説明

SAPO分子篩触媒と、その調製および使用

新規のシリコアルミノホスフェート分子篩組成物であり、SAPO−11およびSAPO−41を含み、少なくとも5重量%のin situ生産の非結晶質部分を有する。そのような組成物は、非焼成であり得るまたは焼成し得、それらの調製のための新規の方法が述べられる。これらの組成物は、例えば第VIII族貴金属といった触媒活性種を載せたまたは含浸した場合には、新規のものであり、また優れた水素異性化触媒である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
水素異性化(hydroisomerization)プロセスの触媒として有用なSAPO分子篩を生産するための進化した最先端技術プロセスは、例えば米国特許第6,294,081号、同6,303,534号、およびBlasco, et al., Journal of Catalysis 2006, 242(1), 153-161において述べられている。米国特許第6,294,081号で使用されるSAPO−11材料の調製方法は、米国6,303,534およびBlasco, et al.において述べられている。この調製方法は、実施可能であるが、環境的な魅力に欠け、例えばヘキサノールといったアルコール相を使用する高価な方法であり、分解時にアルコールを容易に放出する例えばテトラエチルオルトシリカートといったケイ素材料を使用し、アルミニウム材料、リン材料、水、例えばジ−n−プロピルアミン(DPA)といった鋳型物質、および例えばヘキサデシルアミン(HDA)といった界面活性剤も共に使用する。特許権所有者によって主張されたことは、水相と界面活性剤と非混和性有機相を含むそのような複合の二相液体系から調製されるSAPO−11は、高いシリカ:アルミナの比率を有する独自のなシリコン・フレームワーク分布を有する結晶質のシリコアルミノホスフェートを生じることである。上述のように界面活性剤を含むマイクロエマルジョンから調製される、SAPO−11分子篩上にPtおよびPdの貴金属を使用する二官能性触媒は、例えば米国特許第4,440,871号で述べられる従来の(単一相)水性熱水方法から調製されるPt,Pd/SAPO−11分子篩と比較して、例えばn−ヘキサデカンといった長鎖n−パラフィンの水素異性化に関して、はるかに活性があり選択的であることが、特許権所有者によって示された。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、in situ共生産のAEL構造(SAPO−11)およびAFO構造(SAPO−41)を含みまたin situ共生産の非結晶質部分も含む非常に効率的な触媒活性のシリコアルミノホスフェート分子篩を生産することが可能であるという発見に、関連する。この材料は、本発明に従って、比較的簡易で基本的にアルコール不使用で水相熱水プロセスを使用して生産され、このプロセスは、好ましい実施形態では、例えばシリコン材料としてコロイドシリカ、アルミニウム材料としての擬ベーマイト、リン材料としてリン酸、水、DPAなどの鋳型物質、およびHDAまたは他の適当な長鎖第一アミンまたはそれらの混合物などの界面活性剤といった安価で環境的に無害な原材料を使用し得る。さらに、ゲル調製段階および結晶化段階での撹拌と、このプロセスで使用するシリカ材料および界面活性剤の両方の特定の特性とを組合せる適切な使用によって、アルコールの使用は除かれ得ることが見出された。アルコールと、分解によってアルコールを放出し得る有機シリコン材料の両方を使用しないことは、環境上およびコスト上の顕著な利益である。
【0003】
本発明によって提供されるのは、いくつかのタイプの分子篩組成物である。第1のタイプは、非焼成分子篩から成り、そのタイプの分子篩は「合成されたままの」タイプである。他のタイプは、焼成分子篩から成る。第3のタイプは、それ自身上にさらなる触媒種を含浸するまたはさもなければ有する焼成分子篩から成る。この第3のタイプは、その触媒活性が、分子篩とそれに伴う触媒種の両方によって提供されるという点で、二官能性触媒である。したがって、これらの独自の分子篩、その調製、および例えば貴金属といった触媒種を自身上に有する新規触媒を形成することにおけるその使用についての発見と開発が、本発明で提供される。SAPO−11成分(AELトポロジーを有する)、SAPO−41成分(AFOトポロジーを有する)、および非結晶質成分を有する本発明の分子篩は、水素異性化反応で使用するのに特に効果的な触媒の調製を可能にする。驚くべきことに、最新技術のシリコアルミノホスフェート材料と比較して、例えば水素異性化反応といっ
た特定の化学反応の触媒として使用される場合、本発明のそのようなシリコアルミノホスフェート分子篩の性能は向上する傾向がある。
【0004】
以下において、「共SAPO」という用語は、焼成または非焼成に関わらず、本発明のシリコアルミノホスフェート分子篩を意味するのにしばしば使用され、接頭辞の「共」は、分子篩が、2つのSAPO成分すなわちSAPO−11およびSAPO−41の組合せと、非結晶性物質とを含むことを意味するのに使用される。
【0005】
現在知られていている限り、これまで、望ましいin situ共生産のSAPO−41および非結晶質部分を有するSAPO−11についての以前の参照はなく、もちろん、例えば、n−ヘキサデカンといった実質的に直鎖で長鎖のパラフィン系炭化水素の水素異性化の触媒として、非常に効果的である、SAPO−11、およびin situ共生産SAPO−41とin situ共生産非結晶質部分の組合せについてはなおさらのことである。
【0006】
特に、このシリコアルミノホスフェート分子篩の新規タイプは、界面活性剤を含むマイクロエマルジョンからSAPO−11を生産する進化した進化した最先端技術プロセスにおいて述べるような、結晶シリコアルミノホスフェート分子篩と比較して、水素異性化において改善された活性および選択性を示す。
【0007】
現在知られていている限り、これまで、本発明の独自のシリコアルミノホスフェート分子篩のAFO成分からAEL成分を物理的に分離するための混乱を伴わない方法は存在しない。言い換えると、本発明の分子篩に組み込まれるそれらの各トポロジーは、それらのトポロジーを破壊することなく、物理的にまたは化学的に分離できないと、考えられている。また、注目すべきは、本発明の共SAPO分子篩は、予め形成された非結晶質材料とともにまたはそれ無しで、予め形成されたSAPO−11および予め形成されたSAPO−41を組合せることによっては形成され得ないことである。
【0008】
本発明は、特に、in situ共生産SAPO−11およびin situ共生産SAPO−41とin situ共生産非結晶質部分との組合せ、を含むシリコアルミノホスフェート分子篩の生産に関するプロセスも提供し、そのプロセスは以下で特徴づけられる(すなわち、以下を含む):
(I)以下の成分を、撹拌下で混合することによって、基本的にアルコール不使用の反応混合物を形成すること、その成分は、(i)アルミナ、(ii)シリカ、(iii) 85%(重量/重量)オルトリン酸の形で、または同量のHPOを他の水相リン酸溶液の形でのP、(iv)SAPO−11およびSAPO−41のため鋳型物質、(v)水、ならびに(vi)界面活性剤を含み、ここで、前述の成分は実質的に以下に示す相対モル比率である:0.6〜1.4モルの(i):0.05〜0.7モルの(ii):0.6〜1.4モルの(iii): 0.5〜2モルの(iv):15〜100モルの(v):0.01〜0.5モルの(vi);
(II)反応混合物を熟成すること、熟成は、通常100時間以下の期間であるが、必要であると考えられるまたは望ましいならば、より長期間であり得る、そして範囲0.05〜約20kW/mのエネルギー入力での撹拌を伴い、範囲約10〜100℃の1つ以上の温度において行う;ならびに、
(III)熟成混合物を加熱すること、熟成混合物は、撹拌を行いつつ、自己圧力(autogenous pressure)下において、160℃〜約220℃で2〜100時間にわたり加熱され、それによって、少なくともSAPO−11およびSAPO−41と少なくとも約5重量%の非結晶質部分の組合せを含むin situシリコアルミノホスフェート分子篩を生産する。
【0009】
上記のプロセスのI)を行う際には、好ましい相対モル比率は、0.8〜1.2モルの(i):0.1〜0.5モルの(ii):0.8〜1.2モルの(iii):0.8〜1.2モルの(iv):20〜70モルの(v):0.02〜0.3モルの(vi)である。より好ましい相対モル比率は、0.9〜1.1モルの(i):0.2〜0.4モルの(ii):0.9〜1.1モルの(iii):0.9〜1.1モルの(iv):25〜60モルの(v):0.05〜0.2の(vi)である。
【0010】
上記プロセスのII)を行う際には、熟成期間は、10時間以下が好ましく、より好ましくは1時間以下であるが、期間は、どちらの場合でも、必要であると考えられるまたは望ましいならば、より長期間に延長され得る。また、II)での撹拌のためのエネルギー入力は、範囲0.1〜10kW/mが好ましく、より好ましくは0.5〜3kW/mである。また、本発明の上記プロセスのI)を行う際には、例えば水相リン酸の水といった、反応成分関連に使用される水は、請求項を含む本開示内のどこかの段落I)で提供される水のモル比率となるように、含まれることに注目する。
【0011】
上記プロセスのIII)を行う際には、熟成混合物は、自己圧力下において、170〜約210℃で10〜70時間にわたり加熱されることが好ましい。より好ましいのは、熟成混合物は、撹拌を行いつつ、自己圧力下において、180〜200℃で20〜50時間にわたり加熱されることである。どちらの場合でも、時間と温度の関係は、SAPO−11およびSAPO−41と少なくとも約5重量%非結晶質部分の組合せを含むin situシリコアルミノホスフェート分子篩を生産するべきである。
【0012】
熟成混合物の加熱を行う際には、温度増加がなされる速度は、1分につき約0.05℃から1分につき約1500℃の範囲から、典型的に選択される。理論に縛られることを望むことなしに、熟成混合物の温度が前述の温度範囲で加熱されると、熟成混合物中で異なる相転移が生じることが考えられ、そして加熱速度は、混合物中で形成される結晶核および関連結晶の量にも影響を及ぼすことが考えられる。
【0013】
上記のIIIを行った後に、混合物は、約10℃/時間(比較的遅い冷却速度)から約60〜100℃/時間(比較的速い冷却速度)の範囲の速度で、約20〜120℃まで、また好ましくは約60〜100℃まで冷却され得る。しかし、生成混合物は、60〜100℃へ、好ましくは1時間以内の速い速度で、急速に冷却することが望ましいことがわかっており、それによって、生成混合物中での可能な分解の最小化を確実にする。
【0014】
in situ生産SAPO−41の量は、分子篩組成物の全重量に基づいて、最高で約80重量%であり得るが、より多くの場合では、SAPO−41の全重量は50重量%未満であり、ほとんどの場合では、30重量%未満でさえある。熟成混合物の加熱は、例えば、管壁面による伝熱、マイクロ波加熱、または蒸し加熱を使用して行われ得る。後者の場合、混合物の組成は、結晶化温度までの加熱履歴中に水で希釈され、そこで、全水分含量は、上記の(i)〜(v)で述べる比率を使用して、15〜100モルの範囲に保たれる。
【0015】
本発明のプロセスを行う際での、共SAPO分子篩調製のための好ましい投入順序は、最初にアルミナスラリーを調製し、続いてリン酸溶液、シリカ材料、最後に有機相(鋳型および界面活性剤)の添加となる。水は通常、最初の段階においてアルミナスラリーを調製するのに用いられるが、他の各投入段階後にも部分的に添加され得る。本発明の共SAPO分子篩産物は、上記の原材料の他の投入順序によっても調製され得る。例えば、そのような他の投入順序の1つは、アルミナまたはアルミナの水相スラリーをリン酸溶液に添加することを含む。他の代替の投入順序は、調製の最後に、すなわち有機物の添加後に、シリカを投入することを含む。さらに、調製順序での各段階における化学プロセスを最大
にするために、適切な投入時間、ならびにすべての原材料の各投入段階の後に、十分に長い反応時間および熟成時間の両方を使用するべきである。投入時間、ならびに反応時間および熟成時間は調製量(規模)および使用する混合強度の両方に依存する。一般的に、小規模調製では、投与時間、それに続く反応時間および熟成時間の両方は、短いものであり得るが、大規模調製では、投与時間、それに続く反応時間および熟成時間の両方は、比較的長いものであり得る。もちろん、調製プロセスでの各段階における投与時間、ならびに反応時間および熟成時間は、選択された操作条件の特定の組みに合うように最適化され得る。例えば、通常、原材料の高い変換、したがって、アルミニウムホスフェート中間材料の高い収量を有するように、アルミナスラリーとリン酸溶液との間の反応には比較的長い期間が必要である。
【0016】
本発明の共SAPO分子篩の、AEL成分およびAFO成分の量を定量するために、焼成されたまたは焼成されなかったに関わらず、それらの各XRDスペクトルの逆畳み込みを行うことが必要である。周知の解析手順である逆畳み込みは、本発明の焼成および非焼成の共SAPO分子篩の両方は、約5重量%〜約80重量%のAELトポロジー(SAPO−11)、および約5重量%〜約80重量%のAFOトポロジー(SAPO−41)を有することを示す。合成されたままのおよび焼成された共SAPO分子篩産物のそれぞれの残りの成分は、約5重量%〜約60重量%の量の非結晶質部分である。本発明の好ましい焼成および非焼成の共SAPO分子篩の逆畳み込みは、約10重量%〜約50重量%のAELトポロジー(SAPO−11)、および約10重量%〜約50重量%のAFOトポロジー(SAPO−41)を有する。合成されたままの、および焼成された共SAPO分子篩産物のそれぞれの残りの成分は、約20重量%〜約50重量%の量の非結晶質部分である。水素異性化条件下での、例えばC〜C30といった、1つまたはそれ以上の、直鎖のまたは実質的に直鎖の炭化水素の水素異性化における、本発明のこれらの共SAPO分子篩の使用は、本発明のもう一つの態様である。
【0017】
本発明の上記の、および他の実施形態および特徴は、次の記述、添付の図面、および添付の請求項からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本明細書の以下において示される実施例1で生産される共SAPO分子篩(「合成されたままの」および焼成された)サンプルのXRDパターンを示す。
【図2】本明細書の以下において示される実施例1からの共SAPO分子篩の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図3】本明細書の以下において示される実施例1からの共SAPO分子篩の29Si−NMRスペクトルを示す。
【図4】n−ヘキサデカンの水素異性化において本発明に従ってプラチナ含浸の共SAPO分子篩触媒を使用した場合での、16個未満の炭素原子を有する分子へと分解された量に対する温度の影響のプロットであり、本結果は、米国特許第6,294,081号の表4で報告される、その特許の実施例2で調製されたSAPO−11触媒を使用して、類似した水素異性化反応が行われた結果と比較される。
【図5】n−ヘキサデカンの水素異性化において本発明に従ってプラチナ含浸の共SAPO分子篩触媒を使用した場合での、達成された水素異性化選択性に対する温度の影響のプロットであり、本結果は、米国特許第6,294,081号の表4で報告される、その特許の実施例2で調製されたSAPO−11触媒を使用して、類似した水素異性化反応が行われた結果と比較される。
【図6】n−ヘキサデカンの水素異性化において本発明に従ってプラチナ含浸の共SAPO分子篩触媒を使用した場合での、達成された水素異性化の割合に対する温度の影響のプロットであり、本結果は、米国特許第6,294,081号の表4で報告される、その特許の実施例2で調製されたSAPO−11触媒を使用して、類似した水素異性化反応が行われた結果と比較される。
【図7】n−ヘキサデカンの水素異性化において本発明に従ってプラチナ含浸の共SAPO分子篩触媒を使用した場合での、達成された変換の割合に対する温度の影響のプロットであり、本結果は、米国特許第6,294,081号の表4で報告される、その特許の実施例2で調製されたSAPO−11触媒を使用して、類似した水素異性化反応が行われた結果と比較される。
【図8】n−ヘキサデカンの水素異性化において本発明に従ってプラチナ含浸の共SAPO分子篩触媒を使用した場合での、達成された変換に対しての分解の割合のプロットであり、本結果は、米国特許第6,294,081号の表4で報告される、その特許の実施例2で調製されたSAPO−11触媒を使用して、類似した水素異性化反応が行われた結果と比較される。
【図9】「合成されたままの」共SAPO分子篩サンプルのXRDパターンの例を示す。
【図10】焼成した共SAPO分子篩サンプル(図9の共SAPOサンプルと同じ)のXRDパターンの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
担体および酸性中心としてSAPO−11、ならびに(脱)水素化活性部位として貴金属(PtまたはPd)を使用した二官能性触媒は、長鎖パラフィンの選択的な水素異性化に非常に効果的であることが知られている。このタイプの二官能性触媒の空間的制約および低い酸性度のため、ZSM−5、HY、H−ベータといった典型的なゼオライト・ベースの触媒と比較して、分解反応から生じるポリ分枝異性体および低炭素含有分子の両方を、比較的低量が得る。二官能性のSAPO−11含有触媒のそのようなプロセスにおける生成物分布は、カルボカチオン中間体の平均寿命により定量され、それは分子篩触媒の孔構造、トポロジー、酸性部位の密度、酸強度、および金属部位の酸性部位に対する比率に依存する。特定のトポロジー(AEL構造)を有するSAPO−11分子篩については、その触媒特性は、フレームワーク内の酸性部位の性質に強く関連する。そのようなタイプの分子篩には、Bronsted酸性部位およびLewis酸性部位の両方が存在することが一般的である。しかし、直鎖n−アルカンのiso−アルカンへの変換は、フレームワーク内のBronsted酸性部位の濃度および比較的穏やかな酸強度の両方に特に依存することが、一般に認められている。
【0020】
シリコアルミノホスフェート材料のこの特定の酸性度は、AlPOフレームワークの仮説リンT部位へのシリコン組み込みによって得られる。SAPO−11のフレームワークは、AlPO−11のものと同位体的であり、AELタイプ構造を有する。Gomez-Hortiguela et al., Microporous and Mesoporous Materials 2009, 121, 129-137によっても述べられるように、AlPOフレームワークへのSi置換のためのメカニズムは2つあり、以下の通りである:
1. SM2:1つのSi原子が、1つのP原子を置換し、孤立したSi(4Al)環境を生じさせ、弱い強度の酸性部位となる。
2. SM3:2つのSi原子が、1つのP原子および1つのAl原子を置換し、アルミノホスフェート・フレームワークに浸かった最小サイズが5つのシリコン原子を有するシリカ島、のようにみえるものとなる。
【0021】
SAPO−11の結晶化の間に起こる優勢な置換メカニズムは、ゲル組成、合成条件、および合成溶媒に依存する。Bronsted酸性部位は、SAPO領域内で生じ、およびシリカ領域の境界から生じる;後者は、より高い酸強度を有する。入手できる実験による証拠は、シリコアルミノホスフェート・フレームワーク内の固体材料の酸性度および特定のシリコン環境の両方を調節するために、異なる合成方法を使用して、アルミノホスフェート・フレームワークへのシリコン同形置換の方法を制御し得ることを示す。
【0022】
最新技術の2相−液体(水およびアルコール)合成では、TEOSシリコン材料は、アルコール有機溶媒中で界面活性剤によって囲まれる。結晶化の間に、シリコンは有機相から水相へとゆっくり放出される。水相は、結晶化が起こる場所であり、またリンおよびとアルミニウムを含み、したがって、シリコンは低濃度である。この以前の最新技術の2相プロセスの発明者らによって理論づけられたことは、成長するシリコアルミノホスフェート結晶によってシリコンは水相から減少するため、それは有機相から補充されて、それによって、フレームワーク内でシリコンがより均一に分布するシリコアルミノホスフェート産物を形成することである。言い換えると、このマイクロエマルジョン・プロセスは、シリコアルミノホスフェート材料を調製する2相アプローチであり、それは結晶化の間に、シリコンを有機相から水相へと低濃度で供給することによって好ましくないシリカ島形成の量を減少させようとする。米国6,294,081および米国6,303,534では、+29Si MAS−NMR分光法が、従来の水相合成経路および2相の水/アルコール合成経路からのSAPO−11材料に使用され、そしてマイクロエマルジョン経路からのSAPO−11は、単一相経路と比較して有益なシリコン原子分布を有することを証明した。したがって、Si(4Al)タイプの孤立シリコン種(共鳴ピークは約−91ppm)の相対的に高い量が、マイクロエマルジョン経路からのSAPO−11に存在し、すなわちSM2置換メカニズムに従うが、一方、Si(OAl, 4Si)タイプのシリコン種(共鳴ピークは約−110ppm)は、単一相経路からのSAPO−11材料中に優勢であり、Siは4つのSi原子によって囲まれそしてSi−O−Si領域に相当することが示唆され、すなわちSM3置換メカニズムに従う。これらの結果は、AlPO−11構造内のSi置換の違いは、合成媒体の違いに起因することを確認した。Si組み込み方法は、SAPO−11サンプル中のSi含量にも依存する。比較的低いおよび比較的高いSi濃度ではそれぞれ、SM2またはSM3置換メカニズムへと向かう傾向が存在するようである。
【0023】
本発明では、我々は、SAPO−11とSAPO−41と非結晶質相または部分としてシリコアルミノホスフェート分子篩を含む材料を得ることも可能であることを示し、それは比較的簡易で、基本的にアルコールを使用しない、環境的に無害な水相プロセスを使用することによって生産でき、それはn−アルカンの水素異性化のために非常に効果的である。本発明に従ってそのような材料を合成するための必要条件は、低反応性、すなわち低溶解速度を有するシリカ材料の使用と、界面活性剤の存在との組合せであり、それは加熱履歴中および結晶化プロセス中の両方においてもそれ以前にも合成混合物中で均一に分布しており、これはすべての段階において適切な混合強度を使用する方法による。本明細書で述べる、原材料のタイプおよび組成、ならびに合成調製および結晶化の条件は、したがって、本発明を行うにあたって最も重要である。低反応性を有するシリカ材料の例は、大きな粒径、すなわち低表面積、を有するコロイド状シリカである。適切な形態のシリカを選択することによって、その溶解速度が制御され得、シリコアルミノホスフェート材料の結晶化の間に、水相中に低濃度のSiが存在するようになる。このようにして、アルミノホスフェート構造内へと、そのフレームワーク内に望ましくないシリコン島を形成することなしに、Si原子をゆっくりと組み込むことが可能である。合成混合物中の界面活性剤の存在は、本発明と関連して述べられる例えば水素異性化において非常に活性で選択的であるといった、特定の性質を有するシリコアルミノホスフェート材料を得るために必要である。
【0024】
図1のXRDパターンは、本発明(参照として、以下の実施例1)のシリコアルミノホスフェート材料から得られる典型的パターンである。このパターンの解釈は、結晶相AELおよびAFOに加えて、非結晶質部分も材料に存在することを示す。AEL構造に特有の21.2°2−シータ・ピークの幅から、微結晶の平均の見かけのサイズは、約100nmと推定された。図2の走査型電子顕微鏡像は、本発明を行うことから得られた材料は
、約5〜10マイクロメートルの平均サイズを有する塊から成ることを示す。これらの塊は、次に、小さな微結晶および非結晶質粒子から成る。非結晶質部および粒子/微結晶の形態とサイズの両方は、他の単一水相混合物から調製される材料と異なり、それは範囲1〜15マイクロメートルのサイズのはっきりした水晶形態を有する高い結晶化度を一般に有する。また、本発明に従って調製される材料のSi環境(すなわちSi配位および対応する酸強度)は、単一水相の先行技術プロセスおよびアルコール−水2相の先行技術プロセスの両方のサンプルから得られる29Si−NMRスペクトルと明らかに異なる。逆畳み込み後の実施例1(図3)のシリコアルミノホスフェート材料の29Si−NMRスペクトルは、最大が−63ppmの幅広い大きなピーク(図3中のピークI)、最大が−92ppmの大きなピーク(図3中のピークII)、および−132ppmの小さなピーク(図3中のピークIII)を示す。我々は、−63ppmの最初の幅広いピークは、材料の非結晶質性質に存在する数多くの異なるシリコン環境を有する、シリコアルミノホスフェート材料の非結晶質部に由来すると考える。−92ppmの第2の大きなピークは、材料の結晶シリコアルミノホスフェート部分に存在するシリコンに起因し得るものであり、それは約−88 ppm、約−97 ppm、約−103 ppm、約−108 ppm、−112ppmの5つのピークにより寄与され、それぞれSi(4Al)、Si(3Al、1Si)、Si(2Al、2Si)、Si(1Al、3Si)、およびSi(0Al、4Si)環境に起因し得る。−92ppmの大きなピークから、材料の結晶部は、十分に分散したSi(4Al)およびSi(3Al、1Si)環境を主に含むことが推測され得る。−110ppmのシグナルに相当するピークIIの面積は非常に小さなものでしかないことから、非常に小さな部分だけがSi(OAl、4Si)の(大きい)パッチの形で存在するようにみえ、Si(OAl、4Si)は、単一の水相合成からの従来の材料の場合において典型的にみられるものである。類似した高いシリカ:アルミナ比率を有する、最新技術の2相合成からの材料と比較して、本発明の材料の結晶部は、シリコンに富むパッチと比較してさえ高量の十分に分散したシリコンを有するようにみえる。さらに、−132ppmの小さなピークは、例えばシリコアルミノホスフェート・フレームワーク中のSi原子に結合する除去されなかった(焼成後に)界面活性剤または鋳型分子といった、有機環境中のシリコンに起因している可能性があり得る。しかし、このピークの正確な由来は、我々にはわからない。
【0025】
上記のすべての特性、すなわち、(a)SAPO材料の微結晶部および非結晶質部の両方においてBronsted弱酸度を生じさせる非常に分散したシリコン原子の存在、(b)大きな表面積を生じさせる小さな微結晶サイズは、長鎖n−アルカンの水素異性化プロセスにおける、非常に高い活性および異性化選択性を説明し得る。
【0026】
出願された本明細書の請求項1に記載したプロセスに従ってプロセスを行う際には、条件の様々な異なる組合せが使用され得る。例えば、成分は、実質的に以下に示すモル比で混合され得:1モルの(i):0.3モルの(ii):1モルの(iii):1モルの(iv):15〜55モルの(v):0.02〜0.1モルの(vi)、それは操作の便利な方法の1つである。出願された本明細書の請求項1に記載のプロセスと一致する他の比率が、もちろん、使用され得る。同様に、他の時間/温度条件が使用され得るが、好ましくは10時間以下の期間にかけて、約30℃〜約100℃の範囲内の1つ以上の温度で、成熟を行うのが便利である、しかし期間は、例えば約24時間までといった長期間であり得、そして必要であるまたは望ましい場合には約100時間までであり得、またはより長期間でさえあり得る。同様に、約12時間〜約40時間の範囲の期間にかけて、160℃〜210℃の範囲の温度で、加熱段階を行うのが便利である、しかし期間は、必要であるまたは望ましいと考えられる場合にはいつでもより短くされ得るまたはより長くされ得る。加熱段階は、約1〜5秒と最高約10時間との間の範囲の期間にかけて行なわれるべきである。例えば蒸し加熱またはマイクロ波加熱の場合では10秒〜約0.5時間の範囲の期間、あるいは管壁面を通しての直接的な伝熱の場合では約1時間〜約10時間の範囲の
期間といった、この時間の長さ内の期間が、効果的に使用され得る。加熱段階は、例えば熱い反応混合物にさらされるといった適当に不活性な内面を有する、反応器内で好ましく行われ得る。そのような反応器の1つの例は、オートクレーブであり、その内部表面および例えば撹拌用手段などといった他の補助手段は、例えばTeflon(登録商標)樹脂(DuPont)として市場で入手可能であるポリテトラフルオロエチレンといった不活性フッ素重合体で、または商標VICTREX(商標)PEEK(登録商標)(Victrex PLC)で入手可能なポリエーテルエーテルケトンで、覆われているまたは被覆されている。同様に、例えば特殊グレードのステンレス鋼またはHastelloy素材といった腐食耐性材料から内部表面が作られる反応器を使用することも可能である。反応器内容物の撹拌は、反応器の撹拌、振とう、または回転により達成でき、本発明を行う際の使用には、通常、撹拌がより適している。
【0027】
本発明を行う際に使用されるアルミナは、好ましくはアルミナ水和物(例えば擬ベーマイト)である。比較的高い反応性、すなわち低い結晶化度を有する擬ベーマイトを使用することが好まれる。高い反応性を有するアルミナ水和物が好まれるのは、それがリン酸溶液と高い反応程度を有するためである。さらに、比較的小さい粒径を有するアルミナが好まれるのは、それもまた高い反応性を有するであろうということがあり、したがって、リン酸との反応に必要な時間が短い。さらに、非常に大きな粒径を有するアルミナの場合には、最終産物(結晶化の後でさえ)中に未反応のアルミナの存在を有する可能性がある。最終産物中に未反応のアルミナの存在を有することは、好ましくない。
【0028】
本発明を行う際に使用されるシリカゾルは、一般に、例えば水といった液体溶媒中に懸濁された微細に分離したシリカ粒子である。異なるプロセスが、そのような材料を形成するために使用され得る。制限することなしに、あるメーカーは、それらのシリカゾルは、有機ベースの存在下においてケイ酸塩の加水分解によって作製される超微細シリカ粒子から成り、またその特性として特に、超微細粒子(<20nm)、澄んだ透明性、イオン性不純物を伴わない高純度水溶性、低い粘性、高い接着強度、および優れた貯蔵安定性を与えること、を示す。2007年10月11日に公開された公開特許出願の米国2007/0237701において述べられる他のタイプのシリカゾルは、水およびそれに分散したシリカ微粒子を含み、そこでシリカ微粒子は、二次粒子径10〜1,000nm、金属不純物含量1ppm以下、およびシリカ濃度10〜50重量%を有する。このシリカゾルを生産するために使用さわれるプロセスは、2段階プロセスを含む。第1段階では、加水分解性シリコン化合物が、加水分解され、そして濃縮−重合されてシリカゾルを生成する。第2段階では、第1段階で得られたシリカゾルが、粒径に従って選択された値を超えることなくシリカ濃縮物へと濃縮され、そしてシリカゾル中の分散媒およびアルカリ触媒が、pHを6.0〜9.0に調節するために水で置き換えられる。他の手順によって生産されるシリカゾルも、使用され得る。シリカゾルまたはコロイド状シリカの他に、例えばシリカゲル、スプレー乾燥シリカ粒子、およびヒュームド・シリカ、その他といった、他のシリカ材料も使用され得る。いくつかの実施形態では、i) シリカゾル、ii) コロイド状シリカ、(iii) シリカゲル、iv) スプレー乾燥シリカ粒子、v) ヒュームド・シリカ、vi) i)〜v)の組合せ、のいずれか一つが使用され得る。
【0029】
適当なリン酸またはオルトリン酸、HPOは、様々なメーカーから入手可能である。最良の結果のために、材料は非常に高い純度を有するべきである。
【0030】
好ましい非焼成および焼成分子篩
上記で述べたように、本発明の好ましい非焼成分子篩は、「合成されたままの」分子篩産物であり、その産物は、本発明の好ましい焼成分子篩を形成するために、鋳型および他の有機物を除去するのに、焼成され得る。個々のXRD分析が、これらの各分子篩に行われ、そしてそれらのそれぞれの個々のスペクトルは、図9および図10に示される。これ
らのスペクトルは、各産物が、純粋なAEL産物でも純粋なAFO産物でもなく、しかしむしろ、AELおよびAFOトポロジー混合を示す分子篩トポロジーを有することを示す。参照目的のために、AELおよびAFOトポロジーに関する定義の情報を含む「Database of Zeolite Structures(ゼオライト構造のデータベース)」を参照のこと。それらのトポロジーは、ウェブサイトhttp://izasc.ethz.ch/fmi/xsl/IZA-SC/ft.xsl内に含まれる。また、Pure and Applied Chemistry, vol 58., No. 10, pp 1351-1658, 1986も参照のこと。5から23.5に及ぶ2θ領域内では、焼成産物は、9.75、16.04、21.50、21.80、22.14、22.39、および23.41に鋭いピークを有する。同領域内では、非焼成産物は、9.44、21.07、22.18、22.73、および23.19に鋭いピークを有する。
【0031】
これらの好ましい産物のどれもが純粋なAELまたは純粋なAFOと同形ではないので、焼成産物および非焼成産物のAEL成分およびAFO成分の量を定量するために、各XRDスペクトルをそれぞれ逆畳み込みすることが必要である。逆畳み込みは、本技術分野で認められた技術であり、焼成産物および非焼成産物には約10重量%〜約50重量%のAELトポロジー(SAPO−11)が含まれ、また約10重量%〜約50重量%のAFOトポロジー(SAPO−41)が含まれることを示す。各産物のそれぞれの残りの成分は、分子篩産物は、基本的に約20重量%〜約60重量%の量の非結晶質部分から成る。これらの好ましい焼成産物のXRDスペクトルを逆畳み込みすることによって得られたAELスペクトルから、AEL成分は、21.8° 2θに強いピークを有し、21.2°
2θ付近にはピークがみられないまたはほとんどピークがみられないことを示す。21.8° 2θでの強いピークはAEL Pna2空間群の顕著な量として説明され、一方、21.2° 2θでのピークの欠如はAEL Ima21空間群の実質的な欠如として説明される。また、これらの好ましい非焼成産物のXRDスペクトルの逆畳み込みから、そのAEL成分に関して、21.07° 2θに強いピークがあり、21.8° 2θ付近にはピークがみられないまたはほとんどピークがみられないことが見られる。21.07° 2θでの強いピークは、これらの好ましい非焼成産物が、AEL Ima21空間群の顕著な量を含むことを示し、一方、21.8° 2θでのピークの欠如は、AEL Pna2空間群の実質的な欠如を示す。
【0032】
本発明の好ましい非焼成分子篩は、結晶化を導く鋳型物質を使用することによって生産される。例えばジ−n−プロピルアミンといった、本発明を行う際に使用される鋳型物質は、非焼成分子篩に不純物として残留し、そして焼成産物を産するための焼成を通して除去される。さらに、非焼成産物の生産は、有機界面活性剤および凝集剤の使用を含む。通常、好ましい非焼成産物は、篩孔内に、約9〜11重量%の鋳型材料、界面活性剤、凝集剤、およびそれらの焼成残渣を含む。非焼成産物の焼成の後では、生じる焼成産物は、基本的に、鋳型、界面活性剤、凝集剤、およびそれらの残渣を含まず、一般に約0.5重量%のCを有する。
【0033】
本発明の好ましい非焼成および焼成分子篩は、5Aより大きいすなわち約4.4×6.4Aと測定される楕円形孔開口部を有する、10−酸素−員環のAELおよびAFO構造を含む。それらの微小孔量は、0.15cc/g未満であり、通常、約0.06〜約0.12cc/gの範囲にある。それらの分子篩結晶サイズは、1〜1,000nmであり、一般に50〜200nmの範囲であり、それらは5Aより大きい孔サイズを有する中程度の孔サイズである。それらのAl、P、およびSi含量に関するモル比率は、約44〜56mol%のAl、約34〜46mol%のP、および約5〜8mol%のSiである。
【0034】
反応の間にまたは熱分解においてアルコールを放出しないSAPO−11またはSAPO−41を生産することにおいての使用に適しているいかなる鋳型物質も、本発明のプロセスを行う際に使用するのに適していると考えられる。ジ−n−プロピルアミン、イソプ
ロピルアミン、およびジエチルアミンは、この点において適しており、より一般的に使用されるのはジ−n−プロピルアミンである。例えばジ−n−プロピルアミンとイソプロピルアミンとの混合物といった、鋳型物質の混合物も使用され得る。また、ジエチルアミンとジ−n−プロピルアミンおよび/またはイソプロピルアミンとの混合物を使用することが可能であり得る。
【0035】
反応混合物を形成する際に使用される水は、過度の金属含量を含まないものでなければならない。したがって、脱イオン水または蒸留水は、プロセスで使用するのに好ましい。しかし、普通の水道水が、十分に純粋ならば、使用され得る。
【0036】
様々な購入可能な界面活性剤を、本発明のプロセスを行う際に使用することができ、例えばヘキサデシルアミンといった長鎖アミン界面活性剤が、容易に入手でき本使用に非常に適しているものである。非限定的な他の有用な界面活性剤は、例えばオクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、およびオクタデシルアミンといった、1つまたはそれ以上の長鎖モノアルキルアミンを含み、費用を考えるとそれらの購入可能な混合物が好まれる。さらに他の適した界面活性剤は、ジメチルオクチルアミン、ジメチルヘキサデシルアミン、トリメチルヘキサデシル−塩化アンモニウムなどを含む。
【0037】
本プロセスの重要な特徴の1つは、出願された添付の請求項1に記載したプロセスに記述した特徴の組合せでの、本明細書で述べる比率で記載成分を混合することによって形成されるゲル相の反応中および熟成中における、適したエネルギー入力の使用である。上で述べたように、反応混合物の熟成中および撹拌中における反応混合物の1立方メートル当たりのキロワットに関して表されるエネルギー入力は、特に約25〜約100℃の範囲の温度を使用する場合では、約0.1〜約10kW/mの範囲でなければならない。例えば1kW/mといった、約0.5〜約3kW/mの範囲のエネルギー入力は、多くの場合において使用され得る、したがって、プロセスに入力される全体的なエネルギーを制限する。
【0038】
エネルギー入力または電力の入力は、いくつかの方法で定義され得る、例えば、実際の体積に対する導入した電力として、または実際の液体の体積に対する消費電力(例えばアンペア数)の測定として、または攪拌機の刃の先端速度(またはrpm)および表面積に基づいた電力の入力の計算として定義することができる。本明細書で記述する、混合物における特定のエネルギー入力は、混合物のすべての調製段階でのミクロレベルおよび肉眼レベルの両方での分子および粒子の均一な分布に配慮し、このことによって原材料、中間的および最終的な分子および粒子についての最適な接触、反応、および移動が生じる。任意で、混合物は、10〜150kW/mの範囲の典型的なエネルギー入力を有する高剪断の混合装置を使用して、処理され得る。
【0039】
本プロセスの重要な特徴の1つは、出願された添付の請求項1に記載したプロセスに記述した特徴を、加熱期間中における適したエネルギー入力と、組合せることの使用である。混合物における特定のエネルギー入力は、混合物の加熱履歴および結晶化段階でのミクロレベルおよび肉眼レベルの両方での分子および粒子の均一な分布に配慮し、このことによって原材料、中間的および最終的な分子および粒子についての最適な接触、反応、および移動が生じる。我々は、混合のエネルギー入力は、特定の量の規模に依存することをみつけた。約200mLの規模未満では、結晶化段階には静的条件を有することが好まれる。より大きな量では、加熱履歴および結晶化段階の両方において均一な懸濁を得るのに十分な特定の混合強度を有することが重要である。混合強度の典型的な値は、0.5kWm−3である。しかし、より幅広い範囲も、使用できる。
【0040】
好ましい非焼成および焼成分子篩の調製
I) 本発明の好ましい非焼成分子篩の形成
概して述べると、本発明の非焼成分子篩は、(i) リン材料、アルミニウム材料、シリコン材料、鋳型、および界面活性剤の予混合物の形成、(ii) 熱水処理による予混合物からの結晶化中間体の形成、(iii) 乾燥した粒状の非焼成分子篩産物を生産するための結晶化中間体の仕上げ、によって生産される。
【0041】
本発明の好ましい非焼成分子篩を形成するために、予混合物を形成するのに、好ましくは以下の順序で、以下の成分が反応器に投入される:
(a) 約30〜最高約40モル部の脱イオン水;
(b) 約1モル部の擬ベーマイト(Alとして表される)、
(c) 約1モル部のリン酸(Pとして表される、75%〜85%濃度を有するリン酸溶液);
(d) 約0.3〜約0.4モル部のシリカ(SiOとして表される)、固体またはゾルとして投入される;ならびに
(e) 鋳型として、約1モル部のジ−n−プロピルアミン(DPA)、および約0.1モル部の界面活性剤。
【0042】
すべての成分が添加された後、予混合物の温度は、その形成中に約20〜約70oCまで増加する。連続的に撹拌される状態で、混合物が調製される。すべての成分が添加された後、反応混合物は、好ましくはミキサーによって、より好ましくは高剪断および高ポンプ撹拌を有するものによって、一般に約60分にわたり、混合される。
【0043】
結晶化分子篩を形成するために、流動可能なゼラチン状の材料の形の予混合物は、次に、結晶化を生じさせる撹拌反応器中に導かれる。予混合物を最高で約140oC〜160oCまで加熱するために、蒸気が約30分間にわたり反応器に直接注入される。蒸気は、相当量の水を反応器に追加する。蒸気加熱の後、予混合物は、反応器壁面加熱によって、約190℃の温度で、約16〜40時間にわたり、加熱される。反応器内容物は、すべての結晶化期間にかけて、撹拌される。反応器は、密封反応器であり、そして反応器圧は、自己的に約200〜300psigまで上昇する。この熱水処理期間に、水相懸濁液中において非焼成分子篩を生産するために結晶化が生じる。
【0044】
結晶化段階の後、非焼成分子篩懸濁液は、100℃未満の温度に冷却される。いくつかの実施形態では、この冷却は、反応器から非焼成分子篩懸濁液を取り出し、非焼成分子篩懸濁液を100℃未満の温度に冷却するために、適した液体があらかじめ充填されている撹拌冷却容器に導くことにより達成される。いくつかの実施形態では、適した液体は、脱イオン水であり、または他の実施形態では、適した液体は、遠心分離からの洗液であり得る。連続的に撹拌されるスラリーは、約60℃まで冷却され、次に、遠心分離にかけられる。スラリーを遠心分離にかける前に、適当な弱酸性の凝集剤が添加される。凝集剤は、スラリーに添加され、そしてスラリーと凝集剤は、好ましくはミキサーによって混合される。凝集剤は、遠心分離の液体−固体分離機能を助ける。
【0045】
湿ったケーキの形状の非焼成分子篩は、遠心分離機から回収され、DI水で洗浄される。洗浄された湿ったケーキは、次に乾燥され、粒状の非焼成分子篩を生産する。
II) 本発明の好ましい焼成分子篩の形成
非焼成分子篩の焼成は、鋳型、界面活性剤、および凝集剤を含まないまたは基本的に含まない焼成分子篩を生産する。焼成は、非焼成分子篩を約400〜625oC(好ましくは550〜600oC)で約30分間にわたり加熱することによって成される。焼成は、好ましくは、1体積%未満の酸素を含むほぼ窒素雰囲気中において行われる。
【0046】
本発明の好ましい二官能性触媒の調製
本発明の好ましい二官能性触媒を形成するために、本発明の焼成分子篩を、最終的な触媒の成分として使用する。二官能性触媒は、押出物、好ましくはアルミナ押出物に埋め込まれた焼成分子篩を含み、その押出物は、少なくとも1つの、好ましくはただ1つの、第VIII族貴金属である好ましくはPtまたはPd、より好ましくはPtが含浸される。本明細書で使用される少なくとも1つの貴金属の量は、一般に、最大約10重量%、およびそれを含む範囲で、一般に約0.1〜約10重量%であり、好ましくは最大約5重量%、およびそれを含む範囲であり、より好ましくは約0.1〜約5重量%であり、最も好ましくは0.1〜約2重量%である。いくつかの例示的な実施形態では、本明細書で使用される少なくとも1つの第VIII族貴金属の量は、約0.1〜約1重量%の範囲にあり、他の例示的な実施形態では、約0.3〜約6重量%の範囲にあり、他の例示的な実施形態では、約0.5重量%である。二官能性触媒は、一般に、本発明の焼成分子篩と、結合剤として最高約60重量%のアルミナとを組合せることによって形成され、アルミナは、好ましくは約20重量%〜約60重量%であり、より好ましくは約20重量%〜約40重量%であり、最も好ましくは約25重量%〜約35重量%である。これらのいくつかの実施形態では、本発明の二官能性触媒は、一般に、約2重量%〜約6重量%、好ましくは約3重量%〜約5重量%、より好ましくは約4重量%のSiOを含み、約25重量%〜約40重量%、好ましくは約30重量%〜約37重量%、より好ましくは約32重量%〜約35重量%、例示的な実施形態では約33重量%のPを含み、約45重量%〜約75重量%、好ましくは約55重量%〜約65重量%、より好ましくは約60重量%〜65重量%、例示的な実施形態では約62重量%のAlを含み、そして微小孔量は1グラム当たり、約15〜25、好ましくは約18〜約22、より好ましくは約19〜約21、最も好ましくは約20マイクロリットルを有する。焼成分子篩成分は、酸性機能を有し、一方、プラチナ成分は、水素化機能を有する。当業者は、結合剤の量が増加するまたは減少するのに伴い、二官能性触媒内の個々の成分の相対的な範囲または量もまた変化するであろうことを理解するであろう、そしてこれらの変化は本発明の範囲内で企図されている。
【0047】
プロセスは、以下の2つの主な段階を含む: (i) 触媒キャリヤ押出物の生産、および(ii) 貴金属による触媒キャリヤ押出物の含浸。これらの両方の段階を行う方法は、本発明の焼成分子篩のプロセスでの使用以外は従来のものであり、この使用は、特に、基本的に同じ分子量の分枝鎖パラフィンを形成するための長鎖直鎖パラフィンの水素異性化での使用に関して、優れた触媒の形成を生じさせる。
【0048】
本発明を行う際のプロセスで形成される産物の構造に対する反応条件の効果を述べるために、本発明のプロセスにおいて使用される全体的な一組の条件を再度述べることは、本時点で便利であると考えられる。したがって、全体的なプロセスは、以下によって特徴づけられる:
I) 以下の成分を、記述された実質的な量で、撹拌下で、混合することによって、基本的にアルコール不使用の反応混合物を形成すること、混合物は以下の成分を含む:
● (i−a) 0.6〜1.4モルのアルミナ、(ii−a) 0.05〜0.7モルのシリカ、(iii−a)0.6〜1.4モルのPを85%(重量/重量)オルトリン酸の形態で、または同量のHPOを他の水相リン酸溶液の形で、(iv−a) SAPO−11のための鋳型物質を0.5〜2モル、(v−a) 15〜100モルの水、(vi−a) 0.01〜0.5モルの界面活性剤;あるいは
● 好ましくは:(i−b) 0.8〜1.2モルのアルミナ、(ii−b) 0.1〜0.5モルのシリカ、(iii−b)0.8〜1.2モルのPを85%(重量/重量)オルトリン酸の形で、または同量のHPOを他の水相リン酸溶液の形で、(iv−b) SAPO−11のための鋳型物質を0.8〜1.2モル、(v−b) 20〜70モルの水、(vi−b) 0.02〜0.3モルの界面活性剤;あるいは
● より好ましくは:(i−c) 0.9〜1.1モルのアルミナ、(ii−c) 0.2〜0.4モルのシリカ、(iii−c)0.9〜1.1モルのPを85%(重量/重量)オルトリン酸の形で、または同量のHPOを他の水相リン酸溶液の形で、(iv−c) SAPO−11のための鋳型物質を0.9〜1.1モル、(v−c) 25〜60モルの水、(vi−c) 0.05〜0.2モルの界面活性剤;
II) 得られた混合物を、範囲約10〜約100℃の1つ以上の温度において熟成すること。熟成期間は以下の通りである:
●通常、100時間以下であるが、必要であると考えられるまたは望ましいならば、より長期間であり得、範囲0.05〜約20kW/mのエネルギー入力での撹拌を伴う、または
●好ましくは、10時間以下であるが、必要であると考えられるまたは望ましいならば、より長期間であり得る、そして範囲0.1〜約10kW/mのエネルギー入力での撹拌を伴う、または
●より好ましくは、1時間以下であるが、必要であると考えられるまたは望ましいならば、より長期間であり得る、そして範囲0.5〜約3kW/mのエネルギー入力での撹拌を伴う。
III) 熟成混合物を加熱すること:
●範囲約160℃〜約220℃の温度まで、毎分約0.05℃〜毎分約1500℃の範囲の速度で、次に、範囲160℃〜約220℃の1つ以上の温度で、自己圧下で、2〜100時間にわたり撹拌し、したがって、SAPO−11およびSAPO−41と少なくとも約5重量%の非結晶質部分の組合せを含むin situシリコアルミノホスフェート分子篩を生産する;あるいは
●好ましくは、範囲約170℃〜約210℃の温度まで、毎分約0.1℃〜毎分約100℃の範囲の速度で、次に、範囲170℃〜約210℃の1つ以上の温度で、自己圧下で、10〜70時間にわたり撹拌し、したがって、SAPO−11およびSAPO−41と少なくとも約5重量%の非結晶質部分の組合せを含むin situシリコアルミノホスフェート分子篩を生産する;あるいは
●より好ましくは、範囲約180℃〜約200℃の温度までは、毎分約0.2℃〜毎分約4℃の範囲の速度で、次に、範囲180℃〜約200℃の1つ以上の温度で、自己圧下で、20〜50時間にわたり撹拌し、それによって、SAPO−11およびSAPO−41と少なくとも約5重量%の非結晶質部分の組合せを含むin situシリコアルミノホスフェート分子篩を生産する;ならびに
IV) 産物を100℃未満まで、好ましくは1時間以内に冷却すること。
【0049】
上記のプロセスに使用される特定の処方および条件は、SAPO−11と、形成される少なくとも1つの非結晶質部分とを含む分子篩産物の組成に一般に影響を及ぼす。特定の処方およびいくつかの条件を使用して、産物は、SAPO−11およびSAPO−41の組合せを主に含み、それとともに少量の非結晶質部分を含むであろう。いくつかの他の条件下では、産物は、SAPO−11、SAPO−41分子篩の組み合わせと、より多量の非結晶質部分を含むであろう。触媒の非結晶質の分子篩部分は、酸強度に関してSAPO−11部位に類似した活性部位と、触媒の結晶成分よりも大きな孔サイズとを有し得、しそれにより、触媒全体を、脱ろう作用に適したものとする。
【0050】
現在までの実験結果は、本発明を行う際に使用される上記の反応条件および成分割合が、SAPO−11およびSAPO−41を非結晶質部分材料と組合せて含む分子篩の組成に及ぼす効果は、以下の通りであることを示している:
1) SAPO−41の高い割合は、条件における変化の中でも特に、反応混合物または結晶化混合物のどちらかの含水量を低下させることによって、加熱速度を低下させることまたは加熱のタイプによって、シリコン量を減少させるまたはシリカ材料の変化によって、結晶化期間を長くすることによって、ならびに反応混合物の調製中、加熱中、および/
または結晶化中での混合強度を減少させることによって、達成され得る。そのような条件の組合せも、共SAPO産物のSAPO−41の高い割合を生じさせ得る。
2) SAPO−11の高い割合、変化の中でも特に、反応混合物中のシリコン濃度を上昇させることによって、シリカの投入順序を変化させることによって、シリカ粒径またはシリカ材料の最適化によって、あるいはそれらの組合せによって、達成され得る。
3) 非結晶質部分の高い割合は、反応混合物の調製中、加熱中、および結晶化プロセス中での混合強度を減少させることによって、または加熱中での加熱履歴を変化させることによって、あるいはそれらの組合せによって、達成され得る。
【0051】
加熱後の産物の回収は、例えば濾過、遠心分離、沈殿、およびデカンテーション、またはその他の適した手順を使用して、固体産物粒子を、液相から物理的に分離することによって、便利に行われる。単離した固体は、次に、一般に水で洗浄され、次に、一般に室温でまたは例えば110℃といったわずかに高い温度で乾燥される。循環空気乾燥器の使用は、乾燥を行うのに便利な方法である。
【0052】
本発明の新規の産物の使用には、触媒としての使用があり、特に、例えばC〜C30直鎖炭化水素といった、直鎖炭化水素の触媒的水素異性化のための使用である。そのような水素異性化プロセスは、1つまたはそれ以上の直鎖または実質的直鎖C〜C30炭化水素を、水素異性化条件下において、本発明のおよび/または本発明のプロセスによって生産された、シリコアルミノホスフェート分子篩と接触させることを含む。典型的に、そのようなシリコアルミノホスフェート分子篩は、例えば、Ptおよび/またはPdなどの第VIII族貴金属といった触媒活性種を載せるまたは含浸する。触媒で使用されるそのような金属の量は、触媒の全量に基づいて約0.1〜約5重量%の範囲であり得る。より通常は、そのような量は、約0.15〜約1重量%の範囲である。
【0053】
直鎖C〜C30炭化水素に適用される水素異性化プロセスで用いられる典型的な水素異性化条件は、250〜350℃の範囲の温度、約20〜40バールの圧力、2〜50のH/HC比率、および1〜10kg/kgの単位時間当たりの重量空間速度を含む。
【0054】
本発明のシリコアルミノホスフェート分子篩組成物がよく適していると考えられる他の使用は、米国特許第6,294,081号および/または米国特許第6,303,534号を参照し、その開示を参照により本明細書に組み込む。例えば、本発明の分子篩組成物は、様々な化学反応を行うのに有用な触媒金属をいかなる数でも含む新規の触媒組成物を形成する際に使用され得る。
【0055】
以下の実施例を、説明を目的として示す。それらは、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を、本明細書で述べられることだけに制限することを意図しない。
【0056】
実施例1
SAPO−11、非結晶質相、およびSAPO−41から成る分子篩の調製
以下の出発材料を、合成のために使用した:擬ベーマイト(74.67重量%のAlおよび25.33重量%の水を含む);オルトリン酸(水中に85重量%);24.0重量%のSiOコロイド状シリカ(200nmの平均粒径と80g/mの典型的な表面積を有する);鋳型としてジ−n−プロピルアミン(DPA);界面活性剤添加物としてヘキサデシルアミン(HDA)、ならびに溶媒として蒸留水。合成ゲルを調製するために、アルミニウム材料を、最初に蒸留水に50℃で1時間かけて添加した;次に、リン酸溶液を、アルミナスラリーに30分間の期間内に添加し、70℃に1時間維持した;次に、コロイド状シリカを、15分間の期間内に添加し、70℃に15分維持し、最後に、有機物質の液体混合物(70℃のDPAおよびHADの混合物)を、合成混合物に30分間で添加し、70℃に1時間維持した。すべての段階は、50L管内で0.7kW/m
のエネルギー入力での、活発な混合下において行われた。10Lの合成ゲルを、10Lのステンレス鋼オートクレーブに移した。合成ゲルを、0.7kW/mの連続エネルギー入力での活発な混合下で、毎分0.6℃の速度で190℃まで38時間にわたり加熱した。得られたゲルのモル組成は、Al:P:SiO:HO:DPA:HDA = 1:1:0.3:55:1:0.1であった。結晶化が終了した後、産物を、連続した低速の混合下で、2時間で、100℃未満まで冷却した。オートクレーブを開けた直後に、固体産物を、遠心分離(9000rpm)によって母液から回収し、蒸留水で2度洗浄し、120℃で一晩にわたり乾燥した。固体を、窒素雰囲気中で、回転焼成炉で焼成し、140分ランプで300℃まで(すなわち、毎分2℃で20℃から300℃まで)に続いて、このランプ後には300℃で2時間にわたり加熱した。この最初の焼成段階の後、50分ランプで350℃まで(すなわち、毎分1℃で300℃から350℃まで)に続いてこのランプ後に350℃で2時間にわたる加熱による、第2の後続の加熱履歴が続いた。
【0057】
産物の特徴づけ
調製したままの固体のX線回折(XRD)を、40kVおよび40mAで稼働するCu
Kα線と、スキャン速度0.05°/秒とを使用した、Bruker D4Endeavorで記録した。結晶相と結晶化度の程度とを測定するために、回折パターンを、4〜70°2シータの範囲で記録した。図1は、焼成形態および非焼成形態のSAPO産物のXRDパターンを示す。そのように調製されたSAPOサンプルは、以下の結晶相の存在を示す:主な相は、SAPO−41構造(鋳型を含む)であり、一定量のSAPO−11と、わずかな量のAlPOα−クリストバライトおよびHADとを伴う。焼成SAPO材料は、HAD成分以外は、乾燥サンプルのものに類似した相の存在を示す。両方のXRDパターンは、結晶相に加えて、非結晶質部がサンプル中に存在することを示す(ベースラインと結晶ピークとの間の域)。PXRDによる焼成SAPO−11の微結晶サイズの測定のために、我々は、AEL Iだけを必要とし、再水和AEL Pを必要としない(これらの相の間での重度の重複のため)。したがって、サンプルを、毎分5℃の加熱速度で、室温(RT)から540℃まで加熱した。それらを540℃に3時間維持し、その後、一晩にわたり120℃まで冷却した。サンプルをグローブ・ボックス内で調製し、密閉のサンプル・ホルダー内で測定した。分析的プロフィール関数を使用して、5°と20°2−シータの間でのPawleyフィット法によって、平均微結晶サイズを推定した。Pawleyフィッティングは、粉末パターンに観察されたピークが構造モデルなしに当てはめられるが、2−シータ値は単位格子のサイズと対称性によって制限される過程である。微結晶サイズによる線の広がりは、Lorentzian寄与およびGaussian寄与の両方を使用してモデル化された。それらは、微結晶サイズの推定の単一の値を与えるように制限された。XRDスペクトルから、本分子篩のトポロジーは、23%のAEL(SAPO−11)、44%のAFO(SAPO−41)、および33%の非結晶質材料で、計算誤差の範囲は±5%以内であった。SAPO−11およびSAPO−41微結晶の平均の見かけのサイズはそれぞれ、約150±25nmおよび80±15nmと推定された。焼成サンプルの、酸化形態のAl、P、およびSiの化学分析は、PANalytical(商標) PW2400波長分散型蛍光X線分光分析装置(PANalytical B.V. Corporation、オランダ)を使用して行われ、Al、P、SiOの量はそれぞれ、42.3、50.8、7.0を示した。約260m/gのN比表面積が、液体窒素温度で、Micromeritics(商標) ASAP 2400装置(Micrometrics Instrument Corporation、ノークロス、ジョージア州)上で得られた。すべてのサンプルは、真空下において300℃で一晩にわたり前処理された。走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真は、JEOL(商標) 5800 LV装置(JEOL LTD.、日本)で、20 keVおよび50 mAの稼働で、撮られた。図2は、実施例1からのSAPO材料の典型的なSEM−イメージを示す。29Si−NMRスペクトルは、6mmの三重共鳴プローブ
を備えたChemagnetics ss−600MHz(Chemagnetics)で記録した。29Si−NMRスペクトルは、データ獲得において、90°単パルスを29SiおよびHデカプリングに使用して記録した。サンプルは、MAS条件で4.75kHzでスピンするように設定された。蓄積(スキャン)の数は、60秒のリサイクル待ち時間(recycling delay)で、7401であった。29Si−NMRスペクトルを、図3に示す。SEMデータおよび29Si−NMRデータの解釈は、図1のXRDパターンに言及した、上で示された段落内の文で述べられている。
【0058】
実施例2
押出物およびペレット形の分子篩触媒の調製
実施例1からの焼成固体材料を、2つの異なる形態の触媒、すなわち、(I) 押出物サンプルとして(70重量%のSAPO材料を含む)、および(II) ペレット化サンプルとして(100%のSAPO材料を含む)として調製した。
【0059】
(I):焼成粉末を、解膠した(Alに約0.04〜0.25モル等量のHNO酸)水酸化アルミナ(結合剤)および水と混合し、含水量が38〜48重量%の範囲である軟塊を作製した。軟塊は、1.5mmの直径と平均約3mmの長さの円筒形の押出物へと、押し出された。押出物を、120℃で16時間にわたり乾燥し、続けて550℃で空気中で1時間にわたり焼成した。最終的な担体は、30重量%の結合剤および70重量%のSAPO産物を含んだ。担体は、湿式含浸手順によって、テトラアミンPt(II)硝酸溶液で含浸した。最後に、押出物を、110℃で一晩にわたり乾燥し、次に、毎分5℃のランプ速度で、450℃で2時間にわたり焼成処理した。Pt溶液の濃度および量は、最終的な触媒中に0.5重量%のPtを含むように、正確に計算された。
【0060】
(II):実施例1からの焼成粉末を、空気中、毎分5℃のランプ速度で、550℃で2時間にわたり、第2の静的焼成処理をした。サンプルを、Pt(II)硝酸溶液で、直接含浸した。Pt溶液の濃度および量は、最終的なペレット化触媒中に0.5重量%のPtを含むように、正確に計算された。含浸産物、120℃で一晩にわたり乾燥した。次に、タブレットを、15トンの圧力で、1分間にわたり圧縮した。続けて、タブレットを、粉砕し、篩にかけて、200〜1000マイクロメートルの範囲の粒径とした。最後に、粒子を、毎分5℃のランプ速度で、450℃で2時間にわたり焼成した。
【0061】
実施例3
実施例1の分子篩を使用したn−ヘキサデカンの水素異性化
実施例1および実施例2で生産した分子篩の効果を評価するために、n−ヘキサデカン・サンプルと、実施例2で生産された本発明のプラチナ含浸の分子篩触媒の代表的サンプルとで、いくつかの水素異性化反応を行なった。非常に高度な先行技術のSAPO−11触媒サンプル、すなわち米国特許第6,294,081号の、実施例2および表4のサンプル2−aおよびサンプル2−bとの比較評価を行なうために、予備的実験を、我々の研究室で利用できる反応装置の変換レベルが1モルのn−ヘキサデカンにつき5モルの水素を超えるモル比率で安定しているかどうかを決定するために行われた。前述の特許の実施例2が1モルのヘキサデカンにつき50モルの水素の比率を使用し、また我々の研究室では水素:ヘキサデカン・モル比率が15:1を超えるテストを行うことは不可能であったため、この決定が必要であった。これらの予備実験は、我々の研究室の装置の変換レベルは、テストした範囲すなわち5:1〜15:1の水素:ヘキサデカン・モル比率において、水素:ヘキサデカン・モル比率と無関係であることを確認した。これらの予備テストにおいて得られた結果は、水素のヘキサデカンに対するモル比が5:1、10:1、および15:1では、我々の装置のそれぞれの変換は77.0%、77.7%、および77.5%であったことを示した。実施例1の触媒の変換レベルは、前述の特許の実施例2のサンプル2−aおよびサンプル2−bに類似すると結論された。本明細書の実施例1で調製さ
れた触媒サンプルについての性能試験は、前述の特許の反応条件に類似する条件で行われた。特に、n−ヘキサデカン水素異性化における触媒サンプルの活性および選択性は、16mmの内径を有する連続流反応器を使用して測定される。この反応器は、3mmの直径のサーモウェルを備えている。触媒サンプルは、1:1(容量で)に、46メッシュのSiC粒子で希釈される。試験は、上昇流中で、4×10kPaの圧力で、3.58kg/kgの単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)で、5.0:1、10.0:1、および15.0:1の水素:n−C16モル比率で、300〜340℃の範囲の温度で行われる。触媒は、10 NL/時間(そこでNLはNormal Literを表す)の水素流中で、400℃で2時間にわたり活性化される。これらの実験で使用されたn−ヘキサデカンは、Merck & Co., Inc.からの99.9%を超える純度である。反応産物は、GCによって分析された。GCデータから、変換は、残留n−ヘキサデカンの割合(%)を100から引いたものとして計算された。C16未満への分解は、16個未満の炭素原子を有する産物の割合(%)として計算された。異性化は、16個の炭素原子を有する異性化産物の割合(%)の合計として計算された。異性化選択性は、異性化と変換の比率として計算された。
【0062】
これらの水素異性化実験の結果は、表1にまとめられ、図4〜図8に図示される。表1では、以下の省略形が使用される:「HC」は炭化水素、「Temp.」は温度、「conv.」は変換、「Isomer.」は異性化、「Ex.」は実施例である。「テストA」と呼ばれる表1の結果は、表に示す3つのH/HC比率で、実施例1および実施例2で生産される産物からの代表的なPt含浸の押出物(本発明からのSAPO−11とアルミナ結合剤)サンプルを使用して行われるテストの結果である。「テストB」と呼ばれる表1の結果は、10のH/HC比率でそして様々な温度で、実施例2からの代表的なPt含浸の押出物(本発明からのSAPO−11とアルミナ結合剤)サンプルを使用して行われるテストの結果である。本図面の図中には、テストAとして示される本発明のテスト結果は、10:1のH/HC比率で得られる結果であるが、テストBとして示されるテスト結果は、様々な温度でそして10:1の同一のH/HC比率で得られるテスト結果である。テストCデータは、本発明からの代表的なPt含浸SAPO−11(結合剤なしの粉砕ペレット)を使用して行われたテストの結果を示す。
【0063】
以前に述べたように、サンプル2−aおよびサンプル2−bに関する、本図面の図のグラフ中に示される比較結果は、上記で参照した米国特許第6,294,081号の表2で示されるデータのプロットである。本明細書の表1および図4〜図8から、本発明の触媒は、好ましい異性化産物に関して、参照の最先端の触媒よりも、高い活性と優れた選択性の両方を示すことを、明らかに見ることができる。
【表1−1】

【表1−2】

【0064】
上記特許の比較サンプルと比較した、本発明のシリコアルミノホスフェート分子篩の使用によって達成された改善結果は、表1内および図4〜図8のグラフ内のデータから明白であると考えられる。
【0065】
例えば「非結晶質部分」、「非結晶質材料」、「非結晶部」、「非結晶質相部分」、またはその他といった、同一のことを意味する本出願で用いられる様々な用語の使用には重要性はないことが、理解される。これらの用語は、言語の変形にすぎず、議論される組成物または材料の同一の部分、材料、部、相、相部分などを意味する。
【0066】
実施例4
SAPO−11、非結晶質相、およびSAPO−41から成る分子篩の大規模調製
以下の出発材料を、合成のために使用した:擬ベーマイト(74.67重量%のAlおよび25.33重量%の水を含む);オルトリン酸(水中に85重量%);24.0重量%のSiOコロイド状シリカ(200nmの平均粒径と80g/mの典型的表面積を有する);鋳型としてジ−n−プロピルアミン(DPA);界面活性剤添加物としてヘキサデシルアミン(HDA)、ならびに溶媒として蒸留水。合成ゲルを調製するために、アルミニウム材料(78 kg)を、最初に蒸留水(238 kg)に30℃で3時間かけて添加した;次に、リン酸溶液(132 kg)を、アルミナスラリーに30分間の期間で添加し、そして70℃に4時間維持した;次に、コロイド状シリカ(43 kg)を、15分間の期間で添加し、そして70℃に1時間維持し、最後に、有機物質の液体混合物(70℃のDPA(58 kg)およびHAD(15.1 kg)の混合物)を、合成混合物へ15分間で添加し、70℃に3時間維持した。すべての段階は、1000L容器内で0.7kW/mのエネルギー入力での、活発な混合下において行われた。合成ゲル中の水のアルミナに対するモル比率は、34.5であった。合成ゲルを、ステンレス鋼オートクレーブに移した。合成ゲルを、直接的な蒸気注入(260 kg)によって155℃まで加熱し、次に壁面加熱によって毎分0.1℃の速度で190℃まで加熱した。合成ゲル中の水のアルミナに対するモル比率は、蒸気処理後には、59.6へと増加した。190℃での結晶化を、0.7kW/mの連続エネルギー入力での活発な混合下で、28時間にわたり行った。結晶化が終了した後、産物を、別の容器において連続した低速の混合下(100 rpm)で、水で結晶化産物を希釈することによって(希釈比率は3.6:1)60℃まで急冷した。固体産物を、遠心分離(9000rpm)によって母液から回収し、蒸留水で2度洗浄し、120℃で一晩にわたり乾燥した。固体を、空気雰囲気中で、回転焼成炉で、毎分10℃のランプで300℃まで焼成し、それに続いて、このランプ後に、300℃で2時間にわたり加熱した。この最初の焼成段階後、毎分5℃のランプで550℃までの2時間にわたる、第2の後続の加熱履歴が続いた。
【0067】
産物の特徴づけ
実施例1で述べたものと類似した化学的および物理的な分析技術および方法を使用した。そのように調製されたSAPOサンプルは、以下の結晶相の存在を示す:主な相は、SAPO−11構造(鋳型を含む)であり、一定量のSAPO−41を伴う。焼成SAPO材料は、乾燥サンプルのものに類似した相の存在を示す。両方のXRDパターンは、結晶相に加えて、非結晶質部がサンプル中に存在することを示す。XRDスペクトルから、本分子篩のトポロジーは、48%のAEL(SAPO−11)、13%のAFO(SAPO−41)、および39%の非結晶質材料で、計算誤差の範囲は±5%以内であった。SAPO−11およびSAPO−41微結晶の平均の見かけのサイズはそれぞれ、約150±25nmおよび80±15nmと推定された。焼成サンプルの酸化物形態でのAl、P、およびSiの化学分析は、Al、P、SiOの量はそれぞれ、41.7、50.4、7.9重量%を示した。約260m/gのN比表面積が、焼成産物において分析された。
【0068】
実施例2で述べられた方法に従って、焼成固体材料を、押出物の形の触媒として調製した(70重量%のSAPO材料を含む)。
【0069】
実施例3で述べられた方法および条件に従って、触媒押出物サンプルを、n−ヘキサデカンの水素異性化反応においてテストした。結果を、テストDとして、表1および図4〜図8に示す。
【0070】
実施例5
SAPO−11、非結晶質相、およびSAPO−41から成る分子篩の大規模調製
以下の出発材料を、合成のために使用した:擬ベーマイト(74.67重量%のAlおよび25.33重量%の水を含む);オルトリン酸(水中に85重量%);95.0重量%のミクロ粒状SiO(約300μmの平均粒径と約200m/gの比表面積を有する);鋳型としてジ−n−プロピルアミン(DPA);界面活性剤添加物としてアルキルアミン混合物(98%を超える、C12−C14の直鎖状アルキル鎖を有する第一アルキルアミンを含む)、ならびに溶媒として蒸留水。合成ゲルの調製条件、蒸気処理および壁面加熱による加熱において使用される条件、結晶化条件、産物の回収条件、産物の焼成条件、ならびに合成ゲルのモル処方(蒸気処理の前後での)は、実施例4と同一であった。
【0071】
産物の特徴づけ
実施例1で述べたものと類似した化学的および物理的な分析技術および方法を、使用さした。そのように調製されたSAPOサンプルは、以下の結晶相の存在を示す:主な相は、SAPO−41構造(鋳型を含む)であり、一定量のSAPO−11を伴う。焼成SAPO材料は、乾燥サンプルのものに類似した相の存在を示す。両方のXRDパターンは、結晶相に加えて、非結晶質部がサンプル中に存在することを示す。XRDスペクトルから、本分子篩のトポロジーは、14%のAEL(SAPO−11)、60%のAFO(SAPO−41)、および26%の非結晶質材料で、計算誤差の範囲は±5%以内であった。SAPO−11およびSAPO−41微結晶の平均の見かけのサイズはそれぞれ、約150±25nmおよび80±15nmと推定された。焼成サンプルの酸化物形態でのAl、P、およびSiの化学分析は、Al、P、SiOの量はそれぞれ、42.5、50.1、7.4を示した。約300m/gのN比表面積が、焼成産物において分析された。
【0072】
実施例2で述べられた方法に従って、焼成固体材料を、押出物の形の触媒として調製した(70重量%のSAPO材料を含む)。
【0073】
実施例3で述べられた方法および条件に従って、触媒押出物サンプルを、n−ヘキサデカンの水素異性化反応において試験した。結果は、テストEとして、表1および図4〜図8に示す。
【0074】
本明細書または本明細書の請求項のどこかで、化学名または化学式によって記述される成分は、単数形または複数形での記載にかかわらず、化学名または化学タイプによって記述される他の物質(例えば、他の成分や溶媒など)と接触する以前に存在するものとして特定される。生成する混合物または溶液中において、もしあっても、どのような化学変化、化学変換、および/または化学反応が生じるのかは重要ではない、それは、そのような変化、変換、および/または反応は、本開示に従って指示された条件下で記載成分を合わせることによって生じる自然の結果であるためである。また、以下の請求項では、物質、成分、および/または材料を現在形(「含む」、「である」、など)で記述し得るが、記述されるのは、本開示に従って1つまたはそれ以上の他の物質、成分、および/または材
料と初めて接触、配合、または混合される直前に存在した物質、成分、または材料のことである。本開示に従っておよび化学者の通常技術によって行われるならば、接触、配合、または混合の操作の過程における化学反応または化学変換によって、物質、成分、または材料がその元来の固有性を失い得るという事実は、したがって、実質的な懸念ではない。
【0075】
明白に別様に示され得る場合を除いて、冠詞の「a」または「an」は、もし本明細書で使用される場合および本明細書で使用される場合、冠詞が示す単一の要素に請求項を、限定することを意図せず、また限定するように解釈されてはならない。むしろ、冠詞の「a」または「an」は、もし本明細書で使用される場合および本明細書で使用される場合、明白に別様に示され得る場合を除いて1つまたはそれ以上のそのような要素を含むことを意図する。
【0076】
本発明は、本明細書に記述される材料および/または手順を含み得る、またはから成り得る、またはから基本的に成り得る。
【0077】
本明細書のいかなる部分で参照する、それぞれのおよびあらゆる特許、または出版物、または米国特許仮出願も、本明細書にそれが完全に記載されているかのように、その全体を参照により本開示へと組み込む。
【0078】
本発明は、その実行において、数多くの変形を許す。したがって、上の記述は、本発明を以上で示した特定の実施例に、限定することを意図せず、また限定するように解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともSAPO−11およびSAPO−41をin situ共生産の非結晶質部分との組合せで含むシリコアルミノホスフェート分子篩の生産に関する過程であり、その過程は以下を含む:
(I)以下の成分を、撹拌下で混合することによって、基本的にアルコール不使用の反応混合物を形成することであり、以下の成分は、(i)アルミナ、(ii)シリカ、(iii) Pを85%(重量/重量)オルトリン酸の形で、または同量のHPOを他の水相リン酸溶液の形で、(iv)SAPO−11およびSAPO−41のため鋳型物質、(v)水、ならびに(vi)界面活性剤を含み、そこで、前述の成分は、実質的に以下に示す相対モル比率である:0.6〜1.4モルの(i):0.05〜0.7モルの(ii):0.6〜1.4モルの(iii): 0.5〜2モルの(iv):15〜100モルの(v):0.01〜0.5モルの(vi);
(II)反応混合物を熟成することであり、熟成期間は、通常100時間以下の期間であるが、必要であると考えられるまたは望ましいならば、より長期間であり得、0.05〜約20kW/mの範囲のエネルギー入力での撹拌を伴い、約10〜約100℃の範囲の1つ以上の温度において行い、熟成混合物を形成する;ならびに、
(III)熟成混合物を加熱することであり、熟成混合物は、撹拌を行いつつ、自己圧力(autogenous pressure)下において、160℃〜約220℃で2〜100時間にわたり加熱され、それにより、少なくともSAPO−11およびSAPO−41を少なくとも約5重量%の非結晶質部分と組合せて含むin situシリコアルミノホスフェート分子篩を生産する。
【請求項2】
●I)中の該相対モル比率は、0.8〜1.2モルの(i):0.1〜0.5モルの(ii):0.8〜1.2モルの(iii):0.8〜1.2モルの(iv):20〜70モルの(v):0.02〜0.3モルの(vi)であり;
●II)中の該熟成期間は、10時間以下であり、II)中の撹拌のための該エネルギー入力は、0.1〜10kW/mの範囲であり;ならびに
●III)中の該熟成混合物は、自己圧力下において、170℃〜約210℃で10〜70時間にわたり加熱される、
請求項1に記載の過程。
【請求項3】
●I)中の該相対モル比率は、0.9〜1.1モルの(i):0.2〜0.4モルの(ii):0.9〜1.1モルの(iii):0.9〜1.1モルの(iv):25〜60モルの(v):0.05〜0.2の(vi)であり;
●II)中の該熟成期間は、1時間以下であり、II)中の撹拌のための該エネルギー入力は、0.5〜3kW/mの範囲であり;ならびに
●III)中の該熟成混合物は、撹拌を行いつつ、自己圧力下において、180℃〜200℃で20〜50時間にわたり加熱される、
請求項1に記載の過程。
【請求項4】
記載される条件下で熟成混合物の加熱を行う際の、温度上昇が成される速度は、約0.05℃/分〜約1500℃/分の範囲から選択される、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の過程。
【請求項5】
さらに以下を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の過程:
IV) シリコアルミノホスフェート分子篩を、約100℃未満まで冷却する。
【請求項6】
該冷却は、該加熱の終了後から1時間以内に行われる、
請求項5に記載の過程。
【請求項7】
さらに以下を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の過程:
(i)回収産物を形成するために、固体/液体の分離手順によって、該シリコアルミノホスフェート分子篩を回収すること、ならびに(ii)該回収産物を洗浄および乾燥する工程であり、(i)および(ii)の実施は、熟成混合物の該加熱終了後から約5時間以内に完了する。
【請求項8】
少なくとも約300℃〜約550℃の範囲の1つ以上の温度で該回収産物を焼成することを、さらに含む、
請求項7に記載の過程。
【請求項9】
該成分は、実質的に以下に示すモル比率で混合される、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の過程:1モルの(i):0.3モルの(ii):1モルの(iii):1モルの(iv):25〜55モルの(v):0.02〜0.1モルの(vi)。
【請求項10】
加熱は、180℃〜200℃の範囲の温度で、約12〜約40時間の範囲の期間にわたり行われる、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の過程。
【請求項11】
熟成は、約30〜約100℃の範囲の1つ以上の温度で行われる、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の過程。
【請求項12】
使用される鋳型物質は、ジ−n−プロピルアミンまたはイソプロピルアミンである、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の過程。
【請求項13】
使用される鋳型物質は、ジ−n−プロピルアミンであり、使用される界面活性剤は、ジヘキサデシルアミンである、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の過程。
【請求項14】
シリカは、i) シリカゾル、ii) コロイド状シリカ、(iii) シリカゲル、iv) スプレー乾燥シリカ粒子、v) ヒュームド・シリカ、またはvi) i)〜v)のあらゆる組合せ、から選択される、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の過程。
【請求項15】
該分子篩は、最大約80重量%のSAPO−41分子篩をさらに含む、
請求項1〜13のいずれか一項に記載の過程。
【請求項16】
SAPO−11およびSAPO−41を少なくとも約5重量%のin situ生産の非結晶質材料との組合せで含むシリコアルミノホスフェート分子篩であって、SAPO−11およびSAPO−41は、混乱を伴わずに物理的または化学的に互いを分離できない、
シリコアルミノホスフェート分子篩。
【請求項17】
約5重量%〜約80重量%のSAPO−11、約5重量%〜約80重量%のSAPO−41、および約5重量%〜約60重量%のin situ生産の非結晶質相材料を含む、請求項16に記載のシリコアルミノホスフェート分子篩。
【請求項18】
請求約10重量%〜約60重量%のSAPO−11、約10重量%〜約60重量%のSAPO−41、および約20重量%〜約50重量%のin situ生産の非結晶質相材
料を含む、
請求項16に記載のシリコアルミノホスフェート分子篩。
【請求項19】
触媒活性種の第VIII族貴金属を載せたまたは含浸した請求項16〜18のいずれか一項に記載のシリコアルミノホスフェート分子篩を含む、触媒組成物。
【請求項20】
該貴金属は、プラチナである、
請求項19に記載の触媒組成物。
【請求項21】
該貴金属は、該触媒組成物の最大約10重量%である、
請求項19または20に記載の触媒組成物。
【請求項22】
該触媒組成物中には、最大約60重量%のアルミナが存在する、
請求項19〜21のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項23】
水素異性化条件下において、請求項19〜22のいずれか一項に記載の触媒組成物を、1つまたはそれ以上の直鎖または実質的に直鎖の炭化水素と接触させることを含む、水素異性化過程。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−529414(P2012−529414A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514386(P2012−514386)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003493
【国際公開番号】WO2010/142448
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(508375653)
【Fターム(参考)】