説明

アクセス管理システム、情報処理装置、アクセス管理方法およびプログラム

【課題】データを記憶する記憶装置が壊れた場合であっても、当該記憶装置へのアクセス履歴を取得する。
【解決手段】情報処理装置100が記憶装置200へアクセスした場合、当該アクセスの開始日時と、当該アクセスの終了日時と、情報処理装置100固有に付与された装置識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として履歴記憶装置300へ書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置へのアクセスを管理するアクセス管理システム、情報処理装置、アクセス管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会となり、様々な情報(データ)がやり取りされている。そのやり取りされているデータを記憶するためのハードディスクドライブ・ストレージなどの記憶装置の記憶容量も大きなものとなってきている。
【0003】
これらの記憶装置においては、記憶しているデータが壊れた場合、どのアクセスがそのデータ破壊の原因となったのかを突き止めることは大変困難である。
【0004】
ファイルシステムの中には、最新アクセスのタイムスタンプを記録しているものもあるが、データ破壊に繋がった操作が最新アクセスのものとは限らない。また、その最新アクセスのタイムスタンプも同じ記憶装置内に記憶されているため、最新アクセスタイムスタンプも壊れているおそれもある。
【0005】
そこで、ネットワークと接続されたコンピュータへのアクセス履歴を取得する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−146371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、コンピュータへのアクセス履歴は、最初当該コンピュータが記憶しており、所定のタイミングで外部の履歴取得手段が当該コンピュータからアクセス履歴を取得するものである。そのため、当該コンピュータが故障したことにより、その記憶しているアクセス履歴を読み出すことができなくなってしまうと、アクセス履歴を取得することができなくなってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を解決するアクセス管理システム、情報処理装置、アクセス管理方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のアクセス管理システムは、
情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置へアクセスする情報処理装置と、
前記情報処理装置から前記記憶装置へのアクセスの履歴を示すアクセス履歴情報を記憶する履歴記憶装置とを有し、
前記情報処理装置は、前記記憶装置へアクセスした場合、該アクセスの開始日時と、該アクセスの終了日時と、当該情報処理装置固有に付与された装置識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として前記履歴記憶装置へ書き込むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の情報処理装置は、
情報を記憶する記憶装置と接続された情報処理装置であって、
前記記憶装置へアクセスする記憶装置インタフェース部と、
前記記憶装置へアクセスした場合、該アクセスの開始日時と、該アクセスの終了日時と、当該情報処理装置固有に付与された装置識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として、当該情報処理装置と接続された履歴記憶装置へ書き込む履歴記憶装置インタフェース部とを有する。
【0011】
また、本発明のアクセス管理方法は、
情報を記憶する記憶装置へのアクセスを管理するアクセス管理方法であって、
前記記憶装置へのアクセスがあった場合、該アクセスの開始日時と、該アクセスの終了日時と、該アクセスを行った情報処理装置固有に付与された装置識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として、前記記憶装置とは別の記憶装置である履歴記憶装置へ書き込む処理を行う。
【0012】
また、本発明のプログラムは、
情報を記憶する記憶装置と接続された情報処理装置に実行させるためのプログラムであって、
前記記憶装置へアクセスする手順と、
前記記憶装置へアクセスした場合、該アクセスの開始日時と、該アクセスの終了日時と、当該情報処理装置固有に付与された装置識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として、当該情報処理装置と接続された履歴記憶装置へ書き込む手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明においては、データを記憶する記憶装置が壊れた場合であっても、当該記憶装置へのアクセス履歴を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のアクセス管理システムの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した履歴記憶装置に記憶されるアクセス履歴情報の一例を示す図である。
【図3】図1に示したアクセス管理システムにおけるアクセス管理方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明のアクセス管理システムの実施の一形態を示す図である。
【0017】
本形態は図1に示すように、情報処理装置100と、記憶装置200と、履歴記憶装置300とから構成されている。なお、図1には、情報処理装置100および記憶装置200を、それぞれ1台ずつ示しているが、それらの数は複数であっても良い。
【0018】
情報処理装置100は、記憶装置200および履歴記憶装置300と接続され、外部から入力された情報を処理する一般的な情報処理装置であり、サーバやPC(Personal Computer)等である。
【0019】
また、情報処理装置100には、記憶装置インタフェース部110と、履歴記憶装置インタフェース部120とが設けられている。なお、情報処理装置100が有する他の構成要素(例えば、入力手段や表示手段等)については、図1ではその記載を省略した。
【0020】
記憶装置インタフェース部110は、記憶装置200へのアクセスを行う。このアクセスとは、記憶装置200への情報の書き込み、記憶装置200からの情報の読み出し、記憶装置200の情報処理装置100へのマウント、情報処理装置100による記憶装置200のファイルシステム作成等、情報処理装置100が記憶装置200を用いた処理を言う。
【0021】
履歴記憶装置インタフェース部120は、記憶装置インタフェース部110が記憶装置200へアクセスした場合、当該アクセスの開始日時と、当該アクセスの終了日時と、情報処理装置100固有にあらかじめ付与された装置識別情報(例えば、マシン名や装置ID等)とを対応付けてアクセスの履歴を示すアクセス履歴情報として、履歴記憶装置300へ書き込む。また、そのとき、情報処理装置100を使用している(情報処理装置100にログインしている)使用者固有に付与された使用者識別情報(例えば、ユーザIDやログイン名等)もそれらに対応付けてアクセス履歴情報として、履歴記憶装置300へ書き込む。
【0022】
具体的には、履歴記憶装置インタフェース部120は、記憶装置インタフェース部110が記憶装置200へアクセスした際、情報処理装置100に具備された時計等のタイマから現在の日時を開始日時として取得する。また、そのとき、履歴記憶装置インタフェース部120は、情報処理装置100に具備されたメモリ等にあらかじめ記憶されている装置識別情報を取得する。また、そのとき、履歴記憶装置インタフェース部120は、情報処理装置100を現在使用している(ログインしている)使用者の使用者識別情報を、ログイン時に書き込まれたメモリから取得する。そして、それら取得した開始日時と、装置識別情報と、使用者識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として履歴記憶装置300へ書き込む。また、履歴記憶装置インタフェース部120は、記憶装置インタフェース部110が記憶装置200へのアクセスが終了した際、情報処理装置100に具備された時計等のタイマから現在の日時を終了日時として取得する。そして、その取得した終了日時を、アクセス開始時に記憶したアクセス履歴情報に追加する形で履歴記憶装置300へ書き込む。
【0023】
記憶装置200は、情報を記憶する装置であり、内部補助記憶装置、外部補助記憶装置、ハードディスク装置、仮想ハードディスク等が挙げられる。
【0024】
履歴記憶装置300は、記憶装置200とは物理的に別に設けられた装置であり、上述したアクセス履歴情報を記憶する。
【0025】
図2は、図1に示した履歴記憶装置300に記憶されるアクセス履歴情報の一例を示す図である。
【0026】
図1に示した履歴記憶装置300には図2に示すように、種類(履歴の種類)と、Noと、開始日時と、終了日時と、マシン名と、ユーザ名とが対応付けられて記憶される。
【0027】
履歴の種類は、マウント履歴、書き込み履歴、ファイルシステム作成履歴等、情報処理装置100が記憶装置200へどのようにアクセスしたかを示す情報である。
【0028】
Noは、種類別にアクセスごとに付与したシーケンス番号である。これは、なくてもかまわない。以下、説明は省略する。
【0029】
開始日時は、情報処理装置100から記憶装置200へのアクセスを開始した日時である。
【0030】
終了日時は、情報処理装置100から記憶装置200へのアクセスを終了した日時である。
【0031】
マシン名は、当該アクセスを行った情報処理装置100の装置識別情報である。
【0032】
ユーザ名は、当該アクセスを行った使用者の使用者識別情報である。つまり、情報処理装置100から記憶装置200へのアクセスを、情報処理装置100を用いて行った使用者の使用者識別情報である。
【0033】
例えば、図2に示すように、種類「マウント履歴」と、開始日時「2/2 10:00」と、終了日時「2/2 15:00」と、マシン名「M01」と、ユーザ名「User1」とが対応付けられて記憶されている。これは、User1という使用者が、M01の情報処理装置から記憶装置200をマウントするアクセスを2月2日の10時から15時まで行ったことを示している。また、種類「マウント履歴」と、開始日時「2/2 16:00」と、終了日時「2/2 16:30」と、マシン名「M01」と、ユーザ名「User2」とが対応付けられて記憶されている。これは、User2という使用者が、M01の情報処理装置から記憶装置200をマウントするアクセスを2月2日の16時から16時30分まで行ったことを示している。また、種類「書き込み履歴」と、開始日時「2/2 8:30」と、終了日時「2/2 9:30」と、マシン名「M01」と、ユーザ名「User1」とが対応付けられて記憶されている。これは、User1という使用者が、M01の情報処理装置から記憶装置200へ情報を書き込むアクセスを2月2日の8時30分から9時30分まで行ったことを示している。また、種類「書き込み履歴」と、開始日時「2/2 15:30」と、終了日時「2/2 16:00」と、マシン名「M01」と、ユーザ名「User2」とが対応付けられて記憶されている。これは、User2という使用者が、M01の情報処理装置から記憶装置200へ情報を書き込むアクセスを2月2日の15時30分から16時まで行ったことを示している。また、種類「書き込み履歴」と、開始日時「2/3 8:30」と、終了日時「2/3 12:00」と、マシン名「M02」と、ユーザ名「User1」とが対応付けられて記憶されている。これは、User1という使用者が、M02の情報処理装置から記憶装置200へ情報を書き込むアクセスを2月3日の8時30分から12時まで行ったことを示している。また、種類「ファイルシステム作成履歴」と、開始日時「2/2 8:00」と、終了日時「2/2 8:30」と、マシン名「M02」と、ユーザ名「User3」とが対応付けられて記憶されている。これは、User3という使用者が、M02の情報処理装置から記憶装置200のファイルシステム作成のためのアクセスを2月2日の8時00分から8時30分まで行ったことを示している。
【0034】
また、履歴記憶装置300は、あらかじめ設定された世代分のアクセス履歴情報を記憶することができる。
【0035】
なお、記憶装置200の数が複数である場合は、複数の記憶装置200を互いに識別するための記憶装置識別情報をそれぞれに付与しておき、該当する記憶装置200の記憶装置識別情報もアクセス履歴情報として記憶する。
【0036】
また、これら履歴記憶装置300に記憶されたアクセス履歴情報は、一般の利用者からは上書き等されないように保護しておく必要がある。保護の方法については、特に規定しない。
【0037】
以下に、本形態におけるアクセス管理方法について説明する。
【0038】
図3は、図1に示したアクセス管理システムにおけるアクセス管理方法を説明するためのフローチャートである。
【0039】
まず、記憶装置インタフェース部110から記憶装置200へアクセスが開始されると(ステップS1)、履歴記憶装置インタフェース部120によって、情報処理装置100に具備された時計等のタイマから現在の日時が開始日時として取得される(ステップS2)。
【0040】
また、そのとき、履歴記憶装置インタフェース部120によって、情報処理装置100に具備されたメモリ等にあらかじめ記憶されている装置識別情報が取得される(ステップS3)。
【0041】
また、そのとき、履歴記憶装置インタフェース部120によって、情報処理装置100を現在使用している(ログインしている)使用者の使用者識別情報が、ログイン時に書き込まれたメモリから取得される(ステップS4)。
【0042】
そして、それら取得した開始日時と装置識別情報と使用者識別情報とが、履歴記憶装置インタフェース部120によって、対応付けられてアクセス履歴情報として履歴記憶装置300へ書き込まれる(ステップS5)。
【0043】
また、記憶装置インタフェース部110によって、記憶装置200へのアクセスが実行される(ステップS6)。ステップS6の処理は、ステップS1の処理の後、すぐに開始されても良い。
【0044】
その後、記憶装置インタフェース部110から記憶装置200へアクセスが終了すると(ステップS7)、履歴記憶装置インタフェース部120によって、情報処理装置100に具備された時計等のタイマから現在の日時が終了日時として取得される(ステップS8)。
【0045】
すると、取得された終了日時が、履歴記憶装置インタフェース部120によって、履歴記憶装置300へ書き込まれる(ステップS9)。このとき、当該アクセスに該当するアクセス履歴情報の対応付けに追加される形で書き込まれる。
【0046】
以上説明した本発明においては、記憶装置200へのアクセス履歴情報を過去にさかのぼり確認することができる。それは、履歴記憶装置300に、情報処理装置100から記憶装置200へのアクセス記録を数世代にわたり記録しているためである。
【0047】
また、記憶装置200に記憶されているデータが壊れても、安全にアクセス履歴情報を読み出すことができる。それは、履歴記憶装置300を記憶装置200とは別に設けているためである。
【0048】
上述した情報処理装置100に設けられた各構成要素が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を記述したプログラムを情報処理装置100にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを情報処理装置100に読み込ませ、実行するものであっても良い。情報処理装置100にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、情報処理装置100に内蔵されたROM、RAM等のメモリやHDD等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、情報処理装置100に設けられたCPU(不図示)にて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0049】
100 情報処理装置
110 記憶装置インタフェース部
120 履歴記憶装置インタフェース部
200 記憶装置
300 履歴記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置へアクセスする情報処理装置と、
前記情報処理装置から前記記憶装置へのアクセスの履歴を示すアクセス履歴情報を記憶する履歴記憶装置とを有し、
前記情報処理装置は、前記記憶装置へアクセスした場合、該アクセスの開始日時と、該アクセスの終了日時と、当該情報処理装置固有に付与された装置識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として前記履歴記憶装置へ書き込むことを特徴とするアクセス管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアクセス管理システムにおいて、
前記情報処理装置は、前記記憶装置へのアクセスを開始した際、前記開始日時と、前記装置識別情報とを前記履歴記憶装置へ書き込み、前記記憶装置へのアクセスを終了した際、前記終了日時を前記履歴記憶装置へ書き込むことを特徴とするアクセス管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載のアクセス管理システムにおいて、
前記情報処理装置は、当該情報処理装置を使用している使用者固有に付与された使用者識別情報と、前記開始日時と、前記終了日時と、前記装置識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として前記履歴記憶装置へ書き込むことを特徴とするアクセス管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載のアクセス管理システムにおいて、
前記情報処理装置は、前記記憶装置へのアクセスを開始した際、前記開始日時と、前記装置識別情報と、前記使用者識別情報とを前記履歴記憶装置へ書き込み、前記記憶装置へのアクセスを終了した際、前記終了日時を前記履歴記憶装置へ書き込むことを特徴とするアクセス管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアクセス管理システムにおいて、
前記情報処理装置は、あらかじめ設定された世代分の前記アクセス履歴情報を前記履歴記憶装置へ書き込むことを特徴とするアクセス管理システム。
【請求項6】
情報を記憶する記憶装置と接続された情報処理装置であって、
前記記憶装置へアクセスする記憶装置インタフェース部と、
前記記憶装置へアクセスした場合、該アクセスの開始日時と、該アクセスの終了日時と、当該情報処理装置固有に付与された装置識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として、当該情報処理装置と接続された履歴記憶装置へ書き込む履歴記憶装置インタフェース部とを有する情報処理装置。
【請求項7】
情報を記憶する記憶装置へのアクセスを管理するアクセス管理方法であって、
前記記憶装置へのアクセスがあった場合、該アクセスの開始日時と、該アクセスの終了日時と、該アクセスを行った情報処理装置固有に付与された装置識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として、前記記憶装置とは別の記憶装置である履歴記憶装置へ書き込む処理を行うアクセス管理方法。
【請求項8】
情報を記憶する記憶装置と接続された情報処理装置に、
前記記憶装置へアクセスする手順と、
前記記憶装置へアクセスした場合、該アクセスの開始日時と、該アクセスの終了日時と、当該情報処理装置固有に付与された装置識別情報とを対応付けてアクセス履歴情報として、当該情報処理装置と接続された履歴記憶装置へ書き込む手順とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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