説明

WWWを利用した教育支援システム

【課題】 WWWを利用した教育支援システムにおいて、専用のWebブラウザーを使用することなく、HTML文書教材コンテンツに対するコメント追記と高速表示とを可能にすること。
【解決手段】 初回のクライアントのWebブラウザーからリクエストがあると、サーバーは、教材コンテンツHTML文書の全文字にインデックス情報を付加してインデックスデータを生成する。インデックスデータは、キャッシュデータとしてデータベースに登録される。2回目以降のクライアントのリクエストがあると、サーバーは、データベースに登録されているキャッシュデータを、教材コンテンツとしてクライアントに表示させるために、キャッシュデータをWebブラウザーに送信する。クライアントでキャッシュデータ上で書き込み対象文字列が1文字単位で指定されると、サーバーは、書き込み対象文字列に関連するコメントを書き込むための画面をクライアントに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WWW(world wide web)を利用した教育支援システムに関する。より特定的には、本発明は、WWWで公開され且つHTML(hypertext markup language)文書として作成されたWeb教材コンテンツの任意の位置に、一般的なWebブラウザーのみを用いることで、HTMLを記述することなく、システムのユーザーがコメントを重層的に追記し、その結果を確認できる、教育支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、情報インフラの整備・拡充に伴い、インターネットで情報を共有するためのシステムの1つである、WWWを利用した教育支援システムが種々提案されている。このシステムの典型的な例として、特許文献1に開示されているものを挙げることができる。
【0003】
かかる特許文献1に開示されているシステムは、教材出版会社・教育サービス会社、プロバイダー及び学習塾の3者が連携して塾生にサービスを提供するように構成されている。具体的には、教材出版会社・教育サービス会社は、Web教材コンテンツをプロバイダーに提供する。プロバイダーは、教材出版会社・教育サービス会社から提供されたWeb教材コンテンツのデータベースを構築して、プロバイダーと教材出版会社・教育サービス会社間及びプロバーダーと学習塾間をネットワーク化し、学習塾が指定した教材を塾生からの要求に応答しインターネットを通して提供する。学習塾は、プロバイダーから提供される教材を用いて塾生に対する授業を行う。
【0004】
そもそも、上記WWWで公開されるWebコンテンツは、HTML文書として作成されており、他方上記WWWは、当該HTMLで記述されたWebコンテンツを、インターネットを通じてWebブラウザーを持つユーザーに対して公開する。
【0005】
上記HTMLは、Webコンテンツをユーザーに参照させることを想定した文書記述言語であって、Webブラウザーを使ったアクセスでは、利用者が当該コンテンツの任意の位置に質問や感想等のコメントを追記できないのが実情である。
【0006】
かかる事態に対処するため、特許文献2及び特許文献3にて種々の工夫を凝らした技術が提案されている。
【0007】
特許文献2では、利用者の情報によって取得した付加情報又はマーカー情報を、利用者の端末において表示条件を設定し、この設定された条件を満たす付箋情報又はマーカー情報を表示するようにする旨が開示されている。
【0008】
特許文献3では、学習支援サービスサーバーから第1の学習支援サービス端末にコンテンツ情報を送信し、この第1の学習支援サービス端末で編集されたコンテンツ情報の編集情報を学習支援サービスサーバーで受信して記憶し、第2の学習支援サービス端末から記憶した編集情報の閲覧のリクエストを受けた場合には、上記サーバーは、リクエストに該当する編集情報を読み出して該当するコンテンツ情報に当該編集情報を組み込んで上記リクエスト先の第2の学習支援サービス端末に送信する旨が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2002−351999号公報
【0010】
【特許文献2】特開2003−186910号公報
【0011】
【特許文献3】特開2004−185292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献2及び特許文献3に係る技術では、ユーザーが端末機で書き込んだ情報データをサーバーにおいて新たなWebコンテンツとして迅速に処理して上記端末機へ送信するために、書き込み機能を備えた専用のWebブラウザー、あるいは一般的なWebブラウザーに書き込み機能を持たせるための追加的なソフトウェア(以下、両者を併せて「専用プログラム」と呼ぶ)を用いる必要がある。確かに、上記専用ソフトウェアを用いることで、利用者はWebコンテンツへの書き込み操作を容易に行うことができるようになる。しかしこの仕組みを利用するためには、一般的なWWWの利用環境に加えて、新たに専用ソフトウェアをインストールする必要があり、この作業は、コンピュータをあまり用いたことのない初心者にとっては大きな負荷となる。また、専用ソフトウェア自体が有料である場合は、利用者がそのコストを負担する必要がある。さらに、コンピュータ教室や、不特定多数の人間に利用してもらうことを想定したコンピュータ環境(例えば、インターネット喫茶など)では、そもそも利用者に専用ソフトウェアのインストールを行う権限が与えられないのが一般的である。これは、コンピュータの設定が変わることで他の利用者の操作に支障が出ることを防ぐと共に、悪意を持った(例えば、コンピュータウィルスや操作監視用ソフトウェアなどの)プログラムがインストールされることを防ぐという理由によるものである。特に後者については、近年様々な事件が発生しているため、教室や不特定多数が利用するコンピュータでは、利用者による設定変更がさらに厳しく制限される方向にある。以上のような種々な問題に鑑み、専用ソフトウェアのインストールを必要とせず、コストもかからず、一般的なWebブラウザーのみを使用して、手軽にWebコンテンツに対するコメント書き込みが行え、サーバーにおいて当該書き込まれた新たなWebコンテンツを迅速に処理して端末機で高速に表示することが可能な教育支援システムの提供が要望されている。
【0013】
そこで、本発明者は、一般的なWebブラウザーのみを使用しているユーザー側が、WWWで公開されたWeb教材コンテンツ上の文字列を1文字単位又は単語単位で指定し、それに対して付箋を貼るように、新しいWebコンテンツを追記できるようにすれば、上記の事態に対処できるのではないかと着想した。具体的には、HTML文書に対して、1文字単位又は単語単位で文字列を指定するためのインデックス情報を追加する。但し、多くの文字列を含むWeb教材コンテンツの場合には、全ての文字又は単語にインデックス情報を追加するのには時間がかかる。そのため、HTML文書で作成されたWeb教材コンテンツに対するコメント追記を可能とする上で、当該教材コンテンツの表示時間を高速化することが大きな命題の1つであるといえる。
【0014】
本発明は、上記着想に基づきなされたもので、専用のWebブラウザーを使用することなく、かつ一般的なWebブラウザーに専用のプログラムを追加することなく、HTML文書で作成されたWeb教材コンテンツに対するコメント追記と高速表示とを可能にする、WWWを利用した教育支援システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、HTML文書として作成されたWeb教材コンテンツをWWWで公開する教育支援システムであって、この教育支援システムは、上記WWWで公開されるWeb教材コンテンツを保存・管理するためのサーバーと、第1のWebブラウザーを有し、上記WWWで公開されたWeb教材コンテンツを第1のWebブラウザーにより閲覧できるクライアント端末と、を備えており、上記サーバーは、初回の上記クライアント端末の第1のWebブラウザーからのリクエストに応じて、上記HTML文書の全ての文字又は単語にインデックス情報を付加してインデックスデータを生成し、この生成したインデックス情報をキャッシュデータとしてデータベースに登録する文字列分割処理手段と、2回目以降の上記クライアント端末の第1のWebブラウザーからのリクエストに応じて、上記データベースに登録されている上記インデックス情報が付加されたキャッシュデータをWeb教材コンテンツとして当該クライアント端末の表示手段に表示させるために、当該キャッシュデータを当該第1のWebブラウザーに送信する教材送信手段と、この教材送信手段により上記クライアント端末の表示手段に表示された上記Web教材コンテンツとしてのキャッシュデータ上において、当該クライアント端末の指定手段によって書き込み対象となる文字列が1文字単位又は単語単位で指定されると、当該書き込み対象文字列に関連するコメントを書き込ませるためのテキストフィールドを含む画面を当該クライアント端末に表示させるために、当該画面の当該クライアント端末の第1のWebブラウザーに送信する書き込み画面表示手段と、を含む。
【0016】
上記サーバーは、上記教材送信手段により上記クライアント端末に送信されたWeb教材コンテンツとしてのキャッシュデータ上において、当該クライアント端末によって書き込み対象となる文字列が1文字単位又は単語単位で指定されると、当該クライアント端末上でどの範囲が指定されたかを1文字単位又は単語単位で認識する指定範囲認識手段と、上記クライアント端末において上記テキストフィールドに書き込まれたコメントからHTML文書として作成された新しいWebコンテンツを生成し、この生成した新しいWebコンテンツに対して、上記指定範囲認識手段により認識された指定範囲からのハイパーリンクを設定するリンク設定手段と、をさらに含む。
【0017】
上記サーバーは、上記クライアント端末において上記テキストフィールドに重層的に書き込まれたコメントであるHTML文書の構造をリレーショナルデータベースに登録し、それによって当該HTML文書構造を管理する文書構造管理手段をさらに含む。
【0018】
上記クライアント端末は、上記リレーショナルデータベースに登録されている上記HTML文書構造を閲覧できる第2のWebブラウザーをさらに有し、上記サーバーは、上記クライアント端末の第1のWebブラウザーからの視覚化要求があると、上記リレーショナルデータベースに登録されている上記HTML文書構造を視覚化し、この視覚化したHTML文書構造を当該クライアント端末に表示させるために、当該HTML文書構造を当該クライアント端末の第2のWebブラウザーに送信する文書構造送信手段をさらに含む。
【0019】
上記文字列分割手段は、上記インデックスデータを生成する際、予めXML変換しておいた上記HTML文書の全ての文字又は単語に対して、その前後を上記インデックス情報としてのタグで囲む手段を含む。
【発明の効果】
【0020】
(1)初回のクライアント端末の第1のWebブラウザーからのリクエストがあると、サーバーは、これに応じて、Web教材コンテンツに関するHTML文書の全ての文字又は単語にインデックス情報を付加してインデックスデータを生成する。この生成されたインデックス情報は、キャッシュデータとしてサーバー内のデータベースに登録される。2回目以降のクライアント端末の第1のWebブラウザーからのリクエストがあると、サーバーは、これに応じて、データベースに登録されているキャッシュデータをWeb教材コンテンツとしてクライアント端末に表示させるために、当該キャッシュデータを第1のWebブラウザーに送信する。クライアント端末において、Web教材コンテンツとしてのキャッシュデータ上で書き込み対象となる文字列が1文字単位又は単語単位で指定されると、サーバーは、書き込み対象文字列に関連するコメントを書き込むためのテキストフィールドを含む画面をクライアント端末に表示させる。したがって、第1のWebブラウザーは、専用のものではなく一般的なもので済む。その結果、一般的なWebブラウザーを使用して、HTML文書で作成された教材コンテンツに対するコメント追記と高速表示とが可能となる。
【0021】
(2)クライアント端末側において、Web教材コンテンツとしてのキャッシュデータ上で書き込み対象となる文字列が1文字単位又は単語単位で指定されると、サーバーは、クライアント端末でどの範囲が指定されたかを1文字単位又は単語単位で認識する。クライアント端末においてテキストフィールドにコメントが書き込まれると、サーバーは、書き込まれたコメントからHTML文書として作成された新しいWebコンテンツを生成し、この生成した新しいWebコンテンツに対して、認識された指定範囲からのハイパーリンクを設定する。それゆえ、通常のWebブラウジングと同様に、ハイパーリンクで結び付けられたコンテンツを参照できる。
【0022】
(3)サーバーは、クライアント端末においてテキストフィールドに重層的に書き込まれた追記コメント(HTML書類)のリンク構造をリレーショナルデータベースに登録し、このリレーショナルデータベース管理システムに用意されている各種コマンドを呼び出すことによって、あるレコードと他のレコード、あるはテーブル間の情報を更新しながら管理を行っていく。具体的には、本システムのデータベース中の1件のデータ(レコード)は、HTML文書間のリンク構造を定義するための複数のフィールド(リンクID、リンクが登録された時間、リンク元である親書類を示すID、リンク元の対象フレーズ、リンクの作者名など)の集合体として表現される。そして、WWWを介した利用者が新しいHTML文書を追加する度に、既存のHTML文書と新しい文書のリンク構造を表現する新たなレコードが生成され、レコードの集合体であるテーブル形式のデータベースに順次追加されていく。同時に、利用者情報を表現するためのテーブルについても、利用者毎の書き込み数などの情報が追加されていく。これらの仕組みによって、重層的な追記コメント(HTML文書)の関係構造を効率よく管理することができる。さらに、書類のIDやユーザーID等のキーとなるデータを利用して、データの結合や抽出を容易に行うことができる。
【0023】
(4)サーバーは、クライアント端末の第2のWebブラウザーからの視覚化要求があると、リレーショナルデータベースに登録されているHTML文書の階層構造を視覚化し、この視覚化したHTML文書構造をクライアント端末の第2のWebブラウザーに送信する。第2のWebブラウザーについても、専用のものではなく一般的なもので済む。その結果、一般的なWebブラウザーを使用して、利用者は、書類の関係構造を理解し、そこから利用者間の情報のやりとりを容易に把握することができる。クライアント端末に表示されるHTML文書構造については、構造が簡単で理解が容易となり、しかもアプリケーションも構築し易くなり、加えて、データの検索や更新は、テーブルに対する操作となる。
【0024】
(5)インデックスデータを生成する際、サーバーは、予めXML変換しておいたHTML文書の全ての文字又は単語に対して、その前後をインデックス情報としてのタグで囲む。したがって、文字の前後を囲んだタグによって、クライアント端末でどの文字が指定されたかを特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
[概要]
(1)HTMLによって表現される、いわゆる「ホームページ」では、不特定多数のユーザーに対する効果的な情報発信を行うことができる。しかしHTMLのみで記述されたホームページでは、不特定多数のユーザーが持つ知識や情報をWebコンテンツに還元することが困難であるという問題がある。これを解決する1つの手段としては、HTMLにCGI(common gateway interface)と呼ばれる拡張プログラムを組み合わせ、ホームページ上に電子掲示板などの書き込み機能を実装するという方法があり、実装例も数多く存在する。しかしこの方法では、情報を追加できる範囲が制限されるため、ユーザーが、ホームページ上の任意の位置に新しいハイパーリンクを追加するといった柔軟な編集操作を行うことはできないという問題がある。これを解決する手段としては、ユーザーにHTML自体を変更する権限を与えるという方法があり、実装例もいくつか存在している。しかしこの方法には、HTMLの知識が全くないユーザーは利用できないという問題、ホームページで発信される情報自体が変更または消失する可能性があるという問題、さらにホームページ作者の著作権が侵害される可能性があるという問題を抱えている。
【0027】
(2)本実施の形態に係る、WWWを利用した教育支援システム(以下、単に「教育支援システム」という)は、上記の問題の全てに対処する仕組みである。本システムを用いることで、利用者は、Web教材コンテンツ中の任意の文字列に対する意見や質問等を、電子掲示板に書き込むように、簡単に新しいハイパーリンクとして定義することができる。具体的には、本教育支援システムのユーザーは、Web教材コンテンツを通常の方法で閲覧できると共に、自らの手でリンクとなる文字列を選択し、そのリンク先のWebコンテンツを、HTMLを直接編集することなく追記することができる。これと全く同じ手法で、追記された文章に対しても、更に新しい文章を追記することもできる。このような仕組みによって、元々のWeb教材コンテンツの情報を保持しつつ、その内容について利用者同士が対話をしながら、Webコンテンツを拡張していくという過程が実現する。
【0028】
(3)ユーザー或いはユーザーの共同体から提供された意見や知識情報を、もともとのWebコンテンツを変更せずに追加していくという仕組みには、教育支援以外にも、幾つかの有用な活用法が考えられる。その1つとして、ディジタルアーカイブ(有形・無形の文化財をディジタルデータとして保存したもの)をWeb上で公開し、鑑賞者からのフィードバックを集めることが挙げられる。
【0029】
(3)ディジタルアーカイブの作成者が収集・公開できる情報は限定的なものであり、それは文化という大きな現象の一部を捉えているにすぎない。文化は、それに関わった人間の知的活動の集大成である。それゆえ、作成者も鑑賞者も含めた多くの人々が持つ知識情報を、もともとのディジタルアーカイブの情報を変更しない形で、新しい追加情報として取り込み、それらを共有・再利用できるようにすることが理想的である。
【0030】
(4)複数のユーザーによる情報共有や議論を支援するという意味では、本教育支援システムをグループウェア(グループ内での共同作業を支援するシステム)として捉えることもできる。例えば、本システムを使うことで、提案書を基にブレインストーミングを行ったり、各種書類の推敲をしたり、公開前のWebコンテンツを吟味するといった作業を、インターネット上で行うことが可能となる。
【0031】
(5)本システムでは、まず核となるWeb教材コンテンツを、サイト管理者が作成する。サイト管理者は、Web教材をHTML文書として作成し、保存する。そして本システムで提供されているコマンドを使って、本システム独自のDTD(document type definition)に従ったXML(extensible markup language)形式の書類に変換する。この状態では、全ての文字列に対して利用者の書き込みが許可されているが、特定の領域への書込みを制限する場合は、管理者が、上記DTDに従ったタグを追加・編集する。その後サイト管理者は、作成・編集した書類を、本システムが提供するコマンドを使ってデータベースに格納する。他方ユーザーは、まずWebブラウザー上に表示されるHTML文書の中で、任意の文字列を指定する。この操作によってHTMLで記述されたフォームが表示されるので、利用者はその中の入力フィールドにコメントを記述し、投稿ボタンをクリックする。投稿された書類は本システムによって自動的にXMLに変換され、データベース中に登録される。XMLに変換された時点で、サイト管理者が作成したWeb教材コンテンツとユーザーが追加した書類とは、本システムの内部では等価となる。つまり本システムの内部では、全ての書類がXMLで管理されているが、ユーザーからの要求によって書類を表示する際には、XMLを通常のHTMLに変換した上でデータを送信する。それゆえ、HTMLのみに対応した一般的なWebブラウザーで、本教育支援システムを利用することが可能となる。以下では、閲覧の単位である各XMLファイルを「ドキュメント(書類)」と称する。
【0032】
(6)本教育支援システムによるWebサイトは、元になる1つの書類に対して複数の追記書類が存在するという、いわばツリー構造として成長していく。また本システムでは、書類を追記する際に、あらかじめ定義されている分類項目からその書類のカテゴリーを指定する必要があるが、その効用として、大量の書類の中から自分が求める種類の書類を見つけ出す作業が効率化される。さらにこのシステムでは、各書類に対して投票ができる仕組みが用意されており、その点数は書き込みをした利用者のランキングにも利用される。このため、利用者全体の中でより高い評価を得ている利用者を迅速に特定し、その利用者の発言のみを抽出するという操作もできるようになっている。
【0033】
(7)Web教材コンテンツは、任意のフレーズを指定できるようにするために、「分かち書き(文字列分割処理)」される。便宜上、日本語は1文字毎に分割し、他方アルファベットは単語毎に分割する。以下では、分かち書きされた各要素を「アトム」と称する。このように、テキストをアトムに分解し、そのアトムの集合であるフレーズに別のドキュメントをリンクさせることが、本教育支援システムの主たる特徴の1つである。
【0034】
[本教育支援システムの利用形態]
図1を参照して、学校内では、教育支援サーバー1、教師用PC(personal computer)21及び複数の生徒用PC22,23,24は、構内LAN(local area network)によって相互に接続されている。構内LANは、ルーター3を介してインターネット4に接続されている。他方、第1の家庭用PC25は、インターネット4にダイレクトに接続されている。第2の家庭用PC26は、モデム5を介してインターネット4に接続されている。第3の家庭用PC27は、他の情報端末や情報機器(図示せず)を家庭内LANによって相互に接続されている。家庭用LANは、ルーター6を介してインターネット4に接続されている。なお、以下の説明において、教師用PC21、生徒用PC22〜24及び家庭用PC25〜27を総称するときは「クライアントPC2」と称する。
【0035】
クライアントPC2には、特に参照符号を付していないが、PC本体、ディスプレイ、マウス及びキーボードが備えられている。
【0036】
[本教育支援システムの構成]
図2を参照して、本教育支援システムは、教育支援サーバー1からクライアントPC2に対してWeb教材コンテンツを提供するように構成されている。
【0037】
教育支援サーバー1は、WWWで公開されるWeb教材コンテンツを保存・管理するためのものであってアクセスモジュール11、データベース12、データベースマネジメントシステム13及び視覚化モジュールを備えている。他方、クライアントPC2は、第1のWebブラウザー201及び第2のWebブラウザー202を備えている。どちらのWebブラウザーについても、専用のものではなく一般的なものが適用できる。
【0038】
アクセスモジュール11は、サーバー1をクライアントPC2に接続するためのものであって、特にクライアントPC2にインストールされている第1のWebブラウザー201との間で相互に通信を行う。
【0039】
データベース12は、リンクテーブルLT(図3参照)及びユーザーテーブルUT(図4参照)の2つのテーブルで構成される。本教育支援システムでは、ドキュメントをリンクで管理する。すなわち、各Web教材コンテンツを1つのファイルとして保存し、その参照ファイル名と属性情報とを当該データベース12で管理する。加えて、本教育支援システムを利用するユーザー(管理者も含む)は、ユーザー登録を必要とし、その情報をユーザーテーブルUTに格納する。
【0040】
text型の属性には、SQL(structured query language)文における機能文字が含まれる可能性がある。そのため、属性値となる文字列は、EUC(extended unix code)による文字コードの16進数と「_」を組み合わせた形式にエンコードして格納する。例えば、「富士山」という文字列は、「C9_B9_BB_CE_BB_B3」として格納される。
【0041】
ドキュメントの情報を格納したXMLファイルは、例えば15.xmlのように、idに拡張子xmlを付けた名前でデータディレクトリーに格納される。idは、ドキュメントを追加する際にリンクテーブルLTの最終idからインクリメントして生成する。さらに、本文の同名の要素からmykey、pkey、phrase、subject、category及びownerの情報を受け取り、現在時刻からtimeを生成し、linkを「1」、cacheを「0」、cools及びjunksを空要素にしてリンクのレコードを作成し、それをリンクテーブルLTに加える。
【0042】
既存のドキュメントへのリンクを追加する際には、シンボリックリンクとしてリンクが作られる。具体的には、通常のリンク(ハードリンク)と同様に、idは最終idからインクリメントして振られ、mykeyはidから生成され、pkeyは親ドキュメントを指定し、phraseは対象フレーズを指定する。また、cache、cools及びjunksは、シンボリックでは意味を持たないので、「0」や空要素にしておく。そして、参照する実体を定義したハードリンクのmykeyをentryとして指定する。すなわち、「シンボリックリンク」とは、参照された際に本文をハードリンクから取得するという規定を持たせた、ドキュメントのもう1つのシグネクチャーである。「親ドキュメント」とは、閲覧中のドキュメント(ハードリンク)が持つpkeyをmykeyとして持つハードリンクの実体と定義されるものである。したがって、mykeyが複数のドキュメント(のハードリンク)で重複した場合は、idが大きい方をリンク先として優先させる。これは、Webコンテンツの実体を削除したり、書き換えたりすることなしにその内容を上書きできることを意味する(場合によっては処方を選択できる)。なお、上書きされた古いコンテンツも「兄移動」や「先輩移動」でidを遡ることによって参照することができる。
【0043】
他方、ユーザーの登録は、1つのモジュールで行われる。その際、idがインクリメントして振り振られ、name、password及びsquadは、任意にユーザーによって決められる。加えて、fcategory、fsquad、fnewly、fcools、iexpire、ijunks及びfriendlyについては、それを変更するための設定モジュールを設ける。
【0044】
historyは、キュー構造をとる。すなわち、ドキュメントを閲覧する度に追加されるが、一定数を超えると古い方から捨てられる。bookmarksは、配列として表現され、任意の添字の要素にユーザーがコンテンツIDを登録することができる。ユーザーは、historyとbookmarksとを任意に参照し、それが指示するドキュメントに移動することができる。responsesは、そのユーザーの著したドキュメントへのレスポンスの履歴であり、キュー構造をとるが、閲覧した要素はキューから削除される。
【0045】
上記のようにして設計されたデータベース12は、データベースマネジメントシステム13により管理される。このデータベースマネジメントシステム13は、データベース12に蓄積された情報(データ)を活用する。すなわち、データベースマネジメントシステム13は、以下の機能を有している。
【0046】
(1)初回のクライアントPC2の第1のWebブラウザー201からのリクエストに応じて、Web教材コンテンツ本文としてのHTML文書の全ての文字又は単語にインデックス情報を付加してインデックスデータを生成し、この生成したインデックス情報をキャッシュデータとしてデータベース12に登録する第1の機能。
【0047】
(2)2回目以降のクライアントPC2の第1のWebブラウザー201からのリクエストに応じて、データベース12に登録されている、インデックス情報付きのキャッシュデータをWeb教材コンテンツとしてクライアントPC2のディスプレイに表示させるために、キャッシュデータを第1のWebブラウザー201に送信する第2の機能。
【0048】
(3)クライアントPC2のディスプレイに表示されたWeb教材コンテンツとしてのキャッシュデータ上において、クライアントPC2のマウスによって書き込み対象となる文字列(フレーズ)が1文字単位又は単語単位で指定されると、クライアントPC2のキーボードによって書き込み対象文字列に関連するコメントを書き込むためのテキストフィールドTFを含む画面S(図11参照)をディスプレイに表示させるために、当該画面SをクライアントPC2に送信する第3の機能。
【0049】
(4)クライアントPC2のディスプレイに表示されたWeb教材コンテンツとしてのキャッシュデータ上において、クライアントPC2のマウスによって書き込み対象となる文字列が1文字単位又は単語単位で指定されると、クライアントPC2のディスプレイ上でどの範囲が指定されたかを1文字単位又は単語単位で認識する第4の機能。
【0050】
(5)クライアントPC2のキーボードによってテキストフィールドTFに書き込まれたコメントからHTML文書として作成された新しいWebコンテンツを生成し、この生成した新しいWebコンテンツに対して、認識された指定範囲からのハイパーリンクを設定する第5の機能。
【0051】
上記データベースマネジメントシステム13の第1の機能〜第5の機能のうち、特に第1の機能には、上記インデックス情報を生成する際、予めXML変換しておいたHTML文書の全ての文字又は単語に対して、その前後を上記インデックス情報としてのタグで囲んでアトムとする機能が含まれている。
【0052】
視覚化モジュール14は、HTMLコメント文書のドキュメント(書類)構造を視覚化し、この視覚化したHTMLコメント文書のドキュメント構造をクライアントPC2のディスプレイに表示させるために、当該ドキュメント構造をクライアントPCの第2のWebブラウザー202に送信するものであって、リレーショナルデータベース141及びリレーショナルデータベースマネジメントシステム142を備えている。リレーショナルデータベースマネジメントシステム142は、リレーショナルデータベース141に蓄積された情報(データ)を活用するものであって、以下の機能を有している。
【0053】
(1)クライアントPC2の第1のWebブラウザー201からHTMLコメント文書が送信されてくる度に、HTMLコメント文書のドキュメント構造をリレーショナルデータベース141に登録し、(換言すると、クライアントPC2においてテキストフィールドTFに重層的に書き込まれたHTMLコメント文書のドキュメント構造をリレーショナルデータベース141に登録し、)それによって当該ドキュメント構造を管理する機能。
【0054】
(2)クライアントPC2の第1のWebブラウザー201からの視覚化要求があると、リレーショナルデータベース141に登録されているHTMLコメント文書の階層構造を視覚化し、この視覚化したHTMLコメント文書のドキュメント構造をクライアントPC2のディスプレイに表示させるために、当該ドキュメント構造をクライアントPC2の第2のWebブラウザー202に送信する機能。
【0055】
上記の視覚化モジュール14は、WWWとデータベースを連携させるプログラムに一般的に用いられる、PHP言語によって実装される。
【0056】
PHP言語によって実装された視覚化モジュールは、データベースにアクセスし、本教育支援システムで作成された全てのドキュメントの階層構造を抽出する。そしてその情報から、階層化された書類の一覧と、それぞれの書類へのハイパーリンクを定義したHTML文書を生成する。生成されたHTML文書は、クライアントPC上の第2のWebブラウザーに表示される。
【0057】
この機能によって、利用者は、書類の関係構造を理解するとともに、そこから利用者間の情報のやりとりを容易に把握することができる。
【0058】
[本教育支援システムによる初期Web教材コンテンツの作成手順]
<通常のHTMLによるWeb教材コンテンツの作成>
元コンテンツの作成者は、図5に示すように、通常のHTML仕様に従ってコンテンツを作成する。
【0059】
<本教育支援システム用データへの変換>
元コンテンツの作成者は、図5に示すHTML仕様のデータを、urender コマンドによって本教育支援システム用データに自動変換する。図6に、この変換されたデータを示す。図6に示すデータ中の<unchiku...>タグは、ユーザーに対してコメントの追記を可能にする部分である。
【0060】
<本教育支援システム用データの登録>
元コンテンツの作成者は、図6に示すデータを、uregisterコマンドによってデータベース12に登録する。
【0061】
<Web教材コンテンツの最初のアクセスとキャッシュデータの作成>
元コンテンツ作成者又は一般ユーザーが、登録されたコンテンツにアクセスした時点で図7に示すようなインデックスデータが生成され、この生成されたインデックスデータをキャッシュデータとしてデータベース12に登録される。ここに、「インデックスデータ」とは、図7に示すように、全ての文字(アルファベットの場合には単語。以下において同じ)に対して<a href=”・・・avascript:go(・・・)”・・・>というタグが追加されたデータを指す。このタグによって、ユーザーがどの文字を指定したのかを特定することができる。
【0062】
[本教育支援システムの参照と追記手順]
<本教育支援システム上でのコンテンツ表示とブラウジング>
本教育支援システム上では、Web教材コンテンツのユーザーインターフェイスUIは、図8に示すように、クライアントPC2のディスプレイ上に表示される。このユーザーインターフェイスUIは、「メイン部M」、「ナビゲーション部N」及び「ダイアログ部D」の3つのフレームから構成されている。
【0063】
キャッシュデータとしてのインデックス化されたデータ(Web教材コンテンツのドキュメント本文)は、メイン部Mに表示される。このメイン部Mにおいて、コンテンツ中で下線部を付けて表示されている部分(実際には青下線が引かれ且つ青文字として表示されている部分)は、ユーザーによって追記されたデータへのハイパーリンクが存在することを示している。この部分をクライアントPC2のマウスでクリックすることにより、通常のWebブラウジングと同様に、ハイパーリンクに結び付けられているコンテンツを参照できる。詳細には、本文は、XMLのマークアップによって、「直接リンク」、「イディオム」及び「センテンス」とそれ以外の部分に分けられる。各々は、表示の際にジャバスクリプトのアンカーに書き換えられ、それらは全てユーザーによる書き込みが可能な文字列となる。「ブラウズ(閲覧)」及び「エントリー(記入)」の何れのモードであるかによって引き起こる処理は大別されるが、それはナビゲーション部Nのアイコン(ボタン)で切り替えられる。リンク先のリストの表示は、ダイアログ部Dになされ、そこからリンク先を選択すると、メイン部Mが書き換えられるようになる。
【0064】
直接リンクに関しては、クリックすると、指定された別のコンテンツに直接移動される。但し、書き込みはできない。イディオムに関しては、グループ化されたアトムであって、ブラウズ(閲覧)モードでクリックすると、マークアップによって指定されたフレーズを対象としたリンクのリストのリストが表示される。他方、エントリー(書き込み)モードでクリックすると、そのフレーズが書き込み対象として選択される。センテンスに関しては、アトムのストリングであって、ブラウズモードではクリックしたアトムを含み、その前後のストリングによって構成し得るフレーズに対するリンクのリストが表示される。他方、エントリーモードでは、始点と終点のアトムをクリックすることによって対象フレーズが選択される。
【0065】
ナビゲーション部Nには、モード変更や投票等のアイコンが配置されており、ユーザーは、それをクリックすることによってその操作を実行できる。なお、本教育支援システムでは、ドキュメントを擬人化し、コンテンツのツリー構造に対して家族関係のアナロジーを用いている。具体的には、このナビゲーション部Nにおいて縦に並んでいるアイコン(文字)のうち、「覧」は、現在のモードがブラウズモードであることを示しており、その下にあるアイコン「モード」をクリックすると、エントリーモードに移行する。アイコン「書類」をクリックすると、書類情報ダイアログが表示される。アイコン「投票」をクリックすると、投票ダイアログが表示される。アイコン「戻」をクリックすると、閲覧履歴における直前のドキュメントに移動する。アイコン「歴」をクリックすると、閲覧履歴の一覧が表示される。なお、このとき、任意のドキュメントに移動できるようにするのが好ましい。アイコン「親」をクリックすると、そのドキュメントの親ドキュメントに移動する。アイコン「祖」をクリックすると、そのドキュメントの祖先(ルーツ)に移動する。アイコン「兄」をクリックすると、同じ親を持つドキュメントの中で、そのドキュメントよりIDが1つ前のものに移動する。アイコン「弟」をクリックすると、同じ親を持つドキュメントの中で、そのドキュメントよりIDが1つ次のものに移動する。アイコン「古」をクリックすると、全てのドキュメントの中で、そのドキュメントよりもIDが1つ前のものに移動する。アイコン「新」をクリックすると、全てのドキュメントの中で、そのドキュメントよりIDが1つ次のものに移動する。アイコン「栞」をクリックすると、栞の一覧が表示される。栞はユーザーによって登録された書類へのリンク集であり、各項目をクリックするとその書類が表示される。アイコン「設」をクリックすると、ユーザープロフィールの設定フォームが表示される。アイコン「視覚化」をクリックすると、視覚化モジュール14が呼び出される。
【0066】
ダイアログ部Dでは、ユーザーの操作によって様々なCGIが呼び出され、その処理結果が表示される。閲覧するドキュメントを移動した際には、書類、リンクリスト、エントリー及び投票に関する情報ダイアログが表示される。なお、リンクリストを表示する際には新着順に整列することができる。書類に関する情報ダイアログでは、閲覧中のドキュメントの基本情報が表示される。この基本情報は、ドキュメント全体に対するアノテーションである。リンクリストに関する情報ダイアログでは、イディオム或いはアトムからのリンクリストが表示される。各リンクをクリックすると、それに対応した書類が表示される。エントリーに関する情報ダイアログでは、選択されたフレーズが表示され、「新規書類を登録」か「既存の書類へのリンク」かを選択させる。投票に関する情報ダイアログでは、ドキュメントの有用性に対する肯定的または否定的な評価を投票できる。
【0067】
その他にも、特に開示していないが、ユーザーインターフェイスUIには、ユーザビリティを向上させるための機能として、「閲覧履歴」、「栞」及び「設定」が用意されている。これらは、何れもメイン部Mに呼び出される。閲覧履歴機能では、閲覧してきたドキュメントのリストが表示され、リンク先に移動することもできる。栞機能では、栞を入れたドキュメントのリストが表示され、リンク先に移動することもできる。栞機能では、栞を入れたドキュメントのリストを表示し、リンク先に移動させたり、栞を置き換えたりすることもできる。設定機能では、ユーザーのグループや閲覧条件を設定する。
【0068】
各ユーザーが本教育支援システムを利用する際には、ユーザー名(ハンドルネーム)とパスワードの他に、設定モジュールによって以下の注目条件と無視条件とを指定できる。注目条件に適合したものは、メイン部Mに本文を表示する際に強調マークが付けられる。他方、無視条件に適合したものは、メイン部Mからのリンクが表示されなくなる。従ってユーザーは、その場所にリンクが存在していることに気が付かなくなる。但し、リンク先の書類自体は消去されないため、ナビゲーション部Nの移動アイコン(ボタン)を使用すれば、参照することができる。カテゴリーによる注目に関しては、指定したカテゴリーのドキュメントへのリンクが強調される。グループによる注目に関しては、指定したグループのユーザーが定義したリンクが強調される。登録日時による注目に関しては、指定した回数より最近に登録されたリンクが強調される。投票評価による注目に関しては、「いけてる」票が指定した票数より多いドキュメントへのリンクが強調される。登録日時による無視に関しては、指定した日数より前に登録されたリンクが無視される。投票評価による無視に関しては、「いけてない」票が指定した票数より多いドキュメントへのリンクが無視される。同フレーズなら表示に関しては、対象フレーズが同じで親が違うリンクも表示される。
【0069】
<コンテンツへの書き込み>
ユーザーは、ユーザーインターフェイスUIのナビゲーション部Nのアイコン「モード」をクライアントPC2のマウスでクリックして、モードをブラウズモード(閲覧モード)からエントリーモード(書き込みモード)に変更する。このとき、図9に示すように、アイコン「覧」からアイコン「記」に変わる。その後、書き込み対象の単語又はフレーズ(文字列)の始点にある1文字をクライアントPC2のマウスでクリックし、次に書き込み対象単語又はフレーズの終点にある1文字をマウスでクリックする。この操作によって、図10に示すように、第1のWebブラウザー201の下方に「新規書類を登録してクリック」というアイコン(ボタン)が表示される。このアイコンをマウスでクリックすると、図12に示すようにコメント書き込み画面SがクライアントPC2のディスプレイ上に表示される。このコメント書き込み画面Sが表示されると、まず、「表題」をクライアントPC2のキーボードを操作して記入し、「カテゴリー」を選択する。その後、追記したいコメントをその下のテキストフィールドTFにキーボードを操作して記入する。最後に、アイコン(ボタン)「フォーム送信」をマウスでクリックすると、追記コメントの書き込みが完了する。
【0070】
[本教育支援システムの動作の流れ]
図12を参照して、教育支援サーバー1側では、HTML教材を編集し(ステップS1)、この編集したHTML教材をXML変換する(ステップS2)。このとき、XML変換教材データは、データベース12に登録される。このデータベース12に登録されているXML変換教材データは、データベースマネジメントシステム13によって管理される。
【0071】
XML変換を終了すると、教育支援用サーバー1は、クライアントPC2からのアクセス要求を待つ(ステップS3)。このとき、クライアントPC2側でアクセス要求操作がなされ(ステップP1)、第1のWebブラウザー201からのアクセス要求信号を受信すると、サーバー1は、そのアクセス要求が初回のアクセス要求か否かを判別する(ステップS4)。ここで、初回のアクセスである場合には、サーバー1内のデータベースマネジメントシステム13は、文字列分割処理を行う。具体的には、データベースマネジメントシステム13が、データベース12からXML変換教材データを読み出し、この読み出したXML変換教材データを全ての文字の前後に対してタグを追加してインデックスデータを生成し、このインデックスデータをキャッシュデータとしてデータベース12に登録する。その後、サーバー1は、処理をステップS6に移す。他方、2回目以降のアクセスである場合には、サーバー1は、上記文字分割処理を行うことなく、処理をステップS6に移す。
【0072】
ステップS6に移行すると、教育支援サーバー1は、クライアントPC2に対し教材データを送信する。具体的には、キャッシュ教材データがデータベースマネジメントシステム13によりデータベース12から読み出され、この読み出されたキャッシュ教材データがアクセスモジュール11を介してクライアントPC2の第1のWebブラウザー201に送信される。
【0073】
教材データを受信すると(ステップP2:YES)、第1のWebブラウザー201は、この受信した教材データをクライアントPC2のディスプレイ上に表示する(ステップP3)。
【0074】
図13を参照して、教材データが表示されると、第1のWebブラウザー201は、閲覧モードから書き込みモードに変更されたか否かを判別する(ステップP4)。ここで、書き込みモードに変更されない場合には、Webブラウザー201は、処理ステップP14に移す。他方、書き込みモードに変更された場合には、Webブラウザー201は、クライアントPCのマウスにより書き込み対象の文字列の始点及び終点が指定されるのを待つ(ステップP5)。
【0075】
書き込み対象文字列の始点及び終点が指定されると、第1のWebブラウザー201は、クライアントPC2のマウスにより新規書類登録リンクアイコン(ボタン)がクリックされるのを待つ(ステップP6)。
【0076】
新規書類登録リンクがクリックされると、第1のWebサーバー1は、新規書類登録リンク要求信号を教育支援サーバー1に対して送信する(ステップP7)。
【0077】
他方、教育支援サーバー1側では、第1のWebブラウザー201からの新規書類登録リンク要求信号を受信したか否かを判別する(ステップS7)。ここで、新規書類登録要求信号を受信しない場合には、サーバー1は、処理をステップS14に移す。他方、新規書類登録リンク要求信号を受信すると、サーバー1は、コメント追記(書き込み)画面Sを第1のWebブラウザー201に送信する。
【0078】
コメント書き込み画面Sを受信すると(ステップP8:YES)、第1のWebブラウザー201は、フォーム送信アイコン(ボタン)がクライアントPC2のマウスによりクリックされるのを待つ(ステップP9)。
【0079】
フォーム送信がクリックされると、第1のWebブラウザー201は、第1のWebブラウザー201は、クライアントPC2のキーボードにより書き込み画面SのテキストフィールドTFへのコメントの書き込み(追記)が完了したと判断して、教育支援サーバー1に対してフォーム信号を送信し(ステップP10)、その後、処理をステップP11に移す。
【0080】
フォーム信号を受信すると(ステップS9:YES)、教育支援サーバー1内のデータベースマネジメントシステム13は、クライアントPC2のディスプレイ上でどの範囲が指定されたかを1文字単位で認識する(ステップS10)。その後、教育支援サーバー1は、テキストフィールドTFに書き込まれたコメントからHTML文書フォームの新しいWebコンテンツを生成し(ステップS11)、この生成した新しいWebコンテンツに対して、上記認識された指定範囲からのハイパーリンクを設定する。このとき、新しいWebコンテンツのHTMLコメント文書の書類(ドキュメント)構造は、リレーショナルデータベース141に登録され、この登録された書類構造は、リレーショナルデータベースマネジメントシステム142により管理・活用される。その後、教育支援サーバー1は、処理をステップS14に移す。
【0081】
ステップP11に移行すると、クライアントPC2側では、教育支援サーバー1との接続を終了したか否かを判別する。ここで、接続を終了しない場合には、第1のWebブラウザー201は、処理をステップP13に移す。他方、接続を終了した場合には、クライアントPC2は、教育支援サーバー1に対して接続終了信号を送信する(ステップP12)。
【0082】
ステップS14に移行すると、教育支援サーバー1は、接続終了信号を受信したか否かを判別する。ここで、接続終了信号を受信した場合には、サーバー1は、処理をステップS13に戻す。他方、接続終了信号を受信しない場合には、サーバー1は、処理をステップS15に移す。
【0083】
図14を参照して、ステップP13に移行すると、第1のWebブラウザー201は、視覚化アイコン(ボタン)がクライアントPC2のマウスによりクリックされたか否かを判別する。ここで、クリックされない場合には、Webブラウザー201は、処理をステップP4に戻す。他方、クリックされた場合には、Webブラウザー201は、教育支援サーバー1に対して視覚化要求信号を送信する(ステップP14)。
【0084】
ステップS15に移行すると、教育支援サーバー1は、視覚化要求信号を受信したか否かを判別する。ここで、視覚化要求信号を受信しない場合には、サーバー1は、ステップS7に戻す。他方、視覚化要求信号を受信した場合には、サーバー1内の視覚化モジュール14は、HTMLコメント文書の書類構造を視覚化する(ステップS16)。具体的には、リレーショナルデータベースマネジメントシステム142が、リレーショナルデータベース141に登録されている書類構造を読み出し、この情報を元に、階層化された書類の一覧と、それぞれの書類へのハイパーリンクを定義したHTML文書を生成する。
【0085】
視覚化処理が終了すると、視覚化モジュール14は、第2のWebブラウザー202に対して書類構造データを送信する(ステップS17)。その後、教育支援サーバー1は、処理をステップS18に移す。
【0086】
書類構造データを受信すると(ステップP15:YES)、第2のWebブラウザー202は、受信した書類構造データをクライアントPC2のディスプレイ上に表示する(ステップP16)。
【0087】
書類構造を表示すると、クライアントPC2は、教育支援サーバー1との接続を終了したか否かを判別する(ステップP17)。ここで、接続を終了しない場合には、第1のWebブラウザー201は、処理をステップP4に戻す。他方、接続をした場合には、クライアントPC2は、教育支援サーバー1に対して接続終了信号を送信する(ステップP18)。
【0088】
ステップS18に移行すると、教育支援サーバー1は、接続終了信号を受信したか否かを判別する。ここで、接続終了信号を受信しない場合には、サーバー1は、処理をステップS7に戻す。他方、接続終了信号を受信した場合には、サーバー1は、処理をステップS3に戻す。
【0089】
[作用・効果]
本実施の形態によると、以下の作用・効果を奏する。
【0090】
(1)初回のクライアントPC2の第1のWebブラウザー201からのリクエストがあると、教育支援サーバー1は、これに応じて、Web教材コンテンツに関するHTML文書の全ての文字又は単語にインデックス情報を付加してインデックスデータを生成する。この生成されたインデックスデータは、キャッシュデータとしてデータベース12に登録される。2回目以降のクライアントPC2の第1のWebブラウザー201からのリクエストがあると、教育支援サーバー1は、これに応じて、データベース12に登録されているキャシュデータをWeb教材コンテンツとしてクライアントPC2のディスプレイに表示させるために、当該キャッシュデータを第1のWebブラウザー201に送信する。クライアントPC2において、Web教材コンテンツとしてのキャッシュデータ上で書き込み対象となる文字列(フレーズ)が1文字単位又は単語単位で指定されると、教育支援サーバー1は、書き込み対象文字列に関連するコメントを書き込むためのテキストフィールドTFを含む画面SをクライアントPC2のディスプレイ上に表示する。したがって、上記の第1のWebブラウザーは、専用のものではなく一般的なもので済む。その結果、一般的なWebブラウザーを使用しつつも、HTML文書で作成されたWeb教材コンテンツに対するコメント追記と高速表示とが可能になる。
【0091】
(2)クライアントPC2において、Web教材コンテンツキャッシュデータ上で書き込み対象文字列がマウスにより1文字単位又は単語単位で指定されると、教育支援サーバー1は、クライアントPC2でどの範囲が指定されたかを1文字単位又は単語単位で認識する。クライアントPC2においてテキストフィールドTFにコメントが書き込まれると、教育支援サーバー1は、書き込まれたコメントからHTML文書として作成された新しいWebコンテンツを生成し、この生成した新しいWebコンテンツに対して、認識された範囲からのハイパーリンクを設定する。それゆえ、通常のWebブラウジングと同様に、ハイパーリンクで結び付けられたコンテンツを参照できる。
【0092】
(3)教育支援サーバー1は、クライアントPC2においてテキストフィールドTFに重層的に書き込まれたコメントであるHTML文書の書類構造をリレーショナルデータベース141に登録し、このリレーショナルデータベース141によって、あるレコードを他のファイルのレコードと関連付けつつ処理を行って管理する。換言すると、HTML文書の書類構造は、1件のデータ(レコード)を複数の項目(フィールド)の集合として表現され、データの集合がデータ形成で管理される。そのため、重層的な追記コメント(HTML文書)の構造を効率よく管理することができる。その結果、ID番号や名前等のキーとなるデータを利用してデータの結合や抽出を容易に行うことができる。
【0093】
(4)教育支援サーバー1は、クライアントPC2の第1のWebブラウザー201から視覚化要求があると、リレーショナルデータベース141に登録されているHTML文書構造を視覚化し、この視覚化したHTML文書構造を第2のWebブラウザー202に送信する。そのため、クライアントPC2のディスプレイ上に表示されるHTML文書の書類構造は、構造が簡単で理解が容易となる。
【0094】
(5)インデックスデータを生成する際、教育支援サーバー1は、予めXML変換しておいたHTML文書の全ての文字に対して、その前後をインデックス情報としてのタグで囲んでアトム化する。したがって、文字の前後を囲んだタグによって、クライアントPC2のマウスでどの文字が指定されたかを特定することができる。
【0095】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本明細書に添付の特許請求の範囲内での種々の設計変更及び修正を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、専用のWebブラウザーを使用することなく、一般的なHTML文書で作成されたWeb教材コンテンツに対するコメント追記と高速表示とを可能にするゆえ、WWWを利用した教育支援システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施の形態に係る、WWWを利用した教育支援システムの利用形態を簡略化して示す図
【図2】教育支援システムの構成を概念的に示すブロック図
【図3】リンクテーブルの構成を示す図
【図4】データテーブルの構成を示す図
【図5】Web教材コンテンツとしてのHTML文書の一例を示す図
【図6】図5に示すHTML文書をXML変換した文書の一例を示す図
【図7】図6に示すXML変換文書をキャッシュデータ化した一例を示す図
【図8】Web教材コンテンツのユーザーインターフェイスの一例を示す図
【図9】閲覧モードから書き込みモードの移る際のアイコンの変化を図解的に示す図
【図10】文字列の指定操作によって表示されるアイコンを示す図
【図11】書き込み画面の一例を示す図
【図12】教育支援システムの処理動作の流れを示すフローチャート
【図13】教育支援システムの処理動作の流れを示すフローチャート
【図14】教育支援システムの処理動作の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0098】
1 サーバー
11 アクセスモジュール
12 データベース
13 データベースマネジメントシステム
14 視覚化モジュール
141 リレーショナルデータベース
142 リレーショナルデータベースマネジメントシステム
2(21〜27) クライアントPC
201 第1のWebブラウザー
202 第2のWebブラウザー
4 インターネット
S コメント書き込み画面
TF テキストフィールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HTML文書として作成されたWeb教材コンテンツをWWWで公開する教育支援システムであって、
この教育支援システムは、
上記WWWで公開されるWeb教材コンテンツを保存・管理するためのサーバーと、
第1のWebブラウザーを有し、上記WWWで公開されたWeb教材コンテンツを第1のWebブラウザーにより閲覧できるクライアント端末と、を備えており、
上記サーバーは、
初回の上記クライアント端末の第1のWebブラウザーからのリクエストに応じて、上記HTML文書の全ての文字又は単語にインデックス情報を付加してインデックスデータを生成し、この生成したインデックス情報をキャッシュデータとしてデータベースに登録する文字列分割処理手段と、
2回目以降の上記クライアント端末の第1のWebブラウザーからのリクエストに応じて、上記データベースに登録されている上記インデックス情報が付加されたキャッシュデータをWeb教材コンテンツとして当該クライアント端末の表示手段に表示させるために、当該キャッシュデータを当該第1のWebブラウザーに送信する教材送信手段と、
この教材送信手段により上記クライアント端末に送信された上記Web教材コンテンツとしてのキャッシュデータ上において、当該クライアント端末によって書き込み対象となる文字列が1文字単位又は単語単位で指定されると、当該書き込み対象文字列に関連するコメントを書き込ませるためのテキストフィールドを含む画面を当該クライアント端末に表示させるために、当該画面を当該クライアント端末の第1のWebブラウザーに送信する書き込み画面送信手段と、を含むことを特徴とする、WWWを利用した教育支援システム。
【請求項2】
上記サーバーは、
上記教材送信手段により上記クライアント端末に送信されたWeb教材コンテンツとしてのキャッシュデータ上において、当該クライアント端末によって書き込み対象となる文字列が1文字単位又は単語単位で指定されると、当該クライアント端末上でどの範囲が指定されたかを1文字単位又は単語単位で認識する指定範囲認識手段と、
上記クライアント端末において上記テキストフィールドに書き込まれたコメントからHTML文書として作成された新しいWebコンテンツを生成し、この生成した新しいWebコンテンツに対して、上記指定範囲認識手段により認識された指定範囲からのハイパーリンクを設定するリンク設定手段と、をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のWWWを利用した教育支援システム。
【請求項3】
上記サーバーは、
上記クライアント端末において上記テキストフィールドに重層的に書き込まれたコメントであるHTML文書の構造をリレーションナルデータベースに登録し、それによって当該HTML文書構造を管理する文書構造管理手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のWWWを利用した教育支援システム。
【請求項4】
上記クライアント端末は、
上記リレーショナルデータベースに登録されている上記HTML文書構造を閲覧できる第2のWebブラウザーをさらに有し、
上記サーバーは、
上記クライアント端末の第1のWebブラウザーからの視覚化要求があると、上記リレーショナルデータベースに登録されている上記HTML文書構造を視覚化し、この視覚化したHTML文書構造を当該クライアント端末に表示させるために、当該HTML文書構造を当該クライアント端末の第2のWebブラウザーに送信する文書構造送信手段をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載のWWWを利用した教育支援システム。
【請求項5】
上記文字列分割手段は、
上記インデックスデータを生成する際、予めXML変換しておいた上記HTML文書の全ての文字又は単語に対して、その前後を上記インデックス情報としてのタグで囲む手段を含むことを特徴とする、請求項1乃至4の何れかに記載のWWWを利用した教育支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−209159(P2006−209159A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363941(P2004−363941)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
【出願人】(504462445)
【出願人】(504462962)
【Fターム(参考)】