説明

UZM−22アルミノシリケートゼオライト、その調製方法およびUZM−22の使用方法

新規な一群の結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライトを合成した。これらのゼオライトは、実験式(I):Mn+Al(1−x)Si
[式中、Mは、リチウムおよびストロンチウムなどの、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または希土類金属であり、Rは、コリンカチオンなどの一価の有機アンモニウムカチオンであり、Eは、ガリウムなどの骨格元素である]で表される。これらのゼオライトは、ZSM−18に類似しているが、特有のX線回折パターンおよび組成によって特徴付けられ、様々な炭化水素変換プロセスの実施に関して触媒特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ゼオライトは、ミクロ多孔質であって、頂点共有のAlOとSiO四面体から形成された結晶性アルミノケイ酸塩組成物である。天然起源および合成で調製された両方の多数のゼオライトが、様々な工業プロセスで使用されている。
【背景技術】
【0002】
合成ゼオライトは、Si、Alおよびアルカリ金属、アルカリ土類金属、アミン、または有機アンモニウムカチオンなどの構造指向剤の適切な供給源を使用して熱水合成によって調製される。この構造指向剤は、ゼオライトの細孔中に存在し、最終的に形成される特定の構造に大きく関与する。これらの種は、アルミニウムに伴って生じる骨格電荷の平衡を保ち、かつ、空間充填物としての役割も果たす。ゼオライトは、均一な寸法の細孔の大きさを有し、大きなイオン交換容量を有し、恒久的なゼオライト結晶構造を構成するいずれの原子も著しく置換することなく、結晶の内部空隙全体にわたり分散された吸着相を可逆的に脱着することが可能であることによって特徴付けられる。ゼオライトは、外表面上および細孔中の内部表面上で起こり得る、炭化水素変換反応のための触媒として使用することができる。
【0003】
ZSM−18と称される1種の特定のゼオライトは、Ciricによって1976年に最初に開示された(US3,950,496参照)。この特許には、トリクオート(triquat)構造指向剤、2,3,4,5,6,7,8,9−オクタヒドロ−2,2,5,5,8,8−ヘキサメチル−1H−ベンゾ[1,2−c:3,4−c:5,6−c]トリピロリウムトリヒドロキシド(トリクオート1)からのZSM−18の合成が記載されている。ZSM−18は、シクロヘキサンの吸着に基づき7Åを超える細孔の大きさを有し、Si/Al比が5〜15であることが見出された。Naがまたアルミン酸ナトリウムの形態で使用され、細孔内部から骨格電荷の平衡を保つのを助けた。この反応混合物のSi/Al比が、10未満の場合は、得られるZSM−18は、焼成に対して不安定であることも示された。Lawtonらによって、ZSM−18の構造が報告され、垂直な7環細孔系とともに口径が7Åと予想される、1次元12環の細孔であることが明らかになったのは1990年になってからである(SCIENCE、247、1319〜1322(1990)参照)。この構造にはまた、アルミノケイ酸塩において観察される最初の3環が含まれる。この著者らは、12環細孔内にトリクオートの構造を合わせることによって、ZSM−18の合成におけるトリクオートカチオンの役割を調べることを試み、これは非常に特定の位置のみを占めることを見出した。これは、トリクオートによる強い鋳型効果(templating effect)と解釈され、このようなかさ高な、多電荷の鋳型カチオン(templating cation)が、観察された3環を有するゼオライトを作製するのに必要とされ得る。
【0004】
1994年に、Schmittによって、異なるトリクオート、[(Me(CHN]*3OH、(トリクオート2)を使用したZSM−18の新規な合成法が開示された(US5,350,570参照)。Schmittは、トリクオート1は非常に高価であり、作製するが難しく、かつ焼成中の熱分解がZSM−18試料を破壊することが多いので、1976年以来ZSM−18についてほとんど何もなされてこなかったことを指摘した。この新規なトリクオート2も、トリクオート1を連想させる、かさ高な3つの部分を有する多電荷の構造を有し、これは鋳型効果を介してZSM−18を作製するための必要条件と考えられる。トリクオート2によるZSM−18の熱分解は、首尾よくZSM−18の安定なプロトン性の形態を生じたけれども;その後12年経った現在、ZSM−18については依然としてほとんど何もなされていない。これは、トリクオート2はトリクオート1より経済的ではあるが、US5,350,570特許では、トリクオート2はファインケミカルから誘導されると述べており、したがって、簡便に使用するには依然として高価すぎるからである。ZSM−18への「合理的な合成」経路も、1994年に開示された(ZEORITES、14、635〜642(1994))。この合理的アプローチは、US5,350,570特許に列挙されているトリクオート1の経済的合成および熱分解に関する同じ難点を認めている。この論文はまた、12環細孔中のトリクオート1テンプレートの「ほぼ完全な適合」を引用して、鋳型効果が存在するなら、それがZSM−18中に存在すると結論付けている。この結果、この考え方は、トリクオート1のテンプレート代替物を選択するのに使用され、様々なタイプのモデリングが、上述したトリクオート2および[(Me(CHCH]*3OHトリクオート3(これは、中心のNがC−Hで置換された以外はトリクオート2と同じである)をもたらしている。トリクオート3は、種(seeds)の存在下でのみZSM−18を何とか生成し、一方、トリクオート2は低品質のZSM−18を直接生成するが、この合成に種を使用した場合、高度な結晶性のZSM−18を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,950,496号明細書
【特許文献2】米国特許第5,350,570号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0095195号公報
【特許文献4】米国特許第6,776,975号明細書
【特許文献5】米国特許第4,310,440号明細書
【特許文献6】米国特許第4,440,871号明細書
【特許文献7】米国特許第4,870,222号明細書
【特許文献8】米国特許第5,157,196号明細書
【特許文献9】米国特許第5,157,197号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】SCIENCE、247巻、1319〜1322頁、1990年
【非特許文献2】ZEORITES、14巻、635〜642頁、1994年
【非特許文献3】STURDIES IN SURFACE SCIENCE AND CATALYSIS、2004年、154A巻、364〜372頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゼオライトZSM−18は、その調製の困難さおよび費用の理由で、依然として使用または研究されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術とは対照的に、本出願人らは、UZM−22と称される新規な一群の材料を調製するのに成功した。この材料のトポロジー(位相幾何学)は、ZSM−18で観察されるものに類似している。この材料を単純な市販されている構造指向剤、例えば、コリンヒドロキシド、[HO(CHNMeOHの使用を介して、ゼオライト合成に対する電荷密度ミスマッチ法(Charge Density Mismatch Approach)を用いて、少量のSr2+、Li、またはSr2+とLiを一緒に合わせて調製する(US2005/0095195参照)。
【0009】
上述のように、本発明は、UZM−22と称される新規なアルミノケイ酸塩ゼオライトに関する。したがって、本発明の一実施形態は、少なくともAlOおよびSiO四面体単位の3次元骨格、および実験式:
n+Al1−xSi
[式中、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の交換可能なカチオンであり、「m」は、(Al+E)に対するMのモル比であり、0.05〜1.2で変化し、Rは、コリン、エチルトリメチルアンモニウム(ETMA)、ジエチルジメチルアンモニウム(DEDMA)、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、ジメチルジエタノールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム(TEA)、テトラプロピルアンモニウム(TPA)およびその混合物からなる群から選択される一価の有機アンモニウムカチオンであり、「r」は、(Al+E)に対するRのモル比であり、0.25〜2.0の値を有し、「n」は、Mの加重平均原子価であり、1〜3の値を有し、Eは、ガリウム、鉄、ホウ素およびその混合物からなる群から選択される元素であり、「x」は、Eのモル分率であり、0〜1.0の値を有し、「y」は、(Al+E)に対するSiのモル比であり、2より大きい値から12まで変化し、「z」は、(Al+E)に対するOのモル比であり、式:
z=(m・n+r+3+4・y)/2
によって決定される値を有する]
によって表される合成されたままでかつ無水ベースの実験的組成を有するミクロ多孔質結晶性ゼオライトであって、少なくとも、表A:
【0010】
【表1】

【0011】
に示された格子面間隔d(d-spacings)および強度を有するX線回折パターンを有すること、および400℃を超える温度まで熱的に安定であることを特徴とするゼオライトである。
【0012】
本発明の他の実施形態は、上記結晶性ミクロ多孔質ゼオライトを調製する方法である。この方法は、M、R、Al、Siおよび場合によりEの反応性供給源を含む反応混合物を形成するステップと、この反応混合物を60℃〜175℃の温度でゼオライトを形成するのに十分な時間加熱するステップを含み、この反応混合物は、酸化物のモル比として表される組成:
aM2/nO:bR2/pO:1−cAl:cE:dSiO:eH
[式中、「a」は、0.05〜1.25の値を有し、「b」は、1.5〜40の値を有し、「c」は、0〜1.0の値を有し、「d」は、4〜40の値を有し、「e」は、25〜4000の値を有する]
を有する。
【0013】
本発明のさらに他の実施形態は、上記ゼオライトを用いた炭化水素の変換方法である。この方法は、変換された炭化水素を得る変換条件で、炭化水素をゼオライトと接触させるステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本出願人らは、その位相構造が、国際ゼオライト学会 構造委員会、International Zeolite Association Structure Commission(http://topaz.ethz.ch/IZASC/StdAtlas.htm)によって維持管理されているATRAS OF ZEORITE FRAMEWORK TYPESに記載のMEIにかかわるものである、アルミノケイ酸塩ゼオライトを調製し、UZM−22と称している。詳細に示されるように、UZM−22は、そのいくつかの特性がZSM−18と異なる。本ミクロ多孔質結晶性ゼオライト(UZM−22)は、実験式:
n+Al1−xSi
(式中、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の交換可能なカチオンである)によって表される合成されたままでかつ無水ベースの実験的組成を有する。カチオンMの具体例には、限定するものではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン、イッテルビウムおよびその混合物が含まれる。Rは、一価の有機アンモニウムカチオンであり、その例には、限定するものではないが、コリンカチオンである[(CHN(CHOH]、ETMA、DEDMA、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、ジメチルジエタノールアンモニウム、TEA、TPAおよびその混合物が含まれ、「r」は、(Al+E)に対するRのモル比であり、0.25〜2.0で変化する。「n」の値は、Mの加重平均原子価であり、1〜3の値で変化し、一方、「m」は、(Al+E)に対するMのモル比であり、0〜1.2で変化する。(Al+E)に対するケイ素の比は、「y」で表され、2〜12で変化する。Eは、四面体に配位された元素であり、その骨格中に存在し、ガリウム、鉄、ホウ素からなる群から選択される。Eのモル分率は、「x」で表され、0〜1.0の値を有し、一方、「z」は、(Al+E)に対するOのモル比であり、式:
z=(m・n+r+3+4・y)/2
で示される。Mが1種のみの金属の場合は、この加重平均原子価は、その1種の金属の原子価、即ち、+1または+2である。しかし、2つ以上の金属Mが存在する場合、総量(Mn+)および加重平均原子価「n」は、以下の式によって示される。
【0015】
【数1】

【0016】
【数2】

【0017】
ミクロ多孔質結晶性ゼオライト、UZM−22は、M、R、アルミニウム、ケイ素および場合によりEの反応性供給源を組み合わせることによって調製された反応混合物の熱水結晶化によって調製される。アルミニウムの供給源には、限定するものではないが、アルミニウムアルコキシド、沈降アルミナ、金属アルミニウム、アルミニウム塩およびアルミナゾルが含まれる。アルミニウムアルコキシドの具体例には、限定するものではないが、アルミニウムオルトsec−ブトキシドおよびアルミニウムオルトイソプロポキシドが含まれる。シリカの供給源には、限定するものではないが、テトラエチルオルトケイ酸塩、コロイドシリカ、沈降シリカおよびアルカリケイ酸塩が含まれる。E元素の供給源には、限定するものではないが、アルカリホウ酸塩、ホウ酸、沈降ガリウムオキシヒドロキシド、硫酸ガリウム、硫酸第二鉄、および塩化第二鉄が含まれる。金属Mの供給源には、ハライド塩、硝酸塩、酢酸塩、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属それぞれの水酸化物が含まれる。Rは、コリン、ETMA、DEDMA、TEA、TPA、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、ジメチルジエタノールアンモニウムおよびその混合物からなる群から選択される有機アンモニウムカチオンであり、この供給源には、水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物およびフッ化物の化合物が含まれる。具体例には、限定するものではないが、コリンヒドロキシドおよびコリンクロライド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムクロライドが含まれる。
【0018】
所望の成分の反応性供給源を含むこの反応混合物は、式:
aM2/nO:bR2/pO:1−cAl:cE:dSiO:eH
[式中、「a」は、0.05〜1.25で変化し、「b」は、1.5〜40で変化し、「c」は、0〜1.0で変化し、「d」は、4〜40で変化し、「e」は、25〜4000で変化する]
によって酸化物のモル比として表すことができる。アルコキシドが使用される場合、蒸留または蒸発ステップを含めて、アルコール加水分解生成物を除去することが好ましい。この反応混合物を、次に、密閉した反応容器中で自生圧力下、60℃〜175℃、好ましくは80℃〜125℃の温度で、1日〜3週間、好ましくは4日〜14日間反応させる。結晶化が完了した後、固体生成物をろ過または遠心分離などの手段によって不均一な混合物から単離し、次いで、脱イオン水で洗浄し、100℃までの周囲温度で空気中で乾燥させる。ゼオライトの形成を促進するために、この反応混合物にUZM−22の種を場合により添加してもよいことを指摘しておくべきである。
【0019】
UZM−22を作製するための好ましい合成アプローチは、電荷密度ミスマッチ概念を使用し、これはUS2005/0095195およびSTURDIES IN SURFACE SCIENCE AND CATALYSIS、(2004)、154A巻、364〜372頁に開示されている。US2005/0095195に開示されているこの方法は、四級アンモニウムヒドロキシドを使用して、アルミノケイ酸塩の種を可溶化し、一方、アルカリおよびアルカリ土類金属などの結晶化誘導剤およびより高く荷電した有機アンモニウムカチオンは、別個のステップで導入されることが多い。このアプローチを用いていくつかのUZM−22の種がいったん生成されると、この種は、例えば、コリンヒドロキシド及びアルカリとアルカリ土類カチオンの組合せを用いて、UZM−22の単一ステップ合成に使用することができる。UZM−22を調製するのに市販のコリンを使用すると、MEIトポロジーを有するアルミノケイ酸塩を調製するのに、以前に使用された構造規定剤(トリクオート1およびトリクオート2)と比較して大きな経済的な利点がもたらされる。さらに、コリンは、ヒドロキシドまたはクロライドとして、他の安価な有機アンモニウムヒドロキシドと合わせて電荷密度ミスマッチ概念を用いて、さらにコストを低減することができる。ZSM−18の発見後30年以上も、このゼオライトについてはほとんど何もなされてこなかった。最後に、本明細書で開示するこのアプローチは、今回、MEIアルミノケイ酸塩の合成、研究、および有用性を利用しやすくする。
【0020】
上記の方法から得られたUZM−22アルミノケイ酸塩ゼオライトは、少なくとも、以下の表Aに示された格子面間隔dおよび相対強度を有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
【0021】
【表2】

【0022】
実施例で詳細に示すように、UZM−22材料は、少なくとも400℃まで、好ましくは600℃の温度まで熱的に安定である。
【0023】
合成されるように、UZM−22材料は、その細孔中にいくらかの交換可能なまたは電荷平衡用カチオンを含む。これらの交換可能なカチオンは、他のカチオンと交換することができ、または有機カチオンの場合、これらは、制御された条件下で加熱することによって除去することができる。UZM−22は、大きな細孔ゼオライトであるので、いくつかの有機カチオンをイオン交換によって直接除去することも可能である。UZM−22ゼオライトは、特定の用途に使用するように調整するために多くの方法で改変してもよい。改変には、UZM−4の場合についてUS6,776,975B1(その全体を参照により援用する)に概説されているように、焼成、イオン交換、蒸気処理、様々な酸抽出、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムでの処理、またはその任意の組合せが含まれる。改変される特性には、多孔性、吸着性、Si/Al比、酸性度、熱的安定性等が含まれる。
【0024】
US6,776,975B1の特許に記載されている1つまたは複数の技術によって改変されたUZM−22組成物(本明細書ではUZM−22HS)は、無水ベースによる実験式:
M1n+Al(1−x)Siy’z’
[式中、M1は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アンモニウムイオン、水素イオンおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1種の交換可能なカチオンであり、「a」は、(Al+E)に対するM1のモル比であり、0.05〜50で変化し、「n」は、Mlの加重平均原子価であり、+1から+3の値を有し、Eは、ガリウム、鉄、ホウ素、およびその混合物からなる群から選択される元素であり、「x」は、Eのモル分率であり、0〜1.0で変化し、y’は、(Al+E)に対するSiのモル比であり、4より大きい値から実質的に純粋なシリカまで変化し、z’は、(Al+E)に対するOのモル比であり、式:
z’=(a・n+3+4・y’)/2
によって決定される値を有する]
によって記述される。
【0025】
実質的に純粋なシリカとは、実質的にすべてのアルミニウムおよび/またはE金属が、その骨格から除去されていることを意味する。すべてのアルミニウムおよび/またはE金属を除去することは、実質的に不可能であることはよく知られている。数値的に、y’が、少なくとも3000、好ましくは10000、最も好ましくは20000の値を有する場合、ゼオライトは、実質的に純粋なシリカである。したがって、y’の範囲は、4〜3000、好ましくは10より大きい値〜3000;4〜10000、好ましくは10より大きい値〜10000、および4〜20000、好ましくは10より大きい値〜20000である。
【0026】
ゼオライト出発材料の割合またはゼオライト生成物の吸着特性等を明示する際、本明細書では、別段の指示がなければ、ゼオライトの「無水の状態」を対象とする。「無水の状態」という用語は、本明細書では物理的に吸着されたおよび化学的に吸着された水の両者を実質的に有していないゼオライトを指すのに使用される。
【0027】
1種または複数の上記処理後に得られたUZM−22HSゼオライトは、UZM−22のものと異なる(したがって、特有の)X線回折パターンを有する。すべてのUZM−22HS材料に共通の主要ピークのリストを表Bに示す。
【0028】
【表3】

【0029】
本発明の結晶性UZM−22ゼオライトは、複数の分子種の混合物を分離するため、イオン交換を介して汚染物を除去するため、および様々な炭化水素変換プロセスを触媒するために使用することができる。複数の分子種の分離は、分子サイズ(動力学的直径)か、または分子種の極性度のいずれかに基づくことができる。
【0030】
本発明のUZM−22ゼオライトは、様々な炭化水素変換プロセスにおける触媒または触媒担体としても使用することができる。炭化水素変換プロセスは、当技術分野でよく知られており、クラッキング、水素化分解、芳香族およびイソパラフィン両方のアルキル化、異性化、重合、改質、水素化、脱水素化、アルキル交換反応、脱アルキル化、水和、脱水、水素化処理、水素化脱窒素反応、水素化脱硫反応、メタン化および合成ガスシフトプロセスが含まれる。これらの方法で使用することができる具体的反応条件および供給原料の種類は、US4,310,440およびUS4,440,871に説明されており、これらを参照により援用する。好ましい炭化水素変換プロセスは、水素化処理またはヒドロファイニング、水素化、水素化分解、水素化脱窒素反応、水素化脱硫反応等などの水素が成分であるものである。
【0031】
水素化分解条件には、典型的には、204〜649℃(400〜1200°F)、好ましくは316〜510℃(600〜950°F)の間の範囲の温度が含まれる。反応圧力は、大気圧から24132kPag(3500psig(ポンド/平方インチゲージ))、好ましくは1379〜20685kPag(200から3000psig)の間の範囲である。接触時間は、通常、0.1hr−1〜15hr−1、好ましくは0.2から3hr−1の間の範囲の液毎時空間速度(LHSV;liquid hourly space velocities)に対応する。水素循環比率は、供給量当たり178〜8888標準m/m(バレル当たり1000〜50000標準立方フィート(scf))、好ましくは、355〜5333標準m/m(供給量のバレル当たり2000から30000scf)の範囲である。適した水素化処理条件は、通常、上記の水素化分解条件の広い範囲内である。
【0032】
この反応領域の流出液は、通常、触媒床から除去され、部分的濃縮および気液分離にかけられ、次いで分画されてその様々な成分を回収する。この水素、および必要に応じて一部のまたはすべての変換されていない重質物質を反応器に再循環させる。あるいは、2段階フローを使用して、上記変換されていない物質を第2の反応器に送ってもよい。本発明の触媒は、このようなプロセスの1つだけの段階で使用してもよく、または両方の反応器の段階で使用してもよい。
【0033】
接触分解プロセスは、好ましくは、軽油(ガスオイル)、重質ナフサ、脱歴原油残渣等の供給原料を用いて、UZM−22組成物で実施し、ガソリンが主な所望の生成物である。454〜593℃(850〜1100°F)の温度条件、0.5〜10のLHSV値、および0〜345kPa(0〜50psig)の圧力条件が適している。
【0034】
芳香族化合物のアルキル化は、通常、芳香族化合物(C〜C12)、特にベンゼンをモノオレフィンと反応させて、直鎖アルキル置換芳香族化合物を生成することを含んでいる。このプロセスは、5:1から30:1の間の芳香族化合物:オレフィン(例えば、ベンゼン:オレフィン)比で、0.3〜6hr−1のLHSV、100〜250℃の温度および1379〜6895kPa(200〜1000psig)の圧力で実施される。装置についてのさらなる詳細は、参照により援用する、US4,870,222に記載されている。
【0035】
自動車の燃料成分として適しているアルキレートを生成するための、オレフィンによるイソパラフィンのアルキル化は、−30〜40℃の温度、大気圧から6894kPa(1000psig)の圧力および0.1〜120の重量毎時空間速度(WHSV;weight hourly space velocity)で実施する。パラフィンのアルキル化についての詳細は、参照により援用する、US5,157,196およびUS5,157,197に記載されている。
【0036】
以下の実施例は、本発明の例示のために示されており、添付した特許請求の範囲に述べられた本発明の全体的な広い範囲を過度に限定することを意図するものではない。
【0037】
本発明のUZM−22ゼオライトの構造は、X線解析によって決定した。以下の実施例に示すX線パターンは、標準的X線粉末回折技術を用いて得られた。この放射線源は、45kVおよび35maで作動する高強度X線管であった。銅K−アルファ線からの回折パターンは、適当なコンピュータ・ベースの技術によって得られた。平坦圧縮粉末試料を、2°〜70°(2θ)で連続的に走査した。オングストローム単位の格子面間隔(d)が、θとして表される回折ピークの位置から得られた(ここで、θは、デジタル化データから観察されるブラッグ角である)。強度は、バックグラウンドを減算した後、回折ピークの面積の積分面積から決定した。「I」は、最強の線またはピークであり、「I」は、その他のピークのそれぞれの強度である。
【0038】
当業者であれば分かるように、パラメータ2θの決定は、人および機械的誤差の両方の影響を受け、両者を合わせて、各報告された2θの値には±0.4°の不確かさが発生し得る。当然、この不確かさは、2θ値から計算される格子面間隔dの報告された値にも現れる。この不正確さは、当技術全体にわたって一般的なものであり、本発明の結晶性材料を相互におよび従来技術組成物から区別することを妨げるほどのものではない。報告されたX線パターンのいくつかでは、その格子面間隔dの相対強度が、記号vs、s、m、およびwによって示され、これらはそれぞれ、非常に強い(vs)、強い(s)、中位(m)、および弱い(w)を表す。100×I/Iの観点からは、上記記号は、
w=0〜15;m=15〜60:s=60〜80およびvs=80〜100
で定義される。
【0039】
場合によっては、合成生成物の純度は、そのX線粉末回折パターンを参照して評価してもよい。したがって、例えば、ある試料が純粋であると示された場合、この試料のX線パターンは、結晶性不純物に起因する線を含まないということのみを意図し、アモルファス物質が存在しないというわけではない。
【0040】
本発明をより十分に例示するために、以下の実施例を説明する。この実施例は例示することのみを目的としており、添付した特許請求の範囲に述べられた本発明の広い範囲を過度に限定するものではない。
【実施例】
【0041】
実施例1
先ず、水酸化アルミニウム(27.78%Al)19.40gとコリンヒドロキシド(50%溶液)387.3gを激しく撹拌しながら混合することによってアルミノケイ酸塩溶液を調製した。十分混合した後、Ludox(商標)AS−40(40%SiO)300.0gを添加した。この反応混合物を高速機械的撹拌機でさらに1時間ホモジナイズし、100℃のオーブンに一晩入れておいた。分析により、得られたアルミノケイ酸塩溶液は、Si 7.45重量%およびAl 0.73重量%を含むことが示され、Si/Al比9.82を得た。
【0042】
このアルミノケイ酸塩溶液(706.7g)全体を継続的に撹拌し、これに、配合物LiCl*9HO 13.02gおよび配合物Sr(NO*20HO 18.19gを含む水溶液を滴下して添加した。次いで、得られた反応混合物を1時間ホモジナイズし、100℃のオーブン中に入れたTeflon(商標)びんに密閉し、6日間反応させた。
【0043】
この固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥した。この生成物は、X線回折によってUZM−22と同定された。この生成物について観察された代表的な回折線を表1に示す。この生成物の組成は、元素分析によって、以下のモル比からなることが決定された:Si/Al=5.10、Li/Al=0.046、Sr/Al=0.149、C/N=5.37、N/Al=0.81
【0044】
走査電子顕微鏡法(SEM)により、サイズがほぼ100×350nmの丸太状形態の結晶であることが判明した。この試料を560℃で12時間窒素下、次いで空気下で焼成した。焼成UZM−22のBET表面積は、606m/gであり、0.28cc/gのミクロ孔体積を有することが分かった。
【0045】
【表4】

【0046】
実施例2
先ず、水酸化アルミニウム(27.78%Al)19.40gとコリンヒドロキシド(50%溶液)387.3gを激しく撹拌しながら混合することによってアルミノケイ酸塩反応溶液を調製した。十分混合した後、Ludox(商標)AS−40(40%SiO)300.0gを添加した。この反応混合物を高速機械的撹拌機で1時間ホモジナイズし、Teflon(商標)びん中に密閉し、100℃のオーブンに一晩入れておいた。分析により、このアルミノケイ酸塩溶液は、Si 8.22重量%およびAl 0.81重量%を含むことが示された(Si/Al比=9.76)。
【0047】
上記アルミノケイ酸塩溶液の282.12gの部分を継続的に撹拌し、これに、LiCl*9HO 5.20gおよびSr(NO*20HO 7.27gを含む混合水溶液を滴下して添加した。添加の完了後、得られた反応混合物を1時間ホモジナイズし、500cc Teflon(商標)びんに移し、100℃で反応させた。反応混合物の一部を5,6,7および10日にサンプリングした。これらの各試料から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥した。4つの反応すべてから得られた生成物は、X線回折によってUZM−22と同定された。表2は、5日間反応した試料について観察された代表的な回析線を示す。元素分析は、モル比:Si/Al=5.05、Li/Al=0.07、Sr/Al=0.178、C/N=5.07、N/Al=1.12の生成物の組成を示した。
【0048】
【表5】

【0049】
実施例3
先ず、水酸化アルミニウム(27.78%Al)76.83gとコリンヒドロキシド(47.1%)880.37gを激しく撹拌しながら混合することによってアルミノケイ酸塩溶液を調製した。この混合物に、コロイドシリカ(Ludox AS−40、40%SiO)640.84gを添加し、続いて蒸留水1.95gを加えた。この反応混合物を高速機械的撹拌機で1時間ホモジナイズし、次いで、Teflon(商標)びん中、100℃で一晩エージングした。エージングステップの後、得られたアルミノケイ酸塩溶液を再び合わせて分析し、分析により、ケイ素含量が7.61重量%およびAlを1.44重量%含むことが示された(Si/Al比=5.08)。
【0050】
上記アルミノケイ酸塩溶液の1600gの部分を、激しく撹拌しながら、蒸留水250.0gに溶解したSr(NO 26.33gおよびLiCl 10.55gを含む混合溶液により滴下する方式で処理した。30分間のホモジナイズ後、反応混合物を2LのTeflon(商標)びんに移し、100℃のオーブンに入れ、反応混合物を自生圧力で6日間温浸させた。この固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、100℃で乾燥した。
【0051】
粉末X線回折法(XRD)によるこの固体生成物の特性決定は、UZM−22を明示する物質に対するものであるパターンの線を示した。この試料に対して観察された代表的な回折線を表3に示す。走査電子顕微鏡法(SEM)は、その長さがほぼ20〜300nmの棒からなる微結晶を示した。このゼオライトの酸の形態を得るために、UZM−22を焼成する前にアンモニウムイオン交換して、アルカリ/アルカリ土類金属を除去した。アンモニウムイオン交換は、このゼオライトを過剰の1.5M NHNO溶液中、75℃で2時間撹拌して実施した。アンモニウム交換生成物は、元素分析によって決定される以下のモル比を有することが判明した:Si/Al=4.58、Sr/Al=0.16およびLi/Al=0.005。焼成した材料のBET表面積は624m/gであり、ミクロ孔体積は0.283cc/gであった。
【0052】
【表6】

【0053】
実施例4
先ず、水酸化アルミニウム(27.78%Al)154.54gとコリンヒドロキシド(47.1%溶液)1646.20gを激しく撹拌しながら混合することによってアルミノケイ酸塩溶液を調製した。この混合物に、コロイドシリカ(Ludox AS−40、40%SiO)1198.31gを添加し、続いて蒸留水0.75gを加えた。この反応混合物を高速機械的撹拌機で1時間ホモジナイズし、次いで、Teflon(商標)びん中、100℃で一晩エージングした。エージングステップの後、得られたアルミノケイ酸塩溶液を再び合わせて分析し、分析により、ケイ素含量7.62重量%およびAlを1.43重量%含むことが示された(Si/Al比=5.12)。
【0054】
上記アルミノケイ酸塩溶液の1250gの部分を、蒸留水150.0gに溶解したSr(NO(99%)21.01gおよびLiCl 4.2gからなる混合Sr(NO/LiCl溶液で、激しい混合を適用しながら滴下する方式で処理した。反応混合物を高速機械的撹拌機で30分間ホモジナイズした。反応混合物を2L Parrステンレス鋼撹拌オートクレーブに移した。このオートクレーブを103℃に加熱し、自生圧力で168時間この温度に維持した。この固体生成物を遠心分離によって回収し、洗浄し、100℃で乾燥した。
【0055】
粉末X線回折法を介するこの固体生成物の特性決定は、UZM−22を明示する物質に対するものであるパターンの線を示した。観察された代表的な回折線を以下の表4に示す。元素分析は、この単離された生成物の組成が、Si/Al=4.89、Sr/Al=0.34およびLi/Al=0.005のモル比を有することを示した。走査電子顕微鏡法(SEM)は、長さがほぼ20〜300nmの棒からなる微結晶を示した。このゼオライトの酸の形態を得るために、UZM−22を焼成する前にアンモニウムイオン交換して、アルカリ/アルカリ土類金属を除去した。アンモニウムイオン交換は、このゼオライトを過剰の1.5M NHNO溶液中、75℃で2時間撹拌して実施した。アンモニウム交換生成物の組成は、元素分析で測定して以下のモル比を示した:Si/Al=5.75、Sr/Al=0.0006およびLi/Al=0.001。
【0056】
【表7】

【0057】
実施例5
この実施例は、アルミノケイ酸塩溶液と共に種の使用を例示する。実施例4で調製したアルミノケイ酸塩溶液の1200gの部分を、蒸留水120.0gに溶解したSr(NO(99%)20.17gおよびLiCl 4.04gを含む混合Sr(NO/LiCl溶液で、激しく混合しながら滴下する方式で処理した。この添加が完了した後、以前のUZM−22調製からのUZM−22の種10gを添加した。次いで、得られた混合物を高速機械的撹拌機で30分間ホモジナイズした。反応混合物1400gを2L Parrステンレス鋼撹拌オートクレーブに移し、ここで混合物を107℃で120時間反応させた。この固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、100℃で乾燥した。
【0058】
粉末X線回折法(XRD)によるこの固体生成物の特性決定は、UZM−22を明示する物質に対するものであるパターンの線を示した。この試料について観察された代表的な回折線を以下の表5に示す。この単離された生成物の組成は、元素分析で測定して以下のモル比、Si/Al=4.77、Sr/Al=0.36およびLi/Al=0.06を有していた。走査電子顕微鏡法(SEM)は、長さがほぼ20〜300nmの棒からなる微結晶を示した。UZM−22の酸の形態を得るために、UZM−22を焼成する前にアンモニウムイオン交換して、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除去した。アンモニウムイオン交換は、このゼオライトを過剰の1.5M NHNO溶液中、75℃で2時間撹拌して実施した。アンモニウムイオン交換生成物の組成は、元素分析で測定して以下のモル比を示した:Si/Al=4.81、Sr/Al=0.014およびLi/Al=0.0009。
【0059】
【表8】

【0060】
実施例6
この実施例は、UZM−22の種を用いたゲル法を例示する。Al(OH)(27.78%Al)58.74gをコリンヒドロキシド(47.1%)624.93gに激しく撹拌しながら添加することによってアルミノケイ酸塩反応混合物を調製した。継続的に撹拌しながら、コロイドシリカ(Ludox AS−40、40%SiO)454.9gを添加し、続いて蒸留水188.29gに溶解したSr(NO(97%)19.28gおよびLiCl 3.86gを含む混合溶液を添加した。この混合物を高速撹拌機で30分間さらにホモジナイズした。最後に、UZM−22の種5gを添加し、混合を30分間継続した。この反応混合物の1400gの部分を2L Parrステンレス鋼撹拌オートクレーブに移し、これを107℃に加熱し、100時間この温度に維持した。この固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、100℃で乾燥した。
【0061】
粉末X線回折法による分析により、この生成物はUZM−22構造を有することが示された。観察された回析パターンの代表的な線を表6に示す。この単離された生成物の組成は、以下のモル比を有していた:Si/Al=2.92、Sr/Al=0.61およびLi/Al=0.20。走査電子顕微鏡法(SEM)は、長さがほぼ20〜300nmの棒からなる微結晶を示した。UZM−22の酸の形態を得るために、UZM−22を焼成する前にアンモニウムイオン交換して、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除去した。アンモニウム交換は、このゼオライトを過剰の1.5M NHNO溶液中、75℃で2時間撹拌して実施した。アンモニウムイオン交換生成物の組成は、元素分析で測定して以下のモル比を有することが判明した:Si/Al=3.15、Sr/Al=0.05およびLi/Al=0.069。
【0062】
【表9】

【0063】
実施例7
実施例4で調製したアルミノケイ酸塩溶液の1200gの部分に、蒸留水120.0gに溶解したSr(NO(99%)20.17gおよびLiCl 4.04gを含む混合Sr(NO/LiCl水溶液を激しく混合しながら添加した。次いで、UZM−22の種10gを添加し、反応混合物をさらに30分間ホモジナイズした。反応混合物の1400gの部分を2L Parrステンレス鋼撹拌オートクレーブに移し、これを115℃に加熱し、99時間この温度を維持した。この固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、100℃で乾燥した。
【0064】
粉末X線回折法(XRD)による特性決定は、UZM−22を明示する物質に対するものであるパターンの線を示した。この生成物について観察された代表的な回折線を以下の表7に示す。この単離された生成物の組成は、モル比:Si/Al=4.69、Sr/Al=0.25およびLi/Al=0.69を有していた。走査電子顕微鏡法(SEM)は、長さがほぼ20〜300nmの棒からなる微結晶を示した。UZM−22の酸の形態を得るために、UZM−22を焼成する前にアンモニウムイオン交換して、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を除去した。アンモニウムイオン交換は、このゼオライトを過剰の1.5M NHNO溶液中、75℃で2時間撹拌して実施した。アンモニウムイオン交換生成物の組成は、元素分析で測定して以下のモル比を有していた:Si/Al=5.08、Sr/Al=0.0017およびLi/Al=0.001。
【0065】
【表10】

【0066】
実施例8
実施例4で調製したアルミノケイ酸塩溶液の100.0gの部分を、Sr(NO溶液(Sr(NO(99%)1.64g/脱イオン水15.0g)で、激しく混合しながら滴下する方式で処理した。30分間ホモジナイズした後、反応混合物を100mlのTeflon(商標)で内張りされたオートクレーブに移した。このオートクレーブを100℃に設定したオーブンに入れ、ここで反応混合物を自生圧力で19日間反応させた。この固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、100℃で乾燥した。
【0067】
粉末X線回折法(XRD)による特性決定は、UZM−22を明示する物質に対するものであるパターンの線を示した。観察されたこのパターンの代表的な回折線を以下の表8に示す。この単離された生成物の組成は、モル比:Si/Al=4.85、Sr/Al=0.44、Na/Al=0.01およびN/Al=0.81からなっていた。走査電子顕微鏡法(SEM)は、長さがほぼ20〜300nmの棒からなる微結晶を示した。
【0068】
【表11】

【0069】
実施例9
アルミノケイ酸塩溶液を、先ず、水酸化アルミニウム(27.78%Al)77.94gをコリンヒドロキシド溶液(50%)826.68g中に激しく撹拌しながら溶解し、続いてコロイドシリカ(LudoxAS−40、40%SiO)600.0gを添加し、さらに1時間ホモジナイズすることによって調製した。この反応混合物をTeflon(商標)びんに密閉し、100℃で一晩反応させた。得られたアルミノケイ酸塩溶液を再び合わせ、分析し、Si 7.88重量%およびAl 1.47重量%(Si/Al=5.16)を含むことが判明した。
【0070】
上記混合物の300.0gの部分を撹拌し、これに塩化リチウム(LiCl・9HO)溶液16.71gを(滴下して)添加した。添加に続いて、反応混合物をさらに1時間ホモジナイズし、3個のTeflon(商標)びんに分配し、100℃で6日および13日間、および80℃で18日間反応させた。この固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥した。
【0071】
この反応生成物は、最初にUZM−4(BPH)が形成されたが、より長い温浸時間でUZM−22(MEI)に変換された。粉末X線回折法を介して、6日間の反応から生じた生成物は、わずかな生成物として観察可能なUZM−22を伴う大部分がUZM−4を示すことが決定された。100℃で13日後、わずかなUZM−4不純物が混入したUZM−22が主要生成物であり、この状況は逆転した。同様に、80℃の反応により、18日間の温浸後、わずかなUZM−4不純物を伴うUZM−22が得られた。
【0072】
実施例10
この実施例は、UZM−22材料の改変を説明する。UZM−22試料(Si/Al=4.6)の10gの部分を、窒素雰囲気中で3℃/分で560℃まで上昇させ、そこにさらに1時間保持して焼成した後、この雰囲気を空気に変え、焼成をさらに8時間継続した。先ず、HNO(69%)2gを希釈し、続いて脱イオン水120gにNHNO 10gを溶解することによって溶液を調製した。この溶液を75℃に加熱した後、焼成UZM−22を加えた。このスラリーを75℃で1時間撹拌した。この生成物をろ過によって単離し、脱イオン水で洗浄し、100℃で12時間乾燥した。
【0073】
この生成物は、X線粉末回折を介してUZM−22HSと同定された。観察された回折線の代表的な一式を以下の表9に示す。元素分析は、Si/Al=6.9へのSi/Al比の増加を確認し、一方、N吸着の測定は、643m/gのBET表面積および0.31cc/gのミクロ孔体積を示した。
【0074】
【表12】

【0075】
実施例11
この実施例は、UZM−22材料の改変を例示する。UZM−22試料(Si/Al=4.6)の40gの部分を窒素雰囲気下で3℃/分で560℃まで上昇させ、そこに1時間保持して焼成した後、この雰囲気を空気に変え、焼成をさらに8時間継続した。別に、HNO(69%)8gを希釈し、続いて脱イオン水490gにNHNO 40gを溶解することによって溶液を調製した。この溶液を75℃に加熱した後、焼成UZM−22を加えた。このスラリーを75℃で1時間撹拌した。この生成物をろ過によって単離し、脱イオン水で洗浄し、100℃で12時間乾燥した。
【0076】
この生成物は、X線粉末回折を介してUZM−22HSと同定された。観察された回折線の代表的な一式を以下の表10に示す。元素分析は、Si/Al=7.2へのSi/Al比の増加を確認し、一方、N吸着の測定は、0.30cc/gのミクロ孔体積を有する641m/gのBET表面積を示した。
【0077】
【表13】

【0078】
実施例12
UZM−22試料(Si/Al=4.4)の100gの部分を、50%の水蒸気を含んだ空気の雰囲気中で、3℃/分で550℃まで上昇させることによって蒸気に当て、そこに6時間維持した。別に、HNO(69%)30.69gを希釈し、続いて脱イオン水650.76gにNHNO 66.5gを溶解することによって溶液を調製した。この溶液を75℃に加熱した後、蒸気に当てたUZM−22 70gを加えた。このスラリーを75℃で1時間撹拌した。この生成物をろ過によって単離し、脱イオン水で洗浄し、100℃で12時間乾燥した。
【0079】
この生成物は、X線粉末回折を介してUZM−22HSと同定された。観察された回折パターンの代表的な線を表11に示す。元素分析は、Si/Al=9.7へのSi/Al比の増加を確認し、一方、N吸着の測定は、0.20cc/gのミクロ孔体積を有する522m/gのBET表面積を示した。
【0080】
【表14】

【0081】
実施例13
UZM−22の試料(125g)(Si/Al=4.8)を、50%の水蒸気を含んだ空気の雰囲気中で、3℃/分で550℃まで上昇させることによって蒸気に当て、そこに6時間維持した。HNO(69%)46.04gを希釈し、続いて脱イオン水976.14gにNHNO 99.75gを溶解することによって溶液を調製した。この溶液を75℃に加熱した後、蒸気に当てたUZM−22 105gを加えた。このスラリーを75℃で1時間撹拌した。この生成物をろ過によって単離し、脱イオン水で洗浄し、100℃で12時間乾燥した。
【0082】
この生成物は、X線粉末回折を介してUZM−22HSと同定された。観察された回折線の代表的な一式を以下の表12に示す。元素分析は、Si/Al=12.12へのSi/Al比の増加を確認し、一方、N吸着の測定は、0.21cc/gのミクロ孔体積を有する565m/gのBET表面積を示した。
【0083】
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともSiO四面体単位の3次元骨格、および実験式:
n+Al1−xSi
[式中、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の交換可能なカチオンであり;mは、(Al+E)に対するMのモル比であり、0〜1.2で変化し;Rは、コリン、エチルトリメチルアンモニウム(ETMA)、ジエチルジメチルアンモニウム(DEDMA)、テトラエチルアンモニウム(TEA)、テトラプロピルアンモニウム(TPA)、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、ジメチルジエタノールアンモニウムのカチオン、およびその混合物の群から選択される一価の有機アンモニウムカチオンであり;rは、(Al+E)に対するRのモル比であり、0.25〜2.0の値を有し;nは、Mの加重平均原子価であり、1〜3の値を有し;Eは、ガリウム、鉄、ホウ素およびその混合物からなる群から選択される元素であり;xは、Eのモル分率であり、0〜1.0の値を有し;yは、(Al+E)に対するSiのモル比であり、2より大きい値〜12まで変化し;zは、(Al+E)に対するOのモル比であり、式:
z=(m・n+r+3+4・y)/2
によって決定される値を有する]
によって表される合成されたままでかつ無水ベースの実験的組成を有するミクロ多孔質結晶性ゼオライトであって、少なくとも、表A:
【表1】

に示された格子面間隔dおよび強度を有するX線回折パターンを有すること、および少なくとも400℃の温度まで熱的に安定であることを特徴とするゼオライト。
【請求項2】
xがゼロである、請求項1に記載のゼオライト。
【請求項3】
少なくともSiO四面体単位の3次元骨格、および実験式:
n+Al1−xSi
[式中、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の交換可能なカチオンであり;mは、(Al+E)に対するMのモル比であり、0〜1.2で変化し;Rは、コリン、エチルトリメチルアンモニウム(ETMA)、ジエチルジメチルアンモニウム(DEDMA)、テトラエチルアンモニウム(TEA)、テトラプロピルアンモニウム(TPA)、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、ジメチルジエタノールアンモニウムのカチオン、およびその混合物の群から選択される一価の有機アンモニウムカチオンであり;rは、(Al+E)に対するRのモル比であり、0.25〜2.0の値を有し;nは、Mの加重平均原子価であり、1〜3の値を有し;Eは、ガリウム、鉄、ホウ素およびその混合物からなる群から選択される元素であり;xは、Eのモル分率であり、0〜1.0の値を有し;yは、(Al+E)に対するSiのモル比であり、2より大きい値〜12まで変化し;zは、(Al+E)に対するOのモル比であり、式:
z=(m・n+r+3+4・y)/2
によって決定される値を有する]
によって表される合成されたままでかつ無水ベースの実験的組成を有し、少なくとも、表A:
【表2】

に示された格子面間隔dおよび強度を有するX線回折パターンを有すること、および少なくとも400℃の温度まで熱的に安定であることを特徴とするミクロ多孔質結晶性ゼオライトを調製する方法であって;
M、R、Si、場合によりEおよび場合によりAlの反応性供給源を含む反応混合物を形成するステップと、この反応混合物を60℃〜175℃の温度でゼオライトを形成するのに十分な時間加熱するステップを含み、この反応混合物は、酸化物のモル比として表される組成:
aM2/nO:bR2/pO:1−cAl:cE:dSiO:eH
[式中、aは、0.05〜1.25の値を有し;bは、1.5〜40の値を有し;cは、0〜1.0の値を有し;dは、4〜40の値を有し;eは、25〜4000の値を有する]を有する、
前記方法。
【請求項4】
反応混合物を80℃〜125℃の温度で1日〜3週間反応させる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Rが、コリンと、TEA、TPA、ETMA、DEDMA、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、またはジメチルジエタノールアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種の一価の有機アンモニウムカチオンとの組合せである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
反応混合物にUZM−22の種を添加するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
炭化水素変換条件において、炭化水素の流れを触媒と接触させて、変換された生成物を得るステップを含む炭化水素変換プロセスであって、
前記触媒が、UZM−22、UZM−22HSおよびその混合物からなる群から選択されるミクロ多孔結晶性ゼオライトを含み、
ここで、UZM−22は、少なくともSiO四面体単位の3次元骨格、および実験式:
n+Al1−xSi
[式中、Mは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも1種の交換可能なカチオンであり;mは、(Al+E)に対するMのモル比であり、0〜1.2で変化し;Rは、コリン、エチルトリメチルアンモニウム(ETMA)、ジエチルジメチルアンモニウム(DEDMA)、テトラエチルアンモニウム(TEA)、テトラプロピルアンモニウム(TPA)、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、ジメチルジエタノールアンモニウムのカチオン、およびその混合物の群から選択される一価の有機アンモニウムカチオンであり;rは、(Al+E)に対するRのモル比であり、0.25〜2.0の値を有し;nは、Mの加重平均原子価であり、1〜3の値を有し;Eは、ガリウム、鉄、ホウ素およびその混合物からなる群から選択される元素であり;xは、Eのモル分率であり、0〜1.0の値を有し;yは、(Al+E)に対するSiのモル比であり、2より大きい値〜12まで変化し;zは、(Al+E)に対するOのモル比であり、式:
z=(m・n+r+3+4・y)/2
によって決定される値を有する]
によって表される合成されたままでかつ無水ベースの実験的組成を有し、少なくとも、表A:
【表3】

に示された格子面間隔dおよび強度を有するX線回折パターンを有すること、および少なくとも400℃の温度まで熱的に安定であることを特徴とし;
UZM−22HSは、少なくともSiO四面体単位の3次元骨格、および無水ベースの実験的組成:
M1n+Al(1−x)Siy’z’
[式中、M1は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アンモニウムイオン、水素イオンおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1種の交換可能なカチオンであり;aは、(Al+E)に対するM1のモル比であり、0.05〜50で変化し;nは、Mlの加重平均原子価であり、+1から+3の値を有し;Eは、ガリウム、鉄、ホウ素、およびその混合物からなる群から選択される元素であり;xは、Eのモル分率であり、0〜1.0で変化し;y’は、(Al+E)に対するSiのモル比であり、4より大きい値から実質的に純粋なシリカまで変化し;z’は、(Al+E)に対するOのモル比であり、式:
z’=(a・n+3+4・y’)/2
によって決定される値を有する]
を有し、少なくとも、表B:
【表4】

に示された格子面間隔dおよび相対強度を有するX線回折パターンを有すること、および少なくとも400℃の温度まで熱的に安定であることを特徴とする、
前記プロセス。
【請求項8】
前記炭化水素変換プロセスが、アルキル化、異性化、オレフィンの二量体化およびオリゴマー化および脱蝋からなる群から選択される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
少なくともSiO四面体単位の3次元骨格、および無水ベースの実験的組成:
M1n+Al(1−x)Siy’z’
[式中、M1は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アンモニウムイオン、水素イオンおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1種の交換可能なカチオンであり;aは、(Al+E)に対するM1のモル比であり、0.05〜50で変化し;nは、Mlの加重平均原子価であり、+1から+3の値を有し;Eは、ガリウム、鉄、ホウ素、およびその混合物からなる群から選択される元素であり;xは、Eのモル分率であり、0〜1.0で変化し;y’は、(Al+E)に対するSiのモル比であり、4より大きい値から実質的に純粋なシリカまで変化し;z’は、(Al+E)に対するOのモル比であり、式:
z’=(a・n+3+4・y’)/2
によって決定される値を有する]
を有するミクロ多孔質結晶性ゼオライトであって、少なくとも、表B:
【表5】

に示された格子面間隔dおよび相対強度を有するX線回折パターンを有すること、および少なくとも400℃の温度まで熱的に安定であることを特徴とするゼオライト。
【請求項10】
Mlが水素イオンである、請求項9に記載のゼオライト。

【公表番号】特表2009−545511(P2009−545511A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523040(P2009−523040)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/074972
【国際公開番号】WO2008/016974
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】