説明

β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸および少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物および使用法

【課題】HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物の提供。
【解決手段】動物の疾病に関連する衰弱の処置法、動物の血清中トリグリセリドレベルの減少法、動物の血清ウイルス負荷の減少法、内臓領域および皮下領域を有する動物の脂肪を再分配する方法、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく動物の除脂肪組織質量を増加させる方法、および動物のHDLコレステロールレベルを増加させる方法を提供する。全ての方法が、動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の詳細な説明)
(発明の技術分野)
本発明は、β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸および少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物、並びに、動物の疾病に関連する衰弱を処置し、動物の血清中トリグリセリドレベルを減少させ、動物の血清ウイルス負荷を減少させ、動物の脂肪を再分配し、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく、動物の除脂肪組織質量を増加させ、および動物のHDLコレステロールレベルを増加させるための組成物の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ロイシン代謝の唯一の産物は、ケトイソカプロン酸(KIC)である。KIC代謝の少量産物は、β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸(HMB)である。
【0003】
HMBは、これまでの様々な適用において有用であることが判明してきた。特に、米国特許第5,360,613号(Nissen)では、HMBは、総コレステロールおよび低比重リポタンパク質コレステロールの血中レベルの減少に有用であると記載されている。米国特許第5,348,979号(Nissenら)では、HMBは、ヒトの窒素維持の促進に有用であると記載されている。米国特許第5,028,440号(Nissen)は、食肉生産動物の除脂肪組織発達を増加させるHMBの有用性を議論する。また、米国特許第4,992,470号(Nissen)では、HMBは、哺乳動物の免疫応答の増強に効果的であると記載されている。
【0004】
HMBは、いくつかの動物において、除脂肪組織質量の発達を増加させ、一方脂肪質量を減少させるに有用であると以前記載されたが、HMBは、動物の脂肪質量を減少させることなく除脂肪組織質量を増加させるに有用であるという教義または示唆は当分野で全くなかった。しかし、ある環境下では、動物の脂肪質量を減少させることなく動物の除脂肪組織質量を増加させることが望ましい。例えば、かかる1つの環境は、動物が、例えば、後天性免疫不全症候群(エイズ)に関連した疾病などの疾病の結果としての体組織衰弱に苦しむ場合である。体組織衰弱は、エイズに罹患したヒトの予後に悪影響を及ぼし得、さらにはその疾病関連悪化を早め得る。
【0005】
体組織衰弱に向けられる1つの方法は、米国特許第5,756,469号(Beale)に記載されている。Beale特許は、哺乳動物の筋肉組織の除脂肪体質量を増加させるための、ピルビン酸塩および/またはその誘導体(例えば、ピルビルアミノ酸)およびコルチゾル遮断剤を含む組成物の使用を開示し、該組成物は、癌およびエイズなどの疾病に関連した異化状態の処置に有用であろうと示唆する。しかし、Beale特許は単に、処置健康ラットにおける(対照ラットに比べて15%の)除脂肪体組織の増加における該組成物の効力を証明するのみで、脂肪の増加は対照ラットよりも20%少なかった。当分野の通常の熟練者は、ある特定の組成物が健康生物で効力があるという事実は、必ずしも、同組成物が異化状態に苦しむ疾病生物でも効力があることを意味しないことを容易に理解するだろう。この点で、Beale特許は、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を疾病に関連する衰弱の処置にどのように使用できるかは教義も示唆もしていない。またBeale特許は、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく動物の除脂肪組織質量を増加させるためにどのように使用できるかの教義も示唆もしていない。さらに、組成物におけるピルビルアミノ酸の使用は、ピルビルアミノ酸が高価で製造が困難であることから不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,360,613号明細書
【特許文献2】米国特許第5,348,979号明細書
【特許文献3】米国特許第5,028,440号明細書
【特許文献4】米国特許第4,992,470号明細書
【特許文献5】米国特許第5,756,469号明細書
【発明の概要】
【0007】
前記を鑑みて、疾病に関連する衰弱を処置するための、証明された費用効率が高い組成物が依然として必要である。また、動物の血清中トリグリセリドレベルを減少させ、動物の血清ウイルス負荷を減少させ、動物の脂肪を再分配し、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく動物の除脂肪組織質量を増加させ、動物のHDLコレステロールレベルを増加させるための組成物が依然として必要である。本発明は、該組成物、並びに、疾病に関連する衰弱を処置し、動物の血清中トリグリセリドレベルを減少させ、動物の血清ウイルス負荷を減少させ、動物の脂肪を再分配し、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく動物の除脂肪組織質量を増加させ、動物のHDLコレステロールレベルを増加させるための該組成物の使用法を提供する。
【0008】
(発明の簡単な要約)
本発明は、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を提供する。本発明はまた、動物の疾病に関連する衰弱の処置法、動物の血清中トリグリセリドレベルの減少法、動物の血清ウイルス負荷の減少法、内臓領域および皮下領域を有する動物の脂肪を再分配する方法、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく動物の除脂肪組織質量を増加させる方法、および動物のHDLコレステロールレベルを増加させる方法を提供する。全ての方法が、動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を投与することを含む。
【0009】
(発明の詳細な説明)
今回、HMB単独とは異なり、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物は、脂肪質量の随伴的な減少なく、除脂肪組織質量を増加できることが驚くべきことにおよび予測されなかったことに発見された。さらに、HMB単独とは対照的に、組成物を疾病に関連する衰弱に苦しむ動物に投与する場合に、除脂肪組織質量のかかる増加の実現に有酸素運動は全く必要ではない。以下の例が示すように、脂肪質量を減少させることなく除脂肪組織質量を増加させる組成物の効力は、動物が疾病に関連する衰弱に苦しむ場合に増強される。
【0010】
さらに、本発明の組成物は、驚くべきことに、動物の血清中トリグリセリドレベルを減少させ、動物の血清ウイルス負荷を減少させるのに有用である。本発明の組成物はまた、驚くべきことに、動物の内臓領域から動物の皮下領域へ脂肪を再分配するのにも有用である。本発明が該目的に有用であることは、特に、HMB単独では、皮下脂肪貯蔵から内臓脂肪貯蔵(例えば筋肉内脂肪貯蔵)への移動を引き起こすことが観察されているという事実に鑑みて驚くべきことである。任意の特定の理論に固めたくはないが、前記の全てが、本発明の組成物におけるHMBと少なくとも1つのアミノ酸の間の相乗効果に起因するようである。さらに、本発明の組成物は、驚くべきことに、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく動物の除脂肪組織質量を増加させ、動物のHDLコレステロールレベルを増加させるのに有用である。
【0011】
上記を鑑みて、1つの実施形態において、本発明は、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を提供する。
【0012】
β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸またはβ−ヒドロキシ−イソ吉草酸とも呼ばれるHMBは、(CH(OH)CCHCOOHとしてその遊離酸の形で表すことができる。「HMB」なる語は、遊離酸または塩形の、前記の化学式を有する化合物、およびその誘導体を意味する。HMBの任意の適切な形が、本発明の関連する範囲内で使用されうるが、好ましくは、HMBは、遊離酸、塩、エステル、およびラクトンからなる群から選択され;より好ましくはHMBは塩である。
【0013】
HMBの任意の医薬的に適切な塩が、本発明の関連する範囲内で使用されうるが、好ましくは、HMB塩は水溶性であるか、または動物の胃または腸で水溶性になる。より好ましくは、HMB塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群から選択される。最も好ましくは、HMB塩はカルシウム塩である。しかし、他の非毒性塩、例えば他のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩も使用できる。HMBを食用形で投与する場合、塩は、乾燥し、非粘着性で、他の食品とブレンドするために微細に分割されていることが好ましい。
【0014】
同様に、任意の医薬的に許容されるエステルが、本発明の関連する範囲内で使用されうる。望ましくは、HMBエステルは、その遊離酸形のHMBに迅速に変換される。好ましくは、HMBエステルは、メチルエステルまたはエチルエステルである。HMBメチルエステルおよびHMBエチルエステルは、HMBの遊離酸形に迅速に変換される。
【0015】
同様に、任意の医薬的に許容されるラクトンが、本発明の関連する範囲内で使用されうる。望ましくは、HMBラクトンは、その遊離酸形のHMBに迅速に変換される。好ましくは、HMBラクトンはイソバラリルラクトンまたは類似のラクトンである。該ラクトンは、HMBの遊離酸形に迅速に変換される。
【0016】
HMBおよびその誘導体の製造法は、当分野で公知である。例えば、HMBは、ジアセトンアルコールの酸化により合成できる。1つの適切な手順は、Coffmanら、J.Am.Chem.Soc.80:2882−2887(1958)により記載されている。本明細書に記載したように、HMBは、ジアセトンアルコールのアルカリ性次亜塩素酸ナトリウム酸化により合成される。生成物は遊離酸形で回収され、これは所望の塩に変換できる。例えば、HMBは、Coffmanらの手順と類似した手順によりそのカルシウム塩として調製でき、HMBの遊離酸を水酸化カルシウムで中和し、エタノール水溶液から結晶化により回収する。HMBのカルシウム塩は、Metabolic Technologies、エームズ、アイオワ州から市販で入手できる。
【0017】
本明細書に定義した「アミノ酸」なる語は、高価で製造の困難であるピルビルアミノ酸を除く、天然または合成由来アミノ酸を意味する。合成由来または非天然アミノ酸、およびそれらの製造法は、当分野で公知であり、例えば、米国特許第5,710,249号(Hoegerら)に開示されている。少なくとも1つのアミノ酸は、任意の医薬的に許容されるアミノ酸であり得る。望ましくは、少なくとも1つのアミノ酸は、HMBと共に投与した場合に、疾病に関連する衰弱に苦しむ動物の全体重を増加させるか、動物の血清中トリグリセリドレベルを減少させるか、動物の血清ウイルス負荷を減少させるか、動物の脂肪を再分配するか、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく動物の除脂肪組織質量を増加させるか、または動物のHDLコレステロールレベルを増加させるアミノ酸である。好ましくは、アミノ酸は、L異性体の天然アミノ酸である。より好ましくは、アミノ酸は、L−アルギニン、L−グルタミン、L−リジン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−メチオニン、L−システイン、グリシンおよびその組合せからなる群から選択される。最も好ましくは、アミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである。
【0018】
本発明の組成物は、任意の医薬的に許容される形であり得る。医薬的に許容される形は、錠剤またはカプセル剤などの固体、および静脈内用溶液などの液体含むがこれに限定されない。また、組成物は、任意の医薬的に許容される担体を使用して投与できる。医薬的に許容される担体は当分野で公知であり、該担体の例は、様々なデンプンおよび食塩水溶液を含む。
【0019】
好ましくは、本発明の組成物は、カルシウム塩形のHMB、L−アルギニンおよびL−グルタミンを含む。好ましくは、本発明に記載の組成物は、約0.5gから約30gの量のHMBおよび約1gから約100gの量の少なくとも1つのアミノ酸を含む。
【0020】
上記を鑑みて、本発明は、別の実施形態において、動物、例えば哺乳動物、好ましくはヒトの疾病に関連する衰弱の処置法を提供する。該方法は、動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む上記組成物を、疾病に関連する衰弱の処置に十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると、疾病に関連する衰弱は処置される。
【0021】
ある特定の動物の疾病に関連する衰弱の処置に十分なHMBおよび少なくとも1つのアミノ酸の量は、当分野で公知の方法に従って決定できる。動物の疾病に関連する衰弱を処置する場合、望ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、疾病に関連する衰弱に苦しむ動物に、動物の脂肪質量の随伴的な減少なく動物の除脂肪組織質量が増加するような量、様式、および期間で投与する。好ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸は、動物の除脂肪組織質量が、投与期間を通じて1日あたり少なくとも約10g、より好ましくは、投与期間を通じて1日あたり少なくとも約30g、および最も好ましくは、投与期間を通じて1日あたり少なくとも約40g増加するような相対量で組成物に存在する。また、少なくとも1つのアミノ酸の量は、HMBの量よりも多いことが望ましい。好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸の量は、HMBの量の少なくとも4倍である。例として、ヒトのエイズに関連する衰弱の処置に関して、組成物を約1日2回約8週間経口投与する場合、組成物は、好ましくは、約0.5gから約50gのL−アルギニン、約0.5gから約50gのL−グルタミン、および約0.5gから約30gのHMBのカルシウム塩、より好ましくは、約1gから約30gのL−アルギニン、約1gから約30gのL−グルタミン、および約0.5gから約20gのHMBのカルシウム塩、および、最も好ましくは、約2gから約20gのL−アルギニン、約2gから約20gのL−グルタミン、および約0.5gから約10gのHMBのカルシウム塩を含む。
【0022】
さらに別の実施形態において、本発明は、動物、例えば哺乳動物、好ましくはヒトの必要とする血清中トリグリセリドレベルを減少させる方法を提供する。好ましくは、動物の血清中トリグリセリドレベルを減少させる必要性は、動物の衰弱を引き起こす疾病から生じる。該方法は、動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む上記組成物を、動物の血清中トリグリセリドレベルを減少させるに十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると、該動物の血清中トリグリセリドレベルは減少する。
【0023】
動物の血清中トリグリセリドレベルを減少させるに十分なHMBおよび少なくとも1つのアミノ酸の量は、当分野で公知の方法に従って決定できる。望ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物は、血清中トリグリセリドレベルの減少が必要な動物に、動物の血清中トリグリセリドレベルが減少するような量、方法、および期間で投与する。好ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸は、動物の血清中トリグリセリドレベルが、投与期間を通じて少なくとも約2%、より好ましくは、投与期間を通じて少なくとも約5%、最も好ましくは投与期間を通じて少なくとも約10%減少するような相対量で組成物に存在する。また、少なくとも1つのアミノ酸の量が、HMBの量より多いことが望ましい。好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸の量は、HMBの量の少なくとも4倍である。例として、ヒトの血清中トリグリセリドレベルの減少に関して、組成物を約1日2回約8週間経口投与する場合、組成物は好ましくは、約0.5gから約50gのL−アルギニン、約0.5gから約50gのL−グルタミン、および約0.5gから約30gのHMBのカルシウム塩、より好ましくは、約1gから約30gのL−アルギニン、約1gから約30gのL−グルタミン、および約0.5gから約20gのHMBのカルシウム塩、および、最も好ましくは、約2gから約20gのL−アルギニン、約2gから約20gのL−グルタミン、および約0.5gから約10gのHMBのカルシウム塩を含む。
【0024】
本発明の別の実施形態は、動物、例えば哺乳動物、好ましくはヒトの必要とする血清ウイルス負荷を減少させる方法に関する。好ましくは、動物の血清ウイルス負荷を減少させる必要性は、動物の衰弱を引き起こす疾病から生じる。該方法は、動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む上記組成物を、動物の血清ウイルス負荷を減少させるに十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると、上記動物の血清ウイルス負荷は減少する。
【0025】
動物の血清ウイルス負荷を減少させるに十分なHMBおよび少なくとも1つのアミノ酸の量は、当分野で公知の方法に従って決定できる。望ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、血清ウイルス負荷の減少を必要とする動物に、動物の血清ウイルス負荷が減少するような量、様式および期間で投与する。好ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸は、動物の血清ウイルス負荷(式log10−ウイルス負荷の変化により特徴づけられる)が、投与期間を通じて少なくとも約0.1、より好ましくは、投与期間を通じて少なくとも約0.2、最も好ましくは、投与期間を通じて少なくとも約0.3減少するような相対量で組成物に存在する。また、少なくとも1つのアミノ酸の量は、HMBの量より多いことが望ましい。好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸の量は、HMBの量の少なくとも4倍である。例として、必要とするヒトの血清ウイルス負荷の減少に関して、組成物を約1日2回約8週間経口投与する場合、組成物は、好ましくは、約0.5gから約50gのL−アルギニン、約0.5gから約50gのL−グルタミン、および約0.5gから約30gのHMBのカルシウム塩、より好ましくは、約1gから約30gのL−アルギニン、約1gから約30gのL−グルタミン、および約0.5gから約20gのHMBのカルシウム塩、および、最も好ましくは、約2gから約20gのL−アルギニン、約2gから約20gのL−グルタミン、および約0.5gから約10gのHMBのカルシウム塩を含む。
【0026】
さらに別の実施形態において、本発明は、動物、例えば哺乳動物、好ましくはヒトの必要とする脂肪を再分配する方法を提供する。好ましくは、動物の脂肪を再分配する必要性は、動物の衰弱を引き起こす疾病から生じる。該方法は、臓器領域および皮下領域を有する動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む上記組成物を、動物の内臓領域から動物の皮下領域に脂肪を再分配するに十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると、動物の内臓領域由来の脂肪は、動物の皮下領域に再分配される。
【0027】
動物の内臓領域から動物の皮下領域に脂肪を再分配するに十分なHMBおよび少なくとも1つのアミノ酸の量は、当分野で公知の方法に従って決定できる。望ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物は、脂肪の再分配の必要な動物に、動物の脂肪がその内臓領域からその皮下領域に再分配されるような量、様式、および期間で投与する。好ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸は、動物の内臓領域由来の脂肪が、その皮下領域に再分配され、動物の皮下領域の脂肪の量が、投与期間を通じて少なくとも約0.5%、より好ましくは、投与期間を通じて少なくとも約2%、および、最も好ましくは、投与期間を通じて少なくとも約3%増加するような相対量で組成物に存在する。また、少なくとも1つのアミノ酸の量は、HMBの量よりも多いことが望ましい。好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸の量は、HMBの量の少なくとも4倍である。例として、脂肪をヒトの内臓領域から皮下領域に再分配することに関して、組成物を約1日2回約8週間経口投与する場合、組成物は、好ましくは、約0.5gから約50gのL−アルギニン、約0.5gから約50gのL−グルタミン、および約0.5gから約30gのHMBのカルシウム塩、より好ましくは、約1gから約30gのL−アルギニン、約1gから約30gのL−グルタミン、および約0.5gから約20gのHMBのカルシウム塩、および、最も好ましくは、約2gから約20gのL−アルギニン、約2gから約20gのL−グルタミン、および約0.5gから約10gのHMBのカルシウム塩を含む。
【0028】
本発明の別の実施形態は、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく、動物、例えば哺乳動物、好ましくはヒトの除脂肪組織質量を、増加させる方法に関する。好ましくは、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく、動物の除脂肪組織質量を増加させる必要性は、動物の衰弱を引き起こす疾病または他の状態から生じる。該方法は、動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む上記組成物を、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく動物の除脂肪組織質量を増加させるに十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく動物の除脂肪組織質量は増加する。
【0029】
動物の除脂肪組織質量の増加、並びに動物の脂肪質量の実質的な減少がないことは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む上記組成物を動物に投与しない場合の動物の除脂肪組織質量および脂肪質量の程度と比較して決定する。望ましくは、動物の除脂肪組織質量の増加は、動物の脂肪質量を全く伴わず実現する。
【0030】
ある特定の動物の除脂肪組織質量を、動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく増加させるに十分なHMBおよび少なくとも1つのアミノ酸の量は、当分野で公知の方法に従って決定できる。望ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、動物に、動物の除脂肪組織質量が、動物の脂肪質量の随伴的な実質的な減少なく増加するような量、様式および期間で投与する。好ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸は、動物の除脂肪組織質量が、投与期間を通じて1日あたり少なくとも約10g、より好ましくは、投与期間を通じて1日あたり少なくとも約30g、および、最も好ましくは、投与期間を通じて1日あたり少なくとも約40g増加するような相対量で組成物に存在する。また、少なくとも1つのアミノ酸の量がHMBの量よりも多いことが望ましい。好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸の量は、HMBの量の少なくとも4倍である。例として、健康なヒトの除脂肪組織質量を、ヒトの体脂肪量を実質的に減少させることなく増加させることに関して、組成物を約1日2回約4週間経口投与する場合、組成物は、好ましくは、約0.5gから約50gのL−アルギニン、約0.5gから約50gのL−グルタミン、および約0.5gから約30gのHMBのカルシウム塩、より好ましくは、約1gから約30gのL−アルギニン、約1gから約30gのL−グルタミン、および約0.5gから約20gのHMBのカルシウム塩、および、最も好ましくは、約2gから約20gのL−アルギニン、約2gから約20gのL−グルタミン、および約0.5gから約10gのHMBのカルシウム塩を含む。
【0031】
さらに別の実施形態において、本発明は、動物、例えば哺乳動物、好ましくはヒトの必要とするHDLコレステロールレベルを増加させる方法を提供する。好ましくは、動物のHDLコレステロールレベルを増加させる必要性は、動物の衰弱を引き起こす疾病から生じる。該方法は、動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む上記組成物を、動物のHDLコレステロールレベルを増加させるに十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると、上記動物のHDLコレステロールレベルは増加する。
【0032】
動物のHDLコレステロールレベルを増加させるに十分なHMBおよび少なくとも1つのアミノ酸の量は当分野で公知の方法に従って決定できる。望ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、そのHDLコレステロールレベルの増加を必要とする動物に、動物のHDLコレステロールレベルが増加するような量、様式、および期間で投与する。好ましくは、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸は、動物のHDLコレステロールレベルが、投与期間を通じて少なくとも約2%、より好ましくは、投与期間を通じて少なくとも約5%、および、最も好ましくは、投与期間を通じて少なくとも約10%増加するような相対量で組成物に存在する。また、少なくとも1つのアミン酸の量はHMBの量よりも多いことが望ましい。好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸の量は、HMBの量の少なくとも4倍である。例として、ヒトのHDLコレステロールレベルの増加に関して、組成物を約1日2回約8週間経口投与する場合、組成物は、好ましくは、約0.5gから約50gのL−アルギニン、約0.5gから約50gのL−グルタミン、および約0.5gから約30gのHMBのカルシウム塩、より好ましくは、約1gから約30gのL−アルギニン、約1gから約30gのL−グルタミン、および約0.5gから約20gのHMBのカルシウム塩、および、最も好ましくは、約2gから約20gのL−アルギニン、約2gから約20gのL−グルタミン、および約0.5gから約10gのHMBのカルシウム塩を含む。
【0033】
衰弱が関連している任意の疾病を、本発明の組成物を用いて、および本発明の方法に従って処置できる。好ましくは、疾病は、癌、慢性肺疾患、年齢に関係する衰弱、慢性腎疾患、動物の運動性を制限する長期入院に関連した衰弱、およびエイズからなる群から選択される。より好ましくは、疾病はエイズである。
【0034】
HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物は、本発明の方法に関連する範囲内の任意の適切な様式で動物に投与できる。好ましくは、組成物は、食用形でまたは静脈内に投与する。
【0035】
組成物を食用形で経口投与する場合、組成物は、好ましくは、食品または医薬媒体の形で、より好ましくは、食品の形である。組成物を含む任意の適切な食品を、本発明に関連する範囲内で利用できる。食品として組成物を調製するために、組成物は普通、組成物が均一に食品中に分布するように適切な食品とブレンドする。別法として、組成物は、水などの液体に溶解できる。組成物を含む任意の適切な医薬媒体を、本発明に関連する範囲内で使用できるが、好ましくは、組成物は、デキストロースまたはスクロースなどの適切な医薬担体とブレンドし、続いて、上記の通り錠剤化またはカプセル化する。
【0036】
HMB塩をその食用形で反芻動物に経口投与する場合、HMB塩は、有意な反芻胃分解を受けない。経口投与後、HMB塩は、無傷で反芻胃を通って反芻動物の腸へと通過し、ここで吸収され、循環形に分布される。
【0037】
さらに、組成物は、任意の適切な様式で静脈内投与できる。静脈内注入を介した投与では、組成物は好ましくは、水溶性非毒性形である。静脈内投与は、静脈内(IV)療法を受けている入院患者に特に適切である。例えば、組成物は、患者に投与する静脈内用溶液(例えば食塩水またはグルコース溶液)に溶解できる。また、組成物は、静脈内用栄養溶液に添加でき、これは他のアミノ酸および/または脂質を含み得る。静脈内投与する組成物の量は、経口投与に使用したレベルに類似し得るが、最大保持は、注入により、より少ない量で得られると信じられている。経口投与に優る静脈内注入の利点は、静脈内注入を介した投与はより制御され正確であるという事実を含む。
【0038】
組成物を投与する頻度を計算する方法は当分野で公知であり、任意の適切な投与頻度を、本発明に関連する範囲内で(例えば1日あたり1回6gの投与量または1日あたり2回3gの投与量)および適切な期間(例えば、1回投与量を5分間かけてまたは1時間かけて投与できるか、または別に、複数の投与量を8週間かけて投与できる)使用できる。
【実施例】
【0039】
以下の実施例はさらに本発明を説明するが、勿論、いずれにしにもその範囲を限定するとは捉えない。
【0040】
実施例1
本実施例は、本発明の組成物が、どのように健康なヒトの脂肪質量を減少させることなく、運動とは無関係に、除脂肪組織を増加させ、血清中トリグリセリドレベルを減少させるかを実証する。
【0041】
エイズ患者におけるHMB/アルギニン/グルタミン組成物(JUVEN)の効果に関する試験の前に、40人のHIV陰性の男性をプラセボまたはJUVEN群に割り当てた。4週間の試験中、各群の半分の被検者が、運動プログラムを受け、他の半分は座位生活様式を続けた。JUVEN群の各被験者は、14gのアルギニン(遊離塩基)、14gのグルタミン、および3gのHMBのカルシウム塩を含む処置を毎日4週間受けた。各群は、毎日2回の等投与量で与えられ、ホイルパケットでその補充を受けた。ベンチ圧迫により実証された、身体組成(例えば水中重量)および強度を、試験開始前および試験終了時に測定した。血液を、化学スクリーンのために、実験前並びに2および4週間目に採取した。試験の結果は下記の表1に要約する。
【0042】
【表1】

【表2】

前記の試験の結果は、HIV陰性ヒトへのJUVENの投与は、全体重の1kgの増加(約0.98kgの除脂肪組織質量および約0.01kgの脂肪質量)を引き起こしたことを示す。全体重の約0.88kgの増加(約0.83kgの除脂肪組織質量および約0.05kgの脂肪質量)がプラセボ群で観察された。従って、JUVEN処置群は、運動とは無関係に、プラセボ群よりも全体重の12.5%の増加を実現した。さらに、JUVEN群の血清中トリグリセリドレベルは、プラセボ群に比べ15%減少した。
【0043】
実施例2
本実施例は、本発明の組成物がどのように、エイズ患者において、脂肪質量の随伴的な減少なく、血清中トリグリセリドレベルおよび血清ウイルス負荷を減少させ、全体重(除脂肪組織質量および脂肪質量)を増加させるかを実証する。
【0044】
試験は、病院で開始し、HIV感染確立およびエイズ患者における衰弱の経緯の変化におけるJUVEN組成物の安全性および効力を調べた。HIV感染は、病院の記録から確認し、患者は、標準的なCDC基準に基づきエイズと診断された。試験に関与した被検者および/または個人は、プラセボ群の、または試験群の、すなわちJUVEN組成物で処置する群のどちらに割り当てられているかを知らない。
【0045】
21人の被検者をプラセボ群に割り当て、各被験者は、バルクマルトデキストリンを8週間受けた。同様に、23人の被検者を試験群に割り当て、各被験者は、14gのアルギニン(遊離塩基)、14gのグルタミン、および3gのHMBのカルシウム塩を毎日8週間受けた(JUVEN)。各群は、毎日2回の等投与量を与えられ、ホイルパケットでその補充を受けた。各投与量は、別々のパケットで供給され、被検者番号を割り当てた。8週間毎週、被検者は、彼らに割り当てられた1週間の補充割り当てを取り、体重(空腹時)を提供し、バイタルサインを記録し、実験質問事項に記入したことをメディカルセンターに報告した。
【0046】
血液サンプリングを、血液化学、肝機能試験、血中脂質および血液学決定(Lab Corp.、ニュージャージー州)のために試験開始前および2、4、6および8週間後に行った。追加の血液を、CD4数(Lab Corp.)のために試験開始前並びに4および8週間後に、およびHIVウイルス負荷測定(Lab Corp.)のために試験の開始前および8週間後にサンプリングした。プロトコルへのコンプライアンスが、血中HMBレベルを測定した0、2、4、6および8週間後に採取した追加のサンプルにより示された。
【0047】
体組成を4つの方法を使用して評価した。除脂肪体質量および脂肪質量の変化は、試験前並びに4および8週間後に、皮脂層厚および空気置換脳波検査(Bod−Pod(登録商標)、LMI、カリフォルニア)により決定した。前腕、上腕および大腿の周径を、試験開始前並びに4および8週間後に決定した。血液研究の結果は下記の表2に要約する。以下の表3は、除脂肪組織質量および脂肪質量増加に関する試験の結果を要約する。
【0048】
【表3】

【表4】

表2が示すように、エイズに罹患するヒトに関して、JUVEN群は、プラセボ群に関して血清中トリグリセリドレベルの20%減少を経験した。また、JUVEN群の血清ウイルス負荷(式log10ウイルス負荷の変化により特徴づけられる)は0.32減少したが、プラセボ群は0.40のウイルス負荷増加を経験した。
【0049】
表3が示すように、JUVEN群は、全体重が約3kg(Bod−Podおよび皮膚層厚測定によりそれぞれ決定したところ約2.55kgまたは約1.6kgの除組織質量、およびBod−Podおよび皮膚層厚測定によりそれぞれ決定したところ約0.43kgまたは1.4kgの脂肪質量)が増加した。これに対し、プラセボ群は、全体重が約0.3kg増加した。全体重増加は、Bod−Podおよび皮膚層厚(皮下質量を測定)測定の両方で同じであったが、測定間の差異は、被検者の内臓領域から皮下領域への脂肪再分配の結果のようである(下記の実施例3参照)。
【0050】
JUVEN投与時に、エイズ罹患患者は、全体重が約3.0kg増加し、一方、HIV陰性患者(実施例1)は約1.0kg増加した。それ故、本発明の組成物は、驚くべきことにおよび予測されなかったことに、疾病に関連する衰弱に苦しんでいないHIV陰性患者よりも、疾病に関連する衰弱に苦しむエイズ患者において全体重の大きな増加を奏効した。
【0051】
実施例3
本実施例は、本発明の組成物がどのように、ヒトの内臓領域から皮下領域に脂肪を再分配するかを実証する。
【0052】
試験を、上記の実施例1に記載のHIV陰性患者、および上記の実施例2に記載のエイズ患者に実施した。全体脂肪は、体密度に基づいて全体脂肪を推定するBod−Podにより測定した。皮下体脂肪は、身体の7つの領域(すなわち、胸部、腋窩、三頭筋、肩甲下、腸骨上、腹部、および大腿)の皮膚をつまんだ厚さの測定により測定した。次いで、7つの皮下の脂肪測定の結果を合計した。全測定は、試験開始前および8週間の試験の終了時に行った。測定の結果は以下の表4に要約する。
【0053】
【表5】

表4が示すように、エイズ患者のプラセボ群は、約3.04mmその皮下脂肪が増加したが、エイズ患者のJUVEN群は、約9.5mmその皮下脂肪が増加した。従って、エイズ患者の皮下脂肪の増加は、プラセボ群よりもJUVEN群の方が3倍高く、一方、JUVEN群の全体脂肪増加は、プラセボ群の僅か半分であった(JUVEN群の全体脂肪0.43kgに対し、プラセボ群の全体脂肪1.07kg)。それ故、JUVENの投与により、ヒトの内臓領域からヒトの皮下領域に脂肪が再分配された。
【0054】
実施例4
本実施例はさらに、どのように本発明の組成物が、脂肪質量を減少させることなく、除脂肪質量を増加させ、運動に無関係に健康な高年のヒトのHDLコレステロールレベルを増加させたかを実証する。
【0055】
65歳の43人の男性および女性を、12週間の試験に被検者として採用した。各被検者は、試験開始前に各被験者の病歴問診を行うことにより決定したところ、肝疾患、腎疾患、非制御高血圧、糖尿病、および全ての他の重度の医学的病気がなかった。
【0056】
栄養補充を、二重盲検試験の開始前にコンピューターで作成した無作為な数を使用して各被験者に無作為に割り当てた。被検者は、プラセボ処置(n=21)に割り当てられ、バルクマルトデキストリンを投与されるか;または実験処置群(n=22)に割り当てられ、2gのHMBのカルシウム塩、5gのL−アルギニン、および1.5gのL−リジン(HMB/Arg/Lys)を含む混合物を投与された。試験を開始した43人の被検者の中で、プラセボ群の6人の被検者および実験処置群の4人の被検者が12週間の試験を完了しなかった。
【0057】
下記の表5は、試験の経緯中に行った測定、および試験経緯中のいつ測定を行ったかを要約する。
【0058】
【表6】

被検者に提供された健康質問事項は、あらゆる副作用の発生、SF−36健康調査(Ware、Kosinskiら、1994)、および心理的プロフィル(Russell、Lewickaら、1989)を含んだ。体重、身長および血圧を慣用的な手段を使用して測定した。
【0059】
生体電気インピーダンス分析(体組成分析器、BIA−101S、RJLシステムズ、クリントン・タウンシップ、ミシガン州)を行い、体細胞質量、全体液水分、細胞内水分、細胞外水分、無脂肪質量(すなわち除脂肪組織質量)および脂肪質量を測定した。データは、「体組成測定の生体電気インピーダンス分析:National Institutes of Health Technology Assessmet Conference Statement 1996」に従って、および液体&栄養分析ソフトウェア、バージョン3.1b(RJLシステムズ、クリントン・タウンシップ、ミシガン州)の式を使用して分析した。
【0060】
腕、前腕、大腿、胃、および腰の周径測定を行い、体組成の局所的変化が起こったかを決定し、除脂肪組織質量および脂肪質量の変化を決定した。被検者の前腕に関して、前腕の周径の増加は、被検者の除組織質量の増加を示唆する。
【0061】
「起立して進む」試験および「起立」試験を含む機能性試験も被検者に実施して、被検者の機能性に改善(すなわち、強度および速度の増加)が起こったかを決定し、除脂肪組織質量の増加が起こったかを決定した。時間を記録した「起立して進む」試験において、被検者は被検者の手をその膝にのせて椅子に座った。次いで、被検者はその手を使用せずに椅子から立ち上がり、20フィート歩き、椅子の座位に戻るように言われた。これも時間を記録した「起立」試験において、被検者は椅子から起立のみするように言われた。被検者が「起立して進む」試験および/または「起立」試験の達成にかかる時間の減少は、強度の増加並びに被検者の除脂肪組織質量の増加を示す。
【0062】
血液化学プロフィルは、ALT、アルブミン、アルブミン/グロブリン比、アルカリホスファターゼ、AST、ビリルビン(総)、BUN、BUN/クレアチニン比、カルシウム、クロライド、コレステロール(総)、クレアチニン、GGT、グロブリン(総)、グルコース、鉄(総)、LDH、リン、カリウム、タンパク質(総)、ナトリウム、トリグリセリド、および尿酸を含んだ。
【0063】
血液学試験は、白血球百分率数、ヘマトクリット、ヘモグロビン、MCV、MCH、MCHCの比率および絶対数、血小板数、赤血球数、および白血球数の測定値を含んだ。
【0064】
以下の表6は、試験の結果を要約する。
【0065】
【表7】

表6が示すように、HMB/Arg/Lys実験試験群は、プラセボ群より高い、強度、速度、および除脂肪組織質量の増加を実現した。HMB/Arg/Lys実験試験群はまた、プラセボ群より高い、そのHDLコレステロールレベルの増加(p<0.01)およびそのヘモグロビンレベルの増加も実現した。さらに、HMB/Arg/Lys実験試験群の脂肪質量は、プラセボ群よりも不変であり続けた(p<0.74)。
【0066】
特許、特許出願、および刊行物を含む、本明細書に引用した全参考文献は、参考としてその全体をここに取込む。
【0067】
本発明は、好ましい実施形態を強調して記載したが、好ましい実施形態の変形を使用し得、本発明は、本明細書に具体的に記載した以外の様式でも実施され得ることは当分野の通常の熟練者には明らかであろう。従って、本発明は、以下の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲内に包含される全ての修飾を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物。
【請求項2】
上記HMBは、遊離酸、塩、エステル、およびラクトンからなる群から選択された形である、請求項1の組成物。
【請求項3】
上記HMBは塩の形である、請求項2の組成物。
【請求項4】
上記HMBは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群から選択された塩の形である、請求項3の組成物。
【請求項5】
上記HMBはカルシウム塩の形である、請求項4の組成物。
【請求項6】
上記HMBはエステルの形である、請求項2の組成物。
【請求項7】
上記HMBは、メチルエステルおよびエチルエステルからなる群から選択されたエステルの形である、請求項6の組成物。
【請求項8】
上記HMBはラクトンの形である、請求項2の組成物。
【請求項9】
上記HMBはイソバラリルラクトンの形である、請求項8の組成物。
【請求項10】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニン、L−グルタミン、L−リジン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−メチオニン、L−システイン、グリシン、およびその組合せからなる群から選択される、請求項1の組成物。
【請求項11】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項10の組成物。
【請求項12】
上記HMBは、カルシウム塩の形であり、上記の少なくとも1つのアミノ酸はL−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項1の組成物。
【請求項13】
HMBは、約0.5gから約30gの量で存在し、少なくとも1つのアミノ酸は約1gから約100gの量で存在する、請求項1の組成物。
【請求項14】
動物の疾病に関連する衰弱の処置法であって、上記方法は、上記動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、上記疾病に関連する衰弱の処置に十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると上記疾病に関連する衰弱は処置される、上記処置法。
【請求項15】
上記HMBは、遊離酸、塩、エステル、およびラクトンからなる群から選択された形である、請求項14の方法。
【請求項16】
上記HMBは塩の形である、請求項15の方法。
【請求項17】
上記HMBは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群から選択された塩の形である、請求項16の方法。
【請求項18】
上記HMBはカルシウム塩の形である、請求項17の方法。
【請求項19】
上記HMBはエステルの形である、請求項15の方法。
【請求項20】
上記HMBは、メチルエステルおよびエチルエステルからなる群から選択されたエステルの形である、請求項19の方法。
【請求項21】
上記HMBはラクトンの形である、請求項15の方法。
【請求項22】
上記HMBはイソバラリルラクトンの形である、請求項21の方法。
【請求項23】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニン、L−グルタミン、L−リジン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−メチオニン、L−システイン、グリシン、およびその組合せである、請求項14の方法。
【請求項24】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項23の方法。
【請求項25】
上記HMBは、カルシウム塩の形であり、上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項14の方法。
【請求項26】
上記HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸は、上記動物の除脂肪組織質量を1日あたり少なくとも10g増加させるに十分な量で存在する、請求項14の方法。
【請求項27】
上記HMBは、約0.5gから約30gの量で存在し、上記の少なくとも1つのアミノ酸の量は、約1gから約100gの量で存在する、請求項14の方法。
【請求項28】
上記の疾病に関連する衰弱は、癌、慢性肺疾患、年齢、慢性腎疾患、動物の運動性を制限する長期入院、またはエイズに関連したものである、請求項14の方法。
【請求項29】
上記の疾病に関連する衰弱は、エイズに関連する、請求項28の方法。
【請求項30】
動物の血清中トリグリセリドレベルを減少させる方法であって、上記方法は、上記動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、上記動物の血清中トリグリセリドレベルを減少させるに十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると、上記動物の血清中トリグリセリドレベルは減少する上記方法。
【請求項31】
上記HMBは、遊離酸、塩、エステル、およびラクトンからなる群から選択された形である、請求項30の方法。
【請求項32】
上記HMBは塩の形である、請求項31の方法。
【請求項33】
上記HMBは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群から選択された塩の形である、請求項32の方法。
【請求項34】
上記HMBはカルシウム塩の形である、請求項33の方法。
【請求項35】
上記HMBはエステルの形である、請求項31の方法。
【請求項36】
上記HMBは、メチルエステルおよびエチルエステルからなる群から選択されたエステルの形である、請求項35の方法。
【請求項37】
上記HMBはラクトンの形である、請求項31の方法。
【請求項38】
上記HMBはイソバラリルラクトンの形である、請求項37の方法。
【請求項39】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニン、L−グルタミン、L−リジン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−メチオニン、L−システイン、グリシン、およびその組合せである、請求項30の方法。
【請求項40】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項39の方法。
【請求項41】
上記HMBはカルシウム塩の形であり、上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項30の方法。
【請求項42】
動物の血清ウイルス負荷を減少させる方法であって、上記方法は、上記動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、上記動物の血清ウイルス負荷を減少させるに十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると、上記動物のウイルス血清負荷は減少する上記方法。
【請求項43】
上記HMBは、遊離酸、塩、エステル、およびラクトンからなる群から選択された形である、請求項42の方法。
【請求項44】
上記HMBは塩の形である、請求項43の方法。
【請求項45】
上記HMBは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群から選択された塩の形である、請求項44の方法。
【請求項46】
上記HMBはカルシウム塩の形である、請求項45の方法。
【請求項47】
上記HMBはエステルの形である、請求項43の方法。
【請求項48】
上記HMBは、メチルエステルおよびエチルエステルからなる群から選択されたエステルの形である、請求項47の方法。
【請求項49】
上記HMBはラクトンの形である、請求項43の方法。
【請求項50】
上記HMBはイソバラリルラクトンの形である、請求項49の方法。
【請求項51】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニン、L−グルタミン、L−リジン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−メチオニン、L−システイン、グリシン、およびその組合せからなる群から選択される、請求項42の方法。
【請求項52】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項51の方法。
【請求項53】
上記HMBは、カルシウム塩の形であり、上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項42の方法。
【請求項54】
内臓領域および皮下領域を有する動物の脂肪を再分配する方法であって、上記方法は、上記動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、上記動物の内臓領域から上記動物の皮下領域へ脂肪を再分配するに十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると、上記動物の内臓領域由来の脂肪が、上記動物の皮下領域に再分配される上記方法。
【請求項55】
上記HMBは、遊離酸、塩、エステル、およびラクトンからなる群から選択された形である、請求項54の方法。
【請求項56】
上記HMBは塩の形である、請求項55の方法。
【請求項57】
上記HMBは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群から選択された塩の形である、請求項56の方法。
【請求項58】
上記HMBはカルシウム塩の形である、請求項57の方法。
【請求項59】
上記HMBはエステルの形である、請求項55の方法。
【請求項60】
上記HMBは、メチルエステルおよびエチルエステルからなる群から選択されたエステルの形である、請求項59の方法。
【請求項61】
上記HMBはラクトンの形である、請求項55の方法。
【請求項62】
上記HMBはイソバラリルラクトンの形である、請求項61の方法。
【請求項63】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニン、L−グルタミン、L−リジン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−メチオニン、L−システイン、グリシン、およびその組合せからなる群から選択される、請求項54の方法。
【請求項64】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項63の方法。
【請求項65】
上記HMBは、カルシウム塩の形であり、上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項54の方法。
【請求項66】
動物の除脂肪組織質量を、上記動物の脂肪質量を減少させることなく増加させる方法であって、上記方法は、上記動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、上記動物の脂肪質量を実質的に減少させることなく、上記動物の除脂肪組織質量を増加させるに十分な量で投与することを含む上記方法。
【請求項67】
上記HMBは、遊離酸、塩、エステル、およびラクトンからなる群から選択された形である、請求項66の方法。
【請求項68】
上記HMBは、塩の形である、請求項67の方法。
【請求項69】
上記HMBは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群から選択された塩の形である、請求項68の方法。
【請求項70】
上記HMBはカルシウム塩の形である、請求項69の方法。
【請求項71】
上記HMBはエステルの形である、請求項67の方法。
【請求項72】
上記HMBは、メチルエステルおよびエチルエステルからなる群から選択されたエステルの形である、請求項71の方法。
【請求項73】
上記HMBはラクトンの形である、請求項67の方法。
【請求項74】
上記HMBはイソバラリルラクトンの形である、請求項73の方法。
【請求項75】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニン、L−グルタミン、L−リジン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−メチオニン、L−システイン、グリシン、およびその組合せからなる群から選択される、請求項66の方法。
【請求項76】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項75の方法。
【請求項77】
上記HMBはカルシウム塩の形であり、上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項66の方法。
【請求項78】
動物のHDLコレステロールレベルを増加させる方法であって、上記方法は、上記動物に、HMBおよび少なくとも1つのアミノ酸を含む組成物を、上記動物のHDLコレステロールレベルを増加させるに十分な量で投与することを含み、動物に組成物を投与すると、上記動物のHDLコレステロールレベルは増加する上記方法。
【請求項79】
上記HMBは、遊離酸、塩、エステル、およびラクトンからなる群から選択された形である、請求項78の方法。
【請求項80】
上記HMBは塩の形である、請求項79の方法。
【請求項81】
上記HMBは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、クロム塩、およびカルシウム塩からなる群から選択された塩の形である、請求項80の方法。
【請求項82】
上記HMBはカルシウム塩の形である、請求項81の方法。
【請求項83】
上記HMBはエステルの形である、請求項79の方法。
【請求項84】
上記HMBは、メチルエステルおよびエチルエステルからなる群から選択されたエステルの形である、請求項83の方法。
【請求項85】
上記HMBはラクトンの形である、請求項79の方法。
【請求項86】
上記HMBはイソバラリルラクトンの形である、請求項85の方法。
【請求項87】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニン、L−グルタミン、L−リジン、L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−メチオニン、L−システイン、グリシン、およびその組合せからなる群から選択される、請求項78の方法。
【請求項88】
上記の少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項87の方法。
【請求項89】
上記HMBはカルシウム塩の形であり、少なくとも1つのアミノ酸は、L−アルギニンおよびL−グルタミンの組合せである、請求項78の方法。

【公開番号】特開2012−102118(P2012−102118A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−282771(P2011−282771)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2000−555603(P2000−555603)の分割
【原出願日】平成11年6月23日(1999.6.23)
【出願人】(500584239)アイオワ ステイト ユニヴァースティ リサーチ ファウンデイション インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】