説明

X線検査装置

【課題】正確に被検査物をX線照射部とX線検出部との間のX線照射領域に搬送できるように、搬送部の幅方向の位置規制を行うことができるX線検査装置を得る。
【解決手段】X線検査装置100は、脚部に支持されている装置筐体と、X線照射部3と、フレーム5と、フレーム5内に配設されているX線検出部と、搬送部6と、扉7と、暖簾8と、暖簾支持部9とを備えているものである。扉7内側には接触部18が設けられており、この接触部18は、扉7を閉じた際、搬送部6の搬送方向側方に接触し押さえるように(凹部(係合部)18aがキャップ部材6kに係合するように)配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線を用いて被検査物中の異物の有無検査を行うX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、X線検出部が内部に収容され、一方の端部を支持端、他方の端部を自由端として略水平に装置筐体から延設された片持ち支持構造のフレームと、前記フレームの自由端側から挿入して装着可能であるとともに、前記X線照射部によるX線照射領域へ被検査物を搬入・搬出する搬送部とを備え、前記フレームの自由端を支持する部位を有したX線検査装置は、公知となっている(例えば、下記特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3111697号公報
【特許文献2】特許第3112418号公報
【特許文献3】特許第3113068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1〜3の装置においては、搬送部が搬送機構支持フレームと支持脚等とに乗っているだけのため、搬送部が幅方向へずれてしまう恐れがある。また、幅方向へずれてしまうと、駆動部への結合が解除され、搬送が不能になる恐れもある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、正確に被検査物をX線照射部とX線検出部との間のX線照射領域に搬送できるように、搬送部の幅方向の位置規制を行うことができるX線検査装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 一局面に従うX線検査装置は、X線を照射するX線照射部と、被検査物を透過したX線を検出するX線検出部と、装置筐体と、前記X線検出部が内部に収容され、前記装置筐体から略水平に延設された支持構造のフレームと、前記フレームに載置され、前記X線照射部によるX線照射領域へ前記被検査物を搬入出する搬送部と、前記フレームの延設方向側、且つ前記X線照射領域の前記搬送部による物品の搬送方向側方において開閉可能に前記装置筐体に設けられた扉と、を備えたものである。前記扉の内側には、前記扉を閉じた際に前記搬送部の前記搬送方向側方に接触する接触部が設けられている。
【0007】
上記(1)の構成によれば、搬送部の幅方向の位置規制が可能なX線検査装置を提供できる。また、接触部によって、搬送部のずれ規制及び押さえも可能である。
【0008】
(2) 上記(1)のX線検査装置においては、前記搬送部が前記幅方向において正規の位置にない場合、前記接触部は、前記扉の閉止を阻止するものであることが好ましい。
【0009】
上記(2)の構成によれば、搬送部が搬送部の幅方向において正規の位置にない場合(例えば、搬送部が幅方向に途中までしか入っていない場合)、扉が閉まらないようにできる。これにより、搬送部が幅方向において正規の位置にあるかどうかを判定できる。その結果として、扉を閉めていないことによるX線の漏洩を防止することができる。
【0010】
(3) 上記(1)又は(2)のX線検査装置においては、前記接触部が、前記幅方向に前記搬送部を押さえるものであることが好ましい。
【0011】
上記(3)の構成によれば、接触部が、搬送部の幅方向に搬送部を安定して押さえることができるので、搬送部の位置決めだけでなく、装置稼働中の搬送部の揺れを抑制することができる。
【0012】
(4) 上記(1)又は(2)のX線検査装置においては、前記搬送部を駆動させる駆動部と、前記駆動部からの力を伝達する伝達部とを備え、前記搬送部が、搬送ベルトと、前記伝達部に接続可能であるとともに前記搬送ベルトを可動する駆動ローラとを有しており、前記接触部が、前記駆動ローラの前記扉側を押さえるものであることが好ましい。
【0013】
上記(4)の構成によれば、接触部が駆動ローラの扉側を搬送部の幅方向に押さえるので、搬送部の位置決めだけでなく、装置稼働中の搬送部の揺れを抑制することができる。
【0014】
(5) 上記(4)のX線検査装置においては、前記伝達部が、前記駆動ローラの前記扉側と反対側に接続されている第1カップリング部材と、前記駆動部に接続されている第2カップリング部材とを有しているものであり、前記第1カップリング部材と前記第2カップリング部材とが、相互に噛み合う凹凸部をそれぞれ有していることが好ましい。
【0015】
第1カップリング部材と第2カップリング部材とが噛み合っており、駆動部の力を駆動ローラに伝達できている状態を、搬送部が正規の位置にあると設定した場合、第1カップリング部材と第2カップリング部材とが噛み合っていない状態であれば、搬送部は正規の位置にないこととなる。このとき、接触部によって駆動ローラを搬送部の幅方向に押さえつつ、駆動部を少し駆動させて上記2つの部材を噛み合わせることで、搬送部を正規の位置に規制することができる。したがって、上記(5)の構成によれば、伝達部を介して駆動ローラと駆動部とを取り付け自在とすることができるとともに、該取り付けを容易な操作で行うことが可能なX線検査装置を提供できる。
【0016】
(6) 上記(4)又は(5)のX線検査装置においては、前記駆動ローラが軸を有し、前記駆動ローラの軸の前記扉側にキャップ部材が設けられており、前記接触部が、前記キャップ部材と係合する係合部を有している前記駆動ローラの前記扉側にキャップ部材が設けられており、前記接触部が、前記キャップ部材と嵌合する嵌合部材を有しているものであることが好ましい。
【0017】
上記(6)の構成によれば、接触部が、駆動ローラを安定して搬送部の幅方向に押さえることが可能であることから、装置稼働中の搬送部の揺れをより抑制することができる。
【0018】
(7) 上記(1)〜(6)のX線検査装置においては、前記搬送部の幅方向の位置決めを行う位置決め部を備えているものである。ここで、前記位置決め部は、前記搬送部の前記扉側に設けられ、前記搬送方向に開口するように形成された凹部を有した第1部材と、前記凹部に係合可能な凸部を有し、前記搬送方向と略平行な平面上で移動可能な第2部材と、を含んでいるものであってもよく、前記第1部材の凹部と前記第2部材の凸部との係合により前記搬送部の前記扉側を支持するものであってもよい。
【0019】
上記(7)の構成によれば、前記凸部と前記凹部とを係合させることによって、正確に被検査物をX線照射部とX線検出部との間の前記X線照射領域内における適切な検査位置に搬送できるように、搬送部の幅方向の位置決めを行うことが可能なX線検査装置を提供できる。また、前記搬送部の前記扉側を支持することができるので、前記搬送部の揺れを抑制することができる。その結果として、前記被検査物について安定した透過画像を得ることができ、従来に比べて、前記被検査物の検査精度を向上させることができる。
【0020】
(8) 上記(7)のX線検査装置においては、前記第2部材が本体を有しており、前記凸部が前記本体の一端部に設けられており、前記凸部が前記凹部に係合した際、前記本体の一端部が前記第1部材を支持するものであることが好ましい。
【0021】
上記(8)の構成によれば、確実に、前記搬送部の前記扉側を支持することができるので、前記搬送部の揺れを抑制することができる。その結果として、前記被検査物について安定した透過画像を得ることができ、従来に比べて、前記被検査物の検査精度を向上させることができる。特に、前記搬送部を略水平に保持するように、前記本体の一端部が前記第1部材を支持した場合は、前記搬送部の搬送面と前記フレーム内の前記X線検出部との間隔を、扉側と扉側の反対側とで略同一にすることができるので、さらに安定した透過画像を得ることができ、従来に比べて、前記被検査物の検査精度をより向上させることができる。
【0022】
(9) 上記(7)又は(8)のX線検査装置においては、前記第2部材が、前記本体の他端部を中心に回動する回動部材であることが好ましい。
【0023】
上記(9)の構成によれば、容易に、前記凹部と前記凸部とを係合させることができるとともに、前記凹部と前記凸部との係合状態を解除することもできる。
【0024】
(10) 別の観点として、上記(7)又は(8)のX線検査装置においては、前記第2部材が、前記搬送方向に摺動する摺動部材であってもよい。
【0025】
上記(10)の構成によれば、上記(9)の構成と同様、容易に、前記凹部と前記凸部とを係合させることができるとともに、前記凹部と前記凸部との係合状態を解除することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係るX線検査装置の概略構成を示した斜視図であって、搬送部を取り外した状態を示した図である。
【図2】図1に示したX線検査装置の斜視図であって、搬送部を装着し位置決めした状態を示した図である。
【図3】図1に示したX線検査装置の側面図である。
【図4】図3に示した状態から、搬送部をフレームに載置した状態を示した側面図である。
【図5】図4に示した状態から、扉を閉じた状態を示した一部拡大側面図である。
【図6】(a)が伝達部を示す図、(b)が(a)の伝達部を構成するカップリング部材の一つを示す図、(c)が(a)の伝達部を構成するカップリング部材の他の一つを示す図である。
【図7】図3に示した状態から、搬送部をフレームに載置し位置決めした状態を示した側面図である。
【図8】図7に示した状態から、扉を閉じた状態を示した側面図である。
【図9】図1に示したX線検査装置の一部拡大図であって、(a)が搬送部を位置決めしている状態を示している図、(b)が搬送部の位置決めを解除した状態を示している図である。
【図10】本発明の実施形態の変形例1に係るX線検査装置の一部拡大図であって、(a)が搬送部の位置決めを解除した状態を示している図、(b)が搬送部を位置決めしている状態を示している図である。
【図11】本発明の実施形態の変形例2に係るX線検査装置の搬送部付近を示す正面図である。
【図12】図11に示した搬送部を搬送方向から見た場合の一部拡大図であって、(a)が搬送部の位置決めを固定する前の状態を示す図、(b)が搬送部の位置決めを固定した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1〜図8を参照して、本発明の実施形態に係るX線検査装置について説明する。
【0028】
図1及び図2に示したように、X線検査装置100は、脚部1に支持されている装置筐体2と、X線照射部3と、X線検出部4と、フレーム5と、搬送部6と、扉7と、暖簾8と、暖簾支持部9とを備えているものである。
【0029】
装置筐体2の内部には、被検査物が搬送される搬送部6に向けてX線を照射するX線照射部3が設けられている。また、図3に示したように、装置筐体2の壁部2aの内部には、搬送部6を駆動させるモータ(駆動部)19が設けられている。このモータ19の扉7側には回転軸21の一端が接続されており、該回転軸21の他端には、後述する伝達部20の一部である第1カップリング部材20aが設けられている。また、装置筐体2の壁部2aから扉7側の方向に延設され、搬送部6の孔部6m(図3参照)に係合可能で、搬送部6の位置決めに用いることが可能な略棒状の突出部2bが設けられている。
【0030】
X線検出部4は、X線照射部3から照射されたX線のうち、被検査物を透過したX線を検出することができるものである。X線検出部4の一例としては、いわゆるラインセンサが挙げられる。
【0031】
フレーム5は、内部にX線検出部4が収容されているものであり、一端部が装置筐体2の壁部2aに支持され、略水平に装置筐体2から延設された支持構造となるように設けられている。
【0032】
搬送部6は、側面が略L字状のハウジング6aと、ハウジング6aの内部に前後方向に架設された駆動ローラ6b及び複数のローラ6jと、駆動ローラ6b及び複数のローラ6jの周囲に巻き掛けることが可能な無端ベルト(搬送ベルト)6cと、を有しているものである。
【0033】
ハウジング6aは、図2及び図9(a)、(b)に示したように、ローラ6bを回転可能に支持するための突出部6dと、搬送部6の扉7側に設けられ、先端部6fが略水平方向に曲げられている突出部6e(第1部材)と、孔部6nと、スリット6rとを有しているものである。突出部6eは、図9(b)に示したように、先端部6fにおいて、搬送方向に開口するように形成された凹部6gを有しているものである。また、図3に示したように、ハウジング6aは、ハウジング6a中央部を中心として対称的に設けられ、突出部6eにおける先端部6fと同様の先端部6hと、先端部6hにおいて凹部6gと反対方向に開口するように形成された凹部6iとを有しているものである。また、搬送部6は、図3及び図4に示したように、フレーム5の扉7側からフレーム5に載置する。該載置がなされた際には、X線照射部3によるX線照射領域(X線照射部3とX線検出部4との間の領域)へ被検査物を搬入出することができるようになっている。なお、図示しないが、孔部6nと同様の孔部が、ハウジング6aの装置筐体2側にも設けられており、該孔部と孔部6nとで、ローラ6j(駆動ローラ6b直上に配設されているもの)の両端を保持して回転可能に支持することができるとともに、該孔部と孔部6nとからローラ6j(駆動ローラ6b直上に配設されているもの)を取り外すことができるように構成されている。また、スリット6rは、搬送部6の幅方向に長細に設けられている間隙であり、搬送部6がフレーム5の正規の位置(図4に示した位置)に載置された場合において、X線照射部3から照射されるX線がX線検出部4に届きやすいようになっている。また、図示しないが、搬送部6をフレーム6に載置したまま、ハウジング6aから無端ベルト(搬送ベルト)6cを取り外すことができるようにもなっている。
【0034】
駆動ローラ6bは、軸6bを有しており、軸6bの扉7側の先端にはキャップ部材6kが被せられている。また、軸6bの壁部2a側の先端には、後述する伝達部20の一部である第2カップリング部材20bが接続されている。
【0035】
扉7は、図7に示した矢印(一点鎖線)の方向に開閉可能な略板状のものであり、フレーム5に載置された搬送部6の側方(装置筐体2の壁部2a側と反対側)を覆って、X線の漏洩を防止することができるものである。また、扉7内側には接触部18が設けられており(図2、図3参照)、この接触部18は、扉7を閉じた際、搬送部6の搬送方向側方に接触し押さえるように(ここでは、凹部(係合部)18aがキャップ部材6kに係合するように)配設されている(図5、図8参照)。なお、図5においては、凹部(係合部)18aとキャップ部材6kとの係合状態を示すために、図4に示した状態から、扉7を閉じた状態を示したものである。
【0036】
伝達部20は、図6(a)に示したように、凹部20b及び凸部20b2を有した第2カップリング部材20b(図6(b)参照)と、凹部20a及び凸部20a2を有した第1カップリング部材20a(図6(c)参照)と、が相互に噛み合って嵌合することが可能なものである。なお、図6においては、説明の便宜のため、第1カップリング部材20aと軸6bとの接続の様子、第2カップリング部材20bと駆動部との接続の様子は示していない。
【0037】
暖簾8は、装置筐体2に着脱可能な板状の暖簾支持部9に吊り下げ支持されたものである。暖簾支持部9が装置筐体2に装着されている場合には、暖簾8によって、搬送部6による被検査物の搬入口及び搬出口において被検査物が通過可能でありながら、漏洩X線を防止することができるようになっている。
【0038】
暖簾支持部9は、フレーム5の扉7側がパチン錠11によって固定・解除される構成となっている。なお、パチン錠11は、図2に示したように、暖簾支持部9のフレーム5の扉7側に設けられた突起部11aと、装置筐体2に設けられた基台11bと、基台11bを軸として回動可能であるとともに、突起部11aに係合可能な略コ字状の回動部11cとを有しているものであり、暖簾支持部9及び暖簾8の位置決めを行うことができるものである。
【0039】
脚部1の扉7側には、筒状部材12、14が設けられている。筒状部材12の扉7側には、軸16が設けられているとともに、この軸16を中心に前記搬送方向と略平行な平面上で回動可能な回動部材13(第2部材)が設けられている。なお、回動部材13には、回動した際に凹部6gに係合可能な凸部13aが一端部に設けられ、他端部に軸16が貫通している孔(図示せず)が設けられている。また、筒状部材14の扉7側には、軸17が設けられているとともに、この軸17を中心に前記搬送方向と略平行な平面上で回動可能な回動部材15(第2部材)が設けられている。なお、回動部材15には、回動した際に凹部6iに係合可能な凸部15aが一端部に設けられ、他端部に軸17が貫通している孔(図示せず)が設けられている(図1〜図4、図7参照)。また、凸部13a、15aがそれぞれ、凹部6g、6iに係合した際、搬送部6の搬送面を略水平に保持するように、回動部材13、15の一端部が突出部6eにおける先端部6fと、先端部6fと同様の先端部6hとを支持するものである。
【0040】
なお、(1)凹部6gを有した突出部6eと、凸部13aを有した回動部材13との組合せ、(2)凹部6iを有し、ハウジング6a中央部を中心として突出部6eと対称的な位置に設けられた部位(図3、図4に示したハウジング6aにおける先端部6h付近)と、凸部15aを有した回動部材15との組合せが、搬送部6の幅方向の位置決めを行う位置決め部の主要部を構成している。これにより、図7に示したように、フレーム5の扉7側から装着されるとともに、回動部材13、15を回動させて、突出部6eにおける凹部6gと回動部材13における凸部13aとを係合し、また、凹部6iと回動部材15における凸部15aとを係合した際には、搬送部6の幅方向の位置決めができる。また、壁部2aと
【0041】
次に、搬送部6の装置筐体2への取り付け工程について説明する。まず、図3に示した状態から、搬送部6をフレーム5に載置しつつ、突出部2bを搬送部6の孔部6mに係合させて、搬送部6について搬送方向の位置決めする。該位置決め後、無端ベルト6cをハウジング6aに巻き掛け、搬送部6を図4に示したような状態にする。このとき、第1カップリング部材20aと第2カップリング部材20bとが噛み合っていれば、図4及び図9(b)に示した位置から回動部材13、15を回動させて、突出部6eにおける凹部6gと回動部材13における凸部13aとを係合し(図9(a)参照)、また、凹部6iと回動部材15における凸部15aとを係合し(図7参照)、搬送部6の幅方向の位置決めを行う。また、回動部材13、15は搬送部6の扉7側を支持可能なものであるので、フレーム5とともに搬送部6を両持ち支持することが可能な構造となっている。
【0042】
続いて、搬送部6がフレーム5上の正規の位置(図4に示した位置)に載置されている場合には、暖簾8が吊り下げ支持された暖簾支持部9を、装置筐体2に装着する(図7参照)。なお、暖簾支持部9の装置筐体2への装着は、搬送部6のフレーム5への載置の前に行ってもよい。続いて、扉7を装置筐体2側へ回動し、凹部(係合部)18aをキャップ部材6kに係合させて、扉7を閉じる。これにより、搬送部6における駆動ローラ6bは、キャップ部材6kを介した接触部18と、伝達部20を介した回転軸21とによって、搬送部6幅方向に押さえられる。これにより、搬送部6の幅方向の位置を規制することができる。なお、搬送部6のフレーム5からの取り外しは、ここまでの各工程の順を逆順序で行うことで達成できる。
【0043】
ここで、図示しないが、仮に、第1カップリング部材20aと第2カップリング部材20bとが噛み合わなかった場合(例えば、凸部20a2と凸部20b2とが対向して接触している場合)、搬送部6は、装置筐体2の壁部2aに向かって奥まで入りきらない状態となる。このとき、搬送部6が搬送部6幅方向において正規の位置(図4に示した位置)から扉7側へ突出していることになるので、接触部18の凹部18aがキャップ部材6kに係合せず、扉7が閉まらないこととなる。このような場合には、接触部18によって駆動ローラ6bを搬送部6の幅方向に押さえつつ、駆動部19を少し駆動させて第1カップリング部材20aと第2カップリング部材20bとを図6(a)の状態となるように噛み合わせ、搬送部6を正規の位置(図4に示した位置)に載置し直す。その後、扉7を装置筐体2側へ回動し、凹部(係合部)18aをキャップ部材6kに係合させるように扉7を閉じることによって、搬送部6における駆動ローラ6bを、キャップ部材6kを介した接触部18と、伝達部20を介した回転軸21とによって搬送部6を搬送部6幅方向に押さえる。これにより、搬送部6の幅方向の位置を規制することができる。
【0044】
上述した本実施形態によれば、搬送部6の幅方向の位置規制、並びに、搬送部6のずれ規制(搬送部6の上下左右方向へのずれ規制)及び押さえ、が可能なX線検査装置100を提供できる。また、接触部18は、搬送部6幅方向に搬送部6を安定して押さえることができるので、搬送部6の位置決めだけでなく、装置稼働中の搬送部6の揺れを抑制することができる。特に、本実施形態においては、係合部18aを有した接触部18と、係合部18aと係合可能なキャップ部材6kとを用いて、駆動ローラ6bの扉7側を搬送部6の幅方向に押さえるので、装置稼働中の搬送部6の揺れを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態においては、第1カップリング部材20aと第2カップリング部材20bとが噛み合っており、駆動部19の力を駆動ローラ6bに伝達できている状態を、搬送部6が正規の位置(図4に示した搬送部6の位置)にあると設定した場合、第1カップリング部材20aと第2カップリング部材20bとが噛み合っていない状態であれば、搬送部6は正規の位置にないこととなる。このとき、搬送部6が搬送部6幅方向において正規の位置にない場合、搬送部6は正規の位置(図4に示した位置)から扉7側へ突出するので、接触部18が突出した搬送部6の扉7側の部位に当接するため、扉7の閉止を阻止することができる。これにより、搬送部6が幅方向において正規の位置にあるかどうかを判定できる。その結果として、扉7を閉めていないことによるX線の漏洩を防止することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、搬送部6が正規の位置(図4に示した位置)にない場合、接触部6によって駆動ローラ6bを搬送部6の幅方向に押さえつつ、駆動部19を少し駆動させて第1カップリング部材20aと第2カップリング部材20bとを噛み合わせることで、搬送部6を正規の位置(図4に示した位置)に規制することができる。したがって、本実施形態によれば、伝達部20を介して駆動ローラ6bと駆動部19とを取り付け自在とすることができるとともに、該取り付けを容易な操作で行うことが可能なX線検査装置100を提供できる。
【0047】
本実施形態によれば、凸部13a、15aと凹部6g、6iとをそれぞれ係合させることによって、正確に被検査物をX線照射部3とX線検出部4との間の前記X線照射領域内における適切な検査位置に搬送できるように、搬送部6の幅方向の位置決めを行うことが可能なX線検査装置100を提供できる。また、搬送部6の扉7側を支持することができるので、搬送部6の揺れを抑制することができる。その結果として、被検査物について安定した透過画像を得ることができ、従来に比べて、被検査物に対する検査精度を向上させたX線検査装置100を提供できる。
【0048】
また、凸部13a、15aがそれぞれ、凹部6g、6iに係合した際、搬送部6の搬送面を略水平に保持するように、回動部材13、15の一端部が突出部6eにおける先端部6fと、先端部6fと同様の先端部6hとを支持する、すなわち、搬送部6を支持するものであるので、確実に、搬送部6の扉7側を支持することができる。その結果として、搬送部6の揺れを抑制することができることから、被検査物について安定した透過画像を得ることができ、従来に比べて、被検査物に対する検査精度を向上させたX線検査装置100を提供できる。特に、搬送部6を略水平に保持するように、回動部材13、15の一端部が突出部6eにおける先端部6fと、先端部6fと同様の先端部6hとを支持した場合(搬送部6を支持した場合)は、搬送部6の搬送面とフレーム5内のX線検出部4との間隔を、扉7側と壁部2a側とで略同一にすることができる。したがって、さらに安定した透過画像を得ることができ、従来に比べて、被検査物に対する検査精度をより向上させたX線検査装置100を提供できる。
【0049】
また、回動部材13、15のそれぞれが、他端部に設けられている軸16、17を中心に回動するものであるので、容易に、(1)凹部6gと凸部13aとを係合させることができるとともに、凹部6iと凸部15aとを係合させることができる、(2)凹部6gと凸部13aとの係合状態、凹部6iと凸部15aとの係合状態をそれぞれ解除することもできる、という効果を奏する。
【0050】
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態などに限定されるものではない。例えば、下記の変形例1、2なども挙げられる。
【0051】
<変形例1>
図10を参照して、本発明の実施形態の変形例1に係るX線検査装置について説明する。なお、上記実施形態と同様の部位については、説明を省略することがある。特に、本変形例における符号26c、26e、26f、26gの部位は、順に、上記実施形態における符号6c、6e、6f、6gの部位と同様であるので、説明を省略することがある。
【0052】
本変形例のX線検査装置は、(1)筒状部材12の代わりに、扉7側において略水平方向に形成されたガイド溝40、41を有している筒状部材32が用いられている点、(2)回動部材13の代わりに、搬送方向へ摺動自在となるようにガイド溝40、41に取り付けられている摺動部材33が用いられている点、(3)摺動部材33を搬送方向と略平行な平面上においてX線検査装置内側へ摺動させた際、凸部33aが凹部26gに係合して搬送部を位置決めするように、各部位が設置されている点(図10参照)で、上記実施形態と異なっている。なお、本変形例では、凸部33aを有した摺動部材33と、凹部26gを有した突出部26eとが位置決め部の主要部を構成している。
【0053】
本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0054】
<変形例2>
次に、図11、図12を参照して、本発明の実施形態の変形例2に係るX線検査装置について説明する。なお、上記実施形態と同様の部位については、説明を省略することがある。特に、本変形例における符号46b、46c、46e、46f、46g、46j、46n、56、57の部位は、順に、上記実施形態における符号6b、6c、6e、6f、6g、6j、6n、16、17の部位と同様であるので、説明を省略することがある。また、符号46pは、上記実施形態の駆動ローラ6bの直上にあるローラ6jと同様のものであるので、説明を省略する。
【0055】
本変形例のX線検査装置は、(1)回動部材13の代わりに、扉7側の側部に設けられた基台60aと、基台60aを軸として回動可能な略コ字状の回動部60bとを有している回動部材52(回動動作は回動部材13と同様)が用いられている点、(2)突出部46eの扉7側に設けられ、所定角度回動した際の回動部60bが係合する突起部60cが設けられている点(図12参照)、(3)回動部材15の代わりに、扉7側の側部に設けられた基台61aと、基台61aを軸として回動可能な略コ字状の回動部60bとを有している回動部材52(回動動作は回動部材15と同様)が用いられている点、(4)ハウジング46a中央部を中心として、基台60aと対称的に扉7側に設けられ、所定角度回動した際の回動部61bが係合する突起部61cが設けられている点で、上記実施形態と異なっている。なお、基台60aと、回動部60bと、突起部60cとで、パチン錠60が構成され、基台61aと、回動部61bと、突起部61cとで、パチン錠61が構成されている。
【0056】
本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、位置決め部における搬送部46の位置決め状態を固定状態にしたり解除可能状態にしたりすることができる。
【0057】
<その他の変形例>
他の変形例として、以下のようなものも挙げられる。上記実施形態において、(1)凹部6gを有した突出部6eと、凸部13aを有した回動部材13との組合せ、(2)凹部6iを有し、ハウジング6a中央部を中心として突出部6eと対称的な位置に設けられた部位(図3、図4に示したハウジング6aにおける先端部6h付近)と、凸部15aを有した回動部材15との組合せを、搬送部6の幅方向の位置決めを行う位置決め部の主要部としたが、これら(1)、(2)のうちどちらか一方のみが設けられているX線検査装置でもよい。
【0058】
上記変形例2のパチン錠60と同様のパチン錠を、上記変形例1の摺動部材33と突出部26eとに設けてもよい。すなわち、基台60a及び回動部60bと同様の基台及び回動部を摺動部材33に設けるとともに、突起部60cと同様の突起部を突出部26eに設けてもよい。
【0059】
例えば、上記変形例2におけるパチン錠60、61は一例であり、位置決め部における搬送部の位置決め状態を固定状態にしたり解除可能状態にしたりすることができるものであれば、どのようなパチン錠であってもよい。また、パチン錠に限らず、別の固定・解除機構を有した器具であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態における接触部18は、搬送部6のいずれかの箇所を押さえて、搬送部6を搬送部6幅方向に位置規制するものであれば、どのような構成のものであってもよい。例えば、ハウジング6aの扉7側平面部を押さえて、搬送部6を搬送部6幅方向に位置規制するものであってもよい。
【0061】
また、上記実施形態における接触部18は、扉7の内側に別部材として設けたものであるが、扉7と一体形成したものであってもよい。例えば、扉7の外部から力を加え、上記実施形態における接触部18と同様の形状を形成して、接触部としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 脚部
2 装置筐体
2a 壁部
2b、6d、6e、26e、46e 突出部
3 X線照射部
4 X線検出部
5 フレーム
6、46 搬送部
6a、46a ハウジング
6b 駆動ローラ
6b、16、17 軸
6c 無端ベルト
6f、6h 先端部
6g、6i、26g 凹部
6j、46j、46p ローラ
6k キャップ部材
6n、46n 孔部
7 扉
8 暖簾
9 暖簾支持部
11、60、61 パチン錠
11a、60c、61c 突起部
11b、60a、61a 基台
11c、60b、61b 回動部
12、14、32 筒状部材
13、15、52 回動部材
13a、15a、33a 凸部
18 接触部
18a 凹部(係合部)
19 モータ(駆動部)
20 伝達部
20a 第1カップリング部材
20b 第2カップリング部材
21 回転軸
33 摺動部材
40 ガイド溝
100 X線検査装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線照射部と、
被検査物を透過したX線を検出するX線検出部と、
装置筐体と、
前記装置筐体から略水平に延設されたフレームと、
前記フレームに載置され、前記X線照射部によるX線照射領域へ前記被検査物を搬入出する搬送部と、
前記フレームの延設方向側に設けられ、開閉可能に前記装置筐体に設けられた扉と、
を備えたX線検査装置であって、
前記扉に、前記扉を閉じた際に前記搬送部の前記搬送方向側方に接触する接触部が設けられていることを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記搬送部が前記幅方向において正規の位置にない場合、前記接触部は、前記扉の閉止を阻止することを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記接触部が、前記幅方向に前記搬送部を押さえることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記搬送部を駆動させる駆動部と、
前記駆動部からの力を伝達する伝達部とを備え、
前記搬送部が、搬送ベルトと、前記伝達部に接続可能であるとともに前記搬送ベルトを可動する駆動ローラとを有しており、
前記接触部が、前記駆動ローラの前記扉側を押さえるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記伝達部が、前記駆動ローラの前記扉側と反対側に接続されている第1カップリング部材と、前記駆動部に接続されている第2カップリング部材とを有しているものであり、
前記第1カップリング部材と前記第2カップリング部材とが、相互に噛み合う凹凸部をそれぞれ有していることを特徴とする請求項4に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記駆動ローラが軸を有し、
前記駆動ローラの軸の前記扉側にキャップ部材が設けられており、
前記接触部が、前記キャップ部材と係合する係合部を有していることを特徴とする請求項4又は5に記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記搬送部の幅方向の位置決めを行う位置決め部を備え、
前記位置決め部が、
前記搬送部の前記扉側に設けられ、前記搬送方向に開口するように形成された凹部を有した第1部材と、
前記凹部に係合可能な凸部を有し、前記搬送方向と略平行な平面上で移動可能な第2部材と、を含んでいるものであり、
前記第1部材の凹部と前記第2部材の凸部との係合により前記搬送部の前記扉側を支持することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項8】
前記第2部材が本体を有しており、
前記凸部が前記本体の一端部に設けられており、
前記凸部が前記凹部に係合した際、前記搬送部の搬送面を略水平に保持するように、前記本体の一端部が前記第1部材を支持するものであることを特徴とする請求項7に記載のX線検査装置。
【請求項9】
前記第2部材が、前記本体の他端部を中心に回動する回動部材であることを特徴とする請求項7又は8に記載のX線検査装置。
【請求項10】
前記第2部材が、前記搬送方向に摺動する摺動部材であることを特徴とする請求項7又は8に記載のX線検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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