説明

V−F変換装置

【課題】汎用のV−F変換器を用いて広い周波数帯域においても高精度なパルスカウントができるV−F変換装置を提供する。
【解決手段】入力する信号量に応じたアナログ電圧値を出力するアナログ電圧出力回路1と、アナログ電圧出力回路1が出力するアナログ電圧値を周波数に変換して周波数に応じたパルスを出力する複数のV−F変換器21a、21b、・・・21nと、該複数のV−F変換器から入力する複数のパルスをフィルタリングし、このフィルタリングされたパルスの数をカウントする演算手段31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数個の「電圧(V)を周波数(F)に変換するV−F変換器」を用いたV−F変換装置に係わり、特に、粒子線治療装置などへの使用に好適な「広い周波数帯域で高精度な性能」が要求されるV−F変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、V−F変換装置に用いられるV−F変換器(電圧−周波数変換器)は、汎用のIC、OPアンプ、トランジスタ、コンデンサなどを用いて実現することが多いので、V−F変換の高精度化を実現することが困難である。
更に、用いられるV−F変換器の得意な周波数帯域(即ち、V−F変換器のV−F変換精度がよい周波数帯域)は、V−F変換器毎に異なっている場合が多いので、広い周波数帯域において精度のよいV−F変換機能を有した装置(V−F変換装置)を実現することは困難である。
【0003】
V−F変換器を用いた例ではないが、A/D変換器を用いる場合では、細かい分解能を有するA/D変換器と粗い分解能を有するA/D変換器とを実装し、両者の動作を柔軟に切り替えることによって高精度化を実現する手法が、例えば、特開平6−241879号公報(特許文献1)にて考案されている。
しかし、低周波数用V−F変換器と高周波数用V−F変換器を用いて、高精度且つ広帯域化を図ったV−F変換装置は、過去の文献には開示されていない。
【0004】
従来では、V−F変換器を用いた場合には、V−F変換器の変換精度がよい周波数領域は限られているため、装置として要求される製品仕様に対して、十分な周波数帯域を確保出来ない場合がある。
図9は、本発明の基本となるV−F変換装置の構成を示す図(即ち、本発明の従来技術に相当するV−F変換装置の構成を示す図)である。
【0005】
図9において、アナログ電圧出力回路1は、入力する信号量(例えば、照射される粒子線量)に応じて出力するアナログ電圧値が変化するものである。
そして、アナログ電圧出力回路1からアナログ電圧が出力された際に、V−F変換器2は、アナログ電圧出力回路1から出力するアナログ電圧値に応じた周波数信号を出力し、上位計算機(演算手段)3は、V−F変換器2から出力する周波数信号のパルスの立ち上がりや立ち下がりカウントする。(即ち、パルス数をカウントする。)
【0006】
この動作を繰り返し行うことで、上位計算機3は、アナログ信号出力の総量(アナログ信号出力×時間)をカウントしている。例えば、アナログ電圧出力回路1への入力信号が粒子線量の場合は、上位計算機3は、アナログ電圧出力回路1に照射された粒子線エネルギーをカウントすることになる。
上位計算機3はカウントするパルス数に制限があるので、カウントしたパルス数が制限数以上になると、アナログ電圧出力回路1への入力を止めさせる。例えば、アナログ電圧出力回路1への入力信号が粒子線量の場合は、粒子線の照射を止めさせる。
【0007】
図9に示した従来のV−F変換装置では、上位計算機3は、単に1個のV−F変換器2から出力するパルスの数をカウントしているだけであるので、汎用のIC、OPアンプなどで構成されるV−F変換器2の性能上(変換精度や周波数帯域など)の影響を直接的に受ける。
従って、図9に示した従来のV−F変換装置は、V−F変換精度が悪く、また、周波数帯域も広くないので、例えば粒子線治療装置などの中でも広い周波数帯域で高精度が要求される場合に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−241879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、従来のV−F変換装置では、上位計算機3は、単に1個のV−F変換器2から出力するパルスの数をカウントしているだけであり、汎用のIC、OPアンプなどで構成されるV−F変換器2の変換精度や周波数帯域の影響を直接的に受ける。
従って、従来のV−F変換装置は、V−F変換精度が悪く、使用される周波数帯域も広くない。
従って、広い周波数帯域においても高精度な変換性能が要求される粒子線治療装置などには用いることはできなかった。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、広い周波数帯域においてもV−F変換精度が高いV−F変換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るV−F変換装置は、入力する信号量に応じたアナログ電圧値を出力するアナログ電圧出力回路と、前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値を周波数に変換して前記アナログ電圧値に応じたパルスを出力する複数のV−F変換器と、前記複数のV−F変換器から入力する複数のパルスをフィルタリングし、このフィルタリングされた結果をパルスカウントする演算手段とを備えたものである。
【0011】
また、本発明に係るV−F変換装置は、入力する信号量に応じたアナログ電圧値を出力するアナログ電圧出力回路と、前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値を周波数に変換して前記アナログ電圧値に応じたパルスを出力する低周波数用V−F変換器と、前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値を周波数に変換して前記アナログ電圧値に応じたパルスを出力する高周波数用V−F変換器と、前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値と所定のリファレンス電圧値とを比較し、比較結果に基づいて前記低周波数用V−F変換器あるいは高周波数用V−F変換器のいずれを選択するのかのV−F変換器選択情報を出力するコンパレータと、前記コンパレータから出力するV−F変換器選択情報に基づいて選択された前記低周波数用V−F変換器から出力するパルスの数および前記高周波数用V−F変換器から出力するパルスの数をカウントする演算手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、複数のV−F変換器から入力する複数のパルスをフィルタリングし、フィルタリングされた結果をパルスカウントする演算手段(上位計算機)を備えたことにより、入力するアナログ電圧値に応じた高精度なパルスカウントができるV−F変換装置を提供できる。
更に、精度が良く周波数範囲が異なる複数のV−F変換器を用いることで、広い周波数帯域においても高精度なパルスカウントができるV−F変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。
【図2】実施の形態2に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。
【図3】実施の形態2に係るV−F変換装置の動作を説明するための図である。
【図4】実施の形態3に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。
【図5】実施の形態4に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。
【図6】実施の形態5に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。
【図7】実施の形態6に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。
【図8】実施の形態6に係るV−F変換装置の動作を説明するための図である。
【図9】従来のV−F変換装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態例について説明する。
なお、各図間において、同一符号は同一あるいは相当のものであることを表す。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。
図1に示すように、本実施の形態では、アナログ電圧出力回路1から出力される電圧値は、n個のV−F変換器(即ち、V−F変換器21a、V−F変換器21b、・・・、V−F変換器21n)に入力される。
即ち、n個のV−F変換器のそれぞれは、アナログ電圧出力回路1から出力された同一の電圧値が入力され、入力された電圧値に応じた周波数信号(パルス)に変換する。
これらn個のV−F変換器は、それぞれが他のV−F変換器に関係なく、独立して上位計算機(演算手段)31に変換された周波数信号(パルス信号)を出力する。
n個のV−F変換器は、これらを構成する部材(汎用のIC、OPアンプなど)の特性・精度のばらつきのために、性能(変換精度)がばらついている。
【0015】
そのため、これらのn個のデータ(即ち、n個のV−F変換器からそれぞれ出力するn個のパルス信号)は上位計算機(演算手段)31に入力され、上位計算機31において、n個のデータはフィルタリング(平均化)される。
これにより、n個のV−F変換器の特性・精度のばらつきが平均化され、上位計算機31は、平均化された高精度なパルスカウントを実現することが出来る。
なお、フィルタリングの方法としては、以下のようなものがある。
(1)全てのパルス数を平均化する。
(2)全てのパルス数の中から最小値と最大値を除去し、残りの値を平均化する。
(3)全てのパルス数の中からパルス数順に順番を付け、ちょうど真ん中あるいは真ん
中周辺のパルス数を平均化する。
【0016】
以上説明したように、本実施の形態によるV−F変換装置は、入力する信号量に応じたアナログ電圧値を出力するアナログ電圧出力回路1と、アナログ電圧出力回路1が出力するアナログ電圧値を周波数に変換して周波数に応じたパルスを出力する複数のV−F変換器(V−F変換器21a、V−F変換器21b、・・・V−F変換器21n)と、複数のV−F変換器から入力する複数のパルスをフィルタリングし、このフィルタリングされた結果をパルスカウントする演算手段(上位計算機)31とを備えている。
本実施の形態によれば、演算手段(上位計算機)31は、複数のV−F変換器から入力する複数のパルスをフィルタリングし、このフィルタリングされた結果をパルスカウントするので、用いる汎用のV−F変換器の特性・精度のばらつきの影響が軽減され、高精度なパルスカウントを実現できる。
【0017】
実施の形態2.
図2は、実施の形態2に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。図3は、実施の形態2に係るV−F変換装置の動作を説明するための図である。なお、図3には、実施の形態2によるV−F変換装置の各部の出力信号波形を示している。
前述した実施の形態1では、特定の周波数帯域に対して同一機能と精度を有したn個のV−F変換器(V−F変換器21a、V−F変換器21b、・・・V−F変換器21n)の出力値を上位計算機31でフィルタリングすることで、上位計算機(演算手段)31によるパルスカウントの高精度化を実現していた。
しかし、この方法では、上位計算機31は、変換器を構成する部品よって定まる特定の周波数帯域しか高精度なパルスカウントが出来ない。(即ち、上位計算機31は、広い周波数帯域における周波数信号(パルス)の高精度なパルスカウントはできない。)
【0018】
そこで、実施の形態2では、図2に示すように、低周波で高精度なV−F変換を行う低周波数用V−F変換器22aと高周波で高精度なV−F変換を行う高周波数用V−F変換器22bを用いる。
これにより、上位計算機(演算手段)32には2種類のパルス信号(即ち、低周波数用V−F変換器22aの出力パルス信号および高周波数用V−F変換器22bの出力パルス信号)が入力されることになる。
しかし、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値の変化に応じて、いずれか1つのV−F変換器から入力するパルス信号のみを上位計算機(演算手段)32にカウントさせる必要がある。
【0019】
したがって、「どちらのV−F変換器から入力するパルス信号をカウントするのか」を選択するための選択情報(即ち、V−F変換器選択情報)を上位計算機32に別途入力させる必要がある。
そのため、コンパレータ40を設け、アナログ電圧出力回路1の電圧値をコンパレータ40にも入力させている。
そして、上位計算機32は、コンパレータ40の出力値(即ち、V−F変換器選択情報)に応じて、2つのパルス信号(即ち、低周波数用V−F変換器22aあるいは高周波数用V−F変換器22b)の中からいずれかのV−F変換器の出力パルスを選択する。
なお、コンパレータ40の具体的な動作については後述する。
【0020】
次に、図3を用いて、図2に示した実施の形態2によるV−F変換装置の具体的な動作を説明する。
アナログ電圧出力回路1が、図3(a)に示した波形のような電圧値を出力しているとする。
なお、図3(a)において、横軸(時間軸)方向に一直線で示している線は、後述するリファレンス電圧(閾値)であり、一方、段階的に変化している線(波形)は、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値の変化を示している。
【0021】
なお、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が閾値より低い領域A(図3(a)参照)では、低周波数用V−F変換器22aを使用した方が良く、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が閾値より高い領域B(図3(a)参照)では高周波数用V−F変換器22bを使用した方が良い。
波形に示したアナログ電圧出力回路1の出力電圧は、低周波数用V−F変換器22a、高周波数用V−F変換器22bおよびコンパレータ40に入力する。
ところで、「領域Aでは低周波数用V−F変換器を使用した方が良く、領域Bでは高周波数用V−F変換器を使用した方が良い」理由は、広い周波数帯域において高精度が得られるためである。
V−F変換器の精度仕様は、データシートで「○○%F.S」と記載されているが、同じ精度仕様の高周波数用V−F変換器と低周波数用V−F変換器の誤差を比較すると、高周波数用V−F変換器の誤差の方が誤差の値が大きいため、誤差が大きくなってしまうからである。例えば、精度仕様0.5%F.Sの高周波数用V−F変換器(4MHz)と低周波数用V−F変換器(1MHz)を比較すると、1MHz以下のパルス出力する場合の誤差は以下のようになる。
高周波数用V−F変換器(4MHz):誤差±20kHz(=4MHz×0.5%/100)
低周波数用V−F変換器(1MHz):誤差±5kHz(=1MHz×0.5%/100)
つまり、V−F変換器の誤差仕様はF.Sで規定されているため、高周波数用V−F変換器と低周波数用V−F変換器で誤差仕様値が似たような値であっても計算(演算)結果は異なることに起因する。
【0022】
アナログ電圧出力回路1の出力電圧値(波形)の変化に応じて、低周波数用V−F変換器22aからは図3(b)に示した波形IIのようなパルスが出力し、高周波数用V−F変換器22bからは図3(c)に示した波形IIIのようなパルスが出力し、それぞれ上位計算機(演算手段)32に入力される。
なお、図3(b)において、楕円で囲った領域(即ち、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が閾値よりも小さい場合の低周波数用V−F変換器22aの出力パルスを示している領域)は、低周波数用V−F変換器22aの出力が高精度なエリアであり、楕円で囲っていない領域(即ち、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が閾値よりも大きい場合の低周波数用V−F変換器22aの出力パルスを示している領域)は、低周波数用V−F変換器22aの出力が低精度なエリアである。
【0023】
また、図3(c)において、楕円で囲った領域(即ち、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が閾値よりも大きい場合の高周波数用V−F変換器22bの出力パルスを示している領域)は、高周波数用V−F変換器22bの出力が高精度なエリアであり、楕円で囲っていない領域(即ち、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が閾値よりも小さい場合の高周波数用V−F変換器22bの出力パルスを示している領域)は、高周波数用V−F変換器22bの出力が低精度なエリアである。
【0024】
図2において、コンパレータ40は、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値(波形)と所定の基準値である閾値(リファレンス50)が入力され、入力された閾値とアナログ電圧出力回路1の出力電圧値を比較し、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値の振幅(変化)に応じてLowまたはHighのいずれかの信号を出力する。
コンパレータ40の出力は、図3(d)に示した波形IVのように、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が閾値より小さい場合にLow、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が閾値より大きい場合にHighとなる。
コンパレータ40が入力電圧のLow/Highを識別する閾値は、リファレンス50の設定により決まるが、リファレンス50をトリマ回路等で実現すると、ユーザは閾値を任意に調整可能である。
図2に示すように、コンパレータ40の出力(波形IV)も上位計算機(演算手段)32に入力される。
【0025】
このように、上位計算機(演算手段)32には、低周波数用V−F変換器22aの出力(波形II)、高周波数用V−F変換器22bの出力(波形III)およびコンパレータ40の出力(波形IV)の3種類の信号が入力される。
そして、図3(b)に示した波形II(低周波数用V−F変換器22aの出力)と図3(c)に示した波形III(高周波数用V−F変換器22bの出力)を比較すると、波形(アナログ電圧出力回路1の出力)の電圧が閾値より小さければ、波形II(低周波数用V−F変換器22のパルス出力)は高精度なパルス出力信号となり、これと対照的に波形III(高周波数用V−F変換器22bの出力)は低精度なパルス出力となる。
これに対して、波形(アナログ電圧出力回路1の出力)の電圧が閾値より大きければ、波形IIは低精度なパルス出力となり、波形IIIは高精度なパルス出力となる。
【0026】
更に、アナログ電圧出力回路1の出力電圧(波形)が閾値より小さければコンパレータ40の出力波形である波形IVはLowとなり、アナログ電圧出力回路1の出力電圧(波形)が閾値より大きければ波形IVはHighとなる。
このように、波形IVがLowの時(即ち、コンパレータ40の出力がLowの時)は、波形II(低周波数用V−F変換器22aの出力)が高精度、波形III(高周波数用V−F変換器22bの出力)は低精度となる。
逆に、波形IVがHighの時(即ち、コンパレータ40の出力がHighの時)は、波形II(低周波数用V−F変換器22aの出力)が低精度で波形III(高周波数用V−F変換器22bの出力)は高精度となる。
【0027】
上位計算機(運算手段)32において、コンパレータ40の出力がLowかHighかによって、「低周波数用V−F変換器22aの出力」あるいは「高周波数用V−F変換器22bの出力」のいずれかが選択されるので、コンパレータ40の出力は「V−F変換器選択情報」ということになる。
なお、図3(e)の波形Vは、上位計算機(演算手段)32によって認識されるパルス出力を示している。
【0028】
本実施の形態では、波形IVがHighの時(即ち、コンパレータ40の出力がHighの時)は、上位計算機(演算手段)32は、波形II(低周波数用V−F変換器22aの出力)のパルスをカウントし、波形III(高周波数用V−F変換器22bの出力)のパルスは無視してカウントしない。
逆に、波形IVがLowの時(コンパレータ40の出力がLowの時)は、上位計算機(演算手段)32は、波形III(高周波数用V−F変換器22bの出力)のパルスをカウントし、波形II(低周波数用V−F変換器22aの出力)のパルスは無視してカウントしない。
上位計算機(演算手段)32が上記のような動作をすることにより、低周波から高周波にいたる広い周波数帯域において高精度なパルスカウントが可能となる。
なお、上記では、コンパレータ40の出力であるV−F変換器選択情報がLowの時は低周波数用V−F変換器22aが選択され、V−F変換器選択情報がHighの時は高周波数用V−F変換器22bが選択される例になっているが、逆であっても良い。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態によるV−F変換装置は、入力する信号量に応じたアナログ電圧値を出力するアナログ電圧出力回路1と、アナログ電圧出力回路1が出力するアナログ電圧値を周波数に変換してアナログ電圧値に応じたパルスを出力する低周波数用V−F変換器22aと、アナログ電圧出力回路1が出力するアナログ電圧値を周波数に変換してアナログ電圧値に応じたパルスを出力する高周波数用V−F変換器22bと、アナログ電圧出力回路1が出力するアナログ電圧値と所定のリファレンス電圧値とを比較し、比較結果に基づいて低周波数用V−F変換器22aあるいは高周波数用V−F変換器22bのいずれを選択するのかのV−F変換器選択情報を出力するコンパレータ40と、コンパレータ40から出力するV−F変換器選択情報に基づいて、選択された低周波数用V−F変換器22aから出力するパルスの数および高周波数用V−F変換器22bから出力するパルスの数をカウントする演算手段32とを備えている。
従って、本実施の形態によれば、用いる汎用のV−F変換器の特性・精度のばらつきの影響が軽減され、広い周波数帯域においても高精度なパルスカウントができる。
【0030】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。
前述した実施の形態2では、低周波で高精度な低周波数用V−F変換器と高周波で高精度な高周波数用V−F変換器を並列に設け、更に、「アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値と所定のリファレンス電圧値とを比較し、比較結果に基づいて低周波数用V−F変換器あるいは高周波数用V−F変換器のいずれを選択するのかのV−F変換器選択情報を出力するコンパレータ」と「コンパレータから出力するV−F変換器選択情報に基づいて、選択された低周波数用V−F変換器および高周波数用V−F変換器から出力するパルスの数をカウントする演算手段」を備えたことによって、広い周波数帯域においても高精度なパルスカウントができることについて述べた。
【0031】
これに対して、実施の形態3では、「複数のV−F変換器(即ち、低周波数用V−F変換器と高周波数用V−F変換器)のいずれを選択すべきか」が予め既知である場合についてのV−F変換装置について説明する。
V−F変換装置の使用方法によっては、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が事前に決まる場合(例えば、実際にユーザーが使用する「アナログ電圧出力回路への入力範囲」よりも十分に少ない場合)がある。
その場合は、低周波数用V−F変換器23aと高周波数用V−F変換器23bのいずれを使用するかは、必然的な決まるため、実施の形態2で述べたようなコンバレータは不要である。
【0032】
しかし、コンパレータを使用しない代わりに、低周波数用V−F変換器23aあるいは高周波数用V−F変換器23bのいずれのV−F変換器から出力するパルスの数をカウントするのかのV−F変換器選択情報を上位計算機(演算手段)33に対して設定する必要がある。
そのため、本実施の形態では、V−F変換器選択情報設定装置(V−F変換器選択情報設定手段)60を設けている。
V−F変換器選択情報設定装置60は、DIPスイッチなどの簡単な構造の電気部品やF/W設定等によって実現可能である。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態によるV−F変換装置は、入力する信号量に応じたアナログ電圧値を出力するアナログ電圧出力回路1と、アナログ電圧出力回路1が出力するアナログ電圧値を周波数に変換してアナログ電圧値に応じたパルスを出力する低周波数用V−F変換器23aと、アナログ電圧出力回路1が出力するアナログ電圧値を周波数に変換してアナログ電圧値に応じたパルスを出力する高周波数用V−F変換器23bと、アナログ電圧出力回路1が出力するアナログ電圧値が既知である場合に、低周波数用V−F変換器23aの出力パルスあるいは高周波数用V−F変換器23bの出力パルスのいずれを選択するかの情報(V−F変換器選択情報)を予め設定するV−F変換器選択情報設定手段60と、低周波数用V−F変換器23aの出力パルス、高周波数用V−F変換器23bの出力パルスおよびV−F変換器選択情報設定手段60で設定されたV−F変換器選択情報が入力され、V−F変換器選択情報に基づいて選択された低周波数用V−F変換器23aの出力パルスあるいは高周波数用V−F変換器23bの出力パルスのいずれかのパルス数をカウンとする上位計算機(演算手段)33とを備えている。
本実施の形態によれば、低周波数用V−F変換器あるいは高周波数用V−F変換器のいずれのV−F変換器を選択すべきかが既知である場合には、上位計算機(演算手段)33は、DIPスイッチなどの簡単な構成のV−F変換器選択情報設定手段60によって所望のV−F変換器からの出力パルスを選択してパルスカウントすることができる。
【0034】
実施の形態4.
図5は、実施の形態4に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。
前述した実施の形態2では、低周波数のパルス出力時に高精度となる低周波数用V−F変換器と高周波数のパルス出力時に高精度となる高周波数用V−F変換器とを1個ずつ用いることによって、広い周波数領域で高精度出力となるV−F変換装置の実現を図るものであった。
しかし、一般的にV−F変換器は部品のバラつきが大きいため、特に多量のV−F変換器を製造した場合、製品であるV−F変換装置毎に安定したスペックを満足させることは困難である。
【0035】
そこで、図5に示すように、低周波数のパルス出力時に高精度となるn1個の低周波数用V−F変換器(低周波数用V−F変換器24a−1、低周波数用V−F変換器24a−2、・・・・低周波数用V−F変換器24a−n1)を用い、更に、高周波数のパルス出力時に高精度となるn2個の高周波数用V−F変換器(高周波数用V−F変換器24b−1、高周波数用V−F変換器24b−2、・・・・高周波数用V−F変換器24b−n2)を用いる。
本実施の形態によるV−F変換装置は、前述した実施の形態2(図2)における1個の低周波数用V−F変換器22aに代えて、並列に接続されたn1個の低周波数用V−F変換器(低周波数用V−F変換器24a−1、低周波数用V−F変換器24a−2、・・・低周波数用V−F変換器24a−n1)を設けている。
また、実施の形態2の1個の高周波数用V−F変換器22bに代えて、並列に接続されたn2個の高周波数用V−F変換器(高周波数用V−F変換器24b−1、高周波数用V−F変換器24b−2、・・・高周波数用V−F変換器24b−n2)を設けている。
【0036】
そして、これら並列に接続されたn1個の低周波数用V−F変換器およびn2個の低周波数用V−F変換器の出力パルスは、上位計算機(演算手段)34に入力される。
また、実施の形態2と同様に、コンパレータ40は、アナログ電圧出力回路1が出力するアナログ電圧値と所定のリファレンス電圧値とを比較し、比較結果に基づいて低周波数用V−F変換器あるいは高周波数用V−F変換器のいずれを選択するのかのV−F変換器選択情報を出力する。
また、上位計算機(演算手段)34は、入力したn1個の低周波数用V−F変換器からの出力パルスおよびn2個の高周波数用V−F変換器からの出力パルスをフィルタリングし、フィルタリングされた結果のパルス値をカウントする。
【0037】
説明が重複するが、本実施の形態においては、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値に応じて、n1個の低周波数用V−F変換器とn2個の高周波数用V−F変換器がそれぞれパルスを出力している。
また、コンパレータ40を設け、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値とリファレンス電圧値を比較し、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が大きい場合は、コンパレータ40はHighを出力し、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が小さい場合は、コンパレータ40はLowを出力する。
コンパレータ40の出力がLowの場合は、上位計算機(演算手段)34は、n1個の低周波数用V−F変換器の出力パルスをフィルタリング(平均化)し、フィルタリングされた結果をパルスカウントする。
【0038】
これに対して、コンパレータ40の出力がHighの場合は、上位計算機(演算手段)34は、n2個の高周波数用V−F変換器の出力パルスをフィルタリングし、フィルタリングされた結果をパルスカウントする。
フィルタリングの方法としては、前述したように、以下のようなものがある。
(1)全てのパルス数を平均化する。
(2)全てのパルス数の中から最小値と最大値を除去し、残りの値を平均化する。
(3)全てのパルス数の中からパルス数順に順番を付け、ちょうど真ん中あるいは真ん
中周辺のパルス数を平均化する。
【0039】
本実施の形態では、前述した実施の形態2におけるV−F変換装置において、低周波数用V−F変換器22aを複数のn1個の低周波数用V−F変換器(低周波数用V−F変換器24a−1、低周波数用V−F変換器24a−2、・・・低周波数用V−F変換器24a−n1)で構成し、高周波数用V−F変換器22bを複数のn2個の高周波数用V−F変換器(高周波数用V−F変換器24b−1、高周波数用V−F変換器24b−2、・・・高周波数用V−F変換器24b−n1)で構成されており、上位計算機(演算手段)34は、コンパレータ40の出力がLowの場合は、n1個の低周波数用V−F変換器の出力パルスをフィルタリングし、フィルタリングされた結果をパルスカウントし、コンパレータ40の出力がHighの場合は、n2個の高周波数用V−F変換器の出力パルスをフィルタリングし、フィルタリングされた結果をパルスカウントする。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態によるV−F変換装置は、低周波数用V−F変換器は複数の低周波数用V−F変換器(低周波数用V−F変換器24a−1、24a−2、・・・24a−n1)で構成され、高周波数用V−F変換器は複数の高周波数用V−F変換器(高周波数用V−F変換器24b−1、24b−2、・・・24b−n1)で構成されており、
演算手段(上位計算機)34は、コンパレータ40から出力するV−F変換器選択情報に基づいて選択された複数の低周波数用V−F変換器の出力パルスおよび複数の高周波数用V−F変換器の出力パルスをフィルタリングし、フィルタリングされた結果をパルスカウントすることを特徴とする。
本実施の形態によれば、演算手段(上位計算機)34は、V−F変換器の出力パルスをフィルタリングしているので、広い周波数帯域においても、用いる汎用のV−F変換器の特性や精度のばらつきによる影響をなくし、更に高精度なパルスカウントを行うことが可能となる。
【0041】
実施の形態5
図6は、実施の形態5に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。
本実施の形態は、前述した実施の形態3に係るV−F変換装置(図4)において、低周波数用V−F変換器23aは、並列に接続された複数のn1個の低周波数用V−F変換器(低周波数用V−F変換器25a−1、低周波数用V−F変換器25a−2、・・・低周波数用V−F変換器25a−n1)で構成され、高周波数用V−F変換器23bは、並列に接続された複数のn2個の高周波数用V−F変換器(高周波数用V−F変換器25b−1、高周波数用V−F変換器25b−2、・・・高周波数用V−F変換器25b−n2)で構成されており、更に、「低周波数用V−F変換器あるいは高周波数用V−F変換器のいずれを選択すべきか」が予め既知である場合の例である。
【0042】
実施の形態3の場合と同様に、「低周波数用V−F変換器あるいは高周波数用V−F変換器のいずれを選択すべきか」が予め既知である場合は、V−F変換器選択情報を上位計算機(演算手段)に出力する必要はなく、コンパレータは不要であるが、その代替としてV−F変換器選択情報設定装置が必要である。
そのため、本実施の形態でも、V−F変換器選択情報設定装置(V−F変換器選択情報設定手段)60を設けている。
前述した実施の形態3の場合と同様に、V−F変換器選択情報設定装置60は、「低周波数用V−F変換器あるいは高周波数用V−F変換器のいずれを選択すべきか」を設定するものであり、簡単な構造のDIPスイッチなどの電気部品やF/W設定等によって実現可能である。
【0043】
本実施の形態によるV−F変換装置は、図6に示すように、低周波数用V−F変換器は複数(n1個)の低周波数用V−F変換器(低周波数用V−F変換器25a−1、25a−2、・・・25a−n1)で構成され、高周波数用V−F変換器は複数(n2個)の高周波数用V−F変換器(高周波数用V−F変換器245−1、25b−2、・・・25b−n1)で構成され、演算手段(上位計算機)35は、V−F変換器選択情報設定手段60で設定されて入力する複数(n1個)の低周波数用V−F変換器の出力パルスあるいは複数(n2個)の高周波数用V−F変換器の出力パルスをフィルタリングし、フィルタリングされた結果をパルスカウントする。
本実施の形態は、実施の形態3における低周波数用V−F変換器23aを複数の低周波数用V−F変換器で構成し、実施の形態3における広周波数用V−F変換器23bを複数の高周波数用V−F変換器で構成しており、V−F変換器選択情報設定手段60の設定に基づいて、コンパレータを使用することなく、複数のV−F変換器の出力パルスをフィルタリングしてからカウントする。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態によるV−F変換装置は、前述した実施の形態3における低周波数用V−F変換器を、複数の低周波数用V−F変換器(低周波数用V−F変換器25a−1、低周波数用V−F変換器25a−2、・・・低周波数用V−F変換器25a−n1)で構成し、実施の形態3における高周波数用V−F変換器を、複数の高周波数用V−F変換器(高周波数用V−F変換器25b−1、高周波数用V−F変換器25b−2、・・・高周波数用V−F変換器25b−n2)で構成していることを特徴とする。 従って、本実施の形態によれば、「低周波数用V−F変換器あるいは高周波数用V−F変換器のいずれを選択すべきか」が既知である場合は、コンパレータを使用することなく、複数の低周波数用V−F変換器および複数の高周波数用V−F変換器の出力パルスをそれぞれフィルタリングしてからカウントするので、実施の形態3の場合よりも更に高精度なパルスカウントを行える。
【0045】
実施の形態6
図7は、実施の形態6に係るV−F変換装置の構成を概念的に示す図である。また、図8は、実施の形態6に係るV−F変換装置の動作を説明するための図である。
前述した実施の形態2や実施の形態4では、低周波数用V−F変換器と高周波数用V−F変換器とをV−F変換器選択情報を用いて上位計算機がパルスカウントする信号を選択可能としている。
しかし、この方法を用いた場合には、V−F変換器の切り替えが発生する際に入力するパルスをリアルタイムでカンントすると、変換精度不良が発生しやすい。
そこで、本実施の形態では、上位計算機は、入力されるパルス信号に対してリアルタイムでパルスをカウントするのではなく、上位計算機に設けたバッファにて、一定時間の間、低周波数用と高周波数用V−F変換器から出力する出力パルスのLow/High状態を保存する。
【0046】
図7は、前述した実施の形態2によるV−F変換装置において、上位計算機(演算手段)36に低周波数用V−F変換器26aから入力される出力パルス信号(波形)を一定時間保存(蓄積)する波形用バッファ70aと高周波数用V−F変換器26bから入力される出力パルス信号(波形II)を一定時間保存(蓄積)する波形II用バッファ70bを設けた場合の図を示している。
なお、図7は、本実施の形態によるV−F変換装置の動作説明を簡単にするために、低周波数用V−F変換器および高周波数用V−F変換器をそれぞれ1個ずつ用いた場合を示している。
【0047】
次に、図8に基づいて本実施の形態によるV−F変換装置の特徴的な動作について説明する。
アナログ電圧出力回路、低周波数用V−F変換器、高周波数用V−F変換器およびコンパレータの動作は、実施の形態2の場合と同様であるので、これらについては説明を省略する。
前述した実施の形態2の場合と同様に、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値の変化(波形図は省略)に応じて、低周波数用V−F変換器26aから図8(a)に示した波形のようなパルスが出力し、高周波数用V−F変換器26bから図8(b)に示した波形IIのようなパルスが出力し、それぞれ上位計算機(演算手段)36に入力される。
【0048】
コンパレータ40は、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値と所定の基準値である閾値(リファレンス)が入力され、入力された閾値とアナログ電圧出力回路1の出力電圧値を比較し、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値の変化に応じてLowあるいはHighのいずれかの信号を出力する。
コンパレータ40の出力は、図8(c)に示した波形IIIように、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が閾値より小さい場合にLow、アナログ電圧出力回路1の出力電圧値が閾値より大きい場合にHighとなる。
図7に示すように、コンパレータ40の出力(波形III)も上位計算機(演算手段)36に入力される。
以上の動作説明は、実施の形態2の場合と同様である。
【0049】
本実施の形態では、低周波数用V−F変換器26aから上位計算機(演算手段)36に入力されたパルス(図7または図8の波形)を一定時間毎に蓄積する波形用バッフア70aと、高周波数用V−F変換器26bから上位計算機(演算手段)36に入力されたパルス(図7または図8の波形II)を一定時間毎に蓄積する波形II用バッフア70bとを備えている。
まず、この一定時間の間に、図8(c)に示したコンパレータ40の出力(波形III)に「立ち上がり」や「立ち下がり」が発生しない場合の動作について説明する。
この場合はパルスカウントの精度が悪化する恐れはないので、コンパレータ40の出力(波形III)がLowの時は低周波数用V−F変換器26aから上位計算機(演算手段)36に入力されたパルス(図7または図8の波形)をカウントし、コンパレータ40の出力(波形III)がHighの時は高周波数用V−F変換器26bから上位計算機(演算手段)36に入力されたパルス(図7または図8の波形)をカウントする。
【0050】
次に、前記した一定時間の間に図8(c)に示したコンパレータ40の出力(波形III)に「立ち上がり」や「立ち下がり」が発生した場合の動作について説明する。
この場合はパルスカウントの精度が悪化する恐れがあるので、以下のような動作(処理)を行う。
図8に示した“S”の領域は、例えば、コンパレータ40の出力(波形III)が「立ち上がり」時の「精度不良になりやすい領域」を示している。
コンパレータ40の出力(波形III)にて「立ち上がり」を検出すると、上位計算機(演算手段)36は、高周波数用V−F変換器26bから上位計算機(演算手段)36に入力されたパルス(図7または図8の波形II)の数をカウントするとともに、波形II用バッファ70bに一定時間の間蓄積されているパルスの数もカウントする。
【0051】
そして、上位計算機(演算手段)36は、「高周波数用V−F変換器26bから上位計算機(演算手段)36に入力されたパルスの数」と「波形II用バッファ70bに一定時間の間蓄積されているパルスの数」の平均値を、本実施の形態によるV−F変換装置から出力する出力パルスの数としてカウントする。
これにより、コンパレータ40の出力(波形III)が「立ち上がり」時の「精度不良になりやすい領域」が発生した場合でも、上位計算機(演算手段)36は、安定して精度よくパルスカウントを行うことが可能となり、高精度なV−F変換装置を実現できる。
前記した一定時間の間にコンパレータ40の出力に「立ち下がり」が発生した場合も、同様の動作(処理)を行うことによって、上位計算機(演算手段)36は、安定して精度よくパルスカウントを行うことが可能となる。
【0052】
コンパレータ40の出力に立ち下がりが発生した場合は、上位計算機(演算手段)36は、「低周波数用V−F変換器26aから上位計算機(演算手段)36に入力されたパルスの数」と「波形用バッファ70aに一定時間の間蓄積されているパルスの数」の平均値を、V−F変換装置から出力する出力パルスの数としてカウントする。
なお、図8(d)の波形IVは、実施の形態2によるV−F変換装置の上位計算機が認識するパルス出力を示しており、図8(e)の波形Vは、本実施の形態によるV−F変換装置の上位計算機36が認識するパルス出力を示している。
【0053】
本実施の形態によるV−F変換装置は、前述した実施の形態2によるV−F変換装置において、更に、低周波数用V−F変換器26aから上位計算機(演算手段)36に入力さ
れたパルス)を一定時間毎に蓄積する第1のバッファ(即ち、波形用バッフア)70aと、高周波数用V−F変換器26bから上位計算機(演算手段)36に入力されたパルスを一定時間毎に蓄積する第2のバッファ(即ち、波形II用バッフア)70bを備えたものである。
そして、上位計算機(演算手段)36は、「低高周波数用V−F変換器26aから上位計算機36に入力されたパルスの数と第1のバッファ(即ち、波形用バッファ)70aに一定時間の間蓄積されているパルスの数の平均値」あるいは「高周波数用V−F変換器26bから上位計算機36に入力されたパルスの数と第2のバッファ(即ち、波形II用バッファ)70bに一定時間の間蓄積されているパルスの数の平均値を、V−F変換装置から出力する出力パルスの数としてカウントする。
【0054】
これにより、コンパレータ40の出力(波形III)に、立ち上がり時あるいは立ち下がり時の「精度不良になりやすい領域」が発生した場合でも、上位計算機(演算手段)36は、安定して精度よくパルスカウントを行うことができる。
なお、前述した実施の形態4によるV−F変換装置において、更に低周波数用V−F変換器から上位計算機に入力されたパルスを一定時間毎に蓄積する第1のバッファと、高周波数用V−F変換器から上位計算機に入力されたパルスを一定時間毎に蓄積する第2のバッファを備えても、上位計算機は、安定して精度よくパルスカウントを行うことが可能である。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態によるV−F変換装置は、実施の形態2あるいは実施の形態4によるV−F変換装置において、更に低周波数用V−F変換器26aから演算手段36に入力されたパルスを一定時間毎に蓄積する第1のバッファ70aと、高周波数用V−F変換器26bから演算手段36に入力されたパルスを一定時間毎に蓄積する第2のバッファ70bとを備え、演算手段36は、コンパレータ40の出力電圧の立ち上がりあるいは立ち下がりを検出すると、「低高周波数用V−F変換器26aから上位計算機36に入力されたパルスの数と第1のバッファ70aに一定時間の間蓄積されているパルスの数の平均値」あるいは「高周波数用V−F変換器26bから上位計算機36に入力されたパルスの数と第2のバッファ70bに一定時間の間蓄積されているパルスの数の平均値」を出力する。
これにより、コンパレータ40の出力が「立ち上がり」あるいは「立ち下がり」時の「精度不良になりやすい領域」が発生した場合でも、上位計算機(演算手段)36は、安定して精度よくパルスカウントを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、広い周波数帯域において精度の高いV−F変換性能が要求される装置(例えば粒子線治療装置など)に好適なV−F変換装置の実現に有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 アナログ電圧出力回路
2、21a 、21b、21n V−F変換器
22a、23a 低周波数用V−F変換器
22b、23b 高周波数用V−F変換器
24a−1、24a−2、24a−n1 低周波数用V−F変換器
24b−1、24b−2、24b−n2 高周波数用V−F変換器
25a−1、25a−2、25a−n1 低周波数用V−F変換器
25b−1、25b−2、25b−n2 高周波数用V−F変換器
26a 低周波数用V−F変換器
26b 高周波数用V−F変換器
3、31、32、33、34、35、36 上位計算機(演算手段)
40 コンパレータ
50 リファレンス
60 V−F変換器選択情報設定手段
70a 第1のバッファ
70b 第2のバッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力する信号量に応じたアナログ電圧値を出力するアナログ電圧出力回路と、
前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値を周波数に変換して前記アナログ電圧値に応じたパルスを出力する複数のV−F変換器と、
前記複数のV−F変換器から入力する複数のパルスをフィルタリングし、このフィルタリングされた結果をパルスカウントする演算手段とを備えたことを特徴とするV−F変換装置。
【請求項2】
入力する信号量に応じたアナログ電圧値を出力するアナログ電圧出力回路と、
前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値を周波数に変換して前記アナログ電圧値に応じたパルスを出力する低周波数用V−F変換器と、
前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値を周波数に変換して前記アナログ電圧値に応じたパルスを出力する高周波数用V−F変換器と、
前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値と所定のリファレンス電圧値とを比較し、比較結果に基づいて前記低周波数用V−F変換器あるいは高周波数用V−F変換器のいずれを選択するのかのV−F変換器選択情報を出力するコンパレータと、
前記コンパレータから出力するV−F変換器選択情報に基づいて、選択された前記低周波数用V−F変換器から出力するパルスの数および前記高周波数用V−F変換器から出力するパルスの数をカウントする演算手段とを備えたことを特徴とするV−F変換装置。
【請求項3】
入力する信号量に応じたアナログ電圧値を出力するアナログ電圧出力回路と、
前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値を周波数に変換してアナログ電圧値に応じたパルスを出力する低周波数用V−F変換器と、
前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値を周波数に変換してアナログ電圧値に応じたパルスを出力する高周波数用V−F変換器と、
前記アナログ電圧出力回路が出力するアナログ電圧値が既知である場合に、前記低周波数用V−F変換器の出力パルスあるいは前記高周波数用V−F変換器の出力パルスのいずれを選択するかの情報を予め設定するV−F変換器選択情報設定手段と、
前記低周波数用V−F変換器の出力パルス、前記高周波数用V−F変換器の出力パルスおよび前記V−F変換器選択情報設定手段で設定されたV−F変換器選択情報が入力され、前記V−F変換器選択情報に基づいて選択された前記低周波数用V−F変換器の出力パルスあるいは前記高周波数用V−F変換器の出力パルスのいずれかのパルス数をカウンとする演算手段とを備えたことを特徴とするV−F変換装置。
【請求項4】
前記低周波数用V−F変換器は複数の低周波数用V−F変換器で構成され、前記高周波数用V−F変換器は複数の高周波数用V−F変換器で構成されており、
前記演算手段は、前記コンパレータから出力するV−F変換器選択情報に基づいて選択された前記複数の低周波数用V−F変換器の出力パルスおよび前記複数の高周波数用V−F変換器の出力パルスをフィルタリングし、フィルタリングされた結果をパルスカウントすることを特徴とする請求項2に記載のV−F変換装置。
【請求項5】
前記低周波数用V−F変換器は複数の低周波数用V−F変換器で構成され、前記高周波数用V−F変換器は複数の高周波数用V−F変換器で構成されていることを特徴とする請求項3に記載のV−F変換装置。
【請求項6】
低周波数用V−F変換器から前記演算手段に入力されたパルスを一定時間毎に蓄積する第1のバッファと、前記高周波数用V−F変換器から前記演算手段に入力されたパルスを一定時間毎に蓄積する第2のバッファとを備え、
前記演算手段は、前記コンパレータの出力電圧の立ち上がりあるいは立ち下がりを検出すると、前記低高周波数用V−F変換器から前記演算手段に入力されたパルスの数と前記第1のバッファ70aに一定時間の間蓄積されているパルスの数の平均値あるいは前記高周波数用V−F変換器から前記演算手段に入力されたパルスの数と前記第2のバッファに一定時間の間蓄積されているパルスの数の平均値を出力することを特徴とする請求項2または4に記載のV−F変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−222551(P2012−222551A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85353(P2011−85353)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】