説明

こむら返り防止サポータ

【課題】足の親指だけに負担をかけることなく、かつ就寝中等のこむら返りの発生を安定して防止することができるこむら返り防止サポータを提供する。
【解決手段】つま先全体から中足骨を含む足先部が挿入される足先挿入部3と、足先挿入部3の両側に設けた装着用バンド部4a,4bと、各装着用バンド部4a,4bの先端部に設けた面ファスナー5a,5bとを備え、足先挿入部3に挿入されたつま先全体から中足骨を含む足先部及び甲をすね側に適度に引き寄せるように装着用バンド部4a,4bの先端側を足首側に引いて、装着用バンド部4a,4bを甲の上で交差するようにして足首の両側から巻き付け、装着用バンド部4a,4bの先端部同士を面ファスナー5a,5bにより足首の周囲に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝時等においてふくらはぎなどの筋肉が突然けいれんすることによって起こるこむら返りを防止するためのこむら返り防止サポータに関する。
【背景技術】
【0002】
就寝時において掛け布団の重み等によって足首が反った状態になっていると、ふくらはぎの筋肉が突然けいれんして、いわゆる「こむら返り」が起きることがある。こむら返りは、特に糖尿病や肝疾患のある人、高齢者、妊婦、スポーツ疲労の人などに起きやすいことが知られている。こむら返りが起きるとふくらはぎに激痛が生じるため、こむら返りが起きやすい人にとっては、就寝中にこむら返りが起きるのではないかと不安になり、安眠できなくなる。
【0003】
このため、就寝中等にこむら返りが起きるのを防止するための器具が従来より提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記特許文献1の器具は、先端に親指挿入部を有するゴム製の紐と、この紐の基端側を固定した輪状のクッションパッドを備えており、クッションパッドを足首に巻き付けて紐の親指挿入部に足の親指を挿入することで、就寝中等に足首が反ることを抑制して、こむら返りが起きるのを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3089365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1の器具では、ゴム製の紐の親指挿入部に足の親指を挿入して、ゴムの弾性力で足の親指を甲側へ大きく反らすように保持している。このため、長時間装着すると親指だけに負担が生じ、親指の付け根部の関節に痛みが発生するおそれがある。
【0007】
また、就寝中に足首に巻き付けたクッションパッドの位置がずれると、親指が紐の親指挿入部から簡単に外れるおそれがあり、就寝中におけるこむら返りの発生を安定して防止できなくなる。
【0008】
そこで、本発明は、長時間装着しても足の親指だけに負担をかけることなく、かつ就寝中等におけるこむら返りの発生を安定して防止することができるこむら返り防止サポータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために本発明のこむら返り防止サポータは、つま先全体から中足骨を含む足先部が挿入される足先挿入部と、前記足先挿入部の両側にそれぞれ設けた帯状のバンド部と、前記各バンド部の先端部にそれぞれ設けられ、該各バンド部の先端部同士を着脱自在に固定するための固定部材とを備え、前記足先挿入部に挿入したつま先全体から中足骨を含む足先部及び甲をすね側に適度に引き寄せるように前記各バンド部の先端側を足首側に引いて、前記各バンド部を甲の上で交差するようにして足首の両側から巻き付け、該各バンド部の先端部同士を前記各固定部材により足首の周囲に固定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るこむら返り防止サポータによれば、足先挿入部につま先全体から中足骨を含む足先部を挿入し各バンド部の先端側を足首側に引いて、各バンド部を甲の上で交差するようにして足首の周囲に巻き付けて固定することにより、足先挿入部に挿入された足先部(つま先全体から中足骨付近)及び甲がすね側に適度に引き寄せられた状態に確実に保持することができる。これにより、こむら返りの要因となる足首(甲)の反りやつま先の足裏方向への屈曲が抑えられ、安定して就寝中等におけるこむら返りの発生を防止することができる。
【0011】
更に、足先挿入部につま先全体から中足骨を含む足先部を挿入するので、長時間使用しても足先の一部(例えば、足の親指だけ)に負担がかかることはなく、足先部に痛みが生じることはない。
【0012】
また、各バンド部を甲の上で交差するようにして足首の周囲に巻き付けて各固定部材で固定する構成なので、長時間使用しても足首に痛みが生じることはない。更に、各バンド部を甲の上で交差するようにして足首の周囲に巻き付けて各固定部材で固定する構成なので、こむら返り防止サポータを装着する人に応じて、足先部(つま先全体から中足骨付近)をすね側に適切な角度に引き寄せた状態に容易に調節することができ、かつ引き寄せた状態を安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るこむら返り防止サポータの外観を示す概略図。
【図2】(a)〜(d)は、本実施形態に係るたこむら返り防止サポータを足に装着するときの手順を示す図。
【図3】本実施形態に係るたこむら返り防止サポータを足に装着した状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るこむら返り防止サポータの外観を示す概略図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るこむら返り防止サポータ1は、上部カバー部2を縫着して先端側が閉じ挿入側が開口したポケット状の足先挿入部3と、足先挿入部3の両側にそれぞれ一体的に形成された帯状の装着用バンド部4a,4bを有しており、ポリエステル等の化学繊維によって折り曲げ自在で、通気性及び若干の伸縮性を有するように作製されている。
【0016】
足先挿入部3は、つま先L1から中足骨L2付近までの足先部が挿入される大きさに形成されている。装着用バンド部4aの先端側の上面部及び装着用バンド部4bの先端側の背面部には、面ファスナー5a,5bがそれぞれ取り付けられている。なお、図1では、一方の装着用バンド部4aを折り曲げているが、他方の装着用バンド部4bも同様に折り曲げ自在である。
【0017】
次に、上記したこむら返り防止サポータ1を足に装着するときの手順を、図2(a)〜(d)を参照して説明する。なお、図2(a)〜(d)では、右足にこむら返り防止サポータ1を装着する例であるが、左足にも同様に装着することができる。この場合は、このこむら返り防止サポータ1全体を180度反転して裏返しにするか、又は、図2(b)において、右手(不図示)で左側の装着用バンド部4bの先端を先に手前側(足のすね側)に持ってきて、足首の右側から沿わせることで、同様に左足に装着することができる。
【0018】
図2(a)に示すように、脚部Lの足先部全体(つま先から中足骨付近(図1参照))をポケット状の足先挿入部3に挿入する。なお、足先挿入部3は、そのつま先挿入方向の長さがつま先から中足骨付近までの長さしかないので、中足骨付近よりも後ろ側が足先挿入部3内に挿入されることはない。
【0019】
そして、図2(b)に示すように、不図示の右手又は左手で右側(小指側)の装着用バンド部4aの先端側を甲の上からねじるようにして足首側に持ってきて、足首の左側に沿わせるようにする。この際、装着用バンド部4aの先端部に設けた面ファスナー5aは表面側(足首と接する側と反対側)を向いている。なお、図2(b)では、左側(親指側)の装着用バンド部4bの先端側をすね側後方に折り曲げている。
【0020】
そして、図2(c)に示すように、装着用バンド部4aの先端側を足首の後ろ側(すねと反対側)で保持した状態で、不図示の左手又は右手で装着用バンド部4bの先端側を甲の上からねじるようにして足首側に持ってきて、足首の右側に沿わせるようにする。この際、装着用バンド部4bの先端部に設けた面ファスナー5bは背面側(足首と接する側)を向いている。この状態では、甲の上で装着用バンド部4aと装着用バンド部4bが交差されている。
【0021】
そして、図2(d)に示すように、装着用バンド部4a,4bの先端側を足首の後ろ側に少し引いて、甲と一体に足先挿入部3に挿入された足先部全体(つま先から中足骨付近)をすね側に適度に引き寄せ、この状態で装着用バンド部4a,4bの先端側を足首の周囲に沿って巻き付け、面ファスナー5a,5b同士を密着させて固定する。
【0022】
これにより、図2(d)、図3に示すように、こむら返り防止サポータ1の装着用バンド部4a,4bが甲の上で交差するようにして足首の後ろ側に固定されるので、足先挿入部3に挿入された足先部全体(つま先から中足骨付近)がすね側に適度に引き寄せられた状態に確実に保持することができる。そして、図2(d)、図3に示したように、こむら返り防止サポータ1を足に装着した状態で就寝することで、こむら返りの要因となる足首(甲)の反りやつま先(特に親指)の足裏方向への屈曲が抑えられ、就寝中におけるこむら返りの発生を安定して防止することができる。
【0023】
更に、本実施形態のこむら返り防止サポータ1は、足先挿入部3に足先部全体(つま先から中足骨付近)を挿入するので、長時間使用しても足先の一部(例えば、親指)に負担がかかることはなく、足先部に痛みが生じることはない。また、装着用バンド部4a,4bを甲の上で交差するようにして足首の後ろ側で面ファスナー5a,5bで確実に固定する構成なので、こむら返り防止サポータ1を装着する人に応じて、足先部(つま先全体から中足骨付近)をすね側に適切な角度に引き寄せた状態に容易に調節することができ、かつ引き寄せた状態を安定して保持することができる。
【0024】
なお、前記した実施形態のこむら返り防止サポータ1において、足先挿入部3の挿入される足裏側が接する面に、所定の剛性を有するパッド部材を取り付けてもよい。また、こむら返り防止サポータ1の足先挿入部3の先端側の形状を右足と左足に合わせて2個作製し、右足専用のこむら返り防止サポータと左足専用のこむら返り防止サポータを作製してもよい。
【0025】
また、前記実施形態では就寝中に前記こむら返り防止サポータ1を足に装着しておく例であったが、これ以外にも、例えば、就寝前に前記こむら返り防止サポータ1を足に数分から数十分間装着するだけでも、こむら返りの発生を予防することができる。
【0026】
更に、スポーツする前のストレッチ運動時に前記こむら返り防止サポータ1を足に装着しておくことにより、スポーツ時におけるこむら返りの発生を予防することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 こむら返り防止サポータ
2 上部カバー部
3 足先挿入部
4a,4b 装着用バンド部
5a,5b 面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
つま先全体から中足骨を含む足先部が挿入される足先挿入部と、前記足先挿入部の両側にそれぞれ設けた帯状のバンド部と、前記各バンド部の先端部にそれぞれ設けられ、該各バンド部の先端部同士を着脱自在に固定するための固定部材とを備え、
前記足先挿入部に挿入したつま先全体から中足骨を含む足先部及び甲をすね側に適度に引き寄せるように前記各バンド部の先端側を足首側に引いて、前記各バンド部を甲の上で交差するようにして足首の両側から巻き付け、該各バンド部の先端部同士を前記各固定部材により足首の周囲に固定することを特徴とするこむら返り防止サポータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−183259(P2012−183259A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50106(P2011−50106)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(501299392)
【Fターム(参考)】