説明

かみ合わせ二重織布、それを製造する方法及び使用する方法

(a)“m”たて糸エンドの第1セット、(b)“n”たて糸セットの第2セット、(c)“y”よこ糸エンドの第1セット及び(d)“z”よこ糸エンドの第2セットからなる織り合わせ布であって、それらにおいて(i)たて糸エンドの第1セット内の1以上のエンドは、よこ糸エンドの第1セットの1以上のエンドと織り合わされて第1布を形成し、(ii)たて糸エンドの第2セット内の1以上のエンドは、よこ糸エンドの第1セットの1以上のエンドと織り合わされて第2布を形成し、(iii)たて糸エンドの第1セット内の少なくとも1つのエンドは、よこ糸エンドの第2セットの少なくとも1つのエンドと織り合わされて第1布を第2布と接合しており、そして(vi)第1布の少なくとも50重量%は、第2布の上に配置されている、織り合わせ布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国の会社であって、且つ米国に在住しているヘキセル コーポレーション(Hexcel Corporation)の名称で、PCT国際特許出願として2004年11月2日に出願されており、そして2003年11月6日に出願された米国暫定出願シリアル第60/517,959号に優先権を主張している。
【0002】
本発明は、落雷(lightning strike)材料として使用するために適している織布に向けられている。本発明はそのような織布を作成し且つ使用する方法にさらに向けられている。
【背景技術】
【0003】
落雷抵抗性、マトリックス強化、構造支持、絶縁性、耐熱性、伝導性、及び重量軽減化を包含するが、しかしそれらに限定されない1種以上の性質を提供することができる織布の必要性が当業界に存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明は、織り合わせ布(interwoven fabric)を見い出すことによる、上記当業界においての必要性の幾つかに取り組んでいる。本発明の織り合わせ布は、上記の所望の性質の1つ以上を提供するために、(i)種々の材料及び(ii)織り合わせ構造を含むことができる。
【0005】
本発明の1つの例示的態様において、織り合わせ布は、(a)mたて糸(経糸)エンド(warp ends)の第1セット、(b)nたて糸エンドの第2セット、(c)yよこ糸(緯糸)エンド(fill ends)の第1セット及び(d)zよこ糸エンドの第2セットを含み、それらにおいて(i)たて糸エンドの第1セット内の1つ以上のエンドは、よこ糸エンドの第1セット内の1つ以上のエンドと織り合わされて第1布を形成し、(ii)たて糸エンドの第2セット内の1つ以上のエンドは、よこ糸エンドの第1セット内の1つ以上のエンドと織り合わされて第2布を形成し、(iii)たて糸エンドの第1セット内の少なくとも1つのエンドは、よこ糸エンドの第2セット内の少なくとも1つのエンドと織り合わされて第1布を第2布と接合させ、そして(iv)第1布の少なくとも50重量%は、第2布の上に配置されている。本発明の1つの望ましい態様において、織り合わせ布は炭素トウ(tows)の第2布と織り合わされた金属線の第1布からなる。
【0006】
本発明の追加の例示的態様において、織り合わせ布は(a)第1布を形成するための金属線よこ糸エンドと織り合わされた金属線たて糸エンド、(b)第2布を形成するための炭素トウ(tow)よこ糸エンドと織り合わされた炭素トウたて糸エンドを含み、それらにおいて第1布の少なくとも1つのエンドは第2布の少なくとも1つのエンドと織り合わされており、そして第1布の少なくとも50重量%が第2布の上に配置されている。
【0007】
本発明は、(i)上記織り合わせ布、(ii)1つ以上の随意的な追加の繊維含有層、及び(iii)該織り合わせ布及び該随意的な繊維含有層と接触しているマトリックス材料を含む繊維強化材料にさらに向けられている。そのマトリックス材料は、熱硬化性樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂、金属、セラミック、コンクリート又は任意の他のマトリックス材料を包含するが、しかしそれらに限定されない種々のマトリックス材料を含む。
【0008】
本発明はまた、上記織り合わせ布を製造する方法、及び織り合わせ布を含有する繊維強化材料の製造方法に向けられている。本発明の1つの例示的態様において、織り合わせ布を製造する方法は(a)mたて糸エンドの第1セット、(b)nたて糸エンドの第2セット、(c)yよこ糸エンドの第1セット、及び(d)zよこ糸エンドの第2セットを織って織り合わせ布を形成する工程を含み、それらにおいて、(i)たて糸エンドの第1セット内の1つ以上のエンドを、よこ糸エンドの第1セットの1つ以上のエンドと織り合わして第1布を形成し、(ii)たて糸エンドの第2セット内の1つ以上のエンドを、よこ糸エンドの第1セットの1つ以上のエンドと織り合わして第2布を形成し、(iii)たて糸エンドの第1セット内の少なくとも1つのエンドをよこ糸エンドの第2セットの少なくとも1つのエンドと織り合わせて第1布を第2布に接合させ、そして(iv)第1布の少なくとも50重量%が第2布の上に配置されている。
【0009】
さらに、本発明は上記織り合わせを使用する方法、及びこの織り合わせ布を含有する繊維強化材料を使用する方法に向けられている。本発明の1つの望ましい態様において、上記織り合わせ布は、航空機の外側表面を形成する落雷(lightning strike)材料として使用される。
【0010】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は開示された態様の以下の詳細の記載及び特許請求の範囲を検討した後に明らかになるだろう。
【0011】
発明の詳細な記載
本発明の原理の理解を高めるために、本発明の特定態様の記載を以下に示し、そして特定の用語を、その特定態様を記載するために使用する。それでもやはり、特定の用語の使用により本発明の範囲が限定されることがないことが意図されることが理解されるだろう。あるいは、記載される本発明の原理のさらにの修正及びそのような本発明の原理のさらにのそのような適用は、本発明が関係する当業界の当業者にとって通常、生ずるものとして意図される。
【0012】
本発明は、第2織布とかみ合わされている(interlocked)第1織布からなる織り合わせ布に向けられている。本発明はさらに、織り合わせ布を製造する方法、ならびに製造業の繊維含有物品を形成するために織り合わせ布を使用する方法に向けられている。本発明は、織り合わせ布の少なくとも1つの層、及び任意に織り合わせ布の層と接触しているマトリックス材料を含む、製造業の繊維含有物品に、その上にさらに向けられている。
【0013】
本発明の織り合わせ布は、ユニークな布地構造、及び1つ以上の所望の布地の特徴を有する織り合わせ布を生ずる種々の布地材料を有している。本発明の織り合わせ布の詳細な記載を以下に示す。
【0014】
I.織り合わせ布
本発明の織り合わせ布は、以下の所望の性質、即ち、落雷抵抗性、EMI遮蔽、マトリックス強化、構造支持、絶縁、耐熱性、伝導性及び重量軽減化の1つ以上に寄与する多数の物理的特徴を有している。
【0015】
A.織り合わせ布の物理的特徴
本発明の織り合わせ布の物理的特徴は、図1において示されるように、例示的織り合わせ布10に言及することにより記載することができる。図1に示される例示的織り合わせ布10は炭素トウ(tow)(即ち、コネティカット州、スタンフォードのヘキセルコーポレーション(Hexcel Corporation)から市販のIM7 6K炭素トウ)の第2布32と織り合わされた金属線(即ち、0.004”の金属線直径及び〜13%のIACS値を有する、ニュージャージー州、ホーソンのフィスク アロイ ワイヤー インコーポレーテッド(Fisk Alloy Wire Inc.)から市販のC51000(また“C510”として省略形で言及される)りん青銅線)の第1布31を含む。図1に示される矢印Wは例示的織り合わせ布10のたて糸方向を示し、そして図1に示される矢印Fはその織り合わせ布10のよこ糸(fill)方向を示す。多くの要素が下に記載されるような本発明の織り合わせ布の物理的特徴に寄与している。
【0016】
1.織物構造
本発明の織り合わせ布は複合織物構造からなる。複合織物構造は、3つの別々の織りパターン構成部分、即ち(1)第1布の第1織りパターン、(2)第2布の第2織りパターン、及び(3)第1布を第2布に接合するかみ合わせ織りのための第3織りパターンを含有することができる。3つの別々の織りパターン構成部分の各々は、平織りパターン、あや(綾)織りパターン、しゅす(朱子)織りパターン、逆あや(綾)織りパターン、うね織りパターン、はち巣織りパターン、からみ織りパターン、もしゃ(模紗)(mock leno)織りパターン、等を包含するが、しかしそれらに限定されない任意の既知の織りパターンを含み、独立して、なることができる。
【0017】
図1において示されるように、例示的織り合わせ布10は、平織りパターンを有する第1布31、そしてまた平織りパターンを有する第2布32を含む。第1布31の平織りパターンを以下により認めることができる:(i)金属線たて糸エンド41は、隣り合う金属線よこ糸エンドの上に、及びその下に交互になっており、(ii)隣り合う(即ち、金属線たて糸エンド41に隣りあっている)金属線たて糸エンド11は同じ金属線よこ糸エンドの下に及びその上に交互になっており、そして(iii)金属線たて糸エンド11からよこ糸方向Fにおいて右に移動するにつれて平織りパターンを繰り返している。同様に、第2布32の平織りパターンを以下により認めることができる:(i)炭素トウたて糸エンド42は、隣り合う炭素よこ糸エンドの上に及びその下に交互になっており、(ii)隣り合う(即ち炭素トウたて糸エンド42に隣り合っている)炭素トウたて糸エンド43は、同じ炭素トウよこ糸エンドの上に及びその下に交互になっており、そして(iii)炭素トウたて糸エンド43からよこ糸方向Fにおいて右に移動するにつれて平織りパターンを繰り返している。
【0018】
図1に示される例示的織り合わせ布10は平織りパターンを有する第1布31、平織りパターンを有する第2布32、及びあや(綾)織りパターンを有するかみ合わせ織りを含む。図1に示されるように、4番目の金属線エンド毎に、繰り返しパターンで、炭素トウよこ糸エンドとかみ合っている。例えば炭素トウよこ糸エンド14は、かみ合わせ布10内の位置15及び16で第1布31の金属線たて糸エンドとかみ合っている。例示的織り合わせ布10のかみ合わせ織りパターンは、以下の布の構造特徴により認められるように、あや(綾)かみ合わせパターンに従っている:(i)6番目のよこ糸エンド毎(即ち3つの金属線よこ糸エンド及び3つの炭素トウよこ糸エンド毎)に織り合わせ布に挿入されるにつれてかみ合わせパターンは繰り返しパターンで1つのたて糸エンド上を移動し(例えば、例示的織り合わせ布10のよこ糸エンド24〜30を参照)、(ii)1つのかみ合わせよこ糸エンド、炭素トウよこ糸エンド14は、位置15及び16で第1布31を第2布32にかみ合わせ、(iii)(たて糸方向Wに下方に移動して)次のかみ合わせよこ糸エンド、炭素トウよこ糸エンド30は、位置17及び18で第131を第2布32にかみ合い、そして(iv)次のかみ合わせよこ糸エンド、炭素トウよこ糸エンド24は、位置19及び20で第1布31を第2布32にかみ合わせる。
【0019】
例示的織り合わせ布10において示されるように、例示的かみ合わせ布10のたて糸方向Wに沿って移動するにつれて、第1布31と第2布32との間のかみ合わせ位置は、1つのたて糸エンド上を移動し、そして6番目のよこ糸エンド毎にかみ合わせ織りパターンを繰り返している。第1布31と第2布32との間のかみ合わせの程度は、織り合わせ布の最終用途を包含するが、しかしそれに限定されない多くの要素に依存して増加させるか又は減少させることができる。例えば、かみ合わせ織りパターンは、第1布31内の10番目又は20番目のたて糸毎にだけ、かみ合わせることができる。さらに、(例示的織り合わせ布10に示されるような6番目のよこ糸エンド毎にとは異なって)8番目毎又は16番目毎のよこ糸エンドが織り合わせ布に挿入された後にそれ自体のみを繰り返すことができる。
【0020】
上に記載したように、かみ合わせ織りパターンは、例示的織り合わせ布10において示されたかみ合わせあや(綾)織りパターン以外の織りパターンからなることができる。例えば、第1布31の同じたて糸エンドを、第2布32のよこいとエンドと繰り返して織り合わせる、かみ合い平織りパターンを使用することができるだろう。
【0021】
2.織り合わせ布密度
本発明の織り合わせ布は、第1布31内で使用されるエンドのタイプ、第2布32で使用されるエンドのタイプ、及び織り合わせ布の最終の用途を包含するが、しかしそれらに限定されない多数の要素に依存して変化する布密度を有することができる。本発明の1つの例示的態様において、織り合わせ布は、織り合わせ布のたて糸方向、よこ糸方向又は両方の方向において約100の総エンド(即ち第1布31内のエンド及び第2布32内のエンド)/インチまでを含む。本発明の他の例示的態様において、織り合わせ布は、織り合わせ布のたて糸方向において、よこ糸方向において又は両方の方向において約2〜約60総エンド/インチを含む
【0022】
第2布32に対する第1布31内のエンドの分布は、等しくてもよく、又は等しくなくてもよい。言い換えると、第1布のたて糸方向、よこ糸方向又は両方の方向において、比較的に低い布密度(例えば、1〜3エンド/インチ)を有することが第1布のために望ましく、その一方で、第2布は、第2布のたて糸方向、よこ糸方向又はその両方の方向において比較的に高い布密度(例えば24〜60エンド/インチ)を有することが望ましいだろう。本発明の他の態様において、第1布のたて糸方向、よこ糸方向又は両方の方向において比較的に高い布密度(例えば、24〜60エンド/インチ)を有することが第1布のために望ましく、その一方で、第2布は第2布のたて糸方向、よこ糸方向又は両方の方向において比較的に低い布密度(例えば、1〜4エンド/インチ)を有することが望ましいだろう。
【0023】
本発明の1つの望ましい態様において、第1布31と第2布32との間のエンドの分布は実質的に等しく、そして総エンド数/インチは、織り合わせ布のたて糸方向及びよこ糸方向の両方において約12〜約26エンド/インチの範囲にある(即ち第1布31及び第2布32の各々のたて糸方向及びよこ糸方向の両方において、約6/約13エンド/インチ)の範囲にある。さらに望ましくは、総エンド数/インチは、織り合わせ布のたて糸方向及びよこ糸方向の両方において約18〜約24エンド/インチの範囲にある(即ち第1布31及び第2布32の各々のたて糸方向及びよこ糸方向の両方において約9〜約12エンド/インチの範囲にある)。
【0024】
3.織り合わせ布内の第2布に関連しての第1布の位置
本発明の織り合わせ布の上記織り構造は、織り合わせ布の第2布の上に配置された大きなパーセンテージの第1布を有する織り合わせ布の生成を可能にする。図1において示されるように、例示的織り合わせ布10は、その大部分が第2布32の上面上に配置されている第1布31を含む。第1布31のたて糸及びよこ糸金属線エンドは、第2布32のたて糸及びよこ糸炭素トウエンドの上面に全てが配置されていることに注目すべきである。かみ合わせ位置15、16、17、18、19及び20においてさえ、第1布31内の金属線たて糸エンドは、第2布32内の対応する炭素トウたて糸エンドの上面に配置されている。そのような布地構造において、例示的織り合わせ布10の裏側(図示せず)は、第1布31の部分が実質的に存在せず、そして望ましくは完全に存在しない。言い換えると、例示的織り合わせ布10の外側表面は、100%の第2布32からなる。
【0025】
例えば織り合わせ布10において第1布31内のたて糸及びよこ糸金属線エンドのすべての部分は、例示的織り合わせ布10内の位置15、16、17、18、19及び20において示されるような第2布32のよこ糸エンドとかみ合わされている第1布31の金属線たて糸エンドの部分以外は、第2布32上に配置されていることに、さらに注目すべきである。そのような布地構造は、依然としてなお第2布とかみ合わされている、第2布の材料上に配置されている高い程度の第1布材料を有する織り合わせ布の生成を可能にする。
【0026】
本発明の1つの例示的態様において、第1布の少なくとも50重量%(pbw)が織り合わせ布の第2布の上に配置されている。本発明の織り合わせ布において、第2布の上に配置された第1布の量は、第1布の99重量%(pbw)ほどの高さであることができる。望ましくは、本発明の織り合わせ布は、織り合わせ布の第2布の上に配置された第1布の少なくとも50pbw、さらに望ましくは織り合わせ布の第2布の上に配置された第1布の少なくとも70(75、80、85、90、95)pbwを有するように構成される。
【0027】
例示的織り合わせ布10において、第1布31内の金属線よこ糸エンドのいずれも、第2布32の炭素トウたて糸エンドと織り合わされていないことに注目すべきである。そのような布地構造は、第2布32上に配置された第1布31の量を増大させる。しかしながら、本発明はまた、第1布31のよこ糸エンドと第2布32のたて糸エンドとの間での或る所望の程度のかみ合わせを有することができる折りあわせ布を包含することを理解すべきである。
【0028】
本発明の追加の態様において金属線の第1布を、炭素トウエンドの形での第1成分及びガラストレーサーヤーンの第2成分を含む第2布と織り合わせている。この態様において、ガラストレーサーヤーンは、約50%までの量で、さらに望ましくは、第1布とかみ合わせるための単独での最小量で、存在することができる。そのような布地構造は、金属線の100%が、第2布の第1の成分(即ち炭素トウ成分)の上にあることを可能にする。第1成分と第2成分との上記組み合わせは材料の任意の他の組み合わせを含むことができることを理解すべきである。
【0029】
B.布地構造
本発明の織り合わせ布は、織り合わせ布の第1布及び第2布を形成するために1種以上のタイプの材料を含むことができる。本発明の1つの例示的態様において、織り合わせ布の第1布及び第2布は一緒に、炭素及びグラファイトのヤーン又はトウのような単一種のタイプの材料を含む。本発明の追加の態様において、第1布は、第1材料を含み、そして第2布は第2材料を含み、第2材料は第1材料と異なっている(例えば、図1の例示的織り合わせ布)。本発明のなおその上の態様において、第1布及び第2布の一方又は両方は、2種以上の異なるタイプの材料を含むことができる(例えば、金属線及び炭素トウを第1布と第2布との両方において使用することができるか、あるいは金属線を第1布において使用し、その一方で炭素トウ及びガラスヤーンを第2布において使用することができる)。
【0030】
本発明の織り合わせ布において使用するための適当な材料は、金属線、炭素トウ(又は繊維又はヤーン)、アラミド繊維又はヤーン、繊維ガラス繊維又はヤーン、石英繊維又はヤーン、NOMEX繊維又はヤーン、セラミック繊維又はヤーン、重合体ヤーン、繊維又はフィラメント、あるいはそれらの組み合わせを包含するが、しかしそれらに限定されない。炭素トウは、ポリアクリロニトリル(PAN)又はピッチ由来の炭素トウであることができる。本発明の1つの望ましい態様において織り合わせ布は、炭素トウと組み合わせて金属線を含む。本発明において使用するための例示的金属線及び炭素トウの説明を以下に示す。
【0031】
1.金属線
種々の金属線を本発明において使用することができる。適当な金属線は、りん青銅線、銅線、ニッケル/銅合金線及びニッケルメッキ銅線を包含するが、しかしそれらに限定されない。本発明において使用するために適当な特定の金属線は、C51000りん青銅線、C52100りん青銅線、C52400りん青銅線、C72500NiCu合金線、C11000NiメッキCu線、C48600CuZnSn合金線及びC10200Cu線を包含するが、しかしそれらに限定されない。任意の上に挙げた金属線は、“硬引きされた(hard drawn)”線又は“焼きなましされた(annealed)”線であることができる。さらに任意の上に挙げた金属線は、単線の形で用いることができるか、あるいは一定の撚り合わせ線内に約6本までの個々の線を有する撚り合わせ(plied)線を形成するために、他の同一の又は異なる金属線と組み合わせて使用することができる。
【0032】
本発明の1つの態様において、本発明の織り合わせ布を形成するために使用する金属線は、IACS(国際軟銅規格(International Annealed Copper Standard))システムを使用して測定したときに所望の程度の電気伝導率を有する。金属繊維は、望ましくは少なくとも8%IACSの電気伝導率を有する。本発明の或る態様において、金属繊維は約9%IACS〜約20%IACSの電気伝導率を有する。本発明の他の態様において、金属線は望ましくは約95%IACSより大きい電気伝導率、さらに望ましくは約98〜約100%IACSの電気伝導率を有する。
【0033】
多数の市販の金属線を本発明において使用することができる。適当な市販の金属線は、C51000りん青銅線(硬引きされたか又は焼きなましさせれたかのいずれかのもの)(〜13−15%IACS)、75/25Ni/Cu合金線(88重量%Cu;2重量%Sn;10重量%Ni)(〜9−11%IACS)、及び約96重量%のCu及び約4重量%のNiからなるニッケルメッキ銅線(〜98−100%IACS)を包含するが、しかしそれらに限定されない。上に記載した市販の金属線は少なくとも以下の製造業者から手に入れることができる:カリフォルニア ファイン ワイヤ− カンパニー(California Fine Wire Co.)(カリフォルニア州、グローバービーチ);A−1ワイヤー テクノロジー インコーポレーテッド(A−1 Wire Tech,Inc.)(イリノイ州、ロックフォード);トルペド スペシャルテイ ワイヤー インコーポレーテッド(Torpedo Specialty Wire Inc.)(ノースカロライナ州、ロッキーマウント);ペリカン ワイヤー カンパニー インコーポレーテッド(Pelican Wire Co,,Inc.)(フロリダ州、ナポリ);フィスク アロイ ワイヤー インコーポレーテッド(Fisk Alloy Wire,Inc.)(ニュージャージー州、ホーソン); ACI アロイズ(ACI Alloys)(カリフォルニア州、サンホゼ);ポリメット コーポレーション(Polymet Corp.)(オハイオ州、シンシナテイ);ラドクリフ ワイヤー インコーポレーテッド(Radcliff Wire,Inc.)(コネティカット州、ブリストル);及びR&Fアロイ ワイヤーズ インコーポレーテッド(R&F Alloy Wires Inc.)(ニュージャージー州、フェアフィールド)から手に入れることができる。
【0034】
本発明の1つの望ましい態様において、織り合わせ布の第1布は、ニッケルメッキ銅線を含む。ニッケルメッキ銅線は、耐腐食性、(95%IACSより大きい)高い程度の電気伝導率、そして或る種のエポキシ樹脂のような、幾種かのマトリックス材料への潜在的に高められた結合性を包含するが、しかしそれらに限定されない、他の金属線に優る多くの利点を提供する。本発明の1つの望ましい態様において、織り合わせ布の第1布内のすべてのたて糸及びよこ糸エンドは、ニッケルメッキ銅線を含む。
【0035】
金属線は任意の既知の横断面形状を有することができる。典型的には、本発明において使用する金属線は実質的に円い横断面形状を有する。別法として、金属線は任意の以下の横断面形状、即ち楕円形、三角形、正方形、長方形、菱形、等から選ばれた横断面形状を有することができる。
【0036】
任意の上記の金属線は、望ましくは約20ミル(0.020インチ)までの平均金属線直径を有することができる。典型的には、本発明において使用する金属線は、約1ミル〜約8ミル、望ましくは約1ミル〜約5ミル、さらに望ましくは約3ミル〜約5ミルの範囲の平均金属線直径を有する。上に記載したように、1本以上の個々の金属線を他の金属線と撚り合わせて、撚り合わせ金属線を形成することができる。典型的には、撚り合わせ金属線は約30ミルまでの平均撚り合わせ金属線直径を有する。
【0037】
2.炭素又はグラファイトトウ
任意の手に入れることができる炭素又はグラファイトトウを本発明において使用することができる。典型的には炭素トウは約1,000(1K)〜約24,000(24K)フィラメント/トウ及び約31Msi(100万ポンド/平方インチ)〜約130Msiの範囲のモジュラスを有する。本発明の1つの望ましい態様において、炭素トウは標準ないしは極めて高いモジュラスを有する6K(即ち6,000フィラメント/トウ)の炭素トウを含む。本発明の他の態様において、炭素トウは標準ジモュラス6Kヤーン、高いモジュラス6Kヤーン、標準モジュラス3Kヤーン及び高いモジュラス3Kヤーンを包含するが、しかしそれらに限定されない炭素トウを含む。
【0038】
本発明において使用する炭素トウは、典型的には、製造業者から受け取ったときに炭素トウ内のフィラメントの外側表面の少なくとも1部分上にコーティングされた、サイジング(のりづけ)組成物を含む。適当なサイジング組成物はヘキセル コーポレーション(Hexcel Corporation)(コネティカット州、スタンフォード)からのG、GP、H、S、R、及びGSサイジング組成物;東レ株式会社(日本国、東京)からの1、2、3、4、5、6、F及び9サイジング組成物;サイテック インダストリーズ インコーポレーテッド(Cytec Industries,Inc.)(ニュージャージー州、ウエストパターソン)からのUC309及びAP200サイジング組成物;及びトーホーテナックス カンパニー,リミテッド(Toho Tenax Co.,Ltd.)(カリフォルニア州メンロパーク)からのEPO1、EPO3、F301、F402及びA303サイジング組成物を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0039】
本発明の1つの望ましい態様において、東レ株式会社(日本国、東京)市販の40Bサイジング組成物、40Aサイジング組成物、又は50Bサイジング組成物を用いて炭素トウをサイジング(のりづけ)する。東レ株式会社では、サイジング組成物を同定確認するために数/文字システムを使用している。例えば“40B”表示における第1の数はサイジング組成物の化学成分を同定確認し、第2の数はサイジング組成物が表面処理であるか又はそうでないかを同定確認し、そして文字はサイジング組成物の量を同定確認する。その“40B”サイジング組成物は、(i)エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びBMIを組み合わせて含有するサイジング組成物の化学成分(“4”タイプのサイジング)、(ii)表面処理の形でのサイジング組成物(“0”表示)及び(iii)サイジングされるトウの総重量に基づいて1.0重量%(pbw)のサイジング水準でのサイジング組成物(“B”表示)からなる。望ましくは、炭素トウのサイジング組成物は上に規定されたような40Bサイジング組成物を含む。
【0040】
本発明において多数の市販の炭素トウを使用することができる。適当な市販の炭素トウは、東レ株式会社(日本国、東京)から市販の40Bサイジング組成物を有するT800HB 6K炭素トウ及びヘキセル コーポレーション(Hexcel Corporation)(コネティカット州、スタンフォード)から市販のGPサイジング組成物を有するIM7炭素トウを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0041】
C.例示的布地構造
本発明の1つの望ましい態様において、織り合わせ布の第2布は、第2布のたて糸方向及びよこ糸方向の両方において上に40Bサイジング組成物を有する、T800HB炭素トウを含む。本発明の追加の望ましい態様において、T800HB炭素トウからなる第2布は、上に記載したような第1布のたて糸方向及びよこ糸方向の両方においてニッケルメッキ銅線からなる第1布とかみ合わされている。
【0042】
本発明の追加の態様において、織り合わせ布の第2布は、たて糸方向において炭素トウを含む、そして第2布のよこ糸方向において炭素トウ及びガラスヤーンからなる。この態様において、ガラスヤーンは、第2布と織り合わされ且つ第2布を第1布とかみ合わせるトレーサーヤーンとして存在することができる。例えば、第1布は金属線を含むことができ、そしてガラスヤーンは第1布のたて糸方向に走っている金属線とかみ合わさっている(例えば、図1に示されるような金属線たて糸エンドとかみ合わさっている炭素トウの代わりに、第2布内のガラスヤーンよこ糸エンドは金属線たて糸エンドとかみ合わさっている)。この態様において、第2布のガラスヤーンを第1布の金属線とかみ合わせるために使用しているので、金属線の100%を第2布の炭素トウの上に配置している。
【0043】
本発明のなおその上の態様において、織り合わせ布の第2布は、その第2布のたて糸方向及びよこ糸方向においてPAN−由来炭素トウを含み、その一方で、第1布は、その第1布のたて糸方向及びよこ糸方向においてピッチ由来炭素トウを含む。この態様において、ピッチ由来炭素トウは、織り合わせ布に、電気伝導性及びEMI遮蔽のような1つ以上の所望の性質を潜在的に提供する。
【0044】
上に記載したように、本発明の任意の織り合わせ布において、織り合わせの各々の布地(即ち第1布及び第2布)は、全体的な織り合わせ布における所望の性質を提供するために、独立して、1種以上のタイプの材料、異なる織りパターン、及び所望の布地織り密度を含むことができる。例えば金属線第1布及び炭素トウ/ガラストレーサーヤーン第2布からなる上記の織り合わせ布において、第2布のガラストレーサーヤーンは、炭素トウ及びガラスヤーンの総数に基づいて、第2布における総ヤーンの50%ほども多くを表すことができるか、あるいは第2布における総ヤーンの5%ほども少なくを表すことができる。ガラストレーサーヤーンは、第2布のかみ合わせ用成分としてのみ、第2布において存在することができる。言い換えると、第2布における各々のガラストレーサーヤーンは、金属線第1布とかみ合わさっている。
【0045】
II.繊維強化材料
本発明はまた、本発明の織り合わせ布を含む繊維強化材料に向けられている。繊維強化材料は、単独か、又は他の繊維含有層と組み合わせて、単層の織り合わせ布を含むか、又は多層の織り合わせ布を含むことができる。適当な繊維含有層は、織物、不織布、メリヤス生地(knitted fabrics)、一方向織物又はそれらの組み合わせを包含するが、しかしそれらに限定されない。本発明の1つの態様において織り合わせ布を、少なくとも1つの追加の繊維含有層と組み合わせて、複数の繊維含有層の少なくとも1つの最も外側の層が織り合わせ布の第1布を含み、複数の繊維含有層を形成する。この態様において、1つ以上の追加の繊維含有層は、本発明の追加の織り合わせ布を包含する、任意の上記繊維含有層を含むことができる。
【0046】
本発明の繊維強化材料は、上記のように、織り合わせ布と接触しているマトリックス材料と組み合わさっている、織り合わせ布を含むことができる。マトリックス材料と織り合わせ布との間の接触の程度は、繊維強化材料の最終用途に依存して変化させることができる。本発明の1つの態様において、マトリックス材料は、織り合わせ布の第2布と接触するが、しかしカプセル化しない。本発明の追加の態様において、マトリックス材料は織り合わせ布の第2布をカプセル化するが、しかし第1布をカプセル化しない。本発明のなおその上の態様において、マトリックス材料は織り合わせ布を完全にカプセル化する。
【0047】
繊維強化材料を生成するために、本発明の織り合わせ布と組み合わせて、種々のマトリックス材料を使用することができる。適当なマトリックス材料は、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル類、等)、熱硬化樹脂、熱可塑性物質、金属類、セラミック類、コンクリート又はそれらの組み合わせを包含するが、しかしそれらに限定されない。本発明の1つの望ましい態様において、マトリックス材料は熱硬化性又は熱硬化のエポキシ樹脂を含む。
【0048】
本発明において多数の市販のエポキシ樹脂システムを使用することができる。適当なエポキシ樹脂システムは、ヘキセル コーポレーション(Hexcel Corporation)(コネティカット州、スタンフォード)からのエポキシ樹脂システムHX1610−1、M21及び8552、そして東レ株式会社(日本国、東京)からのエポキシ樹脂システムF3900を包含するが、しかしそれらに限定されない。本発明の1つの望ましい態様において、マトリックス材料はF3900エポキシ樹脂システムを含む。
【0049】
本発明の繊維強化材料は、重量パーセンテージが繊維含有層及びマトリックス材料の総重量に基づいている、少なくとも1つの織り合わせ布を含む繊維含有層の約5〜約95重量%(pbw)、及び少なくとも1つのマトリックス材料の約95〜約5pbwを含むことができる。典型的には、本発明の繊維強化材料は、重量パーセンテージが繊維含有層及びマトリックス材料の総重量に基づいている、少なくとも1つの織り合わせ布層を含む1つ以上の繊維含有層の約40〜約80pbw及び少なくとも1つのマトリックス材料の約60〜約20pbwを含む。1つの望ましい態様において、繊維強化材料は、重量パーセンテージが繊維含有層及びマトリックス材料の総重量に基づいている、少なくとも1つの織り合わせ層を含む1つ以上の繊維含有層の約60pbw及びエポキシ樹脂システムのような少なくとも1つのマトリックス材料の約40pbwを含む。
【0050】
本発明の1つの態様において、エポキシ樹脂マトリックス内に本発明の織り合わせ布を含むプリプレグ(prepreg)を提供する。この態様において、エポキシ樹脂は、追加の熱及び/又は圧力を適用することによってさらに硬化されることができる、硬化可能、B−段階エポキシ樹脂である。製造業の種々の物品を生成するために、本発明のプリプレグを他の繊維含有層及び/又は繊維含有プリプレグと組み合わせることができる。本発明の1つの望ましい態様において、製造業の物品は航空機の構成部品である。航空機の構成部品の外層として使用する場合、本発明の織り合わせ布は、得られた航空機構成部品に対して非常に優れた落雷(lighting strike)性質を提供する。
【0051】
本発明の繊維強化材料から、製造業の他の物品を製造することができる。製造業の適当な物品は商業用、軍事用及び民間用航空機部品(即ち、航空機、及び航空機の構成部品)、風力構成部品(即ち、エネルギーを生成するための風力プロペラ)、等を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0052】
本発明の織り合わせ布を、1種以上の上記のマトリックス材料のような追加の物品構成部品と組み合わせる任意の既知の方法により、本発明の繊維強化材料から製造業の物品を調製することができる。プリプレグの調製に加えて、本発明の繊維強化材料を含有する製造業の物品をまた、樹脂トランスファー成形、樹脂フィルム注型(RFI)、プルトルージョン(pultrusion)、押し出し、等のような他の技術を用いて形成することができる。
【0053】
III.織り合わせ布を製造する方法
本発明は、上に記載された織り合わせ布を製造する方法にさらに向けられている。本発明の織り合わせ布を製造する1つの例示的方法を、図1の例示的織り合わせ布10に関連して記載することができる。図1において示されるように、例示的織り合わせ布10は、mたて糸エンド(即ち金属線)の第1セット及びnたて糸エンド(即ち炭素トウ)の第2セットを含む。mたて糸エンドの第1セット及びnたて糸エンドの第2セットを、同じクリール(糸巻き軸架)又は2つの別々のクリールから取り外し、そして織機に供給する。例示的織り合わせ布10の場合において、織機に供給される他のたて糸エンド毎に、mたて糸エンドの第1セットからのものであり、その一方で、他のたて糸エンド毎に、nたて糸エンドの第2セットからのエンドを含む(即ち、交互の金属線たて糸エンドと炭素トウたて糸エンドとを織機に供給する)。例示的織り合わせ布10を織るための製織方法の記載を図1のよこ糸エンド21〜30に関連して記載する。
【0054】
mたて糸エンドの第1セットの各々のたて糸エンド及びnたて糸エンドの第2セットの各々のたて糸エンドを、ヘドル(heddle)の目中に糸通しする。個々のヘドル毎に一定のハーネス(harness)に取り付ける。一定の織り合わせ布を生成するために多数のハーネスを使用する。例えば、図1において示される例示的織り合わせ布10を織るために8つのハーネスを使用する。他のハーネスに関して上下方向において個々のハーネクの運動は、個々のよこ糸エンドが入るための杼口(shed)を作る。いったん、よこ糸エンドが杼口中に挿入されたならば、リード(筬)は新しく置かれたよこ糸エンドを、織り合わせ布の本体(body)中に打ち込む(押し込む)。
【0055】
例示的織り合わせ布10中への金属線よこ糸エンド21の挿入で始まって、杼口(shed)(本明細書において杼口21と称する)を、1つ以上のハーネスの以下の運動により作る:(i)上方位置へ、mたて糸エンドの第1セットの他の金属線たて糸エンド毎に移動し、(ii)下方位置へ、mたて糸エンドの第1セットの残りの金属線たて糸エンド(交互の又は他のたて糸エンド毎)を移動し、そして(iii)下方位置へ、nたて糸エンドの第2セットの炭素トウたて糸エンドのすべてを移動する。金属線よこ糸エンド21を杼口21に挿入する。リード(筬)が例示的織り合わせ布10の本体中によこ糸エンド21を打ち込んだ後に、ハーネスは炭素トウよこ糸エンド22のための新しい杼口を作るために移動する。
【0056】
炭素トウよこ糸エンド22のために作られる杼口(本明細書において杼口22と称する)を、1つ以上のハーネスの以下の運動により作る:(i)上方位置へ、mたて糸エンドの第1セットの金属線たて糸エンドのすべてを移動し、(ii)上方位置へ、nたて糸エンドの第2セット内の他の炭素トウたて糸エンド毎に移動し、そして(iii)下方位置へ、nたて糸エンドの第2セットの残りの炭素トウたて糸エンド(即ち他のたて糸エンド毎)を移動する。炭素トウよこ糸エンド22を、新しく作られた杼口22中に挿入し、そしてリード(筬)は新しく置かれた炭素トウよこ糸エンド22を織り布の本体中に打ち込む。
【0057】
例示的織り合わせ布10は、平織りパターンを有する第1布31を含むので、金属線よこ糸エンド23のために作られる次の杼口(本明細書において杼口23と称する)を、1つ以上のハーネスの以下の運動により作る:(i)上方位置へ、杼口21のために下方位置にあったmたて糸エンドの第1セットの金属線たて糸エンドを移動し、(ii)下方位置へ、mたて糸エンドの第1セットの残りの金属線たて糸エンド(即ち杼口21のために上方位置にあった金属線たて糸エンド)を移動し、そして(iii)下方位置へ、nたて糸エンドの第2セットの炭素トウたて糸エンドのすべてを移動する。次に新しく作られた杼口23中に金属線よこ糸エンド23を挿入し、そしてリード(筬)により例示的織り合わせ布10の本体中に打ち込む。
【0058】
炭素トウよこ糸エンド24のために作られた次の杼口(本明細書において、杼口24と称する)は、例示的織り合わせ布10を製造するための製織方法の当該の記載において第1かみ合い杼口を表す。炭素トウよこ糸エンド24を受け入れるための杼口24を、1つ以上のハーネスの以下の運動により作る:(i)下方位置へ、杼口22のための上方位置にあったnたて糸エンドの第2セット内の炭素トウたて糸エンドのすべてを移動し、(ii)上方位置へ、nたて糸エンドの第2セットの残りの炭素トウたて糸エンド(即ち杼口22のための下方位置にあった炭素トウエンド)を移動し、そして(iii)下方位置へ、mたて糸エンドの第1セット内の4番目毎の金属線たて糸エンドを移動する。炭素トウよこ糸エンド24を新しく作られた杼口24中に挿入して第1布31を第2布32とかみ合わせる。第2布32の挿入された炭素トウよこ糸エンド24は、図1において示されるように、位置19及び20で第1布31の金属線たて糸エンドとかみ合う。
【0059】
杼口21中への金属線よこ糸エンド21の挿入の間に上記したと同じハーネスの運動により例示的織り合わせ布10への金属線よこ糸エンド25の挿入のための次の杼口(本明細書において杼口25と称する)を作る。例示的織り合わせ布10への炭素トウよこ糸エンド26の挿入のために作られる次の杼口(本明細書において杼口26と称する)を、杼口22への炭素トウよこ糸エンド22の挿入の間に、上記したと同じハーネス運動により作る。例示的織り合わせ布10への金属線よこ糸エンド27の挿入のために作られる次の杼口(本明細書において杼口27と称する)を、杼口23への金属線よこ糸エンド23の挿入の間に、上記したと同じハーネス運動により作る。
【0060】
炭素トウよこ糸エンド28のために作られる次の杼口(本明細書において、杼口28と称する)を1つ以上のハーネスの以下の運動により作る:(i)上方位置へ、mたて糸エンドの第1セット内の金属線たて糸エンドのすべてを移動し;(ii)下方位置へ、杼口26のために上方位置にあったnたて糸エンドの第2セット内の炭素トウたて糸エンドのすべてを移動し;そして(iii)上方位置へ、nたて糸エンドの第2セットの残りの炭素トウたて糸エンド(即ち、杼口26のための下方位置にあった炭素トウエンド)を移動する。炭素トウよこ糸エンド28を、新しく作られた杼口28に挿入する。
【0061】
例示的織り合わせ布10中への金属線よこ糸エンド29の挿入のために作られる次の杼口(本明細書において杼口29と称する)を、杼口25への金属線よこ糸エンド25の挿入の間に上記と同じハーネス運動により作る。炭素トウよこ糸エンド30のために作られる次の杼口(本明細書において杼口30と称する)は、例示的織り合わせ布10を生成するための製織方法の当該の記載において第2かみ合い杼口を表す。炭素トウよこ糸エンド30を受け入れるための杼口30を1つ以上のハーネスの以下の運動により作る:(i)杼口26に類似の上方位置及び下方位置へ、nたて糸エンドの第2セット内の炭素トウたて糸エンドを移動し;(ii)mたて糸エンドの第1セット内の4番目毎の金属線たて糸エンドを下方位置に移動し、それらにおいて選ばれた4番目毎の金属線のたて糸エンドが、炭素トウよこ糸エンド24によりかみ合わされた、かみ合わせ金属線たて糸エンドの直ぐ左に存在する。炭素トウよこ糸エンド30を、新しく作られた杼口30中に挿入して図1において示されるように糸17及び18において第1布31を第2布32とかみ合わせる。
【0062】
例示的織り合わせ布10を製造するための、交互の金属線よこ糸エンド及び炭素トウよこ糸エンドの挿入のために、上記製織方法を繰り返す。各々のかみ合わせ杼口において、mたて糸エンドの第1セット内の4番目毎の金属線たて糸エンドを下方位置に移動し、それらにおいて選ばれた金属線たて糸エンドは、前のかみ合わせ工程の間にかみ合わされたかみ合わせ金属線たて糸エンドの直ぐ左方に存在する。
【0063】
例示的織り合わせ布10を製造するための製織方法をまた、図2A〜図2Cにおいて示されたパターンチェーンドラフトコンポーネント(pattern chain draft components)を観察することにより理解することができる。織物設計技術者は、一定の織物を設計するために図2A〜図2Cにおいて示されたようなパターンチェーンドラフトコンポーネントを典型的には使用する。図2A〜図2Cにおいて示されるように、パターンチェーンドラフトコンポーネントは、パターンチェーンドラフト200(図2A)、カラー選択パターン201(図2B)及びハーネスドローパターン(harness draw pattern)202(図2C)を包含する。図2Aのパターンチェーンドラフトは、ピック(pick)表示205、ヤーン/トウ形状206、ハーネスパターン207、一定のハーネスが“上方”位置にあることを示す陰影をつけた領域208及び“上方”位置に一定のハーネスが存在しないことを示す陰影をつけていない領域209を含む。
【0064】
図2A〜図2Cにおいて示される例示的パターンチェーンドラフトコンポーネントが与えられたならば、織物設計技術者は、例示的織り合わせ布10を生成するための製織方法の上記の記載なしで図1に示される例示的織り合わせ布10を再現することができるだろう。
【0065】
上に記載したように、任意の上に記載した織りパターンから選ばれた、第1織りパターンを有する第1布、第2織りパターンを有する第2布、及びかみ合わせ織りパターンを生成するために、上に記載したような製織方法を用いて、本発明の織り合わせ布を製造することができるだろう。各々のよこ糸エンドの挿入の間に、1つ以上のハーネスの上方及び下方運動は、第1布、第2布のための一定の織りパターン及びかみ合わせ織りパターンを生ずるだろう。さらに、本発明の織り合わせ布の第1布と第2布との間のかみ合わせの程度を制御するために、1つ以上のハーネスの上方及び下方運動を使用することができる。
【0066】
本発明の上記織り合わせ布、及びその織り合わせ布を製造する方法を、種々の製織機上で製織することができる。適当なタイプの製織機はウォータジェット(water jet)、エアジェット(air jet)、プロジェクタイル(projectile)、シャットル−フライ(shuttle−fly)、そして硬質及び可撓性レピヤー(rapiers)を包含するが、しかしそれらに限定されない。上記タイプの製織機は、ドルニール(Dornier)(例えばエアジェット及びレピヤー織機)及びサルツァー−ルチ(Sulzer−Ruti)(例えばエアジェット織機)を包含するが、しかしそれらに限定されない多数の製造業者から市販されている。使用される製織機のタイプは、使用されるヤーン/トウのタイプ、織物の密度、等を包含するが、しかしそれらに限定されない多数の要素により左右されるだろう。本発明の1つの望ましい態様において、本発明の織り合わせ布を調製するためにドルニールレピヤー(Dornier Rapier)織機を使用する。
【0067】
どんな場合においても本発明の範囲に限定を課すものとして解釈されるべきではない、以下の例により本発明をさらに例示する。別の見地から、本明細書中の記載を読んだ後に、本発明の精神及び/又は特許請求の範囲の範囲から離れることなしに、当業者はそれ自体を示唆することができる、種々の他の態様、その修正及び等価性に対して手段(方策)を持つことができることを明らかに理解すべきである。
【実施例】
【0068】
例 1
金属線/炭素トウ織り合わせ布の調製
図1において示されるような織りパターンを有する金属線/炭素トウ織り合わせ布を、図2A〜図2Cにおいて示されるようなパターンチェーンドラフトコンポーネント(pattern chain draft components)を用いて調製した。その布地の詳細を下記表1において示す。
【0069】
【表1】

【0070】
得られた織り合わせ布において、金属線第1布の約95%が炭素トウ第2布の上面の上に配置されている。
【0071】
例 2
金属線/炭素トウ織り合わせ布の調製
T800HB 6K 40Bの炭素トウの代わりに、ヘキセルIM7 GP 6Kを使用した以外は、例1の金属線/炭素トウ織り合わせ布を調製した。
【0072】
例 3
金属線/炭素トウ織り合わせ布プリプレグの調製
ヘキセルコーポレーション(Hexcel Corporation)(コネティカット州、スタンフォード)からの商標表示M21樹脂で市販されているエポキシ樹脂を、例1の織り合わせ布に含浸することにより金属線/炭素トウ織り合わせ布プリプレグを調製した。得られたプリプレグは、プリプレグの総重量に基づいて約62重量%の織り合わせ布、及び約38重量%のエポキシ樹脂からなっていた。得られたプリプペレグは417g/m(gsm)の坪量(basis weight)を有した。
【0073】
例 4
金属線/炭素トウ織り合わせ布プリプレグの調製
例1の織り合わせ布に、東レ株式会社(日本国、東京)からのエポキシ樹脂システムF3900を含浸させた以外は、例3におけるようにして金属線/炭素トウ織り合わせ布プリプレグを調製した。得られたプリプレグは、プリプレグの総重量に基づいて約65重量%の織り合わせ布、及び約35重量%のエポキシ樹脂からなっていた。得られたプリプレグは401g/m(gsm)の坪量(basis weight)を有した。
【0074】
例 5
繊維強化複合部品の調製
東レ株式会社(日本国、東京)からのエポキシ樹脂システムF3900を含浸した炭素トウの10本の一方向テープの積み重ねの上に例4のプリプレグを積み重ねることにより繊維強化複合部品を調製した。織り合わせ布の金属線第1布はプリプレグの積み重ねの外側層上にあった。プリプレグの積み重ねを熱及び圧力に付して繊維強化複合部品を調製した。
【0075】
本明細書を本発明の特定の態様に関して記載したけれども、上記記載を理解した際に、当業者はこれらの態様に対する別法、これらの態様の変更及びこれらの態様への均等化を容易に考えることができることが認められるだろう。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲の範囲及びそれに対するすべて均等事項として評価されるべきであろう。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】炭素トウ(tows)の第2織り布と織り合わされた金属線(wires)の第1織り布を含む本発明の例示的織り布を描いている。
【図2A】図1において示された例示的織り合わせ布を生成するために使用された例示的パターンチェーンドラフト(Pattern Chain Draft)を描いている。
【図2B】図1において示された例示的織り合わせ布を生成するために使用された例示的パターンチェーンドラフトを描いている。
【図2C】図1において示された例示的織り合わせ布を生成するために使用された例示的パターンチェーンドラフトを描いている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)mたて糸エンドの第1セット、
(b)nたて糸セットの第2セット、
(c)yよこ糸エンドの第1セット、及び
(d)zよこ糸エンドの第2セット、
を含む織り合わせ布であって、それらにおいて
(i)たて糸エンドの第1セット内の1以上のエンドは、よこ糸エンドの第1セットの1以上のエンドと織り合わされて第1布を形成し、
(ii)たて糸エンドの第2セット内の1以上のエンドは、よこ糸エンドの第1セットの1以上のエンドと織り合わされて第2布を形成し、
(iii)たて糸エンドの第1セット内の少なくとも1つのエンドは、よこ糸エンドの第2セットの少なくとも1つのエンドと織り合わされて第1布を第2布と接合しており、そして
(vi)第1布の少なくとも50重量%は、第2布の上に配置されている、
織り合わせ布。
【請求項2】
第1布の少なくとも70重量%が第2布の上に配置されている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項3】
第1布の少なくとも85重量%が第2布の上に配置されている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項4】
第1布の少なくとも99重量%が第2布の上に配置されている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項5】
(i)たて糸エンドの第1セット内の各々のエンドがよこ糸エンドの第1セットの各々のエンドと織り合わされて第1布を形成し、そして
(ii)たて糸エンドの第2セット内の各々のエンドがよこ糸エンドの第1セットの各々のエンドと織り合わされて第2布を形成している、
請求項1の織り合わせ布。
【請求項6】
たて糸エンドの第1セットのmたて糸エンド未満がよこ糸エンドの第2セットのzよこ糸エンド未満と織り合わされている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項7】
たて糸エンドの第1セット内のたて糸エンドの約50%未満がよこ糸エンドの第2セットと織り合わされている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項8】
たて糸エンドの第1セット内のたて糸エンドの約25%未満がよこ糸エンドの第2セットと織り合わされている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項9】
たて糸エンドの第1セット内のたて糸エンドの約10%未満がよこ糸エンドの第2セットと織り合わされている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項10】
たて糸エンドの第2セットのエンドが、よこ糸エンドの第1セットのエンドと織り合わされていない、請求項1の織り合わせ布。
【請求項11】
たて糸エンドの第2セットのnたて糸エンド未満が、よこ糸エンドの第1セットのyよこ糸エンド未満と織り合わされている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項12】
たて糸エンドの第2セット内のたて糸エンドの約50%未満が、よこ糸エンドの第1セットと織り合わされている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項13】
たて糸エンドの第2セット内のたて糸エンドの約25%未満が、よこ糸エンドの第1セットと織り合わされている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項14】
たて糸エンドの第2セット内のたて糸エンドの約10%未満が、よこ糸エンドの第1セットと織り合わされている、請求項1の織り合わせ布。
【請求項15】
(a)mたて糸エンドの第1セットが金属線を含み、
(b)nたて糸エンドの第2セットが炭素トウを含み、
(c)yよこ糸エンドの第1セットが金属線を含み、そして
(d)zよこ糸エンドの第2セットが炭素トウを含む、
請求項1の織り合わせ布。
【請求項16】
(a) mたて糸エンドの第1セット内の各々のたて糸エンドが、金属線を含み、
(b) nたて糸エンドの第2セット内の各々のたて糸エンドが、炭素トウを含み、
(c) yよこ糸エンドの第1セット内の各々のよこ糸エンドが、金属線を含み、そして
(d) zよこ糸エンドの第2セット内の各々のよこ糸エンドが、炭素トウを含む、
請求項1の織り合わせ布。
【請求項17】
(a) mたて糸エンドの第1セット内の各々のたて糸エンドが、金属線からなり、
(b) nたて糸エンドの第2セット内の各々のたて糸エンドが、炭素トウからなり、
(c) yよこ糸エンドの第1セット内の各々のよこ糸エンドが、金属線からなり、そして
(d) zよこ糸エンドの第2セット内の各々のよこ糸エンドが、炭素トウからなる、
請求項1の織り合わせ布。
【請求項18】
第1布が、金属線の、糸目幅が粗く織られた(open woven)メッシュを含み、そして第2布が炭素織り布を含む、請求項1の織り合わせ布。
【請求項19】
(a)mたて糸エンドの第1セットが金属線を含み、
(b)nたて糸エンドの第2セットが炭素トウを含み、
(c)yよこ糸エンドの第1セットが金属線を含み、そして
(d)zよこ糸エンドの第2セットが炭素トウの第1成分及びガラストレーサーヤーンの第2成分を含む、
請求項1の織り合わせ布。
【請求項20】
ガラストレーサーヤーンが、mたて糸エンドの第1セット内の1つ以上の金属線たて糸エンドと織り合わされている、請求項19の織り合わせ布。
【請求項21】
mたて糸エンドの第1セットがyよこ糸エンドの第1セットと織り合わされて金属線からなる第1布を形成し;nたて糸エンドの第2セットがzよこ糸エンドの第2セットと織り合わされて炭素トウ及びガラストレーサーヤーンを含む第2布を形成し;そして第1布の100%が第2布の炭素トウの上に配置されている、請求項20の織り合わせ布。
【請求項22】
mが(n±10)に等しく、そしてyが(z±10)に等しい、請求項1の織り合わせ布。
【請求項23】
mが(n±3)に等しく、そしてyが(z±3)に等しい、請求項1の織り合わせ布。
【請求項24】
mがnに等しく、そしてyがzに等しい、請求項1の織り合わせ布。
【請求項25】
m、n、y及びzが、各々独立して約1〜約100の範囲にある、請求項1の織り合わせ布。
【請求項26】
m、n、y及びzが、各々独立して約1〜約15の範囲にある、請求項1の織り合わせ布。
【請求項27】
(a)mたて糸エンドの第1セット内の各々のたて糸エンドがピッチ由来の炭素トウを含み、
(b)nたて糸エンドの第2セット内の各々のたて糸エンドがPAN−由来の炭素トウを含み、
(c)yよこ糸エンドの第1セット内の各々のよこ糸エンドがピッチ由来の炭素トウを含み、そして
(d)zよこ糸エンドの第2セット内の各々のよこ糸エンドがPAN−由来の炭素トウを含む、
請求項1の織り合わせ布。
【請求項28】
請求項1の織り合わせ布;及び
該織り合わせ布と接触しているマトリックス材料、
を含む繊維強化材料。
【請求項29】
マトリックス材料が、第2布をカプセル化している、請求項28の繊維強化材料。
【請求項30】
マトリックス材料が、織り合わせ布を完全にカプセル化している、請求項28の繊維強化材料。
【請求項31】
マトリックス材料が熱硬化性材料を含む、請求項28の繊維強化材料。
【請求項32】
マトリックス材料が熱硬化された材料を含む、請求項28の繊維強化材料。
【請求項33】
マトリックス材料がエポキシ樹脂を含む、請求項28の繊維強化材料。
【請求項34】
複数の繊維含有層の少なくとも1つの最外側層が請求項1の織り合わせ布の第1布を含む、複数の繊維含有層。
【請求項35】
請求項34の複数の繊維含有層;及び
織り合わせ布と接触しているマトリックス材料;
を含む繊維強化材料。
【請求項36】
マトリックス材料が織り合わせ布の第2布をカプセル化している、請求項35の繊維強化材料。
【請求項37】
マトリックス材料が織り合わせ布を完全にカプセル化している、請求項35の繊維強化材料。
【請求項38】
マトリックス材料が熱硬化性材料を含む、請求項35の繊維強化材料。
【請求項39】
マトリックス材料が熱硬化された材料を含む、請求項35の繊維強化材料。
【請求項40】
マトリックス材料がエポキシ樹脂を含む、請求項35の繊維強化材料。
【請求項41】
請求項1の織り合わせ布を含む、航空機構成部品。
【請求項42】
請求項28の繊維強化材料を含む、航空機構成部品。
【請求項43】
請求項34の繊維強化材料を含む、航空機構成部品。
【請求項44】
請求項1の織り合わせ布を含む、製造業の物品。
【請求項45】
物品が、風力プロペラ、乗物(vehicle)構成部品又は航空機構成部品である、請求項44の製造業の物品。
【請求項46】
(a)金属線よこ糸エンドと織り合わせて第1布を形成している金属線たて糸エンド、
(b)炭素トウよこ糸エンドと織り合わせて第2布を形成している炭素トウたて糸エンド、
を含み、しかも第1布の少なくとも1つのエンドは第2布の少なくとも1つのエンドと織り合わされており、そして第1布の少なくとも50重量%は第2布の上に配置されている、織り合わせ布。
【請求項47】
第2布が、第2布のよこ糸方向に走っておりそして第1布の少なくとも1つのエンドとかみ合わさっているガラストレーサーヤーンをさらに含む、請求項46の織り合わせ布。
【請求項48】
第1布の金属線エンドの100%が、第2布の炭素トウエンドの100%の上に配置されている、請求項47の織り合わせ布。
【請求項49】
(a)mたて糸エンドの第1セット、(b)nたて糸エンドの第2セット、(c)yよこ糸エンドの第1セット及び(d)zよこ糸エンドの第2セットを織る工程を含み、しかも
(i)たて糸エンドの第1セット内の1つ以上のエンドを、よこ糸エンドの第1セットの1つ以上のエンドと織り合わせて第1布を形成し、
(ii)たて糸エンドの第2セット内の1つ以上のエンドを、よこ糸エンドの第1セットの1つ以上のエンドと織り合わせて第2布を形成し、
(iii)たて糸エンドの第1セット内の少なくとも1つのエンドをよこ糸エンドの第2セットの少なくとも1つのエンドと織り合わせて第1布を第2布に接合させ、そして
(iv)第1布の少なくとも50重量%を第2布上に配置する、
織り合わせ布を製造する方法。
【請求項50】
第1布の少なくとも70重量%が第2布上に配置されている、請求項49の方法。
【請求項51】
第1布の少なくとも85重量%が第2布上に配置されている、請求項49の方法。
【請求項52】
第1布の少なくとも99重量%が第2布上に配置されている、請求項49の方法。
【請求項53】
(a)mたて糸エンドの第1セットが金属線を含み、
(b)nたて糸エンドの第2セットが炭素トウを含み、
(c)yよこ糸エンドの第1セットが金属線を含み、そして
(d)zよこ糸エンドの第2セットが炭素トウを含む、
請求項49の方法。
【請求項54】
(a) mたて糸エンドの第1セット内の各々のたて糸エンドが、金属線を含み、
(b) nたて糸エンドの第2セット内の各々のたて糸エンドが、炭素トウを含み、
(c) yよこ糸エンドの第1セット内の各々のよこ糸エンドが、金属線を含み、そして
(d) zよこ糸エンドの第2セット内の各々のよこ糸エンドが、炭素トウを含む、
請求項49の方法。
【請求項55】
(a) mたて糸エンドの第1セット内の各々のたて糸エンドが、金属線からなり、
(b) nたて糸エンドの第2セット内の各々のたて糸エンドが、炭素トウからなり、
(c) yよこ糸エンドの第1セット内の各々のよこ糸エンドが、金属線からなり、そして
(d) zよこ糸エンドの第2セット内の各々のよこ糸エンドが、炭素トウからなる、
請求項49の方法。
【請求項56】
第1布が金属線の、糸目幅が粗く織られた(open woven)メッシュからなり、そして第1布が炭素織り布からなる、請求項49の方法。
【請求項57】
(a)mたて糸エンドの第1セットが金属線を含み、
(b)nたて糸エンドの第2セットが炭素トウを含み、
(c)yよこ糸エンドの第1セットが金属線を含み、そして
(d)zよこ糸エンドの第2セットが炭素トウの第1成分及びガラストレーサーヤーンの第2成分を含む、
請求項49の方法。
【請求項58】
ガラストレーサーヤーンをmたて糸エンドの第1セット内の1つ以上の金属線たて糸エンドと織り合わす、請求項57の方法。
【請求項59】
mたて糸エンドの第1セットを、yよこ糸エンドの第1セットと織り合わせて金属線からなる第1布を形成し;nたて糸エンドの第2セットを、zよこ糸エンドの第2セットと織り合わせて炭素トウ及びガラストレーサーヤーンを含む第2布を形成し;そして第1布の100%を、第2布の炭素トウの上に配置させる、請求項58の方法。
【請求項60】
m、n、y及びzが、各々独立して約1〜約100の範囲にある、請求項49の方法。
【請求項61】
m、n、y及びzが、各々独立して約1〜約15の範囲にある、請求項49の方法。
【請求項62】
(a)mたて糸エンドの第1セット内の各々のたて糸エンドがピッチ由来の炭素トウを含み、
(b)nたて糸エンドの第2セット内の各々のたて糸エンドがPAN−由来の炭素トウを含み、
(c)yよこ糸エンドの第1セット内の各々のよこ糸エンドがピッチ由来の炭素トウを含み、そして
(d)zよこ糸エンドの第2セット内の各々のよこ糸エンドがPAN−由来の炭素トウを含む、
請求項49の方法。
【請求項63】
請求項49の方法により作成された織り合わせ布を、マトリックス材料と接触させることを含む、繊維強化材料の作成方法。
【請求項64】
マトリックス材料が第2布をカプセル化する、請求項63の方法。
【請求項65】
マトリックス材料が、織り合わせ布を完全にカプセル化する、請求項63の方法。
【請求項66】
マトリックス材料が熱硬化性材料を含む、請求項63の方法。
【請求項67】
マトリックス材料が熱硬化された材料を含む、請求項63の方法。
【請求項68】
マトリックス材料がエポキシ樹脂を含む、請求項63の方法。
【請求項69】
織り合わせ布及びマトリックス材料に、熱、圧力又はそれらの組み合わせを適用することをさらに含む、請求項63の方法。
【請求項70】
樹脂トランスファー成形(RTM)工程、樹脂フィルム注型(infusion)(RFI)工程、プルトルージョン(pultrusion)工程、押し出し工程又はそれらの組み合わせを、さらに含む、請求項63の方法。
【請求項71】
航空機中に請求項1の織り合わせ布を組み込む工程を含む、航空機に落雷保護を提供する方法。


【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate


【公表番号】特表2007−510821(P2007−510821A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538436(P2006−538436)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/036445
【国際公開番号】WO2005/047581
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(503308494)ヘクセル コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】