説明

ころ軸受製造装置及びころ軸受の製造方法

【課題】溝型のころ軸受を製造する際に、簡単に複数のローラを溝に配置することができる、ころ軸受製造装置及びころ軸受製造方法を提供する。
【解決手段】前記内輪に当接し、軸方向が水平方向に沿うように前記内輪を支持する、内輪支持面と前記内輪支持面により支持された前記内輪の上部で前記溝に接続され、前記内輪の上方から前記溝に前記複数のローラを供給する、ローラ供給路と、前記溝と対向するように配置され、前記複数のローラの外周面と当接することにより、供給された前記複数のローラを前記溝に沿わせて下方に導く、ローラガイド面とを具備する。前記ローラ供給路と前記溝との接続部分における軸方向他端側、及び、前記ローラガイド面の軸方向他端側には、軸方向他端側から前記外輪を挿入するためのスペースが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ころ軸受製造装置及びころ軸受の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内輪、外輪、及び複数のころ(ローラ)を有し、各ローラは円筒型又は円柱型である、ころ軸受が知られている。このようなころ軸受けにおいて、外輪は、その内周面が内輪の外周面と対向するように配置される。複数のローラは、内輪の外周面と外輪の内周面との間に介装される。複数のローラにより、内輪を回転させることが可能である。
【0003】
上述のようなころ軸受を製造する場合、内輪の外周面に沿って複数のローラを配置する必要がある。複数のローラを簡単に配置できるようにする技術が望まれている。関連する技術が記載された文献として、例えば、特許文献1(特開2008−68374号公報)、及び特許文献2(特開2008−200789号公報)が挙げられる。
【0004】
特許文献1には、中心軸とハウジングとで円環状空間を形成し、その円環状空間に供給された円筒ころを中心軸の回転で軸周りに連れ回すことにより定数の円筒ころを円環状に整列させる、軸受機構の組立装置が開示されている。この組立装置は、中心軸を水平軸とし、ハウジングに、中心軸の上方から円筒ころを軸方向に平行な向きで落下させるシュート口を開放させ、先に落下した円筒ころがシュート口の下方から軸回転方向に移動すると後続の円筒ころが中心軸に落下するように構成され、連れ回される先頭の円筒ころをシュート口から落下する後続の円筒ころの手前で停止させるストッパを備えている。この組立装置には、円環状空間に対して軸方向に進退可能なプッシャが設けられている。円環状空間に整列した定数の円筒ころは、プッシャにより、外方部材(外輪)の内方に押し出される。その後、プッシャを後退させられるとともに、内方部材(内輪)を外方部材の内側に挿入される。
【0005】
特許文献2には、玉軸受の玉等配方法が記載されている。この等配方法は、玉軸受の内外輪間に収容された複数の玉を内外輪間の円周方向の3つの領域に分配し、各領域に分配された複数の玉の各玉間に、各領域の玉の数に応じて玉分け治具に突設される複数の作業矢の先端を軸方向に順次挿入して、複数の玉を円周方向に等間隔に配列する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−68374号公報
【特許文献2】特開2008−200789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ころ軸受として、内輪の外周面に設けられた溝を有し、複数のローラはその溝に配置されているものがある。このような溝型のころ軸受を製造する場合、溝の側壁が障害になるため、複数のローラを軸方向から挿入することはできない。従って、特許文献1に記載された技術は、溝型のころ軸受に対しては適用できない。
【0008】
また、特許文献2には、ローラがボール状である玉軸受に関する技術が記載されている。しかし、ローラが円筒型又は円柱型であるころ軸受を製造する場合に簡単に複数のローラを配列させる点に関しては、記載されていない。
【0009】
従って、本発明の目的は、溝型のころ軸受を製造する際に、簡単に複数のローラを溝に配置することができる、ころ軸受製造装置及びころ軸受製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るころ軸受製造装置は、外周面に周方向に沿って伸びる環状の溝(6)が形成された内輪(4)、回転軸が軸方向に沿うように溝(6)に配置された複数の円筒型又は円柱型のローラ(5)、及び、内周面が内輪(4)の外周面に対向するように配置された外輪(3)を有し、外輪(3)の内周面は複数のローラ(5)に接するころ軸受(1)を製造するための、ころ軸受製造装置である。このころ軸受製造装置は、内輪(4)に当接し、軸方向が水平方向に沿うように内輪(4)を支持する、内輪支持面(19)と、内輪支持面(19)により支持された内輪(4)の上部で溝(6)に接続され、内輪(4)の上方から溝(6)に複数のローラ(5)を供給する、ローラ供給路(15)と、溝(6)と対向するように配置され、複数のローラ(5)の外周面と当接することにより、複数のローラ(5)を溝(6)に沿わせて下方に導く、ローラガイド面(18)とを具備する。ローラガイド面(18)は、複数のローラ(5)の各々の外周面の軸方向一端側と当接し、各ローラ(5)の外周面の軸方向他端側とは接しないように設けられている。ローラ供給路(15)と溝(6)との接続部分における軸方向他端側、及び、ローラガイド面(18)の軸方向他端側には、軸方向他端側から外輪(3)を挿入するためのスペース(21)が形成されている。
【0011】
上述の発明によれば、ローラーガイド面(18)が設けられていることにより、溝(6)に供給された複数のローラ(5)を溝(6)に沿わせて配列させることができる。ここで、ローラーガイド面(18)は、各ローラ(5)の外周面の軸方向他端側とは接しないように設けられている。そのため、ローラガイド面(18)の軸方向他端側に、外輪(3)を挿入するためのスペース(21)を形成することができる。このスペース(21)に外輪(3)を挿入すれば、溝(6)に沿って配列された複数のローラ(5)は、外輪(3)によって支持される。そのため、ローラガイド面(18)から内輪(4)及び外輪(3)を離しても、複数のローラ(5)は内輪(4)と外輪(3)との間に保持され、脱落しない。これにより、ころ軸受を簡単に製造することができる。
【0012】
上述のころ軸受製造装置は、更に、接続部分に着脱自在に取り付けられ、接続部分においてスペース(21)を閉塞する、ストッパ部材(16)を具備することが好ましい。
【0013】
ローラ供給路(15)は、蓋部材(7)に形成されており、蓋部材(7)は、ストッパ部材(16)を回転可能に支持する、ストッパ回転軸部材(35)を備えており、ストッパ回転軸部材(35)は、ストッパ部材(16)を軸方向一端側に付勢させるスプリング(30)を備えていることが好ましい。
【0014】
内輪支持面(19)は、支持部材(8)の上端面に形成されており、蓋部材(7)は、内輪(4)が蓋部材(7)と支持部材(8)とで挟まれるように、支持部材(8)上に配置され、ローラガイド面(18)は、支持部材(8)の上端面と蓋部材(7)の下端面との双方に形成されていることが好ましい。
【0015】
支持部材(8)及び蓋部材(7)は、複数のローラ(5)を外部から視認することができるように、透明部材により形成されていることが好ましい。
【0016】
上述のころ軸受製造装置は、更に、複数のローラ(5)が装填される、ローラ箱(13)を具備し、蓋部材(8)には、ローラ箱(13)が接続される、ローラ箱接続部材(14)が取り付けられており、ローラ供給路(15)は、ローラ箱接続部材(14)に取り付けられたローラ箱(13)から複数のローラ(5)を受け入れるように構成されていることが好ましい。
【0017】
ローラ供給路(15)は、溝(6)の鉛直上方の最上部に接続されていることが好ましい。
【0018】
ローラ供給路(15)は、鉛直方向に対して傾斜して伸びる、傾斜部を有していることが好ましい。
【0019】
本発明に係るころ軸受の製造方法は、上述のころ軸受製造装置を準備する工程と、内輪支持面(19)上に、軸方向が水平方向に沿うように、内輪(4)を載置する工程と、ローラ供給路(15)を介して、溝(6)に複数のローラ(5)を供給する工程と、複数のローラ(5)を供給する工程の後に、スペース(21)に、軸方向他端側から外輪(3)を挿入する工程とを具備する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、溝型のころ軸受を製造する際に、簡単に複数のローラを溝に配置することができる、ころ軸受製造装置及びころ軸受製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ころ軸受を示す側面図である。
【図2】ころ軸受を軸方向側から見たときの図である。
【図3】ころ軸受製造装置を概略的に示す側面図である。
【図4】ころ軸受製造装置を軸方向側から見たときの概略図である。
【図5】図4の一部を拡大して示す図である。
【図6A】図5におけるAA’に沿う断面図である。
【図6B】図5におけるBB’に沿う断面図である。
【図6C】図5のCC’に沿う断面図である。
【図7】ストッパ部材を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るころ軸受製造装置について説明する。
【0023】
まず、本実施形態に係るころ軸受製造装置によって製造されるころ軸受について説明する。図1は、ころ軸受1を示す側面図である。図1に示されるように、このころ軸受1は、球状体2の2箇所に取り付けられている。ころ軸受け1は、球状体2の両側部に取り付けられている。一方のころ軸受1−1と他方のころ軸受1−2とは、回転軸cが一致するように、配置されている。
【0024】
図1に示されるように、ころ軸受1は、内輪4、外輪3、及び複数のローラ5を備えている。外輪3の内周面は、内輪4の外周面と対向している。内輪4の外周面には、溝6が設けられている。複数のローラ5は、円筒型又は円柱型である。各ローラ5は、その長さが溝6の幅に対応しており、中心軸が軸c方向に沿うように溝6に配置されている。
【0025】
図2は、ころ軸受1を軸c方向側から見たときの図である。図2に示されるように、溝6は、周方向に沿って伸びており、環状である。複数のローラ5は、溝6に沿って配置されており、内輪4と外輪3とによって挟まれている。外輪3の内周面は、複数のローラ5に接している。このような構成により、複数のローラ5が溝6に沿って回転し、内輪4が軸c周りに回転する。
【0026】
本実施形態に係るころ軸受製造装置は、上述のようなころ軸受を製造するために用いられる。以下に、ころ軸受製造装置について説明する。
【0027】
図3は、ころ軸受製造装置を概略的に示す側面図である。このころ軸受製造装置は、第1機構9−1、第2機構9−2、及び連結軸部材10を備えている。第1機構9−1は一方のころ軸受1−1を製造するために用いられる部分である。第1機構9−1は、床面から立ち上がるように伸びる支持部材8−1と、支持部材8−1上に配置される蓋部材7−1とを備えている。第2機構9−2は他方のころ軸受1−2を製造するために用いられる部分である。第2機構9−2は、第1機構9−1と同様に、支持部材8−2及び蓋部材7−2を備えている。製造時には、一方のころ軸受1−1の内輪4−1が支持部材8−1によって支持され、他方のころ軸受1−2の内輪4−2が支持部材8−2によって支持される。連結軸部材10は、支持部材8−1と支持部材8−2とを、距離が可変となるように連結している。連結軸部材10により、支持部材8−1と支持部材8−2との間の距離を調整することができ、各支持部材8は、各内輪4を最適な位置で支持することが可能である。
【0028】
第1機構9−1と第2機構9−2とは、実質的に同じ構成を有している。従って、以下の説明については、一方の機構の構成及び動作についてのみ説明を行うことにする。
【0029】
図4は、ころ軸受製造装置を軸c方向側から見たときの概略図である。図4に示されるように、支持部材8の上端面には、内輪4の外周形状に対応する内輪支持面19が形成されている。内輪支持面19は、内輪4の下半分と当接しており、軸c方向が水平方向に沿うように、内輪4を支持している。
【0030】
蓋部材7は、支持部材8の上端面の上に配置されている。蓋部材7の下端面には、内輪4の外周形状に対応する内輪固定面20が形成されている。内輪固定面20は、内輪4の上半分と当接しており、内輪4を固定している。
【0031】
蓋部材7と支持部材8とは、連結部材11によって連結されている。連結部材11は、下端で支持部材8に固定されている。連結部材11の上端は、回転軸部材12を介して蓋部材7に連結されている。蓋部材7は、回転軸部材12周りに回転可能である。蓋部材7を回転軸部材12周りに回転させることで、蓋部材7を内輪4から離すことも可能であるし、蓋部材7を内輪4上に位置させることも可能である。
【0032】
蓋部材7には、ローラ供給路15、ローラ箱接続部材14、及びストッパ部材16が取り付けられている。
【0033】
ローラ供給路15は、溝6に複数のローラ5を供給するために設けられている。ローラ供給路15の一端には、複数のローラを受け入れる受け入れ口36が設けられている。ローラ供給路15は、ローラ受け入れ口36から下方に向かって伸びている。ここで、ローラ供給路15は、鉛直方向に沿って延びているのではなく、鉛直方向に対して傾斜して伸びている。
【0034】
ローラ供給路15の他端は、内輪4の溝6に接続されている。ここで、ローラ供給路15は、内輪4の最上部で、溝6に接続されている。
【0035】
ローラ箱接続部材14は、ローラ箱13を着脱自在に接続するために設けられている。ローラ箱13は、複数のローラ5が装填される空間(ローラ装填空間37)を備えている。また、ローラ箱13には、ローラ装填空間37を開閉するピン34が取り付けられている。ピン34が取り付けられる位置を調整することにより、ローラ装填空間37の大きさを調整することができる。ピン34は、ローラ装填空間37の大きさが必要な個数のローラ5に対応する大きさになるような位置に、取り付けられている。ローラ箱13の下端は、ローラ箱接続部材14に取り付けられたときに、ローラ供給路15の受け入れ口36に接続される。ローラ箱接続部材14にローラ箱13を取り付け、ピン34によりローラ装填空間37を開放すると、複数のローラ5は、重力により転がり、受け入れ口36からローラ供給路15へ導かれる。
【0036】
ローラ供給路15に導かれた複数のローラ5は、ローラ供給路15内を転がり、溝6に供給される。供給された複数のローラ5は、溝6とローラ供給路15との接続部分から、溝6に沿って下方に導かれる。これにより、溝6の全周に複数のローラ5が配列する。
【0037】
ストッパ部材16は、複数のローラ5をスムーズに溝6に供給するために設けられている。ストッパ部材16の詳細については、後述する。
【0038】
本実施形態では、支持部材8及び蓋部材7に、複数のローラ5をスムーズに溝6に配列させるための工夫が施されている。以下に、この点について詳述する。
【0039】
図5は、図4の一部を拡大して示す図であり、内輪4とその近傍を示している。図5に示されるように、支持部材8の上端面には、内輪支持面19に加え、ローラガイド面18が形成されている。また、支持部材8の上端面及び蓋部材7の下端面は、外輪3を挿入するためのスペース21が確保されるように、形成されている。
【0040】
まず、支持部材8の上端面の形状について、説明する。
【0041】
図6Aは、図5におけるAA’に沿う断面図である。図6Aに示されるように、支持部材8は、支持板23、ガイド板24、及び外板25を備えている。これらは、軸方向一端側から、支持板23、ガイド板24、及び外板25の順番に配置されるように、貼り合わされている。
【0042】
図6Aに示されるように、内輪支持面19は、支持板23の上端面に形成されている。内輪支持面19は、内輪4の軸方向一端側で、内輪4の外周面に当接し、内輪4を支持している。ここで、溝6には複数のローラ5が配置される。そのため、内輪支持面19は、溝6よりも軸方向の一端側で、内輪4を支持している。
【0043】
ローラガイド面18は、ガイド板24の上端面に形成されている。ローラガイド面18は、溝6に供給された複数のローラ5を溝6に沿わせて下方に導くために設けられている。ローラガイド面18は、溝6と対向するように設けられている。ここで、ローラガイド面18は、溝6に配置された各ローラ5の外周面の軸方向一端側だけと当接するように、配置されている。すなわち、各ローラの外周面の溝方向他端側は、ローラガイド面18と当接しない。各ローラ5は、外周面の軸方向一端側で、ローラガイド面18によって支持される。
【0044】
ローラガイド面18の軸方向他端側には、外輪3を挿入するためのスペース21が形成されている。すなわち、外板25の上端面は、ローラガイド面18よりも内輪4から離れた位置に設けられている。
【0045】
次いで、蓋部材7の下端面の形状について説明する。
【0046】
図6Bは、図5におけるBB’に沿う断面図である。図6Bに示されるように、蓋部材7は、固定板26、ガイド板27、及び外板28を備えている。これらは、軸方向一端側から、固定板26、ガイド板27、及び外板28の順番に配置されるように、貼り合わされている。
【0047】
蓋部材7の下端面も、支持部材8の上端面と同様に、段差形状を有している。内輪固定面20は、固定板26の下端面に形成されている。内輪支持面19と同様に、内輪固定面20も、内輪4の軸方向一端側で内輪4の外周面に当接し、内輪4を固定している。
【0048】
また、蓋部材7において、ローラガイド面18は、ガイド板27の下端面に形成されている。支持部材8と同様に、蓋部材7においても、ローラガイド面18は、溝6に配置された各ローラ5の外周面の軸方向一端側だけと当接するように、配置されている。そして、支持部材8と同様に、ローラガイド面18の軸方向他端側には、外輪3を挿入するためのスペース21が形成されている。すなわち、外板28の下端面は、ローラガイド面18よりも内輪4から離れた位置に設けられている。
【0049】
続いて、ローラ供給路15と溝6との接続部分の構成について説明する。図6Cは、図5のCC’に沿う断面図である。図6Cに示されるように、ローラ供給路15は、固定板26と外板28との間に形成されている。ここで、ローラ供給路15と溝6との接続部分では、スペース21が形成されるように、ローラ供給路15の軸方向他端側が開放されている。
【0050】
上述のように、接続部分においてスペース21が形成されていると、接続部分において各ローラ5がスペース21に引っかかり、複数のローラ5をスムーズに溝6に供給することが困難になる場合がある。そこで、この接続部分におけるスペース21を閉塞するように、ストッパ部材16が設けられている。以下に、ストッパ部材16の構成について説明する。
【0051】
図7は、ストッパ部材16を概略的に示す断面図である。図7に示されるように、ストッパ部材16は、平板部29及び突出部22を備えている。平板部29は、平板状であり、蓋部材7の表面と平行になるように配置されている。突出部22は、平板部29から軸方向一端側に向かって突き出ている。突出部22は、スペース21を閉塞する部分であり、その形状は接続部分21におけるスペース21に対応している。平板部29は、ストッパ回転軸部材35に連結されている。ストッパ回転軸部材35は、軸部材32、連結部材33、固定部材31、及びスプリング部材30を有している。軸部材32は、蓋部材7を貫通するように伸びており、軸方向他端側で平板部29に連結されている。軸部材32は回転可能である。連結部材33は、蓋部材7の軸方向一端側に配置されており、軸部材32に固定されている。固定部材31は、蓋部材7の軸方向一端側の表面に固定されている。スプリング部材30は、連結部材33と固定部材31との間に圧縮されて挿入されており、一端で連結部材33に連結され、他端で固定部材31に連結されている。
【0052】
上述のような構成により、ストッパ部材16は、軸部材32周りに回転することが可能である。また、スプリング部材30により、ストッパ部材16は、軸方向一端側へ向かって付勢される。従って、突出部22がスペース21に対応する位置に移動するまでストッパ部材16を回転させると、スプリング部材30による付勢力により、突出部22がスペース21に自ずと嵌まり込む。その後、ストッパ部材16を軸方向他端側に引き、ストッパ部材16を回転させれば、突出部22を簡単にスペース21から外すことが可能である。すなわち、ストッパ部材16は、接続部分におけるスペース21に対して、着脱自在に取り付けられている。
【0053】
続いて、上述のころ軸受製造装置の使用方法(ころ軸受の製造方法)について説明する。
【0054】
まず、支持部材8−1及び支持部材8−2上に、球状体2の両側部に取り付けられた内輪(4−1、4−2)を載せ、蓋部材(7−1、7−2)を回転軸部材12(図4参照)周りに回転させる。これにより、図3に示されるように、内輪4が支持部材8により支持されると共に、蓋部材7によって固定される。この際、連結軸部材10によって支持部材8−1と支持部材8−2との間隔を調整することにより、最適な位置で内輪4(4−1、4−2)を支持させることが可能である。
【0055】
また、ローラ箱13に、複数のローラ5を装填する。この際、図4に示したように、ローラ装填空間37の大きさが必要な個数のローラ5に対応する大きさとなるように、ピン34の取り付け位置が調節されている。従って、作業者は、ローラ5の数を数える必要がなく、簡単に必要な個数のローラ5を装填することが可能である。
【0056】
そして、複数のローラ5が装填されたローラ箱13を、ローラ箱接続部材14に接続する。
【0057】
次いで、ストッパ部材16を回転させ、ローラ供給路15と溝6との接続部分において、スペース21を閉塞する。
【0058】
次いで、ローラ箱13のピン34を引き、ローラ装填空間37を開放する。これにより、ローラ箱13からローラ供給路15に、複数のローラ5が導かれる。
【0059】
複数のローラ5は、ローラ供給路15内を流れ、溝6に供給される。
【0060】
ここで、本実施形態では、ローラ供給路15が傾斜して延びている。そのため、ローラ供給路15と溝6との接続部分において、各ローラ5に加わる後続のローラ5の荷重を少なくすることができる。仮に、ローラ供給路15が鉛直方向に伸びているとすると、接続部分において各ローラ5に後続ローラの全荷重が加わる。この場合、接続部分においてローラ5が詰まり易くなり、溝6に沿って複数のローラ5を配置しにくくなる。これに対して、本実施形態では、後続ローラによって加えられる荷重を少なくすることができるので、接続部分でローラ5が詰まることを防止できる。
【0061】
また、本実施形態では、ストッパ部材16により、接続部分におけるスペース21が閉塞されている。従って、ローラ5がスペース21により引っかかることを防止でき、溝6にスムーズにローラ5を供給することができる。
【0062】
溝6に供給された複数のローラ5は、溝6に沿い、下方へ導かれる。ここで、ローラガイド面18が設けられているため、複数のローラ5は、溝6から脱落することなく、下方へ導かれる。
【0063】
また、本実施形態では、ローラ供給路15が、溝6の鉛直上方の最上部に接続されている。そのため、溝6において、ローラ供給路15との接続部分よりも低い部分は存在しない。そのため、全てのローラ5を、重力により、溝6に配列させることが可能である。
【0064】
全てのローラ5が溝6にされた後、ストッパ部材16を回転させ、接続部分におけるスペース21を開放する。
【0065】
その後、図6A及び図6Bに示したように、外輪3を、軸方向他端側から、スペース21に挿入する。このとき、ローラガイド面18などが存在するため、外輪3を完全に挿入することはできない。しかし、各ローラ5の外周面の軸方向他端側は、外輪3によって支持することができる。
【0066】
その後、回転軸部材12(図4参照)を軸として蓋部材7を回転させ、蓋部材7を内輪4から離す。そして、外輪3及び内輪4を持ち上げ、支持部材8から離す。この際、複数のローラ5は、軸方向他端側で外輪3によって支持されている。従って、複数のローラ5は、ローラガイド面18から離れるにもかかわらず、溝6から脱落することはない。外輪3及び内輪4を持ち上げた後に、外輪3を更に軸方向一端側に押し込む。これにより、ころ軸受が製造される。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、ローラガイド面18を設けることにより、複数のローラ5を脱落することなく溝6に沿って配列させることが可能である。
【0068】
また、複数のローラ5が、軸方向一端側でのみローラガイド面18により支持されるので、スペース21を形成することができる。このスペース21により、外輪3を軸方向他端側から挿入することができる。これにより、溝6から複数のローラ5が脱落することなく、ころ軸受を支持部材8上から取り外すことができる。
【0069】
更に、本実施形態では、ストッパ部材16を取り付けているため、スペース21が形成されているにもかかわらず、ローラ供給路15と溝6との接続部分で複数のローラ5が詰まってしまうことが防止される。
【0070】
また、本実施形態では、ローラ供給路15が傾斜しているので、溝6に供給されたローラに後続ローラの荷重が集中することがなく、ローラ5により接続部分が詰まってしまうことが防止される。
【0071】
更に、本実施形態では、ローラ供給路15が、溝6の鉛直方向の最上部に接続されている。そのため、重力だけを利用して、全てのローラ5を溝6の全周に配列させることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 ころ軸受
2 球状体
3 外輪
4 内輪
5 ローラ
6 溝
7 蓋部材
8 支持部材
9−1 第1機構
9−2 第2機構
10 連結軸部材
11 連結部材
12 回転軸部材
13 ローラ箱
14 ローラ箱接続部材
15 ローラ供給路
16 ストッパ部材
17 回転軸
18 ローラガイド面
19 内輪支持面
20 内輪固定面
21 スペース
22 突出部
23 支持板
24 ガイド板
25 外板
26 固定板
27 ガイド板
28 外板
29 平板部
30 スプリング部材
31 固定部材
32 軸部材
33 連結部材
34 ピン
35 ストッパ回転軸部材
36 受け入れ口
37 ローラ装填空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に周方向に沿って伸びる環状の溝が形成された内輪、回転軸が軸方向に沿うように前記溝に配置された複数の円筒型又は円柱型のローラ、及び、内周面が前記内輪の外周面に対向するように配置された外輪を有し、前記外輪の内周面は複数のローラに接するころ軸受を製造するための、ころ軸受製造装置であって、
前記内輪に当接し、軸方向が水平方向に沿うように前記内輪を支持する、内輪支持面と
前記内輪支持面により支持された前記内輪の上部で前記溝に接続され、前記内輪の上方から前記溝に前記複数のローラを供給する、ローラ供給路と、
前記溝と対向するように配置され、前記複数のローラの外周面と当接することにより、供給された前記複数のローラを前記溝に沿わせて下方に導く、ローラガイド面と、
を具備し、
前記ローラガイド面は、前記複数のローラの各々の外周面の軸方向一端側と当接し、前記各ローラの外周面の軸方向他端側とは接しないように設けられており、
前記ローラ供給路と前記溝との接続部分における軸方向他端側、及び、前記ローラガイド面の軸方向他端側には、軸方向他端側から前記外輪を挿入するためのスペースが設けられている
ころ軸受製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたころ軸受製造装置であって、
更に、
前記接続部分に着脱自在に取り付けられ、前記接続部分において前記スペースを閉塞する、ストッパ部材
を具備する
ころ軸受製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたころ軸受製造装置であって、
前記ローラ供給路は、蓋部材に形成されており、
前記蓋部材は、前記ストッパ部材を回転可能に支持する、ストッパ回転軸部材を備えており、
前記ストッパ回転軸部材は、前記ストッパ部材を軸方向一端側に付勢させるスプリングを備えている
ころ軸受製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたころ軸受製造装置であって、
前記内輪支持面は、支持部材の上端面に形成されており、
前記蓋部材は、前記内輪が前記蓋部材と前記支持部材とで挟まれるように、前記支持部材上に配置され、
前記ローラガイド面は、前記支持部材の上端面と前記蓋部材の下端面との双方に形成されている
ころ軸受製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたころ軸受製造装置であって、
前記支持部材及び前記蓋部材は、前記複数のローラを外部から視認することができるように、透明部材により形成されている
ころ軸受製造装置。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れかに記載されたころ軸受製造装置であって、
更に、
前記複数のローラが装填される、ローラ箱、
を具備し、
前記蓋部材には、前記ローラ箱が接続される、ローラ箱接続部材が取り付けられており、
前記ローラ供給路は、前記ローラ箱接続部材に取り付けられた前記ローラ箱から前記複数のローラを受け入れるように構成されている
ころ軸受製造装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載されたころ軸受製造装置であって、
前記ローラ供給路は、前記溝の鉛直上方の最上部に接続されている
ころ軸受製造装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載されたころ軸受製造装置であって、
前記ローラ供給路は、鉛直方向に対して傾斜して伸びる、傾斜部を有している
ころ軸受製造装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載されたころ軸受製造装置を準備する工程と、
前記内輪支持面上に、軸方向が水平方向に沿うように、前記内輪を載置する工程と、
前記ローラ供給路を介して、前記溝に前記複数のローラを供給する工程と、
前記複数のローラを供給する工程の後に、前記スペースに、軸方向他端側から前記外輪を挿入する工程と、
を具備する
ころ軸受の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−115868(P2011−115868A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273521(P2009−273521)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】