説明

つる植物育成装置

【課題】必要に応じて簡単に移動でき、しかも水やりが簡単なグリーンカーテンを得る。
【解決手段】本装置は、プランター3A,3B,3Cを略水平方向に移動自在に支持するパイプ部材4A,4B,4Cを備えており、支持されたプランター3A,3B,3Cにはパイプ部材4A,4B,4Cを介して水が散布されるようになっている。また、各プランター3A,3B,3Cから上方には、該プランターに植えられたつる植物を登攀させるためのロープ(登攀用ガイド部材)7が延設されており、その上端は、レール部材5やランナー6によって摺動可能に支持されている。したがって、プランター3A,3B,3Cを簡単に移動させることができ、また、パイプ部材4A,4B,4Cを介して水やりを簡単にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、つる植物を育成し支持するためのつる植物育成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一戸建ての家屋やマンション等の建物においては、室内への直射日光の侵入の抑制や目隠し等のために、アサガオやゴーヤーのようなつる植物を窓の外側にカーテンのように繁生させることが行われている(例えば、特許文献1参照)。それらは、近年、“グリーンカーテン”とか“緑のカーテン”とか称されていて、省エネルギーの見地から注目度を増している。
【0003】
図3は、つる植物育成装置の従来構成の一例を示す側面図であり、符号100は、建物101のベランダを示し、符号102は、ベランダの手すりを示し、符号103は、建物101の窓開口104に対向するように設置された登攀用ガイド部材を示し、符号105は、該登攀用ガイド部材104を登攀するように育成されたつる植物を示し、符号106は、該つる植物105を植えるためのプランター(植木鉢)を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−140266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図示の登攀用ガイド部材103はボルト等にてベランダに堅固に固定されているので、グリーンカーテンを簡単に移動させることができない構造となっている。そのため、夏以外の季節にはこのグリーンカーテンが太陽光を不必要に遮蔽してしまい室内を暗くしてしまったり、台風が来たときにはグリーンカーテンの破損のおそれがあったりするなどの問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような問題を解消できるつる植物育成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、図1及び図2(a) (b) に例示するものであって、つる植物(B)を育成するためのつる植物育成装置(2)において、
プランター(3A,3B,3C)を摺動可能に支持できるように、パイプ部材を略水平に延設して形成されたプランター支持部(4A,4B,4C)と、
該プランター支持部(4A,4B,4C)の上方であって、該プランター支持部(4A,4B,4C)と略平行となるように配置されたレール部材(5)と、
該レール部材(5)に摺動自在に支持されると共に、前記プランター(3A,3B,3C)に植えられるつる植物(B)の登攀をガイドする登攀ガイド部材(7)を吊り下げるランナー(6)と、
を備え、
前記パイプ部材にて形成されたプランター支持部(4A,4B,4C)には、水を取り込むための取水口(図2(a) の符号4A,4B,4C参照)と、プランター(3A,3B,3C)に水を供給するための排水口(図2(b)
の符号4A参照)と、が形成されてなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記プランター支持部(4A,4B,4C)が、それぞれがプランター(3A,3B,3C)を支持するように上下に複数並設されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記プランター支持部(3A,3B,3C)に挿通される被挿通部(3a,3b,3c)を有するプランター(3A,3B,3C)と、
前記ランナー(6)に上端が取り付けられ、前記プランター(3A,3B,3C)に下端が取り付けられた登攀ガイド部材(7)と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至3に係る発明によれば、プランターはプランター支持部によって摺動可能に支持されており、登攀ガイド部材も、前記レール部材及び前記ランナーによって摺動自在に支持されているので、夏以外の季節で太陽光を室内に取り込みたい場合や強風によるグリーンカーテンの破損のおそれがあるような場合には、該グリーンカーテン(つまり、プランターと登攀ガイド部材とつる植物)を必要に応じて簡単に移動させることができる。また、プランター支持部には水を取り込むための取水口と、プランターに水を供給するための排水口とが形成されているので、この構成を利用して簡単に水やりが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係るつる植物育成装置の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図2】図2(a) は、本発明に係るつる植物育成装置の要部構成の一例を示す正面図であり、同図(b)は、そのA−A断面図である。
【図3】図3は、つる植物育成装置の従来構成の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1及び図2に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
本発明に係るつる植物育成装置は、ゴーヤーやアサガオ等のつる植物を育成し支持してグリーンカーテン(図1の符号1参照)を形成するためのものである。該つる植物育成装置は、図1に符号2で例示するように、プランター3A,3B,3Cを摺動可能に支持するプランター支持部4A,4B,4Cを少なくとも1つ備えている。このプランター支持部4A,4B,4Cは、パイプ部材が略水平方向に延設されて形成されたものであって、
・ 水を取り込むための取水口(図2(a) の符号4A,4B,4C参照)と、
・ プランター3A,3B,3Cに水を散布するための排水口(図2(b) の符号4A参照)と、
を有している。なお、上述の排水口4Aは、プランター3Aに水を供給できる位置に設けておくと良い。また、図2(b) には、プランター支持部4Aの排水口(符号4A参照)のみ示しているが、他のプランター支持部4B,4Cにも同様の排水口を設けておくと良い。さらに、図1及び図2(a)
(b) に示すプランター3A,3B,3Cは、箱状のものであるが、もちろんこれに限られるものではなく、植木鉢などの他の形状のものとしても良い。このプランター3A,3B,3Cには、前記プランター支持部4A,4B,4Cとの係合のために該支持部が挿通される被挿通部3a,3b,3cを形成しておくと良い。
【0015】
一方、該プランター支持部4A,4B,4Cの上方には、該プランター支持部4A,4B,4Cと略平行となるようにレール部材5が少なくとも1本延設されており、該レール部材5には少なくとも1個のランナー6が摺動自在に支持されている。そして、このランナー6は、例えばフック状に形成されていて、前記プランター3A,3B,3Cに植えられるつる植物の登攀をガイドするための登攀ガイド部材7を吊り下げることができるようになっている。ここで、登攀ガイド部材7とは、つる植物が登攀することができる全ての公知の部材を意味し、具体的には、ワイヤやロープやネットやポール等を挙げることができる。この登攀ガイド部材7は、プランター3A,3B,3Cに植えたつる植物が登攀できるように、下端部を前記プランター3A,3B,3Cに取り付けると共に上端部を前記ランナー6に取り付けておくと良い。
【0016】
ところで、図1に示すつる育成装置2は、マンションのベランダ8に設置され、しかも、プランター支持部4A,4B,4Cはベランダ用手すり8aに取り付けられ(取り付け用のブラケットは不図示)、レール部材5はベランダの天井部分8bに取り付けられているが、本発明の範囲がこの構成に限定されるものでは無い。当然ながらマンションのベランダではなく一戸建てのベランダに設置しても良いし、ベランダ以外の箇所に設置しても良い。例えば、プランター支持部4A,4B,4Cを何らかの支柱に取り付け、レール部材5を建物の外壁に取り付ければ、ベランダ以外(例えば、一戸建ての庭)にも設置することは可能である。
【0017】
図示のように3本のパイプ部材(プランター支持部4A,4B,4C)を上下に並設するようにすると、少なくとも3つのプランター3A,3B,3Cを摺動可能に配置してそれぞれにつる植物Bを植えることができ、幅の広いグリーンカーテンを形成することが可能となる。このように複数本のパイプ部材を設置する場合には、それら複数本のパイプ部材(プランター支持部4A,4B,4C)を中間パイプ9にて直列に接続しておいて、水が順次流れるようにしておくと良い。或いは、1本のパイプ部材を湾曲形成して、必要な部分を略水平方向に延設させておいてプランター支持部としても良い。なお、図示の装置2では、プランター支持部の数は3本であるが、もちろんこれに限られるものではなく、2本としても4本以上としても良い。また、プランター支持部が1本のみのものを本発明の範囲から除外するものではない。
【0018】
本発明によれば、プランター3A,3B,3Cはプランター支持部4A,4B,4Cによって摺動可能に支持されており、登攀ガイド部材7も、前記レール部材5及び前記ランナー6によって摺動自在に支持されているので、夏以外の季節で太陽光を室内に取り込みたい場合や強風によるグリーンカーテンの破損のおそれがあるような場合には、該グリーンカーテン1(つまり、プランター3A,3B,3Cと登攀ガイド部材7とつる植物B)を必要に応じて簡単に移動させることができる。また、プランター支持部4A,4B,4Cには水を取り込むための取水口4A,4B,4Cと、プランター3A,3B,3Cに水を供給するための排水口(例えば、符号4A参照)とが形成されているので、この構成を利用して簡単に水やりが出来る。
【符号の説明】
【0019】
2 つる植物育成装置
3A,3B,3C プランター
4A,4B,4C プランター支持部
4A,4B,4C 取水口
4A 排水口
5 レール部材
6 ランナー
7 登攀ガイド部材
B つる植物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
つる植物を育成し支持するためのつる植物育成装置において、
プランターを摺動可能に支持できるように、パイプ部材を略水平方向に延設して形成されたプランター支持部と、
該プランター支持部の上方であって、該プランター支持部と略平行となるように配置されたレール部材と、
該レール部材に摺動自在に支持されると共に、前記プランターに植えられるつる植物の登攀をガイドする登攀ガイド部材を吊り下げるランナーと、
を備え、
前記パイプ部材にて形成されたプランター支持部には、水を取り込むための取水口と、プランターに水を供給するための排水口と、が形成されてなる、
ことを特徴とするつる植物育成装置。
【請求項2】
前記プランター支持部は、それぞれがプランターを支持するように上下に複数並設された、
ことを特徴とする請求項1に記載のつる植物育成装置。
【請求項3】
前記プランター支持部が挿通される被挿通部を有するプランターと、
前記ランナーに上端部が取り付けられ、前記プランターに下端部が取り付けられた登攀ガイド部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のつる植物育成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−50340(P2011−50340A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203426(P2009−203426)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】