説明

おにぎり包装体

【課題】三角形状のにぎり飯を、シート状食品が折り目で割れないように包装したおにぎり包装体を提供する。
【解決手段】にぎり飯1に被せるシート状食品を収容した袋状の包装材3で三角形状のにぎり飯1を包装してなるおにぎり包装体であって、包装材3は、略長方形の袋状の本体部30と、にぎり飯1の左右の傾斜面を覆う袖部31,32を有し、前記本体部30がにぎり飯1の左右の傾斜面に沿うように折り曲げられることなく、にぎり飯1の底部付近で曲げられ、本体部30の表側と裏側に位置する部分の周縁部どうしの接着部4が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、にぎり飯とそれに被せる海苔等のシート状食品を互いに隔離した状態で包装し、シート状食品が食べるときまで湿らないようにした、おにぎり包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のおにぎり包装体としては、特許文献1に記載のような、外フィルム部(1)と、左片(2a)と右片(2b)からなる内フィルム部(2)との間の収容部(3)に、にぎり飯(4)に巻くシート状食品(5)を収容した袋状の食品包装材でにぎり飯を包装したものがあった。
【0003】
この種の従来のおにぎり包装体は、にぎり飯とそれに被せる海苔等のシート状食品を互いに隔離した状態で包装しているので、シート状食品が食べるときまで湿らず、パリパリとした食感を楽しむことができるようになっている。
【0004】
しかし、包装材は、にぎり飯の外形にあわせて折り曲げられるため、シート状食品が三角形のにぎり飯の左右の傾斜面に沿うように折り曲げられることになり、シート状食品が折り目で割れてしまうことが多かった。
【特許文献1】特開2007−15731号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は、三角形状のにぎり飯を、シート状食品が折り目で割れないように包装したおにぎり包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、この発明は次のような技術的手段を講じている。
【0007】
この発明のおにぎり包装体は、にぎり飯1に被せるシート状食品2を収容した袋状の包装材3で三角形状のにぎり飯1を包装してなるおにぎり包装体であって、包装材3は、略長方形の袋状の本体部30と、にぎり飯1の左右の傾斜面を覆う袖部31,32を有し、前記本体部30がにぎり飯1の左右の傾斜面に沿うように折り曲げられることなく、にぎり飯1の底部付近で曲げられ、本体部30の表側と裏側に位置する部分の周縁部どうしの接着部4が形成されたものとしている。
【0008】
また、包装材3の本体部30の内面において、左右各縁部より内方にそれぞれ一端310,320が接着された1対の袖部31,32を有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明のおにぎり包装体は、上述のような構成を有しており、包装材3の袖部31,32でにぎり飯1の左右の傾斜面を覆い、包装材3の本体部30は、にぎり飯1の左右の傾斜面に沿うように折り曲げられないため、シート状食品2が割れることを防止することができる。
【0010】
また、包装材3の本体部30の内面において、左右各縁部より内方にそれぞれ一端310,320が接着された1対の袖部31,32を有するものとすれば、前記左右各縁部は袖部31,32に引っ張られて曲げられることが防止され、本体部30が平面的で幅が広い見栄えのよいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、この発明の実施形態のおにぎり包装体に使用される包装材3の内面を表側にした場合の斜視図、図2は同外面を表側にした場合の斜視図、図3、図4は、この発明の実施形態のおにぎり包装体の製造工程を示す説明図であり、図5が完成した状態の斜視図である。
【0013】
このおにぎり包装体は、にぎり飯1に被せるシート状食品2を収容した袋状の包装材3で三角形状のにぎり飯1を包装してなるおにぎり包装体であって、包装材3は、略長方形の袋状の本体部30と、にぎり飯1の左右の傾斜面を覆う袖部31,32を有し、前記本体部30がにぎり飯1の左右の傾斜面に沿うように折り曲げられることなく、にぎり飯1の底部付近で曲げられ、本体部30の表側と裏側に位置する部分の周縁部どうしの接着部4が形成されたものとしている。なお、包装材3の長辺に沿う方向を上下方向、短辺に沿う方向を左右方向とする。
【0014】
包装材3に包まれるにぎり飯1は、左右の側部が傾斜面となった三角形状のものであるが、大きさ、米の種類、味付け等は特に限定されない。
【0015】
シート状食品2は、焼き海苔を使用することができるが、シート状に形成された食品であれば任意のものに変更することもできる。シート状に形成された食品とは、具体的には、ゼラチンでシート状に形成された昆布や鰹節以外にも、薄焼き卵、畳鰯等が挙げられる。シート状食品2の左右方向(短辺)の幅は、にぎり飯1の底面の一辺の長さと同じかやや長く、上下方向(長辺)の長さは、にぎり飯1の表面、裏面及び底面を覆う長さとなっている。
【0016】
包装材3の本体部30は、図1、図2に示したように、縦長の長方形状の外フィルム5と、外フィルム5の内側略中央で端部が重合するように配され、且つ外フィルム5の左右各縁部(長辺側)と接着された2枚の内フィルム6a,6bからなる。
【0017】
外フィルム5は、透明で湿気を通さないフィルムからなるものであり、包装材3の本体部30の上縁部30aの略中央から下縁部30bの略中央にわたって2本のカットテープ7を平行に設けるとともに、各カットテープ7の両端付近の外側に切り込みを形成することにより開封操作片8,9を設けている。
【0018】
内フィルム6a,6bは、それぞれ外フィルム5と同様の材質で、左右方向の長さが外フィルム5の半分よりやや長いものである。包装材3の本体部30は、一枚のフィルムを折り曲げて形成することもできる。
【0019】
包装材3の本体部30は、開封操作片8,9付近を除く周縁部30a〜30dにおける外フィルム5と内フィルム6a,6bがヒートシールにより接着され、その内側がシート状食品2の収納部となっている。
【0020】
包装材3の袖部31,32は、本体部30の左右各縁部30c、30dの上部において、内フィルム6a,6bに一端310,320が接着された一対のものとしている。袖部31,32は、不透明ないし半透明の四角形のフィルムからなり、それぞれ上下方向の辺はにぎり飯1の傾斜面を覆う長さを有しており、左右方向の辺はにぎり飯1の幅と略等しくなっている。
【0021】
各袖部31,32の一端310,320は、内フィルム6a,6bの左右各縁部より3cm程度内方において接着され、他端側は本体部30の左右に突出している。両袖部31,32の両一端310,320間の間隔は、シート状食品2の幅とほぼ同じになっている。
【0022】
次に、包装材3でにぎり飯1を包装しておにぎり包装体を完成させる工程について説明する。まず、包装材3を、図1のように内面すなわち内フィルム6a,6b側を表側にして、本体部30の上側部分(図1中、右上側の袖部31,32の間の部分)ににぎり飯1を置く。
【0023】
次に、図3、図4のように袖部31,32でにぎり飯1の左右の傾斜面のある側を覆う。袖部31,32は、にぎり飯1の傾斜面全体に密着させることが望ましい。この実施形態では、袖部31,32は、にぎり飯1の左右の傾斜面のみならず表側の面も覆い、本体部30に接着されていない袖部31,32の互いの自由端どうしが重なるようにしている。この重なった部分を接着してもよい。
【0024】
さらに、包装材3の本体部30の下側部分を持ち上げ、にぎり飯1の底部付近で曲げて上側部分にあわせる(開封操作片9の位置を開封操作片8の位置に重ねる)ようにして、袖部31,32に覆われたにぎり飯1に被せる。にぎり飯1の底部付近において、包装材3は折り目が付かないように略U字状に曲げられることが望ましい。
【0025】
そして、包装材3の本体部30の上縁部30aと下縁部30b(短辺どうし)、並びに上側部分と下側部分の左縁部30cどうしと右縁部30dどうしの互いの内面を接着することにより、図5において表側に位置する下側部分と、裏側に位置する上側部分との周縁部どうしの接着部4が形成されて、おにぎり包装体が完成する。上縁部30aと下縁部30bとの接着部4はヒートシールにより形成するが、開封操作片8,9付近は接着させない。左縁部30cと右縁部30dの各接着部4もヒートシールにより形成することができるが、仮止め程度のものでよく、部分的、あるいは比較的弱い接着状態にしてもよい。
【0026】
このようにして完成されたおにぎり包装体は、袖部31,32がにぎり飯1の左右の傾斜面を覆うことにより比較的高い密封性が得られており、シート状食品2をにぎり飯1の側部付近において、にぎり飯1の形状にあわせて折り目をつける必要がないので、シート状食品2が割れるのを防止することができる。
【0027】
また、左右の各袖部31,32の各一端310,320が包装材3の本体部30の左右各縁部30c、30dより内方に接着されているため、前記左右各縁部30c、30dは、袖部31,32に引っ張られて曲げられることがなく、本体部30が平面的で幅が広い見栄えのよいものとなっている。
【0028】
このおにぎり包装体を開封しておにぎりを食べるときは、まず開封操作片8,9のいずれかを引いてカットテープ7で外フィルム5を引き裂いて左右に二分する。二分された外フィルム5の一方を引くと、これに接着された一方の内フィルム及び袖部も一緒に抜け、さらに、二分された他方の外フィルム5を引くと、同他方の内フィルム及び袖部も一緒に抜け、シート状食品2がにぎり飯1全体に被さり、おにぎりとして食べられる状態となる。
【0029】
なお、図6に示したように、本体部30の上縁部30aと下縁部30b全長にわたって外フィルム5と内フィルム6a,6bを接着し、並びに本体部30の上縁部30aと下縁部30bの互いの内面をヒートシールにより接着した接着部4を形成してもよい。このようにすれば、さらに密封性を高めることができる。
【0030】
この場合、開封操作片は、包装体の本体部30の上縁部30a又は下縁部30bより内方の位置に設ける。この図6に示した実施形態では、包装体の本体部30の下縁部30bより3cm程度内方の位置において、外フィルム5に上下反転U字状の切れ目を形成して開封操作片8としている。切れ目は2本のカットテープ7に跨る形状であり、図示した形状に限定されない。
【0031】
また、使用するフィルムを引き裂き方向性を有する易カットフィルムとすれば、カットテープ7は省略して実施することができる。さらに、袖部31,32は、一端310,320が包装材3の本体部30の外面(外フィルム5)に接着されたものとしてもよい。この場合、前記周縁部どうしの接着部4は、上縁部30aと下縁部30bが重なる部分に形成し、左縁部30cと右縁部30dには形成しないが、袖部31,32の互いの自由端どうしが重なった部分を接着することが望ましい。
【0032】
以上がこの発明の好適な実施形態であるが、この発明は上述の実施形態の構成に限定されるものではなく、素材、形状、寸法等を適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施形態のおにぎり包装体に使用される包装材の内面を表側にした場合の斜視図である。
【図2】この発明の実施形態のおにぎり包装体に使用される包装材の外面を表側にした場合の斜視図である。
【図3】この発明の実施形態のおにぎり包装体の製造工程の説明図である。
【図4】この発明の実施形態のおにぎり包装体の製造工程の説明図である。
【図5】この発明の実施形態のおにぎり包装体の斜視図である。
【図6】この発明の他の実施形態のおにぎり包装体の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 にぎり飯
2 シート状食品
3 包装材
30 本体部
31,32 袖部
4 接着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
にぎり飯(1)に被せるシート状食品(2)を収容した袋状の包装材(3)で三角形状のにぎり飯(1)を包装してなるおにぎり包装体であって、包装材(3)は、略長方形の袋状の本体部(30)と、にぎり飯(1)の左右の傾斜面を覆う袖部(31)(32)を有し、前記本体部(30)がにぎり飯(1)の左右の傾斜面に沿うように折り曲げられることなく、にぎり飯(1)の底部付近で曲げられ、本体部(30)の表側と裏側に位置する部分の周縁部どうしの接着部(4)が形成されていることを特徴とするおにぎり包装体。
【請求項2】
包装材(3)の本体部(30)の内面において、左右各縁部より内方にそれぞれ一端(310)(320)が接着された1対の袖部(31)(32)を有する請求項1記載のおにぎり包装体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−104286(P2010−104286A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279525(P2008−279525)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(596114738)株式会社山徳 (4)
【出願人】(591016080)株式会社スズパック (15)
【Fターム(参考)】