説明

アキシャルピストン機械

【課題】回転軸線を中心にして回転可能に支承された円筒形ドラムを備えており、該円筒形ドラムが円筒形孔を有していて、該円筒形孔内にそれぞれ1つのピストンが長手方向摺動可能に支承されており、前記ピストンがそれぞれ1つの滑りシューによって回転斜板で支えられていて、前記滑りシューが、円筒形ドラムと同期回転する逆転防止装置、殊に逆転防止プレートと作用接続している形式の、回転斜板構造のアキシャルピストン機械の効率を改善する。
【解決手段】滑りシュー7がモーメント発生装置25と作用接続していて、該モーメント発生装置25によって、傾倒モーメントに抗する対抗モーメントが滑りシュー7において生ぜしめられるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転斜板構造のアキシャルピストン機械であって、回転軸線を中心にして回転可能に支承された円筒形ドラムを備えており、該円筒形ドラムが円筒形孔を有していて、該円筒形孔内にそれぞれ1つのピストンが長手方向摺動可能に支承されており、前記ピストンがそれぞれ1つの滑りシューによって回転斜板で支えられていて、前記滑りシューが、円筒形ドラムと同期回転するリテーニング装置若しくは逆転防止装置、特に逆転防止プレートと作用接続している形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
このような形式の、回転斜板機械として構成されたアキシャルピストン機械においては、ピストンが、それぞれ1つの滑りシューを用いて回転斜板に支えられている。この場合、ピストンと滑りシューとの間に滑りシュー継手が配置されている。回転斜板機械の運転中に、滑りシューに作用する遠心力に基づいて滑りシューに傾倒モーメントが発生し、この傾倒モーメントは、滑りシューを回転斜板に対して傾けるように作用する。逆転防止装置によって、傾倒モーメントに基づく滑りシューの傾倒若しくは傾きを阻止するために、滑りシューは回転斜板に向かって押し付けられる。
【0003】
逆転防止装置(Rueckhalteeinrichtung)は、摩擦結合(摩擦による束縛)式の逆転防止装置として構成されており、この場合、ばね装置が設けられていて、このばね装置は、逆転防止装置及びひいては滑りシューを回転斜板に向かって負荷するようになっている。この場合、運転中に発生する遠心力に基づく滑りシューの傾きを確実に避けるために、ばね装置の遠心力は最大回転数に設定されている。しかしながらこれによって、高い遠心力が発生し、この遠心力は、低い回転数での運転中に、滑りシューの高い押し付け力を回転斜板に作用させ、また円筒形ドラムの高い押し付け力を制御面に作用させる。これによって、回転斜板機械の効率を低くする高い摩擦力が発生する。しかも、高い押し付け力は、回転斜板機械の摩耗を早めることになる。逆転防止装置はさらに、摩擦結合式の逆転防止装置として構成されており、この逆転防止装置はハウジングに軸方向で固定されている。この場合、ハウジングと逆転防止装置との摩擦結合式の結合によって生じる遊びに基づいて、滑りシューが、運転中に発生する遠心力に基づいて回転斜板に対して傾き、それによって漏れ流が発生し、この漏れ流は、回転斜板機械の効率を低下させることになる。
【0004】
冒頭に述べた形式の回転斜板機械として構成されたアキシャルピストン機械は、ドイツ連邦共和国特許公開第102005047981号明細書により公知である。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第102005047981号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式のハイドロスタティック(流体静力学)式のアキシャルピストン機械を改良して、効率が改善されたものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決した本発明によれば、滑りシューがモーメント発生装置と作用接続していて、該モーメント発生装置によって、傾倒モーメントに抗する対抗モーメントが滑りシューにおいて生ぜしめられるようになっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の基本的な考え方は、モーメント発生装置によって滑りシューに、遠心力により生ぜしめられた傾倒モーメントに対抗する対抗モーメントを生ぜしめ、この対抗モーメントが傾倒モーメントを部分的に又は完全に補整するという点にある。これによって、ばね装置によって負荷された摩擦結合(摩擦による束縛)式の逆転防止装置において、遠心力及びひいては押し付け力が減少され、それによって、より小さい摩擦力及びひいては回転斜板機械の改善された効率が得られる。しかも、押し付け力が減少されたことによって、回転斜板機械の摩耗が減少される。摩擦結合式の逆転防止装置においては、モーメント発生装置によって滑りシューの傾きが避けられ、それによって本発明による回転斜板機械の漏れは僅かであり、高い効率が得られる。
【0008】
本発明の有利な実施態様によれば、モーメント発生装置が傾倒レバーによって形成されており、各滑りシューに1つの傾倒レバーが対応配置されており、該傾倒レバーによって、滑りシューに作用する遠心力に対向する方向に向けられた、滑りシューに作用する接触力が生ぜしめられるようになっている。
【0009】
傾倒レバーによって、簡単な形式で、滑りシューに作用する、遠心力に抗する接触力が生ぜしめられ、ひいては、遠心力に基づく傾倒モーメントに抗する対抗モーメントが滑りシューに生ぜしめられる。
【0010】
この場合、傾倒レバーが前記逆転防止装置に、逆転防止装置の回転軸線に対して平行に配置された旋回軸線を中心にして旋回可能に支承されていて、滑りシューの外周面と作用接続され得るようになっている。これによって、安価な構造費用で、遠心力に対抗する、滑りシューに作用する接触力が得られる。
【0011】
本発明の有利な実施態様によれば、傾倒レバーが、滑りシューの滑りシューネック部の領域において滑りシューの外周面と作用接続され得るようになっている。
【0012】
また、倒レバーが、滑りシューの滑りシュープレートの領域内で、滑りシューの外周面と作用接続され得るようになっている。
【0013】
傾倒レバーが2腕状のレバーとして構成されており、前記傾倒レバーの第1のてこ腕を備えた領域に、前記滑りシューと接続され得る接触面が形成されていて、前記傾倒レバーの第2のてこ腕に傾倒レバーの質量重心点が作用するようになっている。傾倒レバーは、遠心力によって操作され、それによって接触力は、傾倒レバーに作用する遠心力に比例し、回転斜板機械の回転数に比例する。このような形式の遠心力によって操作される傾倒レバーは、安価な構造費用で、滑りシューにおいて、傾倒モーメントに抗する対抗モーメントが生ぜしめられる。
【0014】
第2のてこ腕が第1のてこ腕よりも大きければ、特に有利である。これによって所定の傾倒モーメントにおいて、滑りシューに作用する大きい接触力が生ぜしめられ、それによって小さい構造スペースを有する傾倒レバーによって高い対抗モーメントを生ぜしめることができる。
【0015】
本発明の有利な実施態様によれば、第2の傾倒レバーの質量、第1のてこ腕の質量、並びに第2のてこ腕の質量が、第2の傾倒レバーによって生ぜしめられた対抗モーメントが、滑りシューに作用する傾倒モーメントを殆ど又は完全に補整するように設計されている。
【0016】
傾倒レバーが滑りシューを部分的に取り囲んでいて、傾倒レバーの第2のてこ腕を備えた領域が、隣接する第2の滑りシューの中間室を部分的に満たしていれば、傾倒レバーのための付加的な構造スペースを必要とすることなしに、適合した傾倒レバー質量を提供することができる。
【0017】
本発明の有利な実施例によれば、傾倒レバーは、逆転防止装置と円筒形ドラムとの間に配置することができる。
【0018】
また本発明の別の実施例によれば、逆転防止装置に傾倒レバーを支承するための、軸受構成部分、特に円筒形ピンを設けることができる。
【0019】
安価な構造費用に関連して、逆転防止装置に傾倒レバーを支承するために、軸受構成部分特に円筒形ピンが設けられていれば、有利である。このような円筒形ピンによって、傾倒レバーは簡単な形式で逆転防止装置に旋回可能に支承される。
【0020】
傾倒レバーより形成されたモーメント発生装置は、回転斜板に向かって負荷されている、摩擦結合式の逆転防止装置を備えた回転斜板機械において使用することができる。
【0021】
また、傾倒レバーより形成されたモーメント発生装置は、逆転防止装置がアキシャルピストン機械のハウジングに支えられている、摩擦結合式の逆転防止装置において使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のその他の利点及び詳細を、概略的に図示した実施例を用いて以下に説明する。
【0023】
図1には、回転斜板機械1として構成された、従来技術によるハイドロスタティック(流体静力学)式のアキシャルピストン機械の縦断面図が示されている。
【0024】
回転斜板機械1は、回転軸線2を中心にして回転可能に支承された円筒形ドラム3を有しており、この円筒形ドラム3は、同心的に配置された複数の円筒形孔4を有しており、これらの円筒形孔4内にそれぞれ1つのピストン5が長手方向摺動可能に支承されている。この場合、円筒形ドラム3は、回転軸線2に対して同心的に配置された駆動軸6に相対回動不能に(つまり一緒に回転するように)結合されている。
【0025】
この場合、ピストン5は、それぞれ滑りシュー7として構成された滑動エレメントによって回転斜板8上に支えられている。滑りシュー7は、球状の滑りシュー継手9によってピストン5に枢着(継手結合)されている。この場合、回転斜板8は、図1に示されているように、回転斜板機械1のハウジング10に一体成形されており、この場合、回転斜板機械1は、不変の押し退け容積を有している。また、回転斜板8を調節可能に構成し、それによって回転斜板機械1が可変な押し退け容積を有するようにすることもできる。
【0026】
円筒形ドラム3は、ハウジング固定された制御面11に軸方向で支えられていて、この制御面11は円板状の制御底部12を有している。制御底部12は、図示していない腎臓形の制御スリットを備えており、この制御スリットは、回転斜板機械1の入口接続部及び出口接続部を形成している。
【0027】
滑りシュー7は、円板状の逆転防止プレート15として構成された逆転防止装置16と作用接続している。図1に示した回転斜板機械1では、逆転防止装置16が摩擦結合式の逆転防止装置として構成されている。この場合、逆転防止装置16は球状の軸受構成部分17に支承されており、この軸受構成部分17は、単数又は複数のばねによって形成されたばね装置18によって円筒形ドラム3に支えられている。このばね装置18によって、滑りシュー7は軸受構成部分17及び逆転防止プレート15を介して回転斜板8に向かって負荷される。
【0028】
図2には、図1に示した滑りシュー7の拡大図が示されており、この場合、回転斜板機械1の作動中に発生する力が示されている。
【0029】
回転軸線2を中心として円筒形ドラム3が回転すると、滑りシュー7の重心点Sに作用する遠心力Fが生じる。この遠心力Fは、滑りシュー継手9の中心点から滑りシュー7の重心点Sまでの間隔aを保って、滑りシュー7を回転斜板8に対して傾ける傾倒モーメントを生ぜしめる。回転斜板8に対する滑りシュー7の傾倒は、回転斜板8と滑りシュー7との間、並びに滑りシュー7と逆転防止プレート15との間に作用する力F及びFによって阻止される。この力FとFとは、円形の滑りシュープレート7a(この滑りシュー7aによって滑りシュー7が回転斜板8で支えられている)の直径dだけ間隔を保っていて、前記傾倒モーメントに対抗するモーメントを生ぜしめる。この場合、押し付け作用を有する力Fは、逆転防止プレート15を負荷するばね装置18によってもたらす必要がある。
【0030】
滑りシュー7が回転斜板8に対して傾倒するのを確実に避けるために、ばね装置18のばね力は、最大回転数時に発生する高い遠心力Fに設定する必要がある。低い回転数においては、このような不必要に高い押し付け作用を有する力Fは、高い摩擦損失を生ぜしめ、それによって、回転斜板機械1の効率の低下、並びに回転斜板機械1の高い摩耗を生ぜしめる。
【0031】
図3には、図2に示した形状結合(形状による束縛)式の逆転防止装置15を備えた従来技術の回転斜板機械が示されている。
【0032】
この場合、回転斜板状の逆転防止装置15は、例えばハウジング10の溝状の切欠20内に配置されたゼーゲルリング(Seeger-Ring;保持器)によって形成された固定装置19によって、ハウジング10に軸方向で固定されている。
【0033】
遠心力Fに基づく滑りシュー7の傾倒モーメントに抗して、力F及びFより形成されたモーメントが作用する。製造公差及び組立のために存在する、固定装置19の遊びに基づいて、滑りシュー7は回転斜板8に対して傾き、それによって、滑りシュー7の滑りシュープレート7aと回転斜板8との間に遊び21が生じ、この遊びを通って、ハウジング室内に、回転斜板機械の効率を低下させる漏れ流が発生する。
【0034】
図4に示した本発明による回転斜板機械においては、滑りシュー7がモーメント発生装置25と作用接続し、このモーメント発生装置25は、遠心力Ffにより滑りシュー7に生じる傾倒モーメントに抗する対抗モーメントが発生する。この場合、モーメント発生装置25は、滑りシュー7aの領域内で、回転斜板8と逆転防止プレート15によって形成された逆転防止装置16との間に配置されている。図4に示した逆転防止装置16は、摩擦結合式の逆転防止装置として構成されており、この逆転防止装置は、図1によれば、ばね装置18及び球状の軸受構成部分17とによって回転斜板8に向かって負荷されている。
【0035】
図4に示した逆転防止装置15を、図3におけるようにハウジング3に軸方向で固定された、形状結合式の逆転防止装置として構成することもできる。
【0036】
モーメント発生装置25は、図5の、逆転防止プレート15及び滑りシュー7の平面図に示したように、傾倒レバー26より成っており、この場合、滑りシュー7に傾倒レバー26が対応配置されている。
【0037】
図6には、図5の一部の拡大図が示されている。滑りシュー7に対応配置された傾倒レバー26は、例えば円筒形ピンとして構成された軸受構成部分27によって、逆転防止プレート15の回転軸線Dに対して平行に配置された旋回軸28を中心にして旋回可能に、逆転防止プレート15の外側領域に支承されている。
【0038】
この場合、傾倒レバー26は、2腕状のレバーとして構成されており、この場合、傾倒レバーの第1の領域に接触面30が形成されており、この接触面30は、滑りプレート7aの領域内で滑りシュー7の外周面と作用接続している。この場合、接触面30は、旋回軸線28から第1のてこ腕cの間隔を保っている。この第1のてこ腕cの領域に対して、旋回軸28を基準にして反対側に配置された傾倒レバー26の第2の領域は、滑りシュー7に部分的に巻き掛けられ、隣接する滑りシュー7に対する中間室を少なくとも部分的に満たしている。傾倒レバー26のこの構成によって、傾倒レバー26の質量重心点Sは、前記第2の領域内に配置されていて、旋回中心点28から第2のてこ腕dの間隔を保っている。この場合、第2のてこ腕dは、第1のてこ腕cよりも大きく構成されている。
【0039】
円筒形ドラム3が回転軸線2を中心にして回転すると、逆転防止装置16は回転軸線Dを中心にして回転する。この場合、傾倒レバー26の質量重心点Sに遠心力Fが作用する。傾倒レバー26は、第2のてこ腕dで以て旋回軸線28を中心としたトルクを作用させる。この場合、傾倒レバー26は、遠心力Fに抗する接触力Fによって接触面30において支えられており、この接触力Fは滑りシュー7に作用する。この場合、傾倒レバー26のてこ腕c,dを選択することによって、傾倒レバー26の与えられた質量において接触力Fは、傾倒レバー26に作用する遠心力Fよりも大きい。これによって大きい遠心力Fが得られる。
【0040】
図7には、滑りシュー7に作用する力を有する、図2に示した本発明による回転斜板機械1の滑りシュー7を示す。
【0041】
図7に示されているように、傾倒レバー26によって生ぜしめられ、滑りシュープレート7aの領域において滑りシュー7の外周面に作用する接触力Fは、内方に、ひいては滑りシュー7に作用する遠心力Fに抗する方向に向けられている。この場合、滑りシュープレート7aの領域内で滑りシュー7の外周面に作用する接触力Fは、滑りシュー継手9の中心点から間隔dを保っており、これによって、接触力Fkから間隔bを保って対抗モーメントが生ぜしめられる。この対抗モーメントは、間隔aと遠心力Fとによって形成された、滑りシュー7の傾倒モーメントに対抗して作用する。
【0042】
この場合、傾倒レバー26の質量、並びに傾倒レバー26のてこ腕c,dは、有利な形式で、遠心力Ffと間隔bとによって形成された傾倒モーメントは、遠心力Fと間隔bとによって形成された対抗モーメントによって、完全に又はほぼ完全に補整されるので、滑りシュー継手9の中心点を中心としてモーメントの合計は、ゼロであるか又はほぼゼ逆転防止装置(16)とロであり、それによって僅かな力F及びFが得られるか、又はこれらの力F,Fが消滅する。
【0043】
これによって、本発明による回転斜板機械1において、モーメント発生装置25によって、滑りシュー7が回転斜板8に対して傾くことは効果的に避けられる。傾倒レバー26によって生ぜしめられた接触力F及びひいては、滑りシュー7に作用する、傾倒モーメントに抗する対抗モーメントによって、摩擦結合式の逆転防止装置16を備えた本発明による回転斜板機械1において、逆転防止装置16に作用するばね装置18の、滑りシュー7を回転斜板8に押し付ける遠心力が減少され、それによって、滑りシュー7と回転斜板8との間に生じる摩擦力は小さく、これによって本発明による回転斜板機械1の高い効率が得られる。また、傾倒レバー26によって形成されたモーメント発生装置25を備えた本発明による回転斜板機械1においては僅かな摩耗しか発生しない。
【0044】
傾倒レバー26によって形成されたモーメント発生装置25を備えた、摩擦結合式の逆転防止装置26を有する回転斜板機械1において、傾倒レバー26によって生ぜしめられた鯛奥モーメントによって、ハウジング10内での逆転防止装置16の固定装置内の遊びに基づく、滑りシュー7の傾きは効果的に避けられ、これによって、オイル漏れの増大は避けられ、本発明による回転斜板機械は高い効率を有している。
【0045】
さらにまた、モーメント発生装置25を備えた本発明による回転斜板機械1において、ピストン5と円筒形孔4との間の遠心力に基づいて接触力が減少され、それによって円筒形孔4内でのピストン5の固着が効果的に避けられる。
【0046】
滑りシュープレート7aの領域内で逆転防止プレート15と回転斜板8との間に傾倒レバー26を配置する代わりに、傾倒レバー26を、逆転防止プレート15の、円筒形ドラム3に面した側に配置することも可能である。これによって、傾倒レバー26は接触面30で以て、滑りシュー継手9と滑りシュープレート7aとの間に配置された、滑りシュー7の滑りシューネック7bと作用接続する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来技術による回転斜板構造のアキシャルピストン機械の縦断面図である。
【図2】従来技術による摩擦結合(摩擦による束縛)式の逆転防止装置の部分的な断面図である。
【図3】従来技術による形状結合(形状による束縛)式の逆転防止装置の部分的な断面図である。
【図4】回転斜板機械として構成された、本発明によるアキシャルピストン機械の縦断面図である。
【図5】図4のA−A線に沿って断面して見た、逆転防止装置の平面図である。
【図6】図5の一部の拡大図である。
【図7】図4の一部の拡大図である。
【符号の説明】
【0048】
1 回転斜板機械、 2 回転軸線、 3 円筒形ドラム、 4 円筒形孔、 5 ピストン、 6 駆動軸6、 7 滑りシュー、 7a 滑りシュープレート、 7b 滑りシューネック部、 8 回転斜板、 9 滑りシュー継手、 10 ハウジング、 11 制御面、 12 制御底部、 15 保持プレート、 16 逆転防止装置、 17 軸受構成部分、 18 ばね装置、 19 固定装置、 20 切欠、 21 ギャップ、 25 モーメント発生装置、 26 傾倒レバー、 27 軸受構成部分、 28 旋回軸線、 30 接触面、 S 重心点、 a 間隔、 c てこ腕、 d 第2のてこ腕、 D 回転軸線、 S 質量重心点、 F 遠心力、 F 接触力、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転斜板構造のアキシャルピストン機械であって、回転軸線を中心にして回転可能に支承された円筒形ドラムを備えており、該円筒形ドラムが円筒形孔を有していて、該円筒形孔内にそれぞれ1つのピストンが長手方向摺動可能に支承されており、前記ピストンがそれぞれ1つの滑りシューによって回転斜板で支えられていて、前記滑りシューが、円筒形ドラムと同期回転する逆転防止装置、殊に逆転防止プレートと作用接続している形式のものにおいて、
前記滑りシュー(7)がモーメント発生装置(25)と作用接続していて、該モーメント発生装置(25)によって、傾倒モーメントに抗する対抗モーメントが滑りシュー(7)において生ぜしめられるようになっていることを特徴とする、アキシャルピストン機械。
【請求項2】
前記モーメント発生装置(25)が傾倒レバー(26)によって形成されており、各滑りシュー(7)に1つの傾倒レバー(26)が対応配置されており、該傾倒レバー(26)によって、滑りシュー(7)に作用する遠心力(F)に対向する方向に向けられた、滑りシュー(7)に作用する接触力(Fk)が生ぜしめられるようになっている、請求項1記載のアキシャルピストン機械。
【請求項3】
前記傾倒レバー(26)が前記逆転防止装置(16)に、該逆転防止装置(16)の回転軸線(D)に対して平行に配置された旋回軸線(28)を中心にして旋回可能に支承されていて、滑りシュー(7)の外周面と作用接続され得るようになっている、請求項2記載のアキシャルピストン機械。
【請求項4】
傾倒レバー(26)が、滑りシュー(7)の滑りシューネック部(7b)の領域において滑りシュー(7)の外周面と作用接続され得るようになっている、請求項3記載のアキシャルピストン機械。
【請求項5】
前記傾倒レバー(26)が、滑りシュー(7)の滑りシュープレート(7a)の領域内で、滑りシュー(7)の外周面と作用接続され得るようになっている、請求項3記載のアキシャルピストン機械。
【請求項6】
前記傾倒レバー(26)が2腕状のレバーとして構成されており、前記傾倒レバー(26)の第1のてこ腕(c)を備えた領域に、前記滑りシュー(7)と接続され得る接触面(30)が形成されていて、前記傾倒レバー(26)の第2のてこ腕(d)に傾倒レバー(26)の質量重心点(S)が作用するようになっている、請求項2から5までのいずれか1項記載のアキシャルピストン機械。
【請求項7】
第2のてこ腕(d)が第1のてこ腕(c)よりも大きい、請求項6記載のアキシャルピストン機械。
【請求項8】
第2の傾倒レバー(26)の質量、第1のてこ腕(c)の質量、並びに第2のてこ腕(d)の質量が、第2の傾倒レバー(26)によって生ぜしめられた対抗モーメントが、滑りシュー(7)に作用する傾倒モーメントを殆ど又は完全に補整する、請求項6又は7記載のアキシャルピストン機械。
【請求項9】
前記傾倒レバー(26)が滑りシュー(7)を部分的に取り囲んでいて、傾倒レバー(26)の第2のてこ腕を備えた領域が、隣接する第2の滑りシュー(7)の中間室を部分的に満たしている、請求項2から8までのいずれか1項記載のアキシャルピストン機械。
【請求項10】
傾倒レバー(26)が回転斜板(8)との間に配置されている、請求項3から9までのいずれか1項記載のアキシャルピストン機械。
【請求項11】
傾倒レバー(26)が逆転防止装置(16)と円筒形ドラム(3)との間に配置されている、請求項3から9までのいずれか1項記載のアキシャルピストン機械。
【請求項12】
逆転防止装置(16)に傾倒レバー(26)を支承するための軸受構成部分(27)、殊に円筒形ピンが設けられている、請求項3から11までのいずれか1項記載のアキシャルピストン機械。
【請求項13】
逆転防止装置(16)がばね装置(18)によって回転斜板(8)に向かって負荷されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のアキシャルピストン機械。
【請求項14】
前記逆転防止装置(16)が、アキシャルピストン機械のハウジング(10)において支えられている、請求項1から12までのいずれか1項記載のアキシャルピストン機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−97512(P2009−97512A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266151(P2008−266151)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(507094326)リンデ マテリアル ハンドリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】Linde Material Handling GmbH
【住所又は居所原語表記】Carl−von−Linde−Platz, D−63743 Aschaffenburg, Germany
【Fターム(参考)】