説明

はんだ接合方法及びはんだ接合体

【課題】Sn或いはSn合金により、アルミニウム部材11同士、又はアルミニウム部材11と銅部材25とを良好に接合することができる方法と良好に接合された接合体10とを提供する。
【解決手段】アルミニウム部材11同士をはんだHにより接合する方法であって、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだHを使用して、このはんだH又はアルミニウム部材11に超音波振動を印加しながら、アルミニウム部材11同士を接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ接合方法及びはんだ接合体に関し、特に、アルミニウム部材同士、又はアルミニウム部材と銅部材とのはんだ接合方法及びはんだ接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1(特公平8−31701号公報)には、アルミニウム部材同士の接合体、具体的には、複数のアルミニウム部材をはんだにより接合したヒートシンクと、その製造方法が開示されている。
【0003】
この技術は、厚み方向に突出するリブを有したアルミニウム製の板状の押出形材を、リブを介して等間隔に複数個重ね合わせ、この重ね合わせ体における隣り合う押出形材とリブとによって構成される隙間を溶融はんだ中に浸漬し、超音波振動を加えることによって上記隙間に上記はんだを密に充填させて押出形材を相互に接合するものである。
【0004】
そして、押出形材を溶融はんだ中に浸漬した状態で超音波振動を加えることにより、押出形材の表面に形成された酸化被膜を破壊し、フラックスを使用することなく押出形材に対する溶融はんだの濡れを良くすることができ、さらに、溶融はんだの表面張力を弱めて押出形材の隙間に確実に溶融はんだを入り込ませることができるという利点がある。
【0005】
また、特許文献1では、接合用のはんだとして、アルミニウム用の亜鉛系はんだ(90%Zn−5%Al)が用いられている。
【0006】
【特許文献1】特公平8−31701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、アルミニウムは、銅やニッケル等の他の金属に比べて融点が低いので、熱による変質を防止する観点から、できるだけ低温で接合を行うことが望ましい。また、接合に要する熱エネルギーを低減する観点からも、低温で接合を行うことが望ましい。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1で用いられている亜鉛系はんだは、融点が約380℃と高く、上記の観点に鑑みた場合、アルミニウム部材の接合に最適であるとは言い難い。
【0009】
一方、従来は、亜鉛系はんだに比べて融点が低く、低温でのはんだ接合が可能な鉛系のはんだが多く用いられていたが、近年、このはんだを施した電機部品等の廃棄物が環境に悪影響を与えることが問題となり、取り扱いが規制されている。
【0010】
そこで、本願出願人は、アルミニウム部材の接合のため、亜鉛系はんだに比べて融点が低く、環境への影響が少ない、Sn系はんだの適用を試みた。
【0011】
しかし、Sn系はんだは、溶融すると非常に酸化しやすく、直ちに表面に黄金色の酸化皮膜が形成されるという問題があった。この酸化皮膜は、時間の経過と共に厚くなるとともに濃紫色に変化し、この状態で、アルミニウム部材の接合を行った場合、超音波振動を印加しても有効に酸化皮膜を破壊することができず、接合部分の表面に酸化皮膜が残存し、品質が悪化する。また、アルミニウム部材に施したはんだを加熱して溶融し、他の部材を再度接合するよう場合、付着した酸化物が接合の障害となり、欠陥が発生する。
【0012】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、Sn或いはSn合金のはんだにより、アルミニウム部材同士、又はアルミニウム部材と銅部材とを良好に接合することができる方法と、良好に接合された各部材の接合体とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載のはんだ接合方法の発明は、アルミニウム部材同士をはんだにより接合する方法であって、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ又はアルミニウム部材に超音波振動を印加しながら、アルミニウム部材同士を接合することを特徴とする。
【0014】
請求項2記載のはんだ接合方法の発明は、アルミニウム部材同士をはんだにより接合する方法であって、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ又はアルミニウム部材に超音波振動を印加しながら、各アルミニウム部材の接合部分にはんだめっき処理を行う工程と、各アルミニウム部材のはんだめっきされた部分同士を当接し、当該はんだめっきを互いに加熱溶融して、フラックスを用いてアルミニウム部材同士を接合する工程と、を含むことを特徴とする。このとき、フラックスとしては、塩化物を含んだものか腐食性の少ないロジン系のものを使用することができる。
【0015】
請求項3記載のはんだ接合方法の発明は、アルミニウム部材同士をはんだにより接合する方法であって、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ又はアルミニウム部材に超音波振動を印加しながら、各アルミニウム部材の接合部分にはんだめっき処理を行う工程と、各アルミニウム部材のはんだめっきされた部分同士を、より多くのはんだを必要とする場合には、その間にはんだを加えた状態で当接し、当該はんだめっき及び加えたはんだを加熱溶融して、フラックスを用いてアルミニウム部材同士を接合する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項4記載のはんだ接合体の発明は、アルミニウム部材同士が、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して接合されてなることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載のはんだ接合方法の発明は、アルミニウム部材と銅部材とをはんだにより接合する方法であって、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ、又はアルミニウム部材若しくは銅部材に超音波振動を印加しながら、アルミニウム部材と銅部材とを接合することを特徴とする。
【0018】
請求項6記載のはんだ接合方法の発明は、請求項6に記載の発明において、アルミニウム部材と銅部材との間にはんだを加え、アルミニウム部材又は銅部材に超音波振動を印加しながら、当該はんだを加熱溶融して接合を行うことを特徴とする。
【0019】
請求項7記載のはんだ接合方法の発明は、アルミニウム部材と銅部材とをはんだにより接合する方法であって、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ又はアルミニウム部材に超音波振動を印加しながら、アルミニウム部材の接合部分にはんだめっき処理を行う工程と、アルミニウム部材のはんだめっきされた部分と銅部材とを当接し、当該はんだめっきを加熱溶融して、フラックスを用いてアルミニウム部材と銅部材とを接合する工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項8記載のはんだ接合方法の発明は、アルミニウム部材と銅部材とをはんだにより接合する、はんだ接合方法であって、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ又はアルミニウム部材に超音波振動を印加しながら、アルミニウム部材の接合部分にはんだめっき処理を行う工程と、アルミニウム部材のはんだめっきされた部分と銅部材とを、その間にはんだを加えた状態で当接し、当該はんだめっき及び加えたはんだを加熱溶融して、フラックスを用いてアルミニウム部材と銅部材とを接合する工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項9記載のはんだ接合体の発明は、アルミニウム部材と銅部材とが、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して接合されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
はんだ接合方法の発明(請求項1〜4,6〜8)によれば、次の効果を奏する。(1)アルミニウム部材同士、又はアルミニウム部材と銅部材とを、低温で、アルミニウム部材の変質等を伴うことなく小さい熱エネルギーで接合することができる。(2)Snを主成分とするはんだを用いているにも関わらず、Alを添加することによって、はんだの酸化を防止することができ、よって、接合部分に酸化皮膜が残存することがほとんどなく、良好な接合を行うことができる。(3)超音波振動を印加することによって、アルミニウム部材に対するはんだの濡れを良くし、接合部分にはんだを強固に付着することができる。
【0023】
はんだ接合体の発明(請求項5,9)によれば、接合部分のはんだに酸化の少ない、良好に接合された高品質の接合体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態に係るアルミニウム部材11同士の接合方法及び接合体10を示す正面断面図、図2は、アルミニウム部材11同士の接合体10を拡大して示す正面図である。
【0025】
本実施形態は、具体的に、アルミニウム部材11同士を接合することにより、接合体10としてのヒートシンク12を製造するものとなっている。
【0026】
このヒートシンク12は、ベースプレート13とフィン14とが一体の部材で構成されており、アルミニウム製の構成部材15を複数個重ね合わせ、相互にはんだHにより接合することで形成されている。
【0027】
構成部材15は板状であり、1枚の薄板材よりなる本体17と、本体17の片面に形成された上下2つリブ18とを有する。上下のリブ18は、本体17の厚さ方向に同じだけ突出し、本体17は、下側のリブ18より下方部分17aが、上方部分17bよりも分厚く形成されている。構成部材(アルミニウム部材)15としては、展伸材のほか、鋳物、ダイカストを用いることができる。
【0028】
複数の構成部材15を同じ方向に向けて重ね合わせると、下側のリブ18と、隣合った本体17の下部17aとの間に隙間19が形成される。この隙間19にはんだHを充填することによって、各構成部材15が相互に接合されている。
【0029】
構成部材15の接合に用いられるはんだHは、錫(Sn)を主成分とし、アルミニウム(Al)を所定量添加したものである。具体的には、純Snに、Alを0.005mass%以上添加したものとなっている。ただし、純Snに限らず、Sn合金、例えば、Sn−Zn合金(Sn-9%Zn)、Sn−Cu合金(Sn-0.7%Cu)、Sn−Ag合金(Sn-3.5%Ag)に、Alを上記の量だけ添加したものであってもよい。
【0030】
はんだHは、溶融した状態で浴槽20に収容される。また、浴槽20には、溶融はんだH又はアルミニウム部材11に超音波振動を印加するための、ホーン等の超音波印加装置21が付設されている。
【0031】
そして、複数の構成部材15を重ね合わせ、その重ね合わせ体を溶融はんだHに浸漬し、同時に、溶融はんだH又は構成部材15に超音波振動を印加することによって、各構成部材15が相互に接合されるようになっている。
【0032】
ここで、Snを主成分としたはんだHは、亜鉛系のはんだHに比べて融点が低いため、低温での接合が可能となり、アルミニウムの変質等を伴うことなく、少ない熱エネルギーでの接合が可能となっている。
【0033】
そして、Snを主成分とするはんだHにAlを添加することによって、溶融はんだHの酸化が遅くなり、表面にその酸化皮膜が形成され難く、溶融状態で長時間放置しても金属光沢を保つことができるようになっている。そのため、構成部材15の接合部分に酸化皮膜が残存せず、良好な接合が行えるようになっている。
【0034】
さらに、Snを主成分とするはんだにAlを添加したというだけでは、溶融はんだHがアルミニウム部材11の表面ではじかれてしまうため、本実施形態では、溶融はんだH又はアルミニウム部材11に超音波振動を印加することで、アルミニウム部材11に対するはんだHの濡れをよくし、はんだHを強固に付着できるようにしている。また、超音波振動を印加することによって、溶融はんだHの表面張力を弱め、構成部材15間の狭い隙間19に良好にはんだHを入り込ませるようにしている。
【0035】
また、このように接合された接合体10(ヒートシンク12)は、接合部分に酸化皮膜が残存することなく、良好に接合された高品質のものとなる。
【0036】
はんだH中のAlの添加量を0.005mass%以上としたのは、これより少ないと、溶融はんだHの表面の酸化皮膜の発生を好適に防止できないからである。また、Alの添加量があまりに多いと、はんだHの融点が上昇し、低温での接合ができなくなるため、添加量は、約0.01mass%とするのが好適である。
【0037】
図3は、本発明の第2実施形態に係るアルミニウム部材11同士の接合方法及び接合体10を示す正面図である。本実施形態は、それぞれ別部材として構成されたベースプレート13とフィン14とを接合することによって、接合体10としてのヒートシンク12を製造するものとなっている。
【0038】
このベースプレート13とフィン14はそれぞれアルミニウム製であり、接合するにあたり、互いの接合面に、予めはんだめっきHMを施している。このはんだめっきHMには、第1実施形態と同様に、Snを主成分とし、アルミニウムを0.005mass%以上添加したはんだHが用いられている。
【0039】
したがって、ベースプレート13及びフィン14には、ほとんど酸化のない良好なはんだめっきHMが施されることになる。また、はんだめっきHMを施す際には、はんだH又はアルミニウム部材11に超音波振動を印加することによって、接合部分に対するはんだHの濡れをよくし、強固にはんだHを付着させるようにしている。
【0040】
その後、はんだめっきHMを施したベースプレート13とフィン14との接合面に適宜フラックスFを塗布し、炉中で加熱することによってはんだめっきHMを溶融し、ベースプレート13とフィン14とを接合する。この接合の際、はんだめっきHMはほとんど酸化しないため、良好な接合が行えるようになっている。
【0041】
なお、フラックスFは、アルミニウム部材11に施したはんだめっきHMが固まり、表面に酸化皮膜が形成された場合に、それを除去するために用いられる。このフラックスFとしては、塩化物を含んだものや腐食性の少ないロジン系のものを使用することができる。超音波振動を印加することによって酸化皮膜を破壊する場合等には、フラックスFを省いてもよい。
【0042】
本実施形態において、アルミニウム部材11に施したはんだめっきHMだけでは、接合の必要量に足らない場合は、更にはんだHを追加してもよい。追加するはんだHは、リング状又は棒状等の固形のものとすることができ、この場合には、フラックスFを用いて酸化皮膜の除去を行うのが好ましい。また、追加するはんだHとして、フラックスを添加したはんだペーストを用いてもよい。
【0043】
図4は、本発明の第3実施形態に係る、アルミニウム部材11と銅部材25との接合方法及び接合体10を示す正面図である。本実施形態は、第2実施形態と同様に、別部材として構成されたベースプレート13とフィン14とを接合することにより、接合体10たるヒートシンク12を製造するものであるが、フィン14がアルミニウム製で、ベースプレート13が銅製である点で異なっている。
【0044】
本実施形態の場合、ベースプレート13とフィン14とを接合するに当たり、予めフィン14にはんだめっきHMを施す。このはんだめっきHMには、上記と同様に、Snを主成分としてAlを0.005mass%以上添加したはんだHが用いられる。また、はんだめっき処理の際には、フィン14又ははんだHに超音波振動が印加される。
【0045】
その後、フィン14のはんだめっきHMされた部分又は銅製のベースプレート13の接合部分にフラックスを塗布し、炉中で加熱することによってはんだめっきHMを溶融し、ベースプレート13とフィン14とを接合するようになっている。
【0046】
銅製のベースプレート13には、予めはんだめっきHMを施してもよいし、施さなくてもよい。銅は、アルミニウムに比べてはんだHの濡れが良好であり、予めはんだめっきHMをしなくても、フィン14のはんだめっきHMを好適に付着させることができるからである。
【0047】
本実施形態において、フィン14とベースプレート13との接合に、はんだめっきHM以上のはんだが必要な場合には、固形のはんだ又ははんだペーストを追加してもよい。
【0048】
図5は、本発明の第4実施形態に係る、アルミニウム部材11同士、又は、アルミニウム部材11と銅部材25との接合体10の全体図である。この接合体10は、冷蔵庫や空調等に用いられるエバポレーター26であり、チューブ状の本体部27がアルミニウム製であり、本体部27の端部に銅部材25を含むコネクタ部28が接合されている。
【0049】
図6は、アルミニウム部材11同士の接合方法及び接合体10を示す正面図であり、上記エバポレーター26のコネクタ部28を拡大して示す。コネクタ部28は、アルミ製パイプ29に銅製パイプ30を接続したものである。アルミ製パイプ29と銅製パイプ30とは、圧接や抵抗溶接によって接続されている。
【0050】
コネクタ部28のアルミ製パイプ29は、本体部27に対して、本発明の接合方法にて接合されている。すなわち、アルミ製パイプ29及びアルミ製本体部27の各接合部分には、予めはんだめっきHMを施し、その後、両者の間にフラックスを塗布して又ははんだを加えて、両者を当接させ、加熱によってはんだめっき及び加えたはんだを溶融して、両者を接合する。
【0051】
ここで、はんだめっき処理には、Snを主成分としてAlを0.005mass%以上添加したはんだHが用いられ、追加のはんだHも同様のものが用いられる。
【0052】
また、両者27,29の接合の際には、超音波振動を印加してもよいし、しなくてもよい。超音波振動を印加する場合には、はんだめっきHM表面の酸化皮膜を除去できるので、フラックスを省いてもよい。
【0053】
本実施形態では、Snを主成分としAlを添加したはんだHを用いることによって、低温での接合が可能となるため、銅製パイプ30とアルミ製パイプ29との接合部に熱影響を及ぼさなくなる。すなわち、銅製パイプ30とアルミ製パイプ29との接合部分に高熱が伝わると、化合物が形成されてコネクタ部28が脆化される可能性が生じるが、低温接合によってこのような不具合が防止されるようになっている。
【0054】
図7は、アルミニウム部材11と銅部材25との接合方法及び接合体10を示す正面図であり、具体的には、エバポレーター26において、アルミニウム製の本体部27の端部に、直接的にコネクタ部28の銅製パイプ30を接合したものである。
【0055】
本実施形態の場合、本体部27の端部に、予め、超音波振動を印加しながらはんだめっきHMを施し、その後、銅製パイプ30を直接当接し、はんだめっきHMを加熱溶融することによって接合する。
【0056】
また、本実施形態において、アルミ製の本体部27の端部に、予めはんだめっきHMを施すことなく、両者の接合部分にはんだHを加え、超音波振動Cを印加しながら、はんだHを加熱溶融して両者を接合してもよい。
【0057】
以上、各種実施形態を示したが、その構成をまとめると次の通りである。
(1)はんだ接合の対象は、アルミニウム部材11同士、又は、アルミニウム部材11と銅部材25である。
(2)はんだ接合又ははんだめっき処理に用いられるはんだHは、純Sn又はSn合金を主成分とし、0.005mass%以上のAlを添加したものである。
(3)各部材のはんだ接合は、(a)溶融はんだHに浸漬することによって行う、(b)アルミニウム部材11の接合部分に予めはんだめっきHMを施し、その後、そのはんだめっきHMを加熱溶融して接合を行う、又は、(c)各部材11、25の接合部分間にはんだHを加え、このはんだHを加熱溶融して接合を行う。(b)の場合、はんだめっきHMの量が接合の必要量に足らないときは、(c)のように、接合部分の間にはんだHを加えてもよい。
(4)アルミニウム部材11に対するはんだHの濡れを良くするために、超音波振動を印加する。これは、各部材11,25を直接(はんだめっき処理無しで)接合する場合、アルミニウム部材11にはんだめっき処理を行う場合の、いずれにおいても行う。
(5)アルミニウム部材11の接合部分に予めはんだめっきHMを施し、その後、加熱して他のアルミニウム部材11又は銅部材25と接合する場合は、必要に応じて、フラックスの使用(はんだペーストの使用を含む)や超音波振動の印加等により、はんだめっきHMの表面に生じた酸化皮膜を除去する手段を施す。
【0058】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で適宜設計変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、各種アルミ製品やその製造に有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態に係る、アルミニウム部材同士のはんだ接合方法及び接合体を示す正面断面図である。
【図2】アルミニウム部材同士の接合体を拡大して示す正面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る、アルミニウム部材同士のはんだ接合方法及び接合体を示す正面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る、アルミニウム部材と銅部材とのはんだ接合方法及び接合体を示す正面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る、アルミニウム部材同士、又は、アルミニウム部材と銅部材との接合体の全体図である。
【図6】アルミニウム部材同士の接合方法を示す正面図である。
【図7】アルミニウム部材と銅部材との接合方法を示す正面図である。
【符号の説明】
【0061】
10 接合体
11 アルミニウム部材
25 銅部材
H はんだ
HM はんだめっき


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム部材同士をはんだにより接合する方法であって、
Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ又はアルミニウム部材に超音波振動を印加しながら、アルミニウム部材同士を接合することを特徴とする、はんだ接合方法。
【請求項2】
アルミニウム部材同士をはんだにより接合する方法であって、
Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ又はアルミニウム部材に超音波振動を印加しながら、各アルミニウム部材の接合部分にはんだめっき処理を行う工程と、
各アルミニウム部材のはんだめっきされた部分同士を当接し、当該はんだめっきを加熱溶融して、フラックスを用いてアルミニウム部材同士を接合する工程と、を含むことを特徴とする、はんだ接合方法。
【請求項3】
アルミニウム部材同士をはんだにより接合する方法であって、
Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ又はアルミニウム部材に超音波振動を印加しながら、各アルミニウム部材の接合部分にはんだめっき処理を行う工程と、
各アルミニウム部材のはんだめっきされた部分同士を、その間にはんだを加えた状態で当接し、当該はんだめっき及び加えたはんだを加熱溶融して、フラックスを用いてアルミニウム部材同士を接合する工程と、を含むことを特徴とする、はんだ接合方法。
【請求項4】
アルミニウム部材同士が、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して接合されてなることを特徴とする、はんだ接合体。
【請求項5】
アルミニウム部材と銅部材とをはんだにより接合する方法であって、
Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ、又はアルミニウム部材若しくは銅部材に超音波振動を印加しながら、アルミニウム部材と銅部材とを接合することを特徴とする、はんだ接合方法。
【請求項6】
アルミニウム部材と銅部材との間にはんだを加え、アルミニウム部材又は銅部材に超音波振動を印加しながら、当該はんだを加熱溶融して接合を行うことを特徴とする、請求項5に記載のはんだ接合方法。
【請求項7】
アルミニウム部材と銅部材とをはんだにより接合する方法であって、
Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ又はアルミニウム部材に超音波振動を印加しながら、アルミニウム部材の接合部分にはんだめっき処理を行う工程と、
アルミニウム部材のはんだめっきされた部分と銅部材とを当接し、当該はんだめっきを加熱溶融して、フラックスを用いてアルミニウム部材と銅部材とを接合する工程と、を含むことを特徴とする、はんだ接合方法。
【請求項8】
アルミニウム部材と銅部材とをはんだにより接合する方法であって、
Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して、このはんだ又はアルミニウム部材に超音波振動を印加しながら、アルミニウム部材の接合部分にはんだめっき処理を行う工程と、
アルミニウム部材のはんだめっきされた部分と銅部材とを、その間にはんだを加えた状態で当接し、当該はんだめっき及び加えたはんだを加熱溶融して、フラックスを用いてアルミニウム部材と銅部材とを接合する工程と、を含むことを特徴とする、はんだ接合方法。
【請求項9】
アルミニウム部材と銅部材とが、Alを0.005mass%以上添加したSn又はSn合金からなるはんだを使用して接合されてなることを特徴とする、はんだ接合体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−190603(P2007−190603A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13348(P2006−13348)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【出願人】(000004732)株式会社日本アルミ (64)
【Fターム(参考)】