTNT−Fel d 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図28A】RNA pTNT−Der p 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図28B】RNA pTNT−Der p 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図29A】RNA pTNT−Alt a 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図29B】RNA pTNT−Alt a 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図29C】RNA pTNT−Alt a 1によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図30A】RNA pTNT−Cla h 8によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図30B】RNA pTNT−Cla h 8によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図31A】RNA pTNT−Hev b 6によるTh1メモリの誘導を示す。
【図31B】RNA pTNT−Hev b 6によるTh1メモリの誘導を示す。
【図32】RNA pTNT−hybrid(アレルゲン)によるTh1メモリの誘導を示す。
【図33A】RNA pTNT−Ara h 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図33B】RNA pTNT−Ara h 2によるTh1メモリの誘導、およびIgE反応の抑制を示す。
【図34A】RNA pTNT−Que a 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図34B】RNA pTNT−Que a 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図35A】RNA pTNT−Art v 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図35B】RNA pTNT−Art v 1によるTh1メモリの誘導を示す。
【図36A】RNA pTNT−Ole e 1によるTh1メモリの誘導がない、またはIgE反応の抑制がないことを示す。
【図36B】RNA pTNT−Ole e 1によるTh1メモリの誘導がない、またはIgE反応の抑制がないことを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアレルゲンまたはその誘導体をコードする少なくとも1つのRNA分子を含むRNAワクチンであって、当該アレルゲンが、アルヌス・グルチノーサ(Alnus glutinosa)、アルタナリア・アルタナータ(Alternaria alternata)、アンブローシア・アルテミシーフォリア(Ambrosia artemisiifolia)、アピウム・グラベオレンス(Apium graveolens)、アラキス・ハイポガエア(Arachis hypogaea)、ベツラ・ベルコーサ(Betula verrucosa)、カルピヌス・ベツルス(Carpinus betulus)、カスタネア・サチバ(Castanea sativa)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)、コリルス・アベラナ(Corylus avellana)、クリプトメリア・ジャポニカ(Cryptomeria japonica)、カプリナス・カルピオ(Cyprinus carpio)、ダウクス・カロタ(Daucus carota)、デルマトファゴイデス・プテロニシヌス(Dermatophagoides pteronyssinus)、ファグス・シルバチカ(Fagus sylvatica)、フェリス・ドメスチカス(Felis domesticus)、ヘベア・ブラシリエンシス(Hevea brasiliensis)、ジュニペルス・アシュエイ(Juniperus ashei)、マルス・ドメスチカ(Malus domestica)、ケルクス・アルバ(Quercus alba)、およびフレウム・プラテンス(Phleum pratense)のアレルゲンである、RNAワクチン。
【請求項2】
アルヌス・グルチノーサの上記アレルゲンは、Aln g 1であり、アルタナリア・アルタナータの上記アレルゲンは、Alt a 1、Alt a 3、Alt a 4、Alt a 5、Alt a 6、Alt a 7、Alt a 8、Alt a 10、Alt a 12およびAlt a 13からなる群より選択され、アンブローシア・アルテミシーフォリアの上記アレルゲンは、Amb a 1、Amb a 2、Amb a 3、Amb a 5、Amb a 6、Amb a 7、Amb a 8、Amb a 9およびAmb a 10からなる群より選択され、アピウム・グラベオレンスの上記アレルゲンは、Api g 1、Api g 4およびApi g 5からなる群より選択され、アラキス・ハイポガエアの上記アレルゲンは、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h 6、Ara h 7およびAra h 8からなる群より選択され、ベツラ・ベルコーサの上記アレルゲンは、Bet v 1、Bet v 2、Bet v 3、Bet v 4、Bet v 6およびBet v 7からなる群より選択され、カルピヌス・ベツルスの上記アレルゲンは、Car b 1であり、カスタネア・サチバの上記アレルゲンは、Cas s 1、Cas s 5およびCas s 8からなる群より選択され、クラドスポリウム・ヘルバルムの上記アレルゲンは、Cla h 2、Cla h 5、Cla h 6、Cla h 7、Cla h 8、Cla h 9、Cla h 10およびCla h 12からなる群より選択され、コリルス・アベラナの上記アレルゲンは、Cor a 1、Cor a 2、Cor a 8、Cor a 9、Cor a 10およびCor a 11からなる群より選択され、クリプトメリア・ジャポニカの上記アレルゲンは、Cry j 1およびCry j 2からなる群より選択され、カプリナス・カルピオの上記アレルゲンは、Cyp c 1であり、ダウクス・カロタの上記アレルゲンは、Dau c 1およびDau c 4からなる群から選択され、デルマトファゴイデス・プテロニシヌスの上記アレルゲンは、Der p 1、Der p 2、Der p 3、Der p 4、Der p 5、Der p 6、Der p 7、Der p 8、Der p 9、Der p 10、Der p 11、Der p 14、Der p 20、Der p 21およびClone 30上記アレルゲンからなる群より選択され、ファグス・シルバチカの上記アレルゲンは、Fag s 1であり、フェリス・ドメスチカスの上記アレルゲンは、Fel d 1、Fel d 2、Fel d 3、Fel d 4、Fel d 5w、Fel d 6wおよびFel d 7wからなる群より選択され、ヘベア・ブラシリエンシスの上記アレルゲンは、Hev b 1、Hev b 2、Hev b 3、Hev b 4、Hev b 5、Hev b 6.01、Hev b 6.02、Hev b 6.03、Hev b 7.01、Hev b 7.02、Hev b 8、Hev b 9、Hev b 10、Hev b 11、Hev b 12およびHev b 13からなる群より選択され、ジュニペルス・アシュエイの上記アレルゲンは、Jun a 1、Jun a 2およびJun a 3からなる群より選択され、マルス・ドメスチカの上記アレルゲンは、Mal d 1、Mal d 2、Mal d 3およびMal d 4からなる群より選択され、ケルクス・アルバの上記アレルゲンは、Que a 1であり、ならびに、フレウム・プラテンスの上記アレルゲンは、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 4、Phl p 5、Phl p 6、Phl p 7、Phl p 11、Phl p 12およびPhl p 13からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のワクチン。
【請求項3】
上記アレルゲンは、Aln g 1、Alt a 1、Amb a 1、Api g 1、Ara h 2、Bet v 1、ベータ−カゼイン、Car b 1、Cas s 1、Cla h 8、Cor a 1、Cry j 1、Cyp c 1、Dau c 1、Der p 2、Fag s 1、Fel d 1、Hev b 6、Jun a 1、Mal d 1、オボアルブミン(OVA)、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 5、Phl p 6およびPhl p 7からなる群より選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のワクチン。
【請求項4】
上記RNA分子が、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 5およびPhl p 6、またはAln g 1、Cor a 1、Que a 1、Car b 1およびBet v 1をコードすることを特徴とする請求項1または2に記載のワクチン。
【請求項5】
上記アレルゲンの誘導体が低アレルギー性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項6】
上記低アレルギー性のアレルゲン誘導体のIgE反応性が、野生型アレルゲンのIgE反応性よりも、10%以上、好適には20%以上、より好適には30%以上、特に50%以上低いことを特徴とする請求項5に記載のワクチン。
【請求項7】
上記アレルゲンまたはその誘導体をコードする上記RNA分子が、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする少なくとも1つのさらなる分子に結合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項8】
上記RNA分子が、レプリカーゼ、β−グロビンリーダー配列、cap0、cap1およびポリAテールからなる群より選択される少なくとも1つのさらなる要素を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項9】
上記ワクチンが、好適にはCpG−DNAおよびサイトカインからなる群より選択されるアジュバントをさらに含み、上記サイトカインは好適にはIL−12およびIL−15であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項10】
上記ワクチンが、筋内投与、皮内投与、静脈内投与、経皮投与、局所性投与、または微粒子銃投与に適用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項11】
アレルギーの治療用または予防用のワクチンを製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載された少なくとも1つのRNA分子の、使用。
【請求項12】
アレルゲンに対する個体の除感作のための予防的かつ治療的なワクチンを製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載された少なくとも1つのRNA分子の、使用。
【請求項13】
上記ワクチンが、好適にはCpG−DNAおよびサイトカインからなる群より選択されるアジュバントをさらに含み、上記サイトカインは好適にはIL−12およびIL−15であることを特徴とする請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
上記ワクチンが、筋内投与、皮内投与、静脈内投与、経皮投与、局所性投与または微粒子銃投与に適用されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか1項に記載された少なくとも1つのアレルゲンまたはその誘導体をコードする少なくとも1つの塩基配列を含む、単離されたRNA分子。
【請求項1】
少なくとも1つのアレルゲンまたはその誘導体をコードする少なくとも1つのRNA分子を含むRNAワクチンであって、当該アレルゲンが、アルヌス・グルチノーサ(Alnus glutinosa)、アルタナリア・アルタナータ(Alternaria alternata)、アンブローシア・アルテミシーフォリア(Ambrosia artemisiifolia)、アピウム・グラベオレンス(Apium graveolens)、アラキス・ハイポガエア(Arachis hypogaea)、ベツラ・ベルコーサ(Betula verrucosa)、カルピヌス・ベツルス(Carpinus betulus)、カスタネア・サチバ(Castanea sativa)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)、コリルス・アベラナ(Corylus avellana)、クリプトメリア・ジャポニカ(Cryptomeria japonica)、カプリナス・カルピオ(Cyprinus carpio)、ダウクス・カロタ(Daucus carota)、デルマトファゴイデス・プテロニシヌス(Dermatophagoides pteronyssinus)、ファグス・シルバチカ(Fagus sylvatica)、フェリス・ドメスチカス(Felis domesticus)、ヘベア・ブラシリエンシス(Hevea brasiliensis)、ジュニペルス・アシュエイ(Juniperus ashei)、マルス・ドメスチカ(Malus domestica)、ケルクス・アルバ(Quercus alba)、およびフレウム・プラテンス(Phleum pratense)のアレルゲンである、RNAワクチン。
【請求項2】
アルヌス・グルチノーサの上記アレルゲンは、Aln g 1であり、アルタナリア・アルタナータの上記アレルゲンは、Alt a 1、Alt a 3、Alt a 4、Alt a 5、Alt a 6、Alt a 7、Alt a 8、Alt a 10、Alt a 12およびAlt a 13からなる群より選択され、アンブローシア・アルテミシーフォリアの上記アレルゲンは、Amb a 1、Amb a 2、Amb a 3、Amb a 5、Amb a 6、Amb a 7、Amb a 8、Amb a 9およびAmb a 10からなる群より選択され、アピウム・グラベオレンスの上記アレルゲンは、Api g 1、Api g 4およびApi g 5からなる群より選択され、アラキス・ハイポガエアの上記アレルゲンは、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h 6、Ara h 7およびAra h 8からなる群より選択され、ベツラ・ベルコーサの上記アレルゲンは、Bet v 1、Bet v 2、Bet v 3、Bet v 4、Bet v 6およびBet v 7からなる群より選択され、カルピヌス・ベツルスの上記アレルゲンは、Car b 1であり、カスタネア・サチバの上記アレルゲンは、Cas s 1、Cas s 5およびCas s 8からなる群より選択され、クラドスポリウム・ヘルバルムの上記アレルゲンは、Cla h 2、Cla h 5、Cla h 6、Cla h 7、Cla h 8、Cla h 9、Cla h 10およびCla h 12からなる群より選択され、コリルス・アベラナの上記アレルゲンは、Cor a 1、Cor a 2、Cor a 8、Cor a 9、Cor a 10およびCor a 11からなる群より選択され、クリプトメリア・ジャポニカの上記アレルゲンは、Cry j 1およびCry j 2からなる群より選択され、カプリナス・カルピオの上記アレルゲンは、Cyp c 1であり、ダウクス・カロタの上記アレルゲンは、Dau c 1およびDau c 4からなる群から選択され、デルマトファゴイデス・プテロニシヌスの上記アレルゲンは、Der p 1、Der p 2、Der p 3、Der p 4、Der p 5、Der p 6、Der p 7、Der p 8、Der p 9、Der p 10、Der p 11、Der p 14、Der p 20、Der p 21およびClone 30上記アレルゲンからなる群より選択され、ファグス・シルバチカの上記アレルゲンは、Fag s 1であり、フェリス・ドメスチカスの上記アレルゲンは、Fel d 1、Fel d 2、Fel d 3、Fel d 4、Fel d 5w、Fel d 6wおよびFel d 7wからなる群より選択され、ヘベア・ブラシリエンシスの上記アレルゲンは、Hev b 1、Hev b 2、Hev b 3、Hev b 4、Hev b 5、Hev b 6.01、Hev b 6.02、Hev b 6.03、Hev b 7.01、Hev b 7.02、Hev b 8、Hev b 9、Hev b 10、Hev b 11、Hev b 12およびHev b 13からなる群より選択され、ジュニペルス・アシュエイの上記アレルゲンは、Jun a 1、Jun a 2およびJun a 3からなる群より選択され、マルス・ドメスチカの上記アレルゲンは、Mal d 1、Mal d 2、Mal d 3およびMal d 4からなる群より選択され、ケルクス・アルバの上記アレルゲンは、Que a 1であり、ならびに、フレウム・プラテンスの上記アレルゲンは、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 4、Phl p 5、Phl p 6、Phl p 7、Phl p 11、Phl p 12およびPhl p 13からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のワクチン。
【請求項3】
上記アレルゲンは、Aln g 1、Alt a 1、Amb a 1、Api g 1、Ara h 2、Bet v 1、ベータ−カゼイン、Car b 1、Cas s 1、Cla h 8、Cor a 1、Cry j 1、Cyp c 1、Dau c 1、Der p 2、Fag s 1、Fel d 1、Hev b 6、Jun a 1、Mal d 1、オボアルブミン(OVA)、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 5、Phl p 6およびPhl p 7からなる群より選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のワクチン。
【請求項4】
上記RNA分子が、Phl p 1、Phl p 2、Phl p 5およびPhl p 6、またはAln g 1、Cor a 1、Que a 1、Car b 1およびBet v 1をコードすることを特徴とする請求項1または2に記載のワクチン。
【請求項5】
上記アレルゲンの誘導体が低アレルギー性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項6】
上記低アレルギー性のアレルゲン誘導体のIgE反応性が、野生型アレルゲンのIgE反応性よりも、10%以上、好適には20%以上、より好適には30%以上、特に50%以上低いことを特徴とする請求項5に記載のワクチン。
【請求項7】
上記アレルゲンまたはその誘導体をコードする上記RNA分子が、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする少なくとも1つのさらなる分子に結合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項8】
上記RNA分子が、レプリカーゼ、β−グロビンリーダー配列、cap0、cap1およびポリAテールからなる群より選択される少なくとも1つのさらなる要素を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項9】
上記ワクチンが、好適にはCpG−DNAおよびサイトカインからなる群より選択されるアジュバントをさらに含み、上記サイトカインは好適にはIL−12およびIL−15であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項10】
上記ワクチンが、筋内投与、皮内投与、静脈内投与、経皮投与、局所性投与、または微粒子銃投与に適用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項11】
アレルギーの治療用または予防用のワクチンを製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載された少なくとも1つのRNA分子の、使用。
【請求項12】
アレルゲンに対する個体の除感作のための予防的かつ治療的なワクチンを製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載された少なくとも1つのRNA分子の、使用。
【請求項13】
上記ワクチンが、好適にはCpG−DNAおよびサイトカインからなる群より選択されるアジュバントをさらに含み、上記サイトカインは好適にはIL−12およびIL−15であることを特徴とする請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
上記ワクチンが、筋内投与、皮内投与、静脈内投与、経皮投与、局所性投与または微粒子銃投与に適用されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか1項に記載された少なくとも1つのアレルゲンまたはその誘導体をコードする少なくとも1つの塩基配列を含む、単離されたRNA分子。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図35A】
【図35B】
【図36A】
【図36B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図35A】
【図35B】
【図36A】
【図36B】
【公表番号】特表2010−540500(P2010−540500A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526322(P2010−526322)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063035
【国際公開番号】WO2009/040443
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(507180423)ビオマイ アクチエンゲゼルシャフト (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063035
【国際公開番号】WO2009/040443
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(507180423)ビオマイ アクチエンゲゼルシャフト (12)
【Fターム(参考)】
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