説明

ラタノプロスト点眼剤

【課題】プロスタグランジン系緑内障治療薬であるラタノプロストは、樹脂製容器に吸着しやすく、また、その吸着は温度依存的であるため、長期間保存するためには冷蔵での保存が必須とされている。そこで、室温に保存した場合であっても長期間吸着を抑制し、有効成分であるラタノプロストが安定化した優れた点眼液を提供する。
【解決手段】点眼液にモノステアリン酸ポリエチレングリコールを吸着抑制剤として配合することにより、長期間有効成分の樹脂製容器への吸着を抑制でき、室温保存可能な安定性に優れた点眼液が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製容器に吸着しやすく、また、その吸着が温度依存的であるため、長期間保存するためには冷蔵での保存が必須とされているラタノプロストを有効成分とする点眼液において、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを配合することで、室温に保存した場合であっても長期間吸着を抑制し、有効成分であるラタノプロストが安定化した優れた点眼液に関する。
【背景技術】
【0002】
ラタノプロストは、イソプロピル−(Z)−7[(1R,2R,3R,5S)3,5−ヒドロキシ−2−[(3R)−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル]シクロペンチル)]−5−ヘプタノエートで表される、プロスタグランジン系緑内障治療剤である。ラタノプロストは、選択的FP受容体作動薬であり、房水の流出量を増加させることにより眼圧を下降させる(特許文献1参照)。0.005%ラタノプロスト含有点眼液(商品名:キサラタン点眼液、以下市販品と略記する)が市販されており、この市販品には、添加剤としてベンザルコニウム塩化物、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが配合されている。
【0003】
しかし、前記市販品は安定性が著しく低いため、貯法条件が遮光、且つ、2〜8℃の冷蔵とされている。
【0004】
【特許文献1】特許第2721414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロスタグランジン系緑内障治療薬であるラタノプロストは、樹脂製容器に吸着しやすく、また、その吸着は温度依存的であるため、長期間保存するためには冷蔵での保存が必須とされている。本発明は、室温に保存した場合であっても長期間吸着を抑制し、有効成分であるラタノプロストが安定化した優れた点眼液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明者らは、樹脂製容器への当該有効成分の吸着を抑制する添加剤について鋭意研究を行った。その結果、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを添加すると、ラタノプロストの含量低下を顕著に抑制でき、室温保存可能なラタノプロスト点眼液が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1>ラタノプロストを有効成分とした点眼液を、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを配合することにより、室温保存を可能とした安定な点眼液。
<2>モノステアリン酸ポリエチレングリコールを、1種または2種以上含む前記1の点眼液。
<3>モノステアリン酸ポリエチレングリコールの酸化エチレンの平均付加モル数が25および/または40である前記1乃至2記載の点眼液。
<4>モノステアリン酸ポリエチレングリコールが、モノステアリン酸ポリエチレングリコール25および/またはステアリン酸ポリオキシル40である前記1乃至3記載の点眼液。
<5>モノステアリン酸ポリエチレングリコールを0.05〜0.28%(w/v)含有する前記1乃至4記載の点眼液。
<6>モノステアリン酸ポリエチレングリコールを0.08〜0.2%(w/v)含有する前記1乃至4記載の点眼液。
<7>モノステアリン酸ポリエチレングリコールを0.08〜0.1%(w/v)含有する前記1乃至4記載の点眼液。
<8>モノステアリン酸ポリエチレングリコール25を0.05〜0.2%(w/v)とステアリン酸ポリオキシル40を0.08%(w/v)含有する前記1乃至4記載の点眼液。
<9>ラタノプロストの濃度が0.005%(w/v)以下である前記1乃至8記載の点眼液。
<10>樹脂製容器の材質が、ポリエチレン(以下、PEと略記する)である前記1乃至9記載の点眼液。
<11>モノステアリン酸ポリエチレングリコール25および/またはモノステアリン酸ポリエチレングリコール40を、単独または混合により配合することを特徴とするラタノプロストの容器への吸着抑制法。
【0008】
本発明の点眼液の調製には、前記モノステアリン酸ポリエチレングリコールの他、防腐剤、pH調整剤及び等張化剤等の添加剤を加えることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、樹脂製容器に吸着しやすく、また、その吸着が温度依存的であるため、長期間保存するためには冷蔵での保存が必須とされているラタノプロストを有効成分とする点眼液に、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを配合することにより、室温に保存した場合であっても長期間吸着を抑制し、有効成分であるラタノプロストが安定化した優れた点眼液を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の組成物は、樹脂製容器に吸着しやすく、また、その吸着が温度依存的であるため、長期間保存するためには冷蔵での保存が必須とされているラタノプロストと、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを含有し、さらに必要に応じてその他の成分を含有する。
【0011】
前記ラタノプロストの、本発明の組成物における含量としては、0.005%(w/v)以下が好ましい。
【0012】
本発明で用いられるモノステアリン酸ポリエチレングリコールとしては、例えば、第十六改正日本薬局方に記載されるステアリン酸ポリオキシル40、医薬品添加物規格2003に記載されるステアリン酸ポリオキシル45およびステアリン酸ポリオキシル55などの酸化エチレンの付加重合体のモノステアリン酸エステルが挙げられる。ステアリン酸ポリオキシル40を使用する場合には、眼科用剤としての最大使用量は0.8mg/gであるため、それ以下の濃度で使用することが好ましい(医薬品添加物事典2005、薬事日報社)。
【0013】
さらに、本発明で用いられるモノステアリン酸ポリエチレングリコールとしては、医薬品添加物規格2003に記載されるモノステアリン酸ポリエチレングリコールが挙げられ、酸化エチレンの平均付加モル数は2、4、10、25、30、40、45、55、100および140のものが知られ、主成分のポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステルのほかに、ポリエチレングリコールのジステアリン酸エステルおよび未反応のポリエチレングリコールを含有する。これらのものの眼科用剤としての最大使用量は30mg/mlであるため、それ以下の濃度で使用することが好ましい(医薬品添加物事典2005、薬事日報社)。
【0014】
本明細書で用いられる用語モノステアリン酸ポリエチレングリコールは、特に断りが無い場合は主成分としてポリエチレングリコールのモノステアリン酸エステルを含むものを意味し、ステアリン酸ポリオキシル40などの純度が高いものを含み、医薬品添加物規格2003に記載されるモノステアリン酸ポリエチレングリコールのみには限定されない。
【0015】
本発明の組成物は、本発明で用いられるモノステアリン酸ポリエチレングリコールを1種または2種以上含んでも良い。
【0016】
本発明で用いられるモノステアリン酸ポリエチレングリコールは、酸化エチレンの平均付加モル数が25または40であるモノステアリン酸ポリエチレングリコール25またはモノステアリン酸ポリエチレングリコール40が好ましい。
【0017】
本発明で用いられるモノステアリン酸ポリエチレングリコールは、0.05〜0.28%(w/v)添加することが好ましい。さらに好ましくは、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを0.08〜0.2%(w/v)添加すると良い。さらにより好ましくは、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを0.08〜0.1%(w/v)添加すると良い。また、モノステアリン酸ポリエチレングリコール25を添加する場合には、0.05〜0.2%(w/v)を添加することが好ましく、ステアリン酸ポリオキシル40を添加する場合には約0.08%(w/v)を添加することが好ましい。
【0018】
また、モノステアリン酸ポリエチレングリコールは複数の種類を混合することが好ましく、特に、ステアリン酸ポリオキシル40とモノステアリン酸ポリエチレングリコール25を混合することが好ましい。モノステアリン酸ポリエチレングリコールを混合する場合には、合計で0.13〜0.28%(w/v)になる濃度で混合することが好ましいが、60℃で4週間保存した後のラタノプロストの含量残存率が90%以上になるように調製すれば良く、この濃度に限定されない。
【0019】
なお、本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で各種の公知の添加剤、つまり、防腐剤、pH調整剤や緩衝剤、等張化剤などをさらに添加しても良い。前記添加剤の例には、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、グルコン酸クロルヘキシジンのような防腐剤、ホウ酸、ホウ砂、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなpH調整剤や緩衝剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、グリセリン、プロピレングリコール、マンニトールのような等張化剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
以下、本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。但し、下記実施例は本発明の1例に過ぎなく、本発明の権利範囲を限定するものではない。
【0021】
以下の実施例においては、モノステアリン酸ポリエチレングリコール25はポリエチレングリコールモノステアレート(25E.O.)(和光純薬工業株式会社)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール40はステアリン酸ポリオキシル40であるMYS−40MV(日本サーファクタント工業株式会社)を用いた。
【実施例1】
【0022】
生成される全体組成物の容量を100mlとするとき、下記の割合で各成分物質を混合することによって本発明による組成物を製造した(処方1)。

処方1の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25 0.03 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【0023】
前記各成分物質を混合して点眼液を製造する場合には、まず、前記成分物質のうち、モノステアリン酸ポリエチレングリコール25、濃ベンザルコニウム塩化物50、塩化ナトリウムを精製水で溶解し、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムを用いてpH6.7に調整し、基剤を得た。ラタノプロストを基剤で溶解することで製造した。
【実施例2】
【0024】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方2)。

処方2の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25 0.05 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例3】
【0025】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方3)。

処方3の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25 0.1 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例4】
【0026】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方4)。

処方4の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25 0.2 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例5】
【0027】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方5)。

処方5の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25 0.5 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例6】
【0028】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方6)。

処方6の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25 1 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例7】
【0029】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方7)。本実施例におけるモノステアリン酸ポリエチレングリコール25の濃度は、使用したポリエチレングリコールモノステアレート(25E.O.)の眼科用剤としての最大使用濃度である。

処方7の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25 3 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例8】
【0030】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方8)。

処方8の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール40 0.02 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例9】
【0031】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方9)。

処方9の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール40 0.04 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例10】
【0032】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方10)。本実施例におけるモノステアリン酸ポリエチレングリコール40の濃度は、使用したMYS−40MVの眼科用剤としての最大使用濃度である。

処方10の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール40 0.08 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例11】
【0033】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方11)。

処方11の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25 0.05 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール40 0.08 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例12】
【0034】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方12)。

処方12の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25 0.1 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール40 0.08 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【実施例13】
【0035】
本実施例でもまた、前記実施例1と同様な方法を用いて下記の割合で各成分物質を混合することによって、組成物を製造した(処方13)。

処方13の組成
ラタノプロスト 0.005 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25 0.2 g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール40 0.08 g
濃ベンザルコニウム塩化物50 4 g
塩化ナトリウム 0.9 g
リン酸水素二ナトリウム 適量
リン酸二水素ナトリウム 適量
精製水 適量

【0036】
比較例1
比較例として、市販の0.005%ラタノプロスト含有点眼液(商品名:キサラタン点眼液、ファイザー株式会社)を用いた。市販品の容器はPEである。
【0037】
以上のように調製した、本発明による組成物を3mLずつPE容器に充てん、密封し、60℃で保存した。比較例の市販品は、市販容器のまま同様に60℃で保存した。保存開始後4週間時まで経時的にサンプリングを行い、高速液体クロマトグラフィーによりラタノプロストの含量を測定し、残存率を算出した。表1にPE容器における4週間後の残存率を示す。
【0038】

【0039】
前記表1に示すように、モノステアリン酸ポリエチレングリコールの添加には、至適濃度が存在し、処方2、3、4、10、11、12及び13の実施例においては、60℃に4週間保存しても含量残存率がほぼ90%以上であり、室温保存においても吸着抑制が可能となることが確認された。すなわち、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを0.05〜0.28%(w/v)添加することで室温保存が可能であることが確認された。さらに具体的には、モノステアリン酸ポリエチレングリコール25を添加する場合には、0.05〜0.2%(w/v)を添加すれば良く、ステアリン酸ポリオキシル40であるモノステアリン酸ポリエチレングリコール40を添加する場合には約0.08%(w/v)を添加すれば良いことが確認された。
【0040】
さらに、驚くべきことに、処方11、12及び13のように複数のモノステアリン酸ポリエチレングリコールを混合することにより、非常に安定な点眼剤を調製可能であることが確認された。モノステアリン酸ポリエチレングリコールを混合する場合には、合計で0.05〜0.28%(w/v)になる濃度で混合することで、特に高い安定性を得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の組成物は、ラタノプロスト点眼液を安定化させる効果を示した。これはすなわち、緑内障に対して優れた治療効果を有するラタノプロストを安定させる製剤を開発することを可能とした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラタノプロストを有効成分とした点眼液を、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを配合することにより、室温保存を可能とした安定な点眼液。
【請求項2】
モノステアリン酸ポリエチレングリコールを、1種または2種以上含む請求項1の点眼液。
【請求項3】
モノステアリン酸ポリエチレングリコールの酸化エチレンの平均付加モル数が、25および/または40である請求項1乃至2記載の点眼液。
【請求項4】
モノステアリン酸ポリエチレングリコールが、モノステアリン酸ポリエチレングリコール25および/またはステアリン酸ポリオキシル40である請求項1乃至3記載の点眼液。
【請求項5】
モノステアリン酸ポリエチレングリコールを0.05〜0.28%(w/v)含有する請求項1乃至4記載の点眼液。
【請求項6】
モノステアリン酸ポリエチレングリコールを0.08〜0.2%(w/v)含有する請求項1乃至4記載の点眼液。
【請求項7】
モノステアリン酸ポリエチレングリコールを0.08〜0.1%(w/v)含有する請求項1乃至4記載の点眼液。
【請求項8】
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25を0.05〜0.2%(w/v)とステアリン酸ポリオキシル40を0.08%(w/v)含有する請求項1乃至4記載の点眼液。
【請求項9】
ラタノプロストの濃度が0.005%(w/v)以下である請求項1乃至8記載の点眼液。
【請求項10】
樹脂製容器の材質が、ポリエチレンである請求項1乃至9記載の点眼液。
【請求項11】
モノステアリン酸ポリエチレングリコール25および/またはモノステアリン酸ポリエチレングリコール40を、単独または混合により配合することを特徴とするラタノプロストの容器への吸着抑制法。

【公開番号】特開2009−40749(P2009−40749A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209552(P2007−209552)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000124269)科研製薬株式会社 (18)
【Fターム(参考)】