説明

X線管装置及びX線管装置の製造方法

【課題】 重量の増加及び大型化を抑制でき、長期にわたって信頼性の高いX線管装置及びX線管装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧絶縁部材40と、高電圧供給端子44と、電気絶縁性部材60と、を備えている。高電圧絶縁部材40は、熱伝達面43と、端面41と、を含み、真空外囲器31の一部を構成し陽極ターゲット35aが取り付けられている。電気絶縁性部材60は、端面41より大きい面積を有した平坦な端面61と、端面41に接着された他端面62と、貫通孔63と、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線管装置及びX線管装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線管装置は、医療診断機器など、多くの用途に利用されている。X線管装置は、高電圧発生装置から高電圧ケーブルを介して高電圧が供給され作動する。高電圧ケーブルの先端には高電圧コネクタが設けられている。高電圧コネクタは、X線管側の接続部である高電圧絶縁部材に着脱自在に取り付けられている。高電圧コネクタを介して、X線管の陰極又は陽極ターゲットに高電圧が供給される。
【0003】
高電圧コネクタとしては、X線管の高電圧絶縁部材に圧力をかけて取り付けられる方式の高電圧コネクタが知られている(例えば、特許文献1乃至3参照)。圧力を加えることにより、高電圧コネクタの電気絶縁ゴム部と、X線管の高電圧絶縁部材と、の間の空気層が取り除かれ、互いの表面がしっかりと密着する。この結果、密着界面に沿った放電を断つことが可能となる。このような方式の高電圧コネクタを使用することのメリットは、高電圧絶縁のために絶縁油を使用した場合に比べて、X線管装置がコンパクトになることである。
【0004】
上述したX線管装置では、高電圧コネクタの電気絶縁ゴム部とX線管側の高電圧絶縁部材との圧着面がテーパー面である。圧着面を管軸方向に長いテーパー面とすることで、X線管側の高電圧絶縁部材の外径が小さい場合にも高電圧の絶縁を維持することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−216682号公報
【特許文献2】米国特許第6556654号明細書
【特許文献3】特開2009−117083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1及び特許文献2に示されるX線管装置では、次のような問題がある。すなわち、高電圧コネクタの電気絶縁ゴム部とX線管側の高電圧絶縁部材との圧着面が管軸方向に長くなるため、X線管装置をコンパクトに設計する上での障害となる。
【0007】
特許文献3には、高電圧コネクタの電気絶縁ゴム部とX線管側の高電圧絶縁部材との圧着面が平面である例が開示されている。これにより、管軸方向に短い高電圧コネクタ接続部を実現することが可能である。
【0008】
この場合、十分な絶縁距離を確保するためには、管軸方向にコンパクトとなる分、径方向の寸法を大きくする必要がある。しかしながら、回転陽極型のX線管のサイズが小さい場合、ステータコイルと対向した個所の真空外囲器の径寸法が小さいため、陽極ターゲットが取付けられる高電圧絶縁部材の外径も小さくなる。この場合、高電圧絶縁部材を高電圧コネクタとの接続部として利用しても十分な絶縁距離を確保することは困難である。
【0009】
単純にステータコイルと対向した個所の真空外囲器の径寸法を大きくしてしまうと、従来に比べてステータコイルの外径が大きくなったり、X線管部品の重量の増加を招く。この結果、X線管装置を軽量かつコンパクトに設計することが困難となる。
【0010】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、重量の増加及び大型化を抑制でき、長期にわたって信頼性の高いX線管装置及びX線管装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係るX線管装置は、
真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられた陽極ターゲットと、前記真空外囲器内に設けられて前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、を有するX線管と、
開口を有し、前記X線管を収納したハウジングと、
前記X線管及びハウジング間に充填された冷却液と、
前記冷却液に直接又は間接的に接し前記冷却液に熱を伝達する熱伝達面と、前記ハウジングの開口に対向した接着面と、を含み、前記真空外囲器の一部を構成し、真空内部において前記陽極ターゲット又は陰極が取り付けられている高電圧絶縁部材と、
前記高電圧絶縁部材に設けられ、前記ハウジングの外側に露出した高電圧供給端子と、
前記ハウジングの外側に露出し、前記接着面より大きい面積を有した平坦な端面と、前記高電圧絶縁部材の接着面に接着された他端面と、前記高電圧供給端子の前記ハウジングの外側への露出を維持するよう前記端面及び他端面に開口する貫通孔と、を含む電気絶縁性部材と、を備えている。
【0012】
また、本発明の他の態様に係るX線管装置の製造方法は、
真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられた陽極ターゲットと、前記真空外囲器内に設けられて前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、熱伝達面及び接着面を含み、前記真空外囲器の一部を構成し、真空内部において前記陽極ターゲット又は陰極が取り付けられる高電圧絶縁部材と、前記高電圧絶縁部材に設けられた高電圧供給端子と、を有するX線管を用意し、
前記接着面より大きい面積を有した平坦な端面と、他端面と、前記端面及び他端面に開口する貫通孔と、を含む電気絶縁性部材を用意し、
前記接着面及び他端面の少なくとも一方に接着剤を塗布し、
前記接着剤を介在させて前記接着面に前記他端面を接触させ、
前記接触させた後、前記電気絶縁性部材を押圧し、前記電気絶縁性部材を高電圧絶縁部材に接着し、
開口を有したハウジングを用意し、
前記ハウジングに、前記電気絶縁性部材が設けられた前記X線管を収納し、前記接着面を前記開口に対向させ、前記端面及び高電圧供給端子を前記ハウジングの外側に露出させ、前記貫通孔は前記高電圧供給端子の前記ハウジングの外側への露出を維持し、
前記X線管及びハウジング間に冷却液を充填する。
【0013】
また、本発明の他の態様に係るX線管装置の製造方法は、
真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられた陽極ターゲットと、前記真空外囲器内に設けられて前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、熱伝達面及び接着面を含み、前記真空外囲器の一部を構成し、真空内部において前記陽極ターゲット又は陰極が取り付けられる高電圧絶縁部材と、前記高電圧絶縁部材に設けられた高電圧供給端子と、を有するX線管を用意し、
モールド材槽内部に前記高電圧絶縁部材の接着面を搬入し、前記モールド材槽に形成された貫通孔又は凹部に前記高電圧供給端子を挿入し、
前記モールド材槽内にモールド材を注入し、
前記注入したモールド材を硬化し、前記接着面より大きい面積を有した平坦な端面と、前記接着面に直に接着された他端面と、前記高電圧供給端子を囲み前記端面及び他端面に開口する貫通孔と、を含む電気絶縁性部材を形成し、
開口を有したハウジングを用意し、
前記ハウジングに、前記電気絶縁性部材が設けられた前記X線管を収納し、前記接着面を前記開口に対向させ、前記端面及び高電圧供給端子を前記ハウジングの外側に露出させ、前記電気絶縁性部材の貫通孔は前記高電圧供給端子の前記ハウジングの外側への露出を維持し、
前記X線管及びハウジング間に冷却液を充填する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、重量の増加及び大型化を抑制でき、長期にわたって信頼性の高いX線管装置及びX線管装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るX線管装置を分解して示す縦断面図である。
【図2】図1に示した接合部を示す正面図である。
【図3】図1に示した接合部を示す平面図である。
【図4】上記第1の実施の形態に係るX線管装置を製造している状態を示す図である。
【図5】上記第1の実施の形態に係るX線管装置の変形例を分解して示す縦断面図である。
【図6】図5に示したX線管装置の一部を示す断面図である。
【図7】上記第1の実施の形態に係るX線管装置の接合部の変形例を示す正面図である。
【図8】上記第1の実施の形態に係るX線管装置の接合部の変形例を示す平面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るX線管装置を分解して示す縦断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るX線管装置を分解して示す縦断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るX線管装置を分解して示す縦断面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係るX線管装置を分解して示す縦断面図である。
【図13】上記第5の実施の形態に係るX線管装置を製造している状態を示す図である。
【図14】本発明の第6の実施の形態に係るX線管装置を分解して示す縦断面図である。
【図15】上記第6の実施の形態に係るX線管装置を製造している状態を示す図である。
【図16】上記第1の実施の形態に係るX線管装置の他の変形例を分解して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながらこの発明の第1の実施の形態に係るX線管装置及びX線管装置の製造方法について詳細に説明する。始めに、X線管装置の構成について説明する。
図1に示すように、X線管装置10は、ハウジング20と、ハウジング20内に収容されたX線管30と、ハウジング20の内部に充填された冷却液7と、を備えている。
【0017】
ハウジング20は、ハウジング本体20aと、円環部20bと、を有している。ハウジング本体20aは、筒部20cと、筒部20cの一端に設けられた円環部20dと、が一体となって形成されている。筒部20cの一部には、X線を外部に放射するための放射窓24が形成されている。円環部20bは、筒部20c(ハウジング本体20a)の他端に取付けられている。ここでは、円環部20bは、筒部20cに取り外し可能にネジ留め(図示せず)されている。
【0018】
ハウジング20には、ゴムベローズ21が設けられ、冷却液7の圧力調整が行われている。ハウジング20の外部には、冷却液循環ポンプ22及び熱交換器23が設けられている。冷却液循環ポンプ22は、ハウジング20に連結されている。冷却液循環ポンプ22は、冷却液7の流れをハウジング20内に作り出すものである。熱交換器23は、ハウジング20及び冷却液循環ポンプ22間に連結されている。熱交換器23は、冷却液7の熱を外部に放出するものである。
【0019】
X線管30は、真空外囲器31を備えている。真空外囲器31は、銅、ステンレス、アルミニウム等の金属で形成された真空容器32と、高電圧絶縁部材40と、高電圧絶縁部材50とを備えている。陽極ターゲット35a及び陰極36は、真空外囲器31に収納されている。真空外囲器31の内部は真空状態である。放射窓33は、真空容器32に気密に設けられている。ここでは、放射窓33は、ベリリウムで形成されている。
【0020】
高電圧絶縁部材40は、真空外囲器31の一部を形成している。高電圧絶縁部材40には陽極ターゲット35aが間接的に取り付けられている。高電圧絶縁部材40は、冷却液7に直接又は間接的に接し冷却液7に熱を伝達する熱伝達面43と、ハウジング20(円環部20d)の開口に対向した端面41を含んでいる。詳しくは、高電圧絶縁部材40は、熱伝達面43を有した筒部46と、筒部46の一端側を閉塞し、熱伝達面43及び端面41を有した円環状の底部47と、が一体となって形成されている。
この実施の形態において、熱伝達面43は、冷却液7に直に接している。端面41は、平坦な面である。端面41は接着面として機能している。
【0021】
底部47には高電圧供給端子44が設けられている。高電圧供給端子44は、底部47の開口部に設けられている。高電圧供給端子44は、陽極35に高電圧を供給するものである。高電圧供給端子44は、ハウジング20の外側に露出している。高電圧供給端子44は金属端子であり、円環状の底部47にろう付けされている。
【0022】
陽極35は、陽極ターゲット35aを有している。陽極ターゲット35aは、ターゲット層35tを有している。ターゲット層35tは、電子が照射されることによりX線を放出する。
【0023】
X線管装置10は、ステータコイル910、ロータ920、軸受け930、固定体1、回転体2及び支持体35bを備えている。固定体1は円柱状に形成されている。回転体2は筒状に形成され、固定体1と同軸的に設けられている。回転体2の外面にロータ920が取り付けられている。ステータコイル910は、ハウジング20に取付けられ、ロータ920と対向している。軸受け930は、固定体1及び回転体2の間の隙間に設けられている。
【0024】
支持体35bは、真空外囲器31の内部に位置している。支持体35bは、テーパ穴を有し、テーパ穴に固定体1のテーパ部が嵌合されている。支持体35bは、陽極ターゲット35aを間接的に支持している。支持体35bには、円環状のスリット溝が形成されている。
【0025】
支持体35bは、底部47に間隔を置いて位置している。支持体35bは、筒部46の内面に接合された接合部35cを含んでいる。接合部35cは、支持体35bにろう付けされている。接合部35cを含む支持体35bは、金属で形成されている。
【0026】
図1、図2及び図3に示すように、接合部35cは、可撓性を示すものである。このため、接合部35cは、高温時に弾性変形し熱応力の少なくとも一部を緩和するものである。この実施の形態において、接合部35cは、筒部46の内面に対向した凹凸面35dを有している。凸部35eは、接合部35cの周りに互いに隣合って並べられている。筒部46の内面に、接合部35cの凸部35eが接合されている。なお、支持体35bは、高温時に弾性変形し熱応力の少なくとも一部を緩和する可撓性部品を介して高電圧絶縁部材40の内面に接合されていればよい。
【0027】
図1に示すように、高電圧絶縁部材40の内面には、メタライズ層11が形成されている。メタライズ層11は、高電圧供給端子44及び接合部35cに接続されている。このため、高電圧供給端子44、メタライズ層11、支持体35b、固定体1、軸受け930及び回転体2を介して陽極ターゲット35aに高電圧が供給される。
【0028】
高電圧供給端子44及び接合部35cを繋ぐメタライズ層11の形状を幅の狭い帯状とすることにより、メタライズ層11を介した陽極35からの不要な熱伝導を抑制することができる。
【0029】
電気絶縁性部材60は、底部47より外径の大きい円盤状に形成されている。電気絶縁性部材60は、端面61と、他端面62と、貫通孔63とを含んでいる。端面61は、ハウジング20の外側に露出し、端面(接着面)41より大きい面積を有している。端面61は平坦な面である。他端面62は、端面(接着面)41より大きい面積を有している。貫通孔63は、端面61及び他端面62に開口している。貫通孔63は、高電圧供給端子44のハウジング20の外側への露出を維持する。他端面62は、接着剤14を介して端面(接着面)41に接着(永久接着)されている。
【0030】
電気絶縁性部材60は、セラミクス材又はガラス材で形成されている。セラミクス材としては、酸化アルミニウム、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、等の材料が挙げられる。ガラス材としては、石英ガラス、サファイア、無アルカリガラス、等の材料が挙げられる。
接着剤14は、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂を主成分とする材料を利用できる。
【0031】
支持部材25は、円環状に形成されている。電気絶縁性部材60は支持部材25に取付けられている。支持部材25は、円環部20dに対向している。円環部20dは、支持部材25と対向した側に形成された円環状の溝部を有している。支持部材25及び円環部20d間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、支持部材25及び円環部20d間の隙間から外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。
【0032】
高電圧絶縁部材50は、真空外囲器31の一部を形成している。高電圧絶縁部材50には、陰極36間接的に取り付けられている。高電圧絶縁部材50は、冷却液7に直接又は間接的に接し冷却液7に熱を伝達する熱伝達面53と、ハウジング20(円環部20b)の開口に対向した端面51を含んでいる。詳しくは、高電圧絶縁部材50は、熱伝達面53を有した筒部56と、筒部56の一端側を閉塞し、端面51を有した円環状の底部57と、が一体となって形成されている。
この実施の形態において、熱伝達面53は、冷却液7に直に接している。端面51は、平坦な面である。
【0033】
高電圧絶縁部材50の内部には、陰極36に接続され、端面51側へ導出する高電圧供給端子54が設けられている。高電圧供給端子54は、高電圧絶縁部材50に対し、低膨張合金であるKOV部材55で支持されている。高電圧供給端子54及び高電圧絶縁部材50間、並びにKOV部材55及び高電圧絶縁部材50間は、ろう付けされている。高電圧供給端子54は、陰極36に高電圧を供給するものである。高電圧供給端子54は、ハウジング20の外側に露出している。高電圧供給端子54は金属端子である。
【0034】
図示しないが、陰極36は、電子を放出する電子放出源を有している。このため、陰極36は、陽極ターゲット35a(ターゲット層35t)に照射する電子を放出することができる。
【0035】
高電圧絶縁部材40、50は、電気絶縁性部材60と同じ材料で形成することができる。高電圧絶縁部材40、50は、熱伝導率の大きい窒化アルミニウムやベリリア等のセラミクスを用いて形成した方が好ましい。
【0036】
支持部材26は、円環状に形成されている。高電圧絶縁部材50は支持部材26に取付けられている。支持部材26は、円環部20bに対向している。円環部20bは、支持部材26と対向した側に形成された円環状の溝部を有している。支持部材26及び円環部20b間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、支持部材26及び円環部20b間の隙間から外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。
【0037】
高電圧コネクタ100は、有底筒状のハウジング101と、ハウジング101内にその先端が挿入された高電圧ケーブル102と、ハウジング101内に充填され、高電圧ケーブル102の端子102aをハウジング101の開口部側に向けて固定する電気絶縁材103と、この電気絶縁材103と電気絶縁性部材60の端面61との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート104とを備えている。
【0038】
この実施の形態において、高電圧コネクタ100の電気絶縁材103は、電気絶縁性部材60の端面61に間接的に密着されている。なお、電気絶縁材103は、端面61に直接密着されていても良い。電気絶縁材103は、例えば、電気絶縁ゴムやエポキシ樹脂を利用できる。高電圧コネクタ100は、高電圧供給端子44に高電圧を与えるものである。
【0039】
このように構成された高電圧コネクタ100をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート104が、それぞれ電気絶縁材103と、電気絶縁性部材60の端面61とに密着するように押圧する。
【0040】
高電圧コネクタ200は、有底筒状のハウジング201と、ハウジング201内にその先端が挿入された高電圧ケーブル202と、ハウジング201内に充填され、高電圧ケーブル202の端子202aをハウジング201の開口部側に向けて固定する電気絶縁材203と、この電気絶縁材203と高電圧絶縁部材50の端面51との間に挿入されたシリコーン樹脂材製のシリコーンプレート204とを備えている。
【0041】
この実施の形態において、高電圧コネクタ200の電気絶縁材203は、高電圧絶縁部材50の端面51に間接的に密着されている。なお、電気絶縁材203は、端面51に直接密着されていても良い。電気絶縁材203は、例えば、電気絶縁ゴムやエポキシ樹脂を利用できる。高電圧コネクタ200は、高電圧供給端子54に高電圧を与えるものである。
【0042】
このように構成された高電圧コネクタ200をハウジング20に取り付ける際に、シリコーンプレート204が、それぞれ電気絶縁材203と、高電圧絶縁部材50の端面51とに密着するように押圧する。
【0043】
冷却液7は、ハウジング20内に充填され、X線管30及びハウジング20間を満たしている。冷却液7としては、絶縁油又は水系冷却液を用いることができる。この実施の形態において、冷却液7として水系冷却液を用いている。
【0044】
このように構成されたX線管装置10では、ステータコイル910に所定の電流を印加することでロータ920が回転し、陽極ターゲット35a(陽極35)が回転する。次に、高電圧コネクタ100、200に所定の高電圧を印加すると、陰極36から陽極ターゲット35aのターゲット層35tに電子が照射され、ターゲット層35tからX線が放射窓24、33から外部へ放射される。
上記のように、X線管装置10が形成されている。
【0045】
次に、上記X線管装置10の製造方法について説明する。
図4に示すように、まず、真空外囲器31と、陽極35と、陰極36と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、KOV部材55と、を有するX線管30を用意する。
【0046】
次いで、治具91を収容した真空槽90内にX線管30を搬入する。治具91は、ハウジング92及び支持部材93を有している。X線管30を搬入した後、ハウジング92にX線管30を載置する。ハウジング92は一端が閉塞して形成されている。ここでは、ハウジング92は真空容器32を支持している。続いて、ハウジング92の他端に支持部材93を設ける。その後、高電圧絶縁部材40にステータコイル910を嵌め、支持部材93にステータコイル910を載置する。
【0047】
一方、電気絶縁性部材60を用意する。ここでは、用意した電気絶縁性部材60に支持部材25が取付けられている。次いで、他端面62が端面(接着面)41と対向するよう、真空槽90内の昇降機構94に支持部材25を載置する。続いて、支持部材25上に、重し95を置く。
【0048】
続いて、端面(接着面)41及び他端面62の少なくとも一方に接着剤14を塗布する。ここでは、端面(接着面)41及び他端面62の両方に接着剤14を塗布した。接着剤14を塗布した後、真空槽90の内部を真空排気する。その後、昇降機構94により、電気絶縁性部材60を降下させ、接着剤14を介在させて端面(接着面)41に他端面62を接触させる。
【0049】
接触させた後、支持部材25から昇降機構94を離間させる。これにより、重し95が電気絶縁性部材60を押圧する。そして、接着剤14が硬化することにより、電気絶縁性部材60は、接着剤14を介して高電圧絶縁部材40に接着する。なお、真空中で接着することにより、接着剤14の接着界面に残る恐れのある空気等の気泡が残らないようにすることができる。
【0050】
図1に示すように、その後、ハウジング20を用意する。詳しくは、開口を有したハウジング本体20aを用意する。次いで、ハウジング本体20aに、ステータコイル910、電気絶縁性部材60及び支持部材25が設けられたX線管30を収納する。この際、端面41をハウジング20(円環部20d)の開口に対向させ、端面61及び高電圧供給端子44をハウジング20の外側に露出させる。貫通孔63は、高電圧供給端子44のハウジング20の外側への露出を維持している。
【0051】
続いて、高電圧絶縁部材50に支持部材26を取付けた後、円環部20bをハウジング本体20aの他端にネジ留めする。その後、X線管30及びハウジング本体20a間に冷却液7を充填する。これにより、冷却液7を液密に保持するハウジング20が形成される。その後、ハウジング20に、冷却液循環ポンプ22、熱交換器23、高電圧コネクタ100、200を取付けることにより、X線管装置10が完成する。
【0052】
上記のように構成された第1の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法によれば、X線管装置10は、真空外囲器31と、陽極ターゲット35aと、陰極36と、を有するX線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、電気絶縁性部材60と、を備えている。
【0053】
電気絶縁性部材60は、端面(接着面)41より大きい面積を有した平坦な端面61と、端面(接着面)41より大きい面積を有し、高電圧絶縁部材40の端面(接着面)41に接着された他端面62と、を含んでいる。この実施の形態において、電気絶縁性部材60の径は、底部47の径より大きい。電気絶縁性部材60を接着する製造工程において、ステータコイル910は、予め高電圧絶縁部材40に嵌めておけばよい。
【0054】
これにより、X線管30のサイズに拘ること無しに、高電圧コネクタ100の接続部の絶縁性を長期にわたって確保することができる。高電圧絶縁部材40やステータコイル910の径を大きくしなくともよいため、X線管装置10(X線管30)の重量の増加及び大型化を抑制することができる。
【0055】
接着界面に気泡が残らないよう高電圧絶縁部材40及び電気絶縁性部材60を接着することにより、高電圧絶縁部材40及び電気絶縁性部材60を一体形成した場合と同等の絶縁特性を得ることができる。すなわち、接着界面に沿った放電通路を断つことができ、高い電気絶縁特性を得ることができる。
【0056】
高電圧絶縁部材40及び電気絶縁性部材60の接着界面は、高電圧コネクタ100及び電気絶縁性部材60の密着界面より電気絶縁性に優れている。ここで、接着とは、永久接着の意で、破壊しないと離せない。密着とは、押圧の意で、圧力を除くと離れる。また、密着の場合、微妙な圧力変化によって電気絶縁特性が大きく影響される。
【0057】
また、X線の照射が続くと、陽極ターゲット35a及び陰極36の温度が上昇する。陽極ターゲット35aの熱は、回転体2、軸受け930、固定体1及び支持体35bを介して高電圧絶縁部材40に伝達される。陰極36の熱は、高電圧供給端子54を介して高電圧絶縁部材50に伝達される。高電圧絶縁部材40、50は、これらの熱伝達面43、53が冷却液7に接しているため、冷却されている。すなわち、陽極35及び陰極36の熱は、冷却液7に放散され、高電圧コネクタ100、200の温度を低くできるため、高電圧コネクタ100、200の熱変形が抑制される。その結果、高電圧コネクタ100、200及び端面51、端面61の密着界面に沿った放電が抑制され、長期にわたって絶縁性を確保することができる。
接合部35cは、可撓性を示すものである。このため、陽極35と高電圧絶縁部材40との良好な接続状態の安定化を図ることができる。
【0058】
冷却液7は、冷却液循環ポンプ22で循環され、熱交換器23により熱が外部に放出される。なお、冷却液7として、熱伝達率が最も高い、水を主成分とする水系冷却液を用いることができるため、高電圧絶縁部材40、50を効率よく冷却できる。水系の冷却液7は、熱伝達率が高いため、冷却液7全体がより均一な温度となる。また、水系の冷却液7は、絶縁油に比べて、比熱が大きい(絶縁油の約2倍)ため、X線管30の放熱による冷却液の温度上昇が低く抑えられる。
上記したことから、重量の増加及び大型化を抑制でき、長期にわたって信頼性の高いX線管装置10及びX線管装置10の製造方法を得ることができる。
【0059】
ここで、図5及び図6に示すように、上記X線管装置10において、高電圧絶縁部材40は、熱伝達面43に設けられ、冷却液7に接した熱伝達促進部16をさらに含んでいても良い。熱伝達促進部16は、熱伝達面43に、例えばろう付けにより接合された襞状の包囲体である。
【0060】
熱伝達促進部16は、それぞれV字形の断面を有し、筒部46の延出した方向に沿って延び、熱伝達面43から外側に向かって突出し、筒部46を中心に熱伝達面43の周りに互いに隣接して並べられた複数の凸部16aで形成されている。熱伝達促進部16は、金属等の熱伝導率の高い材料で形成されている。なお、筒部46は、熱伝達促進部16を介して冷却液7に間接的に接している。
【0061】
この場合、熱伝達面43に熱伝達促進部16が設けられているため、熱伝達促進部16を設けない場合に比べ冷却液7と接する表面積が増える。つまり、高電圧絶縁部材40を一層冷却することができ、高電圧コネクタ100の熱変形を一層抑制することができ、高電圧コネクタ100及び端面61の密着界面に沿った放電を一層抑制することができる。
【0062】
熱伝達促進部16の形状は、上記した例に限定されるものではなく、種々変形可能であり、形状を変えても冷却液7と接する総表面積を大きくできればよい。また、熱伝達促進部16は、高電圧絶縁部材40自体の表面に形成された凹凸パターンであってもよい。これにより、高電圧コネクタ100の熱変形を抑制することができ、高電圧コネクタ100及び端面61の密着界面に沿った放電を抑制することができる。
【0063】
また、図7及び図8に示すように、接合部35cの形状は、上記した例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、凸部35eは、接合部35cの延出した方向に沿って互いに隣合って並べられていても良い。
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法について説明する。この実施の形態において、上記第1の実施の形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0065】
図9に示すように、電気絶縁性部材60は、端面61と、他端面62と、貫通孔63とを含んでいる。電気絶縁性部材60は、底部47より外径の大きい有底筒状に形成されている。詳しくは、電気絶縁性部材60は、他端面62を有した筒部66と、筒部66の一端側を閉塞し、端面61、他端面62及び貫通孔63を有した円盤状の底部67とを有している。
【0066】
端面61は、ハウジング20の外側に露出し、端面(接着面)41より大きい面積を有している。端面61は平坦な面である。他端面62は、接着剤14を介して底部47の外面に接着(永久接着)されている。
【0067】
上記電気絶縁性部材60を接着する際、底部47の外面及び他端面62の少なくとも一方に接着剤14を塗布し、接着剤14を介在させて底部47の外面に他端面62を接触させた後、電気絶縁性部材60を押圧し、電気絶縁性部材60を高電圧絶縁部材40に接着すればよい。
【0068】
上記のように構成された第2の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法によれば、X線管装置10は、真空外囲器31と、陽極ターゲット35aと、陰極36と、を有するX線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、電気絶縁性部材60と、を備えている。
【0069】
電気絶縁性部材60は、端面(接着面)41より大きい面積を有した平坦な端面61と、高電圧絶縁部材40の外面に接着された他端面62と、を含んでいる。この実施の形態において、電気絶縁性部材60の径は、底部47の径より大きい。電気絶縁性部材60を接着する製造工程において、ステータコイル910は、予め高電圧絶縁部材40に嵌めておけばよい。
【0070】
これにより、X線管30のサイズに拘ること無しに、高電圧コネクタ100の接続部の絶縁性を長期にわたって確保することができる。高電圧絶縁部材40やステータコイル910の径を大きくしなくともよいため、X線管装置10(X線管30)の重量の増加及び大型化を抑制することができる。
【0071】
この実施の形態において、電気絶縁性部材60は、端面(接着面)41とだけでなく底部47の外面にも接着されているため、第1の実施の形態に比べ、高電圧絶縁部材40及び電気絶縁性部材60間の電気絶縁特性や接着強度を向上することができる。
【0072】
その他、この実施の形態のX線管装置10は、上述した第1の実施の形態のX線管装置10と同様の効果を得ることができる。
上記したことから、重量の増加及び大型化を抑制でき、長期にわたって信頼性の高いX線管装置10及びX線管装置10の製造方法を得ることができる。
【0073】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法について説明する。この実施の形態において、上記第1の実施の形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0074】
図10に示すように、電気絶縁性部材60は、端面61と、他端面62と、貫通孔63とを含んでいる。電気絶縁性部材60は、底部47より外径の大きい円盤状に形成されている。
【0075】
端面(接着面)41は、ハウジング20の内部に位置している。端面61は、ハウジング20の外側に露出し、端面(接着面)41より大きい面積を有している。端面61は平坦な面である。他端面62は、接着剤14を介して底部47の外面に接着(永久接着)されている。
【0076】
この実施の形態において、支持部材25は、電気絶縁性部材60の側面及び底部47の側面を覆っている。支持部材25は、底部47の側面と対向した側に形成された円環状の溝部を有している。底部47の側面及び支持部材25間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、接着剤14の接着界面への冷却液7の侵入を防止する機能を有している。
【0077】
支持部材25及びOリングは、接着剤14の接着界面への冷却液7の侵入を防止するシール部を形成している。接着剤14の接着界面が、冷却液7に接しないことは言うまでもない。
【0078】
上記電気絶縁性部材60を接着する際、底部47の外面及び他端面62の少なくとも一方に接着剤14を塗布し、支持部材25の溝部にOリングを設けた状態で、接着剤14を介在させて底部47の外面に他端面62を接触させた後、電気絶縁性部材60を押圧し、電気絶縁性部材60を高電圧絶縁部材40に接着すればよい。
【0079】
上記のように構成された第3の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法によれば、X線管装置10は、真空外囲器31と、陽極ターゲット35aと、陰極36と、を有するX線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、電気絶縁性部材60と、を備えている。
【0080】
電気絶縁性部材60は、端面(接着面)41より大きい面積を有した平坦な端面61と、高電圧絶縁部材40の外面に接着された他端面62と、を含んでいる。この実施の形態において、電気絶縁性部材60の径は、底部47の径より大きい。電気絶縁性部材60を接着する製造工程において、ステータコイル910は、予め高電圧絶縁部材40に嵌めておけばよい。
【0081】
これにより、X線管30のサイズに拘ること無しに、高電圧コネクタ100の接続部の絶縁性を長期にわたって確保することができる。高電圧絶縁部材40やステータコイル910の径を大きくしなくともよいため、X線管装置10(X線管30)の重量の増加及び大型化を抑制することができる。
【0082】
この実施の形態において、X線管装置10は、接着剤14の接着界面への冷却液7の侵入を防止するよう形成されているため、高電圧絶縁部材40からの電気絶縁性部材60の剥離や、電気絶縁特性の低下を防止することがより確実にできる。すなわち、上記X線管装置10は、第1の実施の形態のX線管装置10に比べ、電気絶縁性部材60がより剥がれ難く、電気絶縁特性がより低下し難いものである。
【0083】
その他、この実施の形態のX線管装置10は、上述した第1の実施の形態のX線管装置10と同様の効果を得ることができる。
上記したことから、重量の増加及び大型化を抑制でき、長期にわたって信頼性の高いX線管装置10及びX線管装置10の製造方法を得ることができる。
【0084】
次に、本発明の第4の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法について説明する。この実施の形態において、上記第1の実施の形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0085】
図11に示すように、電気絶縁性部材60は、端面61と、他端面62と、貫通孔63とを含んでいる。電気絶縁性部材60は、底部47より外径の大きい円盤状に形成されている。
【0086】
端面(接着面)41は、ハウジング20の外部に位置している。端面61は、ハウジング20の外側に露出し、端面(接着面)41より大きい面積を有している。端面61は平坦な面である。他端面62は、接着剤14を介して底部47の外面に接着(永久接着)されている。
【0087】
この実施の形態において、円環部20dは、高電圧絶縁部材40と対向した側に形成された円環状の溝部を有している。円環部20d及び高電圧絶縁部材40間の隙間は、上記溝部に設けられた円環状のOリングによりシールされている。上記Oリングは、円環部20d及び高電圧絶縁部材40間の隙間から外部への冷却液7の漏れを防止する機能を有している。すなわち、円環部20d及びOリングは、接着剤14の接着界面への冷却液7の侵入を防止するシール部を形成している。接着剤14の接着界面が、冷却液7に接しないことは言うまでもない。
【0088】
上記電気絶縁性部材60を接着する際、端面(接着面)41及び他端面62の少なくとも一方に接着剤14を塗布し、接着剤14を介在させて端面(接着面)41に他端面62を接触させた後、電気絶縁性部材60を押圧し、電気絶縁性部材60を高電圧絶縁部材40に接着すればよい。
【0089】
上記のように構成された第4の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法によれば、X線管装置10は、真空外囲器31と、陽極ターゲット35aと、陰極36と、を有するX線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、電気絶縁性部材60と、を備えている。
【0090】
電気絶縁性部材60は、端面(接着面)41より大きい面積を有した平坦な端面61と、高電圧絶縁部材40の外面に接着された他端面62と、を含んでいる。この実施の形態において、電気絶縁性部材60の径は、底部47の径より大きい。電気絶縁性部材60を接着する製造工程において、ステータコイル910は、予め高電圧絶縁部材40に嵌めておけばよい。
【0091】
これにより、X線管30のサイズに拘ること無しに、高電圧コネクタ100の接続部の絶縁性を長期にわたって確保することができる。高電圧絶縁部材40やステータコイル910の径を大きくしなくともよいため、X線管装置10(X線管30)の重量の増加及び大型化を抑制することができる。
【0092】
この実施の形態において、X線管装置10は、接着剤14の接着界面への冷却液7の侵入を防止するよう形成されているため、高電圧絶縁部材40からの電気絶縁性部材60の剥離や、電気絶縁特性の低下をより確実に防止することができる。すなわち、上記X線管装置10は、第1の実施の形態のX線管装置10に比べ、電気絶縁性部材60がより剥がれ難く、電気絶縁特性がより低下し難いものである。
【0093】
その他、この実施の形態のX線管装置10は、上述した第1の実施の形態のX線管装置10と同様の効果を得ることができる。
上記したことから、重量の増加及び大型化を抑制でき、長期にわたって信頼性の高いX線管装置10及びX線管装置10の製造方法を得ることができる。
【0094】
次に、本発明の第5の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法について説明する。この実施の形態において、上記第1の実施の形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0095】
図12に示すように、電気絶縁性部材60は、端面61と、他端面62と、貫通孔63とを含んでいる。電気絶縁性部材60は、底部47より外径の大きい有底筒状に形成されている。詳しくは、電気絶縁性部材60は、他端面62を有した筒部66と、筒部66の一端側を閉塞し、端面61、他端面62及び貫通孔63を有した円盤状の底部67とを有している。
【0096】
端面61は、ハウジング20の外側に露出し、端面(接着面)41より大きい面積を有している。端面61は平坦な面である。電気絶縁性部材60は、モールド材で形成され、底部47の外面及び支持部材25に直に接着(永久接着)されている。すなわち、電気絶縁性部材60自体が接着性を有する材料で形成されている。支持部材25は、電気絶縁性部材60より長く形成されている。
モールド材としては、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂を主成分とする材料が挙げられる。
【0097】
次に、上記X線管装置10の製造方法について説明する。
図13に示すように、まず、真空外囲器31と、陽極35と、陰極36と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、KOV部材55と、を有するX線管30を用意する。
【0098】
次いで、治具91を収容した真空槽90内に支持部材25を搬入する。
【0099】
ここで、治具91は、一端が閉塞して形成されたハウジング92を有している。また、ハウジング92には、貫通孔92hが形成されている。なお、貫通孔92hに限らず、ハウジング92には、凹部が形成されていてもよい。ハウジング92上に、円環状の板部材97が固着されている。板部材97のサイズは、支持部材25のサイズに対応している。板部材97は、平坦な端面97aを有している。端面97aは、ポリテトラフルオロエチレンで形成されている。
【0100】
支持部材25を搬入した後、ハウジング92上に支持部材25を載置する。これにより、支持部材25は板部材97にほとんど隙間なく嵌合される。板部材97及び支持部材25は、モールド材槽96を形成している。
【0101】
次いで、真空槽90内にステータコイル910を搬入し、ハウジング92にステータコイル910を載置する。続いて、真空槽90内にX線管30を搬入した後、ハウジング92にX線管30を載置する。ここでは、ハウジング92は真空容器32を支持している。これにより、モールド材槽96の内部に高電圧絶縁部材40の端面(接着面)41が搬入され、板部材97の開口部及び貫通孔92hに高電圧供給端子44が挿入される。なお、ステータコイル910は、高電圧絶縁部材40に嵌った状態となる。
【0102】
続いて、ハウジング92の他の貫通孔に、モールド材注入用のパイプ98を通す。その後、真空槽90の内部を真空排気する。次いで、パイプ98を用いて、モールド材槽96内にモールド材を注入する。なお、真空中で注入することにより、モールド材中に残る恐れのある空気等の気泡が残らないようにすることができる。
【0103】
その後、注入したモールド材が硬化することにより、平坦な端面61と、端面(接着面)41に直に接着された他端面62と、貫通孔63と、を含む電気絶縁性部材60が形成される。電気絶縁性部材60は、支持部材25及び高電圧絶縁部材40に接着される。
【0104】
真空槽90の内部を大気開放させた後、ハウジング92からパイプ98を取外した後、ハウジング92からステータコイル910、電気絶縁性部材60及び支持部材25が設けられたX線管30を取外す。これにより、端面97aから電気絶縁性部材60が剥離し、電気絶縁性部材60の平坦な端面61が露出する。
【0105】
図12に示すように、その後、ハウジング20を用意する。詳しくは、開口を有したハウジング本体20aを用意する。次いで、ハウジング本体20aに、ステータコイル910、電気絶縁性部材60及び支持部材25が設けられたX線管30を収納する。この際、端面41をハウジング20(円環部20d)の開口に対向させ、端面61及び高電圧供給端子44をハウジング20の外側に露出させる。貫通孔63は、高電圧供給端子44のハウジング20の外側への露出を維持している。
【0106】
続いて、高電圧絶縁部材50に支持部材26を取付けた後、円環部20bをハウジング本体20aの他端にネジ留めする。その後、X線管30及びハウジング本体20a間に冷却液7を充填する。これにより、冷却液7を液密に保持するハウジング20が形成される。その後、ハウジング20に、高電圧コネクタ100、200等を取付けることにより、X線管装置10が完成する。
【0107】
上記のように構成された第5の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法によれば、X線管装置10は、真空外囲器31と、陽極ターゲット35aと、陰極36と、を有するX線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、電気絶縁性部材60と、を備えている。
【0108】
電気絶縁性部材60は、端面(接着面)41より大きい面積を有した平坦な端面61と、高電圧絶縁部材40の外面に接着された他端面62と、を含んでいる。この実施の形態において、電気絶縁性部材60の径は、底部47の径より大きい。電気絶縁性部材60を形成するためのモールド材注入工程において、ステータコイル910は、予め高電圧絶縁部材40に嵌めておけばよい。
【0109】
これにより、X線管30のサイズに拘ること無しに、高電圧コネクタ100の接続部の絶縁性を長期にわたって確保することができる。高電圧絶縁部材40やステータコイル910の径を大きくしなくともよいため、X線管装置10(X線管30)の重量の増加及び大型化を抑制することができる。
【0110】
この実施の形態において、電気絶縁性部材60は、端面(接着面)41とだけでなく底部47の側面にも接着されているため、第1の実施の形態に比べ、高電圧絶縁部材40及び電気絶縁性部材60間の電気絶縁特性や接着強度を向上することができる。
【0111】
また、電気絶縁性部材60は、接着剤14無しに、高電圧絶縁部材40に直に接着されているため、第1の実施の形態に比べ、高電圧絶縁部材40及び電気絶縁性部材60間の電気絶縁特性や接着強度をより向上することができる。
【0112】
その他、この実施の形態のX線管装置10は、上述した第1の実施の形態のX線管装置10と同様の効果を得ることができる。
上記したことから、重量の増加及び大型化を抑制でき、長期にわたって信頼性の高いX線管装置10及びX線管装置10の製造方法を得ることができる。
【0113】
次に、本発明の第6の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法について説明する。この実施の形態において、上記第5の実施の形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0114】
図14に示すように、X線管装置10は、電気絶縁性部材70を備えている。電気絶縁性部材70は、支持部材25内に嵌め込まれ、支持部材25に接着されている。電気絶縁性部材70は、高電圧供給端子44のハウジング20の外側への露出を維持するよう円環状に形成されている。電気絶縁性部材70は、ハウジング20の外側に露出し、端面(接着面)41より大きい面積を有した平坦な端面71を含んでいる。電気絶縁性部材70は、電気絶縁性部材60と同様、セラミクス材又はガラス材で形成されている。
【0115】
電気絶縁性部材60は、端面61と、他端面62と、貫通孔63とを含んでいる。電気絶縁性部材60は、底部47より外径の大きい有底筒状に形成されている。詳しくは、電気絶縁性部材60は、他端面62を有した筒部66と、筒部66の一端側を閉塞し、端面61、他端面62及び貫通孔63を有した円盤状の底部67とを有している。
【0116】
端面61は、端面(接着面)41より大きい面積を有している。電気絶縁性部材60は、モールド材で形成され、底部47の外面、支持部材25及び電気絶縁性部材70に直に接着(永久接着)されている。すなわち、電気絶縁性部材60自体が接着性を有する材料で形成されている。支持部材25は、電気絶縁性部材60より長く形成されている。
モールド材としては、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂を主成分とする材料が挙げられる。
【0117】
次に、上記X線管装置10の製造方法について説明する。
図15に示すように、まず、真空外囲器31と、陽極35と、陰極36と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、KOV部材55と、を有するX線管30を用意する。
【0118】
次いで、治具91を収容した真空槽90内に、電気絶縁性部材70が取付けられた支持部材25を搬入する。支持部材25を搬入した後、ハウジング92上に支持部材25を載置する。電気絶縁性部材70及び支持部材25は、モールド材槽96を形成している。
【0119】
次いで、真空槽90内にステータコイル910を搬入し、ハウジング92にステータコイル910を載置する。続いて、真空槽90内にX線管30を搬入した後、ハウジング92にX線管30を載置する。ここでは、ハウジング92は真空容器32を支持している。これにより、モールド材槽96の内部に高電圧絶縁部材40の端面(接着面)41が搬入され、電気絶縁性部材70の開口部及び貫通孔92hに高電圧供給端子44が挿入される。なお、ステータコイル910は、高電圧絶縁部材40に嵌った状態となる。
【0120】
続いて、ハウジング92の他の貫通孔に、モールド材注入用のパイプ98を通す。その後、真空槽90の内部を真空排気する。次いで、パイプ98を用いて、モールド材槽96内にモールド材を注入する。
【0121】
その後、注入したモールド材が硬化することにより、端面61と、端面(接着面)41に直に接着された他端面62と、貫通孔63と、を含む電気絶縁性部材60が形成される。電気絶縁性部材60は、電気絶縁性部材70、支持部材25及び高電圧絶縁部材40に接着される。
【0122】
真空槽90の内部を大気開放させた後、ハウジング92からパイプ98を取外した後、ハウジング92からステータコイル910、電気絶縁性部材60、70及び支持部材25が設けられたX線管30を取外す。
【0123】
図14に示すように、その後、ハウジング20を用意する。詳しくは、開口を有したハウジング本体20aを用意する。次いで、ハウジング本体20aに、ステータコイル910、電気絶縁性部材60、70及び支持部材25が設けられたX線管30を収納する。この際、端面41をハウジング20(円環部20d)の開口に対向させ、端面71及び高電圧供給端子44をハウジング20の外側に露出させる。
【0124】
続いて、高電圧絶縁部材50に支持部材26を取付けた後、円環部20bをハウジング本体20aの他端にネジ留めする。その後、X線管30及びハウジング本体20a間に冷却液7を充填する。これにより、冷却液7を液密に保持するハウジング20が形成される。その後、ハウジング20に、高電圧コネクタ100、200等を取付けることにより、X線管装置10が完成する。
【0125】
上記のように構成された第6の実施の形態に係るX線管装置10及びX線管装置10の製造方法によれば、X線管装置10は、真空外囲器31と、陽極ターゲット35aと、陰極36と、を有するX線管30と、ハウジング20と、冷却液7と、高電圧絶縁部材40、50と、高電圧供給端子44、54と、電気絶縁性部材60と、電気絶縁性部材70と、を備えている。
【0126】
電気絶縁性部材60は、端面(接着面)41より大きい面積を有した端面61と、高電圧絶縁部材40の外面に接着された他端面62と、を含んでいる。この実施の形態において、電気絶縁性部材60の径は、底部47の径より大きい。電気絶縁性部材70は、端面(接着面)41より大きい面積を有した平坦な端面71を含んでいる。電気絶縁性部材60を形成するためのモールド材注入工程において、ステータコイル910は、予め高電圧絶縁部材40に嵌めておけばよい。
【0127】
これにより、X線管30のサイズに拘ること無しに、高電圧コネクタ100の接続部の絶縁性を長期にわたって確保することができる。高電圧絶縁部材40やステータコイル910の径を大きくしなくともよいため、X線管装置10(X線管30)の重量の増加及び大型化を抑制することができる。
【0128】
電気絶縁性部材70の端面71の平坦性を向上させることにより、電気絶縁性部材70は、予め平坦性に優れた端面71を持つことができる。このため、端面71の平坦度は、モールド材で形成した上記第5の実施の形態の端面61の平坦度より高い。高電圧コネクタ100を上記第5の実施の形態の端面61に密着させた場合に比べ電気絶縁性部材70に密着させた場合の方が密着界面に沿った放電を抑制することができる。
【0129】
この実施の形態において、電気絶縁性部材60は、端面(接着面)41とだけでなく底部47の側面にも接着されているため、第1の実施の形態に比べ、高電圧絶縁部材40及び電気絶縁性部材60間の電気絶縁特性や接着強度を向上することができる。
【0130】
また、電気絶縁性部材60は、接着剤14無しに、高電圧絶縁部材40に直に接着されているため、第1の実施の形態に比べ、高電圧絶縁部材40及び電気絶縁性部材60間の電気絶縁特性や接着強度をより向上することができる。
【0131】
その他、この実施の形態のX線管装置10は、上述した第1の実施の形態のX線管装置10と同様の効果を得ることができる。
上記したことから、重量の増加及び大型化を抑制でき、長期にわたって信頼性の高いX線管装置10及びX線管装置10の製造方法を得ることができる。
【0132】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0133】
例えば、接着剤14を用いて高電圧絶縁部材40及び電気絶縁性部材60を接着する際や、モールド材を注入する際、真空中で実施することが望ましいが、これに限らず、大気中で実施してもよい。
【0134】
電気絶縁性部材60を高電圧絶縁部材40に接着させるための、電気絶縁性部材60を押圧する手法及び構成は、上述した手法及び構成に限定されるものではなく、種々変形可能である。モールド材槽96内にモールド材を注入する手法及び構成は、上述した手法及び構成に限定されるものではなく、種々変形可能である。
【0135】
高電圧供給端子44及び支持体35bを接続する部材は、メタライズ層11に限定されるものではなく、種々変形可能であり、高電圧供給端子44及び支持体35bを接続するように構成されていれば良い。
【0136】
電気絶縁性部材60を高電圧絶縁部材40及び電気絶縁性部材70に接着剤を介して接着させる際、各部材の接着面のうち少なくとも一つに接着強度を向上させるための事前処理を施してもよい。事前処理として公知のプライマーコーティングを採用することができる。
【0137】
陽極35が取り付けられた高電圧絶縁部材40に電気絶縁性部材60を接着したが、これに限らず、陰極36が取り付けられた高電圧絶縁部材50に電気絶縁性部材を接着してもよい。
【0138】
図16に示すように、例えば、X線管装置10は、電気絶縁性部材80及び支持体36bを備えている。電気絶縁性部材80は、底部57より外径の大きい円盤状に形成されている。電気絶縁性部材80は、端面81と、他端面82と、貫通孔83とを含んでいる。端面81は、ハウジング20の外側に露出し、端面51より大きい面積を有している。端面81は平坦な面である。他端面82は、端面51より大きい面積を有している。貫通孔83は、端面81及び他端面82に開口している。貫通孔83は、高電圧供給端子54のハウジング20の外側への露出を維持する。他端面82は、接着剤14を介して端面(接着面)51に接着(永久接着)されている。
電気絶縁性部材80は、電気絶縁性部材60と同様、セラミクス材又はガラス材で形成されている。
【0139】
支持体36bは、底部57に間隔を置いて位置している。支持体36bは、筒部56の内面に接合された接合部36cを含み、真空外囲器31の内部に位置し、陰極36を支持するものである。接合部36cは、可撓性を示すものである。このため、接合部36cは、高温時に弾性変形し熱応力の少なくとも一部を緩和するものである。KOV部材55及び支持体36b間は、ろう付けされている。
この発明は、上記X線管装置10及びX線管装置10の製造方法に限らず、各種X線管装置及びその製造方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0140】
1…固定体、2…回転体、7…冷却液、10…X線管装置、11…メタライズ層、14…接着剤、16…熱伝達促進部、16a…凸部、20…ハウジング、20a…ハウジング本体、20b,20d…円環部、20c…筒部、22…冷却液循環ポンプ、23…熱交換器、24,33…放射窓、25,26…支持部材、30…X線管、31…真空外囲器、32…真空容器、35…陽極、35a…陽極ターゲット、35b…支持体、35c…接合部、35d…凹凸面、36…陰極、36b…支持体、36c…接合部、40,50…高電圧絶縁部材、41,51…端面、43,53…熱伝達面、44,54…高電圧供給端子、60,70,80…電気絶縁性部材、61,71,81…端面、62,82…他端面、63,83…貫通孔、90…真空槽、91…治具、92…ハウジング、92h…貫通孔、93…支持部材、94…昇降機構、96…モールド材槽、100,200…高電圧コネクタ、103,203…電気絶縁材、104,204…シリコーンプレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられた陽極ターゲットと、前記真空外囲器内に設けられて前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、を有するX線管と、
開口を有し、前記X線管を収納したハウジングと、
前記X線管及びハウジング間に充填された冷却液と、
前記冷却液に直接又は間接的に接し前記冷却液に熱を伝達する熱伝達面と、前記ハウジングの開口に対向した接着面と、を含み、前記真空外囲器の一部を構成し、真空内部において前記陽極ターゲット又は陰極が取り付けられている高電圧絶縁部材と、
前記高電圧絶縁部材に設けられ、前記ハウジングの外側に露出した高電圧供給端子と、
前記ハウジングの外側に露出し、前記接着面より大きい面積を有した平坦な端面と、前記高電圧絶縁部材の接着面に接着された他端面と、前記高電圧供給端子の前記ハウジングの外側への露出を維持するよう前記端面及び他端面に開口する貫通孔と、を含む電気絶縁性部材と、を備えているX線管装置。
【請求項2】
前記電気絶縁性部材の端面に直接又は間接的に密着される電気絶縁材を含み、前記高電圧供給端子に高電圧を与える高電圧コネクタをさらに備えている請求項1に記載のX線管装置。
【請求項3】
前記電気絶縁性部材は、セラミクス材で形成され、接着剤を介して前記高電圧絶縁部材の接着面に接着されている請求項1又は2に記載のX線管装置。
【請求項4】
前記電気絶縁性部材は、ガラス材で形成され、接着剤を介して前記高電圧絶縁部材の接着面に接着されている請求項1又は2に記載のX線管装置。
【請求項5】
前記電気絶縁性部材は、モールド材で形成され、前記高電圧絶縁部材の接着面に直に接着されている請求項1又は2に記載のX線管装置。
【請求項6】
前記接着面及び他端面間の接着界面への冷却液7の侵入を防止するシール部をさらに備え、
前記接着面は、前記ハウジングの内部に位置している請求項1乃至5の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項7】
前記接着面は、前記ハウジングの外部に位置している請求項1乃至5の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項8】
前記冷却液は、水系冷却液である請求項1乃至7の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項9】
前記真空外囲器の内部に位置し前記陽極ターゲットを支持する支持体をさらに備え、
前記高電圧絶縁部材は、前記熱伝達面を有した筒部と、前記筒部の一端側を閉塞し前記接着面を有した底部と、を含み、
前記支持体は、前記筒部の内面に接合された接合部を含んでいる請求項1乃至8の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項10】
前記高電圧絶縁部材の内面に形成され、前記接合部に接続されたメタライズ層をさらに備え、
前記高電圧供給端子は、前記底部の一部を貫通して前記メタライズ層に接続されている請求項9に記載のX線管装置。
【請求項11】
前記真空外囲器の内部に位置し前記陰極を支持する支持体をさらに備え、
前記高電圧絶縁部材は、前記熱伝達面を有した筒部と、前記筒部の一端側を閉塞し前記接着面を有した底部と、を含み、
前記支持体は、前記筒部の内面に接合された接合部を含んでいる請求項1乃至8の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項12】
前記接合部は、可撓性を示し、高温時に弾性変形し熱応力の少なくとも一部を緩和する請求項9又は11に記載のX線管装置。
【請求項13】
前記接合部は、前記筒部の内面に対向した凹凸面を有し、
前記筒部の内面に、前記接合部の凸部が接合されている請求項12に記載のX線管装置。
【請求項14】
前記支持体は、高温時に弾性変形し熱応力の少なくとも一部を緩和する可撓性部品を介して前記高電圧絶縁部材の内面に接合されている請求項9又は11に記載のX線管。
【請求項15】
前記高電圧絶縁部材は、前記熱伝達面に設けられ、前記冷却液に接した熱伝達促進部をさらに含んでいる請求項1乃至14の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項16】
前記熱伝達促進部は、前記高電圧絶縁部材自体の表面に形成された凹凸パターンである請求項15に記載のX線管装置。
【請求項17】
前記熱伝達促進部は、前記熱伝達面に接合された金属部材である請求項15に記載のX線管装置。
【請求項18】
前記ハウジングに連結され、前記冷却液の流れを前記ハウジング内に作り出す冷却液循環ポンプをさらに備えている請求項1乃至17の何れか1項に記載のX線管装置。
【請求項19】
前記ハウジング及び冷却液循環ポンプ間に連結され、前記冷却液の熱を外部に放出する熱交換器をさらに備えている請求項18に記載のX線管装置。
【請求項20】
真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられた陽極ターゲットと、前記真空外囲器内に設けられて前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、熱伝達面及び接着面を含み、前記真空外囲器の一部を構成し、真空内部において前記陽極ターゲット又は陰極が取り付けられる高電圧絶縁部材と、前記高電圧絶縁部材に設けられた高電圧供給端子と、を有するX線管を用意し、
前記接着面より大きい面積を有した平坦な端面と、他端面と、前記端面及び他端面に開口する貫通孔と、を含む電気絶縁性部材を用意し、
前記接着面及び他端面の少なくとも一方に接着剤を塗布し、
前記接着剤を介在させて前記接着面に前記他端面を接触させ、
前記接触させた後、前記電気絶縁性部材を押圧し、前記電気絶縁性部材を高電圧絶縁部材に接着し、
開口を有したハウジングを用意し、
前記ハウジングに、前記電気絶縁性部材が設けられた前記X線管を収納し、前記接着面を前記開口に対向させ、前記端面及び高電圧供給端子を前記ハウジングの外側に露出させ、前記貫通孔は前記高電圧供給端子の前記ハウジングの外側への露出を維持し、
前記X線管及びハウジング間に冷却液を充填するX線管装置の製造方法。
【請求項21】
真空外囲器と、前記真空外囲器内に設けられた陽極ターゲットと、前記真空外囲器内に設けられて前記陽極ターゲットに照射する電子を放出する陰極と、熱伝達面及び接着面を含み、前記真空外囲器の一部を構成し、真空内部において前記陽極ターゲット又は陰極が取り付けられる高電圧絶縁部材と、前記高電圧絶縁部材に設けられた高電圧供給端子と、を有するX線管を用意し、
モールド材槽内部に前記高電圧絶縁部材の接着面を搬入し、前記モールド材槽に形成された貫通孔又は凹部に前記高電圧供給端子を挿入し、
前記モールド材槽内にモールド材を注入し、
前記注入したモールド材を硬化し、前記接着面より大きい面積を有した平坦な端面と、前記接着面に直に接着された他端面と、前記高電圧供給端子を囲み前記端面及び他端面に開口する貫通孔と、を含む電気絶縁性部材を形成し、
開口を有したハウジングを用意し、
前記ハウジングに、前記電気絶縁性部材が設けられた前記X線管を収納し、前記接着面を前記開口に対向させ、前記端面及び高電圧供給端子を前記ハウジングの外側に露出させ、前記電気絶縁性部材の貫通孔は前記高電圧供給端子の前記ハウジングの外側への露出を維持し、
前記X線管及びハウジング間に冷却液を充填するX線管装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−108415(P2011−108415A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260158(P2009−260158)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】