説明

{2−メチル−4−[4−メチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)チアゾール−5−イルメチルチオ]フェノキシ}−酢酸の多形体形態

本発明は、化合物{2-メチル-4-[4-メチル-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)チアゾール-5-イルメチルチオ]フェノキシ}-酢酸の新規多形体形態、それを調製する方法、その多形体形態を含んでいる医薬組成物及び薬物、並びに、そのような多形体、組成物及び薬物のPPARが介在する疾患又は状態の治療における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物{2-メチル-4-[4-メチル-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)チアゾール-5-イルメチルチオ]フェノキシ}-酢酸の新規多形体形態、それを調製する方法、その多形体形態を含んでいる医薬組成物及び薬物、並びに、そのような多形体、組成物及び薬物のPPARが介在する疾患又は状態の治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(以下、PPARと称する)は、リガンド活性化転写因子のステロイド/レチノイド/甲状腺ホルモン受容体ファミリーの既知メンバーであり、とりわけ、高いマイクロモル濃度の特定のペルオキシソーム増殖因子によって活性化される。ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(以下、PPARαと称する)、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(以下、PPARγと称する)及びペルオキシソーム増殖剤応答性受容体δ(以下、PPARδと称する)が、それぞれ、PPARのサブタイプとして同定されている。
【0003】
1種類以上のPPARを活性化するか又は1種類以上のPPARと活性化とは異なった相互作用をする特定の化合物は、動物モデルにおいてトリグリセリド及びコレステロールのレベルの調節と関連づけられてきた。例えば、以下のものを参照されたい:米国特許第5,847,008号(Doebberら)及び米国特許第5,859,051号(Adamsら)、並びに、PCT公開WO97/28149(Leibowitzら)、WO99/04815(Shimokawaら)及びWO01/00603(Glaxo Group Ltd)。Oliverら(Proc Natl Acad Sci 98, 5306-5311 (2001))は、PPARδ作用薬の投与後、肥満アカゲザルの血清トリグリセリドが上昇するということを報告している。
【0004】
特に好ましいPPARδ作用薬は、{2-メチル-4-[4-メチル-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)チアゾール-5-イルメチルチオ]フェノキシ}-酢酸並びにその製薬上許容される塩、溶媒和物及び加水分解可能なエステルである(下記(I)):
【化1】

【0005】
WO01/00603(これの内容は、参照により本明細書に組み入れる)には、上記化合物(以下、式(I)で表される化合物と称する)の合成について記述されている。該化合物をMEOH/水から結晶化させることで、融点が139-141℃の黄色の固体が得られた。
【0006】
多形性は、元素又は化合物の、2種類以上の異なった結晶種として結晶化する能力として定義される。従って、多形体は、同じ分子式で表される異なった固体である。しかしながら、固体の特性はその構造に依存するので、異なった多形体は、異なった溶解度プロフィール、異なった融点、異なった溶解プロフィール、異なった熱安定性/光安定性、異なった貯蔵寿命、異なった懸濁特性及び異なった生理学的吸収速度などの、異なった物理的特性を示し得る。結晶性固体の中に溶媒が含まれていると溶媒和物となり、溶媒として水が含まれている場合は、水和物となる。
【0007】
化合物の多形体形態は、X線回折分光法及び別の方法(例えば、赤外分光法など)によって識別することができる。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、式(I)で表される化合物の「形態7」と称される多形体を提供する。形態7は、融点が、133±2℃である。
【0009】
第1の態様として、本発明は、図1と実質的に同一の赤外(IR)吸収スペクトル(ここで、該IR吸収スペクトルは、本明細書中に記載されている手順に準じてDiamond Attenuated Total Reflectance FT-IR分光計を4cm-1の分解能で用いて得られる)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物を提供する。
【0010】
第2の態様として、本発明は、本明細書中に記載されている手順に準じてDiamond Attenuated Total Reflectance FT-IR分光計を4cm-1の分解能で用いて得られるIR吸収スペクトル(ここで、該IR吸収スペクトルは、2977±2、2953±2、2937±2、1747±2、1715±2、1489±2、1447±2、1407±2、1323±2、1299±2、1240±2、1219±2、1187±2、1170±2、1122±2、1102±2、1068±2、1061±2、1010±2、894±2、873±2、841±2、811±2及び747±2cm-1からなる群から選択される5以上の位置にピークを含んでいる)を特徴とする、式(I)を特徴とする結晶性化合物を提供する。
【0011】
第3の態様として、本発明は、本明細書中に記載されている手順に準じてDiamond Attenuated Total Reflectance FT-IR分光計を4cm-1の分解能で用いて得られるIR吸収スペクトル(ここで、該IR吸収スペクトルは、1187±2、1122±2、1010±2、811±2及び747±2cm-1にピークを含んでいる)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物を提供する。
【0012】
第4の態様として、本発明は、図2と実質的に同一のX線粉末回折(XRD)パターン(ここで、該XRDパターンは、本明細書中に記載されている手順に準じて銅Kα線を用いる回折計で得られ、2θ角で表される)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物を提供する。
【0013】
第5の態様として、本発明は、本明細書中に記載されている手順に準じて銅Kα線を用いる回折計で得られる2θ角で表されるXRDパターン(ここで、該XRDパターンは、8.8±0.1、12.3±0.1、18.8±0.1、19.9±0.1、22.6±0.1、24.6±0.1、26.2±0.1及び29.9±0.1度からなる群、又は、10.0、7.2、4.7、4.4、3.9、3.6、3.4及び3.0Å(d間隔)からなる群から選択される4以上の位置に2θ角を含んでいる)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物を提供する。
【0014】
第6の態様として、本発明は、図3と実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(ここで、該DSCは、本明細書中に記載されている手順に準じて軽く蓋をしてあるアルミニウム製皿を用いて1分間当たり10℃の走査速度で実施された)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物を提供する。
【0015】
第7の態様として、本発明は、図4と実質的に同一の炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトル(ここで、該スペクトルは、プロトン周波数399.87MHz、回転速度8kHz及び緩和遅延10秒で作動する分光計で273Kで得られた)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物を提供する。
【0016】
第8の態様として、本発明は、プロトン周波数399.87MHz、回転速度8kHz及び緩和遅延10秒で作動する分光計で273Kで得られた炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトル(ここで、該SSNMRは、17.4、67.5、125.1、157.7及び167.4+/-0.2ppmにおいて共鳴を示す)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物を提供する。
【0017】
第9の態様として、本発明は、図4と実質的に同一の炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトル(ここで、該スペクトルは、プロトン周波数399.87MHz、回転速度8kHz及び緩和遅延10秒で作動する分光計で273Kで得られ、該SSNMRは、17.4、67.5、125.1、157.7、167.4、14.3、32.5、111.1、126.7、128.8、130.6、133.0、135.7、136.3、136.8、152.6及び170.8+/-0.2ppmにおいて共鳴を示す)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物を提供する。
【0018】
さらなる態様として、本発明は、本発明の式(I)で表される結晶性化合物を含んでいる医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、さらに、1種類以上の製薬上許容される担体又は希釈剤も含み得る。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、治療において使用するための、特に、1種類以上のヒトPPARα、ヒトPPARγ又はヒトPPARδ(「ヒトPPAR類」)が介在する疾患又は状態の治療において使用するための、本発明の式(I)で表される結晶性化合物を提供する。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、治療において使用するための、特に、脂質異常症(これは、関連する糖尿病性脂質異常症(diabetic dyslipidemia)及び混合型脂質異常症(mixed dyslipidemia)を包含する)、X症候群(これは、本出願において定義されているように、メタボリックシンドロームを包含する)、心不全、高コレステロール血症、心血管疾患(これは、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症及び高トリグリセリド血症を包含する)、II型糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、肥満、炎症、上皮過増殖性疾患(epithelial hyperproliferative disease)(これは、湿疹及び乾癬を包含する)、並びに、病気(例えば、肥満、神経性過食症及び神経性無食欲症、癌、アルツハイマー病、多発性硬化症又は別の認知障害など)を患っている患者における食欲と摂食の調節及び肺及び消化管に関連した状態の治療において使用するための、本発明の式(I)で表される結晶性化合物を提供する。
【0021】
さらなる態様において、本発明は、1種類以上のヒトPPARが介在する疾患又は状態を予防又は治療する方法を開示し、ここで、該方法は、本発明の式(I)で表される結晶性化合物を投与することを含む。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、脂質異常症(これは、関連する糖尿病性脂質異常症及び混合型脂質異常症を包含する)、X症候群(これは、本出願において定義されているように、メタボリックシンドロームを包含する)、心不全、高コレステロール血症、心血管疾患(これは、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症及び高トリグリセリド血症を包含する)、II型糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、肥満、炎症、上皮過増殖性疾患(これは、湿疹及び乾癬を包含する)、並びに、病気(例えば、肥満、神経性過食症及び神経性無食欲症、癌、アルツハイマー病、多発性硬化症又は別の認知障害など)を患っている患者における食欲と摂食の調節及び肺及び消化管に関連した状態を予防又は治療する方法を開示し、ここで、該方法は、本発明の式(I)で表される結晶性化合物を投与することを含む。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、1種類以上のヒトPPARが介在する疾患又は状態を治療又は予防するための薬物の調製における、本発明の式(I)で表される結晶性化合物使用を提供する。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、脂質異常症(これは、関連する糖尿病性脂質異常症及び混合型脂質異常症を包含する)、X症候群(これは、本出願において定義されているように、メタボリックシンドロームを包含する)、心不全、高コレステロール血症、心血管疾患(これは、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症及び高トリグリセリド血症を包含する)、II型糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、肥満、炎症、上皮過増殖性疾患(これは、湿疹及び乾癬を包含する)、並びに、病気(例えば、肥満、神経性過食症及び神経性無食欲症、癌、アルツハイマー病、多発性硬化症又は別の認知障害など)を患っている患者における食欲と摂食の調節及び肺及び消化管に関連した状態を治療又は予防するための薬物の調製における、本発明の式(I)で表される結晶性化合物使用を提供する。
【0025】
図面の簡単な説明
図1:本発明の式(I)で表される化合物の形態7のIRスペクトル。x軸は、波数(cm-1)であり、y軸は、反射率(%)である。該IRスペクトルは、本明細書中に記載されている手順に準じて、Diamond Attenuated Total Reflectance FT-IR分光計を4cm-1の分解能で用いて得られる。
【0026】
図2:本発明の式(I)で表される化合物の形態7のXRDパターン。該XRDパターンは、2θ角で表してあり、本明細書中に記載されている手順に準じて、銅Kα線を用いる回折計で得られる。
【0027】
図3:本発明の式(I)で表される化合物の形態7の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム。該DSCは、本明細書中に記載されている手順に準じて、軽く蓋をしてあるアルミニウム製皿を用いて、1分間当たり10℃の走査速度で実施した。
【0028】
図4:本発明の式(I)で表される化合物の形態7の炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトル。該スペクトルは、プロトン周波数399.87MHz、回転速度8kHz及び緩和遅延10秒で作動する分光計で273Kで得た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、別の結晶形態と比較して1以上の有利な医薬的特性又は別の利点を示す、式(I)で表される化合物の新規結晶形態を提供する。本発明の結晶形態は、周囲温度で安定である。
【0030】
本発明の結晶形態のさらなる望ましい特性は、この形態が有する非吸湿性及びその粒状の晶癖である。
【0031】
式(I)で表される化合物のさまざまな形態は、慣習的な多くの分析技術を用いて特性付けることができ、また、識別することができる。そのような慣習的な分析技術としては、限定するものではないが、X線粉末回折(XRD)パターン、赤外(IR)スペクトル、ラマンスペクトル、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)及び固体NMRなどがある。
【0032】
「式(I)で表される化合物の形態7」は、本明細書中で使用される場合、以下のいずれかを意味する:
(1) 図1と実質的に同一の赤外(IR)吸収スペクトル(ここで、該IR吸収スペクトルは、本明細書中に記載されている手順に準じて、Diamond Attenuated Total Reflectance FT-IR分光計を4cm-1の分解能で用いて得られる)を特徴とする、式(I)で表される化合物の結晶形態。
【0033】
(2) 図2と実質的に同一のX線粉末回折(XRD)パターン(ここで、該XRDパターンは、本明細書中に記載されている手順に準じて、銅Kα線を用いる回折計で得られ、2θ角で表される)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【0034】
(3) 図3と実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(ここで、該DSCは、本明細書中に記載されている手順に準じて、軽く蓋をしてあるアルミニウム製皿を用いて1分間当たり10℃の走査速度で実施された)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【0035】
(4) 図4と実質的に同一の炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトル(ここで、該スペクトルは、プロトン周波数399.87MHz、回転速度8kHz及び緩和遅延10秒で作動する分光計で273Kで得られた)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【0036】
本発明の式(I)で表される化合物の結晶形態(即ち、形態7)のIRスペクトルは、分析化学及び物理的特性付けの分野の当業者には知られている慣習的な装置及び技術を用いて求めることができる。図1のIRスペクトルは、Sens IR Durascope DATR(Diamond Attenuated Total Reflectance)付属品が装備されているNicolet 550 Magna-IR上で、4cm-1の分解能で得られた。波数(cm-1)(x軸)が、反射率(%)(y軸)に対してプロットされている。式(I)で表される化合物の形態7のIRスペクトルにおいて観察される代表的なピークは、以下のとおりである: 2977±2、2953±2、2937±2、1747±2、1715±2、1489±2、1447±2、1407±2、1323±2、1299±2、1240±2、1219±2、1187±2、1170±2、1122±2、1102±2、1068±2、1061±2、1010±2、894±2、873±2、841±2、811±2及び747±2cm-1
【0037】
当業者には明らかなように、分析したサンプルを式(I)で表される形態7の化合物であると確定的に同定するためには、これらのピーク全てが必要なわけではない。式(I)で表される化合物の形態7は、2977±2、2953±2、2937±2、1747±2、1715±2、1489±2、1447±2、1407±2、1323±2、1299±2、1240±2、1219±2、1187±2、1170±2、1122±2、1102±2、1068±2、1061±2、1010±2、894±2、873±2、841±2、811±2及び747±2cm-1からなる群から選択される5以上の位置にピークが存在していることによって、同定することができる。より詳細には、少なくとも、1187±2、1122±2、1010±2、811±2及び747±2cm-1にピークが存在している。一実施形態では、2、3又は4のさらなるピークが存在しており、さらなる実施形態では、上記ピークの全てが存在している。
【0038】
用いる特定の分光計及び分析者のサンプル調製技術に基づいて、観察されるピークにおける僅かな変動は予期される。上記で報告されているピークの帰属のそれぞれには、多少の誤差範囲が存在している。上記ピークの帰属における誤差の範囲は、約±2cm-1である。
【0039】
当該ピークの帰属において、多少の誤差範囲は許容されるので、式(I)で表される化合物のサンプルの特定の形態を同定するためにIRスペクトルを比較する有用な方法は、当該サンプルのIRスペクトルを既知形態のそれぞれのIRスペクトルの上にオーバーレイすることである。例えば、当業者は、本明細書中に記載されている方法を用いて得られた、式(I)で表される化合物の未知形態についてのIRスペクトルを、図1の上にオーバーレイすることが可能であり、そして、当技術分野における知識と経験を用いて、当該未知サンプルのIRスペクトルが式(I)で表される化合物の形態7のIRスペクトルと実質的に同一であるかどうかについて容易に決定することができる。そのIRスペクトルが図1と実質的に同一であった場合、それまでは未知であった当該形態は、容易に且つ正確に、式(I)で表される化合物の形態7であると同定され得る。
【0040】
式(I)で表される形態7の化合物のX線粉末回折パターンは、分析化学及び物理的特性付けの分野の当業者には知られている慣習的な技術及び装置を用いて求めることができる。図2の回折パターンは、Philips X'Celerator Real Time Multi Strip(RTMS)検出器が装備されているPhilips X'Pert Pro回折計上で、銅Kα線を用いて得られた。当該サンプルをゼロバックグランドホルダーに入れ、以下の取得パラメータ(acquisition parameter)を用いて、2から40°2θまで走査した:40mA、40kV、0.017°2θステップ、40sステップ時間。分析中は、サンプルを25rpmで回転させた。
【0041】
式(I)で表される形態7の化合物の粉末サンプルを用いて、図2のXRDパターンを得た。2θ角(度)(x軸)が、1秒当たりの計数率で示されるピーク強度(y軸)に対してプロットされている。それぞれの結晶形態のXRDパターンは、固有のものであり、それは、2θ角(°)、d間隔(Å)及び/又は相対ピーク強度で表すことが可能な回折ピークの固有のセットを示す。
【0042】
当該XRDパターンにおける種々のピークの位置は、2θ回折角及び対応するd間隔値に基づく。d間隔値は、ブラッグの式を使用し、観察された2θ角及び銅Kα1波長を用いて計算される。用いる特定の回折計及び分析者のサンプル調製技術に基づいて、観察される2θ角及びd間隔における僅かな変動は予期される。相対ピーク強度に関しては、さらに大きな変動が予期される。相対ピーク強度の大きな変動は、結晶形態学における相違の結果として生じる選択配向に起因して観察され得る。化合物の正確な結晶形態は、主として、観察される2θ角又はd間隔に基づいて同定すべきであり、相対ピーク強度はそれほど重要ではない。式(I)で表される形態7の化合物を同定するためには、特定の特徴的な2θ角ピークが、8.8±0.1、12.3±0.1、18.8±0.1、19.9±0.1、22.6±0.1、24.6±0.1、26.2±0.1及び29.9±0.1度、又は、10.0、7.2、4.7、4.4、3.9、3.6、3.4及び3.0Å(d間隔)に見いだされる。
【0043】
当業者は、これらの特徴的な2θ角ピークから形態7を同定することが可能であるが、場合によっては、式(I)で表される形態7の化合物を同定するするために付加的な2θ角又はd間隔を当てにすることが望ましいこともあり得る。
【0044】
式(I)で表される形態7の化合物は、典型的には、上記ピークの他にも2θ角ピークを示す。例えば、式(I)で表される形態7の化合物は、本質的に以下の位置に2θ角ピークを示し得る:10.2±0.1、12.9±0.1、14.6±0.1、14.8±0.1、16.0±0.1、16.4±0.1、20.1±0.1、20.4±0.1、22.9±0.1、25.0±0.1、25.5±0.1度、又は、約8.7、6.8、6.1、6.0、5.5、5.4、4.4、4.3、3.9、3.5、3.4Å(d間隔)。
【0045】
一態様においては、式(I)で表される形態7の化合物を同定するために、上記のうちの少なくとも5、特に7、より特定的には上記の全てを用いる。
【0046】
当業者は、式(I)で表される形態7の化合物のXRPDパターンの上記特徴的な特性に基づいて、形態7を容易に同定することができる。本明細書中に記載されている方法を用いて得られた式(I)で表される形態7の化合物のサンプルのXRPDパターンがさらなるピークを示し得るということは、当業者には理解されるであろう。
【0047】
上記で報告されている2θ角の帰属及びd間隔のそれぞれには、多少の誤差範囲が存在している。d間隔の測定における誤差は、回折走査角を増大させるか又はd間隔を低減するにつれて低減する。上記2θ角における誤差の範囲は、上記ピークの帰属のそれぞれに対して約±0.1度である。
【0048】
当該2θ角の帰属及びd間隔において、多少の誤差範囲は許容されるので、式(I)で表される化合物のサンプルの特定の形態を同定するためにXRPDパターンを比較する好ましい方法は、当該未知サンプルのXRPDパターンを既知形態のXRPDパターンの上にオーバーレイすることである。例えば、当業者は、本明細書中に記載されている方法を用いて得られた、式(I)で表される化合物の未知サンプルについてのXRPDパターンを、図2の上にオーバーレイすることが可能であり、そして、当技術分野における知識と経験を用いて、当該未知サンプルのXRPDパターンが式(I)で表される化合物の形態7のXRPDパターンと実質的に同一であるかどうかについて容易に決定することができる。そのXRPDパターンが図2と実質的に同一であった場合、それまでは未知であった当該形態は、容易に且つ正確に、形態7であると同定され得る。
【0049】
示差走査熱量測定(DSC)は、冷凍冷却装置(refrigerated cooling system)が装備されているTA Instruments Q1000 Differential Scanning Calorimeterで実施した。
【0050】
DSCサーモグラムは、示差加熱速度(differential rate of heating)(ワット/秒)を温度に対してプロットする。式(I)で表される化合物の形態7のDSCサーモグラムは、133℃±2においてシャープな吸熱を示し、これは、溶融に対応している。このピークを積分することによって求められた融解エンタルピーは、102J/g±5である。
【0051】
用いる特定の装置と皿の形状、分析者のサンプル調製技術及サンプルサイズに基づいて、観察されるピークにおける僅かな変動は予期される。上記で報告されているピークの帰属には、多少の誤差範囲が存在している。その誤差範囲は、最大ピークに関しては、約±2℃であり、融解熱に関しては、±5J/gである。
【0052】
当業者は、未知サンプルのDSCサーモグラムが式(I)で表される化合物の形態7のDSCサーモグラムと実質的に同一であるかどうかについて決定することができる。当該DSCサーモグラムが図3と実質的に同一であり且つそのピーク位置及び算出された融解熱が形態7のピーク位置及び算出された融解熱と実質的に同一であった場合、それまでは未知であった当該形態は、容易に且つ正確に、形態7であると同定され得る。
【0053】
固体核磁気共鳴(SSNMR)は、式(I)で表される形態7の化合物の物理的特性を同定するためのさらに別の慣習的な分析技術である。形態7のSSNMRは、分析化学及び物理的特性付けの分野の当業者には知られている慣習的な装置及び技術を用いて求められる。
【0054】
図4の固体NMRスペクトルは、399.87MHzのプロトン周波数で作動するBruker Avance 400システムで得られた。Bruker 4-mm 三重共鳴マジック角回転(MAS)プローブを用いた。約25mgのサンプルを4-mm アウター・ロータの中に入れ、ドライブチップで密封し、能動制御下、8kHz+/-2Hzで回転させた。プロトンから炭素-13原子核までの交差分極を用いて、感度を増大させた。2-msの接触時間及びパワーランプを用いた[1]。スピニングサイドバンドは、5-パルス TOSS(全サイドバンド抑制(total suppression of sidebands))パルス系列を用いて抑制した[2]。1Hデカップリングは、TPPMデカップリングパルス系列を用いて〜105kHzで実施した[3]。スペクトルは、第2の外部炭素-13基準としてヘキサメチルベンゼンを使用し、テトラメチルシラン(TMS)と関連づけた[4]。本明細書中に示されているスペクトルは、10秒の緩和遅延を用いた約1600の平均走査の結果である。化学シフト(ppm)(x軸)が強度(y軸)に対してプロットされている。
【0055】
式(I)で表される形態7の化合物は、17.4、67.5、125.1、157.7及び167.4+/-0.2ppmに共鳴を有する固体炭素-13NMRスペクトルによって特性付けられる。
【0056】
式(I)で表される形態7の化合物は、上記ピークの他にも共鳴を示す。例えば、式(I)で表される形態7の化合物は、本質的に以下の位置で共鳴を示し得る:14.3、32.5、111.1、126.7、128.8、130.1、133.0、135.7、136.3、136.8、152.6及び170.8+/-0.2ppm。
【0057】
用いる特定の分光計及び分析者のサンプル調製技術に基づいて、観察される化学シフトにおける僅かな変動は予期される。上記で報告されている化学シフトのそれぞれには、多少の誤差範囲が存在している。上記化学シフトにおける誤差範囲は、約±0.2ppmである。
【0058】
当該化学シフトの帰属において、多少の誤差範囲は許容されるので、式(I)で表される化合物のサンプルの特定の形態を同定するためにSSNMRスペクトルを比較する好ましい方法は、当該未知サンプルのSSNMRスペクトルを既知形態のSSNMRスペクトルの上にオーバーレイすることである。当業者は、本明細書中に記載されている方法を用いて得られた、式(I)で表される化合物の未知サンプルについてのSSNMRスペクトルを、図4の上にオーバーレイすることが可能であり、そして、当技術分野における知識と経験を用いて、当該未知サンプルのNMRスペクトルが式(I)で表される形態7の化合物のNMRスペクトルと実質的に同一であるかどうかについて容易に決定することができる。
【0059】
[1] G. Metz, X. Wu, S. O. Smith, J. Magn. Reson. A 110 (1994) 219-227;
[2] O. N. Antzutkin, Prog. NMR Spectros. 35 (1999) 203-266;.
[3] A. E. Bennett, C. M. Rienstra, M. Auger, K. V. Lakshmi, R. G. Griffin, J. Chem. Phys. 103 (1995) 6951-6958;
[4] W. L. Earl, D. L. Vanderhart, J. Magn. Reson. 48 (1982) 35-54。
【0060】
上記分析技術は、いずれも、式(I)で表される化合物の特定の形態を同定するために、単独で使用可能であるか、又は、組み合わせて使用可能である。さらに、式(I)で表される形態7の化合物の特徴を同定するために、物理的特性付けの別の方法も用いることができる。結晶形態又は溶媒和物の物理的特性付け又は同定に有用であることが当業者に知られている適切な技術の例としては、限定するものではないが、融点及び熱重量分析などがある。これらの技術は、バラシクロビル塩酸塩の未知形態のサンプルを特性付けるために、また、形態7を式(I)で表される化合物の別の形態と識別するために、単独で使用し得るか、又は、別の技術と組み合わせて使用し得る。
【0061】
本発明は、実質的に純粋な形態にある式(I)で表される形態7の化合物、及び、式(I)で表される化合物の別の形態と混合されている式(I)で表される形態7の化合物の両方を包含する。「実質的に純粋な」は、当該組成物が、当該組成物中の式(I)で表される化合物のその他の形態と比較して少なくとも90%の式(I)で表される形態7の化合物(特に、少なくとも95%の式(I)で表される形態7の化合物、一実施形態では、少なくとも97%の式(I)で表される形態7の化合物)を含んでいることを意味する。
【0062】
治療で使用するために、本発明による式(I)で表される形態7の化合物は(単独で、又は、式(I)で表される化合物の別の形態と混合された状態で)、原料の化学薬品として投与することもできるが、当該活性成分を医薬組成物として供することも可能である。従って、本発明は、さらに、式(I)で表される形態7の化合物及び製薬上許容される1種類以上の担体、希釈剤又は賦形剤を含んでいる医薬組成物を提供する。該担体、希釈剤又は賦形剤は、当該組成物中の残りの成分と適合性であり且つ当該組成物を受けるレシピエントに対して有害ではないという意味において、許容されるものでなくてはならない。本発明の別の態様により、医薬組成物を調製する方法も提供され、ここで、該方法は、式(I)で表される形態7の化合物を製薬上許容される1種類以上の担体、希釈剤又は賦形剤と混合させることを含む。
【0063】
医薬組成物は、単位用量当たり所定量の活性成分を含有する単位投与形態として提供し得る。そのような単位は、治療しようとする状態、投与経路、並びに、患者の年齢、体重及び状態に応じて、例えば、0.5mg〜1g、好ましくは、1mg〜700mg、さらに好ましくは、5mg〜100mgの活性成分を含有し得るか、又は、医薬組成物は、単位用量当たり所定量の活性成分を含有する単位投与形態として提供し得る。好ましい単位投与量組成物は、活性成分の上記で述べたような一日用量若しくは用量以下の量又はその適切な分割量を含有する組成物である。さらに、そのような医薬組成物は、製薬の技術分野でよく知られている方法のいずれかにより調製することができる。
【0064】
医薬組成物は、適切ないずれかの経路、例えば、経口経路(これは、口腔内経路又は舌下経路を包含する)、直腸内経路、鼻腔内経路、局所経路(これは、口腔内経路、舌下経路又は経皮経路を包含する)、膣内経路又は非経口経路(これは、皮下経路、筋肉内経路、静脈内経路又は皮内経路を包含する)などによる投与に適合させることができる。そのような組成物は、製薬の技術分野で知られているいずれかの方法により、例えば、活性成分を担体又は賦形剤と組み合わせることにより、調製することができる。
【0065】
経口投与に適合させた医薬組成物は、カプセル剤若しくは錠剤のような個別単位;散剤若しくは顆粒剤;水性若しくは非水性液体中の溶液剤若しくは懸濁液剤;食用泡状剤若しくはホイップ剤;又は、水中油型液体エマルション剤若しくは油中水型液体エマルション剤として提供することができる。
【0066】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態で経口投与する場合、該活性薬物成分を、エタノール、グリセロール及び水などのような経口用の無毒性で製薬上許容される不活性担体と組合せることができる。散剤は、該化合物を適切な微細な寸法に粉砕し、同様に粉砕した食用炭水化物(例えば、デンプン又はマンニトール)などの製薬用担体と混合させることにより調製する。矯味矯臭剤、保存剤、分散剤及び着色剤を存在させることもできる。
【0067】
カプセル剤は、上述したように粉末混合物を調製し、形成させておいたゼラチンシースに充填することにより作製する。充填操作の前に、コロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は固体状ポリエチレングリコールなどの滑沢剤及び流動促進剤を前記粉末混合物に添加することができる。寒天、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウムなどの可溶化剤又は崩壊剤を添加して、カプセル剤が摂取されたときの薬物の有効性を改善することもできる。
【0068】
さらに、所望又は必要であれば、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤もまた上記混合物中に組み入れることができる。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然の糖類、例えば、グルコース又はβ-ラクトース、トウモロコシ甘味剤、天然ゴム及び合成ゴム、例えば、アラビアゴム、トラガカントゴム又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びワックスなどを挙げることができる。上記投与形態に用いられる滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム及び塩化ナトリウムなどを挙げることができる。崩壊剤としては、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト及びキサンタンガムなどを挙げることができる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、造粒又はスラッギングし、滑沢剤及び崩壊剤を加え、圧縮成形して錠剤とすることにより製剤する。粉末混合物は、適切に粉砕した該化合物を、上記希釈剤又は基剤と混合させ、さらに、場合により、結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン又はポリビニルピロリドン、溶液抑制剤(solution retardant)、例えば、パラフィン、吸収促進剤、例えば、4級塩、及び/又は、吸収剤、例えば、ベントナイト、カオリン又はリン酸二カルシウムなどと混合させることにより調製する。前記粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アカジア粘質物(acadia mucilage)又はセルロース物質若しくはポリマー物質の溶液などの結合剤で湿らせ、スクリーンを通して押し出すことによって造粒することができる。造粒するための別法として、前記粉末混合物を錠剤機に通すことができるが、それによって得られたものは形成の不完全なスラグであり、砕いて顆粒にする。この顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク又は鉱油を添加することによって滑沢化して、錠剤形成ダイに付着するのを防ぐことができる。次いで、滑沢化された前記混合物を圧縮して錠剤とする。本発明の化合物は、さらにまた、易流動性の不活性担体と組合せて、造粒ステップ又はスラッギングステップを経ることなく直接圧縮して錠剤とすることもできる。セラックのシーラー(sealing coat)からなる透明又は不透明の保護コーティング、糖又はポリマー物質のコーティング、及び、ワックスのつや出しコーティングを施すことができる。異なる単位投与量を識別するために、これらのコーティングに染料を添加することができる。
【0069】
溶液剤、シロップ剤及びエリキシル剤などの経口用液体は、所定量が予め定められた量の該化合物を含むように投与単位形態として調製することができる。シロップ剤は、適切に矯味した水溶液に該化合物を溶解させることによって調製することができ、また、エリキシル剤は、無毒性のアルコール系ビヒクルを使用することにより調製する。懸濁液剤は、該化合物を無毒性ビヒクルに分散させることによって製剤することができる。エトキシル化イソステアリルアルコールやポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤及び乳化剤、保存剤、ペパーミント油などの着香添加剤、又は、天然甘味剤若しくはサッカリン若しくは別の人工甘味剤なども添加することができる。
【0070】
適切な場合には、経口投与用の投薬単位組成物をマイクロカプセル化することができる。この組成物は、さらにまた、例えば、粒状物質にコーティングを施すか又は粒状物質をポリマー若しくはワックスなどに包埋することにより、放出が延長又は持続されるように調製することもできる。
【0071】
該活性成分は、さらにまた、単ラメラ小胞、大単ラメラ小胞及び多重ラメラ小胞などのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンなどの種々のリン脂質から形成させることができる。
【0072】
該活性成分は、さらにまた、該化合物分子が結合している個々の担体としてのモノクローナル抗体を使用することにより送達することもできる。該化合物は、さらにまた、ターゲッティング可能な薬物担体としての可溶性ポリマーと結合させてもよい。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール又はパルミトイル残基で置換されているポリエチレンオキシドポリリシンなどを挙げることができる。さらに、該化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用なある種の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリε-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及び、ヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロック共重合体などに結合させてもよい。
【0073】
経皮投与に適合させた医薬組成物は、長期間にわたりレシピエントの表皮と密接に接触した状態のままでいることを意図した個別の貼付剤として提供することができる。例えば、該活性成分は、「Pharmaceutical Research, 3(6), 318(1986)」に概説されているように、イオン導入法によりパッチから送達させることができる。
【0074】
局所投与に適合させた医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁液剤、ローション剤、粉末剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エーロゾル剤又は油剤として製剤することができる。
【0075】
眼の治療、又は、他の外部組織、例えば、口や皮膚などの治療に関しては、該組成物は、好ましくは、局所用軟膏剤又はクリーム剤として適用する。軟膏剤として製剤する場合、該活性成分をパラフィン系軟膏基剤又は水混和性軟膏基剤のいずれかと一緒に使用し得る。あるいは、該活性成分を、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤を有するクリーム中で製剤することもできる。
【0076】
眼への局所投与に適合させた医薬組成物としては、該活性成分が適切な担体(特に、水性溶媒)に溶解又は懸濁されている点眼剤などがある。
【0077】
口内への局所投与に適合させた医薬組成物としては、ロゼンジ剤、パステル剤及び口内洗浄剤などがある。
【0078】
直腸内投与に適合させた医薬組成物は、坐剤又は浣腸剤として提供することができる。
【0079】
鼻内投与用又は吸入投与用の投与形態は、好都合には、エーロゾル剤、溶液剤、滴剤、ゲル剤又は乾燥粉末剤として製剤することができる。
【0080】
担体が固体である鼻内投与に適合させた医薬組成物としては、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する、粗粉末剤などがあり、この粗粉末剤は、鼻から吸い込む方法により、即ち、鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻腔を介して急速に吸入することにより投与される。鼻内噴霧剤又は点鼻剤として投与するための、担体が液体である適切な組成物としては、該活性成分の水性溶液剤又は油性溶液剤などがある。
【0081】
吸入による投与に適合させた医薬組成物としては、種々のタイプの定量加圧式エーロゾル、噴霧器又は吹き入れ器により生成させ得る微粒子ダスト剤又はミスト剤などがある。
【0082】
吸入により投与するためには、本発明の化合物は、好都合には、噴霧用組成物の形態で送達する。噴霧用組成物は、例えば、噴霧療法などのための水溶液若しくは水性懸濁液として製剤し得るか、又は、適切な液化噴射剤を用いて定量吸入器などの加圧パックから送達されるエーロゾルとして製剤し得る。吸入に適したエーロゾル組成物は、懸濁液又は溶液のいずれかであることが可能であり、そして、一般に、本発明の化合物と、適切な噴射剤、例えば、フルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボン又はそれらの混合物、特に、ヒドロフルオロアルカン、とりわけ、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン又はそれらの混合物を含有することができる。該エーロゾル組成物は、場合により、当技術分野でよく知られている付加的な製剤用賦形剤、例えば、界面活性剤、例えば、オレイン酸又はレシチン、及び、共溶媒、例えば、エタノールなどを含んでいてもよい。
【0083】
吸入器又は吹き入れ器で使用するためのカプセル剤又はカートリッジ剤(例えば、ゼラチン製のカプセル剤又はカートリッジ剤)は、本発明の化合物と適切な粉末基剤(例えば、乳糖又はデンプン)からなる吸入用の粉末混合物を含ませて製剤することができる。あるいは、本発明の化合物は、乳糖などの賦形剤なしで供することもできる。
【0084】
エーロゾル製剤は、好ましくは、エーロゾルの「一吹き(puff)」又は計量供給された各用量が特定量の本発明化合物を含んでいるようにように配置する。投与は、1日当たり1回、又は、1日当たり数回、例えば、2回、3回、4回又は8回であることができ、1回当たり、1用量、2用量又は3用量を投与する。吸入器又は吹き入れ器中のカプセル又はカートリッジによって送達される計量供給用量又は総体的な1日用量は、一般に、エーロゾル製剤を用いた場合の2倍である。
【0085】
膣内投与に適合させた医薬組成物は、膣坐剤、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、発泡剤又は噴霧製剤として提供することができる。
【0086】
非経口投与に適合させた医薬組成物としては、酸化防止剤、バッファー、静菌剤、及び該製剤を意図されたレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有していてもよい水性及び非水性の無菌注射用溶液剤;並びに、懸濁化剤及び粘稠化剤を含んでいてもよい水性及び非水性の無菌懸濁液剤などがある。該組成物は、単位用量又は複数回分の用量の容器(例えば、密封したアンプル及びバイアル瓶など)に入れて提供し得る。また、該組成物は、使用直前に無菌の液体担体(例えば、注射用蒸留水など)を加えることのみが必要とされる凍結乾燥状態で保存することができる。即製の注射用溶液及び懸濁液は、無菌の散剤、顆粒剤及び錠剤から調製することができる。
【0087】
上記で特に言及した成分に加えて、該組成物には、その組成物のタイプを考慮して、当技術分野で慣用の別の作用物質を含ませてもよいことは理解されるべきである。例えば、経口投与に適する組成物には、矯味矯臭剤を含ませることができる。
【0088】
活性成分の治療上有効な量は、多くの要因(例えば、当該動物の年齢及び体重、治療を必要としている当該状態及びその重症度、当該製剤の種類、並びに、投与経路など)に依存し、最終的には、担当の医師又は獣医師の裁量による。しかしながら、活性成分の有効量は、一般に、1日当たり、レシピエント(哺乳動物)の体重1kg当たり、0.1〜100mgの範囲、より一般的には、1日当たり、体重1kg当たり、1〜10mgの範囲内にある。従って、70kgの哺乳動物成体の場合、1日当たりの実際の量は、通常、70〜700mgであろう。この量は、1日当たり1回の投与で投与され得るか、又は、より一般的には、総1日用量が同じになるように、サブ用量を1日当たり複数回(例えば、2回、3回、4回、5回又は6回)で投与され得る。その塩若しくは溶媒和物又は生理学的に機能的な誘導体の有効量は、活性成分の有効量のある割合として決定することができる。
【0089】
式(I)で表される化合物(その形態7誘導体を包含する)は、hPPARを活性化する結果としての有用性を有すると考えられる。
【0090】
かくして、本発明は、薬物療法で使用するための、特に、ヒトPPARが介在する疾患の治療において使用するための、式(I)で表される形態7の化合物を提供する。
【0091】
hPPARが介在する疾患又は状態としては、脂質異常症(これは、関連する糖尿病性脂質異常症及び混合型脂質異常症を包含する)、X症候群(これは、本出願において定義されているように、メタボリックシンドロームを包含する)、心不全、高コレステロール血症、心血管疾患(これは、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症及び高トリグリセリド血症を包含する)、II型糖尿病、I型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、肥満、炎症、上皮過増殖性疾患(これは、湿疹及び乾癬を包含する)、並びに、病気(例えば、肥満、神経性過食症及び神経性無食欲症、癌、アルツハイマー病、多発性硬化症又は別の認知障害など)を患っている患者における食欲と摂食の調節及び肺及び消化管に関連した状態などを挙げることができる。特に、本発明の化合物は、糖尿病並びに心血管の疾患及び状態(これは、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、高トリグリセリド血症及び混合型脂質異常症を包含する)の治療及び予防において有用である。
【0092】
本発明のさらなる態様は、hPPARが介在する疾患を患っている哺乳動物を治療する方法を提供し、ここで、該方法は、当該患者に式(I)で表される形態7の化合物を投与することを含む。
【0093】
本発明のさらなる態様は、hPPARが介在する疾患を治療するための薬物の調製における式(I)で表される化合物の形態7の使用を提供する。
【0094】
本発明で使用するための式(I)で表される形態7の化合物は、別の治療薬、例えば、スタチン類及び/又は別の脂質低下薬(例えば、MTP阻害薬及びLDLRアップレギュレーター)などと組み合わせて使用することができる。本発明の化合物は、さらにまた、抗糖尿病薬、例えば、メトホルミン、スルホニル尿素類及び/又はPPARγ、PPARα若しくはPPARα/γ作動薬(例えば、チアゾロジンジオン類、例えば、ピオグリタゾン及びロシグリタゾン)などと組み合わせて使用することもできる。本発明の化合物は、さらにまた、抗高血圧薬、例えば、アンギオテンシン拮抗薬(例えば、テルミサルタン)、カルシウムチャネル拮抗薬(例えば、ラシジピン)及びACE阻害薬(例えば、エナラプリル)などと組み合わせて使用することもできる。かくして、本発明は、さらなる態様において、hPPARが介在する疾患の治療における、式(I)で表される形態7の化合物とさらなる治療薬を含む組合せの使用を提供する。
【0095】
式(I)で表される形態7の化合物を別の治療薬と組み合わせて使用する場合、それら化合物は、都合のよいいずれかの経路により、順次に又は同時に投与することができる。
【0096】
上記組合せは、好都合には、医薬組成物の形態で使用するために供することができる。かくして、場合により製薬上許容される担体又は賦形剤と一緒に上記で定義されている組合せを含んでいる医薬組成物は、本発明のさらなる態様を構成する。そのような組合せの個々の成分は、別々の医薬組成物又は複合医薬組成物に含ませて、順次に又は同時に投与することができる。
【0097】
同一の組成物中で組み合わせる場合、当該2種類の化合物が、安定でなくてはならないこと並びに互いに及び当該組成物中のその他の成分と適合性を有していなくてはならないこと、また、当該2種類の化合物を投与用に製剤し得ることは、理解されるであろう。別々に製剤する場合は、好都合にはそのような化合物について当技術分野で知られている方法で、都合のよい任意の組成物に含ませて提供することができる。
【0098】
式(I)で表される形態7の化合物を、hPPARが介在する同じ疾患に対して有効な第2の治療薬と組み合わせて使用する場合、各化合物の用量は、その化合物を単独で用いた場合の用量とは異なり得る。当業者は、適切な用量を容易に認識するであろう。
【実施例】
【0099】
以下の実施例は、例証することのみを目的としており、決して、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0100】
式(I)で表される化合物は、WO 01/00603に記載されている方法で調製することができるか、又は、以下の合成経路によって調製することができる。
【化2】

【0101】
段階3(形態7の単離)は、水性イソプロパノールから蒸発させることにより、実施することができる。特に、これは、実験室規模での手順であり、水性イソプロパノール中でゆっくりと冷却することによる結晶化を用いている。
【0102】
規模拡大に適した調製方法では、反応容器に、N2下、式(I)で表される化合物(1.0wt、1当量)、イソプロパノール(4.75vol)及び水(3vol)を入れる。その混合物を約70℃まで昇温させ、約5分間維持して固体を溶解させる。次いで、その溶液を、インライン濾過カートリッジ(30μm)を介して、独立した真空状態を用いて第2の反応容器(ここで、該反応容器は、予め55℃に加熱してある)に移す。第1の反応容器及び濾過ラインをイソプロパノール(0.25vol)ですすぎ洗いして、受け容器に入れる。濾過された溶液を約70℃まで再度昇温させ、完全に溶解されていることが観察されるまで約5分間維持する。その溶液を、次に、約-0.5℃/分の速度で約57℃まで冷却する。次に、形態7の結晶種(形態7の形態を有する結晶種、0.005wt)をIPA中のスラリーとして加える。次に、そのバッチを57℃に約50分間維持する。次に、そのバッチを約-0.1℃/分の速度で約50℃まで冷却し、次に、-0.2℃/分の速度で40℃まで冷却する。次に、そのバッチを-0.5℃/分の速度で約10℃まで冷却する。バッチの温度を約10℃に少なくとも30分間維持する。濾過N2のもとで、生成物を濾過により集める。得られたケーキを、予め濾過してある冷IPA/水(5:3)(2vol)で洗浄する。得られた生成物を、一晩又は恒量になるまで、減圧下に約55℃で乾燥させる。期待される収率:90〜95%。
【0103】
赤外(IR)分光法
IR分析は、Sens IR Durascope DATR(Diamond Attenuated Total Reflectance)付属品が装備されているNicolet 550 Magna-IR上で実施した。
【0104】
約2mgのサンプルをダイヤモンド製プローブの上に置き、スライドガラスを用いて平板化した。下にあるサンプルがプローブと良好に接触することを保証するために、そのスライドガラスの上に圧力をかけた(Durascope上で圧力付与装置を使用)。64の同時に加えた走査(co-added scans)を4cm-1の分解能で収集した。バックグランドは、サンプルを用いずに、上記付属品で収集した。
【0105】
式(I)で表される化合物の形態7のDATRによって得られたIRスペクトル中に観察される代表的なピークは、以下のとおりである:2977、2953、2937、1747、1715、1489、1447、1407、1323、1299、1240、1219、1187、1170、1122、1102、1068、1061、1010、894、873、841、811、747cm-1
【0106】
上記ピークの帰属における誤差の範囲は、約±2cm-1である。
【0107】
X線粉末回折(XRPD)
図2の回折パターンは、Philips X'Celerator Real Time Multi Strip(RTMS)検出器が装備されているPhilips X'Pert Pro回折計上で、銅Kα線を用いて得た。サンプルをゼロバックグランドホルダーに入れ、以下の取得パラメータを用いて、2から40°2θまで走査した:40mA、40kV、0.017°2θステップ、40sステップ時間。分析中は、サンプルを25rpmで回転させた。
【0108】
式(I)で表される化合物の形態7の粉末サンプルを用いて、図2のXRDパターンを得た。
【0109】
式(I)で表される化合物の形態7は、8.8、12.3、18.8、19.9、22.6、24.6、26.2及び29.9度、又は、10.0、7.2、4.7、4.4、3.9、3.6、3.4及び3.0Å(d間隔)にある特定の特徴的な2θ角ピークによって同定することができる。
【0110】
さらに、2θ角ピークは、本質的に以下の位置に存在している:10.2、12.9、14.6、14.8、16.0、16.4、20.1、20.4、22.9、25.0及び25.5度、又は、約8.7、6.8、6.1、6.0、5.5、5.4、4.4、4.3、3.9、3.5、3.4Å(d間隔)。
【0111】
上記2θ角における誤差範囲は、上記ピークの帰属のそれぞれに対して、約±0.1度である。
【0112】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCは、冷凍冷却装置が装備されているTA Instruments Q1000 Differential Scanning Calorimeterで実施した。軽く蓋をしてあるアルミニウム製皿の中で、10℃/分の加熱速度を用いて、サンプルを25℃から350℃まで加熱した。
【0113】
式(I)で表される化合物の形態7のDSCサーモグラムは、133℃においてシャープな吸熱を示し、これは、溶融に対応している。このピークを積分することによって求められた融解エンタルピーは、102J/gであった。
【0114】
その誤差範囲は、最大ピークに関しては、約±2℃であり、融解熱に関しては、±5J/gである。
【0115】
固体核磁気共鳴(SSNMR)
図4の固体NMRスペクトルは、回転速度8kHz+/-2Hz及び緩和遅延10秒を用いてプロトン周波数399.87MHzで作動するBruker Avance 400分光計で273Kで得た。
【0116】
式(I)で表される化合物の形態7は、17.4、67.5、125.1、157.7及び167.4+/-0.2ppmに共鳴を有する固体炭素-13NMRスペクトルによって特性付けられる。
【0117】
式(I)で表される形態7の化合物は、上記ピークの他にも共鳴を示す。例えば、式(I)で表される形態7の化合物は、本質的に以下の位置で共鳴を示し得る:14.3、32.5、111.1、126.7、128.8、130.6、133.0、135.7、136.3、136.8、152.6及び170.8+/-0.2ppm。
【0118】
上記ピークの帰属における誤差範囲は、約±0.2ppmである。
【0119】
この詳細な説明及び特許請求の範囲がその一部分を構成している本出願は、この後に続く任意の出願に関して、優先権の基礎として用いることができる。この後に続くそのような出願の特許請求の範囲は、本明細書に記載されている態様のうちの任意の態様又は態様の組合せを対象とすることができる。それらは、物、組成物、プロセス又は使用のクレームの形態を取ることができ、また、限定するものではないが、例えば、本出願に添付されている特許請求の範囲を包含することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の式(I)で表される化合物の形態7のIRスペクトルを示す図である。x軸は、波数(cm-1)であり、y軸は、反射率(%)である。該IRスペクトルは、本明細書中に記載されている手順に準じて、Diamond Attenuated Total Reflectance FT-IR分光計を4cm-1の分解能で用いて得られる。
【図2】本発明の式(I)で表される化合物の形態7のXRDパターンを示す図である。該XRDパターンは、2θ角で表してあり、本明細書中に記載されている手順に準じて、銅Kα線を用いる回折計で得られる。
【図3】本発明の式(I)で表される化合物の形態7の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す図である。該DSCは、本明細書中に記載されている手順に準じて、軽く蓋をしてあるアルミニウム製皿を用いて、1分間当たり10℃の走査速度で実施した。
【図4】本発明の式(I)で表される化合物の形態7の炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルを示す図である。該スペクトルは、プロトン周波数399.87MHz、回転速度8kHz及び緩和遅延10秒で作動する分光計で273Kで得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1と実質的に同一の赤外(IR)吸収スペクトル(ここで、該IR吸収スペクトルは、Diamond Attenuated Total Reflectance FT-IR分光計を4cm-1の分解能で用いて得られる)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【請求項2】
本明細書中に記載されている手順に準じてDiamond Attenuated Total Reflectance FT-IR分光計を4cm-1の分解能で用いて得られるIR吸収スペクトルであって、2977±2、2953±2、2937±2、1747±2、1715±2、1489±2、1447±2、1407±2、1323±2、1299±2、1240±2、1219±2、1187±2、1170±2、1122±2、1102±2、1068±2、1061±2、1010±2、894±2、873±2、841±2、811±2及び747±2cm-1からなる群から選択される5以上の位置にピークを含んでいる前記IR吸収スペクトルを特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【請求項3】
本明細書中に記載されている手順に準じてDiamond Attenuated Total Reflectance FT-IR分光計を4cm-1の分解能で用いて得られるIR吸収スペクトル(ここで、該IR吸収スペクトルは、1187±2、1122±2、1010±2、811±2及び747±2cm-1にピークを含んでいる)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【請求項4】
図2と実質的に同一のX線粉末回折(XRD)パターン(ここで、該XRDパターンは、銅Kα線を用いる回折計で得られ、2θ角で表される)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【請求項5】
本明細書中に記載されている手順に準じて銅Kα線を用いる回折計で得られる2θ角で表されるXRDパターンであって、8.8±0.1、12.3±0.1、18.8±0.1、19.9±0.1、22.6±0.1、24.6±0.1、26.2±0.1及び29.9±0.1度からなる群、又は、10.0、7.2、4.7、4.4、3.9、3.6、3.4及び3.0Å(d間隔)からなる群から選択される4以上の位置に2θ角を含んでいる前記XRDパターンを特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【請求項6】
図3と実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(ここで、該DSCは、軽く蓋をしてあるアルミニウム製皿を用いて1分間当たり10℃の走査速度で実施された)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【請求項7】
図4と実質的に同一の炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトル(ここで、該スペクトルは、プロトン周波数399.87MHz、回転速度8kHz及び緩和遅延10秒で作動する分光計で273Kで得られた)を特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【請求項8】
プロトン周波数399.87MHz、回転速度8kHz及び緩和遅延10秒で作動する分光計で273Kで得られた炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルであって、17.4、67.5、125.1、157.7及び167.4+/-0.2ppmにおいて共鳴を示す前記炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルを特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【請求項9】
図4と実質的に同一の炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルであって、プロトン周波数399.87MHz、回転速度8kHz及び緩和遅延10秒で作動する分光計で273Kで得られ、17.4、67.5、125.1、157.7、167.4、14.3、32.5、111.1、126.7、128.8、130.6、133.0、135.7、136.3、136.8、152.6及び170.8+/-0.2ppmにおいて共鳴を示す前記炭素-13固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルを特徴とする、式(I)で表される結晶性化合物。
【請求項10】
本発明の式(I)で表される化合物の形態7を含んでいる、医薬組成物。
【請求項11】
治療において使用するための、特に、1種類以上のヒトPPARが介在する疾患又は状態の治療において使用するための、本発明の式(I)で表される化合物の形態7。
【請求項12】
1種類以上のヒトPPARが介在する疾患又は状態を予防又は治療する方法であって、式(I)で表される化合物の形態7を投与することを含む、前記方法。
【請求項13】
1種類以上のヒトPPARが介在する疾患又は状態を治療又は予防するための薬物の調製における、式(I)で表される化合物の形態7の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−523132(P2009−523132A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549694(P2008−549694)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/060321
【国際公開番号】WO2007/127502
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】