説明

SIP(SessionInitiationProtocol)中継装置、パケット変換装置、ネットワークシステム、制御方法及び制御プログラム

【課題】 SIPを用いてマルチメディア通信を行うSIP端末のメディア処理能力に差分が存在する場合に、不要なメディア変換を回避することで、品質の劣化を低減するマルチメディア通信を可能にする。
【解決手段】 本発明は、SIP中継装置において、SIP端末からSIPリクエストを受信すると、該SIPリクエストのSIP呼の確立のためにメディア変換が必要か否かを判定し、メディア変換が必要な場合のみ、メディア変換情報をメディアパケット変換装置に渡し、メディア変換を指示し、メディアパケット変換装置において、SIP中継装置からメディア変換要求を取得すると、該メディア変換要求に基づいて、確立したSIPセッションで開始されるSIP端末間のメディアパケットに対してメディア変換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIP(Session Initiation Protocol)中継装置、パケット変換装置、ネットワークシステム、制御方法及び制御プログラムに係り、特に、SIPを用いてマルチメディア通信を行うSIP端末のメディア処理能力(サポートするコーデック、IPバージョン、メディア種別等)に差分が存在する場合にも、SIP端末に特別な処理を要求することなく、マルチメディア通信を確立可能とするための、SIP中継装置、パケット変換装置、ネットワークシステム、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
SIPを用いた通信において、SIP端末のメディア能力(コーデック、IPバージョン、メディア種別等)に差分が存在する場合がある。例えば、小型で安価な着側の端末では、映像メディアはサポートしないにも関わらず、発側の端末は映像メディアを送信したいというケースがある。このような端末間に差分が存在する場合にも、マルチメディア通信を確立可能とするための技術がある(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、当該技術は、SIP端末が通信相手のメディア能力を把握した上で、トランスコーダ等の利用を自立的に判断し、SIP通信を制御する必要がある。そもそも、SIP端末のメディア能力が限定的になる主な原因は、SIP端末の処理能力やハードウェア性能の限界であることが多く、メディア能力の不一致を解決するために、SIP端末に特別な処理を要求するのは望ましくない。
【0003】
このように、SIP端末に特別な処理を要求することなく、端末間のメディア能力の不一致を解決してマルチメディア通信を確立可能とする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−049415号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】G. Camarillo, IETF RFC 5369, "Framework for Transcoding with the Session Initiation Protocol (SIP)"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような従来技術には、以下のような問題がある。
【0007】
(1)不要なコーデック変換;
従来技術では、呼設定のためのSIPメッセージを中継するSIP装置が、自らがサポートする音声コーデックを該SIPメッセージ中のSDP(Session Description Protocol)に追記する。このとき、着信端末が発信端末と同じ音声コーデックをサポートしているにも関わらず、中継SIP装置が挿入した音声コーデックのみを選択して応答する場合がある。このようなサポートするメディア能力を全て選択せず、そのうちの一部(或いは一つだけ)を選択して応答する着信端末の動作は、例えば、モバイル端末など、処理性能が限定的な端末において、複数のコーデックをサポートしているが、一つの通信に使用するコーデックは常に一つに限定する必要がある、という場合などで一般的に見られる。
【0008】
この場合、中継SIP装置は、発着信端末の間でRTP(Real-time Transport Protocol)パケットのコーデック変換を実施する。しかしながら、中継SIP装置が音声コーデックを追加的に挿入することさえしなければ、着信端末は発信端末が設定した音声コーデックを通常通り選択して応答し、中継SIP端末によるコーデック変換は不要であったはずである。すなわち、中継SIP端末が介在することにより、本来的に不要なコーデック変換が実行される結果となっている。
【0009】
コーデック変換等のメディアパケット変換は、デコード・エンコード処理の反復による品質劣化の原因となるため、必要な場合にのみ実施されるべきである。
【0010】
また、メディアパケット変換は、当該の変換を担う処理装置にとっても負荷の高い処理であることが多く、設備コスト等の観点においても、不要な処理は可能な限り避けるべきである。
【0011】
(2)メディアパケット経路の固定化:
従来技術では、中継SIP装置が音声コーデックを追記する際、メディアパケットの送受信を行うIPアドレスとポート番号を、発信端末が指定した値から、メディアパケット変換装置の値に書き換える。
【0012】
このとき、着信端末が選択したコーデックが、発信端末の設定したコーデックと同じであった場合でも、当該のメディアパケットは、前述のIPアドレスとポートで特定されるメディアパケット変換装置を介して端末間で交換される。本来であれば、コーデック変換が不要なメディアパケットは、メディアパケット変換装置を介さず、端末間で直接交換されるはずである。
【0013】
これは、SIP中継装置の介在により、コーデック変換が不要な場合にもメディアパケットの経路にメディアパケット変換装置が固定的に介在してしまうことになり、パケット転送経路を不要に延伸させ、パケットの遅延増大を招く原因となる。また、メディアパケット変換装置のポート番号は有限であり、コーデック変換を行わないメディアパケットを単に転送するためだけにポート番号を占有することは、同装置のリソースを効率的に利用する上でも望ましくない。
【0014】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、不要なメディア変換を回避することで、品質の劣化を低減することが可能なSIP中継装置、パケット変換装置、ネットワークシステム、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
図1は、本発明の原理構成図である。
【0016】
本発明(請求項1)は、SIPを用いてマルチメディア通信を行うSIP端末のメディア処理能力に差分が存在する場合のマルチメディア通信を可能にするためのSIP中継装置であって、
複数のSIP端末100、メディアパケット変換装置300、SIP中継装置200及び、これらの装置間に介在する通信ネットワークからなるシステムにおいて、
メディア変換情報を格納するメディア変換情報記憶手段201と、
メディア変換情報記憶手段201からメディア変換に必要な情報を取得して、メディアパケット変換装置300に対して、メディア変換要求として送信するメディアパケット変換制御手段230と、
SIP端末100からSIPリクエストを受信すると、該SIPリクエストのメディア処理機能と通信相手の端末のメディア処理能力が一致していれば、メディア処理機能の変更・追加を行わず、かつ、メディア変換も行わないものとし、一致していなければ、前記メディアパケット変換制御手段にメディア変換を指示するSIP呼制御手段210と、を有する。
【0017】
本発明(請求項2)は、SIPを用いてマルチメディア通信を行うSIP端末のメディア処理能力に差分が存在する場合のマルチメディア通信を可能にするためのメディアパケット変換装置であって、
複数のSIP端末、メディアパケット変換装置、SIP中継装置及び、これらの装置間に介在する通信ネットワークからなるシステムにおいて、
SIP中継装置からメディア変換要求を取得すると、該メディア変換要求に含まれるSIP端末のIPアドレス、ポート番号、メディア能力に基づいて、確立したSIPセッションで開始されるSIP端末間のメディアパケットに対してメディア変換を行う手段を有する。
【0018】
本発明(請求項3)は、複数のSIP端末、メディアパケット変換装置、SIP中継装置及び、これらの装置間に介在する通信ネットワークからなり、SIPを用いてマルチメディア通信を行うSIP端末のメディア処理能力に差分が存在する場合のマルチメディア通信を可能にするためのシステムであって、
SIP中継装置は、
メディア変換情報を格納するメディア変換情報記憶手段と、
メディア変換情報記憶手段からメディア変換に必要な情報を取得して、メディアパケット変換装置に対して、メディア変換要求として送信するメディアパケット変換制御手段と、
SIP端末からSIPリクエストを受信すると、該SIPリクエストのSIP呼の確立のためにメディア変換が必要か否かを判定し、メディア変換が必要な場合のみ、メディア変換情報記憶手段からメディアパケット変換装置が変換すべきメディアパケットの情報を読み出して、メディアパケット変換制御手段にメディア変換を指示するSIP呼制御手段と、
を有し、
メディアパケット変換装置は、
SIP中継装置からメディア変換要求を取得すると、該メディア変換要求に含まれるSIP端末のIPアドレス、ポート番号、メディア能力に基づいて、確立したSIPセッションで開始されるSIP端末間のメディアパケットに対してメディア変換を行う手段を有する。
【0019】
また、本発明(請求項4)は、請求項3のシステムにおいて、
SIP中継装置は、
メディア変換の必要性の大きさを示す統計データを呼接続履歴情報として格納する呼接続履歴データ記憶手段と、
呼接続履歴データ記憶手段から呼接続履歴情報を読み出す、及び、呼接続履歴情報を取得して該呼接続履歴データ記憶手段を更新する呼接続履歴データ制御手段と、を更に有し、
SIP呼制御手段は、
SIP端末からSIPリクエストを受信すると、呼接続履歴データ制御手段から呼接続履歴情報を取得して、該SIPリクエストのSIP呼の確立のためにメディア変換が必要か否かを判定する判定手段を有する。
【0020】
また、本発明(請求項5)は、請求項4のシステムにおいて、
SIP呼制御手段は、
着信側のSIP端末が発信側のSIP端末の指定したあるメディア能力Aを許容するケースa;
メディア能力Aは許容しないが、当該SIP中継装置が指定したいメディア能力Bを許容するケースb;
メディア能力A、メディア能力Bのいずれも許容しないケースc;
にそれぞれ交換されるSIP信号数を求め、
呼接続履歴データ記憶手段から取得した前記呼接続履歴情報に基づいて、ケースaが起こる確率p、ケースbが起こる確率q、ケースcが起こる確率rを求め、SIP信号数にそれぞれ乗じて加えることで、SIP信号数の期待値を求め、
求められたSIP信号数の期待値を比較して、最も小さい期待値を求め、該期待値に基づいて、メディア変換が必要か否かを判定する手段を含む。
【0021】
図2は、本発明の原理を説明するための図である。
【0022】
本発明(請求項6)は、複数のSIP端末、メディアパケット変換装置、SIP中継装置及び、これらの装置間に介在する通信ネットワークからなり、SIPを用いてマルチメディア通信を行うSIP端末のメディア処理能力に差分が存在する場合のマルチメディア通信を可能にするためのシステムにおける制御方法であって、
SIP中継装置において、
SIP端末からSIPリクエストを受信すると、該SIPリクエストのメディア処理機能と通信相手の端末のメディア処理機能が一致しているかを判定するメディア変換判定ステップ(ステップ1)と、
前記メディア変換判定ステップにおいて、一致していれば、メディア処理機能の変更・追加を行わず、かつ、メディア変換も行わないものとし、一致していなければ、メディア変換情報記憶手段からメディア変換に必要な情報を取得して、メディア変換要求として前記メディアパケット変換装置に送信するメディア変換指示ステップ(ステップ2)を行い、
メディアパケット変換装置において、
SIP中継装置からメディア変換要求を取得すると、該メディア変換要求に含まれるSIP端末のIPアドレス、ポート番号、メディア能力に基づいて、確立したSIPセッションで開始されるSIP端末間のメディアパケットに対してメディア変換を行うメディア変換ステップ(ステップ3)を行う。
【0023】
また、本発明(請求項7)は、請求項6のメディア変換判定ステップにおいて、
メディア変換の必要性の大きさを示す統計データを呼接続履歴情報として格納する呼接続履歴データ記憶手段から該呼接続履歴情報を読み出して、SIPリクエストのSIP呼の確立のためにメディア変換が必要か否かを判定する。
【0024】
また、本発明(請求項8)は、請求項7のメディア変換判定ステップにおいて、
着信側のSIP端末が発信側のSIP端末の指定したあるメディア能力Aを許容するケースa;
メディア能力Aは許容しないが、当該SIP中継装置が指定したいメディア能力Bを許容するケースb;
メディア能力A、メディア能力Bのいずれも許容しないケースc;
にそれぞれ交換されるSIP信号数を求め、
呼接続履歴データ記憶手段から呼接続履歴情報を取得し、
呼接続履歴情報に基づいて、ケースaが起こる確率p、ケースbが起こる確率q、ケースcが起こる確率rを求め、SIP信号数にそれぞれ乗じて加えることで、SIP信号数の期待値を求め、
求められたSIP信号数の期待値を比較して、最も小さい期待値を求め、該期待値に基づいて、メディア変換が必要か否かを判定する。
【0025】
本発明(請求項9)は、請求項1に記載のSIP中継装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるためのSIP中継プログラムである。
【0026】
本発明(請求項10)は、請求項2に記載のメディアパケット変換装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるメディアパケット変換プログラムである。
【発明の効果】
【0027】
上記のように本発明によれば、SIP端末間にメディア能力の不一致があり、メディア変換が必要な場合にのみ、メディア変換を行うことが可能となり、不要なメディア変換による実行による望まない品質の劣化を回避することができる。
【0028】
また、SIP端末間にメディア能力の不一致がなく、メディア変換が不要な場合に、メディアパケットの経路を不要に延伸させることなく、端末間で直接交換させることが可能となり、遅延増大等の望まない品質劣化を回避することができる。
【0029】
また、SIP端末は、メディア変換の要否を事前に把握し結果に応じて自律的に動作を変更するような追加的な実装をすることなく、本発明のSIP中継装置を介して通信を行うことで、メディア能力の相違を意識することなく、メディア能力の異なるその他の端末と通信を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の原理を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施の形態におけるネットワーク構成の例である。
【図4】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の構成図である。
【図5】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の中継動作判断のフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の中継動作フローAである。
【図7】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順A−1である。
【図8】本発明の一実施の形態におけるSIP中継手順A−1におけるメディア能力の記述例である。
【図9】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順A−2である。
【図10】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順A−3である。
【図11】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の中継動作フローBである。
【図12】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順Bである。
【図13】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の中継動作フローCである。
【図14】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順Cである。
【図15】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の中継動作のフローDである。
【図16】本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順Dである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
最初に本発明のネットワーク構成を示す。
【0033】
図3は、本発明の一実施の形態におけるネットワーク構成の例を示す。
【0034】
同図に示すネットワークは、複数のSIP端末100、SIP中継装置200、メディアパケット変換装置300、複数のネットワーク400から構成される。
【0035】
SIP端末100は、SIPを用いてマルチメディア通信の確立を行うSIPエンティティである。
【0036】
SIP中継装置200は、本発明におけるSIP処理のほか、メディアパケット変換装置300との通信を行うSIPエンティティである。
【0037】
メディアパケット変換装置300は、SIP中継装置200から指示を受け、受信メディアパケットと送信メディアパケットの間の変換処理を行う一般的な装置である。
【0038】
SIP端末100と本発明のSIP中継装置200及びメディアパケット変換装置300の間には、任意の通信ネットワーク400が介在しうる。例えば、SIP通信を提供するネットワークとしては、SIP事業者網の他、インターネット、私設網などがある。SIP端末100とSIP中継装置200の間の通信ネットワーク400,400において、SIPとその他の呼設定プロトコル(例えば、H.323, ISUPなど)がインターワークされていてもよい。その意味において、本発明のSIP中継装置200及びメディアパケット変換装置300の適用は、マルチメディア通信を確立する両端の端末は、必ずしもSIP端末である必要はなく、他の呼設定プロトコルとの適切なインターワークを介して、SIP以外のプロトコルを用いる端末であってもよい。
【0039】
SIP中継装置200とメディアパケット変換装置300との間には、任意の通信ネットワーク400が介在しうる。しかしながら、一般的には、SIP中継装置200とメディアパケット変換装置300は、同一事業者のネットワーク内に設置されることが多い。
【0040】
以下に、各構成について説明する。
【0041】
図4は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の構成を示す。
【0042】
同図に示すSIP中継装置200は、メディア変換情報記憶部201、呼接続履歴データ格納部202、現呼接続データ格納部203、セッション管理用データ格納部204、SIP呼制御部210、呼接続履歴データ制御部220、メディアパケット変換制御部230、パケット通信制御部240、ソケット部250から構成される。
【0043】
上記のメディア変換情報記憶部201、呼接続履歴データ格納部202、現呼接続データ格納部203、セッション管理用データ格納部204は、メモリやハードディスク等の記憶媒体である。
【0044】
メディア変換情報記憶部201は、メディアパケット変換装置300が変換処理可能なメディア能力情報、メディアパケット変換装置300のIPアドレス、ポート番号等を格納する。
【0045】
呼接続履歴データ格納部202は、セッションが確立され切断された時点における統計履歴情報を格納する。呼接続履歴情報としては、メディア能力、SIPリクエストのURIの組み合わせ毎の、全呼接続試行回数、当該全呼接続試行回数のうちメディア変換が不要だった回数、当該全接続試行回数のうちメディア変換が必要だった回数や、発信側のSIP端末と着信側のSIP端末のSIP−URIのドメイン部分の組み合わせ等がある。
【0046】
現呼接続履歴データ格納部203は、セッションが確立され、切断されていない時点における統計履歴情報を格納する。
【0047】
セッション管理用データ格納部204は、Call-ID、From-tag、To-tag、branchパラメタ等、SIPセッション管理に必要なセッション管理用データを格納する。
【0048】
●SIP呼制御部210:
SIP呼制御部210は、通常のSIPプロキシサーバと同様に、
・SIPヘッダ、ボディ部の操作;
・Call-ID、From-tag、To-tag、branchパラメタ等、SIPセッション管理に必要な情報をセッション管理用データ格納部204から取得したり、同格納部204に格納や更新;
等を行う。
【0049】
当該SIP呼制御部210は、本発明では、上記の機能に加えて、以下のような処理を行う。
【0050】
・呼接続履歴データ制御部220と通信を行い、処理中のSIP呼の確立のために、メディア変換が必要か否か、必要な場合にメディアパケット変換装置300で変換処理が可能かどうかを判断するための、統計履歴情報を取得する処理を行う;
・取得した統計履歴情報に基づき、処理中のSIP呼にかかる以降の動作手順を決定し、決定した手順に従って、SIP処理を行う。
【0051】
・呼接続完了毎に、呼接続履歴データ制御部220に、当該呼の接続履歴データを渡し、履歴データの更新を指示する。
【0052】
・メディアパケット変換制御部230と通信を行い、メディアパケット変換装置300が変換処理可能なメディア能力情報、同装置300のIPアドレス、ポート番号等の情報を取得する。取得した情報を元に、動作手順に則って、SIPメッセージのボディ部に適切に設定する。
【0053】
・SIP処理の過程でメディア変換が必要なことが判明した場合に、メディアパケット変換制御部230に、メディアパケット変換装置300が変換すべき、メディアパケット情報(メディア能力情報、IPアドレス、ポート番号等)を通知する。また、該セッションの切断時に、変換処理を終了するよう、メディアパケット変換制御部230に対して指示を行う。
【0054】
●呼接続履歴データ制御部220:
呼接続履歴データ制御部220は、以下のような処理を行う。
【0055】
・SIP呼制御部210から指示を受け、呼接続履歴データ格納部202から呼接続履歴情報を取得し、SIP呼制御部210に渡す。また、その反対に、SIP呼制御部210から渡された呼接続履歴データを用いて、呼接続履歴データ格納部202のデータまたは、現呼接続履歴データ格納部203のデータの更新を行う。
【0056】
●メディアパケット変換制御部230:
メディアパケット変換制御部230は、以下のような処理を行う。
【0057】
・SIP呼制御部210から指示を受けると、メディア変換情報格納部201から、メディアパケット変換装置300が変換可能なメディア能力情報、同装置のIPアドレス、ポート番号等を取得し、SIP呼制御部210に渡す。
【0058】
・SIP呼制御部210から渡されたIPアドレスとポート番号、メディア能力等の情報を元に、メディアパケット変換装置300に対して、SIP呼制御部210が確立したSIPセッションで開始される端末100間のメディアパケットに、必要な変換処理を行うよう指示を行う。また、該セッションの切断時に、変換処理を終了するよう指示を行う。
【0059】
次に、SIP中継装置200の詳細な動作について説明する。
【0060】
図5は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の中継動作判断のフローチャートである。
【0061】
ステップ101) SIP呼制御部210は、発端末100からSIPリクエストを受信する。
【0062】
ステップ102) SIP呼制御部210は、受信したSIPリクエストが新規であるかを判定し、新規であれば、ステップ103に移行し、新規でなければステップ107に移行する。
【0063】
ステップ103) SIP呼制御部210は、ダイアログ情報をセッション管理用データ格納部204に格納する。
【0064】
ステップ104) 受信したメッセージが「INVITE」であれば、ステップ105に移行し、そうでなければ、当該SIP中継装置200はSIPプロキシサーバとして動作する。
【0065】
ステップ105) 受信したSIPリクエストメッセージが「INVITE」である場合は、暫定応答信号の「100Trying」を発端末100に返却する。
【0066】
ステップ106) 「INVITE」に「SDP Offer」がある場合は、フローA(図6)に移行する。ない場合はフローB(図11)に移行する。
【0067】
ステップ107) ステップ102において、新規ダイアログでない場合は、当該SIPリクエストが再リクエスト「re−INVITE」であるかを判定し、「re−INVITE」である場合は、ステップ108に移行し、「re−INVITE」でない場合はステップ110に移行する。
【0068】
ステップ108) 「re−INVITE」がメディア変更のメッセージであれば、ステップ109に移行し、そうでなければ、当該SIP中継装置200はSIPプロキシサーバとして動作する。
【0069】
ステップ109) メディア変更のメッセージであれば、暫定応答信号「100Trying」を発端末100に返却し、フローC(図13)に移行する。
【0070】
ステップ110) SIPリクエストが新規ダイアログではなく、「re−INVITE」でもない場合は、当該メッセージが「UPDATE」(更新)メッセージであるかを判定し、「UPDATE」である場合はステップ111に移行し、そうでない場合は、当該SIP中継装置200はSIPプロキシサーバとして動作する。
【0071】
ステップ111) 「UPDATE」によりメディア変更を要求している場合は、フローD(図15)に移行し、そうでない場合は当該SIP中継装置200はSIPプロキシサーバとして動作する。
【0072】
<中継動作フローA>
上記のステップ106において、「INVITE」に「SDP Offer」がある場合に実行するフローAについて説明する。
【0073】
図6は、本発明の一実施の形態におけるフローAを示す。
【0074】
以下に示す動作の目的は、
・SIP中継装置200が介在する場合でも、発端末100Aと着端末100Bに共通のメディアがあり、メディア変換が不要な場合にはメディア変換を行わないようにする(メディアパケット変換装置300を経由しない)。
【0075】
・SIP中継装置200が介在する場合でも、発端末100Aと着端末100Bで共通のメディア能力が選ばれる場合には、メディアパケット変換装置300を経由することなく、端末間で直接メディアパケットの送受を可能とする。
【0076】
・上記の2点を実現可能なSIP処理動作手順は複数存在する(図7,8,9に示す手順)が、呼設定の度に、呼接続履歴データ格納部202のメディア変換の必要性の大きさを示す統計データに基づいて、それらの動作手順を動的に切り替えることで、呼設定にかかるSIP信号数を統計的に削減し、接続遅延を緩和させると共に、ネットワークリソースを有効活用する。
【0077】
以下の説明において、「p」は、発端末100Aが指定したメディア能力を着端末100Bが許容し、メディア変換が不要となる確率を示し、「q」は、発端末100Aが指定したメディア能力は着端末100Bが許容せず、SIP中継装置200が指定するメディア能力を着端末100Bが許容するため、メディア変換が必要となる確率を示す。
【0078】
なお、以下に示す数値は、手順A−1,A−2,A−3のそれぞれにおけるSIPシーケンスを前提として算出した例である。これ以外の特定のシーケンスが前提となる場合は、相応の計算結果を以って手順判定を行ってもよい。
【0079】
ステップ201) SIP呼制御部210は、呼接続履歴データ制御部220から呼接続履歴データを取得する。
【0080】
ステップ202) SIP呼制御部210は、呼接続履歴データ制御部220から呼接続履歴データを取得し、確率p=1であるかを判定し、p=1である場合はステップ203に移行し、p≠1である場合はステップ204に移行する。
【0081】
ステップ203) 図7に示す中継手順A−1の処理を行い、ステップ207に移行する。
【0082】
ステップ204) SIP呼制御部210は、ステップ202において、p≠1の場合は、呼接続履歴データ制御部220から呼接続履歴データを取得し、p+q>3/4であるかを判定し、確率p+q>3/4である場合は、ステップ205に移行する。
【0083】
ステップ205) 図8に示す中継手順A−2の処理を行い、ステップ207に移行する。
【0084】
ステップ206) ステップ204において、p+q≦3/4の場合は、図9に示す中継手順A−3の処理を行い、ステップ207に移行する。
【0085】
ステップ207) 接続が切断されている場合はステップ208に移行し、切断されていない場合はステップ209に移行する。
【0086】
ステップ208) SIP呼接続制御部210は、呼接続履歴データ制御部220に対して、呼接続履歴データの更新を指示する。これにより、呼接続履歴データ制御部220は、呼接続履歴データ格納部202の呼接続履歴データを更新する。
【0087】
ステップ209) ステップ207において、接続が切断されていない場合は、SIP呼接続制御部210は、呼接続履歴データ制御部220に対して、現呼接続データの更新を指示する。これにより、呼接続履歴データ制御部220は、現呼接続データ格納部203の当該発端末100Aのメディア能力、着端末100Bのメディア能力を更新する。
【0088】
上記のステップ203の処理を以下に示す。
【0089】
図7は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順A−1を示す。
【0090】
以下では、装置間のメッセージシーケンスのみを示す。
【0091】
同図(a)は、着端末100Bが能力Aを有する場合を示しており、同図(b)は着端末100Bが能力Aを許容できず、能力Bを許容する場合を示しており、同図(c)は着端末100Bが能力A,能力B,能力Cのいずれも許容できない場合を示している。
【0092】
また、同図中の「INVITE(A)」は、INVITEメッセージ中にメディア能力情報Aが記述されていることを示す。「200 OK(A)」、「ACK(A)」についても同様である。なお、他も同様に「INVITE(B,C)」のように、INVITEメッセージ中にメディア能力B,Cが記述されていることを示す。
【0093】
また、以下の手順は、メディアパケット変換装置300は、メディア能力A,B,Cに対応しているという前提に基づくものとする。
【0094】
図7(a)の着端末100Bが発端末100Aと同じ能力Aを有する場合について示す。
【0095】
SIP中継装置200において、発端末100Aから「INVITE(A)」を受信し、「100Trying」を返す(ステップ301)。次に、SIP中継装置200は、着端末100Bに対して、「INVITE(A)」を送信し、当該着端末100Bから「100Trying」を受信する(ステップ302)。
【0096】
ここまでの処理は、後述する図7(b),図7(c)においても同様である。
【0097】
着端末100Bが能力Aを有する場合は、「100Trying」を送信した後に、着端末100BからSIP中継装置200に「180 Ringing」を返却し、SIP中継装置200は、発端末100Aに対して「180 Ringing」を送信し、鳴動中であることを通知する(ステップ303)。
【0098】
次に、着端末100Bは「200OK(A)」をSIP中継装置200に送信し、SIP中継装置200は「200OK(A)」を発端末100Aに送信する(ステップ304)。これに対し、発端末100Aは、「ACK」をSIP中継装置200に送信し、SIP中継装置200が着端末100Bに「ACK」を送信する。これにより、発端末100Aと着端末100B間のセッションが確立される(ステップ305)。
【0099】
次に、図7(b)の着端末100Bが能力Aを許容できず能力Bを許容する場合について説明する。
【0100】
図7(a)のステップ302と同様に、着端末100Bが、SIP中継装置200から「INVITE(A)」を受信すると、当該装置では処理不可能を意味する「488 Not Acceptable Here」をSIP中継装置200に返す。これに対して、SIP中継装置200は着端末200Bに対して「ACK」を返す(ステップ310)。SIP中継装置200は、メディア受信情報格納部201を参照して、メディアパケット変換装置300に対して変換能力確認要求を送信し、これに対する応答を取得する(ステップ311)。SIP中継装置200はステップ311の応答に基づいて、着端末100Bに対して「INVITE(B,C)」を送信する。着端末100Bはこれに対し、「100Trying」及び「180Ringing」を返す。SIP中継装置200は、「180Ringing」を発端末100Aに送信し、鳴動中であることを通知する(ステップ312)。次に、着端末100BはSIP中継装置200に対して「200OK(B)」を送信し、SIP中継装置200は「200OK(A)」を発端末100Aに送信する(ステップ313)。これに対して、発端末100はSIP中継装置200に「ACK」を送信し、SIP中継装置200は着端末100Bに「ACK」を送信する(ステップ314)。SIP中継装置200は、メディアパケット変換装置300に対して、メディアの変換開始要求を送信し、これに対し、メディアパケット変換装置300は、メディア変換を開始する旨をSIP中継装置200に通知する。これにより、メディアパケット変換装置300と発端末100A間では、メディアAを、メディアパケット変換装置300と着端末100B間ではメディアBによりセッションを確立する(ステップ315)。
【0101】
次に、図7(c)の着端末100Bが能力A,B,Cのいずれの能力も許容できない場合について説明する。
【0102】
図7(a)のステップ302と同様に、着端末100Bが、SIP中継装置200から「INVITE(A)」を受信すると、「488 Not Acceptable Here」をSIP中継装置200に返す。これに対して、SIP中継装置200は着端末200Bに対して「ACK」を返す(ステップ320)。SIP中継装置200は、メディア変換情報格納部201を参照して、メディアパケット変換装置300に対して変換能力確認要求を送信し、これに対する応答を取得する(ステップ321)。SIP中継装置200は、ステップ321の応答に基づいて、着端末100Bに対して「INVITE(B,C)」を送信する。着端末100Bはこれに対し、「100Trying」を返却する(ステップ322)。更に、着端末100BはSIP中継装置200に「488 Not Acceptable Here」を返す。SIP中継装置200は、「488 Not Acceptable Here」を発端末100Aに送信する(ステップ323)。発端末100Aは、これに対して、「ACK」を返し、SIP中継装置200は、「ACK」を着端末100Bに送信する(ステップ324)。
【0103】
図8は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継手順A−1におけるメディア能力の記述例である。
【0104】
次に、上記のステップ205の処理を以下に示す。
【0105】
図9は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順A−2を示す。
【0106】
以下の手順では、メディアパケット変換装置300は、メディア能力A,B,Cに対応しているという前提に基づく。
【0107】
図9(a)は、着端末100Bが能力Aを許容する場合を示し、同図(b)は着端末100Bが能力Aを許容せず、能力Bを許容する場合を示し、同図(c)は着端末100Bが能力A,B,Cのいずれも許容できず、その他の能力のみを許容する場合を示す。
【0108】
図9(a)の着端末100Bが発端末100Aと同じ能力を有する場合について示す。
【0109】
SIP中継装置200において、発端末100Aから「INVITE(A)」を受信し、「100Trying」を返す(ステップ401)。次に、SIP中継装置200は、着端末100Bに対して、「INVITE」を送信し、当該着端末100Bから「100Trying」を受信する(ステップ402)。
【0110】
次に、SIP中継装置200は、メディアパケット変換装置300に対して、変換能力の確認を行う(ステップ403)。
【0111】
着端末100BはSIP中継装置200に対して「180 Ringing」を送信し、SIP中継装置200は発端末100Aに「180 Ringing」を送信する(ステップ404)。
【0112】
着端末100BはSIP中継装置200に能力A,Bを許容する「200OK(A,B)」を送信し、SIP中継装置200は発端末100Aに「200OK(A)」を送信する(ステップ405)。
【0113】
発端末100Aは、SIP中継装置200に「ACK」を送信し、SIP中継装置200は着端末100Bに能力Aにおいて接続可能となったことを伝える「ACK(A)」を送信する。これにより、メディアAによるセッションを確立する(ステップ406)。
【0114】
次に、図9(b)の着端末100Bが能力Aを許容しない場合について示す。
【0115】
同図(a)のステップ401〜403までは同様である。
【0116】
着端末100BはSIP中継装置200に対して「180 Ringing」を送信し、SIP中継装置200は発端末100Aに「180 Ringing」を送信する(ステップ410)。
【0117】
着端末100BはSIP中継装置200に能力Bを許容する「200OK(B)」を送信し、SIP中継装置200は発端末100Aに「200OK(A)」を送信する(ステップ411)。
【0118】
発端末100Aは、SIP中継装置200に「ACK」を送信し、SIP中継装置200は着端末100Bに能力Bにおいて接続可能となったことを伝える「ACK(B)」を送信する(ステップ412)。SIP中継装置200は、メディアパケット変換装置300に変換開始要求を送信し、変換開始応答を受け取る(ステップ413)。これにより、メディアパケット変換装置300と発端末100AではメディアAを利用し、メディアパケット変換装置300と着端末100B間ではメディアBによるセッションを確立する(ステップ414)。
【0119】
次に、図9(c)の着端末100Bが能力A,B,Cのいずれも許容できず、その他の能力のみを許容する場合について示す。
【0120】
同図(a)のステップ401〜403までは同様である。
【0121】
着端末100BはSIP中継装置200に対して「180 Ringing」を送信し、SIP中継装置200は発端末100Aに「180 Ringing」を送信する(ステップ420)。
【0122】
着端末100BはSIP中継装置200に能力Xを許容する「200OK(X)」を送信し、SIP中継装置200は着端末100Bに「ACK(X)」を送信する(ステップ421)。次いで、SIP中継装置200は、着端末100Bにコールの終了「BYE」を送信する。着端末100Bは、SIP中継装置200に成功応答「200OK」を送信する(ステップ422)。
【0123】
SIP中継装置200は、発端末100Aに当該装置で処理不可能を意味する「488 Not Acceptable Here」を送信し、発端末100Aは「ACK」をSIP中継装置200に返す(ステップ423)。
【0124】
次に、ステップ206の処理を以下に示す。
【0125】
図10は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順A−3を示す。
【0126】
以下の手順では、メディアパケット変換装置300は、メディア能力A,B,Cに対応しているという前提に基づく。
【0127】
図10(a)は、着端末100Bが能力Aを許容する場合を示し、同図(b)は着端末100Bが能力Aを許容せず、能力Bを許容する場合を示し、同図(c)は着端末100Bが能力A,B,Cのいずれも許容できず、その他の能力のみを許容する場合を示す。
【0128】
図10(a)の着端末100Bが能力Aを許容する場合について示す。
【0129】
SIP中継装置200において、発端末100Aから「INVITE(A)」を受信し、「100Trying」を返す(ステップ501)。次に、SIP中継装置200は、着端末100Bに対して、「OPTIONS」を送信する(ステップ502)。
【0130】
次に、SIP中継装置200は、メディアパケット変換装置300に対して、変換能力の確認を行う。このとき、メディアパケット変換装置300は、メディア能力A,B,Cに対応している応答を返却するものとする(ステップ503)。
【0131】
着端末100Bは、SIP中継装置200に対して、「200OK(A)」を送信し、SIP中継装置200から着端末100Bに「INVITE(A)」を送信する(ステップ504)。
【0132】
着端末100BはSIP中継装置200に対して「180 Ringing」を送信し、SIP中継装置200は発端末100Aに「180 Ringing」を送信する(ステップ505)。
【0133】
着端末100BはSIP中継装置200に能力Aを許容する「200OK(A)」を送信し、SIP中継装置200は発端末100Aに「200OK(A)」を送信する(ステップ506)。
【0134】
発端末100Aは、SIP中継装置200に「ACK」を送信し、SIP中継装置200は着端末100Bに能力Aにおいて接続可能となったことを伝える「ACK」を送信する。これにより、メディアAでのセッションが確立される(ステップ507)。
【0135】
次に、図10(b)の着端末100Bが能力Aを許容せず、能力Bを許容する場合について示す。
【0136】
同図(a)のステップ501〜503までは同様である。
【0137】
着端末100BはSIP中継装置200に対して「200OK(B)」を送信し、SIP中継装置200から着端末100Bに「INVITE(B)」を送る(ステップ510)。
【0138】
着端末100Bは、「100Trying」をSIP中継装置200に「180 Ringing」を送信し、SIP中継装置200は発端末100Aに「180 Ringing」を送信する(ステップ511)。
【0139】
着端末100BはSIP中継装置200に能力Bを許容する「200OK(B)」を送信し、SIP中継装置200は発端末100Aに「200OK(A)」を送信する(ステップ512)。
【0140】
発端末100Aは、SIP中継装置200に「ACK」を送信し、SIP中継装置200は着端末100Bに「ACK」を送信する(ステップ513)。SIP中継装置200は、メディアパケット変換装置300に変換開始要求を送信し、変換開始応答を受け取る。これにより、メディアパケット変換装置300と発端末100AではメディアAを利用し、メディアパケット変換装置300と着端末100B間ではメディアBでのセッションが確立される(ステップ515)。
【0141】
次に、図10(c)の着端末100Bが能力A,B,Cのいずれも許容できず、その他の能力のみを許容する場合について示す。
【0142】
同図(a)のステップ501〜503までは同様である。
【0143】
着端末100BはSIP中継装置200に対して「200OK(X)」を送信し、SIP中継装置200からき発端末100に「488 Not Acceptable Here」を送る(ステップ520)。
【0144】
発端末100AはSIP中継装置200に「ACK」を送る(ステップ521)。
【0145】
図6のSIP中継装置200は、以下の方法に基づいて設計されている。
【0146】
(1)前述の図7,9,10に示した手順A−1,A−2,A−3についてそれぞれ、
1)着端末100Bが発端末100Aの指定したメディア能力Aを許容する場合;
2)メディア能力Aは許容しないが、SIP中継装置200が指定したメディア能力Bは許容する場合;
3)メディア能力A,Bいずれも許容しない場合;
にそれぞれ交換されるSIP信号数(但し、受信したINVITEとそれに対する100応答を除く)を求める。
【0147】
(2)上述のSIP信号数に、上記1)が起こる確率p、2)が起こる確率q、3)が起こる確率(=1−p−q)をそれぞれ乗じて加えることで、図7,9,10におけるSIP信号数の期待値を求める。
【0148】
(3)各手順におけるSIP信号数の期待値を互いに比較し、それぞれが3つのうちで最も小さくなるような確率p,q,rの条件を求める。
【0149】
(4)上記の確率p,q,rは、呼接続履歴データ格納部202に、発端末100Aの指定するメディア能力とRequest-URIの組み合わせ毎の、過去の呼接続履歴(全呼接続試行回数、うちメディア変換が不要だった回数、うちメディア変換が必要だった回数)データを蓄積しておけば、当該格納部202から取得可能である。
【0150】
上記の例では、p=(メディア変換が不要だった回数)/(全呼接続試行回数)
として取得可能である。
【0151】
(5)呼接続履歴データ格納部202から取得したp、q、rの値から、前述の図7,9,10に示す手順の期待値のうち最も小さいものがわかるため、以後はその手順に則って当該呼接続処理を進める。
【0152】
(6)複数の手順で期待値が等しくなる場合には、どちらの手順を選択してもよいが、SIP処理やメディア能力処理が通常のSIPプロキシサーバに近く処理負荷のより低い方を選ぶなど、何らかの別の選択基準によって選択する。
【0153】
ここで、上記の(5)の期待値比較の計算例を以下に示す。
【0154】
以下では、上記の手順A−1,A−2,A−3のシーケンスを前提とした各手順における信号数の期待値の最小条件を計算する例を示す。
【0155】
【数1】

上記の(1)は、
pまたはrが1のとき、手順A−1と手順A−2は同等;
p+q>3/4のとき、手順A−2が最適;
p+q=3/4のとき、手順A−2とA−3は同等;
p+q<3/4のとき、手順A−3は同等;
である。
【0156】
上記は、pまたはrが1のときは、手順A−1とA−2のどちらも信号数は同じだが、手順A−1の方が、通常のSIPプロキシに近い動作のため処理負荷が軽い。そのため、pまたはrが1のときは手順A−1を選択すべきである。
【0157】
p+q=3/4のときは、手順A−2と手順A−3のどちらも信号数は同じである。手順A−2では、メディア変換が実施不可能であった場合に、一旦セッションを擬似的に確立させた後、直ちに切断するという手順をとらなければならないが、手順A−3ではこの必要がないため、手順A−3が望ましいということもできる。
【0158】
このように、複数の手順で期待値が等しくなる状況下では、事業者のローカルポリシ等によりいずれかの手順を選択すればよい。
【0159】
<中継動作フローB>
次に、図5のフローBの詳細について説明する。
【0160】
図11は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の中継動作のフローBを示す。
【0161】
以下では、装置間のメッセージシーケンスのみを示す。
【0162】
後述する中継手順Bを実行し(ステップ601)、切断済みであれば(ステップ602、Yes)、SIP呼制御部210は、呼接続履歴データ制御部220に呼接続履歴データ格納部202の更新を指示し(ステップ603)、切断済みでない場合は(ステップ602、No)、発端末100Aのメディア能力、着端末100Bのメディア能力で現呼接続データ格納部203を更新するように指示する(ステップ604)。
【0163】
図12は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順Bを示す。
【0164】
同図に示す手順では、前提として、メディアパケット変換装置300は、メディアの応力A,B,Cに対応しているものとする。
【0165】
同図(a)は、着端末100B、発端末100A共に、能力A,Bを許容し、発端末100Aが能力Aを選択する場合を示し、同図(b)は、着端末100Bが能力A,Bを許容し、発端末100Aが能力Cを許容する場合を示し、同図(c)は、着端末100Bが能力A,Bを許容し、発端末100Aが能力A,B,Cのいずれも許容しない場合を示す。
【0166】
図12(a)の着端末100B、発端末100A共に、能力A,Bを許容し、発端末100Aが能力Aを選択する場合について示す。
【0167】
上記のステップ601として、SIP中継装置200が発端末100Aから「INVITE」を受け取ると、「100Trying」を返却し(ステップ701)、「INVITE」を着端末100Bに送信し、当該着端末100Bから「100Trying」を受信する(ステップ702)。
【0168】
着端末100BからSIP中継装置200に対して、「180Ringing」を送信し、SIP中継装置200から発端末100Aに「180Ringing」を送信して鳴動中であることを通知する(ステップ703)。
【0169】
次に、着端末100Bは、SIP中継装置200に能力A,Bを許容するメッセージ「200OK(A,B)」を送信し、SIP中継装置200は、発端末100Aに「200OK(A,B)」を送信する(ステップ704)。発端末100Aは、能力Aを選択する「ACK(A)」をSIP中継装置200に送信し、SIP中継装置200は、「ACK(A)」を着端末100Bに送信することにより、能力Aのメディアを用いた呼が確立する(ステップ705)。
【0170】
次に、図12(b)の着端末100Bが能力A,Bを許容し、発端末100Aが能力Cを許容する場合について示す。
【0171】
上記の図12(a)のステップ701〜702の処理を実行した後に、 着端末100BからSIP中継装置200に対して、「180Ringing」を送信し、SIP中継装置200から発端末100Aに「180Ringing」を送信して鳴動中であることを通知する(ステップ710)。
【0172】
次に、着端末100Bは、SIP中継装置200に能力A,Bを許容するメッセージ「200OK(A,B)」を送信し、SIP中継装置200は、発端末100Aに「200OK(A,B)」を送信する(ステップ711)。発端末100Aは、本来能力Aは許容できないが、能力Aを許容したように振舞うために「ACK(A)」をSIP中継装置200に送信し、その直後に、「BYE」により切断する(ステップ712)。
【0173】
SIP中継装置200は、「200OK」を発端末100Aに送信し、さらに、「INVITE(C)」を発端末100Aに送信する。これに対して発端末100Aは、「100Trying」と「180Ringing」をSIP中継装置200に送信する。
【0174】
発端末100Aは「200OK(C)」をSIP中継装置200に送信し、SIP中継装置200は、発端末100Aに「ACK」を送信すると共に、着端末100Bに「ACK(A)」を送信する(ステップ714)。
【0175】
SIP中継装置200は、メディアパケット変換装置300に対して、メディアパケットに必要な変換処理を行うための変換開始要求を送信し、当該要求の応答を取得する。これにより、メディアパケット変換装置300を介して発端末100Aに対しては能力Cのメディアで、着端末100Bに対しては能力Bのメディアでセッションが確立する(ステップ715)。
【0176】
次に、図12(c)の着端末100Bが能力A,Bを許容し、発端末100Aが能力A,B,Cのいずれも許容しない場合について示す。
【0177】
上記の図12(a)のステップ701〜702の処理を実行した後に、着端末100BからSIP中継装置200に対して、「180Ringing」を送信し、SIP中継装置200から発端末100Aに「180Ringing」を送信してベルを鳴らす(ステップ720)。
【0178】
次に、着端末100Bは、SIP中継装置200に能力A,Bを許容するメッセージ「200OK(A,B)」を送信し、SIP中継装置200は、発端末100Aに「200OK(A,B)」を送信する。発端末100Aは、本来能力Aは許容できないが、能力Aを許容したように振舞うために「ACK(A)」をSIP中継装置200に送信し、その直後に、「BYE」により切断する(ステップ722)。
【0179】
SIP中継装置200は、「200OK」、「INVITE(C)」を発端末100Aに送信する。これに対し、発端末100Aは「100Trying」を送信する。
【0180】
発端末100Aは、能力Cも許容しないことから、SIP中継装置200に対して、「488 Not Acceptable Here」を送信し、SIP中継装置200は、発端末100Aに「ACK」を送信し、着端末100Bに「ACK(A)」を送信する(ステップ724)。SIP中継装置200は、発端末100Aが、能力A,B,Cのいずれも許容しないことから、着端末100Bに対して「BYE」を送信し、着端末100Bから「200OK」を送信する(ステップ725)。
【0181】
<中継動作フローC>
次に、図5のフローCの詳細について説明する。
【0182】
図13は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の中継動作フローCを示す。
【0183】
以下では、装置間のメッセージシーケンスのみを示す。
【0184】
SIP中継装置200は、呼接続履歴データ制御部220から現呼接続データを取得する(ステップ801)。SIP中継装置200は、発端末100Aの要求するメディア変更後のメディア能力Mが着端末100Bで許容されると確定している場合は(ステップ802、Yes)、図14に示す中継手順Cを行い(ステップ804)、接続が切断されている場合は(ステップ805、Yes)、呼接続履歴データ制御部220に対して、呼接続履歴データの更新を指示し(ステップ806)、接続されている場合は(ステップ805、No)、呼接続履歴データ制御部220に対して、現呼接続データの更新を指示する(ステップ807)。
【0185】
ステップ802において、Mが着端末100Bで許容されることが確定されていない場合は(ステップ802、No)、図6に示すフローAを実行する(ステップ803)。
【0186】
次に、上記のステップ804の中継手順Cについて説明する。
【0187】
図14は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順Cを示す。
【0188】
同図に示す手順では、前提として、メディアパケット変換装置300は、メディアの応力A,B,C,Mに対応しているものとする。
【0189】
同図(a)は、着端末100Bが能力Mを許容する場合を示し、同図(b)は、着端末100Bが能力Mを許容せず、能力Bを許容する場合を示し、同図(c)は着端末100Bが能力Mを許容できず、能力A,B,Cも許容できない場合を示す。
【0190】
図14(a)の着端末が能力Mを許容する場合について説明する。
【0191】
SIP中継装置200は、発端末100Aから「re-INVITE(M)」を受信すると、「100Trying」を返す。SIP中継装置200は、「re-INVITE(M)」を着端末100Bに送信し、「100Trying」を受け取る(ステップ902)。
【0192】
着端末100Bは、「200OK(M)」をSIP中継装置200に送信し、SIP中継装置200は「200OK(M)」を発端末100Aに送る(ステップ903)。
【0193】
発端末100Aは、「ACK」をSIP中継装置200に送信し、SIP中継装置200は、「ACK」を着端末100Bに送る。これにより、能力Mのメディアを用いて通信を行う(ステップ904)。
【0194】
図14(b)の着端末が能力Mを許容せず、能力Bを許容する場合について説明する。
【0195】
前述のステップ901〜902を行った後に、着端末100BはSIP中継装置200に「488 Not Acceptable Here」を送信し、SIP中継装置200は「ACK」を着端末100Bに送信する(ステップ910)。次に、SIP中継装置200は着端末100Bに「re-INVITE(A,B,C)」を送信し、着端末100Bは「100Trying」をSIP中継装置200の送信する(ステップ911)。
【0196】
着端末100BはSIP中継装置200に「200OK(B)」を送信し、SIP中継装置200は、発端末100Aに「200OK (M)」を送信する(ステップ912)。
【0197】
発端末100Aは、SIP中継装置200に「ACK」を送信し、SIP中継装置200は、「ACK」を着端末100Bに送信する(ステップ913)。
【0198】
SIP中継装置200は、メディアパケット変換装置300に変換開始要求を送信し、変換開始応答を取得する。メディアパケット変換装置300は、発端末100Aとの間では能力Mのメディアを用いて、着端末100Bとは能力Bのメディアを用いて通信を行う(ステップ914)。
【0199】
次に、図14(c)の着端末が能力Mを許容せず、能力A,B,Cも許容できない場合について説明する。
【0200】
前述のステップ901〜902を行った後に、着端末100Bは、SIP中継装置200に「488 Not Acceptable Here」を送信し、SIP中継装置200は「ACK」を着端末100Bに送信する(ステップ920)。次に、SIP中継装置200は、着端末100Bに「re-INVITE(A,B,C)」を送信し、着端末100Bは「100Trying」をSIP中継装置200の送信する(ステップ921)。
【0201】
着端末100BはSIP中継装置100に「488 Not Acceptable Here」を送信し、SIP中継装置200は発端末100Aに「488 Not Acceptable Here」を送信し、発端末100AはSIP中継装置200に「ACK」を送信する。SIP中継装置200は「ACK」を着端末100Bに送信する(ステップ922)。
【0202】
<中継動作フローD>
次に、図5の中継動作フローDを説明する。
【0203】
図15は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置の中継動作フローDを示す。
【0204】
以下では、装置間のメッセージシーケンスのみを示す。
【0205】
SIP中継装置200は、図5のステップ111においてメディア変更がある場合は(ステップ111、Yes)、中継手順Dを実行し(ステップ1001)、接続が切断された場合は(ステップ1002、Yes)、呼接続履歴データ制御部220に呼接続履歴データの更新を指示し、接続が切断されていない場合は(ステップ1002、No)、呼接続履歴データ制御部220に現呼接続データの更新を指示する(ステップ1004)。
【0206】
次に、上記のステップ1001の中継手順Dについて説明する。
【0207】
図16は、本発明の一実施の形態におけるSIP中継装置のSIP中継手順Dを示す。
同図に示す手順では、前提として、メディアパケット変換装置300は、メディアの応力A,B,Cに対応しているものとする。
【0208】
同図(a)は、着端末100Bが能力Mを許容する場合を示し、同図(b)は、着端末100Bが能力Mを許容せず、能力Bを許容する場合を示し、同図(c)は、着端末100Bが能力Mを許容できず、能力A,B,Cも許容できない場合を示す。
【0209】
同図(a)の着端末100Bが能力Mを許容する場合について説明する。
【0210】
SIP中継装置200は、発端末100Aから「UPDATE(M)」を受信すると、「UPDATE(M)を」着端末100Bに送信する(ステップ1010)。
【0211】
着端末100Bは、「200OK(M)」をSIP中継装置200に送信し、SIP中継装置は「200OK(M)」を発端末100Aに送信する。これにより能力Mを用いた通信が行われる(ステップ1011)。
【0212】
次に、同図(b)の着信端末100Bが能力Mを許容せず、能力Bを許容する場合について説明する。
【0213】
上記のステップ1010と同様の処理を行った後、着端末100BはSIP中継装置200に「488 Not Acceptable Here」を送信し(ステップ1020)、SIP中継装置200は、「UPDATE (A,B,C)」を着端末100Bに送信し、着端末100Bは「200OK(B)を」SIP中継装置200に送信し、SIP中継装置200は[200OK(M)]を発端末100Aに送信する(ステップ1021)。
【0214】
SIP中継装置200は、メディアパケット変換装置300に変換監視要求を送信、変換開始応答を取得する。これにより、メディアパケット変換装置300と発端末100A間では能力Mを用いた通信を行い、メディアパケット変換装置300と着端末100B間では能力Bを用いた通信を行う(ステップ1022)。
【0215】
次に、同図(c)の着端末100Bが能力Mを許容できず、能力A,B,Cも許容できない場合について説明する。
【0216】
上記のステップ1010と同様の処理を行った後、着端末100BはSIP中継装置200に「488 Not Acceptable Here」を送信し、SIP中継装置は「UPDATE(A,B,C)」を着端末100Bに送信する(ステップ1030)。次いで、着端末100Bは「488 Not Acceptable Here」をSIP中継装置200に送信し、SIP中継装置200は「488 Not Acceptable Here」を発端末に送信する(ステップ1031)。
【0217】
なお、上記のSIP中継装置200及びメディアパケット変換装置300の構成要素をプログラムとして構築し、SIP中継装置及びメディアパケット変換装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることが可能である。
【0218】
また、構築されたプログラムをハードディスクや、フレキシブルディスク・CD−ROM等の可搬記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールする、または、配布することが可能である。
【0219】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0220】
100 SIP端末
100A 発端末
100B 着端末
200 SIP中継装置
201 メディア変換情報記憶手段、メディア変換情報格納部
202 呼接続履歴データ記憶手段、呼接続履歴データ格納部
203 現呼接続履歴データ格納部
204 セッション管理用データ格納部
210 SIP呼制御手段、SIP呼制御部
220 呼接続履歴データ制御手段、呼接続履歴データ制御部
230 メディアパケット変換制御手段、メディアパケット変換制御部
240 パケット通信制御部
250 ソケット部
300 メディアパケット変換装置
400 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIP(Session Initiation Protocol)を用いてマルチメディア通信を行うSIP端末のメディア処理能力に差分が存在する場合のマルチメディア通信を可能にするためのSIP中継装置であって、
複数のSIP端末、メディアパケット変換装置、SIP中継装置及び、これらの装置間に介在する通信ネットワークからなるシステムにおいて、
メディア変換情報を格納するメディア変換情報記憶手段と、
前記メディア変換情報記憶手段からメディア変換に必要な情報を取得して、前記メディアパケット変換装置に対して、メディア変換要求として送信するメディアパケット変換制御手段と、
前記SIP端末からSIPリクエストを受信すると、該SIPリクエストのメディア処理機能と通信相手の端末のメディア処理能力が一致していれば、メディア処理機能の変更・追加を行わず、かつ、メディア変換も行わないものとし、一致していなければ、前記メディアパケット変換制御手段にメディア変換を指示するSIP呼制御手段と、
を有することを特徴とするSIP中継装置。
【請求項2】
SIP(Session Initiation Protocol)を用いてマルチメディア通信を行うSIP端末のメディア処理能力に差分が存在する場合のマルチメディア通信を可能にするためのメディアパケット変換装置であって、
複数のSIP端末、メディアパケット変換装置、SIP中継装置及び、これらの装置間に介在する通信ネットワークからなるシステムにおいて、
前記SIP中継装置からメディア変換要求を取得すると、該メディア変換要求に含まれるSIP端末のIPアドレス、ポート番号、メディア能力に基づいて、確立したSIPセッションで開始されるSIP端末間のメディアパケットに対してメディア変換を行う手段を有することを特徴とするメディアパケット変換装置。
【請求項3】
複数のSIP(Session Initiation Protocol)端末、メディアパケット変換装置、SIP中継装置及び、これらの装置間に介在する通信ネットワークからなり、SIPを用いてマルチメディア通信を行うSIP端末のメディア処理能力に差分が存在する場合のマルチメディア通信を可能にするためのシステムであって、
前記SIP中継装置は、
メディア変換情報を格納するメディア変換情報記憶手段と、
前記メディア変換情報記憶手段からメディア変換に必要な情報を取得して、前記メディアパケット変換装置に対して、メディア変換要求として送信するメディアパケット変換制御手段と、
前記SIP端末からSIPリクエストを受信すると、該SIPリクエストのメディア処理機能と通信相手の端末のメディア処理機能が一致していれば、メディア処理機能の変更・追加を行わず、かつ、メディア変換も行わないものとし、一致していなければ、前記メディアパケット変換制御手段にメディア変換を指示するSIP呼制御手段と、
を有し、
前記メディアパケット変換装置は、
前記SIP中継装置からメディア変換要求を取得すると、該メディア変換要求に含まれるSIP端末のIPアドレス、ポート番号、メディア能力に基づいて、確立したSIPセッションで開始されるSIP端末間のメディアパケットに対してメディア変換を行う手段を有する
ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
前記SIP中継装置は、
メディア変換の必要性の大きさを示す統計データを呼接続履歴情報として格納する呼接続履歴データ記憶手段と、
前記呼接続履歴データ記憶手段から前記呼接続履歴情報を読み出す、及び、呼接続履歴情報を取得して該呼接続履歴データ記憶手段を更新する呼接続履歴データ制御手段と、を更に有し、
前記SIP呼制御手段は、
前記SIP端末からSIPリクエストを受信すると、前記呼接続履歴データ制御手段から前記呼接続履歴情報を取得して、該SIPリクエストのSIP呼の確立のためにメディア変換が必要か否かを判定する判定手段を有する
請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記SIP呼制御手段は、
前記着信側のSIP端末が前記発信側のSIP端末の指定したあるメディア能力Aを許容するケースa;
前記メディア能力Aは許容しないが、当該SIP中継装置が指定したいメディア能力Bを許容するケースb;
前記メディア能力A、前記メディア能力Bのいずれも許容しないケースc;
にそれぞれ交換されるSIP信号数を求め、
前記呼接続履歴データ記憶手段から取得した前記呼接続履歴情報に基づいて、前記ケースaが起こる確率p、前記ケースbが起こる確率q、前記ケースcが起こる確率rを求め、前記SIP信号数にそれぞれ乗じて加えることで、SIP信号数の期待値を求め、
求められたSIP信号数の期待値を比較して、最も小さい期待値を求め、該期待値に基づいて、メディア変換が必要か否かを判定する手段を含む
請求項4記載のシステム。
【請求項6】
複数のSIP(Session Initiation Protocol)端末、メディアパケット変換装置、SIP中継装置及び、これらの装置間に介在する通信ネットワークからなり、SIPを用いてマルチメディア通信を行うSIP端末のメディア処理能力に差分が存在する場合のマルチメディア通信を可能にするためのシステムにおける制御方法であって、
前記SIP中継装置において、
前記SIP端末からSIPリクエストを受信すると、該SIPリクエストのメディア処理機能と通信相手の端末のメディア処理能力が一致しているかを判定するメディア変換判定ステップと、
前記メディア変換判定ステップにおいて、一致していれば、メディア処理機能の変更・追加を行わず、かつ、メディア変換も行わないものとし、一致していなければ、メディア変換情報記憶手段からメディア変換に必要な情報を取得して、メディア変換要求として前記メディアパケット変換装置に送信するメディア変換指示ステップを行い、
前記メディアパケット変換装置において、
前記SIP中継装置からメディア変換要求を取得すると、該メディア変換要求に含まれるSIP端末のIPアドレス、ポート番号、メディア能力に基づいて、確立したSIPセッションで開始されるSIP端末間のメディアパケットに対してメディア変換を行うメディア変換ステップを行うことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
前記メディア変換判定ステップにおいて、
メディア変換の必要性の大きさを示す統計データを呼接続履歴情報として格納する呼接続履歴データ記憶手段から該呼接続履歴情報を読み出して、前記SIPリクエストのSIP呼の確立のためにメディア変換が必要か否かを判定する
請求項6記載の制御方法。
【請求項8】
前記メディア変換判定ステップにおいて、
前記着信側のSIP端末が前記発信側のSIP端末の指定したあるメディア能力Aを許容するケースa;
前記メディア能力Aは許容しないが、当該SIP中継装置が指定したいメディア能力Bを許容するケースb;
前記メディア能力A、前記メディア能力Bのいずれも許容しないケースc;
にそれぞれ交換されるSIP信号数を求め、
前記呼接続履歴データ記憶手段から、前記呼接続履歴情報を取得し、
前記呼接続履歴情報に基づいて、前記ケースaが起こる確率p、前記ケースbが起こる確率q、前記ケースcが起こる確率rを求め、前記SIP信号数にそれぞれ乗じて加えることで、SIP信号数の期待値を求め、
求められたSIP信号数の期待値を比較して、最も小さい期待値を求め、該期待値に基づいて、メディア変換が必要か否かを判定する
請求項7記載の制御方法。
【請求項9】
請求項1に記載のSIP中継装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるためのSIP中継プログラム。
【請求項10】
請求項2に記載のメディアパケット変換装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるメディアパケット変換プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−166453(P2011−166453A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27006(P2010−27006)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】