説明

電気機器漏電磁力利用した磁石玩具

【課題】 玩具に意外性を持たせて、扱う人に好奇心を起こさせるために、外部からの力無しで運動しているように見える仕掛けをするのが一つの方法である。本発明は課題を解決する方法として、家庭用交流電源を使用する電気機器の変圧部から外部に漏洩する磁力を利用して、ユーモラスな動きを行う電気機器漏電磁力利用した磁石玩具を提供する。
【解決手段】 玩具本体の底部に、磁極を結ぶ方向が、電器機器変圧部の面と平行になるように磁石を固定し、玩具本体の底部に、電気機器変圧部から受けた磁力を回転、走行運動に効率よく変換するための3個以上の接地点を持つ運動変換足、又は連続して連なった運動変換足を貼付することを特徴とする電気機器漏電磁力利用した磁石玩具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家庭用交流電源を使用する電気機器の変圧用部品から外部に漏洩する電磁力を利用して、ユーモラスな動きを行う電気機器漏電磁力利用した磁石玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁石を使用した玩具には
(イ)磁性体、または磁石を、人力、または機械で動かし、それによって玩具を磁力で誘 導して運動させる。
(ロ)固定してある磁性体、または磁石に、磁石使用の玩具を人力、または機械的な力で 接近させることで、磁力を利用した動作を起こさせる。
(ハ)電気磁石を利用して、(イ)、(ロ)の運動をさせる。
などのように、玩具を運動させるためだけが目的の力や電気などのエネルギーを必 要とする。
このことは、玩具が、どういう作用で、どのように動くかということを、玩具を使 用する者が簡単に予想でき、好奇心を充分に満足させにくいものとなる。
動力がすぐにはわからない工夫をしてある磁石玩具として、次のような報告がある 。
(ニ)アラゴの円板としてしられている電磁誘導現象を利用して、アルミニウム等の磁力 吸引されない非鉄金属で形成された円板を磁石の回転により電磁誘導作用で回転させ る回転玩具に関する報告。(特許文献1〜2)
(ホ)ファラデーの単極誘導を利用した、導電性のある永久磁石コマに通電することによ って、初動回転と電流をあたえてやれば、回転を持続するコマの報告。(特許文献3 )
(ヘ)磁石コマが回転することによる磁極の変化を、電磁誘導でトランスに与え、与えら れた信号を電池とトランジスタで増幅して、トランス二次側に出力し、その磁力で磁 石コマに回転する力をあたえることで、コマの回転を持続させる技術の報告。(技術 文献1)
しかし、これらの技術は、すべて、磁石玩具を動かす目的のための電気エネルギーが必要であり、種を明かされてしまうと少し好奇心が薄らいでしまう。
また、高価な小型電池などが必要であり、経済的な玩具とはいえない。
【0003】
【特許文献1】 登録実用新案公報第3011383号公報
【特許文献2】 実開平6−50699号公報
【特許文献3】 特開2004−344544号公報
【技術文献1】
トランジスタ技術 1995年2月号 本田寿一、山下紀幸
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
玩具に意外性を持たせて、扱う人に好奇心を起こさせるために、外部からの力無しで運動しているように見える仕掛けをするのが一つの方法である。
本発明は課題を解決する方法として、家庭用交流電源を使用する電気機器の変圧部から外部に漏洩する磁力を利用して、ユーモラスな動きを行う電気機器漏電磁力利用した磁石玩具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(イ)玩具本体(1)の底部に、磁極を結ぶ方向が、電器機器変圧部の面と平行になるよ うに磁石(2)を固定する。
(ロ)玩具本体(1)の底部に、電気機器変圧部から受けた磁力を回転、走行運動に効率 よく変換するための3個以上の接地点を持つ運動変換足(3)、または連続して連な った運動変換足(3)を貼付する。
本発明は以上の構成からなることを特徴とする電気機器漏電磁力利用した磁石玩具である。
【0006】
家庭用電気機器変圧部の上で、本発明品が回転等の運動をする仕組みを説明する。
(イ)家庭用電気機器の変圧部の家庭用交流電流が流れると、入力側の一部分に交流電流 周期、もしくはレギュレーターの発する高周波の周期で磁極が変化する弱い磁界が生 じる。
このとき、家庭用電気機器の変圧部の磁極の向きが、変圧部の面と平行であれば、 磁石玩具は、そのまま、逆の磁極にひきつけられて回転する。
垂直方向であれば、以下のようになる。
(ロ)玩具本体底部に、磁極を結ぶ方向が、電器機器変圧部の面と平行になるように磁石 (2)を固定することにより、磁石玩具は、(イ)の磁界に反応して振動を行う。
振動の力を、玩具本体(1)の重心が受ける力として、水平方向、垂直方向に分解 して考えると、垂直方向の受ける力は、図4、水平方向に受ける力は図5に示すよう になる。
水平方向に受ける力は、玩具本体(1)の重心が、楕円形に動くことを示している 。
(ハ)玩具本体(1)の底部に取り付けられた、電気機器変圧部から受けた磁力を回転、 走行運動に効率よく変換するための3個以上の接地点を持つ運動変換足、または連続 して連なった運動変換足(3)は、その接地点を結んでいくと、一つ、もしくは、複 数の円になる。
その中の一つの円の中を、(ロ)の理由から、玩具本体(1)の重心が、水平方向 では、楕円形に振動する。
円の中で、楕円形の動きが生じると、円は、回転を始める。
これは、昔ながらの玩具であるガリガリプロペラの、ぎざぎざの柄の部分を棒でこ すると、プロペラの中心に開いた小さな円の穴の中を、振動を受けた針金が、楕円運 動をしているため、プロペラが回転するのと同じ原理である。
【発明の効果】
【0007】
本発明品は、玩具本体(1)を、小さな磁石一個分の大きさに設定できるため、玩具を使用する人に、どういう機械装置が中に内臓されているのか見当がつかず、さらに、何を動力源にしているのかわからない。
ということで、大きな好奇心を長く与えることができる。
また、電気機器が消費する電力量によって、本発明品の動きも変化するので、予想できない動きを楽しむことができる。
また、高価な電池等使用することはないので、経済的でもある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 本発明の実施例1を示した斜視図である。
【図2】 磁石玩具の下に磁極がある場合の磁石玩具の動きを表した説明図である。
【図3】 磁界変化により、磁石玩具の重心が受ける力を表した側面図である。
【図4】 磁界変化により、磁石玩具の重心が受ける力を表した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の各部について以下に詳細を示す。
(イ)玩具本体(1)の底部に、磁極を結ぶ方向が、電器機器変圧部の面と平行になるよ うに磁石(2)を固定する。
(ロ)玩具本体(1)の底部に、電気機器変圧部から受けた磁力を回転、走行運動に効率 よく変換するための3個以上の接地点を持つ運動変換足(3)、または連続して連な った運動変換足(3)を貼付する。
本発明は以上の構成からなることを特徴とする電気機器漏電磁力利用した磁石玩具である。
本発明の各部について以下に詳細を示す。
玩具本体(1)について説明する。
玩具本体(1)の構成物質については、軽量で、振動等を吸収しにくい材質が望ましい。
磁石(2)は、玩具本体(1)の底部に、磁極の方向が底部と平行になるように接着する。
【0010】
磁石(2)について説明する。
本製品に使用する磁石(2)は、磁力は強力であるほうが、望ましい。
電化製品の漏磁界は、大きいものではないので、強力な磁石(2)で、その磁界の変化を捉える必要がある。
ただし、磁石(2)の重量が大きいものであると、電化製品の変圧部が振動してしまうため、磁石(2)の重量は十分小さいものである必要がある。
磁石(2)の大きさについては、玩具本体(1)の中に装着し、回転等の運動をするため、大きいものや、バランスの悪い形状ではないものが望ましい。
【0011】
運動変換足(3)について説明する。
運動変換足(3)は、玩具本体(1)底部の外側に付し、本体をバランスよく支える配置にする。
そのため理論的には接地点は三点以上ということになる。
運動変換足(3)の長さについては、長ければ長いほど、磁石と漏磁界との干渉が弱くなるので、短いほうが望ましい。
ただし、あまり短すぎると、振動を回転等の運動に変換することを抑制してしまう。
0.2mmから3mm位が望ましい。
材質については、制限はないが、振動を吸収しない材質が望ましい。
形状については、制限はないが、点で支える形状のものか、リング状のものが望ましい。
リング状であれば、回転運動を行う傾向にあり、複数の直線状に配置した場合、直線運動をとる傾向にある。
また、運動変換足(3)は、本体との一体成型のものでもかまわない。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例を示すが、実施例により、本発明に制限が加えられるものではない。
玩具本体(1)aの材質は、ポリ塩化ビニル、高さは、約15mm、幅は、約8mmである。
磁石(2)aの直径は、約4mm、高さは、約3mm、磁力は、1500ガウスである。
運動変換足(3)aの、材質はポリプロピレン、高さは、約0.7mm、直径約5mmのリング状である。
電気機器の変圧部は、パソコン用ACアダプターの、一次変圧側上部面を使用する。
【0013】
実施例1の結果を説明する。
回転速度は、パソコンに通電中は、1秒間に0.5〜2回転を継続した。
消費電力は、実施例1を使用した場合もしない場合も、パソコン用ACアダプターの出力電力は、電圧、19.0V、電流1.5〜2.3Aであった。
実施例1による消費電力は、誤差の範囲にとどまった。
パソコン用ACアダプターの30分後の発熱温度も、実施例1の使用した場合もしない場合も、同じであった。
【符号の説明】
【0014】
1 玩具本体
2 磁石
3 運動変換足
4 磁界変化により、磁石玩具の重心が受ける垂直方向の力
5 磁界変化により、磁石玩具の重心が受ける水平方向の力
6 5により、玩具本体が回転する力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具本体(1)の底部に、磁極を結ぶ方向が、電器機器変圧部の面と平行になるように磁石(2)を固定した電気機器漏電磁力利用した磁石玩具。
【請求項2】
玩具本体(1)の底部に、電気機器変圧部から受けた磁力を回転、走行運動に効率よく変換するための3個以上の接地点を持つ運動変換足(3)、または連続して連なった運動変換足(3)を貼付した請求項1の電気機器漏電磁力利用した磁石玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−67572(P2011−67572A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239821(P2009−239821)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(509192374)
【Fターム(参考)】