説明

X線循環器診断システム

【課題】X線循環器診断システムにおいて、X線検査の作業性向上を実現し、患者へのX線被曝を抑制し、効率的かつ精度よく心駆出率を算出すること。
【解決手段】X線循環器診断システム10は、種々の撮影ポジションを記憶する撮影ポジション記憶手段31と、種々の撮影ポジションに従って校正物体P1を撮影して取得された画像データDP1を基にピクセルサイズを演算するピクセルサイズ演算手段35と、撮影ポジションとピクセルサイズとを対応付けて記憶するピクセルサイズ記憶手段36と、所要撮影ポジションに従って患者P2を撮影して取得される各フレーム画像を記憶する画像記憶手段34と、各フレーム画像から左心室のEDフレーム画像及びESフレーム画像を選択するフレーム画像選択手段47と、所要撮影ポジションと対応するピクセルサイズを抽出するピクセルサイズ抽出手段46と、EDフレーム画像及びESフレーム画像とピクセルサイズとからEDV及びESVを計測する左心室容積値計測手段48と、EDV及びESVを用いて心駆出率を算出する心駆出率算出手段49とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の左心室撮影によって取得されたX線画像データから、患者の心機能を解析するX線循環器診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線循環器診断システムを用いた心臓カテーテル検査では、撮影した左心室造影像を用いた心駆出率計測等を行ない、患者の心機能の定量評価を行なっている。心駆出率計測では、心臓の壁運動の状態を把握したり、1心拍あたりの血液の拍出量を算出したりして、患者の心臓の機能評価および病変部位の特定を行なうものである。
【0003】
X線画像を用いた心機能の定量評価を行なうためには、まず造影像に対するピクセル(画素)・キャリブレーション処理を行なう必要がある。ピクセル・キャリブレーション処理とは、ピクセルサイズ(ピクセルと実長さとの相関)を演算するものである。
【0004】
X線画像は透過像であるため、造影物体の空間的な位置によってピクセルサイズが異なる。例えば、検出器に近い位置にある造影物体ほどピクセルサイズは大きくなる。このため、画像の中で注目する造影物体に適するピクセル・キャリブレーション処理を実行することが重要となる。
【0005】
ピクセル・キャリブレーション処理方法としては、患者の左心室撮影の前後に、長さ既知の校正物体を撮影し、その校正物体の長さとその長さを表現するに要した画面上のピクセル数とから、
[数1]
ピクセルサイズ=校正物体の長さ/ピクセル数
によって、ピクセルサイズを演算する方法がある。
【0006】
また、検出器とX線管の距離(SID:Source-Image Distance)と、造影物体と検出器の距離から算出した幾何学的拡大率と、検出器前面(すなわち、幾何学的拡大率が1の時)のピクセルサイズから、
[数2]
幾何学的拡大率=SID/(SID−造影物体と検出器の距離)
ピクセルサイズ=幾何学的拡大率1の時のピクセルサイズ/幾何学的拡大率
によってピクセルサイズを算出する方法がある。
【0007】
さらに、複数のフレーム画像からなる一連の左心室撮影の画像データの中から、左心室が最も拡張する拡張末期(ED:End Diastolic)のEDフレーム画像と、左心室が最も収縮する収縮末期(ES:End Systolic)のESフレーム画像とを選択する。
【0008】
次いで、EDフレーム画像及びESフレーム画像にて、造影剤が満たされた左心室の造影像に基づいて、左心室の内壁(辺縁部)を指定する。指定された左心室内壁の位置情報と、ピクセルサイズおよび各種患者情報(身長、体重、心拍数など)に基づいて、一般的な計算モデルを利用して、左心室容積値の算出や壁運動の解析結果を算出する(例えば、「特許文献1」参照。)。
【特許文献1】特開平9−238932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、心駆出率計測等の心機能の定量評価を行なうためにピクセル・キャリブレーション処理を行なうが、左心室撮影前後の校正物体の撮影操作や、その校正物体像に基づくピクセルサイズの演算操作が必要となり、左心室撮影前後における操作者の作業負荷になっていた。
【0010】
また、心駆出率計測においては、EDフレーム画像やESフレーム画像の選択操作や、各フレーム画像上での辺縁の指定や修正操作も、造影剤が心内壁を必ずしも的確に表現できるわけではないため自動化が難しい。このため、心駆出率計測は検査後の後作業となりやすく、操作者の作業負荷となっていた。
【0011】
患者の左心室撮影に先立って、オートポジショニング設定によって撮影角度や天板等の撮影ポジションのセットを行なう。ところが実際には、天板上に載置される患者Pの個人差等によって、オートポジショニング後、天板を水平方向に微調整操作する必要がある。よって、オートポジショニング設定後、患者の左心室に透視X線を曝射させモニタに表示された透視像を見ながら位置の微調整操作が行なわれ、微調整操作時の患者へのX線被曝が避けられなかった。
【0012】
さらに、心駆出率の算出では、ECG波形データを基にしてモニタの画面上に表示される複数のEDフレーム画像候補及びESフレーム画像候補から、操作者が手動でEDフレーム画像及びESフレーム画像を選択していた。よって、選択されるEDフレーム画像及びESフレーム画像に操作者によるばらつきがあると共に、操作者にとって選択操作の作業負荷が大きかった。
【0013】
加えて、選択されたEDフレーム画像とESフレーム画像との撮影時間の差が比較的大きいと、天板上での患者の微妙な変動や、造影像の流れの変動の影響を受けるので、心駆出率の算出精度に問題があった。
【0014】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、心駆出率計測時に操作者にとって作業負荷の大きいピクセル・キャリブレーション操作を省略でき、X線検査の作業性向上を実現できるX線循環器診断システムを提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明の第2の目的は、天板の微調整操作時の、患者へのX線被曝を抑制することができるX線循環器診断システムを提供することにある。
【0016】
さらに、本発明の第3の目的は、効率的かつ精度よく心駆出率を算出できるX線循環器診断システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るX線循環器診断システムは、上述した課題を解決するために、患者の心臓の少なくとも左心室を含む左心室撮影を実行して映像信号を生成する撮影測定部と、この撮影測定部の映像信号から各フレーム画像からなる画像データを取得し、この画像データを基に前記患者の心機能を解析するプロセッサ部と、前記各フレーム画像や前記解析の結果を表示するモニタと、このモニタの画面上で操作入力できる操作入力部とを備えたX線循環器診断システムにおいて、前記撮影測定部の種々の撮影ポジションを記憶する撮影ポジション記憶手段と、前記撮影ポジション記憶手段に記憶された種々の撮影ポジションに従って校正物体を撮影して画像データを取得し、この画像データを基にピクセル・キャリブレーション処理して前記種々の撮影ポジション毎にピクセルサイズを演算するピクセルサイズ演算手段と、前記種々の撮影ポジションと前記ピクセルサイズとを対応付けて記憶するピクセルサイズ記憶手段と、前記撮影ポジション記憶手段に記憶された種々の撮影ポジションのうち、所要撮影ポジションに従って前記患者を撮影して取得される各フレーム画像からなる画像データを記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段に記憶される各フレーム画像から、前記左心室の拡張末期フレーム画像及び収縮末期フレーム画像を選択するフレーム画像選択手段と、前記所要撮影ポジションと対応するピクセルサイズを、前記ピクセルサイズ記憶手段から抽出するピクセルサイズ抽出手段と、前記フレーム画像選択手段にて選択された拡張末期フレーム画像及び収縮末期フレーム画像と、前記ピクセルサイズ抽出手段にて抽出されたピクセルサイズとから、拡張末期容積値及び収縮末期容積値を計測する左心室容積値計測手段と、前記左心室容積値計測手段にて計測された拡張末期容積値及び収縮末期容積値を用いて心駆出率を算出する心駆出率算出手段とを設けた。
【0018】
また、本発明に係るX線循環器診断システムは、患者の心臓の少なくとも左心室を含む左心室撮影を実行して映像信号を生成する撮影測定部と、この撮影測定部の映像信号から各フレーム画像からなる画像データを取得し、この画像データを基に前記患者の心機能を解析するプロセッサ部と、前記各フレーム画像や前記解析の結果を表示するモニタと、このモニタの画面上で操作入力できる操作入力部とを備えたX線循環器診断システムにおいて、前記撮影測定部の種々の撮影ポジションを記憶する撮影ポジション記憶手段と、前記撮影ポジション記憶手段に記憶された前記種々の撮影ポジションに従って校正物体を撮影して画像データを取得し、この画像データを基に前記種々の撮影ポジション毎に前記校正物体のグラフィック像を作成するグラフィック像作成手段と、前記種々の撮影ポジションとグラフィック像とを対応付けて記憶するグラフィック記憶手段と、前記撮影ポジション記憶手段に記憶された種々の撮影ポジションのうち、所要撮影ポジションに従って前記患者を撮影して取得される各フレーム画像からなる画像データを記憶する画像記憶手段と、前記所要撮影ポジションに対応する前記校正物体のグラフィック像を表示するモニタとを設けた。
【0019】
さらに、本発明に係るX線循環器診断システムは、患者の心臓の少なくとも左心室を含む左心室撮影を実行して映像信号を生成する撮影測定部と、この撮影測定部の映像信号から各フレーム画像からなる画像データを取得し、この画像データを基に前記患者の心機能を解析するプロセッサ部と、前記各フレーム画像や前記解析の結果を表示するモニタと、このモニタの画面上で操作入力できる操作入力部とを備えたX線循環器診断システムにおいて、前記プロセッサ部に、前記撮影測定部の種々の撮影ポジションを記憶する撮影ポジション記憶機能と、前記種々の撮影ポジション毎に校正物体が撮影されて画像データが取得され、この画像データを基にピクセル・キャリブレーション処理してピクセルサイズを前記種々の撮影ポジション毎に演算するピクセルサイズ演算機能と、前記種々の撮影ポジションと前記ピクセルサイズとを対応付けて記憶するピクセルサイズ記憶機能と、前記撮影ポジション記憶機能にて記憶された種々の撮影ポジションのうち、所要撮影ポジションに従って前記撮影測定部の位置をセットする撮影測定部位置セット機能と、前記所要撮影ポジションの撮影測定部にて前記患者が撮影されて各フレーム画像からなる画像データを取得し、これら各フレーム画像からなる画像データを記憶する画像記憶機能と、前記画像記憶機能にて記憶された各フレーム画像の中から、前記左心室の拡張末期フレーム画像を選択する拡張末期フレーム画像選択機能と、前記画像記憶機能にて記憶された各フレーム画像の中から、前記左心室の収縮末期フレーム画像を選択する収縮末期フレーム画像選択機能と、前記所要撮影ポジションと対応するピクセルサイズを、前記ピクセルサイズ記憶機能にて記憶されたピクセルサイズから抽出するピクセルサイズ抽出機能と、前記拡張末期フレーム画像選択機能及び前記収縮末期フレーム画像選択機能にて選択された拡張末期フレーム画像及び収縮末期フレーム画像と、前記ピクセルサイズ抽出機能にて抽出されたピクセルサイズとから、拡張末期容積値及び収縮末期容積値を計測する左心室容積値計測機能と、前記拡張末期容積値及び前記収縮末期容積値を用いて心駆出率を算出する心駆出率算出機能とを実現させるプログラムを記録した。
【0020】
加えて、本発明に係るX線循環器診断システムは、患者の心臓の少なくとも左心室を含む左心室撮影を実行して映像信号を生成する撮影測定部と、この撮影測定部の映像信号から各フレーム画像からなる画像データを取得し、この画像データを基に前記患者の心機能を解析するプロセッサ部と、前記各フレーム画像や前記解析の結果を表示するモニタと、このモニタの画面上で操作入力できる操作入力部とを備えたX線循環器診断システムにおいて、前記プロセッサ部に、前記撮影測定部の種々の撮影ポジションを記憶する撮影ポジション記憶機能と、前記撮影ポジション毎に校正物体が撮影されて画像データが取得され、この画像データを基に前記校正物体のグラフィック像を前記種々の撮影ポジション毎に作成するグラフィック像作成機能と、前記種々の撮影ポジションとグラフィック像とを対応付けて記憶するグラフィック像記憶機能と、前記撮影ポジション記憶機能にて記憶された種々の撮影ポジションのうち、所要撮影ポジションに従って前記撮影測定部の位置をセットする撮影測定部位置セット機能と、前記所要撮影ポジションの撮影測定部にて前記患者が撮影されて各フレーム画像からなる画像データを取得し、これら各フレーム画像からなる画像データを記憶する画像記憶機能と、前記所要撮影ポジションと対応する前記校正物体のグラフィック像を、前記患者の左心室の推定位置として表示するグラフィック像表示機能とを実現させるプログラムを記録した。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るX線循環器診断システムによると、心駆出率計測時に操作者にとって作業負荷の大きいピクセル・キャリブレーション操作を省略でき、X線検査の作業性向上を実現できる。
【0022】
また、本発明に係るX線循環器診断システムによると、天板の微調整操作時の、患者へのX線被曝を抑制することができる。
【0023】
さらに、本発明に係るX線循環器診断システムによると、効率的かつ精度よく心駆出率を算出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係るX線循環器診断システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明に係るX線循環器診断システムの実施の形態を示すブロック図である。
【0026】
図1は、一定間隔毎に連続して得られた複数のフレーム画像に基づいて、心臓の少なくとも左心室の拡張末期(ED:End Diastolic)における拡張末期容積値(EDV:End-Diastolic Volume)及び収縮末期(ES:End Systolic)における収縮末期容積値(ESV:End-Systolic Volume)をそれぞれ計測し、これらEDV及びESVに基づいて心駆出率(EF:Ejection Fraction)を算出するX線循環器診断システム10を示す。
【0027】
X線循環器診断システム10には、大きくは、被検体P(校正物体P1又は患者P2)の撮影を実行して映像信号Sを生成する撮影測定部11と、この撮影測定部11の映像信号Sから画像データを取得し、この画像データを基に心駆出率を算出するプロセッサ部12とが備えられる。撮影測定部11は、実際に患者が入室して透視・撮影を受けるX線検査室に設置される一方、プロセッサ部12は、操作室に設置されるものである。なお、X線検査室に、近接操作卓を設置してもよい。
【0028】
撮影測定部11には、被検体Pに向かってX線を曝射する放射線源としてのX線管20と、被検体Pを透過した透過X線を入射して映像信号Sを出力する映像系としてのX線TV装置21とが設けられる。このX線TV装置21には、被検体Pを透過した透過X線を光学像に変換するI.I.(Image Intensifier)22と、このI.I.22から出力される光学像を適切な大きさに補正する光学系23と、この光学像を映像信号に変換するX線TVカメラ24とが設置される。なお、I.I.22からX線TVカメラ24までの映像系は、平面検出器(FPD:Flat Panel Detector)に置き換えられてもよい。
【0029】
I.I.22は、図示しない入力蛍光面、光電陰極、収束(フォーカス)電極、陽極及び出力蛍光面で構成される大形の真空管、入力窓並びに高圧電源等からなる。また、I.I.22のX線入射側には、被検体Pを透過したX線の散乱光をカットするX線グリッド(図示しない)が具備されることもある。
【0030】
また、撮影測定部11には、被検体Pを載置する天板26と、X線管20及びX線TV装置21を具備するCアーム(図示しない)を支持するCアーム駆動機構27とが設けられる。
【0031】
図2は、X線循環器診断システム10に有するCアーム構造の撮影測定部11を頭部側から見た外観図である。
【0032】
X線循環器診断システム10の撮影測定部11は、Cアーム駆動機構27に支持されたCアーム30を示し、このCアーム30の一端にX線管20が、Cアーム30の他端にX線TV装置21がそれぞれ具備されており、双方は、被検体Pを載置する天板26を挟んで対向配置される構造になっている。Cアーム30は、Cアーム回転動(CRA(Cranial view)/CAU(Caudal view))及びCアーム円弧動(RAO(Right Anterior Oblique view)/LAO(Left Anterior Oblique view))が可能である。
【0033】
また、天板26は、左右動(C-LAT:図中左右方向)、上下動(C-VERT:図中上下方向)及びローリング(ROLL)を自在とする。
【0034】
なお、図2に示された撮影測定部11では、X線管20が天板26の下方に位置するアンダーテーブルの場合を示しているが、アンダーテーブルの場合に限定されるものではなく、X線管20が天板26の上方に位置するオーバーテーブルの場合でもよい。
【0035】
図2に示されたCアーム構造の撮影測定部11によると、その構成要素たるCアーム30の開口端を利用して、医師等が患者P2に対し直接に触れることが可能であるから、患者P2体内にカテーテルを挿入する等の手術又は検査を行ないつつ、これと並行して血管造影等に係るX線撮影をも同時に行なうことができる。
【0036】
また、図1に示されたX線循環器診断システム10のプロセッサ部12は、例えば、マイクロコンピュータ等を搭載した専用プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)からなる。プロセッサ部12には、左心室撮影の前処理機能及び左心室撮影機能を実現させるためのプログラムが記録(インストール)されている。
【0037】
また、プロセッサ部12には、撮影測定部11の種々の撮影ポジションを記憶する撮影ポジション記憶手段31と、この撮影ポジション記憶手段31に記憶された種々の撮影ポジションに従って、撮影測定部11の種々の撮影ポジションを制御する撮影システムコントローラ32と、撮影測定部11の各撮影ポジションにおける被検体Pの撮影によってX線TV装置21の映像信号Sをデジタル量としての画像(動画像)データDに変換するA/D変換部33と、デジタル変換された画像データDを記憶する画像記憶手段34とが設けられる。
【0038】
さらに、プロセッサ部12には、被検体Pである校正物体P1に関する画像データDP1をキャリブレーション処理して種々の撮影ポジション毎にピクセルサイズ(ピクセルと校正物体P1の実長さとの相関)を演算するピクセルサイズ演算手段35と、種々の撮影ポジションとピクセルサイズとを対応付けて(撮影ポジション)/(ピクセルサイズ)対応テーブルとして記憶するピクセルサイズ記憶手段36と、校正物体P1に関する画像データDP1から種々の撮影ポジション毎にグラフィック像を作成するグラフィック像作成手段37と、種々の撮影ポジションとグラフィック像とを対応付けて(撮影ポジション)/(グラフィック像)対応テーブルとして記憶するグラフィック像記憶手段38とが設けられる。
【0039】
加えて、プロセッサ部12には、被検体Pである患者P2に配置する心電計40からの心電図(ECG:Electro Cardio Gram)波形信号sを撮影周期に応じてサンプリング周期毎にデジタル量としてのECG波形データdに変換するA/D変換部41と、デジタル変換されたECG波形データdを記憶するECG波形記憶手段42と、患者P2に関する画像データDP2の各フレーム画像の時相とECG波形データdのサンプリング点の時相とを相互に対応付ける画像処理手段43と、画像データDP2及びECG波形データdを関連付けて記憶する処理画像記憶手段44とが設置される。
【0040】
また、プロセッサ部12には、患者P2の左心室撮影における撮影測定部11の所要撮影ポジションに対応するピクセルサイズをピクセルサイズ記憶手段36から抽出するピクセルサイズ抽出手段46と、患者P2に関する画像データDP1及びECG波形データdを基に、患者P2に関する左心室のEDフレーム画像及びESフレーム画像を選択するフレーム画像選択手段47と、このフレーム画像選択手段47にて選択された左心室のEDフレーム画像及びESフレーム画像とピクセルサイズ抽出手段46にて抽出されたピクセルサイズとからEDV及びESVを計測する左心室容積値計測手段48と、この左心室容積値計測手段48にて計測されたEDV及びESVを用いて心駆出率を算出する心駆出率算出手段49とが設けられる。
【0041】
さらに、プロセッサ部12には、校正物体P1に関するグラフィックデータや患者P2に関する画像データDP2等をアナログ変換するD/A変換部51が設けられ、プロセッサ部12外部には、D/A変換部51でアナログ変換されたデータから校正物体P1のグラフィック像や患者P2の画像等を表示するモニタ52が備えられる。さらに、プロセッサ部12は、画像のコマ数や画像処理等の画像表示や処理に関する命令に対応付けされたアイコン、ボタン及び矢印等のグラフィカルな要素を、モニタ52の画面上でマウス等の操作入力部(ポインティング・デバイス)55を用いて操作(オペレーション)し、入力できる方式のGUI(Graphical User Interface)を実装している。
【0042】
次いで、X線循環器診断システム10のプロセッサ部12に記録されたプログラムによって実現する左心室撮影の前処理機能について、図3に示されたフローチャートを用いて説明する。
【0043】
X線循環器診断システム10では、患者P2の左心室撮影が行なわれる前処理として、左心室撮影にてセットされると想定される撮影測定部11の種々の撮影ポジションがデータとして撮影ポジション記憶手段31に記憶される(ステップS1)。
【0044】
撮影測定部11の撮影ポジションとしては、例えば、Cアーム30のアーム角度であるCRA/CAU及びRAO/LAO、天板26の位置並びにX線管20からI.I.22の距離画像拡大率等がある。
【0045】
撮影ポジション記憶手段31に記憶された撮影測定部11の種々の撮影ポジションに従って撮影測定部11が制御され、長さ既知の校正物体(鋼球)P1が撮影される。校正物体P1に関する画像データDP1がA/D変換部33にてデジタル変換された後、種々の撮影ポジション毎に画像記憶手段34に記憶される。
【0046】
画像記憶手段34に記憶された校正物体P1に関する画像データDP1がピクセルサイズ演算手段35に読み込まれる。このピクセルサイズ演算手段35では、画像データDP1に基づいてピクセル(画素)・キャリブレーション処理されて、画面上におけるピクセルサイズが種々の撮影ポジション毎に演算される(ステップS2)。
【0047】
ピクセルサイズは、長さ既知の校正物体P1の長さと、その長さを表現するに要した画面上のピクセル数とから、
[数3]
ピクセルサイズ=校正物体P1の長さ/ピクセル数
によって演算される。
【0048】
上式によって演算されたピクセルサイズは、種々の撮影ポジションと対応された(撮影ポジション)/(ピクセルサイズ)対応テーブルとしてピクセルサイズ記憶手段36に記憶される(ステップS3)。
【0049】
また、画像記憶手段34に記憶された校正物体P1に関する画像データDP1がグラフィック像作成手段37に読み込まれる。このグラフィック像作成手段37では、画像データDP1に基づいて校正物体P1に関する画像がグラフィック化され、種々の撮影ポジション毎にグラフィック像が作成される(ステップS4)。このグラフィック像は、校正物体P1に関する像が円等の図形で模擬されたものである。作成されたグラフィック像は、種々の撮影ポジションと対応された(撮影ポジション)/(グラフィック像)対応テーブルとしてグラフィック像記憶手段38に記憶される(ステップS5)。
【0050】
次いで、X線循環器診断システム10のプロセッサ部12に記録されたプログラムによって実現する左心室撮影機能について、図4に示されたフローチャートを用いて説明する。
【0051】
X線循環器診断システム10では、患者P2の左心室撮影が行なわれる際に、撮影ポジション記憶手段31に記憶された種々の撮影ポジションのうち、所要撮影ポジションが選択される。所要撮影ポジションのデータに従ってオートポジショニング機能にて、撮影測定部11が自動的に所要撮影ポジションに移動され、撮影測定部11がセットされる(ステップS11)。例えば、オートポジショニング機能では、撮影測定部11の撮影ポジションを「番号」と対応付けして撮影ポジション記憶手段31に記憶しておき、患者P2の左心室撮影時、操作入力部55を用いた「番号」の指定と簡単なトリガスイッチ操作だけで撮影ポジションを再現させる。
【0052】
オートポジショニング機能による撮影測定部11のセットでは、天板26上の患者P2の位置や左心室そのものの位置(患者P2の個人差)によって、画面上に表示したい目標位置、例えば画面中心位置、と画面上に実際に表示される左心室の実際位置とにズレが生じる場合がある。その場合、必要に応じて操作者によって、天板26が水平方向(図2中左右方向)に手動で微調整操作される(ステップS12)。
【0053】
また、ステップS12による天板26の水平方向への微調整操作は、以下のように行なわれる。すなわち、ステップS11でセットされた所要撮影ポジションと対応する校正物体P1のグラフィック像が、ステップS5にて記憶された種々の(撮影ポジション)/(グラフィック像)対応テーブルに参照され、患者P2の左心室撮影時の所要撮影ポジションと対応する校正物体P1のグラフィック像が与えられる。そして、この校正物体P1のグラフィック像の位置を左心室の推定位置とする。この推定位置がモニタ52に表示され、また、目標位置が円等の図形として表現されるグラフィック像としてモニタ52に表示され、推定位置が目標位置に近づくように、操作者はGUIを利用して、天板26を水平方向に移動させる。
【0054】
操作者が天板26の位置を移動させると、移動後の天板26の位置(撮影ポジション)と対応する校正物体P1のグラフィック像が左心室の推定位置として再びモニタ52に表示される。この推定位置が目標位置に近づくように、操作者はGUIを利用して、天板26を水平方向に移動させる。この天板26の位置の移動操作を操作者が必要に応じて繰り返し、天板26の位置の微調整を行なう。
【0055】
また、ステップS12による天板26の水平方向への微調整操作は、以下のように行なわれてもよい。すなわち、ステップS11でセットされた所要撮影ポジションと対応する校正物体P1のグラフィック像が、ステップS5にて記憶された種々の(撮影ポジション)/(グラフィック像)対応テーブルに参照され、患者P2の左心室撮影時の所要撮影ポジションと対応する校正物体P1のグラフィック像が与えられる。そして、この校正物体P1のグラフィック像の位置を左心室の推定位置とする。この推定位置がモニタ52に表示され、推定位置が目標位置に近づくように、モニタ52の画面上に矢印等のGUIによって、推定位置が移動されるべき方向が指示される。操作者は、モニタ52の画面上に表示された矢印等を見ながら、天板26を水平方向に移動させ天板26位置の微調整を行なう。
【0056】
よって、患者P2に透視X線等を曝射することなく、天板26を水平方向に移動させ、天板26位置の微調整操作を行なうことができ、撮影したい患者P2の左心室位置の微調整操作を支援できる。
【0057】
なお、ステップS12による天板26の水平方向への微調整操作における左心室の位置の特定には、予め指定した関心領域(ROI:Region of Interest)内の画像濃度値の分布を用いてもよい。例えば撮影測定部11の所要撮影ポジションにおけるアンサブトラクション画像の場合、患者P2の左心室内には造影剤が注入されるので画像濃度値は低くなる。この画像濃度値の高低により左心室の実際位置が特定される。
【0058】
続いて、ステップS11又はS12にてセットされた撮影測定部11の所要撮影ポジションにて、操作者が設定したX線撮影条件でX線管20、I.I.22、光学系23及びX線TVカメラ24が制御され、患者P2の左心室にX線が曝射される。撮影測定部11にて生成された映像信号SP2は、A/D変換部33にて、各フレーム画像毎にデジタル量としての画像データDP2に変換され、画像記憶手段34に記憶される(ステップS13)と共に、撮影測定部11の心電計40からのECG波形信号sが、A/D変換部41にて、X線撮影周期に応じて予め設定されたサンプリング周期に毎にデジタル量としてのECG波形データdに変換され、ECG波形記憶手段42に記憶される。
【0059】
また、画像データDP2及びECG波形データdは、画像処理手段43を介して処理画像記憶手段44に記憶される。画像処理手段43では、画像データDP2の各フレーム画像の時相とECG波形データdのサンプリング点の時相とが相互に対応付けられる。
【0060】
次いで、心臓の運動機能を定量的に把握するために、ピクセルサイズ抽出手段46では、ステップS11又はS12でセットされた所要撮影ポジションと対応するピクセルサイズが、ピクセルサイズ記憶手段36に記憶された(撮影ポジション)/(ピクセルサイズ)対応テーブルに参照され、患者P2の左心室撮影時の所要撮影ポジションに対応するピクセルサイズが抽出される(ステップS14)。
【0061】
フレーム画像選択手段47では、画像データDP1及びECG波形データdを基に、各フレーム画像の中から左心室のEDフレーム画像が選択され(ステップS15)、また、各フレーム画像の中から左心室のESフレーム画像が選択される(ステップS16)。そして、左心室容積値計測手段48では、ステップS14にて抽出されたピクセルサイズと、ステップS15及びS16にて選択されたEDフレーム画像及びESフレーム画像とからEDV及びESVがそれぞれ一般的な計算モデルを用いて計測される(ステップS17)。
【0062】
ここで、ステップS15によるEDフレーム画像の選択は、例えば、動画像のコマ送り操作及び心電同期再生により、ECG波形に含まれるR波に基づいて行なわれる。まず、R波に基づいた複数のEDフレーム画像候補が、D/A変換器46を介してモニタ52に選択可能にカタログ(サムネイル)表示される。操作者は、モニタ52にカタログ表示された複数のEDフレーム画像候補から、任意にEDフレーム画像を選択する。なお、ステップS15によるEDフレーム画像は、各フレーム画像の中から所定のフレーム画像、例えばN心拍目のR波に基づいたフレーム画像、をEDフレーム画像として自動的に選択するようにしてもよい。
【0063】
そして、必要に応じて、ステップS15にて選択されたEDフレーム画像と撮影時間が前後するフレーム画像をモニタ52に再生させて、操作者が、選択したEDフレーム画像の妥当性を相対的に確認できるようにする。
【0064】
一方、ステップS16によるESフレーム画像の選択は、例えば、動画像のコマ送り操作及び心電同期再生により、ECG波形に含まれるT波及びU波(T波及びU波の間)に基づいて行なわれる。加えて、天板26上での患者P2位置の変動や造影像の濃淡の影響を抑えるために、T波及びU波に基づいた複数のESフレーム画像候補のうち、ステップS15にて選択されたEDフレーム画像の撮影時間直前及び直後のESフレーム画像が自動的に選択される。
【0065】
そして、必要に応じて、ステップS16にて選択されたESフレーム画像と撮影時間が前後するフレーム画像をモニタ52に再生させて、操作者が、選択したESフレーム画像の妥当性を相対的に確認できるようにする。
【0066】
なお、ステップS16のESフレーム画像の選択は、ステップS15のEDフレーム画像の選択と同様の動作によって行なわれてもよい。すなわち、まず、T波及びU波に基づいた複数のESフレーム画像候補が、D/A変換器46を介してモニタ52に選択可能にカタログ表示される。操作者は、モニタ52にカタログ表示された複数のESフレーム画像候補から、任意にESフレーム画像を選択する。なお、ステップS16によるESフレーム画像は、各フレーム画像の中から所定のフレーム画像、例えばN心拍目のT波及びU波に基づいたフレーム画像、をESフレーム画像として自動的に選択するようにしてもよい。
【0067】
また、ステップS15及びS16では、ECG波形を基にしてEDフレーム画像候補及びESフレーム画像候補をモニタ52にカタログ表示させたが、指定されたROI内のピクセル値の濃度変化に基づき、EDフレーム画像候補及びESフレーム画像候補をモニタ52にカタログ表示させてもよい。例えば、サブトラクション画像の場合、ピクセル値最小をEDフレーム画像候補と、ピクセル値最大がESフレーム画像候補となる。また、この時、ROI内のデータ数は、処理時間短縮のために間引きしてもよい。撮影時に左心室内部がこのROIにポジショニングできるよう、目標位置としてROIをグラフィック表示させる。
【0068】
心駆出率算出手段49では、ステップS17にて計測されたEDV及びESVを用いて、
[数4]
心駆出率(EF)=((EDV−ESV)/EDV)×100 (%)
によって、心駆出率が算出される(ステップS18)。この心駆出率の算出結果は、モニタ52に表示されてもよい。
【0069】
本実施の形態によるX線循環器診断システム10によると、予め撮影された校正物体P1の画像データDP1を基に、患者P2の左心室撮影における撮影測定部11の撮影ポジションに対応するピクセルサイズが与えられることで、心駆出率計測時に操作者にとって作業負荷の大きいピクセル・キャリブレーション操作を省略でき、X線検査の作業性向上を実現できる。
【0070】
また、本実施の形態によるX線循環器診断システム10によると、予め撮影された校正物体P1の画像データDP1を基に、患者P2の左心室撮影における撮影測定部11の撮影ポジションに対応する校正物体P1のグラフィック像が左心室の推定位置としてモニタ52に表示されることで、天板26の微調整操作時の、患者P2へのX線被曝を抑制することができる。
【0071】
さらに、本実施の形態によるX線循環器診断システム10によると、T波及びU波に基づいた複数のESフレーム画像候補のうち、ステップS15にて選択されたEDフレーム画像と撮影時間が前後するESフレーム画像が自動的に選択されることで、効率的かつ精度よく心駆出率を算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係るX線循環器診断システムの実施の形態を示すブロック図。
【図2】X線循環器診断システムに有するCアーム構造の撮影測定部を頭部側から見た外観図。
【図3】本発明に係るX線循環器診断システムのプロセッサ部に記録されたプログラムによって実現する前処理機能を示すフローチャート。
【図4】本発明に係るX線循環器診断システムのプロセッサ部に記録されたプログラムによって実現する左心室撮影機能を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0073】
10 X線循環器診断システム
11 撮影測定部
12 プロセッサ部
31 撮影ポジション記憶手段
34 画像記憶手段
35 ピクセルサイズ演算手段
36 ピクセルサイズ記憶手段
37 グラフィク像作成手段
38 グラフィク像記憶手段
40 心電計
42 ECG波形記憶手段
46 ピクセルサイズ抽出手段
47 フレーム画像選択手段
48 左心室容積値計測手段
49 心駆出率算出手段
52 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓の少なくとも左心室を含む左心室撮影を実行して映像信号を生成する撮影測定部と、この撮影測定部の映像信号から各フレーム画像からなる画像データを取得し、この画像データを基に前記患者の心機能を解析するプロセッサ部と、前記各フレーム画像や前記解析の結果を表示するモニタと、このモニタの画面上で操作入力できる操作入力部とを備えたX線循環器診断システムにおいて、
前記撮影測定部の種々の撮影ポジションを記憶する撮影ポジション記憶手段と、
前記撮影ポジション記憶手段に記憶された種々の撮影ポジションに従って校正物体を撮影して画像データを取得し、この画像データを基にピクセル・キャリブレーション処理して前記種々の撮影ポジション毎にピクセルサイズを演算するピクセルサイズ演算手段と、
前記種々の撮影ポジションと前記ピクセルサイズとを対応付けて記憶するピクセルサイズ記憶手段と、
前記撮影ポジション記憶手段に記憶された種々の撮影ポジションのうち、所要撮影ポジションに従って前記患者を撮影して取得される各フレーム画像からなる画像データを記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶される各フレーム画像から、前記左心室の拡張末期フレーム画像及び収縮末期フレーム画像を選択するフレーム画像選択手段と、
前記所要撮影ポジションと対応するピクセルサイズを、前記ピクセルサイズ記憶手段から抽出するピクセルサイズ抽出手段と、
前記フレーム画像選択手段にて選択された拡張末期フレーム画像及び収縮末期フレーム画像と、前記ピクセルサイズ抽出手段にて抽出されたピクセルサイズとから、拡張末期容積値及び収縮末期容積値を計測する左心室容積値計測手段と、
前記左心室容積値計測手段にて計測された拡張末期容積値及び収縮末期容積値を用いて心駆出率を算出する心駆出率算出手段とを設けたことを特徴とするX線循環器診断システム。
【請求項2】
患者の心臓の少なくとも左心室を含む左心室撮影を実行して映像信号を生成する撮影測定部と、この撮影測定部の映像信号から各フレーム画像からなる画像データを取得し、この画像データを基に前記患者の心機能を解析するプロセッサ部と、前記各フレーム画像や前記解析の結果を表示するモニタと、このモニタの画面上で操作入力できる操作入力部とを備えたX線循環器診断システムにおいて、
前記撮影測定部の種々の撮影ポジションを記憶する撮影ポジション記憶手段と、
前記撮影ポジション記憶手段に記憶された前記種々の撮影ポジションに従って校正物体を撮影して画像データを取得し、この画像データを基に前記種々の撮影ポジション毎に前記校正物体のグラフィック像を作成するグラフィック像作成手段と、
前記種々の撮影ポジションとグラフィック像とを対応付けて記憶するグラフィック記憶手段と、
前記撮影ポジション記憶手段に記憶された種々の撮影ポジションのうち、所要撮影ポジションに従って前記患者を撮影して取得される各フレーム画像からなる画像データを記憶する画像記憶手段と、
前記所要撮影ポジションに対応する前記校正物体のグラフィック像を表示するモニタとを設けたことを特徴とするX線循環器診断システム。
【請求項3】
前記患者に配置する心電計と、前記患者を撮影して取得される各フレーム画像からなる画像データの時相と心電図波形データのサンプリング点の時相とを相互に対応付ける画像処理手段と、前記画像データ及び前記心電図波形データを関連付けて記憶する処理画像記憶手段とを設置したことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線循環器診断システム。
【請求項4】
患者の心臓の少なくとも左心室を含む左心室撮影を実行して映像信号を生成する撮影測定部と、この撮影測定部の映像信号から各フレーム画像からなる画像データを取得し、この画像データを基に前記患者の心機能を解析するプロセッサ部と、前記各フレーム画像や前記解析の結果を表示するモニタと、このモニタの画面上で操作入力できる操作入力部とを備えたX線循環器診断システムにおいて、
前記プロセッサ部に、
前記撮影測定部の種々の撮影ポジションを記憶する撮影ポジション記憶機能と、
前記種々の撮影ポジション毎に校正物体が撮影されて画像データが取得され、この画像データを基にピクセル・キャリブレーション処理してピクセルサイズを前記種々の撮影ポジション毎に演算するピクセルサイズ演算機能と、
前記種々の撮影ポジションと前記ピクセルサイズとを対応付けて記憶するピクセルサイズ記憶機能と、
前記撮影ポジション記憶機能にて記憶された種々の撮影ポジションのうち、所要撮影ポジションに従って前記撮影測定部の位置をセットする撮影測定部位置セット機能と、
前記所要撮影ポジションの撮影測定部にて前記患者が撮影されて各フレーム画像からなる画像データを取得し、これら各フレーム画像からなる画像データを記憶する画像記憶機能と、
前記画像記憶機能にて記憶された各フレーム画像の中から、前記左心室の拡張末期フレーム画像を選択する拡張末期フレーム画像選択機能と、
前記画像記憶機能にて記憶された各フレーム画像の中から、前記左心室の収縮末期フレーム画像を選択する収縮末期フレーム画像選択機能と、
前記所要撮影ポジションと対応するピクセルサイズを、前記ピクセルサイズ記憶機能にて記憶されたピクセルサイズから抽出するピクセルサイズ抽出機能と、
前記拡張末期フレーム画像選択機能及び前記収縮末期フレーム画像選択機能にて選択された拡張末期フレーム画像及び収縮末期フレーム画像と、前記ピクセルサイズ抽出機能にて抽出されたピクセルサイズとから、拡張末期容積値及び収縮末期容積値を計測する左心室容積値計測機能と、
前記拡張末期容積値及び前記収縮末期容積値を用いて心駆出率を算出する心駆出率算出機能とを実現させるプログラムを記録したことを特徴とするX線循環器診断システム。
【請求項5】
前記拡張末期フレーム画像選択機能では、前記患者が撮影されて取得される各フレーム画像からなる画像データの時相と心電図波形データのサンプリング点の時相とを相互に対応付け、前記心電図波形データを基に所定のフレーム画像を選択することを特徴とする請求項4に記載のX線循環器診断システム。
【請求項6】
前記拡張末期フレーム画像選択機能では、前記患者が撮影されて取得される各フレーム画像からなる画像データの時相と心電図波形データのサンプリング点の時相とを相互に対応付け、前記心電図波形データを基に複数の拡張末期フレーム画像候補を選択可能に表示することを特徴とする請求項4に記載のX線循環器診断システム。
【請求項7】
前記収縮末期フレーム画像選択機能では、前記患者が撮影されて取得される各フレーム画像からなる画像データの時相と心電図波形データのサンプリング点の時相とを相互に対応付け、前記心電図波形データを基に所定のフレーム画像を選択することを特徴とする請求項4に記載のX線循環器診断システム。
【請求項8】
前記収縮末期フレーム画像選択機能では、前記患者が撮影されて取得される各フレーム画像からなる画像データの時相と心電図波形データのサンプリング点の時相とを相互に対応付け、前記心電図波形データを基に複数の収縮末期フレーム画像候補を選択可能に表示することを特徴とする請求項4に記載のX線循環器診断システム。
【請求項9】
前記収縮末期フレーム画像選択機能では、前記拡張末期フレーム画像選択機能機能にて選択された拡張末期フレーム画像の撮影時間の直前及び直後の収縮末期フレーム画像を選択することを特徴とする請求項4に記載のX線循環器診断システム。
【請求項10】
前記複数の拡張末期フレーム画像候補又は収縮末期フレーム画像候補をカタログ表示することを特徴とする請求項6又は8に記載のX線循環器診断システム。
【請求項11】
前記拡張末期フレーム画像選択機能及び前記収縮末期フレーム画像選択機能にて選択された拡張末期フレーム画像及び収縮末期フレーム画像と撮影時間が前後するフレーム画像を表示することを特徴とする請求項4に記載のX線循環器診断システム。
【請求項12】
前記拡張末期フレーム画像選択機能及び前記収縮末期フレーム画像選択機能にて、指定された関心領域内のピクセル値の濃度変化を利用して、前記拡張末期フレーム画像及び前記収縮末期フレーム画像を選択することを特徴とする請求項4に記載のX線循環器診断システム。
【請求項13】
患者の心臓の少なくとも左心室を含む左心室撮影を実行して映像信号を生成する撮影測定部と、この撮影測定部の映像信号から各フレーム画像からなる画像データを取得し、この画像データを基に前記患者の心機能を解析するプロセッサ部と、前記各フレーム画像や前記解析の結果を表示するモニタと、このモニタの画面上で操作入力できる操作入力部とを備えたX線循環器診断システムにおいて、
前記プロセッサ部に、
前記撮影測定部の種々の撮影ポジションを記憶する撮影ポジション記憶機能と、
前記撮影ポジション毎に校正物体が撮影されて画像データが取得され、この画像データを基に前記校正物体のグラフィック像を前記種々の撮影ポジション毎に作成するグラフィック像作成機能と、
前記種々の撮影ポジションとグラフィック像とを対応付けて記憶するグラフィック像記憶機能と、
前記撮影ポジション記憶機能にて記憶された種々の撮影ポジションのうち、所要撮影ポジションに従って前記撮影測定部の位置をセットする撮影測定部位置セット機能と、
前記所要撮影ポジションの撮影測定部にて前記患者が撮影されて各フレーム画像からなる画像データを取得し、これら各フレーム画像からなる画像データを記憶する画像記憶機能と、
前記所要撮影ポジションと対応する前記校正物体のグラフィック像を、前記患者の左心室の推定位置として表示するグラフィック像表示機能とを実現させるプログラムを記録したことを特徴とするX線循環器診断システム。
【請求項14】
予め指定した関心領域内の画像濃度値の分布を用いて、前記所要撮影ポジションにて取得された各フレーム画像における前記画像濃度値の高低によって前記患者の左心室の実際位置を表示することを特徴とする請求項13に記載のX線循環器診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−20716(P2006−20716A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199534(P2004−199534)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】