説明

X線検査装置

【課題】高速移動する被検査物12の鮮明な画像を取得できるX線検査装置11を提供する。
【解決手段】移動中の被検査物12が検査位置14を通過する際に、その被検査物12を位置検出手段16で検出して位置検出信号を出力する。カメラコントロールユニット19は、位置検出手段16が出力する位置検出信号に同期して、X線発生手段17にX線照射信号を出力し、画像取込部20に画像取込信号を出力する。X線照射信号の入力したX線発生手段17は披検査物12にX線をパルス照射する。被検査物12を透過したX線像に対応した画像をカメラ手段18で撮影し、カメラコントロールユニット19のメモリ30に保存し、メモリ30に保存した画像を画像取込部20に取り込む。高速移動する被検査物12の鮮明な画像を取得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動している被検査物をX線検査するX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線検査装置は、例えば医療用や非破壊検査等に用いられており、被検査物にX線発生手段からX線を照射し、この被検査物を透過したX線像をX線イメージ管により可視像に変換し、この可視像をCCDカメラにより撮影してモニタ等に映したり画像処理して検査している。
【0003】
このX線検査装置では、一般に、撮影中は、X線発生手段からX線を連続照射し、カメラ側も連続撮影し、ライブ映像を利用している。
【0004】
ところで、コンベア等で連続的に移動する多数の被検査物を検査する非破壊検査の分野に用いられるX線検査装置では、被検査物の移動がある程度の速度までは被検査物の鮮明な画像が得られて正確な検査が可能であるが、それ以上に高速になると撮影した画像はブレ等があり被検査物の鮮明な画像が得られず、正確な検査ができない問題がある。
【0005】
また、被検査物をX線検査装置の検査位置に対して間欠搬送するようにし、つまり被検査物を検査位置で一時停止させるようにし、その一時停止しているときのカメラの撮影画像を用いて検査するX線検査装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−39404号公報(第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、従来のX線検査装置では、被検査物が高速で移動する場合には、被検査物の鮮明な画像が得られず、正確な検査ができない問題がある。そのため、X線検査装置の検査能力に合わせて、被検査物の移動を低速とするか、被検査物を検査位置に対して間欠搬送して一時停止させる必要があった。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、被検査物が高速で移動していてもこの被検査物の鮮明な画像を取得できるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、移動中の被検査物が検査位置を通過する際にその被検査物を検出して位置検出信号を出力する位置検出手段と、X線照射信号の入力により前記披検査物にX線をパルス照射するX線発生手段と、このX線発生手段からパルス照射した被検査物のX線像に対応した画像を検出するカメラ手段と、前記位置検出手段が出力する位置検出信号に同期して、前記X線発生手段にX線照射信号を出力してX線発生手段からX線をパルス照射させるとともに、前記カメラ手段で画像を検出させるパルス撮影機能を有するカメラコントロールユニットとを具備しているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、パルス撮影機能を有するカメラコントロールユニットにより、移動中の被検査物が検査位置を通過する際にその被検査物を検出した位置検出手段が出力する位置検出信号に同期して、X線発生手段にX線照射信号を出力してX線発生手段からX線をパルス照射させるとともに、カメラ手段で画像を検出させるため、被検査物が高速で移動していてもこの被検査物の鮮明な画像を取得できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、X線検査装置11は、被検査物12として例えばペットボトルの蓋の嵌合検査等に使用する。コンベヤ等の搬送手段13で複数の被検査物12を連続して高速搬送しながらX線検査装置11の検査位置14を通過させる。
【0012】
X線検査装置11は、移動中の被検査物12が検査位置14を通過する際にその被検査物12を検出して位置検出信号(トリガ信号)を出力する位置検出手段16、被検査物12にX線をパルス照射するX線発生手段17、このX線発生手段17からパルス照射した被検査物12のX線像に対応した画像を検出するカメラ手段18、このカメラ手段18を制御するカメラコントロールユニット19、画像を取り込む画像取込部20を有するパーソナルコンピュータ21、パーソナルコンピュータ21に接続されて画像等を表示するモニタ22等を備えている。
【0013】
X線発生手段17は、X線を発生するX線管を有するX線発生部24、およびこのX線発生部24を制御するX線制御部25を備えている。X線制御部25は、カメラコントロールユニット19からのX線照射信号の入力により、X線発生部24からX線をパルス照射させる。
【0014】
カメラ手段18は、被検査物12を透過したX線像を可視光像に変換するX線イメージ管27、およびこのX線イメージ管27で変換された可視光像を撮影する例えばCCDカメラ等のカメラ28を有している。
【0015】
カメラコントロールユニット19は、カメラ手段18を制御するほかに、位置検出手段16が出力する位置検出信号に同期して、X線発生手段17にX線照射信号を出力してこのX線発生手段17からX線をパルス照射させ、カメラ手段18でX線像に応じた画像を撮影させ、画像取込部20に取込信号を出力してこの画像取込部20で画像を取り込ませるパルス撮影機能を有している。さらに、カメラコントロールユニット19は、カメラ手段18で撮影した画像を保存するとともに保存した画像を画像取込部20に送るメモリ30を備えている。
【0016】
パーソナルコンピュータ21の画像取込部20は、例えば汎用のキャプチャーボード等が用いられる。パーソナルコンピュータ21は、画像取込部20に取り込んだ画像を検査し、合否を判定する合否判定手段の機能を有している。
【0017】
次に、X線検査装置11の作用を図2のタイミングチャート、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0018】
被検査物12は例えば30個/sec程度の高速で搬送手段13によりライン上を搬送しており、これら各被検査物12がX線検査装置11の検査位置14を通過する際に、各被検査物12を位置検出手段16で検出して位置検出信号を出力する。
【0019】
カメラコントロールユニット19は、内部同期信号に合わせて、位置検出手段16からの位置検出信号を入力し、予め定められた規定値aの経過後に規定値bの内部トリガ信号を発生し、この内部トリガ信号を発生してから、少し遅れてX線発生手段17に対してX線照射信号のパルスを出力する(ステップ1)。このタイミングでX線照射信号のパルスを出力することにより、被検査物12の位置とX線発生手段17のX線照射位置とが一致する。
【0020】
X線照射信号のパルスを入力したX線発生手段17は、被検査物12にX線をパルス照射する(ステップ2)。同時に、カメラコントロールユニット19は、カメラ手段18で被検査物12を透過したX線像に応じた画像をパルス撮影させ、メモリ30に保存する(ステップ3)。
【0021】
また、カメラコントロールユニット19は、内部トリガ信号を発生してから、少し遅れてパーソナルコンピュータ21の画像取込部20に対して画像取込信号のパルスを出力する(ステップ4)。
【0022】
画像取込信号のパルスを入力したパーソナルコンピュータ21の画像取込部20では、カメラコントロールユニット19のメモリ30に保存されている画像を取り込む(ステップ5)。
【0023】
パーソナルコンピュータ21では、画像取込部20に取り込んだ画像を検査し、合否を判定する(ステップ6)。合格の場合には、被検査物12をラインの後段に送る等の合格時処理をさせ(ステップ7)、また、不合格の場合には、被検査物12をライン上から排除する等の不合格処理をさせる(ステップ8)。
【0024】
これにより、1つの被検査物12の検査についての1サイクルを終了する。続けて、位置検出手段16が続く被検査物12を検出することにより、同様に処理する。
【0025】
このように、X線検査装置11によれば、パルス撮影機能を有するカメラコントロールユニット19により、移動中の被検査物12が検査位置14を通過する際にその被検査物12を検出した位置検出手段16が出力する位置検出信号に同期して、X線発生手段17にX線照射信号を出力してこのX線発生手段17からX線をパルス照射させ、カメラ手段18で画像を撮影させ、画像取込部20に画像取込信号を出力してこの画像取込部20で画像を取り込ませるため、被検査物12が高速で移動していてもこの被検査物12の鮮明な画像を取得できる。
【0026】
例えば、ペットボトルの蓋の嵌合等は0.1μmm台の精度が必要となるが、被検査物12が高速で移動していてもこの被検査物12の鮮明な画像を取得できるため、正確に合否を判定できる。
【0027】
ところで、カメラ手段18で撮影する画像を画像取込部20に直接取り込む場合、カメラ手段18での画像出力が数十〜100ms程度の高速であると、画像取込部20の仕様によっては、画像の取り込みに追従できず、画像が取り込めないことがある。また、画像取込部20での画像取込信号に対する応答特性(時間的特性)はキャプチャーボードの個々に異なり、パルス機能を持つキャプチャーボードであった場合であっても、カメラコントロールユニット19からの画像取込信号に追従できず、画像を取り込めない場合があり、限定された高価なキャプチャーボードしか使用できない。
【0028】
そこで、カメラコントロールユニット19がメモリ30を備え、このメモリ30にカメラ手段18で撮影した画像を一旦保存することにより、メモリ30に保存した画像を画像取込部20が例えば数百msの速度で取り込むことができる。そのため、画像取込部20としては、特殊なキャプチャーボード等を必要とせず、汎用のキャプチャーボードでの画像の取り込みができる。
【0029】
このように、カメラ手段18による画像出力と画像取込部20での画像取り込みとを分離して時差を持たせることにより、カメラ手段18による画像出力の速度によらずに画像取込部20で画像取り込みができる。なお、この時差によって生じるカメラ手段18による画像出力と画像取込部20での画像取り込みによる判定とのズレは、例えば、合否判定に基づいて被検査物12を処理する処理部の位置を、この時差に合わせた位置に設定することで解消できる。
【0030】
したがって、X線検査装置11では、搬送手段13による被検査物12の搬送速度を落とすことなく、かつ汎用の画像取り込み方法での取り込み、判定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態を示すX線検査装置の構成図である。
【図2】同上X線検査装置の検査動作のタイミングチャートである。
【図3】同上X線検査装置の検査動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
11 X線検査装置
12 被検査物
14 検査位置
16 位置検出手段
17 X線発生手段
18 カメラ手段
19 カメラコントロールユニット
20 画像取込部
30 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動中の被検査物が検査位置を通過する際にその被検査物を検出して位置検出信号を出力する位置検出手段と、
X線照射信号の入力により前記披検査物にX線をパルス照射するX線発生手段と、
このX線発生手段からパルス照射した被検査物のX線像に対応した画像を検出するカメラ手段と、
前記位置検出手段が出力する位置検出信号に同期して、前記X線発生手段にX線照射信号を出力してX線発生手段からX線をパルス照射させるとともに、前記カメラ手段で画像を検出させるパルス撮影機能を有するカメラコントロールユニットと
を具備していることを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
カメラコントロールユニットを通じてカメラ手段で検出した画像を取り込む画像取込部を具備し、
カメラコントロールユニットは、位置検出手段が出力する位置検出信号に同期して、前記画像取込部で画像を取り込ませる
ことを特徴とする請求項1記載のX線検査装置。
【請求項3】
カメラコントロールユニットは、カメラ手段で検出した画像を保存するとともに保存した画像を画像取込部に送るメモリを備えている
ことを特徴とする請求項2記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−132833(P2007−132833A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327098(P2005−327098)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】