説明

β−溶血性連鎖球菌株由来のORF1358の組成物および使用方法

本発明は、連鎖球菌C群およびG群ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドならびに免疫原性組成物におけるその使用に関する。また、本発明は、これらのポリヌクレオチドによってコードされているポリペプチドを含む免疫原性組成物にも関する。さらに、本発明は、連鎖球菌C群およびG群のポリペプチドおよびポリヌクレオチドの免疫原性組成物を用いて、哺乳動物においてβ溶血性連鎖球菌またはβ溶血性連鎖球菌感染症に対する免疫応答を誘導する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年6月20日出願の仮出願第61/074,251号の優先権を主張するものである。本出願の内容は、その全体が本明細書中に参考として組み込まれている。
【0002】
本発明は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)から得られたポリヌクレオチド、およびそのようなポリヌクレオチドによってコードされているポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0003】
β−溶血性連鎖球菌種は、表在性の感染症からより重篤な病気の範囲の数々のヒト疾患の原因である重要な病原体である。これらには、血清群A、B、CおよびGからの種が含まれる。A群連鎖球菌の細菌(化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes))が病気のほとんどの事例について責任があり、咽頭炎、猩紅熱、膿痂疹、蜂窩織炎または丹毒などの非侵襲性疾患をもたらす場合がある。一部の連鎖球菌株は、毒素ショック症候群、壊死性筋膜炎および敗血症などのより重篤な侵襲性感染症をもたらす場合がある。さらに、表在性感染症合併症は免疫媒介性の続発症をもたらす場合がある。ランスフィールドのB群連鎖球菌(ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae))は、新生児における新生児敗血症の主な原因であり、高齢患者において肺炎を引き起こす場合がある。連鎖球菌C群およびG群は、当初は動物病原体として認識されていたが、近年では、ヒト疾患の強力な潜在性を有することが示されている。連鎖球菌C群およびG群によって引き起こされる病気は、一般に、A群連鎖球菌と同様に自身を提示するが、免疫媒介性の続発症をもたらすことは示されていない。C群およびG群連鎖球菌は、多くの場合根本的な健康の問題を有する患者に存在し、高齢患者にとって重要であり、いくつかの連鎖球菌種に分散されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogene)のオープンリーディングフレーム1358(ORF1358)に対応する、新規ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のポリヌクレオチドの発見に基づいている。本発明には、そのようなポリヌクレオチドによってコードされているポリペプチドが包含される。
【0006】
一実施形態では、本発明は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)から得られた様々な新規ORF1358配列のコンセンサス配列である配列番号31に記載のアミノ酸配列の少なくとも断片を含む、単離したポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、単離したポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号26、配列番号28、配列番号30、もしくは配列番号32に記載のアミノ酸配列、またはその断片を含む。一部の実施形態では、単離したポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも97.5%、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、単離したポリペプチドは亜鉛結合活性を有する。一部の実施形態では、単離したポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、97.5%、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0007】
一実施形態では、本発明は、配列番号31に記載のアミノ酸配列、またはその断片を含むポリペプチドをコードしている単離したポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、単離したポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列、またはその断片を含むポリペプチドをコードしている。一部の実施形態では、単離したポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31に記載のヌクレオチド配列、またはその断片を含む。一部の実施形態では、単離したポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、97.5%、98、または99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしている。一部の実施形態では、単離したポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、もしくは配列番号31に記載のポリヌクレオチド配列と少なくとも90%、95%、または99%同一であるヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、単離したポリヌクレオチドは亜鉛結合ポリペプチドをコードしている。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは調節要素と作動可能に連結している。一部の実施形態では、調節要素は誘導性プロモーターおよび/または構成的プロモーターを含む。
【0008】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つのストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358単離ポリペプチドの少なくとも断片と特異的に結合する抗体を提供する。一部の実施形態では、抗体は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む単離したポリペプチドと結合する。抗体はモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。
【0009】
一実施形態では、本発明は、アミノ酸配列がストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、もしくはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)から解明されるORF1358単離ポリペプチドまたはその断片を含むキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列、またはその断片を含む単離したポリペプチドを含む。一部の実施形態では、キットは、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、もしくはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358によってコードされているポリペプチドまたはその断片を発現するポリヌクレオチドベクターを含む。一部の実施形態では、キットは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列、またはその断片を含むポリペプチドを発現するポリヌクレオチドベクターを含む。
【0010】
一実施形態では、本発明は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドを発現するポリヌクレオチドベクターを提供する。一部の実施形態では、単離したポリヌクレオチドベクターは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドベクターは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしている単離したポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドベクターは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に記載のヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドベクターは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、97.5%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドベクターは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、97.5%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしている単離したポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドベクターは、亜鉛結合ポリペプチドをコードしている単離したポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドベクターは、単離したポリヌクレオチドと作動可能に連結している調節配列を含む単離したポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドベクターは、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであり得る調節要素を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドベクターはプラスミド、ウイルスベクター、または発現ベクターである。
【0011】
一実施形態では、本発明は、単離したストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。一部の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0012】
一実施形態では、本発明は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドをコードしている単離したポリヌクレオチドを含む免疫原性組成物を提供する。一部の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に記載のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。
【0013】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物に、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)の単離したORF1358ポリペプチドを含む免疫原性組成物を投与することを含む、哺乳動物においてβ溶血性連鎖球菌またはβ溶血性連鎖球菌感染症に対する免疫応答を誘導する方法を提供する。
【0014】
一実施形態では、本発明は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358によってコードされている単離したポリペプチドを発現するex−vivo宿主細胞を提供する。一部の実施形態では、宿主細胞は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する。一部の実施形態では、宿主細胞は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしている単離したポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドベクターを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に記載のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドベクターを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、97.5%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドベクターを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、97.5%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしている単離したポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドベクターを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、亜鉛結合ポリペプチドをコードしている単離したポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドベクターを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、単離したポリヌクレオチドと作動可能に連結している調節配列を含む単離したポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドベクターを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであり得る調節要素を含むポリヌクレオチドベクターを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、プラスミド、ウイルスベクター、または発現ベクターであるポリヌクレオチドベクターを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、細菌、哺乳動物細胞、昆虫細胞、または酵母細胞から選択される。
【0015】
一実施形態では、本発明は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含む、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含むキットを提供する。
【0016】
一実施形態では、本発明は、治療上有効な量の、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358によってコードされているポリペプチドを含む少なくとも1つの単離したポリペプチドと特異的に結合する抗体を投与することを含む、哺乳動物においてβ溶血性連鎖球菌感染症を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、この方法では、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む単離したポリペプチドと結合する抗体を使用する。この方法で使用する抗体はモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。一部の実施形態では、β溶血性連鎖球菌感染症をヒトにおいて処置する。
【0017】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるβ溶血性連鎖球菌感染症の予防的処置に有用な医薬品の製造における、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358によってコードされているポリペプチドを含む単離したポリペプチドの使用を提供する。一部の実施形態では、医薬品はヒトにおける予防的処置に有用である。
【0018】
一実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるβ溶血性連鎖球菌感染症の予防的処置に有用な医薬品を提供する。一部の実施形態では、医薬品は、単離したストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドを含むポリヌクレオチドを使用する。一部の実施形態では、医薬品は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む単離したポリペプチドを使用する。一部の実施形態では、医薬品は、単離したストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを使用する。一部の実施形態では、医薬品は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に記載のヌクレオチド配列を含む単離したポリヌクレオチドを使用する。一部の実施形態では、医薬品は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドベクターを使用する。一部の実施形態では、医薬品は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358によってコードされているポリペプチドを含む、少なくとも1つの単離したポリペプチドと特異的に結合する抗体を使用する。一部の実施形態では、医薬品は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32に記載のアミノ酸配列を含む単離したポリペプチドと特異的に結合する抗体を使用する。医薬品はモノクローナルまたはポリクローナル抗体を使用し得る。一部の実施形態では、医薬品を使用する哺乳動物はヒトである。
【0019】
配列表の簡単な説明
配列番号1は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)におけるorf1358のヌクレオチド配列である。
【0020】
配列番号2は、配列番号1のストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)におけるorf1358によってコードされているアミノ酸配列である。
【0021】
配列番号3は、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)におけるorf1358のヌクレオチド配列である。
【0022】
配列番号4は、配列番号3のストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)におけるorf1358によってコードされているアミノ酸配列である。
【0023】
配列番号5は、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)におけるorf1358のヌクレオチド配列である。
【0024】
配列番号6は、配列番号5のストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)におけるorf1358によってコードされているアミノ酸配列である。
【0025】
配列番号7は、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)におけるorf1358のヌクレオチド配列である。
【0026】
配列番号8は、配列番号7のストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)におけるorf1358によってコードされているアミノ酸配列である。
【0027】
配列番号9は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)におけるorf1358のヌクレオチド配列である。
【0028】
配列番号10は、配列番号9のストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)におけるorf1358によってコードされているアミノ酸配列である。
【0029】
配列番号11は、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)におけるorf1358のヌクレオチド配列である。
【0030】
配列番号12は、配列番号11のストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)におけるorf1358によってコードされているアミノ酸配列である。
【0031】
配列番号13は、配列番号2、4、6、8、10、および12に記載のポリペプチド配列をアラインメントすることによって得られるコンセンサスアミノ酸配列である。
【0032】
配列番号14は、プライマーD1358F1のヌクレオチド配列である。
【0033】
配列番号15は、プライマーD1358F3のヌクレオチド配列である。
【0034】
配列番号16は、プライマーD1358F5のヌクレオチド配列である。
【0035】
配列番号17は、プライマーD1358R2のヌクレオチド配列である。
【0036】
配列番号18は、プライマーD1358R3のヌクレオチド配列である。
【0037】
配列番号19は、プライマーD1358R5のヌクレオチド配列である。
【0038】
配列番号20は、プライマー1358Fのヌクレオチド配列である。
【0039】
配列番号21は、プライマー1358Rのヌクレオチド配列である。
【0040】
配列番号22は、NCBI gi50902983を有する化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogene)高親和性亜鉛取込み系タンパク質znuA前駆体のアミノ酸配列である。
【0041】
配列番号23は、NCBI gi22536713を有するストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)2603V/R亜鉛結合接着リポタンパク質のアミノ酸配列である。
【0042】
配列番号24は、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)のORF1358によってコードされているポリペプチドのアミノ酸配列である。
【0043】
配列番号25は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)におけるorf1358のヌクレオチド配列である。
【0044】
配列番号26は、配列番号25のストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)におけるorf1358によってコードされているアミノ酸配列である。
【0045】
配列番号27は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)におけるorf1358のヌクレオチド配列である。
【0046】
配列番号28は、配列番号27のストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)におけるorf1358によってコードされているアミノ酸配列である。
【0047】
配列番号29は、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)におけるorf1358のヌクレオチド配列である。
【0048】
配列番号30は、配列番号29のストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)におけるorf1358によってコードされているアミノ酸配列である。
【0049】
配列番号31は、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)におけるorf1358のヌクレオチド配列である。
【0050】
配列番号32は、配列番号31のストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)におけるorf1358によってコードされているアミノ酸配列である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogene)のオープンリーディングフレーム1358(ORF1358)に対応する、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、およびストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)(連鎖球菌C+G)株から得られた新規ポリヌクレオチドを記載する。ORF1358のポリヌクレオチドおよびアミノ酸の配列は、公開国際特許出願WO02/083859号に提供されている。新規ORF1358ポリヌクレオチドは新規ポリペプチドをコードしている。これらのポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、哺乳動物においてβ溶血性連鎖球菌またはβ溶血性連鎖球菌感染症に対する免疫応答を誘導するための免疫原性組成物中で使用することができる。
【0052】
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」/「核酸断片」は、本明細書中で互換性があるように使用する。これらの用語には、リン酸ジエステル結合によって接続されたヌクレオチドが包含される。「ポリヌクレオチド」は、合成、非天然または変更されたヌクレオチド塩基を含有していてもよい、一本鎖または二本鎖であるリボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)ポリマーであり得る。DNAのポリマーの形態のポリヌクレオチドは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNAのうちの1つもしくは複数のセグメント、またはその混合物を含み得る。ヌクレオチド塩基は、本明細書中で以降、単一文字のコードで示す:アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、イノシン(I)およびウラシル(U)。
【0053】
「タンパク質」または「ポリペプチド」とは、ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド中のコード配列によって決定される特定の順序で配置されているアミノ酸の鎖である。
【0054】
用語「単離した」とは、天然状態から「人の手によって」変更されたことを意味する。組成物または物質が自然に存在する場合、それが「単離」されているとみなされるためには、その元の環境から変化もしくは取り出されているか、または両方でなければならない。たとえば、本明細書中で以降この用語を用いるように、生きた動物に自然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは「単離」されていないが、その天然状態の同時に存在する物質から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは「単離」されている。単離したポリヌクレオチドまたは単離したポリペプチドは、それが自然に存在する細胞から精製し得る。当業者に知られている慣用の核酸およびポリペプチドの精製方法を用いて、本明細書中に開示した単離したポリヌクレオチドまたはポリペプチドが得られ得る。
【0055】
用語「作動可能に連結している」とは、一方の機能が他方によって影響を受けるような、単一のポリヌクレオチド上での核酸配列の会合をいう。たとえば、プロモーターは、そのコード配列の発現に影響を与えることができる(すなわち、コード配列がプロモーターの転写制御下にある)場合に、コード配列と作動可能に連結している。コード配列は、センスまたはアンチセンスの配向で調節配列と作動可能に連結していることができる。
【0056】
本明細書に記載のORF1358ポリヌクレオチドおよびORF1358ポリペプチドは、標準のクローニングおよびスクリーニング技術を用いて得られ得る。ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、およびストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリヌクレオチドは、たとえば、ゲノムDNAから、mRNAに由来するcDNAライブラリから、ゲノムDNAライブラリから得られ得るか、または、たとえばcDNAライブラリからのPCRもしくはRT−PCR(逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応)によってなど、周知かつ市販の技術を用いて合成することができる。
【0057】
用語「組換え」とは、たとえば、ポリヌクレオチドを、たとえば化学合成または遺伝子操作技術を用いた単離したポリヌクレオチドの操作によって、2つのそうでなければ分離されているポリヌクレオチドセグメントの人工的な組合せによって作製することを意味する。「組換えDNA構築体」は、少なくとも1つの調節要素と作動可能に連結している、本発明の単離したポリヌクレオチドのうちの任意のものを含む。
【0058】
一実施形態では、本発明は、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含む単離したポリペプチドを提供する。配列番号13に記載のアミノ酸配列は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、およびストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のポリヌクレオチド配列ORF1358によってコードされている、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号26、配列番号28、配列番号30、および配列番号32に記載のアミノ酸配列をアラインメントした後に得られたコンセンサス配列である。
【0059】
一実施形態では、本発明は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、もしくは配列番号32、またはその断片を含むポリペプチドをコードしている単離したポリヌクレオチドを提供する。本明細書には、遺伝暗号の縮重が原因で配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に示すポリヌクレオチド配列とは異なるポリヌクレオチドが包含される。これらのポリヌクレオチドは、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogene)のORF1358によってコードされているポリペプチドと同じ機能を含むポリペプチドをコードしている。ポリペプチドは亜鉛結合活性を含み得る。
【0060】
ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、およびストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリヌクレオチドの相同分子種および対立遺伝子変異体は、当分野で周知の方法を用いて容易に同定することができる。ORF1358ポリヌクレオチドの対立遺伝子変異体および相同分子種は、典型的には配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、もしくは配列番号31に示すヌクレオチド配列のうちのいずれか1つもしくは複数、またはその断片と少なくとも約90〜95%以上同一であるヌクレオチド配列を含むことができる。ORF1358ポリヌクレオチドの対立遺伝子変異体および相同分子種は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または97.5%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードすることができる。そのようなポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下で、配列番号1、3、5、7、9、11、25、27、29、もしくは31に記載のヌクレオチド配列、またはその断片を有するポリヌクレオチドのうちのいずれか1つもしくは複数からの少なくとも断片とハイブリダイズすることができるとして、容易に同定することができる。
【0061】
さらに、ORF1358ポリヌクレオチドの対立遺伝子変異体および相同分子種は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、または配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に記載のポリヌクレオチドの断片などの、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、およびストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリヌクレオチドまたは遺伝子のコード領域の断片のみを含むことができる。特定の実施形態では、そのような断片は免疫原性断片をコードしている。
【0062】
当業者には、多くの配列同一性のレベルが関連するポリヌクレオチドおよびポリペプチドの同定に有用であることが十分に理解されよう。配列アラインメントおよび%同一性の計算は、LASERGENE生物情報学計算スイート(DNASTAR Inc.、ウィスコンシン州Madison)のMegalignプログラムを用いて行った。配列の複数のアラインメントは、初期設定パラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)を使用して、アラインメントのClustal方法を用いて行った(HigginsおよびSharp(1989)CABIOS.、5:151〜153)。Clustal方法を用いた対アラインメントの初期設定パラメータは、KTUPLE1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5であった。また、配列アラインメントはBLASTを用いても行った(Altschul SF、Madden TL、Schaffer AAら、Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs.、Nucleic Acids Research.、1997年9月1日、25(17):3389〜3402)。
【0063】
本発明のORF1358ポリヌクレオチドは、たとえば、免疫原性組成物中に包含させるための組換えポリペプチドを産生するために使用し得る。組換えポリペプチドの産生のために、ポリヌクレオチドには、成熟ポリペプチドのコード配列を単独で、または、リーダーもしくは分泌配列、プレもしくはプロまたはプレプロ−タンパク質配列、または他の融合ペプチド部分をコードしているものなどの、他のコード配列と連結した成熟ポリペプチドのコード配列が含まれ得る。たとえば、融合したポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列をコード配列と連結させることができる(Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:821〜824、1989を参照)。また、ポリヌクレオチドは、転写配列、非翻訳配列、スプライシングシグナル、およびポリアデニル化シグナルなどの、コード配列の5’および/または3’の配列を含有してもよい。
【0064】
特定の実施形態では、本明細書に提供するポリヌクレオチド配列情報により、本明細書に開示する選択したポリヌクレオチドのヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする能力を有する、比較的短いDNA(またはRNA)オリゴヌクレオチド配列の調製が可能となる。本明細書で使用する用語「オリゴヌクレオチド」とは、2個以上、通常は三(3)個より多く、典型的には十(10)個より多く、百(100)個またはそれ以上に至るまでの(ただし、20〜30個が好ましい)デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含む分子として定義される。正確な大きさは多くの要因に依存し、さらにこれらはオリゴヌクレオチドの最終的な機能または使用に依存する。したがって、一部の実施形態では、選択したヌクレオチド配列、たとえば、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31に示したものなどの配列に基づいて、適切な長さの核酸プローブを調製する。ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズするそのような核酸プローブの能力により、様々な実施形態においてこれらに特定の有用性が与えられる。一部の実施形態では、プローブを、所定の試料中の相補的配列の存在を検出するための様々なアッセイで使用することができる。これらのプライマーは、化学合成、DNA複製、逆転写、またはその組合せを含めた任意の様式で作製し得る。そのようなプライマーの配列は、原核細胞由来のストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドをコードしている定義されたポリヌクレオチドセグメントを検出、増幅または突然変異させるために使用する本明細書に記載のポリヌクレオチドを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して設計する。
【0065】
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、ハイブリッドの形成を検出するための適切な標識と組み合わせて使用し得る。放射性のもの、酵素性のもの、または他のリガンド、たとえばアビジン/ビオチンを含めた、検出可能なシグナルを与えることができる様々な適切な標識が当分野で知られている。
【0066】
本明細書に記載のポリペプチドをコードしている完全長cDNAおよびゲノムクローンを単離するため、ならびに配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、および配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、もしくは配列番号31に記載のポリヌクレオチド配列、またはその断片と高い配列類似度を有する他の遺伝子(ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)以外の種由来の相同体および相同分子種をコードしている遺伝子が含まれる)のcDNAおよびゲノムクローンを単離するために、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、および配列番号14〜配列番号21のうちの1つ、またはその断片中に含有されるヌクレオチド配列と同一または十分に同一であるポリヌクレオチドを、cDNAおよびゲノムDNAのハイブリダイゼーションプローブとして、または核酸増幅(PCR)反応のプライマーとして使用し得る。典型的には、これらのヌクレオチド配列は、参照ポリヌクレオチド配列と少なくとも約90%同一〜少なくとも約99%同一である。プローブまたはプライマーは、一般に、少なくとも15個のヌクレオチド、少なくとも30個のヌクレオチドまたは少なくとも50個のヌクレオチドを含む。
【0067】
完全長cDNAを得る、または短いcDNAを伸長するための、当業者が利用可能かつ周知のいくつかの方法が存在する。たとえば、cDNA末端迅速増幅(RACE)方法(Frohmanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85、8998〜9002、1988を参照)に基づく方法である。たとえば、Marathon(商標)技術(Clontech、カリフォルニア州Mountain View)によって例示されるこの技術の改変により、より長いcDNAの検索が著しく単純化された。Marathon(商標)技術では、選択した組織から抽出したmRNAおよびそれぞれの末端上にライゲーションさせた「アダプター」配列からcDNAを調製する。その後、遺伝子特異的およびアダプター特異的なオリゴヌクレオチドプライマーの組合せを用いて、核酸増幅(PCR)を実施してcDNAの「欠損した」5’末端を増幅する。その後、「ネスト」プライマー、すなわち、増幅産物内でアニーリングするように設計されたプライマー(典型的には、アダプター配列中のさらに3’にアニーリングするアダプター特異的プライマーおよび既知の遺伝子配列中のさらに5’にアニーリングする遺伝子特異的プライマー)を用いてPCR反応を繰り返す。その後、この反応の産物をDNA配列決定によって分析し、既存のcDNAと直接合わせることによって完全な配列を与えること、または、5’プライマーを設計するための新しい配列情報を用いて別々の完全長PCRを実施することのいずれかによって、完全長cDNAを構築することができる。
【0068】
一実施形態では、本発明は、免疫原性組成物中で使用するための単離および精製したストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドを提供する。本発明の免疫原性組成物中で使用するORF1358ポリペプチドは組換えポリペプチドであり得る。
【0069】
本発明の免疫原性組成物中で使用するストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドには、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、もしくは配列番号32に記載のアミノ酸配列、またはその断片を含むポリペプチド、前記ポリペプチドの機能的および非機能的な天然に存在する変異体または生物学的等価物、前記ポリペプチドの組換え産生した変異体または生物学的等価物、前記ポリペプチドの相同分子種または対立遺伝子変異体が包含される。
【0070】
ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358の生物学的等価物または変異体には、機能的および非機能的の両方のストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドが含まれる。機能的な生物学的等価物または変異体には、対象において免疫学的または抗原性応答を誘発する能力を維持している、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドの天然に存在するアミノ酸配列変異体が含まれる。機能的な変異体は、典型的には、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、もしくは配列番号32のうちの1つもしくは複数の1つもしくは複数のアミノ酸の保存的置換、またはポリペプチドの重大でない領域中の重大でない残基の置換、欠失もしくは挿入が含有される。
【0071】
一部の実施形態では、修飾および変化を本発明のポリペプチドの構造中に行い、それでも変化していないストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドと同じ抗原性を有する分子を得ることができる。たとえば、はっきり感知できるほどの抗原性の損失を伴わずに、配列中の特定のアミノ酸を他のアミノ酸で置換することができる。ポリペプチドの生物学的な機能活性を定義するのは、そのポリペプチドの相互作用の能力および性質であるため、特定のアミノ酸配列置換をポリペプチド配列(またはその根底にあるDNAコード配列)中に行い、それでも同様の特性を有するポリペプチドを得ることができる。
【0072】
相同分子種または対立遺伝子変異体を得るための変化を行うにあたって、アミノ酸のヒドロパシー指数を考慮することができる。ポリペプチドに相互作用的な生物学的機能を与えることにおけるヒドロパシーアミノ酸指数の重要性は、当分野で一般に理解されている(KyteおよびDoolittle、J Mol Biol、157:105〜132、1982)。特定のアミノ酸を同様のヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸で置き換え、それでも同様の生物活性を有するポリペプチドをもたらすことができることが知られている。それぞれのアミノ酸には、その疎水性および荷電の特徴に基づいてヒドロパシー指数が割り当てられている。それらの指数は、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、スレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リシン(−3.9)、およびアルギニン(−4.5)である。
【0073】
アミノ酸残基の相対ヒドロパシー特徴によって、生じるポリペプチドの二次および三次構造が決定され、立ち代ってこれがポリペプチドと酵素、基質、受容体、抗体、抗原などの他の分子との相互作用を定義することは、当分野で一般に認められている。アミノ酸を同様のヒドロパシー指数を有する別のアミノ酸によって置き換え、それでも機能的に等価なポリペプチドを得ることができることは、当分野で知られている。一部の実施形態では、ORF1358ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドは、ヒドロパシー指数が+/−2以内である置換されたアミノ酸を含み得る。一部の実施形態では、疎水性指数は+/−1以内であり、一部の実施形態では、疎水性指数は+/−0.5以内である。
【0074】
また、同様のアミノ酸の置換は、特にそれによって作製される生物学的な機能的に等価なポリペプチドまたはペプチドを免疫学的実施形態で使用することを意図する場合は、親水性に基づいて行うこともできる。本明細書中以降参考として組み込まれる米国特許第4,554,101号は、その隣接アミノ酸の親水性によって支配される、ポリペプチドの最大局所平均親水性は、その免疫原性および抗原性と相関すると述べている。
【0075】
本明細書で使用する用語「変異体」とは、少なくとも1つの必須の特性を保持したままで、それぞれ参照ポリヌクレオチドまたは参照ポリペプチドとは異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。ポリヌクレオチドの典型的な変異体は、参照ポリヌクレオチドとはヌクレオチド配列が異なる。変異体のヌクレオチド配列の変化は、参照ポリヌクレオチドによってコードされているポリペプチドのアミノ酸配列を変更してもしなくてもよい。以下に記述するように、ヌクレオチドの変化は、参照ポリヌクレオチドによってコードされているポリペプチドのアミノ酸の置換、付加、欠失、融合および切断をもたらし得る。ポリペプチドの典型的な変異体は、参照ポリペプチドとはアミノ酸配列が異なる。一般に、差異は、参照ポリペプチドの配列および変異体ポリペプチドの配列が全体的に非常に類似しており、多くの領域が同一であるように限定される。変異体ポリペプチドおよびその参照ポリペプチドは、1つまたは複数の置換、付加、または欠失の任意の組合せによってアミノ酸配列が異なり得る。置換または挿入されたアミノ酸残基は、遺伝暗号によってコードされているものであってもなくてもよい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体などの天然に存在するものであってよく、または、天然に存在することが知られていない変異体であってもよい。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの非天然に存在する変異体は、突然変異誘発技術または直接合成によって作製し得る。
【0076】
ポリペプチドの組換え産生には、本発明の発現系、その一部分、またはポリヌクレオチドが取り込まれるように宿主細胞を遺伝子操作する。ORF1358を含むポリヌクレオチドは、たとえば、Davisら、BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY(1986)およびSambrookら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、2nd ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989)などの多くの標準の実験室の手引きに記載されている方法によって、宿主細胞内に導入することができる。これらの方法には、たとえば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストランを介したトランスフェクション、トランスベクション、微量注入、超音波、カチオン性脂質を介したトランスフェクション、電気穿孔、形質導入、スクレープ負荷、バリスティック導入、および感染が含まれる。
【0077】
適切な宿主細胞の代表的な例には、細菌細胞(たとえば、連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌(E.coli)、ストレプトマイセスおよび枯草菌(Bacillus subtilis)細胞)、酵母細胞(たとえば、ピキア(Pichia)属菌、サッカロマイセス(Saccharomyces)属菌)、哺乳動物細胞(たとえば、vero、チャイニーズハムスター卵巣、ニワトリ胚線維芽細胞、BHK細胞、ヒトSW13細胞)、ならびに昆虫細胞(たとえば、Sf9、Sf21)が含まれる。
【0078】
組換え産生したポリペプチドは、高速液体クロマトグラフィー、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーを含めた周知の方法によって組換え細胞培養物から回収および精製し得る。
【0079】
任意の1つまたは複数の系を用いて、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドを異種細胞系において発現および産生させ得る。そのような系には、とりえわけ、染色体、エピソームおよびウイルスに由来する系が含まれる。ベクターは、細菌プラスミド、弱毒化した細菌、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入因子、酵母染色体要素、またはウイルスに由来し得る。ベクターは、ワクシニアおよび他のポックスウイルス、シンドビス、アデノウイルス、バキュロウイルス、パポバウイルス(SV40など)、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、レトロウイルス、アルファウイルス(ベネズエラウマ脳炎ウイルスなど(米国特許第5,643,576号))、水疱性口内炎ウイルスなどの非区域性マイナス鎖RNAウイルス(米国特許第6,168,943号)等のウイルスから得られ得る。また、ベクターは、プラスミドならびにコスミドおよびファージミドなどのバクテリオファージ遺伝因子に由来するもの等、その組合せに由来してもよい。発現系には、発現を調節および生じさせる制御領域、たとえばプロモーターおよび他の調節要素(ポリアデニル化シグナルなど)が含まれるべきである。一般に、ポリヌクレオチドを維持、増殖または発現させて宿主においてポリペプチドを産生させるために適した任意の系またはベクターを使用し得る。適切なヌクレオチド配列は、たとえば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL(上記)に記載のものなどの、様々な周知かつ常用の技術のうちの任意のものによって発現系内に挿入し得る。
【0080】
一実施形態では、本発明は、免疫原性組成物に使用するためのストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドを発現する発現ベクターを提供する。発現ベクターは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、もしくは配列番号32に記載のアミノ酸配列、またはその断片を含むポリペプチドをコードしているORF1358ポリヌクレオチドを含む。あるいは、発現ベクターは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、もしくは配列番号31に記載のヌクレオチド配列、またはその断片を含むポリヌクレオチドを含む。他の実施形態では、本発明の発現ベクターは、エンハンサー−プロモーターと作動可能に連結したポリヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、発現ベクターは、原核プロモーターと作動可能に連結したポリヌクレオチドを含む。あるいは、発現ベクターは、真核プロモーターであるエンハンサー−プロモーターと作動可能に連結したポリヌクレオチドを含む。発現ベクターは、カルボキシ末端アミノ酸の3’側に位置し、コードされているポリペプチドの転写単位内にあるポリアデニル化シグナルをさらに含み得る。
【0081】
「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列をいう。「調節配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、内部、または下流(3’非コード配列)に位置し、関連するコード配列の転写、RNAのプロセッシングもしくは安定性、または翻訳に影響を与えるヌクレオチド配列をいう。調節配列には、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、およびポリアデニル化認識配列が含まれ得る。
【0082】
「プロモーター」とは、コード配列または機能的RNAの発現を制御することができるヌクレオチド配列をいう。一般に、コード配列はプロモーター配列の3’側に位置する。プロモーター配列は近位およびより遠位の上流要素からなり、後者の要素は多くの場合エンハンサーと呼ばれる。したがって、「エンハンサー」とは、プロモーター活性を刺激することができるヌクレオチド配列であり、プロモーターの生来の要素またはプロモーターのレベルもしくは組織特異性を増強させるために挿入した異種要素であり得る。プロモーターは、その全体がネイティブ遺伝子に由来するか、または自然で見つかる様々なプロモーターに由来する様々な要素からなるか、またはさらには合成ヌクレオチドセグメントを含んでいてもよい。当業者には、様々なプロモーターが、様々な組織もしくは細胞種において、または発生の様々な段階で、または様々な環境条件に応答して、遺伝子の発現を指示し得ることが理解されよう。核酸断片がほとんどの細胞種においてほとんどの時点で発現されることを引き起こすプロモーターは、一般的に「構成的プロモーター」と呼ばれる。ほとんどの場合で調節配列の正確な境界は完全に定義されていないため、様々な長さの核酸断片が同一のプロモーター活性を有し得ることをさらに理解されたい。
【0083】
一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40などのウイルスに由来する。原核および真核細胞のどちらの他の適切な発現系にも、本明細書中以降参考として組み込まれるSambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、2nd ed.、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989の第16および17章を参照されたい。特定の場合では、発現ベクターは特定の細胞種における核酸の発現を優先的に指示することができる(たとえば、組織特異的な調節要素を用いて核酸を発現させる)。組織特異的な調節要素は当分野で知られている。適切な組織特異的なプロモーターの非限定的な例には、アルブミンプロモーター(肝臓に特異的、Pinkertら、Genes Dev、1:p.268〜277、1987)、リンパ系に特異的なプロモーター(CalameおよびEaton、Adv Immunol、43:p.235〜275、1988)、特に、T細胞受容体のプロモーター(WinotoおよびBaltimore、EMBO J、8:p.729〜733、1989)および免疫グロブリン(Banerjiら、Cell、33:p.729〜740、1983)、(QueenおよびBaltimore、Cell、33:p.741〜748、1983)、ニューロンに特異的なプロモーター(たとえば神経細線維プロモーター、ByrneおよびRuddle、PNAS、86:p.5473〜5477、1989)、膵臓に特異的なプロモーター(Edlundら、Science、230:p.912〜916、1985)、ならびに乳腺に特異的なプロモーター(たとえば乳清プロモーター、米国特許第4,873,316号および国際出願EP264,166)が含まれる。マウスhoxプロモーター(KesselおよびGruss、Science、249:p.374〜379、1990)およびa−フェトプロテインプロモーター(CampesおよびTilghman、Genes Dev、3:p.537〜546、1989)などの発生的に調節されるプロモーターも包含される。
【0084】
また、アンチセンス配向で発現ベクター内にクローニングしたストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドの少なくとも一部分をコードしているポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクターも、本明細書に提供する。すなわち、DNA分子は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドのmRNAにアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能にする様式で、調節配列と作動可能に連結している。様々な細胞種におけるアンチセンスRNA分子の連続的発現を指示する、アンチセンス配向でクローニングした核酸と作動可能に連結した調節配列を選択することができる。たとえば、アンチセンスRNAの構成的、組織特異的または細胞種特異的な発現を指示する、ウイルスプロモーターおよび/もしくはエンハンサー、または調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸が高効率の調節領域の制御下で産生される組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化したウイルスの形態であることができ、その活性は、ベクターを導入する細胞種によって決定される場合がある。
【0085】
本明細書に記載の組換え発現ベクターは任意の適切な宿主細胞内に挿入し得る。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書で互換性があるように使用する。そのような用語は、特定の対象細胞だけではなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫もいうことを理解されたい。突然変異または環境影響のいずれかが原因で後続の世代では特定の改変が起こり得るため、そのような子孫は、親細胞と実際に同一ではない場合があるが、それでも本明細書で使用する用語の範囲内に含められる。宿主細胞は任意の原核または真核細胞であることができる。たとえば、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドは、細菌細胞(大腸菌(E.coli)など)、昆虫細胞(Sf9、Sf21など)、酵母細胞、または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、VERO、ニワトリ胚線維芽細胞、BHK細胞もしくはCOS細胞など)において発現させることができる。他の適切な宿主細胞が当業者に知られている。
【0086】
ベクターDNAは、慣用の形質転換、感染またはトランスフェクション技術を介して原核または真核細胞内に導入する。本明細書で使用する用語「形質転換」および「トランスフェクション」とは、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストランを介したトランスフェクション、リポフェクション、超音波または電気穿孔を含めた、外来核酸(たとえばDNA)を宿主細胞内に導入するための、様々な当分野で認識されている技術をいうことを意図する。宿主細胞に対して形質転換またはトランスフェクションを行う適切な方法は、たとえば、Sambrookら(「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、2nd ed.、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989)および他の実験室の手引き中に見つけることができる。
【0087】
培養中の原核または真核の宿主細胞などの本明細書に記載の宿主細胞を用いて、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドを産生(すなわち発現)させる。したがって、そのような宿主細胞を用いてポリペプチドを産生する方法も、本明細書に記載されている。一実施形態では、この方法は、ポリペプチドが産生されるまで宿主細胞(ORF1358ポリペプチドをコードしている組換え発現ベクターを導入したもの)を適切な培地中で培養することを含む。別の実施形態では、この方法は、ORF1358ポリペプチドを培地または宿主細胞から単離することをさらに含む。
【0088】
原核生物におけるポリペプチドの発現は、ほとんどの場合、融合または非融合タンパク質のどちらかの発現を指示する構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターを有する大腸菌(E.coli)において実施する。構成的プロモーターには、たとえば、λPL、spcリボソームおよびβ−ラクタマーゼが含まれる。誘導性プロモーターには、たとえば、アラビノース、lac、tacおよびマルトース結合タンパク質が含まれる。融合ベクターは、それにコードされているタンパク質の、通常は組換えタンパク質のアミノ末端に、いくつかのアミノ酸を付加する。そのような融合ベクターは、典型的には、組換えタンパク質の発現を増加させること、組換えタンパク質の溶解度を増加させること、および親和性精製においてリガンドとして作用することによって組換えタンパク質の精製を支援することの3つの目的を果たす。多くの場合、融合発現ベクター中では、融合タンパク質の精製に続いて組換えタンパク質を融合部分から分離することを可能にするために、融合部分と組換えタンパク質との接合部にタンパク質分解的切断部位を導入する。そのような酵素およびその同族認識配列には、Xa因子、トロンビンおよびエンテロキナーゼが含まれる。また、本発明は、本発明の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むベクター(たとえば、発現ベクター、配列決定ベクター、クローニングベクター)、本発明のベクターを用いて遺伝子操作した宿主細胞、および組換え技術による本発明のポリペプチドの産生も提供する。本発明のDNA構築体に由来するRNAを使用して、そのようなタンパク質を産生するために無細胞翻訳系を用いることもできる。
【0089】
ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドの発現に有用な発現ベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、および望ましい細胞向性を有する他の組換えウイルスなどのウイルスベクターである。したがって、機能的または突然変異したタンパク質もしくはポリペプチド、またはその断片をコードしている遺伝子を、in vivo、ex vivo、またはin vitroで、ウイルスベクターを用いてまたはDNAの直接導入によって導入することができる。標的組織における発現は、ウイルスベクターもしくは受容体リガンドなどを用いて、トランスジェニックベクターを特定の細胞に標的化すること、または組織特異的なプロモーターを用いることによって、またはその両方によって達成することができる。標的化した遺伝子送達は、PCT公開WO95/28494号に記載されている。
【0090】
in vivoまたはex vivoの標的化および治療手順で一般的に使用するウイルスベクターは、DNA系ベクターおよびレトロウイルスベクターである。ウイルスベクターを構築および使用する方法は当分野で知られている(たとえば、MillerおよびRosman、BioTechniques、1992、7:980〜990)。好ましくは、ウイルスベクターは複製欠損である、すなわち、これらは標的細胞中で自律的に複製することができない。好ましくは、複製欠損ウイルスは最小限のウイルスである、すなわち、ゲノムをカプセル封入してウイルス粒子を生じるために必要なそのゲノムの配列のみを保持している。
【0091】
DNAウイルスベクターには、たとえば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス、エプスタインバーウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)などの、弱毒化または欠損したDNAウイルスが含まれる。ウイルス遺伝子を完全にまたはほぼ完全に欠く欠損ウイルスが好ましい。欠損ウイルスは細胞内に導入した後に感染性ではない。欠損ウイルスベクターの使用により、ベクターが他の細胞に感染という懸念なしに、特異的な局在化した領域の細胞に投与することが可能となる。したがって、特定の組織を特異的に標的化することができる。特定のベクターの例には、それだけには限定されないが、欠損ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター(Kaplittら、Molec.Cell.Neurosci.、1991、2:320〜330)、糖タンパク質L遺伝子を欠く欠損ヘルペスウイルスベクター、または他の欠損ヘルペスウイルスベクター(PCT公開WO94/21807号およびWO92/05263号)、Stratford−Perricaudetらによって記載されているベクターなどの弱毒化したアデノウイルスベクター(J.Clin.Invest.、1992、90:626〜630、La Salleら、Science、1993、259:988〜990も参照)、ならびに欠損アデノ関連ウイルスベクター(Samulskiら、J.Virol.、1987、61:3096〜3101、Samulskiら、J.Virol.、1989、63:3822〜3828、Lebkowskiら、Mol.Cell.Biol.、1988、8:3988〜3996)が含まれる。
【0092】
また、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、もしくは配列番号13に記載のアミノ酸配列、その断片、およびその類似体を含むものを含めた本発明のポリペプチド、またはそれを発現する細胞は、本発明のポリペプチドに免疫特異的な抗体を産生させるための免疫原としても使用することができる。本発明には、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドに免疫特異的な抗体、細胞、細胞もしくは組織抽出物、または生体液中の、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドの存在を検出するため、または量もしくは濃度を測定するため、またはストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、もしくはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)感染症を処置するための、そのような抗体の使用が含まれる。
【0093】
本発明の抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、および抗イディオタイプ抗体が含まれる。ポリクローナル抗体とは、抗原で免疫化した動物の血清に由来する抗体分子の異種集団である。モノクローナル抗体は、特異的な抗原に対する実質的に同種の抗体集団である。一般に、抗体は、たとえば、従来のハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein、Nature、256:495〜499、1975)、組換えDNA方法(米国特許第4,816,567号)、または抗体ライブラリを用いたファージディスプレイ(Clacksonら、Nature、352:624〜628、1991、Marksら、J.Mol.Biol.、222:581〜597、1991)を使用して作製することができる。さらなる抗体産生技術には、Antibodies:A Laboratory Manual、eds.HarlowおよびLane、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照されたい。本発明は、任意の特定の供給源、産生方法、または抗体の他の特別な特徴に限定されない。
【0094】
インタクトな抗体は免疫グロブリン(Ig)であり、これらは、典型的には、2本の軽鎖(それぞれ約25kDa)および2本の重鎖(それぞれ約50kDa)からなる四量体のグリコシル化されたタンパク質である。軽鎖は2つのアイソタイプ(λおよびκ)に分類され、重鎖は5つのアイソタイプ(A、D、E、G、およびM)に分類される。一部の重鎖アイソタイプは、アイソタイプサブクラス、たとえば、IgG、IgG、IgG、およびIgGへとさらに分けられる。
【0095】
様々な抗体のドメインおよび三次元構造が当分野で知られている(HarlowおよびLane、上記)。手短に述べると、軽鎖は1個の定常ドメイン(C)および1個のN末端可変ドメイン(V)からなる。重鎖は3個または4個の定常ドメイン(C)、1個のヒンジ領域、および1個のN末端可変ドメイン(V)からなる。Vドメインに隣接するCはCH1と命名される。VおよびVドメインは、フレームワーク(FR)領域と呼ばれる4つの保存された配列の領域を含有し(FR1、FR2、FR3、およびFR4)、これらは相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性配列の3つの領域の足場を形成する。CDR(CDR1、CDR2、およびCDR3)は、抗原を特異的に認識および結合する抗体アミノ酸のほとんどを含有する。重鎖CDRはH1、H2、およびH3と示し、一方で軽鎖CDRはL1、L2、およびL3と示す。
【0096】
Fab断片(断片抗原結合)は、定常領域間のジスルフィド結合によって共有結合されたV−CH1ドメインおよびV−Cドメインからなる。F断片はより小さく、非共有結合したVドメインおよびVドメインからなる。非共有ドメインが解離する傾向を克服するために、単鎖F断片(scF)を構築することができる。scFは、(1)VのC末端をVのN末端と、または(2)VのC末端をVのN末端と連結させる柔軟なポリペプチドを含有する。15量体(GlySer)ペプチドをリンカーとして使用し得るが、他のリンカーが当分野で知られている。
【0097】
抗体の多様性は、可変領域および様々な体性事象をコードしている複数の生殖系列遺伝子を使用することによって作製する。体細胞事象には、可変性遺伝子セグメントを組み換え、多様化し(D)、遺伝子セグメントを連結させて(J)完全なV領域を作製すること、および可変性遺伝子セグメントを組み換え、遺伝子セグメントを連結させて完全なV領域を作製することが含まれる。CDR3(H3)が抗体配列内の分子多様性の最大源である。たとえば、H3は、2個のアミノ酸残基という短いもの、または26を超えるものであることができる。最も小さな抗原結合断片はFvであり、これはVドメインおよびVドメインからなる。
【0098】
本発明の抗ORF1358ポリペプチド抗体は、抗体定常領域またはその一部を場合によって含む。たとえば、Vドメインは、そのC末端がCκまたはCλなどの軽鎖定常ドメインに付着していてもよい。同様に、Vドメインまたはその一部分は、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、ならびに任意のアイソタイプサブクラスなどの重鎖のすべてまたは一部に付着していてもよい。IgG、IgG、IgGまたはIgGなどの抗体アイソタイプは、CHドメインおよびCHドメインによって決定される。アイソタイプは、これらのドメインを変化させることによって、抗原結合に影響を与えずに切り換えることができる。定常領域は当分野で知られている(たとえばKabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、No.91−3242、National Institutes of Health Publications、Bethesda、MD、1991を参照)。
【0099】
キメラ抗体とは、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するものなどの、その異なる部分が異なる動物種に由来する分子である。キメラ抗体およびその産生方法は当分野で知られている(Cabillyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:3273〜3277、1984、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851〜6855、1984、Boulianneら、Nature、312:643〜646、1984、Cabillyら、欧州特許出願第125023号(1984年11月14日公開)、Taniguchiら、欧州特許出願第171496号(1985年2月19日公開)、Morrisonら、欧州特許出願第173494号(1986年3月5日公開)、Neubergerら、PCT出願WO86/01533号(1986年3月13日公開)、Kudoら、欧州特許出願第184187号(1986年1月11日公開)、Morrisonら、欧州特許出願第173494号(1986年3月5日公開)、Sahaganら、J.Immunol.、137:1066〜1074、1986、Robinsonら、PCT/US86/02269号(1987年5月7日)、Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84:3439〜3443、1987、Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84:214〜218、1987、Betterら、Science、240:1041〜1043、1988)。
【0100】
抗イディオタイプ(抗Id)抗体とは、一般に抗体の抗原結合部位に関連している固有の決定基を認識する抗体である。抗Id抗体は、モノクローナル抗体源としての同じ種および遺伝型の動物(たとえばマウス系統)を、抗Idを調製しようとする対象のモノクローナル抗体で免疫化することによって調製する。免疫化した動物は、これらのアイソタイプ決定基に対する抗体(抗Id抗体)を産生することによって、免疫化抗体のイディオタイプ決定基を認識してそれに応答する。
【0101】
したがって、本発明のポリペプチドに対して産生したモノクローナル抗体を用いて、適切な動物において抗Id抗体を誘導し得る。そのような免疫化した動物からの脾細胞を用いて、抗Idモノクローナル抗体を分泌する抗Idハイブリドーマを生成することができる。さらに、抗Id抗体をキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などの担体とカップリングさせて、さらなるBALB/cマウスを免疫化するために使用することができる。これらのマウスからの血清は、R−PTPaseエピトープに特異的な最終mAbの結合特性を有する抗抗Id抗体を含有する。したがって、抗Id抗体は、そのイディオタイプエピトープ、すなわち「イディオトープ」が、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358によってコードされているポリペプチドなどの、評価するエピトープに構造的に類似している。
【0102】
また、用語「抗体」には、インタクトな分子および抗原と結合することができるFabなどの断片がどちらも含まれることも意味する。Fab断片はインタクトな抗体のFc断片を欠いており、循環からより迅速にクリアランスされ、インタクトな抗体よりも非特異的組織結合が少ない場合がある(Wahlら、J.Nucl.Med.、24:316〜325、1983)。本発明に有用な抗体のFabおよび他の断片は、インタクトな抗体分子の方法に従ってストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のポリペプチドを検出および定量するために使用し得ることを理解されたい。
【0103】
また、抗Id抗体は、さらに別の動物において免疫応答を誘導し、いわゆる抗抗Id抗体を産生するための「免疫原」としても使用し得る。抗抗Idは、抗Idを誘導した元のmAbとエピトープ性が同一であり得る。したがって、mAbのイディオタイプ決定基に対する抗体を使用することによって、同一の特異性の抗体を発現する他のクローンを同定することが可能である。
【0104】
抗体は、様々な様式で、たとえば、タンパク質が発現されたことを確認するため、またはタンパク質がどこで発現されたかを確認するために使用し得る。標識した抗体(たとえばFACS用に蛍光標識)をインタクトな細菌と共にインキュベーションし、細菌表面上に標識が存在することでタンパク質の位置を確認することができる。
【0105】
C群またはG群連鎖球菌のORF1358ポリペプチドエピトープと特異的に結合する抗体を産生または単離する他の適切な方法を使用することができる。一部の実施形態では、組換え抗体は、ペプチドまたはタンパク質ディスプレイライブラリ、たとえば、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNAおよびcDNAディスプレイライブラリから選択される(EP368,684号、PCT/GB91/01134号、PCT/GB92/01755号、PCT/GB92/002240号、PCT/GB92/00883号、PCT/GB93/00605号、PCT/GB94/01422号、PCT/GB94/02662号、PCT/GB97/01835号、WO90/14443号、WO90/14424号、WO90/14430号、PCT/US94/1234号、WO92/18619号、WO96/07754号、EP614,989号、WO95/16027号、WO88/06630号、WO90/3809号、米国特許第4,704,692号、PCT/US91/02989号、WO89/06283号、EP371,998号、EP550,400号、EP229,046号、およびPCT/US91/07149号)。他の実施形態では、組換え抗体は、確率論的に作製されたペプチドまたはタンパク質のライブラリから選択される(米国特許第5,723,323号、第5,763,192号、第5,814,476号、第5,817,483号、第5,824,514号、第5,976,862号、WO86/05803号、およびEP590,689号)。さらに他の実施形態では、組換え抗体は、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物において産生させる(Nguyenら、Microbiol.Immunol.、41:901〜907、1997、Sandhuら、Crit.Rev.Biotechnol.、16:95〜118、1996、およびErenら、Immunol.、93:154〜161、1998)。組換え抗体を産生する他の技術には、たとえば、選択したリンパ球抗体による方法(「SLAM」)などの単一細胞抗体産生技術(米国特許第5,627,052号)、ゲルミクロ液滴およびフローサイトメトリー方法(Powellら、Biotechnol.、8:333〜337、1990)、ならびにB細胞選択(Steenbakkersら、Molec.Biol.Reports、19:125〜134、1994)が含まれる。また、これらの同じ方法を、抗C群もしくはG群連鎖球菌PPI抗体のその特異的結合標的に対する親和性および/または結合力を向上させるためにも展開することができる。
【0106】
本発明は、1つまたは複数のストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358によってコードされているポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。特定の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号2、4、6、8、10、12、26、28、30、32と少なくとも97.5%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸残基の配列を含む1つまたは複数のストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のポリペプチドと、1つまたは複数の生理的に許容される担体とを含む。
【0107】
他の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドと、1つまたは複数の生理的に許容される担体とを含む。一部の実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号1、3、5、7、9、11、25、27、29、または31のうちの1つまたは複数と少なくとも90%、95%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む。
【0108】
本明細書で使用する用語「免疫原性組成物」とは、免疫原性組成物を接種した動物(ヒトが含まれる)において免疫応答を刺激することができる投与可能な形態の、任意の種類の生物剤をいう。免疫応答には、抗体の誘導および/またはT細胞応答の誘導が含まれ得る。本明細書では、免疫原性組成物を参照して使用する用語「保護」とは、問題の疾患または状態に関連する症状のうちの任意のものの寛解(部分的または完全なもの)をいう。したがって、本免疫原性組成物による、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)などのストレプトコッカス属菌から、またはストレプトコッカス属種による感染症からの動物の保護は、一般に、細菌成長ならびに/または関節炎、心内膜炎、髄膜炎、多漿膜炎、気管支肺炎、髄膜炎、永久聴覚損失、および敗血症性ショックを含めたストレプトコッカス属種による感染症に関連する臨床症状のうちの1つもしくは複数の消失をもたらす。
【0109】
本明細書に開示する方法には、ストレプトコッカス属の種(たとえば、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis))を含めた1つまたは複数の病原体に対する免疫応答を誘導することが含まれ得る。たとえば、この方法には、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)が含まれ得るストレプトコッカス属の種を含めた1つまたは複数の病原体に対するポリクローナル抗体を誘導することが含まれ得る。一部の実施形態では、この方法には、対象(ヒト患者および他の哺乳動物を含めた任意の脊椎動物)に、単離したストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドまたはポリヌクレオチドが含まれる組成物を投与することが含まれる。
【0110】
様々な試験を用いて本発明のポリペプチドのin vitro免疫原性を評価する。たとえば、in vitroオプソニンアッセイは、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)の細胞、問題のポリペプチドに対する特異的抗体を含有する熱失活させた血清、および外因性の補体源の混合物を一緒にインキュベートすることによって実施する。オプソニン化貪食作用は、新しく単離した多形核細胞(PMN)および抗体/補体/ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)の細胞の混合物のインキュベーション中に進行する。抗体および補体でコーティングされた細菌細胞は、オプソニン化貪食作用の際に死滅する。オプソニン化貪食作用を回避する生存細菌のコロニー形成単位(cfu)は、アッセイ混合物をプレートすることによって決定する。力価は、アッセイ対照との比較によって決定した、≧50%の細菌死滅を与える最高希釈率の逆数として報告する。試験した最低血清希釈率(1:8)で50%未満の死滅を実証する検体は、OPA(オプソニン化貪食作用抗体)力価4を有すると報告される。試験した最高希釈率は1:2560である。最高希釈率で≧50%の死滅を有する試料を、より高い初期希釈率から開始して繰り返す。上述の方法はGray方法の改変である(Gray、Conjugate Vaccines、Supplement、p.694〜697、1990)。試験血清+細菌細胞および熱失活させた補体を含有する試験血清対照をそれぞれの個々の血清中に含める。この対照は、抗生物質または他の血清構成成分の存在が細菌株を直接(すなわち、補体またはPMNの非存在下で)死滅させることができるかどうかを評価するために使用される。既知のオプソニン力価を有するヒト血清を陽性ヒト血清対照として使用する。それぞれの未知の血清におけるオプソニン抗体価を血清の初期希釈率の逆数として計算し、血清を用いない対照と比較して50%のcfuの低下が得られた。
【0111】
また、全細胞ELISAアッセイを用いてポリペプチド抗原のin vitro免疫原性および表面露出も評価し、ここでは、目的の細菌株を96ウェルプレートなどのプレート上にコーティングし、免疫した動物からの試験血清を細菌細胞と反応させる。試験ポリペプチド抗原に特異的な任意の抗体が、ポリペプチド抗原の表面露出させたエピトープと反応性を有する場合は、これを当業者に知られている標準の方法によって検出することができる。
【0112】
その後、所望のin vitro活性を実証する任意のポリペプチドをin vivo動物免疫誘発モデル(in vivo animal challenge model)で試験し得る。特定の実施形態では、免疫原性組成物は、当業者に知られている免疫化の方法および経路(たとえば、鼻腔内、非経口、筋肉内、経口、直腸、経膣、経皮、腹腔内、静脈内、皮下など)によって、動物(たとえばマウス)の免疫化に使用する。特定のストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)の免疫原性組成物を用いて動物を免疫化した後、同じまたは他の連鎖球菌種を用いて動物を免疫誘発し、同じまたは他のストレプトコッカス属種の感染に対する耐性についてアッセイする。
【0113】
ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを、対象、たとえばヒトへの投与に適した免疫原性組成物内に取り込ませる。そのような組成物は、典型的には、核酸分子またはタンパク質を、薬学的に許容される担体と共に含む。以下で使用する「薬学的に許容される担体」という言葉には、薬学的な投与に適合性のある任意かつすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、賦形剤などが含まれるものとする。薬学的に活性のある物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は当分野で周知である。任意の慣用の媒体または薬剤が活性化合物に不適合である場合以外は、そのような媒体を本発明の組成物中で使用することができる。補助活性化合物も組成物中に取り込ませることができる。
【0114】
本発明の免疫原性組成物は、その目的の投与経路に適合するように製剤化する。投与経路の例には、非経口(たとえば、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内)、経粘膜(たとえば、経口、直腸、鼻腔内、経膣、呼吸器)および経皮(局所)が含まれる。非経口、皮内、または皮下の施用に使用する液剤または懸濁液には、以下の構成成分が含まれることができる:無菌的な希釈剤、たとえば、注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒、抗細菌剤、たとえば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン、抗酸化剤、たとえば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム、キレート化剤、たとえばエチレンジアミン四酢酸、緩衝液、たとえば、アセテート、シトレートまたはホスフェート、および等張性を調節するための薬剤、たとえば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基を用いて調節することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチックで作製したアンプル、使い捨てシリンジまたは複数の用量バイアルに封入することができる。
【0115】
注射使用に適した医薬組成物には、無菌的な注射用液剤または分散液を即時調製するための無菌的な水溶液(水溶性の場合)または分散液および無菌的な散剤が含まれる。静脈内投与では、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、ニュージャージー州Parsippany)またはリン酸緩衝溶液(PBS)が含まれる。すべての場合で、組成物は無菌的でなければならず、容易な注射針通過性が存在する程度に流体であるべきである。これは製造および保管の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されていなければならない。担体は、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびに適切なその混合物を含有する溶媒または分散媒であってもよい。適切な流動性は、たとえば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合は所要の粒子径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸などによって達成することができる。多くの場合、組成物中に等張化剤、たとえば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、塩化ナトリウムを含める。注射用組成物の持続吸収は、組成物に吸収を遅延させる薬剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
【0116】
無菌的な注射用液剤は、活性化合物(たとえば、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、もしくはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドまたはそれに対する抗体)を所要量で、適切な溶媒中に、必要に応じて上記に列挙した成分のうちの1つまたは組合せと共に取り込ませ、次いで滅菌濾過によって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、基本分散媒および上記に列挙したもののうちからの所要の他の成分を含有する無菌的なビヒクル内に取り込ませることによって調製する。無菌的な注射用液剤を調製するための無菌的な散剤の場合は、好ましい調製方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、活性成分+事前に滅菌濾過した溶液からの任意の追加の所望の成分の散剤が得られる。
【0117】
経口組成物には、一般に、不活性希釈剤または食用担体が含まれる。これらは、ゼラチンカプセルに封入するか、錠剤へと圧縮することができる。経口治療的投与の目的のためには、活性化合物を賦形剤と共に取り込ませ、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用することができる。また、経口組成物は、洗口液として使用するために流体担体を用いて調製することもでき、流体担体中の化合物を経口施用し、口をすすいで吐き出すまたは飲み込む。薬学的に適合性のある結合剤および/またはアジュバント材料を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の成分のうちの任意のもの、または同様の性質の化合物を含有することができる:結合剤、たとえば、微結晶セルロース、トラガカントガムもしくはゼラチン、賦形剤、たとえば、デンプンもしくはラクトース、崩壊剤、たとえば、アルギン酸、Primogel、もしくはコーンスターチ、潤滑剤、たとえば、ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotes、流動促進剤、たとえばコロイド状二酸化ケイ素、甘味剤、たとえば、スクロースもしくはサッカリン、または香味料、たとえば、ペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香料。
【0118】
吸入による投与には、化合物は、適切な噴霧剤、たとえば二酸化炭素などの気体を含有する加圧容器もしくは分注器、またはネブライザーから、エアロゾルスプレーの形態で送達する。また、全身投与は、経粘膜または経皮手段によることもできる。経粘膜または経皮投与の場合は、透過する障壁に適した浸透剤を製剤中に使用する。そのような浸透剤は一般に当分野で知られており、経粘膜投与の場合は、浸透剤には、たとえば、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、鼻腔スプレーまたは坐薬の使用によって達成することができる。経皮投与の場合は、一般に当分野で知られているように、活性化合物は軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに製剤化される。
【0119】
また、化合物は、直腸送達用の坐薬(たとえば、カカオ脂および他のグリセリドなどの慣用の坐薬基剤を用いる)または保留浣腸の形態で調製することもできる。
【0120】
一実施形態では、活性化合物は、徐放性製剤など、移植片および微小カプセル封入送達系を含めた、身体からの迅速な排除に対して化合物を保護する担体を用いて調製する。
【0121】
エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤を調製する方法は、当業者に明らかである。また、材料はAlza Corporation(カリフォルニア州Mountain View)およびNova Pharmaceuticals,Inc.(メリーランド州Baltimore)から購入することもできる。また、リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞に標的化したリポソームが含まれる)を薬学的に許容される担体として使用することもできる。これらは、当業者に知られている方法に従って、たとえば米国特許第4,522,811号に記載のように調製することができる。
【0122】
用量の投与および均一性を容易にするために、経口または非経口組成物を単位剤形として製剤化することが有利である。本明細書で使用する単位剤形とは、処置する対象の単位用量に適した物理的に別々の単位をいい、それぞれの単位は、所望の治療効果を生じるように計算された事前に決定された量の活性化合物を、所要の薬学的担体と会合して含有する。本発明の単位剤形の仕様は、活性化合物の固有の特徴および達成する特定の治療効果、ならびに個体を処置するためのそのような活性化合物を化合する分野に特有の制限によって指示され、かつそれに直接的に依存する。
【0123】
組合せ免疫原性組成物は、本発明のポリペプチドのうちの1つまたは複数を、1つまたは複数の既知の連鎖球菌の多糖または多糖−タンパク質のコンジュゲートと組み合わせることによって提供する。
【0124】
炭水化物−タンパク質のコンジュゲートのタンパク質構成成分は、「担体タンパク質」として知られる。用語「担体タンパク質」には、無毒性、非反応源性かつ十分な量および純度で入手可能なタンパク質が含まれる。担体タンパク質は、標準のコンジュゲーション手順で処置することができる。たとえば、CRM197を担体タンパク質として使用することができる。CRM197(Wyeth、ノースカロライナ州Sanford)は、カザミノ酸および酵母抽出物に基づく培地中で成長させたジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)株C7(β197)の培養物から単離した、ジフテリア毒素の無毒性変異体(トキソイド)である。CRM197は、限外濾過、硫安塩析、およびイオン交換クロマトグラフィーによって精製する。他のジフテリアトキソイドも担体タンパク質としての使用に適している。
【0125】
他の適切な担体タンパク質には、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、コレラトキソイド(たとえばPCT公開WO/2004/083251号に記載)、大腸菌(E.coli)LT、大腸菌(E.coli)ST、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来の外毒素Aなどの失活細菌毒素が含まれる。外膜複合体c(OMPC)、ポリン、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌産生毒素、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌付着因子タンパク質(PsaA)、またはインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)タンパク質Dなどの細菌外膜タンパク質も使用することができる。卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)などの他のタンパク質も担体タンパク質として使用することができる。
【0126】
ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリヌクレオチドを含む免疫原性組成物は様々なベクターおよび発現系によってレシピエントに送達する。そのような系には、とりわけ、上述の染色体、エピソームおよびウイルスに由来する系が含まれる。
【0127】
本発明の免疫原性組成物は、典型的には、所望に応じて標準かつ周知の無毒性の生理的に許容できる担体、アジュバント、およびビヒクルを含有する単位剤形で非経口投与する。
【0128】
薬学的に許容できるビヒクルとは、副作用を引き起こさず、たとえば、活性化合物の投与を容易にする、体内におけるその寿命および/もしくはその有効性を増加させる、溶液中のその溶解度を増加させる、あるいはその保存性を増強させることを可能にする、医薬組成物または免疫原性組成物内に入る化合物または化合物の組合せを指定するものと理解される。これらの薬学的に許容できるビヒクルは周知であり、選択する活性化合物の性質および投与様式に従って、当業者によって適応される。
【0129】
注射用調製物、たとえば、無菌的な注射用の水性または油性の懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、既知の技術に従って製剤化する。また、無菌的な注射用調製物は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌的な注射用の液剤または懸濁液、たとえば1,3−ブタンジオール中の溶液であることもできる。
【0130】
用いることができるこの許容できるビヒクルおよび溶媒は、とりわけ、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌的な不揮発性油が溶媒または懸濁媒として慣習的に用いられる。この目的のために、合成モノ−またはジ−グリセリドなどの任意の無刺激の不揮発性油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も注射用調製物において使用が見つかる。
【0131】
担体には、リン酸、乳酸、トリスなどで緩衝した中性の生理食塩水が含まれる。ウイルスベクターを投与する場合、ベクター構築体を受ける個体においてどのような不都合な反応も引き起こさないように、欠損を妨害するアデノウイルス粒子または内毒素および他の発熱物質などの望ましくない汚染物質を本質的に含まないようにベクターを十分に精製する。一部の実施形態では、ベクターを精製する手段は、塩化セシウム勾配遠心分離などの浮遊密度勾配の使用を含む。
【0132】
担体はリポソームであることもできる。リポソームを送達ビヒクルとして使用する手段は当分野で周知である(たとえばSchwendener RA、Adv.Exp.Med.Biol.、620:117〜128、2007による総説を参照)。
【0133】
また、本発明の免疫原性組成物は、遺伝子発現を制御する調節配列と作動可能に連結している本発明のポリヌクレオチド配列も含む。目的のポリヌクレオチド配列を、DNAの発現を促進する調節要素、すなわち、プロモーターおよび/またはエンハンサー要素の制御下で、プラスミドなどの発現ベクター内へと操作する。一部の実施形態では、ヒトサイトメガロウイルス前初期プロモーター/エンハンサーを使用する(米国特許第5,168,062号)。プロモーターは、細胞に特異的であり、事前に決定された細胞中でのみポリヌクレオチドの実質的な転写を許容してもよい。
【0134】
本発明のポリヌクレオチドは、「裸」DNA(米国特許第5,580,859号)として宿主に直接導入するか、またはブピバカインおよび他の局所麻酔剤(米国特許第5,593,972号)ならびに陽イオン性ポリアミン(米国特許第6,127,170号)などの促進剤を有する組成物に製剤化される。このポリヌクレオチド免疫化手順では、本発明のポリペプチドは一過性の基準でin vivoで発現され、宿主の染色体には遺伝物質が挿入または組み込まれない。この手順は、目的の遺伝物質を染色体内に挿入または組み込むことが目的である遺伝子治療とは区別されるべきである。免疫化によって投与したポリヌクレオチドが宿主において形質転換した表現型を生じさせないことを確認するために、アッセイを使用する(たとえば米国特許第6,168,918号)。
【0135】
また、特定の実施形態では、本明細書に記載の免疫原性組成物は1つまたは複数のアジュバントも含む。アジュバントとは、免疫原または抗原と共に投与した場合に免疫応答を増強させる物質である。いくつかのサイトカインまたはリンホカインが免疫調節活性を有することが示されており、したがってアジュバントとして有用であり、それだけには限定されないが、インターロイキン1−α、1−β、2、4、5、6、7、8、10、12(たとえば米国特許第5,723,127号を参照)、13、14、15、16、17および18(ならびにその突然変異形態)、インターフェロン−α、βおよびγ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(たとえば、米国特許第5,078,996号およびATCC受託番号39900を参照)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、ならびに腫瘍壊死因子αおよびβが含まれる。本明細書に記載の免疫原性組成物で有用なさらに他のアジュバントには、ケモカインを含めた、それだけには限定されないが、MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、およびRANTES、接着分子、たとえばセレクチン、たとえば、L−セレクチン、P−セレクチンおよびE−セレクチン、ムチン様分子、たとえば、CD34、GlyCAM−1およびMadCAM−1、インテグリンファミリーのメンバー、たとえば、LFA−1、VLA−1、Mac−1およびp150.95、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、たとえば、PECAM、ICAM、たとえば、ICAM−1、ICAM−2、およびICAM−3、CD2ならびにLFA−3、共刺激分子、たとえば、CD40およびCD40L、血管成長因子、神経成長因子、線維芽細胞成長因子、表皮成長因子、B7.2、PDGF、BL−1、および血管内皮成長因子を含めた成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、およびDR6を含めた受容体分子、ならびにカスパーゼ(ICE)が含まれる。
【0136】
免疫応答を増強するために使用する適切なアジュバントには、それだけには限定されないが、米国特許第4,912,094号に記載のMPL(商標)(3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A、Corixa、モンタナ州Hamilton)がさらに含まれる。合成脂質A類似体もしくはアミノアルキルグルコサミンホスフェート化合物(AGP)、またはその誘導体もしくは類似体も、アジュバントとしての使用に適しており、これらはCorixa(モンタナ州Hamilton)から入手可能であり、米国特許第6,113,918号に記載されている。1つのそのようなAGPは、2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]−2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル−アミノ]−b−D−グルコピラノシドであり、これは529としても知られている(以前はRC529として知られていた)。この529アジュバントは水性形態(AF)または安定な乳濁液(SE)として製剤化される。
【0137】
さらに他のアジュバントには、ムラミルペプチド、たとえば、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニン−2−(1’−2’ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)、水中油乳濁液、たとえば、MF59(米国特許第6,299,884号)(モデル110Y微小流動化装置(Microfluidics、マサチューセッツ州Newton)などの微小流動化装置を用いてサブミクロン粒子に製剤化した、5%のスクワレン、0.5%のTween80、および0.5%のSpan85(様々な量のMTP−PEを含有していてもよい)を含有する)、およびSAF(サブミクロンの乳濁液に微小流動体化したか、もしくは渦撹拌してより大きな粒子径の乳濁液を作製した、10%のスクワレン、0.4%のTween80、5%のプルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含有する)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、アルミニウム塩(ミョウバン)、たとえば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、Amphigen、Avridine、L121/スクワレン、D−ラクチド−ポリ乳酸/グリコシド、プルロニックポリオール、死滅させたボルデテラ(Bordetella)、サポニン、たとえば、米国特許第5,057,540号に記載のStimulon(商標)QS−21(Antigenics、マサチューセッツ州Framingham)、米国特許第5,254,339号に記載のISCOMATRIX(CSL Limited、オーストラリアParkville)、および免疫刺激複合体(ISCOMS)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、細菌リポ多糖、合成ポリヌクレオチド、たとえばCpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチド(たとえば米国特許第6,207,646号)、欧州特許第1,296,713号および第1,326,634号に記載のIC−31(Intercell AG、オーストリアVienna)、百日咳毒素(PT)もしくはその突然変異体、コレラ毒素もしくはその突然変異体(たとえば、米国特許第7,285,281号、第7,332,174号、第7,361,355号および第7,384,640号)、または大腸菌(E.coli)熱不安定毒素(LT)もしくはその突然変異体、特にLT−K63、LT−R72(たとえば、米国特許第6,149,919号、第7,115,730号および第7,291,588号)が含まれる。
【0138】
本発明は、とりわけ、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチド内の特異的エピトープを認識するヒト化モノクローナル抗体などの治療的免疫学的試薬を、対象に、対象において有益な治療反応を生じる条件下で投与することによって、連鎖球菌感染症を処置することに向けられている。「免疫学的試薬」には、たとえば、抗体、ヒト化抗体、抗体断片、抗原結合要素またはCDRを含むペプチドなどが含まれる。「有益な治療反応」には、たとえばβ−溶血性連鎖球菌の貪食またはオプソニン化の誘導が含まれる。本発明はまた、β−溶血性連鎖球菌感染症を処置または予防するための医薬品の製造における、開示した免疫学的試薬の使用にも向けられている。
【0139】
一態様では、本発明は、患者においてβ−溶血性連鎖球菌感染症に関連する疾患を予防または処置する方法を提供する。本発明の一部の方法は、患者に、有効な用量の、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358エピトープと特異的に結合する抗体を投与することを伴う。そのような方法は、対象においてβ−溶血性連鎖球菌疾患を予防または処置するために特に有用である。「対象」には、コンパニオン動物、家畜、哺乳動物、およびヒト患者などの任意の脊椎動物が含まれる。例示的な方法には、有効な用量の、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドと結合する抗体または抗原結合ペプチドを投与することが含まれる。一部の実施形態には、有効な用量の、抗体、またはストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、もしくはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチド内のエピトープと特異的に結合する抗原認識部位もしくはCDRを含む他のペプチド、たとえば、配列番号2、4、6、8、10、12、13、26、28、30、または32のうちのいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列を含むポリペプチドを投与することが含まれる。
【0140】
さらに別の態様では、本発明は、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドと結合する抗体または他の抗原結合ペプチドを対象に投与し、β−溶血性連鎖球菌に対するクリア応答(clearing response)を誘導することを特長とする。たとえば、そのようなクリア応答は、Fc受容体媒介性の貪食によって達成することができる。
【0141】
本発明の治療的免疫学的試薬は、典型的には望ましくない汚染物質から実質的に純粋である。これは、免疫学的試薬が典型的には少なくとも約50%w/w(重量/重量)の純度であること、かつ妨害するタンパク質および汚染物質を実質的に含まないことを意味する。一部の実施形態では、免疫学的試薬は少なくとも約80%w/wの純度である。他の実施形態では、免疫学的試薬は少なくとも90または約95%w/wの純度である。しかし、慣用のタンパク質精製技術を用いて、少なくとも99%w/wの純度の均一なペプチドを得ることができる。
【0142】
この方法は、無症候性の対象および現在疾患の症状を示している対象のどちらにも使用することができる。本明細書に記載のように、そのような方法で使用する抗体は、ヒト、ヒト化、キメラもしくは非ヒト抗体、またはその断片(たとえば、抗原結合断片、エピトープ結合領域もしくはCDRを含むペプチド)であることができ、モノクローナルまたはポリクローナルであることができる。
【0143】
別の態様では、本発明は、抗体を薬学的担体と共に医薬組成物として投与することを特長とする。あるいは、抗体は、少なくとも1つの抗体鎖をコードしているポリヌクレオチドを投与することによって対象に投与することができる。ポリヌクレオチドが発現されて患者において抗体鎖が産生される。ポリヌクレオチドは抗体の重鎖および軽鎖をコードしていてもよい。ポリヌクレオチドが発現されて患者において重鎖および軽鎖が産生される。例示的な実施形態では、患者の血液中の投与した抗体のレベルについて患者を監視する。
【0144】
処置を受けることができる対象には、疾患の危険性があるが症状を示していない個体、および現在症状を示している患者が含まれる。したがって、本免疫原性組成物および治療的抗体は一般集団に予防的投与することができる。無症候性の対象では、処置は任意の年齢で開始することができる。処置は、抗体レベルを経時的にアッセイすることによって監視することができる。免疫応答または抗体レベルが降下した場合は、追加免疫用量が示される。
【0145】
予防的用途では、免疫原性組成物または医薬品は、β−溶血性連鎖球菌感染症に感受性がある、または他の様式でその危険性にある対象に、感染症に関連する生化学的、組織学的および/または行動性の疾患症状、その合併症ならびに疾患の発生中に提示される中間の病理学的表現型を含めた、危険性を排除もしくは低下させる、重篤度を減らす、または疾患の発生を遅延させるために十分な量で投与する。治療的用途では、組成物または医薬品は、そのような疾患が疑われる、または既にそれに罹患している患者に、その合併症および疾患の発生における中間の病理学的表現型を含めた疾患の症状(生化学的、組織学的および/または行動性)を治癒または少なくとも部分的に抑止するために十分な量で投与する。
【0146】
治療的または予防的処置を達成するために十分な量は、治療上または予防上有効な用量として定義される。予防的および治療的レジームの両方において、免疫学的試薬は、通常、十分な免疫応答が達成されるまでいくつかの用量で投与する。用語「免疫応答」または「免疫学的応答」には、レシピエント対象中の抗原に向けられた液性(抗体媒介性)および/または細胞性(抗原に特異的なT細胞もしくはその分泌産物によって媒介)の応答の発生が含まれる。そのような応答は、能動的応答、すなわち、免疫原の投与によって誘導されるもの(上記)、または受動的応答、すなわち、免疫グロブリンもしくは抗体もしくは刺激したT細胞の投与によって誘導されるものであることができる。典型的には、免疫応答を監視し、免疫応答が減退し始めた場合は繰返しの用量を与える。
【0147】
β−溶血性連鎖球菌感染症を処置するための本発明の組成物の有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理状態、患者がヒトであるか別の動物であるか、投与する他の医薬品、および処置が予防的であるか治療的であるかを含めた、多くの異なる要因に応じて変動する。通常、対象はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含めた非ヒト哺乳動物も処置することができる。処置用量は、安全性および有効性を最適化するために滴定する必要があり得る。
【0148】
抗体を用いた受動的免疫化には、用量は、宿主の体重の約0.0001〜100mg/kg、より通常は0.01〜5mg/kg(たとえば、0.02mg/kg、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kgなど)の範囲である。たとえば、用量は、約1mg/体重1kgもしくは約10mg/体重1kgまたは1〜10mg/kgの範囲内であることができる。上記範囲の中間の用量も、本発明の範囲内にあることが意図される。そのような用量を、1日1回、交互の日、週1回、月1回、2カ月毎、3カ月毎、または経験的分析によって決定された任意の他のスケジュールに従って対象に投与することができる。例示的な処置は、複数の用量を長期間、たとえば少なくとも6カ月にわたって投与することを伴う。さらなる例示的な処置レジームは、2週間に1回または1カ月に1回または3〜6カ月に1回投与することを伴う。例示的な用量スケジュールには、1〜10mg/kgまたは15mg/kgを連続した日に、30mg/kgを交互の日に、または60mg/kgを週に1回が含まれる。一部の方法では、異なる結合特異性を有する2つ以上のモノクローナル抗体を同時に投与し、その場合、投与したそれぞれの抗体の用量は示した範囲内となる。
【0149】
抗体は、通常は複数の機会に投与する。単一用量間の間隔は、週1回、月1回または年1回であることができる。また、患者におけるストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、またはストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のORF1358ポリペプチドに対する抗体の血液レベルを測定することによって示されるように、間隔は不規則であることもできる。一部の方法では、用量は、1〜1000μg/ml、一部の方法では25〜300μg/mlの血漿抗体濃度が達成されるように調節する。あるいは、抗体は持続放出製剤として投与することができ、その場合、必要な頻度はより低い。用量および頻度は患者における抗体の半減期に応じて変動する。一般に、ヒト化抗体が最も長い半減期を示し、キメラ抗体および非ヒト抗体が続く。
【0150】
投与の用量および頻度は、処置が予防的であるか治療的であるかに応じて変動する場合がある。予防的用途では、患者の耐性を増強させるために、未だ病状がない患者に本抗体またはそのカクテルを含有する組成物を投与する。そのような量は「予防的に有効な用量」であると定義される。この場合、正確な量はやはり患者の健康状態および全身免疫に依存するが、一般に0.1〜25mg/用量、特に0.5〜2.5mg/用量の範囲である。比較的低い用量を比較的低頻度の間隔で長期間かけて投与する。
【0151】
治療的用途では、疾患の進行が低下または終結するまで、好ましくは患者が疾患の症状の部分的または完全な寛解を示すまで、場合によっては比較的短い間隔での比較的高い用量(たとえば約1〜200mgの抗体/用量、5〜25mgの用量をより一般的に使用する)が必要である。その後、本特許を予防的レジームで投与することができる。
【0152】
抗体をコードしている核酸の用量の範囲は、約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mg、または30〜300μgのDNA/患者である。感染性ウイルスベクターの用量は、10〜100個のビリオン/用量またはそれより多くまで変動する。
【0153】
治療的免疫学的試薬は、予防的および/または治療的処置のために非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内または筋肉内手段によって投与することができる。免疫原性剤の最も典型的な投与経路は静脈点滴または皮下投与であるが、他の経路も同等に有効であることができる。次に最も一般的な経路は筋肉内注射である。この種の注射は、最も典型的には腕または脚の筋肉中に行う。一部の方法では、投入物が蓄積される特定の組織内に免疫学的試薬を直接注射し、たとえば頭蓋内注射である。筋肉内注射または静脈点滴が抗体の投与に好ましい。一部の方法では、微量インフュージョン装置などの持続放出組成物または装置として抗体を投与する(たとえばMedipad(商標)装置、Meehanら、Journal of Controlled Release、46:107〜119、1997を参照。)
【0154】
上記に暗示したように、β−溶血性連鎖球菌感染症に対する免疫応答は、受動的免疫化に使用する抗体をコードしている核酸およびその構成成分の鎖を投与することによってin vivo(またはex vivo)で形成することができる。そのような核酸はDNAまたはRNAであることができる。免疫学的試薬をコードしている核酸セグメントは、典型的には、患者の意図する標的細胞におけるDNAセグメントの発現を可能にするプロモーターおよびエンハンサーなどの調節要素と連結している。免疫応答の誘導に望ましい血液細胞における発現には、軽鎖もしくは重鎖免疫グロブリン遺伝子由来のプロモーターおよびエンハンサー要素またはCMV主要中間体初期プロモーターおよびエンハンサーが発現の指示に適切である。連結した調節要素およびコード配列は、多くの場合ベクター内にクローニングする。二重鎖抗体の投与には、2本の鎖を同じまたは別々のベクター中にクローニングすることができる。
【0155】
レトロウイルス系(たとえばLawrieおよびTumin、Cur.Opin.Genet.Develop.、3:102 109(1993)を参照)、アデノウイルスベクター(たとえばBettら、J.Virol.、67:5911(1993)を参照)、アデノ関連ウイルスベクター(たとえばZhouら、J.Exp.Med.、179:1867(1994)を参照)、ワクシニアウイルスおよび鶏痘ウイルスを含めたポックスファミリーからのウイルスベクター、シンドビスおよびセムリキ森林ウイルスに由来するものなどのアルファウイルス属からのウイルスベクター(たとえばDubenskyら、J.Virol.、70:508、1996を参照)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Johnstonら、米国特許第5,643,576号を参照)ならびに水疱性口内炎ウイルス(Rose、米国特許第6,168,943号を参照)およびパピローマウイルス(Oheら、Human Gene Therapy、6:325、1995、Wooら、PCT公開WO94/12629号およびXiaoおよびBrandsma、Nucleic Acids.Res.、24:2630〜2622、1996)などのラブドウイルスを含めた、いくつかのウイルスのベクター系が利用可能である。
【0156】
CDRを含む抗体もしくは抗体断片をコードしているDNA、またはそれを含有するベクターは、リポソーム内にパッケージングすることができる。適切な脂質および関連する類似体は、Eppsteinら、米国特許第5,208,036号、Felgnerら、米国特許第5,264,618号、Rose、米国特許第5,279,833号、およびEpandら、米国特許第5,283,185号に記載されている。また、免疫原をコードしているベクターおよびDNAは粒子状担体と吸着または会合させることもでき、その例には、ポリメチルメタクリレートポリマーおよびポリ乳酸およびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が含まれる。たとえばMcGeeら、J.Microencapsul.、14(2):197〜210、1997を参照されたい。
【0157】
ポリヌクレオチドベクターまたは裸ポリヌクレオチド(たとえばDNA)は、典型的には全身投与(たとえば、静脈内、腹腔内、経鼻、胃、皮内、筋肉内、真皮下、もしくは頭蓋内インフュージョン)または局所施用によって個々の患者に投与することによって、in vivoで送達することができる(たとえばAndersonら、米国特許第5,399,346号を参照)。用語「裸ポリヌクレオチド」とは、トランスフェクション促進剤と一緒に投与しないポリヌクレオチドをいう。裸ポリヌクレオチドは場合によってはプラスミドベクター中にクローニングする。プラスミドベクターには、ブピバカインなどのトランスフェクション促進剤がさらに含まれることができる(Weinerら、米国特許第5,593,972号)。また、DNAは遺伝子銃を用いて投与することもできる。XiaoおよびBrandsma、上記を参照されたい。抗体(またはCDRを含む断片)をコードしているDNAを微視的金属ビーズの表面上に沈殿させる。微粒子を衝撃波または膨張ヘリウムガスで加速させ、数細胞層の深度まで組織に貫通させる。たとえば、Agricetus,Inc.、ウィスコンシン州Middletonによって製造されるACCEL(商標)遺伝子送達装置、すなわちDNA銃が本発明の実施における使用に適している。あるいは、化学的または機械的刺激と共にDNAを単に皮膚上にスポットすることによって、裸DNAは皮膚を通過して血流内に入ることができる(Howellら、PCT公開WO95/05853号を参照)。
【0158】
別の実施形態では、免疫学的試薬をコードしているベクターは、個々の患者から外移植した細胞(たとえば、リンパ球、骨髄吸引液、組織生検)または万能ドナー造血幹細胞などの細胞にex vivoで送達することができ、続いて、通常はベクターを取り込んだ細胞を選択した後に、細胞を患者内に再移植する。
【0159】
本発明の免疫学的試薬は、β−溶血性連鎖球菌疾患の処置に少なくとも部分的に有効である他の薬剤と任意選択で組み合わせて投与することができる。また、本発明の免疫学的試薬は、標的細胞または組織に対する治療的免疫学的試薬の接近性を増強させる他の薬剤、たとえばリポソームなどと組み合わせて投与することもできる。そのような薬剤の同時投与は、所望の効果を達成するために必要な治療的免疫学的試薬(たとえば、治療用抗体または抗体鎖)の用量を減少させることができる。
【0160】
本発明の免疫学的試薬は、多くの場合、活性治療剤を含む医薬組成物として、すなわち、様々な他の薬学的に許容できる構成成分と共に投与する。Remington’s Pharmaceutical Science(15th ed.、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1980)。好ましい形態は意図する投与様式および治療的用途に依存する。また、組成物には、所望する製剤に応じて、動物またはヒト投与用の医薬組成物を製剤化するために一般的に使用されているビヒクルとして定義される、薬学的に許容される無毒性の担体または希釈剤も含めることができる。希釈剤は、組合せの生物活性に影響が与えられないように選択する。そのような希釈剤の例は、蒸留水、リン酸緩衝溶液、リンゲル液、デキストロース溶液、およびハンクス液である。さらに、医薬組成物または製剤には、他の担体、アジュバント、または無毒性、非治療的、非免疫原性の安定化剤なども含まれ得る。
【0161】
また、医薬組成物には、タンパク質、多糖、たとえば、キトサン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびコポリマー(ラテックス官能化セファロース(latex functionalized sepharose)(商標)、アガロース、セルロースなど)、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、ならびに脂質凝集体(油液滴またはリポソームなど)等の、大きな、ゆっくりと代謝される巨大分子も含めることができる。さらに、これらの担体は免疫刺激剤(すなわちアジュバント)として機能することができる。
【0162】
非経口投与には、本発明の免疫学的試薬は、注射用用量の生理的に許容される希釈剤中の物質の溶液または懸濁液を、水、油、生理食塩水、グリセロール、またはエタノールなどの無菌的な液体であることができる薬学的担体と共に投与することができる。さらに、湿潤剤または乳化剤、界面活性剤、pH緩衝液物質などの補助物質が組成物中に存在することができる。医薬組成物の他の構成成分は、石油、動物、植物、または合成起源のもの、たとえば、ピーナッツ油、ダイズ油、および鉱物油である。一般に、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコールが、特に注射用液剤の好ましい液体担体である。抗体はデポー注射または移植片調製物の形態で投与することができ、これは、活性成分の持続放出を可能にする様式で製剤化することができる。例示的な組成物は、50mMのL−ヒスチジン、150mMのNaClからなり、HClでpH6.0に調節した水性緩衝液中で製剤化したモノクローナル抗体を5mg/mLで含む。
【0163】
典型的には、組成物は液体の液剤または懸濁液のいずれかとしての注射用として調製し、注射前に液体ビヒクル中で溶液または懸濁液にする適切な固体形を調製することもできる。また、調製物は、上述のように、アジュバント効果を増強させるために、乳化、またはリポソームまたはポリ乳酸、ポリグリコリド、もしくはコポリマーなどの微小粒子中にカプセル封入することもできる(Langer、Science、249:1527(1990)およびHanes、Advanced Drug Delivery Reviews、28:97(1997)を参照)。本発明の免疫学的試薬は、活性成分の持続的またはパルス状の放出を可能にする様式で製剤化することができるデポー注射または移植片調製物の形態で投与することができる。
【0164】
他の投与様式に適したさらなる製剤には、経口、鼻腔内、および肺の製剤、坐薬、ならびに経皮施用が含まれる。坐薬では、結合剤および担体には、たとえば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが含まれ、そのような坐薬は、活性成分を0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で含有する混合物から形成することができる。経口製剤には、製薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウムなどの賦形剤が含まれる。これらの組成物は、液剤、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、持続放出製剤または散剤の形態をとり、10%〜95%の活性成分、好ましくは25%〜70%を含有する。
【0165】
あるいは、皮膚パッチまたはトランスフェロソームを使用して経皮送達を達成することができる(Paulら、Eur.J.Immunol.、25:3521、1995、Cevcら、Biochem.Biophys.Acta、1368:201〜215、1998)。
【0166】
また、本発明は、β−溶血性連鎖球菌感染症に罹患しているまたはそれに感受性のある患者において処置を監視する方法、すなわち、患者に投与している処置の過程を監視する方法も提供する。この方法は、症候性の患者に対する治療的処置および無症候性の患者に対する予防的処置のどちらを監視するためにも使用することができる。特に、この方法は受動的免疫化を監視する(たとえば、投与した抗体のレベルを測定する)ために有用である。
【0167】
一部の方法は、免疫学的試薬の用量を投与する前に、たとえば患者における抗体のレベルまたはプロフィールのベースライン値を決定し、これを処置後のプロフィールまたはレベルの値と比較することを伴う。レベルまたはプロフィールの値の有意な増加(すなわち、同じ試料の繰返し測定における典型的な実験誤差の範囲を超えるもの、そのような測定の平均からの1倍標準偏差として表す)は、陽性の処置結果(すなわち、免疫学的試薬の投与が所望の応答を達成したこと)を示す。免疫応答の値が有意に変化しない場合、または減少する場合は、陰性の処置結果が示される。処置が受動的免疫療法である場合、抗体レベルは特徴的な半減期で経時的に減少することが予測される。
【0168】
分析用の組織試料は、典型的には、患者由来の血液、血漿、血清、粘液または脳脊髄液である。試料は、たとえば、連鎖球菌PPIに対する抗体のレベルまたは力価について分析する。連鎖球菌PPIに特異的な抗体を検出するためのELISA方法を実施例セクションに記載する。一部の方法では、投与した抗体のレベルまたは力価はクリアアッセイを用いて、たとえばin vitro貪食アッセイで決定する(たとえばJansenら、Clin.Diagn.Lab.Immunol.、8(2):245〜250、2001を参照)。
【0169】
受動的免疫化後の抗体プロフィールは、典型的には直後の抗体濃度のピーク、続いて指数関数的な減衰を示す。追加の用量なしでは、減衰は、投与した抗体の半減期に応じて数日から数カ月の期間以内に処置前のレベルに近づく。
【0170】
一部の方法では、患者における連鎖球菌PPIに対する抗体のベースライン測定を投与前に行い、そのすぐ後に、ピーク抗体レベルを決定するために2回目の測定を行い、抗体レベルの減衰を監視するために1回または複数回のさらなる測定を、間隔をおいて行う。抗体のレベルがベースラインまたはベースラインを減算したピークの事前に決定された割合(たとえば、50%、25%もしくは10%)まで減退した際に、抗体のさらなる用量を投与する。一部の方法では、ピーク、またはバックグラウンドを減算した続いて測定したレベルを、事前に測定した参照レベルと比較して、他の患者における有益な予防的または治療的処置レジームを構成する。測定した抗体レベルが参照レベルよりも有意に低い(たとえば、平均から、処置から利点を得ている患者の集団の参照値の1倍標準偏差を減算したもの未満である)場合は、抗体のさらなる用量の投与が示される。
【0171】
さらなる方法には、連鎖球菌感染症または関連する疾患を診断または監視するために研究者または医師によって常法として利用されている、任意の当分野で認識されている生理的な症状を、処置の過程にわたって監視することが含まれる。たとえば、蜂窩織炎、丹毒、膿痂疹、壊死性筋膜炎、咽頭炎、咽頭の赤み、悪寒、発熱、頭痛、嘔気、嘔吐、頻拍、倦怠感、扁桃腺の肥大、リンパ節の肥大および/または発疹の症状を監視することができる。
【0172】
本明細書は、すべてその全体が本明細書中に参考として組み込まれている、本明細書内で引用した参考文献の教示に鑑みてより徹底的に理解される。本明細書内の実施形態は本発明の実施形態の例示を提供し、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。当業者は、多くの他の実施形態が特許請求した発明によって包含され、本明細書および実施例は例示的のみとしてみなされることを意図し、本発明の真の範囲および精神は以下の請求項によって示されることを理解されよう。
【実施例】
【0173】
(実施例1)
連鎖球菌株中のORF1358の同定
連鎖球菌候補抗原のDNAおよびタンパク質の配列は多くの連鎖球菌ゲノムで同定されている。しかし、CおよびG群連鎖球菌のゲノムには限定された配列情報しか存在しない。現在、2つの動物由来の連鎖球菌ゲノム(C群)、腺疫菌(Streptococcus equi)およびストレプトコッカス・ズーエピデミカス(Streptococcus zooepidemicus)がSanger Centreによって配列決定されている。縮重プライマーを用いた部分的に完了したゲノムのデータマイニングによりORF1358のDNA配列が得られた。
【0174】
ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)のATCC12394株およびATCC35666株、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)のATCC27335株、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種コンステラータス(constellatus)のATCC27823株、ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)のATCC33397株、ならびにストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)亜種ファリンギス(pharyngis)のNTCT13122株におけるORF1358を同定するために縮重オリゴヌクレオチドプローブを設計した。
【0175】
ORF1358を含有するすべての既知の配列をAlignX(ベクターNTI)を用いてアラインメントし、相同領域を使用して縮重プライマーを構築した。プライマーは、高い融解温度および低い自己二量体化の潜在性を維持する一方で最小限の縮重を有するように設計した。プライマーのヌクレオチド配列を配列番号14〜21に記載する。
【0176】
Integrated DNA Technologies(アイオワ州Coraville)のウェブサイトを用いてプライマーを分析した。初期の増幅研究は、連鎖球菌C単離株ATCC12394(ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis))に対して作製したゲノムDNA調製物を用いて行った。ORF1358の5’および3’に対する部分的遺伝子配列が得られた。その後、これらの配列に基づいて順方向および逆方向プライマーを設計し、次いで、これを用いて様々なG株およびC株からのORF1358の約700〜900bpの配列を増幅した。ATCC12394に基づくプライマーは配列番号20および21に記載されている。
【0177】
当業者が精通する方法を用いて、上記言及した株のそれぞれからゲノムDNAを調製し、配列番号14〜21に記載のプライマーを用いてORF1358に対応するポリヌクレオチド断片を増幅した。ORF1358について得られたヌクレオチド配列を配列番号1、3、5、7、9、11、25、27、29、および31に示す。
【0178】
これらのポリヌクレオチドの翻訳により、これらの連鎖球菌株におけるORF1358のアミノ酸配列がもたらされた。ポリヌクレオチド配列は配列番号2、4、6、8、10、12、26、28、30、および32に記載されている。
【0179】
Clustal Wを用いて配列番号2、4、6、8、10、および12のアミノ酸配列をアラインメントし、コンセンサス配列を作成し、配列番号13に記載した。
【0180】
表1Aは、配列番号2、4、6、8、10、および12に記載のORF1358アミノ酸配列を配列番号22、23、および24に記載のORF1358アミノ酸配列とアラインメントした後に得られた、ClustalW(slow/accurate、Gonnet)を用いて得られた対の距離または%同一性を示す。
【0181】
【表1】

【0182】
表1Bは、配列番号2、4、6、8、10、12、26、28、30、および32に記載のORF1358アミノ酸配列を配列番号22および23に記載のORF1358アミノ酸配列とアラインメントした後にBLASTを用いて得られた対の距離または%同一性を示す。
【0183】
【表2】

【0184】
(実施例2)
C/G群ブドウ球菌のORF1358エピトープに対する抗体
オプソニン化として知られるプロセスである抗体と細菌との結合は、食細胞による細菌の取込みおよび死滅をもたらすことができる。そのような抗体は、バルクのヒトもしくは動物源由来であるかヒトもしくはマウスもしくはキメラのモノクローナル源由来であるか、または単独でもしくは組み合わせて使用するかに関わらず、新生児敗血症または手術後の敗血症または膿瘍の漏れなど、BHSが血流中に存在する可能性がある場合は、予防的または治療的な設定のどちらでも使用することができる。
【0185】
ORF1358によってコードされている組換えC/G群ブドウ球菌の亜鉛結合ポリペプチドに対する抗体をマウスにおいて産生させた。これの抗β−溶血性連鎖球菌抗血清およびモノクローナル抗体を様々なβ−溶血性連鎖球菌(BHS)株に対してスクリーニングする過程において、一部の抗血清および抗体が、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogene)(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)(B群連鎖球菌)ならびにC群およびG群連鎖球菌(これには、連鎖球菌種ストレプトコッカス・アンギノサス(Streptococcus anginosus)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)、ストレプトコッカス・インターメディウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種エキシミリス(equisimilis)およびストレプトコッカス・ジスガラクチエ(Streptococcus dysgalactiae)亜種ジスガラクチエ(Dysgalactiae)が含まれる)(表1を参照)のメンバーを含めた多くのBHS株に対して交差反応性であることが注目された。抗体のスクリーニングは蛍光活性化細胞分取(FACS)を用いて行った。手短に述べると、熱死滅させた連鎖球菌をマウス抗C群およびG群ORF1358連鎖球菌抗体と共に氷上で45分間インキュベーションし、続いて2回の10%のFBS/PBSの洗浄を行った。その後、連鎖球菌をヤギ抗マウス−Alexa−488抗体(Molecular Probes、オレゴン州Eugene)と共に30分間氷上でインキュベーションし、続いて2回の10%のFBS/PBSの洗浄を行った。その後、細胞を10%のFBS/PBSに再懸濁させ、FACS機で実行した(たとえばDeMasterら、Infect.Immun.、70(1):350〜359、2002を参照)。この交差反応性は、C群またはG群ORF1358またはそれによってコードされているポリペプチドを、A群またはB群連鎖球菌による感染症およびC群またはG群連鎖球菌による感染症に対して保護するために有効な免疫応答を誘導するための免疫原性組成物中で使用し得ることも意味する。
【0186】
表2は、ORF1358によってコードされているC/G群連鎖球菌ポリペプチドに対する抗血清および抗体の交差反応性を示す。表2によれば、記号「+」は、抗原に対する特異的抗体から得られたシグナルがバックグラウンドよりも少なくとも3倍高いことを意味し、記号「+/−」は、抗原に対する特異的抗体から得られたシグナルがバックグラウンドよりも2倍〜3倍高いことを意味し、記号「−」は、抗原に対する特異的抗体から得られたシグナルがバックグラウンド以下であることを意味する。
【0187】
【表3−1】

【0188】
【表3−2】

【0189】
【表3−3】

【0190】
【表3−4】

【0191】
【表3−5】

【0192】
【表3−6】

【0193】
【表3−7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32のうちのいずれか1つまたは複数と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、単離したポリペプチド。
【請求項2】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号13、配列番号26、配列番号28、配列番号30、または配列番号32のうちのいずれか1つまたは複数と少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離したポリペプチド。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の単離したポリペプチドのうちのいずれか1つをコードしている、単離したポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31のうちのいずれか1つまたは複数と少なくとも95%同一であるであるヌクレオチド配列を含む、請求項3に記載の単離したポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29、または配列番号31のうちのいずれか1つまたは複数と少なくとも97%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項3または4に記載の単離したポリヌクレオチド。
【請求項6】
調節要素と作動可能に連結している、請求項3から5のいずれか一項に記載の単離したポリヌクレオチド。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか一項に記載の単離したポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドベクター。
【請求項8】
プラスミド、ウイルスベクター、または発現ベクターのうちのいずれか1つまたは複数である、請求項7に記載のポリヌクレオチドベクター。
【請求項9】
請求項3から6のいずれか一項に記載の単離したポリヌクレオチドまたは請求項7もしくは8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドベクターを含み、ex vivoである細胞。
【請求項10】
細菌、哺乳動物細胞、昆虫細胞、および酵母細胞からなる群から選択される、請求項9に記載の細胞。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の単離したポリペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項12】
請求項3から6のいずれか一項に記載の単離したポリヌクレオチドまたは請求項7および8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドベクターを含む免疫原性組成物。
【請求項13】
患者に請求項11または12に記載の免疫原性組成物を投与することを含む、患者においてβ溶血性連鎖球菌細菌またはβ溶血性連鎖球菌感染症に対する免疫応答を誘導する方法。
【請求項14】
β溶血性連鎖球菌細菌またはβ溶血性連鎖球菌感染症がA群、B群、C群またはG群に由来する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者におけるβ溶血性連鎖球菌感染症の予防的処置に有用な医薬品の製造における、請求項1または請求項2に記載の単離したポリペプチドの使用。
【請求項16】
患者におけるβ溶血性連鎖球菌感染症の予防的処置に有用な医薬品の製造における、請求項3から6のいずれか一項に記載の単離したポリヌクレオチドまたは請求項7および8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドベクターの使用。
【請求項17】
請求項1または請求項2に記載の単離したポリペプチドを含むキット。
【請求項18】
請求項3から6のいずれか一項に記載の単離したポリヌクレオチドまたは請求項7および8のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドベクターを含むキット。
【請求項19】
細胞に対して、請求項1または請求項2に記載の単離したポリペプチドをコードしている単離したポリヌクレオチドを含有するプラスミドを用いて形質転換、トランスフェクトまたは感染させることと、細胞による前記ポリペプチドの発現を可能にする条件下で細胞を培養することと、前記ポリペプチドを細胞から精製することとを含む、単離したポリペプチドを産生する方法。

【公表番号】特表2011−525113(P2011−525113A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514828(P2011−514828)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/047902
【国際公開番号】WO2009/155484
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】