説明

α−リポ酸含有多芯型マイクロカプセル

【課題】安定性の改善されたα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルを提供する。
【解決手段】膜形成物質がアルギン酸塩であることを特徴とするα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
α−リポ酸は、ジスルフィド結合を有する5員環(1,2−ジチオラン環)が短鎖脂肪酸の末端に結合した構造を有する化合物である。また、α−リポ酸は、種々の生理活性を有し、例えば、解糖系やTCAサイクルに作用する補酵素の一種として生体内でのエネルギー産生に重要な役割を果たしている。また、α−リポ酸は、優れた抗酸化物質である他、他の抗酸化物質の再生物質、酸化ストレス軽減物質としても知られている。
【0003】
α−リポ酸の用途は、従来肝疾患や糖尿病などの治療薬に限られていたが、2004年3月に食品へのα−リポ酸の使用が認められたため、α−リポ酸は健康食品素材として注目されるようになった。
【0004】
しかし、α−リポ酸を食品に用いる場合、α−リポ酸特有の硫黄臭と苦味が問題となる。また、α−リポ酸の融点は約60〜62℃と比較的低く、溶融したα−リポ酸は重合し易いため、α−リポ酸を含有する錠剤を製造する場合、打錠時に発生する熱により溶融したα−リポ酸やその重合物が臼杵面へ付着し錠剤表面が欠けるなどの問題もあった。
【0005】
このような問題を解決するため、これまで種々の方法が提案されている。
【0006】
例えば、αリポ酸の粉末粒子の表面に油脂系被覆層を有するαリポ酸粉体被覆物の製造方法であって、該方法は、40℃以上の融点を有し、平均粒子径0.1〜50μmの油脂系被覆材料の粉末を、0.01〜10Nの衝突平均荷重にて、αリポ酸の粉末と混合撹拌することを特徴とするαリポ酸 粉体被覆物の製造方法(特許文献1参照)、シクロデキストリン/アルファリポ酸複合体の製造方法において、二工程法の第一工程において、アルファリポ酸とシクロデキストリンをpH7より高いpHを有するアルカリ性水溶液中に溶解させ、そして第二工程で酸を添加して、溶液のpHをpH7未満のpHに下げることを特徴とする方法(特許文献2参照)などが提案されている。しかし、上記技術では、この問題を十分に解決できるとは言えず、より有効な手段が求められていた。
【0007】
一方、上記問題を解決する手段としてα−リポ酸をマイクロカプセル化する方法が検討されている。しかし、膜形成物質をゼラチンとする従来の方法では、α−リポ酸の安定性が悪く、含量が低下するという問題がある。
【特許文献1】特開2006−298831号公報
【特許文献2】特開2006−169253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、安定性の改善されたα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、α−リポ酸を芯物質とし、アルギン酸塩を膜形成物質とするα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルを調製することにより上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明のα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルは、従来品に比べα−リポ酸の含量の減少が少なく安定性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルの芯物質であるα−リポ酸は、チオクト酸とも呼ばれ、生体内に含まれ、糖の代謝、TCAサイクルの回転に作用する補酵素の一種であり、構造式C81422、分子量206.3の化合物である。その物性としては、特有の苦味と硫黄様の臭いを有する黄色結晶、融点60〜62℃の物質として知られている。
【0012】
本発明に用いられるα−リポ酸としては、天然から抽出されたものでも工業的に化学合成されたものでも良く、特に制限はないが、平均粒子径約100μm以下の粉末状のものが好ましい。
【0013】
該平均粒子径を有するα−リポ酸としては、例えば、チオクト酸(α−リポ酸・ハマリ)(商品名;浜理薬品工業社製)、α−リポ酸(商品名;フィトファーマ社製)などが商業的に製造・販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0014】
本発明のα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルの膜形成物質であるアルギン酸塩としては、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウムなどが挙げられるが、好ましくはアルギン酸カルシウムおよびアルギン酸ナトリウムである。
【0015】
本発明のα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルの製造方法としては特に制限はないが、本発明のα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルは、例えば以下の方法により製造することができる。
【0016】
先ず、高速回転式ホモジナイザーを用いて、常温下、回転数約3000〜10000rpmにて水を攪拌しながら、これにアルギン酸ナトリウムを加えて均一に溶解するまで攪拌し、さらに得られた溶解液を回転数約5000〜10000rpmにて攪拌しながら粉粒状担体を加えて均一に分散するまで攪拌する。
【0017】
本発明に用いられるアルギン酸ナトリウムとしては特に制限はないが、マニュロン酸/グルロン酸比(M/G比)が約0.5〜2.2のものが好ましい。M/G比が2.2より大きいアルギン酸ナトリウムでは、被膜成分であるアルギン酸カルシウムゲルの強度が十分に得られず好ましくなく、M/G比が0.5より小さいアルギン酸ナトリウムでは、原料である海藻の種類が制限されるため入手性の点から好ましくない。
【0018】
アルギン酸ナトリウムとしては、例えば、キミカアルギン(商品名;キミカ社製)、マニュコール(商品名;大日本製薬社製)、マニュゲル(商品名;大日本製薬社製)などが商業的に製造・販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0019】
粉粒状担体としては、例えば結晶セルロース、粉末セルロース、ハイアミロースデンプンなどが挙げられ、好ましくは結晶セルロースである。結晶セルロースの平均粒子径は、約1〜100μmが好ましく、約1〜30μmがより好ましい。該平均粒子径を有する結晶セルロースとしては、例えば、セオラスFD−F20(商品名;平均粒子径20μm;旭化成ケミカルズ社製)などが商業的に製造・販売されており、本発明ではこれを用いることができる。
【0020】
粉粒状担体を加えて攪拌した後、得られた分散液を、通常約15〜30℃、好ましくは約20〜25℃に冷却し、回転数約5000〜13000rpmにて攪拌しながら、これにα−リポ酸を加え均一に分散するまで攪拌し、α−リポ酸含有分散液を得る。α−リポ酸含有分散液の30℃での粘度は、約2.0〜7.0dPa・s(200〜700mPa・s)が好ましく、より好ましくは約2.0〜4.0dPa・s(200〜400mPa・s)である。
【0021】
本発明で言うところの粘度は、第7版食品添加物公定書記載「28. 粘度測定法」の「第2法 回転粘度計法」に基づいて測定される。具体的な測定方法および操作条件を以下に示す。
[測定方法]
試料を入れた容器の中心にローターを静かに入れ、試料の液面をローターの液面マークに一致させる。スイッチを入れて回転を始め一定時間後に値が安定したところで、使用しているローターと同じ番号の目盛りで、指針の位置を真上から読み取りその試料の粘度とする。
[操作条件]
測定装置 回転円筒形粘度計(型式:ビスコテスターVT−04高粘度用;
リオン社製)
回転数 62.5回転/分
ローター 3号ローター
測定温度 30℃
【0022】
α−リポ酸含有分散液100質量%中の固形分(α−リポ酸、アルギン酸ナトリウム、粉粒状担体、その他)濃度は、固形分濃度が約10〜30質量%、水分が約70〜90質量%となるよう調整するのが好ましい。
【0023】
該固形分100質量%中には、α−リポ酸が約10〜70質量%、好ましくは約20〜60質量%、アルギン酸ナトリウムが約1〜20質量%、好ましくは約3〜10質量%、粉粒状担体が約10〜70質量%、好ましくは約20〜60質量%が含まれる。
【0024】
次に、α−リポ酸含有分散液を、液体窒素の充填された塔内に噴霧する。塔内に充填される液体窒素は該塔内の上段、中段および下段のいずれから注入しても良く、また2箇所以上から注入しても良い。噴霧には加圧式噴霧ノズルや回転円盤式噴霧ノズルなどが用いられ、好ましくは回転円盤式噴霧ノズルである。噴霧された溶液は冷却されて微細粒子となって落下し、塔下部で凍結状態の粒子として捕集される。微細粒子として捕集した後、塩化カルシウム水溶液に浸漬することにより、アルギン酸塩(アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム)を膜形成物質とするカプセルが得られる。塩化カルシウム水溶液の塩化カルシウム濃度は、通常約1〜10質量%、好ましくは約3〜6質量%である。塩化カルシウム水溶液の温度は、通常約15〜40℃、好ましくは約25〜35℃である。また、浸漬時間は通常約5〜30分間、好ましくは約10〜20分間である。
【0025】
浸漬後、得られたカプセルを水洗し、塩化カルシウムを十分に溶出させた後、例えば棚段式通風乾燥機、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機などにより目的とする水分量まで乾燥され、本発明のα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルを得る。
【0026】
α−リポ酸マイクロカプセルの乾燥減量は、特に限定されないが、例えば約10質量%以下、好ましくは約7質量%以下、更に好ましくは約5質量%以下である。α−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルの粒度は、600μmの篩を全量通過し、500μmの篩を通過するものが90%以上であることが好ましい。なお、乾燥減量は「日局方 一般試験法2.41乾燥減量試験法」に準じて、また粒度は「日局方 一般試験法3.04粉体粒度測定法」および「日局方 一般試験法9.62計量器・用器」に準じて測定される。
【0027】
本発明のα−リポ酸マイクロカプセル100質量%中、α−リポ酸の含量は通常約10〜70質量%、好ましくは約20〜60質量%、アルギン酸カルシウムの含有量は通常約1〜20質量%、好ましくは約3〜10質量%である、粉粒状担体の含有量は通常約10〜70質量%、好ましくは約20〜60質量%である。
【0028】
本発明のα−リポ酸マイクロカプセルは、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、着色料、着香料、甘味料などと配合され、自体公知の方法で打錠成型され、またはカプセル充填される。
【0029】
賦形剤としては、例えば、結晶セルロースなどのセルロース類、乳糖、精製白糖などの糖類、D−ソルビトール、D−マンニトール、エリスリトール、トレハロースなどの糖アルコール類、コーンスターチ、ポテトスターチ、部分α化澱粉などの澱粉類、リン酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどの無機物質類などが挙げられる。結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロースナトリウム、メチルセルロース等のセルロース誘導体類、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子類などが挙げられる。崩壊剤としては、例えば、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムなどのセルロース誘導体類、トウモロコシデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化澱粉などの澱粉および澱粉誘導体類などが挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、含水無晶形酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。また流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、二酸化ケイ素、酸化チタン、タルクなどが挙げられる。
【実施例】
【0030】
以下に本発明を製造例および試験例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
[製造例1]
TKホモミクサー(プライミクス社製)を用いて、水8000gを約5000rpmにて攪拌しながら、これにアルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギンIL−2G;キミカ社製)130gを加えて均一に溶解するまで攪拌した。次に得られた溶解液に結晶セルロース(商品名:セオラスFD−F20;旭化成ケミカルズ社製)910gを加え、TKホモミクサーを用いて回転数約8000rpmにて均一に分散するまで攪拌した。
得られた分散液を約20℃に調温し、これにα−リポ酸(商品名:α−リポ酸;フィトファーマ社製)960gを加え、TKホモミクサーを用いて回転数約10000rpmにて約10分間攪拌し均一に分散させた後、得られた分散液を42号篩(355μm)に通し、α−リポ酸含有分散液を得た。該α−リポ酸含有分散液の30℃での粘度は、2.5dPa・s(250mPa・s)であった。
次にα−リポ酸含有分散液を、塔下部が液体窒素で冷却された噴霧冷却装置(試験機)に送液し、回転円盤式噴霧ノズルを用いて霧状に噴霧した。噴霧された溶液は冷却されて微細粒子となって塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集した。集められた該微細粒子に、該粒子の重量に対して3倍重量の塩化カルシウム水溶液(塩化カルシウム濃度5質量%、30℃)を加え約15分間浸漬した。浸漬後、浸漬液を約100μmの篩に空けて水切りし、その篩上に残った微細粒子を水槽に移して水槽中で攪拌しながら約7分間水洗した後、水槽内の水を交換しさらに約7分間攪拌しながら水洗した。水洗後の微細粒子の水分を篩上で除いた後、流動層乾燥装置(型式LAB−1;パウレック社製)を用いて15℃で5時間、さらに20℃で3時間乾燥した。得られた乾燥物を26号篩(600μm)で篩い、通過物を140号篩(106μm)で篩い、未通過物としてα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセル約1600gを得た(実施品)。得られたマイクロカプセルの性状は淡黄色の粒状、わずかに特異なにおいがあり、乾燥減量は2.5%(1g、105℃、2時間)であった。
【0032】
[製造例2]
約40℃に加温して溶融させたモノグリセライド(商品名:ポエムOL−200;理研ビタミン社製)600gにα−リポ酸(商品名:α−リポ酸;フィトファーマ社製)400g加えて混合・分散し、α−リポ酸を含有するスラリーを得た。続いて、ゼラチン(商品名:ゼラチンRGB;新田ゼラチン社製)1000gを水4400gに加え、該ゼラチンの膨潤後、約60℃で該ゼラチンを溶解し、得られた溶解液を約10℃の水浴中で35℃に冷却し、ゼラチン溶液を調製した。得られたゼラチン溶液に上記スラリーを加え、これをTKホモミクサー(プライミクス社製)を用いて約10000rpmにて10分間攪拌した。得られた分散液を42号篩(355μm)に通し、α−リポ酸含有分散液を得た。
次にα−リポ酸含有分散液を、塔下部が液体窒素で冷却された噴霧冷却装置(試験機)に送液し、回転円盤式噴霧ノズルを用いて霧状に噴霧した。噴霧された溶液は冷却されて微細粒子となって塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集した。
集められた該微細粒子を、流動層乾燥装置(型式LAB−1;パウレック社製)を用いて15℃で4時間、20℃で3時間、さらに40℃で1時間乾燥した。得られた乾燥物を26号篩(600μm)で篩い、通過物を140号篩(106μm)で篩い、未通過物としてα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセル約1600gを得た(比較品)。得られたマイクロカプセルの性状は淡黄色の粒状、わずかに特異なにおいがあり、乾燥減量は4.3%(1g、105℃、2時間)であった。
【0033】
[試験例]
製造例1および2で製造したα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセル(実施品および比較品)を20gずつ100g容のアルミ袋に入れてヒートシールをし、40℃に保温した恒温器(型式:FC−42D;アドバンテック社製)中で30、60、90および120日間保存した。所定日数経過後、アルミ袋の内容物についてα−リポ酸の残存率を下記する方法により測定した。結果を表1に示した。
【0034】
<実施品についてのα−リポ酸残存率の測定方法>
(1)α−リポ酸含有多芯型マイクロカプセル(実施品)0.5gを100ml容メスフラスコに入れ、これに5質量%クエン酸ナトリウム水溶液10mlを加え、超音波洗浄器を用いて30℃で20分間攪拌し溶解した。得られた溶解液に、約50mlの溶解バッファー(5mMのKH2PO4を250mlおよびアセトニトリルを250ml混合し、7質量%リン酸緩衝液でpH3.2に調製したもの)を加え、さらに7質量%リン酸水溶液5mlを加えてバッファー中にリポ酸を抽出した後、該溶解バッファーにて100mlにメスアップした。得られた溶液を、遠心分離機(型式:H−103N;コクサン社製)を用いて遠心し、その上清を該溶解バッファーで20倍に希釈した。得られた希釈液をメンブレンフィルター(商品名:DISMIC−13cp;孔径:0.45μm;アドバンテック社製)でろ過し、得られたろ液を試料溶液とした。
(2)(1)で得た試料溶液をHPLCを用いて分析し、α−リポ酸の含量を測定した。HPLCは以下に示すHPLC分析条件で行った。分析後、得られたクロマトグラムのピークの面積から、α−リポ酸(商品名:DL−α―リポ酸;東京化成工業社製)を標品として、α−リポ酸の含量を面積百分率として求めた。続いて、製造直後のα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセル(実施品)について同様に求められた含量を100%として、各期間経過後のα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセル(実施品)中のα−リポ酸の残存率(%)を求めた。
【0035】
<HPLC分析条件>
機器 Waters Alliance2695(日本Waters社製)
データ処理装置 Empower(日本Waters社製)
カラム XTeera RP18(5μm)
カラム径×長:4.6×150mm(日本Waters社製)
移動相 メタノール:5mM KH2PO4:アセトニトリル
=58:46:9(容量比)(7質量%リン酸水溶液でpH3.1に調整)
流量 1.2mL/min
検出器 UV/VIS検出器(Wters2487;日本Waters社製)
カラム温度 35℃
試料温度 25℃
検出波長 215nm
試料注入量 20μL
【0036】
<比較品についてのα−リポ酸残存率の測定方法>
(1)α−リポ酸含有多芯型マイクロカプセル(比較品)0.05gを100ml容メスフラスコに入れ、これに約50mlの溶解バッファー(5mMのKH2PO4を250mlおよびアセトニトリルを250ml混合し、7質量%リン酸緩衝液でpH3.2に調製したもの)を加え、超音波洗浄器を用いて30℃で20分攪拌しながら溶解した後、該溶解バッファーにて100mlにメスアップした。得られた溶液をメンブレンフィルター(商品名:PVDF Filter Membrane;孔径:0.45μm;Whatman社製)でろ過し、得られたろ液を試料溶液とした。
(2)(1)で得た試料溶液を、HPLCを用いて分析し、α−リポ酸の含量を測定した。HPLC分析条件の設定およびα−リポ酸の残存率(%)の算出は、上述した実施品についてのα−リポ酸残存率の測定方法と同様に実施した。
【0037】
【表1】

【0038】
表1の結果から明らかなように、実施品のα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルは、比較品のα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセルに比べてα−リポ酸の残存率が高く、安定性に優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜形成物質がアルギン酸塩であることを特徴とするα−リポ酸含有多芯型マイクロカプセル。

【公開番号】特開2009−7309(P2009−7309A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171487(P2007−171487)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(390010674)理研ビタミン株式会社 (236)
【Fターム(参考)】