WDM信号光の監視装置

【課題】WDMシステムではシンボルレートが高くなるに従ってASE雑音の影響を受けて各チャネルごとの信号光の有無の検出精度が低下すること。
【解決手段】WDM信号光の監視装置は、光遅延干渉回路2と分波器3と判定部4とを備える。光遅延干渉回路2は、位相変調されたWDM信号光を分波し、遅延差を与えた後に合波することにより、強度変調されたWDM信号光に変換する。分波器3は、光遅延干渉回路2から出力される強度変調されたWDM信号光をチャネルごとの信号光に分波する。判定部4は、分波器3の出力に基づいてチャネルごとの信号光の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WDM信号光の監視装置に関し、特に各チャネルごとの信号光の有無を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信容量の高速化(ビットレート40Gbps〜100Gbps)に伴い、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)技術を用いた光伝送装置がバックボーンからメトロエリアの領域において広く導入されている。このような光伝送装置で構築されるWDMシステムにおいては、伝送信号の品質管理やシステム制御等を行うために、各チャネルの信号光の有無を検出する必要がある。
【0003】
WDMシステムにおいてチャネルごとの信号光を監視する技術の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の光伝送装置では、伝送路から入力されるWDM信号光を増幅する光増幅器の後段に分波器を配置し、光増幅器によって増幅されたWDM信号光を各チャネルの信号光に分波する。そして、分波した各チャネルの信号光のレベルを単一のPD(フォトダイオード)で検出することにより、どのチャネルに信号が立っており、どのチャネルに信号が立っていないかを判定する。
【0004】
また、WDMシステムにおいてチャネルごとの信号光を監視する他の技術が特許文献2に記載されている。特許文献2に記載の波長分割多重伝送装置では、WDM信号光について、分波器およびPDアレイを用いて、複数の波長帯(例えば各チャネルあたり4〜6波長)におけるパワーレベルを測定する。また各チャネルのビットレートと変調方式とから各チャネルの近似波形を決定する。そして、上記測定した複数の波長帯におけるパワーレベルを、上記決定した各チャネルの近似波形で近似することによって、各チャネルのパワーレベルおよび波長を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−290593
【特許文献2】特開2009−44327
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の通信容量の増大化に伴い、WDM信号光のビットレートは益々高速化する傾向にある。そして、より高速なビットレート(40Gbps〜100Gbps)では、位相変調方式が主に利用されている。位相変調方式を用いたビットレート40Gbps〜100Gbpsの信号光は、強度変調方式を用いたビットレート10Gbpsの信号光と比較して、スペクトル密度やピークパワーレベルが低下する。他方、伝送路中の光増幅器を多段に通過すると、ASE(Amplified Spontaneous Emission:自然放出光)による雑音が積み重なっていく。これらの事情により、光増幅器を多段に通過した後の高シンボルレートの光信号は、信号対自然放出光による雑音比(S/ASE比)の劣化が顕著となる。
【0007】
特許文献1に記載の技術は、各チャネルの信号光のレベルを1個のPDで受光する構成であるため、位相変調方式による信号光の有無を検出することは困難である。一方、特許文献2に記載の技術は、信号光のレベルを各チャネルあたり複数の波長帯で検知する構成であるため、強度変調方式のみならず位相変調方式による信号光の監視も可能である。しかしながら、位相変調信号光そのもののレベルを検知する構成のため、ASE雑音の影響により各チャネルごとの信号光の有無を正しく検出することが困難である。
【0008】
本発明の目的は、このような課題、すなわちWDMシステムではシンボルレートが高くなるに従ってASE雑音の影響を受けて各チャネルごとの信号光の有無の検出精度が低下する、という課題を解決するWDM信号光の監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態にかかるWDM信号光の監視装置は、位相変調されたWDM信号光を分波し、遅延差を与えた後に合波することにより、強度変調されたWDM信号光に変換する光遅延干渉回路と、該光遅延干渉回路から出力される強度変調されたWDM信号光をチャネルごとの信号光に分波する分波器と、前記分波器の出力に基づいてチャネルごとの信号光の有無を判定する判定部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述したような構成を有することにより、WDMシステムにおける各チャネルごとの信号光の有無を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態のブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態のブロック図である。
【図3】本発明で使用する光遅延干渉回路の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明で使用する光遅延干渉回路の動作説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における光電変換部に入射する光信号およびASE信号の周波数特性と、光電変換部を構成するPDの帯域と、バンドパスフィルタの遮断周波数fL、fHとの関係を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態のブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における光電変換部に入射する光信号およびASE信号の周波数特性と、光電変換部を構成するPDの帯域と、ローパスフィルタの遮断周波数fHとの関係を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施形態のブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施形態における光電変換部に入射する光信号およびASE信号の周波数特性と、光電変換部を構成するPDの帯域との関係を示す図である。
【図10】本発明の第5の実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態にかかるWDM信号光の監視装置1は、光遅延干渉回路2と、分波器3と、判定部4とから構成される。
【0013】
光遅延干渉回路2は、位相変調されたWDM信号光5を入力し、強度変調されたWDM信号光6を出力する。具体的には、光遅延干渉回路2は、まず、WDM信号光5を、ほぼ同じレベルの第1のWDM信号光と第2のWDM信号光とに分波する。次に、光遅延干渉回路2は、第1のWDM信号光と第2のWDM信号光との間に所定の遅延差を付与する。例えば、WDM信号光5の変調方式が2値位相変調(DPSK)であれば、第1のWDM信号光と第2のWDM信号光の一方を他方に比べて1シンボル分の時間だけ遅延させる。次に、光遅延干渉回路2は、遅延後の第1のWDM信号光と第2のWDM信号光とを合波することにより、強度変調されたWDM信号光6を生成し、出力する。
【0014】
分波器3は、光遅延干渉回路2から出力される強度変調されたWDM信号光6を、チャネルごとの信号光7−1〜7−nに分波する。
【0015】
判定部4は、分波器3から出力されるチャネルごとの信号光7−1〜7−nに基づいてチャネルごとの信号光の有無を判定する。判定部4は、例えば、分波器3から出力されるチャネルごとの信号光7−1〜7−nを電気信号に変換する光電変換部と、この光電変換部の出力を入力とするフィルタ回路と、このフィルタ回路の出力信号のパワーに基づいてチャネルごとの信号光の有無を判定する制御部とを有していてよい。
【0016】
上記フィルタ回路は、光電変換部に入射する光信号とASE信号とのレベル差が小さくなる周波数帯の信号をカットする特性を有するフィルタであることが望ましい。そのような特性を有するフィルタであれば、バンドパスフィルタであってもよいし、ローパスフィルタであってもよく、また、ローパスフィルタとハイパスフィルタなど複数のフィルタを組み合わせたものであってもよい。また、光信号の周波数帯のうち、ASE信号とのレベル差が相対的に小さくなる周波数帯の全部または一部が感度波長範囲に含まれない周波数特性を持つ光電変換部を使用するようにしてもよい。この場合、フィルタ回路を省略することも可能である。
【0017】
上記制御部は、フィルタ回路の出力信号、またはフィルタ回路が省略されているときは光電変換部の出力信号のパワーに基づいてチャネルごとの信号光の有無を判定する。
【0018】
このように本実施形態によれば、WDMシステムにおける各チャネルごとの信号光の有無を精度良く検出することができる。その理由は、位相変調されたWDM信号光5を強度変調されたWDM信号光6に変換する過程において、位相変調がかかっておらず且つコヒーレンス性の低いASE雑音信号の強度と波形が殆ど変化しないため、元のWDM信号光5に比較してWDM信号光6のS/ASE比が改善されているためである。
【0019】
[第2の実施形態]
図2を参照すると、本発明の第2の実施形態としての波長分割多重システムが示されている。図2において、上流ノードから送出されてくるWDM信号光10は、チャネル数がn(≧1)、各チャネルの波長がλ1〜λn、変調方式が位相変調の信号光である。WDM信号光10は、光増幅器11を経由して、光分岐デバイス12によって、主信号WDM信号光13と監視WDM信号光14とに分岐される。主信号WDM信号光14は下流ノードへと送出され、監視WDM信号光13はOCM(Optical Channel Monitor)デバイス15に入力される。
【0020】
OCMデバイス15は、光遅延干渉回路16、分波器17、複数の光電変換部18、複数のバンドパスフィルタ19、および制御部20から構成される。ここで、光電変換部18とバンドパスフィルタ19と制御部20とで、判定部が構成される。
【0021】
光遅延干渉回路16は、位相変調された監視WDM信号光14を強度変調されたWDM信号光21に変換する回路である。光遅延干渉回路16は、位相変調された監視WDM信号光14をほぼ半分の強度を持った二つの光信号に分波し、一方を1シンボル分の時間だけ遅延させた後、合波させて干渉させることで、強度変調されたWDM信号光21に変換する。1シンボル分以上の時間、例えば1シンボル×n(nは正の整数)分の時間だけ遅延させてもよい。
【0022】
分波器17は、強度変調されたWDM信号光21を、WDM信号光10の各チャネルの波長毎の信号光22に分波する機能を持つ。
【0023】
光電変換部18は、フォトダイオードもしくは、フォトディテクタ(フォトダイオード+アンプ)で構成される。光電変換部18は、分波器17から出力された信号光22の強度に応じたレベルの電気信号23を生成し、バンドパスフィルタ19へ出力する。
【0024】
バンドパスフィルタ19は、光電変換部18から出力される電気信号23の成分のうち、低域側遮断周波数fLから高域側遮断周波数fHまでの周波数帯の信号を通過させる特性を持つ。
【0025】
制御部20は、バンドパスフィルタ19から出力される信号24に基づいて、WDM信号光10のチャネルごとの信号光の有無を判定し、判定結果を入出力ポート25から出力する機能を持つ。入出力ポート25から出力された判定結果は、光増幅器や装置システム制御部などの図示しない外部装置に送出されることにより、WDMシステムにおける伝送信号の品質管理や装置制御等に利用される。また、図示しない外部装置から入出力ポート25を介して制御部20に対して、信号光の有無を判定するための閾値などの各種の情報を入力することが可能である。制御部20は、プログラムで動作するCPUや、FPGAで構成される。
【0026】
次に本実施形態の動作を説明する。
【0027】
位相変調がかかったWDM信号光10は、WDMシステムにおける光ファイバ伝送路によって、伝送される。WDM信号光10は、光増幅器11を経由する際、光増幅器内部の特性により、ASE雑音(自然放出光雑音)が付加される。光増幅器11で増幅されたWDM信号光10は、伝送路のモニタ出力用に、光分岐デバイス12によって分岐され、監視WDM信号光14としてOCMデバイス15に入射される。
【0028】
OCMデバイス15に入射した監視WDM信号光14は、まず、光遅延干渉回路16によって強度変調によるWDM信号光21に変換される。図3は、2値位相変調信号(DPSK)によるWDM信号光を強度変調によるWDM信号光に変換する光遅延干渉回路16の構成例である。
【0029】
図3を参照すると、この例の光遅延干渉回路16は、1つのマッハツェンダ干渉計により構成される。光遅延干渉回路16は、入力側の入力導波路161と、それに接続された方向性結合器162と、出力側の出力導波路163と、それに接続された方向性結合器164と、2つの方向性結合器162、164をつなぐ短尺アーム導波路166および長尺アーム導波路166とを持つ。長尺アーム導波路166は、短尺アーム導波路164に比較して、光遅延部167を構成する導波路分の導波路長だけ長くなっている。
【0030】
光遅延干渉回路16の入力導波路161を伝搬してきた監視WDM信号光14は、方向性結合器162によって、長尺アーム導波路166および短尺アーム導波路165の2つの導波路へ分岐される。短尺アーム導波路165へ分岐した監視WDM信号光14は、短尺アーム導波路165の導波路長に相当する時間だけ遅延した後に、方向性結合器164に到達する。長尺アーム導波路166へ分岐した監視WDM信号光14は、長尺アーム導波路166の導波路長に相当する時間だけ遅延した後に、方向性結合器164に到着する。それらの導波路には光遅延部167に相当する導波路長だけ差があるため、長尺アーム導波路166を経由したWDM信号光14は、短尺アーム導波路164を経由するWDM信号光14に比べて光遅延部167による遅延時間だけ遅延して方向性結合器164に到着する。光遅延部167による遅延時間は、監視WDM信号光の1シンボル分に相当する時間に設定されている(もしくは、それ以上に相当する時間でもよい)。このため、方向性結合器164において、短尺アーム結合器165を経由して到着したWDM信号光14と長尺アーム結合器166を経由して到着したWDM信号光14とが互いに干渉し、その結果、方向性結合器164から強度変調されたWDM信号光21となって出力される。
【0031】
図4は、光遅延干渉回路16の動作説明図である。変調データが図4(a)に示すように0になると位相がπ変化し、変調データが1のときには位相が変化しないDPSK方式によって位相変調されている場合、短尺アーム導波路165を経由して方向性結合器164に到着する信号光を図4(b)に示す信号光とすると、長尺アーム導波路166を経由して方向性結合器164に到着する信号光は、図4(c)に示すように1シンボルに相当する時間だけ遅延した状態で図4(b)の信号光と合波される。このとき、合波される光同士が同相の期間T1、T2、T5は互いに強め合い、逆相の期間T3、T4、T6は互いに弱め合う。この結果、方向性結合器164から出力される信号光は、図4(d)に示すような強度変調による信号光になる。
【0032】
他方、監視WDM信号光14に含まれるASE信号は、位相変調がかかっておらず、またコヒーレンス性が低いため、方向性結合器164における合波前後でASE強度や波形はほとんど変化しない。このため、光遅延干渉回路16から出力される強度変調されたWDM信号光21のS/ASE比は、光遅延干渉回路16に入力される位相変調されたWDM信号光14に比較して改善されることになる。
【0033】
再び図2を参照すると、光遅延干渉回路16で位相変調から強度変調に変換された信号光21は、分波器17に入射し、各チャネルの波長毎に分波される。波長毎に分波された信号22は、チャネル対応に設けられた光電変換部18において光電変換された後、チャネル対応のバンドパスフィルタ19に入力される。バンドパスフィルタ19は、入力信号の周波数成分のうち、周波数fLから周波数fHまでの周波数帯の信号を通過させ、制御部20へ出力する。
【0034】
図5は、光電変換部18に入射する光信号およびASE信号の周波数特性と、光電変換部18を構成するPDの帯域と、バンドパスフィルタ19の遮断周波数fL、fHとの関係を示す図である。
【0035】
図5を参照すると、本実施形態の場合、光電変換部18として、光信号のほぼ全帯域をカバーするような帯域を持つPDを使用する。図5の例では、fc3(Hz)の周波数帯域を持つPDを使用している。また、光電変換部18に入射する光信号とASE信号とのレベル差は、周波数が高まるに従って徐々に小さくなっていく。レベル差の小さな周波数帯では、光信号とASE信号との区別が困難になるため、或る周波数fHから上の信号をバンドパスフィルタ19によってカットする。さらに、光電変換部18に入射するASE信号は、周波数が0に近づくとレベルが増大する傾向を示す。ASE信号のレベルが増大すると、光信号との区別が困難になるため、或る周波数fLから下の信号をバンドパスフィルタ19によってカットする。この結果、周波数fLから周波数fHまでの帯域では、どの周波数においても光信号とASE信号との間に充分なレベル差が生じることになる。
【0036】
fLは、例えば30kHz以上、好ましくは50kHzとするのが好適である。また、fHは、例えば「シンボルレート/64(=26)」以下、好ましくは「シンボルレート/128」とするのが好適である。例えば、シンボルレートが10Gbpsなら、fH=10Gbps/64=156MHz、好ましくはfH=10Gbps/128=78MHzとするのが好適である。
【0037】
制御部20は、周波数fLから周波数fHまでの帯域内で光信号とASE信号のパワー差を検出する。具体的には、制御部20は、各チャネル毎に、そのチャネルに対応するフィルタ回路19の出力信号のパワーP1を求め、この求めたP1から、ASE信号のみが存在する場合のパワーとして事前に設定されたパワーP2を減じた残りのパワーの絶対値P3を、予め設定された閾値Thと比較し、P3>Thならば、信号光あり、P3≦Thならば、信号光なしと判定する。ここで、信号光ありとは、伝送システム中に、当該波長が信号導通していることを意味し、信号光なしとは、伝送システム中に、当該波長が信号導通していないことを意味する。
【0038】
上記のパワーP1の計算は、例えば、フィルタ回路19の出力信号を表す時間領域(波形)関数をx(k)、この時間領域関数x(k)をFFT(Fast Fourier Transform)して求めた周波数領域関数をX(p)とするとき、周波数領域関数X(p)の二乗和をパワーP1とするなどの方法を用いることができる。
【0039】
このように本実施形態によれば、S/ASE比を改善した監視WDM信号光21をベースに各チャネルの信号光の有無を検出するため、信号光の有無を精度良く検出することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、監視WDM信号光21の各チャネルに対応する信号光ごとに、光信号とASE信号とのレベル差が小さくなる高域側および低域側をバンドパスフィルタ19でカットし、残りの帯域内における出力信号のパワーに基づいて信号光の有無を判定するため、より一層、信号光の有無の検出精度を高めることができる。
【0041】
[第3の実施形態]
図6を参照すると、本発明の第3の実施形態にかかるOCMデバイス15Aは、図2に示した第2の実施形態にかかるOCMデバイス15と比較して、バンドパスフィルタ19に代えてローパスフィルタ19Aを備えている点で相違する。
【0042】
図7は、光電変換部18に入射する光信号およびASE信号の周波数特性と、光電変換部18を構成するPDの帯域と、ローパスフィルタ19Aの遮断周波数fHとの関係を示す図である。
【0043】
図7を参照すると、本実施形態の場合、周波数fHから上の信号をローパスフィルタ19Aによってカットする。前述したように、光電変換部18に入射する光信号とASE信号とのレベル差は、周波数が高まるに従って徐々に小さくなっていく。レベル差の小さな周波数帯では、光信号とASE信号との区別が困難になるため、周波数fHから上の信号をバンドパスフィルタによってカットするわけである。fHは、例えば「シンボルレート/64(=26)」以下、好ましくは「シンボルレート/128」とするのが好適である。また、光電変換部18としては、光信号のほぼ全帯域をカバーするような帯域を持つPDを使用するようにしても良いが、図7の例では、fc2(Hz)(<fc3)の周波数帯域を持つPDを使用している。
【0044】
制御部20は、周波数fH以下の帯域内で光信号とASE信号のパワー差を検出する。
【0045】
本実施形態によれば、S/ASE比を改善した監視WDM信号光21をベースに各チャネルの信号光の有無を検出するため、信号光の有無を精度良く検出することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、監視WDM信号光21の各チャネルに対応する信号光ごとに、光信号とASE信号とのレベル差が小さい高域側をローパスフィルタ19Aでカットし、残りの帯域内における出力信号のパワーに基づいて信号光の有無を判定するため、信号光の有無の検出精度を高めることができる。ただし、ASE信号のレベルが増大する周波数0に近い帯域も含めてパワーを求めるため、バンドパスフィルタを使用する第2の実施形態に比べると検出精度は低下する。
【0047】
[第4の実施形態]
図8を参照すると、本発明の第4の実施形態にかかるOCMデバイス15Bは、図2に示した第2の実施形態にかかるOCMデバイス15と比較して、バンドパスフィルタ19を省略した点で相違する。
【0048】
図9は、光電変換部18に入射する光信号およびASE信号の周波数特性と、光電変換部18を構成するPDの帯域との関係を示す図である。
【0049】
図9を参照すると、本実施形態の場合、光電変換部18として、光信号のほぼ全帯域をカバーするような帯域を持つPDではなく、光信号の帯域の上限周波数よりも低い周波数fc1(Hz)以下の帯域を持つPDを使用している。fc1は、第2、第3の実施形態におけるfHに近い値であることが望ましい。前述したように、光電変換部18に入射する光信号とASE信号とのレベル差は、周波数が高まるに従って徐々に小さくなっていく。レベル差の小さな周波数帯では、光信号とASE信号との区別が困難になるため、周波数fc1から上の信号が光電変換されないようにするわけである。
【0050】
制御部20は、周波数fc1以下の帯域内で光信号とASE信号のパワー差を検出する。
【0051】
本実施形態によれば、S/ASE比を改善した監視WDM信号光21をベースに各チャネルの信号光の有無を検出するため、信号光の有無を精度良く検出することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、監視WDM信号光21の各チャネルに対応する信号光ごとに、光信号とASE信号とのレベル差が小さい高域側を光電変換部の帯域によりカットし、残りの帯域内における出力信号のパワーに基づいて信号光の有無を判定するため、信号光の有無の検出精度を高めることができる。ただし、ASE信号のレベルが増大する周波数0に近い帯域も含めてパワーを求めるため、バンドパスフィルタを使用する第2の実施形態に比べると検出精度は低下する。
【0053】
[第5の実施形態]
図10を参照すると、本発明の第5の実施形態は、OCMデバイス15Cが、光スイッチングデバイス35を通じて、複数の光分岐デバイス12、32に接続されている点で、OCMデバイス15が光分岐デバイス12にのみ接続されている図2の第2の実施形態と相違する。
【0054】
上流ノードから送られてきた位相変調がかかったWDM信号光10は、光増幅器11で増幅された後、光分岐デバイス12において、主信号WDM信号光13と監視WDM信号光14とに分岐される。そのうち、監視WDM信号光14は光スイッチングデバイス35に入射され、主信号WDM信号光13は、下流ノードへと送出される。下流ノードへ送出された主信号WDM信号光13は、光増幅器31で増幅された後、光分岐デバイス32において、主信号WDM信号光33と監視WDM信号光34とに分岐される。そして、監視WDM信号光34は光スイッチングデバイス35に入射され、主信号WDM信号光33は、さらに下流ノードへと送出される。
【0055】
光スイッチングデバイス35は、光分岐デバイス12から入射する監視WDM信号光14と、光分岐デバイス32から入射する監視WDM信号光34とを一定時間毎に交互に選択して、OCMデバイス15Cへ送出する。また、光スイッチングデバイス35は、現在、どの監視WDM信号光を入射しているかの情報を、OCMデバイス15Cに通知するようにしてもよい。
【0056】
OCMデバイス15Cは、図2のOCMデバイス15と同様の構成を有している。図2のOCMデバイス15でなく、図6のOCMデバイス15Aまたは図8のOCMデバイス15Bと同様の構成を有していてもよい。OCMデバイス15Cは、光スイッチングデバイス35から入力された監視WDM信号光に基づいて、各チャネルの信号光の有無を判定する。すなわち、OCMデバイス15Cは、監視WDM信号光14が入力されている期間中は、監視WDM信号光14の各チャネルの信号光の有無を判定する。また、OCMデバイス15Cは、監視WDM信号光34が入力されている期間中は、監視WDM信号光34の各チャネルの信号光の有無を判定する。何れの場合も、OCMデバイス15Cの動作は同じである。ただし、監視WDM信号光34は、監視WDM信号光14に比べて、経由した光増幅器の個数が多いので、ASE雑音信号が積み重なってS/ASE比がより悪化している可能性がある。このため、ASE信号のみが存在する場合のパワーとして事前に設定する値を、監視WDM信号光14と監視WDM信号光34とで別々に記憶しておくようにしてもよい。
【0057】
[その他の実施形態]
以上の実施形態では、位相変調として2値位相変調信号(DPSK)を例にして説明したが、DPSKよりも多値の位相変調信号に対しても、多値強度変調による光信号に変換することによって、同様に適用可能である。
【0058】
また、以上の実施形態では、チャネルの信号光の或る周波数帯域内におけるパワーに基づいて当該チャネルの信号光の有無を判定したが、パワーでなく、光信号とASE信号とのレベル差が小さくなる周波数帯における特定の周波数のレベルに基づいて当該チャネルの信号光の有無を判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 監視装置
2 光遅延干渉回路
3 分波器
4 判定部
10 WDM信号光
11 光増幅器
12 光分岐デバイス
14 WDM信号光
15 OCMデバイス
15A OCMデバイス
15B OCMデバイス
15C OCMデバイス
16 光遅延干渉回路
17 分波器
18 光電変換部
19 バンドパスフィルタ
19A ローパスフィルタ
20 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相変調されたWDM信号光を分波し、遅延差を与えた後に合波することにより、強度変調されたWDM信号光に変換する光遅延干渉回路と、
該光遅延干渉回路から出力される強度変調されたWDM信号光をチャネルごとの信号光に分波する分波器と、
前記分波器の出力に基づいてチャネルごとの信号光の有無を判定する判定部と
を備えることを特徴とするWDM信号光の監視装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記分波器から出力されるチャネルごとの信号光を電気信号に変換する光電変換部と、
該光電変換部の出力を入力とするフィルタ回路と、
該フィルタ回路の出力信号のパワーに基づいてチャネルごとの信号光の有無を判定する制御部と
を有することを特徴とする請求項1に記載のWDM信号光の監視装置。
【請求項3】
前記フィルタ回路は、バンドパスフィルタである
ことを特徴とする請求項2に記載のWDM信号光の監視装置。
【請求項4】
前記フィルタ回路は、ローパスフィルタである
ことを特徴とする請求項2に記載のWDM信号光の監視装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記分波器から出力されるチャネルごとの信号光を電気信号に変換する光電変換部と、
該光電変換部の出力信号のパワーに基づいてチャネルごとの信号光の有無を判定する制御部と
を有することを特徴とする請求項1に記載のWDM信号光の監視装置。
【請求項6】
前記光電変換部は、前記分波器から出力されるチャネルの信号光の上限周波数よりも低い周波数以下の帯域を持つ
ことを特徴とする請求項5に記載のWDM信号光の監視装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のWDM信号光の監視装置と、異なる複数の光分岐デバイスから分岐されたWDM信号光を一定時間ごとに順番に前記監視装置へ出力する光スイッチングデバイスとを含むWDMシステム。
【請求項8】
位相変調されたWDM信号光を分波し、遅延差を与えた後に合波することにより、強度変調されたWDM信号光に変換し、
前記強度変調されたWDM信号光をチャネルごとの信号光に分波し、
前記分波した信号光に基づいて前記位相変調されたWDM信号光におけるチャネルごとの信号光の有無を判定する
ことを特徴とするWDM信号光の監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−15675(P2012−15675A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148543(P2010−148543)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,215)
【Fターム(参考)】