ぶれ補正装置及び撮像装置
【課題】回動ミラー部の位置決めを省電力で適正に行う。
【解決手段】撮像装置であって、撮像部と、略直交する2方向の軸周りに回動自在となるように左右軸ねじりバネ302及び傾斜軸ねじりバネ306により支持されたミラー本体1bを有するMEMSミラー300と、左右軸周り回動用磁石308及び傾斜軸周り回動用磁石309により発生される磁界中に配置されるとともに、MEMSミラーに配設された左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305と、当該コイルに通電する回動駆動部と、撮像部による被写体の撮像の際に、ぶれ量を検出するぶれ量演算部と、ぶれ量演算部により演算されたぶれ量に基づいて、回動駆動部による左右軸周り回動用駆動コイル及び傾斜軸周り回動用駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御してMEMSミラーをP方向及びY方向に回動させる制御部とを備えている。
【解決手段】撮像装置であって、撮像部と、略直交する2方向の軸周りに回動自在となるように左右軸ねじりバネ302及び傾斜軸ねじりバネ306により支持されたミラー本体1bを有するMEMSミラー300と、左右軸周り回動用磁石308及び傾斜軸周り回動用磁石309により発生される磁界中に配置されるとともに、MEMSミラーに配設された左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305と、当該コイルに通電する回動駆動部と、撮像部による被写体の撮像の際に、ぶれ量を検出するぶれ量演算部と、ぶれ量演算部により演算されたぶれ量に基づいて、回動駆動部による左右軸周り回動用駆動コイル及び傾斜軸周り回動用駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御してMEMSミラーをP方向及びY方向に回動させる制御部とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の撮像の際のぶれを補正するぶれ補正装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラを手持ちで撮影する場合、焦点距離の長いレンズやマクロ撮影、暗い被写体等の場合には、手ぶれや姿勢ぶれ、被写体の動き等による像ぶれが目立つ場合がある。
このような像ぶれは、レンズを明るくしたり、撮像感度を上げたり、シャッタ速度を速く設定したり、撮影者の習熟等によってもある程度防ぐことができるが、それには、限界がある。特に、ビデオカメラではカメラワークやズームを多用するので、カメラ移動や手ぶれが激しいと、画面揺れで観賞しにくくなり、このため、各種のぶれ補正装置が開発されてきた。
【0003】
ぶれ補正装置では、検出された角速度やぶれ量に応じて、撮像画像から切出す枠を変化させて像ぶれを補正する画像処理方式に比べ、光学系を機械的に動かして像ぶれを補正する光学補正方式の方が画質で有利とされる。
光学補正方式には、VAP(可変頂角プリズム)式や内蔵シフトレンズ式など種々の方式があり、一般に機構が複雑になり、鏡筒が長くなったり、色収差や偏心収差が生じたり、従来レンズを流用できなかったり、一長一短があり、小型で高精細の静止画にも動画撮影にも利用しやすいものは少なかった。
【0004】
例えば、回動式ミラーを用いる方法では、比較的簡単な構成で、手ぶれ角(Δθ)の半分の各(Δθ/2)だけミラーを逆方向に回動させてぶれを補正でき、収差の変動や色収差もない利点がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−219930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1等の場合、圧電素子により回動式ミラーを回動させるようになっているため、当該ミラーの位置決め固定機構が複雑となり、ぶれ補正時における制御が難しく精度良く行うことができないといった問題がある。
【0006】
なお、撮像素子側を上下左右に動かすCCDシフト式では、収差などの難点が無く、従来レンズも流用できる利点があるが、撮像素子全体を動かすため、撮像素子の実装方法や配線部の応力や反力などが駆動の邪魔になるといった問題がある。さらに、大きな撮像素子ではアクチュエータも大型になり耐久性に劣るといった問題もある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、小型で、且つ、制御性に優れるぶれ補正装置及び撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明のぶれ補正装置は、
被写体の光学像を結像する撮像レンズ部を有する撮像部と、
前記撮像レンズ部よりも被写体側若しくは前記撮像部の光路途中に配され、交差する一方向及び他方向の軸周りに回動自在となるように支持された回動ミラーを有する回動ミラー部と、
所定の磁界を発生させる磁界発生手段と、
前記磁界発生手段により発生される前記磁界中に配置されるとともに、前記回動ミラー部に配設された駆動コイルと、
前記駆動コイルに通電する通電手段と、
前記撮像部による前記被写体の撮像の際に、ぶれ量を検出するぶれ量検出手段と、
前記ぶれ量検出手段により検出された前記ぶれ量に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラーを前記一方向及び前記他方向の軸周りに回動させるぶれ補正回動制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のぶれ補正装置において、
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された支持部材で支持された内側回動台と、前記他方向に延出された支持部材で支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台の慣性モーメントは、前記外側回動台の慣性モーメントよりも小さくされていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のぶれ補正装置において、
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された前記ねじりバネで支持された内側回動台と、前記他方向に延出された前記ねじりバネで支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台の共振周波数は、前記外側回動台の共振周波数よりも高くされていることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のぶれ補正装置において、
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された前記ねじりバネで支持された内側回動台と、前記内側回動台及び前記回動ミラーが搭載され、前記他方向に延出された前記ねじりバネで支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台と前記外側回動台の共振周波数は略等しくなっていることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明の撮像装置は、
請求項1〜4の何れか一項に記載のぶれ補正装置と、
パン動作するためのパン動作指示信号を出力するパン動作指示手段と、
チルト動作するためのチルト動作指示信号を出力するチルト動作指示手段と、
前記パン動作指示手段から出力され入力された前記パン動作指示信号に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラー部を前記他方向の軸周りにパン動作させるパン動作回動制御手段と、
前記チルト操作指示手段から出力され入力された前記チルト動作指示信号に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラー部を前記一方向の軸周りにチルト動作させるチルト動作回動制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の撮像装置において、
前記ぶれ補正回動制御手段は、前記パン動作回動制御手段による前記回動ミラー部のパン動作中は、前記回動ミラーを前記他方向の軸周りに回動させる制御を行わず、且つ、前記チルト動作動作回動制御手段による前記回動ミラー部のチルト動作中は、前記回動ミラーを前記一方向の軸周りに回動させる制御を行わないことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型で、且つ、ぶれ補正時の制御性に優れるぶれ補正装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0016】
[実施形態1]
図1は、本発明を適用した実施形態1の撮像装置100の概略構成を模式的に示す図である。図2(a)は、撮像装置100の外観を模式的に示す正面図であり、図2(b)は、撮像装置100の外観を模式的に示す背面図である。
なお、以下の説明では、撮像装置100を被写体に向けて構えた状態での主撮影方向となる当該撮像装置100の前後方向に略直交する左右方向(例えば、水平方向)をH軸方向とし、前後方向及び左右方向に略直交する上下方向(例えば、垂直方向)をV軸方向とする。
【0017】
実施形態1の撮像装置100は、被写体の撮像の際の手ぶれや像ぶれ等を撮像部1に備わる光軸を略90°屈曲させるMEMSミラー(回動ミラー部)300を用いてぶれ補正を行うものである。
具体的には、撮像装置100は、例えば、図1及び図2に示すように、撮像部1と、ミラー回動駆動部2と、信号処理部3と、回動量検出部4と、測光部5と、測距部6と、発光部7と、電源部8と、操作入力部9と、表示部10と、画像メモリ11と、外部メモリ12と、制御部13等を備えて構成されている。
【0018】
撮像部1は、静止画像及び動画像の撮像を行うものである。また、撮像部1は、装置前方(被写体側)から入射する被写体光の撮影光軸を略90°屈曲する。具体的には、図1に示すように、外側レンズ1aと、ミラー本体(回動ミラー)1bと、内側レンズ1cと、撮像素子1dと、レンズ駆動部(図示略)等を備えている。
【0019】
外側レンズ1aは、図2(a)に示すように、撮像装置100の正面側に露出するように配設されている。
ミラー本体1bは、通常状態で、装置本体の前後方向に対して略45°傾けた状態で配設され、外側レンズ1aを通過した被写体光を略90°屈曲させる(詳細後述)。
内側レンズ1cは、例えば、4枚のレンズにより構成され、当該撮像部1にフォーカス機能及びズーム機能を実現させるものである(図5(a)及び図5(b)参照))。
撮像素子1dは、内側レンズ1cを通過した被写体光(被写体の光学像)を二次元の画像信号に変換して、信号処理部3に出力するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)等を備えている。
【0020】
信号処理部3は、A/D変換器等を備え、撮像部1から出力されるアナログ信号をデジタル画像データとして撮影制御部13aに出力する。
【0021】
ミラー回動駆動部2は、左右軸周り回動駆動部21と、傾斜軸周り回動駆動部22等を備えている。
左右軸周り回動駆動部21は、当該撮像装置100によるPitch(P)方向のぶれ補正動作の際に、MEMSミラー300のミラー本体1bをH軸方向(一方向)の軸周りに回動駆動させるためのものである。
傾斜軸周り回動駆動部22は、当該撮像装置100によるYaw(Y)方向のぶれ補正動作の際に、ミラー本体1bをV軸方向に対して所定角度傾斜した傾斜軸方向(他方向)の軸周りに回動駆動させるためのものである。
【0022】
以下に、MEMSミラー300の構成について図3及び図4を参照して説明する。
図3は、MEMSミラー300を模式的に示す斜視図である。また、図4は、MEMSミラー300の動作原理を説明するために一軸構成のMEMSミラー400を模式的に示す斜視図である。
【0023】
MEMSミラー300は、小型の単結晶シリコン半導体基板(MEMS基板)上などに微細加工を施すことにより形成され、図3に示すように、ミラー本体1bと、内側回動台301と、左右軸ねじりバネ302と、外側回動台303と、左右軸周り回動用駆動コイル304と、傾斜軸周り回動用駆動コイル305と、傾斜軸ねじりバネ306と、MEMS基板307と、左右軸周り回動用磁石308と、傾斜軸周り回動用磁石309と、ヨーク310等を備えている。
【0024】
ミラー本体1bは、例えば数ミリ角程度の金属薄膜の反射ミラーである。
内側回動台301は、外形が略矩形状をなし、その略中央にミラー本体1bが貼付されている。また、内側回動台301のH軸方向側の両端部には、H軸方向(一方向)に延出された左右軸ねじりバネ302が接続されている。
なお、左右軸ねじりバネ302の内側回動台301側と反対側の端部は、外側回動台303の内側面に接続されている。
これにより、内側回動台301及びミラー本体1bは、外側回動台303により支持されている。
【0025】
外側回動台303は、外形が略「ロ」字状に形成され、ミラー本体1bのP方向回動用及びY方向回動用の駆動コイルがそれぞれ配設されている。左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305は、左右軸周り回動用磁石308及び傾斜軸周り回動用磁石309の発生する磁界中に配置されている。
また、外側回動台303の傾斜軸方向側の両端部には、傾斜軸方向(他方向)に延出された傾斜軸ねじりバネ306が接続されている。
なお、傾斜軸ねじりバネ306の外側回動台303側と反対側の端部は、MEMS基板307の内側面に接続されている。
【0026】
MEMS基板307は、外形が略「ロ」字状に形成され、当該MEMS基板307の傾斜軸方向外側にミラー本体1bの左右軸周り回動用の磁石308が2つ配設され、当該MEMS基板307のH軸方向外側にミラー本体1bの傾斜軸周り回動用の磁石309が2つ配設されている。
左右軸周り回動用磁石308及び傾斜軸周り回動用磁石309の外側には、外形が略「ロ」字状に形成されたヨーク310が配設されている。
ここで、左右軸周り回動用磁石308及び傾斜軸周り回動用磁石309は、磁界発生手段を構成している。
【0027】
上記構成のMEMSミラー300は、左右軸周り回動用磁石308及び傾斜軸周り回動用磁石309による磁界Bp、By内に置いた左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対して、ミラー回動駆動部2から電流ip、iyを流すことにより、電磁ローレンツカFp、Fyを発生させて、左右軸ねじりバネ302及び傾斜軸ねじりバネ306の復元力と釣合う位置まで内側回動台301を左右軸ねじりバネ302の軸周りに、また、外側回動台303を傾斜軸ねじりバネ306の軸周りに所定角度回動駆動させることができる。
ここで、左右軸ねじりバネ302と、左右軸周り回動用駆動コイル304と、左右軸周り回動用磁石308と、ヨーク310は、左右軸周り回動駆動部21を構成し、傾斜軸周り回動用駆動コイル305と、傾斜軸ねじりバネ306と、傾斜軸周り回動用磁石309と、ヨーク310は、傾斜軸周り回動駆動部22を構成している。
【0028】
ここで、回動式のMEMSミラー300の動作原理について、図4を参照して詳細に説明する。
図4に示すように、一軸構成のMEMSミラー400の場合、単結晶シリコンなどの半導体材料基板401上に微細加工した梁状の可動板(回動台)402に反射ミラー403を設け、その支持軸となるねじりバネ404に略直交する方向に、永久磁石405で磁束密度Bの磁界をかけた状態で、ミラー周囲に配設された駆動コイル406に電流iを流すと、ローレンツ力Fによる回転トルクが生じて、ねじりバネの復元力と釣合う位置まで回動台のミラーを所定角度回動させることができる。
なお、ローレンツ力Fは、磁束密度B、駆動電流i、駆動コイル406の巻数nに比例する。
【0029】
駆動コイル406に流す電流iの大きさと向きを制御することにより反射ミラー403の回動角度姿勢と向きを制御することができる。例えば、図4に示すように、白抜き矢印で示された向きに電流iが流れることにより、反射ミラー403を搭載した回動台402は破線で示される矢印の向きに回動する一方で、反対向きに電流iが流れることにより、反射ミラー403を搭載した回動台402は反対向きに回動する。
【0030】
内側回動台301は、外側回動台303に比べてサイズや重量が小さいために慣性モーメントが小さく、応答速度が高くなる。これに対して、外側回動台303は、内側回動台301より二回りほどサイズが大きくなり、また、内側回動台301の重量も含めて回動させることになるので、慣性モーメントが大きくなって応答速度が低くなる。例えば、内側回動台301と外側回動台303の振れ角や補正角度範囲が同じになるように設計する場合、内側よりも大きな外側回動台303では、応答速度が内側回動台301の1/2〜1/5程度に低くなる(応答が遅くなる)。
従って、内側回動台301の応答速度は、外側回動台303の応答速度よりも高くされ、内側回動台301の回動方向は、手ぶれにおける振動頻度や振動周波数が高く、補正駆動時により高い(速い)応答速度を要するP方向(縦揺れ、前後回動)とされる一方で、外側回動台303の回動方向は、手ぶれにおける振動頻度が低く、応答速度が低く(遅く)ても良いY方向(偏揺角、横方向の回動)とされている。
【0031】
内側レンズ1cは、例えば、図5(a)及び図5(b)に示すように、被写体側から順に、第1レンズc1と、第2レンズc2と、第3レンズc3と、絞りc5と、第4レンズc4が並んで設けられている。
【0032】
第1レンズc1は、所定位置に固定されたフォーカス系の凸型のレンズであり、MEMSミラー300により反射された被写体光を通過させる。即ち、第1レンズc1は、自動合焦(AF)処理のフォーカス動作時にて、モータやギア等からなるレンズ駆動部の駆動に従って光軸方向に移動する。
第2レンズc2は、光軸方向に移動自在に設けられた変倍系の凹型のレンズ(バリエータ)であり、第1レンズc1を通過した被写体光を通過させる。即ち、第2レンズc2は、ズーム動作時にて、レンズ駆動部の駆動に従って、ズームのTele側で第1レンズc1に近付くように移動し(図5(a)参照)、Wide側で第3レンズc3に近付くように移動する(図5(b)参照)。
第3レンズc3は、所定位置に固定された補償系の凹型のレンズ(コンペンセータ)であり、第2レンズc2を通過した被写体光を通過させる。
絞りc5は、光の量を調整するものであり、第3レンズc3を通過した光の一部を遮って残りを通過させる。
第4レンズc4は、所定位置に固定されたリレー系の凸型のレンズ(結像レンズ)であり、絞りc5を通過した被写体光を撮像素子1dの撮像面に結像させる。
【0033】
回動量検出部4は、P方向角速度センサ41と、Y方向角速度センサ42等を備えている。
P方向角速度センサ41は、撮像装置本体のPitch(P)方向の回動量を検出するものである。また、P方向角速度センサ41は、振動子41aと、角速度検出部41b等を備えている。角速度検出部41bは、振動子41aから出力された信号に基づいてP方向の角速度を検出するものである。
Y方向角速度センサ42は、撮像装置本体のYaw(Y)方向の回動量(手ぶれ量)を検出するものである。また、Y方向角速度センサ42は、振動子42aと、角速度検出部42b等を備えている。角速度検出部42bは、振動子42aから出力された信号に基づいてY方向の角速度を検出するものである。
【0034】
測光部5は、自動露出(AE)処理にて、被写体の明るさを測定(算出)するためのものである。
【0035】
測距部6は、自動合焦(AF)処理にて、位相差検出方式やコントラスト検出方式により被写体までの距離を測定(算出)するためのものである。
【0036】
発光部7は、被写体の撮像時に発光するものである。また、発光部7は、ストロボ本体7aと、発光制御部7b等を備え、ユーザによる操作入力部9の所定操作や制御部13による制御に基づいて、発光制御部7bから出力され入力されるタイミング信号に応じて、ストロボから発光する。
【0037】
電源部8は、電池8aと、電源制御部8b等を備え、撮像装置100の各部に電源を供給するものである。
【0038】
操作入力部9は、撮像装置100の所定操作を行うためのものである。また、操作入力部9は、操作部91と、入力回路92等を備えている。
【0039】
操作部91は、電源スイッチ91a、撮影モード等を切り替えるモード切替スイッチ91b、静止画像のレリーズ操作や動画撮影の開始/停止を行うレリーズボタン91c、ズーム操作を行うUp/Downキー91d、撮影条件やその他の設定などを行うためのメニューボタン91e、カーソルキー91f、設定ボタン91g、表示切替ボタン91h等を備えている。
レリーズボタン91cは、例えば、半押し操作及び全押し操作の2段階の押圧操作が可能に構成され、各操作段階に応じた所定の操作信号を出力する。
入力回路92は、操作部91から出力され入力された操作信号を制御部13に入力するためのものである。
【0040】
表示部10は、撮像部1により撮像された画像を表示するものである。即ち、表示部10は、表示制御部(図示略)と、画像表示部10a等を備え、表示制御部からの出力信号に基づいて液晶モニタ等の画像表示部10aに所定の画像を表示する。
【0041】
画像メモリ11は、例えば、画像データ等を記憶する内蔵メモリである。
外部メモリ12は、例えば、撮像装置100本体に着脱自在に設けられ、画像データ等を記憶するメモリである。また、外部メモリ12は、メモリインターフェース(メモリIF)121を介して制御部13に接続されている。
【0042】
制御部13は、撮影制御部13aと、デジタル画像処理部13bと、画像バッファメモリ13cと、ぶれ量演算部13dと、ぶれ補正量算出部13e等を備えている。
【0043】
撮影制御部13aは、各種処理プログラムに従って、ぶれ補正処理等の撮像部1による被写体の撮像に関連する処理を制御するものである。
【0044】
デジタル画像処理部13bは、撮影制御部13aから出力される画像信号に対して所定の画像処理を施すものである。
画像バッファメモリ13cは、画像処理後の画像信号を一時的に記憶するものである。
【0045】
ぶれ量演算部13dは、ぶれ量検出手段として、撮像部1による被写体の撮像の際に、ぶれ量を検出する。即ち、ぶれ量演算部13dは、P方向角速度センサ41により検出されたP方向の角速度及びY方向角速度センサ42により検出されたY方向の角速度に基づいて、手ぶれや支持姿勢ぶれ等のぶれ量を演算する。
【0046】
ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたぶれ量に基づいて、ぶれ補正処理におけるぶれ補正量、つまり、MEMSミラー300の回動方向及び回動量を算出する。即ち、ぶれ補正量算出部13eは、内側回動台301及び外側回動台303の回動角度及び回動方向を規定する回動駆動部2からの左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出する。
そして、制御部13は、ぶれ補正回動制御手段として、ぶれ補正量算出部13eにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをP方向及びY方向に回動させる。
【0047】
以下に、ぶれ補正動作について図6(a)〜図6(c)を参照して詳細に説明する。
図6(a)は、手ぶれのない状態を模式的に示した図であり、図6(b)は、手ぶれが生じた状態を模式的に示した図であり、図6(c)は、手ぶれを補正した状態を模式的に示した図である。
なお、図6(a)〜図6(c)には、P方向(縦揺れ、前後回動)のミラー回動によるぶれ補正動作を例示するが、Y方向(偏揺角、横方向の回動(水平回転))など他の回動方向の補正動作も略同様となっている。
【0048】
例えば、図6(a)に示す状態で、手ぶれが発生すると、回動量検出部4(P方向角速度センサ41やY方向角速度センサ42)により検出された角速度に応じてぶれ量演算部13dによりぶれ量(ぶれ角度Δθ;図6(b)参照)を演算する。
そして、ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたぶれ量に基づいて、左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出して、Δθ/2だけ反対方向にミラー本体1bを回動させるように当該ミラー本体1bの角度姿勢を駆動制御する。
これにより、手ぶれや支持姿勢ぶれ等により像ぶれが生じても光軸を安定保持する。
【0049】
次に、静止画像撮像処理について図7を参照して説明する。
ここで、図7は、静止画像撮像処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【0050】
図7に示すように、先ず、ユーザによる操作部91のモード切替スイッチ91bの所定操作に基づいて静止画像撮影モードに設定されると(ステップS1)、撮影制御部13aの制御下にて、撮影条件の設定、測光処理、ホワイトバランス処理、自動合焦処理等が行われる(ステップS2)。
そして、制御部13は、撮像部1により撮像された被写体の画像に係る画像信号に基づいて、表示部10にスルー画像を表示させる(ステップS3)。
【0051】
続けて、ユーザによりレリーズボタン91cの半押し操作が行われると(ステップS4;YES)、撮影制御部13aは、ぶれ補正処理を実行するようにぶれ補正機能がON設定されているか否かを判定する(ステップS5)。ここで、ぶれ補正機能がONに設定されていると判定されると(ステップS5;YES)、ぶれ量演算部13dは、P方向角速度センサ41により検出されたP方向の角速度及びY方向角速度センサ42により検出されたY方向の角速度に基づいて、手ぶれや支持姿勢ぶれ等のぶれ量(ΔΘP、ΔΘY)を演算して検出する(ステップS6)。
そして、ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたぶれ量に基づいて、ぶれ補正処理におけるMEMSミラー300の回動方向及び回動量(ΔΘP/2、ΔΘY/2)を規定する左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向(ぶれ補正量)を算出する(ステップS7)。
続けて、制御部13は、ぶれ補正量算出部13eにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをP方向及びY方向に回動させるぶれ補正動作を実行する(ステップS8)。
【0052】
続けて、ユーザによりレリーズボタン91cの全押し操作が行われると(ステップS9;YES)、ステップS5〜ステップS8と略同様の処理、即ち、ぶれ補正機能がON設定されているか否かの判定(ステップS10)、ぶれ量の検出(ステップS11)、ぶれ補正量の算出(ステップS12)、ぶれ補正動作(ステップS13)を行う。
そして、撮影制御部13aは、撮像部1を制御して、所定の露出条件で被写体の撮像を行って(ステップS14)、画像信号の符号化や圧縮符号化を行って画像メモリ11に記録する(ステップS15)。
【0053】
なお、ステップS4にて、レリーズボタン91cの半押し操作が行われていないと判定されたり(ステップS4;NO)、ステップS5にて、ぶれ補正機能がONに設定されていないと判定されると(ステップS5;NO)、制御部13は、ステップS9に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
また、ステップS9にて、レリーズボタン91cの全押し操作が行われていないと判定されると(ステップS9;NO)、制御部13は、ステップS5に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
さらに、ステップS10にて、ぶれ補正機能がONに設定されていないと判定されると(ステップS10;NO)、制御部13は、ステップS14に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
【0054】
以上のように、実施形態1の撮像装置100によれば、ぶれ量演算部により演算されたぶれ量に基づいて、ミラー回動駆動部2による左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を制御して左右軸ねじりバネ302及び傾斜軸ねじりバネ306により支持されたミラー本体1bをP方向及びY方向に回動させることができる。従って、ぶれ補正に用いるミラーの制御を簡易な構成で、且つ、省電力で適正に行うことができ、ぶれ補正部の小型化を図ることができる。その結果、小型でぶれ補正時の制御性に優れる撮像装置100を提供することができる。
【0055】
また、単結晶シリコンを使っているため、結晶欠陥に起因する金属疲労がないため、耐久性を高くして長寿命化を図ることができるとともに、可動部の質量が小さいために外部衝撃力の影響を受けにくくすることができる。
また、ぶれ補正できる角度範囲を±5〜30゜程度まで大きくすることができ、さらに、収差などの変化もなくすことができ、加えて、従来の光学系もそのまま流用できるなどの格別の効果を得ることができる。
【0056】
さらに、P方向に回動する内側回動台301の応答速度は、Y方向に回動する外側回動台303の応答速度よりも高くされているので、サイズや重量が小さく慣性モーメントが小さく、応答速度の高い内側回動台301の回動動作を、手ぶれにおける振動頻度や振動周波数が高く、補正駆動時により高い(速い)応答速度を要するP方向(縦揺れ、前後回動)の補正回動駆動に用いることができるとともに、応答速度の低い外側回動台303の回動動作を、手ぶれにおける振動頻度が低く、応答速度が低く(遅く)ても良いY方向(偏揺角、横方向の回動)の補正回動駆動に用いることができる。
従って、手持ち撮影における手ぶれの実態に即したぶれ補正処理を適正に行うことができる。
【0057】
[実施形態2]
以下に、実施形態2の撮像装置200について図8〜図11を参照して説明する。
ここで、図8は、本発明を適用した実施形態2の撮像装置200の概略構成を示すブロック図である。
実施形態2の撮像装置200は、図8に示すように、ぶれ補正処理に加えて、スイッチ操作などに応じて電動式パン/チルト駆動機能を具備している。
なお、実施形態2の撮像装置200は、電動式パン/チルト駆動機能を具備する以外の点では、実施形態1におけるものと略同様であり、その詳細な説明については省略するものとする。
【0058】
操作部91は、図示は省略するが、パン動作スイッチと、チルト動作スイッチ等を備えている。
パン動作スイッチは、パン動作指示手段を構成しており、パン動作を行うためにパン操作量を入力するものである。また、パン動作スイッチは、ユーザによる所定操作に基づいてパン動作指示信号を入力回路92に出力する。そして、入力回路92は、入力されたパン動作指示信号をパン/チルト操作量算出部13fに出力する。
チルト動作スイッチは、チルト動作指示手段を構成しており、チルト動作を行うためにチルト操作量を入力するものである。また、チルト動作スイッチは、ユーザによる所定操作に基づいてチルト動作指示信号を入力回路92に出力する。そして、入力回路92は、入力されたチルト動作指示信号をパン/チルト操作量算出部13fに出力する。
【0059】
パン/チルト操作量算出部13fは、制御部13に備わり、入力回路92を介して入力されたパン動作指示信号及びチルト動作指示信号に基づいて、パン/チルト操作量、即ち、内側回動台301及び外側回動台303の回動角度及び回動方向を規定する回動駆動部2からの左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出する。
そして、制御部13は、パン動作回動制御手段として、パン/チルト操作量算出部13fにより算出された傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをパン動作(Y方向に回動)させる。
また、制御部13は、チルト動作回動制御手段として、パン/チルト操作量算出部13fにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをチルト動作(P方向に回動)させる。
【0060】
また、内側回動台301は、共振周波数が高いが振れ角がやや小さくされ、外側回動台303は、共振周波数は低いが振れ角が大きくされている。
MEMSミラー300では、外部からの周期的な力により強制振動が行われる場合、外力の振動数と振動系の固有振動数が等しくなると、共振現象により強制振動の振幅が著しく大きくなり、小さな力で大きな振動や振幅が得られる。
ここで、ミラー本体1bの振れ角は、駆動力を一定とした場合、共振周波数と、回動台の慣性モーメントと密接な関係を有し、共振周波数が高くなったり回動台の慣性モーメント(ミラーや回動台のサイズや質量)が大きくなると振れ角(θ)は小さくなる。
【0061】
ここで、二軸駆動構成のMEMSミラー300の共振周波数と振れ角の一例を図9に示すと、例えば、MEMSミラー300のミラー本体1bのサイズを6×7(mm)とすると、内側回動台301の共振周波数は1.5kHzで振れ角は±30°となり、外側回動台303の共振周波数は430Hzで振れ角は±30°となる。また、ミラー本体1bのサイズを4×3(mm)とすると、内側回動台301の共振周波数は560Hzで振れ角は±34°となり、外側回動台303の共振周波数は2400Hzで振れ角は±34°となる。
即ち、ユーザによるチルト動作では大きな操作角度を要求されず、ぶれ補正処理にて高い応答速度を要求されるP方向の回動には、振れ角はやや小さいが、共振周波数を高く設計された内側回動台の回動駆動を用い、ユーザによるパン動作では大きな操作角度を必要とし、ぶれ補正処理では高い応答速度を要求されないY方向の回動には、共振周波数は低いが、振れ角を大きく設計された外側回動台の回動駆動を用いるようになっている。
【0062】
また、表示部10は、パン/チルト動作処理にて、画像表示部10aにチルト操作量10bやパン操作量10cを表示するようになっている(図10(a)〜図10(c)参照)。
具体的には、画像表示部10aの右端部やや下よりの位置にチルト操作量10bを表示し、画像表示部10aの下端部やや右よりの位置にパン操作量10cを表示する。
チルト操作量10bやパン操作量10cは、例えば、図10(a)〜図10(c)に示すように、棒グラフで表示され、チルト量やパン量が大きくなるほどより長い棒グラフとして表示されるようになっている。
【0063】
以下に、チルト動作について図10(a)〜図10(c)を参照して説明する。
図10(a)は、所定位置よりも上向きにチルト動作させた状態を説明するための図であり、図10(b)は、チルト動作させていない状態を説明するための図であり、図10(c)は、所定位置よりも下向きにチルト動作させた状態を説明するための図である。
なお、図10(a)〜図10(c)には、チルト動作を例示するが、パン動作も略同様となっている。
【0064】
例えば、図10(b)に示す状態で、ユーザによるチルト動作スイッチの所定操作に基づいて上向きのチルト動作(水平方向に対して+2α)の実行が指示されると、パン/チルト操作量算出部13fは、チルト動作量、即ち、傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出して、MEMSミラー300の傾斜角度(45°)+αだけミラー本体1bを回動させるようにミラー本体1bの角度姿勢を駆動制御する(図10(a)参照)。
また、ユーザによるチルト動作スイッチの所定操作に基づいて下向きのチルト動作(水平方向に対して−2β)の実行が指示されると、パン/チルト操作量算出部13fは、チルト動作量、即ち、傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出して、MEMSミラー300の傾斜角度(45°)−βだけミラー本体1bを回動させるようにミラー本体1bの角度姿勢を駆動制御する(図10(c)参照)。
これにより、操作部91を介して入力されたチルト操作量に対して光軸を所定位置に移動させる。
【0065】
以下に、動画像撮像処理について図11を参照して詳細に説明する。
ここで、図11は、動画像撮像処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【0066】
図11に示すように、ユーザによる操作部91のモード切替スイッチ91bの所定操作に基づいて動画像撮影モードに設定され、レリーズボタン91cの所定操作に基づいて動画像の撮像が開始されると(ステップS21)、撮影制御部13aは、ぶれ補正処理を実行するようにぶれ補正機能がON設定されているか否かを判定する(ステップS22)。
ここで、ぶれ補正機能がONに設定されていると判定されると(ステップS22;YES)、ぶれ量演算部13dは、P方向角速度センサ41により検出されたP方向の角速度及びY方向角速度センサ42により検出されたY方向の角速度に基づいて、手ぶれや支持姿勢ぶれ等のぶれ量(ΔΘP、ΔΘY)を演算して検出する(ステップS23)。
【0067】
次に、制御部13は、ユーザによるパン動作スイッチの所定操作に基づいてパン動作指示信号が入力されているか否かを判定する(ステップS24)。ここで、パン動作指示信号が入力されていると判定されると(ステップS24;YES)、パン/チルト操作量算出部13fは、パン操作量、即ち、外側回動台303の回動角度及び回動方向を規定する回動駆動部2からの傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出して、制御部13は、パン/チルト操作量算出部13fにより算出された傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをパン動作(Y方向に回動)させる(ステップS25)。
一方、ステップS24にて、パン動作指示信号が入力されていないと判定されると(ステップS24;NO)、制御部13は、ユーザによるチルト動作スイッチの所定操作に基づいてチルト動作指示信号が入力されているか否かを判定する(ステップS26)。ここで、チルト動作指示信号が入力されていると判定されると(ステップS26;YES)、パン/チルト操作量算出部13fは、チルト操作量、即ち、内側回動台301の回動角度及び回動方向を規定する回動駆動部2からの左右軸周り回動用駆動コイル304に対する通電量及び通電方向を算出して、制御部13は、パン/チルト操作量算出部13fにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをチルト動作(P方向に回動)させる(ステップS27)。
【0068】
次に、撮影制御部13aは、ぶれ補正処理を実行するようにぶれ補正機能がON設定されているか否かを判定する(ステップS28)。
ここで、ぶれ補正機能がONに設定されていると判定されると(ステップS28;YES)、制御部13は、ユーザによるパン動作スイッチの所定操作に基づいてパン動作指示信号が入力されているか否かに応じてパン動作中であるか否かを判定する(ステップS29)。ここで、パン動作指示信号が入力されている、即ち、パン動作中であると判定されると(ステップS29;YES)、ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたP方向のぶれ量に基づいて、ぶれ補正処理におけるMEMSミラー300の回動方向及び回動量(ΔΘP/2)を規定する左右軸周り回動用駆動コイル304に対する通電量及び通電方向(ぶれ補正量)を算出する(ステップS30)。
続けて、制御部13は、ぶれ補正量算出部13eにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをP方向に回動させるぶれ補正動作を実行する(ステップS31)。
【0069】
一方、ステップS29にて、パン動作中ではないと判定されると(ステップS29;NO)、制御部13は、ユーザによるチルト動作スイッチの所定操作に基づいてチルト動作指示信号が入力されているか否かに応じてチルト動作中であるか否かを判定する(ステップS32)。ここで、チルト動作指示信号が入力されている、即ち、チルト動作中であると判定されると(ステップS32;YES)、ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたY方向のぶれ量に基づいて、ぶれ補正処理におけるMEMSミラー300の回動方向及び回動量(ΔΘY/2)を規定する傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向(ぶれ補正量)を算出する(ステップS33)。
続けて、制御部13は、ぶれ補正量算出部13eにより算出された傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをY方向に回動させるぶれ補正動作を実行する(ステップS34)。
【0070】
また、ステップS32にて、チルト動作中ではないと判定されると(ステップS32;NO)、ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたP方向及びY方向のぶれ量に基づいて、ぶれ補正処理におけるMEMSミラー300の回動方向及び回動量(ΔΘP/2、ΔΘY/2)を規定する左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向(ぶれ補正量)を算出する(ステップS35)。
続けて、制御部13は、ぶれ補正量算出部13eにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをP方向及びY方向に回動させるぶれ補正動作を実行する(ステップS36)。
【0071】
そして、制御部13は、ユーザによるレリーズボタン91cの所定操作に基づいて動画像の撮像の終了が指示されているか否かを判定して(ステップS37)、動画像の撮像の終了が指示されていないと判定されると(ステップS37;NO)、制御部13は、ステップS22に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
また、ステップS3にて、動画像の撮像の終了が指示されると(ステップS37;YES)、制御部13は、複数の画像フレームに係る画像信号の符号化や圧縮符号化を行って画像メモリ11に記録する(ステップS38)。
【0072】
なお、ステップS22にて、ぶれ補正機能がONに設定されていないと判定されると(ステップS22;NO)、制御部13は、ステップS24に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
また、ステップS28にて、ぶれ補正機能がONに設定されていないと判定されると(ステップS28;NO)、制御部13は、ステップS37に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
【0073】
以上のように、実施形態2の撮像装置200によれば、ぶれ補正処理とともに、スイッチ操作などによる電動式パン/チルト駆動操作機能を具備する構成であって、静止画像と動画像の両方の撮像を行う場合に、振れ角は小さいが共振周波数が高くなる内側回動台301の回動方向を、P方向のぶれ補正方向及び動画でのチルト動作方向に設定する一方で、共振周波数は低いが振れ角の大きい外側回動台303の回動方向を、Y方向のぶれ補正方向及び動画でのパン動作方向に設定することにより、駆動特性に違いがあっても、十分な振れ角度でぶれ補正やパン/チルト動作を行うことができ、より魅力的な撮像装置200を提供することができる。
【0074】
また、制御部13は、ミラー本体1bのパン動作中は、当該ミラー本体1bを傾斜軸周りに回動させる制御を行わず、且つ、ミラー本体1bのチルト動作中は、当該ミラー本体1bをH軸周りに回動させる制御を行わないので、MEMSミラー300を用いたパン動作及びチルト動作を適正に行うことができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
以下に、撮像装置の変形例について説明する。
【0076】
変形例1の撮像装置は、内側回動台301と外側回動台303の共振周波数が同じ程度となるように設計されている。
この場合には、内側回動台301はその振れ角度が大きくなるので、その回動方向を、大きなぶれ補正角度を必要とするP方向や、動画撮影におけるカメラワークの角度が大きいパン方向とするのが好ましい。
また、共振周波数を高く設定すると、外側回動台303はその振れ角が小さくなるので、その回動方向を、手ぶれにおける振動頻度が低く、ぶれ補正角度を比較的小さくても良いY方向や、動画撮影時のカメラワークの角度が比較的小さくても良いチルト方向とするのが好ましい。
これにより、変形例1の撮像装置によれば、同じ駆動力でも、Y方向とP方向とに十分な振れ角度でぶれ補正やパン/チルト動作を行うことができる。
【0077】
なお、上記変形例1にあっては、各回動台の回動方向による振れ角の違いや比に応じて、周囲に設ける各方向の永久磁石による磁界の大きさ(磁束密度B)を変えるように調節して、同じ駆動力(電流)で同じ振れ角が得られるように調節するように構成しても良い。
【0078】
変形例2の撮像装置は、図12(a)〜図12(d)に示すように、撮像部1から出力される映像信号に基づいて動きベクトルを検出して画像処理によりぶれ量を検出する。
即ち、画像処理による像ぶれの検出では、撮像信号からの画像を複数のブロックbに分割し、隣接する連続画像間の各ブロックbの動きベクトルの方向を求め、各ブロックbの動きベクトルが一定の方向であるか判別する(ブロックマッチング法)。
そして、全体が特定方向に同じ量だけ移動していれは、手ぶれと判断し(図12(a)や図12(b)参照)、ブロックb毎にバラバラ、若しくは所定ブロックbだけが特定方向に移動していれは、手ぶれではなく被写体の移動等と判断する(図12(c)参照)。
また、全体が水平方向に同じ量だけ移動していれは、パン操作と判断する(図12(d)。
【0079】
変形例3の撮像装置は、図13(a)及び図13(b)に示すように、内側レンズ1cが3枚のレンズから構成され、これらレンズによりなる撮像部501の光路途中にMEMSミラー500が配設されている。
即ち、MEMSミラー500は、変倍用駆動レンズや焦点調節レンズの光軸方向の移動範囲外で、かつ、光路中でイメージサークルや被写体光の広がりが小さくなるように、略アフォーカル系をなす凸凹レンズ(フォーカス系レンズc1と変倍系レンズc2)の組の後方で、結像レンズc3の前方に配置されている。
【0080】
従って、MEMSミラー500がイメージサークルや被写体光の広がりが小さい位置に配置されているので、実施形態1及び2のMEMSミラー300に比べてミラー本体1bの面積寸法が小さいミラーを用いることができ、より大きな口径のレンズや撮像素子1dを用いる撮像装置の手ぶれ補正にも利用できる。
【0081】
また、シリコンによるMEMS構造の回動ミラーの代りに、例えば、SUPなどバネ鋼材などを棒状に成型したトーションバー・スプリングをねじりバネとして用いた電磁駆動の回動ミラーを備えても良い。
なお、トーションバーのバネ定数は、棒の長さ・断面の形状・材質等により決まる。例えば、長方形断面を持つトーションバーのねじりこわさ(単位長さあたりのねじりバネ定数)Kは、材料の横弾性係数(G)、長辺(a)、短辺(b)とすると近似的にK=k’G・a・b3で表される(k’は、aとbの比で決まる係数)。
また、板状の回転体の場合、回転板の幅や重量を極力小さくすることにより慣性モーメントを小さくして応答速度を高めるために、例えば、アルミやチタンなど軽量の金属や、薄くても剛性の高いグラスファイバ−樹脂など、軽量でも剛性や耐久性の高い材料で構成するのが望ましい。
これにより、ミラーサイズを自由に変更して大きくできるだけでなく、大きな重いミラーも支えることができ、シリコン基板やLSIリソグラフィー技術やシリコンマイクロマシニング技術等などを使わなくともよいので、材料コストや製造コストを抑えることができる。
【0082】
また、上記実施形態では、撮像装置100、200の正面側に外側レンズを露出させるように設け、その内側にMEMSミラー300のミラー本体1bを設けるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、ミラー本体1bを最も被写体側に設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明を適用した実施形態1の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の撮像装置の外観を模式的に示す図である。
【図3】図1の撮像装置のMEMSミラーを模式的に示す斜視図である。
【図4】図3のMEMSミラーの動作原理を説明するための図である。
【図5】図1の撮像装置の撮像部のズーム機構を説明するための図である。
【図6】図1の撮像装置によるぶれ補正動作を説明するための図である。
【図7】図1の撮像装置による静止画像撮像処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明を適用した実施形態2の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図8の撮像装置のMEMSミラーの共振周波数と振れ角の一例を示す図である。
【図10】図8の撮像装置によるチルト動作を説明するための図である。
【図11】図8の撮像装置による動画像撮像処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】変形例2の撮像装置により検出された動きベクトルを模式的に示す図である。
【図13】変形例3の撮像装置の撮像部のズーム機構を説明するための図である。
【符号の説明】
【0084】
100、200 撮像装置(ぶれ補正装置)
1 撮像部
1a 外側レンズ(撮像レンズ部)
1b ミラー本体(回動ミラー)
1c 内側レンズ(撮像レンズ部)
1d 撮像素子
13 制御部(ぶれ補正回動制御手段、パン動作回動制御手段、チルト動作回動制御手段)
21 左右軸周り回動駆動部(通電手段)
22 傾斜軸周り回動駆動部(通電手段)
41 P方向角速度センサ(ぶれ量検出手段)
42 Y方向角速度センサ(ぶれ量検出手段)
8 電源部
9 操作入力部
91 操作部(パン動作指示手段、チルト動作指示手段)
300、500 MEMSミラー(回動ミラー部)
301 内側回動台
302 左右軸ねじりバネ
303 外側回動台
304 左右軸周り回動用駆動コイル
305 傾斜軸周り回動用駆動コイル
306 傾斜軸ねじりバネ
308 左右軸周り回動用磁石(磁界発生手段)
309 傾斜軸周り回動用磁石(磁界発生手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の撮像の際のぶれを補正するぶれ補正装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラを手持ちで撮影する場合、焦点距離の長いレンズやマクロ撮影、暗い被写体等の場合には、手ぶれや姿勢ぶれ、被写体の動き等による像ぶれが目立つ場合がある。
このような像ぶれは、レンズを明るくしたり、撮像感度を上げたり、シャッタ速度を速く設定したり、撮影者の習熟等によってもある程度防ぐことができるが、それには、限界がある。特に、ビデオカメラではカメラワークやズームを多用するので、カメラ移動や手ぶれが激しいと、画面揺れで観賞しにくくなり、このため、各種のぶれ補正装置が開発されてきた。
【0003】
ぶれ補正装置では、検出された角速度やぶれ量に応じて、撮像画像から切出す枠を変化させて像ぶれを補正する画像処理方式に比べ、光学系を機械的に動かして像ぶれを補正する光学補正方式の方が画質で有利とされる。
光学補正方式には、VAP(可変頂角プリズム)式や内蔵シフトレンズ式など種々の方式があり、一般に機構が複雑になり、鏡筒が長くなったり、色収差や偏心収差が生じたり、従来レンズを流用できなかったり、一長一短があり、小型で高精細の静止画にも動画撮影にも利用しやすいものは少なかった。
【0004】
例えば、回動式ミラーを用いる方法では、比較的簡単な構成で、手ぶれ角(Δθ)の半分の各(Δθ/2)だけミラーを逆方向に回動させてぶれを補正でき、収差の変動や色収差もない利点がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−219930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1等の場合、圧電素子により回動式ミラーを回動させるようになっているため、当該ミラーの位置決め固定機構が複雑となり、ぶれ補正時における制御が難しく精度良く行うことができないといった問題がある。
【0006】
なお、撮像素子側を上下左右に動かすCCDシフト式では、収差などの難点が無く、従来レンズも流用できる利点があるが、撮像素子全体を動かすため、撮像素子の実装方法や配線部の応力や反力などが駆動の邪魔になるといった問題がある。さらに、大きな撮像素子ではアクチュエータも大型になり耐久性に劣るといった問題もある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、小型で、且つ、制御性に優れるぶれ補正装置及び撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明のぶれ補正装置は、
被写体の光学像を結像する撮像レンズ部を有する撮像部と、
前記撮像レンズ部よりも被写体側若しくは前記撮像部の光路途中に配され、交差する一方向及び他方向の軸周りに回動自在となるように支持された回動ミラーを有する回動ミラー部と、
所定の磁界を発生させる磁界発生手段と、
前記磁界発生手段により発生される前記磁界中に配置されるとともに、前記回動ミラー部に配設された駆動コイルと、
前記駆動コイルに通電する通電手段と、
前記撮像部による前記被写体の撮像の際に、ぶれ量を検出するぶれ量検出手段と、
前記ぶれ量検出手段により検出された前記ぶれ量に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラーを前記一方向及び前記他方向の軸周りに回動させるぶれ補正回動制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のぶれ補正装置において、
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された支持部材で支持された内側回動台と、前記他方向に延出された支持部材で支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台の慣性モーメントは、前記外側回動台の慣性モーメントよりも小さくされていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のぶれ補正装置において、
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された前記ねじりバネで支持された内側回動台と、前記他方向に延出された前記ねじりバネで支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台の共振周波数は、前記外側回動台の共振周波数よりも高くされていることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のぶれ補正装置において、
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された前記ねじりバネで支持された内側回動台と、前記内側回動台及び前記回動ミラーが搭載され、前記他方向に延出された前記ねじりバネで支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台と前記外側回動台の共振周波数は略等しくなっていることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明の撮像装置は、
請求項1〜4の何れか一項に記載のぶれ補正装置と、
パン動作するためのパン動作指示信号を出力するパン動作指示手段と、
チルト動作するためのチルト動作指示信号を出力するチルト動作指示手段と、
前記パン動作指示手段から出力され入力された前記パン動作指示信号に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラー部を前記他方向の軸周りにパン動作させるパン動作回動制御手段と、
前記チルト操作指示手段から出力され入力された前記チルト動作指示信号に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラー部を前記一方向の軸周りにチルト動作させるチルト動作回動制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の撮像装置において、
前記ぶれ補正回動制御手段は、前記パン動作回動制御手段による前記回動ミラー部のパン動作中は、前記回動ミラーを前記他方向の軸周りに回動させる制御を行わず、且つ、前記チルト動作動作回動制御手段による前記回動ミラー部のチルト動作中は、前記回動ミラーを前記一方向の軸周りに回動させる制御を行わないことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型で、且つ、ぶれ補正時の制御性に優れるぶれ補正装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0016】
[実施形態1]
図1は、本発明を適用した実施形態1の撮像装置100の概略構成を模式的に示す図である。図2(a)は、撮像装置100の外観を模式的に示す正面図であり、図2(b)は、撮像装置100の外観を模式的に示す背面図である。
なお、以下の説明では、撮像装置100を被写体に向けて構えた状態での主撮影方向となる当該撮像装置100の前後方向に略直交する左右方向(例えば、水平方向)をH軸方向とし、前後方向及び左右方向に略直交する上下方向(例えば、垂直方向)をV軸方向とする。
【0017】
実施形態1の撮像装置100は、被写体の撮像の際の手ぶれや像ぶれ等を撮像部1に備わる光軸を略90°屈曲させるMEMSミラー(回動ミラー部)300を用いてぶれ補正を行うものである。
具体的には、撮像装置100は、例えば、図1及び図2に示すように、撮像部1と、ミラー回動駆動部2と、信号処理部3と、回動量検出部4と、測光部5と、測距部6と、発光部7と、電源部8と、操作入力部9と、表示部10と、画像メモリ11と、外部メモリ12と、制御部13等を備えて構成されている。
【0018】
撮像部1は、静止画像及び動画像の撮像を行うものである。また、撮像部1は、装置前方(被写体側)から入射する被写体光の撮影光軸を略90°屈曲する。具体的には、図1に示すように、外側レンズ1aと、ミラー本体(回動ミラー)1bと、内側レンズ1cと、撮像素子1dと、レンズ駆動部(図示略)等を備えている。
【0019】
外側レンズ1aは、図2(a)に示すように、撮像装置100の正面側に露出するように配設されている。
ミラー本体1bは、通常状態で、装置本体の前後方向に対して略45°傾けた状態で配設され、外側レンズ1aを通過した被写体光を略90°屈曲させる(詳細後述)。
内側レンズ1cは、例えば、4枚のレンズにより構成され、当該撮像部1にフォーカス機能及びズーム機能を実現させるものである(図5(a)及び図5(b)参照))。
撮像素子1dは、内側レンズ1cを通過した被写体光(被写体の光学像)を二次元の画像信号に変換して、信号処理部3に出力するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)等を備えている。
【0020】
信号処理部3は、A/D変換器等を備え、撮像部1から出力されるアナログ信号をデジタル画像データとして撮影制御部13aに出力する。
【0021】
ミラー回動駆動部2は、左右軸周り回動駆動部21と、傾斜軸周り回動駆動部22等を備えている。
左右軸周り回動駆動部21は、当該撮像装置100によるPitch(P)方向のぶれ補正動作の際に、MEMSミラー300のミラー本体1bをH軸方向(一方向)の軸周りに回動駆動させるためのものである。
傾斜軸周り回動駆動部22は、当該撮像装置100によるYaw(Y)方向のぶれ補正動作の際に、ミラー本体1bをV軸方向に対して所定角度傾斜した傾斜軸方向(他方向)の軸周りに回動駆動させるためのものである。
【0022】
以下に、MEMSミラー300の構成について図3及び図4を参照して説明する。
図3は、MEMSミラー300を模式的に示す斜視図である。また、図4は、MEMSミラー300の動作原理を説明するために一軸構成のMEMSミラー400を模式的に示す斜視図である。
【0023】
MEMSミラー300は、小型の単結晶シリコン半導体基板(MEMS基板)上などに微細加工を施すことにより形成され、図3に示すように、ミラー本体1bと、内側回動台301と、左右軸ねじりバネ302と、外側回動台303と、左右軸周り回動用駆動コイル304と、傾斜軸周り回動用駆動コイル305と、傾斜軸ねじりバネ306と、MEMS基板307と、左右軸周り回動用磁石308と、傾斜軸周り回動用磁石309と、ヨーク310等を備えている。
【0024】
ミラー本体1bは、例えば数ミリ角程度の金属薄膜の反射ミラーである。
内側回動台301は、外形が略矩形状をなし、その略中央にミラー本体1bが貼付されている。また、内側回動台301のH軸方向側の両端部には、H軸方向(一方向)に延出された左右軸ねじりバネ302が接続されている。
なお、左右軸ねじりバネ302の内側回動台301側と反対側の端部は、外側回動台303の内側面に接続されている。
これにより、内側回動台301及びミラー本体1bは、外側回動台303により支持されている。
【0025】
外側回動台303は、外形が略「ロ」字状に形成され、ミラー本体1bのP方向回動用及びY方向回動用の駆動コイルがそれぞれ配設されている。左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305は、左右軸周り回動用磁石308及び傾斜軸周り回動用磁石309の発生する磁界中に配置されている。
また、外側回動台303の傾斜軸方向側の両端部には、傾斜軸方向(他方向)に延出された傾斜軸ねじりバネ306が接続されている。
なお、傾斜軸ねじりバネ306の外側回動台303側と反対側の端部は、MEMS基板307の内側面に接続されている。
【0026】
MEMS基板307は、外形が略「ロ」字状に形成され、当該MEMS基板307の傾斜軸方向外側にミラー本体1bの左右軸周り回動用の磁石308が2つ配設され、当該MEMS基板307のH軸方向外側にミラー本体1bの傾斜軸周り回動用の磁石309が2つ配設されている。
左右軸周り回動用磁石308及び傾斜軸周り回動用磁石309の外側には、外形が略「ロ」字状に形成されたヨーク310が配設されている。
ここで、左右軸周り回動用磁石308及び傾斜軸周り回動用磁石309は、磁界発生手段を構成している。
【0027】
上記構成のMEMSミラー300は、左右軸周り回動用磁石308及び傾斜軸周り回動用磁石309による磁界Bp、By内に置いた左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対して、ミラー回動駆動部2から電流ip、iyを流すことにより、電磁ローレンツカFp、Fyを発生させて、左右軸ねじりバネ302及び傾斜軸ねじりバネ306の復元力と釣合う位置まで内側回動台301を左右軸ねじりバネ302の軸周りに、また、外側回動台303を傾斜軸ねじりバネ306の軸周りに所定角度回動駆動させることができる。
ここで、左右軸ねじりバネ302と、左右軸周り回動用駆動コイル304と、左右軸周り回動用磁石308と、ヨーク310は、左右軸周り回動駆動部21を構成し、傾斜軸周り回動用駆動コイル305と、傾斜軸ねじりバネ306と、傾斜軸周り回動用磁石309と、ヨーク310は、傾斜軸周り回動駆動部22を構成している。
【0028】
ここで、回動式のMEMSミラー300の動作原理について、図4を参照して詳細に説明する。
図4に示すように、一軸構成のMEMSミラー400の場合、単結晶シリコンなどの半導体材料基板401上に微細加工した梁状の可動板(回動台)402に反射ミラー403を設け、その支持軸となるねじりバネ404に略直交する方向に、永久磁石405で磁束密度Bの磁界をかけた状態で、ミラー周囲に配設された駆動コイル406に電流iを流すと、ローレンツ力Fによる回転トルクが生じて、ねじりバネの復元力と釣合う位置まで回動台のミラーを所定角度回動させることができる。
なお、ローレンツ力Fは、磁束密度B、駆動電流i、駆動コイル406の巻数nに比例する。
【0029】
駆動コイル406に流す電流iの大きさと向きを制御することにより反射ミラー403の回動角度姿勢と向きを制御することができる。例えば、図4に示すように、白抜き矢印で示された向きに電流iが流れることにより、反射ミラー403を搭載した回動台402は破線で示される矢印の向きに回動する一方で、反対向きに電流iが流れることにより、反射ミラー403を搭載した回動台402は反対向きに回動する。
【0030】
内側回動台301は、外側回動台303に比べてサイズや重量が小さいために慣性モーメントが小さく、応答速度が高くなる。これに対して、外側回動台303は、内側回動台301より二回りほどサイズが大きくなり、また、内側回動台301の重量も含めて回動させることになるので、慣性モーメントが大きくなって応答速度が低くなる。例えば、内側回動台301と外側回動台303の振れ角や補正角度範囲が同じになるように設計する場合、内側よりも大きな外側回動台303では、応答速度が内側回動台301の1/2〜1/5程度に低くなる(応答が遅くなる)。
従って、内側回動台301の応答速度は、外側回動台303の応答速度よりも高くされ、内側回動台301の回動方向は、手ぶれにおける振動頻度や振動周波数が高く、補正駆動時により高い(速い)応答速度を要するP方向(縦揺れ、前後回動)とされる一方で、外側回動台303の回動方向は、手ぶれにおける振動頻度が低く、応答速度が低く(遅く)ても良いY方向(偏揺角、横方向の回動)とされている。
【0031】
内側レンズ1cは、例えば、図5(a)及び図5(b)に示すように、被写体側から順に、第1レンズc1と、第2レンズc2と、第3レンズc3と、絞りc5と、第4レンズc4が並んで設けられている。
【0032】
第1レンズc1は、所定位置に固定されたフォーカス系の凸型のレンズであり、MEMSミラー300により反射された被写体光を通過させる。即ち、第1レンズc1は、自動合焦(AF)処理のフォーカス動作時にて、モータやギア等からなるレンズ駆動部の駆動に従って光軸方向に移動する。
第2レンズc2は、光軸方向に移動自在に設けられた変倍系の凹型のレンズ(バリエータ)であり、第1レンズc1を通過した被写体光を通過させる。即ち、第2レンズc2は、ズーム動作時にて、レンズ駆動部の駆動に従って、ズームのTele側で第1レンズc1に近付くように移動し(図5(a)参照)、Wide側で第3レンズc3に近付くように移動する(図5(b)参照)。
第3レンズc3は、所定位置に固定された補償系の凹型のレンズ(コンペンセータ)であり、第2レンズc2を通過した被写体光を通過させる。
絞りc5は、光の量を調整するものであり、第3レンズc3を通過した光の一部を遮って残りを通過させる。
第4レンズc4は、所定位置に固定されたリレー系の凸型のレンズ(結像レンズ)であり、絞りc5を通過した被写体光を撮像素子1dの撮像面に結像させる。
【0033】
回動量検出部4は、P方向角速度センサ41と、Y方向角速度センサ42等を備えている。
P方向角速度センサ41は、撮像装置本体のPitch(P)方向の回動量を検出するものである。また、P方向角速度センサ41は、振動子41aと、角速度検出部41b等を備えている。角速度検出部41bは、振動子41aから出力された信号に基づいてP方向の角速度を検出するものである。
Y方向角速度センサ42は、撮像装置本体のYaw(Y)方向の回動量(手ぶれ量)を検出するものである。また、Y方向角速度センサ42は、振動子42aと、角速度検出部42b等を備えている。角速度検出部42bは、振動子42aから出力された信号に基づいてY方向の角速度を検出するものである。
【0034】
測光部5は、自動露出(AE)処理にて、被写体の明るさを測定(算出)するためのものである。
【0035】
測距部6は、自動合焦(AF)処理にて、位相差検出方式やコントラスト検出方式により被写体までの距離を測定(算出)するためのものである。
【0036】
発光部7は、被写体の撮像時に発光するものである。また、発光部7は、ストロボ本体7aと、発光制御部7b等を備え、ユーザによる操作入力部9の所定操作や制御部13による制御に基づいて、発光制御部7bから出力され入力されるタイミング信号に応じて、ストロボから発光する。
【0037】
電源部8は、電池8aと、電源制御部8b等を備え、撮像装置100の各部に電源を供給するものである。
【0038】
操作入力部9は、撮像装置100の所定操作を行うためのものである。また、操作入力部9は、操作部91と、入力回路92等を備えている。
【0039】
操作部91は、電源スイッチ91a、撮影モード等を切り替えるモード切替スイッチ91b、静止画像のレリーズ操作や動画撮影の開始/停止を行うレリーズボタン91c、ズーム操作を行うUp/Downキー91d、撮影条件やその他の設定などを行うためのメニューボタン91e、カーソルキー91f、設定ボタン91g、表示切替ボタン91h等を備えている。
レリーズボタン91cは、例えば、半押し操作及び全押し操作の2段階の押圧操作が可能に構成され、各操作段階に応じた所定の操作信号を出力する。
入力回路92は、操作部91から出力され入力された操作信号を制御部13に入力するためのものである。
【0040】
表示部10は、撮像部1により撮像された画像を表示するものである。即ち、表示部10は、表示制御部(図示略)と、画像表示部10a等を備え、表示制御部からの出力信号に基づいて液晶モニタ等の画像表示部10aに所定の画像を表示する。
【0041】
画像メモリ11は、例えば、画像データ等を記憶する内蔵メモリである。
外部メモリ12は、例えば、撮像装置100本体に着脱自在に設けられ、画像データ等を記憶するメモリである。また、外部メモリ12は、メモリインターフェース(メモリIF)121を介して制御部13に接続されている。
【0042】
制御部13は、撮影制御部13aと、デジタル画像処理部13bと、画像バッファメモリ13cと、ぶれ量演算部13dと、ぶれ補正量算出部13e等を備えている。
【0043】
撮影制御部13aは、各種処理プログラムに従って、ぶれ補正処理等の撮像部1による被写体の撮像に関連する処理を制御するものである。
【0044】
デジタル画像処理部13bは、撮影制御部13aから出力される画像信号に対して所定の画像処理を施すものである。
画像バッファメモリ13cは、画像処理後の画像信号を一時的に記憶するものである。
【0045】
ぶれ量演算部13dは、ぶれ量検出手段として、撮像部1による被写体の撮像の際に、ぶれ量を検出する。即ち、ぶれ量演算部13dは、P方向角速度センサ41により検出されたP方向の角速度及びY方向角速度センサ42により検出されたY方向の角速度に基づいて、手ぶれや支持姿勢ぶれ等のぶれ量を演算する。
【0046】
ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたぶれ量に基づいて、ぶれ補正処理におけるぶれ補正量、つまり、MEMSミラー300の回動方向及び回動量を算出する。即ち、ぶれ補正量算出部13eは、内側回動台301及び外側回動台303の回動角度及び回動方向を規定する回動駆動部2からの左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出する。
そして、制御部13は、ぶれ補正回動制御手段として、ぶれ補正量算出部13eにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをP方向及びY方向に回動させる。
【0047】
以下に、ぶれ補正動作について図6(a)〜図6(c)を参照して詳細に説明する。
図6(a)は、手ぶれのない状態を模式的に示した図であり、図6(b)は、手ぶれが生じた状態を模式的に示した図であり、図6(c)は、手ぶれを補正した状態を模式的に示した図である。
なお、図6(a)〜図6(c)には、P方向(縦揺れ、前後回動)のミラー回動によるぶれ補正動作を例示するが、Y方向(偏揺角、横方向の回動(水平回転))など他の回動方向の補正動作も略同様となっている。
【0048】
例えば、図6(a)に示す状態で、手ぶれが発生すると、回動量検出部4(P方向角速度センサ41やY方向角速度センサ42)により検出された角速度に応じてぶれ量演算部13dによりぶれ量(ぶれ角度Δθ;図6(b)参照)を演算する。
そして、ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたぶれ量に基づいて、左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出して、Δθ/2だけ反対方向にミラー本体1bを回動させるように当該ミラー本体1bの角度姿勢を駆動制御する。
これにより、手ぶれや支持姿勢ぶれ等により像ぶれが生じても光軸を安定保持する。
【0049】
次に、静止画像撮像処理について図7を参照して説明する。
ここで、図7は、静止画像撮像処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【0050】
図7に示すように、先ず、ユーザによる操作部91のモード切替スイッチ91bの所定操作に基づいて静止画像撮影モードに設定されると(ステップS1)、撮影制御部13aの制御下にて、撮影条件の設定、測光処理、ホワイトバランス処理、自動合焦処理等が行われる(ステップS2)。
そして、制御部13は、撮像部1により撮像された被写体の画像に係る画像信号に基づいて、表示部10にスルー画像を表示させる(ステップS3)。
【0051】
続けて、ユーザによりレリーズボタン91cの半押し操作が行われると(ステップS4;YES)、撮影制御部13aは、ぶれ補正処理を実行するようにぶれ補正機能がON設定されているか否かを判定する(ステップS5)。ここで、ぶれ補正機能がONに設定されていると判定されると(ステップS5;YES)、ぶれ量演算部13dは、P方向角速度センサ41により検出されたP方向の角速度及びY方向角速度センサ42により検出されたY方向の角速度に基づいて、手ぶれや支持姿勢ぶれ等のぶれ量(ΔΘP、ΔΘY)を演算して検出する(ステップS6)。
そして、ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたぶれ量に基づいて、ぶれ補正処理におけるMEMSミラー300の回動方向及び回動量(ΔΘP/2、ΔΘY/2)を規定する左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向(ぶれ補正量)を算出する(ステップS7)。
続けて、制御部13は、ぶれ補正量算出部13eにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをP方向及びY方向に回動させるぶれ補正動作を実行する(ステップS8)。
【0052】
続けて、ユーザによりレリーズボタン91cの全押し操作が行われると(ステップS9;YES)、ステップS5〜ステップS8と略同様の処理、即ち、ぶれ補正機能がON設定されているか否かの判定(ステップS10)、ぶれ量の検出(ステップS11)、ぶれ補正量の算出(ステップS12)、ぶれ補正動作(ステップS13)を行う。
そして、撮影制御部13aは、撮像部1を制御して、所定の露出条件で被写体の撮像を行って(ステップS14)、画像信号の符号化や圧縮符号化を行って画像メモリ11に記録する(ステップS15)。
【0053】
なお、ステップS4にて、レリーズボタン91cの半押し操作が行われていないと判定されたり(ステップS4;NO)、ステップS5にて、ぶれ補正機能がONに設定されていないと判定されると(ステップS5;NO)、制御部13は、ステップS9に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
また、ステップS9にて、レリーズボタン91cの全押し操作が行われていないと判定されると(ステップS9;NO)、制御部13は、ステップS5に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
さらに、ステップS10にて、ぶれ補正機能がONに設定されていないと判定されると(ステップS10;NO)、制御部13は、ステップS14に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
【0054】
以上のように、実施形態1の撮像装置100によれば、ぶれ量演算部により演算されたぶれ量に基づいて、ミラー回動駆動部2による左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を制御して左右軸ねじりバネ302及び傾斜軸ねじりバネ306により支持されたミラー本体1bをP方向及びY方向に回動させることができる。従って、ぶれ補正に用いるミラーの制御を簡易な構成で、且つ、省電力で適正に行うことができ、ぶれ補正部の小型化を図ることができる。その結果、小型でぶれ補正時の制御性に優れる撮像装置100を提供することができる。
【0055】
また、単結晶シリコンを使っているため、結晶欠陥に起因する金属疲労がないため、耐久性を高くして長寿命化を図ることができるとともに、可動部の質量が小さいために外部衝撃力の影響を受けにくくすることができる。
また、ぶれ補正できる角度範囲を±5〜30゜程度まで大きくすることができ、さらに、収差などの変化もなくすことができ、加えて、従来の光学系もそのまま流用できるなどの格別の効果を得ることができる。
【0056】
さらに、P方向に回動する内側回動台301の応答速度は、Y方向に回動する外側回動台303の応答速度よりも高くされているので、サイズや重量が小さく慣性モーメントが小さく、応答速度の高い内側回動台301の回動動作を、手ぶれにおける振動頻度や振動周波数が高く、補正駆動時により高い(速い)応答速度を要するP方向(縦揺れ、前後回動)の補正回動駆動に用いることができるとともに、応答速度の低い外側回動台303の回動動作を、手ぶれにおける振動頻度が低く、応答速度が低く(遅く)ても良いY方向(偏揺角、横方向の回動)の補正回動駆動に用いることができる。
従って、手持ち撮影における手ぶれの実態に即したぶれ補正処理を適正に行うことができる。
【0057】
[実施形態2]
以下に、実施形態2の撮像装置200について図8〜図11を参照して説明する。
ここで、図8は、本発明を適用した実施形態2の撮像装置200の概略構成を示すブロック図である。
実施形態2の撮像装置200は、図8に示すように、ぶれ補正処理に加えて、スイッチ操作などに応じて電動式パン/チルト駆動機能を具備している。
なお、実施形態2の撮像装置200は、電動式パン/チルト駆動機能を具備する以外の点では、実施形態1におけるものと略同様であり、その詳細な説明については省略するものとする。
【0058】
操作部91は、図示は省略するが、パン動作スイッチと、チルト動作スイッチ等を備えている。
パン動作スイッチは、パン動作指示手段を構成しており、パン動作を行うためにパン操作量を入力するものである。また、パン動作スイッチは、ユーザによる所定操作に基づいてパン動作指示信号を入力回路92に出力する。そして、入力回路92は、入力されたパン動作指示信号をパン/チルト操作量算出部13fに出力する。
チルト動作スイッチは、チルト動作指示手段を構成しており、チルト動作を行うためにチルト操作量を入力するものである。また、チルト動作スイッチは、ユーザによる所定操作に基づいてチルト動作指示信号を入力回路92に出力する。そして、入力回路92は、入力されたチルト動作指示信号をパン/チルト操作量算出部13fに出力する。
【0059】
パン/チルト操作量算出部13fは、制御部13に備わり、入力回路92を介して入力されたパン動作指示信号及びチルト動作指示信号に基づいて、パン/チルト操作量、即ち、内側回動台301及び外側回動台303の回動角度及び回動方向を規定する回動駆動部2からの左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出する。
そして、制御部13は、パン動作回動制御手段として、パン/チルト操作量算出部13fにより算出された傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをパン動作(Y方向に回動)させる。
また、制御部13は、チルト動作回動制御手段として、パン/チルト操作量算出部13fにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをチルト動作(P方向に回動)させる。
【0060】
また、内側回動台301は、共振周波数が高いが振れ角がやや小さくされ、外側回動台303は、共振周波数は低いが振れ角が大きくされている。
MEMSミラー300では、外部からの周期的な力により強制振動が行われる場合、外力の振動数と振動系の固有振動数が等しくなると、共振現象により強制振動の振幅が著しく大きくなり、小さな力で大きな振動や振幅が得られる。
ここで、ミラー本体1bの振れ角は、駆動力を一定とした場合、共振周波数と、回動台の慣性モーメントと密接な関係を有し、共振周波数が高くなったり回動台の慣性モーメント(ミラーや回動台のサイズや質量)が大きくなると振れ角(θ)は小さくなる。
【0061】
ここで、二軸駆動構成のMEMSミラー300の共振周波数と振れ角の一例を図9に示すと、例えば、MEMSミラー300のミラー本体1bのサイズを6×7(mm)とすると、内側回動台301の共振周波数は1.5kHzで振れ角は±30°となり、外側回動台303の共振周波数は430Hzで振れ角は±30°となる。また、ミラー本体1bのサイズを4×3(mm)とすると、内側回動台301の共振周波数は560Hzで振れ角は±34°となり、外側回動台303の共振周波数は2400Hzで振れ角は±34°となる。
即ち、ユーザによるチルト動作では大きな操作角度を要求されず、ぶれ補正処理にて高い応答速度を要求されるP方向の回動には、振れ角はやや小さいが、共振周波数を高く設計された内側回動台の回動駆動を用い、ユーザによるパン動作では大きな操作角度を必要とし、ぶれ補正処理では高い応答速度を要求されないY方向の回動には、共振周波数は低いが、振れ角を大きく設計された外側回動台の回動駆動を用いるようになっている。
【0062】
また、表示部10は、パン/チルト動作処理にて、画像表示部10aにチルト操作量10bやパン操作量10cを表示するようになっている(図10(a)〜図10(c)参照)。
具体的には、画像表示部10aの右端部やや下よりの位置にチルト操作量10bを表示し、画像表示部10aの下端部やや右よりの位置にパン操作量10cを表示する。
チルト操作量10bやパン操作量10cは、例えば、図10(a)〜図10(c)に示すように、棒グラフで表示され、チルト量やパン量が大きくなるほどより長い棒グラフとして表示されるようになっている。
【0063】
以下に、チルト動作について図10(a)〜図10(c)を参照して説明する。
図10(a)は、所定位置よりも上向きにチルト動作させた状態を説明するための図であり、図10(b)は、チルト動作させていない状態を説明するための図であり、図10(c)は、所定位置よりも下向きにチルト動作させた状態を説明するための図である。
なお、図10(a)〜図10(c)には、チルト動作を例示するが、パン動作も略同様となっている。
【0064】
例えば、図10(b)に示す状態で、ユーザによるチルト動作スイッチの所定操作に基づいて上向きのチルト動作(水平方向に対して+2α)の実行が指示されると、パン/チルト操作量算出部13fは、チルト動作量、即ち、傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出して、MEMSミラー300の傾斜角度(45°)+αだけミラー本体1bを回動させるようにミラー本体1bの角度姿勢を駆動制御する(図10(a)参照)。
また、ユーザによるチルト動作スイッチの所定操作に基づいて下向きのチルト動作(水平方向に対して−2β)の実行が指示されると、パン/チルト操作量算出部13fは、チルト動作量、即ち、傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出して、MEMSミラー300の傾斜角度(45°)−βだけミラー本体1bを回動させるようにミラー本体1bの角度姿勢を駆動制御する(図10(c)参照)。
これにより、操作部91を介して入力されたチルト操作量に対して光軸を所定位置に移動させる。
【0065】
以下に、動画像撮像処理について図11を参照して詳細に説明する。
ここで、図11は、動画像撮像処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【0066】
図11に示すように、ユーザによる操作部91のモード切替スイッチ91bの所定操作に基づいて動画像撮影モードに設定され、レリーズボタン91cの所定操作に基づいて動画像の撮像が開始されると(ステップS21)、撮影制御部13aは、ぶれ補正処理を実行するようにぶれ補正機能がON設定されているか否かを判定する(ステップS22)。
ここで、ぶれ補正機能がONに設定されていると判定されると(ステップS22;YES)、ぶれ量演算部13dは、P方向角速度センサ41により検出されたP方向の角速度及びY方向角速度センサ42により検出されたY方向の角速度に基づいて、手ぶれや支持姿勢ぶれ等のぶれ量(ΔΘP、ΔΘY)を演算して検出する(ステップS23)。
【0067】
次に、制御部13は、ユーザによるパン動作スイッチの所定操作に基づいてパン動作指示信号が入力されているか否かを判定する(ステップS24)。ここで、パン動作指示信号が入力されていると判定されると(ステップS24;YES)、パン/チルト操作量算出部13fは、パン操作量、即ち、外側回動台303の回動角度及び回動方向を規定する回動駆動部2からの傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向を算出して、制御部13は、パン/チルト操作量算出部13fにより算出された傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをパン動作(Y方向に回動)させる(ステップS25)。
一方、ステップS24にて、パン動作指示信号が入力されていないと判定されると(ステップS24;NO)、制御部13は、ユーザによるチルト動作スイッチの所定操作に基づいてチルト動作指示信号が入力されているか否かを判定する(ステップS26)。ここで、チルト動作指示信号が入力されていると判定されると(ステップS26;YES)、パン/チルト操作量算出部13fは、チルト操作量、即ち、内側回動台301の回動角度及び回動方向を規定する回動駆動部2からの左右軸周り回動用駆動コイル304に対する通電量及び通電方向を算出して、制御部13は、パン/チルト操作量算出部13fにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをチルト動作(P方向に回動)させる(ステップS27)。
【0068】
次に、撮影制御部13aは、ぶれ補正処理を実行するようにぶれ補正機能がON設定されているか否かを判定する(ステップS28)。
ここで、ぶれ補正機能がONに設定されていると判定されると(ステップS28;YES)、制御部13は、ユーザによるパン動作スイッチの所定操作に基づいてパン動作指示信号が入力されているか否かに応じてパン動作中であるか否かを判定する(ステップS29)。ここで、パン動作指示信号が入力されている、即ち、パン動作中であると判定されると(ステップS29;YES)、ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたP方向のぶれ量に基づいて、ぶれ補正処理におけるMEMSミラー300の回動方向及び回動量(ΔΘP/2)を規定する左右軸周り回動用駆動コイル304に対する通電量及び通電方向(ぶれ補正量)を算出する(ステップS30)。
続けて、制御部13は、ぶれ補正量算出部13eにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをP方向に回動させるぶれ補正動作を実行する(ステップS31)。
【0069】
一方、ステップS29にて、パン動作中ではないと判定されると(ステップS29;NO)、制御部13は、ユーザによるチルト動作スイッチの所定操作に基づいてチルト動作指示信号が入力されているか否かに応じてチルト動作中であるか否かを判定する(ステップS32)。ここで、チルト動作指示信号が入力されている、即ち、チルト動作中であると判定されると(ステップS32;YES)、ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたY方向のぶれ量に基づいて、ぶれ補正処理におけるMEMSミラー300の回動方向及び回動量(ΔΘY/2)を規定する傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向(ぶれ補正量)を算出する(ステップS33)。
続けて、制御部13は、ぶれ補正量算出部13eにより算出された傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをY方向に回動させるぶれ補正動作を実行する(ステップS34)。
【0070】
また、ステップS32にて、チルト動作中ではないと判定されると(ステップS32;NO)、ぶれ補正量算出部13eは、ぶれ量演算部13dにより演算されたP方向及びY方向のぶれ量に基づいて、ぶれ補正処理におけるMEMSミラー300の回動方向及び回動量(ΔΘP/2、ΔΘY/2)を規定する左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向(ぶれ補正量)を算出する(ステップS35)。
続けて、制御部13は、ぶれ補正量算出部13eにより算出された左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する通電量及び通電方向に基づいて、当該左右軸周り回動用駆動コイル304及び傾斜軸周り回動用駆動コイル305に対する回動駆動部2からの通電を制御して、ミラー本体1bをP方向及びY方向に回動させるぶれ補正動作を実行する(ステップS36)。
【0071】
そして、制御部13は、ユーザによるレリーズボタン91cの所定操作に基づいて動画像の撮像の終了が指示されているか否かを判定して(ステップS37)、動画像の撮像の終了が指示されていないと判定されると(ステップS37;NO)、制御部13は、ステップS22に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
また、ステップS3にて、動画像の撮像の終了が指示されると(ステップS37;YES)、制御部13は、複数の画像フレームに係る画像信号の符号化や圧縮符号化を行って画像メモリ11に記録する(ステップS38)。
【0072】
なお、ステップS22にて、ぶれ補正機能がONに設定されていないと判定されると(ステップS22;NO)、制御部13は、ステップS24に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
また、ステップS28にて、ぶれ補正機能がONに設定されていないと判定されると(ステップS28;NO)、制御部13は、ステップS37に移行して、それ以降の処理の実行を制御する。
【0073】
以上のように、実施形態2の撮像装置200によれば、ぶれ補正処理とともに、スイッチ操作などによる電動式パン/チルト駆動操作機能を具備する構成であって、静止画像と動画像の両方の撮像を行う場合に、振れ角は小さいが共振周波数が高くなる内側回動台301の回動方向を、P方向のぶれ補正方向及び動画でのチルト動作方向に設定する一方で、共振周波数は低いが振れ角の大きい外側回動台303の回動方向を、Y方向のぶれ補正方向及び動画でのパン動作方向に設定することにより、駆動特性に違いがあっても、十分な振れ角度でぶれ補正やパン/チルト動作を行うことができ、より魅力的な撮像装置200を提供することができる。
【0074】
また、制御部13は、ミラー本体1bのパン動作中は、当該ミラー本体1bを傾斜軸周りに回動させる制御を行わず、且つ、ミラー本体1bのチルト動作中は、当該ミラー本体1bをH軸周りに回動させる制御を行わないので、MEMSミラー300を用いたパン動作及びチルト動作を適正に行うことができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
以下に、撮像装置の変形例について説明する。
【0076】
変形例1の撮像装置は、内側回動台301と外側回動台303の共振周波数が同じ程度となるように設計されている。
この場合には、内側回動台301はその振れ角度が大きくなるので、その回動方向を、大きなぶれ補正角度を必要とするP方向や、動画撮影におけるカメラワークの角度が大きいパン方向とするのが好ましい。
また、共振周波数を高く設定すると、外側回動台303はその振れ角が小さくなるので、その回動方向を、手ぶれにおける振動頻度が低く、ぶれ補正角度を比較的小さくても良いY方向や、動画撮影時のカメラワークの角度が比較的小さくても良いチルト方向とするのが好ましい。
これにより、変形例1の撮像装置によれば、同じ駆動力でも、Y方向とP方向とに十分な振れ角度でぶれ補正やパン/チルト動作を行うことができる。
【0077】
なお、上記変形例1にあっては、各回動台の回動方向による振れ角の違いや比に応じて、周囲に設ける各方向の永久磁石による磁界の大きさ(磁束密度B)を変えるように調節して、同じ駆動力(電流)で同じ振れ角が得られるように調節するように構成しても良い。
【0078】
変形例2の撮像装置は、図12(a)〜図12(d)に示すように、撮像部1から出力される映像信号に基づいて動きベクトルを検出して画像処理によりぶれ量を検出する。
即ち、画像処理による像ぶれの検出では、撮像信号からの画像を複数のブロックbに分割し、隣接する連続画像間の各ブロックbの動きベクトルの方向を求め、各ブロックbの動きベクトルが一定の方向であるか判別する(ブロックマッチング法)。
そして、全体が特定方向に同じ量だけ移動していれは、手ぶれと判断し(図12(a)や図12(b)参照)、ブロックb毎にバラバラ、若しくは所定ブロックbだけが特定方向に移動していれは、手ぶれではなく被写体の移動等と判断する(図12(c)参照)。
また、全体が水平方向に同じ量だけ移動していれは、パン操作と判断する(図12(d)。
【0079】
変形例3の撮像装置は、図13(a)及び図13(b)に示すように、内側レンズ1cが3枚のレンズから構成され、これらレンズによりなる撮像部501の光路途中にMEMSミラー500が配設されている。
即ち、MEMSミラー500は、変倍用駆動レンズや焦点調節レンズの光軸方向の移動範囲外で、かつ、光路中でイメージサークルや被写体光の広がりが小さくなるように、略アフォーカル系をなす凸凹レンズ(フォーカス系レンズc1と変倍系レンズc2)の組の後方で、結像レンズc3の前方に配置されている。
【0080】
従って、MEMSミラー500がイメージサークルや被写体光の広がりが小さい位置に配置されているので、実施形態1及び2のMEMSミラー300に比べてミラー本体1bの面積寸法が小さいミラーを用いることができ、より大きな口径のレンズや撮像素子1dを用いる撮像装置の手ぶれ補正にも利用できる。
【0081】
また、シリコンによるMEMS構造の回動ミラーの代りに、例えば、SUPなどバネ鋼材などを棒状に成型したトーションバー・スプリングをねじりバネとして用いた電磁駆動の回動ミラーを備えても良い。
なお、トーションバーのバネ定数は、棒の長さ・断面の形状・材質等により決まる。例えば、長方形断面を持つトーションバーのねじりこわさ(単位長さあたりのねじりバネ定数)Kは、材料の横弾性係数(G)、長辺(a)、短辺(b)とすると近似的にK=k’G・a・b3で表される(k’は、aとbの比で決まる係数)。
また、板状の回転体の場合、回転板の幅や重量を極力小さくすることにより慣性モーメントを小さくして応答速度を高めるために、例えば、アルミやチタンなど軽量の金属や、薄くても剛性の高いグラスファイバ−樹脂など、軽量でも剛性や耐久性の高い材料で構成するのが望ましい。
これにより、ミラーサイズを自由に変更して大きくできるだけでなく、大きな重いミラーも支えることができ、シリコン基板やLSIリソグラフィー技術やシリコンマイクロマシニング技術等などを使わなくともよいので、材料コストや製造コストを抑えることができる。
【0082】
また、上記実施形態では、撮像装置100、200の正面側に外側レンズを露出させるように設け、その内側にMEMSミラー300のミラー本体1bを設けるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、ミラー本体1bを最も被写体側に設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明を適用した実施形態1の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の撮像装置の外観を模式的に示す図である。
【図3】図1の撮像装置のMEMSミラーを模式的に示す斜視図である。
【図4】図3のMEMSミラーの動作原理を説明するための図である。
【図5】図1の撮像装置の撮像部のズーム機構を説明するための図である。
【図6】図1の撮像装置によるぶれ補正動作を説明するための図である。
【図7】図1の撮像装置による静止画像撮像処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明を適用した実施形態2の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図8の撮像装置のMEMSミラーの共振周波数と振れ角の一例を示す図である。
【図10】図8の撮像装置によるチルト動作を説明するための図である。
【図11】図8の撮像装置による動画像撮像処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】変形例2の撮像装置により検出された動きベクトルを模式的に示す図である。
【図13】変形例3の撮像装置の撮像部のズーム機構を説明するための図である。
【符号の説明】
【0084】
100、200 撮像装置(ぶれ補正装置)
1 撮像部
1a 外側レンズ(撮像レンズ部)
1b ミラー本体(回動ミラー)
1c 内側レンズ(撮像レンズ部)
1d 撮像素子
13 制御部(ぶれ補正回動制御手段、パン動作回動制御手段、チルト動作回動制御手段)
21 左右軸周り回動駆動部(通電手段)
22 傾斜軸周り回動駆動部(通電手段)
41 P方向角速度センサ(ぶれ量検出手段)
42 Y方向角速度センサ(ぶれ量検出手段)
8 電源部
9 操作入力部
91 操作部(パン動作指示手段、チルト動作指示手段)
300、500 MEMSミラー(回動ミラー部)
301 内側回動台
302 左右軸ねじりバネ
303 外側回動台
304 左右軸周り回動用駆動コイル
305 傾斜軸周り回動用駆動コイル
306 傾斜軸ねじりバネ
308 左右軸周り回動用磁石(磁界発生手段)
309 傾斜軸周り回動用磁石(磁界発生手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光学像を結像する撮像レンズ部を有する撮像部と、
前記撮像レンズ部よりも被写体側若しくは前記撮像部の光路途中に配され、交差する一方向及び他方向の軸周りに回動自在となるように支持された回動ミラーを有する回動ミラー部と、
所定の磁界を発生させる磁界発生手段と、
前記磁界発生手段により発生される前記磁界中に配置されるとともに、前記回動ミラー部に配設された駆動コイルと、
前記駆動コイルに通電する通電手段と、
前記撮像部による前記被写体の撮像の際に、ぶれ量を検出するぶれ量検出手段と、
前記ぶれ量検出手段により検出された前記ぶれ量に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラーを前記一方向及び前記他方向の軸周りに回動させるぶれ補正回動制御手段と、
を備えることを特徴とするぶれ補正装置。
【請求項2】
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された支持部材で支持された内側回動台と、前記他方向に延出された支持部材で支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台の慣性モーメントは、前記外側回動台の慣性モーメントよりも小さくされていることを特徴とする請求項1に記載のぶれ補正装置。
【請求項3】
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された前記ねじりバネで支持された内側回動台と、前記他方向に延出された前記ねじりバネで支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台の共振周波数は、前記外側回動台の共振周波数よりも高くされていることを特徴とする請求項1に記載のぶれ補正装置。
【請求項4】
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された前記ねじりバネで支持された内側回動台と、前記内側回動台及び前記回動ミラーが搭載され、前記他方向に延出された前記ねじりバネで支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台と前記外側回動台の共振周波数は略等しくなっていることを特徴とする請求項1に記載のぶれ補正装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のぶれ補正装置と、
パン動作するためのパン動作指示信号を出力するパン動作指示手段と、
チルト動作するためのチルト動作指示信号を出力するチルト動作指示手段と、
前記パン動作指示手段から出力され入力された前記パン動作指示信号に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラー部を前記他方向の軸周りにパン動作させるパン動作回動制御手段と、
前記チルト操作指示手段から出力され入力された前記チルト動作指示信号に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラー部を前記一方向の軸周りにチルト動作させるチルト動作回動制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記ぶれ補正回動制御手段は、前記パン動作回動制御手段による前記回動ミラー部のパン動作中は、前記回動ミラーを前記他方向の軸周りに回動させる制御を行わず、且つ、前記チルト動作動作回動制御手段による前記回動ミラー部のチルト動作中は、前記回動ミラーを前記一方向の軸周りに回動させる制御を行わないことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項1】
被写体の光学像を結像する撮像レンズ部を有する撮像部と、
前記撮像レンズ部よりも被写体側若しくは前記撮像部の光路途中に配され、交差する一方向及び他方向の軸周りに回動自在となるように支持された回動ミラーを有する回動ミラー部と、
所定の磁界を発生させる磁界発生手段と、
前記磁界発生手段により発生される前記磁界中に配置されるとともに、前記回動ミラー部に配設された駆動コイルと、
前記駆動コイルに通電する通電手段と、
前記撮像部による前記被写体の撮像の際に、ぶれ量を検出するぶれ量検出手段と、
前記ぶれ量検出手段により検出された前記ぶれ量に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラーを前記一方向及び前記他方向の軸周りに回動させるぶれ補正回動制御手段と、
を備えることを特徴とするぶれ補正装置。
【請求項2】
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された支持部材で支持された内側回動台と、前記他方向に延出された支持部材で支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台の慣性モーメントは、前記外側回動台の慣性モーメントよりも小さくされていることを特徴とする請求項1に記載のぶれ補正装置。
【請求項3】
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された前記ねじりバネで支持された内側回動台と、前記他方向に延出された前記ねじりバネで支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台の共振周波数は、前記外側回動台の共振周波数よりも高くされていることを特徴とする請求項1に記載のぶれ補正装置。
【請求項4】
前記回動ミラー部は、前記回動ミラーが搭載され、前記一方向に延出された前記ねじりバネで支持された内側回動台と、前記内側回動台及び前記回動ミラーが搭載され、前記他方向に延出された前記ねじりバネで支持された外側回動台とを備え、
前記内側回動台と前記外側回動台の共振周波数は略等しくなっていることを特徴とする請求項1に記載のぶれ補正装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のぶれ補正装置と、
パン動作するためのパン動作指示信号を出力するパン動作指示手段と、
チルト動作するためのチルト動作指示信号を出力するチルト動作指示手段と、
前記パン動作指示手段から出力され入力された前記パン動作指示信号に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラー部を前記他方向の軸周りにパン動作させるパン動作回動制御手段と、
前記チルト操作指示手段から出力され入力された前記チルト動作指示信号に基づいて、前記通電手段による前記駆動コイルに対する通電量及び通電方向を制御して前記回動ミラー部を前記一方向の軸周りにチルト動作させるチルト動作回動制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記ぶれ補正回動制御手段は、前記パン動作回動制御手段による前記回動ミラー部のパン動作中は、前記回動ミラーを前記他方向の軸周りに回動させる制御を行わず、且つ、前記チルト動作動作回動制御手段による前記回動ミラー部のチルト動作中は、前記回動ミラーを前記一方向の軸周りに回動させる制御を行わないことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−242207(P2008−242207A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84316(P2007−84316)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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