いびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法
【課題】睡眠者がいびきをかいているかどうかを周辺の音響を検知することで正確に判断し、睡眠者がいびきを止められるように睡眠者を覚醒させることなく、睡眠姿勢を自然に変化させ、睡眠者が無意識的に動いてもこのような睡眠姿勢が正確に行われるようにし、それによって睡眠者が熟睡を維持できるいびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法を提供する。
【解決手段】本発明は、睡眠者のいびきを防止する装置であって、前記睡眠者により着用される人体着用手段と、前記人体着用手段の背面に収縮及び膨張が可能に設けられるエアーチャンバと、前記エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給手段と、前記人体着用手段に設けられ、前記睡眠者により発生する音響を感知して電気的な信号として出力する音響検知手段と、前記音響検知手段から出力される信号を受信して睡眠者のいびきを感知した際に前記エアー供給手段が前記エアーチャンバにエアーを供給するようにして睡眠者の姿勢を変化させる制御部とを備える。
【解決手段】本発明は、睡眠者のいびきを防止する装置であって、前記睡眠者により着用される人体着用手段と、前記人体着用手段の背面に収縮及び膨張が可能に設けられるエアーチャンバと、前記エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給手段と、前記人体着用手段に設けられ、前記睡眠者により発生する音響を感知して電気的な信号として出力する音響検知手段と、前記音響検知手段から出力される信号を受信して睡眠者のいびきを感知した際に前記エアー供給手段が前記エアーチャンバにエアーを供給するようにして睡眠者の姿勢を変化させる制御部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法に関し、より詳細には、睡眠者がいびきをかいているかどうかを正確に判断して睡眠者がいびきを止められるように睡眠者を覚醒させることなく、睡眠姿勢を自然に変化させ、睡眠者が無意識的に動いてもこのような姿勢の変化が正確に行われるようにする、いびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、睡眠呼吸障害として分類される習慣性いびき及び上気道抵抗症候群は、睡眠中に上気道を繰り返し閉鎖する疾患であって、これは夜間の睡眠効率を低下させて熟眠を妨害し、特に血液中の酸素飽和度を低下させるという結果をもたらす(非特許文献1)。
【0003】
このような睡眠呼吸障害は昼間の眠気や、集中力の低下のほか、記憶力の低下、学習能力の低下及び慢性疲労などを誘発し、産業現場及び作業場における事故、運転中の居眠り運転による交通事故などを引き起こすことで、社会経済的に大きな損失をもたらしている。
【0004】
近年は、このような睡眠呼吸障害が肥満、高血圧、糖尿病、認知症(痴呆)、心血管系疾患、心臓マヒ、性機能減退、脳血管疾患、脳卒中、及び新陳代謝症候群の発生と非常に密接な関係があるという研究結果が報告されている(非特許文献2)。
【0005】
このような人体における上気道の閉鎖現象について、添付図面を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0006】
図1Aに示すように、上気道4が正常の場合は気管支及び肺(図示せず)へ供給される空気が流入できるように上気道4が十分に確保されるが、図1Bに示すように、睡眠無呼吸状態では軟組織6の自体重量と舌7の重量による軟組織6の圧迫により口蓋8の喉頭部側から伸びた軟組織6が上気道4を閉鎖する。
【0007】
このような上気道4の閉鎖現象は、睡眠中に仰臥位で横たわっているときに非常に深刻になり、上気道4が閉鎖されれば、睡眠中に呼吸が止まったり、困難になったりする睡眠無呼吸症を誘発させ、上気道4が部分的に閉鎖される場合にいびき現象が生じる。
【0008】
このようないびきや睡眠無呼吸症を治療するために、多様な方法が試みられている。
【0009】
その代表として、睡眠中に機能性枕を用いて睡眠呼吸障害を治療しようとする試みがあり、主に測位または頭位を高くするなど、体位の補正による睡眠呼吸障害を防止するための枕が開発されている。
【0010】
近年は、米航空宇宙局(NASA)と科学者らが発明した重合体フォーム製品である、「メモリフォーム」が睡眠呼吸障害を防止する枕として商業的に販売されている。このメモリフォームは身体に伝達される荷重と衝撃を吸収し、荷重が緩和したとき、元に戻る性質を有する人体工学的デザインの枕であるが、いびきや睡眠無呼吸症の治療に大きな効果はない。
【0011】
このような問題を解決するための方法や装置が多く開発されており、これについて添付図面を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0012】
図2に示すように、従来の一実施形態に係るいびき防止装置としては、大韓民国特許庁に出願して登録された特許文献1の「いびきを感知していびき防止用枕を駆動する装置」がある。これは、いびき及び各種雑音を入力させて所望のいびき信号を出力するいびき信号感知部10、いびき信号感知部10から印加される信号を分析していびき信号であることが確認されれば、回転モータ駆動部40を作動させる制御部30、制御部30から印加される信号を格納するか、制御部30に出力させるメモリ部60、制御部30から印加される信号により回転モータ42が駆動されることで、姿勢変形プレート46が動作して枕の形状が変わるようにする回転モータ駆動部40からなるいびき防止用枕を駆動する装置において、制御部30はいびき信号感知部10から印加されるいびき信号及び雑音信号を信号処理して最終データを算出し、最終データが閾値よりも大きい値を持続的に有する持続時間を算出して設定時間と比較した後、大きければ持続時間の間に存在する最大点の個数を算出し、最大点の個数が設定された最大点の個数よりも大きければ、いびき信号であると判断して、いびき信号が選択された回数だけ感知されれば、回転モータ駆動部40に駆動信号を印加して回転モータ42を駆動せしめる装置である。
【0013】
図3A乃至図3Cに示すように、従来の他の実施形態に係るいびき防止装置としては、大韓民国特許庁に出願して登録された特許文献2の「いびき軽減装置」がある。これは、睡眠者の呼吸を検出し、いびきの感知時に内部に注入される空気により膨張して睡眠者の睡眠姿勢を修正するエアパッド71と、エアパッド71に結合されて検出された呼吸を後段に伝達し、空気の注入及び排出通路としての役割を果たすエアーチューブ72と、エアーチューブ72へ伝達される呼吸を電気的な信号に変換するセンサと、センサから出力される呼吸感知信号を前置増幅する前置増幅器と、前置増幅器から出力される呼吸感知信号を複数の帯域別にフィルタリングして心拍/呼吸/いびき判断用信号として出力する帯域フィルタ部と、機能及びモード変換信号を入力するための機能入力部と、機能入力部から入力された信号に対応してa)前置増幅器及び帯域フィルタ部によりそれぞれ獲得される信号を基にいびきの有無を判断し、b)呼吸状態を表示するように制御し、c)いびきと判断されればエアパッドを膨張させるための空気注入信号を発生し、d)エアパッドの膨張後にいびきが感知されなければ、設定時間の後にエアパッドに流入した空気を排気するように制御信号を発生する中央処理装置73と、中央処理装置73から出力される状態表示制御信号に応じて睡眠者の呼吸状態、心拍状態などを画面に表示するディスプレイと、中央処理装置73から出力される発光ダイオード制御信号と空気注入制御信号及び排気制御信号を各対象駆動信号として出力する駆動部と、駆動部から出力される発光ダイオード駆動信号に応じて電源の供給があるか否かと機能動作状態を視覚的に表示する発光ダイオード(LED)と、駆動部から出力される空気注入信号に応じてエアパッド71に空気を注入するポンプを駆動させるモータと、駆動部から出力される排気制御信号に応じて排気弁を開閉する排気ソレノイドとを含んで構成される。
【0014】
このように、図2の従来の一実施形態に係るいびき防止装置は、いびきを感知していびきと判断されれば、自動的にいびき防止用枕を駆動させて枕が一側に傾斜するようにすることで、いびきをかかないようにする装置である。しかしながら、このような従来の一実施形態に係るいびき防止装置は、いびきを感知した後にいびき防止用枕が傾いた状態で使用者が手動でリセットさせなければ、元に戻るのは不可能であり、睡眠中の動きや位置変更によって睡眠者が枕から離れる場合、いびき防止が困難になるため、動作の信頼性に問題があり、カムとプレートとの間の機械的摩擦によって騒音が生じ、睡眠者の熟睡をむしろ妨害するという問題を有していた。
【0015】
また、図3A乃至図3Cの従来の他の実施形態に係るいびき防止装置は、エアパッド71を用いて姿勢変換を誘導するが、中央に位置するエアパッド71の膨張により睡眠者が不便を感じるほか、睡眠者が自ら姿勢を変える形態であるので、能動型でなく、更に睡眠者を起こしてしまうため、熟睡を妨害し、睡眠時の動きや位置変更により睡眠者がエアパッド71の膨張部位から逸脱する場合、このような姿勢変化すら誘導できなくなることから、これも動作の信頼性に問題を有していた。
【非特許文献1】Chokroverty S.(1994) Sleep Disorder Medicine. Butterworth−Heinemann
【非特許文献2】Prospective study of the association between sleep−disordered breathing and hypertension. N Engl Med 2000; 342:1378-1384
【特許文献1】登録実用新案第20-0236225号
【特許文献2】登録実用新案第20-0395890号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、睡眠者がいびきをかいているかどうかを周辺の音響を検知することで正確に判断し、睡眠者がいびきを止められるように睡眠者を覚醒させることなく、睡眠姿勢を自然に変化させ、睡眠者が無意識的に動いてもこのような睡眠姿勢が正確に行われるようにし、これによって睡眠者が熟睡を維持できるいびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を実現すべく、本発明に係るいびき防止装置は、睡眠者のいびきを防止する装置であって、睡眠者により着用される人体着用手段と、人体着用手段の背面に収縮及び膨張が可能に設けられるエアーチャンバと、エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給手段と、人体着用手段に設けられ、睡眠者により発生する音響を感知して電気的な信号として出力する音響検知手段と、音響検知手段から出力される信号を受信して睡眠者のいびきを感知した際にエアー供給手段がエアーチャンバにエアーを供給するようにして睡眠者の姿勢を変化させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るいびき防止方法は、背面に収縮及び膨張が可能なエアーチャンバが設けられる人体着用手段を着用した睡眠者のいびきを防止する方法であって、睡眠者により発生する音響を測定する段階と、測定された音響に睡眠者のいびきが存在するかどうかを判断する段階と、音響にいびきが存在すれば、エアーチャンバにエアーを供給して膨張させることで睡眠者の姿勢を変化させる段階とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上述したように、本発明に係るいびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法によれば、睡眠者により発生する音響を測定して睡眠者がいびきをかいているかどうかを正確に判断することができ、睡眠者のいびきをかいている場合、エアーチャンバの膨張によりいびきを止めるように睡眠者を覚醒させることなく、睡眠姿勢を自然に変化させ、それによって睡眠者が熟睡を維持できるという効果を奏する。また、エアーチャンバが背面に設けられる人体着用手段を睡眠者が着用することで、睡眠中の位置や姿勢の変化にも拘わらず、いびき防止のための動作が信頼性に優れる効果がある。更に、膨張したエアーチャンバが元の状態に収縮することで、睡眠者が楽な姿勢に復帰することを可能にし、動作時に発生する騒音を抑制して睡眠の妨害を最小化するという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0021】
図4A及び図4Bは、本発明に係るいびき防止装置を示す正面図及び背面図、図5は、本発明に係るいびき防止装置を示す構成図である。図示のように、本発明に係るいびき防止装置100は、睡眠者により着用される人体着用手段110と、人体着用手段110の背面に設けられるエアーチャンバ120、130と、エアーチャンバ120、130にエアーを供給するエアー供給手段140と、睡眠者により発生する音響を測定する音響検知手段150と、音響検知手段150から出力される信号を受信するとともに、エアー供給手段140を制御する制御部160とを含む。
【0022】
人体着用手段110は睡眠者が着用するものであって、着用性と使用性への多角的な考慮を通じてウェアラブル(wearable)手段のデザインが採用されており、このようなウェアラブル・デザインにおいては機能的構造と適した素材の選択が必須である。特に、素材の場合は、快適性、安全性、電磁波遮断機能、静電気防止機能、及び絶縁機能など、人体に有害な要素を管理する素材が選択され得る。
【0023】
人体着用手段110は素材を通じて睡眠時に放出される汗を排出させるだけでなく、温度調節機能を果たすために、汗が出やすい脇の部位や身体の前後左右に通風口を設計することで、衣服内の熱や湿気が速やかに排出されるようにして快適性を向上させなければならず、素材と人体との摩擦を最小化できる縫製方法への考慮が必要である。従って、人体着用手段110は、キトサン繊維、銀繊維、または竹繊維などの健康指向型素材や、アクアトランスまたはクールマックスメッシュなどのハイテク素材、またはオーガニックコットン、テンセル、または天然ミネラルイオン健康繊維など、環境にやさしい素材が用いられ得る。
【0024】
人体着用手段110は図示していないが、防寒用ジャケットやジャンパ状を有することができ、睡眠時に着用することを考慮して、図4A及び図4Bに示すように、チョッキ状に形成されることが好ましく、袖のない衣服であるチョッキ状を有することで、袖のある衣服よりも通気性に優れるため、睡眠中に体温が上昇する要因を防止する。
【0025】
人体着用手段110はチョッキ状の場合、前留めのみある形態、前留め及び横開けのある形態、または留め及び開けのない形態など多様な形態が可能であるが、本実施形態では前留め及び横開けのある形態を有することができ、そのために睡眠者の上体前面を覆う一対の前面部111と、睡眠者の上体背面を覆う背面部112を含み、前面部111間の前留めと、前面部111と背面部112との間の横開けは使い勝手が良く、間隔の調節が容易なファスナ(fastener;113)で分離可能に連結される。
【0026】
人体着用手段110のファスナ113は一例に過ぎず、その他にも前留めと横開けとの連結のために、ジッパーや、輪ゴム、スナップボタンなど多様な脱付着手段が同一の種類または互いに異なる種類を組み合わせて用いられ得る。
【0027】
人体着用手段110は前留め及び横開けが開放されている状態でも着用可能であるため、脱ぎ着の簡便さから自由に体を動かせない患者などにも使用が可能であり、前留め及び横開けを通じて通気が可能になり、睡眠時に人体の体温が上昇する要因が大きく減少する。更に、人体の寸法に関係なく着用が可能であるほか、睡眠時に人体の圧迫を最小化して熟睡できるようにする。
【0028】
エアーチャンバ120、130は、人体着用手段110の背面、即ち背面部112に収縮及び膨張可能に設けられてエアー供給手段140から供給されるエアーにより膨張し、収縮と膨張が可能な構造または/及び材質からなるが、構造的にはシャーリング処理またはダーツ処理された部分を含むことができ、材質としては膨張と収縮が可能な合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、繊維などの材料からなることができ、睡眠者の姿勢を変化、例えば仰臥位から側臥位に変更させるのに十分な体積を有する。
【0029】
エアーチャンバ120、130は、人体着用手段110の背面で一側へ偏るように位置することで、膨張時に睡眠者を仰臥位から側臥位に簡便、且つ、自然に変化させることができるが、このとき、1つからなるか、本実施形態でのように、仰臥位から右側と左側の側臥位に交番的に変更させることができるように一対からなり、人体着用手段110の背面の左右側にそれぞれ設けられることができる。
【0030】
エアー供給手段140は制御部160の制御信号に応じてエアー供給ライン121、131を介してエアーチャンバ120、130にエアーを選択的に供給するが、そのために圧縮されたガスを用いることもでき、好ましくはポンピングによりエアーを供給するエアポンプが用いられる。
【0031】
音響検知手段150は一種のマイクロホンなどのような音響測定センサであって、人体着用手段110に設けられるが、睡眠時の周囲の雑音に比べて睡眠者により発生するいびき信号を正確に検出できるように睡眠者の口と鼻のような呼吸器に隣接して設けられ、そのために人体着用手段110のカラー114に設けられるか、このようなカラー114を備えない人体着用手段110の場合、人体の首が位置する首周辺に設けられる。
【0032】
制御部160は、音響検知手段150から出力される信号を受信して音響検知手段150により測定された電圧を整流して包絡線化し、一定閾値以上の値が観察される場合にいびきとして感知し、いびきを感知した際にエアー供給手段140がエアーチャンバにエアーを供給するようにして睡眠者の姿勢を変化、例えば、仰臥位から側臥位に変更させて睡眠者の上気道を開放させることで睡眠者の呼吸障害を解消させる。
【0033】
一方、制御部160は本実施形態でのように、エアーチャンバ120、130が一対からなる場合、音響検知手段150から信号を受信し、いびきを検知する度に睡眠者が互いに異なる方向の側臥位を有するようにエアーチャンバ120、130を交互に膨張させる。
【0034】
制御部160はエアー供給手段140が直接エアーチャンバ120、130を膨張させることはもちろん、収縮させるようにエアー供給手段140を制御できるが、例えばエアー供給手段140がエアポンプである場合、正回転及び逆回転によりそれを可能にでき、これに限らず、本実施形態でのように膨張したエアーチャンバ120、130が収縮のためのエアー排出が可能にエアー供給手段140からエアーが供給される経路、即ちエアー供給ライン121、131上に制御部160により制御される3方向弁122、132がそれぞれ設けられる。
【0035】
3方向弁122、132は、一例として制御部160の制御信号により動作するソレノイド弁であることが好ましい。
【0036】
一方、エアー供給手段140、制御部160などは人体着用手段110から分離されて設けられることができるが、使い勝手をよくし、睡眠者との干渉を最小化するために人体着用手段110に着脱可能に取り付けられることができ、このとき、制御部160は外側面に図示していない多数の操作ボタンが設けられたコントロールボックス(210;図4Aに示す)内に設けられて人体着用手段110に取り付けられることができ、エアー供給手段140、制御部160などに供給される電源は使い勝手の良い充電池の充電により提供される。
【0037】
このような構造からなるいびき防止装置の動作は、本発明に係るいびき防止方法についての詳細な説明で説明する。
【0038】
図6は、本発明に係るいびき防止方法を示すフローチャートである。図示のように、本発明に係るいびき防止方法は、背面に収縮及び膨張可能なエアーチャンバが設けられる人体着用手段を着用した睡眠者のいびきを防止する方法であって、睡眠者により発生する音響を測定する段階(S10)と、測定された音響に睡眠者のいびきが存在するかどうかを判断する段階(S20)と、いびきの存在時に睡眠者の姿勢を変化させる段階(S30)とを含む。
【0039】
睡眠者により発生する音響を測定する段階(S10)は、マイクロホンなどのような音響検知手段150により睡眠者周辺の音響を測定するが、このとき、音響検知手段150は人体着用手段110のカラー114または首周辺に設けられることで睡眠時に周囲の雑音に比べて睡眠者により発生するいびき信号を正確に検出することができる。
【0040】
測定された音響に睡眠者のいびきが存在するかどうかを判断する段階(S20)は、制御部160が音響検知手段150から出力される信号を受信して音響検知手段150により測定された電圧を整流して包絡線化し、一定閾値以上の値が観察される場合、いびきが存在することを感知する。
【0041】
睡眠者の姿勢を変化させる段階(S30)は、制御部160がいびきを感知した際にエアー供給手段140を作動させることで、エアーチャンバにエアーを供給して膨張させるが、このとき、本実施形態のように、エアーチャンバ120、130が人体着用手段110背面の左側と右側にそれぞれ設けられる場合、エアーチャンバ120、130の何れか1つにまずエアーを供給することで睡眠者が図7Aに示す仰臥位から図7Bに示す側臥位に姿勢を変更するようにして上気道を開放させ、それによって睡眠者の呼吸障害を解消させる。
【0042】
睡眠者の姿勢を変化させる段階(S30)で睡眠者の姿勢変換が一定時間、例えば5分〜10分を経過すれば、睡眠者の姿勢を原状復帰するようにエアーチャンバ120のエアーを排出させる(S40)。このとき、エアーチャンバ120のエアー排出はエアー供給手段140の逆動作によっても可能であるが、本実施形態では容易なエアー排出を通じた睡眠者の自然な復帰のために制御部160の制御信号に応じて動作する3方向弁122により可能になる。
【0043】
一方、睡眠者の姿勢変換が定められた時間を経過すれば、エアーチャンバのエアー排出(S40)を通じて睡眠者が再び図7Aに示すように、仰臥位姿勢に復帰するようになって、楽な姿勢で睡眠をとらせ、その後、使用が終了したかを判断(S50)して継続して使用中であれば、睡眠者により発生する音響を測定する段階(S10)の後の段階を実施していびきの存在時に以前と異なるエアーチャンバ130にエアーを供給することで、図7Cに示すように反対方向の側臥位に姿勢を変更せしめる。即ち、睡眠者の姿勢を変化させる段階(S30)は、人体着用手段110の背面で左右側にそれぞれ位置するエアーチャンバ120、130をいびきの発現度に睡眠者が互いに異なる方向の側臥位を有するように交互に膨張させる。
【0044】
睡眠者の姿勢を変化させる段階(S30)で本実施形態とは異なり、エアーチャンバが人体着用手段110の背面で一側へ偏るように単一で設けられる場合、単一エアーチャンバの膨張により睡眠者を仰臥位から側臥位に変化させる。
【0045】
以上のように、本発明の好ましい実施形態によれば、睡眠者により発生する音響を音響検知手段150によって測定して睡眠者がいびきをかいているどうかを正確に判断することができ、睡眠者がいびきをかいている場合、エアーチャンバ120、130の選択的な膨張によりいびきを止めるように従来とは異なり、睡眠姿勢を覚醒させることなく自然に仰臥位から側臥位に変化させ、それによって睡眠者の熟睡が維持される。
【0046】
また、エアーチャンバ120、130が背面に設けられる人体着用手段110を睡眠者が着用することで睡眠中の位置や姿勢の変化にも拘わらず、いびき防止のための睡眠者の姿勢変更を可能にする動作に対する信頼性に優れ、膨張したエアーチャンバ120、130が元の状態に収縮することで、睡眠者が楽な姿勢に復帰することを可能にし、エアーの供給により動作することで、動作時に発生する騒音を抑制して睡眠の妨害を最小化する。
【0047】
以上で説明したのは、本発明に係るいびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法を実施するための1つの実施形態に過ぎないものであって、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の実施形態に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】人体における上気道の閉鎖現象を説明する図である。
【図1B】人体における上気道の閉鎖現象を説明する図である。
【図2】従来の一実施形態に係るいびき防止装置の要部を示す図である。
【図3A】従来の他の実施形態に係るいびき防止装置を示す図である。
【図3B】従来の他の実施形態に係るいびき防止装置を示す図である。
【図3C】従来の他の実施形態に係るいびき防止装置を示す図である。
【図4A】本発明に係るいびき防止装置を示す正面図である。
【図4B】本発明に係るいびき防止装置を示す背面図である。
【図5】本発明に係るいびき防止装置を示す構成図である。
【図6】本発明に係るいびき防止方法を示すフローチャートである。
【図7A】本発明に係るいびき防止装置の作用を説明するための図である。
【図7B】本発明に係るいびき防止装置の作用を説明するための図である。
【図7C】本発明に係るいびき防止装置の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0049】
110 人体着用手段
111 前面部
112 背面部
113 ファスナ
120、130 エアーチャンバ
121、131 エアー供給ライン
122、132 3方向弁
140 エアー供給手段
150 音響検知手段
160 制御部
210 コントロールボックス
【技術分野】
【0001】
本発明は、いびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法に関し、より詳細には、睡眠者がいびきをかいているかどうかを正確に判断して睡眠者がいびきを止められるように睡眠者を覚醒させることなく、睡眠姿勢を自然に変化させ、睡眠者が無意識的に動いてもこのような姿勢の変化が正確に行われるようにする、いびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、睡眠呼吸障害として分類される習慣性いびき及び上気道抵抗症候群は、睡眠中に上気道を繰り返し閉鎖する疾患であって、これは夜間の睡眠効率を低下させて熟眠を妨害し、特に血液中の酸素飽和度を低下させるという結果をもたらす(非特許文献1)。
【0003】
このような睡眠呼吸障害は昼間の眠気や、集中力の低下のほか、記憶力の低下、学習能力の低下及び慢性疲労などを誘発し、産業現場及び作業場における事故、運転中の居眠り運転による交通事故などを引き起こすことで、社会経済的に大きな損失をもたらしている。
【0004】
近年は、このような睡眠呼吸障害が肥満、高血圧、糖尿病、認知症(痴呆)、心血管系疾患、心臓マヒ、性機能減退、脳血管疾患、脳卒中、及び新陳代謝症候群の発生と非常に密接な関係があるという研究結果が報告されている(非特許文献2)。
【0005】
このような人体における上気道の閉鎖現象について、添付図面を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0006】
図1Aに示すように、上気道4が正常の場合は気管支及び肺(図示せず)へ供給される空気が流入できるように上気道4が十分に確保されるが、図1Bに示すように、睡眠無呼吸状態では軟組織6の自体重量と舌7の重量による軟組織6の圧迫により口蓋8の喉頭部側から伸びた軟組織6が上気道4を閉鎖する。
【0007】
このような上気道4の閉鎖現象は、睡眠中に仰臥位で横たわっているときに非常に深刻になり、上気道4が閉鎖されれば、睡眠中に呼吸が止まったり、困難になったりする睡眠無呼吸症を誘発させ、上気道4が部分的に閉鎖される場合にいびき現象が生じる。
【0008】
このようないびきや睡眠無呼吸症を治療するために、多様な方法が試みられている。
【0009】
その代表として、睡眠中に機能性枕を用いて睡眠呼吸障害を治療しようとする試みがあり、主に測位または頭位を高くするなど、体位の補正による睡眠呼吸障害を防止するための枕が開発されている。
【0010】
近年は、米航空宇宙局(NASA)と科学者らが発明した重合体フォーム製品である、「メモリフォーム」が睡眠呼吸障害を防止する枕として商業的に販売されている。このメモリフォームは身体に伝達される荷重と衝撃を吸収し、荷重が緩和したとき、元に戻る性質を有する人体工学的デザインの枕であるが、いびきや睡眠無呼吸症の治療に大きな効果はない。
【0011】
このような問題を解決するための方法や装置が多く開発されており、これについて添付図面を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0012】
図2に示すように、従来の一実施形態に係るいびき防止装置としては、大韓民国特許庁に出願して登録された特許文献1の「いびきを感知していびき防止用枕を駆動する装置」がある。これは、いびき及び各種雑音を入力させて所望のいびき信号を出力するいびき信号感知部10、いびき信号感知部10から印加される信号を分析していびき信号であることが確認されれば、回転モータ駆動部40を作動させる制御部30、制御部30から印加される信号を格納するか、制御部30に出力させるメモリ部60、制御部30から印加される信号により回転モータ42が駆動されることで、姿勢変形プレート46が動作して枕の形状が変わるようにする回転モータ駆動部40からなるいびき防止用枕を駆動する装置において、制御部30はいびき信号感知部10から印加されるいびき信号及び雑音信号を信号処理して最終データを算出し、最終データが閾値よりも大きい値を持続的に有する持続時間を算出して設定時間と比較した後、大きければ持続時間の間に存在する最大点の個数を算出し、最大点の個数が設定された最大点の個数よりも大きければ、いびき信号であると判断して、いびき信号が選択された回数だけ感知されれば、回転モータ駆動部40に駆動信号を印加して回転モータ42を駆動せしめる装置である。
【0013】
図3A乃至図3Cに示すように、従来の他の実施形態に係るいびき防止装置としては、大韓民国特許庁に出願して登録された特許文献2の「いびき軽減装置」がある。これは、睡眠者の呼吸を検出し、いびきの感知時に内部に注入される空気により膨張して睡眠者の睡眠姿勢を修正するエアパッド71と、エアパッド71に結合されて検出された呼吸を後段に伝達し、空気の注入及び排出通路としての役割を果たすエアーチューブ72と、エアーチューブ72へ伝達される呼吸を電気的な信号に変換するセンサと、センサから出力される呼吸感知信号を前置増幅する前置増幅器と、前置増幅器から出力される呼吸感知信号を複数の帯域別にフィルタリングして心拍/呼吸/いびき判断用信号として出力する帯域フィルタ部と、機能及びモード変換信号を入力するための機能入力部と、機能入力部から入力された信号に対応してa)前置増幅器及び帯域フィルタ部によりそれぞれ獲得される信号を基にいびきの有無を判断し、b)呼吸状態を表示するように制御し、c)いびきと判断されればエアパッドを膨張させるための空気注入信号を発生し、d)エアパッドの膨張後にいびきが感知されなければ、設定時間の後にエアパッドに流入した空気を排気するように制御信号を発生する中央処理装置73と、中央処理装置73から出力される状態表示制御信号に応じて睡眠者の呼吸状態、心拍状態などを画面に表示するディスプレイと、中央処理装置73から出力される発光ダイオード制御信号と空気注入制御信号及び排気制御信号を各対象駆動信号として出力する駆動部と、駆動部から出力される発光ダイオード駆動信号に応じて電源の供給があるか否かと機能動作状態を視覚的に表示する発光ダイオード(LED)と、駆動部から出力される空気注入信号に応じてエアパッド71に空気を注入するポンプを駆動させるモータと、駆動部から出力される排気制御信号に応じて排気弁を開閉する排気ソレノイドとを含んで構成される。
【0014】
このように、図2の従来の一実施形態に係るいびき防止装置は、いびきを感知していびきと判断されれば、自動的にいびき防止用枕を駆動させて枕が一側に傾斜するようにすることで、いびきをかかないようにする装置である。しかしながら、このような従来の一実施形態に係るいびき防止装置は、いびきを感知した後にいびき防止用枕が傾いた状態で使用者が手動でリセットさせなければ、元に戻るのは不可能であり、睡眠中の動きや位置変更によって睡眠者が枕から離れる場合、いびき防止が困難になるため、動作の信頼性に問題があり、カムとプレートとの間の機械的摩擦によって騒音が生じ、睡眠者の熟睡をむしろ妨害するという問題を有していた。
【0015】
また、図3A乃至図3Cの従来の他の実施形態に係るいびき防止装置は、エアパッド71を用いて姿勢変換を誘導するが、中央に位置するエアパッド71の膨張により睡眠者が不便を感じるほか、睡眠者が自ら姿勢を変える形態であるので、能動型でなく、更に睡眠者を起こしてしまうため、熟睡を妨害し、睡眠時の動きや位置変更により睡眠者がエアパッド71の膨張部位から逸脱する場合、このような姿勢変化すら誘導できなくなることから、これも動作の信頼性に問題を有していた。
【非特許文献1】Chokroverty S.(1994) Sleep Disorder Medicine. Butterworth−Heinemann
【非特許文献2】Prospective study of the association between sleep−disordered breathing and hypertension. N Engl Med 2000; 342:1378-1384
【特許文献1】登録実用新案第20-0236225号
【特許文献2】登録実用新案第20-0395890号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、睡眠者がいびきをかいているかどうかを周辺の音響を検知することで正確に判断し、睡眠者がいびきを止められるように睡眠者を覚醒させることなく、睡眠姿勢を自然に変化させ、睡眠者が無意識的に動いてもこのような睡眠姿勢が正確に行われるようにし、これによって睡眠者が熟睡を維持できるいびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を実現すべく、本発明に係るいびき防止装置は、睡眠者のいびきを防止する装置であって、睡眠者により着用される人体着用手段と、人体着用手段の背面に収縮及び膨張が可能に設けられるエアーチャンバと、エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給手段と、人体着用手段に設けられ、睡眠者により発生する音響を感知して電気的な信号として出力する音響検知手段と、音響検知手段から出力される信号を受信して睡眠者のいびきを感知した際にエアー供給手段がエアーチャンバにエアーを供給するようにして睡眠者の姿勢を変化させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るいびき防止方法は、背面に収縮及び膨張が可能なエアーチャンバが設けられる人体着用手段を着用した睡眠者のいびきを防止する方法であって、睡眠者により発生する音響を測定する段階と、測定された音響に睡眠者のいびきが存在するかどうかを判断する段階と、音響にいびきが存在すれば、エアーチャンバにエアーを供給して膨張させることで睡眠者の姿勢を変化させる段階とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上述したように、本発明に係るいびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法によれば、睡眠者により発生する音響を測定して睡眠者がいびきをかいているかどうかを正確に判断することができ、睡眠者のいびきをかいている場合、エアーチャンバの膨張によりいびきを止めるように睡眠者を覚醒させることなく、睡眠姿勢を自然に変化させ、それによって睡眠者が熟睡を維持できるという効果を奏する。また、エアーチャンバが背面に設けられる人体着用手段を睡眠者が着用することで、睡眠中の位置や姿勢の変化にも拘わらず、いびき防止のための動作が信頼性に優れる効果がある。更に、膨張したエアーチャンバが元の状態に収縮することで、睡眠者が楽な姿勢に復帰することを可能にし、動作時に発生する騒音を抑制して睡眠の妨害を最小化するという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0021】
図4A及び図4Bは、本発明に係るいびき防止装置を示す正面図及び背面図、図5は、本発明に係るいびき防止装置を示す構成図である。図示のように、本発明に係るいびき防止装置100は、睡眠者により着用される人体着用手段110と、人体着用手段110の背面に設けられるエアーチャンバ120、130と、エアーチャンバ120、130にエアーを供給するエアー供給手段140と、睡眠者により発生する音響を測定する音響検知手段150と、音響検知手段150から出力される信号を受信するとともに、エアー供給手段140を制御する制御部160とを含む。
【0022】
人体着用手段110は睡眠者が着用するものであって、着用性と使用性への多角的な考慮を通じてウェアラブル(wearable)手段のデザインが採用されており、このようなウェアラブル・デザインにおいては機能的構造と適した素材の選択が必須である。特に、素材の場合は、快適性、安全性、電磁波遮断機能、静電気防止機能、及び絶縁機能など、人体に有害な要素を管理する素材が選択され得る。
【0023】
人体着用手段110は素材を通じて睡眠時に放出される汗を排出させるだけでなく、温度調節機能を果たすために、汗が出やすい脇の部位や身体の前後左右に通風口を設計することで、衣服内の熱や湿気が速やかに排出されるようにして快適性を向上させなければならず、素材と人体との摩擦を最小化できる縫製方法への考慮が必要である。従って、人体着用手段110は、キトサン繊維、銀繊維、または竹繊維などの健康指向型素材や、アクアトランスまたはクールマックスメッシュなどのハイテク素材、またはオーガニックコットン、テンセル、または天然ミネラルイオン健康繊維など、環境にやさしい素材が用いられ得る。
【0024】
人体着用手段110は図示していないが、防寒用ジャケットやジャンパ状を有することができ、睡眠時に着用することを考慮して、図4A及び図4Bに示すように、チョッキ状に形成されることが好ましく、袖のない衣服であるチョッキ状を有することで、袖のある衣服よりも通気性に優れるため、睡眠中に体温が上昇する要因を防止する。
【0025】
人体着用手段110はチョッキ状の場合、前留めのみある形態、前留め及び横開けのある形態、または留め及び開けのない形態など多様な形態が可能であるが、本実施形態では前留め及び横開けのある形態を有することができ、そのために睡眠者の上体前面を覆う一対の前面部111と、睡眠者の上体背面を覆う背面部112を含み、前面部111間の前留めと、前面部111と背面部112との間の横開けは使い勝手が良く、間隔の調節が容易なファスナ(fastener;113)で分離可能に連結される。
【0026】
人体着用手段110のファスナ113は一例に過ぎず、その他にも前留めと横開けとの連結のために、ジッパーや、輪ゴム、スナップボタンなど多様な脱付着手段が同一の種類または互いに異なる種類を組み合わせて用いられ得る。
【0027】
人体着用手段110は前留め及び横開けが開放されている状態でも着用可能であるため、脱ぎ着の簡便さから自由に体を動かせない患者などにも使用が可能であり、前留め及び横開けを通じて通気が可能になり、睡眠時に人体の体温が上昇する要因が大きく減少する。更に、人体の寸法に関係なく着用が可能であるほか、睡眠時に人体の圧迫を最小化して熟睡できるようにする。
【0028】
エアーチャンバ120、130は、人体着用手段110の背面、即ち背面部112に収縮及び膨張可能に設けられてエアー供給手段140から供給されるエアーにより膨張し、収縮と膨張が可能な構造または/及び材質からなるが、構造的にはシャーリング処理またはダーツ処理された部分を含むことができ、材質としては膨張と収縮が可能な合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、繊維などの材料からなることができ、睡眠者の姿勢を変化、例えば仰臥位から側臥位に変更させるのに十分な体積を有する。
【0029】
エアーチャンバ120、130は、人体着用手段110の背面で一側へ偏るように位置することで、膨張時に睡眠者を仰臥位から側臥位に簡便、且つ、自然に変化させることができるが、このとき、1つからなるか、本実施形態でのように、仰臥位から右側と左側の側臥位に交番的に変更させることができるように一対からなり、人体着用手段110の背面の左右側にそれぞれ設けられることができる。
【0030】
エアー供給手段140は制御部160の制御信号に応じてエアー供給ライン121、131を介してエアーチャンバ120、130にエアーを選択的に供給するが、そのために圧縮されたガスを用いることもでき、好ましくはポンピングによりエアーを供給するエアポンプが用いられる。
【0031】
音響検知手段150は一種のマイクロホンなどのような音響測定センサであって、人体着用手段110に設けられるが、睡眠時の周囲の雑音に比べて睡眠者により発生するいびき信号を正確に検出できるように睡眠者の口と鼻のような呼吸器に隣接して設けられ、そのために人体着用手段110のカラー114に設けられるか、このようなカラー114を備えない人体着用手段110の場合、人体の首が位置する首周辺に設けられる。
【0032】
制御部160は、音響検知手段150から出力される信号を受信して音響検知手段150により測定された電圧を整流して包絡線化し、一定閾値以上の値が観察される場合にいびきとして感知し、いびきを感知した際にエアー供給手段140がエアーチャンバにエアーを供給するようにして睡眠者の姿勢を変化、例えば、仰臥位から側臥位に変更させて睡眠者の上気道を開放させることで睡眠者の呼吸障害を解消させる。
【0033】
一方、制御部160は本実施形態でのように、エアーチャンバ120、130が一対からなる場合、音響検知手段150から信号を受信し、いびきを検知する度に睡眠者が互いに異なる方向の側臥位を有するようにエアーチャンバ120、130を交互に膨張させる。
【0034】
制御部160はエアー供給手段140が直接エアーチャンバ120、130を膨張させることはもちろん、収縮させるようにエアー供給手段140を制御できるが、例えばエアー供給手段140がエアポンプである場合、正回転及び逆回転によりそれを可能にでき、これに限らず、本実施形態でのように膨張したエアーチャンバ120、130が収縮のためのエアー排出が可能にエアー供給手段140からエアーが供給される経路、即ちエアー供給ライン121、131上に制御部160により制御される3方向弁122、132がそれぞれ設けられる。
【0035】
3方向弁122、132は、一例として制御部160の制御信号により動作するソレノイド弁であることが好ましい。
【0036】
一方、エアー供給手段140、制御部160などは人体着用手段110から分離されて設けられることができるが、使い勝手をよくし、睡眠者との干渉を最小化するために人体着用手段110に着脱可能に取り付けられることができ、このとき、制御部160は外側面に図示していない多数の操作ボタンが設けられたコントロールボックス(210;図4Aに示す)内に設けられて人体着用手段110に取り付けられることができ、エアー供給手段140、制御部160などに供給される電源は使い勝手の良い充電池の充電により提供される。
【0037】
このような構造からなるいびき防止装置の動作は、本発明に係るいびき防止方法についての詳細な説明で説明する。
【0038】
図6は、本発明に係るいびき防止方法を示すフローチャートである。図示のように、本発明に係るいびき防止方法は、背面に収縮及び膨張可能なエアーチャンバが設けられる人体着用手段を着用した睡眠者のいびきを防止する方法であって、睡眠者により発生する音響を測定する段階(S10)と、測定された音響に睡眠者のいびきが存在するかどうかを判断する段階(S20)と、いびきの存在時に睡眠者の姿勢を変化させる段階(S30)とを含む。
【0039】
睡眠者により発生する音響を測定する段階(S10)は、マイクロホンなどのような音響検知手段150により睡眠者周辺の音響を測定するが、このとき、音響検知手段150は人体着用手段110のカラー114または首周辺に設けられることで睡眠時に周囲の雑音に比べて睡眠者により発生するいびき信号を正確に検出することができる。
【0040】
測定された音響に睡眠者のいびきが存在するかどうかを判断する段階(S20)は、制御部160が音響検知手段150から出力される信号を受信して音響検知手段150により測定された電圧を整流して包絡線化し、一定閾値以上の値が観察される場合、いびきが存在することを感知する。
【0041】
睡眠者の姿勢を変化させる段階(S30)は、制御部160がいびきを感知した際にエアー供給手段140を作動させることで、エアーチャンバにエアーを供給して膨張させるが、このとき、本実施形態のように、エアーチャンバ120、130が人体着用手段110背面の左側と右側にそれぞれ設けられる場合、エアーチャンバ120、130の何れか1つにまずエアーを供給することで睡眠者が図7Aに示す仰臥位から図7Bに示す側臥位に姿勢を変更するようにして上気道を開放させ、それによって睡眠者の呼吸障害を解消させる。
【0042】
睡眠者の姿勢を変化させる段階(S30)で睡眠者の姿勢変換が一定時間、例えば5分〜10分を経過すれば、睡眠者の姿勢を原状復帰するようにエアーチャンバ120のエアーを排出させる(S40)。このとき、エアーチャンバ120のエアー排出はエアー供給手段140の逆動作によっても可能であるが、本実施形態では容易なエアー排出を通じた睡眠者の自然な復帰のために制御部160の制御信号に応じて動作する3方向弁122により可能になる。
【0043】
一方、睡眠者の姿勢変換が定められた時間を経過すれば、エアーチャンバのエアー排出(S40)を通じて睡眠者が再び図7Aに示すように、仰臥位姿勢に復帰するようになって、楽な姿勢で睡眠をとらせ、その後、使用が終了したかを判断(S50)して継続して使用中であれば、睡眠者により発生する音響を測定する段階(S10)の後の段階を実施していびきの存在時に以前と異なるエアーチャンバ130にエアーを供給することで、図7Cに示すように反対方向の側臥位に姿勢を変更せしめる。即ち、睡眠者の姿勢を変化させる段階(S30)は、人体着用手段110の背面で左右側にそれぞれ位置するエアーチャンバ120、130をいびきの発現度に睡眠者が互いに異なる方向の側臥位を有するように交互に膨張させる。
【0044】
睡眠者の姿勢を変化させる段階(S30)で本実施形態とは異なり、エアーチャンバが人体着用手段110の背面で一側へ偏るように単一で設けられる場合、単一エアーチャンバの膨張により睡眠者を仰臥位から側臥位に変化させる。
【0045】
以上のように、本発明の好ましい実施形態によれば、睡眠者により発生する音響を音響検知手段150によって測定して睡眠者がいびきをかいているどうかを正確に判断することができ、睡眠者がいびきをかいている場合、エアーチャンバ120、130の選択的な膨張によりいびきを止めるように従来とは異なり、睡眠姿勢を覚醒させることなく自然に仰臥位から側臥位に変化させ、それによって睡眠者の熟睡が維持される。
【0046】
また、エアーチャンバ120、130が背面に設けられる人体着用手段110を睡眠者が着用することで睡眠中の位置や姿勢の変化にも拘わらず、いびき防止のための睡眠者の姿勢変更を可能にする動作に対する信頼性に優れ、膨張したエアーチャンバ120、130が元の状態に収縮することで、睡眠者が楽な姿勢に復帰することを可能にし、エアーの供給により動作することで、動作時に発生する騒音を抑制して睡眠の妨害を最小化する。
【0047】
以上で説明したのは、本発明に係るいびき防止装置及びそれを用いたいびき防止方法を実施するための1つの実施形態に過ぎないものであって、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の実施形態に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】人体における上気道の閉鎖現象を説明する図である。
【図1B】人体における上気道の閉鎖現象を説明する図である。
【図2】従来の一実施形態に係るいびき防止装置の要部を示す図である。
【図3A】従来の他の実施形態に係るいびき防止装置を示す図である。
【図3B】従来の他の実施形態に係るいびき防止装置を示す図である。
【図3C】従来の他の実施形態に係るいびき防止装置を示す図である。
【図4A】本発明に係るいびき防止装置を示す正面図である。
【図4B】本発明に係るいびき防止装置を示す背面図である。
【図5】本発明に係るいびき防止装置を示す構成図である。
【図6】本発明に係るいびき防止方法を示すフローチャートである。
【図7A】本発明に係るいびき防止装置の作用を説明するための図である。
【図7B】本発明に係るいびき防止装置の作用を説明するための図である。
【図7C】本発明に係るいびき防止装置の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0049】
110 人体着用手段
111 前面部
112 背面部
113 ファスナ
120、130 エアーチャンバ
121、131 エアー供給ライン
122、132 3方向弁
140 エアー供給手段
150 音響検知手段
160 制御部
210 コントロールボックス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠者のいびきを防止する装置であって、
前記睡眠者により着用される人体着用手段と、
前記人体着用手段の背面に収縮及び膨張が可能に設けられるエアーチャンバと、
前記エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給手段と、
前記人体着用手段に設けられ、前記睡眠者により発生する音響を感知して電気的な信号として出力する音響検知手段と、
前記音響検知手段から出力される信号を受信して睡眠者のいびきを感知した際に前記エアー供給手段が前記エアーチャンバにエアーを供給するようにして睡眠者の姿勢を変化させる制御部と
を備えるいびき防止装置。
【請求項2】
前記人体着用手段は、
チョッキ状であることを特徴とする請求項1に記載のいびき防止装置。
【請求項3】
前記エアーチャンバは、
前記人体着用手段の背面で一側へ偏るように位置することで膨張時に睡眠者を仰臥位から側臥位に変化させることを特徴とする請求項1に記載のいびき防止装置。
【請求項4】
前記エアーチャンバは、
エアーの排出が可能にエアーが供給される経路上に前記制御部により制御される3方向弁が設けられることを特徴とする請求項1に記載のいびき防止装置。
【請求項5】
前記エアーチャンバは一対からなり、前記人体着用手段の背面の左右側にそれぞれ設けられ、
前記制御部は前記音響検知手段から信号を受信していびきを検知する度に睡眠者が互いに異なる方向の側臥位を有するように前記エアーチャンバを交互に膨張させることを特徴とする請求項1または4に記載のいびき防止装置。
【請求項6】
前記音響検知手段は、
前記人体着用手段のカラーまたは首周辺に設けられることを特徴とする請求項1に記載のいびき防止装置。
【請求項7】
背面に収縮及び膨張が可能なエアーチャンバが設けられる人体着用手段を着用した睡眠者のいびきを防止する方法であって、
前記睡眠者により発生する音響を測定する段階と、
前記測定された音響に睡眠者のいびきが存在するかどうかを判断する段階と、
前記音響にいびきが存在すれば、前記エアーチャンバにエアーを供給して膨張させることで睡眠者の姿勢を変化させる段階と
を含むいびき防止方法。
【請求項8】
前記睡眠者の姿勢を変化させる段階は、
前記人体着用手段の背面で一側へ偏るように設けられるエアーチャンバの膨張により睡眠者を仰臥位から側臥位に変化させることを特徴とする請求項7に記載のいびき防止方法。
【請求項9】
前記睡眠者の姿勢を変化させる段階は、
前記人体着用手段の背面で左右側にそれぞれ位置するエアーチャンバをいびきが発現する度に睡眠者が互いに異なる方向の側臥位を有するように交互に膨張させることを特徴とする請求項7に記載のいびき防止方法。
【請求項10】
前記睡眠者の姿勢を変化させる段階で前記睡眠者の姿勢変換が一定時間を経過すれば、前記睡眠者の姿勢を元に戻すように前記エアーチャンバのエアーを排出させる段階を更に含むことを特徴とする請求項7に記載のいびき防止方法。
【請求項1】
睡眠者のいびきを防止する装置であって、
前記睡眠者により着用される人体着用手段と、
前記人体着用手段の背面に収縮及び膨張が可能に設けられるエアーチャンバと、
前記エアーチャンバにエアーを供給するエアー供給手段と、
前記人体着用手段に設けられ、前記睡眠者により発生する音響を感知して電気的な信号として出力する音響検知手段と、
前記音響検知手段から出力される信号を受信して睡眠者のいびきを感知した際に前記エアー供給手段が前記エアーチャンバにエアーを供給するようにして睡眠者の姿勢を変化させる制御部と
を備えるいびき防止装置。
【請求項2】
前記人体着用手段は、
チョッキ状であることを特徴とする請求項1に記載のいびき防止装置。
【請求項3】
前記エアーチャンバは、
前記人体着用手段の背面で一側へ偏るように位置することで膨張時に睡眠者を仰臥位から側臥位に変化させることを特徴とする請求項1に記載のいびき防止装置。
【請求項4】
前記エアーチャンバは、
エアーの排出が可能にエアーが供給される経路上に前記制御部により制御される3方向弁が設けられることを特徴とする請求項1に記載のいびき防止装置。
【請求項5】
前記エアーチャンバは一対からなり、前記人体着用手段の背面の左右側にそれぞれ設けられ、
前記制御部は前記音響検知手段から信号を受信していびきを検知する度に睡眠者が互いに異なる方向の側臥位を有するように前記エアーチャンバを交互に膨張させることを特徴とする請求項1または4に記載のいびき防止装置。
【請求項6】
前記音響検知手段は、
前記人体着用手段のカラーまたは首周辺に設けられることを特徴とする請求項1に記載のいびき防止装置。
【請求項7】
背面に収縮及び膨張が可能なエアーチャンバが設けられる人体着用手段を着用した睡眠者のいびきを防止する方法であって、
前記睡眠者により発生する音響を測定する段階と、
前記測定された音響に睡眠者のいびきが存在するかどうかを判断する段階と、
前記音響にいびきが存在すれば、前記エアーチャンバにエアーを供給して膨張させることで睡眠者の姿勢を変化させる段階と
を含むいびき防止方法。
【請求項8】
前記睡眠者の姿勢を変化させる段階は、
前記人体着用手段の背面で一側へ偏るように設けられるエアーチャンバの膨張により睡眠者を仰臥位から側臥位に変化させることを特徴とする請求項7に記載のいびき防止方法。
【請求項9】
前記睡眠者の姿勢を変化させる段階は、
前記人体着用手段の背面で左右側にそれぞれ位置するエアーチャンバをいびきが発現する度に睡眠者が互いに異なる方向の側臥位を有するように交互に膨張させることを特徴とする請求項7に記載のいびき防止方法。
【請求項10】
前記睡眠者の姿勢を変化させる段階で前記睡眠者の姿勢変換が一定時間を経過すれば、前記睡眠者の姿勢を元に戻すように前記エアーチャンバのエアーを排出させる段階を更に含むことを特徴とする請求項7に記載のいびき防止方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【公開番号】特開2008−173407(P2008−173407A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21841(P2007−21841)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(507034252)バイオ・スリープ・メッド・カンパニー・リミテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(507034252)バイオ・スリープ・メッド・カンパニー・リミテッド (5)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]