UWB送信装置およびUWB送信方法
【課題】振幅変調方式と位相変調方式とが混在するシステムにおいて、振幅変調信号の信号電力の低下を防止しつつ、振幅変調方式と位相変調方式との双方の変調方式に対応すること。
【解決手段】マッピング部121は、変調モードがQPSK変調の場合、2ビットのデータに応じて、IQ平面上の4つの信号点のうちいずれか1点を選択し、選択した信号点のI成分およびQ成分に関する情報をQPSK/ASK変調信号形成部122に出力する。一方、変調モードがASK変調の場合、マッピング部121は、データが“0”のときIQ平面上の原点を選択し、データが“1”のときQPSK変調時のIQ平面上の4つの信号点のうちいずれか1点を選択し、選択した信号点に関する情報をQPSK/ASK変調信号形成部122に出力する。
【解決手段】マッピング部121は、変調モードがQPSK変調の場合、2ビットのデータに応じて、IQ平面上の4つの信号点のうちいずれか1点を選択し、選択した信号点のI成分およびQ成分に関する情報をQPSK/ASK変調信号形成部122に出力する。一方、変調モードがASK変調の場合、マッピング部121は、データが“0”のときIQ平面上の原点を選択し、データが“1”のときQPSK変調時のIQ平面上の4つの信号点のうちいずれか1点を選択し、選択した信号点に関する情報をQPSK/ASK変調信号形成部122に出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UWB(Ultra Wide Band)送信装置およびUWB送信方法に関し、特に振幅変調方式と位相変調方式とが混在するUWBシステムにおいて、双方の変調方式に対応するUWB送信装置およびUWB送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話や無線LAN(Local Area Network)と比べ、より高速、かつ携帯電話等のポータブル機器への搭載が可能な超低消費電力の無線方式としてUWB(Ultra Wide Band)が注目を浴びている。現在使われている無線システムでは数十MHz程度の周波数帯域を用いて通信を行なうのに対し、UWB無線システムは数百MHz〜数GHzの帯域を用いて通信を行なう無線システムであり、2002年に米FCCによりPart15において定められたPC等の不要輻射レベル以下であれば、3.1〜10.6GHzの周波数帯域を用いた短パルス通信をUWB通信として許容する骨子の法制化が発表されことに伴い、検討が活発に行われている。
【0003】
UWB無線システムの実現方式としては、短パルス通信を含むシングルキャリア通信が低消費電力化可能な方式として有力視されている。シングルキャリア通信で用いられる変調方式としては、大きく振幅変調(ASK:Amplitude Shift Keying)方式と位相変調(PSK:Phase Shift Keying)方式がある。振幅変調方式は信号の強弱にデータを重畳するため、発振器に対する要求性能が低く、安価かつ低消費電力での実現が見込まれる。一方、位相変調方式は信号の位相にデータを重畳するため低位相雑音の発振器が必要であるなど、振幅変調方式に比べ消費電力が大きくなるものの、振幅変調信号を復調する際に必要となる0,1を判定するためのしきい値制御による性能劣化がなく、また、多値の位相変調方式を用いれば更に高速伝送が実現できるといった高機能化に向くという利点がある。
【0004】
このため、UWB通信では、同一の周波数帯を用い、振幅変調を行なうUWB送信装置と位相変調を行なうUWB送信装置とが混在する利用環境となることが想定され、この双方を使い分けるUWB送信装置の実現が望まれる。
【0005】
特許文献1には、振幅変調方式と位相変調方式との双方に対応することができる送信装置が開示されている。図16に、特許文献1に開示される送信装置の要部構成を示す。この送信装置では、QPSK用ベースバンド処理部1、ASK用ベースバンド処理部2及び送信共通信号処理部11が、ASK変調時には、入力データに応じて、I軸とQ軸との交点(原点)と、I軸上の信号点との間で変化する2値のI値成分とゼロ値のQ値成分とを発生してQPSK変調器に入力する一方、QPSK変調時には、入力データに応じて、複数値のI値成分と複数値のQ値成分とを発生してQPSK変調器60に入力することにより、搬送波をQPSK変調又はASK変調する。
【特許文献1】特開2004−147052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した送信装置では、Q値成分を0、I値成分を2値に変化させて振幅変調信号を形成しているため、位相変調信号に対し振幅変調信号の出力電力が低下し、振幅変調信号の受信品質が劣化するという課題を有している。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、振幅変調方式と位相変調方式とが混在するシステムにおいて、振幅変調信号の信号電力の低下を防止しつつ、振幅変調方式と位相変調方式との双方の変調方式に対応することができるUWB送信装置およびUWB送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明に係るUWB送信装置は、振幅変調モードでの送信および位相変調モードでの送信が可能なUWB送信装置であって、振幅変調モードまたは位相変調モードのどちらかのモードを選択する選択手段と、選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、または、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成する送信信号形成手段と、を具備する構成を採る。
【0009】
この構成によれば、振幅変調モードの場合、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成してオフ信号の振幅変調信号を生成し、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成して振幅変調時のオン信号を生成することができるので、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、振幅変調時のオン信号の信号電力が位相変調信号の信号電力と一致するため、変調モード切り替え時に信号電力が低下するのを防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、振幅変調方式と位相変調方式とが混在するシステムにおいて、振幅変調信号形成時に信号電力が低下することなく、振幅変調方式と位相変調方式との双方の変調方式に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態に係るUWB送信装置の要部構成を示す。図1に示すUWB送信装置100は、変調モード選択部110と、送信信号形成部120と、送信部130とを備え、送信信号形成部120は、マッピング部121と、QPSK/ASK変調信号形成部122とを備えている。なお、以下では、QPSK/ASK変調信号形成部122が、ASK変調時、データが“0”のときオフ信号(パルス無し)を形成し、データが“1”のときオン信号(パルス有り)を形成する場合について説明する。
【0013】
変調モード選択部110は、データに対しQPSK変調を施し送信するのか、ASK変調を施し送信するのかを選択し、または、図示せぬ制御装置等から変調モード選択指示情報を取得し、選択または取得した変調モードに関する情報をマッピング部121に出力する。
【0014】
マッピング部121は、選択された変調モードがQPSK変調の場合、2ビットのデータに応じて、IQ平面上の4つの信号点のうちいずれか1点を選択し、選択した信号点のI成分およびQ成分に関する情報をQPSK/ASK変調信号形成部122に出力する。図2に、選択された変調モードがQPSK変調の場合のIQ平面上における信号点配置を示す。図中、信号点201は2ビットのデータが“0,0”のときの信号点を示しており、信号点202は2ビットのデータが“1,0”のときの信号点を示しており、信号点203は2ビットのデータが“1,1”のときの信号点を示しており、信号点204は2ビットのデータが“0,1”のときの信号点を示している。なお、各信号点が対応する2ビットのデータの組み合わせは、図2に示す組み合わせに限られない。
【0015】
一方、変調モードがASK変調の場合、マッピング部121は、データが“0”のときIQ平面上の原点を選択し、データが“1”のとき図2に示したQPSK変調時のIQ平面上の4つの信号点201〜204のうちいずれか1点を選択し、選択した信号点のI成分およびQ成分に関する情報をQPSK/ASK変調信号形成部122に出力する。図3に、変調モードがASK変調の場合のIQ平面上における信号点配置を示す。図3に示す信号点配置は、1ビットのデータが“0”のときに選択される信号点を信号点200(原点)とし、1ビットのデータが“1”のときに選択される信号点を図2中の信号点201とした場合の例である。なお、ASK変調時に受信側では、図3に点線206で示される円の半径を閾値に設定して閾値判定することで、パルスの有無を検出し、データを復調することができる。
【0016】
QPSK/ASK変調信号形成部122は、マッピング部121から出力されるI成分およびQ成分に関する情報を用いて、マッピング部121によって選択された信号点に配置したシンボルを形成してQPSK変調信号またはASK変調信号を生成する。
【0017】
送信部130は、QPSK変調信号またはASK変調信号に所定の無線送信処理を施し送信する。
【0018】
次いで、上記のように構成されたUWB送信装置100の動作について説明する。
【0019】
まず、変調モード選択部110によって選択され、若しくは、図示せぬ制御装置等から通知される変調モードがマッピング部121に出力される。ここで、変調モードとは、データに対しQPSK変調を施し送信するか、ASK変調を施し送信するか、変調方式に関する情報である。
【0020】
そして、マッピング部121において、変調モードとデータとに応じて、IQ平面上の信号点から送信すべき信号点が選択される。具体的には、QPSK変調モードの場合、2ビットのデータに応じて、図2に示すようにIQ平面上の4つの信号点のうちいずれか1点が選択される。そして、選択された信号点のI成分およびQ成分に関する情報がQPSK/ASK変調信号形成部122に出力され、QPSK/ASK変調信号形成部122においてQPSK変調信号が形成される。
【0021】
一方、ASK変調モードの場合、マッピング部121では、1ビットのデータに応じて、図3に示すようにIQ平面上の原点、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点が選択される。そして、選択された信号点のI成分およびQ成分に関する情報がQPSK/ASK変調信号形成部122に出力され、QPSK/ASK変調信号形成部122においてASK変調信号が形成される。
【0022】
このようにして、ASK変調モードの場合、マッピング部121において、1ビットのデータに応じて、IQ平面上の原点、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点が選択される。次に、QPSK/ASK変調信号形成部122において、選択された信号点に配置したシンボルを形成し、ASK変調信号を生成するようにした。したがって、信号点を原点200(0,0)とI軸上の信号点205との2点間、つまり、Q軸はいずれも0で、I軸がデータに応じて0と所定値の2値で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比べ、オン信号の信号電力が大きくなる。また、ASK変調時のオン信号の信号電力は、QPSK変調信号の信号電力と一致するので、変調モード切り替え時に信号電力の低下を防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0023】
また、QPSK変調時に用いられる信号点201に配置したシンボルを用いてオン信号を形成することで、受信側ではASK変調時のオン信号を受信している間にも結果的にQPSK変調時に用いられる信号点についても同期をとることになる。このため、ASK変調モードからQPSK変調モードに変調モードが切り替わった際、ASK変調信号に対し獲得した同期位置の結果を反映させながら、QPSK変調信号に対する同期位置を獲得することができ、この結果、同期獲得に要する時間を短縮することができるようになる。
【0024】
上述した説明では、QPSK/ASK変調信号形成部122は、ASK変調時、図3に示すように原点200に配置したシンボルを形成することによりオフ信号を生成し、信号点201に配置したシンボルを形成することによりオン信号を生成する場合について説明したが、信号点201の1点に限定せず、マッピング部121が、信号点201〜204から配置する信号点を時間的に遷移しシンボルを形成することによりオン信号を生成するようにしてもよい。
【0025】
これにより、マルチパスの影響や、伝搬路及びUWB送信装置100のアナログ回路の周波数特性によって波形が歪んだ場合においても、QPSK変調時に用いられる信号点すべてを用いてASK変調時のオン信号が形成されるようになる。このため、変調モードがASK変調モードからQPSK変調モードに切り替わった際、QPSK変調信号に対する同期を獲得する際にASK変調信号に対する同期状態を反映させることができ、QPSK変調信号を復調するための同期がとりやすくなる。
【0026】
つまり、4つの信号点を選択する回数ができるだけ同じ数となるようにして送信するようにすることで、受信機側で、どこか1点の位相に偏った同期状態とならないという効果がある。以下、図5の受信時のIQ平面上の信号点配置を参照しながら補足する。図5中、5つの受信点200−1〜204−1は、それぞれ図4に示す5つの信号点200〜204に対する受信点を示している。
【0027】
ASK変調時、マッピング部121が、信号点201に配置したシンボルを形成することによりオン信号を生成する場合には、受信点200−1と第1象限に位置する受信点201−1の2点のみから得られた軸(点線210)を用いて同期位置を求めることになる。したがって、受信点201−1がマルチパスの影響や、伝搬路および無線機のアナログ回路部の周波数特性によって波形が歪み、振幅、位相差が変動し受信位置が歪んだ場合には、軸(点線210)がQPSK変調時の信号点配置に対する軸から大きくずれてしまう可能性がある。そのため、ASK変調モードからQPSK変調モードへ変調モードが切り替わった直後、他の象限に位置する受信点202−1〜204−1に対し軸が適切な位置にあるとは限らず、受信点202−1〜204−1を誤って判定してしまう可能性がある。
【0028】
これに対し、マッピング部121が、信号点201〜204から配置する信号点を時間的に遷移しシンボルを形成することによりオン信号を生成する場合には、マルチパスの影響や、伝搬路および無線機のアナログ回路部の周波数特性によって波形が歪み、振幅、位相差がそれぞれ変動し、また変動量が受信点ごとに異なる場合等がある。これにより、受信位置がそれぞれ歪んだ場合において、受信点200−1と第1,2,3,4象限に位置する受信点201−1〜204−1の5点から得られた軸(実線220)、つまり、受信点201−1〜204−1の4点すべてに対し信号点間距離が均等な軸(実線220)を用いて各信号点候補の同期位置を求めることができる。そのため、ASK変調モードからQPSK変調モードへ変調モードが切り替わった際に、点線210を用いる場合に比し、受信点201−1〜204−1を誤って判定する割合が低減し、受信精度を向上することができる。
【0029】
図6にUWB受信装置の要部構成を示す。図6に示すUWB受信装置300は、局部発振器302と、π/2位相シフト器304と、乗算器306−1,306−2と、LPF(Low Pass Filter)308−1,308−2と、QPSK判定部312と、ASK判定部314と、変調モード選択部316とを備えている。
【0030】
上記のように構成されたUWB受信装置300の復調動作について説明する。図6に示すように、受信信号は、乗算器306−1,306−2へ出力される。そして、乗算器306−1によって、受信信号と局部発振器302から出力される搬送波303とが乗算され、LPF308−1へ出力される。一方、乗算器306−2では、受信信号はπ/2位相シフト器304によってπ/2だけ位相がシフトされた搬送波305と乗算され、LPF308−2へ出力される。
【0031】
乗算器306−1,306−2から出力される乗算結果307−1,307−2は、それぞれLPF308−1,308−2によって帯域制限され、I成分(同相)のベースバンド信号309−1とQ成分(直交)のベースバンド信号309−2が取得され、それぞれQPSK判定部312とASK判定部314へ出力される。
【0032】
そして、変調モードがQPSK変調モードの場合、変調モード選択部316はQPSK判定部312のみを動作させ、ASK判定部314は動作させないように制御する。一方、変調モードがASK変調モードの場合、変調モード選択部316はASK判定部314のみを動作させ、QPSK判定部312は動作させないように制御する。なお、変調モードの判定は、例えば、受信データに対し始めにQPSK復調を施し、次にASK復調を施し、正しく復調できた変調方式を変調モードと判定するなどして行えばよく、また、これに限定されるものではない。
【0033】
図7に、ASK判定部314の要部構成を示す。図7に示すASK判定部314は、整合フィルタ320−1,320−2と、二乗検波器322−1,322−2と、最大値判定部324と、閾値判定部326とを備える。ここで、最大値判定部324は、二乗検波器322−1,322−2における二乗検波結果323−1,323−2を比較し、二乗検波結果323−1,323−2のうち大きい二乗検波結果を最大値325として閾値判定部326に出力する。閾値判定部326は、最大値325に対し硬判定を行うことによりASK判定を行う。
【0034】
なお、ASK判定部314を図8,図9に示すような処理部から構成されるようにしてもよい。図8に示すASK判定部314は、整合フィルタ320−1,320−2と、二乗検波器322−1,322−2と、加算器328と、閾値判定部330とを備え、加算器328は、二乗検波結果323−1と二乗検波結果323−2とを加算し、閾値判定部330は、加算値329に対し硬判定を行うことによりASK判定を行う。
【0035】
図9に示すASK判定部314は、整合フィルタ320−1,320−2と、二乗検波器322−1,322−2と、閾値判定部332−1,332−2と、ORゲート334とを備え、閾値判定部332−1,332−2は、それぞれ二乗検波結果323−1,323−2に対し硬判定し、ORゲート334は、硬判定結果333−1と硬判定結果333−2との論理和を算出する。なお、以上説明したASK判定部314の要部構成は、既存の技術を用いて構成することができ、ASK判定部314の要部構成は図7〜図9に示す要部構成に限定されるものではない。
【0036】
次いで、ASK変調時において、オン信号を図4に示すような信号点201〜204のいずれかの信号点に配置したシンボルを形成することで、同期獲得時間を短縮できる点について図10を参照しながら以下説明する。図10は、QPSK変調モードとASK変調モードとがシステムにおいて共存する場合に、UWB送信装置100から通信相手に送信する場合の送信フレームのフォーマットの一例を示している。
【0037】
図10(a)および図10(b)は、ASK変調時に、例えば、特許文献1のように、QPSK変調の信号点とは異なる信号点を選択し、当該信号点に配置したシンボルを形成する場合の送信フレームのフォーマットの一例を示している。この場合には、図10(a)および図10(b)に示すように、ASK用プリアンブルおよびQPSK用プリアンブル(プリアンブル長:LQ)を別個に送信フレームに割り当てる必要がある。
【0038】
これに対し、図4に示すように、ASK変調時、シンボルが配置される信号点をQPSK変調の信号点201〜204から選択するようにしてオン信号を生成した場合には、ASK/QPSK用プリアンブルを共用化することができる。このため、図10(c)に示すように、QPSK用プリアンブルのプリアンブル長をLQ−1まで短縮することが可能となる。
【0039】
一般に、ASK変調信号に対する同期はQPSK変調信号に対する同期に比べ精度が低くてもよいので、同期時間が短い。このため、ASK変調の同期情報であるASK用プリアンブルとして、図4に示すように、QPSK変調の信号点201〜204に配置したシンボルを形成することにより生成したASK変調信号を送信するようにすることで、受信機側では、QPSK変調時の信号点候補を正確ではないがおおまかに把握することができる。通常、複数ビットの相関値が高ければ同期していると判定される。したがって、同期が正確に取られていなくてもASK用プリアンブルによりおおまかに同期が取られていれば、相関値は高くなる。この結果、以後に続くQPSK用プリアンブルを用いて正確に同期を取るまでの時間が短くてすむことになる。つまり、QPSK用プリアンブルのプリアンブル長を短縮することが可能となる。
【0040】
図10ではASK用プリアンブルをQPSK用プリアンブルの前に配置する場合について例示したが、QPSK用プリアンブルをASK用プリアンブルの前に配置するようにしてもよい。
【0041】
ここで、図3に示したように、ASK変調時、データが“1”のとき信号点201のみを信号点として選択して、当該信号点に配置したシンボルを形成することにより、オン信号を生成する場合について説明する。つまり、図3では、一つの位相位置のみでオン信号を生成する場合には、ASK変調モードからQPSK変調モードに変調モードが切り替わった際、ASK用プリアンブルのみではQPSK変調信号に対し十分に同期追従することが困難であるので、さらに、QPSK用プリアンブルを用いて正しく同期を取る必要がある。
【0042】
これに対し、図4に示すような5つの位相位置を用いて、各信号点に配置したシンボルを形成することでASK変調信号を生成し、ASK・QPSK用プリアンブルを送信すれば、ASK変調とQPSK変調とが重畳した変調信号が送信されることになる。このため、ASK・QPSK用プリアンブルを用いてQPSK変調信号に対しても同期獲得することができ、ASK・QPSK用プリアンブルのみ、又は、これに続く短いQPSK用プリアンブルを用いて同期獲得することができる。以上の3つの送信フレーム構成を比較すると、図10(c)のとき、実際の通信に関係ないプリアンブルとPHYヘッダ(変調方式の指定、機器認証、ペイロード長等の情報が含まれる)の時間が最も短く、効率よく実際のデータ(ペイロード)を送ることができる。
【0043】
以上のように、本実施の形態によれば、ASK変調モードの場合、データが“0”のときは、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することによりオフ信号を生成し、データが“1”のときは、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより、オン信号を生成するようにした。このため、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、ASK変調時のオン信号の信号電力がQPSK変調信号の信号電力と一致するので、変調モード切り替え時に信号電力の低下を防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0044】
また、QPSK変調時に、図4に示すように、データが“1”のとき1ビットごとにシンボルが配置される信号点を信号点201〜204から選択するようにするようにし、同期位置を図5に示すように5つの信号点200〜204に対する5つの受信点200−1〜204−1から求めるようにした。このため、図5に示すように信号点配置がマルチパスの影響等により歪んだ場合においても、同図中、点線で示されるように受信点200−1と受信点201−1の2点のみから同期を求める場合に比べ、同図中、実線で示されるように同期位置をより正確に求めることができるようになる。このようにして、同期位置をより正確に算出することができる結果、受信精度を向上することができる。
【0045】
さらに、QPSK変調信号の信号点配置を用いて、ASK変調時のオン信号を生成するようにした。このため、QPSK変調とASK変調とのプリアンブルを共用化することができ、この結果、変調モードがASK変調モードからQPSK変調モードに切り替わった際、QPSK変調信号を復調するための同期獲得時間を短縮することができる。これにより、同期獲得に必要となるプリアンブルのプリアンブル長を短くすることが可能となるため、ペイロードを効率よく送信することができるようになる。
【0046】
なお、以上の説明ではオン信号をIQ平面上の4つの信号点、つまり、4つの位相を用いて形成する場合について説明したが、2つ又は3つの位相を用いて形成するようにしても同様の効果を得ることができる。2つの位相を用いて形成する場合は、それぞれの位相がπ/2離れた位置関係にある信号点よりも、π/4離れた位置関係にある信号点にシンボルを配置してオン信号を形成するようにする方が同期位置を正確に算出できるため望ましい。
【0047】
また、以上の説明では位相変調としてQPSK変調を用いた場合について説明したが、BPSK変調を用いても同様に実施可能であることは言うまでもない。
【0048】
また、ASK変調としてOOK変調を用いた場合について説明したが、2値ASKとし、振幅値の小さいシンボルをIQ平面の原点とせずに所定の振幅をあたえてこの信号にも位相情報を残すように実施しても良い。この場合、位相変調信号を復調する装置においては、振幅の小さなシンボルからも位相情報を抽出できるためより正確に同期位置を算出することが可能となる。
【0049】
また、多値ASK変調の場合も同様に実施可能である。この場合、多値ASK信号を生成するために、送信振幅を多値化するための変調器を位相変調器に追加して実現してもよい。また、同様に位相変調器が振幅変調も行う所定の多値数のQAM変調器であってもよいことは言うまでもない。
【0050】
(実施の形態2)
図11に、本実施の形態に係る送信信号形成部120の要部構成を示す。図11に示す送信信号形成部120は、マッピング部121と、I値設定部404−1、Q値設定部404−2、パルス波形整形部406−1,406−2、乗算器408−1,408−2と、局部発振器410と、π/2位相シフト器412と、合成器414とを備えている。
【0051】
マッピング部121は、変調モード選択部110から出力される変調モードに応じて、信号点を選択し、選択した信号点のI成分をI値設定部404−1に出力し、Q成分をQ値設定部404−2に出力する。具体的には、QPSK変調モードの場合、入力データ2ビットごとに対応する信号点のI成分およびQ成分をそれぞれI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力する。一方、ASK変調モードの場合、入力データが“0”のときは、I成分およびQ成分としてともにゼロをI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力し、入力データが“1”のときは、図4の信号点配置における4つの信号点から信号点を選択し、選択した信号点に対応するI成分およびQ成分を、それぞれI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力する。
【0052】
パルス波形整形部406−1,406−2は、I値設定部404−1から出力されるI成分またはQ値設定部404−2から出力されるQ成分に対しパルス波形整形を施し、それぞれ乗算器408−1,408−2に出力する。
【0053】
乗算器408−1は、局部発振器410から出力される搬送波とパルス波形整形後のI成分とを乗算し、得られたI成分信号を合成器414へ出力する。
【0054】
乗算器408−2は、局部発振器410から出力される搬送波の位相がπ/2位相シフト器412によってπ/2だけシフトされた搬送波とパルス波形整形後のQ成分とを乗算し、得られたQ成分信号を合成器414へ出力する。
【0055】
合成器414は、I成分信号とQ成分信号とを合成する。
【0056】
以上のように、本実施の形態によれば、ASK変調モードとQPSK変調モードとで信号点配置を共有化し、マッピング部121と、I値設定部404−1、Q値設定部404−2、パルス波形整形部406−1,406−2、乗算器408−1,408−2と、局部発振器410と、π/2位相シフト器412と、合成器414とから構成されるQPSK信号形成回路を用いて、ASK変調モードの場合、入力データが“0”のときは、マッピング部121がI成分およびQ成分としてともにゼロをI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力し、入力データが“1”のときは、図4の信号点配置における4つの信号点から信号点を選択し、選択した信号点に対応するI成分およびQ成分をそれぞれI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力するようにしてASK変調時のオン信号を形成するようにした。これにより、QPSK信号形成回路とASK変調信号形成回路とを共用化して、回路規模を増大させずに双方の変調方式に対応することができるとともに、ASK変調時のオン信号の信号電力がQPSK変調信号の信号電力と一致するので、変調モード切り替え時に信号電力の低下を防止し、受信品質の劣化を低減することができる。
【0057】
(実施の形態3)
図12に、送信信号形成部120の要部構成を示す。図12に示す送信信号形成部120は、クロック信号源501と、マッピング部502と、搬送波信号源503と、可変遅延器504と、スイッチ505とから構成される。
【0058】
マッピング部502は、変調モードに応じて、周波数変換後のクロック信号を基準にして搬送波信号源503から出力される正弦波の位相を選択し、正弦波の位相を制御するための制御信号を可変遅延器504に出力する。具体的には、変調モードがASK変調モードでデータが“1”のとき、図4に示す信号点201,202,203,204のいずれか1点を選択し、選択した信号点に対応する位相に応じて、正弦波の位相をπ/4,3π/4,5π/4,7π/4だけシフトするような制御信号を可変遅延器504に出力する。一方、QPSK変調モードの場合、入力データ2ビットごとに対応する図4に示す信号点配置の4つの信号点の位相に応じて、正弦波の位相をπ/4,3π/4,5π/4,7π/4だけシフトするような制御信号を可変遅延器504に出力する。なお、マッピング部502は、クロック信号源501から出力されるクロック信号を原信とし、変調レートに等しくなるよう当該クロック信号の周波数を逓倍により周波数変換し、変換後のクロック信号を基準に正弦波の位相を制御するための制御信号を生成する。
【0059】
可変遅延器504は、搬送波信号源503から出力される正弦波の位相を、マッピング部502から出力される制御信号に応じてシフトし、位相シフト後の正弦波をスイッチ505に出力する。
【0060】
スイッチ505は、QPSK変調モードの場合は、常にスイッチをオンにし、生成されたQPSK変調信号を出力する。スイッチ505は、一方、ASK変調モードの場合は、データが“1”のときのみスイッチをオンしオン信号を出力し、データが“0”のときはスイッチをオフにする。
【0061】
このようにして形成されたQPSK変調信号の波形図を図13に示す。図13に示すように、本実施の形態に係る送信信号形成部120は、搬送波信号源503から出力される正弦波の位相を可変遅延器504でシフトすることにより、QPSK変調信号を形成するようにしている。例えば、搬送波周波数を60GHzとすると1周期は約16.7psecとなるので、可変遅延器504において正弦波の位相を4psec程度遅延するようにすれば、搬送波の位相がπ/2ずつシフトされ図4に示す信号点201〜204のすべてが用いられてQPSK変調信号が生成されることになる。
【0062】
また、ASK変調モードの場合、正弦波を4psec程度ずつ遅延させていくようにすれば、オン信号のシンボル点としてQPSK変調時のIQ平面上の4つの信号点がすべて用いられるようになるため、QPSK復調時に同期獲得を正確に行うことができるようになる。
【0063】
図14に受信機能を備えたUWB通信装置の要部構成を示す。図14の本実施の形態のUWB通信装置において、図12と共通する構成部分には図12と同一の符号を付しその説明を省略する。図14に示すUWB通信装置500は、図12に示すUWB送信装置100に対し、ASK復調部506を追加した構成を採る。ASK復調部506は、ASK変調モードの場合、閾値判定等によりオン信号/オフ信号を検出することでASK変調信号を復調し、QPSK変調モードの場合、クロック信号源501から出力されるクロック信号を原信とし、変調レートに等しくなるよう当該クロック信号の周波数を逓倍により周波数変換し、変換後のクロック信号を基準にして正弦波の位相を判定することによりQPSK変調信号を復調する。
【0064】
以上のように、本実施の形態によれば、ASK変調モードとQPSK変調モードとで信号点配置を共有化し、クロック信号源501と、マッピング部502と、搬送波信号源503と、スイッチ505とから構成されるASK変調信号形成回路に、可変遅延器504を追加することでQPSK変調信号形成回路を構成し、マッピング部502が入力データ2ビットごとに図4に示す信号点配置の4つの信号点を選択し、選択した信号点の位相に応じて、正弦波の位相をπ/4,3π/4,5π/4,7π/4だけシフトするような制御信号を可変遅延器504に出力するようにしてQPSK変調信号を形成するようにした。これにより、ASK変調信号形成回路とQPSK変調信号形成回路とを共用化して、回路規模を増大させずに双方の変調方式に対応することができるとともに、ASK変調時のオン信号の信号電力がQPSK変調信号の信号電力と一致するため、変調モード切り替え時に信号電力の低下を防止し、受信品質の劣化を低減することができる。
【0065】
なお、以上の説明ではASK変調モードからQPSK変調モードへ変調モードを切り替えた際に、同期を正確に取ることができるように、ASK変調時に位相を4psecずつシフトする場合について記載したが、ASK変調時に位相をランダム化するだけであれば、可変遅延器504が送信のたびに数psecの遅延を適宜与えればよいことは言うまでもない。
【0066】
また、以上の説明では図13に示すように、変調モードがASK変調モードでデータが“1”のとき、図4に示す信号点201,202,203,204のいずれか1点を選択し、選択した信号点に対応する位相に応じて、正弦波の位相をπ/4,3π/4,5π/4,7π/4だけシフトするような制御信号を可変遅延器504に出力して、位相変調を行う場合について説明したが、位相を固定としてもよい。さらには、通信相手が、位相変調信号の復調が可能な復調器を備える場合には、正弦波の位相を4つの位相から選択し、通信相手が、位相変調信号の復調を行えない場合には、固定位相のみを用いて、ASK変調信号を生成するようにしてもよい。
【0067】
(実施の形態4)
図15に、送信信号形成部120の要部構成を示す。図15の本実施の形態の送信信号形成部120において、図11と共通する構成部分には、図11と同一の符号を付して説明を省略する。図15は、図11に対して、マッピング部121に代えて、マッピング部124を備え、局部発振器410とπ/2位相シフト器412との間にスイッチ418を追加した構成を採る。
【0068】
マッピング部124は、QPSK変調モードの場合、入力データ2ビットごとに対応する信号点のI成分およびQ成分をそれぞれI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力する。一方、ASK変調モードの場合、マッピング部124は、入力データが“0”のときは、I成分およびQ成分としてともにゼロをI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力し、入力データが“1”のときは、図4の信号点配置における信号点201若しくは203に対応するI成分およびQ成分を選択して、それぞれI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力する。つまり、ASK変調モードの場合には、I成分およびQ成分が等しい信号点のみが選択されることになる。
【0069】
スイッチ418は、変調モード選択部110から出力される変調モードがQPSK変調の場合、局部発振器410から出力される搬送波をπ/2位相シフト器412に出力し、変調モードがASK変調の場合、搬送波を乗算器408−2に出力する。
【0070】
これにより、QPSK変調モードの場合は、図11の場合と同様にQPSK変調信号が形成されるようになるとともに、ASK変調モードの場合には、I成分に乗算される搬送波とQ成分の乗算される搬送波との位相が同相となり、合成器414によって同相成分同士が加算されることによりオン信号が生成されるようになる。この結果、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、ASK変調時のオン信号の信号電力を大きくすることができ、受信品質の劣化を低減することができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態によれば、ASK変調モードの場合、入力データが“1”のときに、マッピング部124は、I成分およびQ成分が等しい信号点を選択し、さらに、I成分およびQ成分が局部発振器410から出力される同位相の搬送波と乗算されるようにした。このため、合成器414において同相成分同士が加算されてASK変調時のオン信号を生成される。これにより、単純にI成分のみをゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、ASK変調時のオン信号の信号電力を大きくすることができ、受信品質の劣化を低減することができる。
【0072】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、振幅変調モードでの送信および位相変調モードでの送信が可能なUWB送信装置であって、振幅変調モードまたは位相変調モードのどちらかのモードを選択する選択手段と、選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、または、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、前記位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成する送信信号形成手段と、を具備する構成を採る。
【0073】
この構成によれば、本発明のUWB送信装置は、振幅変調モードの場合、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成してオフ信号の振幅変調信号を生成し、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成して振幅変調時のオン信号を生成することができる。このため、本発明のUWB送信装置は、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、振幅変調時のオン信号の信号電力が位相変調信号の信号電力と一致するため、変調モード切り替え時に信号電力が低下するのを防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0074】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、OOK変調である構成を採る。
【0075】
この構成によれば、本発明のUWB送信装置は、振幅変調モードの場合、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成してオフ信号のOOK変調信号を生成し、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成してOOK変調時のオン信号を生成することができる。このため、本発明のUWB送信装置は、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、OOK変調時のオン信号の信号電力が位相変調信号の信号電力と一致するので、変調モード切り替え時に信号電力が低下するのを防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0076】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記位相変調モードで行われる位相変調は、BPSK変調である構成を採る。
【0077】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記位相変調モードで行われる位相変調は、QPSK変調である構成を採る。
【0078】
これらの構成によれば、本発明のUWB送信装置は、振幅変調モードの場合、1ビット当たりのデータに応じて、BPSK,QPSK変調時のIQ平面上の信号点に配置したシンボルを形成してオン信号を生成することができる。このため、本発明のUWB送信装置は、振幅変調信号の信号電力の低下を防止しつつ、振幅変調方式とBPSK,QPSK変調方式との双方の変調方式に対応することができる。
【0079】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、OOK変調であり、前記位相変調モードで行われる位相変調は、BPSK変調である構成を採る。
【0080】
この構成によれば、本発明のUWB送信装置は、OOK変調モードの場合、1ビット当たりのデータに応じて、BPSK変調時のIQ平面上の信号点に配置したシンボルを形成してオン信号を生成することができる。このため、本発明のUWB送信装置は、OOK変調信号の信号電力の低下を防止し、受信品質の劣化を低減しつつ、OOK変調方式とBPSK変調方式との双方の変調方式に対応することができる。
【0081】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、ASK変調であり、前記位相変調モードで行われる位相変調は、QPSK変調であり、前記送信信号形成手段は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、1ビットのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとするASK変調信号、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成し、選択された前記モードがQPSK変調モードの場合、2ビットのデータに応じて、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することによりQPSK変調信号を生成する構成を採る。
【0082】
この構成によれば、ASK変調モードの場合、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成してオフ信号のASK変調信号を生成し、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成してASK変調時のオン信号を生成することができる。
【0083】
つまり、本発明のUWB送信装置は、ASK変調モードでの送信およびQPSK変調モードでの送信が可能な本UWB送信装置は、図には記載されていない制御部からの変調モードによって変調モード選択部がマッピング部にASK変調としてのマッピングを行なうか、QPSK変調としてのマッピングを行なうのかを指示する。ここで、選択された前記モードがASK変調モードの場合、1ビットのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとするASK変調信号、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成する。これにより、本発明のUWB送信装置は、第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成し、選択された前記モードがQPSK変調モードの場合、2ビットのデータに応じて、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することによりQPSK変調信号を生成することになる。
【0084】
これにより、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、ASK変調時のオン信号の信号電力がQPSK変調信号の信号電力と一致するので、変調モード切り替え時に信号電力が低下するのを防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0085】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記送信信号形成手段は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうち2点以上の点に時間的に遷移したシンボルを形成することにより前記第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成する構成を採る。
【0086】
この構成によれば、ASK変調時において、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうち2点以上の信号点が用いられてオン信号を生成することができる。このため、ASK変調時にQPSK変調の同期を同時に取ることが可能となり、ASK変調モードからQPSK変調モードへ変調モードが切り替え時のQPSK変調信号に対する同期時間を短縮することができる。
【0087】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記送信信号形成手段は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点に等確率に遷移したシンボルを形成することにより前記第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成する構成を採る。
【0088】
この構成によれば、ASK変調時において、QPSK変調時のIQ平面上の各信号点が等確率に用いられてオン信号を生成することができるので、同期位置をより正確に算出することができ、この結果、受信精度を向上することができる。
【0089】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記送信信号形成手段は、選択された前記モードに関わらず、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点に配置したシンボルから、送信フレームのプリアンブルを生成する構成を採る。
【0090】
この構成によれば、QPSK変調とASK変調とのプリアンブルを共用化することができるため、変調モードがASK変調モードからQPSK変調モードに切り替わった際、QPSK変調信号を復調するための同期獲得時間を短縮することができる。また、同期獲得に必要となるプリアンブルのプリアンブル長を短くすることが可能となるため、ペイロードを効率よく送信することができる。
【0091】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記送信信号形成手段は、前記1ビットまたは2ビットのデータ、および、選択された前記モードに応じて、前記シンボルのI成分およびQ成分を設定するマッピング手段と、搬送波を生成する局部発振器と、前記I成分に前記搬送波を乗算する第1の乗算器と、前記搬送波の位相をπ/2だけシフトするπ/2位相シフト器と、前記Q成分に前記π/2位相シフト器により位相がシフトされた搬送波を乗算する第2の乗算器と、前記搬送波がそれぞれ乗算された後の前記I成分と前記Q成分とを合成する合成器と、を具備する構成を採る。
【0092】
この構成によれば、QPSK変調信号を形成するための処理部を用いてASK変調信号を形成することができるため、回路規模を増大させずに双方の変調方式に対応させることができる。
【0093】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記送信信号形成手段は、搬送波を生成する局部発振器と、前記1ビットまたは2ビットのデータ、および、選択された前記モードに応じて、前記搬送波の位相をシフトする可変遅延器と、選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記1ビットのデータに応じて、前記搬送波を通過させるか否か切り替える切替部と、を具備する構成を採る。
【0094】
この構成によれば、ASK変調信号を形成するための処理部を用いてQPSK変調信号を形成することができるため、回路規模を増大させずに双方の変調方式に対応することができる。
【0095】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記π/2位相シフト器は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記搬送波を前記第2の乗算器に出力する切替部、を備え、前記マッピング手段は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記シンボルの前記I成分および当該I成分に等しい成分を前記Q成分に設定する構成を採る。
【0096】
この構成によれば、ASK変調モードの場合、I成分に乗算される搬送波とQ成分の乗算される搬送波との位相を同相にして、同相成分同士を加算してオン信号を形成することができるため、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、ASK変調時のオン信号の信号電力が大きくなることにより受信品質の劣化を低減することができる。
【0097】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記位相変調モードで行われる位相変調は、多値QAM変調を含む位相変調であり、前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、多値QAM変調を含まない振幅変調であり、前記送信信号形成手段は、選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、又は、多値QAM変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、前記多値QAM変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成する構成を採る。
【0098】
この構成によれば、1シンボル当たりのデータに応じて、多値QAM変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成して多値ASK変調信号を生成することができるので、多値ASK変調と多値QAM変調とのプリアンブルを共用化することができ、この結果、変調モードが多値ASK変調モードから多値QAM変調モードに切り替わった際、多値QAM変調信号を復調するための同期獲得時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のUWB送信装置およびUWB送信方法は、振幅変調方式と位相変調方式とが混在するシステムにおいて、振幅変調信号の信号電力の低下を防止しつつ、振幅変調方式と位相変調方式との双方の変調方式に対応することができ、特に振幅変調方式と位相変調方式とが混在するUWBシステムにおいて、双方の変調方式に対応するUWB送信装置およびUWB送信方法などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施の形態1に係るUWB送信装置の要部構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1に用いられるコンスタレーションを示す図
【図3】実施の形態1に用いられるコンスタレーションを示す図
【図4】実施の形態1に用いられる信号点配置を説明するためのコンスタレーションを示す図
【図5】実施の形態1に用いられる信号点配置の違いにより同期位置が異なることを説明に供する図
【図6】実施の形態1に係るUWB受信装置の要部構成を示すブロック図
【図7】実施の形態1に係るASK判定部の要部構成を示すブロック図
【図8】実施の形態1に係るASK判定部の要部構成を示すブロック図
【図9】実施の形態1に係るASK判定部の要部構成を示すブロック図
【図10】送信フレームのフォーマットの一例を示す図
【図11】本発明の実施の形態2に係るUWB送信装置の要部構成を示すブロック図
【図12】本発明の実施の形態3に係るUWB送信装置の要部構成を示すブロック図
【図13】実施の形態3に係るUWB送信装置により形成されたQPSK変調信号の波形を示す図
【図14】実施の形態3に係るUWB通信装置の要部構成を示すブロック図
【図15】本発明の実施の形態4に係るUWB送信装置の要部構成を示すブロック図
【図16】従来のUWB送信装置の要部構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0101】
100 UWB送信装置
110 変調モード選択部
120 送信信号形成部
121,124,502 マッピング部
122 QPSK/ASK変調信号形成部
130 送信部
300 UWB受信装置
302 局部発振器
304 π/2位相シフト器
306−1,306−2 乗算器
308−1,308−2 LPF
312 QPSK判定部
314 ASK判定部
316 変調モード選択部
320−1,320−2 整合フィルタ
322−1,322−2 二乗検波器
324 最大値判定部
326,330,332−1,332−2 閾値判定部
328 加算器
334 ORゲート
404−1 I値設定部
404−2 Q値設定部
406−1,406−2 パルス波形整形部
408−1,408−2 乗算器
410 局部発振器
412 π/2位相シフト器
414 合成器
418 スイッチ
501 クロック信号源
503 搬送波信号源
504 可変遅延器
505 スイッチ
506 ASK復調部
【技術分野】
【0001】
本発明は、UWB(Ultra Wide Band)送信装置およびUWB送信方法に関し、特に振幅変調方式と位相変調方式とが混在するUWBシステムにおいて、双方の変調方式に対応するUWB送信装置およびUWB送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話や無線LAN(Local Area Network)と比べ、より高速、かつ携帯電話等のポータブル機器への搭載が可能な超低消費電力の無線方式としてUWB(Ultra Wide Band)が注目を浴びている。現在使われている無線システムでは数十MHz程度の周波数帯域を用いて通信を行なうのに対し、UWB無線システムは数百MHz〜数GHzの帯域を用いて通信を行なう無線システムであり、2002年に米FCCによりPart15において定められたPC等の不要輻射レベル以下であれば、3.1〜10.6GHzの周波数帯域を用いた短パルス通信をUWB通信として許容する骨子の法制化が発表されことに伴い、検討が活発に行われている。
【0003】
UWB無線システムの実現方式としては、短パルス通信を含むシングルキャリア通信が低消費電力化可能な方式として有力視されている。シングルキャリア通信で用いられる変調方式としては、大きく振幅変調(ASK:Amplitude Shift Keying)方式と位相変調(PSK:Phase Shift Keying)方式がある。振幅変調方式は信号の強弱にデータを重畳するため、発振器に対する要求性能が低く、安価かつ低消費電力での実現が見込まれる。一方、位相変調方式は信号の位相にデータを重畳するため低位相雑音の発振器が必要であるなど、振幅変調方式に比べ消費電力が大きくなるものの、振幅変調信号を復調する際に必要となる0,1を判定するためのしきい値制御による性能劣化がなく、また、多値の位相変調方式を用いれば更に高速伝送が実現できるといった高機能化に向くという利点がある。
【0004】
このため、UWB通信では、同一の周波数帯を用い、振幅変調を行なうUWB送信装置と位相変調を行なうUWB送信装置とが混在する利用環境となることが想定され、この双方を使い分けるUWB送信装置の実現が望まれる。
【0005】
特許文献1には、振幅変調方式と位相変調方式との双方に対応することができる送信装置が開示されている。図16に、特許文献1に開示される送信装置の要部構成を示す。この送信装置では、QPSK用ベースバンド処理部1、ASK用ベースバンド処理部2及び送信共通信号処理部11が、ASK変調時には、入力データに応じて、I軸とQ軸との交点(原点)と、I軸上の信号点との間で変化する2値のI値成分とゼロ値のQ値成分とを発生してQPSK変調器に入力する一方、QPSK変調時には、入力データに応じて、複数値のI値成分と複数値のQ値成分とを発生してQPSK変調器60に入力することにより、搬送波をQPSK変調又はASK変調する。
【特許文献1】特開2004−147052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した送信装置では、Q値成分を0、I値成分を2値に変化させて振幅変調信号を形成しているため、位相変調信号に対し振幅変調信号の出力電力が低下し、振幅変調信号の受信品質が劣化するという課題を有している。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、振幅変調方式と位相変調方式とが混在するシステムにおいて、振幅変調信号の信号電力の低下を防止しつつ、振幅変調方式と位相変調方式との双方の変調方式に対応することができるUWB送信装置およびUWB送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明に係るUWB送信装置は、振幅変調モードでの送信および位相変調モードでの送信が可能なUWB送信装置であって、振幅変調モードまたは位相変調モードのどちらかのモードを選択する選択手段と、選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、または、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成する送信信号形成手段と、を具備する構成を採る。
【0009】
この構成によれば、振幅変調モードの場合、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成してオフ信号の振幅変調信号を生成し、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成して振幅変調時のオン信号を生成することができるので、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、振幅変調時のオン信号の信号電力が位相変調信号の信号電力と一致するため、変調モード切り替え時に信号電力が低下するのを防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、振幅変調方式と位相変調方式とが混在するシステムにおいて、振幅変調信号形成時に信号電力が低下することなく、振幅変調方式と位相変調方式との双方の変調方式に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態に係るUWB送信装置の要部構成を示す。図1に示すUWB送信装置100は、変調モード選択部110と、送信信号形成部120と、送信部130とを備え、送信信号形成部120は、マッピング部121と、QPSK/ASK変調信号形成部122とを備えている。なお、以下では、QPSK/ASK変調信号形成部122が、ASK変調時、データが“0”のときオフ信号(パルス無し)を形成し、データが“1”のときオン信号(パルス有り)を形成する場合について説明する。
【0013】
変調モード選択部110は、データに対しQPSK変調を施し送信するのか、ASK変調を施し送信するのかを選択し、または、図示せぬ制御装置等から変調モード選択指示情報を取得し、選択または取得した変調モードに関する情報をマッピング部121に出力する。
【0014】
マッピング部121は、選択された変調モードがQPSK変調の場合、2ビットのデータに応じて、IQ平面上の4つの信号点のうちいずれか1点を選択し、選択した信号点のI成分およびQ成分に関する情報をQPSK/ASK変調信号形成部122に出力する。図2に、選択された変調モードがQPSK変調の場合のIQ平面上における信号点配置を示す。図中、信号点201は2ビットのデータが“0,0”のときの信号点を示しており、信号点202は2ビットのデータが“1,0”のときの信号点を示しており、信号点203は2ビットのデータが“1,1”のときの信号点を示しており、信号点204は2ビットのデータが“0,1”のときの信号点を示している。なお、各信号点が対応する2ビットのデータの組み合わせは、図2に示す組み合わせに限られない。
【0015】
一方、変調モードがASK変調の場合、マッピング部121は、データが“0”のときIQ平面上の原点を選択し、データが“1”のとき図2に示したQPSK変調時のIQ平面上の4つの信号点201〜204のうちいずれか1点を選択し、選択した信号点のI成分およびQ成分に関する情報をQPSK/ASK変調信号形成部122に出力する。図3に、変調モードがASK変調の場合のIQ平面上における信号点配置を示す。図3に示す信号点配置は、1ビットのデータが“0”のときに選択される信号点を信号点200(原点)とし、1ビットのデータが“1”のときに選択される信号点を図2中の信号点201とした場合の例である。なお、ASK変調時に受信側では、図3に点線206で示される円の半径を閾値に設定して閾値判定することで、パルスの有無を検出し、データを復調することができる。
【0016】
QPSK/ASK変調信号形成部122は、マッピング部121から出力されるI成分およびQ成分に関する情報を用いて、マッピング部121によって選択された信号点に配置したシンボルを形成してQPSK変調信号またはASK変調信号を生成する。
【0017】
送信部130は、QPSK変調信号またはASK変調信号に所定の無線送信処理を施し送信する。
【0018】
次いで、上記のように構成されたUWB送信装置100の動作について説明する。
【0019】
まず、変調モード選択部110によって選択され、若しくは、図示せぬ制御装置等から通知される変調モードがマッピング部121に出力される。ここで、変調モードとは、データに対しQPSK変調を施し送信するか、ASK変調を施し送信するか、変調方式に関する情報である。
【0020】
そして、マッピング部121において、変調モードとデータとに応じて、IQ平面上の信号点から送信すべき信号点が選択される。具体的には、QPSK変調モードの場合、2ビットのデータに応じて、図2に示すようにIQ平面上の4つの信号点のうちいずれか1点が選択される。そして、選択された信号点のI成分およびQ成分に関する情報がQPSK/ASK変調信号形成部122に出力され、QPSK/ASK変調信号形成部122においてQPSK変調信号が形成される。
【0021】
一方、ASK変調モードの場合、マッピング部121では、1ビットのデータに応じて、図3に示すようにIQ平面上の原点、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点が選択される。そして、選択された信号点のI成分およびQ成分に関する情報がQPSK/ASK変調信号形成部122に出力され、QPSK/ASK変調信号形成部122においてASK変調信号が形成される。
【0022】
このようにして、ASK変調モードの場合、マッピング部121において、1ビットのデータに応じて、IQ平面上の原点、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点が選択される。次に、QPSK/ASK変調信号形成部122において、選択された信号点に配置したシンボルを形成し、ASK変調信号を生成するようにした。したがって、信号点を原点200(0,0)とI軸上の信号点205との2点間、つまり、Q軸はいずれも0で、I軸がデータに応じて0と所定値の2値で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比べ、オン信号の信号電力が大きくなる。また、ASK変調時のオン信号の信号電力は、QPSK変調信号の信号電力と一致するので、変調モード切り替え時に信号電力の低下を防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0023】
また、QPSK変調時に用いられる信号点201に配置したシンボルを用いてオン信号を形成することで、受信側ではASK変調時のオン信号を受信している間にも結果的にQPSK変調時に用いられる信号点についても同期をとることになる。このため、ASK変調モードからQPSK変調モードに変調モードが切り替わった際、ASK変調信号に対し獲得した同期位置の結果を反映させながら、QPSK変調信号に対する同期位置を獲得することができ、この結果、同期獲得に要する時間を短縮することができるようになる。
【0024】
上述した説明では、QPSK/ASK変調信号形成部122は、ASK変調時、図3に示すように原点200に配置したシンボルを形成することによりオフ信号を生成し、信号点201に配置したシンボルを形成することによりオン信号を生成する場合について説明したが、信号点201の1点に限定せず、マッピング部121が、信号点201〜204から配置する信号点を時間的に遷移しシンボルを形成することによりオン信号を生成するようにしてもよい。
【0025】
これにより、マルチパスの影響や、伝搬路及びUWB送信装置100のアナログ回路の周波数特性によって波形が歪んだ場合においても、QPSK変調時に用いられる信号点すべてを用いてASK変調時のオン信号が形成されるようになる。このため、変調モードがASK変調モードからQPSK変調モードに切り替わった際、QPSK変調信号に対する同期を獲得する際にASK変調信号に対する同期状態を反映させることができ、QPSK変調信号を復調するための同期がとりやすくなる。
【0026】
つまり、4つの信号点を選択する回数ができるだけ同じ数となるようにして送信するようにすることで、受信機側で、どこか1点の位相に偏った同期状態とならないという効果がある。以下、図5の受信時のIQ平面上の信号点配置を参照しながら補足する。図5中、5つの受信点200−1〜204−1は、それぞれ図4に示す5つの信号点200〜204に対する受信点を示している。
【0027】
ASK変調時、マッピング部121が、信号点201に配置したシンボルを形成することによりオン信号を生成する場合には、受信点200−1と第1象限に位置する受信点201−1の2点のみから得られた軸(点線210)を用いて同期位置を求めることになる。したがって、受信点201−1がマルチパスの影響や、伝搬路および無線機のアナログ回路部の周波数特性によって波形が歪み、振幅、位相差が変動し受信位置が歪んだ場合には、軸(点線210)がQPSK変調時の信号点配置に対する軸から大きくずれてしまう可能性がある。そのため、ASK変調モードからQPSK変調モードへ変調モードが切り替わった直後、他の象限に位置する受信点202−1〜204−1に対し軸が適切な位置にあるとは限らず、受信点202−1〜204−1を誤って判定してしまう可能性がある。
【0028】
これに対し、マッピング部121が、信号点201〜204から配置する信号点を時間的に遷移しシンボルを形成することによりオン信号を生成する場合には、マルチパスの影響や、伝搬路および無線機のアナログ回路部の周波数特性によって波形が歪み、振幅、位相差がそれぞれ変動し、また変動量が受信点ごとに異なる場合等がある。これにより、受信位置がそれぞれ歪んだ場合において、受信点200−1と第1,2,3,4象限に位置する受信点201−1〜204−1の5点から得られた軸(実線220)、つまり、受信点201−1〜204−1の4点すべてに対し信号点間距離が均等な軸(実線220)を用いて各信号点候補の同期位置を求めることができる。そのため、ASK変調モードからQPSK変調モードへ変調モードが切り替わった際に、点線210を用いる場合に比し、受信点201−1〜204−1を誤って判定する割合が低減し、受信精度を向上することができる。
【0029】
図6にUWB受信装置の要部構成を示す。図6に示すUWB受信装置300は、局部発振器302と、π/2位相シフト器304と、乗算器306−1,306−2と、LPF(Low Pass Filter)308−1,308−2と、QPSK判定部312と、ASK判定部314と、変調モード選択部316とを備えている。
【0030】
上記のように構成されたUWB受信装置300の復調動作について説明する。図6に示すように、受信信号は、乗算器306−1,306−2へ出力される。そして、乗算器306−1によって、受信信号と局部発振器302から出力される搬送波303とが乗算され、LPF308−1へ出力される。一方、乗算器306−2では、受信信号はπ/2位相シフト器304によってπ/2だけ位相がシフトされた搬送波305と乗算され、LPF308−2へ出力される。
【0031】
乗算器306−1,306−2から出力される乗算結果307−1,307−2は、それぞれLPF308−1,308−2によって帯域制限され、I成分(同相)のベースバンド信号309−1とQ成分(直交)のベースバンド信号309−2が取得され、それぞれQPSK判定部312とASK判定部314へ出力される。
【0032】
そして、変調モードがQPSK変調モードの場合、変調モード選択部316はQPSK判定部312のみを動作させ、ASK判定部314は動作させないように制御する。一方、変調モードがASK変調モードの場合、変調モード選択部316はASK判定部314のみを動作させ、QPSK判定部312は動作させないように制御する。なお、変調モードの判定は、例えば、受信データに対し始めにQPSK復調を施し、次にASK復調を施し、正しく復調できた変調方式を変調モードと判定するなどして行えばよく、また、これに限定されるものではない。
【0033】
図7に、ASK判定部314の要部構成を示す。図7に示すASK判定部314は、整合フィルタ320−1,320−2と、二乗検波器322−1,322−2と、最大値判定部324と、閾値判定部326とを備える。ここで、最大値判定部324は、二乗検波器322−1,322−2における二乗検波結果323−1,323−2を比較し、二乗検波結果323−1,323−2のうち大きい二乗検波結果を最大値325として閾値判定部326に出力する。閾値判定部326は、最大値325に対し硬判定を行うことによりASK判定を行う。
【0034】
なお、ASK判定部314を図8,図9に示すような処理部から構成されるようにしてもよい。図8に示すASK判定部314は、整合フィルタ320−1,320−2と、二乗検波器322−1,322−2と、加算器328と、閾値判定部330とを備え、加算器328は、二乗検波結果323−1と二乗検波結果323−2とを加算し、閾値判定部330は、加算値329に対し硬判定を行うことによりASK判定を行う。
【0035】
図9に示すASK判定部314は、整合フィルタ320−1,320−2と、二乗検波器322−1,322−2と、閾値判定部332−1,332−2と、ORゲート334とを備え、閾値判定部332−1,332−2は、それぞれ二乗検波結果323−1,323−2に対し硬判定し、ORゲート334は、硬判定結果333−1と硬判定結果333−2との論理和を算出する。なお、以上説明したASK判定部314の要部構成は、既存の技術を用いて構成することができ、ASK判定部314の要部構成は図7〜図9に示す要部構成に限定されるものではない。
【0036】
次いで、ASK変調時において、オン信号を図4に示すような信号点201〜204のいずれかの信号点に配置したシンボルを形成することで、同期獲得時間を短縮できる点について図10を参照しながら以下説明する。図10は、QPSK変調モードとASK変調モードとがシステムにおいて共存する場合に、UWB送信装置100から通信相手に送信する場合の送信フレームのフォーマットの一例を示している。
【0037】
図10(a)および図10(b)は、ASK変調時に、例えば、特許文献1のように、QPSK変調の信号点とは異なる信号点を選択し、当該信号点に配置したシンボルを形成する場合の送信フレームのフォーマットの一例を示している。この場合には、図10(a)および図10(b)に示すように、ASK用プリアンブルおよびQPSK用プリアンブル(プリアンブル長:LQ)を別個に送信フレームに割り当てる必要がある。
【0038】
これに対し、図4に示すように、ASK変調時、シンボルが配置される信号点をQPSK変調の信号点201〜204から選択するようにしてオン信号を生成した場合には、ASK/QPSK用プリアンブルを共用化することができる。このため、図10(c)に示すように、QPSK用プリアンブルのプリアンブル長をLQ−1まで短縮することが可能となる。
【0039】
一般に、ASK変調信号に対する同期はQPSK変調信号に対する同期に比べ精度が低くてもよいので、同期時間が短い。このため、ASK変調の同期情報であるASK用プリアンブルとして、図4に示すように、QPSK変調の信号点201〜204に配置したシンボルを形成することにより生成したASK変調信号を送信するようにすることで、受信機側では、QPSK変調時の信号点候補を正確ではないがおおまかに把握することができる。通常、複数ビットの相関値が高ければ同期していると判定される。したがって、同期が正確に取られていなくてもASK用プリアンブルによりおおまかに同期が取られていれば、相関値は高くなる。この結果、以後に続くQPSK用プリアンブルを用いて正確に同期を取るまでの時間が短くてすむことになる。つまり、QPSK用プリアンブルのプリアンブル長を短縮することが可能となる。
【0040】
図10ではASK用プリアンブルをQPSK用プリアンブルの前に配置する場合について例示したが、QPSK用プリアンブルをASK用プリアンブルの前に配置するようにしてもよい。
【0041】
ここで、図3に示したように、ASK変調時、データが“1”のとき信号点201のみを信号点として選択して、当該信号点に配置したシンボルを形成することにより、オン信号を生成する場合について説明する。つまり、図3では、一つの位相位置のみでオン信号を生成する場合には、ASK変調モードからQPSK変調モードに変調モードが切り替わった際、ASK用プリアンブルのみではQPSK変調信号に対し十分に同期追従することが困難であるので、さらに、QPSK用プリアンブルを用いて正しく同期を取る必要がある。
【0042】
これに対し、図4に示すような5つの位相位置を用いて、各信号点に配置したシンボルを形成することでASK変調信号を生成し、ASK・QPSK用プリアンブルを送信すれば、ASK変調とQPSK変調とが重畳した変調信号が送信されることになる。このため、ASK・QPSK用プリアンブルを用いてQPSK変調信号に対しても同期獲得することができ、ASK・QPSK用プリアンブルのみ、又は、これに続く短いQPSK用プリアンブルを用いて同期獲得することができる。以上の3つの送信フレーム構成を比較すると、図10(c)のとき、実際の通信に関係ないプリアンブルとPHYヘッダ(変調方式の指定、機器認証、ペイロード長等の情報が含まれる)の時間が最も短く、効率よく実際のデータ(ペイロード)を送ることができる。
【0043】
以上のように、本実施の形態によれば、ASK変調モードの場合、データが“0”のときは、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することによりオフ信号を生成し、データが“1”のときは、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより、オン信号を生成するようにした。このため、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、ASK変調時のオン信号の信号電力がQPSK変調信号の信号電力と一致するので、変調モード切り替え時に信号電力の低下を防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0044】
また、QPSK変調時に、図4に示すように、データが“1”のとき1ビットごとにシンボルが配置される信号点を信号点201〜204から選択するようにするようにし、同期位置を図5に示すように5つの信号点200〜204に対する5つの受信点200−1〜204−1から求めるようにした。このため、図5に示すように信号点配置がマルチパスの影響等により歪んだ場合においても、同図中、点線で示されるように受信点200−1と受信点201−1の2点のみから同期を求める場合に比べ、同図中、実線で示されるように同期位置をより正確に求めることができるようになる。このようにして、同期位置をより正確に算出することができる結果、受信精度を向上することができる。
【0045】
さらに、QPSK変調信号の信号点配置を用いて、ASK変調時のオン信号を生成するようにした。このため、QPSK変調とASK変調とのプリアンブルを共用化することができ、この結果、変調モードがASK変調モードからQPSK変調モードに切り替わった際、QPSK変調信号を復調するための同期獲得時間を短縮することができる。これにより、同期獲得に必要となるプリアンブルのプリアンブル長を短くすることが可能となるため、ペイロードを効率よく送信することができるようになる。
【0046】
なお、以上の説明ではオン信号をIQ平面上の4つの信号点、つまり、4つの位相を用いて形成する場合について説明したが、2つ又は3つの位相を用いて形成するようにしても同様の効果を得ることができる。2つの位相を用いて形成する場合は、それぞれの位相がπ/2離れた位置関係にある信号点よりも、π/4離れた位置関係にある信号点にシンボルを配置してオン信号を形成するようにする方が同期位置を正確に算出できるため望ましい。
【0047】
また、以上の説明では位相変調としてQPSK変調を用いた場合について説明したが、BPSK変調を用いても同様に実施可能であることは言うまでもない。
【0048】
また、ASK変調としてOOK変調を用いた場合について説明したが、2値ASKとし、振幅値の小さいシンボルをIQ平面の原点とせずに所定の振幅をあたえてこの信号にも位相情報を残すように実施しても良い。この場合、位相変調信号を復調する装置においては、振幅の小さなシンボルからも位相情報を抽出できるためより正確に同期位置を算出することが可能となる。
【0049】
また、多値ASK変調の場合も同様に実施可能である。この場合、多値ASK信号を生成するために、送信振幅を多値化するための変調器を位相変調器に追加して実現してもよい。また、同様に位相変調器が振幅変調も行う所定の多値数のQAM変調器であってもよいことは言うまでもない。
【0050】
(実施の形態2)
図11に、本実施の形態に係る送信信号形成部120の要部構成を示す。図11に示す送信信号形成部120は、マッピング部121と、I値設定部404−1、Q値設定部404−2、パルス波形整形部406−1,406−2、乗算器408−1,408−2と、局部発振器410と、π/2位相シフト器412と、合成器414とを備えている。
【0051】
マッピング部121は、変調モード選択部110から出力される変調モードに応じて、信号点を選択し、選択した信号点のI成分をI値設定部404−1に出力し、Q成分をQ値設定部404−2に出力する。具体的には、QPSK変調モードの場合、入力データ2ビットごとに対応する信号点のI成分およびQ成分をそれぞれI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力する。一方、ASK変調モードの場合、入力データが“0”のときは、I成分およびQ成分としてともにゼロをI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力し、入力データが“1”のときは、図4の信号点配置における4つの信号点から信号点を選択し、選択した信号点に対応するI成分およびQ成分を、それぞれI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力する。
【0052】
パルス波形整形部406−1,406−2は、I値設定部404−1から出力されるI成分またはQ値設定部404−2から出力されるQ成分に対しパルス波形整形を施し、それぞれ乗算器408−1,408−2に出力する。
【0053】
乗算器408−1は、局部発振器410から出力される搬送波とパルス波形整形後のI成分とを乗算し、得られたI成分信号を合成器414へ出力する。
【0054】
乗算器408−2は、局部発振器410から出力される搬送波の位相がπ/2位相シフト器412によってπ/2だけシフトされた搬送波とパルス波形整形後のQ成分とを乗算し、得られたQ成分信号を合成器414へ出力する。
【0055】
合成器414は、I成分信号とQ成分信号とを合成する。
【0056】
以上のように、本実施の形態によれば、ASK変調モードとQPSK変調モードとで信号点配置を共有化し、マッピング部121と、I値設定部404−1、Q値設定部404−2、パルス波形整形部406−1,406−2、乗算器408−1,408−2と、局部発振器410と、π/2位相シフト器412と、合成器414とから構成されるQPSK信号形成回路を用いて、ASK変調モードの場合、入力データが“0”のときは、マッピング部121がI成分およびQ成分としてともにゼロをI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力し、入力データが“1”のときは、図4の信号点配置における4つの信号点から信号点を選択し、選択した信号点に対応するI成分およびQ成分をそれぞれI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力するようにしてASK変調時のオン信号を形成するようにした。これにより、QPSK信号形成回路とASK変調信号形成回路とを共用化して、回路規模を増大させずに双方の変調方式に対応することができるとともに、ASK変調時のオン信号の信号電力がQPSK変調信号の信号電力と一致するので、変調モード切り替え時に信号電力の低下を防止し、受信品質の劣化を低減することができる。
【0057】
(実施の形態3)
図12に、送信信号形成部120の要部構成を示す。図12に示す送信信号形成部120は、クロック信号源501と、マッピング部502と、搬送波信号源503と、可変遅延器504と、スイッチ505とから構成される。
【0058】
マッピング部502は、変調モードに応じて、周波数変換後のクロック信号を基準にして搬送波信号源503から出力される正弦波の位相を選択し、正弦波の位相を制御するための制御信号を可変遅延器504に出力する。具体的には、変調モードがASK変調モードでデータが“1”のとき、図4に示す信号点201,202,203,204のいずれか1点を選択し、選択した信号点に対応する位相に応じて、正弦波の位相をπ/4,3π/4,5π/4,7π/4だけシフトするような制御信号を可変遅延器504に出力する。一方、QPSK変調モードの場合、入力データ2ビットごとに対応する図4に示す信号点配置の4つの信号点の位相に応じて、正弦波の位相をπ/4,3π/4,5π/4,7π/4だけシフトするような制御信号を可変遅延器504に出力する。なお、マッピング部502は、クロック信号源501から出力されるクロック信号を原信とし、変調レートに等しくなるよう当該クロック信号の周波数を逓倍により周波数変換し、変換後のクロック信号を基準に正弦波の位相を制御するための制御信号を生成する。
【0059】
可変遅延器504は、搬送波信号源503から出力される正弦波の位相を、マッピング部502から出力される制御信号に応じてシフトし、位相シフト後の正弦波をスイッチ505に出力する。
【0060】
スイッチ505は、QPSK変調モードの場合は、常にスイッチをオンにし、生成されたQPSK変調信号を出力する。スイッチ505は、一方、ASK変調モードの場合は、データが“1”のときのみスイッチをオンしオン信号を出力し、データが“0”のときはスイッチをオフにする。
【0061】
このようにして形成されたQPSK変調信号の波形図を図13に示す。図13に示すように、本実施の形態に係る送信信号形成部120は、搬送波信号源503から出力される正弦波の位相を可変遅延器504でシフトすることにより、QPSK変調信号を形成するようにしている。例えば、搬送波周波数を60GHzとすると1周期は約16.7psecとなるので、可変遅延器504において正弦波の位相を4psec程度遅延するようにすれば、搬送波の位相がπ/2ずつシフトされ図4に示す信号点201〜204のすべてが用いられてQPSK変調信号が生成されることになる。
【0062】
また、ASK変調モードの場合、正弦波を4psec程度ずつ遅延させていくようにすれば、オン信号のシンボル点としてQPSK変調時のIQ平面上の4つの信号点がすべて用いられるようになるため、QPSK復調時に同期獲得を正確に行うことができるようになる。
【0063】
図14に受信機能を備えたUWB通信装置の要部構成を示す。図14の本実施の形態のUWB通信装置において、図12と共通する構成部分には図12と同一の符号を付しその説明を省略する。図14に示すUWB通信装置500は、図12に示すUWB送信装置100に対し、ASK復調部506を追加した構成を採る。ASK復調部506は、ASK変調モードの場合、閾値判定等によりオン信号/オフ信号を検出することでASK変調信号を復調し、QPSK変調モードの場合、クロック信号源501から出力されるクロック信号を原信とし、変調レートに等しくなるよう当該クロック信号の周波数を逓倍により周波数変換し、変換後のクロック信号を基準にして正弦波の位相を判定することによりQPSK変調信号を復調する。
【0064】
以上のように、本実施の形態によれば、ASK変調モードとQPSK変調モードとで信号点配置を共有化し、クロック信号源501と、マッピング部502と、搬送波信号源503と、スイッチ505とから構成されるASK変調信号形成回路に、可変遅延器504を追加することでQPSK変調信号形成回路を構成し、マッピング部502が入力データ2ビットごとに図4に示す信号点配置の4つの信号点を選択し、選択した信号点の位相に応じて、正弦波の位相をπ/4,3π/4,5π/4,7π/4だけシフトするような制御信号を可変遅延器504に出力するようにしてQPSK変調信号を形成するようにした。これにより、ASK変調信号形成回路とQPSK変調信号形成回路とを共用化して、回路規模を増大させずに双方の変調方式に対応することができるとともに、ASK変調時のオン信号の信号電力がQPSK変調信号の信号電力と一致するため、変調モード切り替え時に信号電力の低下を防止し、受信品質の劣化を低減することができる。
【0065】
なお、以上の説明ではASK変調モードからQPSK変調モードへ変調モードを切り替えた際に、同期を正確に取ることができるように、ASK変調時に位相を4psecずつシフトする場合について記載したが、ASK変調時に位相をランダム化するだけであれば、可変遅延器504が送信のたびに数psecの遅延を適宜与えればよいことは言うまでもない。
【0066】
また、以上の説明では図13に示すように、変調モードがASK変調モードでデータが“1”のとき、図4に示す信号点201,202,203,204のいずれか1点を選択し、選択した信号点に対応する位相に応じて、正弦波の位相をπ/4,3π/4,5π/4,7π/4だけシフトするような制御信号を可変遅延器504に出力して、位相変調を行う場合について説明したが、位相を固定としてもよい。さらには、通信相手が、位相変調信号の復調が可能な復調器を備える場合には、正弦波の位相を4つの位相から選択し、通信相手が、位相変調信号の復調を行えない場合には、固定位相のみを用いて、ASK変調信号を生成するようにしてもよい。
【0067】
(実施の形態4)
図15に、送信信号形成部120の要部構成を示す。図15の本実施の形態の送信信号形成部120において、図11と共通する構成部分には、図11と同一の符号を付して説明を省略する。図15は、図11に対して、マッピング部121に代えて、マッピング部124を備え、局部発振器410とπ/2位相シフト器412との間にスイッチ418を追加した構成を採る。
【0068】
マッピング部124は、QPSK変調モードの場合、入力データ2ビットごとに対応する信号点のI成分およびQ成分をそれぞれI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力する。一方、ASK変調モードの場合、マッピング部124は、入力データが“0”のときは、I成分およびQ成分としてともにゼロをI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力し、入力データが“1”のときは、図4の信号点配置における信号点201若しくは203に対応するI成分およびQ成分を選択して、それぞれI値設定部404−1およびQ値設定部404−2に出力する。つまり、ASK変調モードの場合には、I成分およびQ成分が等しい信号点のみが選択されることになる。
【0069】
スイッチ418は、変調モード選択部110から出力される変調モードがQPSK変調の場合、局部発振器410から出力される搬送波をπ/2位相シフト器412に出力し、変調モードがASK変調の場合、搬送波を乗算器408−2に出力する。
【0070】
これにより、QPSK変調モードの場合は、図11の場合と同様にQPSK変調信号が形成されるようになるとともに、ASK変調モードの場合には、I成分に乗算される搬送波とQ成分の乗算される搬送波との位相が同相となり、合成器414によって同相成分同士が加算されることによりオン信号が生成されるようになる。この結果、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、ASK変調時のオン信号の信号電力を大きくすることができ、受信品質の劣化を低減することができる。
【0071】
以上のように、本実施の形態によれば、ASK変調モードの場合、入力データが“1”のときに、マッピング部124は、I成分およびQ成分が等しい信号点を選択し、さらに、I成分およびQ成分が局部発振器410から出力される同位相の搬送波と乗算されるようにした。このため、合成器414において同相成分同士が加算されてASK変調時のオン信号を生成される。これにより、単純にI成分のみをゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、ASK変調時のオン信号の信号電力を大きくすることができ、受信品質の劣化を低減することができる。
【0072】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、振幅変調モードでの送信および位相変調モードでの送信が可能なUWB送信装置であって、振幅変調モードまたは位相変調モードのどちらかのモードを選択する選択手段と、選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、または、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、前記位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成する送信信号形成手段と、を具備する構成を採る。
【0073】
この構成によれば、本発明のUWB送信装置は、振幅変調モードの場合、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成してオフ信号の振幅変調信号を生成し、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成して振幅変調時のオン信号を生成することができる。このため、本発明のUWB送信装置は、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、振幅変調時のオン信号の信号電力が位相変調信号の信号電力と一致するため、変調モード切り替え時に信号電力が低下するのを防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0074】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、OOK変調である構成を採る。
【0075】
この構成によれば、本発明のUWB送信装置は、振幅変調モードの場合、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成してオフ信号のOOK変調信号を生成し、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成してOOK変調時のオン信号を生成することができる。このため、本発明のUWB送信装置は、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、OOK変調時のオン信号の信号電力が位相変調信号の信号電力と一致するので、変調モード切り替え時に信号電力が低下するのを防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0076】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記位相変調モードで行われる位相変調は、BPSK変調である構成を採る。
【0077】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記位相変調モードで行われる位相変調は、QPSK変調である構成を採る。
【0078】
これらの構成によれば、本発明のUWB送信装置は、振幅変調モードの場合、1ビット当たりのデータに応じて、BPSK,QPSK変調時のIQ平面上の信号点に配置したシンボルを形成してオン信号を生成することができる。このため、本発明のUWB送信装置は、振幅変調信号の信号電力の低下を防止しつつ、振幅変調方式とBPSK,QPSK変調方式との双方の変調方式に対応することができる。
【0079】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、OOK変調であり、前記位相変調モードで行われる位相変調は、BPSK変調である構成を採る。
【0080】
この構成によれば、本発明のUWB送信装置は、OOK変調モードの場合、1ビット当たりのデータに応じて、BPSK変調時のIQ平面上の信号点に配置したシンボルを形成してオン信号を生成することができる。このため、本発明のUWB送信装置は、OOK変調信号の信号電力の低下を防止し、受信品質の劣化を低減しつつ、OOK変調方式とBPSK変調方式との双方の変調方式に対応することができる。
【0081】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、ASK変調であり、前記位相変調モードで行われる位相変調は、QPSK変調であり、前記送信信号形成手段は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、1ビットのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとするASK変調信号、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成し、選択された前記モードがQPSK変調モードの場合、2ビットのデータに応じて、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することによりQPSK変調信号を生成する構成を採る。
【0082】
この構成によれば、ASK変調モードの場合、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成してオフ信号のASK変調信号を生成し、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成してASK変調時のオン信号を生成することができる。
【0083】
つまり、本発明のUWB送信装置は、ASK変調モードでの送信およびQPSK変調モードでの送信が可能な本UWB送信装置は、図には記載されていない制御部からの変調モードによって変調モード選択部がマッピング部にASK変調としてのマッピングを行なうか、QPSK変調としてのマッピングを行なうのかを指示する。ここで、選択された前記モードがASK変調モードの場合、1ビットのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとするASK変調信号、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成する。これにより、本発明のUWB送信装置は、第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成し、選択された前記モードがQPSK変調モードの場合、2ビットのデータに応じて、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することによりQPSK変調信号を生成することになる。
【0084】
これにより、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、ASK変調時のオン信号の信号電力がQPSK変調信号の信号電力と一致するので、変調モード切り替え時に信号電力が低下するのを防止し、受信品質の劣化を低減することができるようになる。
【0085】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記送信信号形成手段は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうち2点以上の点に時間的に遷移したシンボルを形成することにより前記第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成する構成を採る。
【0086】
この構成によれば、ASK変調時において、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうち2点以上の信号点が用いられてオン信号を生成することができる。このため、ASK変調時にQPSK変調の同期を同時に取ることが可能となり、ASK変調モードからQPSK変調モードへ変調モードが切り替え時のQPSK変調信号に対する同期時間を短縮することができる。
【0087】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記送信信号形成手段は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点に等確率に遷移したシンボルを形成することにより前記第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成する構成を採る。
【0088】
この構成によれば、ASK変調時において、QPSK変調時のIQ平面上の各信号点が等確率に用いられてオン信号を生成することができるので、同期位置をより正確に算出することができ、この結果、受信精度を向上することができる。
【0089】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記送信信号形成手段は、選択された前記モードに関わらず、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点に配置したシンボルから、送信フレームのプリアンブルを生成する構成を採る。
【0090】
この構成によれば、QPSK変調とASK変調とのプリアンブルを共用化することができるため、変調モードがASK変調モードからQPSK変調モードに切り替わった際、QPSK変調信号を復調するための同期獲得時間を短縮することができる。また、同期獲得に必要となるプリアンブルのプリアンブル長を短くすることが可能となるため、ペイロードを効率よく送信することができる。
【0091】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記送信信号形成手段は、前記1ビットまたは2ビットのデータ、および、選択された前記モードに応じて、前記シンボルのI成分およびQ成分を設定するマッピング手段と、搬送波を生成する局部発振器と、前記I成分に前記搬送波を乗算する第1の乗算器と、前記搬送波の位相をπ/2だけシフトするπ/2位相シフト器と、前記Q成分に前記π/2位相シフト器により位相がシフトされた搬送波を乗算する第2の乗算器と、前記搬送波がそれぞれ乗算された後の前記I成分と前記Q成分とを合成する合成器と、を具備する構成を採る。
【0092】
この構成によれば、QPSK変調信号を形成するための処理部を用いてASK変調信号を形成することができるため、回路規模を増大させずに双方の変調方式に対応させることができる。
【0093】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記送信信号形成手段は、搬送波を生成する局部発振器と、前記1ビットまたは2ビットのデータ、および、選択された前記モードに応じて、前記搬送波の位相をシフトする可変遅延器と、選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記1ビットのデータに応じて、前記搬送波を通過させるか否か切り替える切替部と、を具備する構成を採る。
【0094】
この構成によれば、ASK変調信号を形成するための処理部を用いてQPSK変調信号を形成することができるため、回路規模を増大させずに双方の変調方式に対応することができる。
【0095】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記π/2位相シフト器は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記搬送波を前記第2の乗算器に出力する切替部、を備え、前記マッピング手段は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記シンボルの前記I成分および当該I成分に等しい成分を前記Q成分に設定する構成を採る。
【0096】
この構成によれば、ASK変調モードの場合、I成分に乗算される搬送波とQ成分の乗算される搬送波との位相を同相にして、同相成分同士を加算してオン信号を形成することができるため、単純にQ成分をゼロにし、I成分をゼロまたは所定値との間で変化させてオン/オフ信号を生成する場合に比し、ASK変調時のオン信号の信号電力が大きくなることにより受信品質の劣化を低減することができる。
【0097】
本発明のUWB送信装置の一つの態様は、前記位相変調モードで行われる位相変調は、多値QAM変調を含む位相変調であり、前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、多値QAM変調を含まない振幅変調であり、前記送信信号形成手段は、選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、又は、多値QAM変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、前記多値QAM変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成する構成を採る。
【0098】
この構成によれば、1シンボル当たりのデータに応じて、多値QAM変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成して多値ASK変調信号を生成することができるので、多値ASK変調と多値QAM変調とのプリアンブルを共用化することができ、この結果、変調モードが多値ASK変調モードから多値QAM変調モードに切り替わった際、多値QAM変調信号を復調するための同期獲得時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のUWB送信装置およびUWB送信方法は、振幅変調方式と位相変調方式とが混在するシステムにおいて、振幅変調信号の信号電力の低下を防止しつつ、振幅変調方式と位相変調方式との双方の変調方式に対応することができ、特に振幅変調方式と位相変調方式とが混在するUWBシステムにおいて、双方の変調方式に対応するUWB送信装置およびUWB送信方法などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施の形態1に係るUWB送信装置の要部構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1に用いられるコンスタレーションを示す図
【図3】実施の形態1に用いられるコンスタレーションを示す図
【図4】実施の形態1に用いられる信号点配置を説明するためのコンスタレーションを示す図
【図5】実施の形態1に用いられる信号点配置の違いにより同期位置が異なることを説明に供する図
【図6】実施の形態1に係るUWB受信装置の要部構成を示すブロック図
【図7】実施の形態1に係るASK判定部の要部構成を示すブロック図
【図8】実施の形態1に係るASK判定部の要部構成を示すブロック図
【図9】実施の形態1に係るASK判定部の要部構成を示すブロック図
【図10】送信フレームのフォーマットの一例を示す図
【図11】本発明の実施の形態2に係るUWB送信装置の要部構成を示すブロック図
【図12】本発明の実施の形態3に係るUWB送信装置の要部構成を示すブロック図
【図13】実施の形態3に係るUWB送信装置により形成されたQPSK変調信号の波形を示す図
【図14】実施の形態3に係るUWB通信装置の要部構成を示すブロック図
【図15】本発明の実施の形態4に係るUWB送信装置の要部構成を示すブロック図
【図16】従来のUWB送信装置の要部構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0101】
100 UWB送信装置
110 変調モード選択部
120 送信信号形成部
121,124,502 マッピング部
122 QPSK/ASK変調信号形成部
130 送信部
300 UWB受信装置
302 局部発振器
304 π/2位相シフト器
306−1,306−2 乗算器
308−1,308−2 LPF
312 QPSK判定部
314 ASK判定部
316 変調モード選択部
320−1,320−2 整合フィルタ
322−1,322−2 二乗検波器
324 最大値判定部
326,330,332−1,332−2 閾値判定部
328 加算器
334 ORゲート
404−1 I値設定部
404−2 Q値設定部
406−1,406−2 パルス波形整形部
408−1,408−2 乗算器
410 局部発振器
412 π/2位相シフト器
414 合成器
418 スイッチ
501 クロック信号源
503 搬送波信号源
504 可変遅延器
505 スイッチ
506 ASK復調部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振幅変調モードでの送信および位相変調モードでの送信が可能なUWB送信装置であって、
振幅変調モードまたは位相変調モードのどちらかのモードを選択する選択手段と、
選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、または、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、
選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、前記位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成する送信信号形成手段と、
を具備するUWB送信装置。
【請求項2】
前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、OOK変調である
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項3】
前記位相変調モードで行われる位相変調は、BPSK変調である
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項4】
前記位相変調モードで行われる位相変調は、QPSK変調である
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項5】
前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、OOK変調であり、前記位相変調モードで行われる位相変調は、BPSK変調である
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項6】
前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、ASK変調であり、前記位相変調モードで行われる位相変調は、QPSK変調であり、
前記送信信号形成手段は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、1ビットのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとするASK変調信号、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成し、
選択された前記モードがQPSK変調モードの場合、2ビットのデータに応じて、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することによりQPSK変調信号を生成する
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項7】
前記送信信号形成手段は、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうち2点以上の点に時間的に遷移したシンボルを形成することにより前記第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成する
請求項6に記載のUWB送信装置。
【請求項8】
前記送信信号形成手段は、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点に等確率に遷移したシンボルを形成することにより前記第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成する
請求項6に記載のUWB送信装置。
【請求項9】
前記送信信号形成手段は、
選択された前記モードに関わらず、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点に配置したシンボルから、送信フレームのプリアンブルを生成する
請求項6に記載のUWB送信装置。
【請求項10】
前記送信信号形成手段は、
前記1ビットまたは2ビットのデータ、および、選択された前記モードに応じて、前記シンボルのI成分およびQ成分を設定するマッピング手段と、
搬送波を生成する局部発振器と、
前記I成分に前記搬送波を乗算する第1の乗算器と、
前記搬送波の位相をπ/2だけシフトするπ/2位相シフト器と、
前記Q成分に前記π/2位相シフト器により位相がシフトされた搬送波を乗算する第2の乗算器と、
前記搬送波がそれぞれ乗算された後の前記I成分と前記Q成分とを合成する合成器と、を具備する
請求項6に記載のUWB送信装置。
【請求項11】
前記送信信号形成手段は、
搬送波を生成する局部発振器と、
前記1ビットまたは2ビットのデータ、および、選択された前記モードに応じて、前記搬送波の位相をシフトする可変遅延器と、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記1ビットのデータに応じて、前記搬送波を通過させるか否か切り替える切替部と、を具備する
請求項6に記載のUWB送信装置。
【請求項12】
前記π/2位相シフト器は、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記搬送波を前記第2の乗算器に出力する切替部、を備え、
前記マッピング手段は、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記シンボルの前記I成分および当該I成分に等しい成分を前記Q成分に設定する
請求項10に記載のUWB送信装置。
【請求項13】
前記位相変調モードで行われる位相変調は、多値QAM変調を含む位相変調であり、前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、位相変調を含まない振幅変調であり、
前記送信信号形成手段は、選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、又は、多値QAM変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、
選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、前記多値QAM変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成する
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項14】
振幅変調モードでの送信および位相変調モードでの送信が可能なUWB送信方法であって、
振幅変調モードまたは位相変調モードのどちらかのモードを選択するステップと、
選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、又は、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値の振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、
選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、前記位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成するステップと、
を具備するUWB送信方法。
【請求項15】
ASK変調モードでの送信およびQPSK変調モードでの送信が可能なUWB送信方法であって、
ASK変調モードまたはQPSK変調モードのどちらかのモードを選択するステップと、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、1ビットのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとするASK変調信号、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成し、
選択された前記モードがQPSK変調モードの場合、2ビットのデータに応じて、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することによりQPSK変調信号を生成するステップと、
を有するUWB送信方法。
【請求項1】
振幅変調モードでの送信および位相変調モードでの送信が可能なUWB送信装置であって、
振幅変調モードまたは位相変調モードのどちらかのモードを選択する選択手段と、
選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、または、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、
選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、前記位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成する送信信号形成手段と、
を具備するUWB送信装置。
【請求項2】
前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、OOK変調である
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項3】
前記位相変調モードで行われる位相変調は、BPSK変調である
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項4】
前記位相変調モードで行われる位相変調は、QPSK変調である
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項5】
前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、OOK変調であり、前記位相変調モードで行われる位相変調は、BPSK変調である
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項6】
前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、ASK変調であり、前記位相変調モードで行われる位相変調は、QPSK変調であり、
前記送信信号形成手段は、選択された前記モードがASK変調モードの場合、1ビットのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとするASK変調信号、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成し、
選択された前記モードがQPSK変調モードの場合、2ビットのデータに応じて、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することによりQPSK変調信号を生成する
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項7】
前記送信信号形成手段は、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうち2点以上の点に時間的に遷移したシンボルを形成することにより前記第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成する
請求項6に記載のUWB送信装置。
【請求項8】
前記送信信号形成手段は、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点に等確率に遷移したシンボルを形成することにより前記第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成する
請求項6に記載のUWB送信装置。
【請求項9】
前記送信信号形成手段は、
選択された前記モードに関わらず、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点に配置したシンボルから、送信フレームのプリアンブルを生成する
請求項6に記載のUWB送信装置。
【請求項10】
前記送信信号形成手段は、
前記1ビットまたは2ビットのデータ、および、選択された前記モードに応じて、前記シンボルのI成分およびQ成分を設定するマッピング手段と、
搬送波を生成する局部発振器と、
前記I成分に前記搬送波を乗算する第1の乗算器と、
前記搬送波の位相をπ/2だけシフトするπ/2位相シフト器と、
前記Q成分に前記π/2位相シフト器により位相がシフトされた搬送波を乗算する第2の乗算器と、
前記搬送波がそれぞれ乗算された後の前記I成分と前記Q成分とを合成する合成器と、を具備する
請求項6に記載のUWB送信装置。
【請求項11】
前記送信信号形成手段は、
搬送波を生成する局部発振器と、
前記1ビットまたは2ビットのデータ、および、選択された前記モードに応じて、前記搬送波の位相をシフトする可変遅延器と、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記1ビットのデータに応じて、前記搬送波を通過させるか否か切り替える切替部と、を具備する
請求項6に記載のUWB送信装置。
【請求項12】
前記π/2位相シフト器は、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記搬送波を前記第2の乗算器に出力する切替部、を備え、
前記マッピング手段は、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、前記シンボルの前記I成分および当該I成分に等しい成分を前記Q成分に設定する
請求項10に記載のUWB送信装置。
【請求項13】
前記位相変調モードで行われる位相変調は、多値QAM変調を含む位相変調であり、前記振幅変調モードで行われる振幅変調は、位相変調を含まない振幅変調であり、
前記送信信号形成手段は、選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、又は、多値QAM変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、
選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、前記多値QAM変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成する
請求項1に記載のUWB送信装置。
【請求項14】
振幅変調モードでの送信および位相変調モードでの送信が可能なUWB送信方法であって、
振幅変調モードまたは位相変調モードのどちらかのモードを選択するステップと、
選択された前記モードが振幅変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとする振幅変調信号、又は、位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値の振幅レベルとする振幅変調信号を生成し、
選択された前記モードが位相変調モードの場合、1シンボル当たりのデータに応じて、前記位相変調時のIQ平面上の複数の信号点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより位相変調信号を生成するステップと、
を具備するUWB送信方法。
【請求項15】
ASK変調モードでの送信およびQPSK変調モードでの送信が可能なUWB送信方法であって、
ASK変調モードまたはQPSK変調モードのどちらかのモードを選択するステップと、
選択された前記モードがASK変調モードの場合、1ビットのデータに応じて、IQ平面上の原点に配置したシンボルを形成することにより第1の値を振幅レベルとするASK変調信号、または、QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することにより第2の値を振幅レベルとするASK変調信号を生成し、
選択された前記モードがQPSK変調モードの場合、2ビットのデータに応じて、前記QPSK変調時のIQ平面上の4点のうちいずれか1点に配置したシンボルを形成することによりQPSK変調信号を生成するステップと、
を有するUWB送信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−125057(P2008−125057A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263472(P2007−263472)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]