説明

TGFβ結合タンパク質のリガンドおよびその使用

予期しない特異的会合に関連する組成物および方法を提供し、これは、(i)複合体を形成する、TGFβ結合タンパク質スクレロスチンとBMPアンタゴニストタンパク質コーディンとの特異的会合、および(ii)複合体を形成する、TGFβ結合タンパク質スクレロスチンとBMPアンタゴニストタンパク質ノギンとの特異的会合であり、この複合体のいずれも、TGFβスーパーファミリーメンバー(例えば、BMP)に結合し得ない。本発明は、骨の鉱質化作用を調節する因子を同定するためのスクリーニングアッセイにおいて使用するための単離された複合体を提供し、他の関連する利点を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、医薬品および薬学的方法に関連し、より詳細には、骨ミネラル含有量を調節する(増加または減少させる)ための適切な方法および組成物に関連する。そのような組成物および方法は、例えば、骨減少症、骨粗鬆症、骨折および骨ミネラル密度の低さが疾患の特徴である他の障害を含む、広範囲の状態を処置するために利用され得る。
【背景技術】
【0002】
(関連分野の説明)
骨量の変化は、個人の生涯にわたって、異なる段階で生じる(例えば、Riggs,West J.Med.154:63−77,1991)。第1段階は、男性と女性の両方において生じ、最高骨量の到達へ進む。この第1段階は、軟骨内成長板の直線状の成長、および骨膜の付加の割合に起因する半径方向の成長によって達成される。第2段階は、小柱骨(扁平骨(例えば、脊椎および骨盤))については約30歳前後、ならびに皮質骨(例えば、四肢に見られる長骨)については約40歳前後で始まり、老齢期まで続く。この段階は、ゆっくりとした骨量の減少によって特徴付けられて、男性と女性の両方に生じる。女性において、第3段階の骨量の減少もまた、生じて、それは、おそらく閉経後のエストロゲンの欠損に起因する。この段階の単独の間に、女性は、皮質骨からさらに10%の骨量および小柱状の区分から25%の骨量を減少し得る(Riggs,前出参照のこと)。
【0003】
骨ミネラル含有量の減少は、広範囲の状態によって引き起こされ得、そしてその結果として、有為な医学的問題が生じ得る。例えば、骨粗鬆症は、罹患する個人における、骨格骨の骨量およびミネラル密度の著しい減少、骨の微小構造の分解を含む骨の劣化ならびに、対応する骨の脆弱性および骨折の罹病率の増加によって特徴付けられるヒトの衰弱性の疾患である。ヒトにおける骨粗鬆症は、先に臨床の骨減少症(若年成人の骨の平均値より1標準偏差を超えて少ないが、下の2.5標準偏差を超えて少なくはない骨密度)が起こり、それは米国において約2500万人に見出される状態である。米国における別の700万人〜800万人の患者は、臨床の骨粗鬆症(成熟した若年成人の骨のものより2.5標準偏差を超えて少ないより大きい骨ミネラル含有量と定義される)と診断されている。骨粗鬆症は、保険医療システムについて最も費用のかかる疾患の1つであり、米国において毎年何百億ドルもの費用がかかっている。保険医療関連費用に加えて、長期的な在宅治療および労働日数の損失が、この疾患の財政的および社会的費用を増す。世界中の約7500万人が、骨粗鬆症の危険性がある。
【0004】
人口母集団における骨粗鬆症の頻度は、年齢とともに増加し、白人の骨粗鬆症の中では、女性において顕著である(米国における骨粗鬆症患者集団の80%を構成する)。老齢において、増加した脆弱性および骨格骨の骨折の罹病率は、この母集団における偶発性の転倒のより高い危険性によって悪化する。150万人以上の骨粗鬆症関連の骨折が、毎年米国において報告されている。骨折した臀部、手首、および椎骨は、骨粗鬆症に関連した最も一般的な障害の中の1つである。特に臀部の骨折は、患者、ならびに死亡率および罹患率の高い割合と相関する女性にとって非常に不快であり、費用がかかる。
【0005】
骨粗鬆症は、減少した骨量に起因する骨折の危険性の増加と見なされているが、現在、骨格障害についての利用可能な処置のどれも、成人の骨密度を実質的に増加し得ない。成人の骨密度、特に、骨減少症および骨粗鬆症における危険性がある手首、脊柱および臀部の骨密度を増加し得る薬物が必要であるという強い認識が、多くの医者の間にある。
【0006】
骨粗鬆症の予防のための現在の計画は、いくつかの利点を個人に提供し得るが、疾患の解決を確実にし得ない。これらの計画としては、食事に十分なカルシウムを含み、アルコールまたはタバコを含む製品の消費を避け、高齢の開始時の適度な身体活動(特に体重を支える活動)が挙げられる。臨床の骨減少症または骨粗鬆症を示す患者にとって、普及している現在の治療薬および計画は、骨吸収のプロセスの阻害、すなわち、構成的に発生するプロセスを再構築する骨の天然成分を阻害することによって、さらなる骨量の欠失を減少させることに向けられる。
【0007】
例えば、エストロゲンは現在、骨量の欠失を遅らせるために処方されている。しかし、患者にいくらかの長期の利点があるかどうか、そして75歳以上の患者の全てにいくらかの効果があるかどうかについて、いくつかの論争がある。さらに、エストロゲンの使用は、乳癌および子宮内膜癌の危険性を増加させると考えられる。カルシトニン、ビタミンKと併用されるオステオカルシン、またはビタミンDを伴なうか、もしくは伴なわない高用量の食品のカルシウムもまた、閉経後の女性のために提案されている。しかし、高用量のカルシウムは、しばしば不快な胃腸の副作用を有し得、そして血清および尿のカルシウムレベルが、連続して観察されなければならない(例えば、KhoslaおよびRigss,Mayo Clin.Proc.70:978−982,1995)。
【0008】
骨粗鬆症の他の治療上のアプローチとしては、ビスホスホネート(例えば、FosamaxTM、ActonelTM、BonvivaTM、ZometaTM、オルパドロネート(olpadronate)、ネリドロネート(neridronate)、スケリド(skelid)、ボネフォス)、副甲状腺ホルモン、カルシリティックス(calcilytics)、カルシミメティックス(calcimimetics)(例えば、シナカルセット)、スタチン、タンパク同化ステロイド、ランタン塩およびストロンチウム塩、ならびにフッ化ナトリウムが挙げられる。しかし、そのような治療は、しばしば、それらの効果的な使用を妨げ得る好ましくない副作用(例えば、骨密度はゆるやかに増加するが、カルシトニンおよびステロイドは、吐き気を引き起こし得て、免疫反応を刺激し得、ビスホスホネートおよびフッ化ナトリウムは、骨折の回復を阻害し得る)に関連する(KhoslaおよびRigss,前出参照のこと)。
【0009】
過剰または不十分な骨の鉱質化作用(例えば、骨の鉱質化作用の欠失によって特徴付けられる骨粗鬆症または他の疾患)に関連する状態を処置するための制限された現在の実施される治療計画は、骨量を調節する(すなわち、統計的に有為な様式において増加または減少させる)薬物に関与する。特に、現在の計画は、新しい骨量の増加を治療的に刺激も促進もしない。本発明は、骨の鉱質化作用を増加させるために利用され得る組成物および方法を提供する。従ってこの組成物および方法は、骨量を増加することを所望される広範囲の状態を処置するために使用され得る。本発明はまた、他の関連した利点を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明の局面は、特異的会合においてTGFβ結合タンパク質およびBMPアンタゴニストタンパク質を含む、単離された複合体を提供することであって、ここで(i)TGFβ結合タンパク質は、BMP−5ポリペプチドおよびBMP−6ポリペプチドからなる群から選択される第1のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに特異的に結合し得るスクレロスチン(Sclerostin)ポリペプチドを含み、そして(ii)BMPアンタゴニストタンパク質は、コーディン(Chordin)ポリペプチドおよびノギン(Noggin)ポリペプチドからなる群から選択され、前記BMPアンタゴニストタンパク質は、BMP−2ポリペプチド、BMP−4ポリペプチドおよびBMP−7ポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1つの第2のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに特異的に結合し得、また、ここで複合体は、第1のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに結合し得ない。
【0011】
このように、本発明は、特定の実施形態において、特異的会合における第1および第2のTGFβ結合タンパク質を含む単離された複合体を提供し、ここで;(a)第1のTGFβ結合タンパク質は、第1のコグネイトリガンドである第1のTGFβスーパーファミリーメンバーに結合し得;そして(b)第2のTGFβ結合タンパク質は、第2のコグネイトリガンドである第2のTGFβスーパーファミリーメンバーに結合し得;ここで、複合体は、第1のコグネイトリガンドに結合し得ない。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、特異的会合において第1および第2のTGFβ結合タンパク質を含む、単離された複合体を提供し、ここで(a)第1のTGFβ結合タンパク質は、第1のコグネイトリガンドである第1のTGFβスーパーファミリーメンバーに結合し得、そして(b)第2のTGFβ結合タンパク質は、第2のコグネイトリガンドである第2のTGFβスーパーファミリーメンバーに結合し得;ここで、複合体は、第1および第2のコグネイトリガンドのいずれにも結合し得ない。特定のさらなる実施形態において、第1のTGFβ結合タンパク質が、スクレロスチンポリペプチドを含み、第1のコグネイトリガンドが、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6およびBMP−7から選択される少なくとも1つのポリペプチドであり、ここで、第2のTGFβ結合タンパク質が、コーディンポリペプチドを含み、第2のコグネイトリガンドが、BMP−2、BMP−4およびBMP−7から選択されるポリペプチドである。特定の他のさらなる実施形態において、第1のTGFβ結合タンパク質が、スクレロスチンポリペプチドを含み、第1のコグネイトリガンドが、BMP−5およびBMP−6から選択されるポリペプチドであり、ここで、第2のTGFβ結合タンパク質が、ノギンポリペプチドを含み、第2のコグネイトリガンドが、BMP−2、BMP−4、BMP−7、およびGDF−5から選択されるポリペプチドである。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、TGF−β結合タンパク質とBMPアンタゴニストタンパク質との間の結合を調節する薬剤を同定するための方法を提供し、その方法は、(a)候補薬剤の非存在下および存在下で、TGFβ結合タンパク質とBMPアンタゴニストタンパク質の特異的会合を可能にし、請求項1に記載の複合体を形成するために十分な条件と時間のもとで、TGFβ結合タンパク質とBMPアンタゴニストタンパク質を接触させる工程、および(b)存在する複合体のレベルを決定する工程であって、ここで、候補薬剤の非存在下での複合体のレベルと比較した候補薬剤の存在下での複合体のレベルの差違は、薬剤がTGFβ結合タンパク質とBMPアンタゴニストタンパク質との間の結合を調節することを示す工程、を包含する。
【0014】
別の実施形態において、第1のTGFβ結合タンパク質と第2のTGFβ結合タンパク質との間の結合を調節する薬剤を同定するための方法を提供し、その方法は、(a)候補薬剤の非存在下および存在下で、第1のTGFβ結合タンパク質と第2のTGFβ結合タンパク質との特異的会合を可能にして、複合体を形成するために十分な条件と時間のもとで、第1のTGFβ結合タンパク質と第2のTGFβ結合タンパク質を接触させる工程;および(b)存在する複合体のレベルを決定する工程であって、ここで、候補薬剤の非存在下での複合体のレベルと比較した候補薬剤の存在下での複合体のレベルの差違は、薬剤が第1のTGFβ結合タンパク質と第2のTGFβ結合タンパク質との間の結合を調節することを示す工程、を包含する方法。
【0015】
たった今記載された2つの方法の特定のさらなる実施形態において、候補薬剤が、タンパク質の特異的会合を減少させ複合体を形成し、そして特定の他のさらなる実施形態において、候補薬剤が、タンパク質の特異的会合を増加させて複合体を形成して、また特定の他のさらなる実施形態において、候補薬剤が、タンパク質の特異的会合を安定化させて複合体を形成する。特定の他のさらなる実施形態において、候補薬剤が、有機分子、天然物、ペプチド、オリゴ糖、核酸、脂質、抗体またはその結合断片、および細胞から選択される。特定の他のさらなる実施形態において、候補薬剤が、化合物のライブラリーから取得され、ここで、特定のなおさらなる実施形態によるライブラリーは、ランダムペプチドライブラリー、天然物ライブラリー、コンビナトリアルライブラリー、オリゴ糖ライブラリーおよびファージディスプレイライブラリーから選択される。従って、本発明の局面は、上記の方法のいずれかによって同定される薬剤を提供する。
【0016】
特定の他の実施形態において、骨密度を調節するための方法を提供し、その方法は、(i)BMP−5ポリペプチドおよびBMP−6ポリペプチドからなる群より選択される第1のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに特異的に結合し得るスクレロスチンポリペプチドと、(ii)コーディンポリペプチドおよびノギンポリペプチドからなる群より選択されるBMPアンタゴニストタンパク質であり、BMP−2ポリペプチド、BMP−4ポリペプチドおよびBMP−7ポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1つの第2のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに特異的に結合し得る前記BMPアンタゴニストタンパク質、との間の相互作用を調節する薬剤を必要とする被験体に投与する工程を包含する。特定のさらなる実施形態において、薬剤は、コーディンポリペプチドまたはノギンポリペプチドの模倣物を包含する。特定の他のさらなる実施形態において、薬剤が、骨の鉱質化作用を調節する。
【0017】
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図による参照から明らかとなる。さらに、種々の参考文献が本明細書中で示され、それは、より詳細に本発明の特定の局面を記載し、従って、それらの全体が参考として援用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、タンパク質の異なるTGFβスーパーファミリーのメンバーとの代わりに、TGFβ結合タンパク質の広範囲のファミリーのメンバーの互いとの特定の対の組み合わせの間の特異的結合相互作用(特異的会合において、第1および第2のTGFβ結合タンパク質の複合体を形成する)の驚くべき観測に由来する。
【0019】
従って、より詳細に以下に記載されるように、本発明の特定の局面に従って、特異的会合において、TGFβ結合タンパク質およびBMPアンタゴニストタンパク質を含む単離された複合体を初めて同定し、ここで、(i)TGFβ結合タンパク質は、BMP−5ポリペプチドおよびBMP−6ポリペプチドから選択される第1のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドと特異的に結合し得るスクレロスチンポリペプチドを含み、(ii)BMPアンタゴニストタンパク質は、コーディンポリペプチドおよびノギンポリペプチドから選択され、BMPアンタゴニストタンパク質は、BMP−2ポリペプチド、BMP−4ポリペプチドおよびBMP−7ポリペプチドから選択される少なくとも1つの第2のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに特異的に結合し得、また、ここで、複合体は、第1のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに結合し得ない。
【0020】
特定のタンパク質との間のそのような特異的結合相互作用の同定は、例えば、特異的会合におけるそのようなタンパク質によって、複合体の形成を調節する因子(すなわち、統計的に有意な方法において増加または減少させる)をスクリーニングするために、有用に開発され得る結合対を提供し、ここで、因子は、そのような複合体の形成によって媒介される生理学的事象を操作するために使用され得る。特に、本発明によって提供される組成物および方法は、骨の鉱質化作用(例えば、本明細書中で記載されるような、異常な骨の鉱質化作用に関連する骨粗鬆症および他の疾患)に影響を与えることに関連する治療計画において有用である。
【0021】
本発明に従う特定の目的の分子は、タンパク質またはペプチド(例えば、抗体、組み換え結合パートナー、所望の結合親和性を有するペプチド)、核酸(例えば、DNA、RNA、キメラ核酸分子、および核酸アナログ(例えば、PNA));ならびに有機化合物または無機化合物を含むことを理解されるべきである。本明細書中で参照される、特に有意な分子には、トランスホーミング増殖因子β(TGFβ)(それは、TGFβスーパーファミリーの任意の公知または新規のメンバーを含み、また、骨の形態形成タンパク質(BMP)を含む);TGFβレセプター(TGFβスーパーファミリー(骨の形態形成タンパク質(BMP)を含む)の特定のメンバーについての特異的なレセプターのことを称すると理解されるべきである);そしてTGFβ結合タンパク質(TGFβスーパーファミリー(骨の形態形成タンパク質(BMP)を含む)の特定のメンバーまたはサブセットのメンバーについての特異的結合親和性を有するタンパク質のことを称すると理解されるべきである)がある。TGFβ結合タンパク質の特定の例としては、配列番号1、5、7、9、11、13、および15によってコード化されるタンパク質が挙げられる(例えば、Balemansら、2002 Dev.Biol.250:231;Schmittら、1999 J.Orthopaed.Res.17:269;Khalil,1999 Microbes Infect.1:1255;Miyazonoら、1993 Growth Factors 8:11;von Bubnoffら、2001 Dev.Biol.239:1;Koliら、2001 Microsc.Res.Tech.52:354;Ebaraら、2002 Spine 27(16 Suppl.1):S10;Bondestam,2002,Ligands&Signaling Components of the Transforming Growth Factor β Family,Helsinki University Biomedical Dissertations No.17参照のこと)。従って、例えば、タンパク質および骨の形態形成タンパク質(BMP)のTGFβファミリーへのTGFβ結合タンパク質の結合を阻害することは、TGFβまたは骨の形態形成タンパク質(BMP)の活性化を可能にするか、またはTGFβをTGF結合タンパク質への結合から取り除くかもしくは防ぐことによって、それらのそれぞれのレセプターへの骨の形態形成タンパク質(BMP)を含むTGFβファミリーメンバーの結合を可能にする分子を称することを理解されるべきである。そのような阻害は、例えば、TGFβスーパーファミリーの特定のメンバーへのTGFβ結合タンパク質の結合を阻害する分子によって達成され得る。
【0022】
ベクターは、所望のタンパク質の発現を指向し得る集合のことをいう。ベクターは、興味のある遺伝子に、作動可能に連結する転写プロモーターエレメントを含まなければならない。ベクターは、デオキシリボ核酸(「DNA」)、リボ核酸(「RNA」)、またはその2つの組み合わせ(例えば、DNA−RNAキメラ)のいずれかから構成され得る。必要に応じて、ベクターは、ポリアデニル化配列、1つ以上の制限酵素認識部位、ならびに1つ以上の選択マーカー(例えば、ネオマイシン、ホスホトランスフェラーゼまたはハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)を含み得る。さらに、選択される宿主細胞、および使用されるベクターに依存して、他の遺伝的エレメント(例えば、複製起点、さらなる核酸制限酵素認識部位、エンハンサー、転写の誘導性を与える配列、および選択マーカー)はまた、本明細書中で記載されるベクターの中に組み込まれ得る。
【0023】
単離された核酸分子は、生物のゲノムDNAに一体化されない核酸分子である。例えば、真核細胞のゲノムDNAから分離されているTGF結合タンパク質をコードするDNA分子は、単離されたDNA分子である。単離された核酸分子の別の例は、生物のゲノムに一体化されない化学合成核酸分子である。単離された核酸分子は、ゲノムDNA、cDNA、RNAであり得るか、または核酸アナログの少なくとも一部分で構成され得る。
【0024】
単離されたポリペプチドは、混入する細胞成分(例えば、炭水化物、脂質、または天然においてポリペプチドに関連した他のタンパク性の不純物)を本質的に含まないポリペプチドである。特定の実施形態内で、Coomassie Blue染色を用いてSDS−PAGEゲル上のシングルバンドとしてわずかに現れる場合、特定のタンパク質調製物は、単離されたポリペプチドを含む。有機分子に関係する場合、「単離された」は、化合物が、当該分野に周知である方法(例えば、NMR、融点)を使用して90パーセントの純粋より大きいことを意味する。
【0025】
硬化狭窄症は、van Buchem骨化過剰症と同様の障害である、Hansen(1967)(Hansen,H.G.,Sklerosteose.In:Opitz,H.;Schmid,F.,Handbuch der Kinderheilkunde.Berlin:Springer(pub.)6 1967.Pp.351−355)によって適用された用語であるが、おそらく、多くの症例において骨の変化の放射線学的な外観および、非対称の皮膚性の人差し指および中指の合指症の存在の点で異なる。顎は、この状態において異常に四角い外見を有する。
【0026】
ヒト化抗体は、モノクローナル抗体のドナー(例えば、マウス、ウサギ)相補性決定領域がアクセプター(例えば、ヒト)可変領域の中へ、ドナー免疫グロブリンの可変重鎖および可変軽鎖から転移されている組み換えタンパク質である。本明細書中で使用される場合、抗体フラグメントは、抗体(例えば、F(ab’)、F(ab)、Fab’、Fabなど)の部分である。構造にかかわらず、抗体フラグメントは、インタクトな抗体によって認識される同じ抗原と結合する。例えば、nti−TGFβ結合タンパク質モノクローナル抗体フラグメントは、TGFβ結合タンパク質のエピトープと結合する。
【0027】
抗体フラグメントという用語はまた、複合体を形成するために特定の抗原への結合によって抗体のように作用する任意の合成または遺伝子操作されたタンパク質を含む。例えば、抗体フラグメントとしては、軽鎖可変領域および重鎖可変領域からなる単離されたフラグメント、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメント、軽可変領域および重可変領域がペプチドリンカーに結合する組み換え単鎖ポリペプチド分子(「sFvタンパク質」)、および超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位が挙げられる。
【0028】
Fvは、完全な抗原認識および結合部位を含む最小の抗体フラグメントである。この領域は、密接した、非共有結合会合(VH−VL二量体)において、1つの重鎖可変領域および1つの軽鎖可変領域の二量体からなる。この立体配置において、各々の可変領域の3つのCDRは、VH−VL二量体の表面上に抗原結合部位を規定するように相互作用する。集合的に、6つのCDRは、抗体への抗原結合特異性を与える。しかし、単一の可変領域(または抗原についての特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、抗原を認識および結合するための能力を有するが、全体の結合部位より低い親和性である。
【0029】
単鎖抗体(「SCA」)は、遺伝的に融合された単鎖分子として適切なポリペプチドリンカーによって結合される軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む遺伝的に操作された分子として定義される。そのような単鎖抗体はまた、「単鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントと称される。概して、Fvポリペプチドは、さらに、sFvを抗原結合のための所望の構造に形成し得るVH領域とVL領域の間のポリペプチドリンカーを含む。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.Springer−Verlag,N.Y.,pp.269−315(1994)を参照のこと。
【0030】
用語「二重特異性抗体(diabody)」は、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体フラグメントのことを言い、このフラグメントは、同じポリペプチド鎖(VH−VL)において、軽鎖可変領域(VL)に結合する重鎖可変領域(VH)含む。短すぎて同じ鎖上の2つの領域の間に対にすることができないリンカーを使用することによって、これらの領域は、別の鎖の相補的ドメインと対を形成し、2つの抗原結合部位を作製することを強いる。二重特異性抗体および類似の小さい抗体構成は、例えば、EP404,097;WO93/11161,Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444−6448(1993);Muyldermaus,S.,J.Biotechnol.,74:277−302(2001);Davies,Jら、Biotechnology,13:475−479(1995);Nguyen,V.K.ら、Immunology,109:93−101(2003)により完全に記載されている。
【0031】
検出可能な標識は、診断のための有用な分子を生成するために抗体部分に結合され得る分子または原子である。検出可能な標識の例としては、キレート剤、光活性薬剤、放射性同位体、蛍光性薬剤、常磁性イオン、酵素、および他のマーカー部分が挙げられる。
【0032】
本明細書中で使用される場合、免疫結合体は、抗TGFβ結合タンパク質抗体、または抗体フラグメント、および検出可能な標識を含む分子である。免疫結合体は、結合後、結合前のTGFβ結合タンパク質に結合するための能力と、およそ同じであるか、またはわずかに減少した能力を有する。
【0033】
本明細書中で使用される場合、調節するとは、統計的に有意な方法において増加または減少することを意味する。
【0034】
略語:TGFβ−「トランスホーミング増殖因子β」;TGF−bBP−「トランスホーミング増殖因子β結合タンパク質」(1つの代表的なTGF−bBPとしては、「スクレロスチン」、「Beer」または「H.Beer」が示される);BMP−「骨の形態形成タンパク質」;PCR−「ポリメラーゼ連鎖反応」;RT−PCR−逆転写酵素(RT)を使用して第1段階での初めにDNAにRNAが転写されるPCRプロセス;cDNA−DNA形態にRNA配列をコピーすることによって作製される任意のDNA。
【0035】
上記のように、本発明は、BMPアンタゴニストタンパク質との特異的会合におけるTGFβ結合タンパク質を含む単離された複合体を提供し、温血動物における骨ミネラル含有量を増加させるための複合体を含む方法および組成物に関連する。簡単に述べると、本発明は、BMPアンタゴニストタンパク質コーディンおよびノギンが、各々スクレロスチンに特異的に結合し得るという予期しない発見に基づく。このように、以下により詳細に考察されるように、この発見は、タンパク質および骨形態形成タンパク質(BMP)のTGFβファミリーへのTGFβ結合タンパク質の結合を阻害する分子を選択するために利用され得るアッセイ、ならびに温血動物(例えば、ヒトを含む)の骨ミネラル含有量を増加させるためにそのような分子を利用する方法の開発をもたらす。
【0036】
トランスホーミング増殖因子β(TGFβ)スーパーファミリーは、共通の配列エレメントおよび構造モチーフ(2次および3次のレベルの両方で)を共有する種々の増殖因子を含む。このタンパク質ファミリーは、多種の細胞タイプ上の生物学的反応の広範囲に影響を与えることは公知である。それらの多くは、パターン形成および組織特異性において胚の発生の間に重要な機能を有し;成人において、それらは、例えば、創傷治癒および骨修復および骨再形成、ならびに免疫システムの調節に関連する。3つのTGFβに加えて、スーパーファミリーとしては、骨の形態形成タンパク質(BMP)、アクチビン、インヒビン、増殖および分化因子(GDF)、ならびにグリア由来の神経栄養因子(GDNF)が挙げられる。主な分類は、一般のサブファミリーの中に特定のタンパク質を入れる一般の配列特性によって確立されている。サブファミリー内のさらなる層化は、より小さいグループのメンバーとの間の厳密な配列保存に起因し得る。特定の例(例えば、BMP−5、BMP−6およびBMP−7)において、これは、より小さいグループのメンバーとの間の75パーセントの高さのアミノ酸相同性であり得る。このレベルの同一性は、単一の代表的な配列をより大きいファミリーの他のメンバーから分離するサブグループの主要な生化学的エレメントを示すことを可能にする。
【0037】
TGFβは、タイプIおよびタイプIIレセプターのヘテロオリゴマー複合体の形成を誘導することによって信号を送る。TGFβ2の結晶構造は、決定されている。TGFβ2モノマーの一般的な折りたたみは、3つのジスルフィド架橋によって形成された安定で、コンパクトなシステイン結び目様(knotlike)構造を含む。1つのジスルフィド架橋によって安定される二量化は、逆行性である。
【0038】
TGFβファミリーメンバーは、内因性のセリン/スレオニンキナーゼ活性を有するレセプターに結合することによってそれらの細胞作用を開始する。このレセプターファミリーは、タイプIおよびタイプIIレセプターを示す、2つのサブファミリーから構成される。TGFβファミリーの各々のメンバーは、タイプIおよびタイプIIレセプターの特有の組み合わせに結合し、それらの両方は、信号伝達を必要とする。TGFβレセプター活性化についての現在のモデルにおいて、TGFβは、タイプIIレセプター(TbR−II)に最初に結合し、それは、活性化キナーゼを有するオリゴマー形態における細胞膜で生じる。その後、タイプIレセプター(TbR−I)は、TbR−IIの非存在下でリガンドに結合し得ず、複合体の中に補充される。次いで、TbR−IIは、膜付近の領域のグリシン残基およびセリン残基(GS領域)におけるリッチな領域において主にTbR−Iをリン酸化し、それによって、TbR−Iを活性化する。
【0039】
骨形態形成タンパク質(BMP)は、ヒトにおける骨ミネラル密度を決定する際の主要な調節タンパク質である。骨の形成の理解における主要な進展は、骨形態形成タンパク質(BMP)の同定であり、また、インビボでの軟骨および骨の分化を調節する骨形成タンパク質(OP)として公知である。BMP/OPは、軟骨の形成、軟骨の肥大および石灰化、血管侵入、骨芽形成の分化、ならびに骨の形成を含む事象のカスケードによって軟骨内の骨の分化を誘導する。上記のように、BMP/OP(BMP2〜14、ならびに骨形成タンパク質1および骨形成タンパク質2、OP−1およびOP−2)は、TGFβスーパーファミリーのメンバーである。膜のBMP/OPサブファミリーとの間の目覚しい進化的保存は、それらが、動物の正常な発達および機能において重要であることを示唆する。さらに、BMP/OPの多数の形態の存在は、この見かけの重複性の生物学的関連についての重要な問題を引き起こす。胎児後の軟骨形成および骨形成に加えて、BMP/OPは、骨格形成(頭蓋および歯の組織の発達を含む)、ならびに胚の発生および腎臓を含む、実質器官の器官形成において複数の役割を果たす。現在、性質は、分化した組織および器官の発生を提供するために調整される共通(および少数)の分子メカニズムに頼ることは理解されている。BMP/OPスーパーファミリーは、より高度に保存されたカルボキシ末端領域内のアミノ酸モチーフにおいて、より小さい多様性を有する分子のイソ型を配置する複数の専門化した機能をプログラムする際の節減の性質の簡潔な例である。
【0040】
BMPおよびアクチビンサブファミリーは、有意な翻訳後の調節を受けやすい。複雑な細胞外制御システムが存在し、それによって、高い親和性アンタゴニストは、合成され、運び出され、その後、それらの生物学的活性を破壊させるためにBMPまたはアクチビンと選択的に複合体化する(W.C.Smith(1999)TIG15 (1)3−6)。これらの天然のアンタゴニストの数は、同定され、一次配列保存の欠如に起因して、配列相違に基づいて独立して発達するように見える。タンパク質のこの分類に示される構造上の機能はない。これらのアンタゴニストの研究は、BMP−2およびBMP−4との相互作用および中和のための明確な優先を強調している。さらに、阻害のメカニズムは、異なるアンタゴニストとは異なるように見える(S.Iemuraら(1998)Proc Natl Acad Sci USA 95 9337−9342)。
【0041】
米国特許第6,395,511号、同第6,489,445号および同第6,495、736号は、スクレロスチンを提供し、また、Beerタンパク質、ヒトDAN、ヒトGremlin、およびヒトCerberus、ならびにSCGF(米国特許第5,780,263号)と比較した場合、ほとんど同一のシステイン(ジスルフィド)骨格を保有するTGFβ結合タンパク質の新規性の分類として公知であるが、ヌクレオチドレベルでほとんど相同性がない(背景情報として、一般的にHsu,D.R.,Economides,A.N.,Wang,X.,Eimon,P.M.,Harland,R.M.,「The Xenopus Dorsalizing Factor Gremlin Identifies a Novel Family of Secreted Proteins that Antagonize BMP Activities,」Molecular Cell 1:673−683,1998を参照のこと)。
【0042】
TGFβ結合タンパク質の新規性の分類の1つの代表的な例は、配列番号:1、5、9、11、13、および15に開示されている。結合タンパク質のこの分類の代表的なメンバーはまた、TGFβ結合タンパク質の改変体を含むことを理解されるべきである(例えば、配列番号:5および7)。本明細書中で利用される場合、「TGFβ結合タンパク質改変遺伝子」は、配列番号:2、10、12、14または16の改変であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子のことを言う。そのような改変体としては、天然に存在する多型性またはTGFβ結合タンパク質遺伝子の対立遺伝子の改変体、ならびにこれらのアミノ酸配列の保存的なアミノ酸置換を含む合成遺伝子が挙げられる。TGFβ結合タンパク質遺伝子のさらなる改変体の形態は、本明細書中で記載されるヌクレオチド配列の挿入または欠失を含む核酸分子である。TGFβ結合タンパク質改変遺伝子は、遺伝子が、ストリンジェントな条件の下で、配列番号:1、5、7、9、11、13、または15の核酸配列を有する核酸分子とハイブリダイズするかどうかを決定することによって同定され得る。さらに、TGFβ結合タンパク質改変遺伝子は、システイン骨格を有するタンパク質をコード化するべきである。
【0043】
代わりに、TGFβ結合タンパク質改変遺伝子は、配列比較によって同定され得る。本明細書中で使用される場合、最大一致のために整列される場合、2つのアミノ酸配列のアミノ酸残基が同じである場合、2つのアミノ酸配列は、「100%アミノ酸配列同一性」を有する。同様に、最大一致のために整列される場合、2つのヌクレオチド配列のヌクレオチド残基が同じである場合、2つのヌクレオチド配列は、「100%ヌクレオチド配列同一性」を有する。配列比較は、標準的なソフトウェアプログラム(例えば、DNASTAR(Madison,Wisconsin)によって生成される、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューターソフトが挙げられる)を使用して実行され得る。最適整列を決定することによって2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を比較するための他の方法は、当業者に周知である(例えば、PeruskiおよびPeruski,The Internet and the New Biology:Tools for Genomic and Molecular Research(ASM Press,Inc.1997),Wuら(編),「Information Superhighway and Computer Databases of Nucleic Acids and Proteins,」in Methods in Gene Biotechnology,pages 123−151(CRC Press,Inc.1997),and Bishop(ed.),Guide to Human Genome Computing,2nd Edition(Academic Press,Inc.1998)を参照のこと)。
【0044】
改変TGFβ結合タンパク質は、配列番号:2、6、10、12、14または16と少なくとも50%のアミノ酸配列同一性、および好ましくは、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有するべきである。代わりに、TGFβ結合タンパク質改変体は、配列番号:1、5、9、11、13または15と少なくとも70%のヌクレオチド配列同一性を有することによって同定され得る。さらに、本発明は、配列番号1と75%、80%、85%、90%または95%より大きい同一性を有するTGFβ結合タンパク質遺伝子改変体を企図する。TGFβ結合タンパク質改変遺伝子または改変TGFβ結合タンパク質を同定するために使用される特定の方法にかかわらず、改変TGFβ結合タンパク質遺伝子によってコードされる改変TGFβ結合タンパク質またはポリペプチドは、例えば、タンパク質のTGFβファミリーの選択されたメンバーの信号伝達を結合するためおよび/または阻害するためのその能力、あるいは抗TGFβ結合タンパク質抗体に特異的に結合するその能力によって機能的に特徴付けられ得る。
【0045】
本発明は、TGFβ結合タンパク質遺伝子の機能性フラグメントを含む。本発明の状況内で、TGFβ結合タンパク質遺伝子の「機能性フラグメント」は、(1)上記の機能活性を保有するか、または(2)抗TGFβ結合タンパク質抗体と特異的に結合するかの、いずれかのTGFβ結合タンパク質ポリペプチドの一部分をコード化する核酸分子のことを言う。例えば、本明細書中で記載したTGFβ結合タンパク質遺伝子の機能性フラグメントは、配列番号:1、5、9、11、13、または15のヌクレオチド配列の一部分を含む。
【0046】
コーディン(例えば、Reddiら、2001 Arthritis Research 3:1;Oelgeschlagerら、2000 Nature 405:757)、シスチン結節タンパク質(例えば、ノギン)(例えば、Groppeら、2002 Nature 420:636)、およびタンパク質の異なるDANファミリー(DANを含む、CerberusおよびGremlin;例えば、Hsuら、1998 Mol.Cell 1:673)は、細胞外に作用する分泌されたBMPアンタゴニストタンパク質の3つの一般的な分類を表す(例えば、Balemansら、2002 Dev.Biol.250:231)。Cerberus、DANおよびGremlinを有するヒトスクレロスチン(Beer)のアミノ酸配列の整列は、4つのタンパク質の間のより高度に類似のシステイン骨格にもかかわらず、スクレロスチンがDANファミリーメンバーとほとんど相同性を示さないことを示した(図1;米国特許第6,395,511号もまた、参照のこと)。本発明の特定の実施形態に従って使用され得るノギン、コーディンおよびBMPポリペプチドの例は、表1のGenbank/NCBI登録番号に従って記載されている。
【0047】
【表1−1】

【0048】
【表1−2】

【0049】
【表1−3】

(抗体組成物、そのフラグメントおよび他の結合剤)
別の局面に従って、本発明はさらに、本明細書中で記載されている複合体を検出し得るか、または本明細書中で記載されている複合体の形態を調節し得るか、および/または骨密度の1つ以上の局面を調節し得る結合剤(例えば、抗体およびその抗原結合フラグメント)を提供する。
【0050】
例えば、1つの例示的な実施形態において、結合剤は、スクレロスチン(Beer)とコーディンまたはノギンのいずれかとの間に形成される複合体に結合する。そのような結合剤は、例えば、本明細書中で記載されている複合体の検出に使用され得、それによって、スクレロスチン(Beer)とノギンとの間、またはスクレロスチン(Beer)とコーディンとの間に形成される複合体に結合するさらなる化合物の検出に有用である。代わりに、またはさらに、本発明の結合剤は、例えば、これらのタンパク質との間の結合相互作用の原因として同定されるスクレロスチン(Beer)、ノギン、および/またはコーディンの領域を標的にされ得る。従って、そのような結合剤は、スクレロスチン(Beer)とコーディンまたはスクレロスチン(Beer)とノギンとの間の複合体の形成を破壊するために使用され得、この方法において、骨密度を調節するために有用であり得る。
【0051】
1つの例示的な実施形態において、結合剤は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。抗体は、当業者に公知である任意の種々の技術によって調製され得る。例えば、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。概して、抗体は、本明細書中で記載されるようなモノクローナル抗体の生成を含む、細胞培養技術によって、または、組み換え抗体の生成を可能にするために適切な細菌の細胞宿主もしくは哺乳類の細胞宿主の中への抗体遺伝子のトランスフェクションによって、生成され得る。1つの技術において、ポリペプチドを含む免疫原は、任意の多種の哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジまたはヤギ)の中へ初めに注射される。この段階において、本発明のポリペプチドは、改変のない免疫原として役立ち得る。代わりに、特に、比較的短いポリペプチドについて、ポリペプチドが、キャリアタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシニアン)に結合される場合、優位な免疫反応が誘発され得る。免疫原は、動物の宿主の中に、好ましくは1つ以上の追加免疫を組み込む所定の計画によって注射されて、動物は定期的に出血する。次いで、ポリペプチドに特異的なポリクローナル抗体は、例えば、適切な固体支持体に結合されるポリペプチドを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、そのような抗血清から精製される。免疫原に対する免疫応答を誘発するために使用される哺乳動物は、ノックアウト哺乳動物であり得る。この実施形態において、当該分野において公知である遺伝子ノックアウト方法が、免疫原に対応するタンパク質を天然に発現しない動物を産生するために使用される。ノックアウト技術は、当該分野において周知であり、例えば、米国特許第6,252,132号;同第6,437,215号;および同第6,444,873号に開示されている。
【0052】
興味のある抗原性ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体は、例えば、KohlerおよびMilstein,Eur.J.Immunol.6:511−19,1976,ならびにその改良の技術を使用して、調製され得る。簡単に述べると、これらの方法は、所望の特異性(すなわち、興味のあるポリペプチドとの反応性)を有する抗体を生成し得る不死の細胞株の調製物を含む。そのような細胞株は、例えば、上記のように免疫化される動物から取得される脾細胞から生成され得る。次いで、脾細胞は、例えば、骨髄腫細胞融合パートナーとの融合、好ましくは免疫化された動物と同質遺伝子的な融合によって、不死化される。種々の融合技術が使用され得る。例えば、脾細胞および骨髄腫細胞は、数分間、非イオン性の界面活性剤と組み合わせられ得、次いで、ハイブリッド細胞であるが、骨髄腫細胞でない増殖を支持する選択的培地上で低密度でプレートされる。好ましい選択技術は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用する。十分な時間、普通、約1週間〜2週間の後、ハイブリッドのコロニーが観察される。単一のコロニーが選択され、それらの培養液の上澄み液が、ポリペプチドに対する結合活性について試験される。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
【0053】
モノクローナル抗体が、増殖しているハイブリドーマコロニーの上澄み液から単離され得る。さらに、産生を高めるために種々の技術が使用され得る(例えば、適切な脊椎動物宿主(例えば、マウス)の腹腔の中へのハイブリドーマ細胞株の注射)。次いで、モノクローナル抗体は、腹水または血液から収集され得る。汚染物は、従来の技術(例えば
、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈殿、および抽出)によって抗体から除去され得る。本発明のポリペプチドは、精製プロセス、例えば、アフィニティークロマトグラフィー工程において使用され得る。
【0054】
非ヒト免疫グロブリン由来の抗原結合部位を含む多数の「ヒト化」抗体分子が記載され、げっ歯類V領域およびヒトの定常領域に融合されるそれらの関連CDRを有するキメラ抗体(Winterら、Nature 349:293−99,1991;Lobuglioら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220−24,1989;Shawら、J.Immunol.138:4534−38,1987;およびBrownら、Cancer Res.47:3577−83,1987)、適切なヒト抗体定常領域と融合するより前にヒト支持のFRの中に移植されるげっ歯類のCDR(Riechmannら、Nature332:323−27,1988;Verhoeyenら、Science 239:1534−36,1988;およびJonesら、Nature 321:522−25,1986)、ならびに組み換えベニアド(veneered)のげっ歯類のFRによって支持されるげっ歯類CDR(1992年、12月23日に発行された欧州特許公報第519,596号)が挙げられる。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおける、これらの部分の治療用途の期間および有効性を制限するげっ歯類抗ヒト抗体分子への望ましくない免疫反応を最小化するために設計される。
【0055】
従って、本発明は、非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト形態およびヒト化形態を企図する。そのようなヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小の配列を含むキメラ免疫グロブリン、その免疫グロブリン鎖またはフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合部分)である。ほとんどの部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの相補的な決定領域(CDR)由来の残基が所望の特異性、親和性および受容能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)(例えば、マウス、ラット、またはウサギ)のCDR由来の残基によって置換されるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である
このように、ヒト免疫グロブリンのFv骨格残基は、一致する非ヒト残基によって置換され得る。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体または移入されたCDRもしくは骨格配列のいずれにも見出されない残基を含み得る。これらの改変は、抗体の性能をさらに精製および最適化するために作製される。概して、ヒト化された抗体は、実質的に全ての少なくとも1つ、および代表的には2つの可変領域を含み、その全てのまたは実質的に全てのCDR領域は、非ヒト免疫グロブリンの領域と一致して、全てのまたは実質的に全てのFR領域は、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列の領域である。最適には、ヒト化された抗体は、少なくとも一部分の免疫グロブリン定常領域(Fc)、代表的にはヒト免疫グロブリンの領域を含む(Reichmannら、Nature 332、323−329(1998);Presta,Curr.Op.Struct.Biol.2,593−596(1992);Holmesら、J.Immunol.,158:2192−2201(1997)およびVaswaniら、Annals Allergy,Asthma&Immunol.81:105−115(1998))。
【0056】
本発明はまた、抗体の親和性、選択性、結合強さまたは他の所望の特性を最適化するために抗体を変異する方法を提供する。変異抗体は、抗体のアミノ酸配列改変のことを言う。概して、変異抗体における1つ以上のアミノ酸残基は、参考の抗体に存在するもとは異なる。そのような変異抗体は、必ず、参考のアミノ酸配列と100%未満の配列同一性または類似性を有する。概して、変異抗体は少なくとも、参考の抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域のいずれかのアミノ酸配列と75%のアミノ酸配列同一性または類似性を有する。好ましくは、変異抗体は、参考の抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性または類似性を有する。抗体を変異する1つの方法は、ファージディスプレイを使用する親和性成熟(affinity maturation)を含む。
【0057】
本明細書中で使用される場合、用語「ベニアドFR」および「組み換えベニアドFR」は、実質的に全ての天然FRポリペプチドフォールディング構造を保持する抗結合部位を含む異種間の分子を提供するために、ヒトFR残基での例えば、げっ歯類の重鎖V領域または軽鎖V領域からの選択的なFR残基の置換を言う。ベニアリング技術は、抗結合表面内の抗結合部位のリガンド結合特性が、重鎖CDRセットおよび軽鎖CDRセットの構造ならびに関連する性質によって主に決定されるという理解に基づく(Daviesら、Ann.Rev.Biochem.59:439−73,1990)。このように、抗原結合特異性は、ヒト化抗体のみにおいて維持され得、ここで、CDR構造は、互いのそれらの相互作用、およびV領域ドメインの残りとのそれらの相互作用が、注意深く維持される。ベニアリング技術を使用することによって、免疫システムによって容易に接触される外面の(例えば、溶媒接近可能な)FR残基は、弱い免疫原、または実質的に非免疫原のベニアド表面を含むハイブリッド分子を提供するために、ヒト残基で選択的に置換される。
【0058】
ベニアリングのプロセスは、Kabatら、in Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th ed.(U.S.Dept.of Health and Human Services,U.S.Government Printing Office,1987)に従うヒト抗体可変領域のための利用可能な配列データであり、Kabatデータベースにアップデートし、他の入手しやすい米国および外国データベース(核酸およびタンパク質の両方)の使用を可能にする。V領域アミノ酸の溶媒接近可能性は、ヒトおよびマウスの抗体フラグメントについての公知の3次構造から推論され得る。マウス抗原結合部位にベニアリングする際の2つの一般的な工程がある。最初に、興味のある抗体分子のFRの可変領域が、上記の同定される起源から取得されるヒト可変領域の対応するFR配列と比較される。最も相同的なヒトV領域は、次いで、対応するマウスアミノ酸の残基と比較される。ヒト対応物と異なるマウスFRにおける残基は、当該分野で周知である組み換え技術を使用してヒト部分に存在する残基によって置換される。残基転換は、少なくとも部分的に曝露される(溶媒接触可能)部分のみ実行され、V領域ドメイン(例えば、プロリン、グリシンおよび荷電したアミノ酸)の3次構造上の有意な効果を有し得るアミノ酸残基の置換において注意が働く。
【0059】
この方法において、結果として生じる「ベニアリング」マウス抗原結合部位は、このように、マウスCDR残基を保持するために設計され、残基は、実質的にCDRに隣接し、残基は、埋もれるか、または大部分埋もれている(溶媒接近不可能)と同定され、残基は、非共有結合(例えば、静電および疎水性)において関与すると考えられ、重鎖領域と軽鎖領域との間に接触し、FRの保存される構造領域由来の残基は、CDRループの「基準の」3次構造に影響を与えると考えられる。次いで、これらの設計基準は、マウス抗体分子の抗原特異性を示す組み換えヒト抗体の発現のための、哺乳細胞をトランスフェクトするために使用され得るヒトのように見えるFRの中へマウス抗原結合部位の重鎖および軽鎖の両方のCDRを組み合わせる組み換え核酸配列を調製するために使用される。
【0060】
本発明はまた、興味のある抗原性ポリペプチドに特異的な部分的または完全なヒト抗体を企図する。そのような抗体は、当該分野で公知の方法(例えば、Lonberg,Nら、Int.Rev.Immunol.,13:65−93(1995);Fishwild,D.M.ら、Nat.Biotechnol.,14:826(1996);Tomizukaらによる米国特許第6,632,976B1号;およびTomizukaら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.,97:722−727(2000)に記載されている)(完全ヒト抗体を記載している)を使用して調製され得る。上記のように調製されるヒト抗体の抗原結合フラグメントもまた、企図される。
【0061】
本発明の別の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、1つ以上の治療剤に結合され得る。これに関連する適切な薬剤としては、放射性核種、分化誘導物質、薬剤、毒素、およびこれらの誘導体が挙げられる。好ましい放射性核種としては、90Y、123I、125I、131I、186Re、188Re、211At、および212Biが挙げられる。好ましい薬剤としては、メトトレキサート、およびピリミジンならびにプリンアナログが挙げられる。好ましい分化誘導物質としては、ホルボールエステルおよび酪酸が挙げられる。好ましい毒素としては、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン、Pseudomonas外毒素、Shigella毒素、およびヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質が挙げられる。
【0062】
治療薬は、直接的または間接的(例えば、リンカー基によって)のいずれかで適切なモノクローナル抗体に結合(例えば、共有結合)され得る。薬剤と抗体との間の直接的な反応は、各々が互いに反応し得る置換基を有する場合、可能である。例えば、一方の求核基(例えば、アミノ基またはスルフヒドリル基)は、他方のカルボニル含有基(例えば、無水物または酸ハロゲン化物)、あるいはアルキル基含有の優れた遊離基(例えば、ハロゲン化物)と反応し得る。
【0063】
あるいは、リンカー基によって、治療薬と抗体とを結合することが所望され得る。リンカー基は、結合能力との障害を避けるために、薬剤から抗体を離すためにスペーサーとして機能し得る。リンカー基はまた、薬剤または抗体上の置換基の化学反応性を増加させるために役立ち得、それによって、結合効率を増加させる。化学反応性の増加はまた、薬剤、または薬剤上の官能基(別のやり方では可能ではない)の使用を促進し得る。
【0064】
種々の二官能性または多官能性の試薬、同一の機能性および異質の機能性の両方(例えば、Pierce Chemical Co.,Rockford,ILのカタログに記載されているもの)が、リンカー基として使用され得ることは、当業者に明らかである。結合は、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基または酸化された炭水化物残基を通して、もたらされ得る。そのような方法論を記載している多数の参考文献(例えば、Rodwellらによる米国特許第4,671,958号)がある。
【0065】
本発明の免疫結合体の抗体部分を含まない場合に治療薬剤がより強力である場合には、細胞の中への内在化の間、または内在化の際に、開裂されるリンカー基を使用することが所望され得る。多数の異なる開裂可能なリンカー基が、記載されている。これらのリンカー基由来の薬剤の細胞内の放出についてのメカニズムとしては、ジスルフィド結合の還元(例えば、Spitlerによる米国特許第4,489,710号)、光不安定性結合の照射(例えば、Senterらによる米国特許第4,625,014号)、誘導体化されたアミノ酸側鎖の加水分解(例えば、Kohnらによる米国特許第4,638,045号)、血清補体媒介の加水分解(例えば、Rodwellらによる米国特許第4,671,958号)、および酸触媒された加水分解(例えば、Blattlerらによる米国特許第4,569,789号)による開裂が挙げられる。
【0066】
1つより多くの薬剤を抗体に結合することを所望され得る。1つの実施形態において、薬剤の複数の分子は、1つの抗体分子に結合される。別の実施形態において、薬剤の1つより多くのタイプは、1つの抗体に結合され得る。特定の実施形態にかかわらず、1つより多くの薬剤を有する免疫結合体は、種々の方法において調製され得る。例えば、1つより多くの薬剤は、直接的に抗体分子に結合され得るか、または結合するための複数の部位を提供するリンカーが使用され得る。あるいは、キャリアが使用され得る。
【0067】
キャリアは、直接的またはリンカー基を通してのいずれかの共有結合を含む、種々の方法において薬剤を運び得る。適切なキャリアとしては、タンパク質(例えば、アルブミン(例えば、Katoらによる米国特許第4,507,234号))、ペプチドおよび多糖類(例えば、アミノデキストラン(例えば、Shihらによる米国特許第4,699,784号))が挙げられる。キャリアはまた、非共有結合またはカプセル化(例えば、リポソーム小胞内で(例えば、米国特許第4,429,008号および米国特許第4,873,088号))によって薬剤を運び得る。放射性核種薬剤に特有のキャリアとしては、放射性ハロゲン化された低分子およびキレート化合物が挙げられる。例えば、米国特許第4,735,792号は、代表的な放射性ハロゲン化された低分子およびそれらの合成を開示している。放射性核種キレートは、金属、または金属酸化物、放射性核種に結合するためのドナー原子として窒素原子および硫黄原子を含むキレート化合物から形成され得る。例えば、Davisonらによる米国特許第4,673,562号は、代表的なキレート化合物およびそれらの合成を開示している。
【0068】
(骨密度を上昇させる分子を選択するためのアッセイ:骨密度への影響を媒介する化合物についてのスクリーニング)
基本的に任意の型の化合物が、任意の適切なスクリーニング手順(例えば、ハイスループットスクリーニングアッセイ)を使用する本明細書中に記載される方法に従って試験され得る。従って、以下に記載される化合物およびスクリーニング技術の例は、例示のみの目的で提供される。本明細書中に記載されるスクリーニング方法において使用するための例示的試験化合物としては、抗体、抗原、核酸(例えば、天然もしくは合成の、DNA、RNA、gDNA、cDNA、mRNA、tRNA、RNAiなど)、レクチン、糖、オリゴ糖、糖タンパク質、レセプター、増殖因子、サイトカイン、薬物候補のような低分子(例えば、ランダムペプチドライブラリー由来、天然産物のライブラリー由来、レガシー(legacy)ライブラリー由来、コンビナトリアルライブラリー由来、オリゴ糖ライブラリー由来およびファージディスプレイライブラリー由来)、代謝産物、酵素基質、酵素インヒビター、酵素補助因子(例えば、ビタミン)、脂質、ステロイド、金属、生理学的流体において見出される酸素および他の気体、細胞、細胞構成要素、細胞膜および関連構造物、細胞接着分子、植物供給物および動物供給物において見出される天然産物、他の部分的もしくは完全な合成生成物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
上記のとおり、本発明の一例示的実施形態に従って、ノギンまたはコーディンのスクレロスチン(Beer)への結合を調節する化合物を同定するための方法が提供される。このような方法は、第一に、スクレロスチン(Beer)が所定の結合親和性でノギンまたはコーディンのいずれかに結合する条件下で、このスクレロスチン(Beer)およびノギンまたはコーディンのいずれかを含有する組成物を提供する工程を包含する。本実施形態に従って使用されるノギンポリペプチドまたはコーディンポリペプチドは、ノギンタンパク質全体またはコーディンタンパク質全体を含む単離されたポリペプチドを含有し得、そして好ましくは、少なくとも、スクレロスチン(Beer)に結合するノギンまたはコーディンのドメインを含む。さらに、本実施形態において使用されるスクレロスチン(Beer)ポリペプチドは、スクレロスチン(Beer)タンパク質全体を含む単離されたポリペプチドを含み得、そして好ましくは、少なくとも、ノギンまたはコーディンのいずれかに結合するスクレロスチン(Beer)のドメインを含む。
【0070】
本発明のスクリーニング方法との関係において、スクレロスチン(Beer)とノギンまたはコーディンのいずれかとの間の複合体形成は、任意の適切な方法を使用して、直接的もしくは間接的に検出または測定され得る。例えば、本明細書中で開示されるポリペプチドのうちの1つ以上は、適切な標識で標識され得、そして複合体の形成は、この標識の検出によって決定され得る。ノギンまたはコーディンのいずれかとスクレロスチン(Beer)との間の複合体の検出における使用に適した標識としては、例えば、放射性同位元素、エピトープ標識(タグ)、親和性標識(例えば、ビオチン、アビジン)、スピン標識、酵素、蛍光基、化学発光基などが挙げられ得る。標識が使用されない場合、複合体形成は、例えば、当該分野で公知の任意の他の技術(これらの例示的な例としては、架橋、クロマトグラフィーによる免疫共沈降および同時画分、ならびに酵母ツーハイブリッドシステムが挙げられる)を使用して決定され得る。
【0071】
ノギンまたはコーディンのいずれかおよびスクレロスチン(Beer)の上記の組成物のうちの1つを含有する組成物は、試験化合物がスクレロスチン(Beer)とノギンまたはコーディンのいずれかとの間の結合を調節し得るか否かを決定するために、試験化合物と接触させられる。試験化合物の存在下で決定される結合親和性と、例えば、試験化合物の非存在下でノギンまたはコーディンのいずれかとスクレロスチン(Beer)との間の結合親和性とを比較することによって、この方法は、これらのタンパク質間の相互作用を調節し得る試験化合物の同定を可能とする。
【0072】
本発明のさらに別の局面に従うと、ノギンまたはコーディンのいずれかとスクレロスチン(Beer)との結合を調節、好ましくは、阻害する化合物を同定するための方法が提供される。さらに、試験化合物の存在下で決定される結合親和性と、例えば、試験化合物の非存在下でノギンまたはコーディンのいずれかとスクレロスチン(Beer)との間の結合親和性とを比較することによって、この方法は、この試験化合物がこれらのタンパク質の間の相互作用を阻害し得るか否かを同定する。
【0073】
本発明のさらに別の局面に従うと、ノギンまたはコーディンのいずれかとスクレロスチン(Beer)との結合を調節、好ましくは、増強する化合物を同定するための方法が提供される。さらに、試験化合物の存在下で決定される結合親和性と、例えば、試験化合物の非存在下でノギンまたはコーディンのいずれかとスクレロスチン(Beer)との間の結合親和性とを比較することによって、この方法は、この試験化合物がこれらのタンパク質の間の相互作用を増強し得るか否かを同定する。
【0074】
別の実施形態において、試験化合物の存在下でノギンまたはコーディンのいずれかへのスクレロスチン(Beer)の結合レベルが、この試験化合物の非存在下でのノギンまたはコーディンのいずれかへのスクレロスチン(Beer)の結合レベルと比較される。本発明の特定の例示的な実施形態において、この試験化合物の存在下での結合レベルは、この試験化合物に曝露されない細胞と比較して、例えば、100%、90%、80%、75%、70%、または50%以下減少する。
【0075】
別の実施形態において、試験化合物の存在下でノギンまたはコーディンのいずれかへのスクレロスチン(Beer)の結合レベルが、この試験化合物の非存在下でのノギンまたはコーディンのいずれかへのスクレロスチン(Beer)の結合レベルと比較される。本発明の特定の例示的な実施形態において、この試験化合物の存在下での結合レベルは、この試験化合物に曝露されない細胞と比較して、例えば、100%、90%、80%、75%、70%、または50%以下上昇する。
【0076】
本発明のさらに別の局面に従うと、任意の上の方法によって同定される化合物が提供される。
【0077】
試験化合物のスクリーニングのための上記の例示的なアッセイに加えて、任意の種々の分子ライブラリーが、本発明のスクリーニング方法と併用して使用され得る。ライブラリーは、例えば、有機合成法、生化学的な方法などを使用して調製される種々の分子の意図的に作製された収集物である。後者の場合、上記の分子は、インビトロまたはインビボで作製され得る。このようなライブラリーとしては、例えば、ランダムペプチドライブラリー、コンビナトリアル的に合成されたライブラリー、ファージディスプレイライブラリー、天然産物のライブラリー、オリゴ糖ライブラリーおよびレガシーライブラリー(長期にわたり合成され、そして収集された分子の収集物)が挙げられる。
【0078】
医薬の発見および設計における顕著な発展は、潜在的な新しい薬物の化学ライブラリーを作製するためのコンビナトリアルケミストリーの発展であった。化学ライブラリーは、例えば、有機合成法または生化学的に作製される種々の分子の意図的に作製された収集物である。コンビナトリアルケミストリーは、ライブラリーの化学的メンバーが化学的サブユニットの集合による系統的な方法論に従って作製される合成戦略である。従って、このライブラリーの各分子は、これらのサブユニットのうちの1つ以上を構成する。この化学的サブユニットとしては、天然に存在するアミノ酸もしくは改変されたアミノ酸、天然に存在するヌクレオチドもしくは改変されたヌクレオチド、天然に存在する糖もしくは改変された糖または有機もしくは無機のどちらかである他の分子が挙げられ得る。代表的に、各サブユニットは少なくとも2つの反応基を有し、この少なくとも2つの反応基は、各サブユニットの第一の反応基を反応させ次いで別の反応基を反応させてより複雑で潜在的に多様な分子を首尾よく構築することにより、より大きな分子の段階的構築を可能とする。
【0079】
定数の個々のビルディングブロック(例えば、20種の天然に存在するアミノ酸)が、合成の各工程で平等に利用可能である合成条件を作製することにより、化合物の非常に大きいアレイまたはライブラリーが、合成反応のほんの少しの工程の後に集合され得る。一例としてアミノ酸を使用すると、第一の合成工程では、生じる化合物の数(N)は、利用可能なビルディングブロックの数(bと命名)に等しい。天然に存在するアミノ酸の場合、b=20である。合成の第二の工程において、各アミノ酸が、全ての他のアミノ酸とジペプチドを形成する平等の機会を有すると仮定すると、可能な化合物の数は、N=b=20=400である。
【0080】
合成の首尾よい工程について、先の工程の生じる化合物に対して、ビルディングブロックのランダムで平等に効率的な集合を再度仮定すると、N=bである(xは、合成の集合工程の数に等しい)。従って、デカペプチドのみのランダム集合について、種々の化合物の数は、2010または1.02×1013であることが分かり得る。このような極端に大きい数の種々の化合物は、LDLR2媒介性HIV感染を調節する能力の多数の多様な候補の集合およびスクリーニングを可能とする。
【0081】
生物学的に合成されたコンビナトリアルライブラリーは、細菌粒子またはバクテリオファージ粒子における分子生物学の技術を使用して構築されている。例えば、Schatzへの米国特許第5,270,170号および同第5,338,665号は、プラスミドのクローニング部位中に挿入されるランダムオリゴヌクレオチドの使用を介して作製された融合タンパク質をコードする組換えプラスミドの構築を記載する。このクローニング部位は、DNA結合タンパク質(例えば、lacリプレッサー)をコードする遺伝子のコード領域内に配置され、それによって、このDNA結合タンパク質の特異的結合機能は、遺伝子の発現により破壊されない。プラスミドはまた、DNA結合タンパク質によって結合部位として認識されるヌクレオチド配列を含む。従って、適切な細菌細胞の形質転換および融合タンパク質の発現の際、上記のタンパク質は、このタンパク質を産生したプラスミドに結合する。次いで、細菌細胞は、溶解され、この融合タンパク質は、所定の生物学的活性についてアッセイされる。さらに、各融合タンパク質は、この融合タンパク質をコードしていた核酸と会合されたままとなる。従って、さらなる特徴づけのために選択されるタンパク質:プラスミド複合体の核酸部分の核酸増幅および配列決定を通じて、候補化合物の正確な構造が、決定され得る。Schatz特許は、本明細書中に参考として援用される。
【0082】
同様に、バクテリオファージディスプレイライブラリーは、ファージコートタンパク質のうちの1種以上をコードする一部の遺伝子内のランダムオリゴヌクレオチドのクローニングを介して構築されている。ファージ粒子の集合の際ランダムポリペプチドはまた、スクリーニングのために外面に向く。以前に記載されたシステムのように、ファージ粒子は、融合タンパク質をコードする核酸を含み、それによって、薬物候補を同定するヌクレオチド配列情報は、この薬物自体に連結される。このようなファージ発現ライブラリーは、例えば、Sawyerら,Protein Engineering 4:947−53,1991;Akamatsuら,J.Immunol.151:4651−59,1993,およびDowerら,米国特許第5,427,908号に記載される。これらの特許および刊行物は、本明細書中に参考として援用される。
【0083】
多様なコンビナトリアルライブラリーを分子的に作製するための他のアプローチは、化学合成法を使用して、試験される化合物の集合において典型的または非生物学的なビルディングブロックを利用する。従って、Zuckermannら,J.Med.Chem.37:2678−85,1994は、「ペプトイド(peptoid)」と呼ばれるペプチド様化合物の合成のための種々のN−(置換)グリシンを使用するライブラリーの構築を記載する。一連の芳香族置換、一連のヒドロキシル化側置換、および多様な組の置換基(分枝の、アミノ、および複素環式構造が挙げられる)を提供するための置換が選択された。この刊行物は、本明細書中に参考として援用される。
【0084】
別の戦略は、秩序的かつ所定の様式における固体の支持体上にコンビナトリアルライブラリーを化学的に合成し、それによって、各ライブラリーのメンバーの配置がその化合物の合成構造に関する情報を提供することに関係する。このような方法の例は、例えば、Geysen,米国特許第4,833,092号に記載され、この中で、化合物は、96ウェルマイクロタイターディッシュに合うように設計された機能性ポリエチレンピン上に合成され、それによって、ピンの位置が、研究者に化合物の構造について情報を提供する。同様に、Hudsonら,PCT公報第WO94/05394号は、機能性ポリマーフィルムでコーティングされた空間的にアドレス可能な固相プレート上のバイオポリマー(例えば、ポリペプチド、オリゴヌクレオチドおよびオリゴ糖)のコンビナトリアルライブラリーの構築についての方法を記載する。このシステムにおいては、化合物は、直接プレート上で合成されかつスクリーニングされる。プレート上の所定の化合物の位置を知ることにより、上記の化合物を含むビルディングブロックの性質および順序に関する情報を生じる。アドレス可能なコンビナトリアルライブラリーを構築する同様の方法が、バイオポリマー以外の化合物の合成のために使用され得る。
【0085】
さらに別の例示的アプローチは、多数の非常に小さい誘導体化ビーズの使用であり、この小さい誘導体化ビーズは、種々のビルディングブロックが存在するほどの多くの均一な部分に分けられる。合成の第一の工程において、これらの部分の各々は、種々のビルディングブロックと反応する。次いでこのビーズは、完全に混合され、再度同数の均一の部分に分けられる。合成の第二の工程において、ここで、理論的に、ビーズに連結される各ビルディングブロックの均一の量を含む各部分は、異なるビルディングブロックと反応する。このビーズは、再度混合され、分離され、そして所望の場合、上記のプロセスが繰り返され、多数の種々の化合物を生じ、各ビーズは、1つの型の化合物のみを含む。
【0086】
この方法は、「1ビーズ1化合物」法と呼ばれ、ビーズと、異なる化合物を潜在的に有する各ビーズとの混合物を生じる。従って、この方法においてビーズ自体は、上記の固相支持体およびアレイの場合、または細胞ライブラリーもしくはファージライブラリーの場合と同一の意味で「アドレス可能」であるとはみなされ得ない。しかしながら、各ビーズの表面に提示される化合物は、特定の化合物との結合能力について試験され得、そしてこれらの(体表的に)少ないビーズが他のビーズから同定され、分離され得る場合、推定の純粋な集団の化合物が回収され得、そして分析され得る。当然のことながら、後者の可能性は、意味のあるその後の分析に感受性である各ビーズの表面上の化合物に関する十分な情報をロードしそして抽出する能力に依存する。このような情報は、単にその構造を決定し得る目的の化合物の適切な量の形態であり得る。例えばペプチドの場合、ペプチド配列決定を行い、そしてペプチドのアミノ酸配列を得ることが可能であるためには、十分なペプチドが、ビーズ上で合成されなければならない。
【0087】
上記のとおり、コンビナトリアルライブラリーの構築は、ノギンまたはコーディンのいずれかへのスクレロスチン(Beer)の結合を調節する能力についての莫大な数の試験化合物のスクリーニングを可能とする。
【0088】
現在適用される1つの一般的なスクリーニング方法は、結合パートナーが探求される特異的分子で固体の支持体(例えば、マイクロタイターディッシュのウェル)をコーティングする工程からなる。次いでライブラリーのメンバーの化合物が、標識され、固体支持体上にプレートされ、ライブラリーメンバーに結合させられる。洗浄工程の後、次いで結合パートナー複合体が、結合したライブラリーメンバーに結合する標識を検出することによって検出される。この型の手順は、特に、メンバー化合物が、溶液または培地中に提供されるコンビナトリアルライブラリーに良好に適している。この方法は、いくらか労働集約的であり得、このような多数の試験化合物をスクリーニングするために必要なハイスループットスクリーニングを達成するために、第一の工程として試験化合物のプールのスクリーニングを必要とし得、その後、目的の化合物を特異的に同定するために1回以上のリスクリーニング工程がなされる。上記の状況はまた、逆転され得、その結果、ライブラリーメンバーを、個々のウェルにコーティングさせ、特異的分子で探索する。
【0089】
コンビナトリアルライブラリーが所定のエピトープを標的とする抗体アナログまたはペプチドを含む場合、ライブラリーメンバーは、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)において、または例えば、放射性核種、化学発光化合物、蛍光、および酵素もしくは色素により直接的または非直接的に標識されることによって検出可能な二次抗体により認識される抗体の一部を含み得る。
【0090】
Tawfikら,Proc.Natl.Acad.Sci.90:373−77,1993は、所望の触媒活性を有するまれな抗体の存在についての抗体のライブラリー(この場合、酵素反応の遷移状態中間体の模倣物を使用して作製されるハイブリドーマライブラリー由来)をスクリーニングする方法を記載する。スクリーニング化合物(この場合、酵素基質)は、96ウェルマイクロタイターディッシュ上に固定化された。各クローン由来の上清が、酵素反応が促進する条件下で別々のウェル内に配置された。酵素反応の生成物は、依然マイクロタイターディッシュに固定化され、生成物特異的なモノクローナル抗体の使用によってアッセイされた。さらに、この型のスクリーニング手順は、かなり労働集約的であり、大きなライブラリーのハイスループットスクリーニングを達成するために試験化合物のプールの反復のスクリーニングを必要とし得る。
【0091】
上記の細胞性ディスプレイライブラリーまたはファージディスプレイライブラリーおよび「1ビーズ1化合物」合成ライブラリーにおいて、ライブラリーメンバーは、検出可能な蛍光(例えば、フルオレセインまたはフィコエリトリン)で標識された特異的結合パートナー(例えば、レセプター)に結合する能力についてスクリーニングされ得る。各粒子(例えば、細胞またはビーズ)は、1つの試験化合物種のみを提示することから、蛍光標識された粒子は、蛍光標示式細胞分取器(FACS)を使用して検出され得、そして選別され得る。次いで、陽性ビーズまたは陽性粒子の濃縮された集団は、リスクリーニングされ得、必要な場合、個々に分析され得る。この戦略は、試験化合物またはこの試験化合物が合成されるビーズを提示する細胞を使用して利用され得る。
【0092】
本発明の特定の方法は、スクリーニングプロセスを行うためにアレイを利用する。アレイの使用は、サンプルスループットを非常に増加させることを可能とさせる。構造的に、アレイは、代表的に、複数のエレメントまたは部位を含む固体支持体上に形成される。本発明のスクリーニング法において、アレイの各エレメントは、伝送ラインのようなシグナル経路を含み、このシグナル経路に対しタンパク質標的またはリガンドは、電磁気学的にカップリングされるかまたは直接付着される。多くのスクリーニング試験において、目的は、1つのタンパク質標的に対して多数の化合物をスクリーニングすることである。従って、このような方法において、任意のエレメント内に位置する全てのタンパク質標的および異なるエレメントでの全ての標的は、同一である。各エレメントは、異なるサンプルと接触させられ、各サンプルは、異なる化合物を含む。この方法において、共通の標的を用いてライブラリー内の種々の化合物をスクリーニングすることが、可能である。
【0093】
しかしながら、他の方法においては、任意の特定のエレメントにおける全てのタンパク質標的は同一であることが望ましいが、異なるエレメントにおけるタンパク質標的は、互いに異なる。これによって、1つの試験リガンドまたはリガンドの群が、いくつかの異なるタンパク質標的に対してスクリーニングされることが可能となる。従って、例えば、10種の異なるプロテアーゼインヒビターが標的として使用されることを仮定すると、アレイは、好ましくは、10列または10カラムのエレメントを含み、各エレメントは、異なるプロテアーゼを有する。
【0094】
種々のアレイのエレメントでの標的を同定するにもかかわらず、シグナルは、種々のエレメントの各々での結合をモニタリングするための各エレメントに連結しているシグナル経路に伝達される。伝達されたシグナルにおける調節は、サンプル中の標的とリガンドとの間の結合を検出するために使用される。アレイは、種々のアレイに微量の種々のサンプルを制御可能に添加するための微小流体デバイスと併用して使用され得る。全ての標的が同一である状態において、代表的に、流体デバイスは、種々のサンプルを種々のアレイに分配するために使用される。一方、種々のエレメントにおけるタンパク質標的が異なる場合、流体デバイスは、このアレイの種々のエレメントに同一のサンプルを分配する。
【0095】
いくつかの方法は、上記のような固体支持体上に合成されたアレイを利用する。特定の方法において、目的のタンパク質標的に結合することが公知のリガンドの配列(「リード配列(lead sequence)」)を利用してその後の回のスクリーニングにおいて使用されるアレイ上に合成された配列の選択の情報を与えることによって、所望の生物学的活性を有する可能性のあるリガンドに対するスクリーニングプロセスに焦点を当てることが可能である。例えば、米国特許第5,770,456号(これは、その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。従って、リード配列に関連する一連のリガンドは、リード配列の1つ以上の位置で系統的な改変物を作製することによって合成される。この理論は、標的タンパク質に結合することが公知の配列(例えば、ペプチド)の少数の変化により、さらにより高い結合親和性を有する配列を生じ得るということである。
【0096】
アレイにおけるエレメントの数は、このアレイが使用されるスクリーニング適用の型に主に基づいて、広範に変化する。ライブラリーの最初の段階のスクリーニングにおいて、例えば、多数のエレメントが、好ましく、それによって、多数の化合物が、迅速にスクリーニングされ得る。このような適用についてのアレイは、10個までのエレメントを有し得る。他の場合において、アレイに10個までのエレメントが存在する。なお他の方法において、例えば、最初の回のスクリーニングから現れた潜在的治療価値を有するリード化合物の優れた候補である化合物を用いてより高い分解能の研究を行うことが望ましい場合、単一のエレメントのみが存在し得る。従って、概して、アレイにおけるエレメントの数は、1、10、10、10、10、10、もしくは10、またはこれらの間の範囲の任意の数であり得る。
【0097】
アレイを構成するタンパク質標的またはリガンドの密度はまた、顕著に変化し得る。必要とされる密度は、種々の因子(例えば、シグナル感受性の程度、溶液中のリガンドの数および研究の下で特定の複合体について特徴的なピークが明確であるか否かそして他の複合体からのシグナルと分離されるか否か)において変化する。最適な状況において、本システムの感受性および特定の複合体と相関する公知のシグナルを使用して分析を行う能力は、エレメントが単一のタンパク質標的またはリガンドを含み得ることを意味する。しかしながら、他の状況において、タンパク質標的またはリガンドの密度は、100標的/cm以下であり得る。さらに他の方法において、上記の密度は、10標的/cm以下、1012標的/cm以下および1018標的/cm以下であり得る。
【0098】
アレイの使用および微小流体技術を介して、ハイスループットスクリーニングプロセス(HTS)において本明細書中で記載される方法を使用することが、可能である。このようなアプローチにおいて、数十万の化合物が、特定の標的に結合するそれらの能力についてスクリーニングされるかまたは上記のより高レベルの分析に従ってスクリーニングされる。例えば、本明細書中に記載される本発明は、縮小化され得、それによって、高度の並列スクリーニングプラットフォームが、現実化され得る。すなわち、このプラットフォームは、同時に数十万の化合物のスクリーニング、および同時に、結合(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)、親和性、動力学などの効果を決定することが可能である。
【0099】
上に考察されるとおり、本発明は、骨密度を増加し得る化合物を選択および/または単離するための方法を提供する。例えば、本発明の一局面の範囲内で、選択された分子が骨ミネラル含有量を増加し得るか否かを決定するための方法が提供され、この方法は、以下の工程を包含する:(a)選択分子とTGF−β結合タンパク質およびTGF−βファミリーのタンパク質の選択されたメンバーとを混合する工程、(b)選択分子が、TGF−βファミリーのタンパク質によるシグナリングを刺激するか否か、またはTGF−βファミリーのタンパク質へのTGF−β結合タンパク質の結合を阻害するか否かを決定する工程。特定の実施形態の範囲内で、上記の分子は、間葉細胞分化の正のレギュレーターとして機能するTGF−βの能力を増強する。
【0100】
本発明の他の局面の範囲内で、選択分子が骨ミネラル含有量を増加し得るか否かを決定するための方法が提供され、この方法は、以下の工程を包含する:(a)TGF−β結合タンパク質を発現する細胞に選択分子を曝露させる工程および(b)曝露された細胞由来のTGF−β結合タンパク質の活性(または発現)が、低下するか否かを決定し、そしてこれらの決定から、この化合物が骨ミネラル含有量を増加し得るか否かを決定する工程。一実施形態の範囲内で、上記の細胞は、骨の生検由来の自発的に形質転換されたかまたは形質転換されていない正常なヒトの骨およびラット頭頂骨骨芽細胞からなる群より選択される。このような方法は、広範囲のアッセイ型式において達成され得、これらのアッセイ型式としては、例えば、免疫電気泳動向流法(CIEP)、放射免疫アッセイ、放射性免疫沈降法、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ドットブロットアッセイ、阻害アッセイまたは競合アッセイ、およびサンドイッチアッセイ(米国特許第4,376,110号および同第4,486,530号を参照のこと;抗体:A Laboratory Manual,前出もまた参照のこと)が挙げられる。
【0101】
このようなアッセイの代表的な実施形態は、米国特許第6,395,511号において提供される。簡単には、TGF−βスーパーファミリーのファミリーメンバーまたはTGF−β結合タンパク質は、最初に、固相に結合され、その後、候補分子が添加される。次いで、標識された、TGF−βスーパーファミリーのファミリーメンバーまたはTGF−β結合タンパク質がこのアッセイに添加され、固相が洗浄され、そして固体支持体上の結合したかまたは標識された、TGF−βスーパーファミリーメンバーまたはTGF−β結合タンパク質の量が決定される。本明細書中で記載されるような骨ミネラル含有量の増加における使用にとって適切な分子は、統計学的に有意な様式において、TGF−βスーパーファミリーのメンバーへのTGF−β結合タンパク質の結合を低下させる分子である。本発明の範囲内での使用にとって適切なアッセイは、本明細書中および米国特許第6,395,511号に記載される実施形態に限定される必要はない。特に、多数のパラメーターが、例えば、固相へのTGF−βの結合または全体的な固相の除去によって変化され得る。
【0102】
本発明の他の局面の範囲内で、選択分子が骨ミネラル含有量を増加し得るか否かを決定するための方法が提供され、この方法は、以下の工程を包含する:(a)TGF−βを発現する細胞に選択分子を曝露させる工程および(b)曝露された細胞由来のTGF−βの活性が、調節される否かを決定し、そしてこれらの決定から、この化合物が骨ミネラル含有量を増加し得るか否かを決定する工程。上記の方法と同様に、広範囲の方法が利用されて選択された試験化合物に起因するTGF−β結合タンパク質発現の変化が評価され得る。
【0103】
例えば、本発明の一局面の範囲内で、選択分子が骨ミネラル含有量を増加し得るか否かを決定するための方法が提供され、この方法は、以下の工程を包含する:(a)選択分子とTGF−β結合タンパク質およびTGF−βファミリーのタンパク質の選択されたメンバーとを混合する工程、(b)選択分子が、TGF−βファミリーのタンパク質のシグナリングをアップレギュレーションさせるか否か、またはTGF−βファミリーのタンパク質へのTGF−β結合タンパク質の結合を阻害するか否かを決定する工程。特定の実施形態の範囲内で、上記の分子は、間葉細胞分化の正のレギュレーターとして機能するTGF−βの能力を増強する。
【0104】
上記の方法と同様に、広範囲の方法が利用されて、選択された試験化合物に起因するTGF−βの刺激が評価され得る。1つのこのような代表的な方法は、以下の米国特許第6,395,511号において提供される(Durhamら,Endo.136:1374−1380もまた参照のこと)。
【0105】
本発明のなお他の局面の範囲内で、選択分子が骨ミネラル含有量を増加し得るか否かを決定するための方法が提供され、この方法は、選択分子がTGF−β結合タンパク質の骨またはこれらのアナログへの結合を阻害するか否かを決定する工程を包含する。本明細書中で利用されるように、骨またはこれらのアナログとは、ヒドロキシアパタイト、または骨、骨粉もしくはインタクトな骨の粉末形態からなる表面を言うと理解されるべきである。上記の方法と同様に、広範囲の方法が利用されて骨マトリックスに対するTGF−β結合タンパク質の局在が評価され得る。1つのこのような代表的な方法は、以下の米国特許第6,395,511号において提供される。
【0106】
本明細書中に記載される方法は、個々の試験分子の分析を言うのであり得、一方本発明は、そのように限定されるべきでないことが、注意されるべきである。特に、選択分子は、化合物の混合物内に含まれ得る。従って、記載される方法はさらに、TGF−β結合タンパク質のTGF−βファミリーメンバーへの結合を阻害する分子を単離する工程を包含し得る。
【0107】
(薬学的組成物)
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるアッセイおよび/あるいは細胞もしくは動物への組成物の投与、これらのいずれか単独、または治療の1種以上の他の様式との組合わせにおいて、1つ以上の、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、アンチセンスまたは本明細書中に開示される他の組成物の処方に関する。
【0108】
所望される場合、本明細書中に開示されるような組成物は、他の薬剤(例えば、他のタンパク質もしくはポリペプチドまたは他の種々の薬学的に活性な薬剤など)と組み合わせて投与され得ることが理解される。実際、さらなる薬剤が標的細胞もしくは宿主組織との接触に有意な有害な効果を引き起こさない場合、さらに含まれ得る他の成分に実質的に限定されない。従って、上記の組成物は、特定の場合に必要とされる場合、種々の他の薬剤と一緒に送達され得る。このような組成物は、宿主細胞または他の生物学的供給源から精製され得るか、あるいは本明細書中に記載されるとおり、化学的に合成され得る。同様に、このような組成物はさらに、置換または誘導体化された、RNA組成物またはDNA組成物を含有し得る。
【0109】
従って、本発明の別の局面において、生理学的に受容可能なキャリアと組み合わせて本明細書中に記載される1つ以上のポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび/または抗体の組成物を含有する薬学的組成物が、提供される。
【0110】
当業者に公知の任意の適切なキャリアが本発明の薬学的組成物中に使用され得、一方、キャリアの型が、代表的に、投与の様態に依存して変化する。本発明の組成物は、任意の適切な投与様式(例えば、局所的投与、経口投与、経鼻投与、粘膜投与、静脈内投与、頭蓋内投与、腹腔内投与、皮下投与および筋肉内投与が挙げられる)のために処方され得る。
【0111】
このような薬学的組成物の範囲内の使用についてのキャリアは、生体適合性であり、そしてまた生分解性でもあり得る。特定の実施形態において、上記の処方は、好ましくは、比較的定常レベルの活性成分放出を提供する。しかしながら、他の実施形態において、投与の際直ちに放出する、より速い速度が好ましくあり得る。このような組成物の処方は、十分に、公知の技術を使用する当業者のレベルの範囲内にある。この点において有用な例示的キャリアとしては、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストランなどの微粒子が挙げられる。他の例示的な遅延放出キャリアとしては、非液体の親水性コア(例えば、架橋された多糖またはオリゴ糖)を含む超分子バイオベクター(biovector)、および必要に応じて、両親媒性化合物(例えば、リン脂質)を含む外層が挙げられる(例えば、米国特許第5,151,254号ならびにPCT出願WO 94/20078、同WO/94/23701および同WO 96/06638を参照のこと)。持続放出処方物内に含まれる活性化合物の量は、移植の部位、放出速度および予想放出持続時間ならびに処方または防止される状態の性質に依存する。
【0112】
別の例示的な実施形態において、生分解性微粒子(例えば、ポリラクテートポリグリコレート)が、本発明の組成物のためのキャリアとして使用される。適切な生分解性微粒子は、例えば、米国特許第4,897,268号;同第5,075,109号;同第5,928,647号;同第5,811,128号;同第5,820,883号;同第5,853,763号;同第5,814,344号、同第5,407,609号および同第5,942,252号において開示される。改変されたB型肝炎コアタンパク質キャリアシステム(例えば、WO/9940934およびそこで引用された参考文献に記載されるもの)はまた、多くの適用にとって有用である。別の例示的なキャリア/送達システムは、粒子性タンパク質複合体を含むキャリア(例えば、米国特許第5,928,647号に記載されるキャリア)を使用し、このキャリアは、宿主においてクラスI拘束性細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得る。
【0113】
別の例示的な実施形態において、リン酸カルシウムコア粒子は、本発明の組成物のためのキャリアまたは制御された放出マトリックスとして使用される。例示的なリン酸カルシウム粒子は、例えば、公開特許番号WO/0046147において開示される。
【0114】
本発明の薬学的組成物は、多くの場合さらに、1種以上の緩衝液(例えば、中性緩衝化生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水)、糖質(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチドまたはアミノ酸(例えば、グリシン)、酸化防止剤、静菌薬、キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、レシピエントの血液と等張性、低張または弱い高張である処方物を与える溶質、懸濁剤、増粘剤および/または防腐剤を含有する。あるいは、本発明の組成物は、凍結乾燥物として処方され得る。
【0115】
種々の処置レジメン(例えば、経口、非経口的、静脈内、鼻腔内、および筋肉内の投与および処方を含む)において、本明細書中に記載される特定の組成物の使用にとって適切な投薬および処置レジメンの開発は、当該分野で周知であり、これらのいくつかは、例示の一般的目的の上で以下に簡単に考察される。
【0116】
特定の適用において、本明細書中で開示される薬学的組成物は、動物への経口投与を介して送達され得る。このような場合、これらの組成物は、不活性希釈剤または吸収可能な食用キャリアとともに処方され得るか、これらの組成物は、殻の固いカプセルまたは殻が軟らかいカプセル内に封入され得るか、これらの組成物は、錠剤へと加圧され得るか、またはこれらの組成物は、食物とともに直接取り込まれ得る。
【0117】
特定の状況において、本明細書中に開示される薬学的組成物を、非経口的、静脈内、筋肉内、またはさらに腹腔内に送達することが好ましい。このようなアプローチは、当業者に周知であり、これらのアプローチのいくつかは、さらに例えば、米国特許第5,543,158号;同第5,641,515号および同第5,399,363号に記載される。特定の実施形態において、遊離塩基または薬学的に受容可能な塩としての活性化合物の溶液は、界面活性物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合された水中で調製され得る。分散物はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物中ならびに油中で調製され得る。貯蔵および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、一般的に微生物の増殖を防止するための防腐剤を含有する。
【0118】
注射用の使用にとって適切な例示的薬学的形態としては、滅菌した注射用溶液および注射用分散物を即座に調製するための滅菌水溶液または滅菌分散物および滅菌粉末が挙げられる(例えば、米国特許第5,466,468号を参照のこと)。全ての場合において、上記の形態は、滅菌でなければならず、容易に注射が可能である程度までの流体でなければならない。上記の形態は、製造および貯蔵の状況下で安定でなければならず、微生物(例えば、細菌および真菌類)の混入作用に対して保護されなければならない。上記のキャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、これらの適切な混合物、および/もしくは植物油を含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性が、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用、分散物の場合に必要な粒子サイズの維持および/または界面活性物質の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって容易になり得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注射用組成物の持続性吸収は、組成物中の吸収遅延剤(例えば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチン)の使用によってもたらされ得る。
【0119】
一実施形態において、水溶液における非経口投与のために、上記の溶液は、必要な場合適切に緩衝化されなければならず、そして最初に十分な生理食塩水またはグルコースで上記の液体希釈剤に等張性を与えなければならない。これらの特定の水溶液は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与および腹腔内投与に特に適している。この点において、使用され得る滅菌水溶性媒体は、本開示の点で当業者に公知である。例えば、1回投薬量は、1mlの等張性NaCl溶液中に溶解され得、そして1000mlの皮下注入流体への添加か、または注入の予定部位での注射のいずれかがなされ得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第15版(編),pp.1035−1038および1570−1580を参照のこと)。投薬量におけるいくつかの変更は、処置される被験体の状態に依存して必然的に行われる。さらにヒト投与のために、調製物は当然、好ましくは、生物製剤規格の食品医薬品庁によって要求されるような無菌性、発熱性、および一般的安全性規格および純度規格を満たす。
【0120】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に開示される組成物は、中性形態または塩形態で処方され得る。例示的な薬学的受容可能な塩としては、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が挙げられ、この酸付加塩は、無機塩(例えば、塩酸もしくはリン酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸)などで形成される。遊離のカルボキシル基で形成される塩基はまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄(III))および有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン)などに由来し得る。処方の際、溶液は、投薬処方物と適合する様式かつ治療上有効な量で投与される。
【0121】
キャリアはさらに、任意の全ての溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤、緩衝剤、キャリア溶液、懸濁液、コロイドなどを含み得る。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤の範囲が、活性成分と不適合である場合を除いて、治療組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性成分はまた、組成物中に組み込まれ得る。語句「薬学的に受容可能な」とは、ヒトに投与される場合にアレルギーもしくは類似の有害反応を生じない分子実体または組成物を言う。
【0122】
特定の実施形態において、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、脂質粒子、小胞などは、本発明の組成物を適切な宿主細胞/生物体内へ導入するために使用される。特に、本発明の組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフィア(nanosphere)、またはナノ粒子などのいずれかの中にカプセル化されて送達するために処方され得る。あるいは、本発明の組成物は、このようなキャリアビヒクルの表面に共有結合的または非共有結合的のいずれかで結合され得る。
【0123】
潜在的薬物キャリアとしてのリポソームおよびリポソーム様調製物の形成および使用は、一般的に、当業者に公知である(例えば、Lasic,Trends Biotechnol.16(7):307−21,1998;Takakura,Nippon Rinsho 56(3):691−95,1998;Chandranら,Indian J.Exp.Biol.35(8):801−09,1997;Margalit,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.12(2−3):233−61,1995;米国特許第5,567,434号;同第5,552,157号;同第5,565,213号;同第5,738,868号および同第5,795,587号(これらの各々の全体が、本明細書中で具体的に参考として援用される)を参照のこと)。
【0124】
リポソームは、他の手順によってトランスフェクトすることが通常難しい多くの細胞の型(T細胞懸濁液、初代肝細胞培養物およびPC12細胞が挙げられる)で首尾よく使用されている(Renneisenら,J.Biol.Chem.265(27):16337−42,1990;Mullerら,DNA Cell Biol.9(3):221−29,1990)。さらにリポソームは、ウイルスベースの送達系に典型的であるDNA長の束縛がない。リポソームは、遺伝子、種々の薬物、放射線治療剤、酵素、ウイルス、転写因子、アロステリックエフェクターなどを、種々の培養細胞株および動物に効率的に導入するために使用されている。さらに、リポソームの使用は、全身性送達後の自己免疫応答または受容不可能な毒性と関連するようではない。
【0125】
特定の実施形態において、リポソームは、水溶性媒体中に分散され、そして多重膜同心性二重膜小胞(多重膜小胞(MLV)とも呼ばれる)を自発的に形成するリン脂質から形成される。
【0126】
あるいは、他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物の薬学的に受容可能なナノカプセル処方物を提供する。ナノカプセルは、概して、安定かつ再現可能な方法で化合物を閉じ込め得る(例えば、Quintanar−Guerreroら,Drug Dev.Ind.Pharm.24(12):1113−28,1998を参照のこと)。細胞内ポリマーの過剰ローディングに起因する副作用を避けるために、このような超微細粒子(約0.1μmの大きさ)が、インビボで分解され得るポリマーを使用して設計され得る。このような粒子は、例えば、Couvreurら,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.5(1):1−20,1988;zur Muhlenら,Eur.J.Pharm.Biopharm.45(2):149−55,1998;Zambauxら,J.Controlled Release 50(1−3):31−40,1998;および米国特許第5,145,684号によって記載されるように作製され得る。
【0127】
(処置方法)
本発明はまた、骨のミネラル含有量およびミネラル密度を増加するための方法を提供する。簡単には、多数の状態が、骨ミネラル含有量の損失に起因し、これらの状態としては、例えば、疾患、遺伝性素因、骨の使用不足に起因するアクシデント(例えば、骨折による)、骨の再吸収に影響するか、または骨形成細胞を殺す治療法および通常の老化が挙げられる。TGF−βファミリーメンバーへのTGF−β結合タンパク質の結合を阻害する本明細書中に記載される分子の使用を通じて、このような状態は、処置され得るかまたは防止され得る。本明細書中で利用されるように、骨ミネラル含有量が、選択部位で統計学的に有意な様式で(例えば、標準偏差の半分よりも大きく)増加する場合、骨ミネラル含有量は、増加することが理解されるべきである。
【0128】
骨ミネラル含有量の損失に起因する広範囲の状態は、本明細書中で記載される分子で処置され得る。このような状態の患者は、周知の技術(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,McGraw−Hill,Inc.を参照のこと)を利用する臨床診断を介して同定され得る。処置され得る疾患の代表的な例としては、骨の異常な成長または発生が存在する形成異常が挙げられた。このような状態の代表的な例としては、軟骨無形成症、鎖骨頭蓋骨形成不全、内軟骨腫症、線維性骨形成異常、ゴーシェ病、低リン酸血症性くる病、マルファン症、遺伝性多発性外骨腫症(exotoses)、神経線維腫症、骨形成不全、大理石骨病、オステオポイキリー、硬化性病変、骨折、歯周疾患、偽関節および化膿性骨髄炎が挙げられる。
【0129】
処置されるかまたは防止される他の状態としては、オステオペニアの広範囲の原因(すなわち、1標準偏差よりも大きい骨ミネラル含有量または青年時代のピークの骨ミネラル含有量未満の密度を引き起こす状態)が挙げられる。このような状態の代表的な例としては、貧血性状態、ステロイドにより引き起こされる状態、ヘパリンによって引き起こされる状態、骨髄障害、壊血病、栄養失調、カルシウム不足、特発性骨粗鬆症、先天性のオステオペニアまたは骨粗鬆症、アルコール症、慢性肝臓疾患、老衰、閉経後の状態、希発月経、無月経、妊娠、糖尿病、甲状腺機能亢進症、クッシング病、先端巨大症、性腺機能低下症、不動化または非活動、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、一過性局所性骨粗鬆症および骨軟化症が挙げられる。他の状態としては、骨の減少(例えば、慢性関節リウマチ)と関連する炎症性状態が挙げられる。
【0130】
本発明の一局面の範囲内で、骨ミネラル含有量または骨ミネラル密度は、TGF−βファミリーメンバーへのTGF−β結合タンパク質の結合を阻害する分子の治療上有効な量を温血動物に投与することによって増加され得る。処置され得る温血動物の例としては、脊椎動物および哺乳動物(例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ラットおよびマウスが挙げられる)の両方が挙げられる。治療上の分子の代表的な例としては、リボザイム、リボザイム遺伝子、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗体(例えば、ヒト化抗体)が挙げられる。
【0131】
本発明の一局面の範囲内で、骨密度を増加させるための方法が提供され、この方法は、TGF−βファミリーメンバーへのTGF−β結合タンパク質の結合を阻害する分子の発現を指向するベクターを骨にホーミングする細胞内に導入する工程、およびこのベクターを含む細胞を温血動物に投与する工程を包含する。簡単には、骨にホーミングする細胞は、患者の骨(例えば、骨髄細胞から得られる細胞(例えば、CD34+、骨芽細胞、骨細胞))、末梢血、または培養物から直接得られ得る。
【0132】
TGF−βファミリーメンバーへのTGF−β結合タンパク質の結合を阻害する分子の発現を指向するベクターは、上記の細胞内に導入される。適切なベクターの代表的な例としては、ウイルスベクター(例えば、ヘルペスウイルスベクター(例えば、米国特許第5,288,641号)、アデノウイルスベクター(例えば、WO 94/26914,WO 93/9191;Kollsら,PNAS 91(1):215−219,1994;Kass−Eislerら,PNAS 90(24):11498−502,1993;Guzmanら,Circulation 88(6):2838−48,1993;Guzmanら,Cir.Res.73(6):1202−1207,1993;Zabnerら,Cell 75(2):207−216,1993;Liら,Hum Gene Ther.4(4):403−409,1993;Caillaudら,Eur.J.Neurosci.5(10:1287−1291,1993;Vincentら,Nat.Genet.5(2):130−134,1993;Jaffeら,Nat.Genet.1(5):372−378,1992;およびLevreroら,Gene 101(2):195−202,1991)、アデノ随伴ウイルスベクター(WO 95/13365;Flotteら,PNAS 90(22):10613−10617,1993)、バキュロウイルスベクター、パルボウイルスベクター(Koeringら,Hum.Gene Therap.5:457−463,1994)、ポックスウイルスベクター(PanicaliおよびPaoletti,PNAS 79:4927−4931,1982;ならびにOzakiら,Biochem.Biophys.Res.Comm.193(2):653−660,1993)、およびレトロウイルス(例えば、EP 0,415,731;WO 90/07936;WO 91/0285,WO 94/03622;WO 93/25698;WO 93/25234;米国特許第5,219,740号;WO 93/11230;WO 93/10218))が挙げられる。種々のウイルスまたは非ウイルス性供給物由来の種々のエレメント(例えば、プロモーター、エンベロープ配列など)の混合物を含むウイルスベクターが、同様に構築され得る。種々の実施形態の範囲内で、ウイルスベクター自体またはウイルスベクターを含むウイルス粒子のいずれかが、以下に記載される方法および組成物において利用され得る。
【0133】
本発明の他の実施形態の範囲内で、TGF−βファミリーメンバーへのTGF−β結合タンパク質の結合を阻害する分子をコードする核酸分子自体が、種々の技術によって投与され得、これらの技術としては、例えば、ポリ−L−リジンDNA複合体で結合体化されたアシアロオソムコイド(ASOR)の投与(Cristanoら,PNAS 92122−92126,1993)、殺傷アデノウイルスに連結されたDNA(Curielら,Hum.Gene Ther.3(2):147−154,1992)、サイトフェクチン(cytofectin)媒介性導入(DMRIE−DOPE,Vical,California)、直接DNA注射(Acsadiら,Nature 352:815−818,1991);DNAリガンド(Wuら,J.of Biol.Chem.264:16985−16987,1989);リポフェクション(Felgnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7417,1989);リポソーム(Pickeringら,Circ.89(1):13−21,1994;およびWangら,PNAS 84:7851−7855,1987);微粒子銃(Williamsら,PNAS 88:2726−2730,1991);ならびにタンパク質自体をコードする核酸またはタンパク質単独のいずれかの直接的送達(VileおよびHart,Cancer Res.53:3860−3864,1993),またはPEG−核酸複合体を利用することが挙げられる。
【0134】
本発明のベクターによって発現され得る分子の代表的な例としては、リボザイムおよびアンチセンス分子が挙げられ、これらの各々が、上記でより詳細に考察される。
【0135】
骨ミネラル含有量の増加の決定は、X線の使用(例えば、Dual Energy X−ray Absorptometryまたは「DEXA」)を介して直接決定され得るか、または骨ターンオーバーマーカー(骨芽細胞特異的アルカリホスファターゼ,オステオカルシン,1型プロコラーゲンC’プロペプチド(PICP),および総アルカリホスファターゼ;Comier,C.,Curr.Opin.in Rheu.7:243,1995を参照のこと)もしくは骨再吸収のマーカー(ピリジノリン(pyridinoline),デオキシピリジノリン,N−テロペプチド,尿のヒドロキシプロリン,血漿タートレート−耐性酸ホスファターゼおよびガラクトシルヒドロキシリジン;Comier,前出を参照のこと)を介して推論によって決定され得る。骨質量はまた、体重から計算され得るか、または他の方法(Guinness−Hey,Metab.Bone Dis.and Rel.Res.5:177−181,1984を参照のこと)を利用して計算され得る。
【0136】
当業者に明らかなように、投与の量および頻度は、当然、処置される徴候、所望の応答、患者の状態などの性質および重篤度のような因子に依存する。代表的に、組成物は、上記のような種々の技術によって投与され得る。
【0137】
以下の実施例は、例示的かつ非限定的な目的で提供される。
【実施例】
【0138】
(実施例1)
(TGF−β結合タンパク質に対するリガンドの同定)
sclerostinタンパク質またはBeerタンパク質として公知のTGF−β結合ポリペプチドについてのポリペプチド配列は、以前に記載されており、同様に、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そして関連組成物ならびに単離された組換えsclerostinタンパク質および組換えBeerタンパク質を調製するための方法が記載されている(例えば、米国特許第6,395,511号;同第6,489,445号;同第6,495,736号)。sclerostin(「Beer」)タンパク質結合とTGF−βスーパーファミリーメンバーであるBMP−5およびBMP−6との相互作用は、上記のとおり、以前に実証された。
【0139】
本実施例は、表面プラズモン共鳴(例えば、Iemuraら,1998 Proc.Nat.Acad.Sci.USA 95:9337)を使用して、TGF−β結合タンパク質(sclerostin)と、骨形態形成タンパク質(BMP;例えば、Schmittら,1999 J.Orthopaed.Res.17:269)のアンタゴニストタンパク質であるchordin(例えば、配列番号19〜20)およびnoggin(例えば、配列番号17〜18)のいずれかとのタンパク質複合体の特異的会合の実証を記載する。chordin(例えば、Reddiら,2001 Arthritis Research 3:1;Oelgeschlagerら,2000 Nature 405:757),シスチンノット(cyctine knot)タンパク質(例えば、noggin)(例えば、Groppeら,2002 Nature 420:636),および異なるDANファミリーのタンパク質(DAN、CerberusおよびGremlinが挙げられる;例えば、Hsuら,1998 Mol.Cell 1:673)は、細胞外で作用する分泌BMPアンタゴニストタンパク質の3つの一般的分類を表す(例えば、Balemansら,2002 Dev.Biol.250:231)。ヒトsclerostin(Beer)と、Cerberus、DANおよびGremlinとのアミノ酸配列のアラインメントは、4つのタンパク質間で非常に類似したシステイン骨格であるにもかかわらず、その他の点でsclerostinは、DANファミリーメンバーとわずかな相同性しか示さなかったことを示した(図1;米国特許第6,395,511号もまた参照のこと)。
【0140】
(スクレロスチン−BMP相互作用の表面プラズモン共鳴(Biacore)分析)
組換えBMPタンパク質(R & D Systems,Inc.,Minneapolis, MN)を、1mg/ml RIAグレードBSA(Sigma)および1mg/mlカルボキシル−メチルデキストラン(Fluka)を含むPBS(pH7.3)中に100μg/mlの濃度まで水和させた。Biacore分析用のランニング緩衝液は、HBS−EP CMD(10mM HEPES,150mM NaCl,3mM EDTA,0.005%ポリソルベート20,および1mg/mlカルボキシル−メチルデキストラン)であった。動力学的分析のために、チップ製造者によって推奨されるように、200応答単位および400応答単位の精製したヒトsclerostin−FLAG(登録商標)融合タンパク質(「FLAG(登録商標)−Beer」、米国特許第6,395,511号に記載されるように調製)を用いてCM5センサーチップ(Biacore)を作製した。BMPタンパク質を、ランニング緩衝液中に希釈し、Biacore 3000装置を使用してセンサーチップ上にインジェクトした。Bia−evaluationソフトウェア(Biacore)を使用して非官能化フローセルにおけるバックグランド結合を最初に補正し、そしてオン/オフ比について生じた結合曲線を分析することによって、上記のデータを処理した。
【0141】
競合実験のために、センサーチップ上にインジェクトする前に、BMPを、BMP結合抗体、BMPアンタゴニストタンパク質(DAN、ノギン、コーディン、またはTwisted gastrulation)、もしくはBMPレセプターFc融合タンパク質(R & D systemsからのsclerostinを除いて、全ての組換えタンパク質)と、または緩衝液のみと混合した。次いで、これらの混合物を、sclerostin(200RU)−官能化センサーチップ上にインジェクトした。Bia−evaluationソフトウェアを使用して、生じた表面プラズモン共鳴曲線を、競合タンパク質なしでインジェクトしたBMPで生じた表面プラズモン共鳴曲線および無関係のコントロールタンパク質とともにインジェクトしたBMPで生じた表面プラズモン共鳴曲線と比較した。
【0142】
(スクレロスチン−ノギンおよびスクレロスチン−コーディン相互作用)
Biacore分析用のランニング緩衝液は、HBS−EP CMD(10mM HEPES,150mM NaCl,3mM EDTA,0.005%ポリソルベート20,および1mg/mlカルボキシル−メチルデキストラン)であった。動力学的分析のために、チップ製造者によって推奨されるように、200応答単位および400応答単位の精製したヒトsclerostin−Flagを用いてCM5センサーチップ(Biacore)を作製した。ノギン−Fc融合タンパク質およびchordinを、ランニング緩衝液中に希釈し、Biacore装置を使用してsclerostinチップ上にインジェクトした。Bia−evaluationソフトウェアを使用して非官能化フローセルにおけるバックグランド結合を最初に補正し、そしてオン/オフ比について生じた結合曲線を分析することによって、上記のデータを処理した。
【0143】
抗ヒトFC抗体で官能化したCM5 Biacoreチップにnoggin−Fc融合タンパク質を結合させることにより、nogginへのsclerostinの結合を調べるための表面プラズモン共鳴アッセイを行った。この形式でのnogginへのsclerostinの結合は、ノギンがsclerostinで官能化したCM5 Biacoreチップへ結合した場合に見られる動力学と類似した動力学を有した。
【0144】
(表面プラズモン共鳴(BiacoreTM)を使用したsclerostin−noggin相互作用およびsclerostin−chordin相互作用の阻害についてのスクリーニング)
BiacoreTM分析用のランニング緩衝液は、HBS−EP CMD(10mM HEPES,150mM NaCl,3mM EDTA,0.005%ポリソルベート20,および1mg/mlカルボキシル−メチルデキストラン)であった。動力学的分析のために、製造者によって推奨されるように、200応答単位および400応答単位の精製したヒトsclerostin−FLAG(登録商標)を用いてCM5センサーチップ(Biacore)を作製した。Biacoreコマンド「コインジェクト(coinject)」を、第二の候補相互作用タンパク質のインジェクションの前に飽和量の第一のsclerostin相互作用タンパク質(BMP、noggin、chordin、または抗スクレロスチン抗体)をインジェクトするために使用した。1つの相互作用タンパク質が別のものと競合的であるか否かを決定するために、第二のタンパク質をインジェクトしたタンパク質の結合曲線(これは、両方のタンパク質を組み合わせた結合曲線から第一のタンパク質の結合曲線を差し引くことによって得られる)を、ランニング緩衝液をインジェクトした後に単独でインジェクトした場合の第二のタンパク質の結合曲線と比較した。この結合曲線が類似している場合、上記のタンパク質は、チップ固定化sclerostinポリペプチドに競合的に結合しなかった。チップへの第一のタンパク質の結合の後、第二のタンパク質の結合曲線が非常に減少した場合、上記のタンパク質を競合的であるとみなした。
【0145】
(免疫沈降)
抗FLAG(登録商標)M2アガロースビーズ(Sigma,St.Louis,MO)を、4μgのsclerostin−FLAGの存在下または非存在下での1時間のインキュベーションの前に、IP緩衝液(20mM Tris,pH 7.6,150mM NaCl,1mM EDTA,1% Triton−X 100,1.4mMβ−メルカプトエタノール,10%グリセロール)で3回洗浄した。非結合のsclerostin−FLAGを、IP緩衝液で洗浄することによって除去した。ビーズおよびチューブを、PBS中5% BSAと30分インキュベートすることによって非特異的な結合を阻止するためにブロッキングした。ノギン Fc融合タンパク質を、製造者の取扱説明書に従って再水和し、IP緩衝液中に希釈し、10分間4℃の微量遠心管で遠心して凝集タンパク質を除去した。noggin溶液を、sclerostin−FLAGとともにかまたはなしでビーズに添加し、4℃で2時間から一晩インキュベートした。免疫沈降物を、SDS PAGEローディング緩衝液を添加する前にIP緩衝液で5回洗浄した。このサンプルを、10〜20%勾配Tris−グリシン SDS PAGEゲル(Novex)で分析し、ニトロセルロースに転写し、そして抗ヒト−Fc抗体でウエスタンブロットを発色した。
【0146】
(結果)
固定化したsclerostinポリペプチドを用いた表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6およびBMP−7のsclerostinへの結合は、以前に決定された(例えば、米国特許第6,395,511号)ようなsclerostin(「Beer」)とのBMP結合相互作用に一致して、低いナノモル濃度の範囲(<10〜15nM)の結合定数(K)を有する各結合相互作用で検出された。図6は、チップ固定化ヒトsclerostin−FLAG(登録商標)融合タンパク質、およびチップ固定化ポリヒスチジンタグ化ラットsclerostinへのヒトBMP−6の結合をSPRで実証したことを示す。図7において、SPRを使用して、いくつかのモノクローナルおよびポリクローナルの抗BMP−6抗体のチップ固定化sclerostinへのBMP−6の結合をブロックする相対的能力を比較した。固定化sclerostinへのBMP−6の結合についてのSPRアッセイを使用して、sclerostinへのBMP−6の結合をブロックし得る抗sclerostin抗体についてスクリーニングした。チップ固定化sclerostinに結合させるための十分な時間の間かつ条件下でSPR装置内に候補抗体を最初にインジェクトした。次いでBMP−6をインジェクトし、図8に示すとおり、BMP−6がsclerostinに結合する能力を評価した。
【0147】
SPRアッセイを、チップ固定化組換えヒトsclerostin(Beer)および段階的濃度の組換えマウスchordinまたは組換えマウスnogginのインジェクションを使用して行った場合、図2に示すとおり、BMPアンタゴニストタンパク質(chordinおよびnoggin)の各々がsclerostinに結合することを観察した。chordin−sclerostin結合についてのKは、1.76nM(図2A)であり;noggin−sclerostin結合についてのKは、2.92nM(図2B)であった。SPRアッセイにおいて、チップ固定化sclerostinへ結合させるための十分な時間のかつ条件下でSPR装置内にポリクローナル抗sclerostin抗体を最初にインジェクトすることによって、noggin(図9A)またはchordin(図9B)のいずれかによるsclerostinへの結合は、阻害された。
【0148】
FLAG(登録商標)タグ化sclerostinでプレローディングし、洗浄し、次いでnoggin−Fc融合タンパク質に曝露させた抗−FLAG(登録商標)ビーズを用いた免疫沈降によって、独立的な方法論によるsclerostinへのnogginの結合の確認を成し遂げた。図3に示すように、noggin融合タンパク質は、FLAG(登録商標)−sclerostinでプレローディングした沈降ビーズにおいて抗Fcを使用したウエスタンイムノブロットによって検出可能であったが、nogginは、緩衝液のみで偽プレローディングした沈降ビーズにおいて検出されなかった。
【0149】
BMPアンタゴニストであるnogginおよびchordinが、sclerostinへの結合についてBMPと競合するか否かを決定するために、BMP−6およびBMPアンタゴニストを用いて、これらを経時的にsclerostinへ曝露する(図4A)かまたは事前混合工程の後(図4B)にチップ固定化sclerostinを使用したSPRアッセイを行った。図4Aに示すように、nogginをインジェクトする前に流体相のBMP−6で固定化sclerostinを飽和することにより、sclerostinへのnogginの結合を阻止した。この結果は、sclerostinへのBMP−6およびnogginの競合的結合を示唆する。図4Bは、nogginが単独でチップ固定化sclerostinに結合し、一方インジェクトする前のnogginとBMP−6とのプレインキュベーションは、sclerostinへのいずれかのタンパク質のわずかしか検出可能でない結合を生じることを示す。図5Aに示すとおり、chordin単独またはBMP−6インジェクト後の経時的にchordin単独のsclerostinへの相対的結合を比較することによって、同様の結果が得られ、飽和量のBMP−6がインジェクトされる前に、引き続いてインジェクトされるchordinのsclerostinへの結合が阻止された。図5Bは、事前混合の実験の結果を示す。供給者(R & D Systems)から入手されるような、使用した組換えマウスchordinのビーズ固定化sclerostinを用いた免疫沈降分析は、chordin由来のポリペプチド分解産物の範囲(しかし明らかに、インタクトな全長chordinポリペプチドではない(約100kDa))は、回収可能な特異的に結合したsclerostinリガンドとして(抗chordin抗体を使用したウエスタンブロットによって)検出され得ることが示された。変性ゲル電気泳動において約25kDa、ならびにより小さいおよびより大きいポリペプチドの範囲の質量に移動した種は、回収したchordin由来のポリペプチドの1種であった。ビーズ固定化sclerostinに特異的に結合したnogginポリペプチドを特徴づけるための同様の免疫沈降分析は、非分解性(例えば、全長)nogginが、sclerostinリガンドとして回復され得ることを示した。
【0150】
BMP−6活性の細胞ベースのアッセイにおいて、C3H10T細胞またはC3H10T1/2細胞において誘導性のアルカリホスファターゼ活性を決定することによって測定される場合(例えば、Ahrensら,1993 DNA Cell Biol.12(10):871)、chordinは、BMP−6によるホスファターゼの誘導をブロックし得た。さらに別にnogginは、抗sclerostin抗体とsclerostin過剰発現の骨肉腫細胞株由来の溶解物とを反応させることによって調製される免疫沈降物において検出された。
【0151】
(実施例2)
(間葉細胞細胞アッセイ)
誘導性骨芽前駆細胞と呼ばれる多能性の間葉/間質細胞の小さい集団を誘導して、骨芽細胞に分化させ得た(Pittenger,MFら,Science,284:143(1999))。これらの誘導性骨芽前駆細胞は発達して、規定の経時的様式において、特定の表現型マーカーを発現する(Pockwinse,Sら,1992 J Cell Biochem 49:310;Lian,JBら、1999 Primer on the Metabolic Bone Diseases and Disorders of Mineral Metabolism,第4版,MJ Favus(編),Lippincott,Philadelphia,14頁)。骨芽前駆細胞は、I型コラーゲンを発現し、一方、関係する前骨芽細胞および骨芽細胞は、骨芽細胞系統の細胞で代表的に同定される多くの表現型マーカーを発現する。これらのマーカーとしては、I型コラーゲン、アルカリホスファターゼ、副甲状腺ホルモンレセプター(PTHr)およびオステオポンチンが挙げられる。骨芽細胞分化の末期において、骨細胞は、ミネラルの沈着物ならびにCD44およびオステオカルシンなどのマトリックスタンパク質によってとり囲まれる。従って、骨芽前駆細胞の成熟骨芽細胞への発生、増殖および分化は、規定された、時間依存的な様式で生じる(Pockwinse,Sら,1992 J Cell Biochem 49:310)。
【0152】
初代ヒト間葉細胞、初代ヒト骨芽細胞およびそれに対応する培地は、Biowhittaker(Walkersville,MD)から市販されている。マウス間葉C3H10T1/2細胞は、American Type Culture Collection(Manassas,VA)(ATCC寄託番号CCL−226)から市販されている。未成熟の骨芽細胞が分化し、そして鉱質化し得る場合、未成熟の骨芽細胞は、骨芽細胞の表現型と関連のあるマーカー(I型コラーゲンおよび副甲状腺ホルモンレセプター(PTHr))を発現する。分化が起きたが否かを確認するために、これらのマーカーを使用した。ヒト間葉細胞および初代ヒト骨芽細胞を、2% FCSを含む標準増殖培地中に10,000細胞/cmの密度でプレートした。次の日に試験試薬を単独または組み合わせて添加した。24〜120時間、培養を続け、その後RNAを単離するために細胞を回収した。無処置のhMSC細胞は、I型コラーゲンを強く発現し、PTHrおよびSOSTは無視し得るレベルであった。このような結果は、未処置のhMSC細胞は、骨芽細胞系統の初期の段階であるが、骨芽細胞形成(osteoblastogenesis)に関係することを示す。これらの細胞をDEX、骨形態形成タンパク質、IGF−1(50ng/mlでのIGF−1)または骨芽細胞誘導性培地での長期培養物で処理することは、分化の段階を進行させ、PTHr発現を誘導する。
【0153】
本明細書で同定した薬剤の、ヒト間葉細胞に対する効果を決定するために、hMSC細胞を、骨芽細胞誘導培地中に10,000細胞/cmの密度で96ウェル組織培養ディッシュにプレートする。上記の薬剤を適切なビヒクル内で調製し、等量のSf9馴化培地(コントロール)を、プレート後の種々の時間(1日、8日、15日、または21日)にhMSC細胞の培養物に添加する。骨芽細胞分化に対するこの薬剤の効果を、アルカリホスファターゼ活性(ALP,0.5% NP−40および10mM p−ニトロフェニルホスフェートを含むDEAA緩衝液(Pierce)を使用して細胞層において決定される)、コラーゲンI型の合成(Prolagen C ELISA)、および鉱質化に関するカルシウム沈着(細胞層の酸性溶解物の比色分析,Sigma)を測定することによって評価する。
【0154】
本明細書で同定した薬剤のマウス間葉C3H10T1/2細胞に対する効果を決定するために、C3H10T1/2細胞(ATCC寄託番号CCL−226)を、完全増殖培地(10% FCS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、55μMβ−メルカプトエタノール、および20mM HEPES、pH 7.3で補充した、高グルコースおよびグルタミンを含むDMEM)中に1ウェル当たり25,000細胞の密度で96ウェルディッシュにプレートする。C3H10T1/2細胞を、短期間(72時間)アッセイにおいて使用して、BMP誘導性ALP活性に対する薬剤の効果を決定し得る。この薬剤を適切なビヒクル内で調製し、等量のSf9馴化培地(コントロール)を、細胞に添加する前の1時間、500ng/mlのBMP−6とともにプレインキュベートする。比較するために、抗BMP−6抗体およびnogginとともに同様のインキュベーションを行った。ALP活性を決定するために、72時間後、細胞を回収する。
【0155】
以上から、本発明の特定の実施形態は、例示の目的のために本明細書中に記載されており、種々の改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲により限定される場合を除いて、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、ヒトDan;ヒトGremlin;ヒトCerberusおよびヒトBeerのアミノ酸配列を比較する様式図である。矢印は、システイン主鎖を示す。
【図2】図2は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定される、組み換えヒトスクレロスチンへのBMPアンタゴニストであるコーディン(図2A)およびノギン(図2B)の結合を示す。
【図3】図3は、免疫沈降アッセイにおけるスクレロスチンへのBMPアンタゴニストノギンの結合を示す。
【図4】図4は、BMP−6およびノギンによるスクレロスチンへの競合結合を示す。
【図5】図5は、BMP−6およびコーディンによるスクレロスチンへの競合結合を示す。
【図6】図6は、ヒトスクレロスチンおよびラットスクレロスチンへのヒトBMP−6の結合を示す。
【図7】図7は、スクレロスチンへのBMP−6の結合に対する抗BMP−6抗体の効果を示す。
【図8】図8は、スクレロスチンとのBMP−6結合相互作用の阻害についての抗スクレロスチン抗体のスクリーニングを示す。
【図9】図9は、ノギンまたはコーディンのいずれかによるスクレロスチン結合に対するポリクローナル抗スクレロスチン抗体による阻害を示す。
【配列表】














【特許請求の範囲】
【請求項1】
特異的会合においてTGFβ結合タンパク質およびBMPアンタゴニストタンパク質を含む単離された複合体であって、ここで:
(i)該TGFβ結合タンパク質は、BMP−5ポリペプチドおよびBMP6−ポリペプチドからなる群より選択される第1のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに特異的に結合し得るスクレロスチンポリペプチドを含み、そして
(ii)該BMPアンタゴニストタンパク質は、コーディンポリペプチドおよびノギンポリペプチドからなる群より選択され、該BMPアンタゴニストタンパク質は、BMP−2ポリペプチド、BMP−4ポリペプチドおよびBMP−7ポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1つの第2のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに特異的に結合し得、
また、ここで、該複合体は、該第1のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに結合し得ない、複合体。
【請求項2】
特異的会合における第1および第2のTGFβ結合タンパク質を含む単離された複合体であって、ここで;
(a)該第1のTGFβ結合タンパク質は、第1のコグネイトリガンドである第1のTGFβスーパーファミリーメンバーに結合し得;そして
(b)該第2のTGFβ結合タンパク質は、第2のコグネイトリガンドである第2のTGFβスーパーファミリーメンバーに結合し得;
ここで、該複合体は、第1のコグネイトリガンドに結合し得ない、複合体。
【請求項3】
特異的会合における第1および第2のTGFβ結合タンパク質を含む単離された複合体であって、ここで;
(a)該第1のTGFβ結合タンパク質は、第1のコグネイトリガンドである第1のTGFβスーパーファミリーメンバーに結合し得;そして
(b)該第2のTGFβ結合タンパク質は、第2のコグネイトリガンドである第2のTGFβスーパーファミリーメンバーに結合し得;
ここで、該複合体は、該第1および該第2のコグネイトリガンドのいずれにも結合し得ない、複合体。
【請求項4】
請求項3に記載の複合体であって、前記第1のTGFβ結合タンパク質が、スクレロスチンポリペプチドを含み、前記第1のコグネイトリガンドが、BMP−2、BMP−4、BMP−5、BMP−6およびBMP−7からなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドであり、ここで、第2のTGFβ結合タンパク質が、コーディンポリペプチドを含み、前記第2のコグネイトリガンドが、BMP−2、BMP−4およびBMP−7からなる群より選択されるポリペプチドである、複合体。
【請求項5】
請求項3に記載の複合体であって、前記第1のTGFβ結合タンパク質が、スクレロスチンポリペプチドを含み、前記第1のコグネイトリガンドが、BMP−5およびBMP−6からなる群より選択されるポリペプチドであり、ここで、前記第2のTGFβ結合タンパク質が、ノギンポリペプチを含み、前記第2のコグネイトリガンドが、BMP−2、BMP−4、BMP−7、およびGDF−5からなる群より選択されるポリペプチドである、複合体。
【請求項6】
TGFβ結合タンパク質とBMPアンタゴニストタンパク質との間の結合を調節する薬剤を同定するための方法であって、該方法が以下の工程:
(a)候補薬剤の非存在下および存在下で、TGFβ結合タンパク質とBMPアンタゴニストタンパク質の特異的会合を可能にし、請求項1に記載の複合体を形成するために十分な条件と時間のもとで、該TGFβ結合タンパク質と該BMPアンタゴニストタンパク質を接触させる工程;および
(b)存在する複合体のレベルを決定する工程であって、ここで、該候補薬剤の非存在下でのレベルと比較した該候補薬剤の存在下での複合体のレベルの差違は、該薬剤が該TGFβ結合タンパク質と該BMPアンタゴニストタンパク質との間の結合を調節することを示す工程、
を包含する方法。
【請求項7】
第1のTGFβ結合タンパク質と第2のTGFβ結合タンパク質との間の結合を調節する薬剤を同定するための方法であって、該方法が以下の工程:
(a)候補薬剤の非存在下および存在下で、第1のTGFβ結合タンパク質と第2のTGFβ結合タンパク質との特異的会合を可能にして、請求項2〜5のいずれか1項に記載の複合体を形成するために十分な条件と時間のもとで、該第1のTGFβ結合タンパク質と該第2のTGFβ結合タンパク質を接触させる工程;および
(b)存在する複合体のレベルを決定する工程であって、ここで、該候補薬剤の非存在下でのレベルと比較した該候補薬剤の存在下での複合体のレベルの差違は、該薬剤が該第1のTGFβ結合タンパク質と該第2のTGFβ結合タンパク質との間の結合を調節することを示す工程、
を包含する方法。
【請求項8】
請求項6または7のいずれかに記載の方法であって、前記候補薬剤が、複合体を形成するためにタンパク質の特異的会合を減少させる、方法。
【請求項9】
請求項6または7のいずれかに記載の方法であって、前記候補薬剤が、複合体を形成するためにタンパク質の特異的会合を増加させる、方法。
【請求項10】
請求項6または7のいずれかに記載の方法であって、前記候補薬剤が、複合体を形成するためにタンパク質の特異的会合を安定化させる、方法。
【請求項11】
請求項6または7のいずれかに記載の方法であって、前記候補薬剤が、有機分子、天然物、ペプチド、オリゴ糖、核酸、脂質、抗体またはその結合断片、および細胞からなる群より選択される、方法。
【請求項12】
請求項6または7のいずれかに記載の方法であって、前記候補薬剤が、化合物のライブラリーから取得される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記ライブラリーが、ランダムペプチドライブラリー、天然物ライブラリー、コンビナトリアルライブラリー、オリゴ糖ライブラリーおよびファージディスプレイライブラリーからなる群より選択される、方法。
【請求項14】
請求項6または7のいずれかに記載の方法によって同定された、薬剤。
【請求項15】
骨密度を調節するための方法であって、該方法が、(i)BMP−5ポリペプチドおよびBMP−6ポリペプチドからなる群より選択される第1のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに特異的に結合し得るスクレロスチンポリペプチド、と(ii)コーディンポリペプチドおよびノギンポリペプチドからなる群より選択されるBMPアンタゴニストタンパク質であり、BMP−2ポリペプチド、BMP−4ポリペプチドおよびBMP−7ポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1つの第2のTGFβスーパーファミリーメンバーポリペプチドに特異的に結合し得る該BMPアンタゴニストタンパク質、との間の相互作用を調節する薬剤を必要とする被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記薬剤が、コーディンポリペプチドまたはノギンポリペプチドの模倣物を包含する、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記薬剤が、骨の鉱質化作用を調節する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−522103(P2006−522103A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507118(P2006−507118)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/007565
【国際公開番号】WO2004/082608
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(504196975)セルテック アール アンド ディー, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】