説明

RNA依存性RNAポリメラーゼ、RNAを増幅するため及び/又は標識するための方法並びにキット

本発明は、生物学的及び医薬的使用のための、RNA依存性RNAポリメラーゼに関し、かつ主に依存性又は非依存性の方法で、リボ核酸(RNA)、特にウイルス、真核生物、原核生物、及び二本鎖のリボ核酸(RNA)をマーキング及び/又は増幅するための方法並びにキットに関する。前記RNA依存性RNAポリメラーゼは、右手立体構造を有しており、かつ以下の配列部分であるアミノ酸配列を含む:a.XXDYS、b.GXPSG、c.YGDD、d.XXYGL、e.XXXXFLXRXX[ここで、これらは以下の意味を有する:D:アスパラギン酸、Y:チロシン、S:セリン、G:グリシン、P:プロリン、L:ロイシン、F:フェニルアラニン、R:アルギニン、X:任意のアミノ酸]。本発明の増幅方法は、マイクロアレイエンジニアリング、siRNA生成、及び患者サンプルにおけるウイルスRNAを検出することによるウイルス感染診断に特に適している。本発明のマーキング方法は、アフィニティ結合によるRNA精製、並びにウイルス、真核生物、原核生物、及び二本鎖のリボ核酸(RNA)の機能及び/又は構造を特徴付けるための分子生物学的方法で使用されるRNAマーキングに特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジー及び医薬における適用のための、RNA依存性RNAポリメラーゼに関し、かつ特にウイルス、真核生物、及び原核生物並びに二本鎖のリボ核酸(RNA)におけるリボ核酸(RNA)を標識するため並びに/又はプライマー依存的及び非依存的に増幅するための方法並びにキットに関する。本発明の増幅方法は、特に、マイクロアレイ技術、siRNAの調製、及び患者材料中のウイルスRNAの検出を介したウイルス感染診断に適用可能である。本発明の標識方法は、特に、アフィニティ結合によるRNA精製に適しており、かつウイルス、真核生物、及び原核生物、並び二本鎖のリボ核酸(RNA)の機能及び/又は構造の特徴付けに用いられる分子生物学的手順での適用のためのRNA標識に適している。
【背景技術】
【0002】
RNAは、真核細胞及び原核細胞の重要な構成要素である。RNAは複数の生体機能に関与する:転写、すなわちゲノム(デオキシリボ核酸、DNA)における情報の書き直し(transliteration)、細胞核から細胞質へのこの情報の伝達(mRNA)、及び翻訳(すなわち、アミノ酸又はタンパク質それぞれへの転写情報の変換)。RNAはまた、翻訳のための重要な構成要素である、いわゆるトランスファーRNAを形成する。RNAは、同様に、リボソームの重要な構成要素でもある。これらは、タンパク質への情報の翻訳が起こる細胞質の構造的存在物である。
【0003】
バイオテクノロジー分野におけるRNAの重要性は、過去数十年間増加している。マイクロアレイ技術、miRNA(マイクロ−RNA)、又はsiRNA技術(低分子干渉RNA;small interfering RNA)などの新たな開発が発展し、基礎研究及び応用研究の分野におけるこれらの関連性が増加している。これらの技術はすべて、in vitroでの増幅を介したRNAの合成的生成に基づく。
【0004】
今までのところ、in vitroにおけるsiRNAの調製は、化学合成によるか、又はT7 RNAポリメラーゼなどのDNA依存性RNAポリメラーゼの助けを借りて実施されている。この目的のために、2つの相補的DNA鎖が、T7プロモーターについての配列をさらに含むプライマーを用いたPCRにより合成される。T7 RNAポリメラーゼの助けを借りてDNAを転写した後、得られた相補的RNA鎖をハイブリダイズしてRNAase Iで消化する。
【0005】
医療分野において、RNA増幅は、患者材料におけるウイルス感染の検出において重要な役割を担う。世界中の全てのウイルス感染の80%がRNAウイルス、すなわちRNAからなるゲノムを有するウイルス性病原体によりもたらされる。このウイルスグループ内の重要な病原体は、特に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、A型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス(A型、B型、及びC型インフルエンザ)、さらには家禽ペストウイルス、最近新たに同定されたSARSウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルス、及び下痢と嘔吐の結合ウイルス(ロタウイルス、サポウイルス、及びノロウイルス)である。
【0006】
今までのところ、患者材料におけるRNAの検出は、4つの工程で実施される。検査中の材料からRNAを回収した後、以下の工程:
1.いわゆる転写酵素であるRNA依存性DNAポリメラーゼを介して、コピーDNA(cDNA)へとRNAを転写する工程。この工程ではプライマーが必要となる。プライマーは、増幅されるべき配列に特異的であるオリゴヌクレオチドである。プライマー及びRNA依存性DNAポリメラーゼは、DNAの形態ではあるが、遺伝物質の標的増幅を可能にする;
2.ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介して前記cDNAを増幅する工程;
3.前記PCR生成物を精製する工程;
4.前記PCR生成物の配列を決定する工程;
が続く。
【0007】
RNA調製の場合には、例えばsiRNA調製のために発現を検出するために、DNA依存性RNAポリメラーゼ、例えばT7ポリメラーゼを介して、PCR生成物をRNAへとさらに転写することが実施される。
【0008】
これらの工程の達成には、通例18〜24時間かかる。さらに、全ての研究機関がアクセス可能ではない特定の「ノウハウ」が必要である。
【0009】
さらなるRNA増幅方法は、RNA依存性RNAポリメラーゼ、例えば、バクテリオファージQβのRNAポリメラーゼ(Qβレプリカーゼとも記す)、又はポリオウイルス若しくはC型肝炎ウイルスのRNAポリメラーゼなどを介した複製により提供される。
【0010】
バクテリオファージQβのゲノムは、RNA依存性RNAポリメラーゼにより複製される一本鎖(+)−RNAからなる。Qβレプリカーゼは、(+)鎖の(−)鎖RNAコピーを生成し、これはまた、(+)鎖のように鋳型として機能し得る。従って、指数関数的増幅が達成され得る。Qβ系は、分析物、例えば核酸などの検出のために既に使用されている(Chu et al. (1986), Nucleic Acids Research 14, 5591−5603;Lizardi et al. (1988), Biotechnology 6, 1187−1202)。
【0011】
しかし、これらのRNA依存性RNAポリメラーゼは、RNA複製を開始するために特定のRNA配列を必要とする。さらに、これらはまた、RNA増幅のために特定の補助タンパク質(helper protein)に依存する。この理由から、これらのRNA依存性RNAポリメラーゼは、異種RNAを増幅できない。
【0012】
従来技術による3’末端でのRNA標識は、E.coliポリ(A)トランスフェラーゼの使用を介して、ATPを用いることにより唯一実施可能である。CTP、UTP、及びGTPを用いたRNA標識方法は未知である。
【非特許文献1】Chu et al. (1986), Nucleic Acids Research 14, 5591−5603
【非特許文献2】Lizardi et al. (1988), Biotechnology 6, 1187−1202
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の基礎をなす技術的問題は、RNA依存性RNAポリメラーゼを提供することであり、かつウイルス、真核生物、及び原核生物の一本鎖並びに二本鎖リボ核酸(RNA)を標識するため並びに/又は増幅するための方法並びにキットであって、より効率的で速いものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によると、上記問題の解決法は、RNAを増幅及び/又は標識するためのRNA依存性RNAポリメラーゼ(以下、RdRP又は3Dpolとも記す)であって、前記RNA依存性RNAポリメラーゼが、カリシウイルス科(Caliciviridae科)のウイルスに属し、「右手立体構造(right hand conformation)」を有しており、かつ前記RNA依存性RNAポリメラーゼのアミノ酸配列が以下の配列モチーフ:
a.XXDYS
b.GXPSG
c.YGDD
d.XXYGL
e.XXXXFLXRXX
[ここで、これらは以下の意味:
D:アスパラギン酸
Y:チロシン
S:セリン
G:グリシン
P:プロリン
L:ロイシン
F:フェニルアラニン
R:アルギニン
X:任意のアミノ酸
を有する]
を含む、RNA依存性RNAポリメラーゼにより提供される。
【0015】
いわゆる「右手立体構造」は、タンパク質の三次構造(立体構造)が、指、掌、及び親指を有する右手に従ったフォールディングを有することを意味する。
【0016】
配列モチーフ「XXDYS」は、いわゆるA−モチーフである。A−モチーフは、リボヌクレオシドとデオキシリボヌクレオシドとの区別の要因となる。
【0017】
配列モチーフ「GXPSG」は、いわゆるB−モチーフである。B−モチーフは、カリシウイルス科(Caliciviridae科)の全ての代表例の間で保存されている。
【0018】
配列モチーフ「YGDD」は、いわゆるC−モチーフである。C−モチーフは、酵素の活性中心を表す。このモチーフは、金属イオンの配位に重要な役割を担う。
【0019】
配列モチーフ「XXYGL」は、いわゆるD−モチーフである。D−モチーフは、鋳型依存性ポリメラーゼの特徴である。
【0020】
配列モチーフ「XXXXFLXRXX」は、いわゆるE−モチーフである。E−モチーフは、RNA依存性RNAポリメラーゼの特徴であり、DNA依存性ポリメラーゼには存在しない。
【0021】
本発明のRNA依存性RNAポリメラーゼは以下の機能:
− Mg2+又はMn2+依存性RNA依存性RNAポリメラーゼ活性(DNA非依存性である);
− 鋳型依存性;
− 鋳型としてホモポリマーRNA(それぞれ、ポリ(A)−RNA、ポリ(C)−RNA、ポリ(G)−RNA、又はポリ(U)−RNA)を用いた、対応するプライマー(すなわち、それぞれ、オリゴ(U)−RNA、オリゴ(G)−RNA、オリゴ(C)−RNA、又はオリゴ(A)−RNA)の存在下でのプライマー依存性RNA合成;
− 鋳型としてポリ(C)−RNAを用いた、高GTP濃度の存在下でのプライマー非依存性RNA合成;
− 鋳型としてヘテロポリマーRNAを用いたプライマー依存性又はプライマー非依存性RNA合成;
− 一本鎖RNA鋳型の3’端の標識を導く、UTP及びCTPについて優先性を有する末端トランスフェラーゼ活性、
を有する。
【0022】
プライマー依存性RNA増幅は、配列特異的プライマーの存在下でのみ起こる。増幅は、配列依存性であり、AMP、GMP、CMP、又はUMPの取り込み(incorporation)を介して起こる。
【0023】
プライマー非依存性RNA増幅は、配列特異的プライマーの不在下で起こる。増幅は、配列依存性であり、AMP、GMP、CMP、又はUMPの取り込みを介して起こる。
【0024】
末端トランスフェラーゼ活性により、1種類のヌクレオチド(例えば、ATP、UTP、CTP、又はGTP)の複数のヌクレオチド(multiple nucleotides of one kind)をRNA鎖の配列とは独立して前記RNA鎖の3’端に添加する。
【0025】
驚くべきことに、本発明のRNA依存性ポリメラーゼは、in vitroでの増幅反応のための鋳型として、異種ウイルス、真核生物、及び原核生物RNAを用いることができる。プラス鎖及びマイナス鎖の一本鎖及び二本鎖RNAはともに、増幅のために利用できる。
【0026】
好ましくは、本発明のRNA依存性RNAポリメラーゼは、カリシウイルス科(Caliciviridae科)のウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼである。カリシウイルス(Caliciviridae)のゲノムは、ポリアデニル化(+)鎖の一本鎖RNAからなる。in vivoにおいて、カリシウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼは、複製過程において、ゲノムカリシウイルスRNAを(−)鎖アンチセンスRNA(aRNA)に転写する。その際に、RNA−aRNA−ハイブリッドが生成される。その後、(−)鎖aRNAは、新たな(+)鎖ゲノムウイルスRNAの合成のための鋳型として役立つ。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施態様において、RNA依存性RNAポリメラーゼは、ヒト及び/又は非ヒト病原性カリシウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼである。特に好ましいものは、ノロウイルス、サポウイルス、ベシウイルス、又はラゴウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼであり、例えば、ノロウイルス株HuCV/NL/Dresden174/1997/GE、又はサポウイルス株pJG−Sap01、又はベシウイルス株FCV/Dresden/2006/GEのRNA依存性RNAポリメラーゼである。
【0028】
本発明の特に好ましい実施態様によると、RNA依存性RNAポリメラーゼは、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3のアミノ酸配列を有するタンパク質である。
【0029】
配列番号1は、ノロウイルス−RdRPのアミノ酸配列である。
配列番号2は、サポウイルス−RdRPのアミノ酸配列である。
配列番号3は、ベシウイルス−RdRPのアミノ酸配列である。
【0030】
配列番号1:
【0031】
【表1】

【0032】
配列番号2:
【0033】
【表2】

【0034】
配列番号3:
【0035】
【表3】

【0036】
ノロウイルス、サポウイルス、及びベシウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼは、それぞれ、ノロウイルス−、サポウイルス−、又はベシウイルス−RdRPをコードする核酸を適した発現ベクター、例えばpET−28(Novagen)へとクローニングすることを介して、組み換え的に生成可能である。ウイルスRdRPをコードする遺伝子配列を運ぶ発現ベクターは、適した発現用宿主生物へと導入される。宿主生物は、好ましくは、原核生物、好ましくはEscherichia coli、又は真核宿主生物、好ましくはSacharomyces cerevisae、又は昆虫細胞(好ましくはSf9細胞)であって、組み換えバキュロウイルスで感染されており、タンパク質発現のために一般的に使用される宿主生物であるものから選択される。この宿主生物は、ウイルスRdRPをコードする遺伝子配列を有する少なくとも1つの発現ベクターを含む。
【0037】
好ましい実施様態によると、ノロウイルス、サポウイルス、又はベシウイルスカリシウイルスRdRPは、そのN−又はC−末端でタンパク質配列と融合しており、前記タンパク質配列は、宿主生物における発現後、RdRP融合タンパク質の精製を容易にするものである。好ましくは、この配列は、いわゆるヒスチジンマーカーであり、ヒスチジンマーカーは、少なくとも6つの連続したヒスチジン(His又はH)の配列からなる。このようなヒスチジンマーカーにより、既知の方法でニッケル又はコバルトカラム上でのアフィニティクロマトグラフィーを行うことによりタンパク質を精製することが可能になる。
【0038】
ヒスチジンマーカーと融合したRNA依存性RNAポリメラーゼの実施態様の例は、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6のアミノ酸配列を有するタンパク質である。
【0039】
配列番号4は、ヒスチジンマーカー(Hisタグ)を有するノロウイルス−RdRPのアミノ酸配列である。
配列番号5は、ヒスチジンマーカー(Hisタグ)を有するサポウイルス−RdRPのアミノ酸配列である。
配列番号6は、ヒスチジンマーカー(Hisタグ)を有するベシウイルス−RdRPのアミノ酸配列である。
【0040】
配列番号4:
【0041】
【表4】

【0042】
配列番号5:
【0043】
【表5】

【0044】
配列番号6:
【0045】
【表6】

【0046】
本発明の一部はまた、RNAの増幅及び/又は標識若しくはマーキングのための本発明のRNA依存性RNAポリメラーゼの使用を形成する。
【0047】
また、本発明の一部は、以下の工程:
a.オリゴヌクレオチドプライマー、例えばオリゴ−RNA−プライマー又はオリゴ−DNA−プライマーなどの存在又は不在下、RNA依存性RNAポリメラーゼをRNA鋳型と、それぞれ付着(attachment)又はアニーリングする工程;
b.前記RNA依存性RNAポリメラーゼにより、前記RNA鋳型をアンチセンスRNAへと転写する工程;
c.前記RNA/アンチセンスRNA二本鎖を一本鎖RNAへと分離する工程、
を含む、本発明のRNA依存性RNAポリメラーゼを用いたRNA増幅方法であり、かつ
a.本発明のRNA依存性RNAポリメラーゼ、
b.適した反応バッファー、
c.NTP、
d.任意選択でRNase阻害剤、
e.任意選択で反応停止液(stop solution)、
を含む、RNA増幅方法を実施するためのキットである。
【0048】
好ましくは、本発明の方法において、RNA鋳型は、50μLの反応体積当たり1μg〜4μgの量で使用する。用いられるリボヌクレオチドATP、CTP、GTP、及びUTP(NTP)の濃度は、好ましくは、0.1μmol/L〜1μmol/Lであり、より好ましくは0.4μmol/Lである。本発明のRNA増幅方法において、NTPアナログ、例えば、蛍光標識NTP、ビオチン標識NTP、又は放射活性物質で標識したNTP、例えば[P32]標識NTPなどを用いることも可能である。本発明のRdRP濃度は、好ましくは1μmol/L〜3μmol/Lである。
【0049】
特に好ましい実施態様によると、キットは、
a.150μmol/Lの組み換え的に生成された、配列番号1若しくは配列番号4によるノロウイルス−RdRP、及び/又は配列番号2若しくは配列番号5によるサポウイルス−RdRP、及び/又は配列番号3若しくは配列番号6によるベシウイルス−RdRP、
b.バッファーとして:50 mmol/LのHEPES、pH 8.0、3 mmol/Lの酢酸マグネシウム又は塩化マンガン(MnCl2)、4 mMのDTT、
c.10 mmol/LのATP、10 mmol/LのCTP、10 mmol/LのGTP、10 mmol/LのUTP、
d.RNase阻害剤、
e.反応停止液として:4 mol/Lの酢酸アンモニウム、100 mmol/LのEDTA、
を含む。
【0050】
本方法は、好ましくは、6.5〜8.5のpH値、20℃〜40℃の温度で実施される。RNA増幅方法の好ましい実施態様は、以下のバッファー条件下、ノロウイルス−RdRPを30℃で用いて、又はサポウイルス−RdRPを37℃で用いて実施される:50 mmol/LのHEPES、pH 8.0、3 mmol/Lの酢酸マグネシウム又は塩化マンガン、4 mmol/LのDTT。
【0051】
本発明の好ましい実施態様によると、RNA/アンチセンス−RNA二本鎖の一本鎖RNAへの分離は、熱変性を介して、化学変性を介して、及び/又は酵素的に起こり、例えば、二本鎖RNAを一本鎖RNAへと分離する能力を有する酵素、例えばヘリカーゼなどにより起こる。
【0052】
鎖の分離により、一本鎖の鋳型が再度存在し、さらなる一連の増幅が誘起され得る。
【0053】
二本鎖RNAを一本鎖RNAへと分離可能な酵素を用いることにより、等温的に(isothermically)反応を維持できる。
【0054】
本発明の一部は、本発明のキットに加えて、二本鎖RNAを一本鎖RNAへと分離する能力を有する酵素、例えばヘリカーゼを含む、RNA増幅用の対応するキットを形成する。
【0055】
本発明の実施態様は、プライマー依存性RNA増幅方法であって、RNA鋳型の一部(section)とハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーを使用し、本発明のRNA依存性RNAポリメラーゼのアニーリングに続いて、前記プライマーが、前記RNA鋳型の配列に従って前記RNA依存性RNAポリメラーゼにより伸長される、方法である。
【0056】
プライマーとして、好ましくは、RNAプライマー又はDNAプライマー、例えば20〜25塩基長を有するものを、好ましくは0.1〜1μmol/Lの濃度で使用する。RNA鋳型として、例えば、ウイルス、原核生物、及び真核生物RNAが適用可能である。
【0057】
RNAプライマーの使用による、一本鎖RNA鋳型のプライマー依存性RNA増幅の手順を図1に図式的に示す。
【0058】
ポリ−U−RNA、ポリ−A−RNA、ポリ−C−RNA、又はポリ−G−RNAプライマーを、それぞれポリアデニル化RNA、ポリウリジル化RNA、ポリグアニル化RNA、又はポリシチジル化RNAのためのプライマーとして使用することが好ましい。ポリ−U−RNAプライマーを用いることにより、全部の細胞mRNAの特異的増幅が実現可能となる。この目的のために、20〜24塩基長を有するポリ−U−プライマーを使用することが好ましい。増幅した細胞mRNAは、その後、いわゆるマイクロアレイ方法の助けを借りて分析可能である。
【0059】
配列特異的RNA増幅のための本発明の方法はまた、患者材料におけるウイルスRNAの検出のために有利に使用される。
【0060】
この目的のために、患者材料の全部の細胞RNAを回収し、患者材料中に含まれるウイルスRNAを、ウイルスRNAの特異的部分と特異的にハイブリダイズするRNA−プライマーを用いて増幅する。
【0061】
患者材料として、例えば、羊水(liquor)、血液、血漿、又は体液を使用することができる。
【0062】
本方法はまた、ゲノムの3’端にポリ−A−テールを有するRNAウイルス、DNA−ウイルス、及びウイルスmRNA転写物の検出にも適している。
【0063】
また、本発明の一部は、プライマー依存性RNA増幅方法を実施するためのキットであって、
a.本発明のRNA依存性RNAポリメラーゼ、
b.適した反応バッファー、
c.NTP、
d.任意選択でRNase阻害剤、
e.任意選択で反応停止液、
f.プライマー、
を含むキットである。
【0064】
好ましい実施態様によると、キットは、
a.150μmol/Lの組み換え的に生成された、配列番号1若しくは配列番号4によるノロウイルス−RdRP、及び/又は配列番号2若しくは配列番号5によるサポウイルス−RdRP、及び/又は配列番号3若しくは配列番号6によるベシウイルス−RdRP、
b.バッファーとして:50 mmol/LのHEPES、pH 8.0、3 mmol/Lの酢酸マグネシウム又は塩化マンガン(MnCl2)、4 mMのDTT、
c.10 mmol/LのATP、10 mmol/LのCTP、10 mmol/LのGTP、10 mmol/LのUTP、
d.RNase阻害剤、
e.反応停止液として:4 mol/Lの酢酸アンモニウム、100 mmol/LのEDTA、
f.0.1〜3μMのプライマー(15〜20塩基長を有する、ホモポリマー若しくはヘテロポリマーRNA−又はDNA−オリゴヌクレオチド)、
を含む。
【0065】
また、本発明の一部は、プライマー非依存性RNA増幅方法であって、前記RNA鋳型の配列に従ってRNA依存性RNAポリメラーゼにより伸長される、RNA鋳型の一部とハイブリダイズするプライマーのいずれをも使用しない、方法であり、かつ
a.本発明のRNA依存性RNAポリメラーゼ、
b.適した反応バッファー、
c.NTP、
d.任意選択でRNase阻害剤、
e.任意選択で反応停止液、
を含む、プライマー非依存性RNA増幅用キットである。
【0066】
本発明の方法のこの実施態様において、RNA依存性RNAポリメラーゼのRNA鋳型へのアニーリングはプライマー非依存性である。RNAプライマーの不在下、一本鎖RNA鋳型の配列非依存性RNA増幅の手順を図2に図式的に示す。
【0067】
本発明のさらなる実施態様は、プライマー非依存性ポリ(C)−RNA増幅方法であって、RNA鋳型の一部とハイブリダイズするプライマーのいずれをも使用せず、GTP、好ましくは50μMのGTPが単一ヌクレオチドとして使用され、RNA鋳型の配列に従ってRNA依存性RNAポリメラーゼにより伸長されることを特徴とする、方法である。50μMのGTPの存在下における、ポリ(C)−RNAに基づく配列非依存性RNA合成の概略手順を図4に示す。
【0068】
RNAを増幅するための本発明の方法の適用可能性は非常に多い。一方では、患者材料におけるウイルス遺伝物質の直接検出が実現可能となる。この目的のために、全部の細胞RNAを回収し、RNAプライマーを用いて任意のRNA配列を特異的に増幅する。ついで、ウイルス核酸の検出が、特異的プローブへのハイブリダイゼーションを介して起こる。別の適用は、RNAの非特異的(RNAプライマー非依存性)増幅に関し、これは、それぞれ、これまでに同定されていないウイルス及び新規ウイルス変異体の同定を実現可能にし得る。
【0069】
さらなる適用は、マイクロアレイ技術に関する。これは、細胞発現を特異的に(differentially)検出することを目的とする。これは、いわゆる細胞転写物、すなわちmRNAの検出を介して起こる。細胞混合物に基づいて、本発明により、ポリ(U)−オリゴヌクレオチドを用いたmRNAの特異的増幅が可能となり、それに続いて、マイクロアレイ上でのハイブリダイゼーションにより検出をもたらすことが可能となる。
【0070】
本発明のさらなる適用分野は、in vitroにおけるsiRNAの生成を示し、これは、これまでT7ポリメラーゼの助けを借りて実施されている。この目的のために、
1.T7プロモータープライマーを用いたPCRにより、2つの相補的二本鎖DNAを合成し;
2.T7ポリメラーゼの助けを借りたDNAの転写後、得られた相補的RNA鎖の両方をハイブリダイズし;
3.ついで、両方の鎖をRNAse Iにより消化する。
【0071】
従来技術によると、これらの工程には通常24〜48時間かかり、さらに、所要のノウハウが与えられる。一方、本発明は、PCR工程、in vitroにおける転写、及びRNAのハイブリダイゼーション(これは、最適以下に進む(proceed suboptimal)可能性がある)を利用せずに、RNA配列から出発する二本鎖RNAの直接的、効率的、及び単純な調製を可能にする。
【0072】
さらに、本発明の一部は、本発明のRNA依存性RNAポリメラーゼを用いたRNAのそれぞれ標識又はマーキング方法であって、以下の工程:
a.標識されるべきRNAへとRNA依存性RNAポリメラーゼをアニーリングする工程;
b.標識されるべきRNAの3’端に少なくとも1つのヌクレオチドを添加する工程;
を含む方法であり、かつ本発明のRNA標識方法を実施するためのキットであって、
a.本発明のRNA依存性RNAポリメラーゼ、
b.適した反応バッファー、
c.CTP又はUTP又はATP又はGTP、
d.任意選択でRNase阻害剤、
e.任意選択で反応停止液、
を含む、キットである。
【0073】
RNA鋳型の3’端を標識する方法を図3に概略的に示す。
【0074】
特定の好ましい実施態様によると、キットは、
g.150μmol/Lの組み換え的に生成された、配列番号1若しくは配列番号4によるノロウイルス−RdRP、及び/又は配列番号2若しくは配列番号5によるサポウイルス−RdRP、及び/又は配列番号3若しくは配列番号6によるベシウイルス−RdRP、
h.バッファーとして:50 mmol/LのHEPES、pH 8.0、3 mmol/Lの酢酸マグネシウム又は塩化マンガン(MnCl2)、4 mMのDTT、
i.10 mmol/LのATP、10 mmol/LのCTP、10 mmol/LのGTP、10 mmol/LのUTP、
j.RNase阻害剤、
k.反応停止液として:4 mol/Lの酢酸アンモニウム、100 mmol/LのEDTA、
を含む。
【0075】
以下の図面及び実施例を参照して本発明をさらに例証する。
【0076】
[実施例]
[実施例1:組み換えノロウイルスRdRPの生成方法]
ノロウイルスRdRPのcDNAは、ノロウイルスクローンpUS−NorII(GenBankアクセッション番号:AY741811)からのPCRにより得た。これをpET−28b(+)ベクター(Novagen)にクローニングし、発現ベクターを配列決定して、E. coli CL21(DE3)pLysSに形質転換した。カナマイシン(50 mg/L)を含むLuria−Bertani媒体中、細胞を37℃で培養した。タンパク質発現は、最終濃度1 mMでイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することにより、0.6の光学密度(OD600)で誘起した。ついで、培養物を25℃で一晩インキュベートした。250 mLの培養物から得た細胞ペレットを、4 mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)及び1%のTriton X 100(sigma)で1回洗浄した。細胞をDNase(10 U/mL)で37℃、15分間処理し、氷上で超音波処理し、40 mLの結合バッファー(20 mMのTris/HCl、pH 7.9、500 mMのNaCl、5 mMのイミダゾール)中に再懸濁した。清澄な溶解物(cleared lysate)を、4300 rpm、4℃、40分間の遠心分離により得た。His6タグを備えるノロウイルスRdRPを、結合バッファーで前平衡化(preequilibrate)しておいたNi−ニトリロトリ酢酸(NTA)セファロースマトリックス(Novagen)と結合させた。結合タンパク質を、60 mMのイミダゾールを含む結合バッファーで洗浄し、1 Mのイミダゾールを含む結合バッファーで溶出した。溶出タンパク質を、バッファーA(25 mMのTris−HCl、pH 8.0、1 mMのβ−メルカプトエタノール、100 mMのNaCl、5 mMのMgCl2、10%のグリセリン、0.1%のTriton X)に対して透析した。タンパク質濃度は、Biuret反応に基づくBCAプロテインアッセイキット(Pierce)を用いて測定した。酵素は、50%グリセリン中、最終体積で再懸濁し、−20℃で貯蔵した。
【0077】
[実施例2:ノロウイルス−RdRPを用いた配列非依存性RNA増幅]
反応混合物(50μL)は、0.5〜1μgのRNA鋳型、10μLの反応バッファー(250 mMのHEPES、pH 8.0、15 mMの酢酸マグネシウム、20 mMのDTT)、50 UのRNase阻害剤(RNAsin、Promega)、0.4 mMの各ATP、CTP、GTP、UTP、実施例1で調製した3μMのノロウイルス−RdRPからなる。反応は30℃で2時間実施する。50μLの反応停止液(4 Mの酢酸アンモニウム、100 mMのEDTA)を添加することにより反応を止める。精製は、フェノール/クロロホルム抽出によるか、又は製造者の指示に従ってMEGAclearキット(Ambion)を用いることにより実施する。転写生成物は、エチジウムブロマイド染色後、TBE−バッファーアガロースゲル上でのUVトランスイルミネーションを介して可視化される。ホルムアミドアガロースゲルを同様に用いてもよい。
【0078】
[実施例3:遺伝子特異的RNAプライマーを用い、ノロウイルス−RdRPを用いた配列依存性RNA増幅]
反応混合物(50μL)は、0.5〜1μgのRNA鋳型、10μLの反応バッファー(250 mMのHEPES、pH 8.0、15 mMの酢酸マグネシウム、20 mMのDTT)、50 UのRNase阻害剤(RNAsin、Promega)、0.4 mMの各ATP、CTP、GTP、UTP、0.1〜1μMの遺伝子特異的RNAプライマー、実施例1で調製した3μMのノロウイルス−RdRPからなる。反応は30℃で2時間実施する。50μLの反応停止液(4 Mの酢酸アンモニウム、100 mMのEDTA)を添加することにより反応を止める。精製は、フェノール/クロロホルム抽出によるか、又は製造者の指示に従ってMEGAclearキット(Ambion)を用いることにより実施する。転写生成物は、エチジウムブロマイド染色後、TBE−バッファーアガロースゲル上でのUVトランスイルミネーションにより可視化される。ホルムアルデヒドアガロースゲル、又は尿素/ポリアクリルアミドゲルを用いてもよい。
【0079】
[実施例4:ポリ−U−プライマーを用い、ノロウイルス−RdRPを用いた細胞mRNAの増幅]
反応混合物(50μL)は、0.5〜1μgのRNA鋳型、10μLの反応バッファー(250 mMのHEPES、pH 8.0、15 mMの酢酸マグネシウム、20 mMのDTT)、50 UのRNase阻害剤(RNAsin、Promega)、0.4 mMの各ATP、CTP、GTP、UTP、0.1〜1μMのポリ(U)20−プライマー、実施例1で調製した3μMのノロウイルス−RdRPからなる。反応は30℃で2時間実施する。50μLの反応停止液(4 Mの酢酸アンモニウム、100 mMのEDTA)を添加することにより反応を止める。精製は、フェノール/クロロホルム抽出によるか、又は製造者の指示に従ってMEGAclearキット(Ambion)を用いることにより実施する。転写生成物は、エチジウムブロマイド染色後、TBE−バッファーアガロースゲル上でのUVトランスイルミネーションにより可視化される。ホルムアルデヒドアガロースゲルを用いてもよい。
【0080】
[実施例5:ノロウイルスRdRPを用いたsiRNAの生成]
反応混合物(50μL)は、0.5〜1μgのRNA鋳型、10μLの反応バッファー(250 mMのHEPES、pH 8.0、15 mMの酢酸マグネシウム、20 mMのDTT)、50 UのRNase阻害剤(RNAsin、Promega)、0.4 mMの各ATP、CTP、GTP、UTP、実施例1で調製した3μMのノロウイルス−RdRPからなる。反応は30℃で2時間実施する。50μLの反応停止液(4 Mの酢酸アンモニウム、100 mMのEDTA)を添加することにより反応を止める。精製は、フェノール/クロロホルム抽出によるか、又は製造者の指示に従ってMEGAclearキット(Ambion)を用いることにより実施する。転写生成物は、エチジウムブロマイド染色後、TBE−バッファー10%ポリアクリルアミドゲル上でのUVトランスイルミネーションにより可視化される。ホルムアルデヒドアガロースゲルを用いてもよい。別法として、armored−RNAを用いてもよい。
【0081】
[実施例6:ノロウイルスRdRPを用いたRNA標識]
反応混合物(50μL)は、0.5〜1μgのRNA鋳型、10μLの反応バッファー(250 mMのHEPES、pH 8.0、15 mMの酢酸マグネシウム、20 mMのDTT)、50 UのRNase阻害剤(RNAsin、Promega)、0.4 mMのATP又はCTP又はGTP又はUTP、実施例1で調製した3μMのノロウイルス−RdRPからなる。反応は30℃で2時間実施する。50μLの反応停止液(4 Mの酢酸アンモニウム、100 mMのEDTA)を添加することにより反応を止める。精製は、フェノール/クロロホルム抽出によるか、又は製造者の指示に従ってMEGAclearキット(Ambion)を用いることにより実施する。転写生成物は、エチジウムブロマイド染色後、TBE−バッファー10%ポリアクリルアミドゲル上でのUVトランスイルミネーションにより可視化される。ホルムアルデヒドアガロースゲルを用いてもよい。別法として、armored−RNAを用いてもよい。
【0082】
[実施例7:ノロウイルス−RdRPを用いた、ポリ(C)−ポリ(G)RNAハイブリッドのRNA合成]
反応混合物(50μL)は、0.5〜1μgのRNA鋳型、10μLの反応バッファー(250 mMのHEPES、pH 8.0、15 mMの酢酸マグネシウム、20 mMのDTT)、50 UのRNase阻害剤(RNAsin、Promega)、50μMのGTP、及び実施例1で調製した3μMのノロウイルス−RdRPからなる。反応は30℃で2時間実施する。50μLの反応停止液(4 Mの酢酸アンモニウム、100 mMのEDTA)を添加することにより反応を止める。精製は、フェノール/クロロホルム抽出によるか、又は製造者の指示に従ってMEGAclearキット(Ambion)を用いることにより実施する。転写生成物は、エチジウムブロマイド染色後、TBE−バッファー10%ポリアクリルアミドゲル上でのUVトランスイルミネーションにより可視化される。ホルムアルデヒドアガロースゲルを用いてもよい。別法として、armored−RNAを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1には、配列依存性RNA増幅のフローチャートを示す。
【図2】図2には、配列非依存性RNA増幅のフローチャートを示す。
【図3】図3には、RNA鋳型の3’端標識のフローチャートを示す。
【図4】図4には、50μMのGTPの存在下、ポリ(C)−RNAから出発する配列非依存性RNA合成のフローチャートを示す。
【図5A】図5には、E. coli中におけるノロウイルス3Dpolの発現及び精製を示す。 (A)E. coli中で発現している、C末端Hisタグを有する精製組み換えノロウイルス3DpolのSDS−PAGE分析を示す。3Dpolは野生型ノロウイルス3Dpolであり、m3Dpolは活性部位において突然変異を有する(YGD343GD344G)ノロウイルス3Dpolであり、Mは分子量マーカー(KDa)である。
【図5B】(B)C末端Hisタグを有するタンパク質を検出するためのペンタヒスチジン抗体(モノクローナルマウス抗体、Qiagen)を用いた精製組み換えノロウイルス3Dpolのウエスタンブロット分析を示す。3Dpolは野生型ノロウイルス3Dpolであり、m3Dpolは活性部位において突然変異を有する(YGD343GD344G)ノロウイルス3Dpolであり、Mは分子量マーカー(KDa)である。
【図6A】図6には、ノロウイルス3Dpolを用いたRNA合成を示す。 (A)RNA合成は、鋳型として合成サブゲノムRNA(sG−RNA)の存在下、並びに野生型ノロウイルス3Dpol、又は活性部位において突然変異を有する(YGD343GD344G)ノロウイルス3Dpolの存在下において図のように試験した。反応生成物は、非変性アガロースゲル上で分析し、オートラジオグラフィーを用いて可視化した。T7は、T7を用いたin vitro転写により生成された合成サブゲノムRNAを示す。
【図6B】(B)同一ゲルのエチジウムブロマイド染色、及びUVトランスイルミネーションを介した反応生成物の可視化を示す。野生型3Dpolの代わりにm3Dpolを用いた反応の場合に残った可視バンドは、反応において使用した合成サブゲノムRNA鋳型に由来する。Mは、RNA分子量マーカーを示す。
【図6C】(C)ノロウイルス3Dpolを用いたin vitroにおけるRNA合成の反応生成物の鎖分離分析を示す。反応生成物は、鋳型として合成サブゲノムRNA(sG−RNA)を用い、ノロウイルス3Dpol(3Dpol)を用いた、RNA合成により生成した。反応生成物は、非変性(0.5 M;左側)及び変性(1.25 M;右側)ホルムアルデヒドアガロースゲル上で可視化した。T7は、T7を用いたin vitro転写により生成された合成サブゲノムRNAを示す。Mは、RNA分子量マーカーを示す。
【図7A】図7には、ノロウイルス3Dpol合成の生成物のノーザンブロット分析を示す。 (A)RNA合成は、鋳型として合成サブゲノムRNA(sG−RNA)の存在下、並びに野生型ノロウイルス3Dpol、又は活性部位において突然変異を有する(YGD343GD344G)ノロウイルス3Dpolの存在下において図のように実施した。反応生成物は、非変性アガロースゲル上で分析し、エチジウムブロマイド染色後、UVトランスイルミネーションにより可視化した。T7は、T7を用いたin vitro転写により調製された合成サブゲノムRNAを示す。Mは、RNA分子量マーカーを示す。野生型3Dpolの代わりにm3Dpolを用いた反応の場合に残った可視バンドは、反応において使用した鋳型に由来する。
【図7B】(B)(−)鎖RNAプローブと、ノロウイルス3Dpolの合成生成物とのハイブリダイゼーションを示す。T7は、T7を用いたin vitro転写により調製された合成サブゲノムRNAを示す。sG−RNAは、鋳型として用いた合成サブゲノムRNAを示す。3Dpolは野生型ノロウイルス3Dpolを示す。m3Dpolは活性部位において突然変異を有する(YGD343GD344G)ノロウイルス3Dpolを示す。
【図8A】図8には、ノロウイルス3Dpol活性の濃度依存性、温度依存性、及び時間に対する変動(variation in time)の分析を示す。全ての反応において、サブゲノムRNAを鋳型として使用した。 (A)ノロウイルス3Dpolの濃度依存活性を示す。ノロウイルス3Dpol濃度(μM)は図のとおりである。反応は2時間、30℃で実施した。3つの独立実験の平均値及び標準偏差を各濃度について示す。
【図8B】(B)ノロウイルス3Dpol活性の時間における変動分析を示す。[α−32P]UMPの取り込みは図のとおりである。反応は30℃で実施し、3μMのノロウイルス3Dpolを使用した。3つの独立実験の平均値及び標準偏差を各時点について示す。
【図8C】(C)ノロウイルス3Dpolの温度依存性活性を示す。[α−32P]UMPの取り込みは図のとおりである。反応時間は2時間であった。3つの独立実験の平均値及び標準偏差を各濃度について示す。
【図8D】(D)ノロウイルス3Dpol活性の金属イオン依存性を示す。RNA合成は、3μMのノロウイルス3Dpol、鋳型としてサブゲノムRNA(0.024μM)、及び増加濃度(0.5〜3 mM)のMgAcO、MnCl2、又はFeSO4の存在下、2時間、30℃で実施した。[α−32P]UMPの取り込みは図のとおりである。3つの独立実験の平均値及び標準偏差を各濃度について示す。
【図9】図9には、ホモポリマー鋳型についてのプライマー依存性RNA合成の開始を示す。RNA合成は、相補的RNAオリゴヌクレオチドプライマーの存在下(黒いバー)、又は不在下(グレーのバー)で実施した。TCA沈殿、及びG/Cガラス繊維フィルターからの回収後、[α−32P]CMP、[α−32P]AMP、[α−32P]GMP、又は[α−32P]UMPの取り込みを測定した。取り込み値を示す。
【図10A】図10には、ノロウイルス3Dpolの末端トランスフェラーゼ活性を示す。 (A)末端トランスフェラーゼ活性を調べるために、図のように、鋳型としてのサブゲノムRNA(sG−RNA)(0.024μM)、及び[α−32P]ATP、[α−32P]GTP、[α−32P]CTP、又は[α−32P]UTPの存在下、3μMのノロウイルス3Dpolを2時間、30℃でインキュベートした。反応生成物を非変性アガロースゲル上で分析し、オートラジオグラフィーにより可視化した。
【図10B】(B)鋳型としてのサブゲノムノロウイルスRNAにおける、ノロウイルス3Dpolトランスフェラーゼ活性の時間における変動実験を示す。反応は、(A)に記載のとおりに実施したが、標識ヌクレオチドとして[α−32P]UTPを用いて、示した時点(sec)で反応を止め、オートラジオグラフィーを用いて非変性アガロースゲル上で反応生成物を可視化した。T7は、T7を用いたin vitro転写により生成された合成サブゲノムRNAを示す。
【図10C】(C)鋳型としてサブゲノムRNAを用い、3μMのノロウイルス3Dpolを用いたRNA合成の時間における変動実験を示す。反応物を30℃でインキュベートし、示した時点(sec)で反応を止め、オートラジオグラフィーを用いて非変性アガロースゲル上で反応生成物を可視化した。T7は、T7を用いたin vitro転写により生成された合成サブゲノムRNAを示す。Pは、ノロウイルス3Dpol合成の生成物を示す。
【図11A】図11には、ノロウイルス3Dpolによる、全長サブゲノムポリアデニル化RNAのプライマー依存性複製を示す。全ての反応において、合成サブゲノムポリアデニル化RNAを鋳型として用いた。反応生成物は、ホルムアルデヒドアガロースゲル上で分析し、オートラジオグラフィーを介して可視化した。 (A)反応は、図のように、オリゴ(U)20 RNAプライマー(mM)の存在下で実施した。Mはマーカー(in vitroにおいて転写されたサブゲノムポリアデニル化RNA)を示す。
【図11B】(B)反応は、ポリ(A)テールに隣接する配列と相補的なRNAオリゴヌクレオチドの存在下で実施した。RNAオリゴヌクレオチドプライマー濃度(mM)は図のとおりである。Mはマーカー(in vitroにおいて転写されたサブゲノムポリアデニル化RNA)を示す。
【図12A】図12には、ノロウイルスアンチ−サブゲノムRNAについてのRNAデノボ合成の開始を示す。全ての反応において、複製のための鋳型として合成アンチ−サブゲノムRNAを使用した。RNA反応生成物は、天然アガロースゲル上で分析し、エチジウムブロマイド染色後、UVトランスイルミネーションを介して可視化した。 (A)レーン1〜3:それぞれ、野生型3Dpolの存在下、変異3Dpolの存在下、及び3Dpolの不在下におけるRNA合成。レーン4〜6:それぞれ、野生型3Dpol及び3’末端に相補的なRNAオリゴヌクレオチドの存在下、変異3Dpol及び3’末端に相補的なRNAオリゴヌクレオチドの存在下、並びに3’末端に相補的なRNAオリゴヌクレチドを有するがノロウイルス3Dpolを有さないものにおけるRNA合成。レーン7〜9:それぞれ、野生型3Dpol及び3’末端に相補的なDNAオリゴヌクレオチドの存在下、変異3Dpol及び3’末端に相補的なDNAオリゴヌクレオチドの存在下、並びに3’末端に相補的なDNAオリゴヌクレチドを有するがノロウイルス3Dpolを有さないものにおけるRNA合成。Tは鋳型RNAを示す。Rは複製生成物を示す。MはRNA分子量マーカー(Kb)を示す。
【図12B】(B)複製生成物の鎖分離分析を示す。反応生成物は、ホルムアルデヒドアガロースゲル上で分析し、エチジウムブロマイド染色後、UVトランスイルミネーションを介して可視化した。レーン1及び2は、それぞれ、鋳型(アンチ−サブゲノムRNA)、及びノロウイルス3Dpol複製生成物を示す。MはRNA分子量マーカー(Kb)を示す。
【図13】図13には、ホモポリマー鋳型についてのプライマー非依存性RNAデノボ合成の開始を示す。RNA合成は、それぞれ、ポリ(rG)、ポリ(rU)、ポリ(rC)、及びポリ(rA)鋳型について、それぞれ、非標識(cold)CTP、ATP、GTP、及びUTPの存在下(黒いバー)又は不在下(グレーのバー)において実施した。TCA沈殿、及びG/Cガラス繊維フィルターからの回収後、[α−32P]CMP、[α−32P]AMP、[α−32P]GMP、又は[α−32P]UMPの取り込みを測定した。取り込み値を示す。
【図14A】図14には、ノロウイルスRNAポリメラーゼ酵素を用いた、ウイルス及び真核生物RNAの増幅を示す。 (A)オートラジオグラフは[α−32P]UMPの取り込みを示す。反応1は、サブゲノムノロウイルスRNAを示し;反応2は、RNAの5’端に60個のヌクレオチド欠失を有するサブゲノムノロウイルスRNAを示し;反応3は、RNAの3’端に60個のヌクレオチド欠失を有するサブゲノムノロウイルスRNAを示し;反応4は、RNAの5’端及び3’端に60個のヌクレオチド欠失を有するサブゲノムノロウイルスRNAを示し;反応5及び6は、ネガティブコントロールを示し;反応7は、サブゲノムアストロウイルスRNA(血清型1型)を示し;反応8は、サブゲノムアストロウイルスRNA(血清型2型)を示し;反応9は、Xenopus laevisのelF4遺伝子の真核生物RNAを示し;反応10は、サブゲノムノロウイルス「DNA」を示し;反応11は、Xenopus laevisのelF4遺伝子のT7転写RNAを示し;反応12は、ネガティブコントロールを示す。
【図14B】(B)[α−32P]UMPの取り込みの定量化を示す。反応のナンバリングは、図14(A)のサンプルに関する。
【図15A】図15には、E. coli中におけるサポウイルス3Dpolの発現及び精製を示す。 (A)E. coli中で発現している、C末端Hisタグを保持する精製組み換えサポウイルス3DpolのSDS−PAGE分析を示す。3Dpolは野生型サポウイルス3Dpolである。m3Dpolは活性部位において突然変異を有する(YGD343GD344G)サポウイルス3Dpolである。Mは分子量マーカー(KDa)である。
【図15B】(B)C末端Hisタグを有するタンパク質を検出するためのペンタヒスチジン抗体(モノクローナルマウス抗体、Qiagen)を用いた精製組み換えサポウイルス3Dpolのウエスタンブロット分析を示す。3Dpolは野生型サポウイルス3Dpolである。m3Dpolは活性部位において突然変異を有する(YGD343GD344G)サポウイルス3Dpolである。Mは分子量マーカー(KDa)である。
【図16A】図16には、サポウイルス3Dpol活性の濃度依存性、基質依存性、温度依存性、及び金属イオン依存性を示す。全ての反応において、サブゲノムRNAを鋳型として用いた。 (A)サポウイルス3Dpolの濃度依存性活性を示す。RNA合成は、0.024μMのRNA、及び増加濃度のサポウイルス3Dpol(0.0〜5.0μM)の存在下で実施した。[α−32P]UMPの取り込みは図のとおりである。反応は、2時間、37℃で実施した。
【図16B】(B)サポウイルス3Dpol活性の基質依存性を示す。RNA合成は、3μMのサポウイルス3Dpol、及び鋳型として増加濃度のサブゲノムRNA(0.00〜0.100μM)の存在下、2時間、37℃で実施した。[α−32P]UMPの取り込みは図のとおりである。
【図16C】(C)サポウイルス3Dpolの温度依存性活性を示す。反応は、30℃又は37℃で実施し、示した時点で止めた。全ての反応において3μMのサポウイルス3Dpolを用いた。[α−32P]UMPの取り込みは図のとおりである。
【図16D】(D)サポウイルス3Dpol活性の金属イオン依存性を示す。RNA合成は、鋳型としてサブゲノムRNAを用い(0.024μM)、3μMのサポウイルス3Dpol、及び増加濃度(0.5〜5 mM)のMgAcO又はMnCl2の存在下、2時間、37℃で実施した。[α−32P]UMPの取り込みは図のとおりである。
【図17A】図17には、サポウイルス3Dpolを用いたRNA合成を示す。 (A)鋳型としての合成サブゲノムポリアデニル化RNA(sG−ポリ(A)−RNA)の存在下におけるRNA合成を、3μMのオリゴ(U)20 RNAプライマーを添加して、又は非添加で、野生型サポウイルス3Dpol(3Dpol)の存在下、又は図のように活性部位に突然変異を有する3Dpol(m3Dpol、YGD343GD344G)の存在下で調べた。反応生成物は、非変性アガロースゲル上で分析し、エチジウムブロマイド染色後、UVトランスイルミネーションを用いて可視化した。野生型3Dpolの代わりにm3Dpolを用いて実施した反応、又はオリゴ(U)20 RNAプライマーを添加しない反応において残った可視バンドは、反応において使用された合成サブゲノムRNA鋳型に由来した。T7は、T7を用いたin vitro転写により調製された合成サブゲノムRNAを示す。MはRNA分子量マーカーを示す。
【図17B】(B)サポウイルス3Dpolを用いたin vitroにおけるRNA合成の反応生成物の鎖分離分析を示す。反応生成物は、鋳型としてサブゲノムポリアデニル化RNA(sG−ポリ(A)−RNA)を用い、サポウイルス3Dpol(3Dpol)を用いたRNA合成により図のように得られた。反応生成物は、変性ホルムアルデヒドアガロースゲル上で可視化した。T7は、T7を用いたin vitro転写により調製された合成サブゲノムRNAを示す。MはRNA分子量マーカーを示す。
【図18A】図18には、アンチ−サブゲノムサポウイルスRNAのRNAデノボ合成の開始を示す。 (A)RNA合成は、鋳型としての合成アンチ−サブゲノムRNA(アンチ−sG−RNA)、及び野生型サポウイルス3Dpol(3Dpol)又は図のように活性部位に突然変異を有する3Dpol(m3Dpol、YGD343GD344G)の存在下で実施した。反応生成物は、非変性アガロースゲル上で分析し、エチジウムブロマイド染色後、UVトランスイルミネーションを介して可視化した。野生型3Dpolの代わりにm3Dpolを用いた反応において残った可視バンドは、反応において使用された合成アンチ−サブゲノムRNA鋳型に由来する。T7は、T7を用いたin vitro転写により調製された合成サブゲノムRNAを示す。MはRNA分子量マーカーを示す。
【図18B】(B)サポウイルス3Dpolを用いたin vitroにおけるRNA合成の反応生成物の鎖分離分析を示す。反応生成物は、図のように、鋳型として合成アンチ−サブゲノムRNA(アンチ−sG−RNA)を用い、サポウイルス3Dpolを用いたRNA合成により得られた。反応生成物は、変性ホルムアルデヒドアガロースゲル上で可視化した。T7は、T7を用いたin vitro転写により調製された合成アンチ−サブゲノムRNAを示す。MはRNA分子量マーカーを示す。
【図19】図19には、サポウイルス3Dpolの末端トランスフェラーゼ活性を示す。末端トランスフェラーゼ活性は、鋳型としてのサブゲノムRNA(sG−RNA)(0.024μM)、及び[α−32P]ATP、[α−32P]GTP、[α−32P]CTP、又は[α−32P]UTP(0.024μM)の存在下で2時間、37℃でインキュベートした、3μMのサポウイルス3Dpol、又は活性部位変異3Dpol(m3Dpol)を用いた反応に基づき図のように調べた。反応生成物は、非変性アガロースゲル上で分析し、オートラジオグラフィーにより可視化した。T7は、T7を用いたin vitro転写により調製された合成サブゲノムRNAを示す。
【図20】図20には、ホモポリマー鋳型についての、サポウイルス3DpolによるRNAデノボ合成の開始を示す。RNA合成は、ポリ(G)−RNA、ポリ(U)−RNA、ポリ(C)−RNA、及びポリ(A)−RNA鋳型を、[α−32P]CTP、[α−32P]ATP、[α−32P]GTP、及び[α−32P]UTPのそれぞれとともに、かつ3μMのオリゴ(C)20、オリゴ(A)20、オリゴ(G)20、又はオリゴ(U)20 RNAプライマーのそれぞれとともに又はそれぞれを含めずにインキュベートすることにより実施した。並行して、RNA合成は、オリゴ(RNA)−プライマーの不在下ではあるが、ポリ(G)−RNA、ポリ(U)−RNA、ポリ(C)−RNA、又はポリ(A)−RNA鋳型のそれぞれについて、50μMの非標識(cold)CTP、ATP、GTP、及びUTPのそれぞれの存在下で実施した。[α−32P]CMP、[α−32P]AMP、[α−32P]GMP、又は[α−32P]UMPの取り込みは図のとおりである。
【図21】図21には、E. coli中におけるベシウイルス3Dpolの発現及び精製を示す。 (A)E. coli中で発現している、C末端Hisタグを有する精製組み換えベシウイルス3DpolのSDS−PAGE分析を示す。フラクション11〜19は、Ni−NTA−カラム上でのアフィニティ精製後を示し、フラクション14の濃度を示す。Mは分子量マーカー(KDa)を示す。
【図22】図22には、ベシウイルス3Dpolを用いたRNA合成を示す。 (A)RNA合成は、鋳型としての合成サブゲノムポリアデニル化RNA(sG−ポリ(A)−RNA)の存在下、3μMのオリゴ(U)20 RNAプライマーとともに、及び前記プライマーを含めずに、野生型ベシウイルス3Dpol(3Dpol)の存在下で調べた。反応生成物は、非変性アガロースゲル上で分析し、オートラジオグラフィー後に可視化した。T7は、T7を用いたin vitro転写により調製された合成サブゲノムRNAを示す。MはRNA分子量マーカーを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RNAを増幅及び/又は標識するためのRNA依存性RNAポリメラーゼであって、前記RNA依存性RNAポリメラーゼが、「右手立体構造」を有しており、前記RNA依存性RNAポリメラーゼのアミノ酸配列が、以下の配列モチーフ:
a.XXDYS
b.GXPSG
c.YGDD
d.XXYGL
e.XXXXFLXRXX
[ここで、これらは以下の意味:
D:アスパラギン酸
Y:チロシン
S:セリン
G:グリシン
P:プロリン
L:ロイシン
F:フェニルアラニン
R:アルギニン
X:任意のアミノ酸
を有する]
を含むことを特徴とする、RNA依存性RNAポリメラーゼ。
【請求項2】
前記RNA依存性RNAポリメラーゼが、カリシウイルス科(Caliciviridae科)のウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼであることを特徴とする、請求項1記載のRNA依存性RNAポリメラーゼ。
【請求項3】
前記RNA依存性RNAポリメラーゼが、カリシウイルス科(Caliciviridae科)のヒト及び/又は非ヒト病原性ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼであることを特徴とする、請求項2記載のRNA依存性RNAポリメラーゼ。
【請求項4】
前記RNA依存性RNAポリメラーゼが、ノロウイルス、サポウイルス、ベシウイルス、又はラゴウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼであることを特徴とする、請求項3記載のRNA依存性RNAポリメラーゼ。
【請求項5】
前記RNA依存性RNAポリメラーゼが、ノロウイルス株、例えばノロウイルス株HuCV/NL/Dresden174/1997/GE、又はサポウイルス株、例えばサポウイルス株pJG−Sap01、又はベシウイルス株、例えばベシウイルス株FCV/Dresden/2006/GEのRNA依存性RNAポリメラーゼであることを特徴とする、請求項4記載のRNA依存性RNAポリメラーゼ。
【請求項6】
前記RNA依存性RNAポリメラーゼが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、又は配列番号6に従ったタンパク質であることを特徴とする、請求項4記載のRNA依存性RNAポリメラーゼ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項で定義されたとおりのRNA依存性RNAポリメラーゼを用いたRNA増幅方法であって、以下の工程:
a.オリゴヌクレオチドプライマーの存在又は不在下、前記RNA依存性RNAポリメラーゼを前記RNA鋳型とアニーリングする工程;
b.前記RNA依存性RNAポリメラーゼにより、前記RNA鋳型をアンチセンス−RNAへと転写する工程;
c.前記RNA/アンチセンス−RNA二本鎖を個別の鎖へと分離する工程、
を含む、RNA増幅方法。
【請求項8】
前記RNA/アンチセンス−RNA二本鎖を個別の鎖へと分離する工程が、熱変性により、化学変性により、及び/又は酵素的に起こることを特徴とする、請求項7記載のRNA増幅方法。
【請求項9】
前記RNA/アンチセンス−RNA二本鎖を個別のRNA鎖へと酵素的に分離する工程が、二本鎖RNAを一本鎖RNAへと分離できる酵素により実施されることを特徴とする、請求項8記載のRNA増幅方法。
【請求項10】
前記RNA鋳型の一部とハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーを使用し、前記プライマーが、前記RNA依存性RNAポリメラーゼのアニーリング後に、前記RNA鋳型の配列に従って前記RNA依存性RNAポリメラーゼにより伸長されることを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項に記載のプライマー依存性RNA増幅方法。
【請求項11】
ヘテロポリマー若しくはホモポリマーRNAプライマー又はDNAプライマーをプライマーとして使用することを特徴とする、請求項10記載のプライマー依存性RNA増幅方法。
【請求項12】
前記プライマーが、ポリ−U−RNA、ポリ−A−RNA、ポリ−C−RNA、若しくはポリ−G−RNAプライマー、又は任意のホモポリマーオリゴ−RNAプライマーであることを特徴とする、請求項11記載のプライマー依存性RNA増幅方法。
【請求項13】
前記RNA鋳型の一部とハイブリダイズするプライマーのいずれも使用されず、かつ前記プライマーが、前記RNA依存性RNAポリメラーゼのアニーリング後に、前記RNA鋳型の配列に従って前記RNA依存性RNAポリメラーゼにより伸長されないことを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項記載のプライマー非依存性RNA増幅方法。
【請求項14】
前記RNA鋳型の一部とハイブリダイズするプライマーのいずれをも使用せず、GTPが単一ヌクレオチドとして使用され、前記RNA鋳型の配列に従って前記RNA依存性RNAポリメラーゼにより伸長されることを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項記載のプライマー非依存性ポリ(C)−RNA増幅方法。
【請求項15】
請求項1乃至6のいずれか一項で定義されたとおりのRNA依存性RNAポリメラーゼを用いたRNA標識方法であって、以下の工程:
a.標識されるべき前記RNAに前記RNA依存性RNAポリメラーゼをアニーリングする工程;
b.標識されるべき前記RNAの3’端に少なくとも1つのヌクレオチドを添加する工程、
を含む、RNA標識方法。
【請求項16】
RNAを増幅及び/又は標識するための、請求項1乃至6のいずれか一項で定義されたとおりのRNA依存性RNAポリメラーゼの使用。
【請求項17】
a.請求項1乃至6のいずれか一項で定義されたとおりのRNA依存性RNAポリメラーゼ;
b.適した反応バッファー;
c.NTP;
d.任意選択でRNase阻害剤;
e.任意選択で反応停止液、
を含む、請求項7に従ったRNA増幅用キット。
【請求項18】
a.請求項1乃至6のいずれか一項で定義されたとおりのRNA依存性RNAポリメラーゼ;
b.適した反応バッファー;
c.NTP;
d.任意選択でRNase阻害剤;
e.任意選択で反応停止液;
f.ヘリカーゼ、
を含む、請求項9に従ったRNA増幅用キット。
【請求項19】
a.請求項1乃至6のいずれか一項で定義されたとおりのRNA依存性RNAポリメラーゼ;
b.適した反応バッファー;
c.NTP;
d.任意選択でRNase阻害剤;
e.任意選択で反応停止液;
f.プライマー、
を含む、請求項10に従ったプライマー依存性RNA増幅用キット。
【請求項20】
a.請求項1乃至6のいずれか一項で定義されたとおりのRNA依存性RNAポリメラーゼ;
b.適した反応バッファー;
c.NTP;
d.任意選択でRNase阻害剤;
e.任意選択で反応停止液、
を含む、請求項13に従ったプライマー非依存性RNA増幅用キット。
【請求項21】
a.請求項1乃至6のいずれか一項で定義されたとおりのRNA依存性RNAポリメラーゼ;
b.適した反応バッファー;
c.CTP又はUTP又はATP又はGTP又は任意のヌクレオチド;
d.任意選択でRNase阻害剤;
e.任意選択で反応停止液、
を含む、請求項15に従ったRNA標識用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図19】
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【図20】
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【図8D】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2009−502145(P2009−502145A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523122(P2008−523122)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001326
【国際公開番号】WO2007/012329
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508024393)テヒニシェ・ウニヴェルジテート・ドレスデン (2)
【Fターム(参考)】