説明

アイソタクチックポリプロピレンのランダム共重合体および第二重合体に基づくホットメルト接着剤組成物

ホットメルト接着剤組成物はアイソタクチックポリプロピレンランダム共重合体(RCP)に基づく。この組成物は、約4〜50重量%のRCP共重合体、約20〜65重量%の相溶性粘着付与剤、約0〜40重量%の可塑剤、約0〜3重量%の安定剤、約0〜40重量%のワックス、約0〜60重量%のアタクチックポリ−α−オレフィン(APAO)、および約0〜40重量%の第二重合体を含む。この接着剤組成物は、例えば使い捨て不織衛生用品、紙加工用途、柔軟包装用途、木工用途、カートンおよびケース封止用途、ラベリング用途および他の組立用途のような多数の用途で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、立体特異性の、主に半結晶性のアイソタクチックポリプロピレンランダム共重合体(random copolymer: RCP)に基づく新規なホットメルト接着剤組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ケース/カートンの封止に、またおむつおよび女性用衛生用品のような使い捨て不織物品の製造に用途がある接着剤組成物に関する。この接着剤組成物は使い捨て不織物品の組立に際して弾性アタッチメントおよび構造用接着剤(elastic attachment and construction adhesive)として特に有用である。
【0002】
発明の背景
ホットメルト接着剤は、典型的には、周囲温度において固体の塊体として存在し、そして熱をかけることによって流動性の液体に転化させることができる。これらの接着剤は、しばしば色々な基材の接着が必要である多様な使い捨て商品を製造する際に特に有用である。特定の用途に、総称的に使い捨て不織製品として知られる、使い捨ておむつ、病院用パッド、女性用衛生ナプキン、パンティーシールド、サージカルドレープおよび成人失禁用ブリーフがある。他の多様な用途は紙製品、包装材料、テープおよびラベルを包含するものであった。これら用途のほとんどにおいて、ホットメルト接着剤はその溶融状態まで加熱され、次いで基材に適用される。第二の基材が直ちに第一基材と接触せしめられ、そしてその第一基材に対して押しつけられる。その接着剤は冷えると直ぐに凝固して強い接着層を形成する。ホットメルト接着剤の主要な利点は、水系または溶媒系接着剤の場合が必要とするような液体キャリアーが存在せず、その結果溶媒の除去に関連するコストのかかるプロセスが省かれる。
【0003】
多くの用途には、ホットメルト接着剤は、基材に、ピストンまたはギアーポンプ装置を用いることによって薄膜の形で直接押し出されることが多い。この場合、基材はホットダイと加圧下で密接せしめられる。ダイの温度は接着剤の融点より十分高い温度に保持されなければならないが、それは典型的には150〜200℃である。ある用途には、特に不織物品の製造には、薄手ポリエチレンフィルムのような細心の注意を要する感熱性基材の接着が必要とされることが多い。これらの場合、フィルムが燃えたり、或いはゆがんだりしないようにするために、フィルムとダイとの直接接触は避けられなければならない。基材上にホットメルト接着剤を圧縮空気の助けを借りてある一定の距離から吹付け塗布することができる幾つかの塗布方法が開発されている。これらの非接触塗布技術に、スパイラル吹付け法(spiral spray method)および色々な形のメルトブローン法(melt-brown method)がある。かくして塗布ヘッドと基材との直接接触はなくなる。本明細書で上記される塗布技術は全てこの技術分野の当業者には周知であって、商業的装置は容易に入手できる。
【0004】
吹付け塗布技術では、しかし、ホットメルト接着剤に厳しい条件が付けられる。これら接着剤の粘度は十分に低くなければならず、通常は適用温度において2,000〜30,000cPの範囲内、好ましくは2,000〜15,000cPの範囲内になければならない。この接着剤の多くの他の物理的因子、特にレオロジー特性がホットメルトの吹付け適性(sprayability)を決める際に有効となる。市販ホットメルト製品の大多数は吹付け用途には向いていない。吹付け適性を予測する容認された理論的モデルまたはガイドラインはなく、また吹付け適性は適用装置により経験的に決められなければならない。
【0005】
シンジオタクチックポリプロピレン(syndiotactic polypropylene: SPP)重合体は、この技術分野において公知である。SPP重合体は、本質的に高分子量、立体特異性のプロピレン単独重合体またはプロピレンとエチレン、ブテン−1若しくはヘキセン−1のような他のα−オレフィン単量体との共重合体である。シンジオタクチック重合体は、在来型結晶性ポリプロピレンおよび本質的に非晶質のアタクチックポリ−α−オレフィン(atactic poly-α-olefin: APAO)と混同されてはいけない。これらの重合体は構造および性質の両方において互いに異なる。在来型結晶性ポリプロピレンがアイソタクチックの分子鎖配置を有することは、この技術分野の当業者にはよく知られている。アイソタクチック配置は、連続する単量体単位の第三炭素原子に結合されているメチル基を、主重合体鎖を通して引かれた仮想平面の同じ側に有すると記述することができる。このタイプの立体化学構造は、フィッシャー投影式を用いることによって図により次のとおり示すことができる:
【0006】
【化1】

【0007】
その高度の鎖規則性のために、従来のアイソタクチックポリプロピレン(isotactic polypropylene: IPP)は、典型的には50%より大きい結晶化度、および70J/gより大きい融解熱を持って高度に結晶性である。それらは、通常、高密度および高融点を有する堅い材料である。柔軟性を欠くために、IPP重合体はホットメルト接着剤調合物において変性剤として、少量で、典型的にはおよそ2〜5重量%で用いることができるに過ぎない。典型的な在来型IPPは、通常、ASTM D-1238試験法に従って測定して0.5〜200g/10分の範囲の、重量平均分子量に対して逆比の関係にある溶融流量を有する。
【0008】
ホットメルト接着剤組成物のブレンド中で用いられることが知られているもう1つの成分はAPAO重合体から成る。APAO重合体は、本質的に非晶質の、低分子量の、プロピレン単独重合体群、またはプロピレンとエチレン若しくはブテン若しくはヘキセンとの共重合体群である。IPPまたはSPPの規則的構造とは対照的に、APAOは、連続する単量体単位上のメチル基が重合体鎖を通る仮想平面の両側に立体的にランダムに分布されているアタクチック分子鎖を有する。このアタクチックAPAO分子鎖の立体配置は、次のフィッシャー投影式を用いることによって図により示すことができる:
【0009】
【化2】

【0010】
SPPの立体鎖構造は、IPPのそれとは、またAPAOのそれとは異なって独特である。IPPのアイソタクチック鎖配置およびAPAOのアタクチック鎖配置とは対照的に、 SPPの立体化学は、分子鎖に沿う連続する単量体単位の第三メチル基が上記仮想平面の両側に交互に配置されていると記述することができる。SPPの立体配置は以下のように描くことができる:
【0011】
【化3】

【0012】
ポリプロピレンの立体配置は、また、C-13 NMRによって定量的に特徴づけることができる。NMR用語体系において、IPPの場合のように、平面の同じ側における連続するメチル基の「メソ」ダイアドはアルファベッドのmで表される。SPPの場合のように、平面の背中合わせの側における連続するメチル基の「ラセミ」ダイアドはアルファベッドのrで表される。mまたはrの百分率は重合体の立体規則性(tacticity)の程度を定義し、この場合mとrとの和は100%に等しい。かくして、完全なアイソタクチックポリプロピレンはmダイアドが100%であり、これに対して完全なシンジオタクチックポリプロピレンはrダイアドが100%である。SPPのこの特異な立体化学構造の結果として、低密度、低融点、柔軟性および靭性のような物理的および機械的性質の普通でなくしかも望ましい組み合わせがもたらされる。SPP重合体は、典型的には、70%に等しいかまたはそれより大きいr値を有するが、一方在来型IPPのr値は、比較すると、一般に数パーセントの範囲内である。
【0013】
SPPは、また、立体化学における相違に加えて、それらの独特の物理的性質によってもIPPおよびAPAOとは容易に区別できる。典型的なSPPは130〜160℃の間の融点を有するが、これに対して結晶性IPPは典型的には約176℃の融点を有する。他方、APAOは、通常、市販製品内の、あるグレードのものは非常に低度の結晶化度を示すことがあるとはいえ、明確な融点を持たない、際だって非晶質のものである。SPPとIPPとAPAOとの間のもう1つの大きな相違はそれらの密度にある。SPPの密度は典型的には0.86〜0.90g/cm3であって、それはIPPとAPAOの密度の中間にある。IPPは0.90〜0.95g/cm3の範囲にわたる最高の密度を有し、またAPAOは0.85〜0.87g/cm3の範囲にわたる最低の密度を有する。
【0014】
在来型IPPは、それらの高い融点、高度の結晶化度、並びに柔軟性および靭性のような望ましい物理的および機械的特質の欠如のために、ホットメルト接着剤用途のための重合体ベースとして単独では用いられなかった。IPPに基づくホットメルト接着剤は許容できる接着強さを提供するには脆すぎ、しかも重合体の融点を十分に超える高い適用温度を必要とするだろう。
【0015】
APAO、APAO/ポリエチレン(PE)ブレンド、APAO/ポリブテン(PB)ブレンドまたはAPAO/IPPブレンドを含むホットメルト接着剤はこの技術分野で公知である。これらの接着剤は、典型的には、APAOまたは本明細書で上記されるAPAOブレンド、および炭化水素タイプの粘着付与剤より成る。APAOに基づく接着剤が、一般に、貧弱な凝集強さ、貧弱な耐熱性、低い昇温接着強さおよび低い剪断値を有することはよく知られている。APAOには、非常に低い塗布量での高い接着強さと吹付技術による易加工性との組み合わせが要求される使い捨て不織用途においては、たいした使い道がなかった。このAPAO系接着剤は通常そのような能力を欠いているのである。APAOをPE、PBおよび在来型IPPとブレンドすることによってこれらの問題に取り組もうとする色々な試みがなされたけれども、このような改良は、非常にしばしば、それら問題を除くのに失敗したばかりではなく、有害な副作用をももたらした。
【0016】
例えば、Trotter等は、米国特許第4,022,728号明細書において、APAO、低分子量の実質的に非晶質のエラストマー、液体粘着付与剤、および2重量%までの量の在来型結晶性ポリプロピレン(IPP)の混合物を含むホットメルト感圧性組成物について述べている。この組成物は低温で良好な接着性を与えると主張されている。
【0017】
Meyer等は、米国特許第4,120,916号明細書において、低分子量ポリエチレン、低分子量の在来型プロピレン含有重合体およびAPAOのブレンドを含むホットメルト接着剤組成物を開示している。これらの接着剤組成物は、短い開放時間を与え、そしてパラフィン改質段ボールの接着に有用であるといわれている。
【0018】
Lakshmanan等は、米国特許第4,761,450号明細書において、低密度エチレン重合体、ブテン−1とエチレンまたはプロピレンとの共重合体、炭化水素粘着付与剤、並びに低分子量の液体ポリブテン、非晶質ポリプロピレンおよびそれらの混合物より成る低分子量重合体を含む、ホットメルト接着剤として有用な重合体ブレンドを開示している。
【0019】
Lakshmanan等は、また、米国特許第5,478,891号明細書において、(a)エチレンと少なくとも4個の炭素を有するα−オレフィンとの高分子量共重合体および(b)非晶質ポリプロピレンまたは非晶質ポリオレフィンを含むブレンド組成物を開示している。このブレンドの成分は300〜6000の分子量範囲を有すると記載されている。この重合体ブレンドは、ホットメルト接着剤、塗料、シーラント、アスファルト改質剤およびプラスチック添加剤に有用であると主張されている。
【0020】
Ryanは、米国特許第5,747,573号明細書に、プラスチックと金属化箔容器とを接着させるのに有用なAPAO系ホットメルト接着剤組成物を開示している。この接着剤組成物はAPAO、固体ベンゾエート可塑剤および炭化水素粘着付与剤のブレンドを含む。
【0021】
Susticは、米国特許第5,723,546号明細書において、高平均分子量の、主としてアタクチックの柔軟なポリオレフィン重合体、および低平均分子量のAPAOより成る重合体ブレンドを開示している。このブレンドはホットメルト接着剤に有用であるといわれている。
【0022】
APAOをPE、PBまたは在来型IPPとブレンドすることは幾つかの欠点をもたらす。例えば、本明細書で上記される、米国特許第4,120,916号、同第4,761,450号および同第5,478,891号明細書におけるもののようなAPAO/PEまたはAPAO/PBブレンドを含む従来技術の接着剤は、貧弱な相溶性を有する傾向がある。これらの接着剤は、そのホットメルト接着剤が高温において長期間、ときには何時間も、或いは何日間でさえも溶融状態に保たれていなければならない適用プロセス中に相分離を受けることがある。相分離したホットメルト接着剤中では、炭化、スキンニングおよびゲル化がかなり速やかに起こり得、その結果塗布装置が遮られまたは塞がれることがある。このような重合体ブレンドの非相溶性は、また、脆性、光学的曇り度、貧弱なまたは全くない開放時間および低い接着強さを与える。APAOおよび在来型IPPブレンド系ホットメルトには相溶性問題はないけれども、それらはなおも本明細書中で前記される他の全ての欠点に苦しむ。さらに、在来型IPP重合体の高結晶化度および高融点のため、APAO/IPPブレンドに基づくホットメルト接着剤は、IPP重合体の量が、例えば従来技術の米国特許第4,022,728号明細書に開示される約2重量%またはそれ以下のような非常に低いレベルに保たれなければ、堅くかつ脆くなる傾向がある。その結果、これらの接着剤は、貧弱な引張強さ、貧弱な接着強さおよび貧弱な耐衝撃性を有する。IPPのもう1つの有害な効果は塗布温度が高くなっていることである。この接着剤は、それが液体状態に到達するには、IPPの融点(180〜200℃の範囲)より高い温度に加熱されなければならない。米国特許第5,723,546号明細書に記載される高分子量および低分子量のアタクチックポリオレフィンのブレンドによる方法は、APAOの引張特性に幾分かの改善を提供するけれども、APAO単独系ホットメルトに欠けているものを克服するのに足る十分な引張強さおよび高温特性を与えることはできなかった。
【0023】
従来技術の米国特許第5,317,070号明細書において、Brant等は、ラセミダイアドが少なくとも80%の重合体鎖を有し、そして約100〜180℃の融点を有する粘着付与SPPに基づくホットメルト接着剤を明らかにした。この接着剤は、接着剤の適用と接合の形成との間で良好な開放時間を有すると主張されている。このタイプの粘着付与SPPは、通常、柔軟性および靭性を欠き、従って、また、貧弱な接着強さおよび貧弱な耐衝撃性を有する。さらに、SPPは、それが液体から固体結晶状態に変換するとき、固有の収縮問題を示す。この収縮は接着剤/基材界面で応力集中を、そしてその結果として破局的な接着剤層破損を引き起こすことが多い。
【0024】
従って、本明細書で前記される従来技術接着剤の欠点を克服するホットメルト接着剤を提供することが有利であろう。
ポリオレフィンの製造における触媒技術の近年の進歩により、特にメタロセンのような新しく開発された単一部位触媒系(single-site catalyst systems)により、全く新しいタイプの、柔軟な、低融点および低結晶化度のランダムプロピレン共重合体(RCP)が開発された。単一部位メタロセン触媒の技術は、例えばEwen等に付与された米国特許第5,387,568号、同第5,393,851号、同第5,416,228号、同第5,476,914号明細書、並びにShamshoun等に付与された米国特許第5,789,502号明細書のような数多くの刊行物の主題である。在来型IPPと比較すると、RCP共重合体は、通常、より良好な柔軟性、より良好な耐衝撃性、より低い密度、はるかに低下した融点およびより低い結晶化度を有する;これらはホットメルト接着剤用途に好都合な特性である。プロピレンとα−オレフィンとに基づくRCP共重合体が、凝集強さおよび接着強さについて十分にバランスのとれた性質を与えるために、ホットメルト接着剤におけるIPP、SPPおよびAPAOの欠点を克服するのに有利に用いることができるということが、本発明において発見される。最も重要なことには、本発明は多様な慣用ホットメルト塗布装置により容易に加工することができるホットメルト組成物を提供する。
【0025】
発明の概要
本発明は、プロピレンと、式R-CH=CH2(式中、Rは水素原子またはC2〜C10アルキル基である)を有するα−オレフィン、好ましくはエチレンとのランダム共重合体から成る低融点のアイソタクチックポリプロピレンランダム共重合体(RCP)に基づくホットメルト接着剤組成物に関する。本発明に有用なこの重合体は、少なくとも1.5重量%の上記α−オレフィン共単量体を含むものであって、それらはDSC法で測定して145℃またはそれ以下の融点、ASTM法D−1238で1〜500g/10分の溶融流量、およびASTM法D−1505で0.880〜0.905g/ccの固体密度を有する。
【0026】
この接着剤は、RCP共重合体の外に、粘着付与樹脂、随意の可塑剤、随意のAPAO、随意のワックスおよび/または随意の第二重合体を主成分として含む。本発明の組成物はRCPの望ましい性質を利用するもので、従来技術のAPACブレンド接着剤および粘着付与SPPの欠点を克服している。本発明の組成物は、引張強さ、靭性、柔軟性および接着性についてバランスがよくとれた性質を与える。それは、完全な相溶性、卓越した熱安定性、調節自在の開放時間、改善された凝集強さ、低い粘度、低い凝固時収縮性、低いまたは全くない硬化時粘着性、および慣用塗布装置による良好な加工性を示す。特に、本発明は、例えばスパイラル吹付け法、メルトブローン法、コントロールコート法(control coat)、コントロールウエーブ法(control wave)等のような多様な吹付け塗布適用技術によく適合する接着剤組成物をもたらすが、これに対して従来技術のAPAOおよびSPP系接着剤はこのような広範な加工性を欠く。
【0027】
上記の利点はRCPランダム共重合体の半結晶性構造の結果である。このタイプの立体化学構造は、連続する単量体単位の炭素原子に結合したメチル基を、重合体鎖に沿ってランダムに配置されているα−オレフィンを持つ主重合体鎖を通して引かれた仮想平面の同じ側に有すると記述することができる。このような構造は、次のとおり、図により示すことができる:
【0028】
【化4】

【0029】
α−オレフィン、好ましくはエチレンのランダムパターンでの付加は重合体の結晶化度を低下させ、かくして融点を下げ、そしてまた結晶化の速度を遅くする。前記で指摘されたように、重合体の結晶化速度はホットメルト接着剤の開放時間に影響を及ぼす決定的に重要な因子である。速い結晶化速度に因り開放時間を本質的に与えない在来型アイソタクチックポリプロピレン(IPP)とは対照的に、RCPは加工可能な開放時間を有するように調合することができ、それによってホットメルト接着剤用のIPPの主要なハードルが克服される。RCP系ホットメルト接着剤の開放時間は、色々な接着用途の要求を満たすように調合することにより調節することができる。このようなRCP共重合体は、それ自体でローション抵抗性の使い捨ておむつ、カートン/ケース封止用途において使用することができるか、または不織衛生物品組立の弾性アタッチメント用若しくは構造用のAPAOのような他の重合体とブレンドすることができる。
【0030】
上記タイプのどんなRCP重合体も本発明の組成物において用いることができるけれども、mRCPと称される下位群のメタロセン触媒ランダム共重合体が最も有用であり、そのため最も好ましいことが見いだされる。mRCPは、規則的RCP重合体と比較して、狭い分子量分布、狭い組成分布、およびその分子鎖に沿う一様な共単量体分布という追加の利点を与える。同じα−オレフィン共単量体含有量レベルにおいては、mRCPはそれらの規則的RCP対応重合体よりも低い密度、低い融点および低い結晶化度を示す。これらの特異な特性は、一方では配合中の重合体の取扱い性を著しく改善することができ、また他方ではホットメルト接着剤の性能を高めることができる。衛生用不織用途には、mRCP共重合体が特に望ましい。この場合、低適用温度が重要な要求事項であり、基材のバーンスルー(burn-through)またはゆがみを避ける。さらに、色々な非接触塗布技術による広い適用寛容度もまた必須である。これらの点で、mRCP重合体は低軟化点および低溶融温度を有し、その結果低塗布温度が可能になる接着剤組成物を提供することができる。さらに、それらの低密度および低結晶化度に因り、mRCP重合体は通常他の調合成分と相溶性を示し、このことが広範囲の原料の色々な比率での使用を可能にする。
【0031】
本発明のホットメルト接着剤組成物の傑出した特長の1つは、多様な極性および非極性基材に非常に低い塗布量で強い接着層を与えるその能力である。この接着剤は多孔性およびフィルムの両基材上で十分よく作用する。同等の塗布量においては、本発明の接着剤は従来技術の接着剤よりもはるかに高い剥離接着値をもたらす。低塗布量で高い剥離強さをもたらすこの能力は、最終ユーザーをしてより少ない接着剤を使用するのを可能にするが、これは明らかにコスト上の大きな利点である。
【0032】
本発明の1つの目的は、粘着性が周囲温度で非常に低いかまたはそれがない接着剤を提供することである。この特長は、接着剤の滲出および後続のブロッキングが著しく懸念される多孔性基材上での使用に特に有利である。ブロッキングはロール製品の製造において特に悲惨である。ロール製品は、通常、後続のプロセスで最終製品に変えられる中間製品である。ロールのブロッキングは、後続の変換プロセスでロールを解くのを困難にし、またときにはそれを不可能にさえする。本発明接着剤の非粘着特性は、低塗布量能力と併せて、ブロッキング問題をなくする。
【0033】
本発明のもう1つの目的は、ポリエチレン、ポリプロピレンのフィルム、不織布等を互いにまたは自らに対して接着させるための、使い捨て不織物品の構造用の吹付け可能なホットメルト接着剤に関する。この接着剤はこのような用途において卓越した剥離強さおよび接着耐久性を与える。
【0034】
本発明のもう1つの目的は、ポリエチレンフィルムと不織布との間に、または2つの不織布間に弾性ストランドを接着させるための、ベビー用おむつ、成人失禁用ブリーフ等の製造における弾性アタッチメント用の吹付け可能なホットメルトを提供することである。このタイプの接着剤は、弾性アタッチメントと構造の両用の二重機能を有するように調合することができる。
【0035】
本発明のもう1つの目的は、鉱油のような皮膚軟化薬と接触したときに高い接着強さ保持性を有するホットメルト接着剤を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、強い接着層を与えるカートンおよびケース封止用のホットメルト接着剤を提供することである。RCP/APAO系ホットメルトは、その靭性と柔軟性のために、低温用途に有利である。本発明の接着剤は、周囲温度において、繊維引裂接着(fiber tear bond)を与えるだろう。
【0036】
本発明のホットメルト接着剤組成物はその成分として次の成分の混合物を含む:
a.約4〜50重量%の量、好ましくは約5〜40重量%の量、最も好ましくは約5〜25重量%の量でのアイソタクチックポリプロピレンランダム共重合体(RCP);ここでこのRCPは約80〜98重量%のプロピレン、および約2〜20重量%の、式R-CH=CH2(式中、Rは水素またはC2〜C10アルキル基である)を有するα−オレフィンを有する;上記RCPはプロピレン94−97%およびα−オレフィン3−6%という好ましい比率を有し、この場合好ましいα−オレフィンはエチレンである;上記RCPは約0.88〜0.905g/ccの密度と、1.0g/10分に等しいかまたはそれより大きい溶融流量と、145℃に等しいかまたはそれより低い融点を有する;
b.20〜65重量%の量、好ましくは25〜60重量%の量、最も好ましくは30〜60重量%の量での相溶性粘着付与剤;
c.随意成分としての、約0〜60重量%、好ましくは15〜40重量%、最も好ましくは20〜40重量%のアタクチックポリ−α−オレフィン(APAO);ここで、このAPAOは約0.85〜0.89g/ccの密度と、約−5〜−40℃のガラス転移温度(Tg)と、約4,000〜約150,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する;
d.随意成分としての、約0〜40重量%、好ましくは約5〜30重量%、最も好ましくは10〜25重量%の可塑剤;
e.随意成分としての、約0〜3重量%の安定剤または酸化防止剤;および
f.随意成分としての、約0〜40重量%、好ましくは約0〜30重量%、最も好ましくは0〜20重量%のワックス;
ここで、上記組成物の成分は合計すると100重量%になる。この接着剤組成物は、充填材および/または着色剤および/または蛍光剤および/または界面活性剤、および/または上記の基本的接着剤組成物の接着性を改善することができる別の重合体のような他の成分を所望とされるように含んでいることができる。
【0037】
1つの特に好ましい接着剤組成物において、RCPおよび相溶性粘着付与剤が、上記の随意成分(c)〜(f)の一部または全部と一緒に、1種または2種以上の随意の第二重合体とさらにブレンドされていることができる。第二重合体は上記RCP系接着剤組成物の特定の物理的性質および/または特性を所望とされるように変える機能を奏する。例えば、1種または2種以上の第二重合体の添加は、(i)接着剤組成物の弾性;(ii)接着剤組成物の接着性;(iii)接着剤組成物の低温抵抗性、;(iv)接着剤組成物の高温抵抗性;(v)接着剤組成物のクリープ抵抗性;(vi)接着剤組成物の凝集強さ;および/または(vii)接着剤組成物の感圧性特性を増加または減少させるために利用することができる。かくして、接着剤組成物は:
g.随意成分としての、約0〜40重量%の第二重合体、好ましくは約0〜30重量%、最も好ましくは約2〜20重量%の第二重合体
をさらに含むことができる。
【0038】
前記のように、接着剤組成物にはその特定の性質を変えるために単一の第二重合体を配合してもよいし、或いは幾つかの異なる性質を変えるために第二重合体のブレンドを所望とされるように配合してもよい。
【0039】
発明の詳細な記述
本発明によれば、主重合体成分として、プロピレンと、式R-CH=CH2(式中、Rは水素またはC2〜C10アルキル基である)を有するα−オレフィン、好ましくはエチレンとのランダム共重合体から成るアイソタクチックポリプロピレンランダム共重合体(RCP)を含むホットメルト接着剤組成物が製造される。RCPは接着剤組成物中に約4〜50重量%の量、好ましくは約5〜40重量%の量、最も好ましくは約5〜25重量%の量で存在する。本発明のホットメルト接着剤組成物は、また、約20〜65重量%、好ましくは約25〜60重量%、最も好ましくは30〜60重量%の粘着付与剤、約0〜40重量%、好ましくは約5〜30重量%、最も好ましくは10〜25重量%の可塑剤、約0〜40重量%、好ましくは約0〜30重量%、最も好ましくは0〜20重量%のワックス、約0〜3重量%の安定剤または酸化防止剤、約0〜60重量%、好ましくは15〜40重量%、最も好ましくは20〜40重量%のアタクチックポリ−α−オレフィン(APAO)、および約0〜40重量%、好ましくは約0〜30重量%、最も好ましくは約2〜20重量%の第二重合体も含む。上記の基本的組成物に充填材、着色剤、発泡剤、蛍光剤、界面活性剤等のような随意成分を加えてその性質を所望とされるようにさらに変えることができる。
【0040】
本発明のホットメルト組成物はRCP共重合体を含む。チーグラー−ナッタ触媒を用いることによってRCP共重合体を製造する技術は、米国特許第4,330,645号および同第5,618,895号明細書に開示され、またメタロセン触媒を用いることによる上記製造技術は、Ewen等に付与された米国特許第5,476,914号およびShamshoun等に付与された米国特許第5,789,502号明細書に開示されている;上記米国特許明細書の全開示はここで参照することによって本明細書中に含まれる。適切なRCP重合体は、プロピレンと、限定されるものではないが、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1およびオクテン−1が挙げられる、2〜10個の炭素原子を含むもう1つの異なるα−オレフィン単量体との共重合によって製造することができる。メタロセン触媒を用いることによって製造された共重合体が好ましい。最も好ましいRCP重合体は、約2〜約20重量%の範囲にわたる共単量体含有量を有する、共単量体としてエチレンまたはブテン−1またはヘキセン−1を含んでいるmRCPである。
【0041】
本発明において有用なRCP共重合体は、好ましくは145℃に等しいかそれより低い融点、さらに好ましくは125℃に等しいかそれより低い融点、最も好ましくは120℃に等しいかそれより低い融点を有する。RCP共重合体は、一般に、ASTM D-1505試験法で測定して室温において約0.88〜約0.905g/cc、好ましくは0.88〜0.89g/ccの範囲内の密度を有する。この重合体は、また、ASTM D-1238試験法で測定して1.0g/10分に等しいかまたはそれより大きい、好ましくは5−200g/10分、さらに好ましくは7−100g/10分の溶融流量(MFR)―これは重量平均分子量Mwとは逆比の関係がある―を有する。このタイプの共重合体の例は、TX州、ヒューストンのATOFINA Petrochemicals Inc.から商標名EOD01-03、EOD01-04、EOD01-05、EOD01-06およびEOD01-14で入手できる。
【0042】
次の表1は、本発明の接着剤組成物で有用なmRCP共重合体の一部の物理的性質のリストおよび比較である。
【0043】
【表1】

【0044】
本発明において有用なAPAO成分は、アタクチック、低分子量、低溶融粘度、および実質的に非晶質のプロピレン系重合体という幾つかの異なるカテゴリーより成る。用語「実質的に非晶質」は、本明細書では、高結晶性のポリプロピレン標準に対して示差走査熱量法(DSC)で測定して30%未満の結晶化度を有すると定義される。これらの重合体は、プロピレンの単独重合体か、またはプロピレンと、例えばエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1およびオクテン−1のような1種または2種以上のα−オレフィン共単量体との共重合体のいずれかであることができる。本発明の範囲に入るAPAO重合体の重量平均分子量は、約4,000〜約150,000g/モル、好ましくは約10,000〜約100,000g/モルの範囲にある。これらの重合体は、約80〜170℃の軟化点および約−5〜−40℃のガラス転移温度を有するのが有利である。本明細書で上記される物理的性質の範囲に入るどのAPAO重合体も使用できるけれども、最も好ましいAPAOはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体およびプロピレン−エチレン−ブテン−1三元共重合体より成る群から選ばれる。本明細書中で上記されるタイプのAPAO重合体は、TN州、キングスポートのEastman Chemical Companyから商標名Eastoflexで、またはTX州、ヒューストンのHuntsman Corporationから商標名Rextacで、またはNJ州、PassipannyのDegussa Corporationから商標名Vestoplastで商業的に入手できる。言及されたように、0〜60重量%、好ましくは15〜40重量%、最も好ましくは20〜40重量%のAPAOが接着剤組成物中にブレンドすることができる。
【0045】
本発明のホットメルト接着剤において使用される粘着付与樹脂、即ち粘着付与剤は、接着剤の性質を広げ、そして固有接着性を改善するものである。本明細書中で使用される用語「粘着付与樹脂」は次のものを包含する:
(a)ASTM法E28-58Tで測定して10〜160℃の環球式軟化点を有する脂肪族および脂環式石油炭化水素樹脂で、後者の樹脂は脂肪族および/または脂環式オレフィンおよびジオレフィンより主として成る単量体の重合から生ずる;また、水素化された脂肪族および脂環式石油炭化水素樹脂も包含される;このタイプのC5オレフィン画分に基づくこのような商業的に入手できる樹脂の例は、Eastman Chemical Companyが販売するPiccotac 95粘着付与樹脂、およびExxonMobil Chemical Companyが販売するEscoreze 1310LCである;
(b)芳香族石油炭化水素樹脂およびその水素化誘導体;
(c)脂肪族/芳香族石油誘導炭化水素樹脂およびその水素化または酸官能化誘導体;
(d)芳香族変性脂環式樹脂およびその水素化誘導体;
(e)約10〜約140℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂であって、この後者のポリテルペン樹脂は、一般に、ピネンとして知られるモノテルペンのようなテルペン炭化水素の、フリーデルクラフツ触媒の存在下における、適度に低い温度での重合から生ずる;また、水素化ポリテルペン樹脂も包含される;
(f)天然テルペンの共重合体および三元共重合体、例えばスチレン/テルペン共重合体、α−メチルスチレン/テルペン共重合体およびビニルトルエン/テルペン共重合体;
(g)例えばガンロジン(gun rosin)、ウッドロジン、タル油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジンおよび重合ロジンのような天然および変性ロジン;
(h)例えばペールウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、ペールウッドロジンのペンタエリトリトールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、タル油ロジンのペンタエリトリトールエステルおよびロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステルのような、天然および変性ロジンのグリセロールおよびペンタエリトリトールエステル;
(i)例えば酸性媒体中でのテルペンとフェノールとの縮合から生ずる樹脂生成物のようなフェノール変性テルペン樹脂。
【0046】
ある種の調合物には、上記粘着付与樹脂の2種または3種以上の混合物が必要とされることがある。20〜65重量%の範囲の粘着付与樹脂が用いられ得るけれども、好ましい量は約25〜約60重量%であり、そして最も好ましい量は30〜60重量%の範囲である。本発明に有用な粘着付与樹脂として、多分、極性粘着付与樹脂を挙げることができるが、しかし利用できる極性粘着付与樹脂の選択は、それら極性樹脂の多くはメタロセン触媒ポリプロピレンmRCP共重合体およびAPAC重合体とは部分的にしか相溶性でないように見えるという事実を考慮して制限される。
【0047】
上記のように、本発明の範囲内において有用な粘着付与樹脂は約20〜65重量%を構成する。好ましくは、粘着付与樹脂は商業的に入手できる非極性タイプの任意のものから選択することができる。好ましい樹脂は脂肪族石油炭化水素樹脂であって、その例はTN州、キングスポートのEastman Chemical Companyから入手できるPiccotac 9095(以前はHercotac 1148)のようなC5オレフィンに基づく。水素化DCPDに基づく非極性生成物または70℃を超える軟化点を持つその芳香族変性誘導体が最も好ましい。このような樹脂の例は、ExxonMobil Chemical Companyが販売するEscoreze 5400およびEscoreze 5600である。
【0048】
可塑剤は、所望とされる粘度制御を実現し、かつ柔軟性を与えるために、本発明の組成物中に0〜約40重量%、好ましくは約5〜約30重量%、最も好ましくは10〜25重量%の量で存在することができる。適した可塑剤は、鉱油のような通常の可塑化性油が挙げられるが、オレフィンオリゴマーおよび低分子量重合体、さらにまた植物油および動物油、並びにそのような油の誘導体も包含する群から選ぶことができる。使用することができる石油誘導油は、芳香族炭化水素を小割合でしか含んでいない比較的高い沸点の物質である。これに関し、芳香族炭化水素は、芳香族性炭素原子の部分で測定してその油の好ましくは30%未満、それよりも特に15%未満であるべきである。この油は本質的に非芳香族性であるのがさらに好ましい。オリゴマーは約350〜約10,000の平均分子量を有するポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエン等であることができる。適した植物および動物油に、通常の脂肪酸およびその重合生成物のグリセロールエステルがある。他の有用な可塑剤は、常用のジベンゾエート、ホスフェート、フタレートエステル、並びにモノ−またはポリグリコールのエステルの族に見いだすことができる。このような可塑剤の例に、限定されるものではないが、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ペンタエリトリトールテトラベンゾエート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ポリエチレングリコール400−ジ−2−エチルヘキソエート;ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレートおよびジオクチルフタレートがある。本発明において有用性がある可塑剤は任意の数の異なる可塑剤であることができるが、本発明者は鉱油および5,000未満の平均分子量を有する液体ポリブテンが特に有利であることを発見した。認められるだろうように、可塑剤は、典型的には、接着剤の開放時間を延ばし、かつ柔軟性を改善するのみならず、接着剤組成物全体の粘度を、接着剤の接着強さおよび/または使用温度を実質的に低下させずに引き下げるために使用されてきた。
【0049】
ワックスは、ホットメルト接着剤組成物の溶融粘度を下げるために使用することができる。本発明の組成物では約0重量%から40重量%まで変わる量を用いることができるけれども、好ましい量は0〜30重量%であり、最も好ましくは0〜20重量%である。これらのワックスは、また、接着剤の硬化時間および軟化点に影響を及ぼすことができる。有用なワックスの中に次のものがある:
1.ASTM法D-1321で測定して約0.1〜120の硬度値を有し、そして約65〜140℃のASTM軟化点を有する、低分子量、即ち500−6000に等しい数平均分子量(Mn)のポリエチレン;
2.約50〜80℃の融点を有するパラフィンワックスおよび約55〜100℃の融点を有するマイクロクリスタリンワックス(後者の融点はASTM法D127-60で測定される)のような石油ワックス;
3.フィッシャー‐トロプシュワックスのような、一酸化炭素と水素とを重合することによって製造された合成ワックス;
4.ポリオレフィンワックス。ここで用いられている用語「ポリオレフィンワックス」はオレフィン単量体単位から成るそのような高分子のものまたは長鎖のものを意味する。このタイプの物質はEastman Chemical Co.から商標名“Epolene”で商業的に入手できる。本発明の組成物中における使用に好ましい物質は、約100〜170℃の環球式軟化点を有する。理解されるだろうように、これらワックス希釈剤は各々室温で固体である。
【0050】
水素化された牛脂、豚脂、大豆油、綿実油、ひまし油、メンヘーデン油、タラ肝油等のような水素化された動物、魚および植物の脂肪および油が挙げられる、それらが水素化されていることによって室温で固体である他の物質も、ワックス希釈剤の均等物として機能することに関して有用であることが見いだされた。これらの水素化物質は、接着剤工業では「動物または植物ワックス」と称されることが多い。
【0051】
本発明は安定剤を約0〜約3重量%の量で含むことができる。好ましくは、約0.1〜1%の安定剤が組成物に含められる。本発明のホットメルト接着剤組成物で有用な安定剤は、前記の重合体を、普通は接着剤の製造および適用中に、そしてまた最終製品の周囲環境に対する通常の曝露の際に起こる熱および酸化分解の影響から保護し、それによって接着剤系全体を保護するのを助けるために含められる。適用可能な安定剤の中に、高分子量ヒンダードフェノール、並びに硫黄およびリン含有フェノールのような多官能性フェノールがある。ヒンダードフェノールはこの技術分野の当業者にはよく知られるもので、そのフェノール性ヒドロキシル基に極めて近接して立体的に嵩高の基も含んでいるフェノール化合物と特徴づけることができる。特に、第三ブチル基が、一般に、ベンゼン環上に、フェノール性ヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つにおいて置換されている。ヒドロキシル基の付近にこれらの立体的に嵩高な置換基が存在することは、その伸縮振動を、そしてそれに対応してその反応を遅延させる働きをする;この立体障害はかくしてフェノール化合物にその安定化性を与える。代表的なヒンダードフェノールに次のものがある:
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;
ペンタエリトリトールテトラキス−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;
n−オクタデシル−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;
4,4’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);
2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;
6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン;
2,3,6−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン;
ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート;
2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート;および
ソルビトールヘキサ−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート。
【0052】
ペンタエリトリトールテトラキス−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネートが安定剤として特に好ましい。
これら安定剤の性能は、それら安定剤と共に、(1)例えばチオジプロピオネートエステルおよびホスフィットのような相乗剤;および(2)例えばエチレンジアミン四酢酸、その塩、およびジサリチルアルプロピレンジアミンのようなキレート化剤および金属奪活剤を用いることによってさらに高めることができる。
【0053】
随意の第二重合体は、本発明の組成物中に約0〜40重量%、好ましくは約0〜30重量%、最も好ましくは約2〜20重量%の量で存在することができる。本明細書で使用される用語「第二重合体」は、単独重合体、共重合体、三元共重合体、および/または単独重合体、共重合体または三元共重合体のブレンドから構成される熱硬化性および熱可塑性物質を意味する。所望とされる調合物に依存して、単一の第二重合体を使用してもよいし、或いは2種または3種以上の第二重合体の混合物を接着剤組成物に配合してもよい。
【0054】
多様な周知の容易に入手できる熱硬化性物質がどれでも、接着剤組成物中で第二重合体として使用することができる。このような物質の例を挙げると、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、1種または2種以上のビニル単量体とポリアルキレンオキシド重合体とのグラフト共重合体、フェノール−アルデヒド、尿素−アルデヒド、メラミン−アルデヒド等のようなアルデヒド含有樹脂、並びにポリイミドがある。
【0055】
多様な周知の容易に入手できる熱可塑性物質がどれでも、接着剤組成物中で第二重合体として使用することができる。このような物質の例を挙げると、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリレート、エチレンメタクリレート、エチレンメチルアクリレート、エチレンメチルメタクリレート、エチレン−スチレン共重合体(ESI)、エチレンアクリル酸、エチレン酢酸ビニル一酸化炭素およびエチレンN−ブチルアクリレート一酸化炭素を含めてエチレン系重合体;ポリブテン−1重合体;高および低密度ポリエチレンのようなポリオレフィン;ポリエチレンブレンドおよび化学的変性ポリエチレン、エチレンとC1〜C6モノ−またはジ不飽和単量体との共重合体;ポリアミド;ポリブタジエンゴム;ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル;熱可塑性ポリカーボネート;アタクチックポリプロピレンを含めてポリアルファーオレフィン、ポリビニルメチルエーテルおよびその他;熱可塑性ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルとブタジエン、スチレンのような他の単量体との共重合体のような;ポリメチルペンテン;ポリフェニレンスルフィド;芳香族ポリウレタン;ポリビニルアルコールおよびその共重合体;ポリ酢酸ビニルおよびそのランダム共重合体;スチレン−アクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンエラストマー;A−B、A−B−A、A−(B−A)n−B、(A−B)n−Yブロック共重合体(式中、Aブロックはポリスチレンのようなポリビニル芳香族ブロックから成り、Bブロックはポリイソプレン、およびポリブタジエンのような随意に水素化された重合体であることができるゴム状中央ブロックから成り、Yは多価化合物から成り、そしてnは少なくとも3の整数である)、並びに上記物質の混合物がある。これら後者のブロック共重合体の例に、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンおよびスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体がある。
【0056】
上記重合体の総スチレン含有量はその重合体の51重量%もの大量であることができるが、そしてそれら重合体は最適の性能のために3つ以上のAブロックを有することができるから、総Aブロックは、好ましくは重合体の約45重量%に等しいかまたはそれより少なく、そして最も好ましくは重合体の35重量%に等しいかまたはそれより少ない。S-B-S(スチレン−ブタジエン−スチレン)共重合体において、好ましい分子量は約50,000〜120,000であり、そして好ましいスチレン含有量は約20〜45重量%である。S-I-S(スチレン−イソプレン−スチレン)共重合体では、好ましい分子量は約100,000〜200,000であり、そして好ましいスチレン含有量は約14〜35重量%である。ブタジエン中央ブロックを水素化すると、典型的にはエチレン−ブチレン中央ブロックに転化されるゴム状中央ブロックが生成せしめられる。
【0057】
このようなブロック共重合体は、Kraton Polymers社、Enichem社、Fina社およびDexco社から入手できる。マルチブロックおよびテーパーブロック共重合体(tapered block copolymers)(A−(B−A)n−Bタイプ)はFirestone社から入手できる。
【0058】
使用できる他の第二重合体は、シンジオタクチックポリプロピレン(SPP)重合体および/またはSPPと非晶質アタクチックポリ−α−オレフィン(APAO)とのブレンドであって、それらは全てこの技術分野でよく知られている。SPP重合体は、本質的に高分子量の立体特異性プロピレン単独重合体、またはプロピレンと、エチレン、ブテン−1またはヘキセン−1のような他のα−オレフィン単量体との共重合体である。APAO重合体は、本明細書で前記されるように、一系列のプロピレンの本質的に非晶質の低分子量単独重合体またはプロピレンとエチレン若しくはブテン若しくはヘキセンとの共重合体である。
【0059】
第二重合体は、RCP系接着剤組成物の特定の物理的性質および/または特性を変えるように特定の重合体機能を所望とされるように変える機能を奏する。例えば、1種または2種以上の第二重合体の添加は、(i)接着剤組成物の弾性;(ii)接着剤組成物の接着性;(iii)接着剤組成物の低温抵抗性、;(iv)接着剤組成物の高温抵抗性;(v)接着剤組成物のクリープ抵抗性;(vi)接着剤組成物の凝集強さ;および/または(vii)接着剤組成物の感圧性特性を増加または減少させるために利用することができる。上記特性の相対的変化(増加または減少)は、第二重合体の添加がない接着剤組成物と比較して測定される。かくして、例えばKraton G1652またはKraton G1657―これらは共にスチレン/エチレン−ブチレン/スチレン(SEBS)ブロック共重合体である―は、接着剤組成物の弾性を増加させるために、RCP重合体に増加した伸び特性を与えるように加えることができる。増加した弾性は接着剤組成物にとってより良好な吹付け適性の特性をもたらす。もう1つの例では、共にエチレン系APAOであるEastoflex 1003またはEastoflex 1060は、所望とされるならば、組成物に増加した接着性特性を与えるために加えることができる。
【0060】
本明細書で用いられる用語「弾性」は、変形の力が取り除かれた後に材料の原形状を部分的にまたは完全に回復させるその材料の能力である。
本明細書で用いられる用語「接着性」は、2つの表面が原子価力の組み合わせ若しくは絡み合い作用またはそれらの両者であることができる界面の力によって一緒に保持される状態を意味する。
【0061】
本明細書で用いられる用語「低温抵抗性」は、接着剤の接着強さおよび構造保全性を比較的低温(即ち、室温より低い温度)において保持するその接着剤の相対的能力を意味する。
【0062】
本明細書で用いられる用語「高温抵抗性」は、接着剤の接着強さおよび構造保全性を比較的高温(例えば、体温または倉庫条件)において保持するその接着剤の相対的能力を意味する。
【0063】
本明細書で用いられる用語「クリープ抵抗性」は、引き伸ばされた弾性ストランドを適所に有意の滑りなしで保持する接着剤の能力を意味する。さらなる定義は本明細書に含まれる実施例1−4におけるように見いだすことができる。
【0064】
本明細書で用いられる用語「凝集強さ」は、変形に抵抗する材料の内力の程度を意味する。凝集強さを測定する色々な方法、例えばインストロンタイプの引張試験器を用いる引張試験法が存在する。
【0065】
本明細書で用いられる用語「感圧性」は、基材に圧力だけを用いて接着層を形成する接着剤の能力を意味する。
本発明の接着剤組成物には、特定の物理的性質をさらに改善するために他の随意の添加剤を組み込んでもよいことを理解しなければならない。これら添加剤として、例えば不活性着色剤(例えば二酸化チタン)、蛍光剤、0〜60重量%の充填材、界面活性剤および/または発泡剤のような物質を挙げることができる。典型的な充填材に、タルク、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、雲母、珪灰石、長石、珪酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラス微小球、セラミック微小球、熱可塑性樹脂微小球、重晶石および木粉がある。界面活性剤は、例えばおむつコアに適用された接着剤の表面張力を劇的に低下させ、その結果そのコアによる尿のより速やかな輸送と後続吸収が可能になるので、界面活性剤は衛生用使い捨て不織布における使用のための接着剤において特に重要である。
【0066】
界面活性剤は、本発明の組成物中に、この接着剤をより親水性にするために、約0.1〜約30重量%、好ましくは約1〜約10重量%の量で存在することができる。界面活性剤は15未満の親水親油バランス(HLB)数を有するのが好ましい。界面活性剤のHLBは、その親水親油バランス、即ち界面活性剤の親水性(水になじむ性質(water-loving)または極性)基および親油性(油になじむ性質(oil-loving)または非極性)基の大きさと強さのバランスについての1つの表現である。界面活性剤は全て親水性と親油性の両基を併せ持っている分子より成る。
【0067】
界面活性剤は、それがホットメルト接着剤の性能に悪影響を及ぼさないようにその接着剤中で用いられる他の原料と適度に相溶性でなければならない。他方、界面活性剤は接着剤をより親水性にするように接着剤の表面に「ブルーム」しなければならない。かくして、相溶性の微妙なバランスが保持されなければならない。界面活性剤は、また、それをホットメルトの混合装置中で処理できるようにし、かつ最終ユーザーにとって無毒にするどんな水または他の溶媒も含有すべきではない。界面活性剤は、また、ホットメルトの製造および適用装置中で接着剤に影響を及ぼすことなく加工処理するのを可能にするために、十分に安定かつ不揮発性でなければならない。
【0068】
本明細書中で用いられる用語「界面活性剤」または「表面活性剤」は、水または水溶液中に溶解したとき表面張力を低下させ、或いは2つの液体間の、または液体と固体との間の界面張力を低下させる任意の化合物を意味する。適した界面活性剤の例に次のものがあるが、それらに限定されない:
(1)エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールモノステアレート、グリセロールモノおよび/またはジオレエート、PEGジオレエート、PEGモノラウレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレエート等々を含めて、グリセロールエステル、PEGエステルおよびソルビタンエステルのような脂肪酸エステル。これらの界面活性剤はICI社、Thone-Poulenc社、その他の供給源から入手できる。
【0069】
(2)オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルアミンエトキシレート等々を含めてアルキルフェノールエトキシレート、アルコールエトキシレート、アルキルアミンエトキシレート等々のようなノニオン系エトキシレート。これらの界面活性剤はRhone-Poulenc社、Union Carbide社、その他の供給源から入手できる。
【0070】
(3)Air Products社から入手できる2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのようなノニオン系界面活性剤。
(4)Union Carbide社、BASF社等々から入手できるエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体。これらのおよび他の界面活性剤は、必要ならば、親水性の性能特性を持つ最高のブレンドを生成させるためにブレンドすることができることに注目されるべきである。
【0071】
ノニオン系界面活性剤ブレンドであるAtmer 688およびグリセロールモノステアレートであるAlkamuls GMS/C―共にICI Americas, Inc.が製造―が本発明の接着剤組成物における使用に好ましい界面活性剤であることが見いだされた。
【0072】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、この技術分野において知られている混合技術のどれを使って調合してもよい。従来技術の混合法の代表的な例は、RCP重合体を除く全ての成分を、ローターを装備するジャッケット付き混合ケットルに入れ、その後にその混合物の温度を160〜200℃の範囲まで上げてその内容物を溶融させることを含む。この工程で用いられるべき正確な温度は、個々の成分の融点に依存することを理解されるべきである。続いて、RCP共重合体および/または他の重合体(例えば、APAO)が上記ケットルに攪拌下で導入され、そして混合が終始一貫して均質な混合物が形成されるまで続けられる。ケットルの内容物は全混合プロセス中二酸化炭素または窒素のような不活性ガスで保護される。
【0073】
その結果得られるホットメルト接着剤は、次に、多様な適用技術を用いて基材に適用することができる。例を挙げると、ホットメルトグルーガン法、ホットメルトスロットダイ塗布法、ホットメルトホイール塗布法、ホットメルトローラー塗布法、メルトブローン塗布法、スパイラル吹付け法等がある。ある好ましい態様においては、ホットメルト接着剤は基板にスパイラル吹付け法を用いて吹き付けられるが、この方法はおむつの製造において弾性アタッチメントおよび構造用のフィラメントのスパイラルパターンをもたらす好ましい技術である。1つの例において、ホットメルトコーターには中央にノズルチップを有するディスク様コーティングダイが備え付けられている。チップは熱空気ジェットが通過する一連の傾斜したオリフィスで囲まれている。ホットメルト接着剤はノズルから細いフィラメントの形で押し出される。フィラメントは、次に、オリフィスから来る高速の熱空気ジェットによって回転せしめられ、それによって単一の接着剤ストランドから螺旋パターンが作られる。吹付け技術の完全な説明を与えることはこの発明の目的ではなく、その詳細は文献に見いだすことができる。
【0074】
本発明の接着剤組成物は、例えば使い捨て不織衛生用品、紙の加工用途、柔軟包装用途、木工用途、カートンおよびケース封止用途、ラベリング用途および他の組立用途のような多数の用途で使用することができる。特に好ましい用途を挙げると、使い捨ておむつおよび女性用衛生ナプキンの構造、おむつおよび成人失禁用ブリーフの弾性アタッチメント、おむつおよびナプキンのコアの安定化、おむつバックシートの積層、工業用濾材の転化、外科用ガウンおよび外科用ドレープの組立等々がある。
【0075】
試験および材料
ブルックフィールド粘度は、ASTM D-3236法に従って325°Fで試験された。
環球式軟化点は、自動化Herzog装置を用いてASTM E-28法に従って測定された。
【0076】
剥離強さは、制御された大気環境(20℃および50%相対湿度)中において、引張試験機(Instron Model 55R1122)により180°ジオメトリーで測定された。試験に先立って、データの再現性と正確度を確保するために、試験片は制御された環境において約12時間状態調節された。試験は12”/分のクロスヘッド速度で行われた。g/インチ単位に正規化された6回の反復試験の平均剥離値が剥離強さとして報告された。
【0077】
クリープ抵抗性試験は、本明細書において後に説明される実施例の積層試験片を用いて行われた。長さ約350mmにカットされた試験片を完全に引き伸ばし、その端を1片の堅い波形板紙にしっかり取り付けた。300mmの長さに印を付け、それら印の所で弾性ストランドをカットした。次に、この試験片を100°Fの空気循環炉中に入れた。これらの条件下において、緊張下にあるそれら弾性ストランドはある一定距離まで後退することができる。4時間後に両端間の距離を測定した。クリープ保持率(Creep Retention)と定義され、百分率(%)で表される最終長さ対初期長さの比は、弾性ストランドを保持する接着剤の能力の尺度である。
【0078】
吹付け適性は、Meltex CT225(Nordson社)ホットメルトコーターで経験的に測定された。塗布条件は接着剤試料に依存して変わった。
EOD01-06は、米国特許第5,476,914号明細書に開示されるもののような単一部位メタロセン触媒系を用いることによって製造されたプロピレン−エチレン共重合体タイプのmRCPである。この共重合体は約6重量%のエチレンを含むもので、TX州、ヒューストンのAtoFina Petrochemicals, Inc.から商業的に入手できる。それは0.89g/ccの密度および111.4℃のDSC融点を有し、またASTM法D-1238を用いることによって測定して約8g/10分の溶融流量を有する。
【0079】
EOD00-14は、米国特許第5,476,914号明細書に開示されるもののような単一部位メタロセン触媒系を用いることによって製造されたプロピレン−エチレン共重合体タイプのmRCPである。この共重合体は約2重量%のエチレンを含むもので、TX州、ヒューストンのAtoFina Petrochemicals, Inc.から商業的に入手できる。それは0.90g/ccの密度および139.7℃のDSC融点を有し、またASTM法D-1238を用いることによって測定して約14g/10分の溶融流量を有する。
【0080】
EOD02-07はAtoFina Petrochemicals 社から得られるもので、約6重量%のエチレンを有するプロピレン−エチレン共重合体mRCPである。それは約112℃の融点、0.89g/ccの密度および約50g/10分の溶融流量を有する。
【0081】
EOD02-08はAtoFina Petrochemicals 社から得られるもので、約6重量%のエチレンを有するプロピレン−エチレン共重合体mRCPである。それは約112℃の融点、0.89g/ccの密度および約100g/10分の溶融流量を有する。
【0082】
Huntsman Corporationから入手できるRextac RT2330は、190℃において約3,000cPのブルックフィールド粘度、約−29℃のTgおよび約141℃の軟化点を有するアタクチックプロピレン−エチレン共重合体タイプのAPAOである。
【0083】
Eastoflex P1010はTN州、キングスポートのEastman Chemical Companyから得られるもので、190℃において約1,000cPのブルックフィールド粘度、約−10℃のTgおよび約150℃の軟化点を有するアタクチックホモプロピレンタイプのAPAOである。
【0084】
Eastoflex D-178もEastman Chemical Companyから得られるもので、190℃において約3,000cPのブルックフィールド粘度、約−27℃のTgおよび約130℃の軟化点を有するアタクチックプロピレン−エチレン共重合体タイプのAPAOである。
【0085】
Eastoflex E-1200もEastman Chemical Companyから得られるもので、190℃において約12,000cPのブルックフィールド粘度、約−28℃のTgおよび約135℃の軟化点を有するアタクチックプロピレン−エチレン共重合体タイプのAPAOである。
【0086】
TX州、ヒューストンのExxonMobile Chemical Companyから入手できるEscorez 5380は、約80℃のR&B軟化点を有する、非常に明るい色の水素化脂環式炭化水素粘着付与剤である。
【0087】
Hercotac 1148は、100℃の環球式軟化点を有するC5脂肪族炭化水素樹脂である。それはEastman Chemical Companyから入手できる。
Nyplast 222Bは、カナダ、オンタリオ州、ミシソーガのNynas Canada, Inc.から購入した鉱油可塑剤である。
【0088】
Wingtack 10は、25℃において約20,000−40,000cpのブルックフィールド粘度および約10℃の環球式軟化点を有する液体脂肪族C5炭化水素樹脂である。それはOH州、アクロンのGoodyear Chemicals社から入手できる。
【0089】
Marcus Oil & Chemicals, Inc.から入手できるMarcus 300は、約240°Fの融点を有する合成ポリエチレンワックスである。
Irganox 1010は、NY州、TarrytonのCiba-Specialty Chemicals社から得られるヒンダードフェノールタイプの酸化防止剤である。
【0090】
Uvitex OBもCiba Specialty Chemicals社から得られるもので、蛍光剤である。
Lycra 740は740デニールの基本重量を有する弾性ストランドである。それはDuPont社から入手できる。
【0091】
対照Aは、350°Fで5600cPのブルックフィールド粘度および約220°Fの環球式軟化点を有するスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体系ホットメルト接着剤である。それはWI州、ウォーワトサのBostik Findley, Inc.から入手できる。
【0092】
SMSは、WI州、ニーナのKimberly-Clark Corporationから得られるスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド組成の不織布(spunbond-melt brown-spunbond composition nonwoven fabric)である。
【0093】
本発明を以下に示す実施例によってさらに例証する。
実施例1−4
表2に示す1−4のホットメルト接着剤例は、本明細書で前記した成分および混合法によって製造した。各々合計2000グラム調製し、また混合をモーターで駆動されるプロペラ、加熱マントル、温度制御装置、および大きさが約1ガロンの容器より成る実験室タイプのミキサー中で、350−375°Fにおいて、二酸化炭素雰囲気下で行った。mRCP共重合体を除いて、表に示す比率に従って計算した各成分の適切な量を上記容器に加えた。次に、容器の温度を上げて内容物を溶融させた。容器中の成分を完全に溶融させた後、モーターのスイッチを入れて攪拌を始めた。続いて、mRCP共重合体成分を導入し、その中で完全に混合させた。接着剤例1−4は、弾性アタッチメント用途のための弾性アタッチメント接着剤として特に有用である。
【0094】
ブルックフィールド粘度、環球式軟化点およびクリープ保持率の各試験を、実施例1−4について、本明細書で前記される方法に従って行った。室温粘着性は、人の指に対する接着剤の粘着によって判定した。クリープ保持率試験用の試験片は、0.018”のスパイラル吹付けノズルが備え付けられているMeltex CT225ホットメルトコーターで、スパイラル吹付け技術を用いることによって形成した。この試験片を製造するために、300%伸び率まで引き伸ばされた3本の弾性ストランドを、厚さ1.0ミルのポリエチレンフィルムの層とポリプロピレンスパンボンド不織布の層との間に積層するか、または2つの同一SMS不織布間に積層した。吹付け適性は、塗布プロセス中に、スパイラルパターンの形を観察することによって評価した。吹付け適性は図1bに描かれたものとしての良好なスパイラルパターンが観察されたならば許容できると考えられ、さもなければそれは許容できないと考えられた(図1a)。接着剤は12g/m2の塗布重量において0.25秒の開放時間およびニップロールにおいて1バールの圧縮力でスパイラル吹き付けされ、また適用温度は325°Fに設定された。実施例1−4の接着剤は室温粘着性がほとんどなく、そして低い溶融粘度、良好な吹付け適性および良好なクリープ保持率特性を有することが見いだされた。
【0095】
【表2】

【0096】
実施例5−7
5−7の実施例は、本明細書で前記したのと同じ方法を表3に記載した成分と共に使用することによって調合した。これらの調合物は、多様な柔軟包装用途のための積層接着剤として、また使い捨て不織用途のための構造用接着剤として特に合っている。そのような接着剤として用いる場合、剥離強さが接着剤性能の最も重要な尺度である。実施例5−7の剥離強さを測定し、そしてその結果もまた表3に報告した。剥離強さ測定用の試験片は、実施例1−4におけると同じポリエチレンフィルムおよびポリプロピレンスパンボンド不織布を、スパイラル吹付け塗布技術により、3個のITW制御繊維化ノズルを装備したCT225ホットメルトコーターで積層することによって調製した。接着剤は、4g/m2の量で、適用温度300°Fおよび開放時間0.5秒において適用した。実施例5−7の接着剤は室温粘着性がほとんどないかまたは非常に低く、そして低い溶融粘度、良好な吹付け特性および良好なフィルム/不織布結合を有することが見いだされた。
【0097】
【表3】

【0098】
実施例8−9
実施例8−9のホットメルト接着剤は、本明細書で前記したのと同じ方法を表4に記載する成分と共に使用することによって調製した。実施例8および9において、接着剤は、本明細書中で例示説明した従来調合物中のAPAO成分の代わりに用いられるワックス(Marcus 300)を含んでいる。かくして、実施例8および9の接着剤はAPAOを含んでいない。各々合計250グラムを作り、また混合は350°FにおいてCO2雰囲気下で行った。それらはケースおよびカートンの封止用途に特に有用である。このような用途についての使用を例証するために、図2で21aおよび21bとして示した、直径約2mmの単一接着剤のビーズが、この図に示したように、段ボール箱20の上部フラップ22aおよび22bの上部表面を横切って手で適用した図2および3を参照する。接着剤適用直後に、箱20の上部フラップ22aおよび22bが箱20を封止するために底部フラップ23aおよび23bの上に折り曲げ、そしてそれら底部フラップと接触せしめた。フラップ22a、22b、23aおよび23bは、次に、箱20を封止するために、図3に示したように、圧力手段で約2分間一緒に保持した。上記接着剤は接着剤適用後約20分で繊維引裂結合をもたらした。
【0099】
【表4】

【0100】
実施例10−11
実施例10−11は、本明細書で前記したのと同じ方法を表5に記載した成分と共に使用することによって調合した。これらの調合物は使い捨て不織用途のためのローション抵抗性接着剤として特に合っている。
【0101】
女性用ケアパッド、おむつおよび他の吸収性物品のメーカーは、時々、皮膚軟化薬のコーティングを使い捨ておむつの上部シートの皮膚と係わる表面上に適用するか、または皮膚軟化薬のコーティングを女性用ケアパッドの上部シートの皮膚と係わる表面上に適用することがある。この皮膚軟化薬は、このような物品の使用中に発生することがある皮膚の発疹を防ぐのを助けようとするものである。ワセリンが、その比較的低い値段および卓越した性質の故に特に好ましい。鉱油および他の油系軟膏またはローションも、皮膚の発疹を治療および/または予防するために養護者によって幼児の皮膚の上にすり込まれることが多い。
【0102】
皮膚軟化薬は接着剤の結合を2つの機構によって乱すと考えられる。第一に、それらは接着剤基材界面に移行し、それによって接着剤結合を乱す。第二に、皮膚軟化薬は接着剤に吸収されてそれを可塑化し、このことが接着剤の凝集強さを低下させる。従って、従来のホットメルト接着剤組成物は皮膚軟化薬に曝露されると接着剤層破損を受ける。その結果、使い捨ておむつの弾性脚バンドは実際におむつから開放させられることがあり、その結果内側の脚折返し部の完全な破損と破壊がもたらされる。また、構造用接着剤は作用しなくなることがあり、その結果吸収性物品の望ましくない離層がもたらされる。それ故、皮膚軟化薬に対する曝露に耐え、同時に十分な接着強さをなおも与える能力のある接着剤が極めて望ましいだろう。
【0103】
皮膚軟化薬に対する有効性を測定するために、表5に従って調合された接着剤を用いてクリープ抵抗性試験を行った。
接着剤は、SMS基材上に、15g/m2の塗布量で、本明細書で前記したスパイラル吹付け塗布法を用いることによって塗布した。300%まで引き伸ばされたLycra弾性樹脂の3本のストランドを2つの同一SMS基材間に積層した。但し、不織基材とLycraストランドとを組み合わせてラミネートを形成した直後に、皮膚軟化薬がオンラインで5g/m2の塗布量において適用し、その後その積層を弾性クリープ性能について試験した。結果は以下の表5に報告する。
【0104】
【表5】

【0105】
表から分かるように、接着剤は弾性アタッチメント用接着剤として極めてよく機能し、同時に皮膚軟化薬曝露後に非常に良好なクリープ性能も与えた。これに比較して、表5で対照Aと指定される市販のスチレンブロック共重合体系ホットメルト接着剤は同じ条件下で離層した。
【0106】
実施例12−30
実施例12−30を、本明細書で前記したのと同じ方法を表6に記載する成分と共に使用することによって調合した。実施例12および13の調合物は第二重合体を含んでいなかったが、これに対して実施例14〜30の調合物は全て1種または2種以上の第二重合体を含んでいた。実施例12および13は引張強さおよび伸びが比較的低いが、これに対して第二重合体を含む組成物は全てそれらよりはるかに高い引張強さおよび/または伸びを有している。
【0107】
【表6】

【0108】
Nyplast 222Bは、Nyplast USA社からの、ナフテン系炭化水素(naphthenics)47%、パラフィン系炭化水素(paraffinics)48%および芳香族系炭化水素(aromatics)5%を持つ鉱油である。
【0109】
Hercotac 1148は、Eastman Chemical Products社からの、94℃の軟化点を有するC5/C9炭化水素樹脂である。
Epolene C18は、Eastman Chemical Products社からの、無水マレイン酸で処理されたポリエチレンワックスである。
【0110】
Vestoplast 508は、Degussa Corp.からの、190℃において80ポアズの目標粘度を有するブテンリッチのAPAOである。
Eastoflex 1003は、Eastman Chemical Products社からの、190℃において2.5ポアズの目標粘度を有する高エチレン含有量APAOである。
【0111】
Eastoflex 1060は、Eastman社からの、190℃において60ポアズの目標粘度を有する中エチレン含有量APAOである。
Lotryl 7BA01は、Atofina Chemicals Inc.からの、7%のブチルアクリレートを含む、メルトインデックス1のエチレンブチルアクリレート共重合体である。
【0112】
Lotryl 28BA175は、Atofina Chemicals Inc. からの、28%のブチルアクリレートを含む、メルトインデックス175のエチレンブチルアクリレート共重合体である。
Lotryl 35BA320は、35%のブチルアクリレートおよび320のメルトインデックスを有するエチレンブチルアクリレート共重合体である。それはAtofina Chemicals Inc.から入手できる。
【0113】
Lotryl 28BA175は、28%のブチルアクリレートおよび175のメルトインデックスを有するエチレンブチルアクリレート共重合体である。それはAtofina Chemicals Inc. から入手できる。
【0114】
Orevac 9305は、Atofina Chemicals Inc.から入手できるエチレン酢酸ビニル/無水マレイン酸三元共重合体である。
EOD-01-06は、Atofina Chemicals Inc.から入手できる、7のメルトインデックスおよび112℃のDSC軟化点を有するメタロセン触媒RCP重合体である。
【0115】
EOD-02-07は、Atofina Chemicals Inc.からの、50のメルトインデックスおよび112℃のDSC軟化点を有するmRCP重合体である。
Engage 8407は、0.875g/ccの密度を有するメルトインデックス30のエチレン/オクテン共重合体である。それはDuPont Dow Elastomers社から入手できる。
【0116】
Engage 8401は、0.885g/ccの密度を有するメルトインデックス30のエチレン/オクテン共重合体である。それはDuPont Dow Elastomers社から入手できる。
Exxelor VA1840(MAH官能化エラストマー共重合体)は、ExxonMobil社からの、「中」無水マレイン酸含有量を持つEPR主鎖を有する。それは半結晶性であって、27MFR(g/10分、230℃/10kg)を有する。
【0117】
Huntsman RT 2535は、Huntsman Chemical Co.からの高エチレン含有量APAOである。それは28.00〜42.00ポアズの190℃における粘度範囲を有し、その軟化点範囲は260〜276°F(127〜136℃)である。
【0118】
Huntsman RT 2304は、Huntsman Chemical Co.からの、中エチレン含有量を有するAPAOである。190℃における粘度範囲は3.5〜5.5ポアズである。
Vestoplast 704は、Degussa Corp.からの、190℃において35ポアズの目標粘度を有するプロペンリッチのAPAOである。
【0119】
Kraton G1657は、Kraton Polymers社からの、13/87%スチレン/ゴム比を有するスチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロック共重合体(SEBS)である。それは重量で30%のジブロックを含む。
【0120】
Kraton G1652は、Kraton Polymers社から入手できる30/70%スチレン/ゴム比を有するスチレン/エチレン−ブチレン/スチレン(SEBS)ブロック共重合体である。
Tuftec SBBS-JT84Pは、日本、Asahi Rubber Co.からの、29%のスチレンを含むスチレン/ブタジエン−ブチレン/スチレンブロック共重合体である。
【0121】
Elvax 150は、33%の酢酸ビニルを含み、そして43のメルトインデックスを有するエチレン/酢酸ビニル(EVA)共重合体である。それはDuPont Chemical Co.から入手できる。
【0122】
Kraton D1112Pは、Kraton Polymers社から入手できる線状スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体である。それは15/85%のスチレン/ゴム比を有し、そして38%のジブロックを含む。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1a】本発明の接着剤の所望とされない不良のスパイラル吹付けパターンを模式的に図示する。
【図1b】本発明の接着剤の所望とされる完全なスパイラル吹付けパターンを模式的に図示する。
【図2】本発明の接着剤が上部フラップに適用されている段ボール箱の模式的透視図を示す。
【図3】本発明の接着剤で封止された図2の段ボール箱を図示する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤組成物であって、次の成分:
(a)約4〜50重量%の、プロピレンと次の分子構造:
【化1】

(式中、Rは水素またはC2〜C10アルキル基である。)
を有する少なくとも1種のα−オレフィン共単量体とのランダムRCP共重合体にして、該α−オレフィンが該RCP共重合体の約1.5〜約20重量%を構成するそのようなRCP共重合体;
(b)約20〜65重量%の粘着付与剤;
(c)約0〜60重量%のアタクチックポリ−α−オレフィン(APAO)重合体;
(d)約0〜40重量%の可塑剤;
(e)約0〜40重量%のワックス;
(f)約0〜3重量%の安定剤;
(g)約0〜60重量%の充填材;および
(h)約0〜40重量%の第二重合体
のブレンドを含む、上記成分が合計で組成物の100重量%になる上記ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
RCP共重合体が約0.88〜0.905g/ccの密度、5g/10分に等しいかまたはそれより大きい溶融流量および145℃に等しいかまたはそれより低い融点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
RCP共重合体が、メタロセン触媒系を用いることによって製造された、プロピレンと少なくとも1種のα−オレフィンとのmRCP共重合体である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
APAO重合体が約0.85〜0.89g/ccの密度、約−5〜−40℃のガラス転移温度(Tg)および約4,000〜約150,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
α−オレフィン共単量体がエチレン、ブテン−1およびヘキセン−1より成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
APAO重合体が単独重合体、またはプロピレンと次の分子構造:
【化2】

(式中、Rは水素、またはアルキル若しくはアリール基である。)
を有する少なくとも1種のα−オレフィン共単量体との共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
α−オレフィン共単量体がエチレン、ブテン−1およびヘキセン−1より成る群から選ばれる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
粘着付与剤が、脂肪族および脂環式炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体、芳香族および水素化芳香族炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族または脂環式樹脂およびそれらの水素化誘導体、ポリテルペン樹脂並びにスチレン化ポリテルペン樹脂より成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
粘着付与剤が80℃に等しいかまたはそれより高いR&B軟化点を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
粘着付与剤がC−5脂肪族炭化水素樹脂である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
可塑剤が鉱油および液体ポリブテンより成る群から選ばれる請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
鉱油が30%未満の芳香族性炭素原子を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ワックスが石油ワックス、低分子量ポリエチレンおよび同ポリプロピレン、合成ワックス並びにポリオレフィンワックスより成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
ワックスが約400〜約6,000g/モルの数平均分子量を有する低分子量ポリエチレンである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
0.1〜約30重量%の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
界面活性剤が15未満のHLBを有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
界面活性剤が脂肪酸エステル、ノニオン系エトキシレートおよびエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体より成る群から選ばれる、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
充填材が、タルク、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、雲母、珪灰石、長石、珪酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラス微小球、セラミック微小球、熱可塑性樹脂微小球、重晶石および木粉より成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
接着剤組成物が着色剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
第2重合体が熱硬化性重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
第二重合体が熱可塑性重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
第二重合体が、エチレンアクリレート、エチレンメタクリレート、エチレンメチルアクリレート、エチレンメチルメタクリレート、エチレン−スチレン共重合体、エチレンアクリル酸、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル一酸化炭素、エチレンN−ブチルアクリレート一酸化炭素;ポリブテン−1重合体;ポリオレフィン、高および低密度ポリエチレン、ポリエチレンブレンド、化学的変性ポリエチレン、エチレンとC1〜C10モノ−またはジ不飽和単量体との共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、ポリアミド、ポリブタジエンゴム、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、熱可塑性ポリカーボネート、ポリ−アルファ−オレフィン、アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アイソタクチックランダム共重合体、メタロセン触媒アイソタクチックランダム共重合体、熱可塑性ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリルとブタジエンまたはスチレンのような他の単量体との共重合体、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリウレタン;スチレン−アクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンエラストマー;A−B、A−B−A、A−(B−A)n−B、(A−B)n−Yブロック共重合体(式中、Aブロックはポリスチレンのようなポリビニル芳香族ブロックから成り、Bブロックはポリイソプレン、および場合によりポリブタジエンのような水素化された重合体であることができるゴム状中央ブロックから成り、Yは多価化合物から成り、そしてnは少なくとも3の整数である)、ポリビニルアルコールおよびその共重合体、ポリ酢酸ビニルおよびそのランダム共重合体、並びにポリビニル芳香族−ゴムブロック共重合体より成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
第二重合体がエチレンブチルアクリレート共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
第二重合体がエチレン/オクテン共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
第二重合体がエチレン酢酸ビニル/無水マレイン酸三元共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
第二重合体がスチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロック共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
第二重合体がスチレン/ブタジエン−ブチレン/スチレンブロック共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
第二重合体がエチレン/酢酸ビニル共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
第二重合体がスチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
第二重合体が接着剤組成物の弾性を増加または減少させる機能を奏する、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
第二重合体が接着剤組成物の接着性を増加または減少させる機能を奏する、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
第二重合体が接着剤組成物の低温抵抗性を増加または減少させる機能を奏する、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
第二重合体が接着剤組成物の高温抵抗性を増加または減少させる機能を奏する、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
第二重合体が接着剤組成物のクリープ抵抗性を増加または減少させる機能を奏する、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
第二重合体が接着剤組成物の凝集強さを増加または減少させる機能を奏する、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
第二重合体が接着剤組成物の感圧性を増加または減少させる機能を奏する、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
請求項1に記載の接着剤組成物で接着されている段ボール箱物品。
【請求項38】
請求項1に記載の接着剤組成物で一緒に接着されている、不織材料の第一層、不織材料の第二層、並びに該第一および第二不織層間に配置された複数の弾性ストランドを含むラミネート。
【請求項39】
請求項1に記載の接着剤組成物で一緒に接着されている、不織材料の第一層、フィルム材料の第二層、並びに該第一および第二層間に配置された複数の弾性ストランドを含むラミネート。
【請求項40】
フィルムがポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルムまたはポリオレフィン被覆布様不織材料を含む、請求項39に記載のラミネート。
【請求項41】
フィルム材料の第二層に請求項1に記載の接着剤組成物で接着されている不織材料の第一層を含むラミネート。
【請求項42】
フィルム材料がポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルムまたはポリオレフィン被覆布様不織材料を含む、請求項41に記載のラミネート。

【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−515893(P2006−515893A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548477(P2004−548477)
【出願日】平成15年10月27日(2003.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2003/033860
【国際公開番号】WO2004/039907
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(503209216)ボスティク・フィンドレー・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】