説明

おろし装置

【課題】シンプルな構造であって、大根の鬼おろし製品を効率よく製造することができ、食品工場や大型レストラン、あるいは、スーパー等のように、大根の鬼おろし製品を大量に必要とする作業所等において用いるのに好適なおろし装置を提供することを課題とする。
【解決手段】モーターを内蔵した本体ケース1と、本体ケース1から突出するモーター軸2に取り付けられる歯筒3と、歯筒3を収装した状態で本体ケース1に取り付けられる歯筒ケース4とから成り、歯筒ケース4は中間部が歯筒の収装部5とされ、歯筒収装部5の上側に加工材投入口6が連設されると共にその下側に排出口7が連設され、歯筒3の周面に、おろし歯9を鋸歯状に配したおろし歯列10が少なくとも1列、軸方向に備え付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おろし装置に関するものであり、より詳細には、主に大根の鬼おろしを行うためのおろし装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品工場や大型レストラン、あるいは、スーパー等において、大根の鬼おろし製品が大量に必要とされる場合がある。一般的な大根おろしの場合は、細かくおろすために大根の繊維が破壊されて水分が漏出する。そのため、鍋物やおろし蕎麦、あるいは、おろしハンバーグ等に用いるのには不向きである。これに対して鬼おろしは、一般的な大根おろしよりも粗く塊状におろすものであって、大根の繊維が破壊されずに余分な水分が出ないために、所謂ふんわり感が出る。そのため、みぞれ鍋やおろし鍋等の鍋物にはもちろん、おろし蕎麦やおろしハンバーグ等に用いるのに好適なものである。
【0003】
この大根の鬼おろしは一般に、1cm程の高さの三角歯を鋸歯状に形成した歯板を定間隔置きに並設した、竹製の鬼おろし具を用いて製造されている(特許文献1:実用新案登録第3157417号公報参照)。しかし、この作業は人手によるために、どうしても効率が悪いものとなり、大根の鬼おろし製品を大量に必要とする上記食品工場や大型レストラン、あるいは、スーパー等から、大根の鬼おろし製品を効率よく量産するのに適した装置の提供が切望されている。
【0004】
なお、従来、大根の鬼おろし製品の量産を企図したものとして、特許文献2(特開2002−125870号公報)に記載のものが提案されている。しかし、その装置は、ドラムの周面に、鋸歯状おろし歯を備えたおろし板を多数ラジアル方向に取り付け、該ドラム内に、おろし品をドラム外のシュート(第1シュート)に排出するシュート(第2シュート)を設けたものであって、構造が複雑でコスト高となる嫌いがあり、一般に普及するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3157417号公報
【特許文献2】特開2003−340785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来、大根の鬼おろし製品を効率よく量産するのに適したシンプルな構成の装置は提供されていなかった。そこで本発明は、シンプルな構成であって、大根の鬼おろし製品を効率よく製造することができ、比較的廉価にて供給することができるため、食品工場や大型レストラン、あるいは、スーパー等のように、大根の鬼おろし製品を大量に必要とする作業所等において用いるのに好適なおろし装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、モーターを内蔵した本体ケースと、前記本体ケースから突出するモーター軸に取り付けられる歯筒と、前記歯筒を収装した状態で前記本体ケースに取り付けられる歯筒ケースとから成り、前記歯筒ケースは中間部が前記歯筒の収装部とされ、前記歯筒収装部の上側に加工材投入口が連設されると共に前記歯筒収装部の下側に排出口が連設され、前記歯筒の周面におろし歯を鋸歯状に配したおろし歯列が少なくとも1列、軸方向に備え付けられて成ることを特徴とするおろし装置である。
【0008】
一実施形態においては、前記おろし歯列は対称的位置に一対配備され、また、前記おろし歯列が複数列配備される場合において、各おろし歯列のおろし歯が、互いに前記歯筒の軸方向にずらされる。
【0009】
一実施形態においては、前記歯筒ケースは、前記本体ケースから延びる一対の支持棒によって支持される。また、一実施形態においては、前記加工材投入口内を上下動可能な筒状体であって、上端部に前記加工材投入口の口径よりも大径のストッパーを設けた押し込み具を更に備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るおろし装置は、上記のとおり、モーターを内蔵した本体ケースと、前記本体ケースから突出するモーター軸に取り付けられる歯筒と、前記歯筒を収装した状態で前記本体ケースに取り付けられる歯筒ケースとから成り、前記歯筒ケースは中間部が前記歯筒の収装部とされ、前記歯筒収装部の上側に加工材投入口が連設されると共に前記歯筒収装部の下側に排出口が連設され、前記歯筒の周面におろし歯を鋸歯状に配したおろし歯列が少なくとも1列、軸方向に備え付けられて成るものであり、非常にシンプルな構成であって、単に加工材を加工材投入口に投入するだけで、回転する歯筒のおろし歯によって鬼おろし加工することができるので、鬼おろし製品を効率よく低コストにて量産し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るおろし装置の構成例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係るおろし装置におけるおろし部歯筒ケースの内側の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るおろし装置の第一の使用方法を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るおろし装置の第二の使用方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。図1は、本発明に係るおろし装置の構成例を示す分解斜視図であり、そこに示されるように本装置は、モーター(図示してない)を内蔵した本体ケース1と、本体ケース1の側面から突出するモーター軸2に取り付けられる歯筒3と、歯筒3を収装した状態で本体ケース1に設置される歯筒ケース4とから成る。通例、モーターは、正逆切換え回転可能にされる。
【0013】
歯筒ケース4はその中間部に、歯筒3を回転可能に収装する歯筒収装部5を有していて、その歯筒収装部5の上側に、歯筒収装部5に連通する円筒状の加工材投入口6が形成されている。また、歯筒収装部5の下側には、歯筒収装部5と連通していて、おろされた製品を回収容器30内に導入する排出口7が連設されている。排出口7は、通例、先細に形成される。
【0014】
歯筒3の周面には、複数のおろし歯9を鋸歯状に配したおろし歯列10が、少なくとも1列、軸方向に備え付けられる。通例、各おろし歯9の大きさは、従来の竹製鬼おろし具における歯と同程度とされる。例えば、おろし歯列10は、1枚の基板に複数のおろし歯9を形成したものを設け、これを、歯筒3の周面に設けた溝11内に埋設することにより設置する。もちろん、おろし歯9をそれぞれ独立したものとし、それぞれ個別に歯筒3の周面に埋設することとしてもよい。
【0015】
図示した好ましい実施形態においては、おろし歯列10は対称的位置に、即ち、180度の間隔を置いて一対配備されている。歯筒3の回転速度にもよるが、通例、おろし歯列10は、図示した実施形態におけるように、対称的に一対配置すれば足りる。その場合、一対のおろし歯列10におけるおろし歯9同士が、互いに歯筒3の軸方向にずれるように配置することが好ましい。これは、加工材21に対する第1のおろし歯列10による加工部位と第2のおろし歯列10による加工部位とが重ならないようにするためである。おろし歯列10を2列以上設ける場合も同様に、各列のおろし歯9同士がずれるように配置する。
【0016】
一実施形態においては、歯筒3のモーター側端面(内端面)に長四角形状等の軸孔12が形成され、そこに、本体ケース1から延びるモーター軸2に固定されていて、断面が軸孔12に対応する形状の連結ブロック13が嵌装される。そして、モーター軸2の先端部が、歯筒3の外端面において軸固定ノブ14により固定されることにより、歯筒3がモーター軸2に固定支持される。かくして歯筒3は、モーターによって回転駆動可能となる。
【0017】
一実施形態においては、歯筒ケース4は、本体ケース1から延びる一対の支持棒15によって支持されて固定される。即ち、図2に示されるように、歯筒ケース4のモーター側端面は、歯筒3を収装するために周縁部16を残して開口されていて、その周縁部16の支持棒対応位置に差し込み孔17が形成され、歯筒ケース4は、その差し込み孔17に一対の支持棒15が差し込まれることにより支持される。
【0018】
そして、本体ケース1の両側面に適宜ロック具18が設置され、歯筒ケース4には、このロック具18に対応する部材が設置される。図示した実施形態における当該部材は、ロック具18の環状部が掛かる突部19であり、この突部19がロック時においてロック具18の環状部によって緊締状態に掛止されることにより、歯筒ケース4が本体ケース1に確固と固定される。
【0019】
本装置の加工対象となる加工材31は、主に大根であるため、加工材投入口6はある程度長さのある筒状のものとされる。従って、加工が進んで加工材31が短くなった場合に加工材31を最後まで押しこむための押し込み具20を装備することが好ましい。押し込み具20は、例えば、加工材投入口6に対応する長さの筒部21の一端部にフランジ状のストッパー22を設けたものとされる。なお、図中24は本体ケース1に配設されるスイッチであり、25は持ち運び用のハンドルである。
【0020】
上記構成の本発明に係るおろし装置を使用して鬼おろし製品を製造するに当たっては、単に、モーターを作動させた状態で、大根等の加工材31を加工材投入口6に投入すればよい。投入された加工材31は、自重で歯筒収装部5内を回転する歯筒3の周面上に落ちて、回転するおろし歯列10の各おろし歯9によって、自動的且つ連続的におろされる。その際、加工材31は回転する歯筒3によって跳ね上げられるので、加工材31を軽く押さえる必要がある(図3参照)。
【0021】
また、加工材31が短くなるにつれて手が届かなくなってくるので、予め葉を切り落とした加工材31を、押し込み具20を用いて押しこむことが推奨される(図4参照)。この押し込み具20には、ストッパー22が付いていて、ストッパー22が加工材投入口6の上端に当たることによりそれ以上の押し込みができなくなる。そこで、筒部21の長さを、その下端がおろし歯9に近接するように設定しておけば、加工材31を無駄なく安全におろすことが可能となる。
【0022】
このようにしておろされて製造された鬼おろし製品32は、排出口7から回収容器30内に落ちて回収される。加工材31の投入は連続的に行うことができるので、本発明に係る装置を用いれば、短時間の内に大量の鬼おろし製品32を効率よく製造することが可能となる。
【0023】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0024】
1 本体ケース
2 モーター軸
3 歯筒
4 歯筒ケース
5 歯筒収装部
6 加工材投入口
7 排出口
9 おろし歯
10 おろし歯列
11 溝
12 長孔
13 連結ブロック
14 軸固定ノブ
15 支持棒
16 周縁部
17 差し込み孔
18 ロック具
19 突部
20 押し込み具
21 筒部
22 ストッパー
30 回収容器
31 加工材
32 鬼おろし製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターを内蔵した本体ケースと、前記本体ケースから突出するモーター軸に取り付けられる歯筒と、前記歯筒を収装した状態で前記本体ケースに取り付けられる歯筒ケースとから成り、前記歯筒ケースは中間部が前記歯筒の収装部とされ、前記歯筒収装部の上側に加工材投入口が連設されると共に前記歯筒収装部の下側に排出口が連設され、前記歯筒の周面におろし歯を鋸歯状に配したおろし歯列が少なくとも1列、軸方向に備え付けられて成ることを特徴とするおろし装置。
【請求項2】
前記おろし歯列は、対称的位置に一対配備されている、請求項1に記載のおろし装置。
【請求項3】
前記おろし歯列が複数列配備される場合において、各おろし歯列のおろし歯が互いに前記歯筒の軸方向にずらされている、請求項1又は2に記載のおろし装置。
【請求項4】
前記歯筒ケースは、前記本体ケースから延びる一対の支持棒によって支持されている、請求項1乃至3のいずれかに記載のおろし装置。
【請求項5】
前記加工材投入口内を上下動可能な筒状体であって、上端部に前記加工材投入口の口径よりも大径のストッパーを設けた押し込み具を更に備える、請求項1乃至4のいずれかに記載のおろし装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−224161(P2011−224161A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96996(P2010−96996)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(591065158)
【Fターム(参考)】