説明

X線診断装置

【課題】 X線撮影において、最新のオフセット補正データを用いたオフセット補正によって画像データの高画質化をはかる。
【解決手段】 被検体に対する間欠的なX線撮影の非撮影期間において、オフセット補正部4のオフセット補正データ生成部42は、X線検出部3から順次供給される暗時画像データを用いてオフセット補正データの生成と更新を行ない、最新のオフセット補正データをオフセット補正データ記憶部43に保存する。一方、X線撮影の撮影期間において、画像演算部44は、オフセット補正データ記憶部43に保存されている前記オフセット補正データを読み出し、X線検出部3から供給される画像データから前記オフセット補正データを減算することによって前記画像データに対するオフセット補正を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はX線診断装置に係り、特に平面検出器を備えたX線診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置やMRI装置あるいはX線CT装置などを用いた医用画像診断技術は、1970年代のコンピュータ技術の発展に伴い急速な進歩を遂げ、今日の医療において必要不可欠なものとなっている。
【0003】
X線診断装置に用いられる検出器として、従来は、X線フィルムやI.I.(イメージ・インテンシファイア)が使用されてきた。このI.I.を用いた撮影方法ではX線管から発生したX線によって被検体を照射し、被検体を透過して得られたX線の画像情報はI.I.において光学画像に変換される。更に、この光学画像は、X線TVカメラによって撮影されて電気信号に変換され、A/D変換後TVモニタに表示される。このため、I.I.を用いた撮影方法は、フィルム方式では出来なかったリアルタイム撮影を可能とし、又、デジタル信号で画像データの収集ができるため、種々の画像処理を可能とした。
【0004】
ところで、従来のX線撮影において使用されるX線TVカメラには、X線照射に依存しない暗時信号が常時発生しており、従って、X線TVカメラから出力される電気信号にはX線照射に起因した画像信号と前記暗時信号が混在していた。そして、この暗時信号は、X線画像データを劣化させる1つの要因となっていた。
【0005】
このようなX線TVカメラの問題点を解決するために、光学画像が入力される前の暗時信号を継続的に収集し、次いで、光学画像を入力して得られる電気信号から最新の暗時信号をサブトラクションする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
一方、上述のI.I.に替わるものとして近年、2次元配列の平面検出器が注目を集め、既に実用化の段階に入っている。この平面検出器には、X線を直接電荷に変換する方式と、一旦光に変換した後電荷に変換する方式とがあるが、例えば前者の方式における平面検出器は、入射したX線エネルギーを電荷量に変換する光電膜と、この電荷を蓄積する電荷蓄積コンデンサと、蓄積された電荷を所定のタイミングで読み出すTFT(薄膜トランジスタ)によって構成され、光電膜においてX線照射量に比例して発生し電荷蓄積コンデンサに一旦蓄積された電荷は、スイッチング機能を有するTFTを介して順次信号出力線に読み出される。そして、信号出力線に出力された電荷は、電荷・電圧変換器を介してA/D変換器にてデジタル信号に変換され、X線画像データ(以下、画像データと呼ぶ。)として画像記憶回路に保存された後、表示部にて表示される(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平2−164184号公報
【特許文献2】特開2001−340324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の電荷・電圧変換器から出力された画像データには、照射されたX線量に比例した本来の信号成分に対して後述のオフセット成分がアーチファクト成分として混在している。このオフセット成分には、X線非照射時において光電膜にて発生する電荷、TFTのスイッチング特性に起因した他画素からの漏れ電荷、TFT端子間の浮遊容量に蓄積されTFTのON/OFF時に注入された電荷、更には電荷・電圧変換器の直流成分などがあり、通常、これらのオフセット成分は画素毎に異なって信号成分に含まれている。
【0008】
従来、画像データからオフセット成分を除去して信号成分のみを抽出するために、当該被検体に対するX線撮影を開始する前の非撮影期間において得られた画像データ(以下では、暗時画像データと呼び、X線照射によって得られた画像データと区別する。)を用いてオフセット補正データを予め生成し、X線撮影期間において得られた画像データから前記オフセット補正データを減算する、所謂、オフセット補正が行なわれてきた。
【0009】
しかしながら、画像データに含まれるオフセット成分は、平面検出器の温度,光電膜に対するバイアス電圧の印加時間,TFTの駆動状況により絶えず時間的に変化している。従って、X線撮影前に生成されたオフセット補正データを用いたオフセット補正では、オフセット成分を十分低減することは不可能であった。
【0010】
本発明は、このような従来の平面検出器を用いた撮影における問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、非撮影期間において順次生成される暗時画像データを用いてオフセット補正データの生成と更新を行ない、撮影期間において生成される画像データに対し最新のオフセット補正データを用いたオフセット補正を行なうことによって画像データの高画質化を可能とするX線診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のX線診断装置は、被検体に対しX線照射を行って画像データを生成する撮影期間とX線照射を停止する非撮影期間を組み合わせてX線撮影を行なうX線診断装置において、前記撮影期間における前記被検体の透過X線量に基づいて蓄積された第1の電荷と前記非撮影期間において蓄積された第2の電荷を検出する複数の検出素子を有した平面検出器と、前記第1の電荷に基づいた画像データと前記第2の電荷に基づいた暗時画像データを生成する画像データ生成手段と、前記暗時画像データに基づいてオフセット補正データを生成するオフセット補正データ生成手段と、このオフセット補正データ生成部が生成した複数の前記オフセット補正データのうち最新のオフセット補正データを用いて前記画像データをオフセット補正するための画像間演算を行なう画像演算手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、X線撮影の非撮影期間において順次生成される暗時画像データを用いてオフセット補正データの生成と更新を行ない、撮影期間において生成された画像データに対し更新された最新のオフセット補正データを用いてオフセット補正を行なうことによって良質な画像データの生成が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
以下に述べる本発明の第1の実施例の特徴は、間欠的に行なわれるX線撮影の非撮影期間において得られる暗時画像データを継続的に収集し、この暗時画像データに基づいて生成された最新のオフセット補正データを用いて撮影期間の画像データに対するオフセット補正を行なうことにある。
【0015】
(装置の構成)
本発明の第1の実施例におけるX線診断装置の構成につき図1乃至図7を用いて説明する。尚、図1は、X線診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、このX線診断装置に用いられる平面検出器の構成を示す図である。
【0016】
X線診断装置100は、被検体150に対してX線を照射するX線発生部1と、X線照射に必要な高電圧を発生しX線発生部1に供給する高電圧発生部2と、被検体150を透過したX線を2次元的に検出して画像データを生成するとともに非撮影時における暗時画像データを生成するX線検出部3と、X線検出部3において得られた暗時画像データを用い撮影時に得られる画像データに対するオフセット補正を行なうオフセット補正部4を備えている。
【0017】
又、X線診断装置100は、オフセット補正後の画像データに対してゲイン補正を行なうゲイン補正部5と、ゲイン補正された画像データを保存する画像データ記憶部6と、この画像データを表示する表示部7を備え、更に、X線発生部1とX線検出部3を保持する保持部8と、被検体150を載置する天板9と、保持部8及び天板9の回動/移動とその制御を行なう機構部10と、操作者によってX線撮影に必要な種々の入力や設定等が行なわれる入力部11と、X線診断装置100の上記各ユニットを統括して制御するシステム制御部12を備えている。
【0018】
X線発生部1は、被検体150に対しX線を照射するX線管101と、このX線管101から照射されたX線に対してX線錘(コーンビーム)を形成するX線絞り器102を備えている。X線管101は、X線を発生する真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧によって加速させてタングステン陽極に衝突させX線を発生させる。一方、X線絞り器102は、X線管101と被検体150の間に位置し、X線管101から照射されたX線ビームを所定の照射視野サイズに絞り込む機能を有している。
【0019】
高電圧発生部2は、X線管101の陰極から発生する熱電子を加速するために、陽極と陰極の間に印加する高電圧を発生させる高電圧発生器21と、システム制御部12からの指示信号に従い、高電圧発生器21における管電流、管電圧、照射時間等のX線照射条件の設定を行なうX線制御回路22を備えている。
【0020】
一方、X線検出部3の検出方法には、X線を直接電荷に変換する方法と、一旦光に変換した後電荷に変換する方法とがあり、本実施例では前者を例に説明するが後者であっても構わない。即ち、X線検出部3は、撮影期間に被検体150を透過したX線に基づいて発生する電荷や、非撮影期間に発生する電荷を蓄積する平面検出器31と、この平面検出器31に蓄積された電荷を読み出すためのゲートドライバ32と、読み出された電荷から撮影期間における画像データ及び非撮影期間における暗時画像データを生成する画像データ生成部33を備えている。
【0021】
平面検出器31は、図2に示すように列方向及びライン方向に2次元配列された微小な検出素子51によって構成されており、各々の検出素子51は、X線を感知しX線照射量に応じて電荷を生成する光電膜52と、光電膜52に発生した電荷を蓄積する電荷蓄積コンデンサ53と、電荷蓄積コンデンサ53に蓄積された電荷を所定のタイミングで読み出すTFT(薄膜トランジスタ)54を備えている。以下では説明を簡単にするために、検出素子51が列方向(図2の上下方向)、及びライン方向(図2の左右方向)に2素子ずつ配列されている場合の平面検出器31の構成について説明する。
【0022】
図2の光電膜52−11、52−12、52−21、52−22の第1の端子と、電荷蓄積コンデンサ53−11、53−12、53−21、53−22の第1の端子とが接続され、更に、その接続点はTFT54−11、54−12、54−21、54−22のソース端子へ接続される。一方、光電膜52−11、52−12、52−21、52−22の第2の端子は、図示しないバイアス電源に接続され、電荷蓄積コンデンサ53−11、53−12、53−21、53−22の第2の端子は接地される。更に、ライン方向のTFT54−11及びTFT54−21のゲート端子はゲートドライバ32の出力端子55−1に共通接続され、又、TFT54−12、及びTFT54−22のゲート端子はゲートドライバ32の出力端子55−2に共通接続される。
【0023】
一方、列方向のTFT54−11及び54−12のドレイン端子は信号出力線59−1に共通接続され、又、TFT54−21及び54−22のドレイン端子は信号出力線59−2にそれぞれ共通接続される。そして、信号出力線59−1及び59−2は画像データ生成部33に接続されている。
【0024】
次いで、ゲートドライバ32は、撮影時あるいは非撮影時において検出素子51の光電膜52に発生し電荷蓄積コンデンサ53にて蓄積された電荷を読み出すために、TFT54のゲート端子に対して駆動パルスを供給する。
【0025】
図1に戻って、X線検出部3の画像データ生成部33は、平面検出器31から読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器331と、平面検出器31からライン単位でパラレルに読み出された電荷データを時系列信号に変換するマルチプレクサ332と、A/D変換器333を備えている。
【0026】
次に、X線検出部3につき更に詳細な構成を示した図3と、平面検出器31における電荷読み出しのタイムチャートを示した図4を用いて、画像データの生成方法について説明する。
【0027】
図3において、平面検出器31はライン方向にM個、列方向にN個、2次元配列された検出素子51から構成されている。この平面検出器31において、ライン方向に配列されたM個の検出素子51の各駆動端子(即ち、図2に示すTFT54のゲート端子)は共通接続され、ゲートドライバ32の出力端子に接続される。例えば、ゲートドライバ32の出力端子55−1は、検出素子51−11、51−21、51−31、・・・51−M1の各駆動端子に接続され、ゲートドライバ32の出力端子55−Nは、検出素子51−1N、51−2N、51−3N、・・・51−MNの各駆動端子に接続される。
【0028】
一方、列方向に配列されたN個の検出素子51のそれぞれの出力端子(即ち、図2に示すTFT54のドレイン端子)は信号出力線59に共通接続され、この信号出力線59は、画像データ生成部33における電荷・電圧変換器331の入力端子に接続される。例えば、検出素子51−11、51−12、51−13、・・・51−1Nの出力端子は信号出力線59−1に共通接続され、この信号出力線59−1は電荷・電圧変換器331−1に接続される。同様にして、検出素子51−M1、51−M2、51−M3、・・・51−MNの出力端子は信号出力線59−Mに共通接続され、信号出力線59−Mは電荷・電圧変換器331−Mに接続される。
【0029】
図4は、撮影期間におけるX線の照射タイミング、ゲートドライバ32の出力信号及び検出素子51の出力信号を示したものであり、入力部11からのX線照射要求に基づいて、X線発生部1は、図4(a)の時刻t0a乃至t0bの期間に被検体150に対してX線を照射しする。一方、検出素子51は、被検体150を透過したX線を受信してX線照射量に比例した電荷を電荷蓄積コンデンサ53に蓄積する。
【0030】
このX線照射が終了すると、検出素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積された電荷を読み出すために、システム制御部12は、ゲートドライバ32に制御信号を供給し、ゲートドライバ32は、その出力端子55−1乃至55−Nから図4(b)乃至図4(d)に示すような駆動パルスを順次出力する。そして、TFT54のゲート端子に読み出し用の駆動パルス(ON電圧)が供給されると、TFT54が導通(ON)状態となり、電荷蓄積コンデンサ53に蓄えられた電荷が信号出力線59に出力される。
【0031】
図4(a)の時刻t0a乃至t0bの期間においてX線照射が行われた後、ゲートドライバ32の出力端子55−1は時刻t1a乃至t1bの期間においてON電圧になり(図4(b))、第1ラインの検出素子51−11、51−21,・・・,51−M1を駆動する。そして、この駆動信号により第1ラインの検出素子51−11、・・・51−M1の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積された電荷が信号出力線59−1乃至59−Mに出力される。
【0032】
信号出力線59−1乃至59−Mに出力された電荷は、画像データ生成部33の電荷・電圧変換器331−1乃至331−Mにて電荷から電圧に変換され、マルチプレクサ332によりパラレル−シリアル変換される。そして、マルチプレクサ332の出力は、A/D変換器333においてデジタル信号に変換されて第1ラインにおける画像データが生成され、図1のオフセット補正部4に供給される。
【0033】
次いで、時刻t2a乃至t2bの期間においてゲートドライバ32は、その出力端子55−2のみをON電圧にして(図4(c))、第2ラインの検出素子51−12、51−22、51−32,・・・,51−M2に蓄積された電荷を信号出力線59−1乃至59−Mに読み出す。そして、読み出された電荷は、電荷・電圧変換器331−1乃至331−Mやマルチプレクサ332、更にはA/D変換器333によって第2ラインの画像データに変換され、オフセット補正部4に供給される。
【0034】
以下同様にして、ゲートドライバ32の出力端子55−3乃至55−Nが順次ON電圧になると、第3ライン乃至第Nラインに配置された検出素子51の電荷蓄積コンデンサ53に蓄積していた電荷は信号出力線59−1乃至59−Mに順次出力される。この電荷は、電荷・電圧変換器331−1乃至331−M、マルチプレクサ332、A/D変換器333によって第3ライン乃至第Nラインの画像データに変換されてオフセット補正部4に供給される。
【0035】
尚、上述の説明では、撮影期間における画像データの生成方法について述べたが、X線検出部3は、非撮影期間においても撮影期間と同様の動作を行なうことによって暗時画像データの生成を行なう。
【0036】
次に、本実施例において最も重要なユニットであるオフセット補正部4の構成と動作につき、図5のブロック図と図6及び図7に示したタイムチャートを用いて説明する。
【0037】
図5では、オフセット補正部4と既に述べたX線検出部3が示されており、オフセット補正部4は、非撮影期間において得られた複数枚の暗時画像データを加算平均処理してオフセット補正データを生成するオフセット補正データ生成部42と、このオフセット補正データ生成部42において順次生成されるオフセット補正データの中の最新のオフセット補正データを保存するオフセット補正データ記憶部43と、撮影期間において得られた各々の画像データとオフセット補正データ記憶部43に保存されている最新のオフセット補正データとの減算処理によりオフセット補正を行なう画像演算部44を備えている。
【0038】
更に、オフセット補正部4は、X線検出部3において撮影期間に生成される画像データと非撮影期間に生成される暗時画像データの供給先を選択する切り換えスイッチ41と、オフセット補正部4における上述の各ユニットを制御するオフセット補正制御部45を備えている。
【0039】
図6は、X線検出部3において生成される画像データと暗時画像データの生成順序を示すタイムチャートであり、ここでは、図を分かり易くするために撮影期間T1及びT3において夫々3枚の画像データが生成され、非撮影期間T2において4枚の暗時画像データが生成される場合について示しているが、通常は、上述の撮影期間及び非撮影期間において更に多くの画像データと暗時画像データが生成される。
【0040】
以下の説明では、非撮影期間T2の暗時画像データに基づいて生成されたオフセット補正データを用いて撮影期間T3の画像データに対するオフセット補正を行なう場合について述べる。
【0041】
図6(a)は、撮影期間T1及びT3においてX線が被検体150を介しX線検出部3の平面検出器31に照射される照射期間T11乃至T13と照射期間T31乃至T33を示しており、図6(b)は、撮影期間T1及びT3と非撮影期間T2における平面検出器31の電荷蓄積期間C3乃至C12と電荷読み出し期間R3乃至R12を示している。
【0042】
又、図6(c)乃至図6(e)は、撮影期間T1の拡大図であり、図6(c)は、照射期間T11乃至T13を、図6(d)は、X線検出部3の第1ライン乃至第Nラインから出力される画像データの出力タイミングを示している。又、図6(e)に示すように、平面検出器31における電荷蓄積期間C3乃至C5は、照射期間T11乃至T13に対応し、電荷読み出し期間R3乃至R5は、画像データが生成される期間に対応している。そして、電荷読み出し期間R3乃至R5の各々において平面検出器31の第1ライン乃至第Nラインの電荷が読み出されて1枚の画像データが生成される。
【0043】
一方、非撮影期間T2においても、平面検出器31は撮影期間T1及びT3と同様な動作を繰り返し、電荷の蓄積を電荷蓄積期間C6乃至C9において、又、電荷の読み出しを電荷読み出し期間R6乃至R9において行なう。そして、電荷読み出し期間R6乃至R9の各々において平面検出器31の第1ライン乃至第Nラインに蓄積された電荷が読み出されて1枚の暗時画像データが生成される。
【0044】
尚、上述のX線検出部3における平面検出器31において、撮影期間T1及びT3の電荷蓄積期間C3乃至C5、C10乃至C12では、X線発生部1から放射され被検体150を介して平面検出器31に照射されたX線の照射量に略比例した電荷が蓄積され、非撮影期間T2の電荷蓄積期間R6乃至R9では、既に述べたように、X線の照射に関係無く光電膜52に発生する電荷やTFT54のスイッチング特性に起因した他画素からの漏れ電荷等が蓄積される。
【0045】
次に、図7は、オフセット補正部4において行なわれるオフセット補正の順序を示すタイムチャートであり、図7(a)は、電荷蓄積/読み出し期間、図7(b)は、X線検出部4から出力される画像データ/暗時画像データの出力期間、図7(c)は、オフセット補正データ生成期間、そして、図7(d)は、オフセット補正後の画像データ生成期間を示している。但し図7では、図6と同様にして非撮影期間T2において得られた4枚の暗時画像データに基づいて生成されたオフセット補正データを用い、撮影期間T3の画像データに対するオフセット補正を行なう場合について述べる。
【0046】
この場合、撮影期間T3の直前、即ち、非撮影期間T2の電荷読み出し期間R9において得られた暗時画像データをそのままオフセット補正データとして用いてもよいが、暗時画像データに重畳する装置ノイズ等の影響を低減するために複数枚の暗時画像データを加算平均処理してオフセット補正データを生成する方法が望ましい。以下では、2枚の暗時画像データを加算平均処理してオフセット補正データを生成する場合について説明する。
【0047】
即ち、図7の非撮影期間T2において、X線検出器3の電荷読み出し期間R6及びR7で生成された暗時画像データA21と暗時画像データA22は、図5に示したオフセット補正部4の切り換えスイッチ41を介してオフセット補正データ生成部42に供給される。そして、オフセット補正データ生成部42は、供給された暗時画像データA21と暗時画像データA22を加算平均処理してオフセット補正データD22を生成し、オフセット補正データ記憶部43に保存する。
【0048】
次いで、非撮影期間T2の電荷読み出し期間R8において生成された暗時画像データA23がオフセット補正データ生成部42に供給され、オフセット補正データ生成部42は、新たに供給された暗時画像データA23と既に供給されている暗時画像データA22を加算平均処理してオフセット補正データD23を生成する。そして、オフセット補正データD23をオフセット補正データ記憶部43に供給して既に保存されているオフセット補正データD22を更新する。
【0049】
更に、電荷読み出し期間R9において生成された暗時画像データA24と前記暗時画像データA23の加算平均処理によって得られたオフセット補正データD24をオフセット補正データ記憶部43に供給することによって、オフセット補正データD23を更新する。
【0050】
尚、暗時画像データの加算平均処理は、上述のような移動加算方法に限定されるものではなく、例えば、暗時画像データA21とA22の加算平均処理に後続して暗時画像データA23とA24の加算平均処理のような方法であってもよい。
【0051】
暗時画像データA24及びオフセット補正データD24の生成が行なわれた直後に、入力部11よりシステム制御部12を介してオフセット補正制御部45にX線撮影開始コマンドが供給されたならば、オフセット補正制御部45は、切り換えスイッチ41を制御して撮影期間T3の電荷読み出し期間R10、R11,・・・・において生成される画像データB31、R32,・・・を画像演算部44に供給する。
【0052】
一方、画像演算部44は、オフセット補正データ記憶部43に保存されている最新のオフセット補正データD24を読み出し、更に、切り換えスイッチ41を介してX線検出部3から供給された画像データB31、B32、・・・からオフセット補正データD24を減算することによってオフセット補正を行なう。
【0053】
尚、切り換えスイッチ41は、オフセット補正制御部45から供給される制御信号によって切り換え動作を行ない、X線検出部3から撮影期間において供給される画像データを画像演算部44に供給し、非撮影期間において供給される暗時画像データをオフセット補正データ生成部42に供給する機能を有している。
【0054】
次に図1に戻って、X線診断装置100のゲイン補正部5は、画像演算部44においてオフセット補正された画像データの画素値に対し、画素毎に存在する感度バラツキを補正するためのゲイン補正を行なう。
【0055】
又、画像データ記憶部6は図示しない記憶回路と画像処理回路を備え、ゲイン補正された画像データは前記記憶回路において一旦保存される。又、前記画像処理回路は、記憶回路に保存されたゲイン補正後の画像データに対して所望の画像処理を行なう。又、前記画像処理回路は、必要に応じて造影剤注入前後の画像データ間サブトラクションによるDSA画像データや、長尺画像データあるいは3次元画像データなどを生成するための画像演算を行なうことも可能である。
【0056】
一方、表示部7は、オフセット補正とゲイン補正が施され画像データ記憶部6の記憶回路に保存された画像データの表示を行なうためのものであり、図示しない表示用データ生成回路と変換回路とモニタを備えている。そして、表示用データ生成回路は、画像データ記憶部6に記憶されている画像データを読み出し、その付帯情報と合成して表示用データを生成する。次いで、変換回路は、生成された表示用データに対してD/A変換とTVフォーマット変換を行なって映像信号を生成し液晶あるいはCRTのモニタに表示する。
【0057】
次に、機構部10は、図示しない機構制御回路と天板移動機構と保持部移動機構を備えている。天板移動機構は、X線発生部1及びX線検出部3を被検体150の体軸方向に相対移動させるために天板9を前記体軸方向に移動させる機能を有し、保持部移動機構は、X線発生部1とX線検出部3を保持する保持部8を被検体150の周囲で回動/移動させる機能を有している。そして、機構制御回路は、入力部11あるいはシステム制御部12から供給される指示信号に従って上述の天板移動機構と保持部移動機構を制御し、X線発生部1及びX線検出部3を被検体150に対して所望の位置に設定する。
【0058】
入力部11は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウスなどの入力デバイスや表示パネル、あるいは各種スイッチ等を備えており、被検体情報の入力、撮影対象臓器あるいは撮影対象部位の選択、撮影方法の選択、撮影開始コマンドの入力、更には、撮影方法あるいは撮影対象臓器に対する最適なX線照射条件の設定及び更新、機構部10の回動/移動に関する設定などを行なう。尚、上記X線照射条件としてX線管101に印加する管電圧、管電流、X線照射期間などがあり、被検体情報として年齢、性別、体格、検査部位、検査方法、過去の診断履歴等がある。
【0059】
次に、システム制御部12は、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部11から供給される上述の設定条件や選択情報等を前記記憶回路に一旦保存した後、これらの情報に基づいて画像データの生成、オフセット補正、画像データの表示、X線発生部1及びX線検出部3の回動/移動等に対する制御を行なう。又、前記記憶回路には、X線撮影における各種撮影方法とこれら撮影方法における撮影条件やX線照射条件等の標準設定値が予め保管されている。
【0060】
(画像データに対するオフセット補正の手順)
次に、図1乃至図10を用い、本実施例の画像データに対するオフセット補正の手順について説明する。尚、図8及び図9は、本実施例における画像データの生成とこの画像データに対するオフセット補正の手順を示すフローチャートとタイムチャートである。但し、以下の説明では、上述と同様にして撮影期間において3枚の画像データが、又、非撮影期間において3枚あるいは4枚の暗時画像データが生成され、これらの暗時画像データの中から最新の2枚の暗時画像データを加算平均処理して生成したオフセット補正データを用い、撮影期間の画像データに対するオフセット補正を行なう場合について述べるが、撮影期間における画像データの枚数や、非撮影期間における暗時画像データの枚数、更には、加算平均処理に用いる暗時画像データの枚数は上述の値に限定されない。
【0061】
X線撮影に先立って、操作者は、X線診断装置100の入力部11において、被検体情報及び撮影対象部位の入力、撮影方法の選択等を行なう。このとき、選択された撮影方法に関する情報を受信したシステム制御部12は、自己の記憶回路に予め保管されている前記撮影方法に対する撮影条件やX線照射条件の標準設定値を読み出し、入力部11の表示パネルに表示する。そして、表示された上述の標準設定値に対し、操作者は必要に応じて更新を行なった後最終設定を行なう(図8のステップS1)。
【0062】
更に、操作者は、入力部11の入力デバイスを用いて、X線発生部1及びX線検出部3と天板9の回動/移動を行ない、被検体150に対して所望の位置に設定する。
【0063】
一方、システム制御部12は、入力部11にて設定された撮影方法に基づいて制御信号をX線検出部3のゲートドライバ32に供給し、ゲートドライバ32は、この制御信号に基づいて平面検出器31に駆動パルスを供給して内部に蓄積された電荷の読み出しを開始する。このとき、X線検出部3及びオフセット補正部4に対しても制御信号が供給されて暗時画像データ生成のための動作が時刻t0において開始される。
【0064】
即ち、図5に示したX線検出部3は、非撮影期間T0において、X線発生部1によるX線照射を行なわない状態で暗時画像データA01とA02を順次生成し(図8のステップS2乃至S3)、図5に示したオフセット補正部4の切り換えスイッチ41を介してオフセット補正データ生成部42に供給する。一方、オフセット補正データ生成部42は、供給された暗時画像データA01とA02の加算平均処理からオフセット補正データD02を生成し、オフセット補正データ記憶部43に保存する(図8のステップS4)。
【0065】
次いで、X線検出部3によって生成された暗時画像データA03と前記暗時画像データA02の加算平均処理からオフセット補正データD03を生成し、オフセット補正データ記憶部43に保存されているオフセット補正データD02を更新する。同様にして、X線検出部3によって生成された暗時画像データA04と前記暗時画像データA03の加算平均処理からオフセット補正データD04を生成してオフセット補正データ記憶部43に供給し、オフセット補正データD03を更新する(図8のステップS3乃至S4)。
【0066】
このような手順を繰り返すことによって、オフセット補正データ記憶部43には、非撮影期間T0における最新の連続した2枚の暗時画像データによって生成されたオフセット補正データD04が保存される。
【0067】
次いで、オフセット補正データD04の保存が終了した直後の時刻t1において、操作者による撮影開始コマンドの入力が入力部11にて行なわれ、この撮影開始コマンドがシステム制御部12に供給されることによって当該被検体150に対するX線撮影が開始される(図8のステップS5)。
【0068】
X線撮影の開始に際して、高電圧発生部2のX線制御回路22は、撮影期間T1の時刻t1においてシステム制御部12より撮影開始コマンドを受け、既に設定されているX線照射条件に基づいて高電圧発生器21を制御して高電圧をX線発生部1のX線管101に印加する。次いで、高電圧が印可されたX線管101は、X線絞り器102を介し被検体150に対してX線を照射する。そして、被検体150を透過したX線は、被検体150の後方に設けられたX線検出部3の平面検出器31によって検出される。
【0069】
次に、X線の照射によって平面検出器31に蓄積された電荷は、ゲートドライバ32の駆動パルスによって順次読み出され、画像データ生成部33において図9に示した画像データB11が生成される(図8のステップS6)。
【0070】
このとき、オフセット補正部4のオフセット補正制御部45は、システム制御部12を介して入力部11より供給された撮影開始コマンド信号に基づいて切り換えスイッチ41を制御し、X線検出部3から供給される画像データB11を画像演算部44に供給する。
【0071】
一方、画像演算部44は、オフセット補正データ記憶部43に保存されている最新のオフセット補正データD04を読み出し、更に、切り換えスイッチ41を介してX線検出部3から供給された上記画像データB11からオフセット補正データD04を減算することによってオフセット補正後の画像データE11を生成(図8のステップS7)。
【0072】
図10にオフセット補正前後の画像データを模式的に示す。図10(a)は、X線検出部3において生成されたオフセット補正前の画像データB11、図10(b)は、オフセット補正データ生成部42において暗時画像データから生成されたオフセット補正データD04、又、図10(c)は、画像演算部44によるオフセット補正後の画像データE11であり、何れの場合も各画素(横軸)に対する画素値(縦軸)を示している。そして、信号成分にオフセット成分が重畳された補正前の画像データB11(図10(a))からオフセット補正データD04(図10(b))を減算することによって信号成分のみから構成されるオフセット補正後の画像データE11(図10(c))が生成される。
【0073】
このオフセット補正後の画像データE11は、ゲイン補正部5においてゲイン調整が行なわれた後、画像データ記憶部6を介して表示部7に供給され、表示部7のモニタに表示される(図8のステップS8)。
【0074】
同様にして、撮影期間T1において画像データB12及びB13が順次生成され、画像演算部44は、X線検出部3の画像データ生成部33から供給される画像データB12及びB13から前記オフセット補正データD4を減算することによってオフセット補正後の画像データE12及びE13を生成する。そして、得られたこれらの画像データは、ゲイン補正部5及び画像データ記憶部6を介して表示部7に表示される(図8のステップS6乃至S8)。
【0075】
次に、時刻t2においてシステム制御部12あるいは入力部11より撮影終了の指示信号が出力されたならば、高電圧発生部2のX線制御回路22は高電圧発生器21を制御してX線の照射を停止する(図8のステップS9)。そして、オフセット補正部4のオフセット補正制御部45は、前記指示信号に基づいて切り換えスイッチ41を制御し、X線検出部3におけるA/D変換器333の出力端子をオフセット補正データ生成部42に接続する。尚、上述の撮影終了の指示信号は、操作者が入力部11にて入力してもよいが、予め設定されたX線撮影計画に基づいてシステム制御部12が出力してもよい。
【0076】
以下は、非撮影期間T0と同様の手順によって、X線検出部3は暗時画像データA21乃至A24を生成し、オフセット補正データ生成部42は上述の画像データに基づいてオフセット補正データD22乃至D24を生成する。そして、オフセット補正データ記憶部43には、最新のオフセット補正データD24が保存される(図8のステップS2乃至S4)。
【0077】
次いで、時刻t3において再びX線撮影開始のコマンド信号が入力部11より入力されたならば(図8のステップS5)、同様の装置動作により撮影期間T3において画像データB31乃至B33が順次生成され、画像演算部44は、これらの画像データから前記オフセット補正データD24を減算して補正後画像データE31乃至E33を生成する。そして、補正されたこれらの画像データはゲイン補正部5、画像データ記憶部6を介して表示部7に表示される(図8のステップS6乃至S8)。以下、同様の手順によって非撮影期間の暗時画像データによるオフセット補正データの生成と撮影期間における画像データのオフセット補正を繰り返し、オフセット補正された画像データは表示部7において表示される(図8のステップS2乃至S9)。
【0078】
尚、上述のX線撮影の開始コマンドは、通常、操作者によって任意のタイミングで入力部11より入力されるため、非撮影期間の長さは定まらない。例えば、図9の非撮影期間T4において3枚の暗時画像データA41乃至A43の生成が行なわれた時刻t5において撮影開始コマンドが入力された場合には、オフセット補正データ記憶部43には、時刻t5に最も近い暗時画像データA42及びA43の加算平均処理によって生成されたオフセット補正データD43が保存されており、画像演算部44は、撮影期間T5において得られる画像データB51乃至B53から前記オフセット補正データD43を減算することによって補正後の画像データE51乃至E53を得ることができる。
【0079】
以上述べた本発明の第1の実施例によれば、非撮影期間において得られた暗時画像データを用いてオフセット補正データを予め生成し、前記非撮影期間に後続する撮影期間において得られた画像データから前記オフセット補正データを減算することによって画像データにおけるオフセット成分が排除されるため、アーチファクトが低減された良質な画像データを得ることが可能となる。
【0080】
又、前記オフセット補正データは、非撮影期間において連続的に得られる暗時画像データによって逐次更新され、最新のオフセット補正データを用いたオフセット補正が常時行なわれるため、オフセット成分あるいは暗時画像データが時間的に変動する場合においても最適な補正が可能である。
【0081】
更に、操作者によって撮影開始コマンドが任意の時刻に入力された場合であっても、非撮影期間において更新された最新のオフセット補正データによるオフセット補正が常に可能であるため、操作者のX線撮影要求を制限することなく最適なオフセット補正ができる。
【0082】
しかも、前記オフセット補正データの各々は、複数枚の暗時画像データの加算平均処理によって生成されているため装置ノイズ等の影響を受け難く、従って、十分なS/Nを有しない画像データに対しても有効なオフセット補正を行なうことができる。
【実施例2】
【0083】
次に、本発明における第2の実施例について述べる。この第2の実施例では、平面検出器における残像成分が十分低減された暗時画像データを用いてオフセット補正データの生成を行なう方法について説明する。
【0084】
従来、X線が照射された際に、そのX線の線量履歴による光電膜の残像特性や蓄積された電荷に対するTFTの読み残しにより、撮影期間の最後に生成された画像データに後続する数十枚の暗時画像データには前記画像データの残像成分が含まれている。
【0085】
このような残像成分を含んだ暗時画像データを用いてオフセット補正データの生成を行なった場合、残像成分の時間的変化(減少)は上述のオフセット成分の変化と比較して著しいため、精度のよいオフセット補正が不可能となる。
【0086】
本実施例は、残像成分が排除されたオフセット補正データの生成を目的としており、その特徴は、間欠的に行なわれるX線撮影の非撮影期間において得られる暗時画像データに基づいてオフセット補正データの生成と更新を行なう際に、撮影期間において生成された画像データの残像量を後続する非撮影期間の暗時画像データから計測し、この残像量が予め設定した許容残像量以下になった時点で前記暗時画像データによるオフセット補正データの更新を開始することにある。
【0087】
(装置の構成)
本発明の第2の実施例におけるX線診断装置の構成につき図11乃至図13を用いて説明する。但し、本実施例におけるX線診断装置は、図1に示したX線診断装置100のオフセット補正部4を除いて同様であるため、以下では、本実施例におけるオフセット補正部の構成と動作についてのみ説明する。
【0088】
即ち、本実施例におけるX線診断装置200のオフセット補正部14は、図11のブロック図に示すように、非撮影期間において得られた複数枚の暗時画像データを加算平均処理してオフセット補正データを生成するオフセット補正データ生成部142と、このオフセット補正データ生成部142において順次生成されるオフセット補正データの中の最新のオフセット補正データを保存するオフセット補正データ記憶部143と、撮影期間において得られた画像データとオフセット補正データ記憶部143に保存されている最新のオフセット補正データとの減算処理によってオフセット補正を行ない、更に、撮影期間直後の非撮影期間にて生成される暗時画像データから既にオフセット補正データ記憶部143に保存されているオフセット補正データを減算して補正後の暗時画像データ(以下では、残像データと呼ぶ。)を生成する画像演算部144と、X線検出部3において撮影期間に生成される画像データと非撮影期間に生成される暗時画像データの供給先を選択するための切り換えスイッチ141を備えている。
【0089】
更に、オフセット補正部14は、画像演算部144によって生成された残像データに対して残像量を計測する残像量計測部146と、残像量計測の経過時間を計測する経過時間計測部147と、残像量計測部146から供給される指示信号あるいは経過時間計測部147から供給される指示信号に基づいてオフセット補正データの生成開始タイミングを制御すると共に切り換えスイッチ141の切り換え動作を制御するオフセット補正制御部145を備えている。
【0090】
上記残像量計測部146は、図示しない演算回路と記憶回路を備え、画像演算部144が行なう所定撮影期間の直後に生成される暗示画像データと前記所定撮影期間以前に生成あるいは更新されたオフセット補正データとの減算処理によって得られた残像データに対して残像量の計測を行なう。
【0091】
図12は、X線照射によってX線検出器31に蓄積された電荷が読み出される場合の残像成分の減衰特性を示したものであり、蓄積された電荷は、X線照射が停止した直後の1回目の読み出しにおいてその大部分が読み出され、残った電荷(残像成分)は1秒乃至2秒の間に読み出される。
【0092】
又、残像量計測部146は、画像演算部144から供給される残像データにおいて上述の残像量の変化を計測する。例えば、残像量計測部146の演算回路は、図13に示すように、残像データを複数の領域に分割し、夫々の領域における残像量の平均値(以下では、平均残像量と呼ぶ。)を算出する。次いで、前記演算回路は、算出されたこれらの平均残像量と前記記憶回路に予め保管されている許容残像量を比較し、全ての領域における平均残像量が許容残像量より小さくなったならばオフセット補正データの生成あるいは更新を許可する指示信号をオフセット補正制御部145に供給する。尚、図13では、残像データを16分割する場合について示したが、これに限定されるものではなく、更に多くの領域に分割してもよい。
【0093】
ところで、残像データの残像量は、被検体150のX線吸収分布に依存して分布しており、X線吸収の最も少ない組織に対応した画素における局所的な残像量が前記許容残像量以下になる必要がある。このため、上述のように残像データを複数領域に分割し、その各々における平均残像量を算出する方法が有効となる。
【0094】
次に、経過時間計測部147は、図示しないタイマーと記憶回路を備え、前記記憶回路には、残像データにおける平均残像量が許容残像量以下に減衰するまでの最大待ち時間が予め保管されている。この最大待ち時間は、例えば、図12に示した平面検出器31における残像成分の減衰特性に基づいて経験的に設定される。
【0095】
そして、前記タイマーは、システム制御部12から供給される撮影/非撮影の期間情報に基づいて暗時画像データの生成における経過時間を継続的に計測し、この経過時間が前記最大待ち時間を越えた時点でオフセット補正データの生成あるいは更新を許可する指示信号をオフセット補正制御部145に供給する。
【0096】
一方、オフセット補正制御部145は、残像量計測部146あるいは経過時間計測部147から供給される前記指示信号に基づいて、オフセット補正データの生成あるいは更新を行なうための制御信号をオフセット補正データ生成部142に供給する。
【0097】
(画像データに対するオフセット補正の手順)
次に、図11乃至図15を用いて本実施例における画像データのオフセット補正手順について説明する。尚、図14及び図15は、オフセット補正手順を示すフローチャートとタイムチャートであり、説明をわかり易くするために、撮影期間において3枚の画像データを、又、非撮影期間において8枚の暗時画像データを生成し、この8枚の暗時画像データの中から最新の2枚の暗時画像データを加算平均処理して生成したオフセット補正データを用いてオフセット補正を行なう場合について述べる。但し、撮影期間における画像データの枚数や、非撮影期間における暗時画像データの枚数、更には、加算平均処理に用いる暗時画像データの枚数等は上述の値に限定されない。
【0098】
尚、図15において、図15(a)は、X線検出部3から出力される画像データ/暗時画像データの出力期間、図15(b)は、平面検出器31における残像量、図15(c)は、オフセット補正データ生成期間、そして、図15(d)は、オフセット補正後の画像データ及び残像データの生成期間を示している。
【0099】
X線撮影に先立って、操作者は、X線診断装置100の入力部11において、被検体情報の入力、撮影方法の選択、撮影条件の設定等を行ない(図15のステップS11)、次いで。入力部11の入力デバイスを用いてX線発生部1及びX線検出部3や天板9を回動/移動して所望の位置に設定する。
【0100】
一方、システム制御部12は、入力部11にて設定された撮影方法に基づいて所定周期のレートパルスをX線検出部3のゲートドライバ32に供給し、ゲートドライバ32は、このレートパルスに同期して平面検出器31に駆動パルスを供給し内部に蓄積された電荷の読み出しを開始する。このとき、X線検出部3及びオフセット補正部14に対しても制御信号が供給されて暗時画像データを生成するための動作が時刻t0において開始される。
【0101】
即ち、図11のX線検出部3は、非撮影期間T0において、X線発生部1によるX線照射を行なわない状態で暗時画像データA01とA02を順次生成し、オフセット補正部14の切り換えスイッチ141を介してオフセット補正データ生成部142に供給する(図14のステップS12)。一方、オフセット補正データ生成部142は、供給された暗時画像データA01とA02の加算平均処理からオフセット補正データD02を生成し、オフセット補正データ記憶部143に保存する(図14のステップS13)。
【0102】
次いで、X線検出部3によって生成された暗時画像データA03と前記暗時画像データA02の加算平均処理からオフセット補正データD03を生成し、オフセット補正データ記憶部143に保存されているオフセット補正データD02を更新する。同様にして、X線検出部3によって生成された暗時画像データA04と前記暗時画像データA03の加算平均処理からオフセット補正データD04を生成し、オフセット補正データ記憶部143に保存されているオフセット補正データD03を更新する(図14のステップS12乃至S13)。このような手順を繰り返すことによって、オフセット補正データ記憶部142には最新のオフセット補正データD04が保存される。
【0103】
次いで、オフセット補正データD04の保存が終了した直後の時刻t1において、撮影開始コマンドが入力部11にて入力され、この撮影開始コマンドがシステム制御部12に供給されることによって当該被検体150に対するX線撮影が開始される(図14のステップS14)。
【0104】
X線撮影の開始に際して、高電圧発生部2のX線制御回路22は、撮影期間T1の時刻t1においてシステム制御部12より撮影開始コマンドを受け、既に設定されているX線照射条件に基づいて高電圧発生器21を制御して高電圧をX線発生部1のX線管101に印加する。次いで、高電圧が印可されたX線管101は、X線絞り器102を介し被検体150に対してX線を照射する。そして、被検体150を透過したX線は、その後方に設けられたX線検出部3の平面検出器31によって検出される。
【0105】
次いで、X線の照射によって平面検出器31に蓄積された電荷は、ゲートドライバ32の駆動パルスによって順次読み出され、画像データ生成部33において図9に示した画像データB11が生成される(図14のステップS15)。
【0106】
このとき、オフセット補正部14のオフセット補正制御部145は、システム制御部12を介して入力部11より供給された撮影開始コマンド信号に基づいて切り換えスイッチ141を制御し、X線検出部3から供給される画像データB11を画像演算部144に供給する。
【0107】
一方、画像演算部144は、オフセット補正データ記憶部143に保存されているオフセット補正データD04を読み出し、更に、切り換えスイッチ141を介してX線検出部3から供給された画像データB11からオフセット補正データD04を減算してオフセット補正を行ない、オフセット補正後の画像データE11を生成する(図14のステップS16)。
【0108】
このオフセット補正後の画像データE11は、ゲイン補正部5においてゲイン調整された後、画像データ記憶部6を介して表示部7に供給され、表示部7のモニタに表示される(図14のステップS17)。
【0109】
同様にして、撮影期間T1における画像データB12及びB13が順次生成され、画像演算部144は、X線検出部3から供給される画像データB12及びB13から前記オフセット補正データD04を減算することによってオフセット補正後の画像データE12及びE13を生成する。そして、得られたこれらの画像データは、ゲイン補正部5及び画像データ記憶部6を介して表示部7に表示される(図14のステップS15乃至S17)。
【0110】
次に、時刻t2においてシステム制御部12あるいは入力部11よりX線撮影終了の指示信号が出力されたならば、高電圧発生部2のX線制御回路22は高電圧発生器21を制御してX線の照射を停止し(図14のステップS18)、経過時間計測部147は、時刻t2から開始される後述の残像量計測における経過時間を計測する(図14のステップS19)。
【0111】
一方、X線検出部3は、X線照射が行なわれない状態で平面検出器31に蓄積された電荷を読み出して暗時画像データを生成し、切り換えスイッチ141を介して画像演算部144に供給する(図14のステップS20)。そして、画像演算部144は、オフセット補正データ記憶回路143に保存されているオフセット補正データD04を読み出し、X線検出部3から供給された暗時画像データから前記オフセット補正データD04を減算することによって残像データE21を生成して残像量計測部146に供給する(図14のステップS21)。
【0112】
次に、残像量計測部146の演算回路は、画像演算部144から供給された残像データを所定の領域に分割し、各々の領域における平均残像量を計測する(図14のステップS22)。そして、残像データの少なくとも1つの領域における平均残像量が記憶回路に予め設定された許容残像量より大きく、しかも、経過時間計測部147において計測中の前記経過時間が予め設定された最大待ち時間を越えていない場合には、画像演算部144は、引き続きX線検出部3にて生成される暗時画像データA22に対して残像データE22を生成する。次いで、残像量計測部146は、画像演算部144から供給される残像データE22に対して残像量の計測を行なう(図14のステップS20乃至S22)。
【0113】
そして、残像データE22における平均残像量が許容残像量以下になった場合、あるいは経過時間計測部147において計測された経過時間が最大待ち時間を越えた場合には、残像量計測部146あるいは経過時間計測部147は、オフセット補正制御部145に対してオフセット補正データを更新するための指示信号を供給し、オフセット補正制御部145は、供給されたオフセット補正データの更新指示信号に基づいて、制御信号をオフセット補正データ生成部142に供給する(図14のステップS23及びS24)。
【0114】
以下は、非撮影期間T0と同様の手順によって、X線検出部3は暗時画像データA23乃至A28を生成し、オフセット補正データ生成部142は、上述の暗時画像データに基づいてオフセット補正データD23乃至D28を生成する。そして、オフセット補正データ記憶部143には、最新のオフセット補正データD28が保存される(図14のステップS12及びS13)。
【0115】
次に、時刻t3においてX線撮影開始のコマンド信号が入力部11より再度入力されたならば(図14のステップS14)、同様の装置動作により撮影期間T3において画像データB31乃至B33が順次生成され、画像演算部144は、これらの画像データから前記オフセット補正データD28を減算して補正後の画像データE31乃至E33を生成する。そして、補正されたこれらの画像データは、ゲイン補正部5、画像データ記憶部6を介して表示部7に表示される(図14のステップS15乃至S17)。以下、同様の手順によって非撮影期間の暗時画像データによるオフセット補正データの生成と撮影期間における画像データのオフセット補正を繰り返し、オフセット補正された画像データは表示部7において表示される(図14のステップS12乃至S24)。
【0116】
以上述べた本発明の第2の実施例によれば、既に述べた第1の実施例と同様の効果を得ることができ、更に、暗時画像データにおける残像量の時間的変化を計測し、この残像量が十分小さくなった期間で得られた暗時画像データを用いてオフセット補正データの生成を行なうため、残像の影響を排除した高精度のオフセット補正が可能となる。
【0117】
又、暗時画像データに対する残像量の計測と平行して、残像量計測の経過時間を同時に測定しているために、例えば、時間的変化の少ないオフセット成分が残像データに残存しているような場合においても、所望の経過時間後にオフセット補正データの更新を開始することができ、従って、一連のX線撮影を中断させること無く確実に実施することができる。このため、診断効率が大幅に向上する。
【0118】
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は上記の実施例に限定されるものでは無く、変形して実施することが可能である。例えば、上述の第1の実施例及び第2の実施例では単一の撮影方法の場合について述べてきたが、複数の撮影方法の場合であってもよい。特に、カテーテル治療と組み合わされて行なうX線撮影では、撮影モードと透視モードが頻繁に繰り返され、その都度X線照射条件や画像データの収集レート等が変更される。そして、照射条件や撮影条件等の変更に伴ってX線検出部3のオフセット成分や暗時画像データも変化する。
【0119】
このような場合には、複数の撮影モードに対するオフセット補正データの生成と更新を行なうことで上述の実施例と同様の効果を得ることができる。図16は、透視モードと撮影モードを含んだX線撮影のタイムチャートを示したものであり、撮影条件等が初期設定された後の非撮影期間T0において生成した透視モードの暗時画像データAa01及びAa02に基づいてオフセット補正データDa02を生成し、引き続いて生成した撮影モードの暗時画像データAb01及びAb02に基づいてオフセット補正データDb02を生成する。
【0120】
そして、透視モードの開始コマンドによって設定された撮影期間T1において生成した透視画像データBa11乃至Ba13に対し前記オフセット補正データDa02によるオフセット補正を行ない補正後の透視画像データEa11乃至Ea13を得る。次いで、撮影期間T1に後続する非撮影期間T2において生成した透視モードの暗時画像データAa21乃至Aa24によってオフセット補正データDa02をDa24に更新する。
【0121】
次に、撮影モードの開始コマンドによって設定された撮影期間T3において生成した撮影画像データBb11乃至Bb13に対しオフセット補正データDb02によるオフセット補正を行ない補正後の透視画像データEb11乃至Eb13を生成する。次いで、非撮影期間T4において生成した撮影モードの暗時画像データAb21乃至Ab24によってオフセット補正データDb02をDb24に更新する。
【0122】
以下、同様にして、入力された撮影モードあるいは透視モードの開始コマンドに応じて、夫々の画像データを生成し、これらの画像データに対し最新のオフセット補正データによるオフセット補正を行なう。但し、図16では、透視モードと撮影モードを例に、2種類の撮影方法が組み合わされたX線撮影におけるオフセット補正について述べたが、他の撮影方法であってもよく、又、3種類以上の撮影方法を組み合わせたX線撮影であってもよく、例えば、透視モードと撮影モードの各々において複数の撮影が行なわれる場合にも上述のオフセット補正方法は有効である。但し、これら全ての撮影に対し順番にオフセット補正を行なった場合には補正頻度が低下し十分な効果が得られない場合があり、このような場合には、透視モードと撮影モードの各々における特定の撮影においてのみオフセット補正を行なうことによって補正頻度を維持することが望ましい。又、第2の実施例において述べたように残像の影響を排除したオフセット補正法においても上述の手順は適用可能である。
【0123】
尚、上述の第1の実施例及び第2の実施例とその変形例においては、複数の暗時画像データを加算平均処理してオフセット補正データを生成する場合について述べたが、他の処理方法あるいは演算方法を用いてもよい。又、残像データの所定領域における残像量の計測は、各画素値の平均値による平均残像量に限定されるものではなく、例えば、各画素値の累積値等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の第1の実施例におけるX線診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例のX線診断装置に用いられる平面検出器の構成図。
【図3】同実施例におけるX線検出部の構成を示すブロック図。
【図4】同実施例の平面検出器における電荷読み出しのタイムチャート。
【図5】同実施例におけるオフセット補正部の構成を示すブロック図。
【図6】同実施例における画像データと暗時画像データの生成を示すタイムチャート。
【図7】同実施例におけるオフセット補正の順序を示すタイムチャート。
【図8】同実施例におけるオフセット補正の手順を示すフローチャート。
【図9】同実施例におけるオフセット補正を示すタイムチャート。
【図10】同実施例におけるオフセット補正前後の画像データを模式的に説明するための図。
【図11】本発明の第2の実施例におけるオフセット補正部の構成を示すブロック図。
【図12】本実施例のX線検出器における残像成分の減衰特性を示す図。
【図13】同実施例における残像データの分割方法を示す図。
【図14】同実施例におけるオフセット補正の手順を示すフローチャート。
【図15】同実施例におけるオフセット補正を示すタイムチャート。
【図16】本発明の第1の実施例及び第2の実施例の変形例におけるオフセット補正を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0125】
1…X線発生部
2…高電圧発生部
3…X線検出部
4、14…オフセット補正部
5…ゲイン補正部
6…画像データ記憶部
7…表示部
8…保持部
9…天板
10…機構部
11…入力部
12…システム制御部
21…高電圧発生器
22…X線制御回路
31…平面検出器
32…ゲートドライバ
33…画像データ生成部
41、141…切り換えスイッチ
42、142…オフセット補正データ生成部
43、143…オフセット補正データ記憶部
44、144…画像演算部
45、145…オフセット補正制御部
51…検出素子
52…光電膜
53…電荷蓄積コンデンサ
54…TFT(薄膜トランジスタ)
100、200…X線診断装置
101…X線管
102…X線絞り器
146…残像量計測部
147…経過時間計測部
331…電荷・電圧変換器
332…マルチプレクサ
333…A/D変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対しX線照射を行って画像データを生成する撮影期間とX線照射を停止する非撮影期間を組み合わせてX線撮影を行なうX線診断装置において、
前記撮影期間における前記被検体の透過X線量に基づいて蓄積された第1の電荷と前記非撮影期間において蓄積された第2の電荷を検出する複数の検出素子を有した平面検出器と、
前記第1の電荷に基づいた画像データと前記第2の電荷に基づいた暗時画像データを生成する画像データ生成手段と、
前記暗時画像データに基づいてオフセット補正データを生成するオフセット補正データ生成手段と、
このオフセット補正データ生成部が生成した複数の前記オフセット補正データのうち最新のオフセット補正データを用いて前記画像データをオフセット補正するための画像間演算を行なう画像演算手段を
備えたことを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記オフセット補正データ生成手段は、前記非撮影期間において順次生成される暗時画像データを用いてオフセット補正データを順次生成し、既に生成されたオフセット補正データを新たに生成されたオフセット補正データに更新することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】
X線撮影の撮影開始コマンドを入力する入力手段を備え、前記オフセットデータ生成手段は、前記入力手段から前記撮影開始コマンドが入力された場合、前記オフセット補正データの生成を中断することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記オフセット補正データ生成手段は、複数枚の暗時画像データを用いて1枚のオフセット補正データを生成することを特徴とする請求項2記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記オフセット補正データ生成手段は、複数枚の暗時画像データを加算平均処理することによって前記オフセット補正データを生成することを特徴とする請求項4記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記暗時画像データに含まれる残像量を計測する残像量計測手段とオフセット補正データの生成開始タイミングを制御するオフセット補正制御手段を備え、前記オフセット補正制御手段は、前記残像量計測手段が計測する所定非撮影期間における暗時画像データの残像量が予め設定された許容残像量以下に減少した場合に、前記オフセット補正データ生成手段に対してオフセット補正データの更新を開始するための制御を行なうことを特徴とする請求項2記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記残像量計測手段は、所定撮影期間に後続した非撮影期間において生成された暗時画像データと前記撮影期間に先行した非撮影期間において生成あるいは更新された最新のオフセット補正データに基づいて生成された残像データにおいて前記残像量の計測を行なうことを特徴とする請求項6記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記残像量の計測における経過時間を計測する経過時間計測手段を更に備え、前記オフセット補正制御手段は、前記経過時間計測手段による残像量計測の経過時間が予め設定された最大待ち時間を超えた場合に、前記オフセット補正データ生成手段に対してオフセット補正データの更新を開始するための制御を行なうことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載したX線診断装置。
【請求項9】
前記残像量計測手段は、複数領域に分割された前記残像データの各々の領域における残像量と前記許容残像量との比較を行なうことを特徴とする請求項7記載のX線診断装置。
【請求項10】
撮影条件の異なる複数の撮影方式を記憶する記憶手段と前記撮影方式を選択する選択手段を備え、前記オフセット補正データ生成手段は、前記選択手段によって選択された撮影方式に基づいてオフセット補正データの更新を行なうことを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−75359(P2006−75359A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262880(P2004−262880)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】