説明

TL1Aに対するヒト化抗体

TL1Aとしても公知のTNFスーパーファミリーメンバー15(TNFSF15)に特異的に結合するヒト化抗体を開示する。抗TL1A抗体を作製し、かつ使用する方法も記載する。ヒト化抗体はアンタゴニストであってもよく、かつTL1A機能に関連する状態を処置または診断するために使用されてもよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年11月13日出願の米国特許仮出願第60/987,651号の優先権の恩典を主張する。その出願の内容は、全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
概要
本発明は、TL1Aに対する抗体、およびそのような抗体を作製し、かつ使用する方法に向けられている。本抗体は、クローン病等の炎症性の状態を処置する際にとりわけ有用であると予測される。
【背景技術】
【0003】
背景
腫瘍壊死因子(TNF)に構造上関連するタンパク質は、まとめてTNFスーパーファミリーと呼ばれる。TNFスーパーファミリーメンバーであるTL1Aは、デスドメイン(death domain)受容体(DR)3に結合するTNF様サイトカインであり、かつ活性化されたリンパ球に共刺激シグナルを提供する。この相互作用によって、TL1AはIFN-γの分泌を誘導し、かつしたがってTヘルパー1型エフェクター応答の発生に関与している可能性がある。
【0004】
TL1Aは、II型膜貫通タンパク質であり、かつTNFスーパーファミリーメンバー15(TNFSF15)と称される。TL1Aは、主に内皮細胞および単球によって発現され、かつその発現は、TNF-aおよびIL-1aによって誘導可能である。Migone et al., Immunity, 16: 479-92 (2002)(非特許文献1)。TL1aは、炎症誘発性サイトカインTNFおよびIL-1、ならびに免疫複合体(IC)によっても上方制御される。Hsu et al., Exp. Cell Res., 292: 241-51 (2004)(非特許文献2)。
【0005】
その同族の受容体DR3であって、その活性化が致死因子および生存因子の双方を誘導することが公知の細胞死受容体を介して、TL1Aはシグナル伝達を媒介する。TL1Aはまた、TNFと同様にホモ三量体の可溶型として循環することも推測されている。Kim et al., J. Immunol. Methods, 298(1-2): 1-8 (Mar. 2005)(非特許文献3)。
【0006】
TL1Aは、デスドメイン含有のTNF受容体ファミリーのメンバーである細胞死受容体3(DR3)に高い親和性で結合し、かつWsl-1、Apo-3、TRAMP、およびLARDとも称され、かつ現在ではTNF受容体スーパーファミリーメンバー25(TNFRSF25)と称される。細胞の状況に依存して、TL1AによるDR3の連結は、転写因子NF-kBの活性化か、またはカスパーゼおよびアポトーシスの活性化の、二つのシグナル伝達経路のうちの一つを誘発し得る。TL1は、T細胞共刺激およびTh1極性化において機能する。活性化されたT細胞に対して、細胞生存および炎症誘発性サイトカインの分泌を促進するために、TL1Aは、その表面結合受容体DR3を介して特異的に機能する。腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーの可溶性タンパク質である分泌型デコイ受容体(decoy receptor)3(DcR3)は、TL1Aの作用を遮断する。Kim et al., “Identification of naturally secreted soluble form of TL1A, a TNF-like cytokine,” J Immunol Methods, 298: 1-8 (2005)(非特許文献3)。
【0007】
可能性のある治療標的
アレルギーおよび喘息
IgEレベルの上昇を伴うCD4 T細胞のTh2極性化、およびNKT細胞によるIL-13の産生は、アレルギーおよび喘息における肺の炎症の主要な原因である。TL1Aは、アレルギー性の肺の炎症において主要な役割を担っている(Fang et al J. Exp. Med. 2008)(非特許文献4)。TL1Aは、NKT細胞におけるIL-4およびIL-13の産生を共刺激する。TL1A抗体またはドミナントネガティブTL1A変異体により、TL1AとDR3の相互作用を遮断することによって、肺の炎症が消滅する。
【0008】
肺癌腫および結腸癌腫
TNFおよびその受容体スーパーファミリーのメンバーは、免疫応答を制御し、かつアポトーシスを誘導する。DR3は、Tリンパ球によって優先的に発現され、かつT細胞活性化の間は上方制御されている。DR3のリガンドはTL1Aである。TL1Aはまた、いくつかの肺癌腫および結腸癌腫、ならびに一部の正常組織において発現されるデコイ受容体DcR3/TR6にも結合する。TL1Aは、炎症誘発性サイトカインTNFおよびIL-1によって上方制御されている。TL1Aは、TL1のより長い変種である(VEGIとも称される)。
【0009】
アテローム硬化症
さらに、TL1Aはまた血管新生抑制的でもあり、かつメタロプロテイナーゼおよびIL-8遺伝子発現を誘導することも報告されている(Su et al., Exp. Cell Res., 312: 266-277 (2006)(非特許文献5);Kang et al., Cytokine, 29: 229-235 (2005)(非特許文献6))。実際に、TL1AおよびDR3は、炎症誘発性サイトカインおよびケモカインの産生を増加させ、かつ細胞外マトリックス分解酵素を誘導してプラーク安定性を減少させることによって、アテローム硬化症の発病に関与している可能性がある(Kang et al., Cytokine, 29: 229-235 (2005)(非特許文献6))。
【0010】
関節リウマチ
TL1A/DR3が、関節リウマチの病因に関与していることを示唆する証拠も存在する(Bossen et al., J. Biol. Chem., 281(20): 13964-13971 (May 19, 2006)(非特許文献7))。
【0011】
炎症性腸疾患
研究者らは、TL1Aの発現と炎症性腸疾患との関連を見出している(Prehn et al., Clin. Immunol., 112: 66-77 (2004)(非特許文献8);Bamias et al., J. Immunol., 171: 4868-4874 (2003)(非特許文献9))。
【0012】
クローン病等のTh1媒介性の腸疾患
クローン病は、若年成人(年齢20〜30歳)を襲う重度の炎症性腸疾患である。エフェクター(炎症誘発性)および制御性T細胞応答の不均衡を引き起こし、胃腸管粘膜の炎症および疾患をもたらす遺伝学的素因ならびに環境因子に、その状態は由来すると考えられている。
【0013】
TL1A/DR3経路は、クローン病等のTh1媒介性の腸疾患において重要な役割を担っている。Konstantinos et al., The Journal of Immunology, 2005, 174: 4985-4990 (2005)(非特許文献10);Bamias et al., J. Immunol., 171: 4868-74 (2003)(非特許文献9)。したがって、TL1A/DR3経路の遮断は、クローン病における治療機会を提供し得る。
【0014】
TL1Aは、抗CD3に加え、抗CD28およびIL-12/IL-18刺激性の末梢血(PB)T細胞によるIFN-γの産生を増強する。TL1AによるDR3の活性化は、TRADD、TRAF2、およびRIPを含むシグナル伝達複合体の形成を誘導し、かつNF-kBならびにERK、JNK、およびp38分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ経路を活性化した。Kang et al., Cytokine, 29: 229-35 (2005)(非特許文献6)。TL1Aは、ホモ三量体の可溶型として循環するように放出され得る。Wen et al., “TL1A-induced NF-kappaB activation and c-IAP2 production prevent DR3-mediated apoptosis in TF-1 cells,” J. Biol. Chem., 278: 39251-8 (2003)(非特許文献11)。
【0015】
細胞死受容体およびそれらのリガンドは、組織恒常性の維持およびプログラム細胞死の生理学的制御において重要な役割を担っている。細胞死リガンドの結合は、その受容体のオリゴマー化、デスドメインと称される保存された細胞質性シグナル伝達要素を介するアダプタータンパク質の補充、カスパーゼの活性化、およびアポトーシスの誘導を誘発する。Young et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA., 103(22): 8303-8304 (May 30, 2006) (非特許文献12)。
【0016】
Fas/Apo-1/CD95、TNF-R1、TRAIL-R1、TRAIL-R2、またはDR3等の細胞死受容体は、当初アポトーシスの誘発因子として特徴付けられたが、これらの受容体はまた、獲得免疫応答の制御を含む非アポトーシス性の機能も有するという証拠が増加してきている。Bamias et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103: 8441-8446 (2006)(非特許文献13)は、TL1Aが粘膜固有層樹状細胞によって発現されること、ならびにそれはナイーブCD4細胞でなく、記憶細胞の増殖を増加させることによって機能し、かつIFN-γ遺伝子発現を強固に増強するように、IL-12とのおよび/またはT細胞受容体の低用量刺激との相乗作用を示すことを報告している。腸管におけるIFN-γの発現は、炎症のマーカーと見なされており、かつクローン病を処置するための多くの戦略は、免疫活性化された状態を抑制するための広範な試みに依存している。しかしながら、そのようなアプローチ(ステロイド処置および免疫抑制薬)は、腸管に特異的には焦点を合わせておらず、かつしたがってそれら自体の合併症を有する。TNF-αのアンタゴニストの使用に基づく標的治療が1990年代に成功裡に導入され、かつ参照1(ref.1)に報告された結果は、TL1Aまたはその受容体に対して特異的に向けられた治療が、この衰弱性障害のための代替の標的治療を提供する可能性があることを示唆している。
【0017】
Bamias et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103: 8441-8446 (2006)(非特許文献13)において報告されたように、TL1Aは、炎症の間に腸管において発現された場合に、最も重大な影響を有するように見受けられる。TL1Aは、IL-12/18と組み合わせられた場合、ヒトT細胞におけるIFN-γ発現の誘導において相乗作用を示すが、ナチュラルキラー細胞における発現の増加も観察され得る(Migone et al., Immunity., 16: 479-492 (2002) (非特許文献1);Papadakis et al., J. Immunol., 174: 4985-4990 (2005)(非特許文献14);Papadakis et al., J. Immunol., 172: 7002-7007 (2004) (非特許文献15))。Bamias et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103: 8441-8446 (2006)(非特許文献13)は、クローン病のマウスモデルにおける類似観察の最初の報告であり、かつT細胞受容体が弱く刺激されたか、またはT細胞がIL-12で処置された場合に、相乗作用が生じることを示すことによって、以前のデータを拡張させている。Bamiasらの報告において、TL1A処置がIL-18と併用された場合、いかなる相乗作用も観察されていないが、IL-18およびTL1Aの双方はNF-κBを介してシグナル伝達するため、この結果は驚くべきことではない可能性がある。MignoneらによるTL1Aについての初期の報告は、それがT細胞共刺激シグナルであることを実証した一方で、Bamiasらは、最も強固に応答するのは記憶T細胞であり、このT細胞集団がもつIFN-γを発現する能力の増加と一致することを実証している。この集団は、増殖しないため、それはまたより高いレベルのTL1A受容体を発現し、したがって細胞の増殖能力およびIFN-γを発現する能力をさらに増強している。もし唯一の公知のTL1Aの受容体が、デスドメイン含有受容体であるDR3だとすれば、この知見はやや驚くべきことと見なされ得て、かつこの受容体を誘発することにより、細胞死に至ると考えられると仮定され得る。(TL1Aは、その唯一の公知の細胞表面受容体であるDR3を介してシグナル伝達する。TL1Aはまた、可溶性デコイ受容体(DcR3)にも結合する)。しかしながら、アポトーシス阻害因子2等のNF-κB依存性の抗アポトーシス性遺伝子は、TL1Aによって誘導されることが示されており(Wen et al., J. Biol. Chem., 278: 39251-39258 (2003)(非特許文献11))、かつしたがってアポトーシスの誘発対増殖は、細胞種依存的である可能性がある。
【0018】
クローン病のための現行の処置選択肢は、TNF-αに対するモノクローナル抗体、インフリキシマブ(レミケード(Remicade);Centocor, Inc., Horsham, PA)、モノクローナル抗体アダリムマブ(商品名ヒュミラ(Humira);Abbott)、および抗炎症薬(例えば、スルファサラジン)、コルチゾンまたはステロイド(例えば、プレドニゾン)、免疫系抑制因子(例えば、6-メルカプトプリン)ならびに抗生物質を含む。しかしながら、インフリキシマブは、高度の特異性を有する唯一の処置選択肢であり、それ以外の処置選択肢は、低い特異性を有する。Proc Natl Acad Sci U.S.A., 103(22): 8303-8304 (May 30, 2006) (非特許文献12)。これは、処置が疾患領域に標的されていないことを意味する。インフリキシマブが高い特異性を有し、かつ一般によく許容されている一方で、インフリキシマブは、結核感染の再発および心不全の悪化、脱髄疾患、ならびにリンパ腫の発生率増加を引き起こし得る。
【0019】
したがって、アレルギー/喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、乾癬、1型糖尿病、および移植片拒絶等の多様な炎症性および免疫性の疾患および障害の処置および診断において使用することができる組成物に関する必要性が、当技術分野において残存する。TL1Aに対するモノクローナル抗体に向けられている本発明は、この必要性に適合する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Migone et al., Immunity, 16: 479-92 (2002)
【非特許文献2】Hsu et al., Exp. Cell Res., 292: 241-51 (2004)
【非特許文献3】Kim et al., J. Immunol. Methods, 298(1-2): 1-8 (Mar. 2005)
【非特許文献4】Fang et al J. Exp. Med. 2008
【非特許文献5】Su et al., Exp. Cell Res., 312: 266-277 (2006)
【非特許文献6】Kang et al., Cytokine, 29: 229-235 (2005)
【非特許文献7】Bossen et al., J. Biol. Chem., 281(20): 13964-13971 (May 19, 2006)
【非特許文献8】Prehn et al., Clin. Immunol., 112: 66-77 (2004)
【非特許文献9】Bamias et al., J. Immunol., 171: 4868-4874 (2003)
【非特許文献10】Konstantinos et al., The Journal of Immunology, 2005, 174: 4985-4990 (2005)
【非特許文献11】Wen et al., J. Biol. Chem., 278: 39251-39258 (2003)
【非特許文献12】Young et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA., 103(22): 8303-8304 (May 30, 2006)
【非特許文献13】Bamias et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103: 8441-8446 (2006)
【非特許文献14】Papadakis et al., J. Immunol., 174: 4985-4990 (2005)
【非特許文献15】Papadakis et al., J. Immunol., 172: 7002-7007 (2004)
【発明の概要】
【0021】
概要
TNF様サイトカインTL1A(GenBankアクセッション番号AF520785を参照のこと)に特異的に結合する抗原結合ポリペプチド分子を開示する。ポリペプチドは、ヒト化重鎖可変領域およびヒト化軽鎖可変領域を含む。例えば、ポリペプチドは、親(parental)モノクローナル抗体の抗原結合特異性を実質的に維持しながら、ヒト抗体の軽鎖および重鎖可変領域のフレームワーク(FR)領域を含んでいてもよい。ヒト化重鎖可変領域および/またはヒト化軽鎖可変領域は、相補性決定領域(CDR)を除き、少なくとも約87%ヒト化されているか、少なくとも90%ヒト化されているか、少なくとも約95%ヒト化されているか、少なくとも約98%ヒト化されているか、または少なくとも約100%ヒト化されている。抗原結合ポリペプチド分子は、モノクローナル抗体のドナー(例えば、マウスモノクローナル抗体のドナー)に由来していてもよく、かつモノクローナル抗体(例えば、マウスモノクローナルCDR)由来のCDRを含んでいてもよい。ポリペプチドは、TL1A受容体に関するアンタゴニストとして機能し得る。
【0022】
本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物、そのようなポリペプチドおよび組成物を作製する方法、ならびに本発明の組成物を必要としている被験体を処置する方法も、本発明に包含される。本発明の組成物を用いて処置され得る例示的な状態は、自己免疫疾患(例えば、狼瘡)、炎症性腸疾患(IBD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節炎(例えば、関節リウマチ)、多発性硬化症、移植片拒絶、中枢神経系損傷、クローン病等のTh1媒介性腸疾患、乾癬、白血病またはリンパ腫(例えば、慢性リンパ性白血病(CLL))、アテローム硬化症、ならびに肺癌腫および結腸癌腫を含むが、これらに限定されない。
【0023】
いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、TL1Aに特異的に結合し、かつ
(a)
(1)

のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含むヒト化抗体重鎖可変領域、ならびに
(b)
(1)

のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含むヒト化抗体軽鎖可変領域
を含む。
【0024】
特定の態様において、抗原結合ポリペプチドは、TL1Aに特異的に結合し、かつ
(1)TSNMGVVのアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるCDR-H1、
(2)

のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるCDR-H2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるCDR-H3
を含むヒト化抗体重鎖可変領域を含む。
【0025】
いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、

のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるヒト化抗体重鎖可変領域を含む。
【0026】
ポリペプチドのいくつかの態様において、
(1)CDR-H1は

のアミノ酸配列からなり、
(2)CDR-H2は

のアミノ酸配列からなり、
(3)CDR-H3は

のアミノ酸配列からなり、
(4)CDR-L1は

のアミノ酸配列からなり、
(5)CDR-L2は

のアミノ酸配列からなり、かつ
(6)CDR-L3は

のアミノ酸配列からなる。
【0027】
いくつかの態様において、ポリペプチドは

のヒト化抗体重鎖可変領域を含む。例えば、ポリペプチドは

のヒト化抗体重鎖可変領域を含み得る。
【0028】
あるいは、ポリペプチドは

のヒト化抗体重鎖可変領域を含み得る。
【0029】
いくつかの態様において、ポリペプチドは

のヒト化抗体軽鎖可変領域を含む。例えば、ポリペプチドは

のヒト化抗体軽鎖可変領域を含み得る。別の態様において、ポリペプチドは

のヒト化抗体軽鎖可変領域を含み得る。
【0030】
ヒト化抗体重鎖可変領域もまた開示する。ヒト化抗体重鎖領域は、
(1)

のアミノ酸を含むCDR-H1、
(2)

のアミノ酸を含むCDR-H2、および
(3)

のアミノ酸を含むCDR-H3
を含み得る。例えば、ヒト化抗体重鎖可変領域は、

のアミノ酸配列を含み得る。あるいは、ポリペプチドは

のヒト化抗体重鎖可変領域を含み得る。
【0031】
別の例において、ヒト化抗体重鎖可変領域は、
(1)(NYGMN)のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む。例えば、ヒト化抗体重鎖可変領域は、

のアミノ酸配列を含み得る。あるいは、ポリペプチドは

のヒト化抗体重鎖可変領域を含み得る。
【0032】
別の例において、ヒト化抗体重鎖可変領域は、
(1)(NYAMS)のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む。例えば、ヒト化抗体重鎖可変領域は、

のアミノ酸配列を含み得る。
【0033】
ヒト化抗体軽鎖可変領域もまた開示する。ヒト化抗体軽鎖可変領域は、
(1)

のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。
【0034】
他の態様において、抗原結合ポリペプチドはTL1Aに特異的に結合し、かつ
(1)

のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるCDR-L1、
(2)STSNLASのアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるCDR-L2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるCDR-L3
を含むヒト化抗体軽鎖可変領域を含む。
【0035】
いくつかの態様において、抗原結合ポリペプチドは、

のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるヒト化抗体軽鎖可変領域を含む。
【0036】
例えば、ヒト化抗体軽鎖可変領域は、

のアミノ酸配列を含み得る。別の態様において、ポリペプチドは

のヒト化抗体軽鎖可変領域を含み得る。あるいは、ポリペプチドは

のヒト化抗体軽鎖可変領域を含み得る。
【0037】
ヒト化抗体軽鎖領域はまた、
(1)

のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-L3
も含み得る。例えば、ヒト化抗体軽鎖可変領域は、

のアミノ酸配列を含み得る。あるいは、ポリペプチドは

のヒト化抗体軽鎖可変領域を含み得る。
【0038】
別の例において、ヒト化抗体軽鎖可変領域は
(1)

のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む。例えば、ヒト化抗体軽鎖可変領域は、

のアミノ酸配列を含み得る。
【0039】
前記のヒト化重鎖およびヒト化軽鎖は、TL1Aに特異的に結合する抗原結合ペプチド中に存在し得る。
【0040】
抗原結合ポリペプチドは、抗体分子、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片、およびscFv分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、ポリペプチドは、抗体分子である。抗体分子は、ヒト重鎖定常領域とヒト軽鎖定常領域とを含むキメラ抗体を含んでいてもよい。例えば、抗体分子は、IgG分子(例えば、IgG1またはIgG4分子)であってもよく、ここでポリペプチドは、IgG分子の重鎖および軽鎖定常ドメインを含む。ポリペプチドは、scFv分子であってもよい。例えば、scFvは、NH2-L-VH-X-VK-COOHおよびNH2-L-VK-X-VH-COOHからなる群より選択される式を有していてもよく、式中、Lはリーダー配列であり、VHはヒト化抗体重鎖可変領域であり、Xは連結ポリペプチドであり、かつVKはヒト化抗体軽鎖可変領域である。ポリペプチドは、Fab HSA融合分子であってもよい。例えば、Fab HSA融合物は、NH2-VK-CK-COOHと組み合わせられたVH-CH1-HSA-COOHからなる群より選択される式を有し、ここでVH-CH1-HSAは、ヒト血清アルブミン(HSA)との融合タンパク質として産生されたヒト化抗体重鎖可変領域(VH)およびヒト定常重鎖ドメイン1(CH1)であり、さらにそれが、Fab HSA融合タンパク質を形成するようにその同族のヒト化抗体軽鎖可変領域(VK)およびヒト定常κドメイン(CK)とともに折り畳まれている。
【0041】
抗原結合ポリペプチドは、治療剤もしくは診断剤とさらにコンジュゲートまたは融合されていてもよい。例えば、治療剤は、細胞毒性剤、放射性標識、免疫調節物質、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療剤、またはそれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。診断剤の例は、放射性標識、光活性診断剤、超音波増強剤、または非放射性標識を含み得る。
【0042】
抗原結合ポリペプチドは、TL1Aのアンタゴニストであってもよい。典型的には、ポリペプチドはTL1Aのアゴニストではない。
【0043】
抗原結合ポリペプチドは、特異性および高い親和性をもってTL1A受容体に結合する。典型的には、ポリペプチドは、少なくとも約106M-1(好ましくは少なくとも約107M-1、より好ましくは少なくとも約108M-1、さらにより好ましくは少なくとも約109M-1)の親和定数でTL1Aに結合する。
【0044】
前述の抗原結合ポリペプチドと、希釈剤または賦形剤等の担体とを含む薬学的組成物もまた開示する。医用薬剤は、本明細書に開示されるさらなる治療剤または診断剤をさらに含み得る。
【0045】
開示される薬学的組成物を、それを必要としている患者に投与する段階を含む、疾患または状態を処置または診断する方法もまた開示する。例えば、薬学的組成物は、炎症性、免疫性および/または悪性の疾患または状態を処置または診断するために投与されてもよい。疾患または状態の例は、自己免疫疾患(例えば、狼瘡)、炎症性腸疾患(IBD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節炎(例えば、関節リウマチ)、多発性硬化症、移植片拒絶、中枢神経系損傷、クローン病、乾癬、1型糖尿病、肺癌腫および結腸癌腫、ならびに白血病またはリンパ腫(例えば、慢性リンパ性白血病(CLL))を含み得る。
【0046】
前述のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた開示する。ポリヌクレオチドは、コードされたポリペプチドを適切な宿主細胞において発現させるためのプロモーターに機能的に連結されていてもよい。そのため、組換えポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドを産生する方法は、a)コードされたポリペプチドを発現させるために、組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を培養する段階、およびb)そのように発現されたポリペプチドを回収する段階を含み得る。
【0047】
前述の一般的な記載、ならびに以下に続く図面の簡単な説明および詳細な説明の双方は例示的かつ説明的であり、かつ特許請求される発明に対するさらなる説明を提供することが意図されている。当業者にとって、他の目的、利点、および新規の特徴は、以下に続く本発明の詳細な説明から容易に明らかになると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】TF-1細胞におけるヒトTL1A(huTL1A)により誘導されるカスパーゼ活性の、マウスおよびハムスター抗TL1A抗体による阻害を示す。Ab#1−19E06;Ab#2−12D01;Ab#3−15E09;Ab#4−16H02;Ab#5−14A03;Ab#6−04H08A;Ab#7−12F11;Ab#8−12D08。
【図2】マウス抗TL1A 16H02と、最も近いヒト生殖系列遺伝子IGHV7-4-1-02との、VHドメインのアラインメントを示す。新規ヒト化16H02 VH#1およびVH#2として図中で識別されるヒト化16H02 VHの2つの異なる型を創出する鋳型として、アラインメントを使用した。
【図3】2つの型のヒト化抗TL1A VHについての、マウスからヒトに至るまでの変異の数およびヒト化率(%)を示す。
【図4】マウス抗TL1A 16H02と、最も近いヒト生殖系列遺伝子A17との、VKドメインのアラインメントを示す。新規ヒト化16H02 VK#1およびVK#2として図中で識別されるヒト化16H02 VHの2つの異なる型を創出するための鋳型として、アラインメントを使用した。
【図5】2つの型のヒト化抗TL1A 16H02 VKについての、マウスからヒトに至るまでの変異の数およびヒト化率(%)を示す。
【図6】全長のヒト化抗体分子を産生するための、ヒト16H02抗TL1A VH#1およびVH#2ならびにヒト16H02 VK#1およびVK#2を用いた293F細胞の一過的形質移入の結果を示す。
【図7】TF-1細胞におけるTL1Aにより誘導されるカスパーゼ活性の、ヒト化抗体による阻害を、マウス抗TL1A抗体対照と比較して示すことによって、1ラウンドのヒト化後の16H02 TL1Aモノクローナル抗体の活性を示す。12D01=マウス抗TL1a陰性対照;16H02=マウス抗TL1A陽性対照;;19E06=ハムスター抗TL1A対照;3009=ヒト化抗TL1A 16H02 VH#1+VK#1;3010=ヒト化抗TL1A 16H02 VH#2+VK#1;3011=ヒト化抗TL1A 16H02 VH#1+VK#2;3012=ヒト化抗TL1A 16H02 VH#2+VK#2。
【図8】16H02 VKフレームワークの完全なヒト化のために必要とされる最終的な変異を示す。完全にヒト化された16H02軽鎖を創出するために、新規ヒト化16H02 VK#2(図4を参照のこと)の開始配列をA17生殖系列配列と整列させ、かつさらなる突然変異誘発のために3つの別個の領域またはブロックを同定した(実線の円)。3つの領域またはブロックの各々の範囲内に、非変異型の野生型VK#2配列(=W)またはA17ヒト生殖系列配列(=M)のいずれかの、全ての可能な組み合わせを含む、合成軽鎖を構築した。
【図9】最終型のヒト化16H02 VKに関する、一過的形質移入IDおよびLDC#を示す。図8由来の新規ヒト化16H02 VK#2の3つの別個の領域またはブロックにおいて、野生型(W)または変異体(M)配列のいずれかの、全ての可能な組み合わせを含む、合成軽鎖を生成した。続いて、図2由来の新規ヒト化16H02 VH#1と合成軽鎖を同時形質移入し、かつ結果として得られた抗体を、huTL1Aにより誘導されるカスパーゼ活性の阻害に関して試験した。
【図10】TF-1細胞におけるヒトTL1A(huTL1A)により誘導されるカスパーゼ活性の、図9由来の様々なヒト化抗TL1A抗体のパネルによる阻害を示す。3038として同定された完全にヒト化された16H02 TL1A抗体の活性を、元のマウス抗TL1A抗体16H02のものと比較する。
【図11】マウス抗TL1A抗体の5つの主要候補、1B4、25B9、11D8、27A8、および38D6のVHドメインの配列アラインメントを示す。
【図12】マウス抗TL1A抗体の5つの主要候補、1B4、25B9、11D8、27A8、および38D6のVKドメインの配列アラインメントを示す。
【図13】ヒト化1B4 VHドメイン(ヒト化1B4 VH AA)と、元のマウスVHドメイン(1B4 VH AA)および一致する最も近いヒト生殖系列VHドメイン(VH2-70-10)との配列アラインメントを示す。
【図14】ヒト化1B4 VKドメイン(ヒト化1B4 VK AA)と、元のマウスVKドメイン(1B4 VK AA)および一致する最も近いヒト生殖系列VKドメイン(VK-L8)との配列アラインメントを示す。
【図15】マウス11D8抗体と比較した、TF-1細胞における哺乳動物由来TL1Aにより誘導されるカスパーゼ活性の、ヒト化TL1A抗体(1B4、11D8、25B9)による阻害を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
好ましい態様の詳細な説明
定義
本明細書において記載される抗体とは、全長の(すなわち、正常な免疫グロブリン遺伝子断片のレコンビナトリアル(recombinatorial)プロセスによって形成された、または天然の)免疫グロブリン分子(すなわち、IgG抗体)、または抗体断片等の、免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な(すなわち、特異的に結合する)部分を指す。
【0050】
抗体断片は、F(ab')2、F(ab)2、Fab'、Fab、Fv、scFv等の抗体の部分である。構造に関わらず、抗体断片は、無傷の抗体によって認識される同一抗原に結合する。「抗体断片」という用語は、アプタマー、シュピーゲルマー、および二重特異性抗体を含む。「抗体断片」という用語はまた、複合体を形成するように特異的な抗原に結合することによって抗体と同様に作用する、任意の合成のまたは遺伝子操作されたタンパク質も含む。例えば、抗体断片は、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーによって連結されている組換え単鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)、VH-CH1がHSAに対する融合物として産生され、さらにそれが、Fabを形成するようにその同族のVK-CK軽鎖とともに折り畳まれているFab HSA融合ポリペプチド、ならびに超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位等の可変領域からなる、単離された断片を含む。
【0051】
ヒト化抗体は、例えば齧歯動物の抗体等の一つの種の抗体に由来するCDRが、齧歯動物の抗体の重鎖および軽鎖の可変鎖から、ヒトの重鎖および軽鎖の可変ドメインへと、またはヒト重鎖および軽鎖の可変ドメインのアミノ酸配列の少なくとも一部を含むように(「ヒト化率(%)」として示される)突然変異誘発された重鎖および軽鎖の可変ドメインへと転換(transfer)されている、組換えタンパク質である。抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体のものに由来していてもよい。
【0052】
本明細書において使用される「ヒト化率(%)」は、ヒト化ドメインと生殖系列ドメインとの間のフレームワークアミノ酸の差異(すなわち、非CDRの差異)の数を決定し、アミノ酸の総数からその数を控除し、続いてアミノ酸の総数で除算し、100を掛けることによって算出される。
【0053】
本明細書において使用される「CDR」とは、抗体重鎖(VH)の可変ドメイン中、または抗体軽鎖(VLもしくはVK)の可変ドメイン中に存在する「相補性決定領域」を意味する。各可変ドメインは、重鎖可変ドメインに存在するものに関してCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3、ならびに軽鎖可変ドメインに存在するものに関してCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3と称される3つのCDRを含む。本明細書においては、カバット(Kabat)番号付けシステムが使用される。そのため、CDR-H1は、およそアミノ酸31位(すなわち、最初のシステイン残基の後およそ9残基)で開始し、およそ5〜7個のアミノ酸を含み、かつ次のトリプトファン残基で終結する。CDR-H2は、CDR-H1末端の後15番目の残基で開始し、およそ16〜19残基を含み、かつ次のアルギニンまたはリジン残基で終結する。CDR-H3は、CDR-H2末端の後およそ33番目のアミノ酸残基で開始し、3〜25個のアミノ酸を含み、かつXが任意のアミノ酸であるW-G-X-Gの配列で終結する。CDR-L1は、およそ残基24位で(すなわち、システイン残基に続いて)開始し、およそ10〜17残基を含み、かつ次のトリプトファン残基で終結する。CDR-L2は、CDR-L1末端の後およそ16番目の残基で開始し、かつおよそ7残基を含む。CDR-L3は、CDR-L2末端の後およそ33番目の残基で(すなわち、システイン残基に続いて)開始し、およそ7〜11残基を含み、かつFまたは、Xが任意のアミノ酸であるW-G-X-Gの配列で終結する。
【0054】
治療剤または診断剤へのコンジュゲーション
本明細書において開示される抗原結合ポリペプチドは、放射性標識、免疫調節物質、ホルモン、光活性治療剤、薬物または毒素であり得る細胞毒性剤、およびそれらの組み合わせを含み得る治療剤とコンジュゲートまたは融合されていてもよい。薬物は、有糸分裂阻害剤、抗キナーゼ剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、抗生物質、アルカロイド、血管新生阻害物質、アポトーシス誘導物質(apoptotic agent)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される薬学的性質を有する薬物を含み得る。より具体的には、これらの薬物は、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、COX-2阻害剤、ピリミジン類似体、プリン類似体、抗生物質、酵素、エピポドフィロトキシン、白金配位錯体、ビンカアルカロイド、置換ウレア、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤(adrenocortical suppressant)、アンタゴニスト、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、アントラサイクリン、タキサン、およびそれらの類似体、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される。本発明により包含される毒素は、リシン、アブリン、αトキシン、サポリン、オンコナーゼ(onconase)等のリボヌクレアーゼ(RNase)、DNase I、ブドウ球菌(Staphylococcal)エンテロトキシンA、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素、およびシュードモナス内毒素からなる群より選択されてもよい。
【0055】
免疫調節物質は、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンフォトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、エリスロポエチン、トロンボポエチン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。具体的には、有用なものは、腫瘍壊死因子(TNF)等のリンフォトキシン、インターロイキン(IL)等の造血因子、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)等のコロニー刺激因子、インターフェロン-α、インターフェロン-β、またはインターフェロン-γ等のインターフェロン、および「S1因子」と称されるもの等の幹細胞増殖因子である。より具体的には、免疫調節物質は、IL-1、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、IL-21、インターフェロン-γ、TNF-α、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0056】
本明細書において開示される抗原結合ポリペプチドは、診断剤とコンジュゲートまたは融合されていてもよい。診断剤は、光活性診断剤または60〜4,000 keVのエネルギーを有する放射性標識、または非放射性標識を含み得る。放射性標識は、好ましくはγ、β、および陽電子放射性同位元素であり、かつ125I、131I、123I、124I、86Y、186Re、188Re、62Cu、64Cu、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、18F、11C、13N、15O、76Br、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。診断剤は、例えばマンガン、鉄、またはガドリニウム等の造影剤を含み得る。
【0057】
ハイブリドーマ技術を使用した、抗TL1A抗体を作製する例示的な方法
組換えTL1Aタンパク質(細胞外ドメイン)を用いて、BALB/cマウスを免疫し得る。典型的な手法においては、50 mlの完全フロイントアジュバント(Sigma)中の10 mgのタンパク質を皮下注射する。不完全フロイントアジュバント中における2回または4回のさらなる注射を2週間の間隔で施し、続いてPBS中における最終追加免疫を施し得る。あるいは、足蹠に注射を施し得る。3日後にマウスを屠殺し、それらの脾臓または膝窩リンパ節を収集し、融合のためにリンパ球を単離し得る。融合剤としてPEG/DMSO(Sigma)を使用して、リンパ球をP3X63Ag8.653形質細胞腫細胞と、5:1の割合で融合し得る。融合後、選択HAT培地中に細胞を再懸濁し、96ウェルプレートに1ウェル当たり106細胞で播種し得る。HAT選択を生き残ったハイブリドーマ由来の上清を、直接的な結合ELISAにより、TL1A結合抗体の存在に関してスクリーニングし得る。TL1A結合抗体を分泌するハイブリドーマを同定し、それらの上清を、結合ELISAの阻害により、受容体DR3へのTL1Aの結合を阻害する抗体に関してさらにスクリーニングし得る。続いて、TL1Aアンタゴニストクローンを同定するために、TF-1細胞におけるTL1Aにより誘導されるカスパーゼ活性の阻害に関して、TL1A結合の阻害に関して陽性と同定されたハイブリドーマをスクリーニングし得る。
【0058】
例示的な抗体ヒト化戦略
抗TL1A抗体のヒト化における一つの目標は、元の結合親和性および特異性の90〜100%を保持している、70〜100%ヒト化されたVHおよびVKドメインを得ることである。結合親和性および特異性を維持しながら、抗体をさらにヒト化するために、VHおよびVK中の個々の高リスク部位の部位特異的突然変異誘発を使用し得る。
【0059】
CDRグラフティング、および構造ベースの解析および可変領域の再表面化(resurfacing)によって、ヒト化を遂行し得る。(Jones et al., NATURE (1986) May 29-Jun. 4; 321(6069): 522-5; Roguska et al., PROTEIN ENGINEERING, 1996, 9(10): 895-904; およびStudnicka et al., Humanizing Mouse Antibody Frameworks While Preserving 3-D Structure. PROTEIN ENGINEERING, 1994, Vol. 7, pg 805を参照のこと)。結合親和性および特異性を維持するために必要とされる主要なフレームワーク残基を同定するために、一次抗体配列および3-D構造データを利用し得る。本研究において使用されるマウスVHおよびVK領域に対する最も近い一致物を同定するためにNCBI提供の「Ig配列に関するBlast」ウェブサイトを使用し得る。マウス配列のVHおよびVK配列に対する最適一致物として、ヒト生殖系列VHおよびVK遺伝子を選択し得る。あるいは、ヒト化のための鋳型として、単独か、または一致する最も近いヒト生殖系列遺伝子との組み合わせにおいて、天然に発現されるヒト抗体レパートリー由来の配列を使用し得る。
【0060】
マウス抗TL1A VHおよびVKを、最も近いヒト生殖系列遺伝子または発現される遺伝子のレパートリーと整列させた後、結合および免疫原性に対する潜在的な影響に関して各位置のアミノ酸を評価し得る。各位置での変異に関して、低い、中程度のまたは高いリスク値を充当するためにこの情報を使用し得る。一つの態様において、高いリスク位置を回避しながら、低いおよび中程度のリスク位置のみが変異を受ける。必要な場合、CDRのVH、VK、または両方における各位置にチロシンを二つ組みで組み入れることによって、親和性成熟戦略を遂行し得る。
【0061】
ハイブリドーマ細胞株由来のマウス抗TL1A VHおよびVKドメインの例示的なクローニングおよび配列決定
ハイブリドーマ細胞をペレット化し、PBSで3回洗浄し、製造者のプロトコールに従いトリゾール(Trizol)試薬(Invitrogen, Cat. No. 15596-026)を使用してRNAを抽出し得る。製造者のプロトコールに従い、5'RACEキット(Rapid Amplification of cDNA Ends, Invitrogen, Cat. No. 18374-058)を使用して、全RNAをcDNAに変換し得る。手短に言うと、六量体ランダムプライマーRandom N6にRNAをライゲーションし、スーパースクリプトII RNAase Hネガティブ逆転写酵素を使用して、第一鎖cDNAを生成し得る。キットとともに提供されるGlassMaxスピンカートリッジを使用してcDNAを精製し、続いてcDNAの5'末端にC塩基対を付加するため、dCTPの存在下でTdT(ターミナルヌクレオチドトランスフェラーゼ)と反応させ得る。dC尾部に特異的なアンカープライマー、ならびにVHに対してはマウスの定常重鎖1(CH1)およびVKに対しては定常κ(CK)中の高度に保存されたDNA配列にハイブリダイズする遺伝子特異的プライマーを使用して、dCを末端付加されたcDNAをPCRにより増幅し得る。無傷のVHまたはVKドメインに対応する正確なサイズに関して、得られるPCR産物をゲル電気泳動によって解析し、続いて精製し、製造者のプロトコールに従ってTOPO TAベクター(Invitrogen, Cat. No. K4575-01)にライゲーションし得る。細菌への形質転換後、正確なサイズの挿入断片を含むクローンからDNAを調製し、製造者のプロトコールに従いBig Dyeターミネーターシーケンス反応混合物(Applied Biosystems, Part No. 4336699)および3700 ABI/Prism DNAアナライザーを使用して、DNA配列を決定し得る。
【0062】
例示的なヒト化マウス抗TL1A抗体
上に記載されるように生成された結合データおよび配列データに基づいて、マウス抗TL1A抗体を同定し得る。これらの抗体由来のVHおよびVKドメインのアミノ酸配列は、現在利用可能な公開データベース(すなわち、NCBIのIgGに関するBlast、およびMRCのV-base)を使用して、ヒト生殖系列VHおよびVKドメインと整列させ得る。マウス配列がヒト生殖系列とは異なるフレームワーク中のこれらの位置で、対応するヒト生殖系列フレームワークに一致するようにマウスフレームワークを変換するか変異させるために、反復プロセスを使用し得る。さらに、またはあるいは、フレームワーク残基の変化による親和性のいかなる損失の補償も潜在的に助けるために、トリプシンによる置換によって(すなわち、親和性成熟されて)、VHおよびVKの双方に関して特定のCDRアミノ酸残基を変異させ得る。重複している合成DNAオリゴヌクレオチドのパネルを使用した、ポリメラーゼ連鎖反応プロセスによって、親和性成熟しかつヒト化されたマウスVHおよびVKドメインを生成し得る。合成遺伝子設計プロセスの一部として、コドン最適化戦略を使用し得る。すなわち、遺伝子発現に関して哺乳動物細胞により優先的に利用される各アミノ酸のトリプレットコードを、各位置に組み入れ得る。対応するドメインが全長のヒトIgG1、G4またはκ抗体主鎖と関連して発現されることを可能にする、特化した哺乳動物発現ベクター中に、合成VHおよびVKドメインをクローニングし得る。製造者のプロトコールに従い、リポフェクタミン(lipofectamine)(Invitrogen)を用いて、IgG1またはG4構築物とκ構築物とを、293F細胞中に同時形質移入することによって、ヒト化抗体の小規模の産生を達成し得る。一過的形質移入由来の上清はプロテインAまたはG樹脂に通すことができ、かつ細胞ベースのアッセイにおける試験のためにIgGを均一に精製することができる。
【0063】
以下に続く実施例は、本発明を例証するために提供される。しかしながら、本発明は、これらの実施例において記載される特定の条件、または詳細に限定されないと理解されるべきである。本明細書において記載される、全ての公開文書および/または公的に利用可能な文書は、参照により明確に組み入れられる。
【実施例】
【0064】
実施例1
本明細書において記載されるように調製された、マウスおよびハムスター抗TL1Aモノクローナル抗体のVHならびにVKドメインのアミノ酸配列を以下に示す。可変ドメインのCDR領域には下線を施している。




【0065】
実施例2
この実施例は、TF-1細胞におけるTL1Aにより誘導されるカスパーゼ活性の阻害を測定するためのアッセイプロトコールを記載する。
【0066】
抗TL1A抗体の中和活性を決定するために、TF-1細胞におけるTL1Aにより誘導されるカスパーゼ活性に対するそれらの効果を決定した。図1を参照のこと。透明底部の黒色96ウェルプレートにおいて、1%ウシ胎児血清を含むRPMI培地中、75,000細胞/ウェルでTF-1細胞を播種した。様々な濃度のマウスもしくはハムスターの親TL1A抗体の非存在下または存在下で、10μg/mLシクロヘキサミドおよび100 ng/mL TL1Aを用いて、37℃で6時間細胞を処置した。Apo-Oneホモジニアスカスパーゼ3/7アッセイキット(Promega)によって、カスパーゼ活性を測定した。細胞を含む各ウェルに、カスパーゼ基質を含む等容量のApo-Oneホモジニアスカスパーゼ3/7アッセイバッファー、Z-DEVDローダミンを添加した。一晩のインキュベーション後、励起フィルター485 nmおよび発光フィルター535 nmを用いて、Wallac Victor2蛍光プレートリーダーによって蛍光を測定した。
【0067】
図1中に示される結果は、カスパーゼ活性と相互に関連している蛍光のレベルが、4つの異なる抗TL1A抗体、Ab#1−19E06;Ab#3−15E09;Ab#4−16H02;およびAb#8−12D08の濃度の上昇に伴って、減少することを示す。
【0068】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の方法および組成物において様々な改変および変形をもたらし得ることは当業者に明白であると考えられる。したがって、本発明は、本発明の改変および変形が添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内に入る場合、それらを網羅することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(1)

のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む、ヒト化抗体重鎖可変領域、ならびに
(b)
(1)

のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、ヒト化抗体軽鎖可変領域
を含む、TL1Aに特異的に結合する単離された抗原結合ポリペプチド。
【請求項2】
(a)CDR-H1が

のアミノ酸配列を含み、
(b)CDR-H2が

のアミノ酸配列を含み、かつ
(c)CDR-H3が

のアミノ酸配列を含む、
請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
(a)CDR-L1が

のアミノ酸配列を含み、
(b)CDR-L2が

のアミノ酸配列を含み、かつ
(c)CDR-L3が

のアミノ酸配列を含む、
請求項1記載のポリペプチド。
【請求項4】
(1)CDR-H1が(LYGMN)のアミノ酸配列からなり、
(2)CDR-H2が

のアミノ酸配列からなり、
(3)CDR-H3が

のアミノ酸配列からなり、
(4)CDR-L1が

のアミノ酸配列からなり、
(5)CDR-L2が

のアミノ酸配列からなり、かつ
CDR-L3が

のアミノ酸配列からなる、
請求項1から3のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項5】
(1)CDR-H1が(NYGMN)のアミノ酸配列からなり、
(2)CDR-H2が

のアミノ酸配列からなり、
(3)CDR-H3が

のアミノ酸配列からなり、
(4)CDR-L1が

のアミノ酸配列からなり、
(5)CDR-L2が

のアミノ酸配列からなり、かつ
(6)CDR-L3が

のアミノ酸配列からなる、
請求項1から3のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項6】
(1)

のアミノ酸配列を含むCDR-H1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-H3
を含む、ヒト化抗体重鎖可変領域
を含む、TL1Aに特異的に結合する単離された抗原結合ポリペプチド。
【請求項7】
(1)

のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、ヒト化抗体軽鎖可変領域
を含む、TL1Aに特異的に結合する単離された抗原結合ポリペプチド。
【請求項8】
(1)

のアミノ酸配列を含むCDR-L1、
(2)

のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および
(3)

のアミノ酸配列を含むCDR-L3
を含む、ヒト化抗体軽鎖可変領域
をさらに含む、請求項6記載のポリペプチド。
【請求項9】
ヒト化抗体重鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項10】
ヒト化抗体重鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項9記載のポリペプチド。
【請求項11】
ヒト化抗体重鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項9記載のポリペプチド。
【請求項12】
ヒト化抗体重鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項9記載のポリペプチド。
【請求項13】
ヒト化抗体重鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項6記載のポリペプチド。
【請求項14】
ヒト化抗体軽鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項1から13のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項15】
ヒト化抗体軽鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項14記載のポリペプチド。
【請求項16】
ヒト化抗体軽鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項14記載のポリペプチド。
【請求項17】
ヒト化抗体軽鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項14記載のポリペプチド。
【請求項18】
ヒト化抗体軽鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項14記載のポリペプチド。
【請求項19】
ヒト化抗体軽鎖可変領域が、

のアミノ酸配列を含む、請求項7記載のポリペプチド。
【請求項20】
請求項10、11、12、13のいずれか一項記載のヒト化重鎖と、請求項15、16、17、18、または19のいずれか一項記載のヒト化軽鎖とを含む、TL1Aに特異的に結合する抗原結合ポリペプチド。
【請求項21】
抗体分子、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片、およびscFv分子からなる群より選択される、請求項1から20のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項22】
分子が抗体分子である、請求項21記載のポリペプチド。
【請求項23】
TL1Aに特異的に結合し、かつ
(a)配列

を有する可変軽鎖領域と、
(b)配列

を有する可変重鎖領域と
を有する、請求項22記載の抗体。
【請求項24】
抗体が、ヒト重鎖定常領域とヒト軽鎖定常領域とを含むキメラ抗体である、請求項22記載のポリペプチド。
【請求項25】
抗体が、IgG分子(例えば、IgG1またはIgG4分子)である、請求項22または23記載のポリペプチド。
【請求項26】
scFv分子である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項27】
scFvが、NH2-L-VH-X-VK-COOHおよびNH2-L-VK-X-VH-COOHからなる群より選択される式を有し、
式中、Lがリーダー配列であり、VHがヒト化抗体重鎖可変領域であり、Xが連結ポリペプチドであり、かつVKがヒト化抗体軽鎖可変領域である、
請求項26記載のポリペプチド。
【請求項28】
Fab HSA融合分子である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項29】
Fab HSA融合物が、NH2-VK-CK-COOHと組み合わせられたNH2-VH-CH1-HSA-COOHまたはNH2-HSA-CH1-VH-COOHからなる群より選択される式を有し、
VH-CH1-HSAまたはHSA-CH1-VHが、ヒト血清アルブミン(HSA)との融合タンパク質として産生されたヒト化抗体重鎖可変領域(VH)およびヒト定常重鎖ドメイン1(CH1)であり、さらにそれが、Fab-HSAまたはHSA-Fab融合タンパク質を形成するようにその同族のヒト化抗体軽鎖可変領域(VK)およびヒト定常κドメイン(CK)とともに折り畳まれている、
請求項28記載のポリペプチド。
【請求項30】
治療剤または診断剤とコンジュゲートされた、請求項1から29のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項31】
治療剤が、細胞毒性剤、放射性標識、免疫調節物質、ホルモン、酵素、オリゴヌクレオチド、光活性治療剤、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項30記載のポリペプチド。
【請求項32】
診断剤が、放射性標識、光活性診断剤、超音波増強剤、または非放射性標識からなる群より選択される、請求項31記載のポリペプチド。
【請求項33】
TL1Aのアンタゴニストである、請求項1から32のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項34】
TL1Aのアゴニストではない、請求項1から33のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項35】
少なくとも約106M-1(好ましくは少なくとも約107M-1、より好ましくは少なくとも約108M-1、さらにより好ましくは少なくとも約109M-1)の親和定数でTL1Aに結合する、請求項1から34のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項36】
請求項1から35記載のポリペプチドのいずれか一つと担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項37】
さらなる治療剤または診断剤をさらに含む、請求項36記載の薬学的組成物。
【請求項38】
炎症性疾患または状態を処置または診断する方法であって、請求項36または37記載の組成物を、それを必要としている患者に投与する段階を含む方法。
【請求項39】
免疫性疾患または状態を処置または診断する方法であって、請求項36または37記載の組成物を、それを必要としている患者に投与する段階を含む方法。
【請求項40】
悪性疾患または状態を処置または診断する方法であって、請求項36または37記載の組成物を、それを必要としている患者に投与する段階を含む方法。
【請求項41】
疾患または状態が、自己免疫疾患(例えば、狼瘡)、炎症性腸疾患(IBD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節炎(例えば、関節リウマチ)、多発性硬化症、移植片拒絶、中枢神経系損傷、クローン病等のTh1媒介性腸疾患、乾癬、白血病またはリンパ腫(例えば、慢性リンパ性白血病(CLL))、アテローム硬化症、ならびに肺癌腫および結腸癌腫からなる群より選択される、請求項38から40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
請求項1から35記載のポリペプチドのいずれか一つをコードするポリヌクレオチド。
【請求項43】
請求項42記載のポリヌクレオチドのいずれか一つに機能的に連結されているプロモーター配列を含む、組換えポリヌクレオチド。
【請求項44】
請求項43記載のポリヌクレオチドで形質転換された、単離された細胞。
【請求項45】
以下の段階を含む、請求項42記載の組換えポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドを産生する方法:
(a)コードされたポリペプチドを発現させるために、組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を培養する段階、および
(b)そのように発現されたポリペプチドを回収する段階。
【請求項46】
ヒト化抗体重鎖可変領域が

のアミノ酸配列を含む、請求項9記載のポリペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−502522(P2011−502522A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533343(P2010−533343)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/083362
【国際公開番号】WO2009/064854
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(509217415)テバ バイオファーマシューティカルズ ユーエスエー インコーポレーティッド (2)
【Fターム(参考)】