説明

ろ過装置

【課題】 液体培地を安定して効率よくろ過することができるろ過装置を提供する。
【解決手段】 原液タンク2と、第1の管路18,19と、クロスフローろ過方式の第1のろ過手段17と、デッドエンドろ過方式の第2のろ過手段46と、第1のろ過手段17と第2のろ過手段46とを接続する第2の管路21とを備えるろ過装置1において、第2の管路21の途中に設けられ、第1のろ過手段17によりろ過された液体培地を貯留する貯留タンク4と、貯留タンク4に設けられ、貯留タンク4内の圧力を調整する圧力調整手段42と、第2の管路21における貯留タンク4と第2のろ過手段46との間に設けられ、貯留タンク4に貯留されている液体培地を第2のろ過手段46に供給するポンプ47とを備え、ポンプ47は、貯留タンク4に所定量の液体培地が貯留されたときに、間欠的に駆動して第2のろ過手段46によるろ過を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形分を含む液体、例えば、液体培地をろ過するろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微生物を培養する液体培地を滅菌する方法として、例えば、ろ過滅菌方法が知られている。前記ろ過滅菌方法は、微生物が通過しない孔径を有するろ過滅菌フィルタに液体を通過させることにより無菌状態のろ液を得る方法である。一般に、微生物の大きさは、0.2μmより大きいため、ろ過滅菌フィルタの孔径は略0.2μm以下とされる。
【0003】
ところが、固形分を多く含む液体培地に対してろ過滅菌方法を採用すると、ろ過滅菌フィルタが容易に目詰まりをおこしてしまう。そのため、ろ過滅菌フィルタを頻繁に交換する必要が生じ、コストが増大するという問題点があった。
【0004】
そこで、固形分の多い液体培地をろ過滅菌する前に、クロスフローろ過方式のフィルタを通過させるろ過装置が従来知られている(例えば、特許文献1参照)。クロスフローろ過方式は、ろ過フィルタ面に対して平行な流れを作ることにより、該フィルタに供給される液に含まれる固形分等が膜面に堆積することを抑制することができる。そのため、前記従来のろ過装置によれば、フィルタが目詰まりをおこすことなく液体培地中の固形分を粗取りすることができる。従って、固形分を粗取りした液体培地をろ過滅菌フィルタにより滅菌ろ過する際、該ろ過滅菌フィルタが目詰まりをおこすことを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−148661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クロスフローろ過方式のフィルタは、一般に、循環流量に比べて得られるろ液の流量が小さい。そこで、クロスフローろ過方式のフィルタによりろ過されるろ液の流量を大きくするためには、該フィルタにかかる膜間差圧を高くすることが考えられる。ところが、クロスフローろ過方式のフィルタにかかる膜間差圧を高くすると、該フィルタが一気に目詰まりをおこしてしまうため、クロスフローろ過方式のフィルタにより得られるろ液の流量を大きくすることは困難である。従って、前記従来のろ過装置の下流側に、さらにクロスフローろ過方式のフィルタを用いてろ過滅菌すると、投入する動力エネルギーに対して得られるろ液の流量が小さくなってしまうという問題点がある。
【0007】
また、液体培地を滅菌するために、前記従来のろ過装置の下流側にデッドエンドろ過方式のろ過滅菌フィルタを設けることが考えられる。しかしながら、クロスフローろ過方式は、ろ過する液体の粘性、固形分量等によりろ過流量が大きく変化するため、前記デッドエンドろ過方式のろ過を行うためのポンプが、クロスフロー方式のフィルタにより得られるろ液の流量に対応しきれないことがある。そうなると、前記ポンプは空気を噛んでしまい、装置が停止してしまうという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、固形分を含む液体培地を、安定して効率よくろ過することができるろ過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液体培地を収容する原液タンクと、前記原液タンク中の前記液体培地を循環させる第1の管路と、前記第1の管路の途中に設けられ、前記液体培地中の夾雑物を分離するクロスフローろ過方式の第1のろ過手段と、前記第1のろ過手段によりろ過された液体培地をさらにろ過するデッドエンドろ過方式の第2のろ過手段と、前記第1のろ過手段の透過側室と、前記第2のろ過手段とを接続する第2の管路とを備えるろ過装置において、前記第2の管路の途中に設けられ、前記第1のろ過手段によりろ過された液体培地を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクに設けられ、該貯留タンク内の圧力を調整する圧力調整手段と、前記第2の管路における前記貯留タンクと前記第2のろ過手段との間に設けられ、前記貯留タンクに貯留されている液体培地を第2のろ過手段に供給するポンプとを備え、前記ポンプは、前記貯留タンクに所定量の液体培地が貯留されたときに、間欠的に駆動して第2のろ過手段によるろ過を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明のろ過装置によれば、クロスフローろ過方式の第1のろ過手段と、デッドエンドろ過方式の第2のろ過手段とを備えている。最初にろ過を行う第1のろ過手段は、クロスフローろ過方式であるため、目詰まりすることなく液体培地中の夾雑物を粗取りすることができる。従って、第1のろ過手段によりろ過されたろ液を第2のろ過手段によりろ過する際の目詰まりを抑制することができる。
【0011】
また、本発明のろ過装置によれば、第1のろ過手段と第2のろ過手段との間に、第1のろ過手段によりろ過された液体培地を貯留する貯留タンクが設けられており、また貯留タンクと第2のろ過手段との間にポンプが設けられている。このポンプは、貯留タンクに所定量の液体培地が貯まったときに間欠的に駆動されて、液体培地を第2のろ過手段に供給し、ろ過が行われる。このようなろ過によれば、前記ポンプが第1のろ過手段により得られるろ液の流量に対応しきれず、空気を噛んで停止してしまうことを防止することができるため、装置の安定性を向上させることができる。
【0012】
また、前記ポンプは、貯留タンクに所定量の液体培地が貯まったときに間欠的に駆動されるため、もっとも効率のよい定格運転をさせることができる。その結果、ろ過装置のろ過効率を向上させることができる。
【0013】
本発明のろ過装置によれば、前記貯留タンクは、内部の圧力を調整する圧力調整手段を備えている。圧力調整手段によれば、貯留タンク内の圧力を調整することにより、第1のろ過手段の膜間差圧を適正な値に調整することができる。
【0014】
本発明のろ過装置において、前記第1の管路は、前記第1のろ過手段より上流側と下流側とを接続する第3の管路を備えることが好ましい。第3の管路によれば、運転開始時における不均一な状態の液体培地を、第1のろ過手段を迂回させて循環させることにより均一化し、該液体培地に拡散している可溶成分の溶解を促進させることができる。その結果、液体培地中の固形分が減少するため、第1のろ過手段及び第2のろ過手段の目詰まりを低減することができる。また、第3の管路によれば、液体培地が循環することによる運動エネルギーが熱に変換され、該液体培地の温度が上昇し粘度が低くなる。その結果、第1のろ過手段及び第2のろ過手段のろ過に必要なエネルギーを低減することができる。
【0015】
本発明のろ過装置において、前記第2のろ過手段に水蒸気を導入して滅菌する水蒸気滅菌手段を備えることが好ましい。第2のろ過手段は、デッドエンドろ過方式であるため、液体培地に含まれていた雑菌類等が蓄積される。前記水蒸気滅菌手段によれば、これらの雑菌類を滅菌することができるため、第2のろ過手段の滅菌能を高く維持することができる。
【0016】
本発明のろ過装置において、前記第1のろ過手段に供給される液体培地を予め遠心分離する遠心分離器を備えることが好ましい。前記遠心分離器によれば、液体培地に含まれる大きな夾雑物を予め除去することができるため、第1のろ過手段及び第2のろ過手段の目詰まりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態のろ過装置を示す説明的構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態のろ過装置1は、原液タンク2と、除粒子ユニット3と、貯留タンク4と、滅菌ろ過ユニット5とを備えている。
【0019】
原液タンク2は、イオン交換水供給管6と、第1の培地成分供給ユニット7と、第2の培地成分供給ユニット8とが接続されている。
【0020】
第1の培地成分供給ユニット7は、原液タンク2に液体の培地成分を供給するためのものであり、第1の培地成分供給タンク10と、第1の培地成分供給管11と、第1の培地成分供給ポンプ12とからなる。第1の培地成分供給タンク10は、コーンスティープリカー若しくは糖蜜を収容する。また、第1の培地成分供給タンク10は、第1の培地成分供給管11の一端が接続されている。第1の培地成分供給管11の他端は、原液タンク2に接続される。第1の培地成分供給管11は、途中に第1の培地成分供給ポンプ12を備える。
【0021】
第2の培地成分供給ユニット8は、原液タンク2に粉体の培地成分を供給するためのものであり、第2の培地成分供給タンク13と、粉体移送管14と、エジェクタ15と、空気供給管16とからなる。
【0022】
第2の培地成分供給タンク13は、例えば、硫酸アンモニウム粉末を収容する。また、第2の培地成分供給タンク13は、粉体移送管14の一端が接続されている。粉体移送管14は、他端がエジェクタ15に接続されている。エジェクタ15には、空気供給管16が接続されており、空気供給管16から供給される空気流がエジェクタ15を通過すると、その流速により内部に減圧部が形成される。エジェクタ15には粉体移送管14が接続されているため、前記減圧部により第1の培地成分供給用タンク内の粉体が吸引され、空気流と共に該粉体が原液タンク内に投入される。
【0023】
除粒子ユニット3は、ろ過手段17と、第1の循環管18と、第2の循環管19と、バイパス管20と、第1の送液管21とからなる。
【0024】
ろ過手段17は、クロスフローろ過方式であり、ろ過膜22を備えており、ろ過膜22により供給側室23と透過側室24とが形成される。
【0025】
ろ過手段17は、供給側室23の入口側端部と原液タンク2の下部とが、第1の循環管18を介して接続されている。第1の循環管18は、途中に、例えば、循環ポンプ25が設けられている。
【0026】
また、ろ過手段17は、その供給側室23の出口側端部と原液タンク2とが、第2の循環管19を介して接続されている。第2の循環管19は、一端がろ過手段17の供給側室23の出口側端部に接続され、他端が原液タンク2の上部に接続される。
【0027】
第1の循環管18は、循環ポンプ25よりろ過手段17側において、バイパス管20を分岐している。バイパス管20は、他端が第2の循環管19に合流する。
【0028】
第1の循環管18は、バイパス管20との分岐点よりろ過手段17側において、バイパス管20との分岐点側から順に、第1の弁26と、第1の圧力センサ27とを備えている。第2の循環管19は、ろ過手段17と、第2の循環管19とバイパス管20との合流地点との間に、ろ過手段17側から順に、第2の圧力センサ28と、循環流量調整弁29と、第2の弁30とを備えている。
【0029】
また、第2の循環管19は、バイパス管20との合流地点と、原液タンク2との間に、第1の流量センサ31を備えている。バイパス管20は、第1の循環管18との分岐点側に、第3の弁32を備えている。
【0030】
ろ過手段17の透過側室24には、第1の送液管21が接続されている。第1の送液管21は、他端が貯留タンク4に接続されている。第1の送液管21は、ろ過手段17側から順に、第3の圧力センサ33と、第2の流量センサ34と、第4の弁35とを備える。
【0031】
第1の送液管21は、第2の流量センサ34と第4の弁35との間に、逆洗管36が接続されている。逆洗管36は、他端が図示しないイオン交換水供給手段に接続されている。また、逆洗管36は、途中に逆洗ポンプ37が設けられていると共に、逆洗ポンプ37と第1の送液管との接続部との間に、第5の弁38が設けられている。また、第1の循環管18は、第1の圧力センサ27とろ過手段17との間に、第1の排液管39が設けられている。第1の排液管39は、ろ過終了後等に排液を排出するためのものであり、途中に第6の弁40を備えている。
【0032】
貯留タンク4は、ろ過手段17によりろ過されたろ液を貯留するタンクであり、頂部に第4の圧力センサ41と、圧力調整弁42とを備えている。圧力調整弁42は、通気フィルタ43を備えており、通気フィルタ43を介して貯留タンク4内に流通する空気量を調整し、貯留タンク4内の圧力を調整する。貯留タンク2内の液量は、レベルセンサ44によりモニタリングする。
【0033】
貯留タンク4は、下部に第2の送液管45が接続されている。第2の送液管45の他端は、滅菌フィルタ46に接続されている。第2の送液管45には、貯留タンク側から順に、ろ過滅菌ポンプ47と、第5の圧力センサ48と、第3の流量センサ49とを備えている。また、第2の輸送管45は、ろ過滅菌ポンプ47と第5の圧力センサ48との間に、だい2の排液管50が設けられている。第2の排液管50は、ろ過終了後等に排液を排出するためのものであり、途中に第7の弁51を備えている。滅菌フィルタ46は、得られるろ液を後工程52に移送する第3の移送管53を備えている。
【0034】
次に、本実施形態のろ過装置の作動について説明する。
【0035】
初めに、イオン交換水供給管6から原液タンク2内に所定量のイオン交換水を投入する。次に、第1の弁26及び第2の弁30を閉弁すると共に、第3の弁32を開弁し(このような弁の状態を、「循環モード」とする)、循環ポンプ25を駆動することにより、前記イオン交換水の循環を開始する。
【0036】
次に、第1の培地成分供給ポンプ12を駆動し、第1の培地成分供給タンク10内に収容されているコーンスティープリカー若しくは糖蜜を原液タンク2内に注入する。前記注入終了後、第1の培地成分供給タンク10内にイオン交換水を投入し、次いで該イオン交換水を原液タンク2内に注入することにより、第1の培地成分供給管11内を共洗いする。
【0037】
次に、空気供給管16から供給される空気流をエジェクタ15に通過させ、第2の培地成分供給タンク13に収容されている硫酸アンモニウムを原液タンク2内に投入する。原液タンク2に投入した各培地成分が十分に溶解したら、循環ポンプ25を停止する。
【0038】
次に、第1の弁26と第2の弁30と第4の弁35とを開弁すると共に、第3の弁32と第5の弁38と第6の弁40を閉弁し(このような弁の状態を、「培地ろ過モード」とする)、循環ポンプ25を駆動することにより、液体培地のろ過を開始する。液体培地のろ過が所定時間経過する毎に循環ポンプ25を停止し、第4の弁35を閉弁すると共に、第5の弁38を開弁し(このような弁の状態を、「逆洗モード」とする)、逆洗ポンプ37を駆動する。そして、ろ過手段17に、培地ろ過モードにおける流れとは逆方向にイオン交換水を供給し、ろ過膜22からろ過物を除去する。逆洗終了後は、各弁は培地ろ過モードの状態に戻り、培地ろ過が継続される。そして、積算ろ過流量が目的量に達したら、循環ポンプ25を停止する。
【0039】
その後、イオン交換水供給管6からイオン交換水を原液タンク2内に所定量投入する。次に、各弁の状態を培地ろ過モードとした後、循環ポンプ25を駆動し、液体培地のろ過を再開する。そして、積算ろ過流量が所定量に達したら、原液タンク2内の培地成分は略全量ろ過したものとみなし、循環ポンプ25を停止し、液体培地のろ過を終了する。ろ過終了後、原液タンク2及び除粒子ユニット3内に残留する廃液は、第6の弁40を開弁することにより第1の廃液管39を介して排出される。
【0040】
液体培地のろ過処理中、第1の流量センサ31により検出される循環流量、第2の流量センサ34により検出されるろ過流量、第1の圧力センサ27により検出されるろ過膜入口圧、第2の圧力センサ28により検出されるろ過膜出口圧は、循環流量調整弁29及び循環ポンプ25のインバータ周波数を操作することにより調整する。
【0041】
また、液体培地のろ過処理中、第2の流量センサ34により検出されるろ過流量は、圧力調整弁42により貯留タンク4内の圧力が所望の値になるように調整して、ろ過流量を制御する。前記ろ過流量の値が極端に小さい場合には、ろ過膜22が目詰まりを起こしている可能性が高いため、逆洗を追加して行ってもよい。
【0042】
このようにしてろ過された液体培地は、貯留タンク4に貯留されている。貯留タンク4にある程度の液体培地が貯まったら、ろ過滅菌ポンプ47を駆動させ、滅菌フィルタ46に液体培地を圧送し、滅菌ろ過を行う。このとき、第5の圧力センサ48により検出される滅菌膜圧力と、第3の流量センサ49により検出される滅菌流量を確認し、異常がないことを確認する。ろ過終了後、貯留タンク4内に残留する廃液は、第7の弁51を開弁することにより第2の廃液管50を介して排出される。
【0043】
このようにして、ろ過膜22及び滅菌フィルタ46を通過した液体培地は無菌状態となり、後工程52における好気培養用の培地として用いられる。
【0044】
本実施形態のろ過装置1によれば、ろ過手段17は、クロスフローろ過方式であり、目詰まりすることなく液体培地から夾雑物を除去することができる。従って、滅菌フィルタ46によって行われるデッドエンドろ過方式によるろ過滅菌の際に、滅菌フィルタ46が目詰まりすることを抑制することができる。
【0045】
また、ろ過手段17と滅菌フィルタ46との間に、ろ過手段17によりろ過された液体培地を貯留する貯留タンク4が設けられており、また貯留タンク4と滅菌フィルタ46との間にろ過滅菌ポンプ47が設けられている。ろ過滅菌ポンプ47は、貯留タンク4に所定量の液体培地が貯まったときに間欠的に駆動されて、液体培地を滅菌フィルタ46に供給し、ろ過が行われる。このようなろ過によれば、ろ過滅菌ポンプ47がろ過手段17により得られるろ液の流量に対応しきれず、空気を噛んで停止してしまうことを防止することができるため、ろ過装置1の安定性を向上させることができる。
【0046】
また、ろ過滅菌ポンプ47は、貯留タンク4に所定量の液体培地が貯まったときに間欠的に駆動されるため、もっとも効率のよい定格運転をさせることができる。その結果、ろ過装置のろ過効率を向上させることができる。
【0047】
また貯留タンク4は、圧力調整弁42を備えている。圧力調整弁42によれば、貯留タンク4内の圧力を調整することにより、ろ過膜22の膜間差圧を適正な値に調整することができる。これにより、ろ過滅菌ポンプ47を駆動して貯留タンク4内の液体培地を滅菌フィルタ46に供給した場合においても、圧力調整弁42により貯留タンク4内の圧力が調整されるため、ろ過膜22の膜間差圧に影響を及ぼさない。
【0048】
また、本実施形態のろ過装置1によれば、第1の循環管18と第2の循環管21とをつなぐバイパス管20を備えているため、ろ過手段17を通過させることなく、液体培地を循環させることができる。このようにすることにより、原液タンク2に培地成分を注入した直後の不均一な状態の液体培地を均一化させ、可溶成分の溶解を促進させることができる。従って、未溶解の可溶成分がろ過膜22に堆積し、ろ過効率が低下することを防止することができる。また、別途攪拌手段を設ける必要がないので、装置の製造コストを低下させることができる。
【0049】
さらに、ろ過手段17を通過させることなく液体培地を循環させることにより、循環による運動エネルギーが熱に変換され、該液体培地の温度を上昇させるため、その粘度を低くすることができる。その結果、ろ過手段17及び滅菌フィルタ46におけるろ過に必要なエネルギーを低減することができる。また、液体培地を加温するための装置を別途も受ける必要がないので、装置の製造コストを低下させることができる。
【0050】
また、本実施形態のろ過装置1では、滅菌フィルタ46に水蒸気を導入し、該滅菌フィルタ46を滅菌する水蒸気滅菌手段をさらに備えてもよい。滅菌フィルタ46は、液体培地のろ過滅菌を行うことにより、液体培地中の雑菌等が蓄積している。従って、前記水蒸気滅菌手段により滅菌フィルタ46を滅菌することにより、滅菌フィルタ46の滅菌性能を高く維持することができる。
【0051】
また、本実施形態のろ過装置1では、第1の培地成分供給管11の途中に、又は第1の循環管18の途中に遠心分離器をさらに備えてよい。前記遠心分離器によれば、ろ過装置17によりろ過を行う前に、大きな夾雑物を除去することができるため、ろ過膜22が目詰まりを起こすことを抑制することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…ろ過装置、 2…原液タンク、 4…貯留タンク、 17…第1のろ過手段、 18,19…第1の管路、 21…第2の管路、 42…圧力調整手段、 46…第2のろ過手段、 47…ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体培地を収容する原液タンクと、
前記原液タンク中の前記液体培地を循環させる第1の管路と、
前記第1の管路の途中に設けられ、前記液体培地中の夾雑物を分離するクロスフローろ過方式の第1のろ過手段と、
前記第1のろ過手段によりろ過された液体培地をさらにろ過するデッドエンドろ過方式の第2のろ過手段と、
前記第1のろ過手段の透過側室と、前記第2のろ過手段とを接続する第2の管路とを備えるろ過装置において、
前記第2の管路の途中に設けられ、前記第1のろ過手段によりろ過された液体培地を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクに設けられ、該貯留タンク内の圧力を調整する圧力調整手段と、
前記第2の管路における前記貯留タンクと前記第2のろ過手段との間に設けられ、前記貯留タンクに貯留されている液体培地を第2のろ過手段に供給するポンプとを備え、
前記ポンプは、前記貯留タンクに所定量の液体培地が貯留されたときに、間欠的に駆動して第2のろ過手段によるろ過を行うことを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
請求項1記載のろ過装置において、前記第1の管路は、前記第1のろ過手段より上流側と下流側とを接続する第3の管路を備えることを特徴とするろ過装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のろ過装置において、前記第2のろ過手段に水蒸気を導入して滅菌する水蒸気滅菌手段を備えることを特徴とするろ過装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のろ過装置において、前記第1のろ過手段に供給される液体培地を予め遠心分離する遠心分離器を備えることを特徴とするろ過装置。



【図1】
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【公開番号】特開2011−211961(P2011−211961A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83381(P2010−83381)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】