説明

TCP試験装置

【課題】プローブピンとパッドとの位置合わせを正確に行うことができるTCP試験装置を提供する。
【解決手段】プッシャ機構3とプローブ機構4との間の間の空間にカメラ51を設ける。これにより、プローブピンの接触端およびパッドの端部を撮像することが可能となるので、これらの撮像データに基づいてプローブピンとパッドとの位置ずれ量を測定し、この位置ずれ量に基づいてTCPを移動させることにより、プローブピンとパッドとの位置合わせを正確に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ状の部材に電子回路部品や配線パターンを搭載したTCP(Tape Carrier Package)を試験するTCP試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルム等のフィルムキャリアテープ(以下、「テープ」と言う。)に、ICやLSIチップ等の電子回路部品や配線パターンを複数搭載したデバイス(以下、総称して「TCP」と言う。)が広く知られている。このTCPの性能を検査する装置は、一方の面(正面)にプローブピンが立設された板状の部材からなるプローブカードと、このプローブピンと対向する位置にTCPが複数形成されたテープを搬送するTCPハンドラと、プローブカードに対向配置されたテープを保持してプローブカードに向かって移動させるプッシャとを備えている。このようなTCP試験装置では、プッシャを移動させて、プローブカードのプローブピンにTCPの端子(パッド)を接触させることにより、当該TCPの試験を行っている。
【0003】
このように、TCPの試験では、プローブピンとTCPのパッドとを直接接触させるので、試験を行う前やテープを交換したときなどには、プローブピンとパッドとの位置合わせを正確に行う必要がある。
このため、従来では、カメラによりプローブピンとパッドとを撮像し、この取り込み画像に基づいてプローブピンとパッドとの位置合わせを行うようにしていた(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2004/068154
【特許文献2】特開2002−181889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来では、プローブピンの他方の面(背面)側にカメラを設けていたので、プローブピンの接触端がカメラの視野に含まれなかったり、その接触端とパッドとが重なり合ったりするために、接触端やパッドを撮像できないことがあり、結果として、プローブピンとパッドとの位置合わせを正確に行うことが困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、プローブピンとパッドとの位置合わせを正確に行うことができるTCP試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述したような課題を解決するために、本発明に係るTCP試験装置は、第1の方向に突出したプローブピンと、このプローブピンの接触端と第1の方向に対向配置され、その接触端が接触するパッドを備えたTCPを保持するプッシャと、プローブピンとTCPとの間の空間を移動可能に支持され、この空間内において当該プローブピンとそのTCPを撮像するカメラと、このカメラにより撮像されたプローブピンとTCPの画像に基づいて、そのプローブピンの接触端とそのTCPのパッドとの位置ずれ量を測定する測定部と、位置ずれ量に基づいて第1の方向に直交する第2の方向にプッシャを移動させ、プッシャを第1の方向に沿って接触端に向かって移動させることにより、そのプッシャに保持されたTCPのパッドをその接触端に接触させてそのTCPの試験を行う試験部とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
上記TCP試験装置において、カメラは、プローブピンの方向を向いた第1の視野およびTCPの方を向いた第2の視野を有し、第1の視野と第2の視野とは、互いの法線が第1の方向に沿った同一直線上に位置するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プローブピンとTCPとの間の空間にカメラを設けることにより、プローブピンの接触端およびパッドの端部を撮像することが可能となるので、これらの撮像データに基づいてプローブピンとパッドとの位置ずれ量を測定し、この位置ずれ量に基づいてTCPを移動させることにより、プローブピンとパッドとの位置合わせを正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るTCP試験装置の構成を示す正面図である。
【図2】図2は、TCP試験装置の一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】図3は、TCP試験装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係るTCP試験装置による試験動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、プローブカードとテープとの位置関係を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
<TCP試験装置の構成>
図1,図2に示すように、本実施の形態に係るTCP試験装置1は、TCPが搭載されたテープTを所定の経路に沿って搬送するTCPハンドラ2と、その所定の経路に沿った位置に設けられ、搬送されてきたテープを保持した上で所定の方向に押し出すプッシャ機構3と、このプッシャ機構3とZ方向に対向配置され、プッシャ機構3に向かって突出したプローブピンを備えたプローブ機構4と、2つの視野を有するカメラ51をプッシャ機構3とプローブピン4との間を移動可能に支持したカメラ機構5と、測定部カメラ6と、これらのTCP試験装置1の構成要素の動作を制御する制御装置7とから構成される。なお、便宜上、鉛直方向を「X方向」、プッシャ機構3とプローブ機構4とを結ぶ方向を「Z方向」、X方向およびZ方向に直交する方向(図1の紙面に対して垂直な方向)を「Y方向」とする。
【0013】
TCPハンドラ2は、試験前のテープTが巻き取られている巻出リール21と、この巻出リール21から巻き出されて試験が行われたテープTを巻き取る巻取リール22とを備えている。この巻出リール21と巻取リール22との間には、巻出リール21から巻き出されたテープTをプッシャ機構3に向けて送り出す第1送出部23と、この第1の送出部23から送られてきたテープTをプッシャ機構3に向けて所定のテンションをかけた状態で鉛直下方(X方向)に送り出す第1スプロケット24および第1スプロケットガイド25と、プッシャ機構3を通過したテープTを巻取リール22に向けて導出する第2スプロケット26および第2スプロケットガイド27と、これらから導出されたテープTを巻取リール22に向けて送り出す第2送出部28とが設けられている。
【0014】
プッシャ機構3は、移動機構として機能する。このプッシャ機構3は、X方向、Y方向、Z方向およびZ軸周り(θ方向)に移動可能に支持されたプッシャステージ31と、このプッシャステージ31に取り付けられるとともに後述するプローブカード42と対向配置され、テープTが表面に摺接するプッシャプレート32と、このプッシャプレート32のX方向に沿った両端部に設けられ、テープTを保持することにより試験を行うテープT上のTCPをプッシャプレート32上に配置するテープクランパ33とを備えている。
【0015】
プローブ機構4は、プッシャ機構3からZ方向に所定間隔離間して配置され、中央部に開口が設けられたベース41と、このベース41の開口に設けられ、プッシャプレート32と対向配置されたプローブカード42とを備えている。このプローブカード42には、プッシャ機構3側に突出したプローブピンが設けられている。このプローブピンは、制御装置7と電気的に接続されている。
【0016】
カメラ機構5は、2つの視野を有するカメラ51と、このカメラ51を少なくともプッシャ機構3とプローブ機構4との間の空間内においてX方向、Y方向およびZ方向に移動可能に支持する移動部52とを備えている。
【0017】
ここで、カメラ51は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を2つ備えることにより、それぞれの固体撮像素子から画像を取り込むことにより2つの異なる視野を撮像可能なデジタルカメラから構成される。本実施の形態において、カメラ51の2つの視野は、Z方向の正負両側に設定されている。すなわち、一方の視野はプッシャ機構3、他方の視野はプローブ機構4を含むように設定されている。これにより、カメラ51は、プッシャ機構3およびプローブ機構4の両方を撮像することが可能となる。また、その2つの視野は、互いの法線がZ軸方向に沿った同一直線上に位置するように設定されている。これにより、2つの視野は、同じ高さ(X方向)の逆向きに正対する位置を映し出すこととなる。
【0018】
なお、カメラ51としては、2つの固体撮像素子を備えたデジタルカメラに限定されず、2つの視野を有するものであれば各種デジタルカメラを適用することができる。例えば、1つの固体撮像素子、この固体撮像素子の光軸上に設けられたプリズム、視野を切り換えるシャッタなどから構成される2つの視野を有するデジタルカメラを適用するようにしてもよい。
【0019】
測定部カメラ6は、CCDやCMOS等の固体撮像素子を備える公知のデジタルカメラから構成される。このような測定部カメラ6は、Z方向において、プローブ機構4のプッシャ機構3と対向する側と反対側に配設され、撮像方向がZ軸方向に沿い、かつ、プローブカード42の略中央部およびプッシャプレート32上に保持されたTCPと同一直線上に位置するように設定されている。これにより、測定部カメラ6は、プローブカード42の中央部に形成された後述する開口部425を介してTCPを撮像することができる。
【0020】
制御装置7は、ユーザの操作入力を検出する入力部71と、プッシャ機構3、カメラ機構5および測定部カメラ6の駆動を制御する駆動部72と、TCP試験装置1の動作等に関連する各種情報を記憶する記憶部73と、カメラ51および測定部カメラ6の撮像データに対して画像処理を行う画像処理部74と、図示しないテスタを用いてTCPの試験を行う試験部75と、TCP試験装置1全体の動作を制御する主制御部76とを備えている。ここで、テスタとは、プローブ機構4と取り付けられるものであり、プローブピンと電気的に接続され、TCPの電気特性を測定するものである。このような測定結果は、制御装置7に送出される。
【0021】
このような制御装置7は、CPU等の演算装置と、メモリ、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置と、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、タッチパネル等の外部から情報の入力を検出する入力装置と、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信回線を介して各種情報の送受信を行うI/F装置と、LCD(Liquid Crystal Display)またはFED(Field Emission Display)等の表示装置を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。すなわちハードウェア装置とソフトウェアとが協働することによって、上記のハードウェア資源がプログラムによって制御され、上述した入力部71、駆動部72、記憶部73および主制御部76が実現される。なお、上記プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ICメモリなどの記録媒体に記録された状態で提供されるようにしてもよい。
【0022】
<TCP試験装置による試験動作>
次に、TCP試験装置1によるTCPの試験動作について図4を参照して説明する。なお、以下においては、新たなTCPを試験する場合を例に説明するが、後述するように、プローブカード42や巻出リール21を交換した場合についても同等の手順により試験することができる。
【0023】
まず、入力部71により、テープTに搭載されたTCPの位置情報(以下、「TCP位置情報」という。)と、このTCPを検査するプローブカード42の位置情報(以下、「プローブ位置情報」という。)とがユーザから入力されると、これらの情報を記憶部73に記憶させる(ステップS1)。ここで、TCP位置情報としては、TCP上におけるアライメントマークの位置(XY平面上の座標)、TCPに設けられたパッドの位置(XY平面上の座標)などが含まれる。また、プローブ位置情報としては、プローブカード42上におけるプローブピンの位置(XY平面上の座標)、位置合わせを行うプローブピンの針先位置(XY平面上の座標)(以下、「アライメント位置」という。)、プローブピンの針先高さ(Z方向の座標)などが含まれる。なお、以下においては、図5に示すように、複数のプローブピンのうち四隅に設けられたプローブピンを第1〜第4アライメント位置421〜424とした場合について説明する。
【0024】
また、駆動部72によりテープクランパ33でテープTを保持させた状態で、プッシャステージ31を移動させてプッシャプレート32をプローブカード42と所定距離離間させた状態で対向配置させる。また、駆動部72は、カメラ51をプッシャプレート32とプローブカード42との間に移動させる(ステップS2)。
【0025】
TCP位置情報およびプローブ情報が入力されると、カメラ51により、第1〜第4アライメント位置421〜424に位置するプローブピンの針先高さを測定する(ステップS3)。このプローブピンの針先高さとは、Z方向におけるプローブカード42表面の距離を意味する。その測定としては、まず、プローブ機構4側を向いた固体撮像素子からの信号のみを取り込むことによってカメラ51の視野をプローブ機構4側のみとした上で、駆動部72により、カメラ51を第1アライメント位置421と対向する位置に移動させる。続いて、カメラ51の焦点をその第1アライメント位置421に位置するプローブピンの針先に合わせることにより、そのプローブピンの針先高さを測定する。同様の方法により、第2〜第4アライメント位置421〜424におけるプローブピンの針先高さを測定する。この測定した針先高さは、ステップ2で記憶部73に記憶された針先高さと比較され、異なる場合にはその検出した針先高さが記憶部73に記憶される。
【0026】
針先高さを測定すると、カメラ51により、第1〜第4アライメント位置421〜424に位置するプローブピンの針先位置を測定する(ステップS4)。この針先位置とは、プローブカード42のプッシャ機構3側の平面上における座標(XY平面上の座標)である。その測定としては、まず、画像処理部74は、カメラ51の視野をプローブ機構4側のみとした上で、駆動部72によりカメラ51を第1アライメント位置421と対向する位置に移動させ、この第1アライメント位置421に位置するプローブピンの針先高さを確認したのち、撮像データに基づいてその針先高さに対応するプローブピンの針先位置を測定する。同様の方法により、画像処理部74は、第2〜第4アライメント位置421〜424におけるプローブピンの針先位置を測定する。この測定した針先高さは、ステップ2で記憶部73に記憶された針先位置(アライメント位置)と比較され、異なる場合にはその測定した針先位置が記憶部73に記憶される。
【0027】
針先高さを測定すると、画像処理部74により、ステップS4で検出した第1〜第4アライメント位置421〜424に対応するTCPのパッドの位置のずれ量を測定する(ステップS5)。具体的には、まず、画像処理部74は、プッシャ機構3側を向いた固体撮像素子からの信号のみを取り込むことによってカメラ51の視野をプッシャ機構3側、すなわちTCP側とする。続いて、画像処理部74により、その視野に含まれるTCPのアライメントマークに基づいてTCP上のパッドのおおよそ位置を確認し、駆動部72により、カメラ51を第1アライメント位置421に対向する位置に移動させる。カメラ51を移動させると、画像処理部74は、プローブ機構4側を向いた固体撮像素子からの信号のみを取り込むことによってカメラ51の視野をプローブカード42側に切り替え、第1アライメント位置421に位置するプローブピンの針先位置を検出し、記憶部73に記憶させる。すると、再度、画像処理部74は、カメラ51の視野をTCP側に切り替え、第1アライメント位置421とZ方向に対向するTCPのパッドをエッジ抽出等の画像処理を行うことによりパッドの位置(XY平面上の座標)を検出し、記憶部73に記憶させる。パッドの位置を検出すると、このパッドの位置と、この前に検出した針先位置とを比較することにより、パッド位置と針先位置とのずれ量を測定する。このずれ量とは、XY平面上におけるパッドと針先位置との距離、より具体的には、プローブピンをコンタクトさせるパッド上の位置(以下、「コンタクト位置」という。)と針先位置との距離であり、そのコンタクト位置はパッドのエッジを基準に任意に設定されている。同様の方法により、画像処理部74は、第2〜第4アライメント位置421〜424におけるプローブピンの針先位置とパッド位置のずれ量を測定する。この測定したずれ量は、記憶部73に記憶される。このように、パッド位置のずれ量の測定は、カメラ51を移動させず視野の切替だけで行われるので、測定結果にカメラ51の移動誤差が含まれるのを防ぐことができる。
【0028】
ずれ量を測定すると、主制御部76は、プローブピンの針合わせを行う(ステップS6)。具体的には、駆動部72により、カメラ51をプッシャ機構3とプローブ機構4とに挟まれた位置から退避させてこれらとZ軸方向に干渉しない位置に移動させた後、プッシャプレート32をパッドにコンタクトする直前位置まで移動させ、任意の設定値単位でプローブカード42側に移動させてパッドがプローブピンに接触したか否かを確認する。この接触したか否かは、プローブ機構4に接続されたテスタ(図示せず)からの信号に基づいて確認される。また、プローブカード42のX、Y方向における位置は、上述したように測定されたずれ量に基づいて設定される。すなわち、第1〜第4アライメント位置421〜424におけるプローブピンが、対向配置されたパッドのコンタクト位置に接触するように位置合わせされる。このような状態からプッシャプレート32を任意の設定値単位でZ方向に移動させ、このプッシャプレート32に保持されたTCPのパッドに、プローブカード42に含まれるプローブピンのうちそのパッドに接触した割合が任意設定率に達したプッシャプレート32の位置を、コンタクト高さとして設定する。この設定されたコンタクト高さは、記憶部73に記憶される。
【0029】
コンタクト高さを設定すると、画像処理部74は、コンタクト最適位置を確認する(ステップS7)。このコンタクト最適位置とは、例えば、パッドの各辺から等間隔の位置で、各プローブピンがパッドのエッジから余裕を持って接触する位置を意味する。画像処理部74は、例えば、プッシャプレート32をコンタクト高さに移動させた状態において、プッシャプレート32をX、Y方向に任意の設定値単位で移動させ、プローブピンがパッドから非接触となる位置を確認することにより、コンタクト最適位置を取得する。コンタクト最適位置を取得すると、プッシャ駆動部4は、そのコンタクト最適位置にプッシャプレート32を移動させる。
【0030】
コンタクト最適位置にプッシャプレート32を移動させると、画像処理部74は、測定部カメラ6によりそのプッシャプレート32上のTCPのアライメントマークを撮像させ、このアライメントマークの位置を確認する(ステップS8)。図5に示すように、プローブカード42の略中央部には、開口部425が形成されている。測定部カメラ6は、その開口部425から露出するTCPを撮像する。アライメントマークの位置は、記憶部73に記憶される。これにより、記憶部73に記憶されたアライメントマークの位置を基準に、コンタクト最適位置を導出することができる。
【0031】
コンタクト最適位置におけるアライメントマークが記憶されると、試験部75は、巻出リール21に巻き取られているテープTに搭載されたTCPの試験を行う(ステップS9)。具体的には、巻出リール21に巻き取られているテープをプッシャプレート32に順次送り出させ、テープクランパ33によりTCP毎にテープを保持させる。この保持させた状態において、測定部カメラ6によりTCPのアライメントマークを撮像させ、このアライメントマークの位置とステップS8で測定したアライメントマークの位置とのずれ量を算出し、このずれ量に基づいてプッシャプレート32をX,Y方向に移動させる。これにより、プッシャプレート32は、コンタクト最適位置に配置されることとなる。続いて、プッシャプレート32をZ方向にコンタクト高さまで移動させ、プッシャプレート32上のTCPのパッドを、プローブカード42のプローブピンに接触させる。このプローブピンは、テスタ(図示せず)を介して制御装置7と電気的に接続されている。これにより、試験部75は、プローブピンを介してTCPと電気信号をやりとりすることにより、そのTCPに異常があるか否か確認する。確認が終わると、プッシャプレート32をプローブカード42から離間させ、テープクランパ33により保持されていたテープTを開放させ、プッシャプレート32上に配置されていたTCPを搭載したテープTを巻取リール22側に送り出させる。このような一連の試験動作が、巻出リール21に巻き取られているテープTが無くなるまで行われる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態によれば、プッシャ機構3とプローブ機構4との間の空間にカメラ51を設けることにより、プローブピンの接触端およびパッドの端部を撮像することが可能となるので、これらの撮像データに基づいてプローブピンとパッドとの位置ずれ量を測定し、この位置ずれ量に基づいてTCPを移動させることにより、プローブピンとパッドとの位置合わせを正確に行うことができる。
【0033】
なお、図3においては、新たなTCPを試験する場合について説明したが、プローブカード42や巻出リール21を交換した場合についても、上述したのと同等の方法により試験できることは言うまでもない。具体的には、プローブカード42を交換した場合には、既に記憶させたTCP位置情報やプローブ位置情報を記憶部73から読み込んだ上で、ステップS3〜S9の処理を行うようにすればよい。また、巻き出しリール21を交換した場合には、プローブピンの針先高さや針先位置を記憶部73から読み込んだ上で、ステップS5〜S9の処理を行うようにすればよい。
【0034】
また、本実施の形態では、カメラ51が2視野を備える場合を例に説明したが、そのカメラ51は、プローブピンとTCPとの間の空間に配設可能であるならば、1視野のカメラを適用できることは言うまでもない。この場合、例えば、そのカメラに、視野をX軸周りに移動可能とさせる移動機構を設けて、Z軸方向の正負両側を撮像可能とすることにより、上述した本実施の形態と同等の作用効果を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、対向配置された2つの部材を接触させることにより試験を行う各種装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…TCP試験装置、2…TCPハンドラ、3…プッシャ機構、4…プローブ機構、5…カメラ機構、6…測定部カメラ、7…制御装置、21…巻出リール、22…巻取リール、23…第1送出部、24…第1スプロケット、25…第1スプロケットガイド、26…第2スプロケット、27…第2スプロケットガイド、28…第2送出部、31…プッシャステージ、32…プッシャプレート、33…テープクランパ、41…ベース、42…プローブカード、51…カメラ、52…移動部、71…入力部、72…駆動部、73…記憶部、74…画像処理部、75…試験部、76…主制御部、421〜424…第1〜第4アライメント位置、425…開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に突出したプローブピンと、
このプローブピンの接触端と前記第1の方向に対向配置され、当該接触端が接触するパッドを備えたTCPを保持するプッシャと、
前記プローブピンと前記TCPとの間の空間を移動可能に支持され、当該空間内において当該プローブピンと当該TCPを撮像するカメラと、
このカメラにより撮像された前記プローブピンと前記TCPの画像に基づいて、当該プローブピンの接触端と当該TCPのパッドとの位置ずれ量を測定する測定部と、
前記位置ずれ量に基づいて前記第1の方向に直交する第2の方向に前記プッシャを移動させ、前記プッシャを前記第1の方向に沿って前記接触端に向かって移動させることにより、当該プッシャに保持された前記TCPの前記パッドを当該接触端に接触させて当該TCPの試験を行う試験部と
を備えたことを特徴とするTCP試験装置。
【請求項2】
前記カメラは、前記プローブピンの方向を向いた第1の視野および前記TCPの方を向いた第2の視野を有し、
前記第1の視野と前記第2の視野とは、互いの法線が前記第1の方向に沿った同一直線上に位置する
ことを特徴とする請求項1記載のTCP試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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