説明

ある量の粒状材料を提供するための方法、製品および装置

所定量の粒状材料を提供するための方法であって、該粒状材料が支持層の粘着性表面の規定領域上に被着される方法。本方法はストリップ型支持層などの支持層上に粒状薬物材料を被着させるのに好適であり、このような支持層は所定量の粒状材料を送達するための送達デバイスを提供するためにさらに圧縮させることができる。かかる送達デバイス、および本方法を実行するための装置は、本発明のさらなる態様を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定量の粒状材料を提供するための新規方法、該方法を用いて作製された製品、および該方法を実行するための装置に関する。特に、本発明は、前記粒状材料が製剤原料である場合の方法、製品および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術分野では、例えば粒状材料を含有、使用または送達するデバイスを提供するためのさらなる加工では、狭く規定された重量一貫性範囲内で所定の、比較的少ない、量の粒状材料を提供することが必要である。かかる技術分野の例としては、香味料(食用材料の混合物に少量の香味剤を添加することが必要な場合がある)、火薬類、および特に製薬産業(少量の、医薬として活性な材料(本明細書では「製剤原料」と呼び、この用語は化合物、生物学的材料、ワクチンおよびかかる材料を含んでなる処方物、ならびにプラセボ物質(例えば臨床試験において用いられるようなもの)などのいかなる種類の、医薬として活性な材料も含む)がヒトまたは動物の体への投与のための送達デバイスに組み込まれる)が挙げられる。
【0003】
製薬産業では数多くのタイプの薬物送達デバイスが知られている。薬物送達デバイスの一般的な形態は圧縮錠剤およびカプセル剤である。かかるデバイスは、混合物が錠剤またはカプセル剤に好適な量に再分される場合にその中の製剤原料が個々の投与形に均等に配分される十分な均等性で増量剤、賦形剤などを含んでなる多量のバルク粉末または顆粒に比較的少ない量の製剤原料が混入するという問題を抱えている。これは、特に、より少ない量で用いられるより活性の高い製剤原料に関する問題である。
【0004】
投与形を作成するために製剤原料を支持層の表面上に被着させるための方法は知られている。US−A−4,029,757では、製剤原料を食用ウェブ上に被着させ、小型の投与形を形成するためにその食用ウェブがさらに再分され、例えば折りたたんだ後にカプセル封入することによって圧縮される薬物送達デバイスが開示されている。この開示内容では製剤原料を粉末形態で食用ウェブ上に静電的に被着させることが好ましく、食用ウェブ上への材料の接着を強化するためにカルボキシメチルセルロースまたはメチルセルロースなどの接着強化材料を食用ウェブに適用してよい。US−A−4,029,757に開示されている粉末被着法は、粉末雲静電的被着を含む。GB−A−2 370 243では、表面に製剤原料を静電的に被着させた固体圧縮投与形を含んでなる薬物送達デバイスが開示されている。US−A−6,804,313でも、製剤原料粉末を支持層の所定領域上に静電的に被着させた薬物送達デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4029757号明細書
【特許文献2】GB−A−2370243
【特許文献3】米国特許第6804313号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の分野において重要な要件は、例えば粒状香味材料を用いるときに一貫した香味強度を得るための、所定量の粒状材料の一貫した供給である。製剤原料に関する一貫性からの大幅な逸脱は悲惨な結果をもたらし得る。粉末雲静電的被着プロセスに関する一貫性を得ることは難しい。特に製剤原料の、一貫した正確な量の粒状物質を、とりわけそのように提供される製剤原料を薬物送達デバイスに組み込むために、提供するという問題に対処することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、本発明はある量の粒状材料を提供するための方法を提供し、この方法は、
粘着性表面を有する支持層を提供すること、粒状材料が該粘着性表面に固着するように該粒状材料を該粘着性表面と接触させること、該粘着性表面に固着しなかった該支持層の余分な粒状材料を除去すること、および該粒状材料が固着している該粘着性表面の領域を含んでなる該支持層のユニットを形成すること
:を含む。
【0008】
好ましい実施形態では、本発明は薬物送達デバイスの調製のための方法を提供し、この方法は、
粘着性表面を有する支持層を提供すること、粒状材料が該粘着性表面に固着するように製剤原料である粒状材料を該粘着性表面領域と接触させること、および該粘着性表面に固着しなかった該支持層の余分な粒状材料を除去すること、該粒状材料が固着している該粘着性表面の領域を含んでなる該支持層のユニットを形成すること、さらに該支持層ユニットを製剤原料送達デバイスとして好適な形態へさらに加工すること
:を含む。
【0009】
本明細書における用語「製剤原料」とは、治療的および予防的物質、およびプラセボを含む。
【0010】
本発明は、粒状材料の量が前記粘着性表面の面積と一貫して関係している十分に一様な前記粘着性表面上で前記粒状材料の単位面積当たり密度が得られ、その上に固着された粒状材料の量をかなりの精度で予め決定することができるという予期せぬ発見に基づいている。そのため、前記粘着性表面の規定領域を分離することによって、規定量の前記粒状材料を一貫して、例えば製剤原料の単位用量または単位用量の一部として、提供することができる。
【0011】
前記支持層の物理的形状は前記粒状材料に意図される用途に適当であるように選択してよい。
【0012】
本明細書における「粘着性(のある)」には、前記表面領域と接触している粒子が力、例えばそれらの粒子を外す傾向にある重力に逆らって前記表面領域中に保持されるということが含まれる。前記粘着性表面領域は、前記支持層を作製する材料の固有の性質として粘着性であってよく、かかる固有の粘着性は適当な処置によって強化し得る。また、前記粘着性表面領域は支持層ベースによって提供してもよく、例えば熱などのエネルギーを用いた、表面処理、または例えば化学薬品、有機溶媒もしくは水を用いた、処理によって、あるいは支持層ベースの表面に粘着性物質の粘着性単層または多層コーティングを施すことによってこの支持層ベースの表面が粘着性となっている。本明細書における「粘着性(のある)」は、接着させるためにファンデルワールス力などの近距離力を利用する公知の包括的な微小表面、例えば密な表面接触を生み出すために微細な毛で覆われた表面も含む。
【0013】
例えば前記支持層は、薄膜形態であってよく、(もし十分に強固に作製することができるかまたは任意の必要なその後のさらなる加工で支持することができるとすれば)単分子層膜形態であってもよく、繊維形態であってよく、または中空バブル形態(例えば外部粘着性表面に前記粒状材料が適用されていてよく、その後所望により折りたたまれていてよい)であってよい。
【0014】
前記支持層は、例えば本質的に粘着性のある物質の塊を含んでなってよい。
【0015】
支持層の1つの形態は、外部表面の全部または一部に粘着性表面を有する、例えば圧縮材料の、硬質固体物品を含んでなってよい。かかる支持層は、例えば、香味材料である粒状材料に好適であり得、支持層と粒状材料が食料品に添加され得る。この場合、前記物品は食用材料でできたものであるべきである。
【0016】
かかる硬質固体物品形態の支持層は、前記粒状材料が製剤原料である場合にも好適であり得、固着した粒状材料を含む支持層が薬物送達デバイスである。かかる支持層は、経口的あるいはヒトまたは動物の体内への導入のために成形された、表面領域の全部または一部に粘着性表面を有する固体物品形態であってよい。かかる物品は、例えば製薬産業で一般的に用いられる同じ賦形剤(例えば増量剤、滑沢剤、崩壊剤など)で一般に作られる圧縮錠剤形態の支持層ベースを含んでなってよい。この場合、前記物品は医薬として許容される材料、例えば食用材料でできたものであるべきである。
【0017】
支持層の好ましい形態は、粘着性表面領域を有するシート状軟質材料を本質的に粘着性のある物質としてまたは粘着性物質が適用された支持層ベースとして含んでなる。
【0018】
かかるシート状軟質材料は、投与形に望ましい所望の形態、例えば経口投与形へのそのさらなる加工を容易にする厚さおよび柔軟性のものであるべきである。このさらなる加工は、例えば前記粒状材料が外部環境に曝されないように結果としてさらに加工された支持層内部に前記粒状材料を封入するために折りたたむことまたは丸めることによるものであってよい。そのように折りたたむことまたは丸めることによって折りたたまれたまたは丸められた支持層を元の折りたたまれていない支持層よりも小型にすることもできる。かかるシート状軟質材料は、前記粒状材料が製剤原料である場合に、前記支持層を薬物送達デバイスに適当な形状およびサイズに圧縮するためのさらなる加工を容易にするために好適である。かかる用途でのかかるシート状支持層の厚さは、実施上の考慮点例えば支持層の取り扱いによって決定してよい。例えば厚さは範囲20〜100μm内であってよい。一般に、かかるシート状支持層は細長いストリップ型であり得る。かかるシート状支持層の表面、例えば前記粘着性表面は好ましくは平坦である。
【0019】
静電気の充電は前記粘着性表面領域以外の前記支持層の領域の製剤原料粉末を保持させる傾向があるため、前記支持層は静電気の充電を増加させない傾向がある材料であることが好ましい。好ましい支持層材料は寸法および質量安定性があり、例えば本プロセス中に力を受けたときにそれらの支持層材料は伸びたり曲がったりしない傾向がある。例えば前記支持層材料は繊維強化してよい。前記支持層は、例えばさらなる加工中に、切断あるいは再分しやすいものであるべきでもある。前記支持層は異方性(すなわち異なる方向に異なる特性、例えば強度を有する)であってよい。
【0020】
ヒトまたは動物の体への投与を必要とする用途では、前記支持層は無毒の材料でできたものでなければならない。前記支持層は、ヒトまたは動物患者の体内で例えば崩壊、溶解、消化などによって分解可能なものであり得る。また、前記支持層は、前記支持層が消化管を不活性で通過するようにヒトまたは動物患者の体内で不活性であってもよい。シート状支持層ベースの原料となり得る食用材料の考えられる例としては、アルギナート、カラギーン、ホエー、カゼイン、デンプン、コラーゲン、ゼラチン、コメタンパク質および他の植物系シートが挙げられる。好適な材料としては、US−A−4,029,757において開示されているシート成形材料、例えば天然および加工デンプンならびにデキストリン、タンパク質(ゼラチンなど)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、多糖類(ペクチン、アラビアガム キサンタンガム、グアーガム、アルギンなど)、合成材料(ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールなど)が挙げられる。かかる材料の数多くの形態は、例えば経口摂取または他の方法による体内への投与に関しては「GRAS」(Generally regarded as safe)であることが分かっている。かかる材料はヒトまたは動物の体内で様々な形で、例えば溶解、崩壊、消化、多孔化などによって分解することができる。
【0021】
経口投与形に好適なシート状食用支持層として用いるのに好適な材料はヒドロキシプロピルメチル セルロース(「HPMC」)である。かかるHPMC材料の好適なシート形態はMonosol Ltd. (GB)から入手可能である。
【0022】
支持層として用いる場合には前記支持層がエネルギーを貯蔵することができることが有用であり、例えば支持層が圧縮形態に折りたたまれるかまたは丸められ、この形態中に拘束される場合には、この拘束が解放されたときに前記支持層が自発的に広がってその表面領域が増加しかつ前記粒状材料がその上に曝されるように弾力性があり得る。これは薬物送達デバイスとして意図される支持層に有用であり得る。かかる拘束は、例えばカプセル封入または圧縮錠剤内部への組み込みによるものであってよく、拘束の解放は、例えば錠剤またはカプセル剤のその後の崩壊などによるものであってよい。薬物送達デバイスの支持層として用いる場合には、製剤原料の放出速度を制御するためにも前記支持層を用いてよく、例えば徐溶解性支持層(slow-dissolving substrate)を用いてよく、または製剤原料が放出される消化器系中での時点を制御してよい。例えば前記支持層材料の胃環境中での溶解または崩壊速度によって胃環境中での製剤原料の放出速度を制御することができる。例えば異なるpHについての胃環境中での前記支持層の相対溶解度を利用して、消化管中で上の製剤原料を放出させる場所を決定することができる。
【0023】
シート状支持層ベースなどの支持層ベースには様々な粘着性物質を塗布してよい。接触または感圧粘着性コーティングが好ましく、その食用に適するものは公知である。また前記粘着性領域の温度を上昇させたときに前記粘着性領域が粘着性となり得る、例えばいわゆる「ホットメルト」接着剤を用いてもよい(例えばワックスおよび樹脂)。しかしながら、かかるホットメルト接着剤は、前記粒状材料(上に被着された製剤原料など)が耐えることができる使用温度を有するべきである。任意の粘着性物質層は、好ましくは、一様であり(すなわちギャップがなく)、平らである(すなわち隆起がない)べきである。GRASである好適な粘着性物質については当業者には明らかであろう、例えば糖および有機酸、コメ系接着剤、天然ガムおよびラテックスなどに基づく。製剤原料である粒状材料の場合では、前記粘着性物質はその製剤原料に適合しなければならない。
【0024】
前記粘着性表面は、前記支持層の表面全体に、例えばシート状支持層の片側または両側の反対表面の全部に広がっていてよい。また、前記粘着性表面は、前記支持層の表面の一部にのみ、例えばシート状支持層ベースの片側または両側の反対表面の全部または一部に、または例えば薬物送達デバイスに用いる圧縮錠剤などの硬質固体物品の表面の一部の上にある粘着性パッチとして、広がっていてよい。前記粘着性表面が前記支持層の表面の一部にのみに広がる場合には、前記粘着性表面は、例えば前記支持層の表面上にパッチまたはストリップを含んでいてもよい。例えば、かかるパッチまたはストリップは、非粘着性表面の領域によって境されるかまたは囲まれていてよい。かかるパッチまたはストリップ、およびそれらに隣接した非粘着性表面の領域は、さらなる加工を容易にする形状を含んでいてもよい。例えばシート状支持層の場合には、かかるパッチまたはストリップの形状、サイズおよび位置によって、その後に折りたたむこともしくは丸めること、および/または前記粘着性領域間の場所で前記支持層を再分すること、および/またはさらに加工された支持層をそのさらに加工された、例えば丸められたもしくは折りたたまれた形態で保持することを容易にすることができる。かかる形状の例は十字形状であり、その十字形の突出部はその突出部が交わる十字形の部分の上でまたは横切って折りたたまれ得る。
【0025】
上に前記粘着性表面領域が広がる前記支持層の程度、および/またはその粘着性例えば前記粘着性表面領域に添加され重力に逆らって保持される前記粒状材料の単位面積当たり重量は、意図される用途によって決まり、経験的に決定することができる。前記粘着性表面領域により、例えばシート状支持層の場合には、結果として前記支持層をさらに加工された状態で保持する、例えば広がらないようにするために前記支持層を固着し合わせることによって、さらなる加工を容易にすることができる。
【0026】
粘着性表面領域を有する前記支持層は様々な方法で調製してよい。
【0027】
前記支持層が、本質的に粘着性のある表面を有する本質的に粘着性のある物質を含んでなる場合には、かかる本質的に粘着性のある物質の塊は様々な方法で調製してよい。例えば本質的に粘着性のある物質の薄いシートの形態の支持層は、例えば該物質を水表面に被着させ、それを広げて薄層を形成する(この薄層は用いるために離すことができる)ことによる公知の膜形成技術によって提供してよい。中空バブルは公知のバブルブローイング技術(known bubble-blowing techniques)によって調製してよい。
【0028】
例えば粘着性支持層塊は放出担体上に被着されていてよく、該粘着性支持層塊は続いて該放出担体から剥離することができる。放出担体の好適な形態はシート状軟質材料である。他の形態例えば繊維の粘着性材料塊は、他の一般に公知の方法で提供してよい。
【0029】
前記支持層が、粘着性物質が表面の全部または一部の上に被着している支持層ベースを含んでなる場合には、これは様々な方法で調製してよい。
【0030】
外部表面の全部または一部に粘着性表面を有する、例えば圧縮材料の、繊維または硬質固体物品を含んでなる支持層は、一般に公知の技術例えば該物品に流体粘着性物質をプリントすること、噴霧することまたは該物品を流体粘着性物質に浸すことによって調製してよい。
【0031】
表面上に粘着性物質を有するシート状軟質材料である支持層ベースを含んでなる支持層の好ましい形態も粘着性表面のない最初のシート状軟質材料から調製してよく、その表面に、一般に公知の技術を用いて例えば所望により公知の処理(例えば硬化、乾燥など)によって表面上にキャストすること、剥離ライナー上にプレキャストすることおよび粘着性コーティングを該支持層に転写すること、あるいは該シート状材料に流体粘着性物質をスクリーン印刷すること、噴霧すること、または該シート状材料を流体粘着性物質に浸すことによって、粘着性表面を適用してよい。ストリップを適用する場合には、従来のスロットまたはローラーコーティングを用いてよい。パッチを適用する場合には、従来のプリント法を用いてよい、例えばスクリーン印刷。前記支持層の前記粘着性表面は剥離式保護膜によって保護されていてよく、この剥離式保護膜は使用前に取り去られ得る。
【0032】
好ましい粘着性物質はグリセリン(glyerine):ゼラチン:水の、好適には重量比2〜3:2〜4:1、好ましくは2.4+/−0.1:3+/−0.1:1の混合物である。この混合物は、この混合物が流体になるまで従来どおりに混合し加熱することによってブレンドしてよく、流体状態で前記支持層に適用してよい。冷却し、起こる可能性がある水分の蒸発で、この混合物は粘着性塊となる。また、この混合物は、熱およびキャストによって流動化させることができるし、または例えば剥離膜のシート間で圧縮することができ、剥離膜のシート自体は薄い固体層を形成するようにローラー間に配置される。冷却して、粘着性物質のこの薄層は、例えばそれを剥離膜から剥離した後、その粘着性によってそれを前記支持層に接着することによって分離することができる。この粘着性物質は、有利には 全て食用食物用材料でできており、粒状材料の好適な投与をもたらすことは分かっており、可溶性製品を与えるために食用支持層に転写可能である。
【0033】
かかる粘着性物質層の厚さは、前記粒状材料(the particulate materially)の好適な接着には重要でないように思われる。実際10〜150μm厚の層は好適であり得、例えば一般に50〜100μm厚で十分であるはずである。
【0034】
前記支持層は、前記支持層の物理的形状に適当な方法により前記粒状材料をその粘着性表面と接触させるステップに提供してよい。例えばシート状軟質材料を含んでなる放出担体上の粘着性支持層塊の形態である支持層、または表面上に粘着性物質を有するシート状軟質材料である支持層ベースを含んでなる好ましい形態は、該シート状支持層を従来どおりに送り込むように適合された一般に従来の手段(例えばローラー、ガイド、コンベヤーなど)によって提供してよい。
【0035】
本発明は、いかなる種類の粒状材料にも好適であるように思われ、粒状材料を前記粘着性表面と接触させるための異なるタイプの粒状材料を提供する方法については、当業者には明らかであろう。本方法は、3つの一般的に遭遇するタイプの粒状材料に好適であるように思われる:乾燥凝集(揺動すると凝集塊を形成するがその凝集塊は簡単に壊れる)、易流動性(凝集しておらず、流し込みやすい)、および粘着性凝集(揺動すると凝集塊およびボールを形成し、その凝集塊は簡単には壊れない)。製剤原料の場合には、本発明の方法および送達デバイスはいかなるタイプの粒状製剤原料にも好適であるように思われ、そのような粒状製剤原料には純粋な活性物(群)の粒子および1種以上の活性物を、製剤を作製するために製薬分野において用いられる通常の物質、賦形剤などとともに含んでなる処方物の粒子が含まれる。実際に前記粘着性物質に接着している粒状材料の量は前記粒状材料に依存し得る。例えば微粉化グレード、凝集グレードおよび易流動性グレードの粒状ラクトースを用いて、それぞれ0.1mg/cm、1.6mg/cmおよび5.4mg/cmの添加を行うことができた。他の粒状材料の同様の添加も可能であると思われる。
【0036】
本発明の方法は、粒径の範囲を超える粒状材料に好適であるように思われる。
【0037】
0.5〜250μm、例えば5〜100μmの範囲の粒径は、一般にも、粒状製剤の原料にも好適であるように思われる。また、本発明に用いる粒状製剤原料の好適な粒径もその製剤原料および意図された用途に依存し得、試験によって決定してよい。微粉化粉末粒子が好適であり得る。前記粘着性表面領域上に固着させるべき前記粒状材料の量は当然前記粒状材料の意図された用途に依存するであろう。薬物送達デバイスとして用いる製剤原料の場合では、製剤原料の単位用量または単位用量の一部に相当する量を、前記粘着性表面上に固着させてよい。前記粘着性表面に固着させる製剤原料量に単位用量の一部が含まれる場合には、好適な複数の、製剤原料が上に固着されている前記支持層ユニットを用いることによって単位用量を送達してよい。
【0038】
粒状材料が前記粘着性表面に固着するように前記粒状材料を前記粘着性表面領域と接触させることについては様々な方法で実行してよい。
【0039】
例えば、好ましくは、前記粒状材料を篩に通すことによって、前記粒状材料が重力によって前記粘着性表面上に落ちるようにしてよい。かかる篩は、前記粘着性表面に固着させる前記粒状材料の粒径を制御し得、前記粒状材料の凝集体を壊し得、前記粒状材料が前記粘着性表面に到着する速度を制御し得る。かかる篩はその篩を通る粒状材料の流れを支援するために振動させてよく、一振動モードは前記粒状材料が篩を通過する方向の振動運動である。しかしながら、高周波振動は前記粒状材料の望ましくない凝集を引き起こす可能性があり、好適な周波数頻度は実験に基づいて見い出すことができる。かかる篩は、平面であるが、下流面が凸状の湾曲した篩であってよく、前記粘着性表面に向かう前記粒状材料の流れを集中させる支援をすることが分かっている。かかる篩は前記粒状材料を接触させるべき粘着性表面の領域を確実に完全に覆うようにその領域より大きくあるべきである。
【0040】
例えば前記粒状材料は、下部粒状材料分配開口部を有する一般に従来のホッパー手段によって提供してよく、これにかかる篩が提供されていてよい。
【0041】
また、例えば、粒状材料を気流中にて粘着性表面に向けてもよく、あるいは空気中に支持されている雲(air-supported cloud)の粒状材料を粘着性表面に向けてもよい。
【0042】
また、例えば、粒状製剤原料の調製に一般的に用いられる、粒状材料供給源のアウトプット装置(ミクロナイザー、サイクロン、流動床(例えばドライヤー)またはスプレードライヤーなど)から粒状材料を提供してよい。前記粘着性表面上での前記粒状材料の均等な分布を促進するために前記支持層を揺動してよい。
【0043】
また、例えば柔らかいブラシ(例えばいわゆるフィンガープリントブラシ)によって前記粘着性表面上に粒状材料を塗ってもよい。
【0044】
粒状材料の好適な深さは、例えば前記粒状材料の粒子の全てが前記粘着性表面と接触しており、そのために、起こり得る粒子自体の間の相互作用によるよりはむしろ完全にまたは主として前記粘着性表面によって保持される深さである。
【0045】
前記粒状材料が固着している前記粘着性表面の領域を含んでなる前記支持層のユニットの形成には、そのユニットにおいて粘着性表面領域に固着された前記粒状材料の量に基づいて、既知量のある量の前記粒状材料を分離するという効果があり、この量は経験的に決定し得る。本発明の方法によって前記粒状材料の実質的に一様な粘着性表面単位面積当たり密度が得られることが予期せず発見されているように、粒状材料の量は前記粘着性表面の面積と直接関係し得る。
【0046】
前記支持層のかかるユニットは様々な方法で形成してよい。
【0047】
例えば粘着性表面の領域自体を分割して、それによって前記粘着性表面のかかる分離ユニットを形成してよい。
【0048】
しかしながら、前記粒状材料を前記粘着性表面に固着させる前に前記粘着性表面の規定領域を含んでなる前記支持層のユニットを提供することが好ましい。これは様々な方法で行うことができる。
【0049】
例えば支持層の前記ユニットは支持層全体を含んでなってよく、前記規定領域は粘着性表面領域全体であってよい。
【0050】
例えば前記支持層が圧縮錠剤などの硬質物品を含んでなる場合には、各かかる物品は上に粘着性表面の規定領域を有する(例えば該物品の表面の全部または部分を含む)ユニット、例えば該物品の表面の規定部分を占有する粘着性物質のパッチを含んでなってよい。
【0051】
例えば前記支持層が放出担体上に被着された粘着性支持層塊を含んでなり、該粘着性支持層塊を続いて該放出担体から剥離することができる場合には、前記粒状物質をこの粘着性塊の表面領域の全部または一部と接触させてよく、そして続いて、該塊を、その上に固着されている前記粒状材料とともに、ユニットとして該放出担体から剥離してよい。
【0052】
例えば前記支持層は、局所的に粘着性にし得る(例えば表面コーティングを有する支持層ベースを含んでなり、この表面コーティングの規定領域は、例えば熱、放射線、化学処理などによって局所的に処理してその規定領域を粘着性にすることができる)表面を有していてよく、この規定領域は支持層の前記ユニットを含んでなってよい。
【0053】
例えば支持層の前記ユニットを形成するために前記支持層を再分してよい。
【0054】
例えば前記支持層が表面上に粘着性物質を有するシート状軟質材料である支持層ベースを含んでなる場合には、前記粘着性表面の規定領域を含んでなる前記支持層の前記ユニットの形成は、前記支持層上に粘着性物質を離散的領域ユニットで存在させることによって行ってよい。これは様々な方法で行ってよい。
【0055】
かかる支持層に関する1つの様式において、前記粘着性物質を前記支持層ベース上に、上に粘着性物質が存在しない前記支持層ベースの表面領域によって互いに分離された、任意の所望の形状(例えば丸みのある、長方形の、細長のストリップなど)の離散パッチで存在させてよい。
【0056】
かかる支持層に関する別の様式において、前記粘着性物質を前記支持層ベースの表面の全部または一部の上に例えば上を覆うパッチとして存在させてよく、前記粘着性表面の領域は、マスクをそれに隣接して配置することによって分離してよく、該マスクは1以上の開口を有し、これらの開口を通じて前記粒状材料が通過し該開口によって規定される前記粘着性表面の領域と接触し得る。かかる様式では、前記支持層の他のユニットから分離された、前記粘着性表面の規定領域を含んでなる前記支持層の前記ユニットは、前記粒状材料がその上に適用される前に提供される。かかるマスクの開口は、前記粒状材料が接触する前記粘着性表面の領域を規定している。
【0057】
かかるマスクは、製剤原料などの前記粒状材料に適合する金属またはプラスチック材料などの材料でできていてよい。好適な材料はステンレス鋼である。また、マスクに軟質材料を用いて、前記開口のサイズを変更するためにマスクの変形を可能にしもよく、かつ/または別の方法で前記開口のサイズおよび/または形状の調整を可能にするために前記開口の端部が移動可能であってよい。一般に前記マスクはシート形態の材料を含んでなり、この材料はこの材料の厚さを貫通する前記開口を有する反対側の表面を有する。かかるシートは前記粒状材料の深さの過剰な増加を避けるために薄いことが好ましい。前記開口の形状および寸法は意図された用途に依存するであろう。前記開口を通過させる必要がある粒状材料の量は経験的に決定することができる。例えば、製剤原料である粒状材料の場合には、1.0mg/cmの添加によって50mgの製剤原料の添加を達成するためには、前記開口の面積およそ50cmが必要であり得る。
【0058】
前記開口は任意の便宜な形状例えば丸みのある(例えば円形)または多角形(例えば長方形または正角形)のものであってよい。丸みのある開口、例えば丸角を有する長方形開口は鋭角における粒状材料の増加を避ける手助けをし得る。円形開口が便宜である。前記開口の端部のプロフィールは、前記開口の端部における粒状材料の増加を避けるように実験に基づいて選択してよい。例えば直角端部、面取り端部または曲線端部プロフィールは、異なるタイプの粒状材料に好適であり得る。
【0059】
前記支持層が前記マスクと粘着接触するように前記粘着性表面を前記マスクに固着させることによって前記マスクを前記粘着性表面に隣接して配置してよい。これは、前記粘着性表面に対して前記開口の周囲を閉じる手助けをすることができる。かかる用途では、好ましくは、前記粘着性表面、例えば粘着性物質、と前記マスクは、比較的にばらばらに容易に剥離することができる。好ましくは、前記粘着性表面、例えば粘着性物質は、前記支持層が前記マスクから剥離されるときに粘着性残渣が前記マスク上に残らないタイプのものである。
【0060】
かかるマスクと前記支持層を互いに隣接して配置することについては様々な方法で行ってよい。
【0061】
例えばマスクを提供してよく、前記支持層と前記マスクは互いに、隣接した、好ましくは接触した、位置に相対的に移動され、前記粒状材料が前記開口を通過して前記粘着性物質と接触させることができるようになり、その後余分な粒状材料が除去され、さらに前記マスクと支持層が互いに分離される。前記マスクはその後、好ましくは、余分な粒状材料および/または粘着性物質被着物を除去するために清浄した後に再利用してよい。シート状支持層用のマスクの好適な形態は円形または多角形断面の中空円筒であり、この断面はその壁を貫通して1つまたは複数の開口を有しており、その周囲において前記支持層が粘着接触状態で風にさらされ得る。
【0062】
例えば支持層(例えば表面上に粘着性物質を有する硬質物品または軟質シート状材料支持層ベースの形態の支持層)には、その表面に隣接した(例えば該粘着性物質によってその表面に固着された)、1以上の内部開口を有しており該開口(群)によって該粘着性物質の対応する領域を曝している、膜型マスクを提供してよい。前記粒状材料は前記開口によって前記粘着性物質と接触させられ、その後余分な粒状材料が除去され、さらに前記膜型マスクと支持層が互いに分離される(例えば前記膜型マスクは前記支持層から剥離される)。
【0063】
とりわけ薬物送達デバイスなどの前記粒状材料の送達デバイスを提供するための、前記支持層のユニットの形成は、上に粒状材料が固着している前記粘着性物質の領域ユニットを分離するための前記支持層の再分を含んでよい。これは粘着性表面を有するシート状支持層を用いて、前記粒状材料が固着している前記粘着性表面の1以上の規定領域を分離するために前記支持層を切断することによって行ってよい。かかる切断は、好ましくは、上に粘着性物質が存在しない前記支持層の領域を通る。
【0064】
本発明の方法の1つの形態では、かかる支持層は細長いストリップの形態であってよく、前記粘着性表面の複数のパッチは該ストリップの幅にわたって配列され、かつ/または該ストリップの長さに沿って配列される。かかる細長いストリップは、続いて、規定の数もしくは部分のかかるパッチ(群)(例えばただ1つの、パッチもしくはパッチ部分)を含むユニットに再分され得る。かかる切断は、例えばかかるシートの長さに沿ったもしくはその幅にわたるレーザー切断または切断ナイフ操作によるか、または前記支持層の領域を打ち抜く「菓子用型抜き」タイプの閉鎖ブレードによるものであってよい。シート状支持層上において粘着性物質パッチ間に、上に粘着性物質が存在しない前記支持層が存在することで、前記粘着性物質と接触することなくこれらの粘着性物質を含まない領域を通って前記支持層を切断することができることにより、ウェブのユニットへの分割が容易になる。これは前記粘着性物質による切断ナイフの汚染を避けるのに役立ち得る。かかる再分を容易にするために、かかる支持層に領域例えば弱いラインを提供してもよい。
【0065】
前記粘着性表面に固着しなかった余分な粒状材料は、様々な方法で前記支持層表面から除去してよい。
【0066】
例えば前記支持層は、前記粘着性表面が下方に向いており、重力によって前記支持層から余分な粒状材料が落ちるように、配置してよい。
【0067】
例えば空気流を前記粘着性表面に吹きつけて余分な粒状材料を吹き飛ばしてよい。
【0068】
例えば軽くブラッシングすることによって余分な粒状材料を払い去ってよい。
【0069】
例えば前記支持層を振動させるかあるいは揺動させて、余分な粒状材料が前記支持層表面から離れるように促進してよい。
【0070】
例えば前記粒状材料が上に被着され、前記粘着性表面上に固着された粒状材料と少しの余分な粒状材料が存在する前記支持層を、前記粘着性表面が下向きになるように向けてよく、そこで前記粘着性表面と反対の表面を、例えば電磁タッパーで軽くたたいてよい。余分な粒状材料を前記支持層から離して落とすために軽くたたくことのシャープさについては、実験に基づいて決定してよい。
【0071】
前述のものの2つ以上の組合せを用いてよい。
【0072】
上記マスクを用いると、前記マスクと支持層がそれらが隣接している位置から離れる前に余分な粒状材料が除去されるはずであり、そうでなければ前記マスク上の余分な粒状材料が不所望にも前記マスクによって事前に覆った前記粘着性表面の領域上に散在することになるかもしれない。前記マスクは、前記マスク上での前記粒状材料の保持を妨げ前記マスク上に残渣を残す接着剤も妨げる、材料でできていてよくまたは表面コーティングを有していてよい。
【0073】
本発明の方法の好ましい形態では、前記支持層は、上記のように、軟質シート状の、細長いストリップ型形態であり、前記支持層をその長さ方向に沿って、マスク、好適には上記の円筒形のマスクに隣接した位置に(a position adjacent a mask)連続的に送り込むことによって本発明の方法に提供される。この好ましい形態では、前記粒状材料を前記粘着性表面と接触させ、余分な粒状材料を前記支持層から除去し、その後前記支持層を前記マスクから離れて移動させ、さらに1以上の前記支持層ユニットを分離するために前記支持層を再分し、各ユニットは、前記粒状材料を有する前記粘着性表面の規定領域を含んでなる。
【0074】
前記支持層のかかるユニットは任意の特定用途途に合わせるためにさらに加工してよい。
【0075】
例えば前記粘着性表面上に固着された前記粒状材料を、保護カバー層、例えば保護膜で覆ってよい。
【0076】
例えばシート状支持層(例えば細長いストリップの形態のシート状支持層)を圧縮してもよい。かかるシート状支持層の圧縮は、例えば(コアを含むもしくは含まない)円筒に丸めること、折りたたむこと(例えば本形状、蛇腹形状など)によるものであってよく、または前記支持層を小型に圧縮するために、分離されたユニットを積み重ねてもよい。
【0077】
例えば圧縮シート状支持層を、さらに、圧縮錠剤またはカプセル剤などの好適な担体中に封入またはカプセル封入してもよい。それを行う方法については当技術分野で周知である。かかる圧縮錠剤またはカプセル剤は、薬物送達デバイスを含んでなってよく、該デバイスは、該デバイスをヒトまたは動物の体に投与するのに好適な形状およびサイズ、一般には、従来の医薬錠剤またはカプセル剤または坐剤などの形状およびサイズのものである。
【0078】
本発明の方法は、前記粘着性表面上に固着した粒状材料の量を測定することも含む。かかる測定は、前記粘着性表面上に固着された前記粒状材料の全てにまたは前記粒状材料の代表的なサンプルに、例えば前記粘着性表面の代表的なサンプルに適用してよい。好適な測定技術としては、光学的方法例えば画像処理、光散乱、透明性、シャドウグラフ、レーザースキャニングおよび様々な種類の分光分析が挙げられる。他の技術には、超音波計測、β粒子放射線の使用、蛍光X線、静電容量測定、振動共振周波数に対する前記粒状材料塊の効果測定がある。代替技術には、重量測定および分析化学がある。かかる測定を利用して、本方法を制御するための(例えば粒状材料の送達速度、前記開口のサイズなどを制御するための)フィードバックを提供してよい。本発明の装置は、かかる測定を実行するため、そしてかかる測定を該装置の制御に適用するための手段を含んでなってよい。
【0079】
本発明のさらなる態様では、粒状材料を送達するために送達デバイスが提供され、この送達デバイスは粘着性表面を有する支持層を含んでなり、該粘着性表面に粒状材料が固着している。
【0080】
特に、前記送達デバイスは、規定量の、製剤原料である粒状材料を送達するためのものであり、粘着性表面を有する支持層を含んでなり、該粘着性表面に製剤原料である粒状材料が固着している。
【0081】
好ましくは、規定量の前記粒状材料が前記粘着性表面に固着されている。例えば製剤原料である粒状材料の場合には、この規定量は単位用量または単位用量の規定部分(例えば半分、三分の一、四分の一または五分の一など)を含んでなってよい。
【0082】
前記支持層、粘着性物質および粒状材料の好適な好ましい特徴は、本発明の第1の態様、すなわち、上記の方法に関して上記したとおりである。本発明のこの態様の送達デバイスは上記の方法によって調製してよい。
【0083】
そのため、本発明の薬物送達デバイスの1つの形態は、上に粘着性表面領域を有するシート状支持層を含んでなり、製剤原料などの粒状材料が該粘着性表面領域に固着され、該支持層が折りたたまれるか、または円筒に丸められて、折りたたまれたまたは丸められた該支持層内部に該粒状製剤原料が封入される。好ましくは、前記支持層の隣接する、折りたたまれたまたは丸められた領域が前記粘着性表面によって固着し合う。
【0084】
本発明の薬物送達デバイスは、上に粘着性表面領域を有するかかるシート状支持層を含んでなってよく、所定量の粒状製剤原料が該粘着性表面領域に固着され、該支持層がカプセル剤内部にカプセル封入されるか、または圧縮錠剤内部に組み込まれる。この薬物送達デバイスにおいて、前記支持層は、上述の圧縮された(例えば折りたたまれたまたは丸められた)形態であってよい。
【0085】
本発明のこの態様の送達デバイスは1種以上の粒状材料を含んでなってよく、例えば本発明の薬物送達デバイスは2種以上の製剤原料を含んでなってよい。例えば対応する各2種以上の粒状製剤原料が固着している2以上のシート状支持層を一緒に積層してよく、その後この積層物をさらに加工し(例えば上記のように折りたたむかまたは丸め)、さらにカプセル封入するかまたは組み込こんでよい。また、対応する各2種以上の粒状製剤原料が固着している2以上のシート状支持層をさらに加工し(例えば上記のように折りたたむかまたは丸め)、さらに一緒にカプセル封入するかまたは組み込こんでよい。かかる薬物送達デバイスにおける2以上の支持層によって異なる放出速度のそれぞれの製剤原料を提供してよい。
【0086】
本発明の主要な利点は、前記粘着性表面上に被着させることができると思われる粒状物質、とりわけ製剤原料、の重量における一貫性である。例えば被着させる製剤原料の量において+/−2.5重量%の変動が適していると思われるが、最適化によって変動はより小さくなるかもしれない。
【0087】
本発明の第3の態様によれば、本発明の方法を実行するための装置は以下を含んでなる:
【0088】
粘着性表面を有する支持層を、粒状材料が該粘着性表面に固着するように粒状材料を該粘着性表面領域と接触させ得る場所に提供するための手段、
【0089】
粒状材料が前記粘着性表面に固着するように前記粒状材料を前記粘着性表面領域と接触させるための手段、
【0090】
前記粘着性表面に固着しなかった前記支持層の余分な粒状材料を除去するための手段。
【0091】
好適には、前記装置は、前記粘着性表面の領域を前記粘着性表面の他の領域から分離するため、そして粒状材料が固着するように粒状材料を粘着性表面領域の分離された領域と接触させるための手段を含んでなる。
【0092】
好適には、前記装置は、粘着性表面のかかる1つまたは複数の領域とかかる別の領域とを分けるための手段を含んでなる。かかる手段は、前記支持層を、粘着性表面のかかる1つまたは複数の領域を含んでなる分割部位に分けるための手段を含んでなってよい。例えばかかる手段は、シートまたは細長いストリップ型のものである支持層を切断するように適合させてよい。
【0093】
所望により、前記装置は、前記支持層をヒトの体への投与に好適な形態へと加工するためのさらなる加工手段を含んでいてよい。かかる手段は、シート状または細長いストリップ型支持層もしくはその分割部位を圧縮し、これらをカプセル封入するための手段を含んでいてよい。
【0094】
本発明の第2の態様によれば、前記装置は薬物送達デバイスなどの送達デバイスを作製するのに好適であり得る。
【0095】
前記支持層、粒状材料、粘着性表面などの好適な好ましい詳細は上記のとおりである。
【0096】
この装置において、支持層を提供するための前記手段は、例えば該支持層の支持体と、前記粒状材料を前記粘着性表面と接触させるための前記手段に向けて該支持層を送り込むための手段とを含んでいてよい。細長いストリップ形態の支持層では、かかる手段は1以上の一般に従来のフィードローラーおよび/または1以上のコンベヤーを含んでいてよく、この上に該ストリップが置かれる。
【0097】
支持層を提供するための前記手段もまた、粘着性物質を前記支持層に適用するための手段、例えば一般に従来のスロットローラーまたはローラーコーティング手段、あるいはスクリーン印刷手段などの従来のプリント手段を含んでいてよい。
【0098】
前記装置における使用まで例えば上述のような剥離式カバーによって前記粘着性表面を保護する場合には、前記装置はまた、粒状材料を前記粘着性表面と接触させる前に(例えば前記支持層をマスクに隣接して配置する前に)かかる保護(例えばカバー)を取り去るための一般に従来の手段も含んでいてよい。かかる手段はシート状支持層に一般に好適である。
【0099】
前記粒状材料を前記粘着性表面と接触させるための前記手段には上記のようなマスクを組み込んでよい。一実施形態では、かかるマスクは、ドラム壁によって囲まれた回転ドラム、好適には中空の円筒形または多角形断面のドラムを含んでなってよく、該ドラムの壁と開口(群)が該マスクを含んでなるように該ドラムの壁を貫通して1つまたは複数の開口を有している。例えば前記ドラムは、前記ドラムの外部表面周囲においてシート状支持層を風にさらすのに好適であり得る。前記支持層の前記粘着性表面は、前記粘着性表面が前記開口(群)を通じて前記ドラムの内部に曝されるようにかかるドラムの外部表面と粘着接触していてよい。前記開口の寸法は、前記開口を通じて前記粒状材料に曝される前記支持層の領域を規定する。かかるドラム構造の1つの形態は2つの同軸ドラムを含んでなり、これらの同軸ドラムは、比較的小さい内部開口が提供されている外部ドラムが上部に配置された、比較的大きい内部開口が提供されている内部ドラムであり、これらの比較的小さい開口がそれらの開口を通じて前記粒状材料に曝される前記粘着性表面の領域を決定している。かかる構造において、前記外部ドラムは、前記内部ドラムから取り外し可能であり得、前記内部ドラムにおいて交換可能であり得、前記内部ドラムによって支持され得る。この構造によって、異なるサイズ、形状または位置の開口を有する交換可能な外部ドラムが用いられ得る。
【0100】
かかる実施形態では、かかるドラム内部に前記粒状材料の供給源を備えていてよい。好適には、この供給源は、前記粒状材料が前記粘着性表面に向かって下方に落ちるようにするように構成してよい。かかる供給源は、好ましくは篩が提供されている、下部分配開口部を有するホッパーを含んでいてよく、この篩を通って粒状材料が重力下で前記ドラムの1以上の開口に向かって落ちる。
【0101】
かかる実施形態では、前記ドラムは、1以上の開口を前記供給源の真下の位置に至らせて、粒状材料が、前記供給源の真下の開口に向かって落ち、該開口を通じて前記ドラムの内部に曝された前記粘着性表面上に該開口を通って移動し、前記粘着性表面に固着するように回転させてよい。その後、前記ドラムの回転によって、余分な粒状材料が前記支持層から離れて落ち、例えば前記供給源に戻るように前記開口(群)を前記供給源の真下の位置から離れて、例えば前記供給源より上の位置に移動させてよい。かかる構造においては、前記ドラムが、前記ドラム壁を貫通した前記開口(群)の側面が、前記ドラムが回転するにつれて前記粘着性表面に固着していない余分な粒状材料が置かれ得るポケットを提供するような厚さのものであることが有利であることが分かっている。このようにして、前記ドラム内部での余分な粒状材料の望ましくないタンブリングは、前記ドラムが回転するにつれて減らすことができる。その後、前記ドラムの回転によって、前記支持層が前記ドラムとの粘着接触から解放され得る位置に前記支持層を移動させてよい。かかる支持層の前記ドラムとの粘着接触からの解放は、例えば一般に従来の引取ローラーによるものであってよい。
【0102】
従って、これらの好ましい特徴を組み入れた本発明の装置の形態は、以下を含んでなる:
【0103】
細長いストリップ型支持層を提供するための手段において、該支持層の支持体と、前記粒状材料を該ストリップ型支持層の前記粘着性表面と接触させるための前記手段に向けて該支持層を送り込むための手段とを含んでなる手段、
【0104】
前記粒状材料を前記粘着性表面と接触させるための手段において、ドラム壁によって囲まれた回転ドラムを含んでなり、該ドラムの壁と開口(群)がマスクを含んでなるように該ドラムの壁を貫通して1つまたは複数の開口を有しており、該開口が前記粒状材料に曝されるべき前記粘着性表面の領域を規定しており、そして前記粘着性表面が該1つまたは複数の開口を通じて曝されるように該ドラムの外部表面周囲において前記支持層が風にさらされ得る手段、
【0105】
この際、前記ドラムは、前記粒状材料が開口を通過し該開口を通じて曝される前記粘着性表面と接触するように前記粒状材料を施与するために適合された前記粒状材料の供給源であり、
【0106】
前記ドラムは、1以上の開口を前記供給源に隣接した位置(a position adjacent the source)に至らせて、前記供給源からの粒状材料が、該開口を通じて前記ドラムの内部に曝された前記粘着性表面上に該開口を通って移動し、前記粘着性表面に固着するように回転可能であり、
【0107】
前記ドラムは、その後、前記開口(群)を前記供給源に隣接した位置から離れて移動させて、余分な粒状材料が前記支持層から離れて落ちるように回転可能であり、
【0108】
前記ドラムは、その後、前記支持層が前記ドラムとの接触から解放され得る位置に前記支持層を移動させるように回転可能である。
【0109】
この最後に記述した構造において、好ましくは、前記ドラムは、1以上の開口を前記供給源より下方の位置に至らせて、前記供給源からの粒状材料が重力下で該開口を通って前記粘着性表面上に落ちるように回転可能である。
【0110】
この最後に記述した構造において、好ましくは、前記ドラムは、その後、前記開口(群)を前記供給源に隣接した位置から離れて移動させて、余分な粒状材料が前記支持層から離れて落ち前記供給源に戻るように回転可能である。
【0111】
この最後に記述した構造において、前記装置には、好適には、前記開口が、余分な粒状材料を前記支持層から離して落とすことができるような位置にあるときに前記ドラムを軽くたたくための上記のようなタッパーが前記支持層に隣接して提供されている。
【0112】
本発明の装置において、前記さらなる加工手段は、前記支持層のユニットを分離するための手段を含んでなってよい。
【0113】
例えば前記支持層が放出担体上に被着された粘着性支持層塊を含んでなり、該粘着性支持層塊が続いて該放出担体から剥離することができる場合には、かかる手段は、該塊を、その上に固着された前記粒状材料とともに該放出担体から剥離するための手段を含んでなってよい。
【0114】
例えばかかる手段は、前記支持層を再分するための手段を含んでなってよい。シート状支持層の場合では、かかる再分手段は前記支持層をユニットに切断するための切断手段を含んでなってよく、各ユニットは、前記粒状材料(製剤原料など)の所望の量(例えば1以上の単位用量)を含んでなる。かかる切断手段は上記のようにナイフまたはレーザーカッターを含んでなってよい。
【0115】
前記さらなる加工手段はまた、前記支持層を圧縮するための圧縮手段も含んでなってよい。
【0116】
例えばかかる手段は、シート状支持層(例えば細長いストリップ形態のシート状支持層)を圧縮するように適合させてよい。かかる手段は、前記支持層を円筒に丸めるための手段、前記支持層を折りたたむための手段、または前記支持層の分離されたユニットを積み重ねるための手段を含んでなってよい。
【0117】
さらなる加工手段はまた、圧縮シート状支持層を、圧縮錠剤またはカプセル剤などの好適な担体中に封入またはカプセル封入するための手段も含んでなってよい。それを行う方法方法については当技術分野で周知である。かかる圧縮錠剤またはカプセル剤は、薬物送達デバイスを含んでなってよく、該デバイスは、該デバイスをヒトまたは動物の体に投与するのに好適な形状およびサイズ、一般には、従来の医薬錠剤またはカプセル剤または坐剤などの形状およびサイズのものである。
【0118】
本発明の装置はまた、前記粘着性表面上に固着した粒状材料の量を測定するための手段も含んでなってよい。
【0119】
添付の図面を参照して、本発明をほんの一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の装置の実験室型を示している。
【図2】被着重量の一貫性を図示している。
【図3】本発明の装置の市販型の模式図を示している。
【図4】図3の装置のドラムを示している。
【図5】図3の装置を用いて作製した支持層を示している。
【図6】製造システム全体を概略的に示している。
【図7】本発明による薬物送達デバイスの代替タイプを示している。
【図8】本発明による薬物送達デバイスの代替タイプを示している。
【図9】本発明による薬物送達デバイスの代替タイプを示している。
【図10】本発明の装置の代替的市販型の模式図を示している。
【図11】図1および図10のデバイスを用いた用量変動の比較を示している。
【図12】本発明の投与形と他の投与形を用いた比較溶解試験を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0121】
実験例
図1を参照すると、この図は本発明の方法を実行するため、そして本発明の薬物送達デバイスを作製するための本発明の装置の簡易型を示している。
【0122】
図1のデバイスは、粒状製剤原料の供給源10(全体)を含んでなる。供給源10は、好適な材料(例えばプラスチック材料)でできている円筒形キャップボディ11を含んでなる。キャップボディ11の(示される配向において)上部の部分には粒状製剤原料13を収容するコンパートメント12がある。このコンパートメント12の(示される)下部の表面は篩14によって規定され、凸面はキャップボディ11の下部に向かって突き出て湾曲している。篩14のメッシュサイズは0.5〜0.8mmである。キャップボディ11の下部端は、ステンレス鋼でできているおよそ0.5mm厚のマスク15によって閉鎖されている。およそ5cm径の円形開口16はマスク15を貫通し、この開口16は篩14の径より小さい。マスク15の下部表面には支持層17が取り付けられている。支持層17は、ステンレス鋼材プレートでできているバックプレート18によって支持されている。
【0123】
試験では、様々な粒状物質を用いた。これらには凝集ラクトース、易流動性ラクトース、および微粉化ラクトースを含めた。製剤原料ラミクタル(GlaxoSmithKline product)を含む様々な製剤原料も用いた。
【0124】
支持層17は接着剤コーティング上部表面を有する市販の粘着テープを含んでなり、この接着剤コーティング上部表面によって支持層17はマスク15の下部表面に固着されて、その(示される)上部の粘着性表面はマスク15を通じてキャップボディ11の内部に曝された。支持層17はステンレス鋼材プレートを含んでなる支持体18によって支持された。支持層17の粘着性のある接着剤コーティング上部表面の領域は、それによってマスク15の開口を通じて曝され、この領域はその結果として前記粘着性表面の他の領域から分離される。
【0125】
支持層17として様々な粘着テープを用いた。これらのテープには、いわゆるパーセルテープ、低粘着テープおよびプラスチックマスキングテープ、繊維裏張り高粘着ダクトテープ、裏面粘着式プラスチックシート、アルミニウムシートテープ、絶縁テープ、紙製粘着ラベルそしてプラスチック製のいわゆるPost-it(商標)メモ用ラベルを含めた。当然、これらのテープは、薬物送達デバイスとしての使用には適していないが、本方法の実現可能性を確認するために、そして本方法の一貫性および精度を調べるするために用いた。
【0126】
典型的な試験では、コンパートメント12に3〜10gの粒状物質を入れ、供給源10を、図1に示される配向に対して上下逆さまに配向し、供給源10を垂直に軽くたたいて、粒状物質を篩のメッシュを通してコンパートメント12へ移動させた。別に、テープ支持層17を好適な長さに切断し、重量測定した後、開口16の縁周囲、示されるマスク15の下面に固着させた。図1における配向に対して逆位のキャップボディでは、マスク15をキャップボディ11の(この逆配向において)上部の縁に取り付けた。次いで、このキャップボディ11を図1に示される位置に再び転位させ、このキャップボディ11を10回軽くたたいて、粒状物質13を篩14を通って、開口16を通じて曝されているテープ支持層17粘着性表面領域上に、この粘着性表面領域全部が粒状物質で覆われるまで落とした。キャップボディ11円筒軸方向に沿ってキャップボディ11を手で軽くたたくことが粒状物質の篩14通過を最適にしていることが分かった。その後、このキャップボディを再び転位させて、マスク15を最上部とし、キャップボディ11をまた10回垂直に軽くたたいてテープ支持層17から余分な粒状物質を除去した。その後、テープ支持層17を、マスク15から剥離し、折りたたんで粒状物質の損失を防ぎ、重量測定して支持層の粘着性表面に固着した粒状製剤原料の重量を決定した。
【0127】
下記表では様々な粒状材料を用いて得られたいくつかの結果を示す。
【0128】
【表1】

【0129】
本方法の顕著な特徴は、粘着性表面に固着する粒状物質の重量の精度と一貫性である。これは、GlaxoSmithKline plcによって供給される製剤原料SB 659032の重量平均からの累積変動を示している図2のグラフ形状によって示される。粘着性テープ支持層上に固着しているこの物質のd50は25.2μmであった(サイズ分布(単位μm)はd10=5.4、d50=25.2、d90=73.5、スパン=2.7である)。この試験では標準的なダクトテープを用いた。このグラフにより、これらの試験によって作製された被着サンプルの約85%が平均重量(25サンプルの平均重量は10.5mgであった)の+/−2.5%内で落ちたことが分かる。かかる一貫性は多くの調合薬送達デバイスに好適であろう。
【0130】
また、凝集粉末形態の粒状物質は一様な分布を示し、一方、易流動性粉末は離散粉末の塊を示す傾向があり、マスクの高周波振動も凝集をもたらす傾向があることも示された。
【0131】
図3は、本発明の方法を実行するのに好適な装置40全体の模式図を示している。装置40はフィードローラー41を含んでなり、このフィードローラー41によって支持層42は外部供給装置(示していない)から装置40に送り込まれ得る。支持層42は細長いストリップ型軟質材料を含んでなり、その上に(示した)上部の粘着性表面43を備えている。
【0132】
支持層42がドラム44周囲において風にさらされ、支持層42の粘着性表面43によってドラム44の外部表面との粘着接触によりドラム44の外部表面に固着されるようになるように、ローラー41は支持層42を回転可能な円筒形中空ドラム44に向けて送り込む。また、ローラー41は支持層42をドラム44に押し付けることができる。支持層42をドラム44に押し付けて、支持層42とドラム44との粘着接触を強化するために、さらなるローラー(示していない)を用いてもよい。また、適当な手段によって支持層42に張力を加えてよく、このような手段は、結果として支持層42をドラム44に保持するための、一般に従来のものであってよい。
【0133】
図4はドラム44の概略斜視図を示している。ドラム44は、ドラム44の壁を貫通した複数の開口45を含んでなり、開口45間のドラム44壁残部は開口45間の不浸透性ウェブ46として保持され、それらに支持層42の粘着性表面43が固着する。ドラム44の構造を補強するため、そして支持層42を支持するために、開口45を薄い架橋(示していない)によって埋めてもよい。内部では、ドラム44の壁の内部表面は放射状隔壁48によって周辺配置セル47に分割され、各隔壁はウェブ45から半径方向内向きに広がっているが、ドラム44はそのように分割する必要はない。各隔壁47によって開口45とその周辺に隣接する開口44とが分けられる。支持層42粘着性表面43は、開口45を通じてドラム44の内部に曝される。開口45は、ドラム44の壁を貫通した単純な開口部であってよく、あるいは開口45を、各モジュールに1以上の開口45を含んでなるインサートとして提供してよく、このインサートはドラム44に取り付けることができる。かかるインサートは、例えば改善された開口精度を提供し得、または前記粘着性表面に固着させる粒状材料410量の変更を容易にし得る。支持層42粘着性上部表面43領域はそれによってドラム44の開口45を通じて曝され、この曝露領域はその結果として粘着性表面43の他の領域から分離される。
【0134】
円筒形ドラム44内部では、篩411で閉鎖された下部分配開口部を有する、粒状材料(例えば製剤原料)410のホッパー49が存在し、粒状材料410はこの篩411を通過し得る。ホッパー49には、ホッパー49に振動を加えるための手段412も提供されていてよく、またはかかる手段は、例えば、ホッパー49内にある材料410に直接作用する攪拌器、超音波振動子などを含んでなってよい。ドラム44の回転がセル47を篩411の真下に運ぶため、篩411を通過する粒状材料410は、篩411の真下に通過し、セル47中に落ちる。セル47内の粒状材料410は、ドラム44の内部に曝された支持層42粘着性表面43領域に固着する。粘着性表面43上での粒状材料410の均等な分布を促進するため、すなわち移動中の材料410粒子全てを保持するため、そして粒状材料410の、一般には下降流を促進するために、ホッパー49を揺動してもよい
【0135】
ホッパー49には、従来構造の連続充填手段(示していない)によって連続的に充填してよい。モジュールホッパー49を提供してもよく、各モジュールホッパー49は対応する用途に適するように異なる粒状材料410を収容する。ホッパー以外のタイプの粒状材料供給源(粒状材料410の粒子の流れまたは雲を開口45に向けるための粉末用送風機など)を用いることもできた。
【0136】
ドラム44は、セル47を回転させホッパー49の上部開口端より上の位置に移動させ続けるために、粘着性表面43に固着していない余分な粒状材料410はセル47から落ちホッパー49に戻る。
【0137】
余分な粒状材料410を支持層42から落としやすくするために、ドラム44の最高点に隣接してタッパー413を提供する。タッパー413は、往復運動可能なピストンを含んでなり、この往復運動可能なピストンは、ソレノイド414(支持層42によって部分的に隠されて示されている)によって往復運動し、支持層42に隣接したドラム44の上部表面を軽くたたき、それによって支持層42から固着していない余分な材料410を払いホッパー49に戻るように配置されている。
【0138】
余分な粒状材料410を除去するための付加的または代替的手段(空気流(例えばエアーナイフ)、揺動または振動(例えば音波振動)、(例えば粘着性のある表面43と反対の支持層42表面上の)ブラッシングなど)を用いてもよい。
【0139】
ドラム44の連続回転は、それに固着した支持層42を、一般に従来の引取ローラー415によって、支持層42がドラム44との粘着接触から解放される位置に移動させる。その後、粒状物質410のパッチが、開口45に対応する領域416において粘着性表面に固着している支持層42は、さらなる加工手段(示していない)まで導かれる。
【0140】
図5は、図4のドラムを用いて図3の装置によって作製された支持層42表面上の粒状物質411被着パッチの粘着性表面43を見下ろす平面図の典型的なレイアウトを示している。粘着性物質のパッチ51は、シート状支持層ベースの表面に適用されている。パッチ51は、上に粘着性物質が存在しない支持層ベース42表面領域52を有するドラム44壁内部の4つの開口45のアレイ形状に対応する形状のものである。開口45の形状および位置に対応する粒状材料のパッチ53は粘着性物質のパッチ51上に被着される。支持層42は、粘着性物質パッチ51間領域53内のライン54、55においてそれぞれ縦方向および横方向に切断して、それによって粘着性物質の単一パッチ51を有する支持層42のユニットを形成してよい。かかるユニットは、丸め、内部にパッチ51を封入する4つの小円筒に切断するかまたは小パッケージに折りたたむことによる一般に従来の方法によりさらに加工してよい。かかる小円筒またはパッケージは、その後、使用に好適な薬物送達デバイスを提供するために、さらにカプセル封入することができ、あるいは保護的および/または審美的に魅力のある外部カバー内部に封入することができる。
【0141】
図6は、装置に基づく製造システム全体80を構成する方法を概略的に示している。81では、細長いストリップ型支持層42の表面に粘着性材料を塗布し、そして保護ライナー82を適用する一般に従来のプリントシステムを示している。保護ライナー82を有する支持層42は、その後、使用するまでロール83上で保存してよい。
【0142】
84では、図4に示した装置40を概略的に示している。装置40には、粘着性表面43を曝すために保護ライナー82が除去された支持層42が送り込まれる。85では、装置40から前進する、粒状材料410が上に被着されている支持層42を、ナイフ86によって縦方向に、例えば図5に見られるライン55に沿って、細長く切った後、支持層42をローラー87によって88の一般に従来の丸める手段へと導いて、図5に示される小円筒形ユニット89を作製する方法を示している。支持層42は、横方向に、例えば図5に見られるライン54に沿って、切断して、ユニット89として支持層42の好適な領域を分離することができる。図8(Fig. 8)に示されるように、ユニット89は、その長さ全体に一直線に4つの(それより多くても少なくてもよい)粘着性表面ストライプを有し、各ストライプにはそれぞれ4つの(それより多くても少なくてもよい)粒状製剤原料ストライプ型パッチが上に固着されている。
【0143】
ユニット89はそれぞれ、その内部に4つの粒状製剤原料ストライプ型パッチ53を封入している。これらの円筒89はそれ自体を、円筒の長さを横に切断してより短い円筒にすることによってさらに加工してよく、それぞれの円筒はその内部に1つ以上の粒状製剤原料ストライプ型パッチ53を封入している。
【0144】
810では、円筒89、または最後に記載したように切断された円筒89は、カプセル剤811中にカプセル封入されるかまたは圧縮錠剤もしくはカプレット812内部に圧縮されて示されている。システム80全体はGMPに従って薬物送達デバイスに適当な環境条件下で操作すべきである。
【0145】
特定の薬物送達デバイス用途は、とりわけその薬物送達デバイスに組み込むことが望ましい物質およびその物質の重量に依存するであろう。例えば、被着密度重量:上述のユニット領域に基づいて、5mgの粒状製剤原料の複数回用量を、およそ180mmの幅を有する、図5に示されるような支持層42上に組み込んでよい。かかる支持層42は、その表面上に、横に並んだ4つの粘着性材料パッチ51(それぞれ幅およそ44mm)を被着していてよい。かかるパッチ51それぞれはその上に4つの粒状物質パッチ53(それぞれおよそ42mm長(図3の装置を通るストリップの移動方向に)および8mm幅)を有していてよい。
【0146】
相応じて、20mgの粒状製剤原料の用量を、およそ180mmの幅の図5に示されるような支持層42上に組み込んでよい。かかる支持層42は、その表面上に、4つの粘着性材料パッチ51(それぞれ幅およそ44mm)を被着していてよい。かかるパッチ51それぞれはその上に4つの粒状物質パッチ53(それぞれおよそ170mm長および8mm幅)を有していてよい。
【0147】
相応じて、100mgの粒状製剤原料の用量を、およそ340mmの幅を有する、図5に示されるような支持層42上に組み込んでよい。かかる支持層42は、その表面上に、横に並んだ4つの粘着性材料パッチ51(それぞれ幅およそ84mm)を被着していてよい。かかるパッチ51それぞれはその上に4つの粒状物質パッチ53(それぞれおよそ370mm長および18mm幅)を有していてよい。
【0148】
特定の薬物送達デバイスに関し、支持層42、ドラム44および他の装置部分の寸法は実験に基づいて決定してよい。例えば5mgの粒状製剤原料を含んでなる薬物送達デバイスの製造では、ドラム44の1回転で4つの粘着性材料パッチ51上へ粒状製剤原料を被着させるにはドラム65mm径および180mm幅が好適であり得る。他の量の粒状製剤原料の被着には比例的にサイズ指定されたドラムを用いてよく、例えば以下である:
【0149】

【0150】
上述のように操作される本発明の装置の性能評価によって、30rpmで稼動するドラム44の場合、かかる装置では、被着物質の重量およそ4%という一貫性で、1分間当たり、5mgの製剤原料を含んでなる薬物送達デバイス4000個、または20mgの製剤原料を含んでなる薬物送達デバイス1000個、または100mgの製剤原料を含んでなる薬物送達デバイス500個を生産することができることが示唆される。
【0151】
また、上述のように調製された支持層42のユニットは、薬物送達デバイスとしての使用に便宜な寸法を有する小円筒に丸めることによってさらに加工し得ると推測される。例えば、5mgの製剤原料を含んでなるデバイスは10mm長および2.3mm径の円筒に、20mgの製剤原料を含んでなるデバイスは10mm長および4.6mm径の円筒に、または100mgの製剤原料を含んでなるデバイスは20mm長および6.9mm径の円筒に丸めることができると推測される。
【0152】
図7を参照すると、図7Aは、製薬産業において用いられる典型的な不活性材料、例えば賦形剤(例えば増量剤、滑沢剤、崩壊剤など)でできている、圧縮錠剤である、硬質固体物品を含んでなる支持層ベース90を示している。支持層ベース90の表面に粘着性物質91パッチが適用されている。図7Bは、粒状製剤原料92が粘着性物質91と接触させられ、それに固着していることを示している。余分な粒状製剤原料92は粘着性表面91から除去されており、図7Cに示されるように、粒状材料91上にカバー層93が適用されている。
【0153】
図8は、図8Aにおいて、シート状軟質材料形態の、例えばシリコンコーティング表面を有する放出担体101の表面上に被着した粘着性物質の塊100を示している。図8Bでは、粒状材料102は粘着性物質100と接触させられ、それに固着している。図8Cでは、粘着性物質100から余分な粒状材料102が除去されており、塊100は固着している粒状材料102とともに放出担体101から剥離される。例えばこれは、塊100に面している側が凸状になるように担体101を湾曲させることによって行ってよい。図8Dでは、塊100は粒状材料102を封入するように折りたたまれている。
【0154】
図9は、膜型マスク112が粘着性物質によって表面111に固着されている、表面111上に粘着性物質が付いた軟質シート状支持層ベースの細長いストリップの形態の支持層110を示している。膜型マスク112は開口113を有し、その開口を通じて粘着性物質の領域を曝している。粒状材料114は、開口113を通じて粘着性物質111と接触させられ、粘着性物質111と固着している。余分な粒状材料は例えば弱送風によって除去される。その後、粘着性支持層110から112Aの膜型マスクを剥離して表面111上のパッチ中の粒状材料114パッチを残す。支持層110は、粒状材料114が固着している粘着性表面111規定領域117を含んでなる支持層110の分離ユニット116を形成するために、ライン115においてその長さを横に切断してよい。分離ユニット116は、例えば粒状製剤原料の送達デバイスとして用いるための、圧縮形態の支持層110を提供するために、上述のように折りたたむかまたは丸めてよい。
【0155】
図10を参照すると、これは商業運転に好適な本発明の装置の別の構造全体200を示している。装置200はガイド201を含んでなり、このガイド201に沿って外部供給装置(示していない)から装置200に支持層202が供給される。支持層202は、図3の装置のものと同じように上に(示される)上部の粘着性表面を有する細長いストリップ型軟質材料を含んでなる。
【0156】
ガイド201は支持層202をガイドローラー203へと導き、このガイドローラー203は次に支持層202を回転可能な円筒形中空ドラム204へと導く。この回転可能な円筒形中空ドラム204はモーター(示していない)によって回転する。ドラム204の回転は支持層204を本装置中に進める。ドラム204は2つの同軸ドラムを含んでなる二部構造のものであり、これらの同軸ドラムはいずれもステンレス鋼でできており、これらの同軸ドラムは、ドラムの壁を貫通する比較的小さい開口208が提供されている外部ドラム207が上部に半径方向に配置された、ドラムの壁を貫通する比較的大きい開口206が提供されている内部ドラム205であり、外部ドラム207は内部ドラム205によって支持されている(内部ドラム205と外部ドラム207との間にギャップが示されているが実際にはそれらは接触している)。これらの比較的小さい開口208はこれらの開口を通じて粒状材料に曝される支持層202粘着性表面領域を決定している。外部ドラム207は内部ドラム205から取り外し可能であり、内部ドラムにおいて交換することができ、またはドラム207の開口208とは異なるサイズ、位置および/または形状の開口208を有する代替的外部ドラム(示していない)と置き換えることができる。内部ドラム205と外部ドラム207とのこの構造により外部開口208の除去および清浄が容易である。
【0157】
図10で分かるように、支持層202はドラム204周囲において、具体的に言えば、外部ドラム207周囲において風にさらされ、その粘着性表面によってドラム204の外部表面に固着する。またローラー203は、支持層202をドラム204に押し付けて、支持層202とドラム204との粘着接触を強化するように構成することができる。また、適当な手段によって支持層202に張力を加えてよく、このような手段は、結果として支持層202をドラム204に保持するための、一般に従来のものであってよい。
【0158】
円筒形ドラム204内部では、粒状材料210(例えば製剤原料)のホッパー209が存在する。ホッパー209は、篩211で閉鎖された下部分配開口部を有し、粒状材料210はこの篩211を通過し得る。ホッパー209には、ホッパー209に振動を加えるための機械的振動子212も提供されている。
【0159】
篩211を通過する粒状材料210は開口207、208を通って落ち、ドラム204を取り巻く支持層202粘着性表面と接触し、開口207、208を通じてドラム204の内部に曝された支持層202粘着性表面43領域に固着する。支持層202粘着性上部表面領域はそれによってドラム204の開口207、208を通じて曝され、この曝露領域はその結果として支持層202粘着性表面の他の領域から分離される。
【0160】
ホッパー209には、従来構造の連続充填手段(示していない)によって連続的に充填してよい。モジュールホッパー209を提供してもよく、各モジュールホッパー49は対応する用途に適するように異なる粒状材料210を収容する。ホッパー209以外のタイプの粒状材料210供給源(粒状材料210の粒子の流れまたは雲を開口207、208に向けるための粉末用送風機など)を用いることもできた。
【0161】
ドラム204は、開口207、208を回転させホッパー209の上部開口端より上の位置に移動させ続けるために、粘着性表面43に固着していない余分な粒状物質213は支持層202表面から落ちホッパー209に戻る。内部ドラム205と外部ドラム207とのこの構造のさらなる利点は、内部ドラム205および外部ドラム208の拡大断面とその上で風にさらされている支持層202を概略的に示している図10Aから分かる。外部開口208の寸法が内部開口206より小さいことによって、粒状材料210を存在させることができる段付キャビティが得られ、粒状材料210がドラム204内でタンブリングする傾向が減少することが分かる。
【0162】
余分な粒状材料213を支持層202から落としやすくするために、ドラム204の最高点に隣接してタッパー214を提供する。タッパー214は、往復運動可能なピストンを含んでなり、この往復運動可能なピストンは、ソレノイド215によって往復運動し、支持層202に隣接したドラム204の上部表面を軽くたたき、それによって支持層202から固着していない余分な材料213を払うように配置されている。余分な粒状材料213を除去するための付加的または代替的手段(空気流(例えばエアーナイフ)、他の形態の揺動もしくは振動(例えば音波振動)、またはブラッシングなど)を用いてもよい。
【0163】
ドラム204の連続回転は、それに固着した支持層202を、支持層202がドラム204との粘着接触から解放される位置216に移動させ、一般に従来の引取ローラー217によって開放されたガイド218へと導く。
【0164】
その後、粒状物質のパッチが粘着性表面43に固着している支持層202は、上記と同じようにさらなる加工手段(示していない)まで導かれる。
【0165】
図10に示される機械は次の操作特性を用いて構築した。
【0166】

【0167】
この機械では、タッパー214は32gの質量を有し、1.6Nの力のバネによって16mmを超える降下で下方に押しやってドラム204に接触させた。このタッパーは、ソレノイド215に動力を供給したときにはドラム204から離れて持ち上がった状態で保たれ、電源のスイッチを切ったときには降下し得た。
【0168】
図11を参照すると、これは、図1および10に示されるデバイスを用いての粒状材料、ラクトース粉末の重量の変動を示している。試験では、複数の円のダクトテープを切り抜き、図1に示される支持層18として用いた。これらの円は、上記のようにラクトース粉末を投与する前に重量測定し、その後、粉末投与後にも再び重量測定した。複数の同様の円のダクトテープを切り抜き、重量測定し、それぞれを連続的に、図10に示されるドラム204の同じ開口207の上に、最初はホッパー209から遠位の開口207に置き、次いでドラム204を1回転させ、振動ホッパー209およびタッパー214の両方を作動させた。円のダクトテープがタッパー214から遠位の位置まで回転したときに、それをドラム204から除去し、重量測定した。図11に示される結果は、図1のデバイスよりも図10のデバイスを用いての平均からの変動が小さいことを示している。
【0169】
図12を参照すると、これは溶解試験の結果を示しており、この試験では図1に示される装置を用いて薬物化合物(シンバスタチン、GlaxoSmithKlineによる供給品)を、上に上記粘着性物質(グリセリン 47.5重量%、粉末ゼラチン 34.0重量%、水 14.2重量%および見るための黒色食用色素 4.3重量%、下記のように調製)が存在する表面を有するMonosol社製支持層上に被着させた。そのように形成したシンバスタチン被着パッチを、支持層ストリップのバルクから切り取り、シンバスタチンを含む小円筒に丸め、それによってmonosol社製シート材料で覆った。さらに、これらの円筒を標準的なゼラチン医薬カプセル剤中に封入し、金属カゴに入れて沈み込ませ、溶出溶媒中に浸漬した。シンバスタチンの溶出溶媒への溶解を経時的にモニタリングした。比較として、同じ重量の遊離シンバスタチン粉末を単に同様のカプセル剤中に入れ、同じように同じ媒質に沈み込ませ、溶解についてもモニタリングした。別の比較において、同一支持層上の同一粘着性物質をシンバスタチンなしで同様のカプセル剤中に入れた。シンバスタチンを含まないカプセル剤を除き、各試験において同じ重量、2mg、のシンバスタチンを支持層上に被着させるかまたは比較カプセル剤内部に封入した。
【0170】
図12に示される溶解データは、縦軸においてカプセル剤から放出された内容物の割合を示している。粘着性表面支持層上に被着しているシンバスタチンを含むカプセル剤からのシンバスタチンの溶解は、遊離粉末シンバスタチンからよりも迅速に起こったことが分かる。本発明はいかなる技術的効果にも限定されないが、本発明の支持層からの強化溶解は粒子の凝集を回避することによってもたらされるシンバスタチンの表面面積の増加によるものと考えられる。
【0171】
(NB:シンバスタチンの100%を上回る見かけの溶解は、シンバスタチンを含まないカプセル剤のデータから分かるように、微量のシンバスタチンと同じ位置に現われる支持層または粘着性物質のHPLCピークによるものである)
【0172】
次のようにゼラチン−グリセリン−水粘着性物質を作製した。次の成分を用いた:
【0173】
【表2】

【0174】
ガラスビーカーに粉末ゼラチンを加え、グリセリンを加えて混合物を一様にした後、黒色食用色素を加え、一様になるまで混合した。次に、熱水を加え、全体を混合した。混合物の入ったガラスビーカーを、200℃まで予熱しておいたホットプレート上に移した。この混合物を17分間連続混合し、その後粉末ゼラチンを溶かした。また、時間を変更してもこれを達成し得る。
【0175】
調整可能なギャップを有するカレンダー機を準備した。ローラー幅に好適な幅で、必要な長さの2枚のシリコンコーティング紙を準備した。これらのシートを2ローラー間に配置した。ある量の加熱接着性混合物をローラー上方中央の紙上に移した。これらのローラーを運転し、それによって軟らかい接着性混合物を紙シート間で平らに押しつぶした。紙シート間に接着剤の扁平な層を有する紙シートをローラーから外し、大理石平板上において冷却した。一度冷却したら、1枚の紙を注意深く剥離して、他のシートの接着剤を乱さないようした。このようにして、一般に50〜100μm厚の粘着性物質層を作製することができた。
【0176】
この粘着性物質のディスクは、紙の下に大理石板を置いてホールカッターを用いることによって、紙自体を切断することなく切断することができた。そのように形成した接着剤の分離ディスクには支持層を適用することができ、その後、支持層に付いた紙から離して粘着性物質のディスクを剥離することができた。さらに、支持層に付いた接着性ディスクは、上記のように使用するまで保護層(例えばアルミ箔)で覆うことができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある量の粒状材料を提供するための方法であって、粘着性表面を有する支持層を提供すること、粒状材料が該粘着性表面に固着するように該粒状材料を該粘着性表面と接触させること、および該粘着性表面に固着しなかった該支持層の余分な粒状材料を除去すること、さらに該粒状材料が固着している該粘着性表面の領域を含んでなる該支持層のユニットを形成すること:を含む、方法。
【請求項2】
薬物送達デバイスの調製のための方法であって、前記粒状材料が製剤原料であり、前記支持層ユニットが、製剤原料送達デバイスとして好適な形態にさらに加工される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持層が、粘着性表面領域を有する本質的に粘着性のある材料でできている、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記支持層が、本質的に粘着性のある物質でできているシート状軟質材料を含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記支持層が薄膜、繊維、または中空バブルの形態である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記粘着性表面領域が支持層ベースによって提供され、表面処理によってこの支持層ベースの表面が粘着性となっている、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記粘着性表面領域が支持層ベースによって提供され、支持層ベースの表面に粘着性物質のコーティングを施すことによってこの支持層ベースの表面が粘着性となっている、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記粘着性物質がグリセリンとゼラチンの混合物を含んでなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記支持層が、外部表面の全部または一部に粘着性表面を有する硬質固体物品を含んでなる、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
圧縮錠剤形態の支持層ベースを含んでなる薬物送達デバイスである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記支持層が、粘着性物質が適用されたシート状軟質材料支持層ベースを含んでなる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記シート状支持層がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記粘着性表面が前記支持層の表面全体に広がる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記粘着性表面が前記支持層の表面の一部にのみに広がる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記粘着性表面がシート状支持層の一表面の全部に広がる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記粘着性表面がシート状支持層ベースの一表面の一部に広がる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記粘着性表面が前記支持層の表面の一部に粘着性パッチを含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記粒状材料が重力によって前記粘着性表面上に落ちるようにする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記粒状材料が、下部粒状材料分配開口部を有するホッパー手段において提供される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記粒状材料が、前記粒状材料の空気流または空気支持雲中で前記粘着性表面に向けられる、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記粒状材料が、ミクロナイザー、サイクロン、流動床またはスプレードライヤーから選択される、粒状材料供給源のアウトプット装置から提供される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記粘着性表面の規定領域を含んでなる前記支持層のユニットを分離する前記ステップが、前記粒状材料を前記粘着性表面に固着させる前に実行される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記支持層が、放出担体上に被着された他の粘着性支持層塊から分離された粘着性支持層塊を含んでなり、該分離粘着性支持層塊は続いて該放出担体から剥離することができ、前記粒状物質がこの粘着性塊の表面領域の全部または一部と接触させられ、そして続いて、該塊が、その上に固着されている前記粒状材料とともに、他のユニットから分離されたユニットとして該放出担体から剥離される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記支持層が、前記支持層上に粘着性物質が離散的ユニットで存在するシート状軟質材料である支持層ベースを含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記支持層のユニットを分離する前記ステップが、マスクを前記粘着性表面に隣接して配置することを含み、該マスクが1以上の開口を有し、これらの開口を通じて前記粒状材料が通過し該開口によって規定される前記粘着性表面の領域と接触し得、該マスクの該開口が、前記粒状材料が接触する前記粘着性表面の領域を規定している、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記支持層が前記マスクと粘着接触するように前記粘着性表面を前記マスクの表面に固着させることによって前記マスクが前記粘着性表面に隣接して配置される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記マスクと前記支持層が互いに隣接した位置に相対的に移動され、前記粒状材料が前記開口を通過して前記粘着性物質と接触させることができるようになり、その後余分な粒状材料が除去され、さらに前記マスクと支持層が互いに分離される、請求項25または請求項26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
支持層に、前記粘着性物質の領域を曝している内部開口を有する、支持層表面に隣接した膜型マスクが提供されており、前記粒状材料が前記粘着性物質と接触させられ、その後余分な粒状材料が除去され、さらに該膜型マスクと支持層が互いに分離される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記支持層の分離ユニットを形成する前記ステップが、上に粒状材料が固着している前記粘着性物質の領域を分離するための前記支持層の再分を含む、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記支持層が、粘着性表面を有するシート状支持層であり、前記支持層が、前記粒状材料が固着している前記粘着性表面の1以上の規定領域を分離するために切断される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記支持層が、上に粘着性物質が存在しない前記支持層の領域を通って切断される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記支持層が細長いストリップの形態であり、前記粘着性表面の複数のパッチが該ストリップの幅にわたって配列され、かつ/または前記粘着性表面の複数のパッチが該ストリップの長さに沿って配列され、粒状材料が該細長ストリップに固着した後に該細長ストリップが前記粘着性表面の規定の数もしくは部分のかかるパッチ(群)および/もしくは複数のパッチを含むユニットに再分される、請求項30または請求項31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記粘着性表面に固着しなかった余分な粒状材料が、重力によって前記支持層から余分な粒状材料が落ちるように前記粘着性表面が下方に向いているように前記支持層を配置することによって、前記支持層表面から除去される、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
粒状材料が固着している表面と反対の前記支持層の表面が、結果として固着していない粒状材料をそこから脱離させるために軽くたたかれる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
空気流を前記粘着性表面に吹きつけて余分な粒状材料を吹き飛ばすか、または軽くブラッシングすることによって余分な粒状材料を払い去る、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記支持層が、軟質シート状の、細長いストリップ型形態であり、その長さ方向に沿って、マスクに隣接した位置(a position adjacent a mask)に連続的に供給されることによって前記方法に提供され、前記粒状材料が前記粘着性表面と接触させられ、余分な粒状材料が前記支持層から除去され、その後前記支持層が該マスクから離れて移動され、さらに1以上の前記支持層ユニットを分離するために前記支持層が再分され、各ユニットが、前記粒状材料を有する前記粘着性表面の規定領域を含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項37】
さらなる加工において、前記粘着性表面上に固着された前記粒状材料がカバー層で覆われる、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記支持層が、シート状支持層であり、前記粒状材料を固着させた後に圧縮される、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記シート状支持層の圧縮が、前記支持層の分離ユニットを円筒に丸めること、折りたたむこと、または積み重ねることによるものである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
圧縮シート状支持層が担体中に封入またはカプセル封入される、請求項38または請求項39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記担体が圧縮錠剤またはカプセル剤である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
粒状材料を送達するための送達デバイスであって、粘着性表面を有する支持層を含んでなり、該粘着性表面に粒状材料が固着している、請求項1〜41のいずれか一項に記載の方法によって作製される、送達デバイス。
【請求項43】
製剤原料である粒状材料を送達するための薬物送達デバイスであり、粘着性表面を有する支持層を含んでなり、該粘着性表面に製剤原料である粒状材料が固着している、請求項42に記載の送達デバイス。
【請求項44】
上に粘着性表面領域を有するシート状支持層を含んでなる薬物送達デバイスであって、製剤原料である粒状材料が該粘着性表面領域に固着され、該支持層が折りたたまれるか、または円筒に丸められて、折りたたまれたまたは丸められた該支持層内部に該粒状製剤原料が封入される、請求項43に記載の薬物送達デバイス。
【請求項45】
前記支持層の隣接する、折りたたまれたまたは丸められた領域が前記粘着性表面によって固着し合う、請求項44に記載の薬物送達デバイス。
【請求項46】
上に粘着性表面領域を有するシート状支持層を含んでなる薬物送達デバイスであって、所定量の粒状製剤原料が、該粘着性表面領域に固着され、カプセル剤内部にカプセル封入されるか、または圧縮錠剤内部に組み込まれる、請求項42または請求項45のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項47】
請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法を実行するための装置であって、
粘着性表面を有する支持層を、粒状材料が該粘着性表面に固着するように粒状材料を該粘着性表面領域と接触させ得る場所に提供するための手段、
粒状材料が該粘着性表面に固着するように該粒状材料を該粘着性表面領域と接触させるための手段、
該粘着性表面に固着しなかった該支持層の余分な粒状材料を除去するための手段
:を含んでなる、装置。
【請求項48】
前記粘着性表面の領域を前記粘着性表面の他の領域から分離するため、そして粒状材料が固着するように粒状材料を粘着性表面領域の分離された領域と接触させるための手段を含んでなる、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
粘着性表面のかかる分離領域とかかる別の領域とを分けるための手段を含んでなる、請求項47または請求項48のいずれか一項に記載の装置。
【請求項50】
粘着性表面のかかる分離領域とかかる別の領域とを分けるための前記手段が、前記支持層を、粘着性表面のかかる1つまたは複数の領域を含んでなる分割部位に分けるための手段を含んでなる、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
細長いストリップ型支持層を提供するための手段において、該支持層の支持体と、前記粒状材料を該ストリップ型支持層の前記粘着性表面と接触させるための前記手段に向けて該支持層を供給するための手段とを含んでなる手段、
前記粒状材料を前記粘着性表面と接触させるための手段において、ドラム壁によって囲まれた回転ドラムを含んでなり、該ドラムの壁と開口(群)がマスクを含んでなるように該ドラムの壁を貫通して1つまたは複数の開口を有しており、該開口が前記粒状材料に曝されるべき前記粘着性表面の領域を規定しており、そして前記粘着性表面が該1つまたは複数の開口を通じて曝されるように該ドラムの外部表面周囲において該支持層が風にさらされ得る手段
:を含んでなり、
この際、該ドラムが、前記粒状材料が開口を通過し該開口を通じて曝される前記粘着性表面と接触するように前記粒状材料を施与するために適合された前記粒状材料の供給源であり、
該ドラムが、1以上の開口を該供給源に隣接した位置(a position adjacent the source)に至らせて、該供給源からの粒状材料が、該開口を通じて該ドラムの内部に曝された前記粘着性表面上に該開口を通って移動し、前記粘着性表面に固着するように回転可能であり、
該ドラムが、その後、該開口(群)を該供給源に隣接した位置から離れて移動させて、余分な粒状材料が該支持層から離れて落ちるように回転可能であり、
該ドラムが、その後、該支持層が該ドラムとの接触から解放され得る位置に該支持層を移動させるように回転可能である
、請求項47〜50のいずれか一項に記載の装置。
【請求項52】
前記ドラムが、前記1以上の開口を前記供給源より下方の位置に至らせて、前記供給源からの粒状材料が重力下で前記開口を通って前記粘着性表面上に落ちるように回転可能である、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記ドラムが、その後、前記開口(群)を前記供給源に隣接した位置から離れて移動させて、余分な粒状材料が前記支持層から離れて落ち前記供給源に戻るように回転可能である、請求項51または請求項52のいずれか一項に記載の装置。
【請求項54】
粒状材料が前記粘着性表面に固着した後、前記粘着性表面が下方に向く位置に前記支持層を移動させ、前記支持層に隣接した前記ドラムを軽くたたいて前記粘着性表面から固着していない粒状材料を脱離させるために適合された、請求項51〜53のいずれか一項に記載の装置。
【請求項55】
前記支持層を圧縮するためのさらなる加工手段を含んでなる、請求項47〜54のいずれか一項に記載の装置。
【請求項56】
シート状支持層を圧縮するためのさらなる加工手段を含んでなる、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
担体中に圧縮シート状支持層を封入またはカプセル封入するためのさらなる加工手段を含んでなる、請求項55または請求項56のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−513388(P2010−513388A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542026(P2009−542026)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064083
【国際公開番号】WO2008/074784
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】