説明

かさ歯車伝達のためのかさ歯車

本発明は、かさ歯車機構のためのかさ歯車に関し、かさ歯車の歯は、それぞれ、かみ合い側歯面及び反かみ合い側歯面を有し、反かみ合い側歯面は、かみ合う歯車の反かみ合い側歯面のために係合領域を有し、通常従来の係合領域の反かみ合い側歯面及び外周縁領域と係合する従来の最大限に有効な係合領域を包囲する外部領域は、その面高さが、縮小された領域が常に非接触となり、縮小されて残された内部隆起領域のみが接触するように縮小される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯が、それぞれ、かみ合い側歯面及び反かみ合い側歯面を有するかさ歯車伝達のためのかさ歯車及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
概して、かさ歯車の歯形は、ギヤ中心を通り、歯を通って径方向に延在する対称軸線に対して対称となる。これは、一般的に、両方の方向(前方及び後方)に等しく動作するように歯車が設計されて製造されるという基本において正当化されている。従来の製造方法は、製造の自由度を制限し、歯車の多数の歯を一度に製造するという目的で最適化されている。動作の方向に依存して、個々の歯は、トルク伝達の間、対向する歯のかみ合い側歯面と係合してトルクを伝達するかみ合い側歯面を有する。回転方向において逆回転がない限り、歯車が回転したとき、歯の反かみ合い側歯面は、かみ合い歯車の次の対向する歯と部分的に接触するか、又は、全く接触しない。
【0003】
概して、歯車は、実際の使用にかかわらず、両方の回転方向のために設計される。実際には、かさ歯車伝達は、逆回転を必要とすることがほとんどない。それにもかかわらず、歯車の個々の歯の歯面は、両方の回転方向のために等しく製造され、機械加工されている。
【0004】
当然のことながら、逆方向に回転するとき、反かみ合い側歯面は、それらの個々の歯のかみ合い側歯面と同じ機能を有する必要がない。歯車の製造中、反かみ合い側歯面において、かみ合い側歯面と概して同等の量の材料が取り除かれる。その後、両方の歯面とも、概してコストのかかる表面処理を同じ範囲に施すことになり、反かみ合い側歯面も、完全に硬化処理又は表面処理を施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、反かみ合い側歯面の製造費用を減らすことによりコストを低減する上述したタイプのかさ歯車を実現することにある。加えて、本発明の目的は、摩耗及びギヤ回転ノイズを低減させるため、歯の本体及びかみ合い側歯面の形状設計の拡張可能性を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、歯の反かみ合い側歯面が、予想される負荷のために適合され且つ最適化された係合領域を与えられる手段による本発明によって実現される。歯面が「後方に反り返った」本質的ではない表面領域は、かみ合った歯車の次の対向する歯に非接触となるように三次元材料除去加工法によって取り除かれる。望ましい又は要求される歯面は、こうして材料除去領域に対して隆起される。縮小された内部領域は、歯面全体の10から40パーセント、好適には20から30パーセントを占める。
【0007】
製造の初期工程において製作されるこのような隆起面の利点は、実際の負荷のために最適化されて縮小された駆動平面(負荷接触領域)が、可能な限り早く製造されることである。製造工程の早い段階において歯を全体修正することは、歯面の硬化処理のような仕上げ処理工程を完了した後よりも容易である。最小限に必要な駆動平面(負荷接触領域)を製造することによって、実際に係合される接触面を最小化させることが可能となり、それによってギヤ回転ノイズを低減する。
【0008】
特に好適な態様は、全体歯面に対して縮小された最小係合領域のみが仕上げ処理される。これは、それぞれの歯の実際に必要な領域のみが、高精度仕上げ工程において、例えば硬化又は研磨のような仕上げ処理を施されることを意味する。これは、製造コストを低減する。
【0009】
別の利点は、続いて行われる付加的な表面処理製造工程、例えば「仕上げフライス加工」も同様に、反かみ合い側歯面の隆起領域にのみ施されるという点である。これは製造時間を短くし、工程時間の短縮及び工具の摩耗の低減により、コストを減らす。
【0010】
特に、この工程は、硬化処理後に硬化歪みを歯面形状に呈する、歯面の自動又は手動の精密仕上げの工数を減らす。
【0011】
別の利点は、縮小された残りの隆起領域が、手動でより速く研磨され又は研磨機でラップ研磨され得るという点である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
(原文記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る実施形態の断面図を図に示し、更に詳細について以下に示す。
【0014】
円錐形の外部表面において、かさ歯車は、外周に亘り離散した複数の歯1を有し、それぞれの歯1は、かみ合い側歯面及び反かみ合い側歯面2を有する。
【0015】
歯車にとって好適なトルク伝達ための回転方向を意図しているため、かみ合い側歯面及び反かみ合い側歯面は、異なる形状に表わされた異なる機能を有する。しかしながら、歯面のために選択された形状は、反対側の歯車上の反対側の歯面の形状を決定する。二つの歯車が噛みあうとき、両方の歯面はここで完全に係合することはない。全体歯面B0の一部のみが、最大限に有効な係合領域B1として使用され得る。有効な係合領域B1を包囲する歯の反かみ合い側歯面の残りの外部領域B2は、対向する歯と接触しない。
【0016】
通常動作の間、回転方向前方において、かみ合い側歯面は、トルクを伝達する役割を果たし、且つ、この構成において、大きな駆動平面(負荷接触領域)を有するように設計されている。この有効な係合領域B1は、概して、歯の表面の許容接触圧の最大トルク伝達を実現するように、なるべく大きく製造されている。
【0017】
反かみ合い側歯面2は、仮にあるとすれば、逆回転の低レベルのトルクを伝達するためだけに使用される。従来の係合領域B1の面高さは、この領域が常に非接触となるように、製造の初期工程において、こうして外周縁領域B3近傍を縮小される。残されるのは、係合領域が最適化された歯面形状を有する内部隆起領域B4である。
【0018】
隆起領域B4は、対向する歯と係合する反かみ合い側歯面2の残された縮小係合領域である。縮小内部領域B4は、全体歯面範囲B1+B2の反かみ合い側歯面2の、10パーセントから40パーセントの間、好適には20パーセントから30パーセントの間の範囲を占める。ここで、反かみ合い側歯面2の最大必要係合領域は、適応すべき最大トルク及び許容接触圧によって決まる。
【0019】
最適化された歯面形状の製造は、歯形及び歯面に従って三次元材料除去を必要とする。特に歯1を、フライス加工又は研削することによる材料の除去によって高精度にすることができる。ここで、反かみ合い側歯面2の不要な領域における余分な材料は、硬化処理後に硬化歪みが生じた場合においても対向する歯面と非接触となるように取り除かれる。材料の三次元除去加工の範囲は、歯面の負荷に起因する変形が生じた場合に、反かみ合い側歯面2の縮小しようとする内部領域B4のみが係合し、反かみ合い側歯面2の残りの領域が係合しないという事実によっても略決定される。
【0020】
多次元の(4軸、及び多軸、特に5軸)フライス盤は、この特別な歯面形状を、歯1の反かみ合い側歯面2に形成するために使用される。
【0021】
残された隆起領域B4の表面粗さを向上させるため、硬化処理の次に、表面の仕上げフライス加工又は仕上げ研削のための多次元(4軸又は多軸、特に5軸)フライス盤が使用される。
【0022】
かさ歯車の製造における最終表面仕上げ工程は、歯面の残された隆起領域B4の手動研磨又は機械ラッピング研磨である。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯が、それぞれ、かみ合い側歯面と、かみ合う歯車の反かみ合い側歯面のための係合領域をそれぞれ有する反かみ合い側歯面とを備えるかさ歯車の製造方法において、歯車の概形を形成するために鋼で予備形状が鋳造され、続いて、前記歯の輪郭が、フライス加工、及び/又は、研削によって硬化処理前の材料(マクロ形状)とされ、硬化処理の前に、外部領域(B2)及び縁領域(B3)は、材料の高精度除去加工、特に、4軸法又は多軸法によるフライス加工又は研削によって、縮小後の表面又は領域が非接触となるように縮小され(従って、硬化歪みが発生する前に縮小されることにもなる)、且つ、縮小された内部領域(B4)は、全体歯面(B1+B2)の10パーセントから40パーセント、好適には20パーセントから30パーセントとなり、続いて、歯又は残された内部隆起領域(B4)の歯車硬化処理が施されることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
残された隆起領域(B4)の表面粗さを向上させるために、仕上げフライス加工又は仕上げ研削が、硬化処理の後に施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
残った隆起領域(B4)が手動で研磨され、又は、研磨機でラップ研磨されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか一つに記載の方法。
【請求項4】
歯が、それぞれかみ合い側歯面と、かみ合う歯車の反かみ合い側歯面のための係合領域をそれぞれ有する反かみ合い側歯面とを備えるかさ歯車伝達のためのかさ歯車であって、概して従来の係合領域(B1)の外周縁領域(B3)と同様に係合する従来の最大限に有効な前記係合領域(B1)を包囲する、反かみ合い側歯面の外部領域(B2)が、縮小後の領域(B2及びB3)が常に非接触となるように面高さを縮小され、縮小されて残された内部隆起領域のみが接触し、縮小された内部領域(B4)は、全体歯面(B1+B2)の10パーセントから40パーセント、好適には20パーセントから30パーセントとなることを特徴とするかさ歯車。

【公表番号】特表2013−519844(P2013−519844A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552317(P2012−552317)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【国際出願番号】PCT/EP2011/001770
【国際公開番号】WO2011/147502
【国際公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(512177296)ショッテル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【Fターム(参考)】