説明

アキューム装置

【課題】使用した帯状フィルムを補充するために、上流側装置側のフィルム送出速度を急激に上昇させた場合、可動ローラを強制的に引き下げなくても帯状フィルムに弛みが発生しにくいアキューム装置を提供する。
【解決手段】帯状フィルムを送出するフィルム送出装置とラベリング装置との間に設置されており、帯状フィルムが交互に掛け渡される、上方に固定設置された複数の固定ローラ11及びこれらの下方側で昇降する複数の可動ローラ12を備えている。帯状フィルムの導入側における2個の可動ローラ12を、導入側可動ローラ群として支持する導入側可動プレート13a部分と、それ以外の可動ローラ12を支持する主可動プレート13b部分とを、独立して昇降させると共に、導入側可動プレート13a部分における可動ローラ12の1個あたりの重量が、主可動プレート13b部分における可動ローラ12の1個あたりの重量より小さくなるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯状フィルムを送出する上流側装置と、上流側装置から送出された帯状フィルムを使用する下流側装置との間に設置される、上流側フィルム送出速度と下流側フィルム送出速度との間に差が生じた場合に、その速度差を吸収するアキューム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ボトル等に装着されるシュリンクラベルやストレッチラベルのような合成樹脂フィルムによって形成された筒状のラベルが連続的に繋がった状態でシート状に折り畳まれた長尺帯状のラベル形成基材を紙管にロール状に巻回した基材ロールから、ラベル形成基材を繰り出して送出する基材送出装置と、この基材送出装置から送出されたラベル形成基材を順次切断することで筒状のラベルを形成しながら、ボトル等に装着するラベリング装置との間には、通常、アキューム装置が設置されており、基材送出装置における基材ロールの交換作業に伴い、ラベル形成基材の送出が一時的に停止された場合でも、ラベル形成基材の送出が再開されるまでの間、ラベリング装置の運転を停止させなくてもよいように、アキューム装置に貯えられているラベル形成基材がラベリング装置に送出されるようになっている。
【0003】
こういったアキューム装置は、図7に示すように、基材送出装置等の上流側装置にセットされた基材ロール等のフィルムロールから繰り出されたラベル形成基材等の帯状フィルムFが掛け渡される複数の固定ローラ51及び複数の固定ローラ51間を昇降する複数の可動ローラ52を備えており、全ての可動ローラ52が共通のベース部材53に支持されている。従って、ラベリング装置等の下流側装置の運転中に、上流側装置による帯状フィルムFの送出動作が一時的に停止された場合は、アキューム装置50に蓄えられている帯状フィルムFが下流側装置側に引き出され、これに伴って、アキューム装置50の全ての可動ローラ52が同時に上昇していくことになる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−10211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上流側装置におけるフィルムロールの交換作業に伴い、帯状フィルムFの送出が一時的に停止された後、帯状フィルムFの送出を再開したときは、アキューム装置50に帯状フィルムFを補充するために、上流側装置の帯状フィルムFの送出速度を急激に上昇させることになるが、全ての可動ローラ52が共通のベース部材53に支持されている、上述したようなアキューム装置50では、可動ローラ52の応答性が悪く、上昇した可動ローラ52が即座に降下することができないので、アキューム装置50における帯状フィルムFの導入側において、帯状フィルムFに弛みが発生するといった問題がある。
【0006】
こういった帯状フィルムFの弛みの発生を防止するためには、可動ローラ52を含むベース部材53の自重による自然落下に任せるのではなく、可動ローラ52が支持されているベース部材53を、モーター等を用いて強制的に引き下げることが考えられるが、このように、ベース部材53を強制的に引き下げると、逆に、アキューム装置50における帯状フィルムFの導出側では、弛みが発生していない帯状フィルムFに過剰なテンションが加わることになり、帯状フィルムFによじれが生じるという新たな問題が発生する。
【0007】
そこで、この発明の課題は、使用した帯状フィルムを補充するために、上流側装置側のフィルム送出速度を急激に上昇させた場合、可動ローラを強制的に引き下げなくても帯状フィルムに弛みが発生しにくいアキューム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、帯状フィルムを送出する上流側装置と、前記上流側装置から送出された帯状フィルムを使用する下流側装置との間に設置されたアキューム装置であって、帯状フィルムが交互に掛け渡される、固定設置された複数の固定ローラ及び昇降する複数の可動ローラを備え、帯状フィルムの導入側における一または複数の前記可動ローラを、導入側可動ローラまたは導入側可動ローラ群として、それ以外の前記可動ローラに対して独立して昇降させるようにしたことを特徴とするアキューム装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、請求項1にかかる発明のアキューム装置では、帯状フィルムの導入側における一または複数の可動ローラを、導入側可動ローラまたは導入側可動ローラ群として、それ以外の可動ローラに対して独立して昇降させるようにしてあるので、上流側装置による帯状フィルムの送出が停止されると、帯状フィルムの導入側に位置しており、他の可動ローラから分離されているため、導入側可動ローラまたは導入側可動ローラ群を含む可動部分が先に上昇し、その後、上流側装置による帯状フィルムの送出が再開され、アキューム装置に帯状フィルムを貯えるために、上流側装置の帯状フィルムの送出速度を急激に上昇させると、帯状フィルムの導入側に位置している導入側可動ローラまたは導入側可動ローラ群を含む可動部分が即座に降下し始めるので、帯状フィルムの導入側において、帯状フィルムに弛みが発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、このアキューム装置1は、ボトルに装着されるシュリンクラベルやストレッチラベルのような合成樹脂フィルムによって形成された筒状のラベルが連続的に繋がった状態でシート状に折り畳まれた長尺帯状のラベル形成基材(以下、帯状フィルムという。)Fを紙管にロール状に巻回した原反ロールから、帯状フィルムFを繰り出して送出するフィルム送出装置2と、このフィルム送出装置2から送出された帯状フィルムFを順次切断することで筒状のラベルを形成しながら、ボトルBに装着するラベリング装置3との間に設置されており、フィルム送出装置2側のフィルム送出速度とラベリング装置3側のフィルム送出速度との間に差が生じた場合に、その速度差を吸収するようになっている。
【0011】
このアキューム装置1は、図2(a)、(b)に示すように、フレーム10の上部に固定設置された19個の固定ローラ11と、隣り合う固定ローラ11間で昇降する18個の可動ローラ12とを備えており、フィルム送出装置2から送出された帯状フィルムFが、19個の固定ローラ11及び18個の可動ローラ12に交互に掛け渡された状態で、ラベリング装置3側に送出されるようになっている。
【0012】
前記可動ローラ12は、フレーム10に固定設置された複数のスライドポール15a、15bに昇降可能に支持された可動プレート13に取り付けられており、この可動プレート13を、昇降機構17によって、昇降させるようになっている。
【0013】
前記可動プレート13は、帯状フィルムFの導入側における2個の可動ローラ12を、導入側可動ローラ群として支持する導入側可動プレート13aと、それ以外の16個の可動ローラ12を支持する主可動プレート13bとに分割されており、導入側可動プレート13aと主可動プレート13bとを、独立して昇降させることができるようになっている。なお、導入側可動プレート13aは、2本のスライドポール15a、15aに、主可動プレート13bは、2本のスライドポール15b、15bに、それぞれ昇降可能に支持されており、導入側可動プレート13aは、上部に設けられたストッパ16によって上昇動作が制限されるようになっている。
【0014】
また、導入側可動プレート13a及び2個の可動ローラ12を含む導入側可動部分における可動ローラ12の1個あたりの重量(導入側可動部分の全重量を可動ローラ12の数(2)で除した重量)が、主可動プレート13b及び16個の可動ローラ12を含む主可動部分における可動ローラ12の1個あたりの重量(主可動部分の全重量を可動ローラ12の数(16)で除した重量)より小さくなるように設定されている。
【0015】
また、導入側可動プレート13aと主可動プレート13bとは、連結部材14を介して、相互に連結することができるようになっており、両者を連結することで、一体的に昇降させることも可能である。
【0016】
前記昇降機構17は、フレーム10の下部及び上部に設置された駆動プーリ18及び従動プーリ19と、この駆動プーリ18及び従動プーリ19に掛け渡され、主可動プレート13bが連結された無端状のベルト20と、駆動プーリ18を回転させる駆動モータ21とを備えており、駆動モータ21を正回転させると、主可動プレート13bが上昇し、駆動モータ21を逆回転させると、主可動プレート13bが降下するようになっている。
【0017】
従って、このアキューム装置1に帯状フィルムFをセットする際は、まず、導入側可動プレート13aと主可動プレート13bとを、連結部材14を介して、相互に連結すると共に、ストッパ16を退避させ、駆動モータ21を正回転させることによって、18個の可動ローラ12を19個の固定ローラ11よりも上方側に上昇させ、18個の可動ローラ12と19個の固定ローラ11の間に帯状フィルムFを通した後、駆動モータ21を逆回転させることによって、18個の可動ローラ12を最下位置まで降下させると、フィルム送出装置2から送出された帯状フィルムFが、19個の固定ローラ11及び18個の可動ローラ12に交互に掛け渡された状態となるので、その時点で、導入側可動プレート13aと主可動プレート13bとの連結を解除すると共にストッパ16を元の状態に復帰させると、アキューム装置1の初期セッティングが完了する。
【0018】
また、このアキューム装置1では、図2(a)、(b)に示すように、外周面に螺旋状のカム溝を有する円筒カム22が、フレーム10の下部に定位置回転可能に支持されていると共に、2個の可動ローラ12が取り付けられている導入側可動プレート13aには、円筒カム22のカム溝に嵌り込むピン23が取り付けられており、導入側可動プレート13aに支持されている導入側可動ローラ群が昇降することによってピン23が昇降すると、これに伴って、円筒カム22が回転するので、フィルム送出装置2及びラベリング装置3の双方が共に運転している定常運転時は、円筒カム22の回転角度をポテンションメータ24によって検出することで、導入側可動ローラ群の高さ位置を検出しながら、導入側可動ローラ群の高さ位置に応じて、フィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出速度を変化させることにより、ラベリング装置3側が要求している送出速度で帯状フィルムFがラベリング装置3側に送出されるようになっている。
【0019】
なお、帯状フィルムFの接続時等、ラベリング装置3の運転中にフィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出動作が一時的に停止された場合は、このアキューム装置1に蓄えられている帯状フィルムFがラベリング装置3側に引き出され、アキューム装置1の可動ローラ12が徐々に上昇していくことになる。逆に、フィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出中にラベリング装置3の運転が停止されたような場合は、導入側可動ローラ群が最下位置まで降下するので、その時点で、フィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出が停止されるようになっている。
【0020】
以下、このアキューム装置1の動作について、図3及び図4を参照しながら説明する。まず、フィルム送出装置2及びラベリング装置3が共に定常状態で運転しているときは、図3(a)に示すように、多数の可動ローラ12を支持している主可動プレート13bが最下位置まで降下していると共に、2個の可動ローラ12からなる導入側可動ローラ群を支持している導入側可動プレート13aが最下位置付近まで降下しており、導入側可動プレート13aに取り付けられているピン23が円筒カム22のカム溝に嵌り込んだ状態となっている。従って、この状態では、十分な帯状フィルムFがアキューム装置1に貯えられており、上述したように、導入側可動ローラ群の高さ位置を検出しながら、導入側可動ローラ群の高さ位置に応じて、フィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出速度を変化させることで、ラベリング装置3側が要求している送出速度で帯状フィルムFをラベリング装置3側に送出している。
【0021】
この状態で、フィルム送出装置2において、原反ロールを交換するために、帯状フィルムFの送出を一時的に停止させると、可動ローラ12が上昇することによって、アキューム装置1に貯えられている帯状フィルムFがラベリング装置3側に送出され始めるが、このとき、同図(b)に示すように、可動ローラ12の1個あたりの重量が小さい導入側可動プレート13a部分がまず最初に上昇し、ストッパ16によって上昇動作が制限されると、続いて、同図(c)に示すように、可動ローラ12の1個あたりの重量が大きい主可動プレート13b部分が上昇していくことになる。
【0022】
その後、原反ロールの交換が完了し、アキューム装置1に帯状フィルムFを貯えるために、フィルム送出装置2が高速で帯状フィルムFを送出し始めると、可動ローラ12の数が少なく、応答性に優れた導入側可動プレート13a部分がまず最初に降下していき、同図(d)に示すように、導入側可動プレート13aに取り付けられているピン23が円筒カム22のカム溝に嵌り込むと、フィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出速度が低下するので、図4(e)に示すように、可動ローラ12の1個あたりの重量が小さい導入側可動プレート13a部分が逆に上昇し始めると共に、可動ローラ12の1個あたりの重量が大きい主可動プレート13b部分が降下し始める。ここで、導入側可動プレート13a部分が上昇することに伴い、ピン23が円筒カム22のカム溝から外れると、フィルム送出装置2は、再び、高速で帯状フィルムFを送出し始めるが、このとき、導入側可動プレート13a部分は、ある程度降下しているので、可動ローラ12の1個あたりの重量が大きい主可動プレート13b部分が降下することになる。
【0023】
そして、同図(f)に示すように、主可動プレート13b部分が最下位置まで降下した後、同図(g)に示すように、導入側可動プレート13aが最下位置付近まで降下し、十分な帯状フィルムFがアキューム装置1に貯えられた状態になると、フィルム送出装置2が定常運転に移行することになる。
【0024】
以上のように、このアキューム装置1では、帯状フィルムFの導入側における2個の可動ローラ12を、導入側可動ローラ群として支持する導入側可動プレート13a部分と、それ以外の16個の可動ローラ12を支持する主可動プレート13b部分とを、独立して昇降させると共に、導入側可動プレート13a部分における可動ローラ12の1個あたりの重量が、主可動プレート13b部分における可動ローラ12の1個あたりの重量より小さくなるように設定されているので、フィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出が停止されると、可動ローラ12の1個当りの重量が小さい導入側可動プレート13a部分が先に上昇し、その後、フィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出が再開され、アキューム装置1に帯状フィルムFを貯えるために、フィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出速度を急激に上昇させると、帯状フィルムFの導入側に位置しており、しかも、可動ローラ12の数が少なく、応答性に優れた導入側可動プレート13a部分が即座に降下し始めるので、帯状フィルムFの導入側において、帯状フィルムFに弛みが発生することがない。
【0025】
なお、上述した実施形態では、導入側可動プレート13a部分における可動ローラ12の1個あたりの重量が、主可動プレート13b部分における可動ローラ12の1個あたりの重量より小さくなるように設定されているが、両者の重量関係は、特に限定されない。
【0026】
また、導入側可動プレート13a部分の応答性を良くするには、導入側可動プレート13aに取り付ける可動ローラ12の数を少なくしたり、可動ローラ12の径を大きくしたり、可動ローラ12の1個あたりの重量を大きくすることが考えられる。
【0027】
また、上述した実施形態では、帯状フィルムFの導入側における2個の可動ローラ12を、導入側可動ローラ群として支持する導入側可動プレート13a部分と、それ以外の可動ローラ12を支持する主可動プレート13b部分とを、独立して昇降させると共に、導入側可動プレート13a部分における可動ローラ12の1個あたりの重量が、主可動プレート13b部分における可動ローラ12の1個あたりの重量より小さくなるように設定しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図5(a)に示すように、可動プレート13を、導入側可動プレート13a、主可動プレート13b及び帯状フィルムFの導出側における2個の可動ローラ12を、導出側可動ローラ群として支持する導出側可動プレート13cを、独立して昇降させると共に、導入側可動プレート13a部分における可動ローラ12の1個あたりの重量Wi、主可動プレート13b部分における可動ローラ12の1個あたりの重量Wm、導出側可動プレート13c部分における可動ローラ12の1個あたりの重量Woとしたとき、Wi<Wo<Wmとなるように設定しておくことも可能である。
【0028】
以下、このアキューム装置の動作について、図5及び図6を参照しながら説明する。まず、フィルム送出装置2及びラベリング装置3が共に定常状態で運転しているときは、図5(a)に示すように、多数の可動ローラ12を支持している主可動プレート13b及び2個の可動ローラ12からなる導出側可動プレート13cが最下位置まで降下していると共に、2個の可動ローラ12からなる導入側可動ローラ群を支持している導入側可動プレート13aが最下位置付近まで降下しており、導入側可動プレート13aに取り付けられているピン23が円筒カム22のカム溝に嵌り込んだ状態となっている。従って、この状態では、十分な帯状フィルムFがアキューム装置1に貯えられており、上述したように、導入側可動ローラ群の高さ位置を検出しながら、導入側可動ローラ群の高さ位置に応じて、フィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出速度を変化させることで、ラベリング装置3側が要求している送出速度で帯状フィルムFをラベリング装置3側に送出している。
【0029】
この状態で、フィルム送出装置2において、原反ロールを交換するために、帯状フィルムFの送出を一時的に停止させると、可動ローラ12が上昇することによって、アキューム装置1に貯えられている帯状フィルムFがラベリング装置3側に送出され始めるが、このとき、同図(b)に示すように、可動ローラ12の回転速度が最も大きい導出側可動プレート13c部分がまず最初に上昇し、ストッパ16cによって上昇動作が制限されると、続いて、同図(c)に示すように、可動ローラ12の1個あたりの重量が最も小さい導入側可動プレート13a部分が上昇する。そして、この導入側可動プレート13a部分の上昇動作がストッパ16aによって制限されると、同図(d)に示すように、可動ローラ12の1個あたりの重量が最も大きい主可動プレート13b部分が上昇していくことになる。
【0030】
その後、原反ロールの交換が完了し、アキューム装置に帯状フィルムFを貯えるために、フィルム送出装置2が高速で帯状フィルムFを送出し始めると、帯状フィルムFの導入側に位置しており、しかも、可動ローラ12の数が少なく、応答性に優れた導入側可動プレート13a部分がまず最初に降下していき、図6(e)に示すように、導入側可動プレート13aに取り付けられているピン23が円筒カム22のカム溝に嵌り込むと、フィルム送出装置2による帯状フィルムFの送出速度が低下するので、同図(f)に示すように、可動ローラ12の1個あたりの重量が小さい導入側可動プレート13a部分が逆に上昇し始めると共に、可動ローラ12の1個あたりの重量が最も大きい主可動プレート13b部分及び可動ローラ12の1個あたりの重量が次に大きい導出側可動プレート13c部分が降下し始める。ここで、導入側可動プレート13a部分が上昇することに伴い、ピン23が円筒カム22のカム溝から外れると、フィルム送出装置2は、再び、高速で帯状フィルムFを送出し始めるが、このとき、導入側可動プレート13a部分は、ある程度降下しているので、可動ローラ12の1個あたりの重量が大きい主可動プレート13b部分及び導出側可動プレート13c部分が降下することになる。
【0031】
そして、同図(g)に示すように、主可動プレート13b部分及び導出側可動プレート13c部分が最下位置まで降下した後、同図(h)に示すように、導入側可動プレート13aが最下位置付近まで降下し、十分な帯状フィルムFがアキューム装置1に貯えられた状態になると、フィルム送出装置2が定常運転に移行することになる。
【0032】
このアキューム装置では、導入側可動プレート13a部分における可動ローラ12の1個あたりの重量Wi、主可動プレート13b部分における可動ローラ12の1個あたりの重量Wm、導出側可動プレート13c部分における可動ローラ12の1個あたりの重量Woを、Wi<Wo<Wmとなるように設定しているが、Wi、Wo、Wmの重量関係は特に限定されない。
【0033】
また、上述した実施形態では、導入側可動プレート13aに2個の可動ローラ12を取り付けているが、導入側可動プレート13aに取り付ける可動ローラ12の数は、1個または3個以上であってもよく、アキューム装置に帯状フィルムFを貯えるために、フィルム送出装置2が帯状フィルムFを送出し始める際のフィルム送出速度を考慮して適宜設定すればよい。
【0034】
また、上述した各実施形態では、可動ローラ12が固定ローラ11の下方側で昇降するようになっているが、これに限定されるものではなく、逆に、可動ローラが固定ローラの上方側で昇降するアキューム装置についても、本発明を適用することができる。ただし、その場合は、モータやエアシリンダ等の駆動力によって、可動ローラを支持している可動プレートを、常時、上方側に付勢しておく必要がある。
【0035】
また、上述した実施形態では、原反ロールから、帯状フィルムFを繰り出して送出するフィルム送出装置2と、このフィルム送出装置2から送出された帯状フィルムFを順次切断することで筒状のラベルを形成しながら、ボトルBに装着するラベリング装置3との間に設置されたアキューム装置1について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、帯状フィルムを送出する上流側装置と、上流側装置から送出された帯状フィルムを使用する下流側装置との間に設置される種々のアキューム装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明にかかるアキューム装置の一実施形態が設置されたラベル装着システムを示す概略構成図である。
【図2】(a)は同上のアキューム装置を示す正面図、(b)は(a)のX−X線に沿った断面図である。
【図3】(a)〜(d)は同上のアキューム装置の動作説明図である。
【図4】(e)〜(g)は同上のアキューム装置の動作説明図である。
【図5】(a)〜(d)は他の実施形態であるアキューム装置の動作説明図である。
【図6】(e)〜(h)は同上のアキューム装置の動作説明図である。
【図7】従来のアキューム装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 アキューム装置
2 フィルム送出装置
3 ラベリング装置
10 フレーム
11 固定ローラ
12 可動ローラ
13 可動プレート
13a 導入側可動プレート
13b 主可動プレート
13c 導出側可動プレート
14 連結部材
15a、15b スライドポール
16、16a、16c ストッパ
17 昇降機構
18 駆動プーリ
19 従動プーリ
20 ベルト
21 駆動モータ
22 円筒カム
23 ピン
24 ポテンションメータ
B ボトル
F 帯状フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状フィルムを送出する上流側装置と、前記上流側装置から送出された帯状フィルムを使用する下流側装置との間に設置されたアキューム装置であって、
帯状フィルムが交互に掛け渡される、固定設置された複数の固定ローラ及び昇降する複数の可動ローラを備え、
帯状フィルムの導入側における一または複数の前記可動ローラを、導入側可動ローラまたは導入側可動ローラ群として、それ以外の前記可動ローラに対して独立して昇降させるようにしたことを特徴とするアキューム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−62884(P2007−62884A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248722(P2005−248722)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】