説明

すべり軸受

【課題】高面圧下で優れた耐疲労性を有するすべり軸受を提供する。
【解決手段】すべり軸受1を裏金層2、Al基合金中間層3及びAl基軸受合金層4から構成する。Al基軸受合金層4に、Alと他の2種類以上の元素とから成る金属間化合物であって粒径が0.5μm未満の金属間化合物を、8個/μm以上含ませる。Al基軸受合金層4に応力が加えられても、Al基軸受合金層4の塑性変形を防ぎ、すべり軸受1の耐疲労性を向上させることができ、高面圧下で優れた耐疲労性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏金層、Al基合金中間層、Al基軸受合金層を備えたすべり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
Al基軸受合金を内張りしたすべり軸受(Al軸受)は、一般に、Al基軸受合金層と裏金層とを、Al基合金中間層を介して接着してバイメタルを構成し、このバイメタルを機械加工して製造される。
このようなAl軸受は、初期なじみ性が比較的良好であり、高面圧で優れた耐疲労性及び耐摩耗性を有し、自動車や一般産業機械の高出力エンジンの軸受に用いられている。
ところが近年、更なるエンジンの高性能化によって、より高面圧に耐え得るような耐疲労性に優れたすべり軸受が要望されてきている。
【0003】
耐疲労性を向上させたすべり軸受としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。このすべり軸受は、Al基軸受合金層としてAl−Sn−Si系軸受合金層が用いられ、このAl基軸受合金層に、更にCr,Zrを添加した構成である。Al基軸受合金層にCr,Zrを添加することにより、Al基軸受合金層のAlの結晶粒界にAl−Crの2元系金属間化合物が析出し、Al結晶粒内の亜粒界にAl−Zrの2元系金属間化合物が析出し、これらの金属間化合物が、すべり軸受の耐疲労性の向上に作用しているとされる。
【特許文献1】特開2000−17363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近ではエンジンの軽量化が計られ、コンロッド等のすべり軸受が組付けられるハウジングの薄肉化が計られている。このハウジングの薄肉化に伴い、ハウジングの剛性は低下し、ハウジング自身が変形し易くなっている。そのため、すべり軸受が支える軸の動荷重等によって、ハウジング自身が変形し、これに伴い、すべり軸受自体も変形し易い状況になって、疲労が生じ易い状態になっている。このような繰り返し曲げが作用する環境で使用する軸受には、曲げ疲労強度の高いことが必要である。しかしながら、特許文献1のAl基軸受合金層は、強度と伸びが得られるが、曲げ応力を繰り返し受けると塑性変形し易く、早期に疲労するという問題があった。
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は高面圧下で優れた耐疲労性を有するすべり軸受を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意実験を重ね、特許文献1のAl基軸受合金層が塑性変形し易い原因を究明した。特許文献1のAl基軸受合金層は、マトリクスの結晶粒界にAl−Crの金属間化合物、結晶粒内の亜粒界にAl−Zrの金属間化合物が析出している。このAl基軸受合金層に繰り返し曲げ応力を作用させると、Al−Cr,Al−Zrの金属間化合物がマトリクスから離脱し、金属間化合物の存在による塑性変形の阻止を図れず、疲労に至ることがわかった。
【0007】
そして、Al−Cr,Al−Zrの金属間化合物がマトリクスから離脱する原因は、マトリクスとの結合が弱いからで、結合が強固であるならば、金属間化合物が離脱することはなく、曲げ疲労強度が向上するであろうとの推測の基に、Al基軸受合金層に2種類以上の元素を添加してAlとそれら2種類以上の元素との多元系金属間化合物を形成するようにすると、その多元系金属間化合物がマトリクスと強固に結合し、離脱し難いことを究明した。この場合、マトリクスと強固に結合して塑性変形を阻止する機能は、粒径が小さく、且つ、ある密度以上で分布している必要があることも併せて究明した。
【0008】
本発明は、このような鋭意実験の結果なされたもので、裏金層、Al基合金中間層及びAl基軸受合金層を備えたすべり軸受において、Alと他の2種類以上の元素とから成る金属間化合物であって粒径が0.5μm未満の金属間化合物を、8個/μm以上含んでいることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
本発明のすべり軸受の基本形態を、図1に示す。図1のすべり軸受1は、例えば鋼から成る裏金層2と、裏金層2上にAl基合金中間層3を介して接着されて設けられたAl基軸受合金層4との三層構造である。
【0010】
Al基軸受合金層に、2種類以上の元素を添加すると、これらの元素はAlと多元系金属間化合物を構成するほか、単独でもAlのマトリクス中に分散する。上記多元系金属間化合物のAl以外の構成元素は、マトリクス中にも分散しているため、多元系金属間化合物はマトリクスとの結合強度が高まる。このため、繰り返し曲げが作用しても離脱し難く、塑性変形を生じ難く、曲げ疲労強度が向上する。尚、多元系金属間化合物を構成するAl以外の元素は、請求項4に記載の金属元素から選択することが好ましい。例えば、Mn,Vを選択した場合、これらの元素はAlとAl−Mn−Vの多元系金属間化合物を生成するほか、Mn及びV単独でマトリクス中に存在するようになる。
【0011】
多元系金属間化合物がマトリクスの塑性変形を阻止する機能は、多元系金属間化合物が0.5μm未満の微細なもので、その分布密度が1μm当たり8個以上の場合に、効果的に発揮される。又、この範囲内の多元系金属間化合物であれば、マトリクスの伸びを損なわずに強靭化できる。
【0012】
ところで、Al軸受は、鋳造工程、圧延工程、圧接工程、熱処理(焼鈍)工程、機械加工工程を順に経て製造される。即ち、鋳造工程では、Al基軸受合金(Al基軸受合金層)を溶融して板状に鋳造する。鋳造された板状のAl基軸受合金は、圧延工程で圧延し、圧接工程で鋼板(裏金層)に薄いAl基合金板(Al基合金中間層)を介して圧接して軸受形成用板材にする。その後、軸受形成用板材を焼鈍し、最後に、軸受形成用板材を機械加工して半円筒状又は円筒状の軸受に形成する。この製造工程において、鋳造後のAl基軸受合金の圧延から軸受形成用板材の焼鈍のプロセスを経て0.5μm未満の微細な金属間化合物を析出させる。このようなAl基軸受合金を備えたすべり軸受は、高面圧下で優れた耐疲労性を有する。
【0013】
本発明では、Al基軸受合金層の硬さを、ビッカース硬さHvで50以上80未満とし、Al基合金中間層の硬さを、Al基軸受合金層の硬さに対して90〜120%とすることができる(請求項2)。
【0014】
Al基軸受合金層の硬さを、ビッカース硬さHvで50以上にすることにより、Al基軸受合金層が高出力エンジンに適用された場合における高荷重の作用下でも疲労を生じ難くすることができる。又、Al基軸受合金層の硬さを、ビッカース硬さHvで80未満にすることにより、良好ななじみ性を得ることができる。一方、Al基合金中間層の硬さを、Al基軸受合金層の硬さに対して90%以上にすることにより、Al基軸受合金層を介して受ける高荷重にも耐えることができ、又、すべり軸受の幅方向の端部からはみ出ることも無くなり、すべり軸受全体の耐疲労性を向上させることができる。又、Al基合金中間層の硬さを、Al基軸受合金層の硬さに対して120%以下にすることにより、Al基合金中間層を、Al基軸受合金層に加わる荷重が変化した時のクッションとして機能させることができ、Al基軸受合金層のなじみ性を維持することができる。
【0015】
このAl基軸受合金層に、Alと少なくともSiとから成る金属間化合物及び/又はSi粒子を含ませることができる(請求項3)。Alと少なくともSiとから成る金属間化合物を含ませることにより、Si粒子と同様に、相手軸に対してはラッピング作用を発揮し、耐疲労性を高める。又、Siは、マトリクスに固溶し、或いは、硬いSi粒子として晶出して、Al基軸受合金層の強度を増し、耐疲労性を向上させる。
【0016】
本発明では、Al基軸受合金層を、3〜20質量%のSnと、1.5〜8質量%のSiと、Mn,V,Mo,Cr,Co,Fe,Ni,W,Ti,Zrの内から2種類以上を選択して成る金属元素であって、その総量が0.01〜3質量%である金属元素と、実質的に残部がAlとから成る構成とすることができる(請求項4)。
【0017】
Al基軸受合金層にSnを3質量%以上含ませることにより、すべり軸受としての非焼付性、なじみ性、異物埋収性等の表面性能を改善することができ、Snの含有量を20質量%以下にすることにより、より高面圧に耐え得ることができる。
Al基軸受合金層にSiを1.5質量%以上含ませることにより、上記のSiの性能を十分に発揮することができ、Siの含有量を8質量%以下にすることにより、良好な耐疲労性を維持することができる。
【0018】
金属元素として、Mn,V,Mo,Cr,Co,Fe,Ni,W,Ti,Zrを用いることが好ましい。これらの金属元素は、Alと結合して、3元系(又はそれ以上の多元系)の金属間化合物を生成させることができるためである。又、この金属元素の総量を0.01%以上にすることにより、上述した金属間化合物の生成を多くすることができる。又、金属元素の総量を3質量%以下にすることにより、良好な耐疲労性を維持することができる。
【0019】
本発明では、Al基軸受合金層にCu,Zn,Mgの内から1種類以上を選択して成る元素であって、その総量が0.1〜7質量%である元素を少なくとも1種類を含んでいる構成とすることができる(請求項5)。
【0020】
Cu,Zn,Mgの内から1種類以上を選択して成る元素は、マトリクスに固溶する。これにより、マトリクス強度を高めることができる。
Cu,Zn,Mgの内から1種類以上を選択して成る元素の総量を0.1質量%にすることにより、上記作用を十分に発揮させることができ、総量を7質量%以下にすることにより、良好ななじみ性を維持することができる。
【0021】
更に、Al基合金中間層は、Al基軸受合金層に含まれる元素のうちの少なくとも2種類の元素を含み、且つ、それらの元素のうち、その含有量がAl基軸受合金層の含有量の50〜150%であるものを2種類以上含ませた構成とすることができる(請求項6)。
【0022】
この構成にすることにより、Al基合金中間層のヤング率の値は、Al基軸受合金層のヤング率の値と略等しくなり、すべり軸受に曲げ応力が加わっても、Al基軸受合金層とAl基合金中間層の各層内部に余計な歪みが生じてしまうことを防止でき、疲労によるクラックの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の効果を確認するために、表1に示す組成のAl基軸受合金層とAl合金中間層を用いて本発明のすべり軸受(実施例1〜5)及び従来構成のすべり軸受(比較例1〜5)を製作し、引張試験、曲げ疲労試験及び軸受疲労試験を行った。
【0024】
【表1】

【0025】
実施例1〜5の製造方法は次の通りである。まず、例えば、量産性に優れたベルト鋳造装置によってAl基軸受合金の板材を製造した。その後、この鋳造されたAl基軸受合金にAl基合金中間層を構成する薄い板材を圧接して複層アルミニウム合金板を製造し、この複層アルミニウム合金板を、裏金層を構成する鋼板に圧接して軸受形成用板材(バイメタル)を製造した。そして、軸受形成用板材を、350度を超え400度以下の温度にて数時間加熱する焼鈍を行った後の軸受形成用板材を機械加工して半割軸受を製造し、実施例1〜5とした。
【0026】
上記軸受形成用板材の焼鈍により、Al基軸受合金層のマトリクス中に金属間化合物が析出する。析出した金属間化合物は、表1の成分の場合、Al−Mn−Vの3元系金属間化合物が主たるものである。そして、この金属間化合物の大きさを電子顕微鏡よる組織写真から解析したところ、粒径が0.5μm未満の大きさのものが、1μm当たり、表1に示す個数認められた。尚、粒径は、電子顕微鏡で解析して得られた金属間化合物の結晶1個当たりの最大長さと定義する。
【0027】
一方、比較例1〜5の製造方法は、上記実施例の製造方法と相違し、軸受形成用板材の焼鈍温度が低く、例えば、300〜350度で行うものである。
このようにして得られたAl基軸受合金層では、Al−Mn−Vの金属間化合物の存在は認められ得るものの、表1に示す程度の少個数であった。
このような実施例1〜5、比較例1〜5に対して行った引張試験、曲げ疲労及び軸受疲労試験は次のようなものである。
【0028】
(1)引張試験
焼鈍を行った後の軸受形成用板材を機械加工して裏金層を除去し、Al基軸受合金層とAl基合金中間層の複層アルミニウム合金板状態とした。これからJIS5号試験片を製作し、引張試験を実施した。この引張試験結果を表2に示す。
【0029】
【表2】

【0030】
(2)曲げ疲労試験
焼鈍を行った後の軸受形成用板材を機械加工して試験片を製作し、曲げ疲労試験を実施した。この試験片は、総厚1.5mm、裏金層の厚さ1.2mm、Al基軸受合金層の厚さ0.3mmである。試験条件は、Al基軸受合金層表面の歪みが一定となるようにして、往復曲げを前記表面にクラックが発生するまで繰り返した。この曲げ疲労試験結果を表3に示す。
【0031】
【表3】

【0032】
(3)軸受疲労試験
この試験は、上述のようにして得た半割軸受に対して表4に示す条件にて実施した。その結果を表5に示す。
【0033】
【表4】

【0034】
【表5】

【0035】
次に、上記試験の結果について解析する。尚、表1中の硬さ比は、Al基軸受合金層の硬さHv(a)を、Al基合金中間層の硬さHv(b)で除し、その値を百分率で表したものである。
【0036】
引張試験の結果を考察するに、実施例1〜5は、比較例1〜5に比べて、引張強度及び伸びが共に優れていることが理解できる。
比較例1,2は、伸びは大きいが、引張強度が小さい。比較例3〜5は、引張強度は大きいが、伸びが小さい。
【0037】
一方、実施例1〜5は、粒径が0.5μm未満の金属間化合物の数が、比較例1〜5よりも多く存在し、これらの金属間化合物がマトリクス中の転位の移動を抑制することで塑性変形を生じさせ難くさせたため、引張強度が優れたと考えられる。
【0038】
又、実施例2と比較例2、実施例4と比較例4は、夫々Al基軸受合金層の組成成分が同じで構成されているが、実施例2は比較例2よりも引張強度が大きく、実施例4は比較例4よりも引張強度及び伸びが大きい。これは、上述のように、粒径が0.5μm未満の金属間化合物の数が、実施例2,4の方が比較例2,4よりも夫々多く存在したためであると考えられる。
【0039】
曲げ疲労試験の結果を考察するに、実施例1〜5は、比較例1〜5に比べて、曲げ疲労強度に優れていることが理解できる。
実施例1〜5は、粒径が0.5μm未満の金属間化合物の数が、比較例1〜5よりも多く存在し、これらの金属間化合物がマトリクス中の転位の移動を抑制することで、曲げ疲労強度を向上させることができたと考えられる。
【0040】
又、実施例2と比較例2は、Al基軸受合金層の組成成分が同じで構成されているが、実施例2は比較例2に対して、曲げ疲労強度に優れている。これは、Al基合金中間層が、Al基軸受合金層に含まれる元素のうちの少なくとも2種類の元素を含み、且つ、それらの元素のうち、その含有量がAl基軸受合金層の含有量の50〜150%であるものを2種類以上含む構成であるので、Al基合金中間層のヤング率の値が、Al基軸受合金層のヤング率の値と略等しくなり、すべり軸受に曲げ応力が加わっても、Al基軸受合金層とAl基合金中間層の各層内部に余剰な歪みが生じてしまうことを防止したためであると考えられる。
【0041】
更に、実施例3は、他の実施例よりも曲げ疲労強度に優れている。これは、Al基合金中間層が、Al基軸受合金層に含まれる元素のうちの少なくとも2種類の元素を含み、その夫々の元素の含有量がAl基軸受合金層の含有量の50〜150%にした構成であるので、前述したように、すべり軸受に曲げ応力が加わっても、Al基軸受合金層とAl基合金中間層の各層内部に余剰な歪みが生じてしまうことを防止したためであると考えられる。
【0042】
実施例2は、実施例1に比べ、曲げ疲労強度が向上している。この理由は、金属間化合物の量は比較的同等であるが、実施例2の方が実施例1よりも硬さ比が100%に近く(硬さの差が小さく)、又、Al基合金中間層とAl基軸受合金層を構成する成分に差がより小さいため、ヤング率に差が生じなかったと考えられる。
【0043】
実施例1〜5は、粒径が0.5μm未満の金属間化合物の数が、比較例1〜5よりも多く存在し、これらの金属間化合物がマトリクス中の転位の移動を抑制することで曲げ疲労強度を向上させたAl基軸受合金層を備えたため、最大面圧が大きくなったと考えられる。
【0044】
又、実施例2と比較例2、実施例4と比較例4は、夫々Al基軸受合金層の組成成分が同じで構成されているが、実施例2は比較例2に対して、実施例4は比較例4に対して最大面圧を大きくできた。これは、上述のように、粒径が0.5μm未満の金属間化合物の数が、実施例2,4の方が比較例2,4よりも夫々多く存在したためであると考えられる。
【0045】
実施例2は、実施例1よりも最大面圧が大きい。これは、実施例2のAl基合金中間層が実施例1のAl基合金中間層よりも軟らかいため、実施例2のAl基合金中間層がクッション機能がより高かったためだと考えられる。
【0046】
尚、金属元素としてのMn,V,Fe以外の金属元素としてMo,Cr,Co,Ni,W,Ti,Zrを用いても、Mn,V,Feと同様の作用効果を奏した。これらの金属元素のうちの2種類以上を選択して、その総量を0.01〜3質量%にすることにより、塑性変形を防ぎ、耐疲労性が向上した。
【0047】
固溶体を形成する物質としてのCu以外の元素としてZn,Mgを用いても、Cuと同様の作用効果を奏した。これらの元素のうちの1種類以上を選択して、その総量を0.1〜7質量%にすることにより、耐疲労性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】すべり軸受の断面図
【符号の説明】
【0049】
図面中、1はすべり軸受、2は裏金層、3はAl基合金中間層、4はAl基軸受合金層を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏金層、Al基合金中間層及びAl基軸受合金層を備えたすべり軸受において、
前記Al基軸受合金層に、Alと他の2種類以上の元素とから成る金属間化合物であって粒径が0.5μm未満の金属間化合物を、8個/μm以上含んでいることを特徴とするすべり軸受。
【請求項2】
前記Al基軸受合金層の硬さが、ビッカース硬さHvで50以上80未満で、前記Al基合金中間層の硬さが、前記Al基軸受合金層の硬さに対して90〜120%であることを特徴とする請求項1記載のすべり軸受。
【請求項3】
前記Al基軸受合金層に、Alと少なくともSiとから成る金属間化合物及び/又はSi粒子を含んでいることを特徴とする請求項1又は2記載のすべり軸受。
【請求項4】
前記Al基軸受合金層は、
3〜20質量%のSnと、
1.5〜8質量%のSiと、
Mn,V,Mo,Cr,Co,Fe,Ni,W,Ti,Zrの内から2種類以上を選択して成る金属元素であって、その総量が0.01〜3質量%である金属元素と、
実質的に残部がAlとから成ることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のすべり軸受。
【請求項5】
前記Al基軸受合金層に、Cu,Zn,Mgの内から1種類以上を選択して成る元素であって、その総量が0.1〜7質量%である元素を含んでいることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のすべり軸受。
【請求項6】
前記Al基軸受合金層は、Al以外に2種類以上の元素を含み、
前記Al基合金中間層は、前記Al基軸受合金層に含まれる元素のうちの少なくとも2種類の元素を含み、且つ、それらの元素のうち、その含有量が前記Al基軸受合金層の含有量の50〜150%であるものを2種類以上含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のすべり軸受。

【図1】
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【公開番号】特開2009−228870(P2009−228870A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78115(P2008−78115)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(591001282)大同メタル工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】