説明

時刻表作成装置

【課題】ユーザによる経路探索指示に応じて経路を探索し、探索した経路で利用される交通機関の乗車すべき車両の時刻を提示する装置において、提示した時刻の車両に乗車できない場合などにおいて再度の経路探索指示を不要にする。
【解決手段】ユーザがPCなどの端末装置の表示部の画面上で出発地、目的地、及び出発日時を入力し、経路探索指示を行うと、端末装置の表示部には経路探索結果が表示される。表示画面上の時刻表印刷ボタン51を押下すると、出発駅及び乗り継ぎ駅で乗車すべき車両の時刻及びその前後の所定範囲の時刻の時刻表が印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路を探索し、探索した経路上の交通機関の出発駅や乗り継ぎ駅における時刻表を作成する時刻表作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歩行者用のナビゲーション装置が普及している。このナビゲーション装置は、ユーザによる経路探索指示に応じて、出発地から目的地までの経路を探索する。そして、経路上で電車やバス等の公共交通機関を乗り継ぐ場合は、出発地で乗車すべき車両の時刻とともに、乗り継ぎ場所における乗車地点(乗り継ぎ先の鉄道の駅のホーム、バスの停留所など)から出発する車両の時刻(乗車すべき時刻)を提示する(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、上記従来のナビゲーション装置では、乗り継ぎ場所における乗車地点で乗車すべき車両の時刻については、乗り継ぎに要する時間、即ち乗り継ぎ場所における降車地点(乗り継ぎ元の鉄道の駅のホームなど)から乗車地点への移動時間を考慮して、ある程度の余裕時間が設定されているため、乗車すべき時刻の車両よりも前の時刻の車両に乗車できる場合がある。その一方で、混雑時などにおいては乗車すべき時刻の車両が満員であるために当該車両に乗車することを諦めて次の車両を待つこともある。このような場合には、乗車時刻(実際に乗車する時刻)が乗車すべき時刻と変わるために、ユーザは再度経路検索指示を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−107224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、こうした従来技術の問題点を解決するためになされたものである。その目的は、ユーザによる経路探索指示に応じて経路を探索し、探索した経路で利用される交通機関の乗車すべき車両の時刻を提示する装置において、提示した時刻の車両に乗車できない場合などにおいて再度の経路探索指示を不要にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の時刻表作成装置は、出発地、目的地、及び出発若しくは到着日時を含む経路探索条件を伴う経路探索指示に応じて、前記経路探索条件を満たす経路を探索する経路探索手段と、探索された経路上の交通機関の出発地及び乗り継ぎ場所で乗車すべき車両の時刻及びその前後の所定範囲の時刻の時刻表データを取得する時刻表データ取得手段と、取得された時刻表データに基づいて時刻表を出力する時刻表出力手段と、を備える時刻表作成装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザによる経路探索指示に応じて経路を探索し、探索した経路で利用される交通機関の乗車すべき車両の時刻を提示する装置において、提示した時刻の車両に乗車できない場合などにおける再度の経路探索指示を不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態の時刻表作成装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の時刻表作成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態の時刻表作成装置における経路探索条件入力画面を示す図である。
【図4】本発明の実施形態の時刻表作成装置における経路探索結果表示画面を示す図である。
【図5】図2における時刻表編集処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態の時刻表作成装置により作成された時刻表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
〈時刻表作成装置のシステム構成〉
図1に本発明の実施形態の時刻表作成装置のシステム構成を示す。この時刻表作成装置は、インターネットなどのネットワーク1を介して通信可能なサーバ10とPC(パーソナルコンピュータ)などの端末装置20とを備えている。端末装置20はプリンタ(印刷部26)を備えている。
【0010】
《端末装置の構成》
端末装置20は、制御部21と、それぞれが制御部21に接続された通信部22、記憶部23、操作部24、表示部25、及び印刷部26を備えている。
【0011】
制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を内蔵しており、ROMや記憶部23に記憶されているプログラムをCPUがRAMをワークエリアとして実行することにより、サーバ10に対して経路探索要求を行い、サーバ10からの経路探索結果や時刻表を表示部25に表示させる制御などを行う。
【0012】
通信部22は、ネットワーク1を介してサーバ10と通信を行うための手段である。記憶部23は、ハードディスクなどからなり、端末装置20のオペレーティングシステム、サーバ10に対する経路探索要求を行うプログラム、印刷部26の印刷制御を行うプログラムなどを記憶する。
【0013】
操作部24は、ユーザが端末装置20を使用するときに各種指令の入力を行うための手段であり、マウスやキーボードなどからなる。表示部25は、例えば液晶ディスプレイからなり、操作部24から入力された情報、経路探索結果、時刻表などを表示する。印刷部26はプリンタであり、サーバ10からの経路探索結果や時刻表などを印刷する。表示部25及び印刷部26は時刻表出力手段として機能する。
【0014】
《サーバの構成》
サーバ10は、制御部11と、制御部11に接続された通信部12及び記憶部13を備えている。
【0015】
制御部11は、図示しないCPU、ROM、及びRAMを内蔵しており、ROMに記憶されているプログラムをCPUがRAMをワークエリアとして実行することにより実現される機能として、経路探索手段14、時刻表データ取得手段15及び時刻表編集手段16を備えている。通信部12は、ネットワーク1を介して端末装置20と通信を行うための手段である。
【0016】
記憶部13には、地図データ及び時刻表データが記憶されている。地図データは日本全国の道路データ、公共交通機関(鉄道、バス、航空機、フェリーなど)の路線データを含む。時刻表データは、日本全国の公共交通機関の各乗降地点(駅、バス停、空港、港)の発着時刻に関する情報である。
【0017】
図1の説明に戻る。経路探索手段14は、端末装置20から送信された経路探索要求信号に含まれている経路探索条件(出発地、目的地、出発日時又は到着日時)に基づいて、その出発地から目的地までの経路を記憶部13内の地図データを用いて探索する。
【0018】
時刻表データ取得手段15は、端末装置20から送信された時刻表情報要求信号に基づいて、記憶部13から所望の時刻表データを取得する。時刻表編集手段16は、時刻表データ取得手段15により取得された時刻表データに所定の編集処理(後に詳述)を施す。
【0019】
〈時刻表作成装置の動作〉
以上の構成を備えた時刻表作成装置の動作について説明する。
図2は時刻表作成装置の動作を示すフローチャートである。また、図3は経路探索条件入力画面を示す図であり、図4は経路探索結果表示画面を示す図である。図2に示すフローのうち、端末装置側のフローは、ユーザが操作部24を用いて、経路探索要求プログラムを立ち上げることで開始される。
【0020】
まず図3Aに示す経路探索条件入力画面が表示部25に表示される。経路探索条件入力画面には、出発地入力枠41、目的地入力枠42、及び出発日時入力枠43が表示される。ここでは、図3Bに示すように、出発地を新橋、目的地を戸畑、出発日時を今すぐとした。なお、出発日時と到着日時を切り換えて入力できるように構成してもよい。
【0021】
ユーザが経路探索条件を入力し、所定のキー操作を行うと(ステップS1)、制御部21は、経路探索条件を含む経路探索要求信号を生成し、通信部22を通してサーバ10へ送信する(ステップS2)。
【0022】
サーバ10では、経路探索要求信号が通信部12により受信され、制御部11に送られる。制御部11は、経路探索要求信号の受信に基づいて、経路探索処理を開始する(ステップS11)。この経路探索処理では、制御部11の経路探索手段14が記憶部13内の地図データを参照して、経路探索条件を満たす経路を探索し、経路探索結果情報を端末装置20へ送信する。
【0023】
端末装置20は、経路探索結果情報を受信し(ステップS3)、経路探索結果情報に基づいて、制御部21の制御により表示部25に経路探索結果を表示する(ステップS4)。
【0024】
図4は、表示部25に表示される経路探索結果の一例を示す図である。図示のように出発地である新橋駅から目的地である戸畑駅までの間の二つの乗り継ぎ駅として品川駅及び小倉駅が表示されている。また、利用する路線名及び乗車すべき車両の時刻も表示されている。また、最初の乗り継ぎ駅である品川駅については、降車地点である山手線のホームから、乗車地点である新幹線のホームまでの移動時間を考慮して、山手線で乗車すべき車両の到着時刻から、新幹線で乗車すべき車両の発車時刻までの時間を10分に設定している。また、次の乗り継ぎ駅である小倉駅については、降車地点である新幹線のホームから、乗車地点である鹿児島本線のホームまでの移動時間を考慮して、新幹線で乗車すべき車両の到着時刻から鹿児島本線で乗車すべき車両の発車時刻までの時間を6分に設定している。
【0025】
図4に示す経路探索結果表示画面において、時刻表印刷ボタン51を押下すると、端末装置20は時刻表情報要求信号をサーバ10へ送信する(ステップS5)。サーバ10は、時刻表情報要求信号を受信すると(ステップS12)、時刻表データ取得手段15が記憶部13から時刻表データを取得する(ステップS13)。時刻表印刷ボタン51を押下しない場合は処理を終了する。
【0026】
ここで、時刻表データ取得手段15が取得する時刻表データは、経路探索結果で得られた全ての乗車地点(出発駅のホーム、及び乗り継ぎ駅における乗り継ぎ先のホーム)の時刻表データである。このとき、各乗車地点において乗車すべき時刻及びその前後所定の範囲の時刻データを取得する。ここで、「所定の範囲」は予め端末装置20から、例えば、乗車すべき時刻の前3個、後10個のように設定しておく。乗車すべき時刻の前1時間、後2時間に含まれる車両の発車時刻データでもよい。また、当該駅の全ての時刻データを取得してもよい。
【0027】
次にサーバ10は、時刻表編集処理を行う(ステップS14)。図5は、時刻表編集処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、図2のステップS13で取得された時刻表データが端末装置20の印刷部26の印刷用紙の1枚に収まるか否かを判断する(ステップS22)。ここで、印刷用紙のサイズ情報については、時刻表印刷ボタン51が押下されたとき、制御部21が印刷部26の印刷用紙のサイズを検出し、時刻表情報要求信号に含ませておく。
【0028】
1枚の印刷用紙に収まると判断した場合は(ステップS22:Yes)、印刷された時刻表において乗車すべき時刻と他の時刻との区別が容易になるように、乗車すべき時刻を示す文字の態様を変更し(ステップS26)、時刻表編集処理を終了する。ここで、文字の態様の変更としては、色を変える、太文字にする、書体を変える、ネガ表示にする、サイズを拡大するなどが挙げられる。
【0029】
1枚の印刷用紙に収まらないと判断した場合は(ステップS22:No)、時刻表データの文字サイズを1段階小さくし(ステップS23)、再び1枚の印刷用紙に収まるか否かを判断する(ステップS24)。
【0030】
文字サイズを1段階小さくしたことで(例えば16ポイント→14ポイント)、1枚の印刷用紙に収まるようになった場合は(ステップS24:Yes)、前述したステップS26を実行し、時刻表編集処理を終了する。
【0031】
一方、文字サイズを1段階小さくしても(例えば16ポイント→14ポイント)、依然として1枚の印刷用紙に収まらない場合は(ステップS24:No)、時刻表情報を削減する(ステップS25)。即ち、例えば乗車すべき時刻からの時間が所定時間を超える時刻表情報を削除する。
【0032】
時刻表情報を削減した後、ステップS22に戻り、前述した処理を実行する。1枚の印刷用紙に収まるように編集したら(ステップS22:Yes、又はステップS24:Yes)、前述したステップS26を実行し、時刻表編集処理を終了する。
【0033】
図2の説明に戻る。サーバ10は、1枚の印刷用紙に収まるように編集された時刻表情報を端末装置20へ送信する(ステップS15)。この時刻表情報はラスタデータ(画像データ)である。端末装置20は、時刻表情報を受信し(ステップS6)、印刷部26で時刻表を印刷する(ステップS7)。なお、時刻表の印刷に併せて、若しくは時刻表の印刷に代えて、表示部25で表示するように構成してもよい。この場合、端末装置20は表示部25の画面解像度に関する解像度情報を経路探索要求信号とともにサーバ10に送信する。サーバ10は、取得した解像度情報に応じた、1画面に収まるサイズの時刻表画像を生成して端末装置20に送信する。また、後で印刷できるように、所定形式のファイルデータを作成して記憶部13に保存しておくようにしてもよい。
【0034】
図6は、印刷部26で印刷された時刻表の一例を示す図である。この時刻表は図4に示す経路探索結果に対応する時刻表である。ここでは、乗車すべき時刻である新橋駅発10時5分、品川駅発10時17分、及び小倉駅発16時8分の文字は反転(ネガ)表示されている。ここで、品川駅の新幹線の時刻表については、小倉以遠に行く車両の時刻のみにしてもよい。
【0035】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態の時刻表作成装置によれば、ユーザによる出発地、目的地、及び出発日時からなる経路探索条件を伴う経路探索指示に基づいて、経路探索条件を満たす経路を探索し、経路上の公共交通機関の乗車地点(出発駅、乗り継ぎ駅における乗車地点)において乗車すべき時刻及びその前後の時刻の時刻表を提示するので、乗車すべき車両に乗車できない場合でも、経路の再探索指示が不要になる。
【0036】
また、経路上の全ての乗車地点において乗車すべき時刻及びその前後の時刻の所定範囲の時刻表を1ページに収まるように編集するので、ユーザは端末装置20の表示部25の画面を一覧するだけで、所望の時刻表を確認することができる。さらに、印刷部26の1枚の印刷用紙に必要な時刻表情報を印刷することができる。
【0037】
また、乗車すべき時刻を表す文字の態様を他の時刻を表す文字の態様と異ならせたので、乗車すべき時刻の識別が容易である。
【0038】
なお、以上の実施形態は、本発明をPCなどの端末装置と、地図データ及び時刻表データを記憶したサーバ10とを備えたシステムに適用したものであるが、本発明は地図データ及び時刻表データを備えたスタンドアローン型の装置に適用することもできる。また、端末装置20の記憶部23に地図データ及び時刻表データを記憶しておくことにより、端末装置20のみで時刻表作成装置を構成することもできる。また、乗り継ぎ駅の時刻表のみを出力するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…サーバ、20…端末装置、14…経路探索手段、15…時刻表データ取得手段、16…時刻表編集手段、25…表示部、26…印刷部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地、目的地、及び出発若しくは到着日時を含む経路探索条件を伴う経路探索指示に応じて、前記経路探索条件を満たす経路を探索する経路探索手段と、
探索された経路上の交通機関の出発地及び乗り継ぎ場所で乗車すべき車両の時刻及びその前後の所定範囲の時刻の時刻表データを取得する時刻表データ取得手段と、
取得された時刻表データに基づいて時刻表を出力する時刻表出力手段と、
を備える時刻表作成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された時刻表作成装置において、
更に、前記取得された時刻表データが1ページに収まるように編集する時刻表編集手段を備え、
前記時刻表出力手段は、該時刻表編集手段により編集された時刻表データに基づいて時刻表を出力する時刻表作成装置。
【請求項3】
請求項2に記載された時刻表作成装置において、
前記時刻表編集手段は、乗車すべき時刻の文字の態様を他の時刻の文字の態様と異なる態様とする時刻表作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−103572(P2013−103572A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247929(P2011−247929)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】