説明

Si酸化膜被覆軟磁性粉末

【課題】軟磁性粉末の表面にSi酸化膜、特にSiOx(x=1〜2)酸化膜を被覆したSi酸化膜被覆軟磁性粉末を提供する。
【解決手段】鉄粉末の表面にSi、FeおよびOからなるSi−Fe−O三元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆軟磁性粉末であって、前記Si−Fe−O三元系酸化物の拡散層は、鉄粉末との界面ではFeの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有するSi酸化膜被覆軟磁性粉末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軟磁性粉末の表面にSi酸化膜、特にSiOx(x=1〜2)酸化膜を被覆したSi酸化膜被覆軟磁性粉末に関するものであり、このSi酸化膜被覆軟磁性粉末で作製した複合軟磁性材は低鉄損を必要とする各種電磁気回路部品、例えば、モータ、アクチュエータ、ヨーク、コア、リアクトルなどの各種電磁気部品の素材として使用される。
【背景技術】
【0002】
一般に、軟磁性材料は軟磁性粉末を圧粉成形し、焼成して作られることは知られており、前記軟磁性粉末として、
鉄粉末、
Al:0.1〜20を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−15%Alからなる組成を有するアルパーム粉末)、
Ni:35〜85%を含有し、必要に応じてMo:5%以下、Cu:5%以下、Cr:2%以下、Mn:0.5%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−49%Ni粉末)、
Cr:1〜20%を含有し、必要に応じてAl:5%以下、Ni:5%以下の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、
Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Si:0.1〜10%、Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、
Co:0.1〜52%、V:0.1〜3%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、
Co:0.1〜52%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co系鉄基軟磁性合金粉末、
P:0.5〜1%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P系鉄基軟磁性合金粉末(以上、%は質量%を示す)などが一般に知られている。
【0003】
これら軟磁性粉末を圧粉成形し、焼成して作製した各種軟磁性材料からなる電磁気回路部品は、鉄損が小さいことが要求されるため、電気抵抗を高くして渦電流損を低減させ、保磁力を小さくしてヒステリシス損を低減させること、さらに、近年、電磁気回路の小型化、高応答化が求められているところから、磁束密度がより高いことも重要視されていることが知られている。
かかる要求を満たすために前記軟磁性粉末の表面にシリケート膜を被覆したSi酸化膜被覆軟磁性粉末が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−282317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のシリケート膜を被覆した軟磁性粉末は、軟磁性粉末の表面にシリケート膜を化学的方法により被覆するために、軟磁性粉末の表面に対する膜の密着性が十分でなく、従来のシリケート膜を被覆した軟磁性粉末をプレス成形し焼成することにより作製した複合軟磁性材はプレス成形中にシリケート膜が剥離したり破れるなどして十分な絶縁効果が発揮できず、したがって、十分な高比抵抗が得られないという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは、プレス成形しても、プレス成形時に軟磁性粉末表面の高抵抗酸化膜が破れることが無く表面に酸化膜が強固に密着した軟磁性粉末であり、プレス成形後に高温歪取り焼成を行っても表面の絶縁性が低下することなく高抵抗で渦電流損失が低くなり、また歪取り焼鈍の焼成を行った場合により保磁力が低減できてヒステリシス損失が低くなる酸化膜被覆軟磁性粉末を作製すべく研究を行った。その結果、
(イ)表面が自然酸化膜で覆われている鉄粉末あるいは表面に酸化膜を形成した酸化膜被覆鉄粉末に一酸化ケイ素粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:600〜1200℃保持の条件で加熱すると、鉄粉末の表面にSi、FeおよびOからなるSi−Fe−O三元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆鉄粉末が得られ、このSi−Fe−O三元系酸化物の拡散層は、鉄粉末との界面ではFeの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有すること、
(ロ)Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面に酸化膜を形成した酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末に一酸化ケイ素粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:600〜1200℃保持の条件で加熱すると、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、AlおよびOからなるSi−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末が得られ、このSi−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびAlの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびAlの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有すること、
(ハ)Ni:35〜85%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末の表面に酸化膜を形成した酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末に一酸化ケイ素粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:600〜1200℃保持の条件で加熱すると、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、NiおよびOからなるSi−Fe−Ni−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末が得られ、このSi−Fe−Ni−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびNiの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびNiの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有すること、
(ニ)Cr:1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末の表面に酸化膜を形成した酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末に一酸化ケイ素粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:600〜1200℃保持の条件で加熱すると、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、CrおよびOからなるSi−Fe−Cr−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末が得られ、このSi−Fe−Cr−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびCrの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびCrの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有すること、
(ホ)Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末の表面に酸化膜を形成した酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末に一酸化ケイ素粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:600〜1200℃保持の条件で加熱すると、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、FeおよびOからなるSi−Fe−O三元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末が得られ、このSi−Fe−O三元系酸化物の拡散層は、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有すること、
(ヘ)Si:0.1〜10%、Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面に酸化膜を形成した酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末に一酸化ケイ素粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:600〜1200℃保持の条件で加熱すると、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、AlおよびOからなるSi−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末が得られ、このSi−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびAlの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびAlの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有すること、
(ト)Co:0.1〜52%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co系鉄基軟磁性合金粉末の表面に酸化膜を形成した酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末に一酸化ケイ素粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:600〜1200℃保持の条件で加熱すると、Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、CoおよびOからなるSi−Fe−Co−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末が得られ、このSi−Fe−Co−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびCoの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびCoの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有すること、
(チ)Co:0.1〜52%、V:0.1〜3%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末の表面に酸化膜を形成した酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末に一酸化ケイ素粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:600〜1200℃保持の条件で加熱すると、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、Co、VおよびOからなるSi−Fe−Co−V−O五元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末が得られ、このSi−Fe−Co−V−O五元系酸化物の拡散層は、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFe、CoおよびVの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFe、CoおよびVの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有すること、
(リ)P:0.5〜1%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P系鉄基軟磁性合金粉末の表面に酸化膜を形成した酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末に一酸化ケイ素粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:600〜1200℃保持の条件で加熱すると、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、PおよびOからなるSi−Fe−P−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末が得られ、このSi−Fe−P−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびPの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびPの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有すること、などの知見が得られたのである。
【0006】
この発明は、かかる知見に基づいて成されたものであって、
(1)鉄粉末の表面にSi、FeおよびOからなるSi−Fe−O三元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(2)前記Si−Fe−O三元系酸化物の拡散層は、鉄粉末との界面ではFeの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有する前記(1)記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(3)Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、AlおよびOからなるSi−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(4)前記Si−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびAlの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびAlの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有する前記(3)記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(5)Ni:35〜85%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、NiおよびOからなるSi−Fe−Ni−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(6)前記Si−Fe−Ni−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびNiの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびNiの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有する前記(5)記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(7)Cr:1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、CrおよびOからなるSi−Fe−Cr−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(8)前記Si−Fe−Cr−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびCrの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびCrの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有する前記(7)記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(9)Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、FeおよびOからなるSi−Fe−O三元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(10)前記Si−Fe−O三元系酸化物の拡散層は、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有する前記(9)記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(11)Si:0.1〜10%、Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、AlおよびOからなるSi−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(12)前記Si−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびAlの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびAlの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有する前記(11)記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(13)Co:0.1〜52%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、CoおよびOからなるSi−Fe−Co−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(14)前記Si−Fe−Co−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびCoの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびCoの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有する前記(13)記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(15)Co:0.1〜52%、V:0.1〜3%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、Co、VおよびOからなるSi−Fe−Co−V−O五元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(16)前記Si−Fe−Co−V−O五元系酸化物の拡散層は、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFe、CoおよびVの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFe、CoおよびVの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有する前記(15)記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(17)P:0.5〜1%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、PおよびOからなるSi−Fe−P−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されているSi酸化膜被覆軟磁性粉末、
(18)前記Si−Fe−P−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびPの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびPの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有する前記(17)記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末、に特徴を有するものである。
【0007】
この発明の前記(1)〜(18)記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末は、先ず、背景技術で述べた一般に知られている組成を有する鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末などの軟磁性粉末を大気中に放置したり酸化雰囲気中で加熱するなどして軟磁性粉末の表面に酸化鉄膜を形成した酸化処理軟磁性粉末を作製し、この酸化処理軟磁性粉末に一酸化ケイ素粉末(SiO粉末)を添加し混合して得られた混合粉末を不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱することにより作製することができる。
前記表面に酸化鉄膜を形成した酸化処理軟磁性粉末にSiO粉末を添加し混合して得られた混合粉末は、具体的には、温度:600〜1100℃、圧力:1×10−12〜1×10−2MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱する。前記混合粉末の加熱雰囲気が高真空であるほどSiOx堆積酸化膜におけるxが1に近くなり、低真空であるほどxが2に近くなり、圧力:10−1MPaの不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中で加熱すると、大部分のSi酸化膜被覆軟磁性粉末におけるSiOx堆積酸化膜におけるxが2になる。そして、前記SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜は、非晶質となる。
【0008】
したがって、この発明は、
(19)前記(1)〜(18)の内のいずれかに記載のSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜は非晶質であるSi酸化膜被覆軟磁性粉末、に特徴を有するものである。
【0009】
この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末を通常の方法で圧粉成形し焼成することで簡単に高比抵抗を有する複合軟磁性材を作製することができる。この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末を用いて作製した高比抵抗を有する複合軟磁性材は、軟磁性粒子相とこの軟磁性粒子相を包囲する粒界相からなり、前記粒界相にはSiOx(x=1〜2)を含有する。
【0010】
この他に、平均粒径:0.5μm以下の酸化ケイ素,酸化アルミニウムのうち1種または2種を0.05〜1質量%含有し、残部をこの発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末からなるように配合し混合して混合粉末を作製し、この混合粉末を通常の方法で圧粉成形し、焼成することにより作製することができる。この製造方法によると、この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末を構成するSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜は酸化ケイ素や酸化アルミニウムと反応して複合酸化物が形成され、軟磁性粉末の粒界に高抵抗を有する複合酸化物が介在した高比抵抗を有する複合軟磁性材が得られるとともに酸化ケイ素や酸化アルミニウムを介して焼成されるために機械的強度の優れた複合軟磁性材を製造することができる。この場合、酸化ケイ素や酸化アルミニウムが主体となって焼成されるところから保磁力を小さく保つことができ、したがって、ヒステリシス損の少ない複合軟磁性材を製造することができる。前記焼成は、不活性ガス雰囲気または酸化性ガス雰囲気中、温度:800〜1300℃で行われることが好ましい。
【0011】
また、この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末にシリカのゾルゲル(シリケート)溶液やアルミナのゾルゲル溶液などの湿式溶液を添加し混合したのち乾燥し、この乾燥した混合物を圧縮成形後、不活性ガス雰囲気または酸化性ガス雰囲気中、温度:400〜1300℃で焼成することにより高比抵抗を有する複合軟磁性材を製造することができる。この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末を用いて作製した高比抵抗を有する複合軟磁性材は、軟磁性粒子相とこの軟磁性粒子相を包囲する粒界相からなり、前記粒界相にはSiOx(x=1〜2)を含有する。
【0012】
さらに、この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末に有機絶縁材料や無機絶縁材料、あるいは有機絶縁材料と無機絶縁材料との混合材料を混合して成形、焼成すると比抵抗および強度のさらに向上した複合軟磁性材を作製することができる。この場合、有機絶縁材料では、エポキシ樹脂やフッ素樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ユリア樹脂、イソシアネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂,等を用いることができる。また無機絶縁材料では、リン酸鉄などのリン酸塩、各種ガラス状絶縁物、珪酸ソーダを主成分とする水ガラス、絶縁性酸化物、等を用いることができる。
【0013】
また、この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末に、酸化硼素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンの内の1種または2種以上をB、V、Bi、Sb、MoO換算で0.05〜1質量%を配合し混合したのち圧粉成形し、得られた圧粉成形体を温度:500〜1000℃で焼成することにより複合軟磁性材を作製することができる。このようにして作製した複合軟磁性材は、酸化硼素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンの内の1種または2種以上をB、V、Bi、Sb、MoO換算で0.05〜1質量%を含有し、残部がこの発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末からなる組成を有し、SiOx(x=1〜2)からなる堆積酸化膜と、酸化硼素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンの内の1種または2種以上とが反応した皮膜が形成される。
【0014】
また、この複合軟磁性材は、酸化硼素のゾル溶液または粉末、酸化バナジウムのゾル溶液または粉末、酸化ビスマスのゾル溶液または粉末、酸化アンチモンのゾル溶液または粉末および酸化モリブデンのゾル溶液または粉末の内の1種または2種以上をB、V、Bi、Sb、MoO換算で0.05〜1質量%、残部が前記この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末からなる組成となるように配合し、混合し、乾燥して前記この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末を酸化物乾燥ゲルまたは粉末からなる混合酸化物で被覆してなる混合酸化物被覆鉄粉末を作製し、この混合酸化物被覆鉄粉末を圧粉し、成形したのち、温度:500〜1000℃で焼成することにより得ることができる。これらの発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末を用いて作製した高比抵抗を有する複合軟磁性材は、軟磁性粒子相とこの軟磁性粒子相を包囲する粒界相からなり、前記粒界相にはSiOx(x=1〜2)を含有する。
【0015】
この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末を用いて作製した複合軟磁性材は高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有し、この複合軟磁性材は,高磁束密度で高周波低鉄損の特徴を有する事からこの特徴を生かした各種電磁気回路部品の材料として使用できる。前記電磁気回路部品は、磁心、電動機コア,発電機コア、ソレノイドコア、イグニッションコア、リアクトルコア、トランスコア、チョークコイルコアまたは磁気センサコアなどがある。そして、この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末を用いた高抵抗を有する複合軟磁性材からなる電磁気回路部品を組み込んだ電気機器には、電動機、発電機、ソレノイド、インジェクタ、電磁駆動弁、インバータ、コンバータ、変圧器、継電器、磁気センサシステム等があり、電気機器の高効率高性能化や小型軽量化を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明のSi酸化膜被覆軟磁性粉末を使用して複合軟磁性材を製造すると、高比抵抗を有することから低渦電流損失を有し、さらに保磁力が低いことから低ヒステリシス損失を有する複合軟磁性材を低コストで安定して作製することができ、電気・電子産業上優れた効果をもたらすものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
いずれも水アトマイズして得られた平均粒径:70μmを有する、
アトマイズ純鉄粉末、
Al:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、
Ni:49質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、
Cr:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、
Si:3質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、
Si:3質量%、Al:3質量を含有し、残部:FeからなるアトマイズFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、
Co:30%、V:2%を含有し、残部がFeからなるアトマイズFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、
Co:30%を含有し、残部がFeからなるアトマイズFe−Co系鉄基軟磁性合金粉末、
P:0.6%を含有し、残部がFeからなるアトマイズFe−P系鉄基軟磁性合金粉末をそれぞれ用意した。
これら軟磁性粉末を大気中、温度:220℃、1時間保持することにより表面にそれぞれ酸化膜を有する酸化膜被覆鉄粉末、酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末および酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末を作製し、これら酸化膜被覆軟磁性粉末を原料粉末として用意した。さらに平均粒径:0.6μmを有するSiO粉末を用意した。
【0018】
実施例1
先に用意した原料粉末である酸化膜被覆鉄粉末にSiO粉末を、酸化膜被覆鉄粉末:SiO粉末=99.9質量%:0.1質量%となるように添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:850℃、圧力:1.7×10−6MPa、3時間保持することにより鉄粉末の表面にSi−Fe−O三元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1.9)堆積酸化膜が形成されている本発明Si酸化膜被覆鉄粉末を作製した。
この本発明Si酸化膜被覆鉄粉末における鉄粉末の表面に形成されている前記Si−Fe−O三元系酸化物の拡散層は、鉄粉末との界面ではFeの濃度が高くかつSiの濃度が低く、前記SiOx(x=1.9)堆積酸化膜との界面ではFeの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することをオージェ電子分光法の深さ方向分析により確認した。図1はオージェ電子分光法の深さ方向分析の結果を示すグラフである。図1において、横軸はエッチングするためのスパッタ時間、縦軸はピーク強度を示す。図1において、横軸のスパッタ時間:45〜55分の間が拡散層を示す。図1から拡散層は鉄粉末との界面ではFeの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1.9)堆積酸化膜との界面ではFeの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することが分かる。
この本発明Si含有酸化物被覆鉄粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0019】
従来例1
先に用意したアトマイズ純鉄粉末の表面にシリケート層を化学的に形成した従来Si酸化膜被覆鉄粉末を作製し、この従来Si酸化膜被覆鉄粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表1に示した。
【0020】
【表1】

【0021】
表1に示される結果から、実施例1で作製した本発明Si酸化膜被覆鉄粉末を用いた複合軟磁性材は、従来例1で作製した従来Si酸化膜被覆鉄粉末を用いた複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明Si酸化膜被覆鉄粉末を用いた複合軟磁性材は従来例1で作製した従来Si酸化膜被覆鉄粉末を用いた複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有することが分かる。
【0022】
実施例2
先に用意した原料粉末である酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末にSiO粉末を、酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末:SiO粉末=99.9質量%:0.1質量%となるように添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:850℃、圧力:6.0×10−7MPa、3時間保持することによりFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1.8)堆積酸化膜が形成されている本発明Si酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。この本発明Si酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末における前記Si−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層はFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびAlの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1.8)堆積酸化膜との界面ではFeおよびAlの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することをオージェ電子分光法の深さ方向分析により確認した。
この本発明Si酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表2に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表2に示した。
【0023】
従来例2
先に用意したアトマイズFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にシリケート層を化学的に形成したSi酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を作製し、この従来Si酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表2に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表2に示した。
【0024】
【表2】

【0025】
表2に示される結果から、実施例2で作製した本発明Si酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は、従来例2で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明Si酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は従来例2で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有することが分かる。
【0026】
実施例3
先に用意した原料粉末である酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末にSiO粉末を、酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末:SiO粉末=99.9質量%:0.1質量%となるように添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:850℃、圧力:2.1×10−6MPa、3時間保持することによりFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi−Fe−Ni−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1.8)堆積酸化膜が形成されている本発明Si酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。この本発明Si酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末における前記Si−Fe−Ni−O四元系酸化物の拡散層はFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびNiの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1.8)堆積酸化膜との界面ではFeおよびNiの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することをオージェ電子分光法の深さ方向分析により確認した。
この本発明Si酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表3に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表3に示した。
【0027】
従来例3
先に用意したアトマイズFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末の表面にシリケート層を化学的に形成したSi酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を作製し、この従来Si酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表3に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表3に示した。
【0028】
【表3】

【0029】
表3に示される結果から、実施例3で作製した本発明Si酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は、従来例3で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明Si酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は従来例3で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有することが分かる。
【0030】
実施例4
先に用意した原料粉末である酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末にSiO粉末を、酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末:SiO粉末=99.9質量%:0.1質量%となるように添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:850℃、圧力:1.1×10−6MPa、3時間保持することによりFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi−Fe−Cr−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1.9)堆積酸化膜が形成されている本発明Si酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。この本発明Si酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末における前記Si−Fe−Cr−O四元系酸化物の拡散層はFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびCrの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1.9)堆積酸化膜との界面ではFeおよびCrの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することをオージェ電子分光法の深さ方向分析により確認した。
この本発明Si酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表4に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0031】
従来例4
先に用意したアトマイズFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末の表面にシリケート層を化学的に形成したSi酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を作製し、この従来Si酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表4に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0032】
【表4】

【0033】
表4に示される結果から、実施例4で作製した本発明Si酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は、従来例4で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明Si酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は従来例4で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有することが分かる。
【0034】
実施例5
先に用意した原料粉末である酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末にSiO粉末を、酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末:SiO粉末=99.9質量%:0.1質量%となるように添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:850℃、圧力:7.0×10−7MPa、3時間保持することによりFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi−Fe−O三元系酸化物膜が中間膜として形成されており、このSi−Fe−O三元系酸化物膜の上にSiOx(x=1.8)堆積酸化膜が形成されている本発明Si酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。この本発明Si酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末における前記Si−Fe−O三元系酸化物の拡散層はFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1.8)堆積酸化膜との界面ではFeの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することをオージェ電子分光法の深さ方向分析により確認した。
この本発明Si酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末にシリコーン化合物のバインダ処理を施してから粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表5に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損、磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損、磁束密度0.5T、周波数1kHzの時の鉄損および磁束密度0.5T、周波数10kHzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表5に示した。
【0035】
従来例5
先に用意したアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末の表面にシリケート層を化学的に形成したSi酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を作製し、この従来Si酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末にシリコーン化合物のバインダ処理を施してから粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表5に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損、磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損、磁束密度0.5T、周波数1kHzの時の鉄損および磁束密度0.5T、周波数10kHzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表5に示した。
【0036】
【表5】

【0037】
表5に示される結果から、実施例5で作製した本発明Si酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は、従来例5で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明Si酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は従来例5で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有し、リアクトルやチョークコイルに適した材料であることが分かる。
【0038】
実施例6
先に用意した原料粉末である酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末にSiO粉末を、酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末:SiO粉末=99.9質量%:0.1質量%となるように添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:850℃、圧力:1.4×10−6MPa、3時間保持することによりFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1.8)堆積酸化膜が形成されている本発明Si酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。この本発明Si酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末における前記Si−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層はFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびAlの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1.8)堆積酸化膜との界面ではFeおよびAlの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することをオージェ電子分光法の深さ方向分析により確認した。
この本発明Si酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表6に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表6に示した。
【0039】
従来例6
先に用意したアトマイズFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にシリケート層を化学的に形成したSi酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を作製し、この従来Si酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表6に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表6に示した。
【0040】
【表6】

【0041】
表6に示される結果から、実施例6で作製した本発明Si酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は、従来例6で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明Si酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は従来例6で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有することが分かる。
【0042】
実施例7
先に用意した原料粉末である酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末にSiO粉末を、酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末:SiO粉末=99.9質量%:0.1質量%となるように添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:850℃、圧力:1.0×10−6MPa、3時間保持することによりFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi−Fe−Co−V−O五元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1.9)堆積酸化膜が形成されている本発明Si酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。この本発明Si酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末における前記Si−Fe−Co−V−O五元系酸化物の拡散層はFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびAlの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1.9)堆積酸化膜との界面ではFe、CoおよびVの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することをオージェ電子分光法の深さ方向分析により確認した。
この本発明Si酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表7に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表7に示した。
【0043】
従来例7
先に用意したアトマイズFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末の表面にシリケート層を化学的に形成したSi酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を作製し、この従来Si酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表7に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表7に示した。
【0044】
【表7】

【0045】
表7に示される結果から、実施例7で作製した本発明Si酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は、従来例7で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明Si酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は従来例7で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有することが分かる。
【0046】
実施例8
先に用意した原料粉末である酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末にSiO粉末を、酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末:SiO粉末=99.9質量%:0.1質量%となるように添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:850℃、圧力:9.1×10−7MPa、3時間保持することによりFe−Co系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi−Fe−Co−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=2)堆積酸化膜が形成されている本発明Si酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。この本発明Si酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末における前記Si−Fe−Co−O四元系酸化物の拡散層はFe−Co系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびCoの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびCoの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することをオージェ電子分光法の深さ方向分析により確認した。
この本発明Si酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表8に示した。
【0047】
従来例8
先に用意したアトマイズFe−Co系鉄基軟磁性合金粉末の表面にシリケート層を化学的に形成したSi酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末を作製し、この従来Si酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表8に示した。
【0048】
【表8】

【0049】
表8に示される結果から、実施例8で作製した本発明Si酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は、従来例8で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明Si酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は従来例8で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有することが分かる。
【0050】
実施例9
先に用意した原料粉末である酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末にSiO粉末を、酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末:SiO粉末=99.9質量%:0.1質量%となるように添加し混合して混合粉末を作製し、得られた混合粉末を温度:850℃、圧力:6.0×10−7MPa、3時間保持することによりFe−P系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi−Fe−P−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1.8)堆積酸化膜が形成されている本発明Si酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。この本発明Si酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末における前記Si−Fe−P−O四元系酸化物の拡散層はFe−P系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびPの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1.8)堆積酸化膜との界面ではFeおよびPの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することをオージェ電子分光法の深さ方向分析により確認した。
この本発明Si酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、この板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表9に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表9に示した。
【0051】
従来例9
先に用意したアトマイズFe−P系鉄基軟磁性合金粉末の表面にシリケート層を化学的に形成したSi酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末を作製し、この従来Si酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:600℃、30分保持の条件で焼成を行い、板状およびリング状焼成体からなる複合軟磁性材を作製し、板状焼成体からなる複合軟磁性材の比抵抗を測定してその結果を表9に示し、さらにリング状焼成体からなる複合軟磁性材に巻き線を施し、磁束密度、保磁力、並びに磁束密度1.5T、周波数50Hzの時の鉄損および磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損などの磁気特性を測定し、それらの結果を表9に示した。
【0052】
【表9】

【0053】
表9に示される結果から、実施例8で作製した本発明Si酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は、従来例9で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材と比べて、密度については大差は無いが、本発明Si酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材は従来例9で作製した従来Si酸化膜被覆Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末を用いた複合軟磁性材に比べて、磁束密度が高く、保磁力が小さく、さらに比抵抗が格段に高く、そのため鉄損が格段に小さく、特に周波数が大きくなるほど鉄損が小さくなるなどの特性を有することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】深さ方向のFe,SiおよびOの濃度分布をオージェ電子分光装置を用いて測定した結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄粉末の表面にSi、FeおよびOからなるSi−Fe−O三元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されていることを特徴とするSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項2】
前記Si−Fe−O三元系酸化物の拡散層は、鉄粉末との界面ではFeの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することを特徴とする請求項1記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項3】
Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、AlおよびOからなるSi−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されていることを特徴とするSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項4】
前記Si−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびAlの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびAlの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することを特徴とする請求項3記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項5】
Ni:35〜85%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、NiおよびOからなるSi−Fe−Ni−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されていることを特徴とするSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項6】
前記Si−Fe−Ni−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびNiの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびNiの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することを特徴とする請求項5記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項7】
Cr:1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、CrおよびOからなるSi−Fe−Cr−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されていることを特徴とするSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項8】
前記Si−Fe−Cr−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびCrの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびCrの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することを特徴とする請求項7記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項9】
Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、FeおよびOからなるSi−Fe−O三元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されていることを特徴とするSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項10】
前記Si−Fe−O三元系酸化物の拡散層は、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することを特徴とする請求項9記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項11】
Si:0.1〜10%、Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、AlおよびOからなるSi−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されていることを特徴とするSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項12】
前記Si−Fe−Al−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびAlの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびAlの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することを特徴とする請求項11記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項13】
Co:0.1〜52%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、CoおよびOからなるSi−Fe−Co−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されていることを特徴とするSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項14】
前記Si−Fe−Co−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびCoの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびCoの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することを特徴とする請求項13記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項15】
Co:0.1〜52%、V:0.1〜3%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、Co、VおよびOからなるSi−Fe−Co−V−O五元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されていることを特徴とするSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項16】
前記Si−Fe−Co−V−O五元系酸化物の拡散層は、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFe、CoおよびVの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFe、CoおよびVの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することを特徴とする請求項15記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項17】
P:0.5〜1%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P系鉄基軟磁性合金粉末の表面にSi、Fe、PおよびOからなるSi−Fe−P−O四元系酸化物の拡散層を介してSiOx(x=1〜2)堆積酸化膜が形成されていることを特徴とするSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項18】
前記Si−Fe−P−O四元系酸化物の拡散層は、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末との界面ではFeおよびPの濃度が高くかつSiの濃度が低く、SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜との界面ではFeおよびPの濃度が低くかつSiの濃度が高くなっている濃度勾配を有することを特徴とする請求項17記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項19】
前記SiOx(x=1〜2)堆積酸化膜は非晶質であることを特徴とする請求項1〜18の内のいずれかの請求項に記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末。
【請求項20】
請求項1〜19の内のいずれかの請求項に記載のSi酸化膜被覆軟磁性粉末を用いて作製した複合軟磁性材。
【請求項21】
請求項20記載の複合軟磁性材からなる電磁気回路部品。
【請求項22】
前記電磁気回路部品は、磁心、電動機コア,発電機コア,ソレノイドコア,イグニッションコア,リアクトルコア,トランスコア,チョークコイルコアまたは磁気センサコアであることを特徴とする請求項21記載の電磁気回路部品。
【請求項23】
請求項21または22記載の電磁気回路部品を組み込んだ電気機器。

【図1】
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【公開番号】特開2007−123703(P2007−123703A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316431(P2005−316431)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(306000315)三菱マテリアルPMG株式会社 (130)
【Fターム(参考)】