X線コンピュータ断層撮影装置
【課題】本発明の目的は、被検体の呼吸運動の安定化を促進することにある。
【解決手段】X線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを有するガントリ100と、X線検出器の出力に基づいて断層像データを発生する断層像発生部114と、被検体に関する心電図に基づいて心拍動の状態に関する複数の心拍インデックスを即時に計算する心拍インデックス計算部1208と、計算された複数の心拍インデックスの中から、ユーザインストラクションに従って、少なくとも一の心拍インデックスを選択する心拍インデックス選択部1205と、ガントリのハウジングに直接的又はアームを介して保持され、選択された心拍インデックスを即時に表示するための表示部1201とを具備する。
【解決手段】X線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを有するガントリ100と、X線検出器の出力に基づいて断層像データを発生する断層像発生部114と、被検体に関する心電図に基づいて心拍動の状態に関する複数の心拍インデックスを即時に計算する心拍インデックス計算部1208と、計算された複数の心拍インデックスの中から、ユーザインストラクションに従って、少なくとも一の心拍インデックスを選択する心拍インデックス選択部1205と、ガントリのハウジングに直接的又はアームを介して保持され、選択された心拍インデックスを即時に表示するための表示部1201とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体を撮影して医用画像を発生するX線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
安定した呼吸は、アーチファクトを低減して画質を向上するには必須である。従来、呼吸運動の安定化は、操作者が操作室からマイクロホンを通して被検体に音声指示により図っていた。しかし、音声指示では、呼吸運動を安定させるには難しく、また被検体の安定呼吸を把握していない操作者からの不適当な指示により逆に不安定化させてしまう事態も生じていた。特許文献1が参照される。
【0003】
また、X線コンピュータ断層撮影装置においては、心電同期スキャンや心電同期再構成法等の被検体の心電波形を要する撮影法や再構成法が従来から用いられている。しかし、従来のX線コンピュータ断層撮影装置では、心電図の取り込み状態を確認することができず、良好に心電同期されていないことがある。また、心電同期撮影や心電同期再構成ではなくても、心拍が安定している時期にスキャニングを行うことがアーチファクト軽減の観点から好ましいが、それを確認することはできず、操作者が自己の経験から心拍数を見て安定期を判断してスキャニングを開始していた。特許文献1が参照される。
【0004】
また、従来、音声で被検体へ検査中の取るべき行動を指示していた。例えば、息を止める指示や動かない指示などを装置の自動音声再生装置や操作者のマイクロホンからの肉声で行っていた。被検体は全ての情報を音声に依存しており、音声に依らなければ息止めの残り時間や検査の残り時間等の情報を知ることができず、被検体が不安を抱く状況の発生が予測される。また、撮影に際しても、被検体はできるだけ安静を保ちリラックスして心拍や呼吸を安定させることが体動アーチファクト低減のためにも望ましいが、従来装置にはそのようなリラックスを促すような術がなかった。以下特許文献1が参照される。
【特許文献1】特開2003−265464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、被検体の呼吸運動の安定化を促進することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面において、X線を発生するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを有するガントリと、前記X線検出器の出力に基づいて断層像データを発生する断層像発生部と、前記被検体に関する心電図に基づいて心拍動の状態に関する複数の心拍インデックスを即時に計算する心拍インデックス計算部と、前記計算された複数の心拍インデックスの中から、ユーザインストラクションに従って、少なくとも一の心拍インデックスを選択する心拍インデックス選択部と、前記ガントリのハウジングに直接的又はアームを介して保持され、前記選択された心拍インデックスを即時に表示するための表示部とを具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある局面によれば、被検体の呼吸運動の安定化を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施例)
以下、図面を参照して本発明によるX線コンピュータ断層撮影装置の実施例を説明する。なお、本発明は、X線コンピュータ断層撮影装置に限定されず、X線診断装置、磁気共鳴映像装置(MRI)、超音波診断装置、ガンマカメラ等の被検体に関する画像を発生する他の医用画像撮影装置に適用できる。また、本発明は、呼吸指示機能に特化した呼吸指示装置としても適用され得る。ここでは、X線コンピュータ断層撮影装置を例に説明する。なお、X線コンピュータ断層撮影装置には、X線管と放射線検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転(ROTATE/ROTATE)タイプと、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(STATIONARY/ROTATE)タイプ等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。ここでは、現在、主流を占めている回転/回転タイプとして説明する。また、1スライスの断層像データを再構成するには、被検体の周囲1周、約360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ビュー角分の投影データが必要とされる。いずれの再構成方式にも本発明を適用可能である。また、入射X線を電荷に変換するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線による半導体内の電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよいが、ここでは、前者の間接変換形として説明する。また、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本発明では、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれにも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
【0009】
図1に、本実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の主要部の構成を示している。本実施例のX線コンピュータ断層撮影装置は、ガントリ100を有する。ガントリ100は、円環状の回転フレーム102を有する。回転フレーム102は、回転駆動部107により駆動され回転軸RAを中心に回転する。この回転フレーム102には、X線管101とX線検出器103と搭載されている。X線管101に対してX線検出器103は回転軸RAを挟んで対応する。X線管101は、高電圧発生装置109からスリップリング108を経由して管電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受け、X線を発生する。X線検出器103は、被検体を透過したX線を検出し、入射X線の線量を反映した電気信号を出力する。X線検出器103から出力される信号(純生データと呼ばれる)は、データ収集回路104、非接触データ伝送装置105を経由して前処理装置106に供給される。前処理装置106で、感度補正、対数変換等の処理を受けたデータ(投影データ又は生データと呼ばれる)は、データ記憶装置112に記憶される。
【0010】
ガントリ100又はその近傍には呼吸検出器203とマイクロホン204が設けられる。呼吸検出器203は、被検体の呼吸運動を検出し、呼吸指標値に関するデータ又はそれに相当するデータ(以下単に呼吸データという)を出力する。呼吸データは、データ記憶装置112に記憶される。呼吸検出方法としては呼吸流速や流量を計測するもの等各種用いられているが、ここでは、被検体への心理的負担の小さい簡易な方法として呼吸運動によって周期的に変化する被検体の胸部の厚さを採用するものとする。マイクロホン204は、ここでは主に被検体自身の呼吸音を検出するために設けられる。この呼吸音は録音され、規則的呼吸波形の表示とともに呼吸ガイドとしてスピーカ部202を介して再生される。
【0011】
ガントリマウントディスプレイ201は、ガントリ100又はその近傍に配置される。具体的には、図2に示すように、ガントリ100のハウジング表面であって、X線障害物にならず、かつ開口部208に挿入された被検体から視認できる場所、典型的には開口部208の周囲のすり鉢状に傾斜する部分に、液晶パネル等によるガントリマウントディスプレイ201が配置される。図3に示すように、ガントリマウントディスプレイ201は、ガントリ100から自由多関節アーム221を介して保持されてもよい。ガントリスピーカ部202は、ガントリ100又はその近傍に配置され、具体的にはガントリ100のハウジング表面であって、X線障害物にならず、かつ開口部203に挿入された被検体から聴覚しやすい場所、典型的には開口部203の周囲のすり鉢状に傾斜する部分に配置される。
【0012】
スキャンコントローラ110は、データ収集(スキャン)のために、回転駆動部107、高電圧発生装置109等の各動作を制御する。再構成装置114は、データ記憶装置112に記憶された投影データに基づいて断層像データを再構成する。表示装置116は、主に断層像データを表示するために設けられる。操作デバイス115は、操作者の指示を入力するためにキーボード、マウス等から構成される。
【0013】
ディスプレイ/スピーカ制御部205は、規則的呼吸波形発生部207で発生された規則的呼吸波形のガントリマウントディスプレイ201への表示、及び記憶的呼吸音発生部208で発生された規則的呼吸波形に対応する規則的呼吸音のガントリスピーカ部202からの再生出力を制御する。本実施例では、規則的呼吸波形を発生して、それを被検体に提示するとともに、その規則的呼吸波形に対応する呼吸音(規則的呼吸音)を再生することで、被検体の呼吸運動の安定化を促進することに特徴がある。
【0014】
図4には、呼吸検出器203で検出された呼吸波形に一例を示している。呼吸指標値としての胸部の厚さは、吸気期間で急速に増加し、吸気期間終端で最大となり、呼気期間で緩やかに低下していき、呼気期間終端で最小となる。ここでは、同定容易な吸気期間終端から次の吸気期間終端までの期間を一単位期間として呼吸期と称し、その時間幅を呼吸周期と定義する。また、一の呼吸期内の部分的な波形を呼吸波形の最小単位として波形要素と定義する。また、吸気期間終端を起点としてそこから予め決定されている固定時間を経過するまでの期間を、本実施例では、呼吸運動が安定しているか否かを判定するための窓期間として定義する。この窓期間に含まれる呼吸波形の部分を、波形部分と称するものとする。また、呼吸運動による胸部厚の変化、つまり吸気期間終端時の厚さ(最大厚)と、呼気期間終端時の厚さ(最小厚)との差を、呼吸深度と称する。後述するように呼吸深度は呼吸期毎に計算される。
【0015】
上述したように本実施例では、規則的呼吸波形の提示を特徴の一つとしている。規則的呼吸波形とは、安定的に呼吸を繰り返している時期に被検体自身が発したそれ固有の呼吸波形に由来する呼吸周期及び変動が一定の規則的な呼吸波形であり、本質的には被検体が最も安楽な呼吸運動を行い得る波形といえる。特に被検体自身の呼吸波形から生成することが重要であり、その被検体の個人的な呼吸の癖や仕様を反映させることができ、それによりいわゆる汎用の呼吸波形を単に伸張し又は短縮して提示することに比して、呼吸運動の安定化を促進する効果は格別に向上する。
【0016】
本実施例では、規則的呼吸波形の作成方法について以下の説明するように3種類提供する。実際的には、規則的呼吸波形発生部207においてこれら3種類の作成方法に応じた3種類のプログラムコードを操作者の指示に従って選択的に実行して、いずれか任意の作成方法を適用する。以下、3種類の規則的呼吸波形の作成方法について順番に説明する。なお、規則的呼吸波形の作成前に、被検体の呼吸が呼吸検出器203により検出され、例えば数分間の呼吸データがデータ記憶装置112に記憶される。またそれと同時期に、被検体の呼吸音がマイクロホン204により検出され、その呼吸音データがデータ記憶装置112に記憶される。呼吸データと呼吸音データとの間は、典型的にはタイムスタンプにより対応付けられる。
【0017】
図5には、第1の規則的呼吸波形の作成手順を模式的に示している。規則的呼吸波形発生部207には、呼吸検出器203で少なくとも1分間の期間に収集した呼吸データがデータ記憶装置112から供給される。規則的呼吸波形発生部207において、まず、少なくとも1分間の呼吸波形から吸気期間終端が呼吸波形の極大値により特定され、呼吸期間全体が複数の呼吸期に区分される。区分された複数の呼吸期にしたがって呼吸波形が複数の波形要素に分割される。複数の波形要素について個別に呼吸周期と呼吸深度が計算される。計算された呼吸周期から、出現頻度の最も高い呼吸周期が特定される。特定された出現頻度の最も高い呼吸周期に対応する複数の呼吸要素から、最も呼吸深度の高い波形要素が択一的に特定される。特定された波形要素が連結され、規則的呼吸波形が発生される。この規則的呼吸波形は、当然にして、呼吸周期、呼吸深度ともに完全に一定である。また、その波形形状は被検体固有の呼吸の動きである。
【0018】
発生された規則的呼吸波形に従って、ディスプレイ/スピーカ制御部205は、規則的呼吸波形に基づいて呼吸ガイド画面を構成し、ガントリマウントディスプレイ201に表示させる。図8に呼吸ガイド画面の一例を示している。なお、この画面には、呼吸ガイド表示領域(A)とともに、被検体に対する指示や検査等に関する各種情報を提供するための表示領域(B)と、被検体と操作者との両方を対象とした表示領域(C)とから構成される。表示領域(B)には、検査やスキャンの進行状況に応じた情報として例えばスキャンの残り時間、検査のタイムスケジュール、スキャンと次のスキャンとの間の休止時間に対する次のスキャンまでの残りの休止時間等の情報が表示される。また、表示領域(C)には、例えば患者情報、撮影技師情報、病院案内情報、さらに広告情報が表示される。これら領域(B)、(C)の画面構築は、制御部205又は領域毎の専用化された他の構成要素によりなされる。
【0019】
呼吸ガイド表示領域(A)において、規則的呼吸波形の絵柄301が例えば右側から左側に実時間経過に従って流れていくように表示される。この規則的呼吸波形の絵柄301上には、呼吸ガイドマーク303が重ねられる。呼吸ガイドマーク303の横位置は画面内の特定位置で固定され、縦位置は規則的呼吸波形の絵柄301の流れに従って上下に移動する。被検体は規則的呼吸波形の絵柄301の流れとともにこの呼吸ガイドマーク303の上下移動による案内を受けて呼吸動作を徐々に安定化させていくことができる。
【0020】
また、ディスプレイ/スピーカ制御部205は、規則的呼吸波形の絵柄301の流れ及び呼吸ガイドマーク303の上下移動に同期して、当該波形要素を検出したときに同時にマイクロホン204を介して被検体から録音した呼吸音を再生し、スピーカ部202から出力する。この呼吸音は自身の発する呼吸音であり、規則的呼吸波形の絵柄301の流れ及び呼吸ガイドマーク303の上下移動とともに、呼吸動作の安定化をさらに促進することができる。
【0021】
図6には、第2の規則的呼吸波形の作成手順を模式的に示している。上述と同様に、規則的呼吸波形発生部207には、呼吸検出器203で少なくとも1分間の期間に収集した呼吸データがデータ記憶装置112から供給される。規則的呼吸波形発生部207において、まず、少なくとも1分間の呼吸波形から吸気期間終端が呼吸波形の極大値により特定される。
【0022】
特定された吸気期間終端各々を起点としてそこから予め決定されている固定時間を経過するまでの区間に窓期間を規定する。窓期間は、操作者により任意調整可能であり、少なくとも3つの呼吸期が含まれるように典型的には5秒ないし10秒のいずれかの幅に設定される。窓期間ごとに、呼吸周期の変動と、呼吸深度の変動とが計算される。呼吸周期の変動は、窓期間の中に含まれる複数の呼吸期中で、最長呼吸周期と最短呼吸周期との差として計算される。呼吸深度の変動は、窓期間の中に含まれる複数の呼吸期中で、最大呼吸深度と最小呼吸深度との差として計算される。
【0023】
規則的呼吸波形発生部207では、複数の窓期間に対応する複数の波形部分を、呼吸深度がある程度以上深い、つまり呼吸深度が閾値以上を示す複数の波形部分に絞り込み、その中から呼吸周期の変動が最も小さい波形部分を特定する。なお、呼吸周期の変動が最も小さい波形部分が複数存在するときは、呼吸深度がもっとも深い波形部分が選択される。 この特定された波形部分は、呼吸深度が十分深くしかも一定の周期で呼吸を繰り返している最も安定的な呼吸運動を表している。特定された波形部分が連結され、規則的呼吸波形が発生される。図8に示したようにこの規則的呼吸波形に従って、ディスプレイ/スピーカ制御部205の制御のもと、呼吸ガイド画面がガントリマウントディスプレイ201に表示され、また規則的呼吸波形の絵柄301の流れ及び呼吸ガイドマーク303の上下移動に同期して、当該波形部分を検出したときに同時にマイクロホン204を介して被検体から録音した呼吸音を再生し、スピーカ部202から出力する。
【0024】
図7には、第3の規則的呼吸波形の作成手順を模式的に示している。上述と同様に、規則的呼吸波形発生部207には、呼吸検出器203で少なくとも1分間の期間に収集した呼吸データがデータ記憶装置112から供給される。規則的呼吸波形発生部207において、まず、少なくとも1分間の呼吸波形から吸気期間終端が呼吸波形の極大値により特定される。特定された吸気期間終端各々を起点としてそこから予め決定されている固定時間を経過するまでの区間に窓期間を規定する。窓期間は、少なくとも3つの呼吸期が含まれる。窓期間ごとに、呼吸周期の変動と、呼吸深度の変動とが計算される。呼吸周期の変動は、窓期間の中に含まれる複数の呼吸期中で、最長呼吸周期と最短呼吸周期との差として計算される。呼吸深度の変動は、窓期間の中に含まれる複数の呼吸期中で、最大呼吸深度と最小呼吸深度との差として計算される。
【0025】
規則的呼吸波形発生部207では、複数の窓期間に対応する複数の波形部分を、呼吸深度が閾値以上を示す複数の波形部分に絞り込み、その中から呼吸周期の変動が最も小さい所定数、例えば呼吸周期の変動が最も小さいものから上位3つの波形部分を特定する。
【0026】
この特定された3つの波形部分を平均化して、平均化された単一の波形部分を生成する。平均化とは、3つの波形部分から同じ時相の3つの呼吸指標値を取り出してその平均値を計算することである。つまり平均波形部分は、3つの呼吸指標値の平均に関する時間変化を表している。
【0027】
なお、3つの波形部分から単一の波形部分を生成する処理方法としては、平均化処理に限定されず、例えば3つの波形部分の各時相の3つの呼吸指標値の中央値から単一の波形部分を生成するようにしてもよいし、3つの呼吸指標値の最大値又は最小値から単一の波形部分を生成するようにしてもよい。
【0028】
生成された平均波形部分が連結され、規則的呼吸波形が発生される。図8に示したようにこの規則的呼吸波形に従って、ディスプレイ/スピーカ制御部205の制御のもと、呼吸ガイド画面がガントリマウントディスプレイ201に表示され、また規則的呼吸波形の絵柄301の流れ及び呼吸ガイドマーク303の上下移動に同期して、当該3つの波形部分のいずれかの波形部分を検出したときに同時にマイクロホン204を介して被検体から録音した呼吸音を再生し、スピーカ部202から出力する。典型的には、当該3つの波形部分の中から、呼吸周期の変動が最も小さい波形部分と、呼吸周期の変動が最も大きい波形部分を除いて、呼吸周期の変動が中央を示す波形部分を検出したときの呼吸音を再生する。
【0029】
以上のように、本実施例によると、安定的に呼吸を繰り返している時期に被検体自身が発したそれ固有の呼吸波形を呼吸ガイドとして提示し、またその時夫実際の呼吸音を流すことで、呼吸運動の安定化を促進する効果は格別といえる。
【0030】
(第2実施例)
以下、図面を参照して本発明によるX線コンピュータ断層撮影装置の実施例を説明する。なお、本発明は、X線コンピュータ断層撮影装置に限定されず、X線診断装置、磁気共鳴映像装置(MRI)、超音波診断装置、ガンマカメラ等の被検体に関する画像を発生する他の医用画像撮影装置に適用できる。また、本発明は、心電情報表示機能に特化した心電情報表示装置としても適用され得る。ここでは、X線コンピュータ断層撮影装置を例に説明する。なお、X線コンピュータ断層撮影装置には、X線管と放射線検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転タイプと、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転タイプ等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。また、1スライスの断層像データを再構成するには、被検体の周囲1周、約360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ビュー角分の投影データが必要とされるが、いずれの再構成方式にも本発明を適用可能である。また、入射X線を電荷に変換するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線による半導体内の電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流であるが、X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよい。また、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本発明では、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれにも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
【0031】
図9に、本実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の主要部の構成を示している。本実施例のX線コンピュータ断層撮影装置は、ガントリ1100を有する。ガントリ1100は、円環状の回転フレーム1102を有する。回転フレーム1102は、回転駆動部1107により駆動され回転軸RAを中心に回転する。この回転フレーム1102には、X線管1101とX線検出器1103と搭載されている。X線管1101に対してX線検出器1103は回転軸RAを挟んで対応する。X線管1101は、高電圧発生装置1109からスリップリング1108を経由して管電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受け、X線を発生する。X線検出器1103は、被検体を透過したX線を検出し、入射X線の線量を反映した電気信号を出力する。X線検出器1103から出力される信号は、データ収集回路1104、非接触データ伝送装置1105を経由して前処理装置1106に供給される。データ収集回路1104から出力されるデータは、一般的に純生データと呼ばれる。純生データは、前処理装置1106で、感度補正、対数変換等の前処理を受ける。前処理を受けた純な名データは、再構成処理直前の段階のあるデータであり、一般的に、投影データ又は生データと呼ばれる。投影データは、データ記憶装置1112に記憶される。
【0032】
ガントリ1100又はその近傍には心電計1203が設けられる。心電計1203は、被検体の心臓の拍動を伴う電気現象を検出し、その時間変化としての心電図のデータを発生する。心電図データは、データ記憶装置1112とともに後述するR波検出部1206に供給される。
【0033】
ガントリマウントディスプレイ1201は、ガントリ1100又はその近傍に配置される。具体的には、図10に示すように、ガントリ1100のハウジング表面であって、X線障害物にならず、かつ開口部1210に挿入された被検体及びガントリ1100の近傍に立つ操作者から視認できる場所として典型的には開口部1208の周囲のすり鉢状に傾斜する部分に、液晶パネル等によるガントリマウントディスプレイ1201が配置される。図11に示すように、ガントリマウントディスプレイ1201は、ガントリ1100から自由多関節アーム1221を介して保持されてもよい。
【0034】
スキャンコントローラ1110は、データ収集(スキャン)のために、回転駆動部1107、高電圧発生装置1109等の各動作を制御する。再構成装置1114は、データ記憶装置1112に記憶された投影データに基づいて断層像データを再構成する。表示装置1116は、主に断層像データを表示するために設けられる。操作デバイス1115は、操作者の指示を入力するためにキーボード、マウス等の操作部と操作画面を表示するための表示部とから構成される。
【0035】
ディスプレイ制御部1205は、表示レイアウト設計支援部1209の支援のもとで操作者により操作デバイス1115を介して設計された表示レイアウトに従って、心拍インデックス計算部1208で計算された心拍インデックスや心電図等の表示アイテムをレイアウトして、ガントリマウントディスプレイ1201に表示するために必要な処理及び制御を行うために設けられる。R波検出部1206は、心電計1203から供給された心電図の特徴波として典型的にはR波を検出する。心拍周期計算部1207は、R波検出部1206で検出されたR波の周期、つまり心拍周期を計算する。心拍インデックス計算部1208は、心拍周期計算部1207で計算された心拍周期に基づいて、被検体の心拍動の状態に関する複数の心拍インデックスを計算する。
【0036】
心拍インデックス計算部1208で計算され得る複数の心拍インデックスは、例示すると、次の通りである。
・心拍数;1分当たりの心拍の回数であり、1心拍に要する時間(単位は秒)としての心拍周期で60秒を割り算した値として心拍周期毎に計算される。
・区間平均心拍数;一定の区間として例えば10秒の間においてR波検出(心拍周期計算)ごとに繰り返し計算された複数の心拍数の平均値として計算される。
・心拍数差;区間平均心拍数に対する心拍数の変動を表す値として、区間平均心拍数から心拍数を引き算した値で計算される。
・自由計算式により計算された値;心拍数、心拍周期、区間平均心拍数、心拍数差等を変数として任意に設定した計算式により計算される。
【0037】
表示レイアウト設計支援部1209は、操作者が、表示可能な複数の表示アイテムの中から実際に表示する少なくとも一つの表示アイテムを指定し、また指定した表示アイテムを表示領域にどのように配置するかという表示レイアウトを設計する操作を支援するための画面及びその関連処理を行うために設けられる。表示アイテムには、上記心拍インデックス計算部1208で計算される心拍数、区間平均心拍数、心拍数差、自由計算値の他に、心電計1203で発生された心電図の波形、心拍数の履歴、心拍数差の履歴がある。心拍数の履歴とは例えば最新の10心拍分の心拍数をそのまま数値表記で時系列に並記したものである。また、心拍数差の履歴とは例えば最新の10心拍分の心拍数差をそのまま数値表記で時系列に並記したものである。
【0038】
図12には、ディスプレイ制御部1205の制御のもとでガントリマウントディスプレイ1201に表示される表示画面例を示している。図12の例では、表示アイテムとして、心拍数、心拍数差、心電図波形が心電情報表示領域(A)にレイアウトされている。なお、この画面には、心電情報表示領域(A)とともに、被検体に対する指示や検査等に関する各種情報を提供するための表示領域(B)と、被検体と操作者との両方を対象とした表示領域(C)とから構成される。表示領域(B)には、検査やスキャンの進行状況に応じた情報として例えばスキャンの残り時間、検査のタイムスケジュール、スキャンと次のスキャンとの間の休止時間に対する次のスキャンまでの残りの休止時間等の情報が表示される。また、表示領域(C)には、例えば患者情報、撮影技師情報、病院案内情報、さらに広告情報が表示される。これら領域(B)、(C)の画面構築は、ディスプレイ制御部205又は領域毎の専用化された他の構成要素によりなされる。
【0039】
心電情報を表示するための実際の動作としては、心電計1203により被検体に関する心電図がライブで刻々と検出され、そのライブで検出された心電図に基づいて、R波検出部1206によるR波検出処理及び心拍周期計算部1207による心拍周期計算処理が次々と即時的に実行され、それとともに心拍インデックス計算部1208により複数の心拍インデックスが次々と即時的に計算され、そしてガントリマウントディスプレイ1201への表示に直ちに反映される。つまり、ガントリマウントディスプレイ1201に表示される心電図はむろんのこと、心電インデックスについても被検体の現時点の心拍動の状態を反映している。それにより操作者は心電計それ自体の動作状態や被検体に関する現在の心拍動の状態を把握することができ、しかもその動きが安定しているか否かを心電インデックスから客観的に判断することができる。このような心電情報の即時的な表示を、スキャン(データ収集)の前段階から開始し、操作者は心電情報を観察して、ある程度、心拍が安定的になった段階で、スキャントリガボタンを押して、実際にX線の発生を伴ってスキャンを開始させることができる。
【0040】
図13には、表示レイアウト設計支援部1209により提供される簡易な表示アイテムの指定画面である。当該画面は、操作デバイス1115を介して特定の操作をすることで、表示レイアウト設計支援機能が起動し、それにより操作デバイス1115の表示部に表示される。当該画面には、上述した複数の表示アイテムの名称1301がチェックボックス1302とともに一覧で表示される。操作者は、表示を所望する一又は複数の表示アイテムをチェックし、「OK」ボタンをクリックすることで、チェックされた表示アイテムがディスプレイ制御部1205により各表示アイテムに対して既定の位置に従ってレイアウトされ、ガントリマウントディスプレイ1201に表示される。「クリア」ボタン1304をクリックすることにより、全てのチェックが解除される。「詳細」ボタン1303がクリックされると、表示レイアウト設計支援部1209によって図14に示す詳細な表示レイアウトの設計画面が操作デバイス1115の表示部に表示される。
【0041】
図14に示す詳細な表示レイアウトの設計画面には、ガントリマウントディスプレイ1201の表示領域(A)に対応する仮想表示領域1401が設けられる。仮想表示領域1401の下部には表示アイテムを表すボックス1402〜1408が表示される。ボックス1402〜1408の仮想表示領域1401に対するサイズ比は、ガントリマウントディスプレイ1201の表示領域(A)に対する各表示アイテムの表示範囲の比が再現されている。操作者は、図15に示すように、操作デバイス1115の操作部を操作して、表示を所望する表示アイテムに対応する少なくとも一つのボックス1402〜1408を表示アイテム一覧から仮想表示領域1401の表示させたい位置に例えばドラッグアンドドロップする。この操作により、表示を所望する表示アイテムの指定と表示レイアウトの設計とを完了することができる。ボックスを仮想表示領域1401から表示アイテム一覧に戻すことで、表示指定が解除される。全解除は、「クリア」ボタン1409のクリックによりなされる。「OK」ボタン1410をクリックすることで、設計されたレイアウトで表示アイテムがディスプレイ制御部1205によりガントリマウントディスプレイ1201に表示される。
【0042】
以上のように、本実施例によると、ガントリマウントディスプレイ1201には常に最新の心拍インデックスや心電図等の心電情報が表示されるので、操作者は心電計それ自体の動作状態や被検体に関する現在の心拍動の状態をしかも客観的に把握することができ、それによりスキャントリガボタンを押すタイミングを好適に計ることができる。
【0043】
(第3実施例)
以下、図面を参照して本発明による医用撮影装置の実施例を説明する。なお、医用撮影装置には、X線診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)、磁気共鳴映像装置(MRI)、超音波診断装置、ガンマカメラ等の被検体に関する画像を発生する各種装置が含まれ、本発明はそれらいずれの装置にも適用可能である。ここでは、医用撮影装置として、X線コンピュータ断層撮影装置を例に説明する。また、X線コンピュータ断層撮影装置には、X線管と放射線検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転(ROTATE/ROTATE)タイプと、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(STATIONARY/ROTATE)タイプ等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。ここでは、現在、主流を占めている回転/回転タイプとして説明する。また、1スライスの断層像データを再構成するには、被検体の周囲1周、約360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ビュー角分の投影データが必要とされる。いずれの再構成方式にも本発明を適用可能である。また、入射X線を電荷に変換するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線による半導体内の電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよいが、ここでは、前者の間接変換形として説明する。また、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本発明では、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれにも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
【0044】
図16に、本実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の主要部の構成を示している。本実施例のX線コンピュータ断層撮影装置は、ガントリ2100を有する。ガントリ2100は、円環状の回転フレーム2102を有する。回転フレーム2102は、回転駆動部2107により駆動され回転軸RAを中心に回転する。この回転フレーム2102には、X線管2101とX線検出器2103とが対向に搭載されている。X線管2101は、高電圧発生装置2109からスリップリング2108を経由して管電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受け、X線を発生する。X線検出器2103は、被検体を透過したX線を検出し、入射X線の線量を反映した電気信号を出力する。X線検出器2103から出力される信号(純生データと呼ばれる)は、データ収集回路2104、非接触データ伝送装置2105を経由して前処理装置2106に供給される。前処理装置2106で、感度補正、対数変換等の処理を受けたデータ(投影データ又は生データと呼ばれる)は、データ記憶装置2112に記憶される。ガントリ2100には、又はそれと分離して心電計2203、呼吸計2204が設けられる。
【0045】
ガントリマウントディスプレイ2201は、ガントリ2100又はその近傍に配置される。具体的には、図17に示すように、ガントリ2100のハウジング表面であって、X線障害物にならず、かつ開口部2203に挿入された被検体から視認できる場所、典型的には開口部2203の周囲のすり鉢状に傾斜する部分に、液晶パネル等によるガントリマウントディスプレイ2201が配置される。図18に示すように、ガントリマウントディスプレイ2201は、ガントリ2100から自由多関節アーム2221を介して保持されてもよい。ガントリスピーカ部2202は、ガントリ2100又はその近傍に配置され、具体的にはガントリ2100のハウジング表面であって、X線障害物にならず、かつ開口部2203に挿入された被検体から聴覚しやすい場所、典型的には開口部2203の周囲のすり鉢状に傾斜する部分に配置される。
【0046】
スキャンコントローラ2110は、データ収集(スキャン)のために、回転駆動部2107、高電圧発生装置2109等の各動作を制御する。再構成装置2114は、データ記憶装置2112に記憶された投影データに基づいて断層像データを再構成する。表示装置2116は、例えば断層像データを表示するために設けられる。操作デバイス2115は、操作者の指示を入力するためにキーボード、マウス等から構成される。
【0047】
表示/スピーカ制御部2205は、ガントリマウントディスプレイ2201の表示及びガントリスピーカ部2202のオーディオ出力(音声出力)を制御する。本実施例では、ガントリマウントディスプレイ2201の表示及びガントリスピーカ部2202のオーディオ出力について特徴的である。
【0048】
オーディオアイテム記憶部2213には、検査の進捗状況に従って順番付けされた被検体への音声指示に関する複数のオーディオファイル(音声ファイル)が記憶されている。予め、検査やスキャンの進捗状況を表す複数の検査ステージ各々に対してオーディオファイルが関連付けらている。例えば、息止め撮影に際して再生される「息を止めてください」とのオーディオファイル等が用意される。また、オーディオアイテム記憶部2213には、検査等の指示とは無関係のリラックス効果を有する音楽(環境音楽、ヒーリングミュージック等)、朗読や柔らかな語りかけ等の音声に関する複数のオーディオファイルが記憶される。これらリラックス効果を有する音楽等のオーディオファイルは、息止め終了後のリラックス期間や、スキャンとスキャンとの間の休止期間に関連付けられている。
【0049】
表示/スピーカ制御部2205は、スキャンコントローラ2110からの検査ステージを表す制御信号に従ってオーディオアイテム記憶部2213からオーディオファイルを選択的に読み出して、スピーカ部202から再生する。
【0050】
表示アイテム記憶部2212には、静止画又は動画に関する複数の画像ファイルが記憶される。少なくとも一つ又は複数の画像ファイルが、オーディオアイテム記憶部2213に記憶されているオーディオファイル各々に対して関連付けられている。表示/スピーカ制御部2205は、スキャンコントローラ2110からの検査ステージを表す制御信号に従ってオーディオアイテム記憶部2213から読み出され、再生されるオーディオファイルに対して関連付けられている少なくとも一つの画像ファイルを、表示アイテム記憶部2212から読み出して、ガントリマウントディスプレイ2201に表示させる。画像ファイルには、年齢と性別とが関連付けられていても良い。この場合、年齢と性別に応じた好適な絵柄の画像ファイルを同種類の画像ファイルから選択的に表示することができる。例えば、図20に例示するように、幼児向けの画像を表示することができる。
【0051】
管理者は操作デバイス2115を介してオーディオアイテム記憶部2212に新たにオーディオファイルを記憶させることや、不要なオーディオファイルを削除すること、さらに検査ステージに対する関連付けを変更する等の様々な更新操作を行うことができる。同様に、管理者は操作デバイス2115を介して画像アイテム記憶部2213に新たに画像ファイルを記憶させることや、不要な画像ファイルを削除すること、さらにオーディオファイルに対する関連付けを変更する等の様々な更新操作を行うことができる。これら更新操作に従って記憶部2212、2213が図示しない記憶管理部により更新される。
【0052】
画像ファイルには、被検体への音声指示、スキャンの進捗状況、検査進捗状況等を文字メッセージで表現した文字メッセージファイル(図21、図22、図24、図26、図28、図29、図38、図39、図41)が含まれる。例えば、息止め開始までの時間、息止め終了までの残り時間、息止め終了の指示、スキャン開始までの時間、スキャン中などの現況、スキャン終了までの残り時間等が用意される。音声指示を聞き逃した場合や音声では理解しにくい場合であっても、視覚で指示を認識し、また現在の指示内容を逐次視認することができる。
【0053】
また、画像ファイルには、音声や文字による指示等の内容を絵柄で補足するための絵柄メッセージファイル(図23、図25、図27、図30、図31、図40、図42)が含まれる。例えば、絵柄メッセージファイルには、息を大きく吸っている様子を絵柄で表したものや、息を止めている様子を絵柄で表したものがある。また、息止めの全体時間に対する息止めの残り時間の割合を図形、典型的にはバーグラフで表すもの(図27)、検査時間に対する残り時間の割合を図形、典型的にはバーグラフで表すもの(図30)、検査のタイムスケジュールを現在時点とともに図形、典型的にはバーグラフで表すもの(図31)、X線管が回転している様子を模式的に動画で表現したもの(図40)、スキャンの全体時間に対する残り時間の割合を図形、典型的にはバーグラフで表すもの(図42)、スキャンと次のスキャンとの間の休止時間に対する次のスキャンまでの残りの休止時間の割合を図形、典型的にはバーグラフで表現するもの等がある。
【0054】
図43も同様に息止めの指示画像(ガイダンス画像)の例を示している。図43(a)は大きく息を吸う初期状態の女性の実写画像を示している。図43(b)は吸気を維持する状態の女性の実写画像を示している。図43(c)Cは息止め開示時の状態の女性の実写画像を示している。図43(d)は息止め完了して吐気状態の女性の実写画像を示している。これら実写画像とともに、吸気と息止めと吐気の各状態を模式的に示したフェイスマークが表示される。また息止めの残り時間が「10秒超」、「10秒以下」、「5秒以下」の3段階で表示される。
【0055】
図44は、検査の進捗状況を示す画像の例を示している。この例では、被検体が天板スライドによりガントリに足から挿入される状況と、被検体が両腕を頭部側に挙げた挿入姿勢とを示している。
【0056】
さらに、画像ファイルには、例えば検査指示とは無関係のリラックス効果を有する映像ファイルとして、予め用意された風景などの環境映像(図32、図33)が含まれる。また、画像ファイルには、検査中に体動を抑えて安静にさせるために特に幼児や児童を対象にしたアニメーション(図34)、事前に撮影した又はTVカメラ2210によるライブによる母親の映像(図35)がある。さらに、被検体が自ら持参したメモリデバイス2209に記憶されている被検体がお気に入りの映像を再生するようにしても良い。
【0057】
上述のように表示/スピーカ制御部2205の制御のもとで検査ステージに従ってオーディオファイルが再生され、画像ファイルが表示されるオートモードを解除して、操作デバイス2115を介して操作者がオーディオや画像のソースを入力インターフェース2207及び接続端子2208を介して接続されたメモリデバイス2209、TVカメラ2210、マイクロホン2211を選択することができる。例えば図37に例示する選択画面をディスプレイ2201に表示し、被検体からリラックス時のオーディオや映像を検査開始前に選択指示を受けることができる。
【0058】
接続端子208は汎用規格であり、被検体が自分のメモリデバイス2209にお気に入りの音楽や映像を確認で、病院に持参し、それを再生することができる。また撮影室に隣接した操作室に設置したTVカメラ2210やマイクロホン2211をソースとして選択することで、例えば幼児や乳児等に対して母親の映像を見せ、母親から自身の音声で各種指示を出すことができる。
【0059】
図19、図20には、息止め時のガントリマウントディスプレイ2201の画面例を示している。息止め検査開始に際して、「息を止めてください」とのオーディオファイルが再生され、そのオーディオファイルに関連付けられている複数の画像ファイルB−1,B−2,B−3,B−4が表示される。映像としては例えば図20に示すように幼児を対象とした息止めの指示に対応する映像B−5が表示される。
【0060】
なお、このディスプレイ2201の画面を、被検体を対象とした表示領域Bと、操作者(撮影技師)を対象とした領域A、被検体と操作者との両方を対象とした領域Cに分割することができる。表示領域Aには、心拍数や心電波形等が表示され、また表示領域Cには、患者情報、撮影技師情報、病院案内情報、さらに広告情報が表示され得る。
【0061】
本実施例により、被検体は検査中の種々のタイミングで自身が取るべき行動を音声だけでなく画像で容易に理解できるので、息止めや静止などの動きを適切に取る事が出来る。更に、表示内容と音声内容を操作者が容易に変更できる事により、使用する施設の特徴に合わせ一層の被検体の理解が実現出来る。また、息止めの残り時間、次のスキャンまでの時間、検査の残り予定時間なども表示できるので被検体が抱く不安を取り除く事が出来る。またリラックスを促進するオーディオや映像を適時に流すことができるので被検体のリラックスを促進して検査の安定化を図ることができる。さらに、オーディオや映像のソースを記憶部2212、2213以外に、接続端子2208に自由に接続したマイクロホン2211、TVカメラ2210、さらにメモリデバイス2209等から指定することができ、個人の嗜好に即して効果的にリラックスを促進することができる。
【0062】
本実施形態は次のようの変形されることができる。図45に示すように、ガントリマウントディスプレイ2201、ガントリスピーカ部2202、表示/スピーカ制御部2205、表示アイテム記憶部2212及びオーディオアイテム記憶部2213は、指定部2214及び編集部2215とともに、X線CT装置とは別体のシステム(ユーザナビゲーションシステム又は呼吸ナビゲーションシステム)3000を構成する。表示/スピーカ制御部2205、表示アイテム記憶部2212、オーディオアイテム記憶部2213及び編集部2215は、ガントリ2100に収容される。指定部2214はガントリ2100のハウジングに取り付けられ、又はコネクタを介して接続される。
【0063】
ユーザナビゲーションシステム3000は、ソケット3001を介してX線CT装置に接続される。ユーザナビゲーションシステム3000の表示/スピーカ制御部2205は、X線CT装置のスキャンコントローラ2110からの制御信号を受け、制御信号により特定される画像ファイル及びオーディオファイル(これらを呼吸案内データファイルと総称する)を表示アイテム記憶部2212及びオーディオアイテム記憶部2213から読み出させて、ガントリマウントディスプレイ2201に表示させ、ガントリスピーカ部2202からオーディオ出力させる。
【0064】
指定部2214は、X線コンピュータ断層撮影装置のガントリへの被検体の挿入方向、腕の上げ下げ、造影剤の有無、呼吸方法の種類をユーザが指定するための操作デバイスである。指定部2214を介して指定された挿入方向、腕の上げ下げ、造影剤の有無、呼吸方法の種類に従って、呼吸案内データファイルを編集するために、呼吸案内データファイル編集部が設けられている。
【0065】
図46には、X線CT装置の表示装置2116又は操作デバイス2115の画面に表示される検査情報画面を示している。この画面には、X線CT装置のスキャンコントローラ2110からユーザナビシステム3000に送信される制御信号の情報が表示される。制御信号の情報としては、表示アイテム及びオーディオアイテムを特定する情報としてデータコード、制御信号の発生時刻、制御信号の種類及び表示アイテムやオーディオアイテムの出力の実行結果を表示する等を含む。操作者は制御信号の情報を見て、ガントリマウントディスプレイ2201に表示される表示アイテム及びガントリスピーカ部2202から出力されるオーディオアイテムを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、本発明の実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、図1のガントリマウントディスプレイのガントリへの取り付け位置を示す図である。
【図3】図3は、図1のガントリマウントディスプレイのガントリへの取り付けの他の例を示す図である。
【図4】図4は、図1の呼吸検出器により検出される呼吸波形の例を示す図である。
【図5】図5は、図1の規則的呼吸波形発生部による規則的呼吸波形を発生する第1の方法を示す図である。
【図6】図6は、図1の規則的呼吸波形発生部による規則的呼吸波形を発生する第2の方法を示す図である。
【図7】図7は、図1の規則的呼吸波形発生部による規則的呼吸波形を発生する第3の方法を示す図である。
【図8】図8は、図1のガントリマウントディスプレイの表示例を示す図である。
【図9】図9は本発明の実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
【図10】図10は図9のガントリマウントディスプレイのガントリへの取り付け位置を示す図である。
【図11】図11は図9のガントリマウントディスプレイのガントリへの取り付けの他の例を示す図である。
【図12】図12は図9のガントリマウントディスプレイの表示例を示す図である。
【図13】図13は図9の表示レイアウト支援部が提供する表示項目指定画面例を示す図である。
【図14】図14は図9の表示レイアウト支援部が提供する表示レイアウト設計画面例を示す図である。
【図15】図15は図14の表示レイアウト設計画面上での操作例を示す図である。
【図16】図16は本発明の実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
【図17】図17は図16のガントリ及びそれに装備されたディスプレイの一例を示す図である。
【図18】図18は図16のガントリ及びそれに装備されたディスプレイの他の例を示す図である。
【図19】図19は図16の表示画面構成部で構成されるガントリマウントディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
【図20】図20は図16の表示画面構成部で構成されるガントリマウントディスプレイの表示画面の他の例を示す図である。
【図21】図21は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図22】図22は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図23】図23は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図24】図24は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図25】図25は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図26】図26は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図27】図27は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図28】図28は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図29】図29は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図30】図30は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図31】図31は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図32】図32は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図33】図33は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図34】図34は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図35】図35は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図36】図36は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図37】図37は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図38】図38は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図39】図39は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図40】図40は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図41】図41は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図42】図42は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図43】図43は息止めの指示画像(ガイダンス画像)の例を示している。
【図44】図44は、検査の進捗状況を示す画像の例を示している。
【図45】図45は、変形例としてのユーザナビシステムをX線CT装置とともに示している。
【図46】図46は、図45のX線CT装置の表示装置又は操作デバイスの画面に表示される検査情報画面の例を示している。
【符号の説明】
【0067】
100…ガントリ、102…回転フレーム、107…回転駆動部、101…X線管、103…X線検出器、109…高電圧発生装置、108…スリップリング、104…データ収集回路、105…非接触データ伝送装置、106…前処理装置、112…データ記憶装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体を撮影して医用画像を発生するX線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
安定した呼吸は、アーチファクトを低減して画質を向上するには必須である。従来、呼吸運動の安定化は、操作者が操作室からマイクロホンを通して被検体に音声指示により図っていた。しかし、音声指示では、呼吸運動を安定させるには難しく、また被検体の安定呼吸を把握していない操作者からの不適当な指示により逆に不安定化させてしまう事態も生じていた。特許文献1が参照される。
【0003】
また、X線コンピュータ断層撮影装置においては、心電同期スキャンや心電同期再構成法等の被検体の心電波形を要する撮影法や再構成法が従来から用いられている。しかし、従来のX線コンピュータ断層撮影装置では、心電図の取り込み状態を確認することができず、良好に心電同期されていないことがある。また、心電同期撮影や心電同期再構成ではなくても、心拍が安定している時期にスキャニングを行うことがアーチファクト軽減の観点から好ましいが、それを確認することはできず、操作者が自己の経験から心拍数を見て安定期を判断してスキャニングを開始していた。特許文献1が参照される。
【0004】
また、従来、音声で被検体へ検査中の取るべき行動を指示していた。例えば、息を止める指示や動かない指示などを装置の自動音声再生装置や操作者のマイクロホンからの肉声で行っていた。被検体は全ての情報を音声に依存しており、音声に依らなければ息止めの残り時間や検査の残り時間等の情報を知ることができず、被検体が不安を抱く状況の発生が予測される。また、撮影に際しても、被検体はできるだけ安静を保ちリラックスして心拍や呼吸を安定させることが体動アーチファクト低減のためにも望ましいが、従来装置にはそのようなリラックスを促すような術がなかった。以下特許文献1が参照される。
【特許文献1】特開2003−265464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、被検体の呼吸運動の安定化を促進することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面において、X線を発生するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを有するガントリと、前記X線検出器の出力に基づいて断層像データを発生する断層像発生部と、前記被検体に関する心電図に基づいて心拍動の状態に関する複数の心拍インデックスを即時に計算する心拍インデックス計算部と、前記計算された複数の心拍インデックスの中から、ユーザインストラクションに従って、少なくとも一の心拍インデックスを選択する心拍インデックス選択部と、前記ガントリのハウジングに直接的又はアームを介して保持され、前記選択された心拍インデックスを即時に表示するための表示部とを具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある局面によれば、被検体の呼吸運動の安定化を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施例)
以下、図面を参照して本発明によるX線コンピュータ断層撮影装置の実施例を説明する。なお、本発明は、X線コンピュータ断層撮影装置に限定されず、X線診断装置、磁気共鳴映像装置(MRI)、超音波診断装置、ガンマカメラ等の被検体に関する画像を発生する他の医用画像撮影装置に適用できる。また、本発明は、呼吸指示機能に特化した呼吸指示装置としても適用され得る。ここでは、X線コンピュータ断層撮影装置を例に説明する。なお、X線コンピュータ断層撮影装置には、X線管と放射線検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転(ROTATE/ROTATE)タイプと、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(STATIONARY/ROTATE)タイプ等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。ここでは、現在、主流を占めている回転/回転タイプとして説明する。また、1スライスの断層像データを再構成するには、被検体の周囲1周、約360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ビュー角分の投影データが必要とされる。いずれの再構成方式にも本発明を適用可能である。また、入射X線を電荷に変換するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線による半導体内の電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよいが、ここでは、前者の間接変換形として説明する。また、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本発明では、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれにも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
【0009】
図1に、本実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の主要部の構成を示している。本実施例のX線コンピュータ断層撮影装置は、ガントリ100を有する。ガントリ100は、円環状の回転フレーム102を有する。回転フレーム102は、回転駆動部107により駆動され回転軸RAを中心に回転する。この回転フレーム102には、X線管101とX線検出器103と搭載されている。X線管101に対してX線検出器103は回転軸RAを挟んで対応する。X線管101は、高電圧発生装置109からスリップリング108を経由して管電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受け、X線を発生する。X線検出器103は、被検体を透過したX線を検出し、入射X線の線量を反映した電気信号を出力する。X線検出器103から出力される信号(純生データと呼ばれる)は、データ収集回路104、非接触データ伝送装置105を経由して前処理装置106に供給される。前処理装置106で、感度補正、対数変換等の処理を受けたデータ(投影データ又は生データと呼ばれる)は、データ記憶装置112に記憶される。
【0010】
ガントリ100又はその近傍には呼吸検出器203とマイクロホン204が設けられる。呼吸検出器203は、被検体の呼吸運動を検出し、呼吸指標値に関するデータ又はそれに相当するデータ(以下単に呼吸データという)を出力する。呼吸データは、データ記憶装置112に記憶される。呼吸検出方法としては呼吸流速や流量を計測するもの等各種用いられているが、ここでは、被検体への心理的負担の小さい簡易な方法として呼吸運動によって周期的に変化する被検体の胸部の厚さを採用するものとする。マイクロホン204は、ここでは主に被検体自身の呼吸音を検出するために設けられる。この呼吸音は録音され、規則的呼吸波形の表示とともに呼吸ガイドとしてスピーカ部202を介して再生される。
【0011】
ガントリマウントディスプレイ201は、ガントリ100又はその近傍に配置される。具体的には、図2に示すように、ガントリ100のハウジング表面であって、X線障害物にならず、かつ開口部208に挿入された被検体から視認できる場所、典型的には開口部208の周囲のすり鉢状に傾斜する部分に、液晶パネル等によるガントリマウントディスプレイ201が配置される。図3に示すように、ガントリマウントディスプレイ201は、ガントリ100から自由多関節アーム221を介して保持されてもよい。ガントリスピーカ部202は、ガントリ100又はその近傍に配置され、具体的にはガントリ100のハウジング表面であって、X線障害物にならず、かつ開口部203に挿入された被検体から聴覚しやすい場所、典型的には開口部203の周囲のすり鉢状に傾斜する部分に配置される。
【0012】
スキャンコントローラ110は、データ収集(スキャン)のために、回転駆動部107、高電圧発生装置109等の各動作を制御する。再構成装置114は、データ記憶装置112に記憶された投影データに基づいて断層像データを再構成する。表示装置116は、主に断層像データを表示するために設けられる。操作デバイス115は、操作者の指示を入力するためにキーボード、マウス等から構成される。
【0013】
ディスプレイ/スピーカ制御部205は、規則的呼吸波形発生部207で発生された規則的呼吸波形のガントリマウントディスプレイ201への表示、及び記憶的呼吸音発生部208で発生された規則的呼吸波形に対応する規則的呼吸音のガントリスピーカ部202からの再生出力を制御する。本実施例では、規則的呼吸波形を発生して、それを被検体に提示するとともに、その規則的呼吸波形に対応する呼吸音(規則的呼吸音)を再生することで、被検体の呼吸運動の安定化を促進することに特徴がある。
【0014】
図4には、呼吸検出器203で検出された呼吸波形に一例を示している。呼吸指標値としての胸部の厚さは、吸気期間で急速に増加し、吸気期間終端で最大となり、呼気期間で緩やかに低下していき、呼気期間終端で最小となる。ここでは、同定容易な吸気期間終端から次の吸気期間終端までの期間を一単位期間として呼吸期と称し、その時間幅を呼吸周期と定義する。また、一の呼吸期内の部分的な波形を呼吸波形の最小単位として波形要素と定義する。また、吸気期間終端を起点としてそこから予め決定されている固定時間を経過するまでの期間を、本実施例では、呼吸運動が安定しているか否かを判定するための窓期間として定義する。この窓期間に含まれる呼吸波形の部分を、波形部分と称するものとする。また、呼吸運動による胸部厚の変化、つまり吸気期間終端時の厚さ(最大厚)と、呼気期間終端時の厚さ(最小厚)との差を、呼吸深度と称する。後述するように呼吸深度は呼吸期毎に計算される。
【0015】
上述したように本実施例では、規則的呼吸波形の提示を特徴の一つとしている。規則的呼吸波形とは、安定的に呼吸を繰り返している時期に被検体自身が発したそれ固有の呼吸波形に由来する呼吸周期及び変動が一定の規則的な呼吸波形であり、本質的には被検体が最も安楽な呼吸運動を行い得る波形といえる。特に被検体自身の呼吸波形から生成することが重要であり、その被検体の個人的な呼吸の癖や仕様を反映させることができ、それによりいわゆる汎用の呼吸波形を単に伸張し又は短縮して提示することに比して、呼吸運動の安定化を促進する効果は格別に向上する。
【0016】
本実施例では、規則的呼吸波形の作成方法について以下の説明するように3種類提供する。実際的には、規則的呼吸波形発生部207においてこれら3種類の作成方法に応じた3種類のプログラムコードを操作者の指示に従って選択的に実行して、いずれか任意の作成方法を適用する。以下、3種類の規則的呼吸波形の作成方法について順番に説明する。なお、規則的呼吸波形の作成前に、被検体の呼吸が呼吸検出器203により検出され、例えば数分間の呼吸データがデータ記憶装置112に記憶される。またそれと同時期に、被検体の呼吸音がマイクロホン204により検出され、その呼吸音データがデータ記憶装置112に記憶される。呼吸データと呼吸音データとの間は、典型的にはタイムスタンプにより対応付けられる。
【0017】
図5には、第1の規則的呼吸波形の作成手順を模式的に示している。規則的呼吸波形発生部207には、呼吸検出器203で少なくとも1分間の期間に収集した呼吸データがデータ記憶装置112から供給される。規則的呼吸波形発生部207において、まず、少なくとも1分間の呼吸波形から吸気期間終端が呼吸波形の極大値により特定され、呼吸期間全体が複数の呼吸期に区分される。区分された複数の呼吸期にしたがって呼吸波形が複数の波形要素に分割される。複数の波形要素について個別に呼吸周期と呼吸深度が計算される。計算された呼吸周期から、出現頻度の最も高い呼吸周期が特定される。特定された出現頻度の最も高い呼吸周期に対応する複数の呼吸要素から、最も呼吸深度の高い波形要素が択一的に特定される。特定された波形要素が連結され、規則的呼吸波形が発生される。この規則的呼吸波形は、当然にして、呼吸周期、呼吸深度ともに完全に一定である。また、その波形形状は被検体固有の呼吸の動きである。
【0018】
発生された規則的呼吸波形に従って、ディスプレイ/スピーカ制御部205は、規則的呼吸波形に基づいて呼吸ガイド画面を構成し、ガントリマウントディスプレイ201に表示させる。図8に呼吸ガイド画面の一例を示している。なお、この画面には、呼吸ガイド表示領域(A)とともに、被検体に対する指示や検査等に関する各種情報を提供するための表示領域(B)と、被検体と操作者との両方を対象とした表示領域(C)とから構成される。表示領域(B)には、検査やスキャンの進行状況に応じた情報として例えばスキャンの残り時間、検査のタイムスケジュール、スキャンと次のスキャンとの間の休止時間に対する次のスキャンまでの残りの休止時間等の情報が表示される。また、表示領域(C)には、例えば患者情報、撮影技師情報、病院案内情報、さらに広告情報が表示される。これら領域(B)、(C)の画面構築は、制御部205又は領域毎の専用化された他の構成要素によりなされる。
【0019】
呼吸ガイド表示領域(A)において、規則的呼吸波形の絵柄301が例えば右側から左側に実時間経過に従って流れていくように表示される。この規則的呼吸波形の絵柄301上には、呼吸ガイドマーク303が重ねられる。呼吸ガイドマーク303の横位置は画面内の特定位置で固定され、縦位置は規則的呼吸波形の絵柄301の流れに従って上下に移動する。被検体は規則的呼吸波形の絵柄301の流れとともにこの呼吸ガイドマーク303の上下移動による案内を受けて呼吸動作を徐々に安定化させていくことができる。
【0020】
また、ディスプレイ/スピーカ制御部205は、規則的呼吸波形の絵柄301の流れ及び呼吸ガイドマーク303の上下移動に同期して、当該波形要素を検出したときに同時にマイクロホン204を介して被検体から録音した呼吸音を再生し、スピーカ部202から出力する。この呼吸音は自身の発する呼吸音であり、規則的呼吸波形の絵柄301の流れ及び呼吸ガイドマーク303の上下移動とともに、呼吸動作の安定化をさらに促進することができる。
【0021】
図6には、第2の規則的呼吸波形の作成手順を模式的に示している。上述と同様に、規則的呼吸波形発生部207には、呼吸検出器203で少なくとも1分間の期間に収集した呼吸データがデータ記憶装置112から供給される。規則的呼吸波形発生部207において、まず、少なくとも1分間の呼吸波形から吸気期間終端が呼吸波形の極大値により特定される。
【0022】
特定された吸気期間終端各々を起点としてそこから予め決定されている固定時間を経過するまでの区間に窓期間を規定する。窓期間は、操作者により任意調整可能であり、少なくとも3つの呼吸期が含まれるように典型的には5秒ないし10秒のいずれかの幅に設定される。窓期間ごとに、呼吸周期の変動と、呼吸深度の変動とが計算される。呼吸周期の変動は、窓期間の中に含まれる複数の呼吸期中で、最長呼吸周期と最短呼吸周期との差として計算される。呼吸深度の変動は、窓期間の中に含まれる複数の呼吸期中で、最大呼吸深度と最小呼吸深度との差として計算される。
【0023】
規則的呼吸波形発生部207では、複数の窓期間に対応する複数の波形部分を、呼吸深度がある程度以上深い、つまり呼吸深度が閾値以上を示す複数の波形部分に絞り込み、その中から呼吸周期の変動が最も小さい波形部分を特定する。なお、呼吸周期の変動が最も小さい波形部分が複数存在するときは、呼吸深度がもっとも深い波形部分が選択される。 この特定された波形部分は、呼吸深度が十分深くしかも一定の周期で呼吸を繰り返している最も安定的な呼吸運動を表している。特定された波形部分が連結され、規則的呼吸波形が発生される。図8に示したようにこの規則的呼吸波形に従って、ディスプレイ/スピーカ制御部205の制御のもと、呼吸ガイド画面がガントリマウントディスプレイ201に表示され、また規則的呼吸波形の絵柄301の流れ及び呼吸ガイドマーク303の上下移動に同期して、当該波形部分を検出したときに同時にマイクロホン204を介して被検体から録音した呼吸音を再生し、スピーカ部202から出力する。
【0024】
図7には、第3の規則的呼吸波形の作成手順を模式的に示している。上述と同様に、規則的呼吸波形発生部207には、呼吸検出器203で少なくとも1分間の期間に収集した呼吸データがデータ記憶装置112から供給される。規則的呼吸波形発生部207において、まず、少なくとも1分間の呼吸波形から吸気期間終端が呼吸波形の極大値により特定される。特定された吸気期間終端各々を起点としてそこから予め決定されている固定時間を経過するまでの区間に窓期間を規定する。窓期間は、少なくとも3つの呼吸期が含まれる。窓期間ごとに、呼吸周期の変動と、呼吸深度の変動とが計算される。呼吸周期の変動は、窓期間の中に含まれる複数の呼吸期中で、最長呼吸周期と最短呼吸周期との差として計算される。呼吸深度の変動は、窓期間の中に含まれる複数の呼吸期中で、最大呼吸深度と最小呼吸深度との差として計算される。
【0025】
規則的呼吸波形発生部207では、複数の窓期間に対応する複数の波形部分を、呼吸深度が閾値以上を示す複数の波形部分に絞り込み、その中から呼吸周期の変動が最も小さい所定数、例えば呼吸周期の変動が最も小さいものから上位3つの波形部分を特定する。
【0026】
この特定された3つの波形部分を平均化して、平均化された単一の波形部分を生成する。平均化とは、3つの波形部分から同じ時相の3つの呼吸指標値を取り出してその平均値を計算することである。つまり平均波形部分は、3つの呼吸指標値の平均に関する時間変化を表している。
【0027】
なお、3つの波形部分から単一の波形部分を生成する処理方法としては、平均化処理に限定されず、例えば3つの波形部分の各時相の3つの呼吸指標値の中央値から単一の波形部分を生成するようにしてもよいし、3つの呼吸指標値の最大値又は最小値から単一の波形部分を生成するようにしてもよい。
【0028】
生成された平均波形部分が連結され、規則的呼吸波形が発生される。図8に示したようにこの規則的呼吸波形に従って、ディスプレイ/スピーカ制御部205の制御のもと、呼吸ガイド画面がガントリマウントディスプレイ201に表示され、また規則的呼吸波形の絵柄301の流れ及び呼吸ガイドマーク303の上下移動に同期して、当該3つの波形部分のいずれかの波形部分を検出したときに同時にマイクロホン204を介して被検体から録音した呼吸音を再生し、スピーカ部202から出力する。典型的には、当該3つの波形部分の中から、呼吸周期の変動が最も小さい波形部分と、呼吸周期の変動が最も大きい波形部分を除いて、呼吸周期の変動が中央を示す波形部分を検出したときの呼吸音を再生する。
【0029】
以上のように、本実施例によると、安定的に呼吸を繰り返している時期に被検体自身が発したそれ固有の呼吸波形を呼吸ガイドとして提示し、またその時夫実際の呼吸音を流すことで、呼吸運動の安定化を促進する効果は格別といえる。
【0030】
(第2実施例)
以下、図面を参照して本発明によるX線コンピュータ断層撮影装置の実施例を説明する。なお、本発明は、X線コンピュータ断層撮影装置に限定されず、X線診断装置、磁気共鳴映像装置(MRI)、超音波診断装置、ガンマカメラ等の被検体に関する画像を発生する他の医用画像撮影装置に適用できる。また、本発明は、心電情報表示機能に特化した心電情報表示装置としても適用され得る。ここでは、X線コンピュータ断層撮影装置を例に説明する。なお、X線コンピュータ断層撮影装置には、X線管と放射線検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転タイプと、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転タイプ等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。また、1スライスの断層像データを再構成するには、被検体の周囲1周、約360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ビュー角分の投影データが必要とされるが、いずれの再構成方式にも本発明を適用可能である。また、入射X線を電荷に変換するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線による半導体内の電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流であるが、X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよい。また、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本発明では、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれにも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
【0031】
図9に、本実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の主要部の構成を示している。本実施例のX線コンピュータ断層撮影装置は、ガントリ1100を有する。ガントリ1100は、円環状の回転フレーム1102を有する。回転フレーム1102は、回転駆動部1107により駆動され回転軸RAを中心に回転する。この回転フレーム1102には、X線管1101とX線検出器1103と搭載されている。X線管1101に対してX線検出器1103は回転軸RAを挟んで対応する。X線管1101は、高電圧発生装置1109からスリップリング1108を経由して管電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受け、X線を発生する。X線検出器1103は、被検体を透過したX線を検出し、入射X線の線量を反映した電気信号を出力する。X線検出器1103から出力される信号は、データ収集回路1104、非接触データ伝送装置1105を経由して前処理装置1106に供給される。データ収集回路1104から出力されるデータは、一般的に純生データと呼ばれる。純生データは、前処理装置1106で、感度補正、対数変換等の前処理を受ける。前処理を受けた純な名データは、再構成処理直前の段階のあるデータであり、一般的に、投影データ又は生データと呼ばれる。投影データは、データ記憶装置1112に記憶される。
【0032】
ガントリ1100又はその近傍には心電計1203が設けられる。心電計1203は、被検体の心臓の拍動を伴う電気現象を検出し、その時間変化としての心電図のデータを発生する。心電図データは、データ記憶装置1112とともに後述するR波検出部1206に供給される。
【0033】
ガントリマウントディスプレイ1201は、ガントリ1100又はその近傍に配置される。具体的には、図10に示すように、ガントリ1100のハウジング表面であって、X線障害物にならず、かつ開口部1210に挿入された被検体及びガントリ1100の近傍に立つ操作者から視認できる場所として典型的には開口部1208の周囲のすり鉢状に傾斜する部分に、液晶パネル等によるガントリマウントディスプレイ1201が配置される。図11に示すように、ガントリマウントディスプレイ1201は、ガントリ1100から自由多関節アーム1221を介して保持されてもよい。
【0034】
スキャンコントローラ1110は、データ収集(スキャン)のために、回転駆動部1107、高電圧発生装置1109等の各動作を制御する。再構成装置1114は、データ記憶装置1112に記憶された投影データに基づいて断層像データを再構成する。表示装置1116は、主に断層像データを表示するために設けられる。操作デバイス1115は、操作者の指示を入力するためにキーボード、マウス等の操作部と操作画面を表示するための表示部とから構成される。
【0035】
ディスプレイ制御部1205は、表示レイアウト設計支援部1209の支援のもとで操作者により操作デバイス1115を介して設計された表示レイアウトに従って、心拍インデックス計算部1208で計算された心拍インデックスや心電図等の表示アイテムをレイアウトして、ガントリマウントディスプレイ1201に表示するために必要な処理及び制御を行うために設けられる。R波検出部1206は、心電計1203から供給された心電図の特徴波として典型的にはR波を検出する。心拍周期計算部1207は、R波検出部1206で検出されたR波の周期、つまり心拍周期を計算する。心拍インデックス計算部1208は、心拍周期計算部1207で計算された心拍周期に基づいて、被検体の心拍動の状態に関する複数の心拍インデックスを計算する。
【0036】
心拍インデックス計算部1208で計算され得る複数の心拍インデックスは、例示すると、次の通りである。
・心拍数;1分当たりの心拍の回数であり、1心拍に要する時間(単位は秒)としての心拍周期で60秒を割り算した値として心拍周期毎に計算される。
・区間平均心拍数;一定の区間として例えば10秒の間においてR波検出(心拍周期計算)ごとに繰り返し計算された複数の心拍数の平均値として計算される。
・心拍数差;区間平均心拍数に対する心拍数の変動を表す値として、区間平均心拍数から心拍数を引き算した値で計算される。
・自由計算式により計算された値;心拍数、心拍周期、区間平均心拍数、心拍数差等を変数として任意に設定した計算式により計算される。
【0037】
表示レイアウト設計支援部1209は、操作者が、表示可能な複数の表示アイテムの中から実際に表示する少なくとも一つの表示アイテムを指定し、また指定した表示アイテムを表示領域にどのように配置するかという表示レイアウトを設計する操作を支援するための画面及びその関連処理を行うために設けられる。表示アイテムには、上記心拍インデックス計算部1208で計算される心拍数、区間平均心拍数、心拍数差、自由計算値の他に、心電計1203で発生された心電図の波形、心拍数の履歴、心拍数差の履歴がある。心拍数の履歴とは例えば最新の10心拍分の心拍数をそのまま数値表記で時系列に並記したものである。また、心拍数差の履歴とは例えば最新の10心拍分の心拍数差をそのまま数値表記で時系列に並記したものである。
【0038】
図12には、ディスプレイ制御部1205の制御のもとでガントリマウントディスプレイ1201に表示される表示画面例を示している。図12の例では、表示アイテムとして、心拍数、心拍数差、心電図波形が心電情報表示領域(A)にレイアウトされている。なお、この画面には、心電情報表示領域(A)とともに、被検体に対する指示や検査等に関する各種情報を提供するための表示領域(B)と、被検体と操作者との両方を対象とした表示領域(C)とから構成される。表示領域(B)には、検査やスキャンの進行状況に応じた情報として例えばスキャンの残り時間、検査のタイムスケジュール、スキャンと次のスキャンとの間の休止時間に対する次のスキャンまでの残りの休止時間等の情報が表示される。また、表示領域(C)には、例えば患者情報、撮影技師情報、病院案内情報、さらに広告情報が表示される。これら領域(B)、(C)の画面構築は、ディスプレイ制御部205又は領域毎の専用化された他の構成要素によりなされる。
【0039】
心電情報を表示するための実際の動作としては、心電計1203により被検体に関する心電図がライブで刻々と検出され、そのライブで検出された心電図に基づいて、R波検出部1206によるR波検出処理及び心拍周期計算部1207による心拍周期計算処理が次々と即時的に実行され、それとともに心拍インデックス計算部1208により複数の心拍インデックスが次々と即時的に計算され、そしてガントリマウントディスプレイ1201への表示に直ちに反映される。つまり、ガントリマウントディスプレイ1201に表示される心電図はむろんのこと、心電インデックスについても被検体の現時点の心拍動の状態を反映している。それにより操作者は心電計それ自体の動作状態や被検体に関する現在の心拍動の状態を把握することができ、しかもその動きが安定しているか否かを心電インデックスから客観的に判断することができる。このような心電情報の即時的な表示を、スキャン(データ収集)の前段階から開始し、操作者は心電情報を観察して、ある程度、心拍が安定的になった段階で、スキャントリガボタンを押して、実際にX線の発生を伴ってスキャンを開始させることができる。
【0040】
図13には、表示レイアウト設計支援部1209により提供される簡易な表示アイテムの指定画面である。当該画面は、操作デバイス1115を介して特定の操作をすることで、表示レイアウト設計支援機能が起動し、それにより操作デバイス1115の表示部に表示される。当該画面には、上述した複数の表示アイテムの名称1301がチェックボックス1302とともに一覧で表示される。操作者は、表示を所望する一又は複数の表示アイテムをチェックし、「OK」ボタンをクリックすることで、チェックされた表示アイテムがディスプレイ制御部1205により各表示アイテムに対して既定の位置に従ってレイアウトされ、ガントリマウントディスプレイ1201に表示される。「クリア」ボタン1304をクリックすることにより、全てのチェックが解除される。「詳細」ボタン1303がクリックされると、表示レイアウト設計支援部1209によって図14に示す詳細な表示レイアウトの設計画面が操作デバイス1115の表示部に表示される。
【0041】
図14に示す詳細な表示レイアウトの設計画面には、ガントリマウントディスプレイ1201の表示領域(A)に対応する仮想表示領域1401が設けられる。仮想表示領域1401の下部には表示アイテムを表すボックス1402〜1408が表示される。ボックス1402〜1408の仮想表示領域1401に対するサイズ比は、ガントリマウントディスプレイ1201の表示領域(A)に対する各表示アイテムの表示範囲の比が再現されている。操作者は、図15に示すように、操作デバイス1115の操作部を操作して、表示を所望する表示アイテムに対応する少なくとも一つのボックス1402〜1408を表示アイテム一覧から仮想表示領域1401の表示させたい位置に例えばドラッグアンドドロップする。この操作により、表示を所望する表示アイテムの指定と表示レイアウトの設計とを完了することができる。ボックスを仮想表示領域1401から表示アイテム一覧に戻すことで、表示指定が解除される。全解除は、「クリア」ボタン1409のクリックによりなされる。「OK」ボタン1410をクリックすることで、設計されたレイアウトで表示アイテムがディスプレイ制御部1205によりガントリマウントディスプレイ1201に表示される。
【0042】
以上のように、本実施例によると、ガントリマウントディスプレイ1201には常に最新の心拍インデックスや心電図等の心電情報が表示されるので、操作者は心電計それ自体の動作状態や被検体に関する現在の心拍動の状態をしかも客観的に把握することができ、それによりスキャントリガボタンを押すタイミングを好適に計ることができる。
【0043】
(第3実施例)
以下、図面を参照して本発明による医用撮影装置の実施例を説明する。なお、医用撮影装置には、X線診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)、磁気共鳴映像装置(MRI)、超音波診断装置、ガンマカメラ等の被検体に関する画像を発生する各種装置が含まれ、本発明はそれらいずれの装置にも適用可能である。ここでは、医用撮影装置として、X線コンピュータ断層撮影装置を例に説明する。また、X線コンピュータ断層撮影装置には、X線管と放射線検出器とが1体として被検体の周囲を回転する回転/回転(ROTATE/ROTATE)タイプと、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線管のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(STATIONARY/ROTATE)タイプ等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。ここでは、現在、主流を占めている回転/回転タイプとして説明する。また、1スライスの断層像データを再構成するには、被検体の周囲1周、約360°分の投影データが、またハーフスキャン法でも180°+ビュー角分の投影データが必要とされる。いずれの再構成方式にも本発明を適用可能である。また、入射X線を電荷に変換するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線による半導体内の電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよいが、ここでは、前者の間接変換形として説明する。また、近年では、X線管とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本発明では、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれにも適用可能である。ここでは、一管球型として説明する。
【0044】
図16に、本実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の主要部の構成を示している。本実施例のX線コンピュータ断層撮影装置は、ガントリ2100を有する。ガントリ2100は、円環状の回転フレーム2102を有する。回転フレーム2102は、回転駆動部2107により駆動され回転軸RAを中心に回転する。この回転フレーム2102には、X線管2101とX線検出器2103とが対向に搭載されている。X線管2101は、高電圧発生装置2109からスリップリング2108を経由して管電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受け、X線を発生する。X線検出器2103は、被検体を透過したX線を検出し、入射X線の線量を反映した電気信号を出力する。X線検出器2103から出力される信号(純生データと呼ばれる)は、データ収集回路2104、非接触データ伝送装置2105を経由して前処理装置2106に供給される。前処理装置2106で、感度補正、対数変換等の処理を受けたデータ(投影データ又は生データと呼ばれる)は、データ記憶装置2112に記憶される。ガントリ2100には、又はそれと分離して心電計2203、呼吸計2204が設けられる。
【0045】
ガントリマウントディスプレイ2201は、ガントリ2100又はその近傍に配置される。具体的には、図17に示すように、ガントリ2100のハウジング表面であって、X線障害物にならず、かつ開口部2203に挿入された被検体から視認できる場所、典型的には開口部2203の周囲のすり鉢状に傾斜する部分に、液晶パネル等によるガントリマウントディスプレイ2201が配置される。図18に示すように、ガントリマウントディスプレイ2201は、ガントリ2100から自由多関節アーム2221を介して保持されてもよい。ガントリスピーカ部2202は、ガントリ2100又はその近傍に配置され、具体的にはガントリ2100のハウジング表面であって、X線障害物にならず、かつ開口部2203に挿入された被検体から聴覚しやすい場所、典型的には開口部2203の周囲のすり鉢状に傾斜する部分に配置される。
【0046】
スキャンコントローラ2110は、データ収集(スキャン)のために、回転駆動部2107、高電圧発生装置2109等の各動作を制御する。再構成装置2114は、データ記憶装置2112に記憶された投影データに基づいて断層像データを再構成する。表示装置2116は、例えば断層像データを表示するために設けられる。操作デバイス2115は、操作者の指示を入力するためにキーボード、マウス等から構成される。
【0047】
表示/スピーカ制御部2205は、ガントリマウントディスプレイ2201の表示及びガントリスピーカ部2202のオーディオ出力(音声出力)を制御する。本実施例では、ガントリマウントディスプレイ2201の表示及びガントリスピーカ部2202のオーディオ出力について特徴的である。
【0048】
オーディオアイテム記憶部2213には、検査の進捗状況に従って順番付けされた被検体への音声指示に関する複数のオーディオファイル(音声ファイル)が記憶されている。予め、検査やスキャンの進捗状況を表す複数の検査ステージ各々に対してオーディオファイルが関連付けらている。例えば、息止め撮影に際して再生される「息を止めてください」とのオーディオファイル等が用意される。また、オーディオアイテム記憶部2213には、検査等の指示とは無関係のリラックス効果を有する音楽(環境音楽、ヒーリングミュージック等)、朗読や柔らかな語りかけ等の音声に関する複数のオーディオファイルが記憶される。これらリラックス効果を有する音楽等のオーディオファイルは、息止め終了後のリラックス期間や、スキャンとスキャンとの間の休止期間に関連付けられている。
【0049】
表示/スピーカ制御部2205は、スキャンコントローラ2110からの検査ステージを表す制御信号に従ってオーディオアイテム記憶部2213からオーディオファイルを選択的に読み出して、スピーカ部202から再生する。
【0050】
表示アイテム記憶部2212には、静止画又は動画に関する複数の画像ファイルが記憶される。少なくとも一つ又は複数の画像ファイルが、オーディオアイテム記憶部2213に記憶されているオーディオファイル各々に対して関連付けられている。表示/スピーカ制御部2205は、スキャンコントローラ2110からの検査ステージを表す制御信号に従ってオーディオアイテム記憶部2213から読み出され、再生されるオーディオファイルに対して関連付けられている少なくとも一つの画像ファイルを、表示アイテム記憶部2212から読み出して、ガントリマウントディスプレイ2201に表示させる。画像ファイルには、年齢と性別とが関連付けられていても良い。この場合、年齢と性別に応じた好適な絵柄の画像ファイルを同種類の画像ファイルから選択的に表示することができる。例えば、図20に例示するように、幼児向けの画像を表示することができる。
【0051】
管理者は操作デバイス2115を介してオーディオアイテム記憶部2212に新たにオーディオファイルを記憶させることや、不要なオーディオファイルを削除すること、さらに検査ステージに対する関連付けを変更する等の様々な更新操作を行うことができる。同様に、管理者は操作デバイス2115を介して画像アイテム記憶部2213に新たに画像ファイルを記憶させることや、不要な画像ファイルを削除すること、さらにオーディオファイルに対する関連付けを変更する等の様々な更新操作を行うことができる。これら更新操作に従って記憶部2212、2213が図示しない記憶管理部により更新される。
【0052】
画像ファイルには、被検体への音声指示、スキャンの進捗状況、検査進捗状況等を文字メッセージで表現した文字メッセージファイル(図21、図22、図24、図26、図28、図29、図38、図39、図41)が含まれる。例えば、息止め開始までの時間、息止め終了までの残り時間、息止め終了の指示、スキャン開始までの時間、スキャン中などの現況、スキャン終了までの残り時間等が用意される。音声指示を聞き逃した場合や音声では理解しにくい場合であっても、視覚で指示を認識し、また現在の指示内容を逐次視認することができる。
【0053】
また、画像ファイルには、音声や文字による指示等の内容を絵柄で補足するための絵柄メッセージファイル(図23、図25、図27、図30、図31、図40、図42)が含まれる。例えば、絵柄メッセージファイルには、息を大きく吸っている様子を絵柄で表したものや、息を止めている様子を絵柄で表したものがある。また、息止めの全体時間に対する息止めの残り時間の割合を図形、典型的にはバーグラフで表すもの(図27)、検査時間に対する残り時間の割合を図形、典型的にはバーグラフで表すもの(図30)、検査のタイムスケジュールを現在時点とともに図形、典型的にはバーグラフで表すもの(図31)、X線管が回転している様子を模式的に動画で表現したもの(図40)、スキャンの全体時間に対する残り時間の割合を図形、典型的にはバーグラフで表すもの(図42)、スキャンと次のスキャンとの間の休止時間に対する次のスキャンまでの残りの休止時間の割合を図形、典型的にはバーグラフで表現するもの等がある。
【0054】
図43も同様に息止めの指示画像(ガイダンス画像)の例を示している。図43(a)は大きく息を吸う初期状態の女性の実写画像を示している。図43(b)は吸気を維持する状態の女性の実写画像を示している。図43(c)Cは息止め開示時の状態の女性の実写画像を示している。図43(d)は息止め完了して吐気状態の女性の実写画像を示している。これら実写画像とともに、吸気と息止めと吐気の各状態を模式的に示したフェイスマークが表示される。また息止めの残り時間が「10秒超」、「10秒以下」、「5秒以下」の3段階で表示される。
【0055】
図44は、検査の進捗状況を示す画像の例を示している。この例では、被検体が天板スライドによりガントリに足から挿入される状況と、被検体が両腕を頭部側に挙げた挿入姿勢とを示している。
【0056】
さらに、画像ファイルには、例えば検査指示とは無関係のリラックス効果を有する映像ファイルとして、予め用意された風景などの環境映像(図32、図33)が含まれる。また、画像ファイルには、検査中に体動を抑えて安静にさせるために特に幼児や児童を対象にしたアニメーション(図34)、事前に撮影した又はTVカメラ2210によるライブによる母親の映像(図35)がある。さらに、被検体が自ら持参したメモリデバイス2209に記憶されている被検体がお気に入りの映像を再生するようにしても良い。
【0057】
上述のように表示/スピーカ制御部2205の制御のもとで検査ステージに従ってオーディオファイルが再生され、画像ファイルが表示されるオートモードを解除して、操作デバイス2115を介して操作者がオーディオや画像のソースを入力インターフェース2207及び接続端子2208を介して接続されたメモリデバイス2209、TVカメラ2210、マイクロホン2211を選択することができる。例えば図37に例示する選択画面をディスプレイ2201に表示し、被検体からリラックス時のオーディオや映像を検査開始前に選択指示を受けることができる。
【0058】
接続端子208は汎用規格であり、被検体が自分のメモリデバイス2209にお気に入りの音楽や映像を確認で、病院に持参し、それを再生することができる。また撮影室に隣接した操作室に設置したTVカメラ2210やマイクロホン2211をソースとして選択することで、例えば幼児や乳児等に対して母親の映像を見せ、母親から自身の音声で各種指示を出すことができる。
【0059】
図19、図20には、息止め時のガントリマウントディスプレイ2201の画面例を示している。息止め検査開始に際して、「息を止めてください」とのオーディオファイルが再生され、そのオーディオファイルに関連付けられている複数の画像ファイルB−1,B−2,B−3,B−4が表示される。映像としては例えば図20に示すように幼児を対象とした息止めの指示に対応する映像B−5が表示される。
【0060】
なお、このディスプレイ2201の画面を、被検体を対象とした表示領域Bと、操作者(撮影技師)を対象とした領域A、被検体と操作者との両方を対象とした領域Cに分割することができる。表示領域Aには、心拍数や心電波形等が表示され、また表示領域Cには、患者情報、撮影技師情報、病院案内情報、さらに広告情報が表示され得る。
【0061】
本実施例により、被検体は検査中の種々のタイミングで自身が取るべき行動を音声だけでなく画像で容易に理解できるので、息止めや静止などの動きを適切に取る事が出来る。更に、表示内容と音声内容を操作者が容易に変更できる事により、使用する施設の特徴に合わせ一層の被検体の理解が実現出来る。また、息止めの残り時間、次のスキャンまでの時間、検査の残り予定時間なども表示できるので被検体が抱く不安を取り除く事が出来る。またリラックスを促進するオーディオや映像を適時に流すことができるので被検体のリラックスを促進して検査の安定化を図ることができる。さらに、オーディオや映像のソースを記憶部2212、2213以外に、接続端子2208に自由に接続したマイクロホン2211、TVカメラ2210、さらにメモリデバイス2209等から指定することができ、個人の嗜好に即して効果的にリラックスを促進することができる。
【0062】
本実施形態は次のようの変形されることができる。図45に示すように、ガントリマウントディスプレイ2201、ガントリスピーカ部2202、表示/スピーカ制御部2205、表示アイテム記憶部2212及びオーディオアイテム記憶部2213は、指定部2214及び編集部2215とともに、X線CT装置とは別体のシステム(ユーザナビゲーションシステム又は呼吸ナビゲーションシステム)3000を構成する。表示/スピーカ制御部2205、表示アイテム記憶部2212、オーディオアイテム記憶部2213及び編集部2215は、ガントリ2100に収容される。指定部2214はガントリ2100のハウジングに取り付けられ、又はコネクタを介して接続される。
【0063】
ユーザナビゲーションシステム3000は、ソケット3001を介してX線CT装置に接続される。ユーザナビゲーションシステム3000の表示/スピーカ制御部2205は、X線CT装置のスキャンコントローラ2110からの制御信号を受け、制御信号により特定される画像ファイル及びオーディオファイル(これらを呼吸案内データファイルと総称する)を表示アイテム記憶部2212及びオーディオアイテム記憶部2213から読み出させて、ガントリマウントディスプレイ2201に表示させ、ガントリスピーカ部2202からオーディオ出力させる。
【0064】
指定部2214は、X線コンピュータ断層撮影装置のガントリへの被検体の挿入方向、腕の上げ下げ、造影剤の有無、呼吸方法の種類をユーザが指定するための操作デバイスである。指定部2214を介して指定された挿入方向、腕の上げ下げ、造影剤の有無、呼吸方法の種類に従って、呼吸案内データファイルを編集するために、呼吸案内データファイル編集部が設けられている。
【0065】
図46には、X線CT装置の表示装置2116又は操作デバイス2115の画面に表示される検査情報画面を示している。この画面には、X線CT装置のスキャンコントローラ2110からユーザナビシステム3000に送信される制御信号の情報が表示される。制御信号の情報としては、表示アイテム及びオーディオアイテムを特定する情報としてデータコード、制御信号の発生時刻、制御信号の種類及び表示アイテムやオーディオアイテムの出力の実行結果を表示する等を含む。操作者は制御信号の情報を見て、ガントリマウントディスプレイ2201に表示される表示アイテム及びガントリスピーカ部2202から出力されるオーディオアイテムを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、本発明の実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、図1のガントリマウントディスプレイのガントリへの取り付け位置を示す図である。
【図3】図3は、図1のガントリマウントディスプレイのガントリへの取り付けの他の例を示す図である。
【図4】図4は、図1の呼吸検出器により検出される呼吸波形の例を示す図である。
【図5】図5は、図1の規則的呼吸波形発生部による規則的呼吸波形を発生する第1の方法を示す図である。
【図6】図6は、図1の規則的呼吸波形発生部による規則的呼吸波形を発生する第2の方法を示す図である。
【図7】図7は、図1の規則的呼吸波形発生部による規則的呼吸波形を発生する第3の方法を示す図である。
【図8】図8は、図1のガントリマウントディスプレイの表示例を示す図である。
【図9】図9は本発明の実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
【図10】図10は図9のガントリマウントディスプレイのガントリへの取り付け位置を示す図である。
【図11】図11は図9のガントリマウントディスプレイのガントリへの取り付けの他の例を示す図である。
【図12】図12は図9のガントリマウントディスプレイの表示例を示す図である。
【図13】図13は図9の表示レイアウト支援部が提供する表示項目指定画面例を示す図である。
【図14】図14は図9の表示レイアウト支援部が提供する表示レイアウト設計画面例を示す図である。
【図15】図15は図14の表示レイアウト設計画面上での操作例を示す図である。
【図16】図16は本発明の実施例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
【図17】図17は図16のガントリ及びそれに装備されたディスプレイの一例を示す図である。
【図18】図18は図16のガントリ及びそれに装備されたディスプレイの他の例を示す図である。
【図19】図19は図16の表示画面構成部で構成されるガントリマウントディスプレイの表示画面の一例を示す図である。
【図20】図20は図16の表示画面構成部で構成されるガントリマウントディスプレイの表示画面の他の例を示す図である。
【図21】図21は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図22】図22は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図23】図23は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図24】図24は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図25】図25は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図26】図26は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図27】図27は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図28】図28は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図29】図29は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図30】図30は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図31】図31は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図32】図32は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図33】図33は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図34】図34は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図35】図35は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図36】図36は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図37】図37は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図38】図38は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図39】図39は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図40】図40は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図41】図41は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図42】図42は図16の表示アイテム記憶部に記憶される表示アイテムの一例を示す図である。
【図43】図43は息止めの指示画像(ガイダンス画像)の例を示している。
【図44】図44は、検査の進捗状況を示す画像の例を示している。
【図45】図45は、変形例としてのユーザナビシステムをX線CT装置とともに示している。
【図46】図46は、図45のX線CT装置の表示装置又は操作デバイスの画面に表示される検査情報画面の例を示している。
【符号の説明】
【0067】
100…ガントリ、102…回転フレーム、107…回転駆動部、101…X線管、103…X線検出器、109…高電圧発生装置、108…スリップリング、104…データ収集回路、105…非接触データ伝送装置、106…前処理装置、112…データ記憶装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを有するガントリと、
前記X線検出器の出力に基づいて断層像データを発生する断層像発生部と、
前記被検体に関する心電図に基づいて心拍動の状態に関する複数の心拍インデックスを即時に計算する心拍インデックス計算部と、
前記計算された複数の心拍インデックスの中から、ユーザインストラクションに従って、少なくとも一の心拍インデックスを選択する心拍インデックス選択部と、
前記ガントリのハウジングに直接的又はアームを介して保持され、前記選択された心拍インデックスを即時に表示するための表示部とを具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記表示部には、前記心拍インデックスとともに前記心電図が表示されることを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記心拍インデックス計算部は、前記心拍インデックスとして、心拍数、区間平均心拍数、区間平均心拍数と心拍数との差を計算することを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記心拍インデックスの選択及び表示レイアウトの設計のための操作画面を発生する操作画面発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項1】
X線を発生するX線管と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを有するガントリと、
前記X線検出器の出力に基づいて断層像データを発生する断層像発生部と、
前記被検体に関する心電図に基づいて心拍動の状態に関する複数の心拍インデックスを即時に計算する心拍インデックス計算部と、
前記計算された複数の心拍インデックスの中から、ユーザインストラクションに従って、少なくとも一の心拍インデックスを選択する心拍インデックス選択部と、
前記ガントリのハウジングに直接的又はアームを介して保持され、前記選択された心拍インデックスを即時に表示するための表示部とを具備することを特徴とするX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記表示部には、前記心拍インデックスとともに前記心電図が表示されることを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記心拍インデックス計算部は、前記心拍インデックスとして、心拍数、区間平均心拍数、区間平均心拍数と心拍数との差を計算することを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記心拍インデックスの選択及び表示レイアウトの設計のための操作画面を発生する操作画面発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【公開番号】特開2012−196549(P2012−196549A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−163105(P2012−163105)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2007−260322(P2007−260322)の分割
【原出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2007−260322(P2007−260322)の分割
【原出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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