説明

SCUTELLARIABARBATAD.DONの精製抽出物を作製するためのプロセス

Scutellaria barbata D.Donの抽出物は、G1期における癌細胞成長の停止、癌細胞におけるアポトーシスの誘発および固形癌の縮小において有効である。抽出物は、固形癌、たとえば上皮癌の治療のために哺乳動物に投与される医薬組成物として調製することができる。このような上皮癌としては、乳癌および卵巣癌が挙げられる。抽出物は、Scutellaria barbata D.Don種由来の植物の地上部を水性またはアルコール性溶媒と接触させることによって、Scutellaria barbata D.Donから得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬草Scutellaria barbata D.Don(半枝蓮)(ここでは、「BZL」とも称し、これはその中国の伝統的な名称の略語である)、BZL101療法の胃腸への影響、BZL抽出物のより純度が高いBZL101と比較して、好適であるか、またはさらには向上された抗癌効果、および改善された副作用特性に関する。
【0002】
相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)項のもとで2007年11月19日に出願された仮特許出願第60/989,059号(その全体を参照することにより本発明の一部とする)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
乳癌の早期検出およびアジュバント療法における進歩は、一般的に患者生存率に対してよい影響を及ぼしてきたが、進行した転移性乳癌を発症した患者は、一般的に予後が余り望ましくない傾向がある。一般的に用いられるホルモン治療剤および化学療法剤は、腫瘍の一時的な退行をもたらし得るが、癌に関連する症状を軽減させ得る。しかし、これらの治療は、多くの場合、毒性、および許容できない副作用を伴い、最終的に、進行期の乳癌およびその症状の制御に無効になる。生存における改善は、最新の対象生物剤でさえも控えめである。さらに、ほとんどの転移性癌においては、利用可能な従来型治療に対する耐性が最終的に現れるか、または従来型治療を用いると過度の副作用が見られる。
【0004】
乳癌の治療において用いられる全ての化学療法剤の60%超が天然物質由来であることは興味深い(Newman 2003)。ごく最近の例は、タイヘイヨウイチイの木、(Taxus brevifolia)からのタキサンの開発である。世界中で、世界人口の約80%はいまだ治療薬の主要な供給源として植物性薬剤に依存していると推定される。西洋では、植物性薬剤は、癌と診断された患者の間で一般的な補完代替医療の形態と見なされる。しかし、ランダムサンプリングの事例では、治療に関して植物性薬剤のみに依存する女性における治癒および臨床的有効性が報告されているが、乳癌の治療に関して植物性薬剤の安全性および有効性を確固として評価するための臨床試験はほとんど行われていない。Scutellaria barbataの水性抽出物は、乳癌細胞系の生体外の成長阻害をもたらし得ることが以前に証明されている(“Antiproliferative activity of Chinese medicinal herbs on breast cancer cells in vitro.” Anticancer Res.22(6C):3843−52(2002))。スクテラリア・バルバータの濃縮水性抽出物であるBZL101を、5の乳癌細胞系(SK−BR−3、MCF7、MDA−MB−231、BT−474、およびMCNeuA)に関する抗増殖作用について評価した。これらの細胞系は、様々なエストロゲンおよびHER2受容体を発現する乳癌の重要な予後表現型である。1:10希釈(15μg/ml)で試験したBZL101は、五つの細胞系のうち四つに対して>50%成長阻害を示した(Campbell、2002)。BZL101は、肺、前立腺および膵臓癌細胞系のパネルに対して>50%成長阻害を示した。BZL101は、同じ用量で、正常なヒト乳腺細胞(HuMEC)に対して>25%の成長阻害を引き起こさず、癌細胞に対して選択性を示した(表1)。さらに、BZL101は、正常なヒトリンパ球に対して軽度の細胞分裂促進作用を有していた。細胞周期分析において、BZL101は、S期バーストおよびG1停止を引き起こした。BZL101は、ミトコンドリア膜電位も弱め、カスパーゼ非依存性高分子グレード(HMG)アポトーシスを引き起こした。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Newman 2003
【非特許文献2】Antiproliferative activity of Chinese medicinal herbs on breast cancer cells in vitro.” Anticancer Res.22(6C):3843−52(2002)
【非特許文献3】Campbell、2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、BZL101の臨床試験において、一部の被験者は胃腸障害を経験したことに注目した。試験した用量で、胃腸障害は重篤な有害事象のレベルまで上昇しなかったが、さらに高用量で、胃腸障害は用量制限的になり得、それによって、薬草Scutellaria barbata D.Don(半枝蓮)(ここでは、「BZL」とも称し、これはその中国の伝統的な名称の略語である)を用いた治療の最大有効性を制限することが、少なくとも考えられる。本発明者は、BZL101療法の胃腸への影響は、被験者に投与されたBZL101「茶」中の不活性成分(例えば、不溶性繊維)に起因し得ると考えている。BZL抽出物のより純度が高い形態は、BZL101と比較して、好適であるか、またはさらには向上された抗癌効果、および改善された副作用特性をもたらすというのが本発明者の考えである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態において、本発明は、Scutellaria barbata D.Donの医薬抽出物を製造するプロセスであって、Scutellaria barbata D.Don生薬草を水と混合し、混合物を加熱し、液体抽出物を濾過によって分離し、抽出物を濃縮し、濃縮された抽出物を濾過し、抽出物を希釈し、希釈された液体抽出物を凍結し、凍結乾燥物を乾燥し、乾燥された抽出物を粉砕することを含むプロセスである。
【0008】
いくつかの実施形態において、本発明は、Scutellaria barbata D.Donの抽出物を含む、癌を治療するための医薬組成物であって、Scutellaria barbata D. Donの抽出物は、Scutellaria barbata D.Don生薬草を水と混合し、混合物を加熱し、液体抽出物を濾過によって分離し、抽出物を濃縮し、濃縮された抽出物を濾過し、抽出物を希釈し、希釈された抽出物を凍結し、凍結抽出物を乾燥し、乾燥された抽出物を粉砕することを含むプロセスにしたがって製造される。
【0009】
いくつかの実施形態において、本発明は、被験者において癌を治療する方法であって、被験者に対して有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物を投与することを含み、ここで、抽出物は、Scutellaria barbata D.Don生薬草を水と混合し、混合物を加熱し、液体抽出物を濾過によって分離し、抽出物を濃縮し、濃縮された抽出物を濾過し、抽出物を希釈し、希釈された液体抽出物を凍結し、凍結抽出物を乾燥し、乾燥された抽出物を粉砕することを含むプロセスによって製造される。
参照による援用
本明細書において言及される全ての刊行物および特許出願は、ここでは、各刊行物または特許出願がそれぞれ具体的かつ個別に示されて、参照することによって組み入れられるように、ある程度まで参考として本明細書の一部に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の新規特性を特に添付のクレームで記載する。本発明の特性および利点は、本発明の原理を利用する具体例を記載した以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【図1】いくつかの固形癌腫瘍細胞の、本発明の薬草の水性抽出物に対する反応を示す用量反応曲線を示す。
【図2】いくつかの固形乳癌腫瘍細胞の、本発明の水性抽出物に対する反応を示す用量反応曲線を示す。
【図3】固形乳癌腫瘍細胞および正常な乳房上皮の、本発明の薬草の水性抽出物に対する反応を比較する用量反応曲線を示す。
【図4】本発明の薬草の水性抽出物と接触した固形腫瘍癌細胞のアポトーシスの間に核DNA分解が起こることを示すゲル電気泳動プレートを示す。
【図5】異種移植モデルにおいて、本発明の薬草抽出が腹腔内(IP)投与されたマウスの腫瘍に対する効果を示す。
【図6】経口強制飼養によって投与された薬草抽出物の、飲用水中低用量で投与されたシクロホスファミドとの相互作用において、異種移植モデルにおけるマウスの腫瘍に対する効果を示す。
【図7】薬草抽出物がカスパーゼを活性化することなくアポトーシスを誘発することを示す。
【図8】細胞周期分析において薬草抽出物はG1期での細胞を停止させることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において用いられる場合、不定冠詞「一つ」または「一つの」(「a」または「an」)は、さらに規定しない限り、「少なくとも一つ」を意味すると解釈すべきである。接続詞「または」は、特に規定しない限り、包括的であることを意図する。
Scutellaria barbata D.Donの抽出物を精製するプロセス
いくつかの実施形態において、本発明は、Scutellaria barbuta D. Donの医薬抽出物を製造するプロセスであって、Scutellaria barbata D.Don生薬草を水と混合することと、混合物を加熱することと、液体抽出物を濾過によって分離することと、抽出物を濃縮することと、濃縮された抽出物を濾過することと、抽出物を希釈することと、希釈された液体抽出物を凍結することと、凍結抽出物を乾燥することと、乾燥された抽出物を粉砕することとを含むプロセスである。
【0012】
いくつかの実施形態において、脱イオン水と混合されるScutellaria barbata D.Donの量は、1:10の割合である。いくつかの実施形態において、Scutellaria barbata D.Donの量は、約300kg〜約3000kgである。
【0013】
いくつかの実施形態において、混合物を約100℃に加熱する。いくつかの実施形態において、混合物の温度を約70℃〜約75℃に低下させる。いくつかの実施形態において、温度を約1時間維持する。いくつかの実施形態において、80メッシュ(177um)スクリーンを用いて、液体抽出物を分離する。
【0014】
いくつかの実施形態において、液体抽出物を蒸発によって濃縮する。いくつかの実施形態において、液体抽出物を約40℃〜約60℃の温度で蒸発させることによって濃縮する。いくつかの実施形態において、325メッシュ(44um)スクリーンを用いて、濃縮抽出物を濾過する。
【0015】
いくつかの実施形態において、濾過された濃縮抽出物を精製水で希釈する。いくつかの実施形態において、濾過された濃縮抽出物を3倍に希釈する。
【0016】
いくつかの実施形態において、凍結乾燥機多角形トレイを用いて希釈された抽出物を凍結する。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明は、Scutellaria barbata D.Donの抽出物を含む、癌を治療するための医薬組成物であって、Scutellaria D. Donの抽出物は、Scutellaria barbata D.Don生薬草を水と混合し、混合物を加熱し、液体抽出物を濾過によって分離し、抽出物を濃縮し、濃縮された抽出物を濾過し、抽出物を希釈し、希釈された液体抽出物を凍結し、凍結乾燥物を乾燥し、乾燥された抽出物を粉砕することを含むプロセスにしたがって製造される。
【0018】
いくつかの実施形態において、脱イオン水と混合されるScutellaria barbata D.Donの量は、1:10の比である。いくつかの実施形態において、Scutellaria barbata D.Donの量は、約300kg〜約3000kgである。
【0019】
いくつかの実施形態において、混合物を約100℃に加熱する。いくつかの実施形態において、混合物の温度を約70℃〜約75℃に低下させる。いくつかの実施形態において、温度を約1時間維持する。いくつかの実施形態において、80メッシュ(177um)スクリーンを用いて、液体抽出物を分離する。
【0020】
いくつかの実施形態において、液体抽出物を蒸発によって濃縮する。いくつかの実施形態において、液体抽出物を約40℃〜約60℃の温度で蒸発させることによって濃縮する。いくつかの実施形態において、325メッシュ(44um)スクリーンを用いて、濃縮抽出物を濾過する。
【0021】
いくつかの実施形態において、濾過された濃縮抽出物を精製水で希釈する。いくつかの実施形態において、濾過された濃縮抽出物を3倍に希釈する。
【0022】
いくつかの実施形態において、凍結乾燥機多角形トレイを用いて、希釈された抽出物を凍結する。
【0023】
いくつかの実施形態において、組成物は:活性医薬成分、エンハンサ、賦形剤、およびpHを調節し、組成物を緩衝し、分解を防止し、そして味、外観、または臭いを改善するために使用される薬剤からなる群から選択される少なくとも一つの追加の成分をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明は、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物を投与することを含む、被験者において癌を治療する方法であって、抽出物は、Scutellaria barbata D.Don生薬草を水と混合することと、混合物を加熱することと、液体抽出物を濾過によって分離することと、抽出物を濃縮することと、濃縮された抽出物を濾過することと、抽出物を希釈することと、希釈された液体抽出物を凍結することと、凍結抽出物を乾燥することと、乾燥された抽出物を粉砕することとを含むプロセスによって製造される。
【0025】
いくつかの実施形態において、脱イオン水と混合されるScutellaria barbata D.Donの量は、1:10の比である。いくつかの実施形態において、Scutellaria barbata D.Donの量は、約300kg〜約3000kgである。
【0026】
いくつかの実施形態において、混合物を約100℃に加熱する。いくつかの実施形態において、混合物の温度を約70℃〜約75℃に低下させる。いくつかの実施形態において、温度を約1時間維持する。いくつかの実施形態において、80メッシュ(177μm)スクリーンを用いて液体抽出物を分離する。
【0027】
いくつかの実施形態において、液体抽出物を蒸発によって濃縮する。いくつかの実施形態において、液体抽出物を約40℃〜約60℃の温度で蒸発させることによって濃縮する。いくつかの実施形態において、325メッシュ(44um)スクリーンを用いて、濃縮抽出物を濾過する。
【0028】
いくつかの実施形態において、濾過された濃縮抽出物を精製水で希釈する。いくつかの実施形態において、濾過された濃縮抽出物を3倍に希釈する。
【0029】
いくつかの実施形態において、凍結乾燥機多角形トレイを用いて希釈された抽出物を凍結する。
【0030】
いくつかの実施形態において、癌が乳癌である。いくつかの実施形態において、乳癌が、核エストロゲン受容体を、所定の閾値を超えないレベルで発現する。いくつかの実施形態において、乳癌が、核エストロゲン受容体を、所定の閾値を超えるレベルで発現する。
【0031】
いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約1〜約20,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約10〜約10,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellariaD.Donの抽出物は、約50〜約5,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellariaD.Donの抽出物は、約100〜約2,500gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約300〜約5.000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約500〜約5,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約800〜約5,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約300〜約10,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約500〜約10,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約800〜約10,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約800〜約10,000gのScutellaria barbata D. Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約800〜約20.000gのScutellaria barbata D.Don.の可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約1200〜約20,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。いくつかの実施形態において、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物は、約2400〜約10,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる。
Scuttelaria barbata D.Don(BZL)
Scutellaria barbata D.Don抽出物は、固形腫瘍癌細胞と接触させた場合、細胞の活性、あるいは成長および/または増殖を阻害する。薬草は、シソ科のScutellaria barbata D.Don種から選択される。中国では、これはバン・チー・リャン(Ban Zhi Lian)(BZL)と呼ばれる。主に、四川省、江蘇省、江西省、福建省、広東省、広西壮族自治区および陝西省の黄河(Huang Po)の南東域で生育するが限定されない。この植物は開花(5月〜6月)後の夏の終わりと初秋に収穫される。地上部を根本から切断する。地上部(葉および茎)のみを、本明細書において記載するようにしてScutellaria barbata D.Donの抽出物を調製するために使用する。薬草を天日干し、植物全体として包装する。薬草は葉と茎の間を分離しない。
【0032】
このように、本明細書で特別に定める場合を除き、「抽出物」という用語は、Scutellaria barbata D.Donの地上部(葉および茎)の抽出物を意味する。本明細書で特別に定める場合を除き、「薬草」という用語は、Scutellaria barbata D.Donの地上部を意味する。本明細書で特別に定める場合を除き、抽出物の「薬理学的有効量」という用語は、少なくとも1人の被験者において良い臨床結果をもたらすために十分な抽出物の量を意味する。良い臨床結果は、熟練した腫瘍学者に公知の従来の臨床基準によって測定される。いくつかの好適な良い臨床結果としては、部分寛解、完全寛解、腫瘍サイズの縮小、安定な腫瘍サイズ、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約9ヶ月または少なくとも約12ヶ月を超える期間の転移の防止、予想される平均余命の延長、癌の再発の予防、癌の再発に必要な予想時間の延長が挙げられる。本発明の態様は、抽出物が、別の化学療法薬と同時に投与される場合、良い臨床結果を達成するために必要な抽出物の量、したがって薬理学的有効量は、抽出物が単一剤として使用される場合に必要であるよりも少ないと予想される。1回分の抽出物を製造するプロセスを以下で詳細に記載する。この開示に関して、薬理学的有効量の抽出物は、約1〜20,000gのScutellaria barbata D.Donの熱湯またはエタノール性抽出物の乾燥固体部分である。いくつかの実施形態において、薬理学的有効用量は、約10〜約2000gのScutellaria barbata D.Donの熱湯またはエタノール性抽出物の乾燥固体部分である。
【0033】
下記の詳細な説明の部分に記載するように、薬草は、様々な種類の癌細胞の活性を阻害するのに実質的により活性である。したがって、これは、Scutellaria barbata種から得られる薬草抽出物である本発明の現在好適な態様である。これは、薬草抽出物がScutellaria barbata D.Donから得られる本発明の特に現在好適な態様である。
【0034】
Scutellaria barbata D.Donの抽出物が生体外で固形腫瘍を阻害することはすでに示されている。抽出物が活性である一部の固形腫瘍癌細胞系としては、SKBR3細胞、MCF7細胞、MDA−MB231細胞、BT474細胞またはMCNeuA細胞(乳癌細胞)、A549細胞、LLC細胞(肺癌細胞)、Panc1細胞、Panc02細胞(膵臓癌細胞)、PC−3細胞、LNCaP細胞(前立腺癌細胞)、OVCAR細胞、SKOV3細胞(卵巣癌細胞)が挙げられる。
【0035】
表1は、科、属、種および伝統的中国名を記載する、抽出物が得られる薬草の説明を含む。
【表1】

【0036】
表2Aは、いくつかの生体外固形乳癌腫瘍細胞系の活性の、抽出物による阻害の程度を示す。
【表2A】

【0037】
表2Bは、いくつかの生体外固形癌腫瘍細胞系の活性の、抽出物による阻害の程度を示す。
【表2B】

【0038】
抽出物中の活性成分は知られていない。乾燥後に再構成される場合、ならびに抽出物を物理的および化学的手段によって分離する場合に、抽出物は活性を失う。植物中の既知化学成分は、スクテラリン、スクテラレイン、カルタミジン、イソカルタミジンおよびワゴニンである。
【0039】
抽出物は、薬草を、例えばこれらに限定されないが、刻むか、圧壊するか、粉砕するか、みじん切りにするか、または他の方法で処理して、薬草の表面積の有効表面積を増大させた後に、そして通常、必ずではないが、撹拌および高温条件下で液体と密着させた後に得られる可溶性固体の残留物を含む。次に、前記条件下で一定時間経過後、混合物を濾過して、不溶性固体の実質的な部分を除去し、そして液体を、例えばこれらに限定されないが、蒸発または凍結乾燥によって除去して、前記残留物を得る。この残留物は、可溶性固体を含み、これは抽出物中に活性剤を含み、場合によっては、事前の濾過によって除去されなかった不溶性固体の一部を含む場合もあると考えられる。抽出物を得るために用いられる液体は、水または有機溶媒、例えばこれらに限定されないが、メチル、エチルまたはイソプロピルアルコール等のアルコール、アセトンまたはメチルエチルケトン(MEK)等のケトン、酢酸エチル等のエステル、塩化メチレン、クロロホルムまたは四塩化炭素等の有機塩素化合物、ペンタン、ヘキサンまたはベンゼン等の炭化水素であり得る。抽出物は、これらの溶媒の水を含むか、または含まない組み合わせを用いることによって得ることもできる。
【0040】
本明細書において用いられる場合、「投与する」、「投与すること」、または「投与」とは、抽出物または抽出物を含有する医薬組成物を被験者へ供給することを意味する。
【0041】
「被験者」とは、固形腫瘍癌に対して感受性である高等生物を意味する。かかる高等生物の例としては、制限なく、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、魚およびは虫類が挙げられる。現在好適な実施形態において、「被験者」とはヒトを意味する。
【0042】
本明細書において用いられる場合、「治療的有効量」とは、(1)腫瘍のサイズを減少させる効果、(2)腫瘍転移を阻害する効果(すなわち、ある程度減速させ、好ましくは停止させる)、(3)腫瘍成長をある程度阻害する効果(すなわち、ある程度減速させ、好ましくは停止させる)、および/または、(4)癌に関連する一つ以上の症状をある程度軽減する(または好ましくは除去する)効果、(5)腫瘍の成長を安定化させる効果、(6)進行までの時間を延長する効果、(7)全体的な生存率を改善する効果、を有する本発明の抽出物または抽出物の組み合わせの量を意味する。
【0043】
本明細書において用いられる場合、「医薬組成物」という用語は、本明細書に記載される抽出物と、別の成分、たとえば、生理学的に許容される担体および賦形剤との混合物を意味する。薬理学的組成物の目的は、本発明の抽出物の被験者への投与を促進することである。いくつかの現在好適な実施形態において、医薬組成物は水を含み得る。いくつかの現在好適な実施形態において、医薬組成物はさらに、フレーバマスキング剤を含むことができる。
【0044】
本明細書において用いられる場合、「薬理学的に許容される」という用語は、修飾剤または賦形剤が、一般的に、医薬組成物における使用に関して許容できると見なされることを意味する。
【0045】
本明細書において用いられる場合、「生理学的に許容される担体」とは、生体に対して著しい刺激を引き起こさず、投与された組成物の生物学的活性および特性を損なわない担体または希釈剤を意味する。
【0046】
本明細書において用いられる場合、「賦形剤」とは、本発明の抽出物の投与をさらに促進するために医薬組成物に添加される不活性物質を意味する。賦形剤の非制限的例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖および様々な種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0047】
かつては、植物性薬剤は、被験者を治療するために治療者が使用する最も重要な物質群であった。WHOの調査によれば、世界人口の80%は今でも彼らの治療薬の主な供給源として生薬へ極めて依存している。西洋文化では、現在処方されている薬物の活性成分の1/4は、まず植物において同定され、現在最も一般的な50の薬物のうちの半分を超えるものが植物材料由来である。加えて、癌の治療において用いられる化学療法剤の60%を超えるものは、天然物質由来である。
【0048】
植物から生物活性化合物を見いだすための有用な戦略は、植物の伝統的医薬用途についての情報を使用する民族薬理学的アプローチである。障害の治療における植物の使用の長い歴史は、障害が十分に特徴づけられているかどうかに関係なく、例えば、皮膚発疹、またはさらに漠然としたものでは、例えばかんしゃくが、植物中の何かが障害に対してある有益な効果を有することの明らかな指標であり、さもなければ植物の使用は時間の経過とともに姿を消すであろう。さらに、ホメオパシー医が、植物またはその抽出物をヒト患者に対して、多くの場合、数世紀にわたって投与してきたという事実は、ヒトにおける植物またはその抽出物の安全性について説得力のある根拠を提供する。
【0049】
このような医薬への代替法は、ますます広く受け入れられ、米国においても、広範囲におよぶ状態を治療するため、ならびに健康状態を維持するために用いられている。米国人の二人のうち一人が、正確な日付はわからないが代替療法を現在使用していると推定される。特に、患者によるその癌の治療に対する最も一般的な補完的または完全な代替法は、植物性薬剤/生薬である。
【0050】
漢方(TCM)は、多くの場合、彼らの病気に対処するための代替法を選択する癌患者に好まれる治療法である。患者は、抗癌剤として、そして標準的な化学療法の副作用を軽減するための両方で使用する。しかし、TCMは西洋の薬理学で必要とされる科学的に完全な方法論に欠け、TCMの使用は、その有効性が行き当たりばったりであることが多い。特定の有用性を有し、なぜそれらがその用途で機能するかについての科学的証拠がある特定の薬草抽出物およびその組み合わせを見いだすことの必要性が依然として存在する。本発明は、このような抽出物および組成物煎剤を提供する。
医薬組成物および投与様式
本発明の抽出物は、他の物質またはさらなる操作と組み合わせることなく、「茶」として被験者に投与することができるか、あるいは抽出物を好適な担体または受容体と混合した医薬組成物として投与することができる。問題の障害を示す被験者の治療において、治療的有効量の抽出物を投与する。治療的有効量とは、被験者における症状の改善または生存の延長をもたらし、微生物感染の悪性腫瘍の破壊を含み得る抽出物の量を意味する。
【0051】
他の物質と組み合わせずに投与する場合、Scutellaria Barbata(特に、Scutellaria barbata D.Don)の抽出物を含む組成物を、好適なカプセル、例えばゼラチンカプセル中に封入することができる。他の賦形剤、アジュバント、結合剤、希釈剤、崩壊剤等との混合物で投与する場合、ScutellariaBarbataの乾燥抽出物を、当該技術分野において周知の従来法で圧縮して、カプセルまたはカプレットにすることができる。
【0052】
抽出物の毒性および治療有効性、すなわち、LD50(集団の50%に対して致命的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)の決定は、細胞培養または実験動物において標準的な医薬的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果の間の用量比は、治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。大きな治療指数を示す抽出物が好適である。これらの細胞培養アッセイおよび動物実験から得られるデータを、ヒトにおいて使用するため、特に内服するための様々な投与量の処方において用いることができ、これにはほとんどまたは全く毒性のないED50を含む。用量は、採用される投与形態および用いられる投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。一般的に、本発明の方法において使用される抽出物はTCMにおいて使用されてきたので、ヒトに対して比較的無毒であることが知られており、したがって大きな治療指数を示すことが予想される。
【0053】
本発明の方法において用いられる抽出部に関して、治療有効用量は、まず細胞培養アッセイから推定することができる。例えば、用量は、動物モデルにおいて処方して、細胞培養で決定されるIC50を含む循環血漿濃度範囲を達成することができる。このような情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルを、例えば、HPLCによって測定することができる。
【0054】
正確な処方、投与経路および用量は、被験者の状態を考慮し、そしてTCMの知識に基づいて、個々の医師が選択することができる(例えば、Finglら,in The Pharmacological Basis of Therapeutics,1975.Ch.1,p.1を参照)。毒性、または臓器機能不全のために、どのように、いつ、投与を終了、中断、または調節するか主治医がわかっていることに注目すべきである。反対に、主治医は、臨床反応が適切でないならば、治療をより高いレベルに調節することもわかっているであろう。状態の重篤度は、例えば一部、標準的予後評価法によって評価され得る。さらに、用量およびおそらくは頻度は、個々の被験者の年齢、体重、および反応によっても変化し得る。前記プログラムに匹敵するプログラムは、獣医学において使用することができる。
【0055】
所望により、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990)で見いだされるものなど、処方および投与についての標準的西洋医学技術を用いることができる。好適な経路は、数例を挙げると:経口、直腸、経皮、膣、経粘膜、または腸投与:筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに鞘内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻内、または眼内注射をはじめとする非経口送達を包含し得る。特定の実施形態において、本発明の抽出物を経口投与する。
【0056】
注射に関して、本発明の抽出物は、水溶液、好ましくは生理学的に適合性である緩衝液、たとえばハンクス液、リンゲル液、または生理食塩水緩衝液中で処方することができる。このような経粘膜投与に関して、浸透されるバリヤに適切な浸透剤を配合物において使用する。このような浸透剤は、一般的に当該技術分野で公知である。
【0057】
本発明の実施に関して開示された方法において、全身投与に適した用量での、本発明の抽出物を処方するための医薬的に許容される担体の使用は、本発明の範囲内である。担体および好適な製造実務を適切に選択して、本発明の抽出物、特に溶液として処方されたものは、例えば静脈内注射により、非経口投与することができる。同様に、抽出物は、当該技術分野において周知の薬理学的に許容される担体を用いて、経口投与に適した用量に処方することができる。このような担体は、治療される被験者による経口摂取のために、抽出物を錠剤、丸薬、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として処方することを可能にする。
【0058】
本発明における使用に適した医薬組成物は、抽出物が意図する目的を達成するために有効な量で含まれる組成物である。有効量の決定は、特に本明細書で提供される詳細な開示に照らして、当業者の能力の範囲内に十分含まれる。医薬組成物は、抽出物を医薬的に使用できる製剤に加工するのを促進する賦形剤および助剤をはじめとする好適な薬理学的に許容される担体を含有し得る。経口投与用に処方された製剤形態は、錠剤、糖衣錠、カプセル、または溶液の形態であり得る。本発明の医薬組成物は、それ自体公知の方法で、例えば、従来型混合、溶解、造粒、糖衣錠、カプセル、または溶液によって製造することができる。本発明の医薬組成物は、それ自体公知の方法で、例えば、従来型混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、浮揚、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥プロセスによって製造することができる。
【0059】
非経口投与用の製剤処方には、水溶性形態の抽出物の水溶液が含まれる。さらに、抽出物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製することができ、懸濁液の粘度を増加させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有することができる。場合によって、懸濁液は、好適な安定剤または、抽出物の溶解度を増加させて、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする薬剤を含有することもできる。
【0060】
抽出物を固体賦形剤と組み合わせ、場合によって、結果として得られる混合物を粉砕し、そして顆粒混合物を処理し、所望により好適な助剤を添加した後、錠剤または糖衣錠コアを得ることによって、経口使用される医薬品を得ることができる。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールをはじめとする糖等のフィラー、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント・ゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)等のセルロース調製物である。所望により、崩壊剤、たとえば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを添加することができる。
【0061】
糖衣錠コアには好適なコーティングが設けられている。このために、場合によって、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カープールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る濃縮糖溶液を用いることができる。識別のため、または抽出物および/または用量の様々な組み合わせを特徴づけるために、染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加することができる。
【0062】
経口的に使用できる医薬品としては、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールで作られた軟密封カプセル、押し込み型カプセルは、ラクトース等のフィラー、デンプン等の結合剤、および/または潤滑剤、たとえばタルクまたはマグネシウムセパレートおよび、場合によって、安定剤との混合物で抽出物を含有する。ソフトカプセルにおいて、抽出物を好適な液体、たとえば脂油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁させることができる。
【0063】
Scutellaria burbata D.Don抽出物の用量は、腫瘍タイプ、疾患状態、被験者の種および個々の被験者によって様々である。いくつかの実施形態において、ヒト被験者に対して投与されるScutellaria barbata D.Donの抽出物(BZL)の量は、約0.1g〜約20,000gのBZLの乾燥固体植物部分から抽出された乾燥固体残留物である。いくつかの実施形態において、有効用量は、約1〜約1000gのBZLから抽出された乾燥固体残留物である。いくつかの実施形態において、有効用量は約10〜約800gのBZLから抽出された乾燥固体残留物である。
【実施例】
【0064】
本発明の抽出物を得た薬草は、Shen Nong Herbs(Berkeley, California)から購入した。それらの識別は、伝統的医学文献を参照することによって確認した。
【0065】
[比較調製例1]
生体外およびマウス実験用のBZL101の調製
薬草抽出物を、ほとんどのものが伝統的治療計画で使用するために調製される方法である「沸騰煎剤」として調製した。7.5gの乾燥薬草粉末を125mlの蒸留水に添加し、混合物を沸騰させ、次いで45分間似ることによって、水性抽出物を調製した。混合物を冷却し、その間にほとんどの固体は容器の底に沈んだ。水性層を慎重にデカントして残留固体を除去し、5分間1500rpmで遠心分離し、0.45μmフィルタを通して滅菌濾過し、使用するまで4℃で保存した。一般的に、抽出物1〜2週間の調製の間試験したが、ほとんどの活性抽出物は4℃でさらに数週間保存した後も活性を保持することが判明した。各抽出物のアリコートを真空下で乾燥し、各薬草から抽出された水溶性物質の乾燥重量を測定した。
【0066】
[比較調製例2]
ヒト生体内実権用BZL101の調製
BZL101は、シソ科のScutellaria Barbata D.Donの地上部の水溶性抽出物である。Herba Scutellaria Barbata D.Don(中国語のピン音の音訳−バン・チー・リャン(Ban Zhi Lian)(BZL))は四川省、江蘇省、江西省、福建省.広東省,広西壮族自治区および陝西省の黄河(Huang Po)の南東部で主に生育される。植物は、開花後、夏の終わりおよび初秋に収穫される。地上部(葉および茎)を根本から切断し、出発物質(BZL)として使用する。薬草の地上部を天日干し、植物全体として包装した。薬草を同定し、植物学、形態学および化学的特性から照合して、純度を保証した。
【0067】
単一用量のBZL101を、以下の手順によって調製し、BZL101(BioNovo, Inc., Emeryville, CA)と命名する。
・180グラムの生薬草を粉砕して、微粉末(25メッシュ)にする。
・粉末を1800mlの蒸留水と混合して、スラリーを形成する
・スラリーを次いで70〜72℃で60分間煮沸する。
・抽出物をデカントし、22μmフィルタを通して濾過する。
・抽出後の上清重量は、168gmである。
・溶液の容積は1750mlである。
・抽出物を、真空エバポレータを用いて濃縮して、水の容積を350mlまで減じ、これはもとの溶液の5:1濃度である。
・抽出物中の可溶性物質の乾燥重量は、12gmである。
・これを、滅菌真空密封容器中に包装する。
・認定研究所によって細菌、酵母および重金属についての試験を行う。
【0068】
[比較例1]
癌細胞活性の生体外阻害
細胞系および培養
前記調製例1において得られた抽出物を、四つのヒト乳癌細胞系、SKBR3、MFC−7、MDA−MB231およびBT474、ならびに一つのネズミ乳癌細胞系MCNeuAに対して試験した。全ての細胞系を、2.0momL−グルタミン、100IU/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンおよび10%加熱不活性化ウシ胎仔血清を添加した90%DME中で維持した。70〜80%コンフルエントの細胞を、成長阻害アッセイ用にプレーティングするために使用した。
【0069】
細胞を96穴平底プレート中、5,000〜10,000細胞/ウェルでプレーティングした。プレーティングされた細胞数の差は、これらの細胞系の成長速度の差を調節する。細胞をウェルの壁に一夜付着させ、次いで、初期スクリーニング用の培地中で1:10の最終希釈で抽出物をウェルに3連で添加した。用量反応曲線を作製するために、1:10希釈ではじめる連続3倍希釈を、6列のウェルにわたって使用した。培地中、1:10希釈度で対照ウェルに水を添加した。プレートを37℃、5%COで3日間インキュベートし、次いでクリスタルバイオレットアッセイを用いて成長阻害について分析した(Bernhardt,G.ら,Standardized Kinetic Micro assay to Quantify Differential Chemosensitivity on the Basis of Proliferative Activity, 1992,J. Cancer Res.Clin.Oncol.,118:35−43)。ウェル壁に付着したままの細胞をPBSですすぎ、固定された細胞を0.02%水性クリスタルバイオレット(50μl/ウェル)で30分間染色し、その後、ウェルを蒸留水でよく洗浄した。細胞により結合されたクリスタルバイオレット染色剤を79%エタノール(100μl/ウェル)中に可溶化させ、プレートをマイクロプレートリーダ(Molecular Devices)を用い、595nmで分析した。阻害(%)を、(対照ウェルの平均光学密度−抽出物ウェルの平均光学密度)/対照ウェルの平均光学密度として計算した。いくつかの抽出物についてのSKBR3、MCF7およびMCNeuA細胞に関する用量反応曲線を図1〜3に示す。わかるように、抽出物が細胞の活性を50%阻害する濃度(IC50)は、1mg/ml以上から約10μg/mlまでの範囲であった。
【0070】
アポトーシスの誘発
アポトーシスのマーカとしてのDNA断片化について分析するために、アポトーシスの間の高分子量DNA断片化および低分子量DNA断片化の両方の分析を可能にするゲノムDNA単離の手順を使用した。MCNeuA細胞を6プレート中で5×10細胞/ウェルでプレーティングし、一夜付着させた。水性薬草抽出物を各ウェルに1:10および1:50希釈度で添加した。培地中、1:10に希釈した滅菌水を対照ウェルに添加した。24時間後、細胞を顕微鏡下で視覚的に検査し、形態学的変化を記録した。付着細胞および浮遊細胞を回収し、冷PBSで洗浄し、溶解緩衝液(50mMのNaCl、20mMのTris HCl、pH8.0、20mMのEDTA、0.5%サルコシルナトリウム、50μg/mlのRNase Aおよび100μg/mlのプロテイナーゼK)中に1時間、37℃で埋め込んだ。細胞を次いでPBSおよび蒸留水で洗浄し、通常の1%アガロースゲルのウェル中に入れ、一夜、約1V/cmで電気泳動させた。ゲルを次いでエチジウムブロミドで染色し、UV透光下で写真撮影して、色の強い画像を得た。得られた画像を図4に示す。
【0071】
BZL101を、五つの乳癌細胞系(SK−BR−3、MCF7、MDA−MB−231、BT−474、およびMCNeuA)に対する抗増殖作用について評価した。これらの細胞系は、乳癌の重要な予後的表現型を示し、様々なエストロゲンおよびHER2受容体を発現する。1:10希釈度(15μg/ml)で試験したBZL101は、五つの細胞系のうちの四つに対して>50%成長阻害を示した(Campbell, 2002)。BZL101は、肺、前立腺および膵臓癌細胞系のパネルに対して>50%成長阻害を示した。同じ用量でBZL101は、正常なヒト乳腺細胞(HuMEC)に対しては>25%の成長阻害を引き起こさず、癌細胞に対して選択性を示した(表3)。さらに、BZL101は、正常なヒトリンパ球に対して軽度の細胞分裂促進作用を有していた。細胞周期分析において、BZL101はS期バーストおよびG1停止を引き起こした(図8参照)。BZL101は、ミトコンドリア膜電位を弱め、カスパーゼ非依存性高分子グレード(HMG)アポトーシスを引き起こした(図7参照)。
【0072】
この生体外実験の結果を下記表3にまとめる。
【表3】

【0073】
表3−Scutellaria BarbataのBZL101水性抽出物の生体外成長阻害効果
−1:10希釈度−<50%阻害、+51−75%阻害、++ >75%阻害。
BZLは、全ての癌細胞系に対して活性であるが、HuMECに対して活性でない。
【実施例1】
【0074】
Scutellaria barbata D.Don抽出物の精製
精製されたScutellaria barbata D.Donの抽出物、BZL102を、以下の方法によって調製する。液体製剤原料製造者は、1ロットの薬草を受け取る。ロットの試料を保管し、保存する。薬草ロットを、異物および混和物について検査する。生薬草を巨視的特性および微視的特性について評価し、証拠標本と比較する。試料をメタノール中で抽出し、薄層クロマトグラフィを用いて証拠標本と比較する。比色展開試薬を用いて分解したバンドの定性的評価を行って、識別を確認する。さらに、MPLCおよびHPLC/MSを用いて拡大された特徴付けを行って、分類上のマーカ化合物を確認した。

【0075】
最終的に、重金属、微生物、アフラトキシン、および殺虫剤レベルを測定するために試験を行う。

【0076】
次に、300kgの生S.barbataを3000リットルの脱イオン水と混合する。混合物を100℃に加熱する。温度を70℃に下げ、60分間煮る。温抽出物を、800メッシュフィルタを通して濾過する。
【0077】
抽出物を次にエバポレータに移し、ここで、40℃で蒸発させる。濃縮された抽出物を約60リットルまで濃縮する。濃縮された抽出物を325メッシュフィルタ上で濾過して、粒子を除去する。濃縮された抽出物を室温まで冷却する。最後に、冷却された抽出物を包装し、凍結してBioNovoへ輸送する。
【0078】
抽出物の試料を試験して、輸送または通関の間に抽出物が損なわれなかったことを保証する。

【0079】
次いで、抽出物を粉末製剤原料製造者へ輸送する。粉末製剤原料製造者は、抽出物を2℃で解凍する。解凍された抽出物をプールし、精製水で約3倍に希釈する。希釈された抽出物を混合して均一にする。希釈された抽出物を複数のバルク凍結乾燥機多角形トレイへポンプで輸送し、凍結させる。トレイを乾燥機上に載せ、乾燥する。乾燥後、各トレイを粉砕する。次いで粉砕された生成物を医薬品製造者へ輸送する。

【0080】
医薬品製造者は、医薬組成物を甘味料および矯味矯臭剤の専売混合物と配合する。最後に、約6g〜12gの組成物をパッケージ中に入れる。


【実施例2】
【0081】
マウス異種移植モデルにおけるBZL101の生体内(IP)有効性
癌の生体内治療におけるBZL101の有効性を証明するために、BZL101をマウス異種移植モデルにおいて評価した。
【0082】
BZL101は、腹腔内(IP)投与によって、マウス異種移植モデルにおいて腫瘍形成の予防において活性であった(図5)。BZL101を、前記調製例1に記載したようにして調製した。MCNeuA細胞の細胞(10)を0日目にマウスに皮下注射した。BZL101(0.5mlまたは1.0ml)または対照を各マウスに2日おきにIP投与した。腫瘍サイズ(mm)を投与後17日目、21日目、23日目、25日目および28日目に評価した。この結果を図5に示すが、BZL101は異種移植片を阻害することを示し、このことは、BZL101が生体内の固形腫瘍の有効な治療法であり得ることを示唆する。
【実施例3】
【0083】
マウス異種移植モデルにおけるBZL102の生体内(IP)有効性
癌の生体内治療におけるBZL102の有効性を証明するために、BZL102をマウス異種移植モデルにおいて評価する。
【0084】
BZL102を実施例1に記載するようにして得る。
【0085】
BZL102は腹腔内(IP)投与によって、マウス異種移植モデルにおける腫瘍形成の阻害において活性である。MCNeuA細胞の細胞(10)を0日目にマウスに皮下注射する。BZL102(0.5mlまたは1.0ml)または対照を各マウスに2日おきにIP投与する。腫瘍サイズ(mm)を、投与後17日目、21日目、23日目、25日目、および28日目に評価する。この研究の結果は、BZL102が異種移植片成長を阻害することを示し、このことは、BZL102が生体内の固形腫瘍の有効な治療法であり得ることを示唆する。
【実施例4】
【0086】
ヒトにおけるBZL101の有効性
経口BZL101の安全性および臨床活性を証明するために、Scutellaria barbata D.Donからの水性抽出物を進行した乳癌のヒト被験者において研究した。
【0087】
適格被験者は、組織学的に確認された転移性乳癌および測定可能な疾患を有していた。被験者は、試験中に、他の化学療法、ホルモン療法、または生薬を受けていなかった。被験者に1日あたり350ml(12グラムの乾燥可溶性BZLに等しい)のBZL101抽出物を、疾患進行、毒性または個人的な好みで中断するまで投与した。主要評価項目は、安全性、毒性および腫瘍応答であった。
【0088】
21人の被験者を登録し、BZL101を投与した。平均年齢は54才(30〜77)であり、前治療の平均回数は、3.9(0〜10)であった。血液学的有害事象(AE)も、グレードIIIまたはIV非血液学的有害事象(AE)もなかった。一部の被験者は、グレードIおよびII有害事象、例えば吐き気、下痢、頭痛、鼓腸、嘔吐、便秘、および疲労を報告した。16人の被験者を反応について評価した。16人の被験者のうち4人は、>90日にわたり安定型疾患(SD)を有し(25%)、3/16が>180日にわたりSDを有していた(19%)。5人の被験者は、わずかな対象腫瘍の退行を有し、そのうちの1人は、RECIST基準に基づいてPRが1mm短かった。
【0089】
被験者をthe University of California, San Francisco Carol Franc Buck Breast Care Center およびthe Cancer Research Network in Plantation, Floridaに2001年8月から2004年11月の間登録し、地域機関治験審査委員会によって承認されたインフォームドコンセントに署名した。全被験者は、≧18才であり、組織学的に乳癌の確定診断を受け、転移の臨床的証拠があった。単発性転移を有する被験者は、転移性疾患の生検確認が必要であった。全被験者は、以前の治療を完了し、抗癌前治療に関連する毒性から十分回復するために適切な時間がたっていた。平均余命6ヶ月およびカルノフスキー一般状態80%以上が必要とされた。栄養サプリメントまたは1日あたりの推奨許容量(RDA)の五倍までのビタミンサプリメントが許容されたが、研究以外の薬草剤の同時使用は禁止された。被験者は、以下の場合には研究から除外した:広範囲の肝臓障害(>50%の肝実質)、リンパ管性肺障害、中枢神経系障害または>3ヶ月の治療により安定化しない脊髄圧迫、複数または重度の食物または薬アレルギの履歴、およびクレアチニンにより規定される臓器機能不全または骨髄機能不全>2.0mg/dl、全ビリルビン>1.7mg/dl、白血球数<2,500細胞/μLおよび血小板数<75,000mm
【0090】
安全性モニタリングを継続的に行い、被験者は医師により周期的にベースラインで治療開始前に検査を受けた。有害事象を、共通毒性基準バージョン2を用いて格付けし、臓器系によりカテゴリに割り当て、研究用薬剤に関して、遠いもの、可能性があるもの、またはおそらく明らかに関連するものとしてコード化した。ベースライン腫瘍評価は、研究用薬剤開始の14日以内および3か月ごとに行った。RECIST基準を用いて反応を評価した。研究用薬剤を臨検ごとに投与し、この臨検時に、摂取用量の遵守および再検討を行った。BZL101抽出物を、1日2回の分割用量で投与された完全1日量を含むものを密封し、ラベル付のアルミニウムパケット中の液体として提供した。腫瘍進行の測定または用量を制限する毒性に遭遇するまで、または被験体が自発的に中止を決断するまで(この場合、中止の理由を入手した)、毎日BZL抽出物を投与した。
【0091】
結果
被験者の特性
合計22人の進行した乳癌被験者が研究に同意し、21人の被験者を少なくとも1回の経口BZL101で治療し、安全性分析に含めた。研究に組み入れられた最後の被験者は、California Breast Cancer Research Programからの研究資金支援が終了し、研究投薬の満了日が近づいていたので、BZL101で治療しなかった。被験者のうちの16人は、28日以上治療し、固形癌治療効果測定基準(REClST)にしたがって評価可能であった。9人の被験体は、被験者の選択によって研究投薬を中止し、12人の被験者は、RECIST基準に基づいた進行のために研究から離脱した。国立癌研究所(NCI)共通毒性基準(CTC)バージョン2にしたがって分類されたグレードIIIまたはIV有害事象のいずれかのために研究から離脱した被験者はいなかった。研究参加者の概要については表4を参照、そして選択された被験者特性の概要については表5を参照。
【0092】
【表4】

【0093】
【表5】

【0094】
安全性データ
BZL101の研究投薬に起因する死亡、重篤な有害事象または血液学的有害事象はなかった。BZL101と関連する可能性があるか、おそらくまたは明らかに関連性があるグレードIIIまたはIV毒性はなかった。
【0095】
有効性
研究投薬で治療した21人の被験者のうち、16人の被験者を、28日以上の試験を受け、反応について評価可能であった。16人の被験者のうち4人(25%)が>90日間安定型疾患であり、3/16(19%)が>180日間安定型疾患であった。5人の被験者がある程度の対象腫瘍の退行を有し、最小反応として分類された(<10%であるが、<30の直径合計の減少)。これらの反応のうちの一つは、RECIST基準に基づいた部分寛解より1mm短かった。研究投薬での治療前の、転移性疾患の以前の治療の平均回数は、BZL101を少なくとも1回分摂取した被験者については3.9であった(表6を参照)。
【0096】
【表6】



【0097】
修飾RECIST評価において、全ての測定可能な病巣は評価可能として含まれるが、1人の被験者は部分的反応を有するか、または7週間の治療後に全ての測定可能な病巣の最長腫瘍要直径の合計は31%減少し、治療の11週後には33%減少した(表7)。
【0098】
【表7】

【0099】
結論
薬草抽出物BZL101、固形腫瘍癌細胞の阻害のためのその使用および被験者におけるかかる癌治療を本明細書で記載する。本発明を説明するために、ある実施形態および例を使用したが、実施形態および例の変更は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく行うことができることは、当業者には明らかであろう。
【実施例5】
【0100】
ヒトにおけるBZL203の有効性
経口BZL102の安全性および臨床活性を証明するために、Scutellaria barbata D.Donからの水溶性抽出物を進行した乳癌のヒト被験者において研究する。
【0101】
適確な被験者は組織学的に確認された転移性乳癌および測定可能な疾患を有していた。被験者は、他の化学療法、ホルモン療法、または生薬を研究中に受けない。被験者は1日あたり350ml(180gのBZLから得られる12グラムの乾燥可溶性残留物に等しい)BZL102抽出物を、疾患進行、毒性、または個人的な好みで中断するまで摂取した。主要評価項目は、安全性、毒性および腫瘍反応である。
【0102】
好適な被験者集団を登録し、BZL102を投与する。平均年齢標準偏差を計算する。前治療の平均回数も決定することができる。被験者は、もしあれば、グレードIおよびII有害事象、例えば吐き気、下痢、頭痛、鼓腸、嘔吐、便秘、および疲労を報告することになっている。
【0103】
被験者は登録され、地方機関治験審査委員会によって承認されたインフォームドコンセントに署名する。全被験者は≧18才で、組織学的に乳癌の確定診断を受け、転移性障害の臨床的証拠を有している。単発性転移を有する被験者は、転移性疾患の生検確認が必要であった。一部の被験者は、以前の治療を完了し、抗癌前治療に関連する毒性から十分回復するために適切な時間がたっている。平均余命6ヶ月およびカルノフスキー一般状態80%以上が必要とされる。栄養サプリメントまたは1日あたりの推奨許容量(RDA)の5倍までのビタミンサプリメントが許容されたが、研究以外の薬草剤の同時使用は禁止される。被験者は、以下の場合には研究から除外した:広範囲の肝臓障害(>50%の肝実質)、リンパ管性肺障害、中枢神経系障害または>3ヶ月の治療により安定化しない脊髄圧迫、複数または重度の食物または薬アレルギの履歴、およびクレアチニンにより規定される臓器機能不全または骨髄機能不全>2.0mg/dl、全ビリルビン>1.7mg/dl、白血球数<2,500細胞/μLおよび血小板数<75,000mm
【0104】
安全性モニタリングを継続的に行い、被験者は医師により周期的にベースラインで治療開始前に検査を受けた。有害事象を、共通毒性基準バージョン2を用いて格付けし、臓器系によりカテゴリーに割り当て、研究用薬剤に関して、遠いもの、可能性があるもの、おそらくまたは明らかに関連するものとしてコード化した。ベースライン腫瘍評価は、研究用薬剤開始の14日以内および3か月ごとに行った。RECIST基準を用いて反応を評価した。研究用薬剤を臨検ごとに投与し、この臨検時に、摂取用量の遵守および再検討を行った。BZL102抽出物を、1日2回の分割用量で投与された完全1日量を含むものを密封し、ラベル付のアルミニウムパケット中の液体として提供した。腫瘍進行の測定または用量を制限する毒性に遭遇するまで、または被験体が自発的に中止を決断するまで(この場合、中止の理由を入手した)、毎日BZL抽出物を投与した。
【0105】
結果
被験者の特徴
進行した乳癌の被験者で、研究に同意し、経口BZL102で少なくとも1回治療した被験者を、安全性分析に含める。28日間以上治療される被験者は、固形癌治療効果判定基準(RECIST)にしたがって評価可能である。被験体は、被験者の選択によって研究投薬を中断することができ、被験者は、RECIST基準に基づく進行のために、研究から離脱することもできる。
【0106】
BZL102は、BZL101と比べて、改善された副作用特性を提供すると考えられる。特に、BZL101と比較して、胃腸管副作用、例えば吐き気、嘔吐、下痢、浮腫、ガス、痙攣、胃の刺激(たとえば灼熱感)、便秘、食欲不振、暗色便、胃腸障害、鼓腸 および/または空嘔吐(特にBZL102またはBZL101の摂取に際して)の1以上を改善すると考えられる。いくつかの実施形態において、BZL102は、BZL101と比較して、例えば頭痛、疲労、顔面紅潮、無痛覚および刺痛、などのさらなる副作用の発生率も減少させることができる。
【実施例6】
【0107】
ヒトにおけるBZL102の用量増加
ヒトにおけるBZL102の最大耐性量を評価し、治療用量を最適化するために、実施例5における実験プロトコルを繰り返す。ただし、被験者に、実施例5で記載したBZL102の用量1回を治療の最初の1週間投与し、実施例5で記載したBZL102の用量×2を治療の第2週に投与し、実施例5で記載したBZL102の用量×4を治療の第3週に投与し、実施例5で記載したBZL102の用量×8を治療の第4週に投与し、実施例5で記載したBZL102の用量×16を治療の第5週に投与し、そして3実施例6に記載したBZL102の用量×32を治療の第6週に投与する。被験者がグレードIまたはグレードII有害事象を超える有害事象を経験するか、または被験者が自分で選択する場合、用量を前の週で使用した用量まで減じる。被験者の進行を実施例5で記載するようにして追跡する。各被験者について、被験者がグレードIIより高い有害事象を経験しない最高の用量、または研究期間で被験者が摂取する最高用量を最大耐性量として記録する。被験者集団の中央値、平均および標準偏差を決定する。BZL101に対してBZL102について予想される改善された副作用特性のために、BZL102の最大耐量、およびBZL102の治療効果は、BZL101よりも大きいであろうと考えられる。
【0108】
本発明の好適な実施形態を示し、説明したが、当該技術分野の当業者には、このような実施形態が例示のためにのみに提供されることは明らかであろう。多くの変形、変更、および置換は、本発明から逸脱することなく当業者が思いつくであろう。本明細書で記載した本発明の実施形態の様々な代替案を本発明の実施において用いることができると理解されるべきである。以下のクレームは、本発明の範囲を規定し、これらのクレームおよびその同等物の範囲内の方法および構造は、クレームに含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Scutellaria barbata D.Don生薬草を水と混合することと、
(b)前記混合物を加熱することと、
(c)前記混合物を濾過によって分離して、液体抽出物を得ることと、
(d)前記液体抽出物を濃縮することと、
(e)濃縮された前記液体抽出物を濾過することと、
(f)前記濃縮された液体抽出物を希釈することと、
(g)前記希釈された抽出物を凍結することと、
(h)前記凍結された抽出物を乾燥することと、
(i)前記乾燥された抽出物を粉砕することと、
を含む、Scutellaria barbata D.Donの医薬抽出物を製造するプロセス。
【請求項2】
脱イオン水と混合されるScutellaria barbata D.Donの量が1:10(w/v)の比である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
Scutellaria barbaia D.Donの量が約300kg〜約3000kgである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記混合物を約100℃に加熱する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記混合物の温度を約70℃〜約75℃に低下させる、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記温度を約1時間維持する、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
80メッシュ(177μm)スクリーンを用いて前記液体抽出物を分離する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記液体抽出物を蒸発によって濃縮する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
液体抽出物を約40℃〜約60℃の温度での蒸発によって濃縮する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
325メッシュ(44μm)スクリーンを用いて前記濃縮された抽出物を濾過する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記濾過された濃縮抽出物を精製水で希釈する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記濾過された濃縮抽出物を3倍に希釈する、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
凍結乾燥機多角形トレイを用いて前記希釈された抽出物を凍結する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
Scutellaria barbata D.Donの抽出物を含む、癌を治療するための医薬組成物であって、Scutellaria barbata D.Donの抽出物が、
(a)Scutellaria barbata D.Don生薬草を水と混合することと、
(b)前記混合物を加熱することと、
(c)前記混合物を濾過によって分離して、液体抽出物を得ることと、
(d)前記液体抽出物を濃縮することと、
(e)前記濃縮された液体抽出物を濾過することと、
(f)前記濃縮された液体抽出物を希釈することと、
(g)前記希釈された液体抽出物を凍結することと、
(h)前記凍結された抽出物を乾燥することと、
(i)前記乾燥された抽出物を粉砕することと、
を含むプロセスにしたがって製造される、前記医薬組成物。
【請求項15】
脱イオン水と混合されたScutellaria barbata D.Donの量が、1:10(w/v)の比である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
Scutellaria barbata D.Donの量が、約300kg〜約3000kgである、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記混合物を約100℃で加熱する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記混合物の温度を約70℃〜約75℃に低下させる、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
温度を約1時間維持する、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
80メッシュ(177μm)スクリーンを用いて前記液体抽出物を分離する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項21】
液体抽出物を蒸発によって濃縮する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記液体抽出物を約40℃〜約60℃の温度での蒸発によって濃縮する、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
325メッシュ(44μm)スクリーンを用いて前記濃縮された抽出物を濾過する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記濾過された濃縮抽出物を精製水で希釈する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記濾過された濃縮抽出物を3倍に希釈する、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
凍結乾燥機多角形トレイを用いて前記希釈された抽出物を凍結する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項27】
活性医薬成分、エンハンサ、賦形剤、およびpHを調節し、組成物を緩衝し、分解を予防し、そして味、外観、または臭いを改善するために用いられる薬剤からなる群より選択される少なくとも一つの追加の成分をさらに含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項28】
被験者において癌を治療する方法であって、有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物を前記被験者に投与することを含み、前記抽出物が、
(a)Scutellaria barbata D.Don生薬草を水と混合することと、
(b)前記混合物を加熱することと、
(c)前記混合物を濾過によって分離して、液体抽出物を得ることと、
(d)前記液体抽出物を濃縮することと、
(e)前記濃縮された液体抽出物を濾過することと、
(f)前記濃縮された液体抽出物を希釈することと、
(g)前記希釈された抽出物を凍結することと、
(h)前記凍結された抽出物を乾燥することと、
(i)前記乾燥された抽出物を粉砕することと、
を含むプロセスによって製造される、方法。
【請求項29】
前記混合物を約100℃に加熱する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記混合物の温度を約70℃〜約75℃に低下させる、請求項32に記載の方法。
【請求項31】
温度を約1時間維持する、請求項32に記載の方法。
【請求項32】
80メッシュ(177μm)スクリーンを用いて前記液体抽出物を分離する、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記液体抽出物を蒸発によって濃縮する、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記液体抽出物を約40℃〜約60℃の温度での蒸発によって濃縮する、請求項35に記載の方法。
【請求項35】
325メッシュ(44μm)スクリーンを用いて前記濃縮された抽出物を濾過する、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記濾過された濃縮抽出物を精製水で希釈する、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記濾過された濃縮抽出物を3倍に希釈する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記癌が乳癌である、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記乳癌が、核エストロゲン受容体を、所定の閾値を超えないレベルで発現する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記乳癌が、核エストロゲン受容体を、所定の閾値を超えるレベルで発現する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約1〜約20.000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項28〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約10〜約10,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約50〜約5,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約100〜約2,500gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約300〜約5,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約500〜約5,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約800〜約5,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約300〜約10,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約500〜約10,000gのScutellariaD.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約800〜約10.000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約800〜約10.000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項52】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約800〜約20,000gのScutellaria barbuta D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項53】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約1200〜約20,000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
前記有効量のScutellaria barbata D.Donの抽出物が、約2400〜約10.000gのScutellaria barbata D.Donの可溶性乾燥固体部分から本質的になる、請求項42に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2011−503237(P2011−503237A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535045(P2010−535045)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/084079
【国際公開番号】WO2009/070478
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(507200569)バイオノボ・インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】