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X線検査装置
説明

X線検査装置

【課題】確実に異物検出を行うことが可能なX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置100は、被検査物AにX線を照射するX線源200と、X線源200から照射される低エネルギー帯のX線を検知するセンサ310および高エネルギー帯のX線を検知するセンサ320を有するセンサユニット300と、センサ310により検知されたX線データに基づいて被検査物Aの透過画像を生成すると共に、センサ320により検知されたX線データに基づいて被検査物Aの透過画像を生成する画像生成部401と、2つの透過画像の輝度が一致または近似するように一方の透過画像の輝度を変換させる輝度変換テーブルを作成する輝度変換テーブル作成部406と、輝度変換テーブルを平滑化して平滑輝度変換テーブルを取得する平滑化部408と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物にX線を照射することによって異物の検出を行うX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なるエネルギー帯のX線を被検査物に照射することによって得られる透過画像から異物検出を行うX線検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、異なるX線エネルギーによる同一被検査物に対する2つの透過X線データを検出する検出器と、透過X線データを基準物質の厚さに変換する変換器と、基準物質の厚さに変換した2つの変換データを用いて、被検査物と異物の識別を行う判定器を備えた異物検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−318943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の異物検出装置は、被検査物と同等の元素を持つ基準物質について、その厚さと透過X線データの値との関係を求めておき、検出器で得られた2つの透過X線データを基準物質の厚さに変換するものである。しかしながら、この異物検出装置は、被検査物と同等の元素を基準物質として規定し、厚さ変換を行うものであるので、当該基準物質のみで構成される被検査物については異物検出を行うことができるものの、被検査物の物性が一様でない食品、および、被検査物に様々な部品が搭載されるような工業製品等については、厚さ変換が困難となる。すなわち、単一の元素のみで構成されない被検査物(食品および工業製品等)について確実に異物検査を実施することができなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、確実に異物検出を行うことが可能なX線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一局面に係るX線検査装置は、被検査物にX線を照射するX線源と、X線源から照射される第1エネルギー帯のX線を検知する第1センサおよび第2エネルギー帯のX線を検知する第2センサを有するセンサユニットと、第1センサにより検知されたX線データに基づいて被検査物の第1透過画像を生成すると共に、第2センサにより検知されたX線データに基づいて被検査物の第2透過画像を生成する画像生成部と、第1透過画像の輝度が第2透過画像の輝度に一致または近似するように第1透過画像の輝度を変換させる輝度変換関数を作成する輝度変換関数作成部と、輝度変換関数を平滑化して平滑輝度変換関数を取得する平滑化部と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、特定の透過画像(第1透過画像および第2透過画像)によって得られた輝度変換関数を平滑化することによって、被検査物に共通する輝度の特性を現した平滑輝度変換関数を取得することができる。つまり、特定の透過画像の輝度分布にばらつきがある場合でも、当該平滑化によって、一般化された平滑輝度変換関数を得ることができる。これにより、上記した特定の透過画像とは異なる輝度分布を有する被検査物についても、一般化された当該平滑輝度変換関数に基づいて、第1透過画像の輝度を第2透過画像の輝度に略一致させることができる。これにより、第1透過画像の被検査物の輝度と、第2透過画像の被検査物の輝度とが略一致するので、第1透過画像および第2透過画像から被検査物を消し込むことができる。その結果、被検査物と異物とのコントラストに差異がある第1透過画像および第2透過画像において、被検査物の消し込みが可能となるので、異物のみの抽出が可能となる。これにより、確実に異物検出を行うことができる。
特に、食品等の被検査物は、工業製品と異なり、内容物の材質が不均一であるので被検査物の輝度分布に個体差が生じる。このため、被検査物に共通する輝度の特性を現した平滑輝度変換関数を取得することにより、輝度分布に個体差が生じる食品等の被検査物に対する検査も可能となる。
【0009】
X線検査装置において、平滑化部は、輝度変換関数を2次関数に近似して平滑輝度変換関数を取得する。
【0010】
この場合、近似式が高次元の関数の場合、特定の透過画像に起因する輝度のばらつきを高次元の関数の曲線で再現してしまうところ、上記構成によれば、輝度変換関数を、被検査物に共通する輝度の特性を十分に表現する2次関数に近似することができる。これにより、特定の透過画像とは異なる輝度分布を有する被検査物の透過画像についても、当該2次関数に係る平滑輝度変換関数に基づいて、適切に輝度変換することができる。
【0011】
X線検査装置において、輝度変換関数に特定の輝度についての変換データが存在しない場合に、当該輝度変換関数に当該特定の輝度または当該特定の輝度の近傍に仮想の変換データを補完するデータ補完部をさらに備え、平滑化部は、データ補完部により当該仮想の変換データが補完された補完後輝度変換関数を平滑化して補完後平滑輝度変換関数を取得する。
【0012】
上記構成によれば、第1透過画像および第2透過画像から得られた輝度変換関数に特定の輝度についての変換データが無い場合でも、仮想の変換データを補完して平滑化することによって、当該特定の輝度についての変換データを有する補完後平滑輝度変換関数を取得することができる。これにより、第1透過画像および第2透過画像に存在しなかった輝度についても、適切に輝度変換ができるようになるので、被検査物の消し込みが正確になるので、異物の検出精度が向上する。
【0013】
X線検査装置において、補完後平滑輝度変換関数により輝度が変換された第1透過画像の輝度分布の各輝度値と、第2透過画像の輝度分布の各輝度値と、の差の総和が最小になるように、当該補完後平滑輝度変換関数を取得するのに用いた仮想の変換データの値を調整する仮想データ調整部をさらに備える。
【0014】
上記構成によれば、第1透過画像の輝度分布を第2透過画像の輝度分布に最も近似させるような補完後平滑輝度変換関数を取得することができる。これにより、輝度変換後の第1透過画像の輝度と第2透過画像の輝度とが略一致し、被検査物の消し込みがより正確になるので、異物の検出精度がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の全体構成を示した模式斜視図である。
【図2】センサユニットの詳細を示した模式斜視図である。
【図3】X線検査装置のブロック図である。
【図4】低エネルギー画像P100および高エネルギー画像P200を示した画像図である。
【図5】低エネルギー画像P100を拡大した画像図である。
【図6】低エネルギー画像P100を位置合わせした画像図である。
【図7】低エネルギー画像P100と高エネルギー画像P200とを重ね合わせた画像図であって、(a)位置合わせ前の状態を示した画像図、(b)位置合わせした後の状態を示した画像図である。
【図8】低エネルギーヒストグラムH100と高エネルギーヒストグラムH200とを示したグラフである。
【図9】低エネルギーヒストグラム積算曲線C100と高エネルギーヒストグラム積算曲線C200とを示したグラフである。
【図10】低エネルギーヒストグラム積算曲線C100と高エネルギーヒストグラム積算曲線C200とから変換比Rを算出するのを説明するためのグラフである。
【図11】輝度変換テーブルT100を示したグラフである。
【図12】輝度変換テーブルT100、補完後輝度変換テーブルT101、および、補完後平滑輝度変換テーブルT102を示したグラフである。
【図13】輝度変換前後における低エネルギー画像P100を示した画像図である。
【図14】低エネルギーヒストグラムH100、高エネルギーヒストグラムH200、および、輝度変換後低エネルギー画像P101のヒストグラムH101を示したグラフである。
【図15】輝度変換後低エネルギー画像P101、高エネルギー画像P200、および、両画像P101を画像P200で除算して得られた結果画像P300を示した画像図である。
【図16】結果画像P300、ノイズが除去され、異物以外の領域の値が0となるように輝度変換した結果画像P301、および、2値化された2値化画像P302、最終画像P400を示した画像図である。
【図17】画像処理方法を示したフローチャートである。
【図18】輝度変換テーブルの取得方法を示したフローチャートである。
【図19】変形例に係るX線検査装置における低エネルギーヒストグラムH100a、中エネルギーヒストグラムH300a、および、高エネルギーヒストグラムH200aを示したグラフである。
【図20】輝度変換テーブルT100aおよびT200aを示したグラフである。
【図21】平滑輝度変換テーブルT102aおよびT202aを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るX線検査装置100について図面を参照しながら説明する。
【0017】
本実施形態に係るX線検査装置100は、図1及び図2に示すように、食品等(例えば、袋入りの複数のソーセージ等)の被検査物Aの検査を行うX線検査装置であって、主として、被検査物Aを搬送する搬送部500と、被検査物AにX線を照射するX線源200と、X線源200から照射されるX線を検知するセンサを有するセンサユニット300と、画像処理部400(図3参照)とを備えている。
【0018】
(搬送部)
搬送部500は、被検査物Aを検査位置に搬送するために設けられている。この搬送部500は、ベルトコンベア、トップチェーンコンベア、回転テーブルなど様々な搬送機構を適用することが可能である。
【0019】
(X線源)
X線源200は、搬送部500により検査位置まで搬送される被検査物AにX線を照射する。このX線源200から照射されるX線には、低エネルギー(長波長)から高エネルギー(短波長)までの様々なエネルギー帯のX線が含まれている。なお、低エネルギーおよび高エネルギーと記載したが、この「高」および「低」は、X線源200から照射される複数のエネルギー帯の中で相対的に「高い」および「低い」のであって、特定の範囲を現すものではない。以下、同様である。
【0020】
(センサユニット)
センサユニット300は、図2に示すように、X線源200から照射されるX線を検知するものであって、低エネルギー帯のX線を検知する低エネルギー用センサ310と、高エネルギー帯のX線を検知する高エネルギー用センサ320と、当該両センサの間に配置されるフィルタ330とを備えている。このセンサユニット300の低エネルギー用センサ310、フィルタ330、および、高エネルギー用センサ320は、X線源200に近い方からこの順に配置されている。低エネルギー用センサ310は、低エネルギー帯のX線を捕えるように設計されており、X線源200から照射されるX線は、低エネルギーであるほど当該低エネルギー用センサ310で吸収される。この低エネルギー用センサ310を突き抜けるX線は、高エネルギー帯のX線である。高エネルギー用センサ320は、高エネルギー帯のX線を捕えるように設計されている。フィルタ330は、低エネルギー用センサ310を突き抜けたX線の中で中エネルギー帯のX線を除去するために設けられている。
【0021】
(画像処理部)
画像処理部400は、図3に示すように、センサユニット300から送信されるX線データに基づいてX線透過画像を作成し、その透過画像に対して、各種の画像処理を施す。この画像処理部400は、画像生成部401、画像拡縮部402、画像位置合わせ部403、ヒストグラム作成部404、ヒストグラム積算部405、輝度変換テーブル作成部406、データ補完部407、平滑化部408、画像変換部409、仮想データ調整部410、除算部411、フィルタ部412、及び、2値化部413、を有している。
【0022】
(画像生成部)
画像生成部401は、低エネルギー用センサ310により検知されたX線データに基づいて被検査物Aの透過画像(以下、低エネルギー画像P100とする)を生成すると共に、高エネルギー用センサ320により検知されたX線データに基づいて被検査物Aの透過画像(以下、高エネルギー画像P200とする)を生成する。図4に示すように、この画像生成部401で生成された低エネルギー画像P100は、比較的コントラストが高く、全体的に暗くなっている。また、高エネルギー画像P200は、比較的コントラストが低く、全体的に明るくなっている。また、図4に示すように、低エネルギー画像P100における異物Sと被検査物A(被検査物Aの重なりの無い領域)とのコントラストに比べて、高エネルギー画像P200における異物Sと被検査物A(被検査物Aの重なりの無い領域)とのコントラストが、小さくなっている。これは、異物Sと被検査物Aとに、X線吸収率の違いがあることに起因する。
【0023】
(画像拡縮部)
画像拡縮部402は、低エネルギー画像P100における被検査物Aと高エネルギー画像P200における被検査物Aとの大きさを合わせる。X線源200から照射されるX線は、扇状に放射されると共に(図1の2点鎖線参照)、X線源200から低エネルギー用センサ310までの距離とX線源200から高エネルギー用センサ320までの距離とが異なるので、低エネルギー画像P100における被検査物Aと高エネルギー画像P200における被検査物Aとの大きさが異なる。すなわち、高エネルギー画像P200における被検査物Aが、低エネルギー画像P100における被検査物Aより僅かに大きくなる。そこで、画像拡縮部402は、図5に示すように、低エネルギー画像P100を変換比Rだけセンサの長手方向に拡大する。この変換比Rは、X線源200から低エネルギー用センサ310までの距離をL1、X線源200から高エネルギー用センサ320までの距離をL2とすると、R=L2/L1で得られる。ここでは、低エネルギー画像P100を拡大する例について説明したが、当然、高エネルギー画像P200をRの逆数(1/R)の比率で縮小しても良い。
【0024】
(画像位置合わせ部)
画像位置合わせ部403は、低エネルギー画像P100における被検査物Aと高エネルギー画像P200における被検査物Aとの位置を合わせる。具体的には、図6に示すように、低エネルギー画像P100を上下左右に移動させて、低エネルギー画像P100と高エネルギー画像P200との差異が最小になるようにしている。本実施形態の画像位置合わせ部403は、両画像を重ね合わせて、各画素において両画像の輝度値の差の絶対値の総和を算出し、その総和が最小となるように自動的に位置合わせを行う。図7(a)に示すように、画像位置合わせ部403による位置合わせ前では、被検査物Aのエッジ部分E1および異物Sのエッジ部分E2が現れる。なお、画像上のエッジ部分が、被対象物Aのエッジ部分E1か、異物Sのエッジ部分E2かは、判別不可能である。そして、図7(b)に示すように、画像位置合わせ部403による位置合わせ後では、被検査物Aおよび異物Sの位置ズレが解消されて、ほぼ黒一色の状態の画像となる。なお、この図7(b)の位置合わせ後の画像に示すように、単に低エネルギー画像P100の拡大および位置合わせだけでは、異物Sの領域についてもほぼ黒一色になり、異物Sの判別が不可能である。そこで、以下で説明するヒストグラム作成部404、ヒストグラム積算部405、輝度変換テーブル作成部406、データ補完部407、平滑化部408、画像変換部409、仮想データ調整部410、除算部411、フィルタ部412、及び、2値化部413により、低エネルギー画像P100の画像処理を施すことによって、異物Sの判別を可能にする。
【0025】
(ヒストグラム作成部)
ヒストグラム作成部404は、低エネルギー画像P100の輝度分布を示す低エネルギーヒストグラムH100を作成すると共に、高エネルギー画像P200の輝度分布を示す高エネルギーヒストグラムH200を作成する。上記したように、低エネルギー画像P100は、高エネルギー画像P200に比べて全体的に暗くなっているので、図8に示すように、低エネルギーヒストグラムH100は、高エネルギーヒストグラムH200に比べて、図中の左側(画素明暗が明るい側)に寄っている。
【0026】
(ヒストグラム積算部)
ヒストグラム積算部405は、図9に示すように、上記した低エネルギーヒストグラムH100を積分して低エネルギーヒストグラム積算曲線C100を算出すると共に、高エネルギーヒストグラムH200を積分して高エネルギーヒストグラム積算曲線C200を算出する。
【0027】
(輝度変換テーブル作成部)
輝度変換テーブル作成部406は、低エネルギーヒストグラム積算曲線C100と高エネルギーヒストグラム積算曲線C200とを比較して、低エネルギーヒストグラム積算曲線C100を高エネルギーヒストグラム積算曲線C200に一致または近似させる輝度変換テーブルT100を作成する。具体的には、図10に示すように、低エネルギーヒストグラム積算曲線C100の積算値I1と、高エネルギーヒストグラム積算曲線の積算値I2とが一致する輝度の変換比I=I1/I2を各輝度で求めることにより、図11に示した輝度変換テーブルT100を得る。
【0028】
(データ補完部)
画像生成部401により生成された低エネルギー画像P100および高エネルギー画像P200に輝度値の低い画素(暗い画素)が無い場合には、当該輝度値の変換比Iを求めることができない。そのため、図11に示すように、上記した輝度変換テーブル作成部406により作成された輝度変換テーブルT100の輝度値の低い領域Sには、変換データが存在しない。この場合、輝度値の低い画素については、輝度変換を行うことができない。そこで、データ補完部407は、上記した輝度変換テーブルT100に、輝度値の低い領域Sにおいて仮想の変換データDを補完する。以下、仮想の変換データDが補完された輝度変換テーブルを、「補完後輝度変換テーブルT101」とする。
【0029】
(平滑化部)
平滑化部408は、図12に示すように、補完後輝度変換テーブルT101を平滑化する。以下、この平滑化部408により平滑化された補完後平滑輝度変換テーブルを、「補完後平滑輝度変換テーブルT102」とする。上記した画像生成部401により生成された低エネルギー画像P100および高エネルギー画像P200の輝度分布が狭い場合等には、平滑化前の輝度変換テーブルT100が滑らかでない曲線でない場合がある。この場合、上記した低エネルギー画像P100および高エネルギー画像P200とは異なる輝度分布を有する被検査物Aを対象にした場合、妥当な輝度変換が行えない。そのため、平滑化部408は、種々の輝度分布を有する被検査物Aに対応可能な一般化された輝度変換テーブルを取得すべく、補完後輝度変換テーブルT101を平滑化して、滑らかな曲線を描く補完後平滑輝度変換テーブルT102を取得する。実験の結果から、2次関数で近似すれば十分実用的なテーブルを取得できたことから、本実施形態の平滑化部408は、補完後輝度変換テーブルT101を2次関数で近似して、補完後平滑輝度変換テーブルT102を取得する。
【0030】
(画像変換部)
画像変換部409は、図13に示すように、補完後平滑輝度変換テーブルT102に基づいて、低エネルギー画像P100の輝度変換を行い、輝度変換後低エネルギー画像P101を取得する。
【0031】
(仮想データ調整部)
図14に示すように、輝度変換後低エネルギー画像P101のヒストグラムH101と、高エネルギー画像P200のヒストグラム(高エネルギーヒストグラム)H200とを比較すると、厳密には一致していない。そこで、この仮想データ調整部410は、輝度変換後低エネルギー画像P101の輝度分布の各輝度値と、高エネルギー画像P200の輝度分布の各輝度値と、の差の総和が最小(最小2乗法)になるように、当該補完後平滑輝度変換テーブルT102を取得するのに用いた仮想の変換データDの値を調整する。これにより、最適化された補完後平滑輝度変換テーブルT102を取得でき、当該テーブルT102により輝度変換された輝度変換後低エネルギー画像P101の輝度と、高エネルギー画像P200の輝度とが略一致するので、被検査物Aの消し込みが可能となる。なお、この最適化された補完後平滑輝度変換テーブルT102は、画像処理部400の記憶部(図示せず)に格納されている。
【0032】
(除算部)
図15に示すように、除算部411は、最適化された補完後平滑輝度変換テーブルT102により輝度変換された輝度変換後低エネルギー画像P101の輝度値と、高エネルギー画像P200の輝度値とを各画素で除算することによって、被検査物Aの消し込みを行う。輝度変換後低エネルギー画像P101の各画素の輝度値と、高エネルギー画像P200の各画素の輝度値との差を求めることによって、被検査物Aの消し込みを行っても良いが、実験の結果から、除算する方が被検査物Aの消し込み精度が良いことが分かったので、本実施形態の除算部411は、除算を行うことにより、被検査物Aの消し込みを行う。ただし、単純に除算すると、画像処理部400が整数しか保持できない構成となっているので、ほとんどの演算結果が1となってしまう。例えば、その演算結果は、1.01、1.11、1.21等の値となる。そのため、除算部411は、両画像の輝度値を除算した結果を100倍にして、被検査物Aの消し込みがなされた結果画像P300を出力する。なお、当該結果画像P300は、後述するフィルタ部412による処理の後に、輝度値を100だけオフセットする処理が行われる。これにより、異物S以外の領域とは異なる輝度値を保持する異物Sが現れた結果画像P300を取得できる。
【0033】
(フィルタ部)
フィルタ部412は、当該結果画像P300に含まれるランダムノイズを除去するために設けられている。通常、X線透過画像には、ランダムノイズが含まれており、被検査物Aの消し込みを行った結果画像P300にも当該ランダムノイズが含まれている。被検査物Aに異物Sが含まれている場合、X線透過画像の異物Sがある領域は、ノイズより大きな値となっているので、本実施形態のフィルタ部412は、ガウシアンフィルタを用いて、細かいノイズを除去すると共に、上述したように輝度値を100だけオフセットすることによって、異物Sがある領域を抽出する。なお、整数値の桁数を減らすことができるので、簡易な演算処理装置で高速処理することができる。また、ノイズが除去された図16の結果画像P301は、全体が暗く(ほぼ黒一色に)なっているが、実際には、異物Sの領域は、異物S以外の領域(ほぼ黒一色の)とは異なるデータ値を保持している。
【0034】
(2値化部)
ノイズが除去された結果画像P301は、2値化部413により、一定の値を閾値として、2値化される。これにより、図16に示すように、異物Sのみが抽出された2値化画像P302を取得できる。この後、画像処理部400は、当該2値化画像P302と高エネルギー画像P200とを重ね合わせて、最終画像P400を作成する。なお、ここでは、2値化画像P302と高エネルギー画像P200とを重ね合わせたが、当然、2値化画像P302と低エネルギー画像P100とを重ね合わせても良い。
【0035】
(画像処理部による画像処理方法について)
次に、図17のフローチャートに沿って、画像処理部400による画像処理方法について説明を行う。
【0036】
まず、検査位置に被検査物Aが搬送されると、X線源200からX線が照射されて低エネルギー用センサ310および高エネルギー用センサ320によりX線が検知される。そうすると、画像生成部401により、同時に、低エネルギー用センサ310により検知されたX線データに基づいて低エネルギー画像P100(図4参照)が生成されると共に、高エネルギー用センサ320により検知されたX線データに基づいて高エネルギー画像P200(図4参照)が生成される(ステップS1:画像取得)。
【0037】
上記のように、低エネルギー画像P100および高エネルギー画像P200が取得されると、
(1)画像拡縮部402により、低エネルギー画像P100を変換比Rだけセンサの長手方向に拡大すると共に(図5参照)、
(2)画像位置合わせ部403により、低エネルギー画像P100と高エネルギー画像P200との位置合わせを行って(図6参照)、
低エネルギー画像P100と高エネルギー画像P200との調整を図る(ステップS2:画像アライメント)。なお、この画像の拡大と移動とは、アフィン変換により実現することができる。
【0038】
次に、低エネルギー画像P100の輝度と高エネルギー画像P200の輝度とが略一致するように、低エネルギー画像P100の輝度変換を行う。具体的には、画像変換部409により、記憶部(図示せず)に記憶される最適化された補完後平滑輝度変換テーブルT102に基づいて、低エネルギー画像P100の輝度変換が行われる(図13参照)(ステップS3:コントラスト整合)。なお、この補完後平滑輝度変換テーブルT102の取得方法については、後述する。
【0039】
そして、輝度変換された低エネルギー画像(輝度変換後低エネルギー画像)P101と、高エネルギー画像P200とを比較して演算する。具体的には、除算部411により、輝度変換された低エネルギー画像(輝度変換後低エネルギー画像)P101の輝度値と、高エネルギー画像P200の輝度値とを各画素で除算することによって、両画像の差異を抽出された結果画像P300(図15参照)を得る(ステップS4:2画像間演算)。
【0040】
次に、フィルタ部412により、抽出された結果画像P300のノイズを除去して、異物Sが抽出されない領域の値が0となるように輝度変換する(図16参照)(ステップS5:ノイズ除去)。
【0041】
そして、2値化部413により、ノイズが除去された結果画像P301を、一定の値を閾値として2値化し、異物Sのみが抽出された2値化画像P302を取得する(図16参照)(ステップS6:2値化)。最後に、当該2値化画像P302と高エネルギー画像P200とを重ね合わせて、被検査物Aに異物Sが映し出された最終画像P400が出力される。
【0042】
(輝度変換テーブルの取得方法について)
次に、図18のフローチャートに沿って、画像処理部400による補完後平滑輝度変換テーブルT102の取得方法について説明を行う。本実施形態に係る画像処理部400は、記憶部(図示せず)に記憶される当該テーブルT102に基づいて、低エネルギー画像P100の輝度変換を行い、低エネルギー画像P100と高エネルギー画像P200とのコントラスト整合を図っている(ステップS3:コントラスト整合参照)。
【0043】
画像生成部401による画像取得(ステップS11)、並びに、画像拡縮部402および画像位置合わせ部403による画像アライメント(ステップS12)は、それぞれ、画像処理部400による画像処理方法についてのステップS1並びにステップS2と同じであるので、その説明を省略する。
【0044】
次に、ヒストグラム作成部404により、低エネルギー画像P100の輝度分布を示す低エネルギーヒストグラムH100(図8参照)と、高エネルギー画像P200の輝度分布を示す高エネルギーヒストグラムH200(図8参照)とが作成される(ステップS13:ヒストグラム作成)。そして、ヒストグラム積算部405により、当該低エネルギーヒストグラムH100および高エネルギーヒストグラムH200が、それぞれ積分されて、低エネルギーヒストグラム積算曲線C100(図9参照)および高エネルギーヒストグラム積算曲線C200(図9参照)が算出される(ステップS14:ヒストグラム積算)。
【0045】
そして、輝度変換テーブル作成部406により、低エネルギーヒストグラム積算曲線C100と高エネルギーヒストグラム積算曲線C200とから、輝度変換テーブルT100(図11参照)が作成される(ステップS15:輝度変換テーブル作成)。この際、データ補完部407により、当該輝度変換テーブルに、輝度値が低い領域Sに仮想の変換データD(図11参照)が補完される(ステップS16:仮想データ補完)。
【0046】
次に、平滑化部408により、仮想の変換データDが補完された補完後輝度変換テーブルT101(図12参照)が平滑化される(ステップS17:平滑化)。これにより、補完後平滑輝度変換テーブルT102(図12参照)が取得される。そして、当該補完後平滑輝度変換テーブルT102によって輝度変換された低エネルギー画像P100の輝度分布の各輝度値と、高エネルギー画像P200の輝度分布の各輝度値と、の差の総和が最小になるように、上記補完後平滑輝度変換テーブルT102を取得するのに用いた仮想の変換データDの値が調整される(図14参照)(ステップS18:仮想データ調整)。その結果、最適化された補完後平滑輝度変換テーブルT102が取得されて、当該テーブルT102は記憶部(図示せず)に格納される。
【0047】
(本実施形態における効果)
以上のように、本実施形態に係るX線検査装置100においては、特定の透過画像(低エネルギー画像P100および高エネルギー画像P200)によって得られた輝度変換テーブルT100を平滑化することによって、被検査物Aに共通する輝度の特性を現した補完後平滑輝度変換テーブルT102を取得することができる。つまり、特定の透過画像の輝度分布にばらつきがある場合でも、当該平滑化によって、一般化された補完後平滑輝度変換テーブルT102を得ることができる。これにより、上記した特定の透過画像とは異なる輝度分布を有する被検査物Aについても(種々の輝度分布を有する被検査物Aに対応可能な)、一般化された当該補完後平滑輝度変換テーブルT102に基づいて、低エネルギー画像P100の輝度を高エネルギー画像P200の輝度に略一致させることができる。これにより、低エネルギー画像P100の被検査物Aの輝度と、高エネルギー画像P200の被検査物Aの輝度とが略一致するので、低エネルギー画像P100および高エネルギー画像P200から被検査物Aを消し込むことができる。その結果、被検査物Aと異物Sとのコントラストに差異がある低エネルギー画像P100および高エネルギー画像P200において、被検査物Aの消し込みが可能となるので、異物Sのみの抽出が可能となる。
【0048】
特に、食品(例えば、ソーセージ)等の被検査物Aは、工業製品と異なり、内容物の材質が不均一であるので被検査物Aの輝度分布に個体差が生じる。このため、被検査物Aに共通する輝度の特性を現した補完後平滑輝度変換テーブルT102を取得することにより、輝度分布に個体差が生じる食品等の被検査物Aに対する検査も可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、近似式が高次元の関数の場合、特定の透過画像に起因する輝度のばらつきを高次元の関数の曲線で再現してしまうところ、本実施形態では、輝度変換テーブルT100を、被検査物Aに共通する輝度の特性を十分に表現する2次関数に近似することができる。これにより、特定の透過画像とは異なる輝度分布を有する被検査物Aの透過画像についても、当該2次関数に係る補完後平滑輝度変換テーブルT102に基づいて、適切に輝度変換することができる。
【0050】
また、本実施形態では、低エネルギー画像P100および高エネルギー画像P200から得られた輝度変換テーブルT100に輝度値の低い領域Sにおいて変換データが無い場合でも、仮想の変換データDを補完して平滑化することによって、当該輝度値の低い領域Sについての変換データを有する補完後平滑輝度変換テーブルT102を取得することができる。これにより、低エネルギー画像P100および高エネルギー画像P200に存在しなかった輝度についても、適切に輝度変換ができるようになるので、被検査物Aの消し込みが正確になるので、異物Sの検出精度が向上する。
【0051】
また、本実施形態では、補完後平滑輝度変換テーブルT102を取得するのに用いた仮想の変換データDの値を調整する仮想データ調整部410を設けることによって、低エネルギー画像P100の輝度分布(ヒストグラムH100)を高エネルギー画像P200の輝度分布(ヒストグラムH200)に最も近似させるような補完後平滑輝度変換テーブルT102を取得することができる。これにより、輝度変換後低エネルギー画像P101の輝度と高エネルギー画像P200の輝度とが略一致するので、被検査物Aの消し込みがより正確になるので、異物Sの検出精度がさらに向上する。
【0052】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、X線検査装置100が「X線検査装置」に相当し、被検査物Aが「被検査物」に相当し、X線源200が「X線源」に相当し、センサユニット300が「センサユニット」に相当し、低エネルギー用センサ310が「第1センサ」に相当し、高エネルギー用センサ320が「第2センサ」に相当し、低エネルギー画像P100が「第1透過画像」に相当し、高エネルギー画像P200が「第2透過画像」に相当し、画像生成部401が「画像生成部」に相当し、輝度変換テーブルT100が「輝度変換関数」に相当し、補完後輝度変換テーブルT101が「補完後輝度変換関数」に相当し、平滑化部408が「平滑化部」に相当し、補完後平滑輝度変換テーブルT102が「平滑輝度変換関数」および「補完後平滑輝度変換関数」に相当し、輝度変換テーブル作成部406が「輝度変換関数作成部」に相当し、データ補完部407が「データ補完部」に相当し、仮想の変換データDが「仮想の変換データ」に相当し、仮想データ調整部410が「仮想データ調整部」に相当する。
【0053】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0054】
例えば、上記実施形態では、2つのセンサ(低エネルギー用センサ310および高エネルギー用センサ320)を用いる例について説明したが、本発明はこれに限らず、3つ以上のセンサを用いることによって、X線吸収率が異なる複数種類の異物Sを検出可能に構成しても良い。一例として、3つのセンサを用いた場合、図19に示すように、低エネルギーヒストグラムH100a、高エネルギーヒストグラムH200a、および、中エネルギーヒストグラムH300aが取得される。そして、当該ヒストグラムH100aおよびH200aを比較して、図20に示すように、低エネルギー画像の輝度が高エネルギー画像の輝度に一致または近似するように当該低エネルギー画像の輝度を変換させる輝度変換テーブルT100aを作成すると共に、ヒストグラムH300aおよびH200aを比較して、中エネルギー画像の輝度が高エネルギー画像の輝度に一致または近似するように当該中エネルギー画像の輝度を変換させる輝度変換テーブルT200aを作成する。そして、輝度変換テーブルT100aおよびT200aを各々平滑化して、図21に示すように、平滑輝度変換テーブルT102aおよびT202aを作成する。これにより、これらの平滑輝度変換テーブルT102aを用いて、低エネルギー画像の輝度と高エネルギー画像の輝度とを略一致させることができるので、所定の種類の異物Sの検出が可能になる。また、平滑輝度変換テーブルT202aを用いて、中エネルギー画像の輝度と高エネルギー画像の輝度とを略一致させることができるので、上記異物Sとは異なるX線吸収率を有する異物Sの検出が可能になる。すなわち、3つのセンサを用いることにより、X線吸収率が異なる2種類の異物Sの検出が可能となる。
【符号の説明】
【0055】
100 X線検査装置
200 X線源
300 センサユニット
310 低エネルギー用センサ
320 高エネルギー用センサ
330 フィルタ
400 画像処理部
401 画像生成部
402 画像拡縮部
403 画像位置合わせ部
404 ヒストグラム作成部
405 ヒストグラム積算部
406 輝度変換テーブル作成部
407 データ補完部
408 平滑化部
409 画像変換部
410 仮想データ調整部
411 除算部
412 フィルタ部
413 2値化部
A 被検査物
S 異物
P100 低エネルギー画像
P200 高エネルギー画像
P101 輝度変換後低エネルギー画像
H100 低エネルギーヒストグラム
H200 高エネルギーヒストグラム
C100 低エネルギーヒストグラム積算曲線
C200 高エネルギーヒストグラム積算曲線
T100 輝度変換テーブル
T101 補完後輝度変換テーブル
T102 補完後平滑輝度変換テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物にX線を照射するX線源と、
前記X線源から照射される第1エネルギー帯のX線を検知する第1センサおよび第2エネルギー帯のX線を検知する第2センサを有するセンサユニットと、
前記第1センサにより検知されたX線データに基づいて前記被検査物の第1透過画像を生成すると共に、前記第2センサにより検知されたX線データに基づいて前記被検査物の第2透過画像を生成する画像生成部と、
前記第1透過画像の輝度が前記第2透過画像の輝度に一致または近似するように前記第1透過画像の輝度を変換させる輝度変換関数を作成する輝度変換関数作成部と、
前記輝度変換関数を平滑化して平滑輝度変換関数を取得する平滑化部と、を備えることを特徴とする、X線検査装置。
【請求項2】
前記平滑化部は、前記輝度変換関数を2次関数に近似して前記平滑輝度変換関数を取得することを特徴とする、請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記輝度変換関数に特定の輝度についての変換データが存在しない場合に、当該輝度変換関数に当該特定の輝度または当該特定の輝度の近傍に仮想の変換データを補完するデータ補完部をさらに備え、
前記平滑化部は、前記データ補完部により当該仮想の変換データが補完された補完後輝度変換関数を平滑化して補完後平滑輝度変換関数を取得することを特徴とする、請求項1または2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記補完後平滑輝度変換関数により輝度が変換された前記第1透過画像の輝度分布の各輝度値と、前記第2透過画像の輝度分布の各輝度値と、の差の総和が最小になるように、当該補完後平滑輝度変換関数を取得するのに用いた前記仮想の変換データの値を調整する仮想データ調整部をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−73056(P2012−73056A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216634(P2010−216634)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】