説明

アクセサリ

【課題】 カメラ本体にアクセサリを介してカメラ本体より通信速度が遅い交換レンズを装着した場合の通信時間を短縮することを可能にしたアクセサリを提供すること。
【解決手段】 カメラ本体と交換レンズとの間に装着可能であり、前記カメラ本体及び前記交換レンズの各々と独立に通信可能な通信手段と、前記交換レンズから受信したレンズ通信データを記憶する記憶手段と、を備え、前記通信手段による前記カメラ本体との通信速度が前記通信手段による前記交換レンズとの通信速度よりも速い速度であるアクセサリであって、前記レンズ通信データは、前記交換レンズに設けられたズームレンズの位置に応じたデータであり、前記記憶手段は、前記ズームレンズの位置に応じたデータのうち現在のズームレンズの位置に近いズームレンズの位置に応じたデータを優先して記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ本体と交換レンズとの間に装着可能なアクセサリに関し、特に、アクセサリに設けられた通信手段によるカメラ本体との通信速度が通信手段による交換レンズとの通信速度よりも速い速度であるアクセサリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラ本体と交換レンズとの間にアクセサリを装着可能なカメラシステムが提案されている。その一例として、カメラ本体と交換レンズとの間に、交換レンズの焦点距離を望遠側に延長することができるテレコンバータを装着したシステムや、撮影倍率を高倍率化することができる接写用中間リングを装着したカメラシステムなどが挙げられる。
【0003】
また、アクセサリ交換可能なカメラシステムには、カメラ本体に様々なアクセサリを装着して多様な撮影を行うことができる魅力がある。しかし、カメラ本体とアクセサリ間の通信速度の向上や、通信データの大容量化などの改良も行われており、新カメラ本体と旧交換レンズの組み合わせにおいて互換性を保てない部分もあった。例えば、大容量のデータを高速で通信することが必要な新機能に対応したカメラ本体に対しては、同様の新機能に対応した交換レンズを用意する必要があった。
【0004】
そこで、新カメラ本体と旧交換レンズの組み合わせにおける互換性を改善するために、例えば、特許文献1では、交換レンズとカメラ本体との間に装着される、信号処理部を備えたアクセサリが開示されている。
【0005】
この信号処理部は、交換レンズのレンズ通信データをカメラ本体が処理できない場合に、交換レンズ及びカメラ本体が備える機能の差により生ずるカメラ本体の信号処理能力不足を調整し、カメラ本体で行う信号処理の代行や、信号の調整を行うことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−350969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、アクセサリによってカメラ本体と交換レンズ間の通信速度を向上させる旨の開示はされていない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、新カメラ本体と旧交換レンズの組み合わせが可能なアクセサリ交換式のカメラシステムにおいて、カメラ本体にアクセサリを介してカメラ本体とは通信速度が異なるアクセサリを装着した場合の通信時間を短縮することを可能にしたアクセサリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、カメラ本体と交換レンズとの間に装着可能であり、前記カメラ本体及び前記交換レンズの各々と独立に通信可能な通信手段と、前記交換レンズから受信したレンズ通信データを記憶する記憶手段と、を備え、前記通信手段による前記カメラ本体との通信速度が前記通信手段による前記交換レンズとの通信速度よりも速い速度であるアクセサリであって、
前記レンズ通信データは、前記交換レンズに設けられたズームレンズの位置に関するデータであり、
前記記憶手段は、前記ズームレンズの位置に関するデータのうち現在のズームレンズの位置に近いズームレンズの位置に関するデータを優先して記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新カメラ本体と旧交換レンズの組み合わせが可能なアクセサリ交換式のカメラシステムにおいて、カメラ本体にアクセサリを介してカメラ本体とは通信速度が異なるアクセサリを装着した場合の通信時間を短縮することを可能にしたアクセサリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の構成図である。
【図2】カメラ本体の動作フローチャートである。
【図3】テレコンバータの動作フローチャートである。
【図4】RAMにデータをバッファリングしている状態を示す説明図である。
【図5】RAMにデータをバッファリングする優先順位を示す説明図である。
【図6】カメラとテレコンバータと交換レンズの通信方法を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1に係るカメラシステムの構成図である。カメラ本体1にはアクセサリとしてのテレコンバータ3がマウントを介して装着可能(接続可能)になっている。更に、テレコンバータ3には、交換レンズ2がマウントを介して装着可能(接続可能)になっている。カメラ本体1には、交換レンズ2の光軸上に、ハーフミラーから成る可動のメインミラー11、サブミラー12、撮像素子であるCCD13が配列され、メインミラー11の上方への反射方向の光路上には、ファインダスクリーン14、ペンタプリズム15、接眼レンズ16が配列されている。
【0014】
また、ペンタプリズム15の出射方向の一部には、被写体の輝度を測定する測定センサ17が設けられている。更に、サブミラー12の反射方向には焦点検出センサ18が配置されている。
【0015】
CCD13の出力は、CCD制御部19、画像処理部20、LCD制御部21、表示駆動部22を介して表示装置23に接続されている。CCD制御部19、画像処理部20は、カメラCPU24と接続され、カメラCPU24は、LCD制御部21、焦点検出センサ18、レリーズ動作操作回路25、メインスイッチSWM、レリーズ動作操作回路25に連動したスイッチSW1、SW2に接続されている。
【0016】
また、カメラCPU24は、通信手段及び記憶手段としてのテレコンバータCPU41と通信接点26を介して電気的に接続可能とされている。
【0017】
テレコンバータCPU41は、カメラ本体1及び交換レンズ2の各々と独立に通信可能である。
【0018】
ここで、カメラCPU24は、ROM、RAM、A/D及びD/A変換機能を有する1チップマイコンであり、ROMに格納されたシーケンスプログラムに従って、自動露出制御、自動焦点調節、CCD13、表示装置23の制御、テレコンバータCPU41との通信を行う。
【0019】
CCD制御部19は、CCD13に転送クロック信号やシャッタ信号を供給するためのタイミングジェネレータ、CCD出力信号のノイズ除去、ゲイン処理を行うための回路、及びアナログ信号を10ビットデジタル信号に変換するためのA/D変換回路などを含んでいる。画像処理部20は、CCD制御部19から出力された10ビットデジタル信号をガンマ変換、色空間変換、またホワイトバランス、AE、フラッシュ補正等の画像処理を行い、YUV(4:2:2)フォーマットの8ビットデジタル信号の出力を行う。
【0020】
LCD制御部21は、画像処理部20から転送されたYUVデジタル画像データを受け取り、RGBデジタル信号に変換した後に、表示駆動部22に出力する処理を行う。表示駆動部22は、例えば、画像を表示するVGA規格(640×480ドット)のTFT液晶から成る表示装置23を駆動するための制御を行う。
【0021】
レリーズ動作操作回路25は、図示しないレリーズボタンにより作動し、メインミラー11及びサブミラー12をクイックリターン制御するための図示しないモータ、図示しない絞りの駆動制御を行う。
【0022】
メインスイッチSWMは、カメラ本体1の外装部材に設けられ、撮影者によるスイッチつまみの切換操作、或いは、カメラ本体1のグリップを握る等の動作でオンとなるスイッチであり、メインスイッチSWMがオンされると、カメラCPU24はROMに格納された所定のシーケンスプログラムを実行する。スイッチSW1、SW2はレリーズボタンに連動したスイッチであり、レリーズボタンの第1段階の押下によりスイッチSW1がオンし、引き続いて第2段階までの押下でスイッチSW2がオンする。
【0023】
カメラCPU24は、スイッチSW1のオンで測光露出演算、自動焦点調節動作、ホワイトバランス、AE等のカメラ設定のロック動作等を行い、スイッチSW2のオンをトリガとしてキャプチャ信号の取り込み動作を行う。
【0024】
次に、アクセサリとしてのテレコンバータ3には、ROM、RAMを有する通信手段及び記憶手段としてのテレコンバータCPU41が設けられ、通信接点26及び通信接点42を介してカメラCPU24及びレンズCPU35と通信を行うようにされている。更に、変倍レンズ43が設けられている。
【0025】
次に、交換レンズ2には、撮影レンズ31が設けられ、撮影レンズ31は、フォーカスアクチュエータ32により焦点調節される移動部材としてフォーカスレンズ33、ズーム操作により撮影レンズ31の焦点距離を変化させる移動部材としてのズームレンズ34により構成されている。また、ROM、RAMを有する1チップマイコンであるレンズCPU35が設けられている。レンズCPU35は、通信接点42と接続可能とされており、テレコンバータCPU41と通信を行うようにされている。また、レンズCPU35の出力はモータドライバ36を介してフォーカスアクチュエータ32に接続されており、ROMに格納されたシーケンスプログラムに従って、フォーカスアクチュエータ32の駆動を行うようにされている。
【0026】
実施例1において、カメラ本体1と交換レンズ2は、テレコンバータ3を介して通信を行うが、カメラ本体1は、通信速度(通信レート)が速い通信(以下、高速通信)に対応しているのに対し、交換レンズ2は、通信速度(通信レート)が遅い通信(以下、低速通信)にしか対応していないという違いがある。
【0027】
通常、通信レートが異なるカメラ本体1と交換レンズ2とを組み合わせた場合、通信レートが遅い側の機器にレートを合わせる必要がある。しかし、このように通信レートが異なる機器の組み合わせであっても、通信レートが速い側の機器にレートを合わせることができるようにしたことが実施例1の特徴である。
【0028】
テレコンバータCPU41は、カメラCPU24からの指示がなくても交換レンズ2のレンズCPU35と独立に通信可能である。
【0029】
具体的には、テレコンバータCPU41がレンズCPU35と通信を行い、レンズCPU35内のROMに格納されたデータ(以下、レンズ通信データ)をテレコンバータCPU41内の記憶手段としてのRAMに一時的に保存(バッファリング)しておく。
【0030】
この通信は、交換レンズ2が低速通信しかできないため低速通信で行われる。なお、ここで通信されるレンズ通信データは、レンズ個々に異なるものであり、カメラCPU24が焦点調節制御や露出演算に使用するものである。その後、テレコンバータCPU41の通信手段は、カメラCPU24から、レンズ通信データの送信を要求する通信を受けたときに、その都度、レンズCPU35と通信するのではなく、RAMにバッファリングしておいたレンズ通信データをカメラCPU24に送信する。
【0031】
この通信は、高速通信で行われる。このように、テレコンバータCPU41がレンズ通信データをバッファリングしておくことによって、カメラCPU24は、レンズ通信データを高速通信で受信することができる。即ち、カメラ本体1は、低速通信しかできない交換レンズ2と組み合わされた場合であっても、高速通信でデータを受信できるため、高速通信に対応した交換レンズ2と組み合わされた場合と同様に、通信に要する時間を短縮することができる。
【0032】
図2は、カメラ本体1の動作フローチャートである。
【0033】
ステップS101で図示しない電源スイッチがオンされると、カメラCPU24にも電源が投入され、ステップS102に進んでカメラCPU24は所定のプログラムの実行を開始する。なお、電源スイッチは、電池装填により自動的に切換わるスイッチ、或いは手動操作で電源投入回路を切換えるスイッチや、電源装填動作の何れでもよい。
【0034】
ステップS102では、カメラCPU24内のRAMに設定されている制御用のフラグ変数を全てクリアして初期化する。
【0035】
そして、次のステップS103において、メインスイッチSWMの状態判別を行い、メインスイッチSWMがオフであればステップS102へ戻り、スイッチSWMがオンとなるまで上記ステップを繰り返し実行し待機状態となる。
【0036】
その後に、メインスイッチSWMがオンと判定されると、ステップS104に進み、ここではCCD13、CCD制御部19を含むCCDモジュールを動作可能な状態(enable)にし、次のステップS105で、撮影時に被写体を確認するための表示装置23の動作を開始する。
【0037】
続くステップS106では、スイッチSW1のオンオフ検出を行い、このスイッチSW1がオフであれば、ステップS106に留まり、スイッチSW1の状態検出を繰り返す。
【0038】
その間に、メインミラー11により交換レンズ2からの光束をペンタプリズム15とCCD13に分割し、サブミラー12はメインミラー11の透過光を焦点検出センサ18に導く。
【0039】
スイッチSW1がオンであることを判定するとステップS107に進み、次のステップで焦点調節制御を行うために必要なデータを、レンズCPU35からテレコンバータCPU41を介して受信する。
【0040】
続くステップS108で焦点検出センサ18により被写体のデフォーカス量を検出し、カメラCPU24は、デフォーカス量をテレコンバータCPU41を介してレンズCPU35に送信する。
【0041】
レンズCPU35は、受信したデフォーカス量に基づいてアクチュエータ32を駆動して焦点調節を行う。
【0042】
次に、ステップS109では、測光センサ17により被写体輝度を測定し、この輝度情報に基づいて所定のプログラムに従い、絞り制御値とシャッタ秒時制御値を演算する。
【0043】
そして、続くステップS110では、スイッチSW2のオンオフ判別を行い、スイッチSW2がオフであればステップS106に戻って、ステップS107、S108、S109を繰り返すが、スイッチSW2がオンとなるとステップS111に進む。
【0044】
ステップS111に進むと、ここでは、メインミラー11のアップ動作を行い、次のステップS112でCCD制御部19によりキャプチャ信号の取り込みを行い、画像処理部20の所定の処理後に、YUV信号のデータを図示しないRAM中の画素展開エリアに書き込む。
【0045】
このデータは、JPEG規格に準拠した画像圧縮処理を行った後に、図示しないデータ格納手段に画像ファイルとして書き込む。
【0046】
続いて、ステップS113でメインミラー11のダウン動作を行う。
【0047】
その後に、再びステップS106に進み、スイッチSW1のオンオフの判別を行う。
【0048】
図3はテレコンバータ3の動作フローチャートである。
【0049】
ステップS201で電源がオンされると、テレコンバータCPU41にも電源が投入され、ステップS202に進んでテレコンバータCPU41は所定のプログラムの実行を開始する。なお、図示していないが、テレコンバータ3は、カメラ本体1からマウントの電源接点を介して電源を供給されており、装着によって電源接点が接続されると自動的に電源が供給されるようになっている。
【0050】
ステップS202では、交換レンズ2が装着されたかを検出する。これは、テレコンバータCPU41からレンズCPU35に通信接点42を介して通信を送り、所定の通信が返ってくるかによって判別しても良いし、図示しないメカ的な検出スイッチを使用しても良い。
【0051】
ステップS203では、カメラCPU24からの通信を受信しているかを判別し、受信していればステップS204に進みカメラ通信に応じた処理を行う。
【0052】
受信していない場合は、ステップS209に進み、レンズ通信データをバッファリングする処理を行う。ここでは、以下のフローの説明を容易にするために、ステップS209側の分岐から説明する。
【0053】
ステップS209では、テレコンバータCPU41は、レンズCPU35と通信しフォーカスレンズ33及びズームレンズ34の現在位置を確認する。
【0054】
続くステップS210では、テレコンバータCPU41は、レンズCPU35と通信を行い、レンズ通信データを受信して、テレコンバータCPU41内のRAMにバッファリングする。バッファリングするレンズ通信データとして、例えば、カメラ本体1が焦点調節制御や露出演算を行うために必要なレンズ固有のデータが送信される。これらのレンズ通信データは、フォーカスレンズ33及びズームレンズ34の位置によって異なるため、レンズCPU35のROM内にフォーカスレンズ33及びズームレンズ34の位置に関するテーブルデータとして格納されている。
【0055】
バッファリングを行うときは、テレコンバータCPU41は、レンズCPU35に対し、フォーカスレンズ33及びズームレンズ34の位置を指定して各位置のデータを読み出していく。
【0056】
図4は、テレコンバータCPU41内のRAMにデータがバッファリングされている様子を示す図である。例えば、16Byteで構成されるデータAがズームレンズ34の位置に対応してZOOM0からZOOM8のテーブルデータとして格納されている。同様にデータBについてもズームレンズ34の位置に対応してテーブルデータとして格納されている。テレコンバータCPU41がカメラCPU24にこれらのデータA、Bを送信する際には、通信でレンズCPUに対してズームレンズ34の現在のズーム位置を確認し、そのズーム位置に応じたデータを選択し送信するようにしている。
【0057】
なお、このステップS210では、一度に全てのレンズ通信データをバッファリングするわけではない。交換レンズ2の種類にもよるが、例えば、レンズ通信データの合計が200KByteで、1Byteのバッファリングに要する時間が500μsecとすると、全てのレンズ通信データのバッファリングを完了するためには100secを要する。この間にもカメラCPU24から通信を受信する必要があるため、ステップS210では、一度に4Byteから16Byte程度データをバッファリングするにとどめ、再び、ステップS203に戻ってカメラCPU24からの通信を受信しているかを判別する。
【0058】
そこで、カメラCPU24からの通信を受信していなければ、再度、ステップS209とステップS210でレンズ通信データのバッファリングの続きを行う。
【0059】
ここで、レンズ通信データのバッファリングを行う優先順位について説明する。カメラCPU24が焦点調節制御や露出演算を行うために必要とするレンズ通信データは、フォーカスレンズ33及びズームレンズ34の現在位置のデータである。例えば、フォーカスレンズ33は、フォーカスアクチュエータ32または撮影者のマニュアル操作により移動されるため、それに伴って現在のフォーカス位置に関するレンズ通信データをカメラCPU24に送信する必要がある。前述したように、テレコンバータCPU41がレンズ通信データをバッファリングしておくことによって、カメラCPU24がレンズ通信データを受信するのに要する時間を短縮することができる。
【0060】
同様に、ズームレンズ34もズームアクチュエータ(不図示)または撮影者のマニュアル操作により移動されるため、それに伴って、現在のズーム位置に関するレンズ通信データをカメラCPU24に送信する必要がある。前述したように、テレコンバータCPU41がレンズ通信データをバッファリングしておくことによって、カメラCPU24がレンズ通信データを受信するのに要する時間を短縮することができる。
【0061】
そのため、カメラCPU24に送信する可能性が高いレンズ通信データから優先的にバッファリングした方が良い。具体的には、フォーカスレンズ33及びズームレンズ34の現在位置に近い領域から優先的にバッファリングした方が良い。
【0062】
ここで、図5を用いて、実施例1の特徴である、レンズ通信データに優先順位をつけてバッファリングしていく方法について、2つの例を説明する。
【0063】
図5(a)、(b)ともに、交換レンズ2は、フォーカスの無限から至近を8領域に、ズームのTELEからWIDEを8領域に分割されている。また、「現」と記された領域は、フォーカスレンズ33及びズームレンズ34の現在位置を示している。さらに、「1」、「2」、「3」と記された領域は、バッファリングを行う優先順位を示しており、「1」の方が優先順位が高いものとする。
【0064】
図5(a)は、フォーカスを重視したバッファリングのモードである。初めに、「1」で示すように、現在位置と同じズーム位置における全てのフォーカス位置のレンズ通信データをバッファリングする。次に、「2」で示すように、現在位置に隣接するズーム位置における、全てのフォーカス位置のレンズ通信データをバッファリングする。次に、「3」で示すように、「2」隣接するズーム位置における、全てのフォーカス位置のレンズ通信データをバッファリングする。以下、同様に現在位置から近い順にバッファリングを進めて行く。このフォーカス重視のバッファリングのモードは、フォーカスレン33ズが大きく動くスポーツ撮影モードに適している。なお、撮影モードは、あらかじめカメラCPU24からテレコンバータCPU41及びレンズCPU35に通信されている。
【0065】
図5(b)は、ズームを重視したバッファリングのモードである。初めに、「1」で示すように、現在位置と同じフォーカス位置における全てのズーム位置のレンズ通信データをバッファリングする。次に、「2」で示すように、現在位置に隣接するフォーカス位置における、全てのズーム位置のレンズ通信データをバッファリングする。次に、「3」で示すように、「2」隣接するフォーカス位置における、全てのズーム位置のレンズ通信データをバッファリングする。以下、同様に現在位置から近い順にバッファリングを進めて行く。このズーム重視のバッファリングのモードは、フォーカスレンズ33の動きが少ない風景撮影モードに適している。
【0066】
このように、レンズ通信データのバッファリングに優先順位をつけることによって、カメラCPU24からレンズ通信データを要求する通信を受信したときに、フォーカスレンズ33及びズームレンズ34の、必要とされる位置のレンズ通信データのバッファリングが完了している確率を高めることができる。
【0067】
再び、図3に戻って、ステップS204では、前のステップS203で受信したコマンドが送信要求コマンドか否かを判別する。
【0068】
データ送信要求コマンドであった場合は、ステップS205に進み、データ送信要求コマンドでなかった場合はステップS211に進む。ここでデータ送信要求コマンドとは、カメラ本体1が送信するコマンドのうち、レンズCPU35にカメラの各種制御に必要なデータを送信させるためのコマンドである。
【0069】
その他のコマンドとしては、交換レンズ2に対してフォーカスアクチュエータ32の駆動を要求するための駆動要求コマンドがある。
【0070】
ステップS205では、テレコンバータCPU41は、レンズCPU35と通信しフォーカスレンズ33及びズームレンズ34の現在位置を確認する。
【0071】
ステップS206では、前のステップS205で確認したフォーカスレンズ33及びズームレンズ34の現在位置に対応するレンズ通信データを、既にRAMにバッファリング済みか否かを判別する。バッファリング済みであった場合には、ステップS207に進み、RAMのテーブルデータからフォーカスレンズ33及びズームレンズ34の現在位置に対応するデータを選択する。バッファリングが済んでいない場合にはステップS212に進む。
【0072】
ステップS212では、ステップS205で確認したフォーカスレンズ33及びズームレンズ34の現在位置のレンズ通信データをレンズCPU35から受信する。
【0073】
ステップS208では、ステップS207でRAMから選択したバッファリング済みのデータ、または、ステップS212でレンズCPU35から受信したレンズ通信データをカメラCPU24に送信する。その後、再びステップS203に戻りカメラCPU24からの通信を待つ。
【0074】
次に、図6を用いて実施例1の効果を説明する。図6は、16Byteで構成されるデータAをカメラCPU24がレンズCPU35から受信する様子を示したタイミングチャートである。
【0075】
まず、図6(a)は、実施例1のアクセサリとしてのテレコンバータ3を使用しない場合の通信を示している。t1において、カメラ本体1は、交換レンズ2に対してデータA送信要求を出す。交換レンズ2は、それを受けて1Byte目から16Byte目にかけてデータAを送信する。これらの合計17Byteの通信は、交換レンズ2が低速通信にしか対応していないため全て低速通信で行われる。
【0076】
次に、図6(b)は、実施例1のテレコンバータ3を使用した場合の通信を示している。t1において、カメラCPU24は、テレコンバータCPU41に対してデータA送信要求を出す。この通信は、高速通信で行われる。次に、t2において、テレコンバータCPU41は、レンズCPU35に対して、フォーカスレンズ33及びズームレンズ34の現在位置情報の送信を要求する通信を行う。
【0077】
この通信は、低速通信で行われる。t3において現在位置の受信が完了すると、テレコンバータCPU41は、RAMに格納されているデータAのテーブルからフォーカスレンズ33及びズームレンズ34の現在位置に応じたデータを選択して、1Byte目から16Byte目にかけてデータAを送信する。この通信は高速通信で行われる。
【0078】
以上の(a)と(b)を比較すると、(a)は、全て低速通信のためt1からt5まで要するのに対し、(b)は特に時間のかかるデータAの16Byteの通信をカメラとテレコンバータ間では高速通信で送信できるため、(a)に対してt4からt5までの時間を短縮することができる。
【0079】
以上、説明したように、実施例1によれば、新型のカメラ本体1と旧型の交換レンズ2の組み合わせが可能なアクセサリ交換式のカメラシステムにおいて、カメラ本体1にアクセサリ3を介してカメラ本体1とは通信速度が異なる交換レンズ2を装着した場合の通信時間を短縮することができる。
【0080】
また、レンズ通信データのバッファリングに優先順位をつけることによって、カメラCPU24からレンズ通信データを要求する通信を受信したときに、フォーカスレンズ及びズームレンズの、必要とされる位置のレンズ通信データのバッファリングが完了している確率を高めることができる。
【0081】
また、実施例1では、アクセサリに装着される装置として、交換レンズを用いた例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、外付けストロボ等の外部機器に応用しても良い。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 カメラ本体
2 交換レンズ
3 テレコンバータ
24 カメラCPU
26 通信接点
31 撮影レンズ
33 フォーカスレンズ
34 ズームレンズ
35 レンズCPU
41 テレコンバータCPU
42 通信接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体と交換レンズとの間に装着可能であり、前記カメラ本体及び前記交換レンズの各々と独立に通信可能な通信手段と、前記交換レンズから受信したレンズ通信データを記憶する記憶手段と、を備え、前記通信手段による前記カメラ本体との通信速度が前記通信手段による前記交換レンズとの通信速度よりも速い速度であるアクセサリであって、
前記レンズ通信データは、前記交換レンズに設けられたズームレンズの位置に対応したデータであり、
前記記憶手段は、前記ズームレンズの位置に対応したデータのうち現在のズームレンズの位置に近いズームレンズの位置に対応したデータを優先して記憶することを特徴とするアクセサリ。
【請求項2】
カメラ本体と交換レンズとの間に装着可能であり、前記カメラ本体及び前記交換レンズの各々と独立に通信可能な通信手段と、前記交換レンズから受信したレンズ通信データを記憶する記憶手段と、を備え、前記通信手段による前記カメラ本体との通信速度が前記通信手段による前記交換レンズとの通信速度よりも速い速度であるアクセサリであって、
前記レンズ通信データは、前記交換レンズに設けられたフォーカスレンズの位置に対応したデータであり、
前記記憶手段は、前記フォーカスレンズの位置に対応したデータのうち現在のフォーカスレンズの位置に近いフォーカスレンズの位置に対応したデータを優先して記憶することを特徴とするアクセサリ。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記通信手段が前記カメラ本体との通信を行っていないときに前記レンズ通信データを記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載のアクセサリ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のアクセサリと、前記カメラ本体と、前記交換レンズを有するカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−175024(P2011−175024A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37672(P2010−37672)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】