RRO算出方法、RRO補償値の算出方法、及び記録媒体
【課題】RRO算出方法、RRO補償値の算出方法、及び記録媒体を提供すること。
【解決手段】トラックを有するディスクに作用する反復的な外乱であるRROを算出する方法において、ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされた位置エラー信号(PES)を周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と、周波数係数の第1セットに基づいて前記RROを算出する過程と、を含むことを特徴とする。
【解決手段】トラックを有するディスクに作用する反復的な外乱であるRROを算出する方法において、ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされた位置エラー信号(PES)を周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と、周波数係数の第1セットに基づいて前記RROを算出する過程と、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RRO算出方法、RRO補償値の算出方法、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近日、MR(Magneto−Resistance)ヘッド技術の発展に伴い、ハードディスクドライブ(HDD)の保存密度は急激に増加しつつある。例えば、ディスク1枚当たり80GByteのデータを保存可能な製品が開発された。このような製品のトラック密度は、93,000TPI(Track Per Inch)であって、トラック幅は0.27μm程度である。さらに、ディスク1枚当たり120GByteのデータを保存できる製品が開発されると予測される。このように微小なトラック内において、ヘッドがデータを正確に記録/再生するためには、非常に精巧なヘッド位置制御技術が必要である。
【0003】
HDDにおけるヘッド位置は、ヘッドが目標トラックの中心を正確に追従するように制御される。ところが、制御器がどんなに正確に制御しても、様々な外乱によって制御誤差が発生する。HDDの外乱は、ディスクの偏心により発生するRRO(Repeatable RunOut:RRO)と呼ばれる周期的な外乱(Repeatable disturbance)と、外部の衝撃によるディスクの振動により発生するNRRO(Non−Repeatable RunOut)と呼ばれる非周期的な外乱(non−repeatable disturbance)とに区分される。
【0004】
ここで、周期的という意味は、外乱の大きさ及び位相が周期的に変化すること、すなわち、外乱が周期的に発生し、かつディスクのサーボセクタに同期されていることをいう。RROは、ディスクの中心がディスクの回転中心から離脱する偏心によって発生する。
【0005】
特に、Off−Line Servo Writing方式を使用する場合、RROはさらに明確に現れる。例えば、Off−Line Servo Writing方式を使用して93,000TPIの記録密度を有するHDDのディスクを組立てた場合、200トラック以上のRRO誤差が予想される。このようなRRO誤差は、HDDの性能を極度に低下させるため、補償対策が必要である。
【0006】
図1は、トラック追従装置の構成を示すブロック図である。トラック追従状態におけるトラック追従装置は、図1に示すように簡略化されうる。図1において、Ucは制御器102の制御出力、yはプラント104からの例えばヘッドの位置などの出力であり、dは外乱(d=drro+dnrro)、そしてPESは、制御器102に入力される位置エラー信号(Position Error Signal:PES)である。
【0007】
理想的なトラック追従状態で基準入力は0であるので、PESは、外乱dによるものと見なされうる。図1に示されたトラック追従装置において、制御器102及びプラント104の伝達関数をそれぞれC(z)及びP(z)とすれば、n番目のサーボサンプルにおけるPES、すなわち、PES(n)は、次の数式1で表現される。
【数1】
ここで、d(n)は、n番目のサーボサンプルにおける外乱の大きさを表す。
【0008】
数式1から反復的な外乱drro(n)は、次の数式2で表現される。
【数2】
ここで、Sは、図1に示されたトラック追従装置の制御器102及びプラント104による敏感度関数であり、RPESは、drroによるPESである。
【0009】
数式2を参照すれば、drro(n)は、RPES(n)、P(z)、そしてC(z)により決定され、RPESは、トラック追従状態でPESをサンプリングすることにより、そしてP(z)及びC(z)は、既知の値を使用することによりdrroを求められるということが分かる。数式2を用いて、drro(n)を算出するに当って、P(z)及びC(z)は既知の固定値であるので、RPES(n)を正確に測定する必要がある。すなわち、NRROによる影響を排除できるようにディスクの1回転ごとにPESを測定し、これをディスクの数回の回転にわたって平均することが必要である。
【0010】
得られたdrroからRROを補償するためのRRO補償値Rdrro(図面ではdrrоのdの上部に「^」を付して示している。)が得られた後、このRdrroは、図1のRROルックアップ(検索)テーブル106に保存される。RRO(drro)を補償するためのRRO補償値Rdrroは、HDDのバーンインテスト工程により得られ、ディスクに保存される。ユーザーの環境でHDDは、ディスクに保存されたRdrroを読み取り、図1のルックアップテーブル106に保存する。
【0011】
図2は、RRO補償値を算出する従来の方法を示すフローチャートである。
【0012】
まず、ヘッドが目標トラックを追従するようにトラックの追従を行う(S202)。目標トラックを追従する間に平均PESをサンプリングする(S204)。PESは、サーボサンプルに相当する時間間隔でサンプリングされる。PESは、ディスクが所定の回転数ほど回転する間に検出され、平均PESであるPESAVGが得られる。
【0013】
数式2を使用してdrroを算出する(S206)。ディスクが所定の回転数ほど回転する間、さらにdrroを算出して、再算出されたdrroにより以前のdrroでのエラーを補正する(S208)。
【0014】
S206過程で得られた最初のdrroをrcd0とすれば、i番目のサーボサンプルに対するrcd0(i)は、次の数式3のように表現される。
【数3】
ここで、servo_sector_maxは、該当トラックのサーボセクタ数である。
【0015】
S208過程で得られたk+1番目の更新ステップにより得られるエラー補正されたrcdk+1(i)は、次の数式4のように表現される。
【数4】
ここで、mは0≦mを満足する整数であり、更新次数を示す。
【0016】
RRO補償値Rdrroを得る(S210)。図2に示すような従来のRRO算出方法は、PES信号を得るための時間及びRRO算出のために長い演算時間がかかるという問題点がある。平均PESサンプリング過程(S204過程)で目標トラックの平均PESを得るためには、ディスクを2回転〜4回転させなければならず、エラー補正過程(S208過程)でもやはり平均PESサンプリング過程(S204過程)でのように同じ回数だけディスクを回転させなければならず、かつエラー補正過程(S208過程)を2回以上行わせてこそ満足な正確度を有するRROを算出できる。
【0017】
すなわち、RROを算出するためにディスクを2回以上回転させて平均PESを得ることを複数回反復しなければならないため、RROを算出するために長時間がかかる。RRO補正値であるRdrroは、ディスク別、トラック別、セクタ別に得られる。ディスクのあらゆるトラックに対するdrroを得るためには、1トラック当り所要時間と、ディスクの総トラック数とを乗じた時間がかかる。したがって、高密度HDDであるほどRRO補償値Rdrroを算出するために長時間がかかり、これは、生産コストを増大させる要因となる。また、数式2は、周波数領域と時間領域との乗算、すなわち、コンボリューション演算であるので、数式2の計算に長時間がかかる。
【0018】
一方、数式2におけるプラント104の伝達関数P(z)は、モデリングによる値であるので、実際のプラントとモデリングされたプラントとの間に不一致が生じうる。同じ仕様で設計されたHDDでさえ偏差は存在するので、プラント104の伝達関数P(z)もそれぞれのHDDごとに異なりうる。
【0019】
従来のRRO算出方法によれば、HDDごとのP(z)偏差が考慮されていないため、各HDDに合う正確なRRO補償値を得ることが困難である。
【0020】
特許文献1、特許文献2などには、HDDそれぞれのP(z)を考慮したRRO補償値の算出方法が開示されている。しかし、このような方法もコンボリューション演算を用いているので、RROを算出するために長時間がかかる。
【特許文献1】米国特許第5,793,559号明細書
【特許文献2】米国特許第6,061,200号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、HDDのRROを算出するための時間を最小化することが可能な、新規かつ改良されたRRO算出方法、RRO補償値の算出方法、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、トラックを有するディスクに作用する反復的な外乱であるRROを算出する方法において、ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされた位置エラー信号(PES)を周波数領域で分析して、前記RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットに基づいて前記RROを算出する過程とを含むことを特徴とする、RRO算出方法が提供される。
【0023】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して回帰分析を行うことによって周波数係数を得るようにしてもよい。
【0024】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と
をさらに含むようにしてもよい。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置で、反復的な外乱を補償するためのRRO補償値の算出方法において、ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットによって前記トラック追従装置の敏感度関数を算出する過程と、前記敏感度関数及び前記周波数係数の第1セットに基づいてRRO補償値を算出する過程とを含むことを特徴とする、RRO補償値の算出方法が提供される。
【0026】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して回帰分析を行うことによって周波数係数を得るようにしてもよい。
【0027】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と
をさらに含むようにしてもよい。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置における反復的な外乱を算出する方法を記録した記録媒体において、ヘッドが目標トラックを追従する間に目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットに基づいてRROを算出する過程と
を含むプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体が提供される。
【0029】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して、回帰分析を行うことによって周波数係数を得るプログラムが記録されるようにしてもよい。
【0030】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程とをさらに含むプログラムが記録されるようにしてもよい。
【0031】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置における反復的な外乱を補償するためのRRO補償値を算出するプログラムが記録された記録媒体において、ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットによって前記トラック追従装置の敏感度関数を算出する過程と、前記敏感度関数及び前記周波数係数の第1セットに基づいてRRO補償値を算出する過程とを含むプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体が提供される。
【0032】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して、回帰分析を行うことによって周波数係数を得るプログラムが記録されるようにしてもよい。
【0033】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程とをさらに含むプログラムが記録されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、本発明によるRRO算出方法によれば、HDDのRROを算出するための時間を最小化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0036】
反復的であってN個のサンプルを有する時間領域の信号x(n)は、次の数式5のように0〜(N−1)個の周波数成分を有する離散フーリエ信号で表現される。
【数5】
ここで、nは0≦n<N−1の時間領域の整数変数であり、iは0≦i<N−1である周波数領域の整数変数である。
【0037】
一方、x(n)のl番目の周波数成分xl(n)は、次の数式6のように表現される。
【数6】
ここで、X(l)=Xr(l)+jXi(l)、W1(l)=2Xr(l)、そしてW0(l)=−2Xi(l)である。
【0038】
数式5で、x(n)は、次の数式7のように表現される。
【数7】
【0039】
q=1,2,…、NそしてYr(0)=0,Yi(0)=0という条件下で回帰分析によってXr及びXiは、次の数式8のように表現される。
【数8】
ここで、qは、0〜(N−1)の時間領域でのサンプルを保存するキューのインデックスであり、Yr及びYiは、キューに保存されたx(0)〜x(N−1)個のサンプルに対して回帰分析して得られる値である。
【0040】
数式8により次の数式9が得られる。
【数9】
数式8及び9を参照すれば、N個にサンプリングされた時間領域の信号x(n)をN個のキューに順次に入力し、N個のキューに保存されたサンプルを回帰分析することによって、反復的な時間領域の信号x(n)の周波数係数X(i)が得られるということが分かる。
【0041】
言い換えれば、時間領域のPES(n)をN個のキューに保存し、これを回帰分析することによって、PES(n)の周波数係数、すなわち、RROを周波数領域で表現するための周波数係数が得られるということを表す。
【0042】
時間領域のRPES(t)を周波数領域で表現すれば、次の数式10のようである。
【数10】
ここで、kは高調波の次数であり、Ωは基本角周波数である。7,200rpmのHDDにおける基本周波数は、fは120Hzであり、基本角周波数は2πfである。
【0043】
また、w0とw1は、周波数係数を示し、Tsは、サーボサンプル間の時間間隔、すなわち、サンプリングタイムを示す。
w0とw1は、数式5〜9を参照して説明したようにPES(n)を回帰分析することにより得られる。数式5〜9を参照すれば、sin及びcos演算が大部分であり、また、sin及びcos演算機能は、現在大部分のDSP(Digital Signal Processor)で提供される機能であるので、RROを示すための周波数係数を簡単に算出できる。
【0044】
実際の適用においてa〜b次数の高調波が支配的であれば、必要なRPESab(nTs)は数式11のように表現される。
【数11】
このような周波数選択性を用いてRRO補償のためのリソースを減らすことができる。
【0045】
同様に、RRO補償値Rdrroを周波数領域で表現すれば、次の数式12のようである。
【数12】
【0046】
ここで、v0及びv1は、周波数係数を示し、w0及びw1との関係は、次の数式13のようである。
【数13】
ここで、Sは、図1に示すようなトラック追従装置の敏感度関数であり、Srは、Sの実数成分であり、Siは、Sの虚数成分である。
【0047】
数式10〜13を参照すれば、PES(n)を回帰分析することによってw0及びw1を求め、w0及びw1によってv0及びv1を(nTs)求めば、Rdrro(nTs)が求められるということが分かる。
【0048】
w0及びw1は、回帰分析により得られるので、ディスクの数回転に対して得られる平均PESでなく、ディスクの1回転に対して得られるPES(n)だけでも高い正確性をもってRROを算出できる。平均PESを使用すれば、正確度をさらに高めうる。
【0049】
本実施形態によれば、w0及びw1は回帰分析により得られるので、フーリエ変換を使用することに比べて、簡単で迅速にRROを示すための周波数係数が求められる。一方、v0及びv1は、周波数領域での乗算によって求められるので、コンボリューション演算に比べて速い速度で演算できる。
【0050】
一方、数式13における敏感度関数Sは、周波数領域で得られたスカラー値である。敏感度関数Sは、ある周波数でのPESを該当周波数でのdrroで割ることによって得られる。これは、従来の方法とは違って、実際の敏感度関数、すなわち実際のプラント伝達関数P(z)を使用することを意味するので、本実施形態によれば、HDDの偏差に関係なく正確な敏感度関数を適用してRRO補償値を得ることができる。
【0051】
図3は、本実施形態によるRRO補償値の算出方法を示すフローチャートである。
【0052】
まず、ヘッドが目標トラックを追従するようにトラック追従モードを行う(S302)。
目標トラックを追従する間にPESをサンプリングする(S304)。PESは、サーボサンプルに相当する時間間隔でサンプリングされる。
【0053】
数式5〜9を用いてN個のPESサンプルから回帰分析によってRROを示すための、第1セットとしての周波数係数の集合w0及びw1を算出する(S306)。ここで、w0は虚数成分の周波数係数の集合であり、w1は実数成分の周波数係数の集合である。
【0054】
ディスクが1回転する間、さらに第2セットとしての周波数係数の集合w0及びw1を算出し(S308)、後に算出された周波数係数の集合w0及びw1を用いて、最小平均エラーによって前に算出されたw0及びw1を補正する(S310)。
【0055】
最小平均エラーによる補正は、次の数式14のように表現される。
【数14】
ここで、Nは目標トラックのセクタ数であり、mは更新次数を示す。
【0056】
数式10〜13を用いてRROの補償値であるRdrroを算出する(S312)。Rdrroをディスクに保存する。本出願人により出願された米国特許第6,049,440号明細書を参照すれば、Rdrroをディスクのサーボセクタに記録することが開示される。
【0057】
図4は、トラック追従においてRRO補償を適用しなかった場合の結果を示す波形図である。図4に示された方法は、図4を参照すれば、RROによる標準偏差が8.4であり、全体的に14.0の標準偏差を有することが分かる。ここで、トラックは、全て512個のステップに分割され、標準偏差が14ということは、トラック中心線から14ステップ内でヘッドが追従していることを示す。
【0058】
図5は、図4に該当する反復的な外乱の周波数係数を示すグラフである。図5における横軸は、高調波の次数を示す。RROの基本周波数は、HDDの規定回転速度によって決定される。例えば、7,200rpmで回転するディスクの場合、基本周波数は120Hzである。
【0059】
図6及び図7は、従来の方法によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。図6及び図7には、ディスクの4回転に対して平均PESを得て、かつ2回のエラー補正を行った結果を示す。
【0060】
図6を参照すれば、RROによる標準偏差が5.5であり、全体的に12.7の標準偏差を有することが分かる。すなわち、RRO補償を適用することによって、ヘッドがトラック中心をさらに安定的に追従するということが分かる。また、図7を参照すれば、エラー補正を適用することによって、RRO補償の効果が向上することが分かる。
【0061】
図8及び図9は、本実施形態の方法によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。図8及び図9には、ディスクの4回転に対して平均PESを得るが、エラー補正を行わない結果を示す。
【0062】
図8を参照すれば、RROによる標準偏差が5.4であり、全体的に12.8の標準偏差を有することが分かる。図6及び図8を参照すれば、本実施形態によれば、エラー補正を行わなくても従来の方法に比べてRRO補償の効果が向上するということが分かる。
【0063】
図10及び図11は、本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す他の波形図である。図10及び図11には、ディスクの3回転に対して平均PESを得るが、エラー補正を行わなかった場合の結果を示す。
【0064】
図10を参照すれば、RROによる標準偏差が5.5であり、全体的に13.0の標準偏差を有することが分かる。図10及び図8を参照すれば、本実施形態の方法において、さらに少ないディスク回転に対して平均PESを得たことにもかかわらず、従来の方法と同じような性能を示すことが分かる。
【0065】
図12及び図13は、本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す他の波形図である。図12及び図13には、ディスクの2回転に対して平均PESを得るが、エラー補正を行わない結果を示す。
【0066】
図12を参照すれば、RROによる標準偏差が6.7であり、全体的に13.1の標準偏差を有することが分かる。図12及び図10を参照すれば、本実施形態の方法によりディスクの回転数に関係なく同じような性能を示すことが分かる。
【0067】
図14及び図15は、本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。図14及び図15には、ディスクの3回転に対して平均PESを得て、1回のエラー補正を行った結果を示す。
【0068】
図14を参照すれば、RROによる標準偏差が5.2であり、全体的に12.6の標準偏差を有することが分かる。図14及び図6を参照すれば、本実施形態の方法によりさらに少ないディスク回転数によって平均PESを得て、さらに少ない回数のエラー補正を行ったにもかかわらず、従来の方法より優れた性能を示すことが分かる。
【0069】
図16及び図17は、本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。図16及び図17には、ディスクの3回転に対して平均PESを得て、ディスクの2回転に対して得た平均PESによって1回のエラー補正を行った結果を示す。
【0070】
図16を参照すれば、RROによる標準偏差が4.8であり、12.4の標準偏差を有することが分かる。図16及び図14を参照すれば、本実施形態の方法により、さらに少ないディスク回転数によりエラー補正を行ったにもかかわらず、性能の差がほとんどないことが分かる。
【0071】
図18及び図19は、本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。図18及び図19には、ディスクの2回転に対して平均PESを得て、ディスクの2回転に対して得たものにより1回のエラー補正を行った結果を示す。
図18を参照すれば、RROによる標準偏差が4.9であり、全体的に12.6の標準偏差を有することが分かる。図18及び図16を参照すれば、本実施形態の方法により、さらに少ないディスク回転数によってRRO補償値及びエラー補正を行ったにもかかわらず、性能の差がほとんどないことが分かる。
【0072】
本発明は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータ(情報処理機能を持つ装置を何れも含む)が読み取り可能なコードとして具現することが可能である。コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータが読み取り可能な記録装置の例としては、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ保存装置などがある。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、記録媒体関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】トラック追従装置の構成を示すブロック図である。
【図2】RRO補償値を算出する従来の方法を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態によるRRO補償値の算出方法を示すフローチャートである。
【図4】トラック追従においてRRO補償を適用しない結果を示す波形図である。
【図5】図4に該当する反復的な外乱の周波数係数を示すグラフである。
【図6】従来の方法によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。
【図7】従来の方法によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。
【図8】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。
【図9】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。
【図10】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す他の波形図である。
【図11】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す他の波形図である。
【図12】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図13】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図14】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図15】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図16】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図17】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図18】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図19】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、RRO算出方法、RRO補償値の算出方法、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近日、MR(Magneto−Resistance)ヘッド技術の発展に伴い、ハードディスクドライブ(HDD)の保存密度は急激に増加しつつある。例えば、ディスク1枚当たり80GByteのデータを保存可能な製品が開発された。このような製品のトラック密度は、93,000TPI(Track Per Inch)であって、トラック幅は0.27μm程度である。さらに、ディスク1枚当たり120GByteのデータを保存できる製品が開発されると予測される。このように微小なトラック内において、ヘッドがデータを正確に記録/再生するためには、非常に精巧なヘッド位置制御技術が必要である。
【0003】
HDDにおけるヘッド位置は、ヘッドが目標トラックの中心を正確に追従するように制御される。ところが、制御器がどんなに正確に制御しても、様々な外乱によって制御誤差が発生する。HDDの外乱は、ディスクの偏心により発生するRRO(Repeatable RunOut:RRO)と呼ばれる周期的な外乱(Repeatable disturbance)と、外部の衝撃によるディスクの振動により発生するNRRO(Non−Repeatable RunOut)と呼ばれる非周期的な外乱(non−repeatable disturbance)とに区分される。
【0004】
ここで、周期的という意味は、外乱の大きさ及び位相が周期的に変化すること、すなわち、外乱が周期的に発生し、かつディスクのサーボセクタに同期されていることをいう。RROは、ディスクの中心がディスクの回転中心から離脱する偏心によって発生する。
【0005】
特に、Off−Line Servo Writing方式を使用する場合、RROはさらに明確に現れる。例えば、Off−Line Servo Writing方式を使用して93,000TPIの記録密度を有するHDDのディスクを組立てた場合、200トラック以上のRRO誤差が予想される。このようなRRO誤差は、HDDの性能を極度に低下させるため、補償対策が必要である。
【0006】
図1は、トラック追従装置の構成を示すブロック図である。トラック追従状態におけるトラック追従装置は、図1に示すように簡略化されうる。図1において、Ucは制御器102の制御出力、yはプラント104からの例えばヘッドの位置などの出力であり、dは外乱(d=drro+dnrro)、そしてPESは、制御器102に入力される位置エラー信号(Position Error Signal:PES)である。
【0007】
理想的なトラック追従状態で基準入力は0であるので、PESは、外乱dによるものと見なされうる。図1に示されたトラック追従装置において、制御器102及びプラント104の伝達関数をそれぞれC(z)及びP(z)とすれば、n番目のサーボサンプルにおけるPES、すなわち、PES(n)は、次の数式1で表現される。
【数1】
ここで、d(n)は、n番目のサーボサンプルにおける外乱の大きさを表す。
【0008】
数式1から反復的な外乱drro(n)は、次の数式2で表現される。
【数2】
ここで、Sは、図1に示されたトラック追従装置の制御器102及びプラント104による敏感度関数であり、RPESは、drroによるPESである。
【0009】
数式2を参照すれば、drro(n)は、RPES(n)、P(z)、そしてC(z)により決定され、RPESは、トラック追従状態でPESをサンプリングすることにより、そしてP(z)及びC(z)は、既知の値を使用することによりdrroを求められるということが分かる。数式2を用いて、drro(n)を算出するに当って、P(z)及びC(z)は既知の固定値であるので、RPES(n)を正確に測定する必要がある。すなわち、NRROによる影響を排除できるようにディスクの1回転ごとにPESを測定し、これをディスクの数回の回転にわたって平均することが必要である。
【0010】
得られたdrroからRROを補償するためのRRO補償値Rdrro(図面ではdrrоのdの上部に「^」を付して示している。)が得られた後、このRdrroは、図1のRROルックアップ(検索)テーブル106に保存される。RRO(drro)を補償するためのRRO補償値Rdrroは、HDDのバーンインテスト工程により得られ、ディスクに保存される。ユーザーの環境でHDDは、ディスクに保存されたRdrroを読み取り、図1のルックアップテーブル106に保存する。
【0011】
図2は、RRO補償値を算出する従来の方法を示すフローチャートである。
【0012】
まず、ヘッドが目標トラックを追従するようにトラックの追従を行う(S202)。目標トラックを追従する間に平均PESをサンプリングする(S204)。PESは、サーボサンプルに相当する時間間隔でサンプリングされる。PESは、ディスクが所定の回転数ほど回転する間に検出され、平均PESであるPESAVGが得られる。
【0013】
数式2を使用してdrroを算出する(S206)。ディスクが所定の回転数ほど回転する間、さらにdrroを算出して、再算出されたdrroにより以前のdrroでのエラーを補正する(S208)。
【0014】
S206過程で得られた最初のdrroをrcd0とすれば、i番目のサーボサンプルに対するrcd0(i)は、次の数式3のように表現される。
【数3】
ここで、servo_sector_maxは、該当トラックのサーボセクタ数である。
【0015】
S208過程で得られたk+1番目の更新ステップにより得られるエラー補正されたrcdk+1(i)は、次の数式4のように表現される。
【数4】
ここで、mは0≦mを満足する整数であり、更新次数を示す。
【0016】
RRO補償値Rdrroを得る(S210)。図2に示すような従来のRRO算出方法は、PES信号を得るための時間及びRRO算出のために長い演算時間がかかるという問題点がある。平均PESサンプリング過程(S204過程)で目標トラックの平均PESを得るためには、ディスクを2回転〜4回転させなければならず、エラー補正過程(S208過程)でもやはり平均PESサンプリング過程(S204過程)でのように同じ回数だけディスクを回転させなければならず、かつエラー補正過程(S208過程)を2回以上行わせてこそ満足な正確度を有するRROを算出できる。
【0017】
すなわち、RROを算出するためにディスクを2回以上回転させて平均PESを得ることを複数回反復しなければならないため、RROを算出するために長時間がかかる。RRO補正値であるRdrroは、ディスク別、トラック別、セクタ別に得られる。ディスクのあらゆるトラックに対するdrroを得るためには、1トラック当り所要時間と、ディスクの総トラック数とを乗じた時間がかかる。したがって、高密度HDDであるほどRRO補償値Rdrroを算出するために長時間がかかり、これは、生産コストを増大させる要因となる。また、数式2は、周波数領域と時間領域との乗算、すなわち、コンボリューション演算であるので、数式2の計算に長時間がかかる。
【0018】
一方、数式2におけるプラント104の伝達関数P(z)は、モデリングによる値であるので、実際のプラントとモデリングされたプラントとの間に不一致が生じうる。同じ仕様で設計されたHDDでさえ偏差は存在するので、プラント104の伝達関数P(z)もそれぞれのHDDごとに異なりうる。
【0019】
従来のRRO算出方法によれば、HDDごとのP(z)偏差が考慮されていないため、各HDDに合う正確なRRO補償値を得ることが困難である。
【0020】
特許文献1、特許文献2などには、HDDそれぞれのP(z)を考慮したRRO補償値の算出方法が開示されている。しかし、このような方法もコンボリューション演算を用いているので、RROを算出するために長時間がかかる。
【特許文献1】米国特許第5,793,559号明細書
【特許文献2】米国特許第6,061,200号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、HDDのRROを算出するための時間を最小化することが可能な、新規かつ改良されたRRO算出方法、RRO補償値の算出方法、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、トラックを有するディスクに作用する反復的な外乱であるRROを算出する方法において、ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされた位置エラー信号(PES)を周波数領域で分析して、前記RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットに基づいて前記RROを算出する過程とを含むことを特徴とする、RRO算出方法が提供される。
【0023】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して回帰分析を行うことによって周波数係数を得るようにしてもよい。
【0024】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と
をさらに含むようにしてもよい。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置で、反復的な外乱を補償するためのRRO補償値の算出方法において、ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットによって前記トラック追従装置の敏感度関数を算出する過程と、前記敏感度関数及び前記周波数係数の第1セットに基づいてRRO補償値を算出する過程とを含むことを特徴とする、RRO補償値の算出方法が提供される。
【0026】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して回帰分析を行うことによって周波数係数を得るようにしてもよい。
【0027】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と
をさらに含むようにしてもよい。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置における反復的な外乱を算出する方法を記録した記録媒体において、ヘッドが目標トラックを追従する間に目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットに基づいてRROを算出する過程と
を含むプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体が提供される。
【0029】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して、回帰分析を行うことによって周波数係数を得るプログラムが記録されるようにしてもよい。
【0030】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程とをさらに含むプログラムが記録されるようにしてもよい。
【0031】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置における反復的な外乱を補償するためのRRO補償値を算出するプログラムが記録された記録媒体において、ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットによって前記トラック追従装置の敏感度関数を算出する過程と、前記敏感度関数及び前記周波数係数の第1セットに基づいてRRO補償値を算出する過程とを含むプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体が提供される。
【0032】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して、回帰分析を行うことによって周波数係数を得るプログラムが記録されるようにしてもよい。
【0033】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と、前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程とをさらに含むプログラムが記録されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、本発明によるRRO算出方法によれば、HDDのRROを算出するための時間を最小化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0036】
反復的であってN個のサンプルを有する時間領域の信号x(n)は、次の数式5のように0〜(N−1)個の周波数成分を有する離散フーリエ信号で表現される。
【数5】
ここで、nは0≦n<N−1の時間領域の整数変数であり、iは0≦i<N−1である周波数領域の整数変数である。
【0037】
一方、x(n)のl番目の周波数成分xl(n)は、次の数式6のように表現される。
【数6】
ここで、X(l)=Xr(l)+jXi(l)、W1(l)=2Xr(l)、そしてW0(l)=−2Xi(l)である。
【0038】
数式5で、x(n)は、次の数式7のように表現される。
【数7】
【0039】
q=1,2,…、NそしてYr(0)=0,Yi(0)=0という条件下で回帰分析によってXr及びXiは、次の数式8のように表現される。
【数8】
ここで、qは、0〜(N−1)の時間領域でのサンプルを保存するキューのインデックスであり、Yr及びYiは、キューに保存されたx(0)〜x(N−1)個のサンプルに対して回帰分析して得られる値である。
【0040】
数式8により次の数式9が得られる。
【数9】
数式8及び9を参照すれば、N個にサンプリングされた時間領域の信号x(n)をN個のキューに順次に入力し、N個のキューに保存されたサンプルを回帰分析することによって、反復的な時間領域の信号x(n)の周波数係数X(i)が得られるということが分かる。
【0041】
言い換えれば、時間領域のPES(n)をN個のキューに保存し、これを回帰分析することによって、PES(n)の周波数係数、すなわち、RROを周波数領域で表現するための周波数係数が得られるということを表す。
【0042】
時間領域のRPES(t)を周波数領域で表現すれば、次の数式10のようである。
【数10】
ここで、kは高調波の次数であり、Ωは基本角周波数である。7,200rpmのHDDにおける基本周波数は、fは120Hzであり、基本角周波数は2πfである。
【0043】
また、w0とw1は、周波数係数を示し、Tsは、サーボサンプル間の時間間隔、すなわち、サンプリングタイムを示す。
w0とw1は、数式5〜9を参照して説明したようにPES(n)を回帰分析することにより得られる。数式5〜9を参照すれば、sin及びcos演算が大部分であり、また、sin及びcos演算機能は、現在大部分のDSP(Digital Signal Processor)で提供される機能であるので、RROを示すための周波数係数を簡単に算出できる。
【0044】
実際の適用においてa〜b次数の高調波が支配的であれば、必要なRPESab(nTs)は数式11のように表現される。
【数11】
このような周波数選択性を用いてRRO補償のためのリソースを減らすことができる。
【0045】
同様に、RRO補償値Rdrroを周波数領域で表現すれば、次の数式12のようである。
【数12】
【0046】
ここで、v0及びv1は、周波数係数を示し、w0及びw1との関係は、次の数式13のようである。
【数13】
ここで、Sは、図1に示すようなトラック追従装置の敏感度関数であり、Srは、Sの実数成分であり、Siは、Sの虚数成分である。
【0047】
数式10〜13を参照すれば、PES(n)を回帰分析することによってw0及びw1を求め、w0及びw1によってv0及びv1を(nTs)求めば、Rdrro(nTs)が求められるということが分かる。
【0048】
w0及びw1は、回帰分析により得られるので、ディスクの数回転に対して得られる平均PESでなく、ディスクの1回転に対して得られるPES(n)だけでも高い正確性をもってRROを算出できる。平均PESを使用すれば、正確度をさらに高めうる。
【0049】
本実施形態によれば、w0及びw1は回帰分析により得られるので、フーリエ変換を使用することに比べて、簡単で迅速にRROを示すための周波数係数が求められる。一方、v0及びv1は、周波数領域での乗算によって求められるので、コンボリューション演算に比べて速い速度で演算できる。
【0050】
一方、数式13における敏感度関数Sは、周波数領域で得られたスカラー値である。敏感度関数Sは、ある周波数でのPESを該当周波数でのdrroで割ることによって得られる。これは、従来の方法とは違って、実際の敏感度関数、すなわち実際のプラント伝達関数P(z)を使用することを意味するので、本実施形態によれば、HDDの偏差に関係なく正確な敏感度関数を適用してRRO補償値を得ることができる。
【0051】
図3は、本実施形態によるRRO補償値の算出方法を示すフローチャートである。
【0052】
まず、ヘッドが目標トラックを追従するようにトラック追従モードを行う(S302)。
目標トラックを追従する間にPESをサンプリングする(S304)。PESは、サーボサンプルに相当する時間間隔でサンプリングされる。
【0053】
数式5〜9を用いてN個のPESサンプルから回帰分析によってRROを示すための、第1セットとしての周波数係数の集合w0及びw1を算出する(S306)。ここで、w0は虚数成分の周波数係数の集合であり、w1は実数成分の周波数係数の集合である。
【0054】
ディスクが1回転する間、さらに第2セットとしての周波数係数の集合w0及びw1を算出し(S308)、後に算出された周波数係数の集合w0及びw1を用いて、最小平均エラーによって前に算出されたw0及びw1を補正する(S310)。
【0055】
最小平均エラーによる補正は、次の数式14のように表現される。
【数14】
ここで、Nは目標トラックのセクタ数であり、mは更新次数を示す。
【0056】
数式10〜13を用いてRROの補償値であるRdrroを算出する(S312)。Rdrroをディスクに保存する。本出願人により出願された米国特許第6,049,440号明細書を参照すれば、Rdrroをディスクのサーボセクタに記録することが開示される。
【0057】
図4は、トラック追従においてRRO補償を適用しなかった場合の結果を示す波形図である。図4に示された方法は、図4を参照すれば、RROによる標準偏差が8.4であり、全体的に14.0の標準偏差を有することが分かる。ここで、トラックは、全て512個のステップに分割され、標準偏差が14ということは、トラック中心線から14ステップ内でヘッドが追従していることを示す。
【0058】
図5は、図4に該当する反復的な外乱の周波数係数を示すグラフである。図5における横軸は、高調波の次数を示す。RROの基本周波数は、HDDの規定回転速度によって決定される。例えば、7,200rpmで回転するディスクの場合、基本周波数は120Hzである。
【0059】
図6及び図7は、従来の方法によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。図6及び図7には、ディスクの4回転に対して平均PESを得て、かつ2回のエラー補正を行った結果を示す。
【0060】
図6を参照すれば、RROによる標準偏差が5.5であり、全体的に12.7の標準偏差を有することが分かる。すなわち、RRO補償を適用することによって、ヘッドがトラック中心をさらに安定的に追従するということが分かる。また、図7を参照すれば、エラー補正を適用することによって、RRO補償の効果が向上することが分かる。
【0061】
図8及び図9は、本実施形態の方法によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。図8及び図9には、ディスクの4回転に対して平均PESを得るが、エラー補正を行わない結果を示す。
【0062】
図8を参照すれば、RROによる標準偏差が5.4であり、全体的に12.8の標準偏差を有することが分かる。図6及び図8を参照すれば、本実施形態によれば、エラー補正を行わなくても従来の方法に比べてRRO補償の効果が向上するということが分かる。
【0063】
図10及び図11は、本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す他の波形図である。図10及び図11には、ディスクの3回転に対して平均PESを得るが、エラー補正を行わなかった場合の結果を示す。
【0064】
図10を参照すれば、RROによる標準偏差が5.5であり、全体的に13.0の標準偏差を有することが分かる。図10及び図8を参照すれば、本実施形態の方法において、さらに少ないディスク回転に対して平均PESを得たことにもかかわらず、従来の方法と同じような性能を示すことが分かる。
【0065】
図12及び図13は、本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す他の波形図である。図12及び図13には、ディスクの2回転に対して平均PESを得るが、エラー補正を行わない結果を示す。
【0066】
図12を参照すれば、RROによる標準偏差が6.7であり、全体的に13.1の標準偏差を有することが分かる。図12及び図10を参照すれば、本実施形態の方法によりディスクの回転数に関係なく同じような性能を示すことが分かる。
【0067】
図14及び図15は、本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。図14及び図15には、ディスクの3回転に対して平均PESを得て、1回のエラー補正を行った結果を示す。
【0068】
図14を参照すれば、RROによる標準偏差が5.2であり、全体的に12.6の標準偏差を有することが分かる。図14及び図6を参照すれば、本実施形態の方法によりさらに少ないディスク回転数によって平均PESを得て、さらに少ない回数のエラー補正を行ったにもかかわらず、従来の方法より優れた性能を示すことが分かる。
【0069】
図16及び図17は、本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。図16及び図17には、ディスクの3回転に対して平均PESを得て、ディスクの2回転に対して得た平均PESによって1回のエラー補正を行った結果を示す。
【0070】
図16を参照すれば、RROによる標準偏差が4.8であり、12.4の標準偏差を有することが分かる。図16及び図14を参照すれば、本実施形態の方法により、さらに少ないディスク回転数によりエラー補正を行ったにもかかわらず、性能の差がほとんどないことが分かる。
【0071】
図18及び図19は、本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。図18及び図19には、ディスクの2回転に対して平均PESを得て、ディスクの2回転に対して得たものにより1回のエラー補正を行った結果を示す。
図18を参照すれば、RROによる標準偏差が4.9であり、全体的に12.6の標準偏差を有することが分かる。図18及び図16を参照すれば、本実施形態の方法により、さらに少ないディスク回転数によってRRO補償値及びエラー補正を行ったにもかかわらず、性能の差がほとんどないことが分かる。
【0072】
本発明は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータ(情報処理機能を持つ装置を何れも含む)が読み取り可能なコードとして具現することが可能である。コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータが読み取り可能な記録装置の例としては、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ保存装置などがある。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、記録媒体関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】トラック追従装置の構成を示すブロック図である。
【図2】RRO補償値を算出する従来の方法を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態によるRRO補償値の算出方法を示すフローチャートである。
【図4】トラック追従においてRRO補償を適用しない結果を示す波形図である。
【図5】図4に該当する反復的な外乱の周波数係数を示すグラフである。
【図6】従来の方法によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。
【図7】従来の方法によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。
【図8】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。
【図9】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す波形図である。
【図10】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す他の波形図である。
【図11】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示す他の波形図である。
【図12】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図13】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図14】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図15】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図16】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図17】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図18】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【図19】本実施形態によって得られるRRO補償値を適用した結果を示すさらに他の波形図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックを有するディスクに作用する反復的な外乱であるRROを算出する方法において、
ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされた位置エラー信号(PES)を周波数領域で分析して、前記RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットに基づいて前記RROを算出する過程と;
を含むことを特徴とする、RRO算出方法。
【請求項2】
前記周波数係数の第1セットは、N個またはN個以上のPESサンプルに対して回帰分析を行うことによって算出することを特徴とする、請求項1に記載のRRO算出方法。
【請求項3】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と;
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のRRO算出方法。
【請求項4】
ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置で、反復的な外乱を補償するためのRRO補償値の算出方法において、
ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットによって前記トラック追従装置の敏感度関数を算出する過程と;
前記敏感度関数及び前記周波数係数の第1セットに基づいてRRO補償値を算出する過程と;
を含むことを特徴とする、RRO補償値の算出方法。
【請求項5】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して回帰分析を行うことによって周波数係数を得ることを特徴とする、請求項4に記載のRRO算出方法。
【請求項6】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と;
をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載のRRO算出方法。
【請求項7】
ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置における反復的な外乱を算出する方法を記録した記録媒体において、
ヘッドが目標トラックを追従する間に目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットに基づいてRROを算出する過程と;
を含むプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体。
【請求項8】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して、回帰分析を行うことによって周波数係数を得るプログラムが記録されたことを特徴とする、請求項7に記載の記録媒体。
【請求項9】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と;
をさらに含むプログラムが記録されたことを特徴とする、請求項7に記載の記録媒体。
【請求項10】
ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置における反復的な外乱を補償するためのRRO補償値を算出するプログラムが記録された記録媒体において、
ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットによって前記トラック追従装置の敏感度関数を算出する過程と;
前記敏感度関数及び前記周波数係数の第1セットに基づいてRRO補償値を算出する過程と;
を含むプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体。
【請求項11】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して、回帰分析を行うことによって周波数係数を得るプログラムが記録されたことを特徴とする、請求項10に記載の記録媒体。
【請求項12】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と;
をさらに含むプログラムが記録されたことを特徴とする、請求項10に記載の記録媒体。
【請求項1】
トラックを有するディスクに作用する反復的な外乱であるRROを算出する方法において、
ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされた位置エラー信号(PES)を周波数領域で分析して、前記RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットに基づいて前記RROを算出する過程と;
を含むことを特徴とする、RRO算出方法。
【請求項2】
前記周波数係数の第1セットは、N個またはN個以上のPESサンプルに対して回帰分析を行うことによって算出することを特徴とする、請求項1に記載のRRO算出方法。
【請求項3】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と;
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のRRO算出方法。
【請求項4】
ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置で、反復的な外乱を補償するためのRRO補償値の算出方法において、
ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットによって前記トラック追従装置の敏感度関数を算出する過程と;
前記敏感度関数及び前記周波数係数の第1セットに基づいてRRO補償値を算出する過程と;
を含むことを特徴とする、RRO補償値の算出方法。
【請求項5】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して回帰分析を行うことによって周波数係数を得ることを特徴とする、請求項4に記載のRRO算出方法。
【請求項6】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と;
をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載のRRO算出方法。
【請求項7】
ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置における反復的な外乱を算出する方法を記録した記録媒体において、
ヘッドが目標トラックを追従する間に目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットに基づいてRROを算出する過程と;
を含むプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体。
【請求項8】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して、回帰分析を行うことによって周波数係数を得るプログラムが記録されたことを特徴とする、請求項7に記載の記録媒体。
【請求項9】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と;
をさらに含むプログラムが記録されたことを特徴とする、請求項7に記載の記録媒体。
【請求項10】
ハードディスクドライブのヘッドを目標トラックに追従させるトラック追従装置における反復的な外乱を補償するためのRRO補償値を算出するプログラムが記録された記録媒体において、
ヘッドが目標トラックを追従する間に、目標トラックでサンプリングされたPESを周波数領域で分析して、RROを示す周波数係数の第1セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットによって前記トラック追従装置の敏感度関数を算出する過程と;
前記敏感度関数及び前記周波数係数の第1セットに基づいてRRO補償値を算出する過程と;
を含むプログラムが記録されたことを特徴とする記録媒体。
【請求項11】
前記周波数係数の第1セットを算出する過程は、N個またはN個以上のPESサンプルに対して、回帰分析を行うことによって周波数係数を得るプログラムが記録されたことを特徴とする、請求項10に記載の記録媒体。
【請求項12】
さらに、前記目標トラックを追従し、前記位置エラー信号を周波数領域で分析して周波数係数の第2セットを算出する過程と;
前記周波数係数の第1セットと前記周波数係数の第2セットとの最小平均エラーによって、前記周波数係数の第1セットを補正する過程と;
をさらに含むプログラムが記録されたことを特徴とする、請求項10に記載の記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−12258(P2007−12258A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180476(P2006−180476)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】
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