説明

VEGF多型および抗脈管形成治療

患者が、抗VEGF処置と関連した高血圧症の特定のリスクがあるか、または特異的ゲノム多型について上記患者から単離されたサンプルをスクリーニングすることによって、抗VEGF治療から利益を受ける大きな可能性を有するか否かを決定するための方法。本発明の特定の実施形態において、上記ゲノム多型は、VEGF(−1498C/T)およびVEGF(−634G/C)からなる群より選択される。また、本発明の別の実施形態において、上記方法を実施するためのキットも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
この出願は、2007年11月30日に出願された米国仮出願第60/991,616号および2008年3月21日に出願された米国仮出願第61/038,699号(これらの開示は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、抗脈管形成治療と関連するヒト疾患および障害の処置に関する。より具体的には、本発明は、単独で、または他の抗癌治療と組み合わせてかのいずれかでの、癌の抗脈管形成治療に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
癌は、未だにヒトの死亡に対する最も致命的な脅威のうちの1つであり、米国では、毎年100万人を超える新たな患者が罹患している。固形腫瘍は、これら死亡の大部分の原因である。特定の癌の医療的処置において顕著な進行があったが、現在の処置方法は、比較的非選択性であり:外科手術は、病的な組織を除去し;放射線療法は、固形腫瘍を縮小させ;そして化学療法は、迅速に分裂している細胞を死滅させる。これら処置は、いくつかの場合においては、与えられ得る投与量を制限するほどに非常に重篤であるように多くの副作用を生じ得るので、潜在的に有効な薬物の使用を妨げ得る。
【0004】
脈管形成は、血管内皮細胞が増殖し、既存の血管ネットワークから新たな血管を形成するように余分なものを取り除いて(prune)、再編成する、重要な細胞事象である。脈管形成は、大部分の原発性腫瘍の増殖およびそれらのその後の転移に必須である。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は、VEGF−Aもしくは血管透過性因子(VPF)ともいわれ、正常なおよび異常な脈管形成の両方の中枢の調節因子として報告されてきた。非特許文献1;非特許文献2。
【0005】
上記抗VEGF抗体「ベバシズマブ」は、「BV」、「rhuMAb VEGF」、もしくは「アバスチン(登録商標)としでも公知であり、非特許文献3に従って生成された組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体であり、これは、転移性結腸直腸癌、非小細胞肺癌、および転移性乳癌の処置のために、米国において現在承認されている。他の癌処置と同様に、アバスチン(登録商標)治療は、特定の副作用(高血圧症の増大したリスクが挙げられる)と関連する。
【0006】
遺伝的多型は、特定の遺伝子における異なる対立遺伝子が、異なる表現型を生じる場合に、集団中に存在する。このような多型は、治療的薬物の効力および安定性を決定することにおいて役割を果たし得る。例えば、VEGFにおける特異的多型は、乳癌の発生率と関連することが示されてきた。非特許文献4。
【0007】
特定の治療の効力もしくは安全性を予測するさらなる多形の同定が、これらから最も利益を受ける患者に対する治療をよりよく調整する(tailor)ために使用され得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】FerraraおよびDavis−Smyth、Endocrine Rev.(1997)18:4−25
【非特許文献2】Ferrara、J.Mol.Med.(1999)77:527−543
【非特許文献3】Prestaら、Cancer Res.(1997)57:4593−4599
【非特許文献4】Schneiderら、Breast Cancer Research and Treatment(2008)111:157−63
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、VEGFアンタゴニストでの処置から利益を受ける増大した可能性および/もしくは抗VEGF治療(アバスチン(登録商標)を用いるものを含む)を受けている最中の患者における高血圧症の増大した危険性を推定する、VEGFにおける多型の同定に一部依存する。
【0010】
一局面において、本発明は、患者が、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症の増大したリスクがあるか否かを推定するための方法を提供し、上記方法は、VEGF(−1498C/T)およびVEGF(−634G/C)から選択されるゲノム多型について、上記患者から単離されたサンプルをスクリーニングする工程を包含し、ここで上記患者は、上記対応する遺伝子型がVEGF(−1498C)もしくはVEGF(−634G)を含む場合、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症の増大したリスクがある。いくつかの実施形態において、上記VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)である。いくつかの実施形態において、上記処置は、抗腫瘍組成物を投与する工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記患者は、癌(例えば、乳癌)について処置されている最中である。
【0011】
別の局面において、本発明は、患者が、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症の増大したリスクがあるか否かを推定するためのキットを提供し、上記キットは、VEGF(−1498C/T)およびVEGF(−634G/C)からなる群より選択されるVEGFにおける多型に対して特異的な第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、上記キットにおけるオリゴヌクレオチドは、これら多型のうちの1つを含む、VEGFの領域の増幅に有用である。
【0012】
別の局面において、本発明は、患者が、VEGFアンタゴニストでの処置から利益を受ける増大した可能性を有するか否かを推定するための方法を提供し、上記方法は、VEGF(−2578C/A)もしくはVEGF(−1154G/A)におけるゲノム多型について、上記患者から単離されたサンプルをスクリーニングする工程を包含し、ここで上記患者は、上記対応する遺伝子型が、VEGF(−2578AA)もしくはVEGF(1154AA)を含む場合、VEGFアンタゴニストでの処置から利益を受ける増大した可能性を有する。いくつかの実施形態において、上記VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ)である。いくつかの実施形態において、上記処置は、抗腫瘍組成物を投与する工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記患者は、癌(例えば、乳癌)について処置を受けている最中である。
【0013】
別の局面において、本発明は、患者が、VEGFアンタゴニストでの処置から利益を受ける増大した可能性を有するか否かを推定するためのキットを提供し、上記キットは、VEGF(−2578C/A)およびVEGF(−1154G/A)からなる群より選択されるVEGFにおける多型に対して特異的な第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、上記キットにおけるオリゴヌクレオチドは、これら多型のうちの1つを含むVEGFの領域の増幅に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の実施は、別段示されなければ、分子生物学(組み換え技術が挙げられる)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技術を使用し、これら技術は、当該分野の技術範囲内である。このような技術は、文献(例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」,第二版(Sambrookら,1989);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait,編,1984);「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney,編,1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.);「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubelら,編,1987,おいよび周期的最新版);「PCR: The Polymerase Chain Reaction」,(Mullisら,編,1994))において十分に説明されている。
【0015】
他の方法で定義されなければ、本明細書で使用される技術的および科学的用語は、本発明が属している分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。Singletonら,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 第2版,J.Wiley & Sons(New York,N.Y.1994)、およびMarch, Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 第4版,John Wiley & Sons(New York,N.Y.1992)は、本願において使用される用語の多くに対する一般的ガイドを、当業者に提供する。
【0016】
本明細書で引用される全ての文献(特許出願および公報を含む)は、それらの全体が本明細書で参考として援用される。
【0017】
(定義)
本明細書で使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」および「上記、この、その(the)」とは、状況が明らかに別のものを示さない限り、複数形を含む。例えば、「1つの(ある)」細胞はまた、「細胞(複数)」を含む。
【0018】
用語「含む、包含する(comprising)」とは、上記組成物および方法が、記載された要素を含むが、他のものを排除しないことを意味することが意図される。
【0019】
用語「VEGF」および「VEGF−A」とは、Leungら Science,246:1306(1989)、およびHouckら Mol.Endocrin.,5:1806(1991)によって記載されるように、天然に存在する対立遺伝子形態およびそのプロセシングされた形態と一緒に、上記165アミノ酸の血管内皮細胞増殖因子、ならびに関連する121アミノ酸、189アミノ酸、および206アミノ酸の血管内皮細胞増殖因子をいうために、交換可能に使用される。用語「VEGF」はまた、上記165アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子のアミノ酸8〜109または1〜109を含むポリペプチドの短縮された形態をいうために使用される。任意のこのようなVEGFの形態への言及は、例えば、「VEGF(8−109)」、「VEGF(1−109)」もしくは「VEGF165」によって、本願において同定され得る。「短縮された」ネイティブVEGFのアミノ酸位置は、上記ネイティブVEGF配列において示されるものと同様に番号付けされる。短縮されたネイティブVEGFにおける例えば、アミノ酸17位(メチオニン)はまた、ネイティブVEGFにおける17位(メチオニン)でもある。上記短縮されたネイティブVEGFは、ネイティブVEGFと匹敵する、KDRおよびFlt−1に対する結合親和性を有する。
【0020】
「抗VEGF抗体」は、十分な親和性および特異性でVEGFに結合する抗体である。好ましくは、本発明の抗VEGF抗体は、上記VEGF活性が関与する疾患もしくは状態を標的化しかつ妨害することにおいて、治療薬剤として使用され得る。抗VEGF抗体は、他のVEGFホモログ(例えば、VEGF−BもしくはVEGF−C)、または他の増殖因子(例えば、PlGF、PDGFもしくはbFGF)に通常は結合しない。好ましい抗VEGF抗体は、ハイブリドーマATCC HB 10709によって生成される上記モノクローナル抗VEGF抗体 A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体である。より好ましくは、上記抗VEGF抗体は、Prestaら(1997)Cancer Res.57:4593−4599に従って生成された組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体(ベバシズマブ(BV;アバスチン(登録商標))として公知の抗体が挙げられるが、これらに限定されない)である。
【0021】
「VEGFアンタゴニスト」とは、VEGF活性(1種以上のVEGFレセプターに対するその結合が挙げられる)を中和するか、ブロックするか、阻害するか、排除するか、または妨害することができる分子をいう。VEGFアンタゴニストとしては、抗VEGF抗体およびその抗原結合フラグメント、VEGFに特異的に結合し、それによって、1種以上のレセプターに対するその結合を封鎖する(sequester)レセプター分子、抗VEGFレセプター抗体、およびVEGFレセプターアンタゴニスト(例えば、上記VEGFRチロシンキナーゼの低分子量インヒビター)が挙げられる。
【0022】
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体(全長もしくはインタクトなモノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多価抗体、多特異的抗体(例えば、二特異的抗体)、および抗体フラグメント(それらが所望の生物学的活性を示す限りにおいて)が挙げられる。
【0023】
用語「モノクローナル抗体」とは、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体(すなわち、上記集団を構成する個々の抗体は、微量な量で存在し得る考えられる天然に存在する変異を除いて同一である)をいう。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原に対して指向される。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して指向される、代表的には異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、上記抗原上の単一の決定基に対して指向される。修飾子「モノクローナル」とは、任意の特定の方法によって上記抗体の生成を必要とされるとは解釈されるべきでない。例えば、本発明に遵って使用されるべきモノクローナル抗体は、Kohlerら,Nature 256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製され得る。上記「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら,Nature 352:624−628(1991)もしくはMarksら,J.Mol.Biol.222:581−597(1991)において記載される技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0024】
「障害」とは、上記抗体での処置から利益を受ける任意の状態である。これは、慢性および急性の、障害もしくは疾患(上記哺乳動物を、上記問題の障害に罹りやすくする病的状態を含む)を含む。本明細書で処置されるべき障害の非限定的な例としては、良性腫瘍および悪性腫瘍;白血病およびリンパ系腫瘍(lymphoid malignancies);ニューロンの、グリアの、星状細胞の、視床下部のおよび他の腺の、マクロファージの、上皮の、間質の、ならびに分割腔の(blastocoelic)障害;ならびに炎症性の、血管新生性のおよび免疫学的な障害が挙げられる。
【0025】
用語「治療上有効な量」とは、哺乳動物における疾患もしくは障害を処置するに有効な、薬物の量をいう。癌の場合において、上記薬物の治療上有効な量は、癌細胞の数を低下させ得るか;腫瘍サイズを縮小させ得るか;周辺期間への癌細胞浸潤を阻害し得る(すなわち、ある程度まで遅らせる、および好ましくは、停止させ得る)か;腫瘍転移を阻害し得る(すなわち、ある程度まで遅らせる、および好ましくは、停止させ得る)か;腫瘍増殖をある程度まで阻害し得るか;そして/または上記障害と関連する症状のうちの1つ以上をある程度まで軽減し得る。上記薬物は、存在する癌細胞の増殖を予防し得るか、そして/または上記癌細胞を死滅させ得る程度にまで、細胞増殖抑制性および/もしくは細胞傷害性出あり得る。がん治療については、インビボでの効力は、例えば、全生存率(overall survival)(OS)、無進行生存率(progression free survival)(PFS)、疾患進行までの時間(TTP)、奏効率(response rate)(RR)、奏効期間(duration of response)、および/もしくはクオリティーオブライフを評価することによって、測定され得る。
【0026】
「処置」とは、治療的処置および予防的(prophylactic or preventative)手段の両方をいう。処置が必要なヒトとしては、上記障害を既に有するヒト、および上記障害が予防されるべきであるヒトが挙げられる。
【0027】
用語「癌」および「癌性」とは、調節されない細胞増殖によって代表的には特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態をいうかまたはこれを記載する。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。このような癌のより具体的な例としては、扁平上皮癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌が挙げられる)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric or stomach cancer)(胃腸癌を含む)、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、結腸がん、結腸直腸癌、子宮内膜癌もしくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney or renal cancer)、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌および種々のタイプの頭頚部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中度/濾胞性NHL;中度びまん性NHL;高度免疫芽球性NHL;高度リンパ芽球性NHL;高度小非分割細胞型(small non−cleaved cell)NHL;巨大腫瘤(bulky disease)NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリーセル白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ性増殖性障害(PTLD)を含む)、ならびに母斑症、浮腫(例えば、脳腫瘍と関連するもの)、およびメーグス症候群と関連する異常な血管増殖が挙げられる。
【0028】
用語「抗腫瘍組成物」とは、腫瘍増殖もしくは機能を阻害もしくは予防するか、そして/または腫瘍細胞の破壊を引き起こすことができる少なくとも1種の活性な治療薬剤を含む、癌を処置するにおいて有用な組成物をいう。癌を処置するための抗腫瘍組成物において適切な治療薬剤としては、化学療法剤、放射性同位元素、毒素、サイトカイン(例えば、インターフェロン)、およびサイトカインを標的とする拮抗剤(antagonistic agent)、サイトカインレセプターもしくは腫瘍細胞と関連する抗原が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、上記治療薬剤は、化学療法剤である。
【0029】
「化学療法剤」とは、癌の処置において有用な化合物である。
【0030】
「単離された」核酸分子は、少なくとも1種の夾雑核酸分子(この夾雑核酸分子と一緒に、上記単離された核酸分子は、上記ポリペプチドの核酸の天然の供給源において通常関連づけられている)から同定されかつ分離された核酸分子である。単離された核酸分子は、天然において見いだされる形態もしくは状況におけるもの以外である。従って、単離された核酸分子は、これが天然の細胞において存在する場合の核酸分子とは区別される。しかし、単離された核酸分子は、上記ポリペプチドを通常発現する細胞に含まれる核酸分子を含む。ここで例えば、上記核酸分子は、天然の細胞のものとは異なる染色体位置に存在する。
【0031】
用語「多型」とは、集団内で変化する遺伝子の配列における位置に言及する。多型は、異なる「対立遺伝子」から構成される。このような多型の位置は、上記遺伝子におけるその位置およびそこで見いだされる異なる塩基によって同定される。例えば、VEGF−1498C/Tは、上記VEGF遺伝子における−1498位においてCとTとの間でバリエーションが存在することを示す。2つの考えられる改変体(CおよびT)は、2つの異なる対立遺伝子である。上記遺伝子型は、2つの別個の対立遺伝子から構成されるので、いくつかの考えられる改変体のうちのいずれかは、任意の1個体において観察され得る(例えば、この例については、CC、CT、もしくはTT)。
【0032】
用語「遺伝子型」とは、細胞サンプルもしくは組織サンプル中の特定の遺伝子の特異的対立遺伝子に言及する。上記の例において、CC、CT、もしくはTTは、上記VEGF−1498C/T多型において考えられる遺伝子型である。
【0033】
用語「サンプル」とは、患者から採取された細胞サンプルもしくは組織サンプルを含む。例えば、サンプルは、腫瘍サンプル、上記腫瘍タイプに対応する正常組織のサンプル、上記腫瘍を取り囲む領域から採取された組織サンプル、もしくは血球を含み得る。
【0034】
サンプル中の上記特定の遺伝子型の同定は、当業者に周知の多くの方法のうちのいずれかによって行われ得る。例えば、上記多型の同定は、上記対立遺伝子のクローニングおよびこれを、当該分野で周知の技術を使用して配列決定することによって達成され得る。あるいは、上記遺伝子配列は、ゲノムDNAから、例えば、PCRを使用して増幅され得、上記生成物が配列決定され得る。所定の遺伝子座における変異について、患者のDNAを分析するためのいくつかの非限定的方法が、以下に記載される。
【0035】
DNAマイクロアレイ技術(例えば、DNAチップデバイスおよびハイスループットスクリーニング適用のための高密度マイクロアレイおよび低密度マイクロアレイ)が、使用され得る。マイクロアレイ製作のための方法は、当該分野で公知であり、種々のインクジェットおよびマイクロジェット沈着もしくはスポット形成技術およびプロセス、インサイチュもしくはチップ上のフォトリソグラフィーオリゴヌクレオチド合成プロセス、ならびに電気的DNAプローブアドレス決めプロセスを含む。上記DNAマイクロアレイハイブリダイゼーション適用は、点変異についての遺伝子発現分析および遺伝子型決定、一塩基多型(SNP)、および短いタンデム反復(STRs)の領域において首尾良くて起用されてきた。さらなる方法としては、干渉RNAマイクロアレイ、およびマイクロアレイと他の方法(例えば、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション法(LCM)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)およびクロマチン免疫沈降法(ChiP))との組み合わせが挙げられる。例えば、Heら(2007)Adv.Exp.Med.Biol.593:117−133およびHeller(2002)Annu.Rev.Biomed.Eng.4:129−153を参照のこと。他の方法としては、PCR、xMAP、侵襲アッセイ(invader assay)、質量分析法、およびpyrosequencing(Wangら(2007)593:105−106)が挙げられる。
【0036】
別の検出法は、上記多型部位に重なりかつ上記多型領域の周りで約5ヌクレオチド、もしくは代わりに10ヌクレオチド、もしくは代わりに20ヌクレオチド、もしくは代わりに25ヌクレオチド、もしくは代わりに30ヌクレオチドを有するプローブを使用する、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションである。例えば、上記対立遺伝子改変体に対して特定機にハイブリダイズし得るいくつかのプローブは、固体支持体(例えば、「チップ」)に結合される。オリゴヌクレオチドは、種々のプロセス(リソグラフィーが挙げられる)によって、固体支持体に結合させられ得る。「DNAプローブアレイ」といわれるオリゴヌクレオチドを含むこれらチップを使用する変異検出分析はまた、例えば、Croninら(1996)Human Mutation 7:244において記載される。
【0037】
他の検出法において、上記対立遺伝子改変体を同定する前に、上記遺伝子の少なくとも一部を最初に増幅することが必要である。増幅は、例えば、PCRおよび/もしくはLCRまたは当該分野で周知の他の方法によって、行われ得る。
【0038】
いくつかの場合において、被験体由来のDNAにおける上記特異的対立遺伝子の存在は、制限酵素分析によって示され得る。例えば、上記特異的ヌクレオチド多型は、別の対立遺伝子改変体のヌクレオチド配列にはない制限部位を含むヌクレオチド配列を生じ得る。
【0039】
さらなる実施形態において、切断剤(例えば、ヌクレアーゼ、ヒドロキシルアミンもしくは四酸化オスミウムおよびピペリジンで)からの保護は、RNA/RNA、DNA/DNA、もしくはRNA/DNAヘテロ二重鎖におけるミスマッチ塩基を検出するために使用され得る(例えば、Myersら(1985)Science 230:1242を参照のこと)。一般に、「ミスマッチ切断」の技術は、上記遺伝子の上記対立遺伝子改変体のヌクレオチド配列を含む、必要に応じて標識されるコントロール核酸(例えば、RNAもしくはDNA)と、組織サンプルから得られるサンプル核酸(例えば、RNAもしくはDNA)とをハイブリダイズすることによって形成されるヘテロ二重鎖を提供することによって、始まる。上記二本鎖は、上記二重鎖(例えば、上記コントロール鎖とサンプル鎖との間の塩基対ミスマッチに基づいて形成される二重鎖)の一本鎖領域を切断する薬剤で処理される。例えば、RNA/DNA二重鎖は、RNaseで処理されて、DNA/DNAハイブリッドは、S1ヌクレアーゼで処理されて、上記ミスマッチ領域が酵素的に消化され得る。あるいは、DNA/DNA二重鎖もしくはRNA/DNA二重鎖のいずれかは、ヒドロキシルアミンもしくは四酸化オスミウムで、およびピペリジンで、ミスマッチ領域を消化するために、処理され得る。上記ミスマッチ領域の消化の後、次いで、上記得られた物質は、変性ポリアクリルアミドゲル上でサイズによって分離して、上記コントロール核酸およびサンプル核酸が同一のヌクレオチド配列を有するか否か、またはどのヌクレオチドにおいて、それらが異なるかを決定する。例えば、米国特許第6,455,249号、Cottonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397;Saleebaら(1992)Meth.Enzymol.217:286−295を参照のこと。
【0040】
電気泳動移動度の変化はまた、上記特定の対立遺伝子改変体を同定するために使用され得る。例えば、一本鎖コンホメーション多型(SSCP)は、変異体と野生型ヌクレオチドとの間の電気泳動移動度における差異を検出するために使用され得る(Oritaら(1989)Proc Natl.Acad.Sci USA 86:2766;Cotton(1993)Mutat.Res.285:125−144およびHayashi(1992)Genet.Anal.Tech.Appl.9:73−79)。サンプル核酸およびコントロール核酸の一本鎖DNAフラグメントは、変性され、再生させられる。一本鎖核酸の二次構造は、配列によって変動し、電気泳動移動度における得られた変化は、一塩基変化の検出すら可能にする。上記DNAフラグメントは、標識されたプローブで標識もしくは検出され得る。上記アッセイの感度は、RNA(DNAよりむしろ)を使用することによって高められ得、ここで上記二次構造は、配列中の変化に対してより感度が高い。別の好ましい実施形態において、本発明の方法は、電気泳動移動度における変化に基づいて二本鎖のヘテロ二重鎖分子を分離するために、ヘテロ二重鎖分析を利用する(Keenら(1991)Trends Genet.7:5)。
【0041】
上記対立遺伝子改変体の正体はまた、変性剤の勾配を含むポリアクリルアミドゲルにおける、上記多型領域を含む核酸の移動を分析することによって得られ、これは、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Myersら(1985)Nature 313:495)を使用してアッセイされる。DGGEが、上記分析法として使用される場合、DNAは、例えば、PCRによって、約40bpの高融解点GCリッチDNAのGCクランプ(clamp)を付加することによって、上記DNAが完全には変性しないことを確実にするように、改変される。さらなる実施形態において、温度勾配が、コントロールDNAおよびサンプルDNAの移動度における差異を同定するために、変性剤勾配の代わりに使用される(Rosenbaum and Reissner(1987)Biophys.Chem.265:1275)。
【0042】
2つの核酸の間の少なくとも1個のヌクレオチドの差異を検出するための技術の例としては、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、もしくは選択的プライマー伸長が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、オリゴヌクレオチドプローブは、既知の多型ヌクレオチドが中心に置かれているものが調製され得(対立遺伝子特異的プローブ)、次いで、完全なマッチが見いだされる場合にのみハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、標的DNAにハイブリダイズされる(Saikiら(1986)Nature 324:163);Saikiら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6230)。このような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技術は、上記遺伝子の多型領域におけるヌクレオチド変化の検出のために使用され得る。例えば、上記特異的対立遺伝子改変体のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイズさせる膜に結合させられ、次いで、この膜は、標識されたサンプル核酸とハイブリダイズさせられる。次いで、上記ハイブリダイゼーションシグナルの分析は、上記サンプル核酸のヌクレオチドの正体を明らかにする。
【0043】
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術は、本発明とともに使用され得る。特異的増幅のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、上記分子の中心において(増幅が示差的ハイブリダイゼーションに依存するように)(Gibbsら(1989)Nucl.Acids Res.17:2437−2448)もしくは一方のプライマーの最も3’末端において(ここで、適切な条件下で、ミスマッチは、ポリメラーゼ伸長を防止し得るかもしくは低下させ得る)(Prossner(1993)Tibtech 11:238およびNewtonら(1989)Nucl.Acids Res.17:2503)、目的の対立遺伝子改変体を有し得る。この技術はまた、プローブオリゴ塩基伸長のために「PROBE」といわれる。さらに、上記変異の領域に新規な制限部位を導入して、切断に基づく検出を引き起こすことは、望ましいことであり得る(Gaspariniら(1992)Mol.Cell.Probes 6:1)。
【0044】
別の実施形態において、上記対立遺伝子改変体の同定は例えば、米国特許第4,998,617号およびLaridegren,U.ら Science 241:1077−1080(1988)に記載されるように、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)を使用して行われる。上記OLAプロトコルは、標的の一本鎖の隣接する配列にハイブリダイズし得るように設計された、2つのオリゴヌクレオチドを使用する。上記オリゴヌクレオチドのうちの一方は、分離マーカーに連結され(例えば、ビオチン化され)、他方は、検出可能に標識される。正確な相補的配列が標的分子において見いだされる場合、上記オリゴヌクレオチドは、それらの末端が隣接し、ライゲーション基質を引き起こすように、ハイブリダイズする。次いで、ライゲーションは、上記標識オリゴヌクレオチドがアビジン。もしくは別のビオチンリガンドを使用して回収されることを可能にする。Nickerson,D.A.らは、PCRおよびOLAの特性を併せ持つ核酸検出アッセイを記載した(Nickerson, D.A.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8923−8927)。この方法において、PCRは、標的DNAの指数関数的増幅を達成するために使用され、次いで、増幅された上記標的DNAは、OLAを使用して検出される。
【0045】
本発明は、VEGFにおける一塩基多型(SNP)を検出するための方法を提供する。一塩基多型は、変化しない配列の領域に隣接しているので、それらの分析は、上記一改変ヌクレオチドの正体の決定のみを要し、各患者の完全な遺伝子配列を決定することは不要である。SNPの分析を容易にするために、いくつかの方法が開発されてきている。
【0046】
上記一塩基多型は、例えば、米国特許第4,656,127号において開示されるように、特定されたエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを使用することによって検出され得る。上記方法によれば、上記多型部位のすぐ3’側にある上記対立遺伝子に相補的なプライマーは、特定の動物もしくはヒトから得られた標的分子にハイブリダイズさせることが可能である。上記標的分子上の多型部位が、存在する上記特定のエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導体に相補的であるヌクレオチドを含む場合、その誘導体は、上記ハイブリダイズしたプライマーの末端に組み込まれる。このような組み込みは、上記プライマーをエキソヌクレアーゼ耐性にし、それによって、その検出を可能にする。上記サンプルの上記エキソヌクレアーゼ耐性誘導体の正体が既知であるので、上記プライマーがエキソヌクレアーゼに対して耐性になるという知見は、上記標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドが、上記反応において使用されるヌクレオチド誘導体に相補的であったことを明らかにする。この方法は、多量の無関係の配列データの決定を要しないという利点を有する。
【0047】
溶液ベースの方法はまた、上記多型部位のヌクレオチドの正体を決定するために使用され得る(WO 91/02087)。上記のように、プライマーが使用され、上記プライマーは、多型部位に対してすぐ3’側にある対立遺伝子配列に相補的である。上記方法は、標識されたジデオキシヌクレオチド誘導体(これは、上記多型部位のヌクレオチドに対して相補的である場合、上記プライマーの末端に組み込まれる)を使用して、その部位のヌクレオチドの正体を決定する。
【0048】
代替の方法が、WO 92/15712に記載されている。この方法は、標識されたターミネーターと多型部位に対して3’側にある配列に相補的なプライマーとの混合物を使用する。組み込まれる上記標識されたターミネーターは、従って、評価される上記標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドによって、もしくはこのヌクレオチドに対する相補性によって決定される。上記方法は、異種相(heterogeneous phase)アッセイであり、このアッセイにおいて、上記プライマーもしくは上記標的分子は、固相に固定化される。
【0049】
DNAにおける多型部位を評価するための多くの他のプライマーがガイドするヌクレオチド組み込み手順が、記載されてきた(Komher,J.S.ら(1989)Nucl.Acids.Res.17:7779−7784;Sokolov,B.P.(1990)Nucl.Acids Res.18:3671;Syvanen,A.−C.,ら(1990)Genomics 8:684−692;Kuppuswamy,M.N.ら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1143−1147;Prezant,T.R.ら(1992)Hum.Mutat.1:159−164;Ugozzoli,L.ら(1992)GATA 9:107−112;Nyren,P.ら(1993)Anal.Biochem.208:171−175)。これら方法は全て、多型部位における塩基を識別するために標識されたデオキシヌクレオチドの組み込みに依存する。
【0050】
さらに、遺伝子もしくは遺伝子生成物もしくは多型改変体における変化を検出するための上記方法のうちのいずれかが、処置もしくは治療の過程をモニターするために使用され得ることは、理解される。
【0051】
本明細書で記載される方法は、例えば、予めパッケージされた診断用キット(例えば、以下に記載されるもの)を利用することによって行われ得、上記方法は、少なくとも1種のプローブもしくはプライマー核酸を含み、上記プライマーもしくは核酸は、例えば、被験体が、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症を発症させるリスクがあるか否かを決定するために、都合良く使用され得る。
【0052】
上記の診断方法もしくは予後方法において使用するためのサンプル核酸は、被験体の任意の細胞タイプもしくは組織から得られ得る。例えば、被験体の体液(例えば、血液)は、周知の技術によって得られ得る。あるいは、核酸試験は、乾燥サンプル(例えば、毛髪もしくは皮膚)に対して行われ得る。
【0053】
本明細書で記載される発明は、上記VEGF遺伝子座に存在する対立遺伝子を決定および同定するための方法および組成物に関する。本発明は、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症を発症させるリスクのレベルを推定するために有用である。プローブは、上記サンプルの遺伝子型を直接決定するために使用され得るか、または増幅と同時にもしくは増幅の後に使用され得る。用語「プローブ」とは、天然に存在するかもしくは組換えの一本鎖もしくは二本鎖核酸、または科学的に合成された核酸を含む。それらは、ニックトランスレーション、クレノウ充填反応(Klenow fill−in reaction)、PCRもしくは当該分野で公知の他の方法によって標識され得る。本発明のプローブ、これらの調製および/もしくは標識は、Sambrookら(1989)(前出)に記載される。プローブは、本発明の多型領域を含む核酸への選択的ハイブリダイゼーションに適切な任意の長さのポリヌクレオチドであり得る。使用される上記プローブの長さは、使用されるアッセイの性質および採用されるハイブリダイゼーション条件に一部依存する。
【0054】
標識されたプローブはまた、多型の増幅とともに使用され得る(Hollandら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7276−7280)。米国特許第5,210,015号は、PCRの間に増幅生成物のリアルタイム測定を提供するための蛍光ベースのアプローチを記載する。このようなアプローチは、存在する二本鎖DNAの量を示すために、挿入色素(intercalating dye)(例えば、エチジウムブロミド)を使用してきたか、または蛍光クエンチャー対(「Taq−Man」アプローチともいわれる)を含むプローブを使用してきた。ここで上記プローブは、濃度が存在する二本鎖DNAの量に比例する蛍光分子を放出するために、増幅の間に切断される。増幅の間に、上記プローブは、上記標的配列にハイブリダイズされて、上記蛍光分子が、上記クエンチャー分子から分離させられる場合、ポリメラーゼのヌクレアーゼ活性によって消化され、それによって、上記レポーター分子からの蛍光が出現する。上記Taq−Manアプローチは、レポーター分子−−上記多型を含む標的ポリヌクレオチドの領域に特異的にアニールするクエンチャー分子対を含むプローブを使用する。
【0055】
プローブは、「遺伝子チップ」として使用するための表面に付着させられ得る。このような遺伝子チップは、当業者に公知の多くの技術によって、遺伝的バリエーションを検出するために使用され得る。1つの技術において、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションアプローチ(例えば、米国特許第6,025,136号および同第6,018,041号において概説されるもの)によって配列決定することによって、上記DNA配列を決定するための遺伝子チップ上に並べられる。本発明のプローブはまた、遺伝子配列の蛍光検出のために使用され得る。このような技術は、例えば、米国特許第5,968,740号および同第5,858,659号において記載されてきた。プローブはまた、核酸配列の電気化学的検出のための電極表面(例えば、米国特許第5,952,172号およびKelley,S.O.ら(1999)Nucl.Acids Res.27:4830−4837によって記載されるもの)に付着させられ得る。
【0056】
さらに、プローブもしくはプライマーとして使用される上記単離された核酸は、より安定になるために改変され得る。改変される例示的な核酸分子は、DNAのホスホルアミダイト、ホスホロチオエート、およびメチルホスホネートアナログを含む(米国特許第5,176,996号;同第5,264,564号および同第5,256,775号もまた参照のこと)。
【0057】
本明細書で記載されるように、本発明はまた、VEGFに存在する多型領域の対立遺伝子改変体のタイプを決定するための診断方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記方法は、VEGFの上記多型領域に相補的なヌクレオチド配列を含むプローブもしくはプライマーを使用する。よって、本発明は、これら方法を行うためのキットを提供する。
【0058】
いくつかの実施形態において、本発明は、被験体が、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症を発症させるリスクがあるか否かを決定するためのキットを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、被験体が、抗VEGF治療から利益を受けるより大きな可能性を有するか否かを決定するためのキットを提供する。このようなキットは、上記の組成物のうちの1つ以上および使用のための説明書を含む。単なる例示として、本発明はまた、患者が、VEGFの多型領域(例えば、VEGF(−2578C/A)、VEGF(−1498C/T)、VEGF(−1154G/A)もしくはVEGF(−634G/C))に対して特異的な第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドを含む、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症を発症させるリスクがあるか否かを決定するためのキットを提供する。別の例として、本発明はまた、被験体が、VEGFの多型領域(例えば、VEGF(−2578C/A)もしくはVEGF(−1154G/A))に対して特異的な第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドを含む、抗VEGF治療から利益を受ける増大した可能性を有するか否かを決定するためのキットを提供する。遺伝子座「に対して特異的な」オリゴヌクレオチドは、上記遺伝子座の多型領域に結合するか、または上記遺伝子座の多型領域に隣接して結合するかのいずれかである。増幅のためのプライマーとして使用されるべきオリゴヌクレオチドについては、プライマーは、これらが、上記多型領域を含むポリヌクレオチドを生成するために使用されるのに十分近くに存在するのであれば、隣接している。一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、これらが上記多型から約1〜2kb以内(例えば、1kb未満)で結合するのであれば、隣接している。特異的オリゴヌクレオチドは、ある配列にハイブリダイズし得、そして適切な条件下で、1ヌクレオチドだけ異なる配列に結合しない。
【0059】
上記キットは、上記VEGFの上記多型領域に特異的にハイブリダイズし得る少なくとも1種のプローブもしくはプライマー、および使用のための説明書を含み得る。上記キットは、通常、上記の核酸のうちの少なくとも1種を含む。VEGFの少なくとも一部を増幅するためのキットは、一般に2種のプライマーを含み、そのうちの少なくとも一方は、上記対立遺伝子改変体配列にハイブリダイズし得る。このようなキットは、例えば、蛍光検出によって、電気化学的検出によって、もしくは他の検出によって、遺伝子型の検出に適切である。
【0060】
キットに含まれるオリゴヌクレオチドは、プローブとして使用されようが、プライマーとして使用されようが、検出可能に標識され得る。標識は、例えば、蛍光標識については直接的に、または間接的にかのいずれかで検出され得る。間接的検出は、当業者に公知の任意の検出法(ビオチン−アビジン相互作用、抗体結合などを含む)を含み得る。蛍光標識されたオリゴヌクレオチドはまた、クエンチする分子を含み得る。オリゴヌクレオチドは、表面に結合され得る。いくつかの実施形態において、上記表面は、シリカもしくはガラスである。いくつかの実施形態において、上記表面は、金属電極である。
【0061】
本発明のさらに他のキットは、上記アッセイを行うために必要な少なくとも1種の試薬を含む。例えば、上記キットは、酵素を含み得る。あるいは、上記キットは、緩衝液もしくは任意の他の必要な試薬を含み得る。
【0062】
上記キットは、上記VEGFの多型領域において上記被験体の遺伝子型を決定するために、本明細書で記載されるポジティブコントロール、ネガティブコントロール、試薬、プライマー、配列決定マーカー、プローブおよび抗体のうちの全てもしくはいくつかを含み得る。
【0063】
以下の実施例は、本発明の実施を例示するに過ぎず、限定によっては提供されないことが意図される。本明細書で引用される全ての特許および科学文献の開示は、それら全体が本明細書で明確に参考として援用される。
【実施例】
【0064】
(実施例1.VEGFにおける遺伝的多型およびそれらの結果との関連)
E2100は、以前に処置されていない転移性乳癌を有する女性に対して、パクリタキセルにベバシズマブを加える場合、無進行生存率(PFS)および奏効率(RR)における改善を実証した、第III相の集団間治験であった。ベバシズマブを受けた女性において、顕著により多くの高血圧およびタンパク尿が認められた。
【0065】
(サンプル)
本発明者らは、乳癌に対して、アバスチンのE2100治験からのデータの後ろ向き治験を行った。上記データセットは、673名の適格な患者を含め、623名の疾患進行事象および483名の死亡があった。これらのうち、本発明者らは、363名の適格な症例(43ヶ月のメジアン追跡)からのパラフィン包埋腫瘍ブロックを遺伝子型決定した。さらに、377名の適格な症例は、VEGF IHCに対して入手可能であった。341名は、VEGFR−2 IHCに対して入手可能であった。全ての標本を、患者識別子も、臨床結果情報もなしで、「ブラインド」で分析した。
【0066】
(多型)
本発明者らが試験した多型を、表1に示す。
【0067】
【表1】

これら多型を、これら遺伝子が、脈管形成を調節することが公知であるので、選択した:
1)これらが、脈管形成経路に関与している;2)これらが、確証された遺伝的多型を有していた;3)上記多型の頻度が、集団レベルにおいて薬物応答に対するその影響が重要であるに非常に十分であった;および/または4)上記多型は、生物学的に関連する様式で、上記遺伝子の機能を変化させることができた。
【0068】
(SNPの遺伝子型決定)
DNAを、DNeasy(登録商標)Tissue kit(Qiagen,Valencia,CA)を使用して、20マイクロメートルパラフィン包埋組織切片から抽出した。SNPを、Taqman(登録商標)ベースのリアルタイムPCRで遺伝子型決定した。各SNPに関する詳細は、Schneiderら(2007)「Association of polymorphisms of angiogenesis genes with breast cancer」Breast Cancer Res.Treatにおいて以前に記載された。全体的に、遺伝子型は、症例のうちの88.2%において首尾良く決定された。このことは、分析されるSNPに基づいて変動し、82%〜92%の成功率に及んだ。組み合わされた全てのSNPに関して、50%が、上記コントロールアームから正確に評価され、50%が、上記組み合わせアームから正確に評価された。
【0069】
(タンパク質発現の評価)
VEGFおよびVEGFR−2の両方のタンパク質発現を、上記付託された(submitted)腫瘍ブロックからIHCによって評価した。VEGF評価に関して、スライドを、脱パラフィン化し、再水和し、クエン酸緩衝液(pH6.0)とともに30分間にわたって蒸し器(vegetable steamer)中に置いた。スライドを室温へと冷却した後、それらを、蒸留水を2回交換し、続いて、0.05% TweenTM 20(Fisher Scientific,Pittsburgh PA)を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBST)を2回交換して、洗浄した。次いで、スライドを、Dako Autostainer(Dako Cytomation,Carpinteria CA)に置いた。スライドを、ペルオキシダーゼブロッキング溶液(Dako,S2001)とともに10分間にわたってインキュベートし、続いて、合計で最低10分間にわたって、PBSTを3回交換した。次いで、スライドを、1:100希釈した抗VEGF抗体(VG1,Lab Vision,Fremont CA)とともに60分間、Dako Envision +(Dako, K4001)とともに60分間、およびDAB基質−クロモゲンシステム(Dako,K3466)とともに逐次的にインキュベートし、各工程の間に、PBSTを3回交換した。スライドを、再水和したHarrisヘマトキシリン(Fisher)で対比染色し、きれいにし、カバースリップをかけた。VEGF−invスコアを、スライド全体から、細胞質VEGF染色を有する侵襲性腫瘍細胞の割合を概算することによって計算した。
【0070】
VEGFR−2 IHCについては、ホルマリン固定したパラフィン包埋乳癌切片を、最初に脱パラフィン化し、再水和した。次に、抗原回収を、98℃において20分間にわたって、標的回収溶液(pH9.0)(S2367,Dako,Carpenteria,CA)中で行った。次いで、Dual Endogenous Enzyme Block(K4065,EnVisionTM+ Dual Link System−HRP,Dako)を、室温において5分間にわたって適用した。抗VEGFR−2クローン55B11ウサギモノクローナル抗体(#2479,Cell Signaling Tech.,Danvers,MA.)を、1:20において室温で2時間にわたって投与した。DABでのシグナル発色を、わずかな改変を加えて、上記EnVision+キットのプロトコルによって行った。対比染色を、ヘマトキシリンQS(H−3404,Vector,Burlingame,CA)で完了し、続いて再水和し、カバースリップをかけた。ヒト胎盤もしくは肝臓の切片を、ポジティブコントロールとして使用した。上記一次抗体の省略およびウサギIgG(X0936,Dako)での代用を、ネガティブコントロールとした。スコア付けを、Hスコア法で行い、Σ(u x α)によって計算した(ここでuは、染色強度(0〜3+)であり、αは、各強度(参照)で染色された腫瘍細胞パーセンテージ(0〜100)であった)。
【0071】
(統計)
事象時間分布を、Kaplan−Meier分析を使用して概算した。遺伝子型と時間 対 事象結果(PFSおよびOS)との関連を、Coxの比例ハザード法を使用して評価した。有意レベル=0.017は、マルチ比較のためのBonferroni較正に基づいて、各多型について0.05の全体のタイプI誤差率に対応した。各比較につき1.7%の擬陽性率を仮定すると、少なくとも1つの擬陽性が21比較の中で起こる確率は、約0.3であった。このことから、全ての比較が、独立しているということが想定された。遺伝子型とRR(完全奏効/部分奏効 対 安定疾患/進行性疾患として定義される)および毒性(グレード3/4の高血圧症)との関連を、有意レベルp=0.05でのFisherの正確度検定を使用して評価した。遺伝子型と発現との関連を、Kruskal−wallis検定を使用して調べた。RRおよび毒性については、各比較に付き5%の擬陽性率を仮定すると、7比較の中で少なくとも1個の擬陽性が起こる確率は、約0.3であった。このことから、全ての比較が、独立しているということが想定された。発現と、時間 対 事象結果(PFSおよびOS)およびRRとの関連を、それぞれ、Coxの比例ハザード法およびWilcoxon順位和検定を使用して評価した。全てのp値は、両側であった。
【0072】
(遺伝子型と効力との関係)
全ての候補遺伝子型(表1)を、E2100において評価したように、上記コントロールアーム(パクリタキセルのみ)および上記組み合わせアーム(パクリタキセルおよびベバシズマブ)の両方における効力と比較した。効力パラメーターは、PFS(E2100の主要エンドポイント)、OS、およびRRを含んでいた。上記VEGF−2578 AA遺伝子型および上記VEGF−1154 AA遺伝子型は、上記組み合わせアームにおける患者について有利なOSを推定した(表2)。
【0073】
【表2】

これら遺伝子型は、上記コントロールアームにおける患者について改善されたOSを推定せず、いずれのアームについても優れたPFSも、RRも推定しなかった。上記VEGF−2578 AA遺伝子型を有するひとについての上記顕著な改善が原因で、本発明者らは、OSについて、上記CAおよびCC組み合わせ遺伝子型と比較してAAを分析し、この比較から、上記AA遺伝子型に都合良く、ハザード比0.58(95% C.I.:0.36、0.93;p=0.023)を示した。その対応するPFS比較は、VEGF−2578 AA遺伝子型に都合良く、ハザード比0.91(95% C.I.0.62、1.35;p=0.65)を明らかにした。上記VEGF−1154 SNPにおける見かけ上の遺伝子−用量効果が原因で、本発明者らは、遺伝子−用量効果について評価したところ、これは、上記VEGF−1154AA 遺伝子型に都合良く、ハザード比0.62(95% C.I.:0.46;0.83;p=0.001)を示した。PFSについてのこの同じ遺伝子−用量分析は、上記VEGF−1154AA遺伝子型(表3)に都合良く、ハザード比0.79(95% C.I.:0.62、1.02;p=0.07)を明らかにした。
【0074】
【表3】

上記コントロールアームについてのメジアン全生存率は、上記組み合わせアームについて25.2ヶ月および26.7ヶ月であった。上記組み合わせアームにおける上記VEGF−2578 AA遺伝子型および上記VEGF−1154 AA遺伝子型についての全生存率は、それぞれ、37.0ヶ月および46.5ヶ月で有意に長かった。
【0075】
本発明者らはまた、VEGF−2578およびVEGF−1154について全ての遺伝子型を組み合わせ、全生存率との関連について評価した。9つの考えられる組み合わせがあった。そのうちの4つの群は、3症例以下だったので、上記分析から排除した。その残りの5群を、生存率に対する関係において分析した(表4)。上記VEGF−2578/−1154 AA/AA遺伝子型と、全ての他のものを比較した場合、全生存率において統計学的に有意な改善が存在した(p=0.041)。
【0076】
【表4】

(遺伝子型と毒性との関係(グレード3/4 高血圧症))
全ての候補遺伝子型(表1)を、最も一般的な、顕著な毒性のグレード3/4の高血圧(一般毒性基準(Common Toxicity Criteria)によって)と比較した。上記親治験においてベバシズマブを受けている全ての患者のうちの15%超が、グレード3/4の高血圧症を経験した。本発明者らは、VEGF−1498C/TおよびVEGF−634G/Cの両方における特異的対立遺伝子が、上記実験アームにおけるグレード3/4の高血圧症と関連していることを観察した。上記VEGF−634 CCおよびVEGF−1498 TTの遺伝子型は、代替の遺伝子型と比較した場合、グレード3/4未満の高血圧症と強く相関した(それぞれ、8%および0%)(表5)。上記CA遺伝子型(21%)およびAA(22%)遺伝子型と比較した場合、上記VEGF−2578 CC遺伝子型(12%)において、高血圧症は数的に少なかったが、このことは、統計的有意に達しなかった(p=0.32)。上記VEGF−2578 CC 対 上記組み合わせた代替の遺伝子型(CA/AA)を比較した場合、関連の傾向が認められた(p=0.16)。類似の様式で、上記VEGF−1154 GG遺伝子型は、上記GA(22%)およびGG(27%)の組み合わせた代替の遺伝子型と比較して少ない高血圧症を有した(14%)が、これは、統計的有意に達しなかった(p=0.15)。
【0077】
【表5】

(遺伝子型と発現との関係(IHC))
全ての候補遺伝子型(表1)を、VEGFおよびVEGFR−2の両方について原発性腫瘍発現(IHCによって評価した)と比較した。VEGF発現の程度を、(侵襲性細胞のパーセンテージと細胞質VEGF染色とに基づいて)0〜100に及ぶVEGF_invスコアによって評価した。VEGFR−2発現の程度を、Hスコア(これは、0(発現が検出されない)から300(上記細胞のうちの100%が、最大3+発現を有した)までの範囲に及び得る)によって評価した。上記遺伝子型を、全コホートについてVEGF発現と比較したところ、統計的に有意な関連は決定されなかった。上記VEGF−2578遺伝子型については、遺伝子型とVEGF inv_スコアとの間の関連にある傾向があった。上記AA遺伝子型についての平均スコアは、上記代替の遺伝子型(CA=54(標準偏差=37)およびCC=61(標準偏差=37))と比較して低かった(AA=48(標準偏差=40))が、これは、統計的有意に達しなかった(p=0.08)。上記VEGF−1154 AA遺伝子型はまた、上記代替の遺伝子型(GA=53(標準偏差=38)およびGG=58(標準偏差=37))より低い平均発現(AA=42(標準偏差=40))を有したが、これも、統計的有意に達しなかった(p=0.13)。遺伝子型は、VEGFR−2の発現と相関しなかった。
【0078】
(VEGFおよびVEGFR−2発現と臨床結果との関係)
原発性腫瘍発現(IHCによって評価した)を、E2100における結果(RR、PFSおよびOS)と比較した。VEGFもしくはVEGFR−2のいずれかの発現と結果との間に、統計学的に有意な関連はなかった。このことは、上記コントロールアーム、上記組み合わせアーム、もしくは全コホートを評価した場合に当てはまった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症の増大したリスクがあるか否かを推定する方法であって、該方法は、VEGFにおけるゲノム多型(−1498C/T)について、該患者から単離されたサンプルをスクリーニングする工程を包含し、ここで該患者は、対応する遺伝子型が、VEGF(−1498C)を含む場合、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症の増大したリスクがある、方法。
【請求項2】
患者が、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症の増大したリスクがあるか否かを推定する方法であって、該方法は、VEGFにおけるゲノム多型(−634G/C)について、該患者から単離されたサンプルをスクリーニングする工程を包含し、ここで該患者は、対応する遺伝子型が、VEGF(−634G)を含む場合、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症の増大したリスクがある、方法。
【請求項3】
前記VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗VEGF抗体は、ベバシズマブである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記患者は、VEGFアンタゴニストで癌について処置されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
抗腫瘍組成物を投与する工程をさらに包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記癌は乳癌である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記抗VEGF抗体は、ベバシズマブである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
抗腫瘍組成物を投与する工程をさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
患者が、VEGFアンタゴニストでの処置と関連する高血圧症の増大したリスクがあるか否かを推定するためのキットであって、該キットは、VEGF(−1498C/T)およびVEGF(−634G/C)からなる群より選択されるVEGFにおける多型に対して特異的な第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドを含む、キット。
【請求項12】
前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチドは、VEGF(−1498C/T)およびVEGF(−634G/C)からなる群より選択されるVEGFにおける多型を含むVEGF遺伝子の一部を増幅するために使用することができる、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
患者が、VEGFアンタゴニストでの処置から利益を受ける増大した可能性を有するか否かを推定する方法であって、該方法は、VEGFにおけるゲノム多型(−2578C/A)について、該患者から単離されたサンプルをスクリーニングする工程を包含し、ここで該患者は、対応する遺伝子型が、VEGF(−2578AA)を含む場合、VEGFアンタゴニストでの処置から利益を受ける増大した可能性を有する、方法。
【請求項14】
患者が、VEGFアンタゴニストでの処置から利益を受ける増大した可能性を有するか否かを推定する方法であって、該方法は、VEGFにおけるゲノム多型(−1154G/A)について、該患者から単離されたサンプルをスクリーニングする工程を包含し、ここで該患者は、対応する遺伝子型が、VEGF(−1154AA)を含む場合、VEGFアンタゴニストでの処置から利益を受ける増大した可能性を有する、方法。
【請求項15】
前記VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体である、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記抗VEGF抗体は、ベバシズマブである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記患者は、VEGFアンタゴニストで癌について処置される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項18】
抗腫瘍組成物を投与する工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記癌は乳癌である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記抗VEGF抗体は、ベバシズマブである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
抗腫瘍組成物を投与する工程をさらに包含する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
患者が、VEGFアンタゴニストでの処置から利益を受ける増大した可能性を有するか否かを推定するためのキットであって、該キットは、VEGF(−2578C/A)およびVEGF(−1154G/A)からなる群より選択されるVEGFにおける多型に対して特異的な第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドを含む、キット。
【請求項24】
前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチドは、VEGF(−2578C/A)およびVEGF(−1154G/A)からなる群より選択されるVEGFにおける多型を含むVEGF遺伝子の一部を増幅するために使用することができる、請求項11に記載のキット。

【公表番号】特表2011−505145(P2011−505145A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536182(P2010−536182)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/084933
【国際公開番号】WO2009/073540
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510148289)
【出願人】(510148290)
【出願人】(510148315)
【Fターム(参考)】