説明

SI2H6およびより高次のシランを製造するためのシステムおよび方法

低次シランからの高次シランの製造方法は、第1反応温度範囲の最高温度よりも20℃を超える温度より高い温度に暴露することなく低次シラン含有流体を加熱することを含む。加熱低次シラン含有流体を第1反応ゾーンに導入し、反応させる。未反応の低次シランを初期の加熱段階に再循環させる。望ましくないシラン副生成物の分解および生成を防ぐために平均滞留時間は短いのが好ましい。低次シランからのより高次の高次シランの製造方法は、第1反応ゾーンからの第1ガス混合物を高次シラン含有流体と混合すること、および第2反応温度範囲内で作動している第2反応ゾーンに混合した流体を導入することを含む。第2反応ゾーンから出る第2ガス混合物を種々の流体に分離する。未反応の低次シランを含有する1つの流体を初期の加熱段階および第1反応ゾーンに再循環させる。もう1つの流体である高次シラン含有流体を第1ガス混合物と混合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体を含む工業用シリコン材料として有用な高次シランを製造するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン半導体装置は社会のほぼ至る所で見られるようになった。それらの装置は、MP3プレーヤー、腕時計、携帯電話などの携帯機器において見られ得る。それらの装置は、大部分の乗り物において見られ得る。それらの装置は、職場において、コンピュータ、PDA、電話システム、エレベーター、および多くの他の製品に見られ得る。それらの装置はまた、家庭においても少し例をあげただけでも電子レンジ、テレビ、ラジオ、冷蔵庫、おもちゃに見られ得る。ますます増加するシリコンチップの存在により、シリコンチップをより低コストで製造するための新規な方法を見いだすことがますます重要となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在のところ、モノシランは、シリコンチップに製造に使用され、一般に、多結晶シリコン、エピタキシャルシリコンまたはアモルファスシリコンの皮膜を有する材料の製造において使用されている。モノシランは大変高い温度で分解する。ジシランおよびトリシランを含む高次シランはモノシランより分解しやすく、皮膜形成中に蒸発による損失が少ないため、高次シランを用いることにより、皮膜形成温度の低下、皮膜形成速度の向上および形成される皮膜収量における増加を達成することが可能である。従って、高次シランを安価および大量に製造する必要性が存在する。
【0004】
高次シランは、熱分解により製造することができる。しかしながら、熱分解に用いられる高温において、モノシランの多くが、無用な副生成物であるケイ素元素に転化される。従って、浪費の少ない高次シランの製造方法の必要性が存在する。
【0005】
熱分解による高次シランの製造により望ましくない他のシランもまた生成される。シリコンチップ製造は、非常に高純度の供給材料を必要とする。大量の不純物を除去することにより、反応物質および所望の生成物が浪費され、精製には費用がかかる。このことにより、出発物質が浪費され、追加の精製を必要とする。従って、不純物のより少ない製造方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
本発明によれば、ジシラン、トリシラン、および他の高次シランの新規な製造方法が提供される。本発明の1つの態様によれば、モノシランからのジシランの製造、ジシランからのトリシランの製造、およびモノシランからのトリシランの製造を含むがこれらに限定されない、より低次のシランからの高次シランまたはより高次の高次シランの製造方法が提供される。該方法は、流体を第1反応温度範囲の最高温度よりも約20℃を超える温度より高い温度に暴露することを避けながら、流体が第1反応温度範囲内になるように、第1低次シラン含有流体を加熱することを含む。好ましくは、該流体は、第1反応温度範囲の最高温度よりも約10℃を超える温度より高い温度に暴露されない。好ましくは、該低次シラン含有流体は、大気圧よりも高い圧力下にあり、水素などの非反応性希釈剤を20容量%未満含有する。好ましくは、ジシランからのトリシランの製造の場合、第1反応温度範囲は約250℃から約450℃の範囲内である。好ましくは、モノシランからのジシランの製造の場合、第1反応温度範囲は約350℃から約550℃内である。
【0007】
次に、第1反応温度範囲内にある加熱第1低次シラン含有流体を第1反応ゾーンに導入し、そこでこの流体を第1反応温度範囲内に維持して高次シラン反応生成物を生成する。好ましくは、第1反応ゾーンは、約15秒から約60秒の平均滞留時間を有する。第1反応ゾーンを通過する1回のパスで、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、よりさらに好ましくは6%未満、および最も好ましくは3%未満の低次シランが高次シランに転化される。第1反応ゾーンの量は、第1反応温度範囲内に維持された量である。第1反応ゾーンは触媒を含むことができる。第1反応ゾーンで生成された低次シランおよび高次シランを含有する第1ガス混合物は、第1反応ゾーンから出る。
【0008】
第1の実施形態において、第1ガス混合物を精製して高次シランを製造する。第2の実施形態において、第1ガス混合物を用いて、より高次の高次シランを製造する。第1の実施形態において、第1ガス混合物を、比較的高濃度の高次シランを有する第1高次シラン含有流体、および比較的高濃度の低次シランを有する第2低次シラン含有流体に分離する。好ましくは、高次シラン含有流体を、いずれかのより高次の高次シラン不純物から分離して、該高次シラン含有流体を精製する。
【0009】
第1反応温度範囲の最高温度よりも約20℃を超える温度より高い温度に第2流体を暴露することを避けながら第2流体が第1反応温度範囲内になるように、第2低次シラン含有流体を加熱して、第1反応ゾーンに導入する。好ましくは、第2低次シラン含有流体および第1低次シラン含有流体は、それらが第1反応温度範囲内の温度に加熱される前に混合される。
【0010】
第2の実施形態において、第1ガス混合物、および第1ガス混合物よりも比較的より高濃度の高次シランを有する第2高次シラン含有流体を第2反応ゾーンに導入して、より高次の高次シランを生成させる。第2反応ゾーンに導入する前に、第1ガス混合物および高次シラン流体は、一緒に混合され得る。
【0011】
第2ガス混合物は第2反応ゾーンから出る。第2ガス混合物は、低次シラン、高次シラン、およびより高次の高次シランを含有する。第2ガス混合物を、比較的高濃度の低次シランを有する第3低次シラン含有流体、高次シラン含有流体、および比較的高濃度のより高次の高次シランを有する、より高次の高次シラン含有流体に分離する。好ましくは、より高次の高次シラン含有流体をさらに分離し、不純物を除く。
【0012】
第1反応温度範囲の最高温度よりも約20℃を超える温度より高い温度に第3流体を暴露することを避けながら、第3流体が第1反応温度範囲内になるように、第3低次シラン含有流体を加熱して、第3流体を第1反応ゾーンに導入する。好ましくは、第3低次シラン含有流体は、第1反応温度範囲の最高温度よりも約10℃を超える温度より高い反応温度に暴露されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明は、1、2、またはそれ以上の反応ゾーンを有することができる。1つの実施形態において、図1に示すように1つの反応ゾーンが存在する。単一反応ゾーン工程は、例えばモノシランからジシラン、ジシランからトリシラン、トリシランからテトラシランなどの、低次シランから高次シランを製造するために最も有用である。第1低次シラン含有流体120を、予熱器100に導入する。予熱器100は、低次シラン含有流体120を第1反応温度範囲内の温度に加熱する。
【0014】
好ましくは、予熱器100は、第1低次シラン流体120を急速に、より好ましくは20秒未満以内で、よりさらに好ましくは10秒未満以内で、よりさらに好ましくは6秒未満以内で、および最も好ましくは1秒未満以内で加熱する。予熱器100は、第1低次シラン含有流体100を、高温壁温度に暴露することにより急速に加熱することが可能である。しかしながら、この加熱は、シランの熱分解および望ましくないより高次の高次シランの生成を促進する。従って、低次シラン含有流体に暴露する壁表面は、第1反応温度範囲の最高温度よりも多くて約25℃高い温度を、好ましくは多くて約20℃高い温度を、より好ましくは多くて約15℃高い温度を、および最も好ましくは多くて約10℃高い温度を有するべきである。
【0015】
予熱器100は従来設計のものである。予熱器は、電気抵抗ヒーターを巻きつけた金属パイプからなり、断熱材で覆われている。第1低次シラン含有流体120は、パイプ内を流れる。温度検出器を設置してヒーターの電源出力を調節し、低次シラン流体120が確実に、過度に高い温度に暴露されないようにすることができる。迅速に加熱するために、このパイプは、好ましくは比較的小さな直径を有する。
【0016】
予熱器100が第1低次シラン含有流体120を加熱して加熱低次シラン含有流体122を生成させ、これを第1反応容器または第1反応ゾーン102に導入する。第1反応ゾーン102は、加熱低次シラン含有流体122の温度が反応温度範囲内に維持されるように設計されている。第1反応温度範囲の下限は、それ以下では高次シランを製造するための反応が評価できるほどに起こらない最低温度である。上限は、低次シラン含有流体120および加熱低次シラン含有流体122を加熱する最高温度である。好ましくは、低次シランがモノシランであり高次シランがジシランである場合、第1反応範囲温度は、約350℃から約550℃、より好ましくは約400℃から約500℃、さらにより好ましくは約425℃から約475℃、および最も好ましくは約440℃から約460℃の範囲内である。好ましくは、低次シランがジシランであり高次シランがトリシランである場合、第1反応範囲温度は、約250℃から約450℃、より好ましくは約280℃から約400℃、さらにより好ましくは約305℃から約375℃、および最も好ましくは約330℃から約350℃の範囲内である。
【0017】
第1反応ゾーン102は、予熱器と同様に、電気抵抗ヒーターおよび断熱材を巻きつけたパイプであり得る。しかしながら、第1反応ゾーン102に必要な熱伝達量は予熱器100よりずっと少ないため、電気抵抗ヒーターはより低い電源出力を有し得、および第1反応ゾーン102の直径は、より大きくされ得る。便宜上、第1反応ゾーン102および予熱器100は分離される。しかしながら、実際上、それらは装置の同じ部分の一部であり得る。
【0018】
好ましくは、第1反応ゾーン102の滞留時間は比較的短く、好ましくは約5分未満、より好ましくは約2分未満、および最も好ましくは約15秒から約60秒の間である。短い滞留時間により、1パスあたりの転化率は低下する傾向にあるが、高次シランの分解量および望ましくないより高次の高次シランの生成を抑制するので、高次シランの全生産量を高める。好ましくは、1パスあたりの転化率は20%未満、より好ましくは10%未満、よりさらに好ましくは6%未満、最も好ましくは3%未満である。
【0019】
第1ガス混合物124は、第1反応ゾーン102から出る。ガス混合物124は、主成分の低次シラン、少量の高次シラン、およびより少量のより高次の高次シランを含有する。ガス混合物124はまた、水素およびより低次の低次シランも含有する。ガス混合物124は、蒸留塔104に導入される。液体窒素を用いて、ガス混合物124を濃縮し、比較的高濃度の水素および/またはより低次の低次シランを含有する塔頂流体130、比較的高濃度の高次シランを含有する高次シラン含有流体132、および予熱器100に再循環される第2低次シラン含有流体126に分離する濃縮器112を、蒸留塔104は有する。塔頂流体130は、系内から出る。高次シラン含有流体132を蒸留塔104のポット108中に集め、それを反応工程が停止した後に蒸留によりさらに精製して、望ましくないより高次の高次シランを除去することができる。
【0020】
第2の実施形態において、図2に示すように、本工程は2つの反応ゾーンを有する。本工程は、例えばモノシランからトリシラン、ジシランからテトラシランなどのように、低次シランからより高次の高次シランを製造するのに特に良く適している。本工程は予熱器100aおよび第1反応ゾーン102aを有する。本工程を用いてモノシランからトリシランを製造する場合、予熱器100a、第1反応ゾーン102a、低次シラン含有流体120a、および加熱低次シラン流体122aは、第1の実施形態においてモノシランからジシランを製造するための、予熱器100、第1反応ゾーン102、低次シラン含有流体120a、および加熱低次シラン流体122aと同じであり得る。第1反応ゾーン102aから出る第1ガス混合物124aは、第2反応ゾーン110に導入され、第2高次シラン含有流体134と混合される。あるいは、第1ガス混合物124aは、第2反応ゾーン110に導入される前に、第2高次シラン含有流体134と混合され得る。
【0021】
好ましくは、第2高次シラン含有流体134は、第1ガス混合物124aが、高次シランをより高次の高次シランに転化するのにより適した第2温度範囲内の温度に冷却されるような温度および流速である。より高次の高次シランがトリシランであり、高次シランがジシランである場合、好ましくは、第2反応範囲温度は、約250℃から約450℃、より好ましくは約280℃から約400℃、さらにより好ましくは約305℃から約375℃の範囲内、および最も好ましくは約330℃から約350℃の範囲内である。
【0022】
より高次の高次シランを生成させるために役立つ温度は、望ましくない、よりさらに高次の高次シランの生成にも貢献するので、第2反応温度範囲内にある時間を最小限にすることが望ましい。実際、第2高次シラン含有流体134は、流体134および124aを一緒に完全に混合する場合、第1ガス混合物124aが、350℃未満の温度、および好ましくは300℃未満の温度に冷却されるような温度および流速であることが望ましいと考えられる。また、混合は迅速に行われることが好ましい可能性があると考えられる。流体134および124aを迅速に混合して、350℃未満、および好ましくは300℃未満の温度にするように反応系を設計することにより、より高次の高次シランを消費する反応の時間がほとんどない。
【0023】
第2反応ゾーン110は、設計において第1反応ゾーン102aと類似し得る。第2ガス混合物136は、第2反応ゾーン110から出て、蒸留塔104aに導入される。
【0024】
蒸留塔104aは、4つの生産物を有する。第1の生産物は、主に水素およびより低次の低次シランを含有する塔頂流体130aである。塔頂流体130aは、系内から出る。比較的高濃度のより高次の高次シランを有する、より高次の高次シラン含有流体132aは、もう1つの生産物である。この生産物は、反応ゾーン102aおよび110を閉鎖した後に、高次シランおよびよりさらに高次の高次シランなどの不純物を除去するために蒸留するための蒸留塔104aのポット108aに集めることができる。第3の生産物は、比較的高濃度の低次シランを有する第3低次シラン含有流体140である。第3低次シラン含有流体140は予熱器100aに再循環される。第4の生産物は、比較的大量の高次シランを有する第2高次シラン含有流体134である。第2高次シラン含有流体134は、第2反応ゾーン110に導入されるか、または第2反応ゾーン110に導入する前に第1ガス混合物124aと混合される。第2高次シラン含有流体134は、第2反応ゾーン110に導入するか、または第1ガス混合物124aと混合する前にさらに冷却または加熱することができる。
【0025】
一般に、両方の実施形態に関して、低次シラン含有流体120および120aの圧力ならびに第1ガス混合物124および124aの圧力は、反応物質がガス状である限りいずれかの圧力であり得る。好ましくは、圧力は大気圧を超えた圧力である。圧力を、大気圧を超えて上げることにより、より小さい装置が可能となり、それによりいずれかの蒸留および濃縮を容易に行うことができるようになる。
【0026】
好ましくは、反応ゾーン102、102a、および104、ならびに予熱器100および100aは、栓流で作動するように設計される。より好ましくは、予熱器100および100aは激しい乱流中で作動するように設計され、高い熱伝達率を提供する。このような高い熱伝達率は、反応ゾーン102、102aおよび104に必要ではない。反応ゾーンおよび予熱器の流速およびパイプ径は、それに応じたサイズに作る必要がある。さらに、邪魔板および分配板を用いて、不均一な流速分布およびチャネリングを防ぐことができる。偏在によりホットスポットができ、それによりシランの分解が起こる。
【0027】
水素は、分解の副生成物であるため、シランの分解を抑制すると考えられる。しかしながら、一般に、両方の実施形態に関して、低次シラン含有流体120および120aにおける水素などの非反応性希釈剤の濃度は、20容量%未満、約10%未満であり得、約95%未満、および約99%未満でさえあり得る。このことにより、より小さい装置が可能となり、分離の効率が高まる。特に、希釈剤濃度を低減することにより、濃縮器112および112aのサイズが大幅に縮小される。第1反応ゾーン102および102aにおける短い滞留時間および低次シラン含有流体120および120aの穏やかな加熱のために、低濃度の希釈剤であってもシリカおよび水素へのシランの過剰な分解を起こさない。一方、濃縮器サイズがそれほど重要でない場合、20%を上回る希釈剤濃度を用いることが望ましい可能性がある。
【0028】
本発明に従えば、ジシラン、トリシランおよび高次シランは、モノシランなどの低次シランから安価および大量に製造できる。プロセス流体を過度に高い温度に暴露しないで予熱器を使用し、滞留時間を最小限にすることにより、望ましくないシラン不純物の生成ならびに反応物質および生成物のケイ素元素への分解を最小限にする。2つの反応容器ゾーン工程において、第1ガス混合物124aと第3高次シラン含有流体134とを混合することにより、熱ガス混合物が急冷され、高温における滞留時間の調節が達成され、浪費および不純物が最小限になる。
【実施例1】
【0029】
30psiaのジシランのおおよそ16kg/hrを予熱器に供給し、予熱器中で350℃に加熱した。予熱器は、長さおおよそ30フィート、直径3/8インチの316ステンレススチール管製であった。第1反応容器の容量は約50Lであり、長さ対直径比は、およそ5:1であった。反応容器を350℃に維持した。副生成物のシランおよびいずれかの水素を塔頂流体として除去した。反応容器からの排出ガスは、モノシラン4.1%、ジシラン93.5%、トリシラン2.17%、およびテトラシラン0.15%を含んでいた。高次シランまたは水素は全く検出されなかった。
【実施例2】
【0030】
8L反応容器を用いた以外は実施例1と同じ条件であった。反応容器からの排出ガスは2.124%モノシラン、96.67%ジシラン、1.138%トリシラン、および0.07%テトラシランを含んでいた。高次シランまたは水素は全く検出されなかった。
【実施例3】
【0031】
実施例2と同じ装置を用いた。モノシランの2.5kg/hrを460℃に加熱した。シランを塔頂では除去しなかった。反応容器からの排出ガスは、98.33%モノシラン、1.414%ジシラン、0.236%トリシラン、および0.019%テトラシランを含んでいた。高次シランまたは水素は全く検出されなかった。
【実施例4】
【0032】
モノシランの3.4kg/hrを440℃に加熱した以外は、実施例3と同じ条件であった。反応容器からの排出ガスは、99.63%モノシラン、0.341%ジシラン、および0.027%トリシランを含んでいた。高次シランまたは水素は、全く検出されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ジシランおよび高次シランを製造するための工程系統図である。
【図2】トリシランおよび高次シランを製造するための工程系統図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を第1反応温度範囲の最高温度よりも約20℃を超える温度より高い温度に暴露することを避けながら、流体が第1反応温度範囲内になるように第1低次シラン含有流体を加熱すること;
反応温度範囲内の加熱第1低次シラン含有流体を第1反応ゾーンに導入すること;および
温度を反応温度範囲内に維持して、加熱第1低次シラン含有流体から高次シラン反応生成物を生成させること
を含む、低次シランから高次シランを製造するための方法。
【請求項2】
高次シランがトリシランであり、低次シランがジシランであり、および第1反応温度範囲が約250℃から約450℃の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
高次シランがジシランであり、低次シランがモノシランであり、および第1反応温度範囲が約350℃から約550℃の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1反応ゾーンにおける温度を反応温度範囲内に維持することをさらに含み、ここで前記加熱が約6秒以下で行われ、第1反応ゾーンが約15秒から約60秒の平均滞留時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1低次シラン含有流体が、非反応性希釈剤を前記第1低次シラン含有流体の20容量%未満の量において場合により含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1低次シラン含有流体が、第1反応温度範囲の最高温度よりも約10℃を超える温度より高い温度に暴露されない、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
低次シランの20%未満が、第1反応ゾーンを通過する1回のパスにおいて高次シランに転化される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
低次シランの3%未満が、第1反応ゾーンを通過する1回のパスにおいて高次シランに転化される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
高次および低次シランを含む第1ガス混合物が、第1反応ゾーンから出て、
第1ガス混合物を、比較的高濃度の高次シランを有する第1高次シラン含有流体および比較的高濃度の低次シランを有する第2低次シラン含有流体に分離すること;および
第1反応温度範囲の最高温度よりも約20℃を超える温度より高い温度に第2流体を暴露することを避けながら、第2流体が第1反応温度範囲内になるように、第2低次シラン含有流体を加熱すること;および
反応温度範囲内の加熱第2低次シラン含有流体を第1反応ゾーンに導入すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第2低次シラン含有流体および第1低次シラン含有流体が、第2低次シラン流体を反応温度範囲内に加熱する前に混合される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
高次シラン含有流体が、高次シラン、低次シラン、および種々のより高次の高次シランを含み、高次シラン含有流体を、より高次の高次シランから分離して、高次シラン含有流体を精製することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
高次および低次シランを含む第1ガス混合物が、第1反応ゾーンから出て、第1ガス混合物、および第1ガス混合物より、比較的より高濃度の高次シランを有する第2高次シラン含有流体を第2反応ゾーンに導入して、より高次の高次シランを生成させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第1ガス混合物および高次シラン流体が、第2反応ゾーンに導入される前に、一緒に混合される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
低次、高次、およびより高次の高次シランを含む第2ガス混合物が、第2反応ゾーンから出て、
第2ガス混合物を、比較的高濃度の低次シランを有する第3低次シラン含有流体、高次シラン含有流体、および比較的大量の、より高次の高次シランを有する、より高次の高次シラン含有流体に分離すること;
第1反応温度範囲の最高温度よりも約20℃を超える温度より高い温度に第3流体を暴露することを避けながら、第3流体が第1反応温度範囲内になるように第3低次シラン含有流体を加熱すること;および
反応温度範囲内の加熱第3低次シラン含有流体を第1反応ゾーンに導入すること
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
より高次の高次シランがトリシランであり、高次シランがジシランであり、低次シランがモノシランであり、第1反応温度範囲が約350℃から約550℃内であり、および第2反応温度が約250℃から約450℃内である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
より高次の高次シランが式Sin+22n+6を有し、高次シランが式Sin+12n+4を有し、および低次シランが式Si2n+2を有し、式中nが0を超える整数である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
第3低次シラン含有流体が、第1反応温度範囲の最高温度よりも約10℃を超える温度より高い反応温度に暴露されない、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
より高次の高次シラン含有流体が、より高次の高次シランおよび種々の不純物を含み、より高次の高次シラン含有流体を不純物から分離して、高次シラン含有流体を精製することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
流体を第1反応温度範囲の最高温度よりも約20℃を超える温度より高い温度に暴露することを避けながら、流体が第1反応温度範囲内になるように、第1低次シラン含有流体の20容量%未満の非反応性希釈剤を場合により含む前記第1低次シラン含有流体を加熱すること;
前記反応温度範囲内の加熱第1低次シラン含有流体を第1反応ゾーンに導入すること;および
第1反応ゾーン内の温度を第1反応温度範囲に維持すること
を含み、ここで前記加熱が約6秒以下の時間で行われ、第1反応ゾーンが約15秒から約60秒の平均滞留時間を有する、低次シランから高次シランを製造するための方法。
【請求項20】
第1反応ゾーンの温度を第1反応温度範囲内に維持することをさらに含み、ここで前記加熱が約6秒以下の時間で行われ、第1反応ゾーンが約15秒から約60秒の平均滞留時間を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
低次シラン含有流体の圧力が、大気圧よりも高い、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
高次および低次シランを含む第1ガス混合物が第1反応ゾーンから出て、
第1ガス混合物を、比較的高濃度の高次シランを有する高次シラン含有流体、および比較的高濃度の低次シランを有する第2低次シラン含有流体に分離すること;
第2流体を第1反応温度範囲の最高温度よりも約20℃を超える温度より高い温度に暴露することを避けながら第2流体を第1反応温度範囲内になるように第2低次シラン含有流体を加熱すること;および
前記反応温度範囲内の加熱第2低次シラン含有流体を第1反応ゾーンに導入すること
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
高次および低次シランを含む第1ガス混合物が、第1反応ゾーンから出て、
第1ガス混合物、および第1ガス混合物よりも比較的より高濃度の高次シランを有する高次シラン含有流体を第2反応ゾーンに導入して、より高次の高次シランを生成させること(ここで、低次、高次およびより高次の高次シランを含む第2ガス混合物は、第2反応ゾーンから出る。);
第2ガス混合物を、比較的高濃度の低次シランを有する第3低次シラン含有流体、高次シラン含有流体、および比較的高濃度のより高次の高次シランを有するより高次の高次シラン含有流体に分離すること;
第3流体を第1反応温度範囲の最高温度よりも約20℃を超える温度より高い温度に暴露することを避けながら、第3流体が第1反応温度範囲内になるように第3低次シラン含有流体を加熱すること;および
第1反応温度範囲内の加熱第3低次シラン含有流体を第1反応ゾーンに導入すること
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
より高次の高次シランがトリシランであり、高次シランがジシランであり、低次シランがモノシランであり、第1反応温度範囲が約350℃から約550℃の範囲内であり、および第2反応温度範囲が約250℃から約450℃の範囲内である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第1温度範囲内のシランを含む第1ガス流体と第1ガス流体よりも比較的より高濃度のジシランを有するジシラン含有流体とを混合してトリシランを含む第2ガス流体を生成させることを含む、1つ以上の低次シランからのトリシランの製造方法であり、ジシラン含有流体が、第1ガス流体よりも低い温度であり、ジシラン含有流体が、第3温度範囲内に第1ガス流体が冷却されるような流速であり、第1温度範囲が約400℃から約500℃であり、第3温度範囲が約305℃から約375℃であるか、または第1温度範囲が約425℃から約475℃であり、第3温度範囲が約280℃から約400℃である、前記製造方法。
【請求項26】
第2ガス流体を蒸留することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第2ガス流体が蒸留塔中で蒸留され、ジシラン含有流体が蒸留塔の側留から得られる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
第1ガス流体が、
流体を第1反応温度範囲の最高温度よりも約20℃を超える温度より高い温度に暴露することを避けながら、流体が第1温度範囲内になるように、シラン含有流体を加熱すること;
第1温度範囲内の加熱シラン含有流体を第1反応ゾーンに導入すること;および
第1温度範囲内に温度を維持して第1加熱低次シラン含有流体から高次シラン反応生成物を生成させること
を含む方法により製造され、ここでジシランおよびシランを含む第1ガス流体が第1反応ゾーンから出る、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
第2ガス流体を蒸留塔中で蒸留して、ジシラン含有流体を蒸留塔の側留から得ることをさらに含む、請求項25に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−536784(P2008−536784A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505422(P2008−505422)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/012324
【国際公開番号】WO2006/107880
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507331140)ボルテツクス・インコーポレイテツド (1)
【Fターム(参考)】