説明

XMRVの検出方法

本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析(例えば、Tth DNAポリメラーゼおよびホットスタートポリメラーゼを用いたリアルタイムPCR (RT/PCR);ネステッドRT/PCR)による異種栄養性マウス白血病ウイルス(XMRV)核酸の同定ならびにその使用に関する。特に、本発明は、試料(例えば、尿試料;前立腺圧出液(EPS))から単離されたRNA中のXMRVの検出、特に早期検出のための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年12月23日に出願された米国特許仮出願第61/203,556号の恩典を主張する。上述の出願の全教示は参照により本明細書に援用される。
【0002】
米国政府資金提供
本発明は、全体または一部において、米国国防総省前立腺癌研究プログラム(Prostate Cancer research program(PCRP))からの助成金W81XWH-07-1-0338により補助された。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
前立腺癌は、非皮膚悪性腫瘍の主な原因であり、米国人男性の癌関連死の原因の第2位である。前立腺癌の検出、特に早期検出のための改善された方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
発明の概要
本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析(例えば、リアルタイムPCR(RT/PCR);Tth DNAポリメラーゼおよびHotスタートポリメラーゼを使用するネステッドRT/PCR)による、異種栄養性マウス白血病ウイルス(MLV)関連ウイルス(XMRV)核酸の同定ならびにその使用に関する。特に、本発明は、前立腺癌患者および正常個体の試料(例えば、尿試料;前立腺圧出液(EPS)、血液、精液、精嚢液など)中のXMRV核酸(例えば、RNA、DNA)の検出、特に、早期検出のための方法を提供する。
【0005】
一局面において、本発明は、個体において異種栄養性MLV関連ウイルス(XMRV)の存在を検出する方法に関する。該方法は、個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程を含み、該プライマーの組は、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E1エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E2エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E3エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、またはその組合せを含む。試料は、XMRVが試料中に存在する場合、プライマーが増幅され、XMRVの増幅配列が生成される条件下に維持される。XMRVの増幅配列が試料中に存在するかどうかが検出され、このとき、試料中にXMRVの増幅配列が検出されたならば、個体にXMRVが存在する。
【0006】
別の局面において、本発明は、個体において前立腺癌(例えば、初期段階の)を検出する方法に関する。該方法は、個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程を含み、該プライマーの組は、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E1エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E2エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E3エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、またはその組合せを含む。試料は、XMRVが試料中に存在する場合、プライマーが増幅され、XMRVの増幅配列が生成される条件下に維持され、試料中にXMRVの増幅配列が存在するかどうかが検出される。試料中のXMRVの増幅配列の検出は、個体が初期段階の前立腺癌を有することを示す。
【0007】
また、本発明は、前立腺癌が発生するリスクのある個体を検出する方法を提供する。該方法は、個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程を含み、該プライマーの組は、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E1エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E2エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E3エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、またはその組合せを含む。試料は、XMRVが試料中に存在する場合、プライマーが増幅され、XMRVの増幅配列が生成される条件下に維持され、試料中にXMRVの増幅配列が存在するかどうかが検出される。試料中のXMRVの増幅配列の検出は、個体に前立腺癌が発生するリスクがあることを示す。
【0008】
また、本発明は、個体において前立腺癌の再発を検出する方法を提供する。該方法は、個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程を含み、該プライマーの組は、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E1エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E2エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E3エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、またはその組合せを含む。試料は、XMRVが試料中に存在する場合、プライマーが増幅され、XMRVの増幅配列が生成される条件下に維持され、試料中にXMRVの増幅配列が存在するかどうかが検出される。試料中のXMRVの増幅配列の検出は、個体における前立腺癌の再発を示す。
【0009】
また、本発明は、前立腺癌を有する個体の治療をモニタリングする方法を提供する。該方法は、個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程を含み、該プライマーの組は、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E1エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E2エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E3エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー;またはその組合せを含む。試料は、XMRVが試料中に存在する場合、プライマーが増幅され、XMRVの増幅配列が生成される条件下に維持され、試料中にXMRVの増幅配列が存在するかどうかが検出される。試料中のXMRVの増幅配列の検出は、治療がおそらく有効でないか、またはおそらくまだ有効でないことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、XMRVのgag(G1、G2、G3)、pol(P1)およびenv(E1、E2、E3)領域の模式図である。
【図2A】図2Aは、異なる希釈度に希釈し、Ag-Pathキットを用いてqRT/PCRによって解析したE3(図2A)を用いたエンベロープRNAの標準曲線である。
【図2B】図2Bは、異なる希釈度に希釈し、Ag-Pathキットを用いてqRT/PCRによって解析したG3(図2B)を用いたエンベロープRNAの標準曲線である。
【図3A】図3Aは、envのE1部位およびenvのE2部位を用いた前立腺癌患者VP663の尿中のXMRV RNAコピー数の結果を示す。6回(x)行ない、インビトロ転写によって生成させた1.85kb XMRV env RNAで作成した標準曲線と比較したqRT-PCRアッセイの結果を示す。Y軸はCt値を示し、x軸はコピー数の対数を示す。
【図3B】図3Bは、envのE1部位およびenvのE2部位を用いた前立腺癌患者VP663の尿中のXMRV RNAコピー数の結果を示す。6回(x)行ない、インビトロ転写によって生成させた1.85kb XMRV env RNAで作成した標準曲線と比較したqRT-PCRアッセイの結果を示す。Y軸はCt値を示し、x軸はコピー数の対数を示す。
【図4】図4は、envのE1部位を用いた、前立腺癌患者VP 657およびVP 635のEPSにおけるXMRV RNAの検出の結果を示す。qRT-PCRアッセイの結果は2回行なったものであり、インビトロ転写によって生成させた1.85kb XMRV env RNAで作成した標準曲線との比較において示す。Y軸はCt値を示し、x軸はコピー数の対数を示す。
【図5】図5は、E1プライマー-プローブの組合せを用いた、前立腺炎患者におけるXMRV RNA のqRT/PCR同定の増幅プロットを示す。試料を2重にアッセイし、これは、非常に低いコピー数に相当する非常に高いCt値を示す。
【図6−A】図6Aは、G2プライマー-プローブの組合せを用いた、前立腺癌患者のEPS(pj 339)中のXMRV RNA のqRT/PCR解析の増幅プロットを示す。
【図6−B】同様に、図6Bに示したアッセイは、E1プライマープローブの組合せを用いた、前立腺癌患者EPS(pj 301、302および304)の増幅プロットを示す。
【図7】図7の上側パネルは、ネステッドRT/PCR解析に使用した領域を示す模式図を示す。図7の下側パネルは、XMRV感染前立腺癌細胞株から単離されたXMRV RNA、および前立腺癌患者EPS(pj 339)由来のRNAの検出により、218および112ヌクレオチド長のバンドが得られたことを示すアガロースゲルである。
【図8】図8は、6名の前立腺癌患者の尿試料から単離されたRNA試料のネステッドRT-PCR産物の、RTおよび1回目のPCRにTthポリメラーゼを用いて、続いて2回目のPCR増幅にTaq DNAポリメラーゼを用いた2%アガロースゲルを示す。
【図9】図9は、前立腺切除の際に17名の前立腺癌患者の前立腺圧出液(EPS)から単離されたRNA試料のネステッドRT-PCR産物の、RTおよび1回目のPCRにTthポリメラーゼを用い、続いて2回目のPCR増幅にTaq DNAポリメラーゼを用いた2%アガロースゲルを示す。
【図10】図10は、図7で示した112(配列番号:34、35および36)ならびに218(配列番号:37、38および39)ヌクレオチド長のバンドの配列を示す。
【図11】図11は、3名の前立腺癌患者の尿試料から単離されたRNAのシングルプレックス(singleplex)ネステッドRT-PCRのゲルであり、反応時間は3重に行なったものである。オリゴ6200Rおよび5922Fを1回目に使用した後、6159Rおよび5942Fを2回目の増幅に使用した。
【図12】図12は、前立腺切除後、RNASEL QQ遺伝子型を有する男性の腫瘍を有する前立腺組織から単離されたDNAにおけるXMRV DNAコピー数の検出および測定を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
初期発生症例の43%および全症例の約9%を占める遺伝性前立腺癌(HPC)は、HPC遺伝子における生殖細胞系の変異によるものである(Carter,B.S.,et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89(8):3367(1992))。2002年に、初めてHPC遺伝子が報告された(Carpten,J.,et al.,Nat. Genet.,30(2):181(2002))。HPC1は、抗ウイルス先天免疫に不可欠なタンパク質であるRNase Lをコードする(Silverman,R.,Cytkine Growth Factor Rev.,18(5-6):381(2007)に概説)。抗ウイルス遺伝子が前立腺癌を抑制するという遺伝的証拠により、慢性ウイルス感染が男性に前立腺癌の素因を与えるのではないかという可能性が検討されるに至った。2006年、腫瘍を有する前立腺組織において、新たなヒトレトロウイルスである異種栄養性MLV関連ウイルス(XMRV)の発見が報告された(Urisman,A.,et al.,PLoS Pathog.,2(3):e25(2006))。注目すべきことに、XMRVは、RNase Lの低活性バリアントについてホモ接合性の男性の前立腺組織中に存在するが、野生型RNase Lを有する男性には稀である。2007年、XMRVの感染性ウイルス分子クローンの構築が報告された(Dong,B.,et al.,Proc. natl. Acad. Sci.,USA、104(5):1655(2007))。前立腺癌の進行または急速進行性のインジケータまたは予測因子としてのXMRV感染のモニタリング方法を本明細書において提供する。
【0012】
具体的には、本明細書において、個体(例えば、患者)から得られる試料(例えば、尿ならびに他の体液、例えば、前立腺分泌物および精液)中のXMRV核酸の検出のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ(例えば、リアルタイム定量的RT-PCR(qRT-PCR)アッセイ)の開発を記載する。特定の局面において、XMRV核酸(例えば、DNA;RNA)のための高度に感受性の特異的および定量的リアルタイム(RT)PCRアッセイおよびXMRV核酸の検出のためのネステッドRT-PCRアッセイを記載する。これらのアッセイは、癌を有するおよび癌を有しない個体由来の組織および液中のウイルス負荷量の測定に有用である。また、本明細書において、前立腺癌症例における罹病率およびXMRV負荷と疾患パラメータとの相関を記載する。XMRVは、腫瘍を有する前立腺の新たに見い出された感染であり、前立腺癌感受性遺伝子(RNASEL)における変異と相関している。前立腺癌症例におけるXMRV感染の発生は、疾患の病因、リスクの評価、および新規な治療オプションを提供する。
【0013】
一局面において、Trizol試薬(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて前立腺組織試料から、ならびにMagmaxTM Viral RNA Isolation Kit(Ambion Inc.,Austin TX)を用いて尿および前立腺分泌物から全RNAを抽出し、次いで、さらなる処理まで-80℃で保存した。XMRV遺伝子配列を検出するための試料の初期スクリーニングを、qRT-PCRを用いて行なった(Applied Biosystems 7500 Real Time PCRシステムにおいて行なった)。一態様において、これらの反応は、一工程RT-PCR反応(AgPath-IDTMキット、Applied Biosystems)を用いて行なう。XMRV RNAにおける7つの異なる領域に対するPCRアッセイを開発し(図1)、これは、Gagの1つの領域(G1)およびenvの2つの領域(E1 & E2)を含むXMRV RNA内の3つの領域を検出するために使用するTaqman系プライマー/プローブの組の設計を伴った。
【0014】
本明細書に示す前立腺分泌物および尿中のXMRVの存在は、かかるデータにより、非侵襲性で、迅速で、実施するのが容易で、試料採取するための血液または組織検体の取得の罹病率および困難さが回避される前立腺分泌物系および尿系XMRV検出アッセイが提供されるため重要である。前立腺特異的抗原(PSA)レベルおよびデジタル直腸検査による前立腺癌の現行のスクリーニングは、しばしば、50歳まで開始されず、有意な制限および不正確性を有する。これらの試験とは対照的に、本明細書に記載のXMRVのためのアッセイは、ずっと若い男性、特に、前立腺癌の家族歴を有する男性において行なわれ得る。XMRV感染を有する男性、特に、ウイルスが排除されない男性は、前立腺癌のリスクが高い可能性があり、これらの研究により、前立腺癌の発生または進行のリスクを評価するための新たな診断が提供される。
【0015】
したがって、一局面において、本発明は、個体における異種栄養性MLV関連ウイルス(XMRV)の存在の検出方法に関する。
【0016】
本明細書で使用される場合、「XMRV」は、前立腺腫瘍、特に、RNASELバリアントR462Qに対してホモ接合性の患者の前立腺腫瘍に見られる感染性のガンマレトロウイルスをいう(例えば、Urisman,A.,et al.,PLoS Pathog.,2(3):e25(2006);Dong,B.,et al.,Proc. Natl. Acad. Sci.,USA、104(5):1655(2007);およびWO 2006/110589;これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に援用される)。用語「XMRV」は、任意のウイルス株、例えば、XMRV VP35(GenBank受託番号DQ241301)、XMRV VP42(GenBank受託番号DQ241302)およびXMRV VP62(GenBank受託番号DQ399707)を包含する。
【0017】
本明細書で使用される場合、「個体」は、スクリーニングを必要とする任意の被検体をいう。特定の態様において、個体は、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラット、マウスまたは他のウシ科、ヒツジ科、ウマ科、イヌ科、ネコ科、齧歯類もしくはマウス種)などの哺乳動物である。一態様において、個体はヒトである。別の態様において、個体は、50歳より下、40歳より下、30歳より下または20歳より下のヒトである。別の態様において、個体は癌患者(例えば、前立腺癌患者;およびHPC患者)である。別の態様において、個体は前立腺癌が寛解状態である。別の態様において、個体は(1回以上の)XMRV感染を有するか、または有したことがある。別の態様において、個体のゲノムは、RNase L遺伝子の野生型、ヘテロ接合性またはホモ接合性変異を含む。また別の態様において、個体は、RNase Lの変異形態またはバリアント形態(例えば、R462Q;QQ RNASEL)を発現する。
【0018】
本明細書において、該方法が非侵襲性で、迅速で、実施するのが容易であることを示すために、本発明を尿および/または前立腺分泌物試料を用いて行なっているが、当業者には、個体から得られた任意の適当な生物学的試料が本発明の方法に使用され得ることが認識されよう。試料は、生体液、組織試料(例えば、前立腺、膀胱、精嚢、精巣、腎臓、骨髄、結腸、回腸、空腸、膵臓、副腎、肝臓、心臓、肺、脾臓、大脳皮質、脳幹、小脳、鼡径リンパ節、腋窩リンパ節および腸間膜リンパ節)、腫瘍試料(例えば、前立腺腫瘍、膀胱腫瘍、男性および女性の尿生殖路の他の腫瘍)ならびにその組合せであり得る。適当な試料は、例えば、細胞または組織生検によって得られ得る。また、試料は、他の組織、体液および産生物から、例えば、組織スメア、組織切屑などから得られ得る。したがって、試料は、生検検体(例えば、腫瘍、ポリープ、塊(充実性、細胞性))、吸引物、および/またはスメア試料)であり得る。試料は、腫瘍(例えば、癌性増殖)および/または腫瘍細胞を有する組織由来あるいは、腫瘍および/または腫瘍細胞を有することが疑われる組織由来のものであり得る。例えば、腫瘍生検は、全部(切除生検)または一部(切開生検)の塊が標的領域から除去される手順である直視下生検において得られ得る。あるいは、腫瘍試料は、針様器具を用いて小さい切開もしくは穿刺(画像形成デバイスの補助ありもしくはなし)を行ない、個々の細胞もしくは細胞群(例えば、細針吸引(FNA))または組織のコアまたは断片(コア生検)を得る手順である経皮生検によって得られ得る。
【0019】
特定の態様において、試料は生体液である。該方法に使用され得る生体液の例としては、尿、前立腺液、血液および精液が挙げられる。本明細書で使用される場合、「前立腺液」は、精液などの前立腺圧出液(EPS)を含む。
【0020】
本明細書に記載のように、試料を少なくとも一組のプライマーと接触させ、XMRVが試料中に存在する場合、プライマーが増幅され、本明細書において「アンプリコン」または「XMRVアンプリコン」とも称する増幅XMRV核酸配列が生成される条件下に維持する。増幅XMRV核酸配列は、例えば、XMRV DNAまたはXMRV RNAであり得る。
【0021】
「プライマーの組」は、少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマーを含み、ここで、該組内のフォワードプライマーとリバースプライマーは、XMRVヌクレオチド配列(例えば、XMRV G1、XMRV G2、XMRV G3、XMRV P1、XMRV E1、XMRV E2、XMRV E3)の全部もしくは一部に相補的である。典型的に、プライマーの組内のフォワードプライマーとリバースプライマーは、XMRVヌクレオチド配列の同じ領域または類似した領域(例えば、gag領域、env領域、pol領域)の全部もしくは一部に相補的である。本明細書で使用される場合、用語「プライマー」は、標的または鋳型核酸配列と称される増幅対象の標的ヌクレオチド配列に相補的なプライマー伸長産物の合成開始点として作用し得るオリゴヌクレオチドをいう。この場合、標的または鋳型核酸配列は、XMRV核酸配列の全部または一部(例えば、gag領域、env領域、pol領域)である。プライマーは、精製制限消化物の場合のように天然に存在するものであってもよく、合成によって作製されるものであってもよい。プライマーの適切な長さは、プライマーの意図される使用に依存するが、典型的に、約5〜約100;約5〜約75;約5〜約50;約5〜約10;約10〜約35;約18〜約22 ヌクレオチドの範囲である。プライマーは、標的配列の配列を正確に反映している必要はないが、プライマー伸長が起こるように標的配列とハイブリダイズするのに充分相補的でなければならない、すなわち、プライマーは、プライマー伸長が可能な条件下でプライマーが鋳型にアニーリングするように、標的ヌクレオチド配列に充分相補的である。逆転写は、M-MLV RT(SuperscriptTM 1、IIもしくはIII(Invitrogen)など)またはTth DNAポリメラーゼを使用し、RTバッファー中で、オリゴdT、ランダムヘキサマーまたはXMRV遺伝子特異的プライマーを用いて行なわれ得る。本明細書で使用される場合、語句「プライマー伸長を可能にする条件」は、所定のポリメラーゼ酵素がアニーリングされたプライマーの伸長を触媒する条件、例えば、とりわけ、塩濃度(金属塩および非金属塩)、pH、温度、および必要な補因子濃度をいう。広範なポリメラーゼ酵素のプライマー伸長活性のための条件は当該技術分野で公知である。一例として、Taq ポリメラーゼによる核酸プライマーの伸長を可能にする条件としては、以下のもの(任意の所定の酵素について、かかる条件の一組より多くが存在し得、多くの場合、存在する):反応は、50mM KCl、10mM Tris(pH8.3〜8.6)、1.5〜4mM MgCl2、200μMのdNTPを含有するバッファー中で行なわれる;反応は約68〜72℃で行なわれ得る、が挙げられる。
【0022】
当業者には、プライマーのサイズおよびハイブリダイゼーションの安定性は、C-G対においてより多くの水素結合が利用可能であるため、C-Gに対するA-T塩基対の比率に、ある程度依存することが明らかであろう。また、当業者は、増幅された配列の他の部分と伸長プライマー間の相同性の程度を考慮し、それに応じてストリンジェンシーの程度を選択するであろう。かかる常套実験手法の手引きは、文献、例えば、Molecular Cloning:a laboratory manual by Sambrook、J.,Fritsch E. F. and Maniatis,T.(1989)(これは、参照により本明細書に援用される)に見られ得る。
【0023】
プライマーペアに加えて、PCR中にXMRV DNAに結合するレポーター色素(例えば、フルオレセイン、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、6-FAM、5-FAM、TAMRA)を5’末端に、およびクエンチャー色素(例えば、BHQ-1、BHQ-2、TAMRA、MGB)を3’末端に有するプローブを含めてもよい(例えば、米国特許第7,374,833号、これは、参照により本明細書に援用される)。
【0024】
検出目的で、プライマーは、少なくとも1種類のタグまたは標識を含み得る。本明細書で使用される場合、「タグ」または「標識」は、直接または間接的のいずれかで特異的に検出され得る(例えば、パートナー部分によって)任意の部分をいうために互換的に使用され、したがって、タグを含むポリヌクレオチド配列を同定および/または単離するために使用され得る。本発明に適当なタグとしては、とりわけ、親和性タグ(例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン)、ハプテン、リガンド、ペプチド、核酸、フルオロフォア、発色団、および抗体によって認識されるエピトープタグ(例えば、ジゴキシゲニン(DIG)、血球凝集素(HA)、myc、Flag)が挙げられる(Andrus, A.“Chemical methods for 5’ non-isotopic labelling of PCR probes and primers”(1995) in PCR 2: A Practical Approach, Oxford UniversityPress, Oxford, pp. 39-54)。他の適当なタグとしては、限定されないが、発色団、フルオロフォア、ハプテン、放射性核種(例えば、32P、33P、35S)、蛍光クエンチャー、酵素、酵素基質、親和性タグ(例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンなど)、質量タグ、電気泳動タグおよび抗体によって認識されるエピトープタグが挙げられる。ある態様では、標識はピリミジン塩基の5位炭素上またはプリン塩基の3位デアザ炭素に存在する。
【0025】
プライマーは、XMRV配列の全部もしくは一部に相補的なヌクレオチド配列を有する。特定の態様において、プライマーは、XMRV gag配列、XMRV pol、XMRV env配列またはその組合せの全部もしくは一部に相補的なヌクレオチド配列を有する。
【0026】
一態様において、少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマーは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的である。本明細書で使用される場合、「XMRV G1 gagヌクレオチド配列」は、XMRVゲノム配列の約ヌクレオチド445〜約ヌクレオチド528である配列をいう。G1 gagヌクレオチド配列内の2つのプライマー間に結合するプローブの長さは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な約12〜約40ヌクレオチドの間で異なり得る。また、プローブサイズが約12ヌクレオチド程度の短い場合、副溝結合原理が適用され得る。特定の態様において、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なフォワードプライマーは、GGACTTTTTGGAGTGGCTTTGTT(配列番号:1)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なリバースプライマーは、GCGTAAAACCGAAAGCAAAAT(配列番号:2)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブは、ACAGAGACACTTCCCGCCCCCG(配列番号:3)を含むヌクレオチド配列を有する。
【0027】
別の態様において、少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマーは、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的である。本明細書で使用される場合、「XMRV G2 gagヌクレオチド配列」は、XMRVゲノム配列の約ヌクレオチド625〜約ヌクレオチド708である配列をいう。G2 gagヌクレオチド配列内の2つのプライマー間に結合するプローブの長さは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な約12〜約40ヌクレオチドの間で異なり得る。また、プローブサイズが約12ヌクレオチド程度の短い場合、副溝結合が適用され得る。特定の態様において、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なフォワードプライマーは、GTAACTACCCCTCTGAGTCTAACCT(配列番号:4)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なリバースプライマーは、CTTCTTGACATCCACAGACTGGTT(配列番号:5)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブは、TCCAGCGCATTGCATC(配列番号:6)を含むヌクレオチド配列を有する。
【0028】
別の態様において、少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマーは、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的である。本明細書で使用される場合、「XMRV G3 gagヌクレオチド配列」は、XMRVゲノム配列の約ヌクレオチド797〜約ヌクレオチド874である配列をいう。G3 gagヌクレオチド配列内の2つのプライマー間に結合するプローブの長さは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な約12〜約40ヌクレオチドの間で異なり得る。また、プローブサイズが約12ヌクレオチド程度の短い場合、副溝結合原理が適用され得る。特定の態様において、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なフォワードプライマーは、CTCAGGTCAAGTCTAGAGTGTTTTGT(配列番号:7)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なリバースプライマーは、CCTCCCAGGTGACGATATATGG(配列番号:8)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブは、CCCCACGGACACCC(配列番号:9)を含むヌクレオチド配列を有する。
【0029】
別の態様において、少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマーは、XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的である。本明細書で使用される場合、「XMRV P1 Polヌクレオチド配列」は、XMRVゲノム配列の約ヌクレオチド4843〜約ヌクレオチド4912である配列をいう。P1 polヌクレオチド配列内の2つのプライマー間に結合するプローブの長さは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な約12〜約40ヌクレオチドの間で異なり得る。また、プローブサイズが約12ヌクレオチド程度の短い場合、副溝結合原理が適用され得る。特定の態様において、XMRV P1 polヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なフォワードプライマーは、CGGGACAGAACTATCCAGTATGTGA(配列番号:10)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV P1 polヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なリバースプライマーは、TGGCTTTGCTGGCATTTACTTG(配列番号:11)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブは、ACCTGCACCGCCTGTG(配列番号:12)を含むヌクレオチド配列を有する。
【0030】
別の態様において、少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマーは、XMRV E1 envヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的である。本明細書で使用される場合、「XMRV E1 envヌクレオチド配列」は、XMRVゲノム配列の約ヌクレオチド6142〜約ヌクレオチド6197である配列をいう。E1 envヌクレオチド配列内の2つのプライマー間に結合するプローブの長さは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な約12〜約40ヌクレオチドの間で異なり得る。また、プローブサイズが約12ヌクレオチド程度の短い場合、副溝結合原理が適用され得る。特定の態様において、XMRV E1 envヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なフォワードプライマーは、GGCCGAGAGAGGGCTACT(配列番号:13)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV E1 envヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なリバースプライマーは、TGATGATGATGGCTTCCAGTATGC(配列番号:14)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブは、CACATCCCCATTTGCC(配列番号:15)を含むヌクレオチド配列を有する。
【0031】
別の態様において、少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマーは、XMRV E2 envヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的である。本明細書で使用される場合、「XMRV E2 envヌクレオチド配列」は、XMRVゲノム配列の約ヌクレオチド7171〜約ヌクレオチド7234である配列をいう。E2 envヌクレオチド配列内の2つのプライマー間に結合するプローブの長さは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な約12〜約40ヌクレオチドの間で異なり得る。また、プローブサイズが約12ヌクレオチド程度の短い場合、副溝結合原理が適用され得る。特定の態様において、XMRV E2 envヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なフォワードプライマーは、CCCTAGTGGCCACCAAACAA(配列番号:16)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV E2 envヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なリバースプライマーは、AAGGCCCCAAGGTCTGTATGT(配列番号:17)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブは、TCGAGCAGCTCCAGGCAGCCA(配列番号:18)を含むヌクレオチド配列を有する。
【0032】
別の態様において、少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマーは、XMRV E3 envヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的である。本明細書で使用される場合、「XMRV E3 envヌクレオチド配列」は、XMRVゲノム配列の約ヌクレオチド7472〜約ヌクレオチド7527である配列をいう。E3 envヌクレオチド配列内の2つのプライマー間に結合するプローブの長さは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な約12〜約40ヌクレオチドの間で異なり得る。また、プローブサイズが約12ヌクレオチド程度の短い場合、副溝結合原理が適用され得る。特定の態様において、XMRV E3 envヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なフォワードプライマーは、TCAGGACAAGGGTGGTTTGAG(配列番号:19)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV E3 envヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的なリバースプライマーは、GGCCCATAATGGTGGATATCA(配列番号:20)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブは、TTAACAGGTCCCCATGGTTCACGACCA(配列番号:21)を含むヌクレオチド配列を有する。
【0033】
プライマーは、当該技術分野で公知である任意の適当な方法を用いて増幅される。本明細書で使用される場合、「増幅」または「増幅反応」は、核酸配列の増幅のための任意の適当な方法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ローリングサイクル増幅(RCA)、鎖置換増幅(SDA)および多重置換増幅(MDA)をいい、これは当業者に理解されよう。増幅のためのかかる方法は、典型的に、例えば、増幅対象の核酸配列にアニーリングするプライマー、DNAポリメラーゼ、およびヌクレオチドを含む。さらに、PCRなどの増幅方法は、固相増幅、ポロニー増幅、コロニー増幅、エマルジョンPCR、ビーズRCA、表面RCA、表面SDAなどであり得、これは当業者に認識されよう。また、溶液中で遊離のDNA分子または一端のみが適当なマトリックスに結合されたDNA分子の指数関数的増幅がもたらされる増幅方法を使用することが有利であることも認識されよう。また、しばしば、DNA配列決定手順において鋳型として使用される増幅産物の忠実度を最大にする増幅プロトコルを使用することが有利であることは認識されよう。かかるプロトコルでは、例えば、正しくないヌクレオチドの組込み間違いの強い識別および/または重合中、誤って組み込まれたヌクレオチドを除去する強い3’エキソヌクレアーゼ活性(プルーフリーディングもしくはエディット活性とも称する)を伴うDNAポリメラーゼが使用される。
【0034】
一態様において、プライマーを増幅するためにPCR法が使用される。当業者に公知のように、PCRは、DNAポリメラーゼを用いて、インビトロ酵素的複製によってDNA片(例えば、遺伝子またはその一部;非コード領域)を増幅する技術である。PCRが進行するにつれて、生成されるDNAは複製のための鋳型として使用され、これにより、DNA鋳型が指数関数的に増幅される反応が推進される。PCRにより、単一コピーまたは数コピーのDNA片が数桁に増幅され、数百万コピー以上のDNA片が生成される。また、当該技術分野で公知であるように、PCRは、広範な遺伝子操作を行なうために広く変形され得る。
【0035】
PCRの適用では、典型的に、熱安定性(耐熱性)ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)が使用される。PCRにおける使用のための種々のポリメラーゼは当業者に公知であり、細菌サーマスアクアチカスから最初に単離された酵素であるTaq ポリメラーゼ、ならびに通常、高温で存在する微生物由来のVentおよびTthポリメラーゼが挙げられる。そのため、これらのポリメラーゼ酵素は、熱変性に対してかなり安定であり、ポリメラーゼ連鎖反応における使用に理想的な酵素となっている。DNAポリメラーゼなどのこれらのポリメラーゼは新しいDNA鎖を、DNA結合ブロックであるヌクレオチドから、DNA合成の開始に必要とされる鋳型としての一本鎖DNAおよびDNAオリゴヌクレオチド(DNAプライマーとも称される)を用いて酵素的に合成する。
【0036】
PCR法では、典型的に、規定の一連の温度工程への熱サイクル、すなわち、PCR試料の交互の加熱と冷却が使用される。これらの熱サイクル工程により、例えば、DNA二本鎖状態の鎖が(高温で)物理的に分離され(DNA融解)、DNAポリメラーゼによるDNA合成時に(低温度で)標的DNAを選択的に増幅させるための鋳型として使用される。PCRの選択性は、増幅の標的であるDNA領域に相補的なプライマーの、特異的熱サイクル条件下での使用により生じる。
【0037】
PCRは、典型的に、増幅対象の領域(標的)を含む核酸(例えば、DNA)鋳型;核酸領域の5’(5プライム)または3’(3プライム)末端の核酸領域に相補的な1種類以上、典型的に2種類以上のプライマー;例えば、70℃付近に最適温度を有する1種類以上のポリメラーゼ;1種類以上のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP;非常に一般的に誤ってデオキシヌクレオチド三リン酸とも称される)、DNAポリメラーゼが新たなDNA鎖を合成する構成ブロック;ポリメラーゼの最適活性および安定性に適当な化学的環境を提供する1種類以上のバッファー溶液;1種類以上の二価カチオン、例えば、マグネシウムまたはマンガンイオン;一般的にMg2+が使用されるが、高いMn2+濃度ではDNA合成時のエラー率が増大するため、Mn2+ をPCR媒介性DNA変異誘発に使用してもよい;ならびに1種類以上の一価カチオンのカリウムイオンなどのいくつかの成分および試薬の使用を伴う。
【0038】
PCRは、一般に、10〜200μlの反応容量で、小さい反応チューブ(0.2〜0.5ml容積)内で、反応の各工程で必要とされる温度が達成されるように反応チューブを加熱および冷却するサーマルサイクラーにおいて行なわれる。当業者には、PCRが所望の結果(1つまたは複数)に応じて種々の様式で行なわれ得ることが認識されようが、PCRの一例は、以下のようにして行なわれ得る。PCRは、約94〜96℃(または極めて耐熱性ポリメラーゼが使用される場合は約98℃)の温度までの加熱反応を伴い、約1〜9分間保持される開始工程から始められ得る。これは、典型的に、ホットスタートPCRによる加熱活性化を必要とするDNAポリメラーゼとともに使用される。最初の規則的サイクル事象である変性工程は、約94〜98℃までの約20〜30秒間の加熱反応を伴う。これにより、DNA鎖の相補塩基間の水素結合が破壊されることによりDNA鋳型およびプライマーの融解がもたらされ、DNAの一本鎖が生じる。次いで、プライマーを一本鎖DNA鋳型にアニーリングすることを可能にするための約50〜65℃までの約20〜40秒間の温度の低下を伴うアニーリング工程が行なわれ得る。典型的に、アニーリング温度は、使用されるプライマーの融解温度(Tm)より約3〜5℃低い。安定なDNA-DNA水素結合は、一般に、プライマー配列が鋳型配列と非常によく一致している場合に形成される。ポリメラーゼはプライマー-鋳型ハイブリッドに結合し、DNA合成を始める。
【0039】
伸長(extension/elongation)工程では、温度は、使用されるDNAポリメラーゼに依存する。Taq ポリメラーゼは、約75〜80℃の温度にその最適活性を有し、一般に、この酵素では約72℃の温度が使用される。この工程では、DNAポリメラーゼは、鋳型に相補的なdNTPを5’から3’の方向に付加し、dNTPの5’-リン酸基をDNA鎖の発生期(伸長中)の終わりに3’-ヒドロキシル基と縮合させることにより、DNA鋳型鎖に相補的な新たなDNA鎖を合成する。伸長時間は、使用されるDNAポリメラーゼと増幅されるDNA断片の長さの両方に依存する。最終の伸長工程は、場合によっては、最後のPCRサイクル後、任意の残留一本鎖DNAが充分に伸長されることを確実にするために、約70〜74℃の温度で約5〜15分間行なわれる。約4〜15℃で不特定時間の最終の保持工程は、反応物の短期間の保存ために使用され得る。
【0040】
特定の態様において、XMRVが試料中に存在する場合、リアルタイム(RT/PCR)または定量的リアルタイムPCR(qRT/PCR)反応がプライマーの増幅に使用される。当業者によって理解されるように、RT/PCR DNAは核酸を同時に定量および増幅する。この方法では、核酸がポリメラーゼ連鎖反応によって特異的に増幅される。各増幅ラウンド後、DNAが定量される。一般的な定量方法としては、二本鎖核酸と修飾オリゴヌクレオチド(プローブと称する)にインターカレートし、相補DNAとハイブリダイズすると蛍光を発する蛍光色素の使用が挙げられる。
【0041】
具体的には、定量的PCR(Q-PCR)を用いてPCR産物の量が測定される(好ましくは、リアルタイム)。該方法により、DNA、cDNAまたはRNAの開始量が定量的に測定される。Q-PCRは、一般に、DNA配列が試料中に存在するかどうか、および試料中のこのコピー数を調べるために使用され、RT-PCR(リアルタイムPCR)、RQ-PCR、QRT-PCRまたはRTQ-PCRとしても知られている。RT-PCRは、一般に逆転写PCRと称され、本明細書に記載の方法においても使用され得、しばしば、Q-PCRと合わせて使用される。QRT-PCR法では、Sybr Greenなどの蛍光色素、またはTaqManなどのフルオロフォア含有DNAプローブを用いて増幅産物の量がリアルタイムで測定される。
【0042】
定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR/qPCR)または速度論的ポリメラーゼ連鎖反応とも称されるリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応は、標的であるDNA分子を増幅すると同時に定量するために使用されるポリメラーゼ連鎖反応に基づく。これにより、DNA試料中の特異的配列の検出と定量(絶対コピー数またはDNA投入量もしくはさらなる標準化遺伝子に対して標準化した場合の相対量として)の両方が可能である。
【0043】
該手順は、ポリメラーゼ連鎖反応の一般的な原理に従う。その重要な特徴は、増幅DNAが、反応物中に蓄積されるにつれて、リアルタイムで各増幅サイクル後に定量されるということである。2つの一般的な定量方法は、二本鎖DNAにインターカレートする蛍光色素の使用および相補的DNAとハイブリダイズすると蛍光を発する修飾DNAオリゴヌクレオチドプローブの使用である。
【0044】
多くの場合、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を逆転写ポリメラーゼ連鎖反応と併用して低存在度のメッセンジャーRNA(mRNA)を定量し、当業者が特定の時点または特定の細胞型もしくは組織型において相対遺伝子発現を定量することが可能である。リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応は、誤ってRT-PCRと略記されることがあるが、同じくRT-PCRとして知られる逆転写ポリメラーゼ連鎖反応と混同されるべきでない。
【0045】
該反応は、典型的に、本明細書に記載のサーマルサイクラーにおいて実行される。各サイクル後、蛍光レベルが検出器により測定される。色素は、dsDNA(すなわち、PCR産物)に結合した場合のみ蛍光を発する。標準希釈物に関して、PCRにおけるdsDNA濃度が測定され得る。
【0046】
測定するDNA/RNA試料と標準希釈物との比較により、該標準に対する試料の割合または比率が得られ、異なる組織間または実験条件間の相対比較が可能である。該方法は、さらに、標的遺伝子の発現を安定的に発現される遺伝子に対して標準化する工程を含み得る。
【0047】
別の態様において、蛍光レポータープローブが使用される。配列特異的RNAおよび/またはDNA系プローブが、プローブ配列を含む核酸の定量に使用される。したがって、レポータープローブの使用により特異性が増大し得、いくらかの非特異的DNA増幅物の存在下であっても定量が可能となり得る。これにより、すべての遺伝子が同様の効率で増幅されるものとすると、異なる色の標識を有する特異的プローブを使用することによる同じ反応液中でのいくつかの遺伝子についての多重化-アッセイが可能になる。
【0048】
該反応は、典型的に、プローブの一端に蛍光レポーターおよび反対の端に蛍光のクエンチャーを有するRNA系プローブを用いて行なわれる。レポーターがクエンチャーに近接すると、その蛍光の検出が妨げられる。ポリメラーゼ(例えば、taq ポリメラーゼ)の5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性によるプローブの分解により、レポーター-クエンチャーの近接が破壊され、したがって、蛍光の非クエンチ放射が可能になり、この蛍光は検出され得る。したがって、各PCR サイクルでレポータープローブによって標的化される生成物の増加により、プローブの分解およびレポーターの放出による蛍光の比例的増加が引き起こされる。
【0049】
PCRは通常どおり調製され、レポータープローブ が添加される。反応が開始されると、PCRのアニーリング段階中、プローブとプライマーの両方がDNA標的にアニーリングする。新たなDNA鎖の重合がプライマーから開始され、ポリメラーゼがプローブに達すると、その5’-3-エキソヌクレアーゼによりプローブが分解され、蛍光レポーターがクエンチャーから物理的に分離され、蛍光の増大がもたらされる。蛍光は、リアルタイムPCRサーマルサイクラー内で検出および測定され、産生物の指数関数的増大に対応するその幾何学的増大を用いて各反応における閾値 サイクル(CT;Ct)が測定される。
【0050】
インタクトなプローブでは、レポーターの蛍光が消光される。プローブとその相補DNA鎖はハイブリダイズされるが、レポーターの蛍光は依然として消光される。PCR中、プローブは、ポリメラーゼによって分解され、蛍光レポーターが放出される。
【0051】
反応の指数関数期中に存在するDNAの相対濃度は、対数規模でサイクル数に対して蛍光をプロットすることにより測定され得る(そのため、量の指数関数的増加により直線が得られる)。バックグラウンドより上の蛍光の検出の閾値が決定される。試料からの蛍光が閾値を超えるサイクルをサイクル閾値Ctと称する。指数関数期にはサイクルごとにDNAの量が2倍になるため、DNAの相対量が計算され得、例えば、Ctが別のものより3サイクル早い試料は、23 = 8倍多い鋳型を有する。
【0052】
次いで、結果を、既知量のRNAまたはDNAの連続希釈(例えば、未希釈、1:4、1:16、1:64)のリアルタイムPCRによって作成された標準曲線と比較することによりRNAまたはDNAの量が測定される。上記のように、遺伝子発現を定量するため、目的の遺伝子由来のRNAの測定量を、同じ試料で測定された対照配列(本明細書において参照またはハウスキーピング配列とも称する)(例えば、遺伝子)由来のRNAの量で割り、異なる試料間のRNAの量および質において生じ得るばらつきについて標準化する。この標準化により、標準化に使用した参照(ハウスキーピング)配列の発現が全試料間で非常に類似しているものとすれば、異なる試料間の目的の配列の発現の正確な比較が可能になる。
【0053】
別の態様において、ネステッド逆転写PCRを用いてプライマーを増幅させる。ネステッドPCRは、異なるプライマーの組を用いた2回目の増幅を伴うPCRである。この第2のプライマーの組は、最初の従来のPCRアンプリコンのヌクレオチド配列内に見られる配列に特異的である。「ネステッド」プライマーセットを用いた第2の増幅工程の使用により、該領域に対するネステッドプライマーのさらなる特異性のため、最初のPCR中に増幅された産生物からのバックグラウンドの低減がもたらされる。生成されたアンプリコンの量は、2回目の増幅の結果として、および任意のインヒビター濃度の低減のために増大する。逆転写ネステッドPCRは、RNAから逆転写されたDNAから反応が開始されることを示す。
【0054】
本明細書に記載のように、XMRVの増幅配列が試料中に存在するかどうかが検出され、このとき、試料中にXMRVの増幅配列が検出されたならば、個体にXMRVが存在する。XMRVの増幅配列の検出は、例えば、ゲル電気泳動(例えば、アガロースゲル)、高解像度変性ポリアクリルアミド/尿素ゲル電気泳動、キャピラリー分離、または他の分解手段によって配列を分解し、続いて、例えば、走査分光測光器または蛍光測定器を用いて配列を検出することによりなされ得る。特定の態様において、XMRVの蛍光標識増幅配列は、ゲル電気泳動によって当該技術分野で周知の手順に従って分解され、続いて、標準的な蛍光測定器を用いてゲルにおいて検出される。一態様において、陽性XMRVでは、218ヌクレオチド長、112ヌクレオチド長またはその組合せのバンドが得られる。
【0055】
該方法は、さらに、当該技術分野で周知の手順を用いてXMRVの増幅配列の配列を調べる工程を含み得る。
【0056】
上記のように、および当業者に自明のように、試料中のXMRVの存在の検出方法は、さらに、対照の使用を含み得る。すなわち、試料中の増幅XMRV核酸配列の量またはレベルは、対照試料中の増幅XMRV核酸配列の量またはレベルと比較され得る。適当な対照は、当該技術分野で充分認識されており、例えば、XMRVに感染していないことがわかっている個体由来の試料、XMRVに感染していることがわかっている個体由来の試料、前立腺癌患者(例えば、HPC患者)である個体由来の試料、および/または真性(陽性)XMRV RNAの参照標準が挙げられる。対照試料は、個体から得られる試料と同じ型の試料であってもよく(例えば、個体から得られる試料および対照試料は尿試料である)、対照試料は異なる試料であってもよい(例えば、個体から得られる試料は尿試料であり、対照試料は前立腺組織試料などの組織試料である)。
【0057】
個体の(is an individual)XMRVを検出するための方法は、診断目的および/または新たに診断された前立腺癌患者あるいは治療を受けている、もしくは治療を受けたことがある前立腺癌患者の臨床転帰(例えば、再発、転移、生存)を予測(または示す)するための予後目的などの種々の目的に使用され得る。
【0058】
したがって、本発明は、個体において初期段階の前立腺癌を検出する方法に関する。該方法は、個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程を含み、該プライマーの組は、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E1エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E2エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV E3エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部に相補的な少なくとも1種類のフォワードプライマーと少なくとも1種類のリバースプライマー、またはその組合せを含む。試料は、XMRVが試料中に存在する場合、プライマーが増幅され、XMRVの増幅配列が生成される条件下に維持され、試料中にXMRVの増幅配列が存在するかどうかが検出される。試料中のXMRVの増幅配列の検出は、個体が初期段階の前立腺癌を有することを示す。
【0059】
本発明はまた、前立腺癌を発症するリスクのある個体を検出する方法を提供する。該方法は、個体の試料と少なくとも一組のプライマーを接触させる工程を含み、該一組のプライマーは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV E1エンベロープヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV E2エンベロープヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV E3エンベロープヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、あるいはそれらの組合せを含む。試料は、XMRVが試料中に存在する場合にプライマーを増幅して増幅XMRV配列を生成する条件下で維持され、試料中に増幅XMRV配列が存在するかどうかが検出される。試料中の増幅XMRV配列の検出は、個体が前立腺癌を発症するリスクを有することを示す。
【0060】
本発明はまた、個体における前立腺癌の再発を検出する方法を提供する。該方法は、個体の試料と少なくとも一組のプライマーを接触させる工程を含み、該一組のプライマーは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV G2 gag ヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV E1エンベロープヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV E2エンベロープヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV E3エンベロープヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、あるいはそれらの組合せを含む。試料は、XMRVが試料中に存在する場合にプライマーを増幅して増幅XMRV配列を生成する条件下で維持され、試料中に増幅XMRV配列が存在するかどうかが検出される。試料中の増幅XMRV配列の検出は、個体における前立腺癌の再発を示す。
【0061】
本発明はまた、前立腺癌を有する個体の治療をモニタリングする方法を提供する。該方法は、個体の試料と少なくとも一組のプライマーを接触する工程を含み、該一組のプライマーは、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV E1エンベロープヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV E2エンベロープヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV E3エンベロープヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部または一部に相補的である少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー;あるいはそれらの組合せを含む。試料は、XMRVが試料中に存在する場合にプライマーを増幅して増幅XMRV配列を生成する条件下で維持され、試料中に増幅XMRV配列が存在するかどうかが検出される。試料中の増幅XMRV配列の検出は、治療が効果的でない可能性があるか、または未だ効果的でない可能性が在ることを示す。
【実施例】
【0062】
実施例1 qRT-PCRによるXMRV RNAの検出
方法
XMRVのqRT/PCR試験に使用したプライマーおよびプローブ
Gag (G1):
Q445T: GGACTTTTTGGAGTGGCTTTGTT (配列番号:1)
Q528R: GCGTAAAACCGAAAGCAAAAT (配列番号:2)
プローブ(480F): FAM/ACAGAGACACTTCCCGCCCCCG/BHQ1 (配列番号:3)
産物のサイズ: 84nt
【0063】
Gag TaqMan(登録商標) MGB (G2):
625F: GTAACTACCCCTCTGAGTCTAACCT (配列番号:4)
708R: CTTCTTGACATCCACAGACTGGTT (配列番号:5)
プローブ(668F): FAM /TCCAGCGCATTGCATC/MGB (配列番号:6)
産物のサイズ: 82nt
【0064】
Gag TaqMan(登録商標) MGB (G3):
797F: CTCAGGTCAAGTCTAGAGTGTTTTGT (配列番号:7)
874R: CCTCCCAGGTGACGATATATGG (配列番号:8)
プローブ(834F): FAM /CCCCACGGACACCC/ MGB (配列番号:9)
産物のサイズ: 78nt
【0065】
Pol TaqMan(登録商標) MGB (P1):
4843F: CGGGACAGAACTATCCAGTATGTGA (配列番号:10)
4912R: TGGCTTTGCTGGCATTTACTTG (配列番号:11)
プローブ(4873F): FAM /ACCTGCACCGCCTGTG/MGB (配列番号:12)
産物のサイズ: 70nt
【0066】
GP70 TaqMan(登録商標) MGB (E1):
6124F: GGCCGAGAGAGGGCTACT (配列番号:13)
6197R: TGATGATGATGGCTTCCAGTATGC (配列番号:14)
プローブ(6159R): FAM /CACATCCCCATTTGCC/ MGB (配列番号:15)
産物のサイズ: 72nt
【0067】
P15E ENV (E2):
ENV-F: CCCTAGTGGCCACCAAACAA (7171F) (配列番号:16)
ENV-R: AAGGCCCCAAGGTCTGTATGT (7234R) (配列番号:17)
プローブ(7192F): FAM/TCGAGCAGCTCCAGGCAGCCA/BHQ1 (配列番号:18)
産物のサイズ: 64nt
【0068】
P15E Env (E3):
ENV-F: TCAGGACAAGGGTGGTTTGAG (7472F) (配列番号:19)
ENV-R: GGCCCATAATGGTGGATATCA (7527R) (配列番号:20)
プローブ(7480): TAM/TTAACAGGTCCCCATGGTTCACGACCA/BHQ1 (配列番号:21)
産物のサイズ: 56nt
【0069】
TaqMan(登録商標) MGB(副溝結合剤(minor groove binder))プライマープローブ組合せは、Applied Biosystemsから前もって混合された形式(25X濃度)で得られる。非MGBプライマーおよびプローブについて、オリゴヌクレオチドを1X Tris-EDTA (TE)バッファ中100uM (100ピコモル/ul)のストック濃度に再懸濁した。Aliquots of 50uMのプライマーおよび10uMのプローブ作業溶液のアリコートを作製した。作業プローブはアルミホイルで覆って遮光した。
【0070】
試薬
1. Trizol試薬(Invitrogen)
2. MagMaxTMウイルスRNA単離キット (Ambionカタログ: AM 1939)
3. 非粘着性(Non-stick)RNase非含有1.5ml微小遠心分離(microfuge)チューブ(Ambionカタログ: AM 12450)
4. RNA保存溶液(Ambionカタログ: AM 7000)
5. AgPath-IDTMワンステップRT/PCRキット(Ambionカタログ: AM 1005)
6. 1X TEバッファ(USBカタログ: 75893)
7. DEPC処理水(USBカタログ: 70783)
8. PCR適正水(USBカタログ: 71875)
9. 96ウェルプレートおよび光学接着カバー(Applied Biosystems P/N 4311971)。
標準的なRNAおよびPCRに注意を払った(例えば、RNAおよびPCR作業用のパウダーフリーの手袋、フィルターチップおよびクリーンエリアを使用した)。
【0071】
推奨:
1. 新たに凍結した前立腺組織は、XMRV同定に最良の供給源であった。パラフィン包埋組織は良好な供給源ではなかった。
2. 手術室での前立腺切除の間に、前立腺から出た液体をRNase非含有標識チューブに回収し、ドライアイスで速やかに凍結した。
3. 交差汚染を防ぐために凍結した前立腺組織をすり潰すのにガラスホモジナイザーは使用しなかった。
4. 可能な場合は、前立腺RNAを取り扱うために別の場所を指定した。
5. 好ましくは、試薬を添加するために、高コピー標準プラスミドまたはRNAのピペッティングには使用しなかった別のピペットを使用した。
6. 好ましくは、種々の患者RNA試料について、qRT/PCRは少なくとも2回繰り返して行った。
【0072】
RNA:
1. 前立腺組織または前立腺分泌物からRNAを単離した。
2. Env RNAの検出のためにインビトロ転写したXMRV RNA(ヌクレオチド5761〜7691の間のXMRV VP62 RNA配列)、またはGag RNAの検出のためにインビトロ転写したXMRV RNA(ヌクレオチド1〜991の間のXMRV VP62 RNA配列を使用した。
【0073】
プロトコル:
前立腺組織からのRNAの単離
製造業者の指示書に従ってTrizol試薬を使用した前立腺組織から標準RNA単離法を使用した。必要量のTrizolをきれいなペトリ皿に添加し、使い捨てピンセットを使用して、凍結した組織を試薬中で直接すり潰した。<1cm3前立腺組織からの収量は、約15〜20ug RNAであった。
【0074】
前立腺圧出液(EPS)および尿中のRNAの単離
前立腺を手術により取り出し、すぐに凍結してRNA単離まで-80℃保存した後、前立腺から分泌液を手動で搾り出して、前立腺液をRNAse非含有微小遠心分離チューブに回収した。100〜200μlの試料から、MagMAXTMウイルスRNA単離キット(Ambion, Texas, USA)を記載のように幾分改変して使用して、RNA単離を行った。それぞれの単離について、EPS試料を、300μlの溶解/結合溶液、2μlのキャリアRNAおよび300μlのイソプロパノールを含む602μlの溶解/結合溶液に添加した。これに、20μlのRNA結合ビーズおよび20μlの溶解/結合増強剤を含む40μlのビーズミックスを添加した。製造業者のプロトコルに従って洗浄工程を行ない、40〜60μlの予め加熱した溶出バッファに溶出した。一般的に、得られたRNAの量は、NanoDropTM ND 1000 Spectrophotometer (NanoDrop Technologies)を使用して評価した場合、50〜100ng/μlの範囲であった。
【0075】
AgPath-IDTMキットを使用したqRT/PCR
一局面において、別々の反応における2つのプライマープローブの組み合わせを、患者試料から単離下RNA中のXMRVの検出に使用した。
1. 添加時の交差汚染を防ぐために、標準RNAおよび前立腺RNAを2つの異なる氷のバケツ中で溶かした。
2. 少なくとも6つのRNAの異なる希釈液(それぞれ10倍希釈)をRNA貯蔵溶液中に作製した。
3. AgPath-IDTMキットの全ての試薬を氷上で解凍した(酵素以外)。
4. RNAを含まないマスターミックスを作製した。
5. 96ウェルプレート中、氷上で、以下:
2X RT/PCRバッファ: 12.5ul
50uMフォワードオリゴ: 0.45ul (900nM)
50uMリバースオリゴ: 0.45ul (900nM)
10uMプローブ: 0.625ul (250nM)
キットの水: 4.975ul
25X RT/PCR酵素: 1ul
**RNA: 3〜5ul (最後に添加)
合計: 25ul
を添加した。
** 前立腺RNAは100〜200ngに限定。容量は3ul未満にならないようにする。
【0076】
MGBプローブを使用する場合は、個々のプライマーおよびプローブの代わりに1.25ulのプローブを使用した。
【0077】
装置の設定:
製造業者に推奨されるように装置を設定した。
条件:
段階1、Rep=1
ステップ1: 45℃、10分
段階2、Rep=1
ステップ1: 95℃、10分
段階3、Rep=55 ***
ステップ1: 95℃、0.15分
ステップ2: 58℃、1.0分(データ収集)
*** 一般的に、前立腺RNAは、Ct値>35で非常に少ないコピー数のXMRV RNAを有する。
【0078】
データ解析:
研究室のコンピューターにデータを保存する。解析のためにデータをExcelのスプレッドシートに移す。標準RNAのグラフは、>0.98のR2値および傾き約-3.3〜-3.5を生じるはずである。
【0079】
結果
標準的なgagおよびエンベロープRNAを種々の希釈に希釈して、Ag-Pathキットを使用してqRT/PCRを行った。標準曲線の結果を図2Aおよび2Bに示す。
【0080】
図3Aおよび3Bは、env中のE1およびE2部位それぞれを使用した前立腺癌患者VP663の尿中のXMRV RNAコピー数の結果を示す。qRT-PCRアッセイを6回行って(x)インビトロ転写により産生された1.85kb XMRV env RNAで作成された標準曲線と比較して示した。Y軸はCt値を示し、x軸はコピー数の対数を示す。
【0081】
図4は、放射線前立腺摘除術の間に前立腺の手動の圧搾による前立腺癌患者(VP 635およびVP 657)の前立腺圧出液(EPS)中のXMRV RNAのqRT/PCR同定を示す。インビトロ転写により産生された1.85kb XMRV env RNAで作成した標準曲線と比較して示されるように、アッセイは繰り返し行なった。Y軸はCt値を示し、x軸はコピー数の対数を示す。
【0082】
図5は、前立腺炎患者のEPS(患者P1)から単離したXMRV RNAのqRT-PCR解析の増幅プロットを示す。非常に高いCtは、試料中の低コピーのXMRV RNAに相当する。鋳型なし対照試料では、RNAの代わりに水を反応に添加した。
【0083】
図6Aおよび6Bは、前立腺癌患者のEPS(pj 339、pj 301、pj 302、pj 304)から単離したXMRV RNAのqRT-PCR解析の増幅プロットを示す。3つの陽性標準RNAのうち1つの希釈物だけを反応に使用した。
【0084】
実施例2 qPCRによるXMRV DNAの検出
試薬:
QIAamp DNAミニキット(Qiagen カタログ: 51306)
TaqMan(登録商標)ユニバーサルPCRマスターミックス(Applied Biosystems カタログ:4304437)
【0085】
プロトコル:
滅菌ピンセットおよび外科用メスを使用して、凍結前立腺組織の切片を切った。組織切片をペトリ皿上ですり潰した。QIAamp DNAミニキットの標準的なプロトコルを使用してDNAを単離した。DNAをアルコール沈殿して、70%エタノールで洗浄し、20μlのTEに再懸濁した。約250〜500ngのDNAをそれぞれの反応に使用した。
【0086】
装置の設定:
製造業者に推奨されるように装置を設定した。
条件:
段階1、Rep=1
ステップ1: 95℃、10分
段階2、Rep=55***
ステップ1: 95℃、0.15分
ステップ2: 58℃、1.0分(データ収集)
【0087】
図13は、前立腺癌患者VP 222、VP432およびVP 229由来のDNAを使用してqPCRで作製した増幅プロットを示す。反応にはG1プライマープローブ組合せを使用した。
【0088】
実施例3 XMRV RNAの検出のためのTth-ネステッドRT/PCR
推奨:
1. 患者試料専用の研究室のクリーンエリアを割り当てた。高コピーXMRV核酸は、この区画には存在しないはずである。
2. ネステッドPCRの間に、陽性試料との交差汚染を防ぐために、非常に注意を払った。実験試料の前に陽性対照のPCRを標準化することが望ましい。いずれの陽性対照も有さない患者試料のための条件を使用する。
3. 好ましくは、高コピープラスミドまたはRNAのピペッティングには使用しなかった別のピペットを試薬の添加に使用した。
標準的なRNAおよびPCRに注意を払った(例えば、RNAおよびPCR作業のために、パウダーフリー手袋、フィルターチップおよびクリーンエリア)
【0089】
材料:
オリゴヌクレオチド:
設定1:
1回目:
6200R: CCCATGATGATGATGGCTTCCAGTATGC (20μM)(配列番号:22)
5922F: GCTAATGCTACCTCCCTCCTGG (20μM)(配列番号:23)
350F: GAGTTCGTATTCCCGGCCGCAGC (20μM)(配列番号:24)
718R: GGTAACCCAGCGCCTCTTCTTGACATCC (20μM)(配列番号:25)
2回目:
5942F: GGGGACGATGACAGACACTTTCC (10μM)(配列番号:26)
6159R: CACATCCCCATTTGCCACAGTAG (10μM)(配列番号:27)
424F: ATCAGTTAACCTACCCGAGTCGGAC (10μM)(配列番号:28)
535R: GGTTTCGGCGTAAAACCGAAAGC (10μM)(配列番号:29)
【0090】
設定2:
1回目:
6273R: GGAGCCCACTGAGGAATCAAAACAGG (20μM)(配列番号:30)
5922F: GCTAATGCTACCTCCCTCCTGG (20μM)(配列番号:31)
350F: GAGTTCGTATTCCCGGCCGCAGC (20μM)(配列番号:32)
718R: GGTAACCCAGCGCCTCTTCTTGACATCC (20μM)(配列番号:33)
2回目:
6200R: CCCATGATGATGATGGCTTCCAGTATGC (10μM)(配列番号:22)
5942F: GGGGACGATGACAGACACTTTCC (10μM)(配列番号:26)
424F: ATCAGTTAACCTACCCGAGTCGGAC (10μM)(配列番号:28)
535R: GGTTTCGGCGTAAAACCGAAAGC (10μM)(配列番号:29)
【0091】
このオリゴヌクレオチドを1X TEバッファに再懸濁した。
【0092】
試薬:
1X TEバッファ(カタログ: 75893. USB Corporation, Cleveland, Ohio, USA)
DEPC処理RNase非含有水(カタログ: 70783. USB Corporation, Cleveland, Ohio, USA)
PCR適性水(カタログ: 71785. USB Corporation, Cleveland, Ohio, USA)
Tth DNAポリメラーゼキット(カタログ: 70052. USB Corporation, Cleveland, Ohio, USA)
HotStart-IT(登録商標)FideliTaqTMマスターミックス2X(カタログ: 71156. USB Corporation, Cleveland, Ohio, USA)
PCRヌクレオチドミックス(カタログ: 77212. USB Corporation, Cleveland, Ohio, USA)
RNA貯蔵溶液(Ambionカタログ: AM 7000)
RNase阻害剤40u/ul(カタログ: 71571. USB Corporation, Cleveland, Ohio, USA)
【0093】
RNA:
RNAは前立腺癌患者の尿試料から単離した。
RNAは、前立腺摘除術中に前立腺癌患者の前立腺圧出液(EPS)から単離した。
陽性対照の全長XMRV RNAを、XMRV感染前立腺癌細胞株から単離した。
【0094】
方法:
1. 全ての試薬を氷上で溶かした。反応混合物を用意するまでRNAをドライアイス上で維持した。
【0095】
2. 氷上の滅菌200μl PCRチューブに以下:
RNA: 約200〜300ng
20μM 6200R: 1.5μl
20μM 718R: 1.5μl
10mM dNTP: 0.4μl
水: 14μlまで
を添加した。
【0096】
3. チューブを70℃に5分間置いて、すぐに氷上で少なくとも1分間冷やした。その後、個々のチューブに以下:
5Xバッファ: 2μl (最終0.5X)
MnCl2: 2μl
Tth: 1μl
RNase阻害剤: 1μl
を添加した。
チューブをベンチトップ(約25℃)上に5分間置いて、その後57℃で30分間インキュベートした。
【0097】
4. 氷上で、以下:
5Xキレートバッファ: 20μl (Tthポリメラーゼキット由来)
20μM 5922F: 1.5μl
20μM 350F: 1.5μl
10mM dNTP: 3μl
PCR適性水: 50μl
合計: 80μl
の試薬を添加してキレートバッファを作製した。
【0098】
5. 逆転写工程の後、80μlのキレートバッファをそれぞれのチューブに添加して適度に混合した。
【0099】
6. PCR装置で、以下のプログラム:
ステップ1: 94℃、2分
ステップ2: 94℃、30秒
ステップ3: 57℃、30秒
ステップ4: 72℃、45秒
ステップ5: ステップ2に戻る、45回
ステップ6: 72℃、2分
ステップ7: 4℃、維持
を行なった。
【0100】
7. 2回目のPCR
以下:
2X Hot Startマスターミックス: 25μl
10μM 5942F: 1μl
10μM 6159R: 1μl
10μM 424F: 1μl
10μM 535R: 1μl
25mM MgCl2: 2μl
1回目PCR産物: 3μl
PCR適性水: 50μlまで
を添加して、2回目PCR混合物を用意した。
【0101】
CPR装置で、以下のプログラム:
ステップ1: 94℃、2分
ステップ2: 94℃、30秒
ステップ3: 57℃、30秒
ステップ4: 72℃、45秒
ステップ5:ステップ2に戻る、35回
ステップ6: 72℃、2分
ステップ7: 4℃に維持
を行なった。
【0102】
PCR後、8ulの産物を2%アガロースゲルに供して、UVトランスイルミネーター下で可視化した。陽性RNAで218および112ヌクレオチド長のバンドが生じた。図7の上パネルに、XMRVの多重RT-PCRに使用したプライマーの位置を示す。図7下パネルに、3000〜30コピーのXMRV RNAと前立腺癌患者EPS(pj339)から単離したRNAを使用して行なった多重RT-PCRのゲルを示す。それぞれの配列を図10に示す。
【0103】
一局面において、PCR産物をゲル精製して配列を検証する。
【0104】
図8は、TthおよびHotStartポリメラーゼを使用して、その後前述のプロトコルを使用した、6個の前立腺癌患者尿試料から単離したRNAの一重ネステッドRT-PCRのゲルである。増幅の一回目にオリゴ6200Rおよび5922Fを使用して、次いで2回目に6159Rおよび5942Fを使用した。
【0105】
図9は、前立腺摘除術時の17の前立腺癌患者圧出液から単離したRNAの一重ネステッドRT-PCRのゲルである。増幅の1回目にオリゴ6200Rおよび5922Fを使用して、次いで2回目に6159Rおよび5942Fを使用した。
【0106】
図11は、3つの前立腺癌患者尿試料から単離したRNAの一重ネステッドRT-PCRのゲルである。反応の回数は3回。増幅の1回目にオリゴ6200Rおよび5922Fを使用して、次いで2回目に6159Rおよび5942Fを使用した。
【0107】
まとめ
患者から、前立腺組織、尿および前立腺分泌液を回収した。前立腺癌を有する患者について、手術の直前に尿を入手した。患者から被検物質を取り出す際に、前立腺摘除術と同時に、前立腺および精嚢から分泌液を手動で圧搾して前立腺液も回収した。前立腺癌を有する男性患者由来の約50の前立腺分泌液および同数の尿試料をアッセイした。約20の膀胱癌組織試料もアッセイし、XMRVについて陽性なものはなかった。2つのXMRV遺伝子の領域(gagおよびenv)を2回または3回アッセイした。前立腺癌を有する数人の男性の前立腺組織、前立腺分泌液および尿におけるXMRVの証拠は、qRT-PCRによりXMRV gagおよびenv配列を同時に検出して示された。それぞれのqRT/PCRの増幅領域の配列によりこれらの試料のサブセットを確認した。5つの症例で、患者の尿および前立腺液から単離されたXMRV gag配列を、PCRを行なって配列決定し、互いに100%同一であることを見出した。gag断片も、2つのXMRV系統VP62(GenBank受託番号DQ399707)およびVP35(GenBank受託番号DQ241301)のものと100%の相同性を有し、XMRV VP42(GenBank受託番号DQ241302)と98%の相同性を有した。3つは全てQQ RNASEL遺伝子型を有する男性由来であった。5つの症例において、XMRV env遺伝子の218nt領域はまた、以前に公開されているXMRVの系統のものと同一の配列を用いたRT-PCRにより同定された。QQ RNASEL前立腺癌患者由来の尿のqRT-PCRによるXMRV RNAの検出の例を示す(図3A)。RNASEL QQ遺伝子型を有する前立腺癌症例から単離した前立腺分泌液由来のXMRV envのネステッドRT-PCR産物の例を示す(図3A)。XMRV DNAコピー数の検出および決定も、the RNASEL QQ遺伝子型を有する男性の腫瘍を有する前立腺組織から前立腺摘除術により単離したDNA中で決定した(実施例2、図12)。
【0108】
本明細書で引用した全ての特許、出願公開公報および参考文献の教示は、その全体において参照により援用される。
【0109】
本発明は、その例示態様を参照して具体的に示され記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が本明細書になされ得ることが当業者には理解されよう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程、
該一組のプライマーは、
XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E1 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E2 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E3 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
またはそれらの組合せを含む;
b) 該試料中にXMRVが存在する場合にプライマーを増幅して増幅XMRV配列を生成する条件下で、該試料を維持する工程;
c) 該試料中に増幅XMRV配列が存在するかどうかを検出する工程
を含む、個体における異種栄養性MLV関連ウイルス(XMRV)の存在を検出する方法であって、
試料中に増幅XMRV配列が検出される場合に個体中にXMRVが存在する、方法。
【請求項2】
増幅XMRV配列が、増幅XMRV DNA配列、増幅XMRV RNA配列またはそれらの組合せである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用してプライマーを増幅する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
PCRがリアルタイムPCRである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
該試料を1つ以上の蛍光標識プローブと接触させる工程をさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
プローブがフルオレセインで標識される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なフォワードプライマーが、GGACTTTTTGGAGTGGCTTTGTT (配列番号:1)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なリバースプライマーが、GCGTAAAACCGAAAGCAAAAT (配列番号:2)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブがACAGAGACACTTCCCGCCCCCG (配列番号:3)を含むヌクレオチド配列を有する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なフォワードプライマーが、GTAACTACCCCTCTGAGTCTAACCT (配列番号:4)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なリバースプライマーが、CTTCTTGACATCCACAGACTGGTT (配列番号:5)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブがTCCAGCGCATTGCATC (配列番号:6)を含むヌクレオチド配列を有する、請求項5記載の方法。
【請求項9】
T XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なフォワードプライマーが、CTCAGGTCAAGTCTAGAGTGTTTTGT (配列番号:7)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なリバースプライマーが、CCTCCCAGGTGACGATATATGG (配列番号:8)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブがCCCCACGGACACCC (配列番号:9)を含むヌクレオチド配列を有する、請求項5記載の方法。
【請求項10】
XMRV P1 polヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なフォワードプライマーが、CGGGACAGAACTATCCAGTATGTGA (配列番号:10)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV P1 polヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なリバースプライマーが、TGGCTTTGCTGGCATTTACTTG (配列番号:11)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブがACCTGCACCGCCTGTG (配列番号:12)を含むヌクレオチド配列を有する、請求項5記載の方法。
【請求項11】
XMRV E1 envヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なフォワードプライマーが、GGCCGAGAGAGGGCTACT (配列番号:13)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV E1 envヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なリバースプライマーが、TGATGATGATGGCTTCCAGTATGC (配列番号:14)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブがCACATCCCCATTTGCC (配列番号:15)を含むヌクレオチド配列を有する、請求項5記載の方法。
【請求項12】
XMRV E2 envヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なフォワードプライマーが、CCCTAGTGGCCACCAAACAA (配列番号:16)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV E2 envヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なリバースプライマーが、AAGGCCCCAAGGTCTGTATGT (配列番号:17)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブがTCGAGCAGCTCCAGGCAGCCA (配列番号:18)を含むヌクレオチド配列を有する、請求項5記載の方法。
【請求項13】
XMRV E3 envヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なフォワードプライマーが、TCAGGACAAGGGTGGTTTGAG (配列番号:19)を含むヌクレオチド配列を有し、XMRV E3 envヌクレオチド配列の全部または一部に相補的なリバースプライマーが、GGCCCATAATGGTGGATATCA (配列番号:20)を含むヌクレオチド配列を有し、プローブがTTAACAGGTCCCCATGGTTCACGACCA (配列番号:21)を含むヌクレオチド配列を有する、請求項5記載の方法。
【請求項14】
PCRが、1回目および2回目のPCRを含むネステッド逆転写PCRである、請求項3記載の方法。
【請求項15】
1回目のPCRにおいて、gag配列に対するフォワードプライマーがGAGTTCGTATTCCCGGCCGCAGC (配列番号:24)を含むヌクレオチド配列を有し、gag配列に対するリバースプライマーが、GGTAACCCAGCGCCTCTTCTTGACATCC (配列番号:25)を含むヌクレオチド配列を有し、env配列に対するフォワードプライマーがCCCATGATGATGATGGCTTCCAGTATGC (配列番号:22)を含むヌクレオチド配列を有し、env配列に対するリバースプライマーがGCTAATGCTACCTCCCTCCTGG (配列番号:23)を含むヌクレオチド配列を有する;および
2回目のPCRにおいて、gag配列に対するフォワードプライマーがATCAGTTAACCTACCCGAGTCGGAC (配列番号:28)を含むヌクレオチド配列を有し、gag配列に対するリバースプライマーがGGTTTCGGCGTAAAACCGAAAGC (配列番号:29)を含むヌクレオチド配列を有し、env配列に対するフォワードプライマーがGGGGACGATGACAGACACTTTCC (配列番号:26)を含むヌクレオチド配列を有し、env配列に対するリバースプライマーがCACATCCCCATTTGCCACAGTAG (配列番号:27)を含むヌクレオチド配列を有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
増幅XMRV配列が、ゲル電気泳動を使用して検出される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
増幅XMRV配列をクローニングする工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
増幅XMRV配列と対照を比較する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
試料が、尿、前立腺組織、前立腺液、膀胱癌組織またはそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項20】
前立腺液が前立腺圧出液(EPS)である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
EPSが精液である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
個体がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項23】
a) 個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程、
該一組のプライマーは、
XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E1 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E2 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E3 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
またはそれらの組合せを含む;
b) 該試料中にXMRVが存在する場合にプライマーを増幅して増幅XMRV配列を生成する条件下で、該試料を維持する工程;
c) 該試料中に増幅XMRV配列が存在するかどうかを検出する工程
を含む個体における早期病期の前立腺癌を検出する方法であって、
該試料中の増幅XMRV配列の検出が、個体が早期病期の前立腺癌を有することを示す、方法。
【請求項24】
a) 個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程、
該一組のプライマーは、
XMRV G1ヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E1 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E2 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E3 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
またはそれらの組合せを含む;
b) 該試料中にXMRVが存在する場合にプライマーを増幅して増幅XMRV配列を生成する条件下で、該試料を維持する工程;
c) 該試料中に増幅XMRV配列が存在するかどうかを検出する工程
を含む、前立腺癌を発症するリスクを有する個体を検出する方法であって、
該試料中の増幅XMRV配列の検出が、個体が前立腺癌を発症するリスクを有することを示す、方法。
【請求項25】
a) 個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程、
該一組のプライマーは、
XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E1 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E2 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E3 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
またはそれらの組合せを含む;
b) 該試料中にXMRVが存在する場合にプライマーを増幅して増幅XMRV配列を生成する条件下で、該試料を維持する工程;
c) 該試料中に増幅XMRV配列が存在するかどうかを検出する工程
を含む、個体における前立腺癌の再発を検出する方法であって、
該試料中の増幅XMRV配列の検出が、個体における前立腺癌の再発を示す、方法。
【請求項26】
a) 個体の試料を少なくとも一組のプライマーと接触させる工程、
該一組のプライマーは、
XMRV G1 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV G2 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV G3 gagヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E1 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E2 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV E3 エンベロープヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
XMRV P1 Polヌクレオチド配列の全部もしくは一部と相補的な少なくとも1つのフォワードプライマーおよび少なくとも1つのリバースプライマー、
またはそれらの組合せを含む;
b) 該試料中にXMRVが存在する場合にプライマーを増幅して増幅XMRV配列を生成する条件下で、該試料を維持する工程;
c) 該試料中に増幅XMRV配列が存在するかどうかを検出する工程
を含む、前立腺癌を有する個体の治療をモニタリングするための方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−A】
image rotate

【図6−B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2012−513216(P2012−513216A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543647(P2011−543647)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069244
【国際公開番号】WO2010/075414
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511152511)ザ クリーブランド クリニック ファウンデーション (2)
【Fターム(参考)】